1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:22:02.80 ID:j8jZsqvvo
【夜中 部室】
くるみ「ただいま、りーさん。見回り終わったぜ」ガラッ
りーさん「あら、ご苦労様」
くるみ「それにしても、やっぱり夜はちょっと冷えるな。今はまだいいけど、冬になったらきついかもしれない。暖房もろくに取れないだろうし」
りーさん「そうね……。電気ストーブだと電力をかなり使うでしょうし……。普通のストーブだと灯油の補給が問題になってくるでしょうし……」
くるみ「まあ、色々と着込めばどうにかなるだろうけど。そう考えると、真夏よりはよっぽどマシかもしれないな」
りーさん「そうかもね」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440170522
くるみ「ただいま、りーさん。見回り終わったぜ」ガラッ
りーさん「あら、ご苦労様」
くるみ「それにしても、やっぱり夜はちょっと冷えるな。今はまだいいけど、冬になったらきついかもしれない。暖房もろくに取れないだろうし」
りーさん「そうね……。電気ストーブだと電力をかなり使うでしょうし……。普通のストーブだと灯油の補給が問題になってくるでしょうし……」
くるみ「まあ、色々と着込めばどうにかなるだろうけど。そう考えると、真夏よりはよっぽどマシかもしれないな」
りーさん「そうかもね」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:24:08.13 ID:j8jZsqvvo
くるみ「ところで、ゆきは? あいつ、もう寝たのか?」
りーさん「ええ、勉強で疲れたのか、ぐっすりと。よく眠ってるわ」
くるみ「そっか。それならいいけど」
りーさん「そうね……」
くるみ「……?」
りーさん「ええ、勉強で疲れたのか、ぐっすりと。よく眠ってるわ」
くるみ「そっか。それならいいけど」
りーさん「そうね……」
くるみ「……?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:26:14.67 ID:j8jZsqvvo
くるみ「どうしたんだ、りーさん。なんか急に暗い顔になって」
りーさん「ねぇ、くるみ。ちょっと真面目に聞いて欲しい話があるんだけど、いい?」
くるみ「ああ……。いいけど」
りーさん「ゆきちゃんの事なの」
くるみ「……どうかしたのか?」
りーさん「この前、ゆきちゃんがめぐねぇの事で危ない状態だったのは、くるみも見たでしょ?」
くるみ「ああ……。あれはちょっとまずかったな。幸い、すぐ立ち直ったみたいだけどさ……」
りーさん「うん……」
りーさん「ねぇ、くるみ。ちょっと真面目に聞いて欲しい話があるんだけど、いい?」
くるみ「ああ……。いいけど」
りーさん「ゆきちゃんの事なの」
くるみ「……どうかしたのか?」
りーさん「この前、ゆきちゃんがめぐねぇの事で危ない状態だったのは、くるみも見たでしょ?」
くるみ「ああ……。あれはちょっとまずかったな。幸い、すぐ立ち直ったみたいだけどさ……」
りーさん「うん……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:28:23.95 ID:j8jZsqvvo
りーさん「あの時ね、私、思ったのよ。ゆきちゃん……本当は現実と向き直ろうとしてるんじゃないかって」
くるみ「…………」
りーさん「だけど、そう簡単に現実を受け止める事は出来ないわ。私でさえ、毎日、今の生活が夢だったらって思ってるもの……。本当はゾンビなんか発生してないし、皆もめぐねぇも生きてるんじゃないかって、そう願ってる」
くるみ「……私もだよ、そんなの」
りーさん「でも、もちろんそうじゃないってのも、頭の中ではわかってる。だけど、それでもまだ現実味っていうか、そういうのがどこかふわふわとしていて……」
くるみ「……正直、私たちはゆきを見る事で、現実逃避してるようなものだからな。……実際のところ、ゆきも私たちも何も変わらないかもしれないし……」
りーさん「……そうよね。やっぱり……そうなのよね」
くるみ「…………」
りーさん「だけど、そう簡単に現実を受け止める事は出来ないわ。私でさえ、毎日、今の生活が夢だったらって思ってるもの……。本当はゾンビなんか発生してないし、皆もめぐねぇも生きてるんじゃないかって、そう願ってる」
くるみ「……私もだよ、そんなの」
りーさん「でも、もちろんそうじゃないってのも、頭の中ではわかってる。だけど、それでもまだ現実味っていうか、そういうのがどこかふわふわとしていて……」
くるみ「……正直、私たちはゆきを見る事で、現実逃避してるようなものだからな。……実際のところ、ゆきも私たちも何も変わらないかもしれないし……」
りーさん「……そうよね。やっぱり……そうなのよね」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:31:35.41 ID:j8jZsqvvo
りーさん「……だからね、くるみ」
くるみ「うん……」
りーさん「私たちもそろそろ、きちんと向き直るべきじゃないかって思うの。ううん、そう考え直したって方が正しいと思う」
くるみ「…………」
りーさん「ゆきちゃんもそうだけど、私たちも。これまで色々と沢山の人が亡くなった。大事な人が沢山……もちろんめぐねぇも……」
くるみ「…………」
りーさん「すぐにその現実全部を受け止めてほしいなんて言わないわ。だけど、少しずつそれを変えていくべきなんじゃないかって……」
くるみ「かもな……」
くるみ「うん……」
りーさん「私たちもそろそろ、きちんと向き直るべきじゃないかって思うの。ううん、そう考え直したって方が正しいと思う」
くるみ「…………」
りーさん「ゆきちゃんもそうだけど、私たちも。これまで色々と沢山の人が亡くなった。大事な人が沢山……もちろんめぐねぇも……」
くるみ「…………」
りーさん「すぐにその現実全部を受け止めてほしいなんて言わないわ。だけど、少しずつそれを変えていくべきなんじゃないかって……」
くるみ「かもな……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:33:43.99 ID:j8jZsqvvo
りーさん「……だから、くるみ。一つ相談があるんだけど」
くるみ「……なんだ?」
りーさん「めぐねぇのお葬式を……もう一度やりたいの」
くるみ「いや、だけど……。それは今のゆきにとって流石にまずいんじゃないか。めぐねぇがいる事で、ゆきはどうにか精神を安定させてるみたいなところがあるし……」
りーさん「うん……。それはわかってる。だから、ゆきちゃんにはお葬式とは言わないわ。別の言い方をするつもり」
くるみ「……なんだ?」
りーさん「めぐねぇのお葬式を……もう一度やりたいの」
くるみ「いや、だけど……。それは今のゆきにとって流石にまずいんじゃないか。めぐねぇがいる事で、ゆきはどうにか精神を安定させてるみたいなところがあるし……」
りーさん「うん……。それはわかってる。だから、ゆきちゃんにはお葬式とは言わないわ。別の言い方をするつもり」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:37:34.69 ID:j8jZsqvvo
くるみ「りーさん……。別の言い方って?」
りーさん「……私たちだって、正しいお祈りの仕方を知ってる訳じゃないし、お経を覚えてる訳でもないわ。元からちゃんとしたお葬式になる訳じゃないもの。でも、めぐねぇを悼む気持ちが伝われば、めぐねぇはそれで満足してくれると思うの」
くるみ「めぐねぇを想う気持ちって事、か……」
りーさん「うん。感謝の気持ちとか、偲ぶ気持ち。そういうもの。亡くなった時は、哀しみの気持ちの方が大きかったから、今度は感謝をしたい。めぐねぇは私たちを救ってくれたんだから」
くるみ「そうだな……」
りーさん「……私たちだって、正しいお祈りの仕方を知ってる訳じゃないし、お経を覚えてる訳でもないわ。元からちゃんとしたお葬式になる訳じゃないもの。でも、めぐねぇを悼む気持ちが伝われば、めぐねぇはそれで満足してくれると思うの」
くるみ「めぐねぇを想う気持ちって事、か……」
りーさん「うん。感謝の気持ちとか、偲ぶ気持ち。そういうもの。亡くなった時は、哀しみの気持ちの方が大きかったから、今度は感謝をしたい。めぐねぇは私たちを救ってくれたんだから」
くるみ「そうだな……」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:43:43.30 ID:j8jZsqvvo
りーさん「……歌を、歌おうかなって。めぐねぇのお墓の前で」
くるみ「……歌?」
りーさん「うん。私たちは元気でやってるって。私たちはめぐねぇに感謝してるって。そういう事を伝える為のレクイエム。……別れの歌」
くるみ「でも、歌って……。私、レクイエムなんて知らないぞ。CDプレイヤーも、この前ゆきが壊しちゃったし、CD自体あるかどうか」
りーさん「別に、本格的なクラシックのレクイエムじゃなくていいわ。どんな歌でも、気持ちが伝わればそれでいいと思うの。知ってる歌をアカペラで歌えばそれで……」
くるみ「アカペラか……」
りーさん「うん。それならゆきちゃんにもカラオケとか歌の練習とか言えるし」
くるみ「……そうだな」
くるみ「……歌?」
りーさん「うん。私たちは元気でやってるって。私たちはめぐねぇに感謝してるって。そういう事を伝える為のレクイエム。……別れの歌」
くるみ「でも、歌って……。私、レクイエムなんて知らないぞ。CDプレイヤーも、この前ゆきが壊しちゃったし、CD自体あるかどうか」
りーさん「別に、本格的なクラシックのレクイエムじゃなくていいわ。どんな歌でも、気持ちが伝わればそれでいいと思うの。知ってる歌をアカペラで歌えばそれで……」
くるみ「アカペラか……」
りーさん「うん。それならゆきちゃんにもカラオケとか歌の練習とか言えるし」
くるみ「……そうだな」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:46:56.96 ID:j8jZsqvvo
くるみ「……わかった。正直、私も色々と気持ちの整理がつけたいし、めぐねぇには感謝してるから。葬式とかそういうの関係なく、めぐねぇには歌を届けたい」
りーさん「ありがとう、くるみ……。それなら早速明日みきさんにも伝えて、それでオーケーがもらえるなら、ゆきちゃんにも伝えるわ」
くるみ「みーくんは多分賛成してくれると思うぞ。ゆきの今の状態を一番不安に思ってるところがあるし」
りーさん「そうね。それに、みきさんはめぐねぇの事を知らないから。ただ、参加してもらうだけって形になると思う」
くるみ「わかった。じゃあ、やるって予定で私は歌を考えとく。何を歌えば、めぐねぇに気持ちが届くのか、それを考えとく」
りーさん「……そうね。それに、くるみの場合は、届けたい人が他にも、もう一人いるでしょうし……」
くるみ「……うん。……もう一人の為にも」
りーさん「ありがとう、くるみ……。それなら早速明日みきさんにも伝えて、それでオーケーがもらえるなら、ゆきちゃんにも伝えるわ」
くるみ「みーくんは多分賛成してくれると思うぞ。ゆきの今の状態を一番不安に思ってるところがあるし」
りーさん「そうね。それに、みきさんはめぐねぇの事を知らないから。ただ、参加してもらうだけって形になると思う」
くるみ「わかった。じゃあ、やるって予定で私は歌を考えとく。何を歌えば、めぐねぇに気持ちが届くのか、それを考えとく」
りーさん「……そうね。それに、くるみの場合は、届けたい人が他にも、もう一人いるでしょうし……」
くるみ「……うん。……もう一人の為にも」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 00:50:29.71 ID:j8jZsqvvo
【翌日】
ゆき「え? 屋上でカラオケ?」
りーさん「ええ、そうよ。昨日、くるみと話してそう決めたの。みきさんも賛成してくれてるわ」
ゆき「いいね、それ! 何だか楽しそうだよ。音楽室で歌うのとはまた違った雰囲気になりそうだし」
りーさん「じゃあ、ゆきちゃんも参加でいいかしら? 伴奏なしのアカペラになっちゃうんだけど」
ゆき「うん、いいよ、それでも。私、歌うの好きだし」
くるみ「よし、決まりだな。じゃあ、やるのは今日の授業後でいいか、ゆき?」
ゆき「うん、大丈夫。何だか今からちょっとワクワクするね、みーくん」
みーくん「……そうですね」
りーさん「それじゃ、今日の夕方はカラオケを屋上でやるわよ。忘れないでね、ゆきちゃん」
ゆき「うん!」
ゆき「え? 屋上でカラオケ?」
りーさん「ええ、そうよ。昨日、くるみと話してそう決めたの。みきさんも賛成してくれてるわ」
ゆき「いいね、それ! 何だか楽しそうだよ。音楽室で歌うのとはまた違った雰囲気になりそうだし」
りーさん「じゃあ、ゆきちゃんも参加でいいかしら? 伴奏なしのアカペラになっちゃうんだけど」
ゆき「うん、いいよ、それでも。私、歌うの好きだし」
くるみ「よし、決まりだな。じゃあ、やるのは今日の授業後でいいか、ゆき?」
ゆき「うん、大丈夫。何だか今からちょっとワクワクするね、みーくん」
みーくん「……そうですね」
りーさん「それじゃ、今日の夕方はカラオケを屋上でやるわよ。忘れないでね、ゆきちゃん」
ゆき「うん!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:06:51.24 ID:j8jZsqvvo
【夕方 屋上】
ゆき「んー! 風が気持ちがいいね、みーくん」
みーくん「はい。今日は涼しくて良かったです」
くるみ「じゃあまあ、早速始めようか。ゆき、屋上ならどんなに大声でも歌っても平気だからな。遠慮するなよ」
ゆき「そうだね。うーん……何を歌おう」
みーくん「あれ? 決めてなかったんですか、ゆき先輩」
ゆき「あ、うん。なんか色々と悩んじゃってね」
みーくん「……そうですか」
ゆき「うん。どうしよう」
ゆき「んー! 風が気持ちがいいね、みーくん」
みーくん「はい。今日は涼しくて良かったです」
くるみ「じゃあまあ、早速始めようか。ゆき、屋上ならどんなに大声でも歌っても平気だからな。遠慮するなよ」
ゆき「そうだね。うーん……何を歌おう」
みーくん「あれ? 決めてなかったんですか、ゆき先輩」
ゆき「あ、うん。なんか色々と悩んじゃってね」
みーくん「……そうですか」
ゆき「うん。どうしよう」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:08:56.53 ID:j8jZsqvvo
ゆき「そういえば、今気づいたけど、めぐねぇもいたんだ?」
くるみ「……!」
りーさん「……!」
めぐねぇ「いたんだ、なんて……。ゆきさん、ひどいわ。私、さっきからずっといたのに……」
ゆき「あ、ごめん、めぐねぇ。そういうつもりじゃなかったの。めぐねぇは影が薄くなんかないよ。私が気が付かなかっただけ」
めぐねぇ「それ、本当に……? 私、存在感ある?」
ゆき「うん。本当の本当。大丈夫だってば。めぐねぇはちゃんと存在感あるよ。安心して」
みーくん「……ゆき先輩」
くるみ「……!」
りーさん「……!」
めぐねぇ「いたんだ、なんて……。ゆきさん、ひどいわ。私、さっきからずっといたのに……」
ゆき「あ、ごめん、めぐねぇ。そういうつもりじゃなかったの。めぐねぇは影が薄くなんかないよ。私が気が付かなかっただけ」
めぐねぇ「それ、本当に……? 私、存在感ある?」
ゆき「うん。本当の本当。大丈夫だってば。めぐねぇはちゃんと存在感あるよ。安心して」
みーくん「……ゆき先輩」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:10:59.50 ID:j8jZsqvvo
ゆき「でも、めぐねぇがここにいるって事は、めぐねぇも何か歌うんだよね? なに歌うの?」
めぐねぇ「え? あ、ううん……。私はただ見学しに来ただけだから……。歌はちょっと……」
ゆき「めぐねぇ、ひょっとして恥ずかしいの?」
めぐねぇ「違うわ。そういうのじゃなくて……。ほら、私、先生だし。生徒に混じって歌を歌うのは、ね?」
ゆき「別にそんなの気にしなくてもいいのに。ねぇ、めぐねぇも何か歌おうよ。ね?」
めぐねぇ「そう言われても……。困ったわね……」
くるみ「……めぐねぇ、いるのか」ボソッ
りーさん「……ええ。そうみたいね」ボソッ
みーくん「…………」
めぐねぇ「え? あ、ううん……。私はただ見学しに来ただけだから……。歌はちょっと……」
ゆき「めぐねぇ、ひょっとして恥ずかしいの?」
めぐねぇ「違うわ。そういうのじゃなくて……。ほら、私、先生だし。生徒に混じって歌を歌うのは、ね?」
ゆき「別にそんなの気にしなくてもいいのに。ねぇ、めぐねぇも何か歌おうよ。ね?」
めぐねぇ「そう言われても……。困ったわね……」
くるみ「……めぐねぇ、いるのか」ボソッ
りーさん「……ええ。そうみたいね」ボソッ
みーくん「…………」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:13:04.66 ID:j8jZsqvvo
りーさん「ゆきちゃん……。めぐねぇも困ってるみたいだし、一旦それは置いときましょう」
ゆき「んー……。残念だなあ、私、めぐねぇの歌、聞きたかったのに」
めぐねぇ「あまり無茶を言わないで。ね?」
ゆき「はーい……」
りーさん「それじゃあ、始めましょうか。まずは誰から歌う?」
くるみ「ゆきはまだ何を歌うか決まってないんだよな? じゃあ、後回しにして……」
みーくん「あの……私から歌います」
りーさん「そう? じゃあ、お願いね」
みーくん「はい」
ゆき「んー……。残念だなあ、私、めぐねぇの歌、聞きたかったのに」
めぐねぇ「あまり無茶を言わないで。ね?」
ゆき「はーい……」
りーさん「それじゃあ、始めましょうか。まずは誰から歌う?」
くるみ「ゆきはまだ何を歌うか決まってないんだよな? じゃあ、後回しにして……」
みーくん「あの……私から歌います」
りーさん「そう? じゃあ、お願いね」
みーくん「はい」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:15:11.73 ID:j8jZsqvvo
ゆき「トップバッターはみーくんからかー。ねぇねぇ、みーくん。なに歌うの?」
みーくん「色々と悩んだんですけど……」
ゆき「うん。やっぱり洋楽とか?」
みーくん「いえ……。知ってる人、いるかどうかわかりませんけど、ダ・カーポの『野に咲く花のように』を歌う事に決めました」
ゆき「……ダ・カーポ?」
みーくん「もう何年も前の歌です。子供の頃にお母さんが歌っていて、それで覚えました」
ゆき「ふーん……。そうなんだあ」
くるみ「じゃ、拍手ー」
ゆき「うん」パチパチ
りーさん「ええ」パチパチ
みーくん「……そういうの、なんか照れます//」
みーくん「色々と悩んだんですけど……」
ゆき「うん。やっぱり洋楽とか?」
みーくん「いえ……。知ってる人、いるかどうかわかりませんけど、ダ・カーポの『野に咲く花のように』を歌う事に決めました」
ゆき「……ダ・カーポ?」
みーくん「もう何年も前の歌です。子供の頃にお母さんが歌っていて、それで覚えました」
ゆき「ふーん……。そうなんだあ」
くるみ「じゃ、拍手ー」
ゆき「うん」パチパチ
りーさん「ええ」パチパチ
みーくん「……そういうの、なんか照れます//」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:17:14.76 ID:j8jZsqvvo
みーくん(……ゆうり先輩が言うには、このカラオケはめぐねぇに届ける別れの歌だって言ってたけど)
みーくん(私はその肝心のめぐねぇに会った事もないし、見た事もない)
みーくん(だから、そんな私がめぐねぇの死を悼むような歌を歌っても、多分、何の意味もない。感情がこもってないんだから)
みーくん(そんな歌を歌う事自体、めぐねぇにも失礼な気がする……)
みーくん(だから、私はみんなから聞いた、めぐねぇのイメージを思ってこの曲を選んだ)
みーくん(これが……私からめぐねぇに捧げるレクイエムです)
みーくん「野に咲く、花のように♪」
みーくん(私はその肝心のめぐねぇに会った事もないし、見た事もない)
みーくん(だから、そんな私がめぐねぇの死を悼むような歌を歌っても、多分、何の意味もない。感情がこもってないんだから)
みーくん(そんな歌を歌う事自体、めぐねぇにも失礼な気がする……)
みーくん(だから、私はみんなから聞いた、めぐねぇのイメージを思ってこの曲を選んだ)
みーくん(これが……私からめぐねぇに捧げるレクイエムです)
みーくん「野に咲く、花のように♪」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:20:22.73 ID:j8jZsqvvo
ゆき「…………」
くるみ「そんな時こそ野の花の……」
りーさん「健気な心を知るのです、ね……」
ゆき「…………」
くるみ「……いい歌だな」
りーさん「……ええ。本当に」
くるみ「そんな時こそ野の花の……」
りーさん「健気な心を知るのです、ね……」
ゆき「…………」
くるみ「……いい歌だな」
りーさん「……ええ。本当に」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:22:26.46 ID:j8jZsqvvo
みーくん「……以上です。ありがとうございました」
くるみ「うん」
りーさん「ええ」
ゆき「…………」
みーくん「……ゆき先輩は、どうでした?」
ゆき「え、あ、うん……。なんか……」
みーくん「……なんか?」
ゆき「なんか……聞いてて涙が出そうになった……。何でだろ」
みーくん「……何ででしょうね」
ゆき「うん……」
くるみ「うん」
りーさん「ええ」
ゆき「…………」
みーくん「……ゆき先輩は、どうでした?」
ゆき「え、あ、うん……。なんか……」
みーくん「……なんか?」
ゆき「なんか……聞いてて涙が出そうになった……。何でだろ」
みーくん「……何ででしょうね」
ゆき「うん……」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:24:19.87 ID:j8jZsqvvo
りーさん「……次は、誰が歌う?」
くるみ「私は……今は後がいい。りーさん、先に歌ってくれるか」
りーさん「そう……。それじゃ、次は私ね」
みーくん「ゆうり先輩は、何を歌うんですか?」
りーさん「ロードオブメジャーの『親愛なるあなたへ』よ」
みーくん「ああ……。聞いた事があります」
くるみ「そっか……。りーさん、それか……」
りーさん「うん」
りーさん「めぐねぇ……。聞いててね」ボソッ
りーさん「それは夏の終わりの、事でした♪」
くるみ「私は……今は後がいい。りーさん、先に歌ってくれるか」
りーさん「そう……。それじゃ、次は私ね」
みーくん「ゆうり先輩は、何を歌うんですか?」
りーさん「ロードオブメジャーの『親愛なるあなたへ』よ」
みーくん「ああ……。聞いた事があります」
くるみ「そっか……。りーさん、それか……」
りーさん「うん」
りーさん「めぐねぇ……。聞いててね」ボソッ
りーさん「それは夏の終わりの、事でした♪」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:26:26.01 ID:j8jZsqvvo
ゆき「…………」
くるみ「あの日流れた、あの涙を……」
みーくん「…………」
くるみ「すべてをかけて、守ってくれた……」
ゆき「ぅ……」
みーくん「……ゆき先輩? 泣いてるんですか?」
ゆき「ぅぅ……」
くるみ「ぅっ……」
くるみ「あの日流れた、あの涙を……」
みーくん「…………」
くるみ「すべてをかけて、守ってくれた……」
ゆき「ぅ……」
みーくん「……ゆき先輩? 泣いてるんですか?」
ゆき「ぅぅ……」
くるみ「ぅっ……」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:28:28.68 ID:j8jZsqvvo
りーさん「……これでおしまいよ。私の歌は終わり」
ゆき「りーさん……。りーさん……」
りーさん「……どうしたの、ゆきちゃん。急に抱きついてきて……」
ゆき「わかんない……。わかんないけど、すごく悲しくて……。さっきから涙が止まらなくて……」
りーさん「……うん。私も……なんか泣きそうになってる」
ゆき「りーさん……。りーさん……」
くるみ「ぅ……」
みーくん「くるみ先輩もですか……」
くるみ「だって……。だって……」
ゆき「りーさん……。りーさん……」
りーさん「……どうしたの、ゆきちゃん。急に抱きついてきて……」
ゆき「わかんない……。わかんないけど、すごく悲しくて……。さっきから涙が止まらなくて……」
りーさん「……うん。私も……なんか泣きそうになってる」
ゆき「りーさん……。りーさん……」
くるみ「ぅ……」
みーくん「くるみ先輩もですか……」
くるみ「だって……。だって……」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:30:32.36 ID:j8jZsqvvo
りーさん「よしよし……。ゆきちゃん、大丈夫よ」
ゆき「うん……。うん……」
くるみ「次は……私が歌う……」
みーくん「くるみ先輩、その前に……これ。ハンカチ……」
くるみ「ありがとう……」ゴシゴシ
りーさん「くるみは……結局、何を歌う事にしたの?」
くるみ「私は……flumpoolの『残像』にした」
りーさん「……そっか」
くるみ「うん……」
くるみ(めぐねぇ……それに先輩……。二人に届くといいけど……)
くるみ「風に吹かれ、なびく髪……♪」
ゆき「うん……。うん……」
くるみ「次は……私が歌う……」
みーくん「くるみ先輩、その前に……これ。ハンカチ……」
くるみ「ありがとう……」ゴシゴシ
りーさん「くるみは……結局、何を歌う事にしたの?」
くるみ「私は……flumpoolの『残像』にした」
りーさん「……そっか」
くるみ「うん……」
くるみ(めぐねぇ……それに先輩……。二人に届くといいけど……)
くるみ「風に吹かれ、なびく髪……♪」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:33:08.48 ID:j8jZsqvvo
ゆき「えぐっ……。うぁぁ……」
りーさん「うん。……大丈夫。泣かなくても……大丈夫……だから」
みーくん「……笑ってた、君だけ消して」
ゆき「ぃぁぐ……うっ、うっ……」
りーさん「ゆきちゃん……。ぅ……」
みーくん「……色褪せるように、心は出来てなくても」
ゆき「何で……何でこんなに悲しくなるの……。ねぇ、りーさん、何で……」
りーさん「それは……ゆきちゃんにしかわからない事よ……。自分で気がつかなきゃ駄目な事なの……」
りーさん「うん。……大丈夫。泣かなくても……大丈夫……だから」
みーくん「……笑ってた、君だけ消して」
ゆき「ぃぁぐ……うっ、うっ……」
りーさん「ゆきちゃん……。ぅ……」
みーくん「……色褪せるように、心は出来てなくても」
ゆき「何で……何でこんなに悲しくなるの……。ねぇ、りーさん、何で……」
りーさん「それは……ゆきちゃんにしかわからない事よ……。自分で気がつかなきゃ駄目な事なの……」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:35:12.64 ID:j8jZsqvvo
くるみ「ぅっ……。お、終わったぞ。私の歌は……これで終わり……」
みーくん「……はい。先輩、ハンカチどうぞ……」
くるみ「うん……。ありがと……」
りーさん「最後よ、ゆきちゃん……。歌える……?」
ゆき「無理……。無理だよ……。息が詰まって……苦しくて……。歌えないよ……りーさん……」
りーさん「うん……」
めぐねぇ「…………」
みーくん「……はい。先輩、ハンカチどうぞ……」
くるみ「うん……。ありがと……」
りーさん「最後よ、ゆきちゃん……。歌える……?」
ゆき「無理……。無理だよ……。息が詰まって……苦しくて……。歌えないよ……りーさん……」
りーさん「うん……」
めぐねぇ「…………」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:37:16.63 ID:j8jZsqvvo
めぐねぇ「ねぇ……ゆきさん」
ゆき「ぅっ……。な、なに……。めぐねぇ……?」
めぐねぇ「私も一曲だけ、歌わせて」
ゆき「めぐねぇが……?」
めぐねぇ「うん……。一曲だけ」
ゆき「……めぐねぇ、歌うの?」
めぐねぇ「歌いたくなったの、だから……」
くるみ「……ゆき。めぐねぇも歌うのか?」
ゆき「うん……。歌いたいって……」
りーさん「……何を、歌うんですか?」
めぐねぇ「聞けば、わかるわ……。聞けば」
めぐねぇ「みんなの気持ちが伝わってくるから……。この歌を……」
めぐねぇ「私のお墓の前で、泣かないで下さい……♪」
ゆき「ぅっ……。な、なに……。めぐねぇ……?」
めぐねぇ「私も一曲だけ、歌わせて」
ゆき「めぐねぇが……?」
めぐねぇ「うん……。一曲だけ」
ゆき「……めぐねぇ、歌うの?」
めぐねぇ「歌いたくなったの、だから……」
くるみ「……ゆき。めぐねぇも歌うのか?」
ゆき「うん……。歌いたいって……」
りーさん「……何を、歌うんですか?」
めぐねぇ「聞けば、わかるわ……。聞けば」
めぐねぇ「みんなの気持ちが伝わってくるから……。この歌を……」
めぐねぇ「私のお墓の前で、泣かないで下さい……♪」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:39:21.44 ID:j8jZsqvvo
ゆき「これ……。『千の風になって』……」
くるみ「……!」
りーさん「……!」
ゆき「朝は鳥になって……あなたを目覚めさせる……」
ゆき「夜は星になって……あなたを見守る……」
くるみ「ぅっ……」
りーさん「っ……」
くるみ「……!」
りーさん「……!」
ゆき「朝は鳥になって……あなたを目覚めさせる……」
ゆき「夜は星になって……あなたを見守る……」
くるみ「ぅっ……」
りーさん「っ……」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:41:24.56 ID:j8jZsqvvo
めぐねぇ「……これでおしまい。少し恥ずかしいわね、こういうの……」
ゆき「……ううん。恥ずかしいとか……そういうのじゃなくて……」
めぐねぇ「なくて?」
ゆき「なんか……また涙が……」
めぐねぇ「泣かないで。ゆきさん。私は満足してるから」
ゆき「わからない……。めぐねぇの言ってる事がわかんないのに……。さっきから、すごく悲しくて、辛くて、でも……温かくて……」
めぐねぇ「いいのよ、それで……。今はそれでいいの。少しずつわかっていけばいいんだから……」
ゆき「……ううん。恥ずかしいとか……そういうのじゃなくて……」
めぐねぇ「なくて?」
ゆき「なんか……また涙が……」
めぐねぇ「泣かないで。ゆきさん。私は満足してるから」
ゆき「わからない……。めぐねぇの言ってる事がわかんないのに……。さっきから、すごく悲しくて、辛くて、でも……温かくて……」
めぐねぇ「いいのよ、それで……。今はそれでいいの。少しずつわかっていけばいいんだから……」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:43:28.66 ID:j8jZsqvvo
くるみ「……なあ、りーさん」
りーさん「なに……?」
くるみ「ゆきが見えてるのって……ゆきのイメージなんだよな……」
りーさん「……うん。だけど……」
くるみ「私も……多分、同じこと考えてる。死んだめぐねぇが、めぐねぇの幽霊が今ここに来てて、ゆきだけがそれを見えてるんじゃないかって……」
りーさん「……だとしたら、いいなっていう、それは私たちの妄想よ。それはわかってるけど……でも……」
くるみ「信じたいよな……。めぐねぇは本当に今ここに来てるんだってさ……。でないと……」
りーさん「くるみまで泣かないで……。私まで泣きたくなるから……」
くるみ「ごめん。ごめん。だけど……」
みーくん「来てますよ、きっと……。めぐねぇはここに来て、見てます、多分……。こんなに皆から慕われてるんですから……。こんなに皆から好かれてるんですから……」
りーさん「ぅっ……」
くるみ「っ……」
りーさん「なに……?」
くるみ「ゆきが見えてるのって……ゆきのイメージなんだよな……」
りーさん「……うん。だけど……」
くるみ「私も……多分、同じこと考えてる。死んだめぐねぇが、めぐねぇの幽霊が今ここに来てて、ゆきだけがそれを見えてるんじゃないかって……」
りーさん「……だとしたら、いいなっていう、それは私たちの妄想よ。それはわかってるけど……でも……」
くるみ「信じたいよな……。めぐねぇは本当に今ここに来てるんだってさ……。でないと……」
りーさん「くるみまで泣かないで……。私まで泣きたくなるから……」
くるみ「ごめん。ごめん。だけど……」
みーくん「来てますよ、きっと……。めぐねぇはここに来て、見てます、多分……。こんなに皆から慕われてるんですから……。こんなに皆から好かれてるんですから……」
りーさん「ぅっ……」
くるみ「っ……」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:45:31.78 ID:j8jZsqvvo
めぐねぇ「ねぇ、ゆきさん」
ゆき「なあに、めぐねぇ……」
めぐねぇ「ゆきさん、まだ歌ってないでしょ。何を歌うか、私からリクエストしていい?」
ゆき「うん……。いいよ、めぐねぇ……」
めぐねぇ「じゃあ、『アンパンマンのマーチ』をお願い」
ゆき「めぐねぇ……。私、そんなに子供っぽい……?」
めぐねぇ「ううん。そうじゃないの。ただ、私があの曲を好きだから。それだけよ。お願いしていい?」
ゆき「……めぐねぇが、そう言うなら。……私、歌うよ」
めぐねぇ「うん。元気よくね」
ゆき「じゃあ……」
ゆき「そうだ、嬉しいんだ。生きるよろこび……♪」
ゆき「なあに、めぐねぇ……」
めぐねぇ「ゆきさん、まだ歌ってないでしょ。何を歌うか、私からリクエストしていい?」
ゆき「うん……。いいよ、めぐねぇ……」
めぐねぇ「じゃあ、『アンパンマンのマーチ』をお願い」
ゆき「めぐねぇ……。私、そんなに子供っぽい……?」
めぐねぇ「ううん。そうじゃないの。ただ、私があの曲を好きだから。それだけよ。お願いしていい?」
ゆき「……めぐねぇが、そう言うなら。……私、歌うよ」
めぐねぇ「うん。元気よくね」
ゆき「じゃあ……」
ゆき「そうだ、嬉しいんだ。生きるよろこび……♪」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:47:34.19 ID:j8jZsqvvo
みーくん「これ……アンパンマンの……」
くるみ「でも、こんな歌だったんだ……」
りーさん「……生きる喜び」
みーくん「……はい」
くるみ「辛くても……生きている方が幸せだって事なのかな」
りーさん「だから、精一杯生きてって……そう言われてる気もするわね」
みーくん「……そうですね。……そうなのかも」
くるみ「でも、こんな歌だったんだ……」
りーさん「……生きる喜び」
みーくん「……はい」
くるみ「辛くても……生きている方が幸せだって事なのかな」
りーさん「だから、精一杯生きてって……そう言われてる気もするわね」
みーくん「……そうですね。……そうなのかも」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:49:39.23 ID:j8jZsqvvo
ゆき「……終わったよ、めぐねぇ。終わりまで歌ったよ」
めぐねぇ「……うん」
ゆき「ねぇ……めぐねぇ……。何で……。何でさっきから少し影が薄くなってるの? 何で……?」
めぐねぇ「……ゆきさん。出会いがあれば、必ず別れも来るの。それは寂しいけど、仕方がない事なの」
ゆき「ねぇ、おかしいよ……! なに言ってるの、めぐねぇ! 何でそんな事を言うの……!」
めぐねぇ「でもね。出会わないよりは、出会って別れた方がずっといいの。私と出会って、仲良くなって、それで色々と楽しい思い出も出来たわよね」
ゆき「聞きたくない! やめて、めぐねぇ! やめてっ!」
めぐねぇ「……うん」
ゆき「ねぇ……めぐねぇ……。何で……。何でさっきから少し影が薄くなってるの? 何で……?」
めぐねぇ「……ゆきさん。出会いがあれば、必ず別れも来るの。それは寂しいけど、仕方がない事なの」
ゆき「ねぇ、おかしいよ……! なに言ってるの、めぐねぇ! 何でそんな事を言うの……!」
めぐねぇ「でもね。出会わないよりは、出会って別れた方がずっといいの。私と出会って、仲良くなって、それで色々と楽しい思い出も出来たわよね」
ゆき「聞きたくない! やめて、めぐねぇ! やめてっ!」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:51:41.67 ID:j8jZsqvvo
めぐねぇ「私はゆきさんと出会って良かったと思ってる。別れは辛くて苦しいけど、でも、出会わないよりはずっといい。ほんの少しの間だけど、私は幸せだった。それだけで十分」
ゆき「めぐねぇ……! めぐねぇ、やめて……! 変な事言い出さないで……! でないと、どんどん影が薄くなって……!」
めぐねぇ「私はいつでもあなたの側にいるからね」
ゆき「めぐねぇ……!! ダメ! 消えないで! めぐねぇ!! めぐねぇっ!!」
「……さよなら、ゆきさん。生きてね。とれだけ悲しくても、どれだけ心細くても、みんなで頑張って生きてね」
ゆき「っ! めぐねぇっ!!!」
ゆき「めぐねぇ……! めぐねぇ、やめて……! 変な事言い出さないで……! でないと、どんどん影が薄くなって……!」
めぐねぇ「私はいつでもあなたの側にいるからね」
ゆき「めぐねぇ……!! ダメ! 消えないで! めぐねぇ!! めぐねぇっ!!」
「……さよなら、ゆきさん。生きてね。とれだけ悲しくても、どれだけ心細くても、みんなで頑張って生きてね」
ゆき「っ! めぐねぇっ!!!」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:53:45.96 ID:j8jZsqvvo
くるみ「ゆき……めぐねぇは……?」
ゆき「いなく、なっちゃった……。いなくなっちゃったよ、めぐねぇ……!」
ゆき「めぐねぇ! めぐねぇ……! 何で……」
みーくん「…………」
りーさん「めぐねぇ……。最後に何か言ってた……?」
ゆき「私は……いつでも側にいるって……。みんなで頑張って生きてねって……。そう言って……」
りーさん「……そう」
ゆき「めぐねぇ……笑ってた。最後の最後まで……。消える瞬間まで笑ってたよ……」
くるみ「うん……。めぐねぇは……そういう先生だった……」
みーくん「……いい先生ですね」
りーさん「だって……めぐねぇなんですもの」
ゆき「いなく、なっちゃった……。いなくなっちゃったよ、めぐねぇ……!」
ゆき「めぐねぇ! めぐねぇ……! 何で……」
みーくん「…………」
りーさん「めぐねぇ……。最後に何か言ってた……?」
ゆき「私は……いつでも側にいるって……。みんなで頑張って生きてねって……。そう言って……」
りーさん「……そう」
ゆき「めぐねぇ……笑ってた。最後の最後まで……。消える瞬間まで笑ってたよ……」
くるみ「うん……。めぐねぇは……そういう先生だった……」
みーくん「……いい先生ですね」
りーさん「だって……めぐねぇなんですもの」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:54:25.44 ID:j8jZsqvvo
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:55:29.88 ID:j8jZsqvvo
【数日後】
ゆき「それじゃ、みんな。授業に行ってくるね」
りーさん「ええ。行ってらっしゃい、ゆきちゃん」
くるみ「気を付けろよ」
ゆき「うん!」
みーくん「…………」
ゆき「それじゃ、みんな。授業に行ってくるね」
りーさん「ええ。行ってらっしゃい、ゆきちゃん」
くるみ「気を付けろよ」
ゆき「うん!」
みーくん「…………」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:57:36.95 ID:j8jZsqvvo
みーくん「結局……ゆき先輩、また元に戻っちゃいましたね」
くるみ「……そうだな」
りーさん「そんなに簡単に治るものじゃないのね、きっと……。だけど」
みーくん「……はい。めぐねぇの事は、もう滅多には言わなくなって」
くるみ「ああ。めぐねぇとの会話を全然聞かなくなったな」
りーさん「あの日の記憶は、きっとゆきちゃんは封印してしまったんだろうけど、心のどこかではめぐねぇが亡くなったって事を認識したのね、多分……」
みーくん「これで良かったんでしょうかね……。ゆき先輩……。前より少し元気がなくなった気がするんですけど……」
くるみ「…………」
りーさん「…………」
くるみ「……そうだな」
りーさん「そんなに簡単に治るものじゃないのね、きっと……。だけど」
みーくん「……はい。めぐねぇの事は、もう滅多には言わなくなって」
くるみ「ああ。めぐねぇとの会話を全然聞かなくなったな」
りーさん「あの日の記憶は、きっとゆきちゃんは封印してしまったんだろうけど、心のどこかではめぐねぇが亡くなったって事を認識したのね、多分……」
みーくん「これで良かったんでしょうかね……。ゆき先輩……。前より少し元気がなくなった気がするんですけど……」
くるみ「…………」
りーさん「…………」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 21:59:30.06 ID:j8jZsqvvo
くるみ「……それでも」
りーさん「そうね……。それでも、今の方が私もいいと思うわ」
みーくん「どうして、そう思うんですか?」
くるみ「ゆきが昨日、ぽつりと溢してたんだ……。たまにめぐねぇの声が聞こえるって。でも、振り向いたらそこには誰もいないって」
みーくん「…………」
りーさん「だけど、めぐねぇが近くにいる気がして少し安心するんだって。見えないけど、きっといるってそう思えるんだって」
みーくん「……それ、逆に悪化してるんじゃ……」
くるみ「違う。ゆきはその後に、こう言っていたから。めぐねぇは遠くに引っ越しちゃったからって」
みーくん「…………」
りーさん「それで、自分の中で折り合いをつけたみたいね。ゆきちゃんの中ではめぐねぇはもういない。でも、どこかで生きてるんだって」
みーくん「……良い事、なんでしょうか。今までとそう変わりがないような……」
くるみ「……良い事だよ。本当に多少は変わったんだから……」
りーさん「そうね……。それでも、今の方が私もいいと思うわ」
みーくん「どうして、そう思うんですか?」
くるみ「ゆきが昨日、ぽつりと溢してたんだ……。たまにめぐねぇの声が聞こえるって。でも、振り向いたらそこには誰もいないって」
みーくん「…………」
りーさん「だけど、めぐねぇが近くにいる気がして少し安心するんだって。見えないけど、きっといるってそう思えるんだって」
みーくん「……それ、逆に悪化してるんじゃ……」
くるみ「違う。ゆきはその後に、こう言っていたから。めぐねぇは遠くに引っ越しちゃったからって」
みーくん「…………」
りーさん「それで、自分の中で折り合いをつけたみたいね。ゆきちゃんの中ではめぐねぇはもういない。でも、どこかで生きてるんだって」
みーくん「……良い事、なんでしょうか。今までとそう変わりがないような……」
くるみ「……良い事だよ。本当に多少は変わったんだから……」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:01:43.86 ID:j8jZsqvvo
りーさん「今のゆきちゃんは小さな子供と同じ状態だと思うの。飼っていた犬が亡くなった時、大人は子供にそれを隠して、遠くにいってしまったって言うでしょ。それと同じ」
くるみ「幻が見えてるより、良い事だと思わないか? ほんの少しだけ、現実に近づいたんだ」
みーくん「…………」
りーさん「子供は成長するにつれて、遠くにいってしまった、っていう言葉の意味を理解するわ。だから、ゆきちゃんも時間が経てば……」
くるみ「もう会えないって事を今のゆきは理解している。だから、めぐねぇの幻にもう依存はしていない。それだけでも、十分だと私は思う」
りーさん「だって、幻は心の支えにはなってくれても、実際に助けてはくれないもの。助けが来ないなら、自分自身で自分を助けるしかないわ」
くるみ「ゆっくりでいいと思う。少しずつでもいいと思う。ゆきが最後にそこにたどり着けば。幻に頼らずに生きるようになれれば」
みーくん「…………」
くるみ「幻が見えてるより、良い事だと思わないか? ほんの少しだけ、現実に近づいたんだ」
みーくん「…………」
りーさん「子供は成長するにつれて、遠くにいってしまった、っていう言葉の意味を理解するわ。だから、ゆきちゃんも時間が経てば……」
くるみ「もう会えないって事を今のゆきは理解している。だから、めぐねぇの幻にもう依存はしていない。それだけでも、十分だと私は思う」
りーさん「だって、幻は心の支えにはなってくれても、実際に助けてはくれないもの。助けが来ないなら、自分自身で自分を助けるしかないわ」
くるみ「ゆっくりでいいと思う。少しずつでもいいと思う。ゆきが最後にそこにたどり着けば。幻に頼らずに生きるようになれれば」
みーくん「…………」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:03:44.72 ID:j8jZsqvvo
りーさん「ゆきちゃん、アンパンマンのマーチ、歌っていたでしょ」
りーさん「今思うと……辛くても、生きていればどうにかなるって、ゆきちゃんの中のめぐねぇはそう言っていたように思えるわ」
くるみ「多分……実際のめぐねぇもそう言うと思う。生きていたら、きっとそう言っていたと思う」
みーくん「……そうかも、しれないですね」
りーさん「私たちもいつ死ぬかわからないし、生きている方が辛いって思える事がこれからあるかもしれないわ。でも……」
みーくん「生きていれば……」
くるみ「ああ。だから、死ぬなって。私たちにそう言っていた気がする。めぐねぇは」
りーさん「都合のいい解釈かもしれないけど、でも、そう思いたい。めぐねぇは本当にそんな先生だったから」
くるみ「ああ。本当にそんな先生だったから。めぐねぇは……」
みーくん「…………」
りーさん「今思うと……辛くても、生きていればどうにかなるって、ゆきちゃんの中のめぐねぇはそう言っていたように思えるわ」
くるみ「多分……実際のめぐねぇもそう言うと思う。生きていたら、きっとそう言っていたと思う」
みーくん「……そうかも、しれないですね」
りーさん「私たちもいつ死ぬかわからないし、生きている方が辛いって思える事がこれからあるかもしれないわ。でも……」
みーくん「生きていれば……」
くるみ「ああ。だから、死ぬなって。私たちにそう言っていた気がする。めぐねぇは」
りーさん「都合のいい解釈かもしれないけど、でも、そう思いたい。めぐねぇは本当にそんな先生だったから」
くるみ「ああ。本当にそんな先生だったから。めぐねぇは……」
みーくん「…………」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:05:28.85 ID:j8jZsqvvo
くるみ「……さてと、それじゃそろそろ行くか。りーさん」
りーさん「そうね。めぐねぇのお墓にも挨拶しないといけないし」
みーくん「屋上の菜園ですか?」
くるみ「ああ。今日は多分、サツマイモが収穫できるから、焼き芋が食べれるぞ」
りーさん「残念な事に、またお代わりはないけどね」
くるみ「ゆきのやつが、がっかりするだろうな、きっと」
りーさん「そうね。ゆきちゃん、よく食べるし」
くるみ「おまけにずっと犬食いでな」
りーさん「ふふっ。そうね」
みーくん「……ゆき先輩も、もうちょっと味わって食べるべきだと思うんですけど」
くるみ「それは、ゆきだから、仕方がない」
りーさん「そうね。ゆきちゃんだものね」
みーくん「……本当にゆき先輩には甘いですね、二人とも」
くるみ「ゆきだからな」
みーくん「答えになってないですよ、それ」
りーさん「だって、ゆきちゃんですもの」
みーくん「ゆうり先輩まで……」
りーさん「そうね。めぐねぇのお墓にも挨拶しないといけないし」
みーくん「屋上の菜園ですか?」
くるみ「ああ。今日は多分、サツマイモが収穫できるから、焼き芋が食べれるぞ」
りーさん「残念な事に、またお代わりはないけどね」
くるみ「ゆきのやつが、がっかりするだろうな、きっと」
りーさん「そうね。ゆきちゃん、よく食べるし」
くるみ「おまけにずっと犬食いでな」
りーさん「ふふっ。そうね」
みーくん「……ゆき先輩も、もうちょっと味わって食べるべきだと思うんですけど」
くるみ「それは、ゆきだから、仕方がない」
りーさん「そうね。ゆきちゃんだものね」
みーくん「……本当にゆき先輩には甘いですね、二人とも」
くるみ「ゆきだからな」
みーくん「答えになってないですよ、それ」
りーさん「だって、ゆきちゃんですもの」
みーくん「ゆうり先輩まで……」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:07:11.76 ID:j8jZsqvvo
くるみ「そう言うみーくんはどうするんだ? またゆきの様子、見に行くのか?」
みーくん「まあ……心配ですから」
りーさん「ふふふっ。ゆきちゃんに一番甘いのは、実はみきさんよね」
くるみ「だな」
みーくん「ち、違います! ゆき先輩があんな感じでゆるゆるしてるから、不安になるだけです」
くるみ「みーくんは、ゆきだけには過保護気味だからな」
りーさん「ゆきちゃんのお母さんみたいね、みきさんは」
みーくん「違うって言ってるじゃないですか! もう!」
みーくん「まあ……心配ですから」
りーさん「ふふふっ。ゆきちゃんに一番甘いのは、実はみきさんよね」
くるみ「だな」
みーくん「ち、違います! ゆき先輩があんな感じでゆるゆるしてるから、不安になるだけです」
くるみ「みーくんは、ゆきだけには過保護気味だからな」
りーさん「ゆきちゃんのお母さんみたいね、みきさんは」
みーくん「違うって言ってるじゃないですか! もう!」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:08:56.42 ID:j8jZsqvvo
くるみ「じゃ、みーくん。ゆきの事、頼んだぞ」
りーさん「お願いね、みきさん」
ガラッ、スタスタ……
みーくん「本当に、二人とも、勝手な事ばかり言って……」
みーくん「第一、ゆき先輩は授業を受けてるんだから、私が面倒を見るなんて出来ないのに」
みーくん「そもそも、ゆき先輩は私より年上なんですよ。とてもそうは見えないけど……」
みーくん「まったくもう……」スクッ
ガラッ、スタスタ……
めぐねぇ「ふふ。相変わらずね、みんな」
りーさん「お願いね、みきさん」
ガラッ、スタスタ……
みーくん「本当に、二人とも、勝手な事ばかり言って……」
みーくん「第一、ゆき先輩は授業を受けてるんだから、私が面倒を見るなんて出来ないのに」
みーくん「そもそも、ゆき先輩は私より年上なんですよ。とてもそうは見えないけど……」
みーくん「まったくもう……」スクッ
ガラッ、スタスタ……
めぐねぇ「ふふ。相変わらずね、みんな」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:10:49.96 ID:j8jZsqvvo
めぐねぇ「……あれから一人増えたけど、仲良しなのは変わらなくて」
めぐねぇ「全員、良い子ばかりで……」
めぐねぇ「こんな状況なのに、明るく振る舞えて……」
めぐねぇ「これからもそうやって、強く生きていってね、みんな……」
「私はずっと側にいるから……」
「ずっと、ずっと……いつまでも、あなたたちを見守ってるから」
完
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/22(土) 22:11:35.61 ID:j8jZsqvvo
【エンディング イメージ曲】
いきものがかり あるいていこう
いきものがかり あるいていこう
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