1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:20:41.08 ID:YgPZkNg4o
紅莉栖「ハロー」

岡部「おぅ……紅莉栖か……」

紅莉栖「……何時にもまして、テンションが低いわね。」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368879640

引用元: 岡部「ありがとう……ただいま。紅莉栖」 紅莉栖「?」 

 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:24:38.30 ID:YgPZkNg4o
岡部「あぁ…………どうやら、夏風邪でも引いたらしい……体調がすこぶる優れなくてな…」

紅莉栖「テンションの低いあんたなんか、炭酸の抜けたドクペみたいでなんか嫌ね」

岡部「そ、それ……どうゆう…意味だ」

紅莉栖「ほんとにダメそうね」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:28:25.27 ID:YgPZkNg4o
岡部「すまんが…冷蔵庫にポカリがあるはずだ……取ってくれ…」

紅莉栖「はいはい、あんたはそこでそのまま横たわってなさい。」

岡部「すまんな…」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:32:11.96 ID:YgPZkNg4o
紅莉栖「……っと、これね」

紅莉栖「岡部ー 持ってきたわ……よ?」

岡部「……スゥ………スゥ」

紅莉栖「寝てる…か」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:42:03.87 ID:YgPZkNg4o
___________
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___



「……」

「ねぇ……」

「ねぇ岡部ってば」

 肩を揺らす振動が、意識を覚醒させる。

「ん…あ、あぁ」

 目を開くと目の前には紅莉栖の顔があった。

 視界を動かし、状況を把握する。

 パソコンの前にある緑色の山のようなものは、言うまでもなくダルであろう。

 水色の帽子が俺の横たわるソファの傍で揺れている。
 まゆりが、コスプレを縫っていることが容易く予想できる。
 実際そうだろうし、

 いつもどおりのラボだ。

 俺が、調子を崩していないこと以外は…

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/18(土) 21:44:48.42 ID:YgPZkNg4o
「買い出しに付き合って」

 ……コイツは、何を言っているんだ?

 まぁいいだろう
 幸い調子も戻ってきたらしく、体のだるさもない。

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 17:44:21.77 ID:xZiUlbW9o
 ラボを出て階段を下りる。

 ラボの外に出ても肌に感じる温度は、変わることなく俺の肌をベタつかせる。

 路面に立つと、強烈な太陽光と強烈な照り返しでまるで、レンジの中に放り込まれたかのように思える程だ。

 数歩先を歩く紅莉栖

紅莉栖「………。」

 着いていこうと歩き出すが、地面がままならない。

 あれ?

紅莉栖「……………?」

 視界が歪む。歪んで混ざる。

紅莉栖「………!?」

 蜃気楼とも陽炎とも言えない世界に、

紅莉栖「………!」

 俺は、

 沈んでいった。

紅莉栖「岡部!」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 17:48:23.02 ID:xZiUlbW9o
___________
_________
______


 気がつくと、俺は暗闇にいた。


 いや、正確には暗闇ではない。

 暗闇のような空間に俺はいた。

 ただの暗闇とは異なり、自分の姿を視認することができた。

 シルエットではなく、色味を失った己の姿を。


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 17:51:13.00 ID:xZiUlbW9o
 自分の灰色の手を眺めていると、不意に何か異物を認識した。


 白衣を着た何かを

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 17:55:26.80 ID:xZiUlbW9o

 『よう、はじめまして……か?
 それとも、久しぶり……か?』

 何を言ってるのだ?
というか、お前は誰だ? ここはどこだ?

 『ここがどこなのかは、正確には俺にも良く分からない。
 ただ一つ言えるのは、俺の名は、??????だ。』

 は? お、おまえは何を言っているのだ?

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:13:57.69 ID:xZiUlbW9o
 『だから、??????だと言っているではないか!
 聞き覚えがあるだろう?! お前なら!』

 意味が頭に入ってこないのか、頭が理解を拒否しているのか解らんが、言っている言葉の理解ができん。

 『………くそぅ、これも運??の扉??択なのか。』

 『ま、まあいい! 今この世界で俺の名前など世界一どうでもいい情報だ!』

 『今重要なのは、お前に訪れた………いや、お前に今から訪れる事態だ。』

 『お前は………覚えているかどうかわからんが。
 今のお前は、昏睡状態にある。
 牧??莉?と買い出しに行った途中で倒れたのだ。』

 やはり、理解ができない。
 言葉として認識はしているのだが、意味を汲み取れない。

 『理解できなくても聞け。 
 聞くことに意味があるのだ。』

 『いいか、お前が目を覚ますのは、遥か彼方の未来。
 2036年だ。』

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:24:58.35 ID:xZiUlbW9o
 『その時代には、??瀬??栖は居ない。
 橋??も……、二人とも既に死んだ未来だ。……』

 『だが、それは??の?択ではない。』

 『お前が昏睡状態に陥ったことによる世界線の変動によるせいだ。』

 『この未来を変えたければ、選択を誤るな。』

 『世界は、お前の手の中にあるのだから』

 『健闘を祈る』

 『?ル・??イ・コン???』


___
______
__________

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:28:23.53 ID:xZiUlbW9o
 そいつの白衣に飲まれるかのように視界が白に包まれる。

 気がつくと俺は、天井を見上げていた。

 薬品系の匂い、そして電子機器が定期的に音を鳴らす………

 ここは、

 「病院?」

 俺が音を発したことによるのか、
 傍の人物が飛び上がるかのようにのぞきこんでくる

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:39:34.84 ID:xZiUlbW9o
 揺れる二つのおさげ

 「お、おじさん? 気が……ついた…の?」

 『鈴羽か。』

 声をだそうとしたが、出し方をど忘れしたみたいなので
頷いて答える。

 「そ、そっか 本当に今日、目覚めたんだね。 いやはや、流石と言うべきか。」

 「……ちなみにさ、私……誰だかわかる?」

 忘れるはずもない、俺が見たままの鈴羽なのだから。

 コクン

 「そっかぁ~ よかったぁ」

 「あ、お医者さん呼んでくるよ。」

 そう言っておさげが視界から消えると、急に意識が遠のいていった。

_________
______
____

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:43:32.35 ID:xZiUlbW9o
 不意に覚醒すると
目の前には、

 タイムリープマシンがあった。

 細かいディティールは違いども、確かに俺は、それをタイムリープマシンと認識できた。


 「いい、おじさん」

 「説明をはじめるね」

 『頼む』

 ……やはり、声は出ない。鈴羽の目を見ながら頷く

 「おっけー、まず……」
_________
_______
_____

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/20(月) 18:47:13.47 ID:xZiUlbW9o
 鈴羽の説明を要約すると

・現在の時間軸は、2036年

・岡部倫太郎は、20年以上昏睡状態にあった

・牧瀬紅莉栖は既にこの世には居ない

・橋田至も同様

 ……そして最も重要なのは

・牧瀬紅莉栖は、タイムリープマシンを完成させた。 マシンの使用目的は、岡部倫太郎を助けるため

 だという

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/21(火) 23:59:37.08 ID:R2LrSIaKo
 「牧瀬紅莉栖は、おじさんを救うためにマシンを作った。 ……私には、どうゆう意味かわからないけど」

 「そうだ、彼女から、おじさん宛にビデオを預かってるんだ」

 「再生するね。」




 『おはよう、倫太郎。』

 『これを見てるってことは、私はあなたの目覚めに立ち会えなかったってコトね』

 『………くやしいけど、まあいいわ 目的はそれだけじゃないし』

 『いい、倫太郎。 あなたはおそらく、一晩寝て起きたぐらいの時間しか感じていないはずよ。
 でも現実には、あなたは20年以上もの間、昏睡状態にあった。』

 『それは、体感時間が他人と桁外れに短いってことになる。』

 『あなたが寝てる間、私はとある夢を見た。』

 『あなたが、仲間を助けようともがき苦しむ世界を』

 『ただの夢と言えばそれまでかもしれない。 たった一人が見た夢幻。 そう、たった一人ならね。』 

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/21(火) 23:59:45.90 ID:9Ndt0tB8o
 「牧瀬紅莉栖は、おじさんを救うためにマシンを作った。 ……私には、どうゆう意味かわからないけど」

 「そうだ、彼女から、おじさん宛にビデオを預かってるんだ」

 「再生するね。」




 『おはよう、倫太郎。』

 『これを見てるってことは、私はあなたの目覚めに立ち会えなかったってコトね』

 『………くやしいけど、まあいいわ 目的はそれだけじゃないし』

 『いい、倫太郎。 あなたはおそらく、一晩寝て起きたぐらいの時間しか感じていないはずよ。
 でも現実には、あなたは20年以上もの間、昏睡状態にあった。』

 『それは、体感時間が他人と桁外れに短いってことになる。』

 『あなたが寝てる間、私はとある夢を見た。』

 『あなたが、仲間を助けようともがき苦しむ世界を』

 『ただの夢と言えばそれまでかもしれない。 たった一人が見た夢幻。 そう、たった一人ならね。』 

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:02:16.27 ID:7LEEWSA+o
 『その日、ラボにはあなた以外のメンバーが揃った。』

 『夢で、あなたを見た。 と皆が口を揃えてたわ。』

 『内容は、僅かな差異はあれど一貫していた。』

 『あなたが、タイムリープマシンを使っていた。』

 『そして、最後に少し落ち着いた……あなたの様であなたではない
 誰かの声を聞いた。』

 『聞いたのは、私だけだけど』

 『世界を巻き戻せ……と』

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:04:05.65 ID:7LEEWSA+o
 『何が正しいのかわからない。』

 『私が、タイムリープマシンを作ったのは、もしかするとあなたにとっては絶望かもしれない。』

 『でも、これを作ることが世界を変える鍵なのよと……おそらく』

 『出来たら、私が直にあなたにこれの使い方を教えたかったのだけれど……』

 『あなたならば大丈夫よね。』

 『後は…任せたわ。』

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:15:56.61 ID:7LEEWSA+o
 まさか、

 皆が夢で見たというのは、もしや別世界線?

 ということは、リーディングシュタイナーが発動したというのか?

 確かに今までに夢で別世界線を見る。 という現象には、既に遭遇している。

 だが、ラボメン皆に同じタイミングで発動する…などありえるのか?

 しかも、紅莉栖のビデオにあった不審人物の声。

 まさか…………

 機関!!??


 「……っと、ビデオはここまで」

 「? おじさん?」

 考え込んでいると、お下げが斜めになったので、のぞき込んできたということがわかった。

 『あ、いや。 なんでもない。』

 「そっか じゃいいや」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:18:17.14 ID:7LEEWSA+o
 「で、どうするの?」

 『どうする……とは?』

 「その……たいむりーぷましんを使うの? ってこと」

 『あ、あぁ ちょっと考えさせてくれ。』

 「うん いいよ」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:23:29.48 ID:7LEEWSA+o
 タイムリープマシン

 これは、あってはならない物

 作ってはいけない物だ。

 世界に反逆する術

 どうする? これを使うと、何が起こるか。………

 いや、待て!

 もしかすると……これを作るという事が、既に世界に影響を与えている?

 これが存在してる世界は、全て何かしらの歪みが起きうる。

 この世界の歪みは?

 ……もしかして、

 鈴羽に聞いてみるか

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:27:08.33 ID:7LEEWSA+o
 『なぁ、鈴羽』

 「ん~?」

 『紅莉栖って………どうやって……』

 『何が…原因で』

 『死んだんだ?……』

 「えっと、確か」

 「心不全 だったかな」

 『心不全……ということは、原因は』

 「詳しくはわかってない。 
 病気もないし、外傷もなかった。
 いつもどおりのある日、いきなり牧瀬紅莉栖は亡くなった。」

 そうか、これが


 歪みか

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:31:22.27 ID:7LEEWSA+o
 紅莉栖は心不全で死んだ

 おそらく、それは世界の歪みのせい

 そして、歪みの原因はこのタイムリープマシン

 これを作ったがために紅莉栖は死んだ。

 ならばどうする。


 ……どうやら今回は、悩む必要はないらしい。


 紅莉栖が残してくれたタイムリープマシン

 これには、改良が施されている。

 飛ぶ期間に制限はない。


 つまり、紅莉栖がタイムリープマシンを完成させる前に戻ることができる。

 そして、タイムリープマシンを完成させなければ、紅莉栖は死なない。


 やることは、決まった。

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:39:05.05 ID:7LEEWSA+o
 『鈴羽』

 「ん?」

 『ちょっと手伝ってくれ』

 「オーキードーキー」


 ヘッドセットだけではなく、様々な付加装置を着けなければならず
 体がだるくて動かない俺には、一苦労だった。
 鈴羽に感謝しなければ。

 「こ~れ~で……よしっ! と」

 「まだなんかある?」

 『あぁ、すまんがパソコンに俺が言う設定を打ち込んでくれ。』

 「軽い軽い~」

 画面に、戻る日時の設定画面が出る。

 「で、いつ?」

 『あぁ、それは俺が倒れた日にしてくれ。』

 「おっけー」

 『分かるのか?』

 「牧瀬紅莉栖がちゃーんと記録してくれてるよ。」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:43:14.25 ID:7LEEWSA+o



 「じゃ、行くよ? 準備はいい?」

 『あぁ』

 相変わらず声は出ない。

 頷き、意思を表示する。

 「~~~んん やっぱだめだ
 これはおじさんが押すべきだよ。」

 ……やっぱりそうだよな

 最後は、俺が押さないと

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:47:42.25 ID:7LEEWSA+o
 エンターキーに手を沿え、覚悟を決める。

 ダル……それに、紅莉栖

 二人は、死ぬべきじゃない。

 そんな世界は認めない。

 そんな世界は、俺が許さない!

 カチッ

 途端、世界が白黒に歪み、吐き気を催すような頭痛が頭の奥底からはい上がってくる。

 ぐ、

 うおおおおおおおおおおお

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 00:54:18.97 ID:7LEEWSA+o
 『ねぇ、岡部』

 『あなたは、失った20年よりも長い時間を旅したのかもしれない。』

 『でも、わたし達にとっては、それは夢や幻みたいなもの。』

 『私は、あなたと一緒に20年を過ごしたい。』

 『あなたを横でただ見守る20年じゃなくて』

 『あなたと共に先を見据える20年を』

 『だから、私は待ってる。』

 『20年前で』

 『だから、さよならは言わない。』


 『………いってらっしゃい 岡部』


 頭痛の中に声が聞こえた……

 なんだか、聞き覚えのある声が……

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 01:04:06.37 ID:7LEEWSA+o
____
______
________
__________

紅莉栖「~♪」

岡部「………お前は何をしとるんだ。」

紅莉栖「あ、起きた?」

岡部「『あ、起きた?』ではないっ! なぜ人の頭にキンッキンに冷えたアイスを押し付けてるのだ!」

紅莉栖「いや……濡れタオルの代わりになるかなぁと」

岡部「代わりになんかなるかっ! 冷えすぎて頭痛がするわ!」

紅莉栖「それだけ元気なら、もう大丈夫そうね。」

岡部「そ、それはそうだが」

紅莉栖「アイス食べる?」

岡部「そんなものラボの冷蔵庫にあったか?」

紅莉栖「買ってきたのよ。」

岡部「そ、そうか ありがたく頂こう。」

紅莉栖「はい♪」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/22(水) 01:04:49.65 ID:7LEEWSA+o
岡部「ありがとう……ただいま。紅莉栖」

紅莉栖「?」



-fin-