兄「お、オタクじゃない、よーっ」

妹「オタクじゃん」

兄「ちげーし！」

妹「いつも部屋でパソコンいじってるでしょ？」

兄「パソコンなんて高校生なら誰でもいじるしっ！」

妹「利用時間が尋常じゃないでしょ……それにほら、アニメとか好きなんでしょ？」

兄「あ？あーっ、ワンピとかね、あとあれ、ジブリとか！」

妹「定期的にリビングのテレビで深夜アニメ録画してること知ってるけど」

兄「えっ」

妹「お母さんもお父さんも知ってるし……隠してたって見苦しいだけだよ」

兄「吊ってくる」

妹「きも」

兄「はぁう……」

妹「きーもちわる」

兄「俺終了のお知らせ」

妹「てか、隠すような趣味ならやめればいいじゃん？」

兄｢やめる……？｣

妹「うん。オタクやめれば？」

兄「……いや俺オタクじゃないし」

妹「オタクでしょ」

兄「うっ」

妹「PCかして」

兄「はっ、無理！」

妹「やましいものでもあるの？」

兄「ねーよ！」

妹「じゃあかして」

兄「むり……」

妹「やっぱあるんだ。オタク」

兄「………っ」

妹「でもさー、私がイメージしてたオタクと違うよねー」

兄「なにが……？」

妹「お兄ちゃん」

兄「俺っ？」

妹「なんていうか、オタクってもっといかにも～って感じの容姿でさ」

兄「あぁ」

妹「部屋にフィギュアとか並べまくってたりしてー、そういうの想像してた」

兄「オタクじゃないしな……俺」

妹「オタクじゃん」

兄「う……」

妹「なんかかわいそ」

兄「か、かわいそうってなにっ」

妹「オタクのくせにオタク趣味に背徳心もっててさー」

兄「だ、だって……オタク趣味ってキモいしなっ！」

妹「言ってることとやってることが違うよねー」

兄「しにたい」

妹「はいはい」

兄「はぁ……俺の存在が黒歴史だ……」

妹「きもいもんね」

兄「おいやめろ」

妹「オタクのままでいいからさぁ、せめて外見だけでも今風したらさぁ」

兄「スイーツ(笑)」

妹「え？スイーツ？」

兄「なんでもないです」

妹「意味わかんない。ケーキたべたくなってきた」

兄「……が、外見って…俺そういう知識ないよっ……」

妹「高校生でしょ？雑誌とか読まないの？友達に借りたりしない？」

兄「ぼっちです」

妹「うわぁ……」

兄「ごめん」

妹「前はよくうちに友達呼んでたじゃん」

兄「高校からぼっちです」

妹「あぁ、そう」

兄「あの頃にもどりたい」

妹「ドラえもんにたのめば」

兄「そういう妄想毎晩してます」

妹「きも」

兄「ごめん」

妹「まずさー、その長い髪きれば？」

兄「んぁ」

妹「うっとうしそー」

兄「あぁ……確かにうざい……」

妹「よくそんなになるまで放置してたね」

兄「床屋怖い……」

妹「ださ」

兄「うるさいっ」

妹「てか床屋は無いでしょー。美容院行きなって」

兄「無理ゲーっ！予約段階で詰むわ！」

妹「はぁ？それくらいがんばんなって」

兄「第一こんな鬱メンロン毛が美容院なんて入ったら店員ドン引きだよ！いっちばん奥の一目につかない席に殴り置きだよっ！」

妹「そうかな？」

兄「はっ」

妹「普通じゃない？ただの客だし」

兄「え……えっ」

妹「いけば？」

兄「ぉ、おー……」

妹「私の行きつけ紹介しよっか」

兄「えっ無理」

妹「なんで」

兄「お、おまえが行ってるような所なんて俺にはハードルたかすぎる！」

妹「あー結構地味だから大丈夫」

兄「まじっ……」

妹「うん。あ、ゲーム好きな美容師さんいるよー」

兄「ほむほむ……」

妹「よし！じゃあさっそく予約しよっか」

兄「ぁ、あーやっぱやめとくっ……むり！いいや！」

妹「えぇ？なんで」

兄「気が変わった……もういいよっ、ありがとっ！」

妹「意味わかんない」

兄「いやだってそんな急な話とは思わなかったしっ……心の準備とか、あるし……」

妹「……もういい」

兄「えっ」

妹「いいし、もう」

兄「いいってなにっ？あ、美容院ならまた今度ーっ」

妹「うっさい。どうせいつまでたっても行かないくせに」

兄「いやっ、行くし！時がきたら！だ、だから今は心の準備ができてないだけであって……っ！」

妹「がっかり」

兄「おま」

妹「……少しくらい、ましになってよ………」

兄「えっ？ちょ……どこいくのっ！」

妹「部屋に決まってんじゃん！｣ﾊﾞﾀｯ

兄「ぇあ……な、なにをキレてんのか……」

兄「ぐぬぬ……」

兄「はぁ……2chでもするか」

兄「……以下、ラーメンっと……｣ｶﾀｶﾀ

兄「……チッ、画像無しかよ……｣ｶﾀｶﾀ

兄「……キター……パスわかんねー……｣ｶﾀｶﾀ

兄「……マジ天使っと…………はぁ……｣ｶﾀｶ

兄「………モヤモヤする」

兄「髪切るかどうかなんて俺の勝手じゃん」

兄「勝手にキレられましても……」

兄「……お、『妹(14)がコミュ障の俺の部屋に毎日くるんだがｗｗｗ』か。境遇が似てるな｣ｶﾁｯ

兄「妹がツンデレで……ほむほむ……更生させようと……」

兄「……あ、なんだ釣りか。妄想かよくそー」

兄「でもなんか似てたな……」

兄「うぅむ……」

兄「……あああぁ……うー……」

兄「はぁぁぁ………んっ……｣ｶﾞﾁｬ

兄「………」

母「……」

兄「あ、あのっ、母さん」

母「あら兄。どうしたの？」

兄「んーとさぁ……んーっ」

母「どうしたの？お小遣いなら無理よ」

兄「ちげーって！あのーあれだ、い、妹が行ってる美容院って、わかるっ？」

母「え？知ってるけど。そんなこと聞いてどうするの？」

兄「あいやそのーっ……お、俺も行こうかなーとかって」

母「えー！」

兄「なんでそんな驚くの……」

母「あ、いえまー、意外だっからー……アンタが美容院ねぇ」

兄「おかしいかよ……」

母「ううんー。年頃だしねぇ。近所の床屋じゃもう嫌なの？」

兄「嫌ってワケじゃないけど……俺だってそっちがいい……？」

母「はぁ？」

兄「いやっ、美容院がいい！美容院髪切るから番号教えて」

母「うふふ、はいはい。番号、～～-～～～…ね」

兄「あ、ありがと……」

兄「緊張する……」

兄「すーはー……｣ﾌﾟﾙﾙﾙﾙｯ

兄「あぁぁ………｣ﾌﾟﾙ

店員「もしもし。□□□です」

兄「あぁっ、えと、予約お願いしたいんですがっ」

店員「当店は初めてですか？」

兄「そうですっ」

店員「それではお名前と、希望の日付を教えてください」

兄「あ、えと、名前は ～兄ですっ、日付はえと、今日でもっ」

店員「当日ですと、夕方5時は大丈夫でしょうか？」

兄「お、おけですっ、あ、大丈夫ですっ」

店員「わかりました。担当にご希望はありますか？」

兄「あ、えと初めてなので誰でもっ……」

店員「わかりました、こちらで決めさせて頂きます。それでは5時におこしください」

兄「あ、はいっ……｣ﾂｰﾂｰ

兄「で……できたっ……！」

兄「うおおっ…おっおっお……！おっおっおっおっ！」

兄「きたこれ！！」

母「予約できた？」

兄「うんっ！」

母「はーい。あ、お金ある？」

兄「あ………無いっ！！」

母「あららぁ……じゃあ今日は払ってあげる」

兄「いいのっ」

母「5000円で足りるわね」

兄「ありがとう母さん！！」

母「5時でしょ？はやく着替えなさい」

兄「着替え……？」

母「そんな格好で行けないでしょう」

兄「どうしよう……美容院に行く服がない……」

母「服ならお母さんがしまむらで買ってきたのがあるじゃない」

兄「あ、あーいうのじゃだめなんだって！あぁどうしようっ……」

母「アンタが服に関心もたないから悪いのよ。嫌なら学校の制服でも着ていきなさい」

兄「今日土曜日だけど……それが一番無難だよね……」

兄「時間あるしお風呂入ろ……」

……………
母「……あら、妹」

妹「あ、お母さん」

母「どこか行くの？」

妹「うん。ちょっと友達と遊びに行ってくるね」

母「気をつけてね」

妹「はーい。行ってきます」

母「いってらっしゃーい」

………………
兄「てか美容院行く前にあたま洗っていいのっ！？｣ｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞ

兄「まあいっか……緊張してきた……｣ｼﾞｬｰ

兄「ふー」

兄「さっぱり……制服着よう」

兄「よし……あぁ………一応歯磨いとこうかな」

兄「ひんちょうひてきひゃなぁ……がらがらぺっ」

兄「んぁぁ……やばい……行きたくなくなってきた……」

兄「美容院って色々話しかけられるとか聞くしな……あぁどうしよう……」

兄「むりだわそんなの………やめたい……」

兄「気分わるくなってきた……断ろうかな……」

兄「……はぁ……でも、なぁ……行かないと……んーっ…」

兄「あーあーあー、あーもうあー……数分耐えればいいんだ……数分…一瞬だっ」

兄「帰ってきたら天国っ！お、思いっきりアニメみてやるっ」

兄「行くっ！行くぞぉー」

兄「母さんっ」

母「あ、もう行くの？」

兄「うん……」

母「行ってらっしゃい。気をつけてね」

兄「うん……｣ｶﾞﾁｬ

兄「はぁ……こっちだよな……｣ｽﾀｽﾀ

兄「緊張で身体がふわふわする……」

兄「ふぅー…………」

兄「…………｣ｽﾀｽﾀ

………………

兄「ついたっ……けど……」

兄「お、おされだな……」

兄「ガラス越しにやってる人見えてるじゃん……」

兄「結構地味とはなんだったのか……」

兄「丁度5時になるな……入らないとマズイよな……入ってもマズイんだけど……」

兄「ああぁ……絶対引かれるって……」

兄「くそっ……あーこんな所で立ってたら余計不自然だな……もう行くかっ……」
ｶﾗｰﾝ
店員「いらっしゃいませっ！」

兄「あどもっ……」

店員「ご予約の方ですか？」

兄「はいえっと……さっきの～……」

店員「はーいわかりました。あちらの席へどうぞー」

兄「あ、はいっ」

美容師「始めましてっ！宜しくでーす」

兄「あ、はいよろしくっす……」

美容師「シャンプーはされてきました～？」

兄「あ、はいさっき……」

美容師「了解でーす。では今日はどんな感じにされます？」

兄「あー、えっと……お任せでっ……」

美容師「お任せですかー、とりあえず量が多いので減らしていきますね」

兄「あはいっ」

兄「………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

美容師「あ、よかったら雑誌どうぞ」

兄「あ、どもですっ」

美容師「…………｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「………(リア充雑誌だ……)｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

美容師「今日は学校あったんですかー？」

兄「あっ、ぇあ、はいっ、今日はあったんですっ」

美容師「あ～お疲れ様でーす」

兄「はいっ」

美容師「何年生ですか？」

兄「高2っすっ」

美容師「へぇ～一番楽しい時期ですね～」

兄「そっすかねっ……」

美容師「うんー。部活とかやってます？」

兄「あ、いえっ……帰宅っす……」

美容師「あははっ、帰宅ですか」

兄「はいっ……」

美容師「でもいいじゃないですか帰宅、たくさん遊べますねー｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「まあはいっ……はは……」

美容師「何か趣味とかありますー？」

兄「あ、えとっ……ゲームとか……」

美容師「あー！ゲーム好きですよ俺」

兄「あっそうなんすか……」

美容師「うんうんー。モンハンとかウイイレとかねー」

兄「あ、モンハン……」

美容師「やってるー？」

兄「はいっ」

美容師「マジですかー。最近アレが倒せないんすよね、あのほら、ジンオウガ！」

兄「あ、あれ……強いっす……」

美容師「ですよねー、動きはやくてー｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「俺も最初苦労しましたっ……」

美容師「マジかー。慣れたら楽勝？」

兄「はいっ」

美容師「そっかそっかー」

兄「………っ」

美容師「………｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「……………(一段落っ)」

美容師「ふー、だいぶ量あるねー｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「あぁはいっ」

美容師「しばらく切ってなかった？」

兄「あ、はいっ……すいませんっ」

美容師「んーよしっ、これで今んとこだいぶ軽くなったと思うんですけどー」

兄「はいっ」

美容師「髪型はじゃあこの雑誌のー……こんな感じどうですか？」

兄「あ、はいっ、いいとおもいますっ……」

美容師「OK？よしじゃあこんな感じでｰ｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「………(俺こんな風になるのかっ……)」

………………
美容師「………｣ﾁｮｷﾁｮｷ

兄「………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

美容師「………よしょ、これでいいかなっ」

兄「………っ！」

美容師「どう？だいぶサッパリだよね」

兄「あ、いい感じですっ……」

美容師「よーしじゃあ頭流しますね。シャンプーおねがいしまーす！」

お姉さん「はーいこちらどうぞー」

兄「はいっ……」

お姉さん「頭ここに合わせて寝てくださーい」

兄「あ、はいっ」

お姉さん「首痛くないですか？」

兄「大丈夫っすっ」

お姉さん「はーい」

お姉さん「では流しますねー。湯加減大丈夫？」

兄「はいっ」

お姉さん「はーい｣ﾜｼｬﾜｼｬ

兄「………っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

お姉さん「かゆいところとか大丈夫ですかー？｣ﾜｼｬﾜｼｬ

兄「はいっ」

お姉さん「はーい」

兄「………(きもちいい)」

お姉さん「………よしょっ、終わりでーす」

兄「はいっ」

お姉さん「じゃあさっきの席へ戻ってね」

兄「ふぅっ……」

美容師「どうぞー。ドライヤーねー」

兄「あ、はいっ」

美容師「普段乾かす時こんな感じで～」

兄「はいっ……」

美容師「ね、OK。今日はワックスつけても大丈夫ですか？」

兄「あ、じゃあおねがいしますっ……」

美容師「はーい｣ｸｼｸｼ

美容師「……はい終わりでーす！どうですか！」

兄「あっ……いいっす、いい感じですっ」

美容師「よかったでーす」

兄「……(落ちてる毛の量がやばい……)」

店員「お疲れ様でーす」

兄「どもですっ……」

店員「カットでお会計、3600円でーす」

兄「……っ｣ｽｯ

店員「5000からで、お釣り1400円です」

兄「あ、ありがとうございましたっ……」

店員「はーい、またおこしくださいね」

兄「はいっ」

店員「ありがとうございましたー」
ｶﾗｰﾝ

兄「き……切った……っ！！」

兄「切ったったっ……まじ俺……やべっ……」

兄「頭軽い……ワックスとか初めてつけた……」

兄「のりこえた………」

兄「俺今あの店の中に居たんだよね……信じられない……」

兄「やったやったまじ……っ！」

兄「せ、せっかくだしちょっと歩いてみようかなっ……｣ｽﾀｽﾀ

兄「うおーっ……」
…………………………

妹友「あ、妹ちゃんスタバ寄ってかない？」

妹「いいよー」

妹友「行こっかー」

妹「うん」

妹友「ここすわろっか」

妹「うん」

妹友「あ、ほらこれ見てー」

妹「なにそれ、アニメ？」

妹友「そうそう、けいおん！って知らない？」

妹「聞いたことあるかも。ローソンでなんかやってたね」

妹友「今超はまってる」

妹「でもそれなんかオタクっぽくない？」

妹友「あははっうちオタクかなー」

妹「オタクじゃんー」

妹友「オタクでいいもん！妹ちゃんアニメ見ないの？」

妹「んー、あんまり。お兄ちゃんがアニオタっぽいからむしろ嫌いな方」

妹友「妹ちゃんってお兄ちゃんいたの！」

妹「うんいるよ。言ってなかった？」

妹友「知らなかったし！今何歳？」

妹「17で高2」

妹友「へー、てかオタクなのっ？」

妹「うん。本人はオタクじゃないって否定してくるんだけど、毎日PCいじってアニメみたりしてる」

妹友「うわーそういうタイプいるよねー」

妹「おまけに友達居ないしお喋り苦手だし。きもちわるいでしょ」

妹友「え、うんまぁ……同情する……」

妹「オタク趣味でも、妹友ちゃんみたいに社交的ならいいのにね」

妹友「照れるっ！」

妹「オタクになると性格も暗くなっちゃうのかなー」

妹友「うちのこと見ながらそういうこと言っちゃう？」

妹「ちがうちがう！妹友ちゃんは例外っ！」

妹友「まーぶっちゃけうちは最近の流行りに乗っかっただけで、本当はアニメ詳しくないんだけどね」

妹「そういうタイプかー」

妹友「そういうタイプ！あ、でも澪ちゃんは俺の嫁！」

妹「なにそれきもちわるい！」

妹友「ひどいー！」

妹「はー……お兄ちゃんもこんなに明るくなってくれたらな」

妹友「それってオタクだからっていうより、元から性格が暗いんじゃない？」

妹「ううん。中学の頃まではすっごい明るかった」

妹友「そうなんだー」

妹「部活がんばってたし、友達たくさんいたし、」

妹友「ほうほう」

妹「高校生になってからね、オタクになって、一人ぼっちになって、暗くなって、あんまり外でなくなって」

妹友「変わっちゃったかー」

妹「うん。だから私はオタク趣味嫌い。人間まで変えちゃうもん」

妹友「んーでもさ、それってオタクのせい？」

妹「えっ」

妹友「うちはオタクになっただけで人間変わっちゃうとは思えないなー」

妹「アニメとかゲームとか……そういうの悪い影響与えるって聞いたことある」

妹友「まーそういうこともあるかもだけどさ、実際うちは変わってないじゃん？」

妹「妹友ちゃんは特別だから……」

妹友「おんなじだって！お兄ちゃんも昔は明るかったんでしょ？」

妹「うん……」

妹友「たぶん何か、別の理由でくじけちゃったんだよ！」

妹「別の理由……？」

妹友「そうそうっ！で、その傷を癒してくれたのがアニメみたいな？」

妹「きもちわるー……」

妹友「妹ちゃんだって落ち込んだときなにか楽しいことするでしょ？」

妹「ケーキたべる……」

妹友「じゃあお兄ちゃんにとってはケーキのかわりがアニメなんだ！それ否定したらかわいそうだよ！」

妹「変なの……」

妹友「まーどうしようもない人はどうしようもないかもだけど。あーケーキたべたくなってきた」

妹「買いにいこっか、ケーキ」

妹友「そうしよっ！コンビニ行ったら妹ちゃんの家でたべたい！」

妹「うん。そうしよっか」

妹友「じゃあいこーっ」
………………………

兄「コンビニでも寄ろう……っ」

兄「ジャンプ売ってない……あ、SQならあるっ」

兄「とっとらぶるダークネスやばっ、わっふるわっふるっ……」

兄「……ふぅ……やっぱり古手川かなっ……｣ﾁﾗｯ

兄「あー……今時の雑誌ってこういうの、かな……っ」

兄「ち、ちょっと読んでみようかな……どれどれっ……｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

兄「あぁ……やっぱ世界が違う……」

兄「流行ファッション……音楽…お店……未知の世界だ……」

兄「同世代の奴らは皆こういうの詳しいんだろうなーっ……｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

店員「いらっしゃいませー」

妹「あ、ごめん妹友ちゃん、ちょっとトイレかりてくるねっ」

妹友「おっけーっ！ケーキ選んでおくね！」

兄「アメカジってなんだよっ……｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

妹友「あっ……あの人かっこいー………」

兄「……こういう知識って自然に身につくのかなっ………｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

妹友「……なに読んでるんだろーっ………｣ｿﾛｰ

兄「……こんなん着たら雰囲気イケメンもいいとこ……っ｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

妹友「あっ、あの雑誌読んでるんだー……｣

兄「…………っ｣ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

妹友｢…………｣ｼﾞｰ

兄「………み、見られてる気がする……っ」

妹友「…どこの制服かなー………｣ｼﾞｰ

兄「……やっぱ俺みたいな奴が流行雑誌なんて読んでたら浮くよなっ……あぁ……っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「………いい匂いする……」

兄「……た、耐えられないっ……帰ろう……｣ｽｯ

妹友「あっ」

兄「うあぁっ……リアルJC怖い……っ｣ｽﾀｽﾀ

妹「おまたせ」

妹友「あっ、妹ちゃん」

妹「ケーキおいしそうなのあった？」

妹友「ま、まだ」

妹「えっそうなの？」

妹友「それより今さ、すっごいかっこいい高校生が立ち読みしてた！」

妹「ふーん」

妹友「かっこよかったなー……」

妹「よかったね。ケーキ選ぼ」

妹友「ほんとにかっこよかったんだよっ！」

妹「みたかったもん！」

妹友「えへへーっ！」

妹「どれにしよっかなー」

妹友「レアチーズ超おいしそーっ」

妹「いいねー」

妹友「あ、ロールケーキもたべたーい」

妹「たべたーい」

妹友「エクレアもいいなー」

妹「どうしようかなぁ」

妹友「よしっ、うちレアチーズ」

妹「私これにする」

妹友「え、それ二つ入りじゃん！2個たべるのっ？」

妹「違うって！お兄ちゃんにあげよっかなって」

妹友「まじで！妹萌えーだね！」

妹「きもー」

妹友「もえもえーっ！」

妹「まーさっきちょっとひどいこと言っちゃったしね。お詫びに｣ｽﾀｽﾀ

妹友「かわいい妹だね～っ｣ｽﾀｽﾀ

妹「うっさいー」

妹友「そいえば妹ちゃんの家久しぶりー」

妹「そうだっけ」

妹友「お兄ちゃんは家にいるの？」

妹「いると思うよー。今日も部屋でPCいじってるんじゃないかな」

妹友「うわー…ガチなんだねー……」

妹「私が友達呼ぶと顔出さないから、たぶん会えないと思うよー」

妹友「つまんなっ！」

妹「会わない方がいいってｰ｣ｽﾀｽﾀ

………………

妹「ついた」

妹友「ついたついたー」

妹「入ろっか」

妹友「うん」
ｶﾞﾁｬ

妹「ただいまー」

妹「……あれ、誰もいない？」

妹友「靴あるけど」

妹「あ、それお兄ちゃんのだからノーカウント」

妹友「ひどいーっ」

妹「じゃあ、あがって」

妹友「うん。おじゃましまーすっ」

妹「ジュースもってくから先部屋言ってて。あ、わかる？」

妹友「うん、うろおぼえだけどわかるー｣ｽﾀｽﾀ

妹友「たしかこっちだよねー｣ｽﾀｽﾀ

妹友「ここっぽい気がする」
ｶﾞﾁｬ
兄「ん、あっ……え……っ！！｣ﾋﾞｸｯ

妹友「あっ！！え、あっ……あーっ！！｣ﾋﾞｸｯ

兄「だ、だれっ……友達っ？妹、……っ」

妹友「ま、まちがえましたっ……へぁっ、へっ、おへやっ！」

兄「あぁっ、あの……妹の部屋、そっちっ…そっちっ……！」

妹友「はいっ……！あ、あのっ……さっき……」

兄「えっ、えぇっ？」

妹友「さっきっ、コンビニいませんでしたっ？立ち読み……して……」

兄「してましっ、た……あ……さっきの……」

妹友「や、やっぱりっ……！妹ちゃんの、お兄ちゃんだったんだっ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「あ、うんっ………」

妹友「は、初めまして……っ」

兄「はじめっ…、まして……」

妹友「妹友ですっ、あの、妹ちゃんの友達、の……」

兄「し、しってますっ……」

妹友「しってますか……っ」

兄「しってますっ……」

妹友「………っ！」

兄「っ………」

妹友「あのっ」

兄「はいっ」

妹友「オタク……って、ほ、ほんとですか……っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「はいっ、あ、いやちがいますっ！」

妹友「はぁう……っ」

兄「…………っ」

妹友「あのあのっ」

兄「はいっ……」

妹友「暗いですかっ」

兄「は、はぁっ……？」

妹友「ひ、ひとりぼっちですか……っ」

兄「はいっ、えっ、はっ……？」

妹友「うそ……っ」

兄「ほんとっ……え、なにがっ……」

妹友「ほんとにその……妹ちゃんのお兄ちゃん、ですか……っ？」

兄「はいっ！」

妹友「はぁっ……びっくりです……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「そ、そこまで言わなくてもっ……うぐ……」

妹「あれ？妹友ー？」

妹友「……っ！！｣

兄「あっ……」

妹「あれ？お兄ちゃん？」

兄「え、あ、うんっ……」

妹友「んぅっ……」

妹「え、妹友ちゃんっ？お兄ちゃんの部屋にいるの？入っていい？」

兄「あ、あぁっ……ぁ……」
ｶﾞﾁｬ

妹「妹友ちゃんのここにいる？お兄ちゃ………」

兄「い、いるよっ……」

妹「おっ………お兄、ちゃん……？」

兄「いる、けどっ………」

妹「え……ぁ、あたまぁ………それっ……」

兄「あぁうんっ、切ったよ、……おまえの行きつけんとこっ……行って……っ」

妹「ほんとに………」

兄「ほ、ほんとっ………」

妹「……す、すごい………いい…っ……」

兄「い、いいのっ………」

妹「……いいよっ………や、やったじゃんっ」

兄「まあこれくらいはっ……うん……」

妹「…………っ｣ｼﾞｰ

兄「なにっ……やっぱ変……」

妹「ううん……いいから………」

兄「あっうん……」

妹友「あのっ」

妹「あっ、うん」

妹友「妹ちゃん、お兄ちゃん、って……？｣ﾁﾗｯ

妹「う、うんっ……そのはず……」

妹友「そのはずってっ！」

妹「なんかイメチェンしたみたいっ。私もびっくりしたっ」

妹友「うそつきめ～っ」

妹「うそはついてない、けど……」

妹友「さっきコンビニで見た人妹ちゃんのお兄ちゃんだよっ」

妹「えっ、そうだったのっ？」

妹友「うんうんっ……だから今ここで会ったの衝撃で……はぁ……」

妹「ち、ちょっとちょっと」

妹友「………｣ﾁﾗｯ

兄「………っ！｣ﾋﾞｸｯ

妹友「び、びくってしたよ今っ！………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「したねっ……」

妹友「したよねっ……したよーっ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「あ、け、ケーキっ！ケーキたべよっ」

妹友「うんっ……うん………けーき……」

妹「あの、お兄ちゃんっ」

兄「えっ……？」

妹「よかったらケーキ一緒に、食べよっ……」

兄「え、でも俺の分……」

妹「ある、ほら」

兄「あ……うまそ……」

妹「イチゴ好きでしょ、私も好きだから……」

兄「ああうんっ、ありがと……」

妹「ここで食べてもいい……？」

兄「え、いいけど……うんっ……」

妹「ありがと……ケーキとってあげるね」

兄「うんっ……」

妹「はいっ」

兄「ありがと……」

妹「イチゴからたべるの？」

兄「あ、うんっ……」

妹「そうなんだ。私とっておく派」

兄「好きなものは先にたべたいしっ……」

妹「あっ、じゃあ……私のイチゴ、たべる？」

兄「い、いいのっ？いやいいよ！」

妹「あげるよ。ほら」

兄「えっ……」

妹「あーんして」

兄「あ、あーーむ｣ﾊﾟｸ

妹「おいし？」

兄「うんっ……」

妹友「あのーっ」

妹「あっ……」

兄「はいっ……」

妹友「妹ちゃんのお兄ちゃん……あ、お、お兄さんっ」

兄「あっ兄でいいよっ……」

妹友「あ、兄っ……兄君、で……っ！」

妹「む……」

妹友「兄君……レアチーズ好き……？」

兄「うんまあっ……」

妹友「たべてくださいっ……！」

兄「いいの……っ」

妹友「あーんっ！」

兄「あーーっむ｣ﾊﾟｸ

兄「う、うまいっ……」

妹友「たべたぁ……っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「あ、兄君はえと……アニメとか好きなんですか…？」

兄「あ、あんまりそういうのは……っ」

妹「…………｣ｼﾞｰ

兄「いや……好き、ですはい……」

妹友「どんなの見ますかっ？｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「あーえと……ワンピースとか……？」

妹友「ああワンピ、ですかー……」

兄「えっ」

妹友「けいおん！とかしりませんかっ」

兄「っし、しっていますっ！いや知らないっ、けど、しってる！」

妹「素直に言いなよ」

兄「見てます……っ」

妹友「ほんとですかっ！好きなキャラクターとかーっ」

兄「好きなキャラ……うっ、そっちは……っ？」

妹友「澪ちゃんっ！」

兄「あ、澪かっ……い、いいよねっ……」

妹「………｣ｼﾞｰ

妹友「兄君の好きなキャラ聞きたいですっ」

兄「お、俺はーっ……ぅ、うい……」

妹友「憂ちゃんですか？」

兄「うんっ……憂っ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「あははっ、かわいいですよね憂ちゃんっ」

兄「だよ、ね……っあーなにいってんだ俺……っ」

妹「憂ってどんなの？」

妹友「憂ちゃんはねー……ほら、この子」

妹「ふーん……｣ｼﾞｰ

兄「ううぅ……っ」

妹友「妹キャラクターなんだよー」

妹「っ！！」

あ

妹友「家事完璧でお姉ちゃん想いなんだよ」

妹「ふーん……」

妹友「ああいう妹がいたら毎日もえもえーっですよねっ」

兄「えっ……あ、うん……っ」

妹「きも」

妹友「兄君っ、妹ちゃんけいおんきもいって言うんですよーっ」

兄「きもいってかまぁ、……しかたないかな、うんっ……そういうアニメは……」

妹「んっ………｣ｼﾞｰ

兄「ごめん……」

妹「こ、こんど見せて……それ」

兄「えっ」

妹「オタクっ……でもいいから、お兄ちゃんと見たい……」

兄「いいけど……っ、うん、じゃあ……みるか……」

妹「うん……」

妹友「絶対おもしろいよ！うちがはまるくらいだしさーっ」

兄「………っ」

妹「け、ケーキおいしかったね」

妹友「うんー……それにしてもー……｣ｷｮﾛｷｮﾛ

兄「な、なにっ……あんまり見ないで、何もないしっ……」

妹友「あははっ、ほんとにっ。最初はもっとフィギュアとかあるかなって」

兄「ないないないないっ……」

妹「買う勇気ないんだから、お兄ちゃん……」

妹友「そうなんですかっ。兄君がフィギュアくらい持っててもなんとも思わないですよ、うち」

兄「うぅ……む、むりですそういうの、やっぱ……オタクっぽい……」

妹「変なプライド」

兄「ごめんっ………」

妹友「んー……あ、これPSP」

兄「あっ、それ俺の……っ」

妹友「どんなゲームするんですかっ？」

兄「も、モンハンとかって……」

妹友「モンハンですかっ？うちももってますっ！」

妹「持ってたんだ」

妹友「うんー今日は持ってきてないけどっ。友達と遊んだりするよー」

妹「知らなかったー」

妹友「妹ちゃんこういうの嫌いそうだし……あ、でもでも結構みんなやってるんだよっ！オタクじゃないよ！」

妹「ふーん……でもそれってみんなで遊ぶゲームでしょ？」

妹友「一人でも遊べるんだけどー……うちは一人でやったことないなー」

妹「一人じゃつまんないんだ」

妹友「まー正直ね……ですよね、兄君っ」

兄「お、俺ソロ……っ」

妹友「へっ」

兄「う、うん………」

妹友「ソロってずっと一人、ですかっ？」

兄「まあ慣れればそんなに、うん……ま、 マゾ、ってことで、いいやっ……」

妹友「あ……あの、じゃあひとりぼっちってほんと、ですか……」

兄「はいっ……」

妹友「うそっ……だって兄君全然そんな風じゃない……」

兄「ははっ…、まぁそう見えるのなら、うん……ありがたい、です……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「………っ｣ｼﾞｰ

妹友「う、…うぅ……ごめんなさいっ、冗談だと思ってたから……っ｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兄「ち、ちょっとちょっと……大丈夫っ……」

妹友「兄君っ……兄君………っ｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

妹「…………っ｣ｳﾙｳﾙ

兄「おまえまで、なにっ……」

妹友「妹ちゃんっ……兄君かわいそ……っ｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

妹「うん………｣

兄「なに泣いてんのっ……べ、べつに大丈夫、っていうか、この状況母さん帰ってきたらまずいっ……」

妹友「んぐっ……兄君っ………｣ｸﾞｽﾝ

兄「あ、はいっ……」

妹友「あの……よかったらその……、携帯…メアド……」

兄「えっ」

妹友「うちいつでもメールしますっ……妹ちゃんもいるし……、だからもうひとりぼっちじゃなくって……」

兄「あぇっ、あ、はいっ……うん……」

妹友「い、いつでも……遊ぼ……っ」

兄「大丈夫っだけ、ど……う、うん……ありがと……｣ﾋﾟｯ

妹友「はぁう……兄君もう寂しくないかな……」

妹「よかったね」

兄「はっ？ぁあっうん……ま、まぁ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

…………………
妹「あ、もうこんな時間」

妹友「ほんとだっ！かえんなきゃー」

兄「あ、うんっ……」

妹友「よしょっ……楽しかったねー」

妹「うん、またきてね」

妹友「くるくるっ！毎日きたいっ！」

妹「もう」

妹友「兄君っ」

兄「はいっ」

妹友「こんどモンハンしようねっ」

兄「うんっ………」

妹友「それじゃ、おじゃましましたーっ｣ｶﾞﾁｬ

妹「ばいばーい」
ﾊﾞﾀﾝｯ
兄「………っ」

妹「…………｣ｼﾞｰ

妹「…………｣ﾁｮﾝﾁｮﾝ

兄「なにっ……」

妹「ワックス」

兄「えぁっ、うんっ……つけてもらった……」

妹「いいじゃん」

兄「そう……？き、今日だけだけどなっ……俺セットできないし、ワックスもってね……」

妹「これから覚えればいいよ」

兄「うんっまぁ……努力は、する……」

妹「ほんとーに」

兄「んっ？」

妹「がんばったね、お兄ちゃん」

兄「あ、あぁいやほんとっ……お店入る前はまじぶっ倒れそうでっ！……駒野選手のPKなみに緊張っ」

妹「そんなわけないじゃん」

兄「そんなわけあるしっ」

妹「はいはい」

兄「あんな所入ってたのが夢みたいで……」

妹「担当誰だった？」

兄「あ、なんかメガネかけてるチャラい人っ」

妹「あーそのゲーム好きだったでしょ？」

兄「モンハンの話してくれたよっ……DQNも見かけによらないなっとか……思ったりして…」

妹｢ﾄﾞｷｭ？」

兄「あぁっなんでもないっ……オタクのあれだ…ごめん……」

妹「きも」

兄「うっ……」

妹「きもいけど好きだよ」

兄「えっ……」

妹「うん………っ」

妹「お兄ちゃんってさ……」

兄「へっ？」

妹「昔はその……アニメとか興味無かったじゃん？」

兄「昔……っ？」

妹「中学の頃ね」

兄「あ、あぁっ……」

妹「高校から、そういうの好きになったよね」

兄「なった……？」

妹「なった」

兄「うぅ……まぁ確かに、高校から……」

妹「中学の頃は明るくて、部活がんばってて、友達も多くってさ」

兄「……………っ」

妹「お兄ちゃんのそういうところ奪っちゃったのは、オタク趣味なのかなぁ……」

兄「そ、それはちがっ………」

妹「お兄ちゃんさ」

兄「んっ……」

妹「もし、もしオタク趣味とかじゃなくて、別に落ちこんだ理由があるなら」

兄「…………」

妹「相談、乗りたいし……ちょっとだけでも話して、くれたら……」

兄「り、理由っとか……原因とか、そんな大層なものじゃなくって……」

妹「………？」

兄「もっとなんか、情けない……その……」

妹「聞きたいな」

兄「単純に、高校生のノリっとか……なんか、ついていけなくて………」

妹「うん？」

兄「うん、まぁ……」

妹「い……いじめとかー……」

兄「ち、ちがうちがうっ！ないない！」

妹「じゃあどうして？」

兄「中学の頃からさ、実際俺っ、コミュ力なかったし……」

妹「そんなことなかったよ」

兄「ううん……。小学校の頃から一緒の連中にまざって勢いでワイワイしてただけ……」

妹「………」

兄「一見友達多く見えても……いざ一人になった時、友達作れる能力がなくってっ……」

妹「でもでも、昔は明るかったし……」

兄「くっつける人がいなきゃ明るくなれないっていう、そういう、人種だから……」

妹「………」

兄「おまえにはわかんないかもっ……知り合いのいない地に行っても、一人でなんとかできそうだしな、おまえなら……」

妹「うん……なんとかすると思う」

兄「さすがっ……」

妹「新しい友達つくってがんばる」

兄「そこにしびれる……あこがれる……」

妹「でも、そんなのないよ」

兄「えっ……」

妹「お兄ちゃんだって新しい友達つくりなよ」

兄「無理ゲ……ほら、妹の前でも吃るしなっ俺……」

妹「大丈夫だよっ……お兄ちゃんきもいけど、優しいし、かっこいいし……」

兄「………っ」

妹「いざって時はがんばれるじゃんっ……さっきがんばったじゃんっ……っ！」

兄「さっきのはそのっ……勢いで……」

妹「じゃあ勢いで友達つくって、高校楽しくっ……すればいいじゃんっ！……」

兄「できるか……」

妹「できるっ」

兄「でき、できなっ……」

妹「できるできるっ、できるできるできるっ」

兄「お、おぉ……」

妹「こんなにがんばれるお兄ちゃんにできないわけないっ」

兄「んっ……ぐ……」

妹「オタクでもいい……きもくってもいいからぁ……」

兄「………っ！」

妹「真っ暗じゃない……っ明るいお兄ちゃんになってよぉっ……｣ｷﾞｭｯ

兄「ぁっ………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「お兄ちゃん……お兄ちゃん……っ｣ｷﾞｭｳｯ

兄「あ……な、なるっ……よ……」

妹「ふえぇ……っ？」

兄「なるから……変わるからっ……」

妹「ほん、と……？」

兄「時間はかかるかもしれないけど、でも……うんっ……」

妹「うんっ……」

兄「絶対……」

妹「うん……」

兄「ありがとな｣ﾖｼﾖｼ

妹「うん……っ｣ｷﾞｭｳｯ

………………………
妹「それじゃ、行ってきます」

母「気をつけてね」

妹「あ、お兄ちゃんは……？」

母「今日は用があるから早めに登校するんだって、急いでたわよ」

妹「そうなんだ」

母「あ、そうそう。兄、今日もリビングのテレビで録画予約してるみたいでね」

妹「きもっ」

母「きっとまたアニメよねぇ……いい加減卒業してくれないかしらぁ……」

妹「そういうこと言っちゃダメだよお母さんっ」

母「あら、妹はああいうの嫌いじゃなかった？」

妹「だーいっきらい！じゃあ行ってきます！」

母「え？あ、はいはいいってらっしゃーい」
…………………………

兄「あ、朝練やってるっ、かな……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ｷｭｯｷｭｯ､ｷｭｯｷｭｯ
男バス1「ナイッシュー！」

男バス2「ヘイヘイ！」
ｷｭｯｷｭｯ､ｷｭｯｷｭｯ

兄「やってるやってる……なんか懐かしいな……音とか……っ｣ｼﾞｰ

女バス1「ねねっ、あの人だれー？」

女バス2「誰だろー、てか超かっこよくない？」

女バス1「やばーい！」

女バス3「あの人、3組の兄くんじゃない……？」

女バス2「えっうそ！えーっ？」

女バス1「あの地味な人？ロン毛のー」

女バス3「髪切ったんだー……なんでここにいるんだろ」

部長「足動いてないぞっ！！ほらそこっ！……ん」

兄「あっ……｣ﾋﾞｸｯ

部長「ん？どした？」

兄「あいやっ……その……」

部長「あ、あー他の部の方？今日はバスケだよな？」

兄「あ、俺ば帰宅部なんですけどっ……てか、あの…その……」

部長「んー？」

兄「ばばっ、バスケットが、したいです……っ！」

部長「スラダンか」

兄「あやっそのっ！ば、バスケ部に入部ってできますか…？」

部長「お、まじかー！新入部員？」

兄「はいっ……」

部長「それじゃあ顧問の先生に入部届けもらってきてよ」

兄「あ、はいっ……」

部長「バスケの経験は？」

兄「あ、一応中学の時三年間……」

部長「おーっ！じゃ、よろしく頼むわ」

兄「よろしくですっ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

………………………

部長「集合っ！」
ｷｭｯｷｭｯｷｭｯ
部長「今日から新入部員入りましたー。自己紹介宜しく」

兄「えと、2年3組の～兄ですっ。バスケは一年ぶりなのでブランクあると思いますが、よろしくっ……」

部長「うっし。じゃあアップからやってくんで、兄は見真似でやってみてくれー」

兄「はいっ……｣
ｷｭｯｷｭｯｷｭｯ

男バス1「よっ」

兄「あ、どもっ｣ﾋﾞｸｯ

男バス1「兄バスケ好きだったの？」

兄「あ、うんまぁ……」

男バス1「マジかマジかー、同じクラスでバスケ部の奴居なかったからテンションあがるわー」

兄「そうなんだっ」

男バス1「おうっ、よろしくっ！」

兄「よろしくっ」

男バス2「兄くんだっけ？ヨロシクー」

兄「よろしく…っ！」

………………………

兄「はぁっはぁ……疲れた……」

男バス2「バテバテじゃんー」

兄「運動久々なんでっ、はぁっ……」

男バス1「帰りコンビニ寄ってこうぜー。兄も行く？」

兄「いくっ……」

…………………
妹友「えっ兄君の誕生日？」

妹「うんー」

妹友「そっかそっかっ！じゃあプレゼント買わなきゃ！」

妹「うんー……でも何がいいかなぁ」

妹友「やっぱ兄君ならアニメ系っ？」

妹「そういうの詳しくないからなぁ」

妹友「そだなぁ……あ、うちちょっと提案！」

妹「なになに？」

妹友「えっとねー………」
……………………………
男バス2「お、ジャンプジャンプ」

男バス1「ワンピどうなったー？」

兄「めだかめだか……」

男バス1「お、それめだかボックス？」

兄「あ、うん……」

男バス2「それ●●いやつじゃねっ？」

兄「そんなにはっ……！！」

男バス1「●●ならあれだ、とらぶる好きだったわー」

男バス2「ウェーイ」

兄「あ……とらぶるなら今こっちでやってるよっ｣ｽｯ

男バス1「なにこれジャンプ？」

男バス2「分厚っ」

男バス1「おーまじじゃん！古手川やっぱいいわー」

兄「うんうんっ……」

男バス2「そろそろいこーぜ」

兄「うんっ」

男バス1「からあげクン買ってくわ」

男バス2「ういうい」
…………………
男バス2「でさー総選挙あれマジないってー｣ｽﾀｽﾀ

男バス1「こいつ板野好きだからイジけてる｣ｽﾀｽﾀ

兄「ははっ｣ｽﾀｽﾀ

男バス1「からあげクン一個やるわ」

兄「あ、ありがとっ」

妹友「……あっ！｣ｽﾀｽﾀ

妹「あ｣ｽﾀｽﾀ

兄「あっ」

妹友「兄君っ！」

兄「お、おぉっ」

妹「お兄ちゃん」

男バス1「知り合い？」

兄「妹とっ、妹の友達……」

男バス2「まじでっ！？超カワイーじゃん」

妹「………っ」

妹友「兄君、お友達っ？」

兄「あ、友達っていうか、……今日入ったバスケ部の……うん……」

妹友「兄君バスケ部入ったの！かっこいいーっ」

兄「う、うんっ……」

妹「おつかれさま」

兄「あ、うんっ」

男バス2「ヒュー！」

男バス1「やめろうっとうしいっ」

男バス2「あ、俺らこっちだから｣

兄「あぁ、そっかっ」

男バス1「また明日な｣ｽﾀｽﾀ

男バス2「じゃあなー｣ｽﾀｽﾀ

兄「おぉっ……じ、じゃあなっ！｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「ふー……」

妹友「兄君！」

兄「あっ、ごめん」

妹「できたんだね、友達」

兄「ぇあ……友達、かな？まぁ……うんっ……」

妹「やるじゃん」

兄「お……おぉっ！」

妹友「あのさ！明後日のことなんだけどっ」

妹「あ、うん……明後日」

兄「明後日っ？」

妹「お兄ちゃんの誕生日」

兄「あっ、あぁ！」

妹「お兄ちゃんの部屋で誕生日会しよっか」

兄「えっ……まじ、でっ……」

妹友「まじまじっ！」

兄「でもせっかく春休みになるしっ……遊びに行けばっ？俺なんかに時間使わなくっても……」

妹友「兄君の誕生日の方が大事だよーっ」

妹「うん」

兄「あ、あぁ……でも部活あるかもっ」

妹「何時？」

兄「その日は午前中……」

妹「じゃあお昼はあいてるね」

兄「あ、うん……」

妹「急に忙しくなっちゃったんだから」

兄「ごめん……」

妹「がんばってるから許してあげる」

兄「お、おぉ……っ」

妹友「プレゼント楽しみにしててねーっ」

妹「ねーっ」

兄「えっなに……プレゼント……」

妹友「ひみつです」

妹「ひみつです」

兄「あ、はい……」

妹「ケーキ買わなきゃね」

兄「お、俺コンビニのショートケーキがいいなっ……こないだの……」

妹「あんなのでいいの？」

兄「うんっ……」

妹友「おもいでの味なんだ～っ」

妹「妹友ちゃんってばっ」

妹友「じゃあうちこっちだから」

妹「うん、じゃあね」

妹友「ばいばいっ！」

兄「じ、じゃあ……」

妹「………｣ｽﾀｽﾀ

兄「………｣ｽﾀｽﾀ

妹「部活たのしかった？」

兄「うん……」

妹「そっか」

兄「キツイけどね……ブランクあるしっ……」

妹「今度お兄ちゃんが練習してるところ見に行きたいなー」

兄「やっ、やめてやめてっ！」

妹「えーなんでー」

ｶﾞﾁｬ
兄「ただいまー」

妹「ただいまー」

母「あらおかえり。一緒だったの？」

妹「うん」

兄「………っ｣ｿﾜｿﾜ

妹「お兄ちゃん、アニメみるの？」

兄「えっ……｣ﾋﾞｸｯ

妹「ふふっ、一緒にみせて」

兄「まじでっ」

妹「だめ？」

兄「い、いいよ……」

妹「やった」

母「あらあらうふふ」

……………………
ｷｭｯｷｭｯｷｭｯ
兄「はぁっ……ヘイパスパスっ……」
ｷｭｯｷｭｯ
…………………………
男バス1「またなー」

兄「おぉーっ」
………………………………
ｶﾞﾁｬ
兄「ただいまー」

妹友「おかえりなさいっ！」

妹「おかえり」

兄「あ……もう来てたの」

妹友「おつかれさまっ！ケーキにする？シャワーにする？それともー……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「えぇっ！！」

妹「妹友ちゃん」

妹友「冗談だよーっ」

妹「こっちこっち」

兄「俺の部屋……？」

妹「うんうん」
ｶﾞﾁｬ

妹友「じゃーんっ」

兄「うぉあっ！……か、飾り……」

妹「がんばったんだよ」

妹友「みてみてほら、これなんの絵かわかる？」

兄「て、天使ちゃん……っ」

妹友「あたり！うちが描いたんだよーっ」

兄「う、うまっ……」

妹友「うれしい！こっちは妹ちゃんが描いたんだよ！」

兄「ドラえもん……？」

妹「しらないもん」

兄「う、うまいっ……！」

妹友「このドラえもん超萌えるっ」

妹「うっさい」

兄「…………っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「じゃあ、はじめよっか」

妹友「うんっ」

ﾊﾟﾝｯ ﾊﾟﾝｯ
妹・妹友「お兄ちゃん、お誕生日おめでとーっ！」

兄「あ、ありがとーーっ！」

妹友「あはは、テンション高くなったー」

兄「目から変な汁が……っ」

妹友「じゃあ妹ちゃん、あれ」

妹「うん」

兄「なになにっ………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「よしょ……はい。お兄ちゃん、私たちから誕生日プレゼント」

妹友「どうぞっ」

兄「あ、ありがとうっ！なんだろ……結構箱大きい……｣ｶﾞｻｶﾞｻ

妹「…………｣ｿﾜｿﾜ

兄「んーっ？………おあぁっ！！こ、これっ｣ﾄﾞｷｯ

妹友「えへへ」

兄「うぃっ、う、憂ちゃんのフィギュアっ！！どしたのこれっ！」

妹「妹友ちゃんと相談して、お小遣いだしあって買ったの」

兄「でもこれ結構高いんじゃ……！」

妹友「喜んでもらえたかな？」

兄「う、うんっ……やば、嬉しすぎてっ……あぁっ……｣ｳﾙｳﾙ

妹「フィギュアデビューだね」

兄「うんっ！！！あぁっありがとうっ！！！」

妹友「めっちゃうれしそー」

妹「きもちわるいなぁ」

兄「だ、だってこんなっ、念願だしっやばい……から…っ……」

妹「憂ちゃんってそんなにかわいい？」

兄「うんっ……あ、いやそんな……か、かわいい、けど……」

妹「……私は憂ちゃんみたいに完璧じゃないし、お兄ちゃんにひどいことも言っちゃうけど……」

兄「えっ……」

妹「でもお兄ちゃんを想う気持ちは、憂ちゃんにも、負けてないから｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「はっ！……ぇぁ…うんっ……あ、ありがとうっ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「お兄ちゃんっ｣ｷﾞｭｯ

兄「っ！！｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「んっ……ちゅっ」

兄「んむっ！｣ﾁｭｰ

妹「っ！んむぅっ｣ﾁｭｰ

妹友「んーっ｣ﾁｭｰ

兄「ん～っ！｣ﾁｭｰ

妹「っぱはぁ……い、妹友ちゃんっ！」

妹友「ご、ごめ、ごめんっ！見てたらたえられなくってぇ……」

妹「ふいうちはずるい」

兄「ぁ…っ…2人っいきなりっ、ぇ………」

妹友「ほ、本当の誕生日プレゼントはこうしようっ、て……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「いくらなんでも2人同時に口なんて無理ありすぎだよーっ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「は……はぁ…………」

妹「びっくり……？」

兄「びっくり………」

妹「…………っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「………っ…｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「っ…………｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「へ、へんな空気っ！」

妹友「はぁうぅ………」

妹「ケーキたべようよケーキっ」

兄「あ、う、うんっ……イチゴ……」

妹「こないだのねっ！うんっ……」

兄「う、うまそうっ！」

妹「うん……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「……おいしそ……」

妹「はい、じゃあこれお兄ちゃん」

兄「ありがとっ……」

妹「うん……あ、イチゴよかっ」

兄「イチゴたべるっ？」

妹「へっ」

兄「い、イチゴ好きだろ？」

妹「うん……あ、だけどお兄ちゃんも」

兄「俺のあげるっ」

妹「えっ……」

兄「あーん」

妹「ぁ、あーん……｣ﾊﾟｸｯ

兄「………っ｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹「おいし……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

兄「うんっ……」

妹「ありがとぉ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

妹友「うー……」

妹「はっ！」

妹友「あーんして！」

妹「わ、わたしっ？」

妹友「あーんっ！」

妹「あーん｣ﾊﾟｸｯ

妹友「んうー……」

妹「あはは、おいし。ありがと妹友ちゃん」

妹友「うーっ」

………………
ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ
妹「お兄ちゃんのまけーっ！」

兄「うわーくそーっ」

妹友「兄君よわーいっ」
…………………………………
妹「そろそろ暗くなってきたね」

妹友「うん……じゃあそろそろかえろっかな」

兄「おぉ……今日はありがとっ！」

妹友「ふふっ」

兄「ほんとにっ！」

妹友「いいなー妹ちゃん」

妹「へっ」

妹友「こんなかっこいいお兄ちゃんがいてさ」

妹「う、うん……っ」

妹友「でもでも、うちも兄君のこと大好きだからね」

妹「えぇっ！」

兄「ええぇっ！！」

妹友「ほんとにほんとに……妹ちゃんに負けないくらいっ！」

妹「……ま、負けないよっ……私だってっ……」

兄「えぇぇえっ！」

妹友「あははっ、明日も遊ぼうね、妹ちゃんっ！」

妹「うんっ！」

妹友「じゃあばいばい！」

妹「ばいばいっ！」

兄「ばいばい…っ」

妹「……ふぅーっ」

兄「………あ、あの……」

妹「なに？」

兄「今のっ……」

妹「へっ？あ、うん……好きだよ、お兄ちゃん」

兄「うぅっ………」

妹「驚いてる？」

兄「も、もちろん……ってか今日はほんとにありがとっ……」

妹「うん」

兄「………っ」

兄「あのさっ……」

妹「なに？」

兄「こんど……バスケの試合あって、出られるか、わかんないけどっ……」

妹「………」

兄「き、きてよっ！見にきてっ……こ、こい！」

妹「……ふふっ、……行ってあげるっ！」

兄「お、おぉっ！」

妹「よーしじゃあお家戻ろっか！」

兄「うんっ……あ、そういえばそろそろっ！」

妹「アニメ？」

兄「うんっ！……」

妹「きも」

兄「うぅ………」

妹「一緒にみよっか？お兄ちゃんっ｣ｷﾞｭｯ

兄「おっ………おぉっ！」
【おわり】