1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:12:34.47 ID:hjp0tq2X0
     ――未来ガジェット研究所――


紅莉栖「ハロー」


紅莉栖「……あれ、誰もいないのー?」

紅莉栖「珍しいわね、この時間に誰もいないなんて」

紅莉栖「ま、いっか……そのうち岡部が盛大にドアを開けて入ってくるでしょ」

紅莉栖「……もちろん、まゆりや橋田の可能性もあるけど……」


紅莉栖「誰か来るまでに、何か作ってようかしら?」

紅莉栖「岡部が作ってた未来ガジェットにでも手を加えてやろうかなー」

引用元: 紅莉栖「ラボメンが口を聞いてくれない……」岡部「……」 

 

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:16:37.36 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――

紅莉栖「……」

紅莉栖「フゥーハハハ!未来ガジェット完成だー!!」


紅莉栖「……」

紅莉栖「ついでに料理もしてみたゾ☆」


紅莉栖「……」

紅莉栖「はいはい、ワロスワロス。うはwwwこの>>1プギャーwww」カチャカチャ


紅莉栖「……」

紅莉栖「今何時だっけ?」


紅莉栖「……」

紅莉栖「誰も、こない」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:23:43.10 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「ま、まあこういう日もあるよね」

紅莉栖「岡部や橋田はこの時期だから、大学のレポートに追われてるのかな?」

紅莉栖「フフ、そのうち私に泣きついてくる姿が目に浮かぶわっ!」


紅莉栖「『助けてクリスティーナー!レポートが終わらないよー!!』」

紅莉栖「しょうがないなぁ岡部くんは、私がいないと何も出来ないんだから」

紅莉栖「『流石クリスティーナだ。……一生君のレポートが読みたい』」

紅莉栖「そ、それって…・・///」



紅莉栖「……」

紅莉栖「アホらし、帰ろ……」


紅莉栖「ま、ゆ、り、へ。今日は、どうしたのーっと……」メルメル

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:31:21.83 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――

   ――未来ガジェット研究所――


紅莉栖「ハァイ」

紅莉栖「……あれ?」

紅莉栖「ねぇー、誰かいないのー?」

紅莉栖「……」


紅莉栖「おかしいな……。
     この時間なら、一昨日までは毎日のように誰かしらラボにいたのに」

紅莉栖「みんな忙しいのかしら……まあ、私も忙しい時はラボに来れなかったしね」

紅莉栖「でも、まゆりはもう夏休みだから暇なはずじゃないのかしら……」

紅莉栖「……ううん、まゆりにもまゆりの事情ってものがある。決めつけるのは良くないわ」

紅莉栖「そう、まゆりは今年で受験だし、きっと何かで忙しいのよ……」


紅莉栖「だから昨日のメール、返事が返ってこないのもそのせいよ!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:39:35.32 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「今日は何して時間を潰そう……」

紅莉栖「……ここって、みんながいないと退屈なのよね……」

紅莉栖「開発室はガラクタだらけだし、研究設備も整ってないから何もできやしない」

紅莉栖「まったく、私だって自分の研究で忙しい時もあるんだから、
     こんな時くらい、私のためにラボを使いたい」

紅莉栖「これは岡部に言う必要があるわね!もっと設備を整えろー!!っと」


紅莉栖「……」

紅莉栖「誰かこないかな……」


紅莉栖「……」

紅莉栖「天才脳科学者だけど質問ある?……っと」カチャカチャ

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:46:19.52 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「何それwww馬鹿過ぎるwwwワロタwww」

紅莉栖「たまにはネットサーフィンでもするか……」カチッカチッ

紅莉栖「wwwwこれおもしろwwww」

紅莉栖「……」カチャカチャ

紅莉栖「プッ……」カチッカチッ

紅莉栖「ニコ厨プギャーwwwwww」

紅莉栖「……」カチャッカチカチ

     ――カチッコチ、カチッコチ、カチッコチ――

紅莉栖「……あ、もうこんな時間……」

紅莉栖「帰ろう……」


紅莉栖「岡、部、へ。おい、誰もラボに、こないから、暇な件について……」メルメル

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:51:55.82 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――

紅莉栖「グーテンモーゲン!」

紅莉栖「なんてねっ!」


紅莉栖「……あれ?」

紅莉栖(盛大にボケたのに……ツッコミどころか)

紅莉栖「また、誰もいない……」


紅莉栖「今日もいないの?……ううん、今日は絶対誰かしらはくるはず」

紅莉栖「統計して、今まで三日間誰もこなかったなんてことはなかった!」

紅莉栖「そのうちドアが開いて、また騒がしくなっていくんだから……」

紅莉栖「今の内に、この静かな時間を楽しまなくちゃ――」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 20:55:57.87 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「ヘイッ!」


―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「コンニチハー!」


―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「全員両手を上げろ!!」ガチャッバン!!


―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「フゥーハハハ!颯爽登場!!クリスッティーナ!!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:00:08.34 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「……」ガチャッ

紅莉栖「……」キョロキョロ


紅莉栖「今日で一週間……」

紅莉栖「誰も、いない……」

紅莉栖「なんで?……どうして?」


紅莉栖「メールは……」カチカチ

紅莉栖「来てない……一週間前から……誰からも……」


紅莉栖「……」

紅莉栖「……そうだ、たまには下に顔を出そう。綯ちゃんがいるかも……」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:10:46.33 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「こんにちはー……」

天王寺「いらっしゃ……あ?……なんのようだ?」

紅莉栖「え、あ、その」

紅莉栖(どうしよう、用事なんて特にない……。
     心なしか機嫌が悪そうだし、なんて言おう)

紅莉栖「えーっと……綯ちゃんいませんか?たまには会いたいなーって」

天王寺「いねぇよ。……用事はそれだけか?わかったら帰れ」

紅莉栖(仮にもお客さんに帰れって言っちゃうこのお店って……)

紅莉栖「……あ、あの、ミスターブラウンさん?」

天王寺「あぁ!?」

紅莉栖「……っ……、その、ラボメン……岡部たちって今何してるか知りませんか?」

天王寺「……」

紅莉栖「最近、ここに顔を見せてなくて、貴方でしたら何か知っていないかなーと」

天王寺「知らん」

紅莉栖「……そ、そうですか……失礼しました」

天王寺「……」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:21:37.24 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「当たり前よね。
     いくら家主とはいえ、たかだか一週間顔出さないからって、
     普段あんまり接しない他人の行動を把握してる人なんているわけない」

紅莉栖「そう、たかが一週間よ!みんな忙しいのよ……!」


紅莉栖「そうだっ!たまにはラボにいるだけじゃない、私がみんなの所に行けばいいのよ!」

紅莉栖「良い機会だから、いつものメンバーじゃないみんなの所に行けばいい!」

紅莉栖「ラボメンは岡部や橋田、まゆりだけじゃないわ」


紅莉栖「うん、今まで私だけで行動することはなかった……たまにはいいわよね」

紅莉栖「まずは……そうだ、柳林神社に行ってみようかしら」

紅莉栖「漆原さんに会いにいこう!
     ……もしかしたら岡部、まゆりのことも知ってるかもしれない……」


紅莉栖「よし、そうと決まれば善は急げね。作戦開始ッ!」



天王寺「……おい、もう出て来ていいぞ」

萌郁「……」綯「……」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:26:53.66 ID:hjp0tq2X0
     ――柳林神社――


紅莉栖「ここに一人で来るのは初めてね」

紅莉栖「……漆原さんはいるかしら」

紅莉栖(高校は、もう全面的に夏休みに入ってるだろうし、
     きっと用事で出かけてなければいるはず)

紅莉栖「いつもは大体いるらしいし、きっと今日だって……」




るか「……」サッサッ

紅莉栖「イターーー!!!」

るか「……っ!?」ビクッ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:32:23.39 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖(良かったー……今までの流れ的に、
     私が一人で神社に佇んで、
     途方に暮れてる姿が思いうかんじゃったけど、
     全然そんなことはなかったぜ!)

紅莉栖「あ、あの、こんにちは!漆原さん」

るか「……」


紅莉栖(あれ?)

紅莉栖「漆原さん?こんにちは、お久しぶりね」

るか「……」サッサッ


紅莉栖(え?)

紅莉栖「う、漆原さん?……もしもーし」

るか「……ゥゥ」サッサッ


紅莉栖「ねぇ……、漆原さん?」

るか「……」サッサッ

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:37:28.00 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「……」

るか「……」

紅莉栖「どうして無視するの?」

るか「……」


紅莉栖「岡部になんか言われてるの?」

るか「……っ……」

紅莉栖「ねぇ?だっておかしいもの。
     漆原さんは、そんなことする人間じゃないってことぐらい、
     私は知ってるつもりよ?」

るか「……」


紅莉栖「となると、こんならしくない行動を差し向けられるのは、たった一人しかいない」

紅莉栖「……岡部ね?」

るか「……ボクは、何も知りませぇんー!」ダダダッ

紅莉栖「あ、ちょっと!」


紅莉栖「……岡部か……」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:46:48.07 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「……なんとなく、違和感はあった」

紅莉栖「まるで、私を世界から疎外させてるような」


紅莉栖「っつーか、一週間もメールすら返ってこないとかおかし過ぎるだろjk」

紅莉栖「私がどれだけ連絡したと思ってんのよ」

紅莉栖「あの携帯電話がなければ厨二病をこじらせて死ぬような人間が、
     一週間も気が付かないなんてありえないし」

紅莉栖「岡部……あいつはダメね。何かしようと企んでるのなんてバレてるわよ?」


紅莉栖「次は、メイクイーン+ニャン2ね」

紅莉栖「あんまり乗り気じゃないけど……もしかしたらまゆりもいるかも!」

紅莉栖「後橋田も」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:53:12.27 ID:hjp0tq2X0
     ――メイクイーン+ニャン2――


紅莉栖「……うう、女一人でここに入るのか……」

紅莉栖「い、いや、別におかしいことじゃないわ!」

紅莉栖「最近はこういうとこも女の子に人気なんだって、まゆりが言ってたもん」

紅莉栖「……そうよ、それに友達に会いに来てるだけなんだから、
     どこもおかしいとこなんてない!」


紅莉栖「いざっ!」

     「「お帰りニャさいませ!ご主人様♪」」


紅莉栖「」

紅莉栖「……あ」



紅莉栖「フェイリスさん……まゆりぃ!!」

フェイリス「……」

まゆり「……」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 21:58:36.94 ID:hjp0tq2X0
フェイリス「……」シュッ

紅莉栖「ねえっ、まゆり?どうして最近ラボに顔――」


メイド「ご主人様~。お席はこちらにニャりますニャン♪」

紅莉栖「――えっちょっおま、ニャン♪じゃなくて――」

メイド2「一名様ご案内致しますニャーン!!」

紅栖莉「え?何っちょっはなして!まゆ、まゆり!?……フェイリスさんこれどういう――」

メイド3「ニャンニャーン」


フェイリス「……」

まゆり「……」


ダル「……」ニヤッ

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 22:07:35.00 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「……どういうことなんだ、これは」

紅莉栖「……明らかに、おかしい」

紅莉栖「いや、わかってた。
     ……岡部がかかわってるってことは、何かしらアクションがあることくらい」

紅莉栖「でも、話しぐらいさせてくれたって……」


紅莉栖「……と言いながら、
     メイクイーン+ニャン2を出てから、
     入口でまゆりとフェイリスさんが出てくるのを待っていたら、
     メイクイーン+ニャン2が閉店していたでござるの巻」


紅莉栖「どうしてこうなった、どうしてこうなった」

紅莉栖「でも、これで証明されたわ」



紅莉栖「私に起きてるこの事態は、全部岡部のせいだということがな!」

紅莉栖「あ、あの野郎……またくだらないことを考えついたに違いないわ……」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 22:15:25.92 ID:hjp0tq2X0
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「やはり来たか」

るか「……これでいいんでしょうか?」

フェイリス「今頃全部凶真のせいになってるだろうし、別にかまわないニャ」

岡部「全責任は俺が取る。お前らはこのまま続けてくれ」

萌郁「……毎日、牧瀬さんが現れるから……そのたびに隠れるのが辛い」

岡部「我慢しろ、それと見つかっても絶対口を聞くなよ?」

ダル「桐生氏なら大丈夫だろ常考」

岡部「全員だ!……いいか?あいつの勘はもの凄い、
    とにかく目も合わせない勢いでいけ」

ダル「オーキードーキー」



岡部「ククク……クリスティーナよ……思い知るがいい」

岡部「我らがラボメンの本気をな」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 22:31:33.07 ID:hjp0tq2X0
     ――未来ガジェット研究所――


紅莉栖「……で、今日も誰もいないっと」

紅莉栖「まあ、わかってた。……この方が考察しやすいからいいわ」

紅莉栖「さて、現時点で私の身に起きていることをまとめましょう」


紅莉栖「まず、約一週間前から、ラボメンが忽然とラボに姿を見せなくなる」

紅莉栖「最初は、みんな忙しいから顔を出さないんだと思った」

紅莉栖「でもこれはハズレ。……理由は漆原さんの反応と、まゆりが普通にバイトしてたこと」

紅莉栖「漆原さんは、私を、無視した。触れることもしなかった。
     ……神社を掃除するぐらいの思考能力と暇があるのに、私だけはゴミ以下の扱いをした。
     無理矢理問いただしたら、見事に反応した。反応したのは岡部の名前」

紅莉栖「次にまゆり。まゆりは普通にバイトしてた、
     これは一週間ラボに顔を出せなくなるほど、学校が忙しいという方程式を崩す」

紅莉栖「いつもはバイトしながら顔を出してるしね。
     そして、バイトがラボに顔を出せないくらい忙しいということもない」

紅莉栖「その証明は、昨日私が観測した状況。
     ……お客一人にメイド三人が出張るとか人余りすぎだろ……」

紅莉栖「よって、忙しいからという理由で、ラボに来ないというわけではない、という解にたどり着く」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 22:47:20.70 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「では何故ラボにこないのか」

紅莉栖「岡部やまゆり、ついでに橋田にも連絡した私に対して、
     返事は約一週間前から返ってこない」

紅莉栖「漆原さんは、岡部の名前に反応し、去っていった」

紅莉栖「フェイリスさんは、私は見逃してないわよ!
     ……メイドに連れていかれる時、何か合図をしてたように見えた」

紅莉栖「まるで、まゆり……ううんフェイリスさん自身からも私を遠ざけるように」


紅莉栖「おかしい……でもおかしいのは世界じゃない」

紅莉栖「ラボメンの行動がおかしいんだ」

紅莉栖「現に、ブラウン店長は私の呼びかけに答えてくれていた」


紅莉栖「そう、
     つまりラボメンが、ラボに顔を出さない理由は、

     私にある、

     という仮定に繋がる……」

紅莉栖「それを指示しているのが、岡部。指示してる内容は」

紅莉栖「私に対して――」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 22:58:33.23 ID:hjp0tq2X0


紅莉栖「ラボメンが口をきいてくれない……」岡部「……」



150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:02:25.66 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「――ということに繋がるなんらかの計画があるんだろう」


紅莉栖「……」

紅莉栖「……私のせい……私が何したっていうのよ……」グスッ


紅莉栖「じゃないじゃない、しょげてどうする!
     今はこの状況を作ったとされる岡部の思考を暴かなきゃ!」

紅莉栖「……私のせいで、ラボメンが顔を出してこないんだとしたら、
     私がそうなった理由に気が付かないとダメってこと」

紅莉栖「岡部が指示してこの状況になってるんだったら、
     岡部は私に対して怒ってる……とか?」


紅莉栖「いや、それだけじゃない」

紅莉栖「岡部の指示に、みんなが乗っかるくらいの、
     なんかしらの理由があるんだ」

紅莉栖「岡部個人が怒っているからって、みんなの態度が変わるなんてことありえない。
     だから、怒ってるとしたらラボメン全員に仮定されてしまう」

紅莉栖「それを念頭に入れて考えるとして、岡部が指示してる計画は……」


紅莉栖「わかんないよ……やめてよ……」グスッ岡部「……」

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:11:20.09 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「どうしよう……」

紅莉栖「岡部やみんなを怒らせることなんてしたかな……」

紅莉栖「全然思い当たらない……」


紅莉栖「いや、岡部だけなら考え付くかも……」

紅莉栖「いつも論破してるし、未来ガジェットもガラクタ扱いしちゃってるし……」

紅莉栖「ああ、そうだ……この前は岡部の作った未来ガジェットを勝手に改良して、
     喧嘩になったっけ?」

紅莉栖「でもあれだけで、みんなが私を無視するような、
     酷い計画に乗っかるなんてこと考えられない……」


紅莉栖「……ま、まさか元々私は嫌われてて……岡部が都合よく怒ってたから、
     こんな計画を実行に移した……とか?」

紅莉栖「岡部岡部って、岡部に捕らわれていたけど……」

紅莉栖「本当はみんなで考えた計画なんじゃ……私と口を聞かないって……」


紅莉栖「あ、なるほど。よくある虐めのパターンじゃないwwwつまりこれって」


紅莉栖「この計画って……」岡部「……」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:20:38.01 ID:hjp0tq2X0
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「――ああ、俺だ。計画はいよいよ最終段階に入る」

岡部「クリスティーナの調子はどうか?
    ……予定通り、順調に落とし込めているぞ」

岡部「ああ、後はこのまま時を待つだけだ。
    ……なに、いざとなったら俺がなんとかするさ」

岡部「大丈夫、計画に狂いはない。
    ……念のため、常に監視しているからな」

岡部「そうだ、そっちのことは任せたぞ。……俺のこと?気にするな」

岡部「責任なら俺が取ると言っているだろう?……何、その後の心配?」

岡部「ククク……フフフ……フゥーハハハ!!」

岡部「俺を誰だと思っている?俺は狂気のマッドサイエンティスト!!」

岡部「この計画を遂行することは、
    シュタインズゲートの選択により決められていることなのだ!!」

岡部「……おっと、そろそろ通信を切る。奴が動きだした」

岡部「それでは、そっちもぬかるなよ?――エル・プサイ・コングルゥ」

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:24:51.11 ID:hjp0tq2X0
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「ねぇ!漆原さん聞いて――」

漆原「……」ピューッ


―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「まゆり、フェイリスさん!私が悪――」

フェイリス「……」パチンッ

メイド「「「かしこまりましニャンニャン♪」」」


―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――


紅莉栖「桐生さんへ、最近、みんなが口を聞いてくれません――」メルメル

萌郁「……」ピローンピローンピローンピローン

204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:27:54.83 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「どうして……どうしてなの」

紅莉栖「私は……ここにいるのに……」

紅莉栖「ねえッ!!聞こえないの!?私……」


     紅莉栖「ここにいるんだよ!?」      岡部「……」




紅莉栖「……」

紅莉栖「まるで、世界に取り残されちゃってるみたい……」

218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:33:59.67 ID:hjp0tq2X0
     ――未来ガジェット研究所――


紅莉栖「……」

紅莉栖「今日で何日目だろう……」

紅莉栖「気が付くと、もう一週間もすれば、七月も終わっちゃう……」

紅莉栖「どうしてこんなことになっちゃったのかな……?」


紅莉栖「……パパも失って、仲間も失って……」

紅莉栖「大切な人からも疎外されて」


紅莉栖「今の私は独りぼっち……」

紅莉栖「こんなことなら、日本に戻ってなんてくるんじゃなかった」

紅莉栖「……ここにいても意味がない……」

紅莉栖「……もう、帰ろう……」

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:37:15.27 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「……ハァ……」


ダル「……」テクテク

紅莉栖「あれは、……橋田!?」


ダル「……!?」ダダ

紅莉栖「っ!?……待って、橋田ァ!!」


岡部「……あのバカッくそっ!」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:40:45.67 ID:hjp0tq2X0
     ―――――――――――――――――


紅莉栖「つ、つかまえたわよ!橋田!!」ハァハァ

ダル「ハァフゥー……ヒィー……」

紅莉栖「……さあ、洗いざらい喋ってもらおうかしら?」

ダル「……」フゥーフー


紅莉栖「喋らないってんなら、
     海馬に電極ぶっさしてでも記憶を読み取ってだな、ふひひ」

ダル(いやそれは死ぬだろ常考)


岡部「おーいダル!こんなとこにいたのかー」

紅莉栖「!?」

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:47:03.84 ID:hjp0tq2X0
岡部「捜したんだぞー?さあ、共にメイクイーンに行こうではないかー」

紅莉栖「岡部……あんた……」

ダル「お、おお!ごめんおオカリン。ちょっと寄り道してしまったお!」

紅莉栖「……岡部……どうしてこんなことするの!?」

岡部「まったくこいつめー!ほら、みんなが待っているぞー」

紅莉栖「……っ……ちょっと話しを――」

岡部「よーし、急ぐぞー」

ダル「待っておー!オッカリーン」


紅莉栖「岡部……ちょっと岡部……」


岡部「明日はラボメンの絆を確かめる大事な日なんだー!
    今日の準備を怠ってる場合じゃないんだからなダールー」

ダル「わかってるおーごめんおー」


紅莉栖「岡……部……」

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:53:14.79 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖(気が付くと、私は公園にいた)

紅莉栖(この公園にいると、なんだかとても懐かしい気分になる)

紅莉栖(特に思い入れがないはずなのに、私はここで一晩過ごしてしまった)

紅莉栖(気が付くと、朝だったのだ)

紅莉栖(公園の滑り台、その階段に座って……)


紅莉栖「岡部……」

紅莉栖「私が何かしたんだったら、謝るから……」

紅莉栖「だから、喋って……会話してよ……」

紅莉栖「私を見てよ……相談に乗ってくれた時みたいに……」


紅莉栖「……相談ってなんだっけ?思い出せないや……」

紅莉栖「もう……嫌よ……」

紅莉栖「大切な人が、いなくなるのなんて……」


     ――メールを受信しました――

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:55:01.58 ID:hjp0tq2X0
紅莉栖「メール……だれ?」

紅莉栖「知らないアドレス……」


紅莉栖「ラボに……こい?」


紅莉栖「ラボって、あのラボよね?」

紅莉栖「何……どういうことなの?」

310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/24(日) 23:59:56.98 ID:hjp0tq2X0
     ――大檜山ビル前――


紅莉栖「着いちゃった……」

紅莉栖「ブラウン管ショップは閉まってる……当たり前か」


紅莉栖(もう、ここには私に居場所はない……)

紅莉栖(それなのに、何を求めて私はここに来たんだろう)

紅莉栖(ううんそんなのはわかってる。失いたくないから)

紅莉栖(忘れたくないから、ここにいたことをみんなを、岡部を)


紅莉栖「だから、何かあるんだっていうなら、私は何をしてでもここにたどり着く」

紅莉栖「……」ゴク

紅莉栖「……開けるわ!」ガチャッ

368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:01:39.54 ID:OQvIKoV50


     「「「「「「「「パッピーバースデイ!!紅莉栖!!!」」」」」」」」





紅莉栖「……え?」

440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:06:55.16 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「……何……何これ?」


岡部「フゥーハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

ダル「マジオカリンのテンションは異常」

綯「お父さーん、私眠いよー」

天王寺「おい、岡部!なんでこんな朝早くから決行したんだオラ!!
     普通こういうのは夜やるもんだろうが!?」

岡部「い、いえね、ミスターブラウン?……やむにやまれぬ事情があったというか」

フェイリス「急ピッチの作業だったのニャ」

るか「あ、あの、すみませんでした牧瀬さん!!」

まゆり「クリスちゃーん!!おめでトゥットゥルゥー♪」

萌郁「……おめで、と」


紅莉栖「え、え?」

489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:13:45.51 ID:OQvIKoV50
岡部「フゥーハハハ!……つまりそういうことだクリスティーナよ!」

紅莉栖「……」


岡部「聡明な観測者にはお気づきだろうが、このための計画だったということだ。
    記憶したか?」

紅莉栖「……」


岡部「まゆり、あれを持て」

まゆり「はーい、どぅるるるるるるるる、じゃかじゃん!!」

no title

517: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:20:54.53 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「ドッ……キリ……?」


岡部「この計画、苦労したぞクリスティーナよ」

ダル「しかも当日いきなり、
    『紅莉栖がヤバい!作戦決行は早朝行う!各自ラボに来られたし』とか、
   みんなを集め出したから、てんてこまいだったお」

岡部「お前があそこで見つからなければ、計画は順調に進んでたんだぞ!
   ……余計な芝居さえなければ、なんとかなっていたんだ」


るか「ごめんなさい、ごめんなさい……ボクもう心が痛くて……」

フェイリス「ごめんニャー、クーニャン。でも、クーニャンは勘がいいから……」

萌郁「……全ては、岡部くんの責任」

552: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:26:25.81 ID:OQvIKoV50
まゆり「クリスちゃん」

紅莉栖「まゆ――」ギュッ


まゆり「ごめんね?でもオカリンはクリスちゃんに、喜んでもらいたかったんだよ?」

紅莉栖「……でも、ひどいよ……私」

まゆり「クリスちゃんは勘がいいから、中途半端にすると気付いちゃうって、
     だから驚かせるためには仕方なかったんだって」

紅莉栖「……ぅぅ」

まゆり「だからあんまりオカリンを責めないであげてね?
     さっきまでオカリンすごかったんだよー?」

589: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:34:44.53 ID:OQvIKoV50
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「どうしよう、紅莉栖の奴、公園に座ったまま動きやしない」

まゆり「オカリーン……どうするのー?
    まゆしぃは我慢してきたけど、このままだと怒るからね?」

岡部「いや、だが、ここまで来て計画を頓挫されることなど……」

まゆり「計画とクリスちゃんのどっちが大事なの?
    ほら見てオカリン。
    ここにバナナがあるでしょー?」

岡部「バナナがあるけど、それがどうした?」

まゆり「数分後のオカリンの姿だよ」モグモグ

岡部「ゾクッ……いや、どういう意味だよ!?ってそんなこと考えてる場合でなくて――」

ダル「やっぱこの計画自体まずかったんじゃね?
   牧瀬氏これ知ったら、オカリンの命ないよ?」

岡部「で、でもこうでもしないとドッキリできないだろうが!?」

ダル「あーあ、ほら見ろよアレ。……牧瀬氏かわいそーに」

岡部「あばばばばば。……作戦変更を伝達する。心して聞け――」

614: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:40:59.12 ID:OQvIKoV50
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「……ちょっとクリスティーナの様子見てくる」

ダル「ってさっきも行ったじゃねーか!準備をさぼるんじゃねーお!!」

岡部「しかしだなぁ……」

フェイリス「今はモエニャンが見張ってるから大丈夫なのニャ」

まゆり「……ほんとは一番寂しがってるのはオカリンだもんねー?
    これが終わったら、クリスちゃんにちゃーんと謝るんだよ?
    誠意を持ってね♪」

岡部「……我慢できん!行ってくる!!」



ダル「ツンデレとツンデレのカップルって、マジめんどくさいよね」

るか「岡部さん……カワイイですね」

630: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:47:15.00 ID:OQvIKoV50
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「紅莉栖どうなっただろう……紅莉栖」

ダル「うぜぇーーー!!
   徹夜で頑張ってる僕らを労いもしないリア充は氏ね!!」

岡部「だってお前、なんであいつ帰ろうとしないんだよ?
   あれじゃ風邪をひいてしまうだろ……」

まゆり「ふわぁ~……まゆしぃはもうダメなのです」Zzz


岡部「あ、ちょ、まゆり?お前が寝たら装飾品が……」

るか「ボク、牧瀬さんに夜食を持っていきましょうか?」

岡部「うむ、そうだな。そうしてや――ってそれじゃ意味がなくなるだろう!?」

ダル「もうおまいは何がしたいんだ、と」

岡部「あああああ急ぐぞラボメンたちよ!一刻も早く仕上げるのだ!!」

641: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 00:54:25.48 ID:OQvIKoV50
     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐


まゆり「――すごい心配して、クリスちゃんのことだけを考えた結果が、
    この作戦だったんだよ」

紅莉栖「……ぅん」

まゆり「だから、あんまり責めないであげてね?」


ダル「百合フィールドに心が癒されますた。
   今日はこの時のためだけに生きたと言えるお」

岡部「さあ、我が助手ことラボメンナンバー004クリスティーナよ!!
   このラボメンの絆を確かめた日を、共に祝おうではなぁいか」


紅莉栖「まゆり……?」

まゆり「なぁに、クリスちゃん?」


紅莉栖「私、みんながいて良かった」

658: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:01:40.17 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「私はここにいてもいいんだって、そう思えた」

紅莉栖「すごく悲しかったけど、苦しかったけど」

紅莉栖「それだけ、今の私にとって、
     ラボメンは無くてはならない大切な人たち、
     このラボは大切な場所だってことが、実感できたの」

紅莉栖「だから、責めないよ?

     ……みんな、ありがとう!
     それとごめんなさい……私はみんなを少しだけ疑ってた」


紅莉栖「みんなにとって、私なんていないほうがいいんだって、
     私のことは嫌いなんだって……」

紅莉栖「ごめんなさい……疑って……」


岡部「フッ……紅莉栖」

紅莉栖「岡部」

岡部「俺たちとって、お前は無くてはならない存在。
   みんなお前にいてほしいと思っているぞ?」

岡部「そして俺も……忘れたのか?

   ……この世界はお前のためにあるようなものなのだ!」

662: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:04:07.41 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「うん」


岡部「わかったな?わかったら、
   いつものクリスティーナに戻るのだな!
   お前がそんな調子だと、
   俺の調子が狂うんだ。
   居心地が悪いんだよ。
   だから、紅莉栖は助手として、我がラボの頭脳!
   クリティーナとして存在し続けろ!

   これは俺との、約束だぁッ!!

               ―――フゥーハハハ!!!」

紅莉栖「うん……岡部、あのね?」


ダル「イイハナシダナー」

667: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:05:56.07 ID:OQvIKoV50


紅莉栖「それでも、お前だけは許さない」




岡部「あれ?」

691: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:11:21.99 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「お前、今のでまとめられたとでも思っているのか……?」

岡部「いや、なに……その、アレだな」

紅莉栖「おい、私を放置した日数を数えて見ろ、え?」

岡部「だからね……助手は勘が鋭いから、念入りに仕込みをしないといけなくて……」

紅莉栖「……本当にそれだけか?」

岡部「え?」

紅莉栖「……あんたはこう思ったんじゃない?」

    普段の恨みも兼ねて、私の凹んでる姿も見てみた、とか……」

岡部「い、いや?そんなことはな――」


フェイリス「凶真は嘘をついてるニャ♪」

ダル「……イイハナシカナー?」

716: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:23:08.50 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「納得がいったわよ、狂気のマッドサイエンティストさん?」

紅莉栖「こんだけ長い期間をかけての計画も、
     まゆりに聞いたあんたの動揺っぷりも」

岡部「……」

紅莉栖「そりゃそうよね?
     ドッキリ計画とか言って、私のことを順調におちょくってたら、
     予想以上に凹んだ姿を見たあんたは、
     そのヘタレ根性でいてもたってもいられなくなったと」

岡部「……」

紅莉栖「わかる、わかるわよ?やりすぎたって思う気持ちは、痛いほどね」

岡部「はい」


紅莉栖「責任は」スタスタ

岡部「……」

紅莉栖「とって……」バチ

岡部「許してくれ……出来心だったんだ!謝る……謝るからッ」

紅莉栖「くれるのよね?」バチバチバチ

岡部「命だけは――」

725: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:27:58.46 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「おおおおおかべえええええええええええ!!!!」

岡部「うわっうわうわああ、うわあああああああああああ」


スレ 紅莉栖「ラボメンが口をきいてくれない……」岡部「……」

    Steins;Gate―シュタインズ・ゲート―創造生誕のメランコリィ

        
no title

753: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 01:35:34.94 ID:OQvIKoV50
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


岡部「……あのときの俺に言ってやりたい!

    ――……迂闊な真似をするなと!

    ――……軽率な真似をするなと!

    ――……見て見ぬフリをするなと!

    ――……もっと注意を払えと!」

ダル「それで?結局渡しそびれたその誕生日プレゼントはどうするんだお?」

岡部「……次の記念日に渡す」

ダル「は、何それ?どゆこと??」


岡部「今年もまた、あの夏がやってくる」

岡部「それを抜け出た記念日だ、それもシュタインズゲートの選択だよ」

岡部「エル・プサイ・コングルゥ」


                             おわれ

797: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:18:05.84 ID:OQvIKoV50
『……お前は、1年もしないうちに』

               『再び……と向き合うことになる』


『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート― 魔法少女のエントロピー』
お試し

800: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:20:40.81 ID:OQvIKoV50


「全話一挙配信キタァァァァァアアアアアア!!!!」

「フゴッ!?」


突然の大声がラボに鳴り響いた。
その声に体はビクンッと跳ね、気持ちよく昼寝をしていた俺はその声に叩き起こされる。
何事だ!?と辺りを見回す。
目に映るのは二つの光景。
一つは快晴による日の光が充分に射し込んだ綺麗なラボ。
もう一つは椅子がひっくりかえるんじゃないかと思うほど、
背を預け両手を掲げグルグルと椅子ごと回っている醜いダルの姿が映る。
ふざけんな。


岡部「おいダル!うるさいぞ!!我が眠りを妨げるとはどういう了見だ?静かにしろ!!!」

ダル「だが断る!これが静かにしてられるかお!!
   あの神アニメがニコニコで全話一挙無料配信とか胸が熱くなりすぎて世界がヤバい!」


お前がヤバいだろ……。


岡部「落ち着け!何をそんなに熱くなることがある?
   アニメが全話配信されるぐらいでそこまで大声を張り上げることか?
   わかったら静かにしてくれ……徹夜明けで俺は眠いんだよ……後お前いつからニコ厨になった?」

801: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:21:54.50 ID:OQvIKoV50
昨日と今日をまたいで、
新たな未来ガジェット制作に貴重な休みを使っている俺の苦労をわかってくれ。


ダル「オカリンはわかってないお!もはやアニメ史を超え、ネットを超え、社会現象になり、
   いずれは世界に羽ばたくこの神アニメをまた鑑賞できるなんて……。
   僕はニコ厨になってでも見るのを止めない!!
   プレミアム会員にもなる覚悟が完了してるお!」

岡部「またと言うからには以前やったアニメなんだな?ということは事前に全話録画済みなんだろ?
   だったら家でもラボででも、いつでも見ればいいではないか。そんな騒ぐようなことか?」

ダル「駄目だぜ!全然駄目だオカリン!確かにいつでも録画したものは再生できるお……。
   でもな!みんなで一斉に見る時間は再生出来ないんだよ!」


つまり……どういうことだってばよ?


ダル「僕達には!また!感動をリアルタイムで共有できる時間が!与えられたんだ!
   こんなに嬉しいことはない!」

岡部「わかった!お前の気持ちはよーくわかった!だから少し静かにしてくれ……」

ダル「だーかーらー!この気持ちを共有しようぜ!なあ!オカリン!!!」


スイッチの入ったダルは止まらない。
思えば数か月前もこんなダルを見た気がする。
あの時はテキトーに流したが、今の寝ぼけ眼の俺には流す力が湧いてこない。

804: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:24:36.40 ID:OQvIKoV50
ダル「オカリン……僕と契約して、魔法少女になってよ!!」


あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
『理不尽に睡眠を妨害されたと思ったら、魔法少女になれと言われていた』
何を言ってるのかわからないが、俺も何が起きてるのかわからねえ。
催眠術とかそんなチャチなもんじゃねえもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
ブン殴ってもいいだろうか。


岡部「ダル……貴様は我が――」


言葉を発するや否や、唐突にラボのドアが開いた。


まゆり「トゥットゥルー♪ダルくん何してるのー?遠くまで声が響いてたよー?」

ダル「あ、おかえりまゆ氏。今オカリンと魔法少女について語ってるんだお」


いや、「と」じゃないだろ……。
ダルが一方的に語ってるというか騒いでるだけだ。


岡部「まゆり、学校はどうしたのだ?」

まゆり「今日はね、午前中で終わったの。だから早めに来れたんだー」

806: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:25:57.89 ID:OQvIKoV50
まゆりは高校生だ。
休みの日を除いて普段は昼過ぎまではラボに顔を出せない。


まゆり「それよりも魔法少女ってアニメの『魔法少女まどか☆マギカ』ことー?
    オカリンもついに興味持ってくれたのかな?だとしたらまゆしぃは嬉しぃのです☆」

岡部「いや俺は魔法少女に何か興味もないし、アニメのことも全く知らん!
   さっきからダルが騒いでるだけなのだまゆり……なんとかしてくれ……」

まゆり「えー?そうなのー?オカリンもやっと興味を持ってくれたと思ったのにー?
    まゆしぃはがっかりなのです……」

ダル「だから今オカリンに魔法少女がなんたるかについて、
   レクチャーしようとしているところなんだお!」

まゆり「んーそれならまゆしぃも手伝うよ!
    まゆしぃもねーオカリンにも知ってもらいたいのです!」


さらば睡眠。俺の気持ちよく昼寝するという望みは絶たれた!


岡部「まゆり……お前は知っているはずだ。俺がそういうものには興味が湧かないことを!
   何故なら俺は狂気のマッドサイエン――」

まゆり「でもねーでもねー?すっごく面白いアニメなんだよー?
    オカリンも見たら絶対気に入ると思うなー」

岡部「いやだからな?俺は科学者であってだな……魔法何て非科学的な――」

808: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:27:11.36 ID:OQvIKoV50
ダル「奇跡も!魔法も!あるんだお!」


うるさい黙れ。
ダルはいつもおかしい奴だが、今日はさらに輪をかけておかしくなってるな。


岡部「大体ダルよ。お前がたかがアニメにそこまで熱が入るなんて珍しいものだな?
   普段はエロゲー三昧のHENTAIの癖にどういう風の吹き回しだ?」

ダル「HENTAIじゃないよ!HENTAI紳士だよ!後魔法少女はたかがアニメじゃない!」

岡部「じゃあなんだと言うのだ?」

ダル「人生……かな?」


そんな人生は死んでもゴメンである。
もうだめだこいつ……早くなんとかしないと。


ダル「そんじょそこらのアニメと一緒にされちゃ困るお。この僕ですら感動させるあのアニメは正に神!
   神は人生を僕達に見せてくれたんだ!これでもう何も恐くない!」

まゆり「あのねオカリン?ダルくんが言ってるのは嘘じゃないよ?
    まゆしぃもねー見てた時はすっごい感動してねーボロボロ泣いちゃったのです;;」

岡部「しかしだな……さっきから気いていれば、
    「感動した!」とか「泣いた!」とか平凡な感想ばかりではないか。
    これでは具体的な感動も伝わらなければ何が神なのかも全然わからんぞ?」

810: 理由あって試してる、スレの有効活用だ! 2011/07/25(月) 02:29:51.24 ID:OQvIKoV50
まゆり「それはねーアニメを見ればわかるよオカリン☆」

ダル「この感動を教えたらネタバレになるしな。
   だからさオカリン。僕と契約して魔法少女を見ようよ!」


つまり、「感想を知りたいならアニメを見ろ」ということか?


岡部「だが断る。別に俺は元々興味も無いし、感想も聞きたいわけではないしな」


ただ静かに寝させて欲しかっただけだ。


まゆり「えー?それじゃ興味持ってもらえないよー!一緒に見ようよオカリンー?」

ダル「あ、そうそう、まゆ氏まゆ氏!
   近々『魔法少女まどか☆マギカ』がニコニコで全話一挙配信するみたいなんだお。
   これはもうラボメン全員で見るしかないっしょ常考」


お前の常識はry


まゆり「わーすごいねー。これでオカリンも興味を持ってくれるよー☆」

岡部「って待て待て待て!何勝手に話を進めているのだ!?しかもラボメン全員でって……
   ここはアニメ鑑賞サークルではないんだぞ!?」

811: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:31:01.76 ID:OQvIKoV50
ダル「何だよオカリンーちっちぇなー。そんぐらい良いじゃんかねーまゆ氏?」

まゆり「ねー☆」

岡部「『ねー』じゃない!」


二人して「「ねー」」と首を傾げてる。
まゆりはともかく、ダルには殺意すら湧いてくるがそこはグッと抑えた。
そうこうしながら騒いでいると、再びラボのドアが開かれた。


「何騒いでるのよ?外まで聞こえてたわよー?魔法少女がどうだこうだって……」

岡部「おお!いい所に来たクリスティーッナ!何とかしてくれ!」

紅莉栖「だから私はクリスティーナじゃないし、ティーナを強調して呼ぶな……」


ブツブツ言いながらラボに入ってくるのは、
我がラボの頭脳(マイブレイン)でもある助手ことクリスティーナ。
生粋の脳科学者であり、今のこの状況を打開してくれる切り札がここで登場してくれた。
流石助手!そこに痺れる憧れる!


紅莉栖「で?さっきからいったい何を騒いでるのよ?」

岡部「聞いてくれ!こいつらが――」

813: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:32:26.89 ID:OQvIKoV50
まゆり「あのねー?今オカリンに『魔法少女まどか☆マギカ』っていうアニメを一緒に見よー?
    って話をしてるの」

紅莉栖「何?岡部ってそんなアニメに興味持つの?一体お前は幾つだよ……ホントHENTAIだな」

岡部「って話しを聞け!あのな――」

ダル「牧瀬氏牧瀬氏!「そんなアニメ」とは聞き捨てならんお!このアニメの素晴らしさも知らずに「そんな」、
   なんて枠組みに収めるのはやめてもらおうか!!」

紅莉栖「はいはいワロスワロス。橋田はいつでもキモオタ全開で逆に清々しいな」

まゆり「でもねでもねクリスちゃん?『魔法少女まどか☆マギカ』ってすごい面白いアニメなんだよ?
    ダルくんだけじゃなくて、
    色んな人がおもしろいーって言っててね、まゆしぃはクリスちゃんにも見てもらいたいなー」

紅莉栖「へえーまゆりも見てるんだ?
    魔法ねぇ……私はあんまり興味ないけどまゆりが面白いっていうなら見てみてもいいかな?
    っていうかまゆりはホント羨ましいくらい可愛いな」


ダル「……オカリン……僕とまゆ氏の何が違うって言うんだお……」

岡部「ここは俺に任せろダル……おい!クリティーナ!
   お前は『魔法少女まどか☆マギカ』を絶賛したダルを「キモオタ」と言ったが、
   それでは『魔法少女まどか☆マギカ』を絶賛したまゆりも「キモオタ」に部類されてしまうが、
   それでいいのか!?え?助手よ!」

815: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:34:17.71 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「ハァ?あんた何いってんの?
    まゆりは女の子なんだし、
     『魔法少女~』みたいな女の子向けアニメ見てても気持ち悪く何て見えないでしょ?
    それを橋田みたいなHENTAI男が鼻息を荒くして、
    女の子向けアニメの絶賛なんて気持ち悪いことこの上ないじゃない。
    それに私はオタクは別に良いことだと思ってるわよ?
    何かの趣味に対して熱を入れられることは素晴らしいことだもの。
    でも橋田の場合はその方向が間違ってるわけ。
    特に普段から女の子を変な目で見てる橋田が、
     『魔法少女~』なんて語ってたら誰だって「キモい」って思うわよ。
    ううん、「キモい」ですんでるだけまし。
    普段セクハラで通報されないだけ感謝してほしいくらいよ?」

岡部「でも……そ、それは偏見じゃあないか助手よ……」

紅莉栖「そうよ?悪い?
    でも橋田を「キモオタ」として見るからまゆりもそう見るなんてロジックにはならないでしょ?
    はい、論破。

    っで?岡部もついにその「キモオタ」への道を突き進む気になっちゃったわけ?」

岡部「な!?誰がキモオタだ!一緒にするな!!

   俺はこいつらのせいで昼寝を妨害され精神攻撃を受けていた所なのだ!
   断じて興味があるわけではないぞ!勘違いするなよ!」

823: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:52:25.64 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「ツンデレ乙。でもどーせ一緒に見る気だったんでしょ?だったらやっぱり突き進むんじゃない」

岡部「だから違うと――」

まゆり「あのね……まゆしぃはオカリンとクリスちゃんにケンカしてほしいわけじゃないのです……」

ダル「……僕の体はボドボドだ……オカリンも牧瀬氏も酷すぐるお……」


仲裁してくれたまゆりによって、
ヒートアップしていたラボのふいんき(何故かry)は沈静化していった。
ついでにダルへも軽く謝り、紅莉栖には今までの説明をして色々と納得?してもらった。


紅莉栖「ふーん……つまりそのアニメが全話一挙配信するから、
    ラボのメンバー全員で見ようって話しなわけね?」

ダル「要約乙!牧瀬氏も見ればきっと気に入ると思うお」

紅莉栖「んー……まあいいんじゃないの?暇な研究所なんだしそんくらい」

ダル「うはwww牧瀬氏の許可ktkr!もう何も恐くないwww」

岡部「恐くないじゃない!まだ俺は許可してないぞ!?」

紅莉栖「岡部だっていつも暇してるんだから付き合ってあげれば?まゆりが喜ぶわよ?」

まゆり「そうだよー?一緒に見ようよオカリンー」

824: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:53:37.61 ID:OQvIKoV50
岡部「暇じゃない!今日だって貴重な休日を使って未来ガジェット制作に力を入れていたのだ!
   そんなアニメを見る時間など、この狂気のマッドサイエンティスト!
   鳳凰院凶真にはないのだよフゥーハハハ!!」

紅莉栖「岡部の作る物なんかどうせガラクタでしょ?
    そんなことより普段まゆりに迷惑ばっかかけてるんだから、
    こんなときぐらいお願いを聞いてあげたらどうなの?器の小さい鳳凰院さん?」

岡部「ガ、ガラクタだと!?おのれ助手の分際で……というかクリティーナよ?
   やけにまゆりの肩を持つではないか?本当はお前がアニメを見たいだけなんじゃないのか?」

紅莉栖「な!?……別に私は興味ないけどまゆりや…ついでに橋田もどうしてもって言うんだから、
    僅かな時間ぐらい付き合ってあげればって考えてるだけよ。第一、私は科学者なのよ?
    魔法になんか興味をもったら自分で自分の存在を否定するようなものじゃない。」

ダル「奇跡も魔法もあるんだお!
   ……科学でしか自分を表現できないってんなら……まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」

紅莉栖「うるさい黙れ」


バッサリと切られるダルに対してちょっと可哀想だなと思ってしまった。
しかしこの助手、俺と言っていることが被っているぞ。


岡部「しかし助手よ。お前カー・ブラックホールの説明の時に、
   ミクちゃんクロちゃんで魔法少女の擬人化説明をしてたではないか。
   口では興味ないといいつつ、体は正直なのではないか?」

825: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:56:27.59 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「ちょ、捏造すんな捏造すんな!大事なことだから二回言いました!
    私はそんな説明したことないぞ!?」


あ、そういえばそうだった。


岡部「う、だが助手よ。お前夢の中では魔法使いキャラだったではないか?
   本当は魔法が使いたい願望とかあるんではないか?」  ――事実無根のラディカルメンバー。

紅莉栖「さ、さっきから何をいっとるんだお前は!?そんなに私に魔法の興味を持たせたいのか!?
     ってゆーか岡部の方こそそんな魔法魔法言って、見たがってるんじゃないか!?」


覚えてないというのは辛いな。しかし俺はしっかりと覚えてるぞ。


紅莉栖「お、おい!その薄ら笑いを止めろ!なに目を細めてるんだ!?」

岡部「いいんだクリスティーナ……いや魔法少女くりす☆ティーナよ!
   何も言わずとも俺にはわかる、だからもっと裸の自分をさらけ出してかまわんぞ」

紅莉栖「よし、わかった。喧嘩だな?喧嘩売ってるんだな?
    とりあえず今すぐ警察に通報してセクハラ容疑で訴えてやるから覚悟しろ」


そういうとマジで携帯を取り出してボタン押そうとしだす。
流石にからかいすぎたか?と慌てて紅莉栖をなだめる(主にまゆりが)。

827: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:57:51.20 ID:OQvIKoV50
まゆり「もーオカリン?あんまりひどいとまゆしぃも怒るよー?
    まゆしぃはもっとクリスちゃんとオカリンには仲良くしてもらいたいのです」

岡部「……すまん」

紅莉栖「……ふん」

ダル「それで結局オカリンも上映会には賛成ってことでFA?答えは聞いてない」

岡部「って上映会って何だ上映会って?なんだかどんどんランクアップしてないか?」

ダル「いやいや、ラボメン全員で見るんだから必然っしょ?PCの画面なんかじゃ小さすぎて、
   全員でなんか見れないお。後感動も薄れるし。ここはプロジェクター使ってドーンと上映会をだなー」

岡部「ドーンてお前……その機材はどっから持ってくるのだ?
   ラボにはないしそんなもん買う予算なんかないぞ??」

ダル「……こんなこともあろうかとぉ!自宅に機材一式配備してあるんだお!
   後はそれをラボに持ち込みさえすれば、未来ガジェット研究所は映画館に早変わりだお!」

まゆり「やったねダルくん!それはとっても嬉しいなって☆」

ダル「とっても嬉しいないただきましたー!
   うはwwwそうと決まればみwなwぎwっwてwきwたwおwwwwwさあオカリン!
   運びにいこうぜ!」


おいマジかよ……夢なら覚め――

829: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 02:59:41.98 ID:OQvIKoV50
もはや流れ(ビッグウェーブ)に乗ってしまったダルを止めることができずに、
俺はダルと共に機材を運び込むことになるのだった。
何も今日運び込むことはないんじゃないか?と疑問を投げたのだが、
ダル曰く――


ダル「今日やることから逃げたら、明日はもっと大きな勇気が必要になるお(キリッ」


と聞く耳持たずの精神で、今のダルには何を言っても無駄のようだった。
そして、まゆりと紅莉栖はラボ待機。
正直まゆりぐらいは手伝ってくれてもいいんじゃないのかと思ったのだが、
紅莉栖が許可を出してくれなかった。理由は……言わなくてもわかるだろう。

そんなこんなで、
なんと、ダルの自宅を二回往復して機材をラボに持ち込んだ。
今日という時間はアッというまに過ぎ去り、
俺の貴重な休日は泡のように消えてしまったのである。
次の日から、俺とダルは大学へ行きながらバイトしつつ、
ラボの資金のためにコツコツと稼ぐ作業が始まり、
まゆりも学校とバイト、紅莉栖は日本の研究施設に籠りっきり、
各々次の休日までは忙しい毎日を過ごしていた。
その間に俺は他のラボメンに連絡を取り、
全員集まれる休日を決め、その日に円卓会議を開くことになるのだった。


岡部「諸君!今日集まってもらったのは他でもない!
   例の作戦を実行するに当たっての作戦概要についてを議題とする!」

831: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:01:24.15 ID:OQvIKoV50
ルカ子「まゆりちゃんから聞きました。皆さんで、アニメをみるんですよ…ね?」

フェイリス「ニャー凶真がアニメを見るのにこんな作戦を立てるのなんて珍しいのニャー」

岡部「う、うーむ誠に不本意だが、
   今回はラボメンナンバー002まゆりと003ダルたっての願いでもあり、
   このような形の会議となった!
   しかぁし!取り組むからには諸君らに全力で事に当たってもらいたい!
   そのために、まず、まゆり参謀本部長から意見があるそうだ。皆心して聞くように!」

まゆり「はいはーい!えーっとねぇ、まゆしぃはですねー?
    みんなにコスプレをしてもらいたいのでーす☆」

萌郁「……コス……プレ……?」

ルカ子「え?……あのまゆりちゃん?コスプレとアニメを見るのにはどんな関係が?……」

まゆり「あのねー?まゆしぃはせっかくだからみんなが魔法少女のキャラになりきりながら見たら、
    おもしろいんじゃないかなーって思ったの」

紅莉栖「まゆり?
    そ、それってそのアニメの登場人物達が『魔法少女』に変身した姿のコスプレをするってこと?」

まゆり「そうだよー」

紅莉栖「……ちなみにその登場人物達って何歳の設定なの?」

まゆり「んー?中学二年生ぐらいかなー?」

萌郁「……中学……生……」

834: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:03:28.26 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「そ、まゆりそれはちょっと……何ていうか私達にはキツイんじゃないの?」

まゆり「?何でー?きっとみんな似合うと思うなー」

ルカ子「あのぉ……それってボクも入ってるの?……」

まゆり「もちろんだよー☆るかくんはねーさやかちゃんが似合うと思うな」

ルカ子「それってぇ……女の子だよね?……まゆりちゃぁん……」

フェイリス「フェイリスは全然OKだニャー!
      ……フフフついにフェイリスの魔法をお披露目する時が来るのかニャー?」

萌郁「……写真……撮らせてくれるのなら……やるわ……」

まゆり「いいよいいよーもえかさんもフェリスちゃんもOK貰えたし、
    これは期待してもいいのかなぁー☆えっへへ~っ」

紅莉栖「ちょ、ちょーっと待って!まだ私はやるなんて言ってないわよ!?」

ルカ子「ぁの……ボクも……コスプレはぁ……」

フェイリス「じゃあここは多数決で決めるってのはどうかニャ?
      奇数で丁度いいし公平に決まるのニャ!」

岡部「よし!ならばコスプレをするのに賛成のものは挙手をしろ!」


結果は……。
ダル、萌郁、フェイリス、まゆり、そして俺の満場一致で――

837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:05:00.83 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「――ちょぉおおおおおっと待ちなさいよ!何ぞこれ?どこが公平なのよ!」

岡部「うるさいぞ助手よぉ。多数決で決まったことにあれこれ言うのはマナー違反というもんだ!」

紅莉栖「ふ、ふざくんな!こんなの最初っから決まってたようなものじゃない!
    異議を申し立てるわ!」

岡部「その異議を主催者権限により却下する!!」

紅莉栖「岡部ぇええ!……大体あんたと橋田は男なんだからコスプレ関係ないじゃない!
    抜けなさいよ!」

岡部「おやぁ~?俺とダルが抜けても三対二でコスプレ賛成派の勝ちだが……?
   まだ何かあるのかなぁ~ん~助手よ?」

紅莉栖「ぅ……そ、そうだ!綯ちゃん!綯ちゃんも入れてもう一度多数決を取りましょう!?」

岡部「いや小動物はラボメンでもないし…そんなことしたらミスターブラウンが黙ってないわけで……」

紅莉栖「何言ってんの!ラボメンじゃないから入れてあげないなんて可哀想だと思わないの!?」

ダル「牧瀬氏牧瀬氏ぃ?一応『魔法少女まどか☆マギカ』って深夜アニメなんだよね?
   しかも配信されるのは夜からだから一緒に見るのは無理だと思われ」

紅莉栖「橋田は黙ってて」

ダル「」

838: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:06:27.71 ID:OQvIKoV50
フェイリス「ニャ~クリスティーニャンは往生際が悪いのニャ。
      観念してフェイリス達と一緒にコスプレするニャアン!」

紅莉栖「私はクリスティーニャンじゃない!私はもう19歳になるのよ!?
    それなのに魔法少女ってなんぞ……無理にきまっとろーが……」

萌郁「……私……21……」

ダル「牧瀬氏必死だな(笑)」

紅莉栖「うるさい!……ねえ漆原さんも嫌なのよね?何か言ってやってー!!」

ルカ子「ぁ……ボクも……その……コスプレはぁ――」

岡部「ルカ子よ!鳳凰院凶真の名において命ずる!清心斬魔流の修行と思いコスプレせよ!!」

ルカ子「ぇ?……ぇええ!?岡部さ……でもぉボクぅ……」

まゆり「るかくんるかくん……オカリンはね~?
    きっとるかくんのコスプレ姿が見たいんだよー?」

ルカ子「え……そうなんですか岡べ…凶真さん?」

岡部「……え?……ぁ、ああ!そうだともルカ子よ!
   俺はお前のコスプレ姿が見たい!!!」

紅莉栖「お、お、おおおかべあんたおかおか岡部ぇぇええ!!!」

ルカ子「…………ボク……じゃぁ……ゃります」

840: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:07:39.16 ID:OQvIKoV50
岡部「よーし!これで決定だ!!もはや異論はあるまい助手ぅ?」

紅莉栖「……ゃ……やってられるかあああ!私は自分の部屋に帰らせてもらう!」

岡部「それは死亡フラグだぞ助手よ。それにお前にこの作戦への拒否権はない!
   何故ならばこの作戦はお前が『まあいいんじゃないの?』とか言った所から始まってしまったのだ!
   今更逃げようたってそうはこの鳳凰院凶真は許さん!観念しろ!」

紅莉栖「……だ、だってぇ、どんな罰ゲームよこれぇ?馬鹿なの?死ぬの?」

まゆり「クリスちゃんクリスちゃん?
    まゆしぃはね、クリスちゃんがコスプレしたらとってもかわいいと思うなぁ」

紅莉栖「そ、そんなの気休めよ……まゆりやフェイリスさんは可愛いし、桐生さんは美人だし、
    漆原さんはこんなかわいい子が女の子のはずがないだし、私なんて……」

岡部「まあそう自分を卑下するな助手よ。その容姿を持ちながらコスプレが罰ゲームなどと言えば、
   世のコスプレイヤーが暴動を起こしかねんぞ?」

フェイリス「そうだニャー!クリスティーニャンはもっと自分に自信を持つべきだニャ!」

紅莉栖「コスプレは別にいいんだけど…でも魔法少女ー☆の格好なんて……。この歳で……」

萌郁「……私は……嫌じゃない」

紅莉栖「ぅぅぅ……」

まゆり「大丈夫大丈夫!クリスちゃんはねぇ~きっとほむらちゃんがピッタリだと思うな!」

842: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:09:44.81 ID:OQvIKoV50
フェイリス「あぁ~!わかる!わかるニャ!クリスティーニャンはほむほむがピッタリだニャ」

ルカ子「ぁ……ボクもそう思います……」

萌郁「……私も……そう……思う……」

岡部「ん?何だ?俺と助手以外は全員視聴済みなのか??」

フェイリス「もちろんニャ。魔法少女は見逃せないアニメだったのニャー」

ルカ子「ボクは……まゆりちゃんに進められて……」

萌郁「……私も」


つまり、この作戦は俺と助手のためにあるようなものなのか?
まあ、ダルも言っていたが皆で見ることが重要と言っていたし、気にしないでいいか。


ダル「うへ……フェイリスたんの変身……バンク……全裸……うへへ」

岡部「ダルよ、目的を見失うなよ?この作戦はコスプレを披露するためにやるのではない!
   来たるべき「機関」との対話のために、我々ラボメンの視野を広げるための作戦なのだ!
   そう!科学と魔法が交差する時、物語は始まるのだッ!」

まゆり「紅莉栖ちゃんはほむらちゃんでー、るかくんはさやかちゃん!
    フェリスちゃんはまどかちゃんかなぁ?もえかさんはぜーったいマミさん!
    そうなるとまゆしぃはあんこちゃん?
    えっへへ~もう楽しみすぎて待ちきれないよぉートゥットゥルー♪」

844: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:10:52.56 ID:OQvIKoV50
ダル「『あんこ』、じゃなくて『きょうこ』だお!そこを間違うのはまゆ氏でも許さない!」

フェイリス「フェイリスはまどか役はマユシィがいいと思うのニャ。
      あの可愛さにマユシィはピッタリだと思うニャ?」

まゆり「えぇ~?そうかなあ?」

ルカ子「ボクも、まゆりちゃんがまどかちゃんになると似合ってると思うな?」

まゆり「え、えっへへ~何だか恥ずかしいのです」

フェイリス「フェイリスがあんこ役をやるのニャ。……食うかい?」

ダル「ありがとうございます!いただきます!!あんこちゃんはもう許した(キリッ」


こうしてラボメンガールズはコスプレをしながら視聴することが決定した。

それに何の意味があるのか俺にはまったくわからないが、
我らがまゆりさんはとてもご満悦状態なのでもはや語るべきことはないだろう。
すでにコスプレ衣装は三着は完成済みで、後の二着も時期に完成するとのこと……、
だったはずなのだが期間が押し迫っているらしく、
ラボメン総動員(各自時間が空いた後まゆりを手伝う)で制作することになった。
よって俺は、未来ガジェット制作を中断せざるを得ず、
当日までさらに険しく忙しい道のりになった。
思えば……こんなに忙しい毎日は初めてかもしれない……。

                              去年の今頃はどうだっただろうか?

845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:12:01.92 ID:OQvIKoV50
俺にとっては、もはや思い出せないぐらいの遠い日の記憶とかしてしまっている。
夏休みに起こった大騒動はそれぐらいの衝撃を今だ俺に残していた。


そうだ、色々なことがあった……。
俺は今ある平穏に安心感を持つと共に、      ――過去の反芻
先の見えない不安を抱えて生きている。      ――未来の不安

それは誰にでもある価値観のひとつであるのだが、
俺はここに至るまで、それを常に意識せずにはいられなかった。
そんな中で「忙しさを感じる」というのは贅沢な気がしてならない。
今を一生懸命に生き、今だけを感じて生きる。   ――現在の渇望
俺にとってそれは尊いものであり、
こんな日常を過ごせるなんていうのは幸せの極みなのだ。
これも<シュタインズゲート>の選択か?
フッ……それも悪くない。ならば、この結果も受け入れようではないか。
                               ――エル・プサイ・コングルゥ。

     ―――――――――――――――――

846: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:13:23.02 ID:OQvIKoV50
まゆり『オカリーンごめんねぇ今日はもうお外に出られないのです;;』

ダル『駄目だお……流石にこの雨と風の中ラボに行くのは不可能な件……』

ルカ子『ごめんなさい岡…凶真さん……お父さんが外は危険だって……』

フェイリス『ニャア~黒木が今日はもうお外に出ちゃダメだって言うのニャー……』

萌郁『……ごめんなさい……行けない……』


……これも<シュタインズゲート>の選択なのか?
配信日当日、嵐かと思われるほどの風と大雨が外を荒らしている。

俺は予めラボに寝泊まりをしていたため、被害に合うことはなかったが、
本日の作戦は中止にせざるを得ない状況に追い込まれた。
ラボメンは全員自宅待機を余儀なくされており、
本日の目玉であるアニメ鑑賞は各自自宅で行うしかなくなった。

ただし、一人を除いて――


紅莉栖「なんぞこれなんぞこれなんぞこれぇぇぇええええ!!」

岡部「ちょ、おま……何故ラボに来た!?ずぶ濡れではないか!?」

847: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:14:07.16 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「だって……今日はみんなで上映会……」

岡部「いやいや、そんなもん中止に決まっているだろう!?
   こんな中で外に出歩く馬鹿がどこにいる!?」

紅莉栖「な!?私には中止なんて連絡来てないわよ!?」

岡部「お前以外は全員俺に連絡を寄越してきたぞ?何故お前は無茶してここまで来た!?」

紅莉栖「ちょぉ……だったら私に連絡寄越しなさいよぉ……どーすんのよこれぇ……?
    傘は壊れちゃうし……どうしてこうなったどうしてこうなった」

岡部「来るだなんて思うわけないだろう!?……あーちょっと待っていろ!今タオルを持ってくる」


タオルを取ってきて、紅莉栖を脱衣所まで連れて行く。
床がビショビショだ……どうしてこうなった?
焦ってタオルを床に敷くとかの思考も働かなかった。


岡部「クリスティーナ……?何故連絡も寄越さずラボに来たのだ?」

紅莉栖「……何故私があんたに連絡を取らねばならないのか詳しく」

岡部「詳しくもなにも作戦指揮官は俺だ。その俺に連絡を寄越すのは当然だろう?」

紅莉栖「……うるさいなぁ……急いでたんだから仕方ないでしょ……」

853: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 03:36:27.48 ID:OQvIKoV50
いや、何が仕方ないというのだろうか?
別に今から配信まではまだ時間がある。ということは余裕があったんではないか?
脱衣所に背中を向けて話しをしているが、
何やら小声でブツブツ呟いているような感じがする……。


紅莉栖「ねえ?そんなことより着替えないの……?」

岡部「着替え……だと?そこに何かないのか??」

紅莉栖「……下着は……あるみたいなんだけど……服がないのよ」


服ねぇ……?
とラボを見渡すとテーブルの上に丁度良いものが乗っかっていた。
名指し付きで。


岡部「あるぞ助手よ……ここに、まゆりの作った、コスプレ衣装がNA!」

紅莉栖「……!?」


まゆりの書いた名指しで―クリスちゃんの☆―置かれている衣装。
広げて見ると白と紫のシンプルなデザインの衣装のようだ。
その他小道具も上に置いてあり、俺はまとめてそれを助手に突き付けた。

855: 試しているだけなんだ。理由は―― 2011/07/25(月) 03:38:30.09 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「……着ろと、言うのか?これを?」

岡部「他にもあるが、どれもそれ以上に派手な衣装のようだぞ?
   よかったなー地味なデザインで(笑)」


ピンクに青に黄色と赤。どれも派手極まりない色合いだ。
特にピンクのは遠目から見ても目立つ。
いかにも魔法少女っぽいデザインなのがわかる。


岡部「それともぉ?白衣ならあるが、素肌に白衣でも着るかー?」

紅莉栖「……死ね!このHENTAI!」


その言葉を最後に、紅莉栖は衣装を引っ手繰って黙り込んでしまう。
どうやら観念して着ているらしいが、一向に脱衣所から出る気配はなかった。
その間に俺は、紅莉栖の、濡らした、床を拭いたりしながら時間を過ごす。
……何故かふと、ここにダルが居なくて良かったと思う。
しばらくすると脱衣所から紅莉栖が顔を出してきた。
……カチューシャ付けてる……。


紅莉栖「oi ミス おい」

岡部「……何だ?」

紅莉栖「……笑うなよ?」

857: 頻繁なさる 2011/07/25(月) 04:01:18.91 ID:OQvIKoV50
スッと現れた助手は、見事なまでにコスプレ衣装を着こなしている。
盾?みたいな小道具も腕に付け、
ストッキングとブーツが一体化しているようなモノ?も履いていた。


岡部「……中々似合っているではないか助手よ」

紅莉栖「え?ホント??本当にそう思ってる?///」


うおっ!上目使いでこっち見んな!
これは予想以上の精神攻撃だ……落ち着け鳳凰院凶真!
俺は狂気のマッドサイエンティスト……魔法の衣装に身を包み、
科学者からオカルト信者に堕天した哀れな助手などに、
見惚れてしまうなどとはあってはならないことだ!
俺はマッドサイエンティスト俺はマッドマッドマッド……。


紅莉栖「……岡部?ちょっと?聞いてる?」

岡部「ぅん!?ああ!!聞いてる。聞いているぞクリスティーニャ!」

紅莉栖「は?何テンパってるのあんた?……ははぁーん?
    さては私に見惚れてたんだな!?そうなんだな!?」

岡部「馬鹿を言うな!!俺は狂気のメァァァッドサイエンティスト!鳳凰院凶真だぞ!
   だ、大体俺のような科学者が魔法だ何だと浮かれているような愚かな助手風情に、
   見惚れるなどありえるはずがないだろう!?」

859: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 04:02:39.62 ID:OQvIKoV50
紅莉栖「こ、声が上ずってるわよ!?フ、フフフ……、
    何だかだんだんどうでもよくなってきたわ!もうどうにでもなぁ~れ!」


そういうと腕を回して魔法を使うポーズをとりだした。
……やっべぇ…こいつやべーわ。マジっべー……何なのこの助手。抱きしめたい。
落ち着け、落ち着け岡部倫太郎……KOOLになれッ!
ここにいるのは<シュタインズゲート>の紅莉栖だ!KOOLになれッ岡部倫太郎!

……紅莉栖はクールダウンしたのか、
顔を真っ赤にしたまま(実際顔は見れなかったから憶測だが)冷蔵庫のドアを開け、
ドクぺを取り出して一気飲みをしている。
ヤバいなー気まずいなーと考えながら、無言で時間が流れるのを待っていると、
不意に携帯に着信が入った。――ダルからだ。


岡部「……もしもし?」

ダル『あ、オカリン?もうPCの電源はついてるかお?そろそろプロジェクターの準備をするお!』

岡部「……ん?ああ……そうだな」


完全に上映会のことを忘れていたのだが、
今の気まずい空気の中、やらなければならない目的ができるのは大歓迎だった。
いつもは空気が読めないくせに、たまにはダルもやるもんだ。

……いや、そもそもこの状況、元はと言えばダルのせいなんだっけ?
まあ今更どうでもいい事だから、一心不乱に機材の準備をすることにした。

860: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 04:04:09.58 ID:OQvIKoV50
ダル『おk。後はそのまま配信されるのを待つお』

岡部「わかった。ありがとなダル」

ダル『は?何が??もしかしてオカリン魔法少女そんな見たかったの?
  やっぱ持つべき物は友――ツーツーツー』


よし、これでいい。
後は無心でアニメを見て、見終わったら全てを忘れて眠ろうそうしよう。
設置したスクリーンに映る映像を透かして、俺はどこか遠くの方を見ていた。
そして時計の針は進む――


岡部「そろそろか?」

紅莉栖「ええ、もう準備できてるわよ」


ハ?貴方何もしてないじゃナイデスカー。
と思いきや、テーブルをこっちに運んでいたらしく
上にはお菓子類とドクぺ、あとカップ麺が置かれていた。
……流石この助手、ノリノリである。


紅莉栖「……何よ?」

岡部「いや?別に?」

紅莉栖「……何か言いたそうな目をしてる」

861: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 04:05:21.19 ID:OQvIKoV50
岡部「フッ……先ほどから自意識過剰はやめてもらおうか!」

紅莉栖「こ、こいつは~……」


俺は紅莉栖を無視してPCを操作する。
そういえばこれ何時間やるんだ?今更何を考えても仕方ないのだが
アニメがやってる間コスプレイヤーくりす☆ティーナとずっと二人きり?
……余計なことを考えるのを止めよう。
俺は目を閉じ、大きく深呼吸した。
ゆっくりと右手を掲げた。
ピンと人差し指を立てる。


岡部「作戦開始の時はきたッ!」

紅莉栖「ビクッ」

岡部「この俺はあらゆる陰謀に屈せず、己の信念を貫き、ついに魔女の誘惑から戦い抜いたのだ!」

岡部「この勝利のため、我が手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を!」


今はいないラボメンたちが走馬灯のように頭を過る。


岡部「訪れるのは、俺が望んだ世界なり!」


別に望んじゃいなかったのだが、ここはその場のノリで乗り切ろう。

862: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/25(月) 04:07:18.72 ID:OQvIKoV50
岡部「すべては<シュタインズゲート>の選択である!」


     岡部「世界は、再構成される――!」


掲げた指を勢いよく振りおろし、
チラリと横目で紅莉栖を見る。


紅莉栖「……」


おい、何か言えよ。
やめろォ!!そんな目で俺を見るなッ!

――かくして、作戦は開始される。
俺と、
紅莉栖と、
『魔法少女まどか☆マギカ』による長い夜の幕が開けるのだった。


お試し完。


     『魔法少女 まどか☆マギカ  ――交わした約束、忘れないよ――』へ続く。