3: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 10:53:51.75 ID:bUl9T0XL0


こんなに近くで


とある日、美琴は一人ベンチに座り物思いにふけっていた。


美琴(アイツは何してるのかしら。)


思い出すのは、一端覧際でもまた誰かの為に戦っていた上条の事。
上条が誰かを助け、傷つき入院する。
その度に美琴は胸が締め付けられた。


美琴(あの日にこの想いに気づいちゃったから………きっと他の誰よりもアイツの事を知ったから………)


自分と妹達の為に一方通行に挑んだ8月21日。
自分のいない所でされた約束をし戦った8月31日。
侵入者と戦った9月1日。
後輩を、妹達を守る為危険な中飛び込んで行った9月。
友達を助けると共に戦った9月30日。


美琴(色々事件があったけど………気づいたのは………)


美琴が想い浮かべるのは、大怪我をおってなお病院から抜け出した所を見つけた時だ。


美琴(力になりたいと思った………アイツに傷付いてほしくなかったのよ。)


自分のせいで傷付いた時も"お前は笑ってていいんだよ"と言ってくれた。


美琴(アイツの優しさも………胸が苦しくなる………)


目に涙が浮かぶ。


美琴(こんなに近くにいるのに………どうしてただの友達なんだろう………)


目に涙を浮かべながら空を見上げる。


美琴(でも………どんなに強く想っていても………伝える事が怖いんだ………)


空が青からオレンジに変わる。

引用元: 美琴「私のHERO」 

 

5: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 11:11:14.53 ID:bUl9T0XL0


上条は補習の帰り、公園に立ち寄る。
ふと見ると、ベンチに座り空を見上げる美琴の姿があった。


上条(泣いてる………?)


上条から見ると、目に光るものが見えた。


上条「御坂?………いつもの元気がないな。」


考えるより先に言葉と行動に移す。
上条は話しかけながら美琴の隣に座った。


美琴(なんでよりによって今アイツがっっ)


上条が隣に座った瞬間、美琴はあくびをする。


美琴「アンタか。寝不足かしらね。あくびがでちゃって。」


言い訳のように話す美琴。


美琴(一番大切な人なのに………嘘つく今の私ってなんなのよ………)


自分が嫌になる。
心配する上条をなんとか納得させ、美琴も寮に帰宅する。


美琴(最近眠れないわね………)


上条の事を考える。
そのたび、胸が苦しくなり眠れぬ夜を過ごす。


美琴(初めて会ったあの夜に戻れたらいいのに………)


そして美琴は今日も眠れぬ夜を過ごす。

6: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 11:12:10.68 ID:bUl9T0XL0


学校が終わり、美琴はまたいつもの公園に入った。
ベンチに座り空を見上げる。
空は青く、どこまでも続いてるようだった。


美琴(きっとこの想いを告げたらきっと………もう二度と笑顔にはなれないかもしれない………)


つい後ろ向きな考えに陥る。


美琴(でも………友達のままつくり笑いなんて………これ以上できないのよ………)


上条の事を思うだけで苦しくなるから。
それでも、凄くいとおしいから。


美琴「本当は………ずっと好きだったの………」


ポツリと呟く。


美琴「ずっと愛し続けてたの………」


届けたいけど………
届けられない気持ちを………
美琴は青い空へと囁いた。


美琴(やっぱり………強く想っていても………伝えられないよ………)


そしてまた涙を浮かべる。
大切な人を想って。

21: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:32:35.65 ID:EQlYRDzX0
オリオンをなぞる


上条はいつもの公園に着く。
ふとベンチを見ると、最近よく会う、気になる存在の美琴がいた。


上条(元気ないな………)


上条から見た美琴は、目に涙を浮かべ空を見ていた。
気付いた瞬間、上条は美琴に近づく。


上条「御坂?………元気ないな。」


上条の言葉に美琴は目を見開く。
きっと彼女は、自分が気付かないと思ったのだろう。


上条(顔見れば一瞬で分かるんだよ………)


なんとなくだが、美琴の顔を見ると分かる。
それでも彼女は言い訳をし、立ち去った。


上条(泣いたりするし………なんで何も言わないんだよ………)


彼女を救って、自分と共に戦ってくれた彼女。


上条(あぁ、そっか………俺は………アイツのヒーローになりたいんだ………)


本当に最初の出会いは分からない。
それでも、あの自販機で出会った事。
それからの数々の日々。


上条(なんか………ドラマみてーだな。)


思い出して上条は苦笑する。
彼女の事を想いながら帰宅する。

22: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:33:34.22 ID:EQlYRDzX0


夜中、上条はインデックスを起こさないようにベランダに出る。


上条(俺は………御坂をどう思っている?)


ベランダから見える空は、深い深い闇。
自分の気持ちを見つめ直す。


上条(危険な目には遭わせたくない……… でも………近くにいたい。)


想って、苦笑する。


上条(繋がっていたいけど、離されたい………矛盾だらけだな俺………)


このまま時間が過ぎるのが怖い。


上条(ここで終わる筈がないのにな………)


自分の気持ちに少し気づいてしまったから。
このまま、美琴と過ごす時間が怖く感じる。


上条(きっと………切っても切れない関係なんだよな………)


今までの彼女との縁を。
だったら………


上条(俺が右手を伸ばすから………手を掴んでくれないだろうか………)


本当に笑えるくらいの青春だ。
以前の自分からは考えられないくらいに。
夢を見て、恋をして、あきれ返るような日々を纏う。


上条(俺が戦う意味を………アイツにもし伝わっているのなら………嬉しいんだ………)


何度よろけて、倒れたとしても。
彼女の笑顔が見たいから。
上条が見る空は深い暗闇だった。

23: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:34:20.23 ID:EQlYRDzX0


繋がりたい。
離されたい。


上条(本当………アッチコッチな考えだよ………)


暗闇を見ながら上条はため息をつく。
気付かなければ良かったのかもしれない。
それでも、上条の心は楽になった。


上条(俺がいて………アイツが隣にいてくれたら………俺は幸せなんだ………)


美琴がいつも、隣を歩いてくれるから。
昨日までの日々をいとおしく思う。
気付いたこれからの景色はきっと、見たことのない物になるだろう。


上条(ここで終わる筈がないから………)


明日からの日々を想い上条は笑う。


………Fin

24: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:35:38.74 ID:EQlYRDzX0
HERO【上条var,】


上条は最近悩む。


上条(ヒーロー………か………)


ふと言われた一言。
上条はただ、困っている人を見捨てられない。
それだけなのだ。


上条(俺はただの臆病で………怖がりで………誰も失いたくないだけなんだ………)


誰も失わず返る。
上条の信念が失われてく気がした。
考える度に、限界に突き落とされていく。


上条(俺は………ただの男だ………人間離れなんてしてないんだよ………)


スーパーマンなんかじゃないから。
誰かがこの悲しみから救ってくれるだろうか。
ハワイでの戦いにより、上条の信念が崩れた。
限界からまた一歩踏み出しても、ただそれだけだった。


上条(助けて………か………)


美琴が鉄橋で呟いていた言葉を思い出す。
彼女には、何度助けられただろう。


上条(アイツがいつも、背中を押してくれるな………)


美琴にとってのヒーローが上条なら、上条にとってのヒーローは美琴なのだろう。
ハワイの時、自分の人生も救って貰った気がしたから。



25: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:36:30.62 ID:EQlYRDzX0


自分がずっと戦ってきた意味は何だろう。


上条(きっと………今までの不幸な人生を変えたかったんだよ………)


自分の為だと。
自分自身に問いかけていた。

上条は歩いて公園に着いた所で立ち止まる。


上条(ただの人間で………ただの男なんだよ………)


スーパーマンなんかじゃないから。
上条の声は誰かに届くのだろうか。


上条(誰かの為に、正しい事と信じて………人生の攻防戦だな………)


きっと自分達が生き残る為には、自分が助けないといけないから。


上条(まだ死ねねえんだよ。)


それでも一人、自分と同じ信念を持つ美琴は上条と共に戦う。


上条(俺のヒーローみたいだよ………アイツは………)


彼女と共に戦った日々。
自分の危険には、きっと彼女が来てくれるから。

26: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/02(日) 14:37:33.43 ID:EQlYRDzX0


そんな彼女や、自分を待っていてくれるインデックス。
彼女達がいるから。


上条(正しい事の為に俺は戦う。)


ヒーローは命を捧げる事を恐れない。
ヒーローが必要な時に助けてくれる。


きっとヒーローが必要だから。


上条「だから俺が戦う。」


右手を握りしめて呟く。
自分の為に。
守りたい人の為に。
信念を貫く。


………Fin

36: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:02:40.15 ID:MQA8kfTl0
HERO【一方通行var,】


寝室のベッドで横になる。
隣にはよく眠る打ち止めがいる。


一方通行(なンでコイツは………俺なンかと一緒にいるんだ………)


実際はまだそんなに経っていないのに、かなりの時間一緒にいる気がする。


一方通行(昔は………何を犠牲にしても良いと思ってたのに………)


自分なんかに笑いかけてくれる家族がいる。
愛すべき人が出来た。


一方通行(随分臆病になったな………)


それでもただ一人。
守りたい人がいるから。
どんなに汚れていても、人殺しでも。


一方通行(俺は………コイツ一人にとっての………)


ヒーローになりたい。
打ち止めがつまずいたり、転んだりするなら手を差しのべてやろう。
ただ一人の為のヒーローでいたいから。


一方通行(アホな考えだ………)


打ち止めの髪を優しく撫でる。

37: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:05:07.86 ID:MQA8kfTl0


一方通行は実験の事を思い出していた。
簡単に命が捨てられていく。


一方通行(………そンなつもりじゃなかったンだ!)


レベル6になれば、誰も傷つけなくて済むと思ったから。
ギリッと唇を噛む。
その瞬間、寝ていた打ち止めが起きて、一方通行の手を握る。


打ち止め「アナタ、どうしたの?ってミサカはミサカは心配してみたり………」


自分の手を握る小さな手が一方通行の胸の痛みを溶かしていく。


一方通行「なンでもねェよ。メシ食うぞ。」


一方通行は打ち止めの頭をくしゃっと撫でる。
彼の腕に絡まる少女が凄く愛しく感じる。


一方通行(これからも………辛い事はあるンだろ。)


時に苦かったり、渋かったりするだろう。


一方通行(それでも………)


この笑顔の少女の傍にいたいと思う。

38: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:09:00.73 ID:MQA8kfTl0


きっとこの残酷な時間の中で大人になったのだろうか。
今は、悲しくも切なくもない。


一方通行(こうしてく日常が………)


凄く嬉しくて、愛しい。
だから………


一方通行(ずっと………ヒーローでいてやる。)


ただ一人。
打ち止めだけのヒーローに。


一方通行(テレビみたいなヒーローにはなれねェけど………)


自分に笑顔を向けてくれるから。
だから………


一方通行(ヒーローになってやる。)


打ち止めの小さな手を引く。
その笑顔が嬉しいから。
つまずいたり、転んだりするなら手を差しのべてやろう。


一方通行「行くぞ!打ち止め!」



………Fin,

39: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:10:12.21 ID:MQA8kfTl0
アルエ


ふと通った鉄橋の上。
そこには以前と同じように鉄橋から街を見る美琴の姿があった。
その顔は哀しそうな顔をしている。


上条(なんでそんな顔してんだよ………)


想って上条は美琴に近づく。


上条「何してんだよ。」


美琴は驚きながらも苦笑いをする。
目を拭い、寂しそうな笑顔で。


美琴「何?私は超電磁砲よ?夜遊びくらいで。」


その言葉は自分を強く見せるように喋る。
でも弱くて。
肩が少し震えている気がした。


上条「隣にいるから。」


そんな、強いけど弱い彼女に伝えたくなった。
それでも彼女は強気で、哀しい目をする。


美琴「私は一人で平気よ。」


強気で、笑顔で。
それでいて哀しい目。
その姿がやけに小さくて、愛しくなって。
上条は美琴を抱き締めた。


上条「お前が心に包帯を巻くなら、俺がそれをゆっくりほどいてやるから………寂しい時はさ、大声で泣けよ。そんな寒い所なんか、今すぐ出てこい。」


抱き締めた美琴は細くて、壊れてしまいそうで。
小さく小さく震えていた。

40: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:12:03.39 ID:MQA8kfTl0


その小ささに凄く愛しく感じる。


上条(一緒に夕焼けを見て、一緒に居よう。)


強がっていても、本当はとても寂しいんだから。
抱き締めた腕に力が入る。
美琴の震えが大きくなった気がした。


上条「俺はいつでも傍にいるから。俺がこれからお前の傍にいるから。」


彼女は人より少し不器用なだけだから。
普通の女の子なのだから。
腕の中で震えていた美琴は呟く。


美琴「嬉しい時………どんな風に笑えばいいかわからなくなっちゃったのよ……」


心に巻いた包帯がゆっくりと解けていく。


上条「お前はさ、いつもみたいに………嬉しい時はさ、俺の前で両手を叩いて笑っててくれよ。」


超電磁砲だから。
超能力者だから。


上条「お前は笑っていいんだよ。泣きたくなったら泣いていいんだよ。」


中学二年生なのに。
ただの女の子なのに。

41: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:14:54.76 ID:MQA8kfTl0


美琴「嬉しい時に笑えたら………哀しい時に泣けたら………」


震える肩。
それでも美琴は涙を流さない。
きっとそれが彼女の強さなのだから。


上条「泣いていいんだよ。涙も笑顔もさ………お前が生きてるって証拠だから。」


"ありがと"


今にも消えてしまいそうな声で彼女は呟く。


隣にいるから。
いつまでも傍にいるから。

手を繋いで歩こう。


上条「明日はさ、暖かい日だまりの中で一緒に手を叩いて笑おう。」



………Fin,

42: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:18:06.23 ID:MQA8kfTl0
英雄【上条var,】


美琴が魔術師に狙われていると知って、上条は美琴を狙う魔術師と戦っていた。


上条(カッコつけてるつもりで得意になって………バカだな俺。)


泣かせたくないと思ったインデックスも、守ると誓った美琴も置いてきた。
本当に危険だから。
上条の周りは闇に覆われていた。


上条(今更………アイツが怖くてどうする!ここで足踏みしてるだけじゃ進まねえんだよ!)


守りたい人の為に上条は立ち向かっていく。
ふと以前悩んでいた時に土御門に言われた言葉を思い出す。


土御門『カミやん。男なら誰かの為に強くなれ。歯を食いしばって思いっきり守り抜け。転んでもいいんだ。また立ち上がればいい。』


ただそれだけ出来れば………

43: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:19:38.69 ID:MQA8kfTl0


いつもはやる気のない顔。
美琴は一方通行に尋ねた事があった。


美琴『なんでアンタ達は、そんなに誰かの為に戦えるの?』


一方通行は考えながら答える。


一方通行『甘えつくしの自分が嫌いだから………』

『これはある男からの受け売りだがな………男なら誰かの為に強くなれ。ぶつかり合って精一杯やってみろ。泣いてもいい。また笑えればいい。』


美琴はそれを思い出す。
上条が自分の為に戦っていると知って。
きっと自分が行ったら上条は怒るかもしれない。


美琴「何弱気になってんのよ………私は。」


それでも守りたいから。
守られるだけは嫌だから。


美琴「黙って下向いてちゃ始まらないのよっっ!」


美琴は走る。
守りたい人に向かって。

44: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:20:20.82 ID:MQA8kfTl0


上条は追い詰められていた。


上条(元々自分が巻いた種だろうがよっっ。)


思い出す夏休み最後の日。


『貴方と御坂さんはこれからも狙われ続ける!』


自分の責任だから。
約束したから。


上条(でも………そろそろヤバイか………?)


上条がそんな事を考えた瞬間、自身の後ろから青白い光が通り過ぎ、敵を捕らえる。
それはいつも見ている電撃で。


上条「御坂………?」


振り向くと美琴が電撃を纏いながら近付いてきた。


美琴「守られるだけは嫌よ。女だってね、意地があるのよ。見てるだけじゃ始まらないから!」


これが正しいと、言える勇気があるから。
美琴は上条の為に戦う。

45: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/03(月) 14:21:06.81 ID:MQA8kfTl0


彼女が一緒に戦うと言うなら。


上条「御坂を守る為にいくらでも強くなってやる!」


右手を握る。


上条「歯を食いしばって思いっきり守り抜いてやる!」


相手を見る。


上条「転んでもまた立ち上がってやる!」


大切な人の為に。
自分の為に。


美琴「アンタは私の………」


"英雄だから"


今日もまた彼らは大切な物の為に戦う。



………Fin,

73: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 21:59:06.65 ID:Q66AFWLW0
負けないで


上条の部屋でインデックスと二人、テレビを見る。
ふとした瞬間、視線がぶつかる。


インデックス(今が幸せだから。)


自分を助けた時に、彼は記憶を失ってしまったから覚えてないけど。


インデックス(あの日私は恋をして………)


助けてくれた上条に恋をして。

インデックス(だから、とうまを信じて待つよ。)


負けないで
最後まで走り抜けて


インデックス(きっともうすぐ、離れないといけない時が来るから………)


どんなに離れてても


インデックス(心は傍にいるから………だからとうまは………)


自分の夢を追いかけて。


74: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:00:15.23 ID:Q66AFWLW0


視線が合って、上条は想う。


上条(いつまでこの幸せな時間を過ごせるだろうか………)


自分は覚えていないけど、あの時の事を彼女は覚えているだろう。
いつもの太陽みたいな笑顔で輝いている彼女でいて欲しい。


上条(だから………)


これからどんな辛い事があっても。


上条(負けないで、最後まで走り抜けてくれ。)


いつか離れる時が来るから。
どんなに離れてても。


上条(心は傍にいるから)

75: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:01:13.54 ID:Q66AFWLW0


何がおきたって、きっと平気だから。


インデックス(とうまが落ち込んでも………私がおどけて笑わせてみせるから。)


だから………


インデックス「とうま。インデックスはね、とうまの事が大好きだったんだよ?」


あの時好きになった彼はもういないけど。
今のこの彼も大切だから。


インデックス(傍にいるから。ずっととうまを見つめてるよ………)


離れてても心は傍にいるから。
心は繋がっているから。

76: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:02:29.43 ID:Q66AFWLW0


上条(何がおきたって、へっちゃらな顔してやる。)


彼女の笑顔がみたいから。
どうにかなるさとおどけて見せよう。


上条「俺も………好きだったよ。」


彼女にそう答える。
大切な人に。


上条(離れてても………お前を見てるから)


ゴールはすぐ傍にあるから。
どんなに離れてても心は傍にいるから。


上条「行くか。インデックス。」


インデックス「うん。」



………Fin,

77: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:04:03.47 ID:Q66AFWLW0
Sign


隣にいる彼女に、自分の気持ちは届いているだろうか。
ソファーに座り、打ち止めの頭を撫でる番外個体に。


番外個体「ねぇ第1位。ミサカに何か言う事ないの?」


ニヤニヤと笑う彼女に答える。


一方通行「いつもありがとな。」


彼女にはきっとこの想いは届いているだろう。
"ありがとう"と"ごめんね"が繰り返されてく。


一方通行「このありふれた時間が幸せなンだろゥな。」


目の前にいる彼女達が凄く愛しい。


番外個体「ねぇ一方通行。それはね、愛の仕業だよ。」


小さく悪戯に笑う。
素直じゃない言葉も態度も、彼女からのサインなのだろう。


一方通行「見落とさねェよ。」


もう何一つ見落とさないように。
彼女をよく見ていよう。

78: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:05:14.26 ID:Q66AFWLW0


一方通行は番外個体の隣に座る。
そっと彼女の頬に触れる。


一方通行「たまに酷い言葉で汚し合って………俺は自分に嫌気がさしたりもする。それでも、オマエの優しさは分かってるから」


似てるけど、どこか違う。
だけど、同じ匂いがする。


番外個体「一方通行。ミサカはね、アナタの身体でも心でもなく、ただアナタを愛してるよ。」


僅かだって明かりが灯るなら。


一方通行「この時間を大切にしよう。」


彼女からのサインも。


一方通行「妹達からのサインも、もゥ見逃さねェ。そうやって暮らして行こう。」


木漏れ日が彼女に当たって揺れる。
過ぎた時間が残酷さを語る。

79: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:06:10.15 ID:Q66AFWLW0


少し辛そうな顔の彼を見て番外個体は優しく彼の頬に触れる。


番外個体「ミサカ達にはさ、残された時間があるから………大切にしなきゃ。」


そう言って彼女は優しく笑う。


一方通行(コイツが見せるサインが俺を強くするから………もう何一つ見落とさねェ。そうやって、罪を背負って暮らして行くさ。)


頬を撫でられた手を一方通行は優しく包む。


一方通行「番外個体………」


彼女の名前を呼び、耳元で囁く。


"愛してる"



………Fin,

80: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:07:08.31 ID:Q66AFWLW0
メルト


朝、黒子は目をさます。


黒子(目をさまして最初に思い出すのがあの殿方ですか………)


もう、気付いていた。
自分が尊敬する美琴の想い人に恋してしまった事に。


黒子(気分転換に………前髪でも切ってみましょうか。)


本当は彼に"どうした?"と聞かれたくて。
髪を結ぶリボンも変えてみる。
彼に可愛いと思われたくて。


黒子(わたくしは………バカですの………)


美琴の想いを知っているのに。
どこか期待している。


黒子(好きだなんて………絶対に言えませんわ。)


今では彼と目を合わす事など出来なくて。
彼が好きだから。

81: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:08:22.63 ID:Q66AFWLW0


今日は1日晴れ。

天気予報を見て黒子は散歩に出る。
このまま部屋にいても、落ち着かないから。


上条「白井じゃねーか。」


後ろから好きな人の自分を呼ぶ声が聞こえる。
何気なく隣を歩く彼が好きで。


上条「うわっ!雨かよ………」


いきなり降る雨。
黒子は鞄から折り畳み傘を出す。


黒子「しょうがないから入れて差し上げますわ。」


こんな風にしか言えない自分。
きっと彼も失望しただろう。


上条「しょうがないから入ってやる。」


そう言って悪戯に笑う。
傘に入った二人の距離はあまりにも近くて。
息がつまりそうになる。
右手が触れて震える。


黒子(好き………なんですの………)


82: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:09:18.68 ID:Q66AFWLW0


手を伸ばせば届く距離。


黒子(想いが届いてくれたら………)


上条を想うと涙が出そうになる。


黒子(もう………着いてしまいますのね………)


今は隣にいるのに、近くて遠い彼。
だから………


黒子(手を繋いで歩きたい………もうサヨナラしなくてはいけませんの?………抱き締めて………)


彼に言えない言葉を心の中で呟く。


黒子(なんて………言える訳ありませんの………)


………Fin,

83: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:10:55.40 ID:Q66AFWLW0
石鹸屋


上条(俺は………)


自分の足元を見る。
自分を、他人を欺いていた嘘を。


上条(自分が慣れていけば………)


言葉は消える。
それでも………


上条(体に流れている物は………何一つ消えない。)


右手を見る。
以前の自分はどうだったのだろうか。
叫びたいけど叫べない。


上条(いつからこうなった?)


崩れた物の形を思い出せない。


上条(どこからこうなった?)


壊れた物を探す自分。


84: ◆kYKkc6oKWQ 2013/06/25(火) 22:11:49.58 ID:Q66AFWLW0


上条(いつか誰かが………この世界を変えてくれると思ってんのか?)


自分が歩いてきた道を。
たどり着く先を。


上条(んな訳ねぇだろぅが!)


拳を握る。


上条(自分が歩いてきた道だから………)


握った拳から血が出る。
僅かな痛みをもちながら、上条は立ち上がる。


上条(その叫びを聞くから。)


誰かが叫んだら助けに行こう。


上条(この体、この声、全てを使って。)


それがただ一つの歌になるから。
いつか消えて無くなっても。
いつか泡となっても。
いつか弾け消えても。


上条(きっと、後悔なんてしないから。)


自分がやった事はきっと、残るから。




Fin,