2: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:45:56.81 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「お前は鈴を巻き添えにしたいのか…!」

恭介(世界が、終わる。真人が去り、謙吾が去り、後は俺と理樹と鈴だけだ)

恭介「早くいけえぇぇ!」

恭介(本当はいつまでも二人の傍にいたい。それでも二人を強く送り出す為に、俺は振り絞るように叫んだ)

恭介「もう迷うな!とっとといけぇーーー!!!」

引用元: 恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」 

 

3: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:48:25.70 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(それから後のことはよく覚えていない)

恭介(確かなことは俺はやり遂げたということ、そして世界は終わってしまったということだ)

恭介(意識が消えるその間際、俺は『みんな』の幻影を見たようなそんな気がした…)

4: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:50:05.25 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(目覚めた。目の前に広がるのは満点の星空、どうやら仰向けに倒れているようだ)

恭介(いや、まて………ここはどこだ?何故俺は生きている?まさかあの場所で意識を取り戻したのか?)

恭介「…いや違うな」

恭介(怪我がまるで無い、見た事も無い制服を着ている。そしてなにより場所が違う、ここはどこかの学校のようであの事故現場じゃない)

恭介「どうなってんだ…?」

5: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:51:37.88 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(あの世界は確かに崩壊したはずだ…、死んだはずの俺が何故こんな見知らぬ学校にいる…?)

??「ようこそ、『死んでたまるか戦線へ』。唐突だけど入隊してくれないかしら?」

恭介(唐突に俺の背後から声が聞こえる、どこかで聞いたことのある声だ)

恭介(振り返るとそこにはスコープ付きのライフルを構える女生徒ー制服を着ていたからそう判断したーがいた)

恭介「…まさか…、朱鷺戸沙耶か!?」

6: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:53:32.16 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「ときど…?なに、なんて言ったの?」

恭介(そこで女生徒がスコープから俺へと目線を向ける。………違う。声や雰囲気は似ているが容姿が全く違う)

恭介(そもそも朱鷺戸沙耶はもう存在する筈が無いんだ)

恭介「…いや人違いみたいだ、知り合いの声によく似ていたもんだからな、気にしないでくれ」

女生徒「ふーん、あっそ」

恭介(心底どうでもいいという感じで目線をスコープに戻す。だがなんだあれは?まさか本物のライフルなのか…?)

7: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:54:43.74 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「で、どう?入隊してくれるの?くれないの?」

恭介「いや待て、悪いがなんのことだかさっぱりだ…。そもそもここはどこなんだ!?俺は確かに…」

女生徒「死んだはず、って言いたいの?」

恭介「なっ!?」

女生徒「その通りなんでしょうね、だってここは死んだ後の世界なんだから。ここにいるってことはあなた死んだのよ」

8: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:56:28.15 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「死後の世界だと…?」

恭介(そんなものが本当にあり得るのか…?)

恭介(いや…、俺達も死の間際にあの世界にいた、なら死後の世界があっても不思議じゃない…)

恭介「…じゃあお前も一度既に死んだ人間ってことか?」

女生徒「あら、案外落ち着いてるわね。まあそうよ、私も含め他の戦線のメンバーもみんな一度死んでる。死んだ後にこの世界に来たのよ」

9: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 22:58:27.82 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「さっきも言ってたような気がするが、その戦線ってのはなんだ?そのライフルを構えてるのと関係あるのか…?」

女生徒「言葉通りよ、戦うのよ」

恭介「なにと?」

女生徒「あれよ」

恭介(そいつは照準の先を指さした。そこには違う制服を着た別の女生徒がいる)

10: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:00:14.99 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「あれが『死んでたまるか戦線』の天敵、天使よ。ってか『死んでたまるか戦線』ってなんか響きが悪いのよね、あなた新しい戦線名考えといて」

恭介(確かにチームの名前は重要だが、それより今は目の前の疑問を解決していくのが先決だ)

恭介「…あれが天使なのか?羽も生えてないし俺のイメージとは随分違うんだが」

女生徒「確かに見た目は普通の人間と変わらないわ、でもあいつは人間じゃない」

恭介「なにか特殊な能力でもあるのか?」

11: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:02:25.57 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「ええ。その恐ろしい能力を行使して私達を無理矢理授業や、部活や、テストに追い立てるのよ」

恭介「………ん?」

女生徒「退屈な授業、疲れるだけの部活、馬鹿を試すだけのテス」

恭介「…いや話の腰を折るようで悪いがちょっと待ってくれ」

女生徒「なによ、またなにか質問?」

恭介「ここは死後の世界だと言ったな?そもそもなぜ、死後の世界が学校なんだ?」

12: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:04:22.98 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(辺りを見渡す。目の前には馬鹿でかい階段、その先には馬鹿でかいグラウンド、背後には馬鹿でかい校舎)

恭介「しかもとんでもない規模の学校みたいだな」

女生徒「なぜかはわからないわ、神様にでも聞かないとね」

恭介「神様?いるのか?」

女生徒「いなきゃおかしいわよ、こんな世界があるくらいなんだから。そしてあそこにいるのが神様の使い、天使ってわけよ」

13: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:06:26.17 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「神様に、天使…」

女生徒「さっき言ったように、天使は授業やら部活やらテストを私達に強いてくる。そしてそれに従い続けてると消えるのよ」

恭介「…消える?この世界からか?」

女生徒「そう。だから天使と戦わなければ、この過酷な現実に抗うことは出来ないの」

恭介(過酷な現実…、その言葉が否応しにあの事故を思い出させる…理樹…鈴…)

14: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:08:16.70 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「で、どう?『死んでたまるか戦線』に入隊してくれる気はある?身の安全は保証するし戦う理由があるんなら歓迎するわよ」

恭介「…もう一つだけ聞いておきたい。ここが死後の世界という根拠は?」

女生徒「それなら簡単よ、死なないのよこの世界では」

恭介「どんな目にあってもか?」

女生徒「どんな致命傷を受けても体がバラバラになっても死なないわよ。少し時間が経てば生き返るし体ももとに戻るわ」

15: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:09:33.56 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「都合の良い世界だな」

女生徒「疑ってるんなら一度死んでみる?証明するには一番わかりやすい方法なんだけど」

恭介「いや充分だ、お前が嘘をついているようには見えないしな。色々助かった」

女生徒「そう、じゃあ」

恭介「ああ、少し天使とやらと話をしてくる」

女生徒「はあ!?」

16: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:11:58.84 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(ライフルを投げ出して、俺に迫りよってくる、すごい剣幕だ)

女生徒「今の話の流れでどうしたらそんな思考に至るの!?わけわかんないわっ!頭おかしいんじゃないの!?」

恭介「お前の話を聞いた限りここは死後の世界なのは確かだが、なぜ学校なのか?なぜこんな世界が存在するのかまでは知らないんだろう?」

女生徒「…っ、まあそうだけど」

恭介「なら聞けばいい。あの天使とやらが本当に神の使いなら、それくらいは答えてくれるんじゃないか?」

17: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:14:19.41 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「あのねぇ、それくらいとっくに試してるわ。天使はこの世界の仕組みに関しては一切口を割ったりしない」

恭介「やってみなければわからないさ、それともそういう事を聞くと消されるのか?」

女生徒「…いやそこまではしないはずよ。基本的に規律を乱すか、私達から攻撃を仕掛けない限り天使は手を出してこないわ」

恭介「そうか、そいつは良かった。じゃあ行ってくる」

恭介(そして俺は立ち上がり天使の方へと足を向ける)

18: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:16:09.59 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「ちょっと!どこからそんな自信が湧いてくるのか知らないけど、とりあえず待ちな」

男子生徒「おーいゆりっぺ、新人の勧誘の手はずはどうだ?ちょろいとか言ってたけどさ」

恭介(新しい声、その台詞を聞いた瞬間露骨に不機嫌な顔になる。話の邪魔をされたからだろうな)

男子生徒「あ、やば」

恭介(今のうちに行くか、俺は目の前の大階段を降り始める)

19: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:17:07.91 ID:SJcI3Z/Eo
女生徒「うわあぁああぁぁ、勧誘に失敗したああぁぁぁ!」

男子生徒「え?俺のせい?」

女生徒「他に誰がいるんだああぁぁーー!こらぁぁぁーー!」

恭介(背中から賑やかな声が聞こえてくるがひとまず無視し、歩みを進める)

20: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:21:11.30 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(死後の世界…。あいつの言葉を疑うつもりは無いが、まずは自分で動き、自分で判断しなければ始まらない)

恭介(それが俺、『棗 恭介』のやり方ってやつだからな。例えここが死後の世界だろうと変わらない)

恭介(天使との接触…、ああ、当然緊張する、少しだけ震えてもいる。だがこれは武者震いってやつだ)

恭介(緊張をワクワクに変えて、何より楽しむことを忘れない)

恭介(そうして今まで俺は生きてきた、そしてこれからもそうあり続けるだけだ)

21: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:22:58.65 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(天使の視界に入り、幾度となく繰り返した言葉を宣言する)

恭介(目的は『天使との接触及びこの世界の秘密を聞き出す』こと、だ)

恭介(さあ、始めよう)

恭介「ミッションスタートだ!」

22: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:24:01.22 ID:SJcI3Z/Eo
天使「…?」

恭介「よう、こんばんは」

天使「…こんばんは」

恭介「突然だが聞きたいとことがある?お前は…、天使なのか?」

天使「天使?」

恭介「お前と戦ってるっていうやつらからそう聞いたんだが、確か『死んでたまるか戦線』とか言ってたな」

23: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:25:01.28 ID:SJcI3Z/Eo
天使「…クラス・スリーエスのこと?」

恭介「クラス・スリーエス?」

天使「…あの人たちはころころ名前が変わるから」

恭介「なんかそんな感じはしたな。まあとにかく、お前が天使だっていうならちょっと聞きたいことがあるんだが」

天使「私は天使なんかじゃないわ」

24: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:26:26.87 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「………ありゃ…、そうなの?」

天使?「私はこの学校の生徒会長よ」

恭介「………」

恭介(おいおい、話が違うぞ。騙されたのか?嘘を言っているようには見えなかったんだが…)

恭介「その…、そいつは悪かったな。変な事を聞いちまった」

25: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:27:52.11 ID:SJcI3Z/Eo
生徒会長「あなたは新しく来た人?」

恭介「ん…、どういう意味だ?」

生徒会長「ここは死後の世界だから」

恭介「!…、なるほど死後の世界ってのは嘘じゃなかったってわけか」

生徒会長「質問があるなら答えるわよ、あたしにわかる範囲で良ければ」

26: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:30:16.82 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「そいつはありがたい、なら率直に聞くぜ。まず一つ目、なぜこんな世界が存在する?神様とやらが作ったのか?」

生徒会長「わからないわ」

恭介「いきなりかよ…」

生徒会長「神様には会ったことがないもの、でも何のために存在してるかならわかるわ」

恭介「!…教えてくれ!」

27: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:31:40.60 ID:SJcI3Z/Eo
生徒会長「ここに来る人たちは、まともな青春を送れず、辛い人生だった人たちばかり」

恭介「青春時代をまともに…?」

生徒会長「そうよ、ここはそういう人達が学園生活という青春を謳歌し直せる場所なの」

恭介「学園生活という青春…、だから学校を模した世界というわけか?」

生徒会長「ええ、そうだと思うわ」

28: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:32:33.09 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「そうか…、じゃあそれに繋げて二つ目の質問だ、いいか?」

生徒会長「ええ」

恭介「そうして学園生活を受け続けると消えると言われたんだが、本当か?」

生徒会長「本当よ」

恭介「消えたあとはどうなる?」 

生徒会長「次の人生が始まるわ」

29: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:34:42.87 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「それは…、いわゆる成仏ってやつか?思い残すこと、未練が消えたものはこの世界から消え生まれ変わり、新たな人生が始まるってことでいいのか?」

生徒会長「…そうよ、あなたすごいわね」

恭介「まあちょっと似たような世界を経験してるもんでな」

生徒会長「経験?」

恭介「まあな、つまりお前はここに来たやつらの未練を消すために、授業やらを受けさせようとし、あいつらはそれに反抗してるってことなんだな」

30: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:36:07.45 ID:SJcI3Z/Eo
生徒会長「ええ、あの人達は一筋縄じゃいかないから…。生まれ変わるのを拒んでるみたいなの」

恭介「なるほどな…、疑問に思ってた点が大体解決したぜ」

生徒会長「じゃあ、学生寮に案内するわ。そこにはあなたの友達もいるから」

恭介「友達…!?いや俺はこの世界に友達なんかいないはずだぜ?」

生徒会長「寮にあなたの部屋が用意されてるはずよ、そこにいるルームメイトがあなたの友達よ」

31: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:37:44.93 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「…つまり、用意された友達ってとこか?そいつは魂の無い人間とかなんじゃないのか?」

生徒会長「…本当にすごいわ、頭がいいのね」

恭介「どうだろうな、まあそれだけわかれば充分だ。…悪いが俺はお前にはついていけない」

生徒会長「…どうして?学生時代の悔いを晴らしたくないの?」

恭介(俺のその言葉に、ずっと変わらなかった表情に初めて陰りが生まれる)

32: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:39:35.34 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「俺に言わせてみればその青春は…、偽物だ。そんな青春を生きたところで俺は成仏なんか出来るはずもない」

生徒会長「…あなたは心残りが無いの?」

恭介(…俺は俺の青春が辛いものだったなんて思えない)

恭介(あの時の謙吾と同じ気持ちだ…。あいつらみたいな最高の仲間に恵まれて、本当に幸せだった)

恭介(その俺がこうしてこの世界に招かれた理由。そう、わかっている。俺の心残り…、それは…)

33: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:42:10.73 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「…あるさ、無理矢理納得したつもりだったんだが、だからこそ俺はこの世界に招かれたんだろうしな」

生徒会長「…なら、その心残りを消す方法を探しましょう?あたしも手伝うわ」

恭介(そういうと生徒会長は少しだけ微笑んでくれた…、だが…)

恭介「ありがたいんだが、そいつは無理な話だ…。俺の心残りは偽りの青春で晴らせるものじゃないからな」

恭介(そして俺は踵を返し、背を向ける)

生徒会長「あなたも…、クラス・スリーエスに行くの?」

34: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:44:12.24 ID:SJcI3Z/Eo
恭介「そうだな、今のところ俺の目的を果たす為にはあいつらをあてにするしかなさそうだ。勧誘も受けたしな」

生徒会長「…そう、なら仕方ないわね…。…どうしても私に手伝えることは無い?」

恭介(声のトーンが明らかに下がっている、もしかして落ち込んでいるのか?その声に釣られて思わず振り返ってしまった)

生徒会長「…なにか、ある?」

35: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:46:15.03 ID:SJcI3Z/Eo
恭介(期待している!これは手伝えるとこが無いか期待している目だ…!)

恭介「あ、いや…」

恭介(どうする…?色々と質問に答えてもらっておいてこのまま立ち去るのは忍びない…)

恭介(っていうよりなんか罪悪感がやばい、なにか頼みたいことはあるか…?)

36: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/08(水) 23:48:05.79 ID:SJcI3Z/Eo
選択安価

1 ここが死後の世界であることを証明してくれ
2 俺を「お兄ちゃん」と呼んでみてくれ

↓2

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/08(水) 23:53:26.49 ID:7bQIMUtdo
2

39: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:01:28.32 ID:mmNci9sfo
恭介(俺の未練は確かに『あれ』のはずだ…。だが他にもなにかあったかもしれない…、それを頼めばいいんじゃないか?)

恭介(なんかあったはずだ、考えろ、考えろ、考えろ…)

鈴『きょーすけ』

恭介(!?)

鈴『馬鹿兄貴』『うっさい馬鹿』『しねばーか』

恭介「………」

恭介(そうだ…、あるじゃねえか!これも俺の未練の1つのはずだ…!)

40: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:07:02.09 ID:mmNci9sfo
恭介「じゃあ恥を忍んで頼もう…」

生徒会長「ええ、あたしに出来ることなら」

恭介(こんなに優しく微笑んでくれるなんて掛け値無しにいいやつだ!気に入ったぜ、生徒会長!)

恭介「…じゃあ、俺をお兄ちゃんと呼んでみてくれないか…?」

生徒会長「………え?」

41: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:14:33.42 ID:mmNci9sfo
生徒会長「…それがあなたの役に立つの?」

恭介「ああ、詳しくは言えないがこれも俺の未練の1つなんだ…。この未練が消えない限り俺は成仏なんて永遠に出来ないだろう…」

恭介(…っていかん!調子に乗って弱みに付け込んでしまった…!今の俺って最低じゃないのか…!?)

生徒会長「………」

恭介(まずい!引かれている、引かれているぞ…!今ならまだ間に合う撤回を…!)

生徒会長「お……ちゃ…」

42: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:31:33.35 ID:mmNci9sfo
恭介「………ん?」

生徒会長「お…お兄ちゃん…」

恭介(その時俺の中の何かが壊れる音がした…)

恭介「は、はっきりと!」

生徒会長「お兄ちゃん」

43: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:32:33.24 ID:mmNci9sfo
恭介「声が小さい!」

生徒会長「お兄ちゃん!」

恭介「もっと慕う感じで!」

生徒会長「お兄ちゃん…///」

恭介「夜怖くてひとりでトイレに行けなくて、起こしに来た感じで!」

生徒会長「お…お兄ちゃん、ついてきて…」

44: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:33:45.71 ID:mmNci9sfo
恭介「お風呂でばったり遭遇!」

生徒会長「お、お兄ちゃんの●●●…!」

恭介「一緒の布団に誘う感じで!」

生徒会長「…お兄ちゃん、一緒に寝て…」

恭介「任せろおおぉぉぉ!!!」

恭介(そして本能のまま華麗なルパンダイブを披露する俺…!)

45: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:35:02.58 ID:mmNci9sfo
生徒会長「…!?」

グサッ

恭介「…え?」

生徒会長「…あ」

恭介(そいつは最後に一瞬『やってしまった!』という風な顔をしていた)

恭介(胸を貫いた刃の感触を感じながら俺はそのまま意識を失った…)

46: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 00:36:37.90 ID:mmNci9sfo
恭介の称号が
『あらゆる日常をミッションにするリーダー』
から
『シスコン』
に変わりました

54: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:50:50.94 ID:Ex6ye/4CO
恭介(眩しい…朝か…)

恭介「はっ…ここは…?」

恭介(消毒液の匂いに、見覚えの無い天井。俺が寝かされているのは白いベッド、外からは部活中のような掛け声)

恭介「保健室か…」

恭介(とにかく記憶をなぞろう、あの時思わず本能のままに暴走し完全に心臓を貫かれたはずだ…)

55: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:52:07.76 ID:Ex6ye/4CO
恭介(だが生きてる、胸に走る激痛も覚えているが傷なんて全く残っていない、いやそんなことよりもだ…)

恭介「うわあぁああぁぁ!やっちまったぁ!何をしてるんだ棗恭介!なぜ俺はあんなことぉぉーーー!」

恭介(はっきり覚えてる、俺がルパンダイブなんかしちまったから生徒会長は怯えて迎撃してしまったんだろう…)

恭介「ああ…、全面的に俺が悪い…。鈴がいようものなら半殺しにされるとこだぜ…。後で謝らないとな…」

56: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:53:19.35 ID:Ex6ye/4CO
??「おい」

恭介「とりあえず服はどこだ…っと。げ、血まみれじゃねえか!こりゃ上着しか羽織れねえな」

??「おい!」

恭介「さて、これからどうするか。とりあえずあいつらを探すとこから始め…」

??「おいぃ!!」

恭介「ん?ああすまん、気づかなかったぜ。俺になんかようか?」

57: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:54:35.16 ID:Ex6ye/4CO
??「貴様…!ふざけているのか?」

恭介(そこにはあの時見た男子生徒と同じ服を着た男、手にはゲームにしか出てこないような凶器を持っている)

恭介「悪い悪い、ちょっと考え事をしてたもんだからな。それよりすげーなその武器、確か『ハルバード』とか言うんだろ?」

男子生徒「そんなことは今はどうでも良い、貴様がゆりっぺに手を出した男か…?」

恭介「ゆりっぺ?誰のことだ?」

男子生徒「とぼけるなぁ!!」

58: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:55:28.79 ID:Ex6ye/4CO
恭介(男はそう吠えるとハルバードを俺に向かって一閃してくる)

恭介「おっと!」

恭介(俺はそのまま背後に向かって大きく飛び、ベッドの上に着地する)

恭介「おいおい、穏やかじゃねえな。カルシウムが足りてないんじゃないか?太刀筋に出てるぜ?」

男子生徒「ふん、そこそこ動けるようだな…。だが死ねぇ!!」

59: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:56:17.85 ID:Ex6ye/4CO
恭介(このままだとマジで殺られるな…。仕方ねえ、やるしかないか…!)

恭介「とりあえず落ち着けよっ!」

恭介(まずベッドの上の枕を思いっきり投げつける!)

男子生徒「小賢しいっ!」

恭介(一瞬で切断される枕、だがそれも計算のうちさ)

恭介「ならこいつはどうだい?」

60: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:57:37.88 ID:Ex6ye/4CO
男子生徒「なに!?…むぐ」

恭介(枕を斬った一瞬の隙をついて、今度は体全体を覆うように布団を投げた。これなら容易には斬ることも出来まい?)

男子生徒「無駄無駄無駄ぁーーー!!」

恭介(あっという間に布団をバラバラにされる…、大した奴だなおい?)

男子生徒「くそ!どこだ!どこ行った!?」

恭介「後ろだよ」

61: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 13:59:07.37 ID:Ex6ye/4CO
男子生徒「なに!?」

恭介「ふんっ!!」チーン

男子生徒「がぁっ!!あ…あ…あ…」

バタン!

恭介「金的は流石に大人げなかったかな。まあ悪く思うなよ?こっちは丸腰だったしどうせ治る世界だからな」

62: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:00:04.17 ID:Ex6ye/4CO
恭介(さて…とりあえずあいつらを探すか)

恭介(気を取り直して、俺は保健室を後にした)

恭介「どこにいるんだろうなー、そういや生徒会長がクラス・スリーエスとか言ってたっけか?」

恭介(クラス・スリーエス…、あいつらもこの学校の生徒ならもしかして3ーSとかじゃねえのか?)

恭介(とりあえず、大人を。教師を探そう)

63: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:01:48.83 ID:Ex6ye/4CO
恭介「お、あった…」

恭介(暫く歩き続けると『校長室』と書かれたプレートのある部屋が見つかる)

恭介「クラスやら生徒のことが聞けるなら校長でも誰でも…」

恭介「ぶはっ!」

恭介(ドアを開けようとした瞬間なにかに弾き飛ばされ、窓ガラスをぶち破り、俺の体は宙を舞ったような気がした…)

64: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:02:41.71 ID:Ex6ye/4CO
恭介「ん…」

恭介(三度、目覚める。今度はソファの上のようだ。)

恭介(いくつもの声が聞こえてくる。ぼんやり数えただけでも5人以上で喋っているようだ)

男A「じゃあこれでどうだ…死ぬのはお前だ戦線」

恭介(やさぐれた声だな)

65: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:03:35.93 ID:Ex6ye/4CO
女生徒「あたしが殺されるみたいじゃない」

恭介(この声は最初に出会った女生徒か…。本当に朱鷺戸の声に似ている)

男A「いや、もちろん相手は天使だ」

女生徒「じゃ、こっち見なさいよ…、死ぬのはお前だ戦線」

男A「ぬ…確かに俺が殺されそうだ」

66: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:04:21.69 ID:Ex6ye/4CO
男B「な、これかっこよくね?走馬燈戦線」

女生徒「それ死ぬ寸前じゃない」

恭介(飄々とした声をした男の案も速攻却下された、こいつはあの時声をかけてきたやつか)

男C「じゃ、これでどうだ…決死隊戦線」

女生徒「死ぬのを覚悟してるじゃない…」

恭介(体格の良い男が続く、真人や謙吾に近いな)

67: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:05:01.49 ID:Ex6ye/4CO
女A「絶体絶命戦線」

女生徒「…絶体絶命じゃない」

恭介(もう一人女がいるようだ、随分とハスキーな声だな)

男D「じゃ、無敵艦隊!すごく強そうじゃない!?」

恭介(子供のように高らかな声、なんとなく理樹を思い出す)

女生徒「今度は戦線じゃなくなってるっ!」

68: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:05:46.01 ID:Ex6ye/4CO
男A「じゃあ…玉砕戦線」

女生徒「殴るわよ…」

男B「グレイシー一族」

女生徒「大喜利か!!」

ばきっ!

男B「っつああああー!!」

恭介(飄々とした声の男が顔面にハイキックをきめられる)

69: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:06:42.94 ID:Ex6ye/4CO
女生徒「んもうっ、最後は戦線なのよっ!あたしたちはこの戦場の第一線にいるのよ?これは譲れないわっ!」

恭介(女生徒はそのまま仁王立ちし、力説する。そのやりとりがあまりに可笑しくて子供っぽくて、思わず俺は…)

恭介「ふっふっふ、あーはっはっは!!」

恭介(大笑いしてしまった!)

70: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:08:07.32 ID:Ex6ye/4CO
男D「あ、気がついたんだ?」

女生徒「みたいね、ってかなに大笑いしてくれちゃってんのよ!」

恭介「いや悪いな、馬鹿にしたわけじゃないんだ。むしろ非常に俺好みなノリだったんもんでついな」

男B「へえ、いきなり俺たちのノリに付いてこれんのか?ゆりっぺ、こいつはひょっとしたら大物かもしれないぜ?」

恭介(ああ、こいつがゆりっぺか。さっきの男が怒ってたのは、昨日俺がこいつと話してたのに嫉妬したとかか?可愛いやつめ)

71: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:08:59.29 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「まあいいわ、そうだこいつにも考えさせてあったのよ!」

恭介(そう言うと俺に歩み寄ってきて、息が触れる距離まで顔を近づけてくる)

ゆりっぺ「時間はたっぷりあったわ、聞かせて頂きましょうか?」

恭介「ほう?なにをだ?」

恭介(あえて惚けたフリをしてみる)

72: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:10:49.53 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「死んでたまる戦線に代わる新しい名前よ」

恭介「フ、そういう事ならうってつけのがあるぜ」

ゆりっぺ「あら自信満々ね、昨日もそうだったけどあなたもしかして自信家なの?」

恭介「さあな?だがそうだな、俺の戦線名を発表する前に俺が昨日生徒会長、いやお前たちは天使と呼んでいるんだっけか?」

恭介(あいつは自分が天使であることを否定していたが、こいつらはそう思ってる。ならとりあえずは合わせておくか…)

73: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:11:41.21 ID:Ex6ye/4CO
恭介「あいつから聞き出した事を先に発表しようか」

全員「「「ええっ!?」」」

男B「おいおい、お前昨日天使に刺されちまってたじゃねえか!?」

恭介「ん?見てたのか?」

男B「そりゃまあ、話までは聞こえなかったけどお前が天使に飛びかかろうとしてたことぐらいは…」

ゆりっぺ「あっさり心臓ぶっ刺されてたわね」

恭介「ぐはっ!!」

74: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:12:31.98 ID:Ex6ye/4CO
男A「おいおい口だけの男かあ?」

男E「丸腰で天使と戦うのは流石に無謀ですよ、その勇気だけは買いますが」

女B「あさはかなり」

恭介(チンピラっぽい男と眼鏡の男にツッコミを入れられる、更には隅っこのほうにいる女に冷めた言葉をかけられる…)

恭介「…違う、違うんだ。詳しくは言えないがあれは全面的に俺が悪いんだ…」

75: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:13:35.80 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「まあ何でもいいわよ、それで天使から何を聞き出したっていうの?」

恭介「昨日もお前と話しただろう?この世界が存在する理由、そしてなぜ学校という形を模しているかだ」

ゆりっぺ「………!!」

男C「なんと!本当に聞き出したのか!?」

男A「はっ!騙されんなゆりっぺ!どうせ適当なこと抜かすだけだ!」

76: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:14:52.67 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「いえ、いいわ。話してちょうだい」

恭介(ゆりっぺは驚く周りを制すると俺に発言を促す)

恭介「ああ」

恭介(俺は昨日生徒会長から聞いたことの全てを伝えた)

恭介(ここに集まるのは、生前学園生活という青春を謳歌出来ずに未練を持つものたちということ、その未練を晴らす為に学校を模していること)

77: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:16:25.48 ID:Ex6ye/4CO
恭介「そして、あいつは生前の未練を持つものたちの為に授業やらを強要する。そうすることで未練を晴らし、生まれ変わらせるのが目的なんだ」

男B「ただ悪意とかで消そうとしてるってわけじゃないんだな、天使なりに俺たちを想っての行動ってことか」

男A「じゃあなんで俺たちを攻撃してくんだよ!俺たちを想っての行動ならおかしくねえか?」

ゆりっぺ「いいえ、おかしくないわ」

男A「ゆりっぺ…」

恭介(その問いにゆりっぺが口を挟む)

78: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:17:36.41 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「天使はこの世界の秩序を守るもの。そして私たちは消えないように学校の規律を乱している、だからそれを正す為に攻撃してくるのよ」

男D「そっかぁ。天使は規律を乱したりしない限りは危害を加えてこないもんね。とすると天使の行動パターンって案外わかりやすいのかな?」

男F「The simple truth!!」

恭介(童顔なやつの言葉に、なんかダンサーっぽいやつが続く。なんだあいつは…目立ち過ぎだろ)

79: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:18:46.42 ID:Ex6ye/4CO
恭介「それともう一つ、多分なんだが変に規律を乱すことをしなくても消えたりすることは無いんじゃないか?」

ゆりっぺ「へえ?ちなみにその根拠は?」

恭介「俺の未練は、偽りの青春を過ごしたところで晴れるものじゃないって天使に言ったんだ」

ゆりっぺ「それで?」

恭介「すると天使は俺を追ってこようとしなかった。もし未練が別のものでも、偽りの青春を続けることで成仏出来るなら、無理にでも俺にそれを強要しようとするはずだ、違うか?」

80: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:20:10.75 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「それはあくまであなたの推理ね、確証があるとはいえないわ」

恭介「ま、その通りだ。天使がくれた情報が真実であるという前提の推理だしな。信じるか信じないかはお前達次第というわけさ」

ゆりっぺ「確証を得られ無い限り、規律を乱すことをやめるわけにもいかないし、天使にも従えないわ」

男B「消える確率だって0じゃないしなあ」

男C「模範通りに行動し続け、消えたやつも実際にいる。それで未練が晴れたとも考えられるが…」

男E「彼に与えた情報が全て嘘だという可能性もあります」

81: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:20:52.43 ID:Ex6ye/4CO
ゆりっぺ「そういうこと、けどかなり役立つ情報だったわよ!」

男D「うん、すごいよ!どうやって聞き出したの!?」

恭介「別になにも?普通に聞いただけだぜ?」

男B「マジかよ…、俺たちには教えてくれなかったのに」

男A「うさん臭いぜ」

82: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:22:45.06 ID:Ex6ye/4CO
恭介「俺はこの世界に来たばかりだ、分からないことを教えて下さい。と尋ねたからな。だからかもしれないぜ?」

男E「彼は天使にとって庇護する対象だったから素直に質問に答えた。私たちは既に天使に敵であると認識されているから、ということでしょうか?」

ゆりっぺ「そう考えるのが妥当ね」

恭介(いや、俺はそうは思わない。昨日の態度からして、あいつはこいつらに敵意を向けているようには見えなかった)

恭介(俺の推測だが、こいつらの方が天使を敵と思い込むあまり、天使の言葉に耳を貸さなかった。もしくは曲解して捉えていたんじゃないだろうか?)

83: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 14:24:12.96 ID:Ex6ye/4CO
恭介(まあ今は伏せておこう。俺の目的を果たす為には、こいつらとともに行動することが近道になるはずだ)

ゆりっぺ「さて、えーっと?そういや名前聞いてなかったわね」

恭介「俺か?棗 恭介だ」

ゆりっぺ「棗くんね、りょーかい。それじゃ改めて聞こうかしら」

恭介(ゆりっぺが咳払いをし、少しだけ真面目な顔になる)

ゆりっぺ「棗くん、あなた入隊する気はある?この戦線で戦っていこうっていう理由はあるかしら?」

93: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:20:52.69 ID:mmNci9sfo
恭介「ああ、答えは両方ともイエスだ。けど俺の理由を話す前に、お前たちの戦う理由を聞いてもいいか?」

恭介(そうずっと気になっていたことだ、こいつらが天使に抗う理由。生まれ変わることを拒み、戦う理由、そいつをはっきりさせておきたい)

ゆりっぺ「簡単よ、理不尽な人生を強いた神への復讐よ」

恭介「復讐…だと?」

恭介(ゆりっぺは確かにそう言い切った)

94: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:22:05.32 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「あたしたちがかつて生きていた世界では、人の死は無差別に無作為に訪れるものだから、抗いようもなかった」

ゆりっぺ「ここに来た人たちはみんな、神の理不尽な仕打ちによって、未練を抱えたまま命を落としたのよ」

恭介(淡々とした口調で続ける。まるで何度も説明したか、反芻した言葉かのように…)

ゆりっぺ「あなただってそうでしょ?さっき未練がどうだとか言ってたんだし」

恭介「…ああ、その通りだ。だがその先に何がある?神を見つけ出して何を望むんだ?」

95: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:26:19.76 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「さあ?何かしらね」

恭介(一度言葉を切って、少しだけ目を伏せ小さく笑う)

ゆりっぺ「でも抗わなければなにも始まらない。この世界では天使にさえ抵抗すれば消えることは無い、抗えるのよ」

恭介(強い意思を秘めた瞳を真っ直ぐに俺に向け、そして更に続ける)

ゆりっぺ「棗くん、あなたは天使と戦う理由があると言ったわね」

ゆりっぺ「それはあなたも理不尽な人生を強いた神と、戦いたいという気持ちがあるからなんじゃないの?」

96: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:27:42.67 ID:mmNci9sfo
恭介(理不尽…。確かにそうだ。ずっとずっと傍にいたかった大切な仲間達、いつまでも続いて欲しかった幸せな時間)

恭介(だがそれは突如として終わりを告げた。修学旅行に向かっていたバスの転落事故。誰にも予測出来ない、そんな理不尽な事故によって…)

恭介(それでも理樹と鈴だけは生き残った…。二人が過酷な現実に負けてしまわないよう、強くなれるようにあの世界を創り見守り続けた)

恭介(そして、理樹は…、その気持ちに応えてくれた。鈴も充分強くなった。過酷な現実にも決して負けない強さを手に入れてくれた)

恭介(もう俺に出来ることは何も無い、俺は全てをやり終えたんだ…。そのはずだった…。だが俺はこうしてここにいる)

97: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:28:46.93 ID:mmNci9sfo
恭介(そうだ、俺の未練は『理樹と鈴を守り続けること』に他ならない)

恭介(それは無理なことだと、どうしようもないことだと割り切ろうとした。でもな…カッコ悪い話だが)

恭介(俺は…諦めが悪いみたいだぜ!理樹、鈴!)

恭介(死後の世界だろうとなんでもいい!もしまだ俺に二人の為に出来ることがあるかもしれないなら!ほんのわずかな可能性でもありえるなら!)

恭介(俺はあいつらの為に…神だろうと敵に回す!それだけだ!)

98: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:30:14.33 ID:mmNci9sfo
恭介(俺はゆりっぺの隣に立ち、この部屋に集う全員に目を向ける、そして
俺の想いを告げる)

恭介「その通りだ、例え相手が神だろうが俺には引けない理由がある。何よりも大切な理由がな」

恭介(視線が集まる、そしてゆりっぺが声をかけてくる)

ゆりっぺ「その気持ちがあれば充分よ、棗くん!これからは仲間、でいいわよね?」

恭介「ああ、よろしく頼む!」

99: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:31:44.35 ID:mmNci9sfo
恭介(だが、そこで俺は敢えて言葉を切る)

恭介「…ああでも、その前に1つだけはっきりさせとくぜ。俺は神に復讐したいから戦うわけじゃないからな?」

ゆりっぺ「は、はあ!?あなた今は神が相手だろうが引けない理由があるって言ったじゃない!?」

恭介(ゆりっぺの声に釣られみんなも軽く動揺している。だがこれだけは、はっきりさせておかなければならない)

恭介「ああ、神だろうと戦う覚悟はある。だが俺は別に、神様も、理不尽な現実も憎んでるわけじゃないからな」

100: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:34:23.43 ID:mmNci9sfo
恭介(理不尽な事故も不幸も、誰にだって起こりえる)

恭介(突き詰めればたまたまそれが俺たちだったってだけ、誰も悪くなんかない)

恭介「もちろん、納得してるわけじゃない。この世界にいるくらいだからな」

恭介「それでもきっと人を強くするのは、成長させるのは、憎しみや恨みみたいな気持ちじゃない」

恭介「誰かを想う気持ち、誰かを助けたいと願う気持ち、そういう気持ちだと俺に教えてくれたやつらがいる」

101: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:37:04.00 ID:mmNci9sfo
恭介(あの閉じた世界で理樹と鈴は成長した。優しさという名の強さが二人を支え二人を大人にしたんだ)

恭介(なのに復讐の為なんかに戦ったら、あいつらを裏切ることになっちまう。そんなのはゴメンだ、なにより俺らしくない)

恭介「だから俺は復讐を理由には戦わない、どうせ神様とケンカするならもっと楽しい理由の方が良いじゃないか!」

恭介(全員の視線が更に強く俺に集中する)

恭介(ああ知ってるさ、こいつは何を言い出すんだ!?って類の視線だろ?そいつは)

102: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:39:22.71 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「…じゃあ聞かせて貰おうじゃない、あなたが神と戦う理由を」

恭介「一つはもちろん、俺の未練を晴らすため、いや俺の望みを叶えるためと言い換えていいな、そして二つ目は…」

恭介(今日一番の大きな声で、俺は宣言する!)

恭介「この世界の秘密を、暴くためだ!!」

恭介(呆気に取られた顔をしてみんなが俺を見つめている。いいぜ、そういう反応を待ってたんだ)

103: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:40:26.52 ID:mmNci9sfo
男B「…いやいやいや、お前。世界の秘密を暴くってそれになんの意味があるんだよ!」

恭介「意味ならあるさ。世界の秘密を暴くことは、神様とやらを引きずり出すことにも繋がるだろ?」

男B「まあ、確かにそうだな…」

恭介「それとここからが重要なんだが…、ワクワクするだろ?」

全員「「「は…?」」」

恭介(いよいよ、わけがわからないという視線を向けられる。ここが勝負だ、畳み掛けるぜ)

104: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:41:40.36 ID:mmNci9sfo
恭介「ここは死後の世界だ!死んだりすることもない、常識や人智の通用しない不可解な世界!」

恭介「どれだけ不可解かは、俺よりもお前たちの方がよく知ってるだろう?」

恭介「どういう仕組みで成り立ってるのか?そもそも本当に神が創った世界なのか?興味あるだろう?」

男B「ま、まあ確かに…」

105: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:43:06.91 ID:mmNci9sfo
恭介「なら暴いてやろうじゃないか!その先にはきっと誰も想像し得ない何かが待っているはず!」

恭介「未知との遭遇、例えようもないロマンが詰まってるんだ!」

恭介「どうだ!?すっげー面白そうだろ!?」

恭介(ここにいる奴らはみんな辛い青春時代を生きていたんだろ?だから尚更だ。辛いだけの人生なんて意味ねえもんな)

恭介(とにかく何をやるにも『楽しく』だ。悲しみも憎しみも楽しさや面白さで溶かしちまえばいい!これだけは譲らないぜ)

107: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:49:13.70 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?」

恭介「もちろん、俺の望みを叶えることが前提にあるさ。そのついでに楽しむ。何かに取り組むなら楽しむことを忘れちゃ意味がないがならな!」

恭介(人仕切り話し終えると水を打ったように静かになる、最初にその空気を破ったのは笑い声だった)

女A「くっくっく、あははははははは!!」

男A「おい…、岩沢?」

108: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:51:05.44 ID:mmNci9sfo
誤字修正版

ゆりっぺ「あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?」

恭介「もちろん、俺の望みを叶えることが前提にあるさ。そのついでに楽しむ。何かに取り組むなら楽しむことを忘れちゃ意味がないからな!」

恭介(人仕切り話し終えると水を打ったように静かになる、最初にその空気を破ったのは笑い声だった)

女A「くっくっく、あははははははは!!」

男A「おい…、岩沢?」

109: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:53:57.86 ID:mmNci9sfo
女A「いや参ったね。入る前からそんな大胆な宣言するやつなんて、あたしの知る限りじゃ初めてだよ」

男D「ぼ、僕だって初めてだよ!創設メンバーだけどさ」

男B「当然俺も初めてだな、いやすげーわお前。マジで大物かもな?」

女A「あんたの戦う理由とやら、あたしは気に入ったよ。棗…だっけ?」

男F「It's so cool!!」

110: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:55:03.30 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「待ちなさい!」

恭介(騒がしくなり始めた空気が一気に沈静する、大したカリスマだ。やはりゆりっぺが戦線のリーダーか)

ゆりっぺ「それで世界の秘密を暴いたとして、あなたはどうするつもりなの?それであなたの望みが叶うっていうの?」

恭介「それは暴いた先に何が待っているかによるな。そして、まずは動かなければ始まらないんだ。そうだろ?」

恭介(さっきのゆりっぺの言葉を真似て返す、最後はニカっと笑ってな)

111: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:56:28.47 ID:mmNci9sfo
ゆり「………。昨日からさっきまでは結構デキるやつかと思ってたけど…、確信したわ」

恭介(すると、凄い勢いで俺の顔に指を突きつけてきた)

ゆりっぺ「あなた馬鹿ね!?それもちょっとやそっとじゃない!神がかり的な馬鹿なのね!?」

恭介「否定はしないさ」

ゆりっぺ「はあ、ちょっとはまともかと思ってたのにまた馬鹿が増えるってわけね…」

恭介「ということは?」

112: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:57:45.40 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「入るんでしょ?理由は気に入らないけど、熱意は伝わったわ。それに優秀なのは確かだもの。人手不足だしね」

恭介(俺の人間性は難ありとしたが妥協したってとこか?)

恭介(まあ今はそれでいいさ。だが覚悟しとけよ?俺は一人で楽しむつもりなんかない、お前らみんな巻き込んでやるからな)

恭介(そしてゆりっぺが手を差し出してくる、その瞬間背後でドアの開く音)

113: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:58:33.24 ID:mmNci9sfo
男G「はやまるなぁ!ゆりっぺ!」

男G「ぶほっ!」

がしゃーーーん!!

男B「あほだ…」

男A「自分の仕掛けた罠にハマってやがる…」

114: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 22:59:31.44 ID:mmNci9sfo
女B「あさはかなり」

恭介「俺もさっきこう吹っ飛んだんだな…」

恭介(ドアの向こうでぶらーんと天井から垂れ下がる巨大ハンマーを見て、ようやく理解する)

ゆりっぺ「ここに無事に入るには合言葉が必要なのよ。対天使用の作戦本部ってわけ?」

恭介「そうか、合言葉は?」

恭介(そして俺は手を差し出し握手を交わした)

115: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:00:31.92 ID:mmNci9sfo
ゆりっぺ「合言葉は、カミモホトケモテンシモナシ」

恭介「…カミモホトケモテンシモナシか」

ゆりっぺ「あたしはゆり。この戦線のリーダー」

恭介「やっぱりお前がリーダーだったのか」

ゆり「まあね、彼女は遊佐さん。あなたたちとあたしを繋ぐ通信使よ」

遊佐「よろしくどうぞ」

恭介(唯一一言も話さなかったやつだな)

116: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:01:14.03 ID:mmNci9sfo
男B「よ!これでようやく仲間っつーわけだな!」

ゆり「彼は日向くん。見た目通りちゃらんぽらんだけど、やるときはたまにやるわ」

日向「ああ!ってフォローおかしいぜ!!」

恭介(俺の言葉に最初に食いついてくれたやつだ、好青年って感じの印象だな)

117: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:02:04.38 ID:mmNci9sfo
ゆり「彼は松下くん。柔道五段だから、敬意を持ってみんなは松下五段と呼ぶわ」

日向「くっそー、無視かよっ」

松下「よろしくな」

恭介(本当に真人や謙吾並みの大男だ。この体で柔道五段なら、さぞ強いんだろう)

118: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:03:14.82 ID:mmNci9sfo
ゆり「彼は大山くん。特徴が無いのが特徴よ」

大山「えへへ、ようこそ、戦線へ」

恭介(どこが特徴が無いんだ?童顔だし良いリアクションしてたし、充分個性的に見えるんだが…)

119: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:04:02.04 ID:mmNci9sfo
恭介(ぬっとそこでダンサーのような男が割って入ってくる)

男F「Come on! Let's dance!!」

恭介「おっ!やっぱダンサーなのかい?野郎どもが生み出した絆スキップならぬ、絆ステップを見せてやるぜ!」

ゆり「この人はみんなTKと呼んでるわ。本名は誰も知らない、謎の男よ」

恭介(そんな奴までいるのか、幅広いな…)

120: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:05:55.73 ID:mmNci9sfo
ゆり「眼鏡をいちいち持ち上げて知的に話すのは高松くん。本当は馬鹿よ」

高松「よろしく」

恭介「ああ、よろしくな」

恭介(今の紹介で怒らず平然としている。こいつは中々大した奴かもしれないな)

ゆり「さっき飛んで言ったのは野田くん」

恭介(あの武器持ったやつか)

121: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:06:35.93 ID:mmNci9sfo
ゆり「で、影で『あさはかなり』って言い続けてるのは椎名さん」

ゆり「作戦実行メンバーではあたしを除いて唯一の女性で、しかも戦線では最強」

恭介(そいつはすごいな、見た目の印象も相まって来ヶ谷に似てる気がするぜ)

椎名「ふっ…」

122: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:07:31.68 ID:mmNci9sfo
ゆり「そっちに座ってるのは岩沢さん。陽動部隊のリーダー」

岩沢「よろしく、棗」

恭介「おう、さっきは爽快に笑ってくれてありがとな」

岩沢「笑おうと思って笑ったんじゃない、お前に笑わされたんだ」

ゆり「彼女の活躍はすぐ耳にすることになると思うわ」

恭介「耳…?」

123: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:08:17.71 ID:mmNci9sfo
ゆり「ここにいないだけで、戦線のメンバーはまだ何十人と校内に潜伏してるわ。後は…、藤巻くんね」

藤巻「藤巻だ、クソ坊主」

恭介(木刀を持ったやさぐれた男が、クソ坊主呼ばわりしてくる)

恭介「俺としては、フレンドリーに恭介と呼んでほしいとこなんだがな」

藤巻「へっ!俺が認めるだけの活躍したら考えてやるよ」

恭介「そいつは期待に応えないとな」

124: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:09:20.78 ID:mmNci9sfo
松下「ところで、仲間に加わったんだ。制服を渡さなくていいのか?」

恭介「そういや、どうして俺の制服はお前たちと違うんだ?」

ゆり「あなたが違うんじゃないわ。あたしたちが違うのよ。それは模範生の格好」

恭介(ゆりっぺが机の向こう側に回り、引き出しから何かを取りだす)

ゆり「これが、あたしたち『死んでたまるか戦線』の格好ってわけ。はい、どうぞ、棗くん」

125: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:10:08.12 ID:mmNci9sfo
恭介(そう言うと折り畳まれた制服が差し出される)

ゆり「早速着替えてくれるかしら?サイズが合えばいいんだけど」

恭介(指示に従って、みんなに背中を向けて着替える。背中を向けたのは一応女性陣に対する配慮のつもりだ)

恭介(にしても真新しい制服を着るのはなんかワクワクするよな)

恭介「着替え終わったぜ、サイズは問題なさそうだ」

126: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:11:19.15 ID:mmNci9sfo
大山「うあー、似合うなー!羨ましいよ!さすが棗くん!」

日向「ああ、悪くないな」

ゆり「っていうかそうよ。すっかり忘れてたわ」

恭介「ん?なにがだ?」

ゆり「名前よ、名前。『死んでたまるか戦線』の新しい名前。うってつけのがあるんでしょ?」

恭介「ああ、そうだったな」

127: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/09(木) 23:12:17.28 ID:mmNci9sfo
恭介(一歩前に出ると再度みんなの注目を集める)

恭介「それじゃ戦線名を発表するぜ?」

恭介(そう、ここからが本当の始まり。死後の世界という新しい場所での俺たちの戦いの始まりだ)

恭介(気合を入れて高らかに俺は宣言した)

恭介「戦線名は『リトルバスターズ』だ!」

135: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:06:22.81 ID:s3mJ9unao
日向「ここが大階段」

恭介「でっけーな」

日向「見下ろせるのが運動場、今は体育の時間か。NPCの連中が走ってるな」

恭介(一夜経って、俺は日向に校内を案内してもらっていた)

136: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:07:24.47 ID:s3mJ9unao
恭介(俺の発表した『リトルバスターズ戦線』は、特に男子に格好良いだの、新しいだの好評であっさり受け入れられた)

恭介(ま、当然だがな!ゆりと椎名には不評っぽかったが…)

恭介(俺はその場ですぐに活動開始なのかと思ったが、ゆりの指示で)

ゆり『もう時間も微妙だし、新生リトルバスターズ戦線としての活動は明日からにするわ。解散!』

恭介(ってな具合にその場で一旦お開きになった)

137: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:08:23.29 ID:s3mJ9unao
恭介(そんな時、俺のルームメイトに名乗りを上げてくれたのが日向だった)

日向『先輩として、この世界での暮らし方ってやつを教えてやりたいからな!』

恭介(との事だった。もちろん、俺から頼みたいくらいだ。色んなやつと仲良くなっておきたい、単純に頼もしいってのもあるしな)

恭介(そして、今に至る)

恭介(学生寮や大食堂は昨日のうちに案内してもらったから、今は校内をグルリと回っているところだ)

138: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:09:31.04 ID:s3mJ9unao
日向「まあ、これで大体は見て回ったかな」

恭介(日向が一度足を止める)

恭介「そうなのか?まだ見てないところもありそうなんだが」

日向「俺たち戦線のメンバーにとって、重要な場所ってのは意外と少ないからな」

恭介「購買とかはあるのか?」

日向「ああ、あるぜ。でもゆりっぺ的にはあんまよろしくないかもな」

139: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:11:24.25 ID:s3mJ9unao
恭介「どういう意味だ?」

日向「普通にお金払って物を買うなんて模範的じゃない、消えたらどうするの?だそうだ」

恭介(徹底してるな…、っていうか滅茶苦茶言ってる自覚はあるのか?ゆりっぺ…)

恭介「でも物を買うにしろそのための金が無いんだよな」

日向「貰えるとこがあるんだよ、どうしてもっていうなら後で案内してやるぜ」

140: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:12:32.61 ID:s3mJ9unao
恭介「ああ、サンキューな。日向」

恭介(やっぱり日向は頼もしい。頼ることの出来る仲間がいるのは嬉しいことだな)

恭介「にしても、普段はどういうふうに過ごしてるんだ?授業にも出てないんだろ、暇じゃないのか?」

日向「結構自由だぜ。突発的にゆりっぺからのオペレーションを実行するために、呼び出されることもあるけどな」

日向「あと幹部は毎日夕方17時に、本部に集合するのが義務付けられてる。それ以外は日々の訓練を怠らなきゃいいんだ」

141: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:13:38.33 ID:s3mJ9unao
恭介(そこで俺は、「日々の訓練」との言葉に違和感を覚えた)

恭介「この世界じゃ俺たちは死んでるから歳もとらないんだろ?なのにちゃんと訓練したぶんが反映されるのか?」

日向「んー、そうだなあ。俺の経験則では、自分にとってプラスになることは都合良く生きていた時のようになる」

日向「勉強すれば賢くなるし、筋トレすれば体力がつく。逆に断食とかしても死なないし、筋肉が落ちたりもしない」

恭介「マイナスの経験は反映されないのか。よく出来た世界だな」

142: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:14:34.47 ID:s3mJ9unao
日向「まあ、当然腹減って死にそうな苦しみは味わうがな」

恭介「味わったことがあるのか…?」

日向「ゆりっぺはオペレーションに失敗したらたまに罰ゲームを持ち出すんだよ、そん時にな…」

恭介(鬼だな、ゆりっぺ…)

143: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:16:01.69 ID:s3mJ9unao
日向「次は恭介の行きたいとこに行けよ。俺もついてくから」

恭介「そうか?じゃあゆりっぺのとこに行ってもいいか?ちょっと聞きたいことがあってな」

日向「オーケー。んじゃ校長室だな」

恭介(二人で並んで移動し、校長室の前に立つ)

恭・日「カミモホトケモテンシモナシ」

恭介(中に入るとゆりっぺが一人で椅子に座っていた)

144: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:17:08.85 ID:s3mJ9unao
ゆり「あら、棗くん。丁度いいところに来たわね。これを渡すのを忘れていたわ」

恭介(鈍く光る金属の塊が渡される、聞かなくてもわかる。こいつは本物の銃だ)

ゆり「さっき試し打ちしたけど、問題なく撃てるわよ」

恭介「悪いが、俺は銃の扱いには自信無いぜ?」

ゆり「誰だって最初はそうよ。暇があったら体力作りと銃の練習に励みなさい。幹部ならそうあるべきよ」

145: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:18:27.91 ID:s3mJ9unao
恭介「ああ、わかった…。ん?ちょっと待て幹部?俺幹部扱いなのか?」

ゆり「そりゃそうよ。初日に天使からこの世界の情報を聞き出したのよ。実績は充分。実行班としてオペレーションにも参加してもらうから、そのつもりでいなさい」

日向「おいおい、すげーな恭介!スピード出世じゃねえか!」

恭介(日向が嬉しそうに俺の肩を抱いてくる。俺の事でここまで喜んでくれるなんていい奴だな、本当に)

ゆり「とりあえず早速今日、棗くんには慣れてもらうために、いつもやってる簡単な作戦に参加してもらうわ」

146: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:19:48.34 ID:s3mJ9unao
恭介「ほう?その作戦とは?」

ゆり「また後でみんなが揃ってる場所で説明するわよ。集合時間は一七○○、場所はここよ、忘れないようにね」

恭介(ついに初めての作戦参加か。幹部として、参加出来るのはラッキーだな)

恭介(銃は…、正直あんま使いたくないんだが。朱鷺戸のループに付き合ってる時に暇だったから練習してたし、まあ大丈夫だろ)

147: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:20:50.14 ID:s3mJ9unao
ゆり「それで、二人してどうかしたのかしら?」

恭介「ああ、質問があるんだ」

恭介(まずはこの世界についての情報をもっと詳しく把握しておきたいとこだな)

恭介「この学校の外はどうなってるんだ?」

ゆり「なるほど。早速世界の秘密を暴くために行動開始ってわけね」

148: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:21:48.98 ID:s3mJ9unao
恭介「こういう事は、まずお前たちから聞いておいた方が確実だと思ってな」

ゆり「賢明ね。質問に答えると、正門も校門も無し。森に囲まれていて、さらに深く進むと壁で高く閉ざされている」

恭介「出られないってことか?」

ゆり「そうね。壁に対してハンマーを使っても傷つけるのが精一杯。杭も刺せないから足場を作って登ることも不可能」

149: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:22:56.04 ID:s3mJ9unao
恭介「食料とかはどこから調達されるんだ?」

日向「調達なんかされないぜ。陽が登ると同時に食堂の厨房に現れるんだ」

恭介「見たのか…?」

ゆり「ええ。そりゃあなたが今考えてるこの世界からの脱出方法はすべて試してるって話よ。何十年ここで暮らしてると思ってんの?」

恭介「そんなにいるのか?」

日向「創設メンバーはみんな数十年単位だぜ、椎名とかだと百年はいるかもしないな」

150: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:23:44.47 ID:s3mJ9unao
恭介「そんなにいて精神が病んだやつとかはいないのか?」

ゆり「この世界では誰も病まないわ、肉体面でも精神面でもね」

恭介「本当に都合の良い世界だな」

ゆり「まったくね、そういうところは腹立つくらいよく出来てるのよ」

恭介「じゃあ季節も移ろうのか?」

ゆり「正解、ちゃんと移ろうわ。今は春で夏には雨、冬には雪も降る」

151: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:24:54.38 ID:s3mJ9unao
日向「多分だけど、生きていた時そのままの世界を再現しないと意味がないんだろうな」

恭介「なるほどな。2度目の青春のための世界なのに、季節に変化が無かったら面白みが無いもんな」

ゆり「ちなみに学校行事だってちゃんとあるのよ。卒業式だってある。それで消える生徒もよく見たわ」

恭介「卒業式に出なければ?」

日向「同じ学年のまま、新しいクラスメイトと一緒に、また自分の名前が書かれた名簿が貼られるんだ」

152: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:26:11.86 ID:s3mJ9unao
恭介「早い話が留年ってわけか」

ゆり「この世界にね」

恭介(…まとめると、この世界は学校とその周辺以外は、完全に閉じた世界だってことだな)

恭介(俺たちが創った世界とはそこが決定的に違う。その代わり病むことも死ぬことも無い)

恭介(この世界で生きるものたちの身の安全は、完全に保証されているということになる)

恭介(まさに箱庭だな。仮に神以外がこの世界を創ったのなら、どんな意図が隠されているんだか…)

153: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:27:18.69 ID:s3mJ9unao
ゆり「他に質問は?」

恭介(次は天使…、生徒会長についてだな。あいつは自分が天使じゃないとは言っていたがそれにしては気になるところがある。それは…)

恭介「天使の持つ能力についてだ。俺は腕から生えた刃でぶっ刺されたが…」

ゆり「それはハンドソニックね。跳弾も出来るし、近接戦闘ではまさに剣と化す」

154: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:28:32.26 ID:s3mJ9unao
恭介「なぜ天使はそんな力が使えるんだ?」

日向「そりゃ神にでも与えられた能力なんじゃね?俺たちと戦うため、異分子を排除するために」

ゆり「ええ、私たちが天使は神の使いだと考えてる根拠がそれよ。あまりに常軌を逸した力ですもの」

ゆり「加えて無感情、無愛想、自意識があるのかも謎。生徒会長という特殊な役割。ただのNPCとして片付けるには個性的すぎるわ」

155: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:29:39.86 ID:s3mJ9unao
恭介(無感情…、という点には異を唱えたくなるとこだが今は抑えておく)

恭介(幸か不幸か。あんなむちゃくちゃな頼み事をしたおかげで、天使にも確かに感情があることを俺は既に知っているからな)

ゆり「能力の続きね、次はディストーション。わかりやすく言うとバリアみたいなものよ」

日向「こいつを発動されると、銃弾の軌道がねじ曲げられる。ねじ曲った結果当たることもあるんだが…」

ゆり「これまでの経験上、ディストーション発動中は、天使は歩むことなくじっとしてる。きっと周りに銃弾をねじ曲げる空間が固定されてるんでしょうね」

156: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:30:43.29 ID:s3mJ9unao
恭介「つまりディストーション中は普通の銃は通用しないってことか」

ゆり「それと天使はとてつもない身体能力を持ってるわ。まともな近接戦では勝てると思わないことね」

恭介「銃も効かなくて、近接戦も分が悪い…か。手こずってるわけだ」

ゆり「それでも、それなりに対抗出来てるけどね」

157: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:31:59.79 ID:s3mJ9unao
恭介(天使…生徒会長。ただものじゃない存在なのは確かだ。こいつらが神の使い、天使だと思うのも無理は無い)

恭介(…だが、)

生徒会長『…そう、なら仕方ないわね…。…どうしても私に手伝えることは無い?』

生徒会長『…なにか、ある?』

恭介(あの時あいつは俺に手を差し伸べてくれていた…。ただ敵対し続けなければならないほど、危険な奴とは思えない)

恭介(なんとかして、あいつと交流を図りたいところだな)

158: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:32:57.42 ID:s3mJ9unao
ゆり「他に質問は?」

恭介(さてどうするか…。とりあえずもう聞きたい事は無いが、共に戦う仲間だ。親しくなっておきたい)

恭介(なにか聞きたいことはあるか…?)

159: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:33:50.18 ID:s3mJ9unao
人いるのかな…?

選択安価

1 ゆりの趣味について聞く
2 あえて自分の悩みでも相談してみる

↓2

161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/10(金) 20:41:22.29 ID:JfcLsY0M0
1

162: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:42:44.70 ID:s3mJ9unao
恭介「ゆりっぺの趣味は?」

ゆり「趣味?そんなことに耽っている暇があると思って?」

恭介「でも、今は暇そうじゃないか」

ゆり「あたしが暇?」

恭介「ああ」

ゆり「…新入りだから今のは聞かなかったことにするわ」

恭介(不機嫌な顔になる、どうやらこの質問はタブーらしい)

恭介(どうする…?)

163: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:43:56.09 ID:s3mJ9unao
試しに早いもの順に変更してみます

選択安価

1 で、趣味は?
2 自分の趣味について話す

↓1

164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/10(金) 20:47:14.45 ID:8uog1vxIo
2

166: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:49:41.31 ID:s3mJ9unao
恭介「例えば俺の趣味は読書なんだぜ」

ゆり「読書!?なんかすっごい意外なんだけど。悪ガキ引き連れて馬鹿みたいに遊び回ってるイメージだったわ!」

日向「おいおいゆりっぺ、その言い方は流石に…」

恭介「否定はしない」

日向「しないのかよっ!?」

167: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:51:12.56 ID:s3mJ9unao
恭介「ま、読書といっても漫画全般だけどな」

ゆり「なーんだ。ってか漫画も読書に含めていいものなの?」

恭介「同じ本なんだ、なんの問題もないだろ」

日向「ってか恭介、読書が好きなら後で図書館に案内してやるよ」

恭介「気持ちは嬉しいが漫画が無ければな…」

168: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:52:24.83 ID:s3mJ9unao
日向「ちゃんとあるし借りることも出来るぜ、生前の青春時代にあったもんは大体揃ってるんだよ」

恭介「マジか!?そいつは知らなかったぜ!」

ゆり「はいはい、盛り上がるのはいいけど外でやってね」

恭介「ああ、悪い。じゃあなゆりっぺ。色々参考になったぜ」

169: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:54:31.96 ID:s3mJ9unao
恭介(野暮用を済ませた後に図書館に向かい、自分用の図書カードを発行した)

恭介(いざ借りようというタイミングで、遊佐に作戦会議の時間だと告げられ断念する破目になったが…)

恭介(今度また図書館によってみるか)

170: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:57:48.63 ID:s3mJ9unao
恭介(時刻にして一七○○、俺は日向とともに作戦本部に集合した)

恭介(全員が集まったのを確認すると、ゆりっぺは自分の机に向かいおもむろに帽子を被る)

恭介(それを合図に、カーテンが閉められ、部屋の明かりが落とされる。スクリーンが引き下ろされ、青白い光が部屋を包み込んだ)

ゆり「すでにみんなにも伝えたと思うけど、今日から棗くんにも幹部として作戦に参加してもらうわ。棗くん、いいわね」

恭介「ああ、もちろんだ!」

171: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:58:34.65 ID:s3mJ9unao
ゆり「よろしい。作戦名は、『オペレーショントルネード』よ」

松下「ううむ、でかいのが来たな、こいつは…!」

恭介「トルネード…」

恭介(まさか竜巻でも引き起こそうってのか…!)

172: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 20:59:23.48 ID:s3mJ9unao
ゆり「生徒から食券を巻き上げる」

恭介「その巻き上げかよ!」

恭介(思わずズッコケるところだったぜ…)

大山「なんて素早いツッコミだ!僕なんて…まだまだだっ!」

恭介(涙目になりよよよとすすり泣く大山。マジお前どこが個性無いんだよ…)

173: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:00:34.09 ID:s3mJ9unao
恭介「生徒から食券巻き上げるなんてただのイジメじゃねえか!」

野田「貴様、ゆりっぺに逆らう気か…?」

恭介(野田が俺のその言葉に、ハルバードを首筋に突きつけてくる)

松下「落ち着け、恭介。我らリトルバスターズ戦線は、一般生徒を脅かす真似は決してしない」

恭介(すっかりリトルバスターズの名前が定着してるのは嬉しいが、ひとまず後回しだ)

174: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:01:42.97 ID:s3mJ9unao
恭介「当たり前だ!そんなことしたら失望するぜ。でも、巻き上げるって言ったじゃねえか?」

ゆり「ええ、文字通り巻き上げるわ」

恭介「どうやって?」

ゆり「あなたは天使の侵攻を阻止するバリケード班。作戦ポイントである大食堂を取り囲むように、それぞれ指定の位置で武装待機」

恭介(スクリーンに上空から見た大食堂の図面と、周辺の地図が表示される)

175: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:03:09.62 ID:s3mJ9unao
ゆり「天使が現れたら発砲、それが増援要請の合図にもなるわ。どこかで銃声が聞こえたら、棗くんも増援に駆けつけるように。いいわね」

恭介「つまり、習うより慣れろの精神ってわけだな?」

ゆり「その通りよ。順応性を高めてあるがままを受け入れなさい。みんなそうしてきたんだから」

恭介(周りのみんなを見回す。なるほど、みんな自信の備わった良い顔をしている。いいぜ、やってやろうじゃねえか)

ゆり「棗くんは大食堂に続く橋の西側ね。わからなければ東側の日向くんに聞いてちょうだい」

176: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:04:35.45 ID:s3mJ9unao
ゆり「岩沢さん、今日も期待してるわ」

岩沢「ああ」

ゆり「作戦スタートは一九○○よ。さあ総員、配置につきなさい!」

恭介(指示通り俺は日向と一緒に、自分の待機場所へとやって来た)

177: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:05:37.98 ID:s3mJ9unao
日向「恭介は、ここな」

恭介「日向が東側だったか」

日向「ああ、大食堂に近い側の橋さ。やばくなったら、すぐに駆けつけてやるから安心しな」

恭介「ああ、信じてるぜ!」

日向「よし、流石は恭介。いい表情してんな!じゃ、また後でな」

178: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:06:46.50 ID:s3mJ9unao
恭介(東側に向かう日向を見送る。そろそろ時間のはずだ…)

ゆり『オペレーション…スタート!』

恭介(急に食堂から爆音が響く。何事だ!?)

恭介(…歌だ。歌が聞こえてくる。こいつは生演奏…?あの大食堂でライブが始まったのか!?)

179: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:07:39.16 ID:s3mJ9unao
ゆり『そっちに座ってるのは岩沢さん、陽動部隊のリーダー』

ゆり『彼女の活躍はすぐ耳にすることになると思うわ』

ゆり『岩沢さん、今日も期待してるわ』

岩沢『ああ』

180: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:08:42.63 ID:s3mJ9unao
恭介(歌っているのは岩沢と他のメンバーか。なるほどこんな大胆な作戦、生徒会長である天使が放っておくはずがない。それにしても…)

find a way ここから
found out 見つける
rockを奏でろ
遠くを見据えろ

恭介(良い歌だな…。そういや野球じゃなくて、バンドをやろうなんて提案したこともあったっけか)

恭介(きっとどこかの教室で練習してるんだろうし、そのうち会いに行ってみるか)

181: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:09:36.63 ID:s3mJ9unao
恭介「!?」

恭介(気配を感じる、橋の向こうから歩いてくる。暗すぎてわからないが、体型的にはあいつに似ている…)

恭介(月明かりに照らされ、その姿が鮮明になる。間違いない)

生徒会長「………」

恭介(少しずつこっちに向かって近づいてくる。なら、出迎えてやらなきゃな)

182: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:10:34.36 ID:s3mJ9unao
恭介「よう」

生徒会長「あなたは…」

恭介「えらく久しぶりな気がするな。まあ見ての通り戦線に仲間入りしたぜ」

生徒会長「…そう。ごめんなさい」

恭介「ん?なんでお前が謝るんだ…?」

183: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:11:44.45 ID:s3mJ9unao
生徒会長「…あなたのこと刺しちゃったから」

恭介(…あ、やっべえ!すっかり忘れてた!)

恭介「いやいやいや、あれは全面的に俺が悪い!お前のあれは言わば正当防衛だ!謝るのはむしろ俺だ!ほんとにすまなかった!」

恭介(とりあえず思いっきり頭を下げる。これで足りないなら土下座でもなんでもしよう)

生徒会長「そう、良かった。怒ってないのね」

184: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:12:56.34 ID:s3mJ9unao
恭介「怒ってるわけがない、悪いのは俺なんだ」

生徒会長「いいえ、あたしも悪かったわ」

恭介「………」

生徒会長「………」

恭介「フッ。じゃあお互い悪かったってことで水に流してくれるか?」

生徒会長「あなたがそれでいいのなら」

185: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:13:58.22 ID:s3mJ9unao
恭介「サンキューな」

生徒会長「じゃあ、その先に行かせてくれる?」

恭介「そいつは無理な相談だ。持ち場を守るのが俺に与えられたミッションなんでな。それにあの歌ももっと聞いておきたい」

生徒会長「それは、困るわ」

恭介(少しだけ首をかしげてそう言う)

186: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:15:25.39 ID:s3mJ9unao
恭介「だろうな。俺はここから先へ行かせたくない。お前はここから先へ行きたい」

恭介(ゆりっぺから受け取った銃をクルクル回して構える)

恭介「じゃあバトルで決着をつけるしかないよな?」

生徒会長「…バトル?」

187: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:16:36.01 ID:s3mJ9unao
恭介「そうだ。ルールは簡単。一対一で相手を倒すか、まいったと言わせたほうの勝ち」

恭介「負けた方は、相手の言うことを潔く聞くってのでどうだ?」

生徒会長「あなたじゃあたしには勝てないわ」

恭介「やってみなければわからないさ」

恭介「これでもバトルランキング最強の男、『マスク・ザ・斎藤』を名乗ってたこともあるくらいだぜ!うまうー」

188: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:18:10.01 ID:s3mJ9unao
生徒会長「…なにがうまいの?」

恭介「なに気合いをいれるおまじないみたいなもんだ、気にしないでくれ。うまうー」

生徒会長「…そう。あたしが勝ったらそこをどいてくれるのね?」

恭介「ああ、どいてやるとも。なんなら授業を受けてやってもいいぜ」

生徒会長「わかったわ、それでいきましょう。うまうー」

189: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:19:16.95 ID:s3mJ9unao
恭介「ぶっ!?」

恭介(あまりの衝撃に思わずむせてしまう。…なんだ?聞き間違いじゃなかったら今こいつ…)

恭介「なあ今の…?」

生徒会長「気合いをいれるおまじないだって言うから。使っちゃだめだったかしら?」

恭介「いや、使ってくれ!もうバンバン使ってくれ!」

生徒会長「いつも使ってたら、おまじないの意味が無いわ」

191: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:20:36.54 ID:s3mJ9unao
恭介(やっぱりこいつは天使なんかじゃない、人間だ。いや、もう天使だろうが何でもいい!)

恭介(こんな面白いやつ放っておいてたまるか。俺の覚悟は決まったぜ)

恭介「そういや、俺としたことが自己紹介もまだだったな」

生徒会長「自己紹介?」

192: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:21:52.79 ID:s3mJ9unao
恭介「ああ、俺は恭介。棗 恭介だ。お前は?」

生徒会長「…かなで。立華かなで」

恭介「よっし、立華!俺が勝ったらお前をリトルバスターズの新メンバーにする!」

立華「…リトル、バスターズ?」

恭介「戦線の新しい名前だよ。どうだ、かっちょいいだろ?」

193: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:23:09.76 ID:s3mJ9unao
立華「…その名前はかっちょいいの?」

恭介「…ぐっ!やっぱり女性にはネーミングの時点じゃウケが悪いか…!」

立華「?」

恭介「まあいい、かっちょいいんだ!しかも楽しいことが沢山待ってるぜ?そこにお前も引き込んでやる!」

立華「あたしは生徒会長だから、あなたたちの仲間にはなれないわ」

194: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:24:26.04 ID:s3mJ9unao
恭介「うっ!それを言われると痛いな…」

恭介(俺たちとは立場的に大きな壁があるからな…)

恭介「よし!ならこうしよう、お前が生徒会長を辞める時が来たら俺たちの仲間になる!そいつでどうだ?」

恭介(何も今焦りすぎる必要は無い。時間が必要な時だってあるさ)

立華「あなたはそれでいいの?あまり釣り合ってないように思えるけど」

195: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:25:36.89 ID:s3mJ9unao
恭介「構わないさ、じゃあこの約束でいいな?」

立華「…」コク

恭介(立華が小さく頷いた、了承ということだろう)

恭介「よし、じゃあこのコインが地面に落ちたら開始の合図だ。準備はいいな?」

恭介(俺は先ほど用意した100円玉を、立華によく見えるように示す)

196: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/10(金) 21:27:07.71 ID:s3mJ9unao
立華「ええ」

恭介「よしじゃあ、いくぜぇ!」キン

恭介(コインを思い切り上空に弾く。相手は天使と呼ばれる存在、身体能力では負けてるだろう。能力の差もある)

恭介(それでもな、俺は負けない!)

恭介(決意を再度固めた瞬間、コインが地面に落下した)

恭介「バトル、スタートだ!!」

206: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:10:46.76 ID:mXtx5lVro
立華「ガードスキル…ハンドソニック」

恭介(合図の直後、立華はハンドソニックを展開し、物凄いスピードで間合いを詰めてくる)

恭介「そうはいかないぜ!」

恭介(俺は予め用意し、隠し持っていた『それ』を立華に向かって投げる)

恭介(だがぶつけるためじゃない、そんなことしてもあっさり躱されるのは目に見えてるからな)

207: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:12:11.75 ID:mXtx5lVro
恭介「当たれっ!!」

パァン!

恭介(狙い通り、立華の手前で撃ち落とすことに成功した)

立華「!?………石灰?」

恭介(ご名答だぜ立華。今のは購買で仕入れたゴム風船・大に、くすねた石灰をパンパンに詰めたものだ)

恭介(ようは擬似的な煙幕だな。いくら桁外れの身体能力を持っていても、相手が見えなければどうしようもないだろう?)

208: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:14:03.21 ID:mXtx5lVro
立華「煙幕の外に出れば…。きゃっ!」

パーン!パンパーン!

恭介(当然、お前は煙幕の範囲外に出ようとする。悠長に煙幕が晴れるのを待つのは命取りだからな)

恭介(が、その足元にはゴム風船・小を大量にバラまかせてもらった。踏めば破裂するぜ)

209: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:15:09.90 ID:mXtx5lVro
恭介「さあ隙だらけだぜ!」

恭介(立華が怯んでいる隙に、武器を持ち替え今度はこっちから距離を詰める)

恭介(俺は右手に持ったおもちゃのナイフを立華に見せつけるようにして走った。左手は立華から見えないように構えて)

立華「距離を離していれば、まだ勝ち目があったかもしれないのに」

恭介(そう言うと立華もこちらに迫る)

210: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:16:26.00 ID:mXtx5lVro
恭介「そいつはどうかな!」

恭介(悪いが立華、俺はそれを待ってたんだぜ!)

恭介「せいっ!」

シュッ

恭介(ギリギリの間合いで、おもちゃのナイフを投げつけた)

211: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:18:18.77 ID:mXtx5lVro
立華「!?」

恭介(立華からすれば本物のナイフだと思っていたはずだ。当然躱すか弾くかしなければならない)

立華「っ!………え?」

恭介(立華は弾くのを選んだ。だがおもちゃのナイフは呆気なく切断され、息を呑むのが聞こえた)

恭介(これが本物じゃなくおもちゃであることの利点だ。想定外の結果は少なからず動揺を生む)

恭介(そして…この距離でそれは致命的な隙となる!)

212: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:19:42.82 ID:mXtx5lVro
恭介「これでどうだ!」

恭介(この時のためにとっておいた左手、その手に装備したのは黒板消しだ)

恭介(交錯する瞬間、黒板消しの粉を払い立華に叩きこんだ)

立華「っつ、…目が」

恭介(大した時間は稼げないだろうが、目潰しにより動きを封じることに成功する)

213: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:21:13.75 ID:mXtx5lVro
恭介「終わりだぁ!」

恭介(最後の武器は布ガムテープ。こいつでグルグル巻きに縛り、一気に立華を拘束した…!)

恭介「…ふう」

恭介「ガムテープで縛られた立華の出来上がりだぜ。ってやばい、なんか響きが●●●な…」

214: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:23:44.16 ID:mXtx5lVro
立華「………?」

恭介(立華はきょとんとしている。なぜ自分が縛られているのかが、まだわかっていないかのような表情だ)

恭介「おい大丈夫か?一応そんな痛くならないように、目潰しの加減は調節したつもりなんだが…」

立華「………棗くん。あなたやっぱりすごいわ。てっきり銃やナイフを使うのかと思ったのに」

恭介「使ったさ、ああいう使い方だけどな。でも俺はどっちかっていうと、くだらない武器で戦う方が慣れてるんだ」

215: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:24:59.04 ID:mXtx5lVro
恭介(煙幕での先制攻撃、ゴム爆弾・小で一度怯ませ、おもちゃのナイフで動揺を誘い、黒板消しで目潰しをする)

恭介(どれも、最後のガムテープでの攻撃を通すための布石だったってわけだ)

恭介(しかも何度もループしたおかげで、バトルランキングで使うようなスキルはとっくに熟練度MAXだったのが大きかったぜ)

216: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:26:17.14 ID:mXtx5lVro
恭介「さあどうだ、降参するか?」

立華「降参しないわ」

恭介「強がり言うなよ。もう戦えないだろ?」

立華「戦えるわ」

ブチっ!!

恭介(立華が力を入れると、拘束はあっさり破られてしまった)

217: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:27:40.62 ID:mXtx5lVro
恭介「なっ!?マジかよ…。布ガムテープまるまる1個使い切ったってのに」

立華「ガードスキル…オーバードライブ…よ。これくらいなら自力で破れるわ」

恭介「ちっ!」

立華「続けましょう、棗くん」

218: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:28:55.78 ID:mXtx5lVro
恭介(そう言うと立華は再度ハンドソニックを構え、俺は即座に間合いを離す)

恭介(オーケー、楽しませてくれるじゃないか…!)

恭介(なら、次の手は…!)

椎名「伏せろ!棗!!」

恭介(!?突然の声に反応し、俺は反射的に体を伏せた)

219: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:29:57.06 ID:mXtx5lVro
立華「!」

恭介(そこには立華に斬りかかり、蹴り飛ばす椎名がいた)

日向「悪い!遅くなったな恭介!」

恭介(更には日向の声、俺を庇うように前に立ち立華を狙い発砲する)

恭介(命中したのだろう、立華が立ち尽くし腹を手で押さえた。白いはずの制服に黒い色が広がっていく)

220: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:31:13.96 ID:mXtx5lVro
恭介「日向!お前なぜ!?」

日向「銃を撃ったら増援要請の合図って言われたろ?だからだよ!」

恭介(そうだ…。確かにゆりっぺがそう言っていた。立華とのバトルに夢中ですっかり忘れていたが…)

恭介(絶えず銃を連射する日向、立華はそれをハンドソニックで尽く弾いている)

221: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:32:29.94 ID:mXtx5lVro
日向「ちっ!やっぱ効かねーか!少し下がるぞ恭介!」

恭介(俺の肩を抱いて、日向が立華から距離を取らせる)

恭介(その間、椎名が単独で立華と近距離で交戦している。すげえ動きだ…、ゆりっぺが戦線最強だというだけある)

野田「うおぉぉぉ!」

恭介(更に野田が現れハルバードを立華に投げつける。が、あっさりそれも弾かれた)

222: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:33:30.59 ID:mXtx5lVro
野田「くそっ!」

日向「てめーら、おせーぞ!」

藤巻「一番よえーとこ襲われたじゃねぇか!」

高松「まだハンドソニックだけですよ!」

TK「It's show time!!」

223: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:34:31.29 ID:mXtx5lVro
恭介(次々と戦線メンバーが加勢に現れる…)

日向「よし!加重攻撃いくぜ!」

立華「ガードスキル…ディストーション」

恭介(立華がなにか呟いた直後。全ての銃弾の軌道が、彼女の居場所だけを避けてその向こうへと消えていく)

野田「ディストーション…!ちっ、遅かったか!」

224: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:35:40.07 ID:mXtx5lVro
日向「弾を途切れさせるな!俺たちの目的は足止めだ!これ以上の侵攻は許すなよ!」

藤巻「言われなくてもわかってるぜ!」

恭介(一斉射撃が勢いを増す。それでも一発も弾は当たらず立華はそこでじっとしている。その時…)

大山「狙い撃つ!狙い撃つよぉぉぉ!!」

恭介(大山が叫びながら、スナイパーライフルで援護射撃を開始していた。マジどこが個性無いんだよお前…)

225: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:36:44.98 ID:mXtx5lVro
立華「………!」

恭介「な、当たったのか!?」

恭介(立華が肩の辺りを出血し始めていた…)

日向「ディストーションは完全なバリアじゃねえからな!僅かに掠めるぐらいの隙間があるんだ!」

226: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:37:39.99 ID:mXtx5lVro
藤巻「にしても残弾がやべえぜ!」

野田「これだから銃はっ!」

高松「まだですか、作戦実行班は!?」

恭介(なんだ…?なにしてんだよ…?相手は立華一人なんだぞ、それをこうも大勢で…)

227: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:38:44.75 ID:mXtx5lVro
松下「みんな爆風に備えろぉ!」

恭介(今度は松下が何かを構えている。あれはバズーカか!?おいおい、いくらなんでもそんなのくらったら…!)

椎名「ふっ!」

恭介(松下がバズーカを撃つのと同時に、椎名が死角に回りナイフを投げつけるのが見えた)

ドゴォーン!!

228: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:39:46.11 ID:mXtx5lVro
ゆり『………』

ゆり『ふ…宴もたけなわだな…。回せ』

遊佐『回してください』

恭介「くっそ!どうなった!?立華は!?」

立華「ここよ」

229: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:41:09.07 ID:mXtx5lVro
恭介(爆煙の中、白い紙がヒラヒラと舞い落ちている。それはまるで雪のようで、どこか幻想的だ)

恭介(そして俺の目の前に立華がいた。ところどころが血に染まっていて痛々しい)

恭介「無事か、立華!怪我はないか!」

立華「平気よ。いつものことだから」

恭介「いつも…?お前たちはいつもこんな戦いをしてるのか…?」

230: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:42:17.30 ID:mXtx5lVro
立華「必要なことなのよ。あの人たちにとっては」

恭介(こんな殺し合いのようなことがか…?例え死なない世界でもなにもここまで…)

立華「勝負はまた今度にしましょう。これ、あげるわ」

恭介(立華が白い紙を差し出してくる。そこには『麻婆豆腐』と書かれている。食券のようだ)

231: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:43:15.59 ID:mXtx5lVro
恭介「これは…?」

立華「食べてみて。うまいわ」

恭介(そう言うと立華は微笑む。やっぱり無感情のはずがない。こんなに綺麗に笑うことが出来るのに…)

立華「もう戻ったほうがいいわ。煙も晴れるし、あたしと話してるのがバレたらまずいわよ」

恭介「…ああ。そうする」

232: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:44:21.47 ID:mXtx5lVro
恭介(立華は戦線の敵だ…。今のままじゃ決して仲間になんかなれない…)

恭介(だが、それでも…)

恭介「立華、必ずお前を仲間にしてやるからな!こんなことより、馬鹿みたいに楽しいことを教えてやるからな!」

恭介(そう立華に言い残して、俺は大食堂に向かって走った)

233: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:45:46.96 ID:mXtx5lVro
恭介(どうしようもなく無力な自分が、本気で頭にきた)

恭介(だが、早くみんなのもとに戻らないとならない。入り口には戦線のみんなが集まっていた)

日向「あ、恭介!どこ行ってたんだよ!?心配したぜ!」

恭介「悪い、爆風にふっ飛ばされたみたいだ」

松下「なに!?それはすまんことをしたな…。大丈夫か、恭介?」

高松「怪我はないようですが」

234: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:47:34.67 ID:mXtx5lVro
恭介「ああ、全然平気だ。心配かけてすまなかったな」

大山「良かったあ、作戦は成功だよ。中に入ろう」

恭介(みんなに連れられて食堂の中に入る。最後に後ろを振り返ると、立華がまだ立ち尽くしているのが見えた)

恭介(さっきまであんなに近くにいたのに、その距離は果てしなく遠く感じる)

恭介(今はまだ無理だろうといつかは必ず…!)

恭介(待ってろよ立華…。お前は俺を本気にさせたんだからな…!)

235: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:49:17.19 ID:mXtx5lVro
~Kanade Side~

かなで(棗くんが戦線のみんなと一緒に、食堂に入るのが見える)

かなで(気のせいじゃなければ、最後にこっちを振り返った、と思う)

かなで「…棗、恭介」

かなで(不思議な人だと思った)

かなで(会った時は驚いたけど、戦線に入ってからも変わらずあたしに話しかけてくれた人は初めてだ)

236: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:50:08.60 ID:mXtx5lVro
恭介『よっし、立華!俺が勝ったらお前をリトルバスターズの新メンバーにする!』

恭介『楽しいことが沢山待ってるぜ?そこにお前も引き込んでやる!』

恭介『立華!必ずお前を仲間にしてやるからな!こんなことより、馬鹿みたいに楽しいことを教えてやるからな!』

237: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:51:34.26 ID:mXtx5lVro
かなで(実際、彼とのバトルは楽しかった。一方的にやられただけのような気もするけど)

かなで(でも面白い戦い方だった。あたしを傷つけようともしなかった)

かなで(子どもの遊びみたいで、ちょっとワクワクした)

かなで「…それはあたしじゃなくて、戦線の人たちに教えてあげて」

かなで(あたしには出来ないこと。戦線の人たちの心残りを晴らすこと。それがあの人なら出来るかもしれない)

238: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/11(土) 22:52:49.18 ID:mXtx5lVro
かなで「楽しいことを教えてあげて」

かなで(目を閉じる。もう何年ここにいるんだろう?あたしの心残りはなんだったんだろう?)

かなで(もう、昔すぎて思い出せない)

かなで(目を開けると、そこには辺り一面食券が散乱していた)

かなで「…はぁ。掃除しないと」

252: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:12:03.99 ID:ASx8uE+cO
恭介(注文を済ませ、麻婆豆腐を受け取ると、食堂の一角に陣取っている戦線のメンバーと合流した)

恭介「あんな派手な作戦やらかした後に、飯なんか食ってていいのかよ?」

ゆり「普通にご飯食べるだけよ、なんの問題も無いじゃない」

日向「規律を乱してるか、乱してないかが天使が手を出す判断基準みたいだからなあ」

恭介「そういうもんか」

253: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:13:11.66 ID:ASx8uE+cO
日向「って恭介!?お前それ麻婆豆腐じゃねえか?そんなの拾ったのか!?」

恭介「ん?ああそうだが」

恭介(当然、立華に貰ったことは伏せておく。あいつがおすすめするんだ。そりゃあもう激ウマに違いない)

松下「うーむ早速、麻婆豆腐に手を出すとはな」

椎名「あさはかなり」

TK「Crazy boy!!」

254: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:14:04.99 ID:ASx8uE+cO
恭介(なのに、次々とみんなから驚嘆やら哀れみの声がかけられる)

恭介「なんだよ、なんかまずかったのか?」

ゆり「ここの食堂はどれもトップクラスの味を誇ってるわ」

恭介「じゃあ問題ないだろ?」

255: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:15:33.98 ID:ASx8uE+cO
ゆり「一部色物というか、別方向にがんばりすぎちゃってるメニューがあるのよ。その代表がそれ」

恭介(ゆりが俺の麻婆豆腐を指差してそう説明する)

日向「悪いな、恭介。俺がちゃんと教えとくべきだったぜ」

大山「麻婆豆腐は、完食するのも至難の業って言われてるくらい激辛なんだよ。大丈夫?」

恭介「ふっ、激辛?そういうことなら面白い。この麻婆豆腐、見事完食してやろうじゃないか!」

256: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:16:53.14 ID:ASx8uE+cO
高松「自ら失敗フラグを建てに行きましたね」

藤巻「やっぱこいつ馬鹿だ」

恭介(なんとでも言うがいいさ…。お残しは食堂のおばちゃんにも立華にも悪い)

恭介「いざ!」

257: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:18:12.86 ID:ASx8uE+cO
恭介(俺はレンゲ一杯に麻婆豆腐をすくうと一気に口に入れた)

ぱく

恭介「………っぶはぁーーーーーっ!!」

大山「うわあ!!恭介くんが火を吹いた!!」

日向「おい、恭介!しっかりしろ!ほれ水だ、水を飲め!」

258: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:19:46.79 ID:ASx8uE+cO
恭介(日向から水を受け取ると一気に流し込んだ…ヤバイ。マジで洒落になんねぇ!食物兵器だろこれ!!)

岩沢「火を吹けるなんて、棗は器用なんだな」

高松「生前は火吹き男だったんでしょうか?」

松下「火吹き男が、どんな未練でこの世界に来たんだ?」

藤巻「そりゃあれだろ?恋人とチューする時に思わず火を吹いて、恋人を殺しちまったとか!」

大山「ええっ!?そんなのあんまりだよ!?そんな生前なんて…、悲しすぎるよぉ恭介くん!!」

259: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:20:35.68 ID:ASx8uE+cO
恭介(外野からやいやいと俺をいじる声が聞こえる)

恭介「てめえら勝手に人の生前捏造してんじゃねえ!俺はいつからそんなキャラになったんだ!」

ゆり「え?もとからじゃないの?いじられキャラ」

恭介「俺はもともといじられキャラなんかじゃないやい!もっとクールなリーダーキャラだったんだ!」

260: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:21:29.13 ID:ASx8uE+cO
野田「貴様、その発言はゆりっぺに対する侮辱発言だ。取り消してもらおうか」

日向「いや野田、なんでそうなるんだよ。まあクールってのは無理ありそうだけど、戦線に馴染めないよりはマシだろ?なっ!」

ゆり「そうよ。この戦線には"バカ"が大勢いるけど、あなた以上の"バカ"はいないわ」

ゆり「まさに『キング・オブ・バカ』!あたしが保証してあげるわ。自信持ちなさい!」

261: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:22:03.01 ID:ASx8uE+cO
ー恭介の称号が「キング・オブ・バカ」になりましたー

恭介(ゆりっぺが惜しみなくバカを強調して、俺に満面の笑顔を向ける)

恭介「そんな称号いるかあぁぁーーーっ!!」

ー恭介の称号が「シスコン」に戻りましたー

262: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:22:46.65 ID:ASx8uE+cO
女生徒A「なかなか面白そうな新入りだな、あいつ」

岩沢「ああ、そうだろ」

女生徒B「しおりんと仲良くなれそうな人だね」

女生徒C「おのれぇ…。ここに来てまさかのライバル登場とはぁ…!」

女生徒B「いやいやいや、なんでライバル意識燃やしてるの?」

263: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:24:01.30 ID:ASx8uE+cO
恭介(くそっ…。このままじゃ俺の威厳に関わるぜ)

恭介(こういう時、さり気なくフォローしてくれるのが理樹だったんだが…)

恭介(ああ理樹、失ってなおお前の存在の大切さに気づくぜ…!)

恭介「あ、でもこれ一口目に慣れたら普通にうまいな」

恭介(舌が痛いが咀嚼を続けていると、香辛料がほど良く効いた深い味が口の中に広がった)

264: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:24:46.76 ID:ASx8uE+cO
日向「嘘だろ…?猛者でも白ご飯と一緒に頼んで、丼にして食うんだぜ?」

恭介「いやマジだって。ほれちょっとだけ食ってみろよ」

日向「えぇ…。じゃあ、ちょっとだけ」

ぱく

日向「…ひいぃぃーーーっ!辛いっ、つーか、痛い!」

265: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:25:31.48 ID:ASx8uE+cO
恭介(だがしばらくすると)

日向「…お?この後からくる風味、鼻から抜ける香辛料の香り、なるほど確かにうまいな」

恭介「だろ?」

恭介(慣れると案外ぱくぱくいけるな。いや、やっぱ嘘。うまいが舌が痛え…)

日向「案外、隠れ良メニューなのかもな」

266: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:27:21.45 ID:ASx8uE+cO
大山「いきなり麻婆豆腐を頼むなんて、恭介くんは度胸あるなあ。僕にはできないよ」

恭介「いや、知らなかっただけだからな」

日向「いーや、度胸あるのはその通りだと思うぜ。さっきだって逃げもせずに戦いきったろ?」

恭介「ああ、まあな」

日向「恭介的にはどうだったんだ?初めてのオペレーションは?」

267: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:28:23.09 ID:ASx8uE+cO
恭介(その質問に俺の表情が歪むのが自覚できた)

恭介(そうだ。今一番大切な疑問。この場で聞いておかなくちゃいけない)

恭介「なあ、ゆりっぺ。本当にあそこまでする必要があるのか?」

ゆり「…どういう意味かしら?」

恭介(俺の表情で察したのか、一度箸を置いてくれた)

268: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:29:14.17 ID:ASx8uE+cO
恭介「確かに相手は天使なのかもしれない。それでも、見た目はただの少女だ。そいつに対してあんな一方的に攻撃するのは…」

ゆり「初めてのオペレーションなら、当然の疑問ね」

恭介(ゆりっぺは指を顔の前で組むと、そこに顎を乗せて語り始めた)

ゆり「かつてあった話なのだけど…」

269: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:30:23.96 ID:ASx8uE+cO
ゆり「まだ戦線メンバーは10名程度、銃器の類も人数分揃っていない。とてもまともに、天使とは戦えなかったそんな時代」

ゆり「あたしは愚かにも、天使の情報を引き出すために、一人のメンバーを天使の教室に潜入させた」

ゆり「なんの情報も得られないまま三日後、そのメンバーは本部に現れなかった」

ゆり「みんなで探した、けど見つからなかった。だから天使に問い詰めた、あたしたちの仲間はどうなったのかと…」

270: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:31:24.43 ID:ASx8uE+cO
天使『無事、この世界から去っていけたようで、なによりだわ』

ゆり「誰もが息を呑んだわ…!」ギリッ

恭介(淡々と話していたゆりっぺの表情に、怒りが浮かんだ)

ゆり「彼はあたしたちと同じ、神に抗う信念の持ち主だった…。なのにあたしの判断ミスで、彼は天使に消されたのよ…!」

恭介(立華に…、天使に対する怒り。そして自分に対する怒り。そんな感情がごちゃまぜになっているように見える)

271: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:32:08.76 ID:ASx8uE+cO
恭介「だがそいつが消えたのは、未練が無くなり成仏したからだとも考えられないか?」

恭介(生前の悔いが消え、また新たな人生を送る。それは間違いなく一つの救済のはずだ)

ゆり「あなたがその情報を話した時、私もそうだったのかもしれないとは考えたわ」

ゆり「でも前にも言ったけど確証は無い。なによりあたしは、彼の未練がそう簡単に消えるとは思えない」

272: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:32:52.74 ID:ASx8uE+cO
恭介(いつものゆりっぺの表情に戻る、だが…)

ゆり「だから天使からの情報なんて、到底信じる気にはなれないわ」

恭介(最後は吐き捨てるように言葉を放ち、そこで一度話を切った)

恭介(その瞳には神への強い反抗心、そして天使への拒絶が現れている)

273: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:33:24.19 ID:ASx8uE+cO
恭介(俺が立華から聞いたことを話した時、ゆりっぺはそれを有力な情報と言った)

恭介(でもそれはきっと、戦線の『リーダー』として冷静に受け入れただけ)

恭介(神を憎み、天使を拒絶するゆりっぺ『個人』としては、決して受け入れられない情報でしかなかったんだ…)

274: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:34:16.44 ID:ASx8uE+cO
ゆり『あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?』

ゆり『入るんでしょ?理由は気に入らないけど、熱意は伝わったわ。それに優秀なのは確かだもの。人手不足だしね』

恭介(今ならわかる…)

恭介(そんな情報を仕入れ、神を憎むことなく戦うことを選んだあの時の俺を、ゆりっぺは確かに嫌悪していた)

恭介(俺としたことが、ただ馬鹿だと、人格に難があるんだと、そう受け取られたのかと今の今まで思っていたが…)

275: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:34:54.38 ID:ASx8uE+cO
恭介(だが、ならなぜ俺を戦線の仲間として迎え入れたんだ…?それも幹部として)

恭介(あの時言っていた通り、優秀だとか、人手不足とか。そんな理由なんだろうか)

日向「炎の三年間もすごかったよなー」

ゆり「ああ、あったわねえ」

恭介(日向が突如、別の話題を切り出してきた)

276: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:35:34.62 ID:ASx8uE+cO
日向「新しく生活指導についた先生が、校長室を俺たちの本部にしてるのが許せなかったらしくてさ」

日向「それで、出てきたのがこれまた天使だったんだよ」

ゆり「そうそう。あたしたちは瀬戸際作戦を取り、校長室前の廊下に陣取って三年間ドンパチ続けたものよ」

恭介(もう完全に、いつも通りのゆりっぺに戻っている)

恭介(日向のことだ。さっきの話の流れを聞いていて、ゆりっぺのフォローをしたんだろう)

277: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:36:28.97 ID:ASx8uE+cO
恭介「すげーな、三年間もか」

恭介(俺もひとまず、いつも通りの俺として話に加わることにした)

日向「まあな。で、三年後、生徒指導の先生が代わり、その事を問題視されなくなったから天使の猛攻撃も収まった」

ゆり「天使は秩序を守るものだからね」

ゆり「現状あたしたちは、一般生徒に手を出さないことで最低限のモラルを守ってる」

ゆり「だから先生たちからはスルーされてる、けど」

278: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:38:22.77 ID:ASx8uE+cO
日向「また、俺たちを問題視する先生が現れたら、秩序を守るために、先生の手先として襲ってくるんだろうなあ」

恭介(かつて三年間もひたすら戦線を襲い続けたという立華、それは本当にあいつが望んだことだったんだろうか…)

ゆり「天使というのはそれだけ脅威な存在なのよ。だからまあ、あれくらいの攻撃は正当防衛」

ゆり「すぐに、とは言わないけど幹部として戦い続けるなら、いつかは慣れなきゃいけないことよ」

279: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:39:32.95 ID:ASx8uE+cO
ゆり「いいわね、棗くん」

恭介(最後にゆりっぺは、俺にそう念を押した)

恭介(俺はただ、『わかった』とだけ返しておいた)

恭介(立華に貰った麻婆豆腐の味は、それ以降全く分からなかった…)

280: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:40:40.67 ID:ASx8uE+cO
日向「んじゃあ電気消すな。おやすみ」

恭介「ああ、おやすみ。日向」

恭介(自室に戻り、ほどなく就寝時間になった)

恭介(だがベッドに寝転んだものの、眠気はまったく襲ってこない)

恭介(さすがに俺も、頭がぐちゃぐちゃになりかけてるな…)

281: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:42:16.61 ID:ASx8uE+cO
恭介(秩序を、規律を守るために戦線と戦う立華)

恭介(神に抗うため、自分たちが消えないために天使と戦う、ゆり率いるリトルバスターズ戦線)

恭介(どちらにも戦う理由がある。立華だって本当は、善意で俺たちを成仏させたがってるだけなのかもしれない)

恭介(そして、あんな殺し合いのような戦いが、この死後の世界でもう何十年も続いている)

恭介(俺はどうすればいい…?自分の望みを叶えるために、世界の秘密を暴くことだけを優先するのか…?)

恭介(そんなことを理樹と鈴は望むんだろうか…?なにより俺自身はどう考えている…?)

282: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:43:13.67 ID:ASx8uE+cO
恭介「…いや、答えはとっくに出ているんだ」

恭介(世界の秘密を暴き、この場所から理樹と鈴のために、何かできることが無いか探すこと)

恭介(この戦いを終わらせ、立華をリトルバスターズ戦線の仲間にし、ともに楽しい時間を共有すること)

恭介(戦線メンバーの神への憎しみを消し去ること)

恭介(そのどれもが、俺が望んでいることに他ならない)

283: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:44:20.58 ID:ASx8uE+cO
恭介(出来るんだろうか…?その全てが俺一人に…)

恭介(あの世界でただ一つのことをやり遂げるのに必死だった俺が、この三つのことを同時に…)

恭介(…一人の力には限界がある、だから俺は、俺たちは手を繋いだんだ…)

恭介(今度は、成し遂げられるのか…、俺、ひと…り…に)

恭介(そのまま俺は、眠りへと落ちていった…)

284: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:45:05.46 ID:ASx8uE+cO
Episode:1 「反抗のはじまり」 END

285: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:45:54.30 ID:ASx8uE+cO
日向「恭介ー?どした、なんか今日は元気無いな」

恭介(一夜明けて、俺と日向は大食堂で朝食を食べていた)

恭介「ちょっと寝不足でな。昨日の作戦のことを思い出すと、なかなか眠れなかったんだ」

日向「ああ、無理もないぜ。アクション映画のようなことを地でやってるからな」

286: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:47:10.22 ID:ASx8uE+cO
日向「寝不足なら無理せず休んだ方がいいぜ?疲れはたまらないはずの世界だが、こういうのは気分の問題だからな」

恭介「ああ悪いな、日向。今日は少し一人で行動してもいいか?」

日向「良いって良いって。17時の定例会議だけは忘れるなよ。最初のうちは、遊佐が迎えにきてくれるとは思うが」

恭介(日向の気づかいが身に染みる、少し頭をリフレッシュしよう。こういう時は、散歩でもしてみるか)

287: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:47:56.00 ID:ASx8uE+cO
恭介(日向と別れると、俺は運動場を見渡せる大階段の前にまで来た)

恭介(丁度今は誰もいない時間帯のようだ…)

恭介(………………)

288: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:49:21.79 ID:ASx8uE+cO
恭介(なんだあれは?)

恭介(誰もいない運動場に一人だけ、人影が見える)

恭介(しかも…それは、見覚えがあるやつのものだ)

恭介「まさか…!まさか…!?」

恭介(俺はその人影に向かって走り出した!)

289: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/12(日) 22:51:12.55 ID:ASx8uE+cO
選択安価

恭介が見た人影が誰だったのかを選んでください

真人・謙吾・小鞠・葉留佳・クド・唯湖・美魚

23:20:00:00より
↓1

291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/12(日) 23:20:26.18 ID:z5eTWvKz0
真人

309: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:07:42.93 ID:2ayZPPF8O
恭介(その姿を、見間違えるはずが無い)

恭介(鈴と二人で始めたリトルバスターズ、その最初の仲間になってくれた)

恭介(あの世界で、最期まで自分を貫き俺たちの日常を守ってくれた)

恭介(そんな愛すべき馬鹿の名前を、俺は全力で叫んだ)

恭介「真人ぉーーー!!」

310: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:08:53.86 ID:2ayZPPF8O
真人「…今の声!」

恭介(その大きな体をこちらに向ける、間違いない。そこにいたのは)

真人「恭介!?」

恭介「やっぱり真人だったか!ははっ!嬉しいぜ!まさかまたお前に会えるなんてな!」

恭介(勢い良く真人の肩を抱く。いや勢いが良すぎた、二人して頭をぶつけちまった)

311: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:09:52.61 ID:2ayZPPF8O
真人「いてっ!馬鹿なにすんだよ!」

恭介「つれないこと言うんじゃねえよ、お前だって本当は俺に会えて嬉しいだろ?」

真人「いや、まあ…嬉しいよ?嬉しいけどさ。何がなんだかさっぱりで素直に喜べねえんだよ」

恭介「まあ、無理もない。俺も最初は戸惑ったもんさ。にしても」

真人「ん?なんだよ?」

312: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:10:35.16 ID:2ayZPPF8O
恭介(今真人が着ているのは最初に俺が着ていたのと同じもの。NPC、所謂模範生の制服だ)

恭介「お前、制服似っ合わねえな!はははははっ!」

恭介(見慣れた真人の姿とあまりにかけ離れていて、そのギャップが凄い。きっちりネクタイまで締めてやがる)

恭介「あはは、こんなの笑うしかねえだろっ!ひぃ、腹痛ぇ!」

真人「…なんだよその爆笑っぷり」

恭介(お、来るか?)

313: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:11:25.08 ID:2ayZPPF8O
真人「筋肉しか取り柄のねえ馬鹿には制服なんか必要ねえ、むしろ全裸の方がお似合いですってかっっ!」

恭介「オーケー。さすがは真人だ、今日も絶好調だな」

真人「ありがとよ」

鈴『こいつばかだ!』

恭介(と、鈴の突っ込みが聞こえたような気がした)

314: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:12:18.55 ID:2ayZPPF8O
恭介「さて、とりあえず場所を変えるか。色々説明しなくちゃいけないからな」

真人「へっ!説明するのはいいが、ちゃんと俺にもわかるように話せよ!」

恭介(今度は真人の方から肩を抱いてくる、また頭がぶつかった)

恭介「いてっ!お前今のはわざとだろ!」

315: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:13:10.34 ID:2ayZPPF8O
真人「さっきのお返しだよ!ほら、どこへだか知らねえがとっとと行くぞ!早くしねえと日が暮れちまうぜ!」

恭介「今は朝だぞ、真人」

真人「さっき目覚めたばっかで知らなかったんだよ!ごめんなさいでしたぁーーーっ!!」

恭介(ああ、やっぱお前は最高の馬鹿だぜ。さっきまでの気分が吹き飛んじまった)

恭介「よしっ!行くか!」

316: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:14:03.67 ID:2ayZPPF8O
恭介(まず始めに、購買で真人のジーパンとティーシャツを買った)

恭介(真人が『動きやすい服とかどっかないか?』と言うからだ。やっぱりきっちりした制服は、真人も違和感があるらしい)

恭介(ってか俺としても真人のそんな見た目、いつまで経っても慣れる気がしない)

真人「ふぅー、やっぱ動きやすい格好は良いぜ。あんま窮屈だと筋肉にも良くないからな」

317: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:14:59.74 ID:2ayZPPF8O
真人「それにしてもここの購買何でもあるな。服とか試着室とか、あっちにはおもちゃコーナーまであったぜ」

恭介「日向が言うには、生前の青春にあったものは大体揃ってるんだと。図書館には漫画も置いてるらしいしな」

真人「へえ、よく出来た世界だな。ところで日向って誰だ?」

恭介「この世界での俺のルームメイトだよ」

318: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:15:43.81 ID:2ayZPPF8O
恭介(その後、真人を屋上にまで連れてきて、一通りのことを話した)

恭介(この世界について俺の知っていること、俺がやろうとしてることも含めて全てだ)

恭介(屋上を選んだのは、他の誰にも聞かれないためだ)

恭介(今は授業中で、ここに入るための入り口も一つだからな)

319: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:16:28.65 ID:2ayZPPF8O
真人「死後の世界…なぁ」

恭介「理解出来たか、真人?」

真人「はっ、筋肉なめんじゃねえよ」

真人「ようは予定通り、理樹と鈴をあの世界から追い出して。そのまま俺たちは、バスの事故で死んじまったってことだろ?」

恭介「上出来だ」

320: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:17:33.96 ID:2ayZPPF8O
真人「にしてもまた変なことおっ始めやがって。なんで死後の世界でまで、リトルバスターズ創ってんだよ」

恭介「そもそもは俺が始めたんじゃない。戦線名に困ってたからアイデアを提供しただけだ」

真人「慣れ親しんだものもいいが、俺なら筋肉旋風(センセーション)戦線って名前にしてるところだぜ!」

恭介「言いにくいから没な」

真人「うおおぉぉぉーーー!!至極真っ当な理由で没にされたあ!?」

恭介(頭を抱えて叫びだす、ほんとに飽きないやつだぜ)

321: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:18:20.70 ID:2ayZPPF8O
恭介「なあ真人、少し真面目な話をするぞ」

恭介(腰掛けていたベンチから立ち上がり、真人に向き直る)

真人「…なんだよ、急に改まって」 

恭介「さっきも話したが。ここはどうやら生前に未練を持つやつしか、来ることが出来ない世界らしいんだ」

真人「………」

322: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:19:18.00 ID:2ayZPPF8O
恭介(つまり真人にもなんらかの未練があって、この世界に来たってことになる)

恭介「真人、お前の未練はなんだ?」

恭介(真人が目を閉じてゆっくりと息を吸った。だがまたすぐに目を開けると、今度は勢い良く立ち上がった)

真人「…あーあ。俺的には潔く去ったつもりだったんだがなあ」

恭介(そして、腕を組んで俺と向かい合う)

323: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:21:08.37 ID:2ayZPPF8O
真人「そいつはな恭介…、きっとお前と同じ理由だろうぜ」

恭介(ああ、知ってたさ。お前に未練があるとしたら、それ以外に考えられない)

恭介「ここは俺たちの創った世界じゃない。それに俺のやろうとしてることは、簡単に成し遂げられることじゃない」

恭介「それでも、俺に付いてきてくれるか?」

真人「今更水臭いこと言うんじゃねえよ。それに多分だが、ちょっと待ってたらあいつも来るだろうぜ」

324: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:21:35.64 ID:2ayZPPF8O
恭介(ああ、そうかもな。もちろんあいつも来てくれたら心強い)

恭介「なら早速行動開始といくか、まずは…」

真人「まずは?」

恭介「この世界のリトルバスターズに会いに行くぞ」

325: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:22:27.42 ID:2ayZPPF8O
ゆり「棗くんの幼なじみ、ねえ」

真人「おう、井ノ原真人だ!」

恭介(定例会議の時間。呼びにきてくれた遊佐に簡単な説明をし、真人も本部に連れて行く許可を貰えるように頼んだ)

恭介(俺が生前の幼なじみを連れてきたのには、みんなも驚いてるようだ)

326: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:23:06.34 ID:2ayZPPF8O
日向「生きてた頃の知り合いが来るってこともあるんだな」

藤巻「つっても棗が来たのってほんのちょっと前だぜ?そんなこと有り得るのか?」

恭介(藤巻がそう発言する)

恭介「いや、そいつは無理もない。俺と真人は同じ事故、修学旅行に向かう途中、バスの転落事故で死んだからな」

327: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:24:01.14 ID:2ayZPPF8O
恭介(その言葉にメンバー達が動揺する。が、いつかは話しておく必要のあることだ)

恭介(今後、あいつらも来るかもしれないことを考えたら、早い内に話しておいた方がいい)

松下「そうか。なんと言えばいいかわからんが気の毒だったな…」

真人「別に事故自体は仕方ねえよ。運転手だって事故りたくて、事故ったわけじゃねえだろうしな」

328: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:25:19.41 ID:2ayZPPF8O
真人「でもまあ、もしかしたら他のやつらも、ここに来るかもしれねえな」

ゆり「そのバスの事故には、他にもあなた達の友達とかが乗っていたの?」

恭介「ああ、他のリトルバスターズメンバー達がな」

大山「あれ?恭介くんの提案した戦線の名前と同じ?」

高松「そういえばあの時は格好いいだのなんだので、あっさり決まってしまいましたが」

高松「そもそもリトルバスターズというのは、何かのチーム名なんですか?」

恭介(高松が眼鏡を持ち上げながら質問する)

329: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:26:16.59 ID:2ayZPPF8O
恭介「リトルバスターズの原点は、悪を退治する正義の味方さ」

日向「せ、正義の味方ぁ!?」

恭介(日向が素っ頓狂な声をあげる、他のみんなも概ね同じ反応だ)

恭介「ああ、よく街中を闊歩して悪を成敗したもんだ。蜂の巣駆除で、新聞に載ったこともあるくらいだ」

野田「ふん、ただの子どものお遊びか」

330: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:27:37.50 ID:2ayZPPF8O
恭介「確かにそうだ。野球チームを作ったり、本物の花火を打ち上げたりした。肝試しをしたり、人形劇の稽古もした」

恭介「辛い想いをしてる仲間を助けるために、それぞれが必死に自分の出来ることを果たした時もあった」

恭介(俺は、みんなと過ごした時間を思い出しながら語り続ける)

恭介「そうして色んな時間を共に過ごすことで、俺たちは絆を深めていった」

恭介「俺にとってリトルバスターズとは、『強い絆によって結ばれた最高の仲間』を意味する言葉に他ならない」

331: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:29:12.48 ID:2ayZPPF8O
恭介(別に今のお前たち戦線が、そういう仲間じゃないって言ってるわけじゃないぜ?けど、決定的に『楽しむ』ことが欠けている)

恭介(戦うためのメンバーなんだから当然なのかもしれないけどな。が、俺からしたら、そんな事知ったこっちゃない)

恭介(どんな事でも全力で『楽しむ』べきだ。馬鹿になってもいいじゃねえか、その方がずっと気持ちいいじゃねえか)

恭介「だから俺は戦線名も『リトルバスターズ』にした。ただ共に戦う同士ってだけじゃあ味気ない」

恭介「お前たちともそんな関係を築けるようになれればいいなって、そんな願いを込めたんだ」

332: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:30:07.70 ID:2ayZPPF8O
ゆり「………」

日向「…恭介」

大山「きょ、恭介くん…」

恭介(これは今の戦線に対する俺の反抗の第一歩だ。いや、宣言でもある)

恭介(もっと単純なこと、些細なことで、共に泣き、共に笑い、共に歓喜すべきなんだ)

恭介(お前らともそんな時間を過ごすことが出来る仲間になる。俺の、決意表明だ)

333: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:31:02.71 ID:2ayZPPF8O
恭介(そして)

岩沢「フッ。棗、お前はあれか?あたしたちを口説いてるのか?」

恭介(またも笑って、岩沢から俺に声をかけてくれた)

恭介「好きに解釈してくれ。ただ少なくとも俺は本気だ、本気でお前たちと仲良くなりたい」

恭介「本当の意味で『仲間』になりたいんだ」

334: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:32:03.64 ID:2ayZPPF8O
日向「恭介、お前相当恥ずかしいやつになってんぜ?」

恭介(日向は少し照れながら、そう応えてくれた)

恭介(とりあえずすぐに反応してくれたのは、岩沢と日向だけか。そして真人が言葉を続ける)

真人「まあ、聞いての通りだぜ、てめえら。何があったかは知らねえが、こいつは完全に火が付いちまってる」

真人「こうなった恭介は止まらねえぞ?覚悟しとくんだな」

335: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:32:50.27 ID:2ayZPPF8O
恭介「真人、それじゃあまるで喧嘩売ってるみたいだろうが」

真人「ありゃ、確かにそうだな。どうしてそうなった?」

日向「いや、それを俺たちに聞かれてもな…」

真人「まあというわけでさ、俺も仲間に入れてくれよ!」

真人「俺の筋肉はリトルバスターズの中にねえと収まり悪いんだよ!」

336: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:33:46.67 ID:2ayZPPF8O
高松「…ほう、筋肉ですか?」

恭介(高松が小声で確かにそう呟くのが聞こえた)

ゆり「…良いわ、構わないわよ。人間は貴重な戦力だもの」

ゆり「もとより見つけ次第積極的に保護することにしてるし、自ら入隊を志願するものを拒む理由は無いわ」

恭介(ずっと黙ってたゆりが、真人に向かってそう告げる)

337: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:35:23.09 ID:2ayZPPF8O
ゆり「ただ、一つ聞かせて。井ノ原くん、あなたに神と戦う理由はある?」

恭介(俺の時と同じ質問だ。ゆりっぺが神に抗うものの覚悟を見極める、きっと何度も繰り返してきたであろう質問)

恭介(さあ、真人。お前はどう答える?)

真人「何と引き換えにしても、守りてえやつらがいる…。それだけなんだが、それじゃ不満かい?」

338: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:36:34.36 ID:2ayZPPF8O
ゆり「ふっ。良いわ、充分な理由よ!」

日向「やべえ…、格好いい…」

藤巻「本当にあの馬鹿の棗の幼なじみかよ…?」

恭介(おい、そもそもは同じ理由なのに真人のがずっと好評価なんじゃねえのかこれ…?)

339: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:37:27.69 ID:2ayZPPF8O
ゆり「よし、じゃあ制服をあげるわ。松下くんの制服のサイズならピッタリそうね」

真人「おお、俺にもくれんのか!嬉しいぜ!これぞ仲間ってやつだよな」

真人「あ、でも上着だけでいいぜ。動きやすさ重視で、下はこのままのが良いんだ」

ゆり「そう?まあ上着だけでも一応制服になるからいいか。はいこれ」

恭介(ゆりっぺが真人に上着を差し出す、それを見ながら一つ提案した)

340: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:38:14.80 ID:2ayZPPF8O
恭介「それとなゆりっぺ。俺としては、真人を幹部に推薦したいんだが」

ゆり「幹部?気持ちはわからないでも無いけど。幹部になるなら、それなりに実績か能力が無いと駄目ね」

恭介(ほう、実力主義ってやつか。うちの筋肉担当をなめるなよ?)

恭介「だそうだ、真人」

341: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:39:04.18 ID:2ayZPPF8O
真人「…なんだよ、つまり図体だけはデカイがその筋肉はハリボテですよね、そんなやつは隅っこで丸まって大人しくしてるのがお似合いですね、ってかっっ!」

大山「うわあ、物凄い言いがかりのつけかただ!」

日向「金が取れるレベルだな」

342: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:40:09.32 ID:2ayZPPF8O
野田「貴様…、ゆりっぺに対してなんて口の聞き方だ。死にたいのか!?」

恭介(そして当然のごとく、野田がその言葉に怒り、真人に武器を突き付ける)

恭介(一途なのは良いが、やっぱカルシウム不足なんじゃないのかお前?)

真人「やる気か?面白え。その制服の下、相当な筋肉を隠し持ってると見たぜ」

真人「てめえ、できるな?」

343: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:41:12.64 ID:2ayZPPF8O
野田「ほう…、わかるのか?」

恭介「ゆりっぺ、見ての通り真人といえば筋肉。即ち、力」

恭介「作戦において特に利用価値の高い能力だ。それが他の幹部のやつにも負けてないことを証明出来たら、幹部入りってのはどうだ?」

ゆり「良いわよ、力が売りっていうなら…そうね」

恭介(ゆりっぺが顎に手を当て、少しだけ思案する)

344: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:41:49.56 ID:2ayZPPF8O
ゆり「じゃあ野田くんと松下くんと、腕相撲で勝負しなさい!」

ゆり「最低でもそこそこいい勝負しないと、幹部入りは認めないわよ」

恭介(なるほど、確かに力を判断するのにはうってつけだ)

恭介(やはり戦線のリーダーだけあって、ゆりっぺも相当有能らしい)

345: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:42:38.33 ID:2ayZPPF8O
真人「乗ったぜ。よお、野田と松下ってのはどいつだ?」

野田「貴様の目の前にいる俺が…、野田だ!」

松下「俺が、松下だ」

恭介(吠えるように言う野田と、一歩前に出てくる松下)

346: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:43:58.16 ID:2ayZPPF8O
真人「ん、この二人だけか?そこにいる眼鏡のやつとも戦いてえんだが」

高松「なっ」

ゆり「え、高松くん?駄目よ。いくらなんでも、高松くんじゃ勝負にならないでしょ」

恭介(確かに体の線が違いすぎる、なぜ真人は高松を指名したんだ?)

347: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:45:04.82 ID:2ayZPPF8O
真人「はっ!他のやつの目は誤魔化せても俺の目は誤魔化せねえぜ。てめえもかなりの筋肉のはずだ!そうだろ!?」

高松「…バレてしまっては仕方ありませんね」バッ

恭介(高松が服を脱ぎ捨てる、すると上半身ムキムキボディの高松が現れた…)

「「「ええーーっ!?」」」

恭介(真人と高松以外、各々驚きの声をあげる。俺も驚いたぜ…)

TK「The fact of surprise…!」

348: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:46:04.77 ID:2ayZPPF8O
高松「まさか私の筋肉を見破るとは、やはりあなたもかなりの筋肉!」

井ノ原「おうよ、俺はかなりの筋肉。そして筋肉に国境は無いんだ、違うか?」

高松「いえ、まさにその通り!」

藤巻「おい。だんだん意味わからなくなってるのに、なぜか会話が成立してるぜ…?」

349: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:47:04.05 ID:2ayZPPF8O
真人「よっしゃ勝負だ!最初は誰だ!?」

野田「俺からだ!」

恭介(ハルバードを置いて、腕をポキポキ鳴らしながら真人を睨みつける野田)

真人「てめえからか。そんじゃまあ、おっ始めますか!」バッ

350: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:47:52.42 ID:2ayZPPF8O
恭介「真人が…脱いだ!」

恭介(しかもさっき貰ったばかりの上着と、買ってやったティーシャツ投げ捨てやがった…!)

ゆり「…ええっと。高松くんの時にも思ったんだけど、少しはあたし達の目を気にしてくれない?」

岩沢「面白そうだが、正直絵面が…」

遊佐「かなり、むさ苦しいです。すでに熱気がやばいです」

椎名「あさはかなり」

351: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:48:37.67 ID:2ayZPPF8O
恭介(女性陣からの非難の声が上がる)

野田「負けてられるかーっ!!」バッ

大山「野田君も脱いだ!」

日向「対抗意識燃やしすぎだろ!?」

恭介(野田、お前今ゆりっぺに物凄い目で見られてるが大丈夫か?)

352: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:49:49.59 ID:2ayZPPF8O
野田「新入りになぞ負けられん!」

真人「俺の強さを味わうがいいぜ!」

恭介(部屋の中央に、腕相撲用に机が置かれる。審判はゆりっぺがするとのことだ)

恭介(机の前に立ち、構える。そして、お互いを睨みつける二人)

353: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 16:50:25.69 ID:2ayZPPF8O
恭介(ゆりっぺが二人が握り合ってる手に、自分の手を重ねる)

ゆり「それじゃ準備はいいわね?レディー、ファイっ!!」

野田「うおおあああ!」

真人「おらああああ!」

恭介(そして真人の幹部入りを賭けた腕相撲勝負が始まった…!)

359: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:10:36.27 ID:2ayZPPF8O
大山「さあ始まりました。世紀の一戦、野田vs井ノ原!」

大山「実況は私、大山、解説には棗さんをお呼びしています。棗さん今日はよろしくお願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。対戦前、野田選手は井ノ原選手を意識しているかのような発言をしていましたがどうでしょう?」

恭介「当然、しているでしょうね。何せ純粋な力比べですから、言い訳が効きません」

恭介「力に自信を持つものなら、絶対に負けたくないでしょう」

360: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:11:22.69 ID:2ayZPPF8O
大山「んーなるほど!おっと野田選手押されていますね!少しずつ井ノ原選手に押され始めています!」

恭介「大山さん、野田選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと野田選手!かなり苦しそうな表情をしています!大丈夫なんでしょうか!?」

恭介「やはり体格差のハンデが大きいですね」

大山「じわりじわりと押されています!このまま決められてしまうのか!」

361: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:12:14.85 ID:2ayZPPF8O
野田「ぐ、ぬぬ…!!」

真人「おりゃあ!!」

大山「ここで試合終了!物凄い強さを見せつけました井ノ原選手!」

恭介「終始、優位に試合を運びましたね。自分の持てる力を上手に発揮した結果でしょう」

大山「なるほど!」

362: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:13:12.88 ID:2ayZPPF8O
真人「さあ、次はどいつだ!?」

高松「私が行きましょう!」

真人「よお、手加減抜きでいかせてもらうぜ?」

高松「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」

363: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:13:54.50 ID:2ayZPPF8O
ゆり「はーい、見合って見合って!レディー、ファイっ!!」

真人「うおおおお!」

高松「ぬうううう!」

364: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:14:49.57 ID:2ayZPPF8O
大山「さあ次の試合が始まりました。対戦カードは、高松vs井ノ原!」

大山「実況は引き続き私、大山、解説は棗さんでお送りします。棗さんお願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。高松さんがまさかの細マッチョであることが、試合前に判明しましたが」

恭介「着痩せするタイプなんでしょうね。さして珍しいことでもないでしょう」

365: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:15:34.73 ID:2ayZPPF8O
大山「んーなるほど!おっと高松選手押されていますね!少しずつ井ノ原選手に押され始めています!」

恭介「大山さん、高松選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと高松選手!眼鏡が曇っています!大丈夫なんでしょうか!?」

恭介「あれは汗ですね、それとこの熱気ですね。それが眼鏡を曇らせてしまったんでしょう」

恭介「やはり眼鏡のハンデが大きいですね」

366: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:16:21.44 ID:2ayZPPF8O
大山「眼鏡キャラは眼鏡が本体ですからね!じわりじわりと押されています!このまま決められてしまうのか!」

高松「眼鏡が…、眼鏡さえ曇らなければ…!」

真人「おりゃあ!!」

大山「ここで試合終了!更に物凄い強さを見せつけました井ノ原選手!」

恭介「終始、優位に試合を運びましたね。眼鏡をかけていなかった結果でしょう」

大山「なるほど!」

367: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:17:25.98 ID:2ayZPPF8O
真人「さあ、最後だ!こいよ松下!」

松下「戦線のメンツを守るためにも負けられん!」バッ

恭介(松下が服を投げ捨て、上半身裸になる)

ゆり「最早脱ぐのが当たり前みたいな振る舞いだったわね…。もう、いいけど」コホン

369: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:18:27.84 ID:2ayZPPF8O
ゆり「ファイナルバトォ!レディー、ファイっ!!」

松下「おおおおおお!」

真人「ああああああ!」

371: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:19:16.70 ID:2ayZPPF8O
大山「さあ始まりました。最後の戦い松下vs井ノ原!」

大山「実況は最後まで、大山、解説には棗さんでお届けします。棗さん、お願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。ここまでの井ノ原選手のコンディションはどうでしょう?」

恭介「最高のコンディションでしょうね。筋肉ゼロパーセントセーブといったところでしょう」

372: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:20:09.37 ID:2ayZPPF8O
大山「んーなるほど!おっと両者拮抗しています!最初に組んだ位置から全く動いていません!」

恭介「大山さん、松下選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと松下選手!目を見開いています!これはレアだあ!」

恭介「絶対に負けられないという覚悟の現れでしょうね」

恭介「加えてこの戦い、先の二試合と違い体格に大きな差がありませんからね」

373: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:21:21.62 ID:2ayZPPF8O
大山「互角、互角だあ!まさに力比べの極限!果たしてどちらが勝るのでしょうか!?」

松下「ぐうぅぅっ!!」

真人「ぬおぉぉっ!!」

ピシッピシッ

374: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:22:14.63 ID:2ayZPPF8O
大山「おっと妙な音がしますね、なんの音でしょう」

恭介「っておい、やばいぞ!二人ともやめろ!!」

ピシッ、ドンガラガッシャーン!!

真人「のわぁ!?」

松下「うおぉ!?」

恭介(先の二試合の負担、そして今の激戦に机のほうが耐えられず、真っ二つに割れてしまった…!)

375: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:22:50.05 ID:2ayZPPF8O
恭介「二人とも大丈夫か!?」

真人「平気さ、松下。てめえはどうだ?」

松下「俺は柔道をやってるからな、受け身を取るのには慣れている」

恭介(二人ともまったくの無傷のようだ、ピンピンしている)

376: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:23:40.30 ID:2ayZPPF8O
ゆり「うっわー、すごい戦いだったわね」

日向「まさか机が割れるなんてな…」

藤巻「すげえ、すごすぎるぜ!思わず、感動してるぜ…!」

岩沢「ああ、本当にすごい戦いだった。なんだか今なら良い歌が書けそうな気がする」

岩沢「悪い、ゆり。ちょっと出てくる!」

377: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:24:16.78 ID:2ayZPPF8O
ゆり「え、ちょっ!岩沢さん!?」

恭介(岩沢はそう言うとダッシュで本部を出ていった。今の試合で創作意欲が刺激されたんだろうか?)

恭介(やはりあいつも馬鹿か、それに近いものがある気がする)

378: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:25:33.96 ID:2ayZPPF8O
真人「松下、俺と力でここまでやり合えるやつなんて謙吾以来だ。大した筋肉だぜ」

松下「力に関しては、戦線最強のつもりでいたんだが世界は広いな。良い筋肉をありがとう、井ノ原」

恭介(お互いに健闘を讃えると、二人はガッチリと握手を交わした)

恭介「今ここに、新しい友情が生まれた…!」

379: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:26:47.18 ID:2ayZPPF8O
大山「良いなあ、男の友情って感じだね。ああいうの憧れるなあ」

恭介「ふっ。なに言ってんだよ大山」

恭介(俺は大山に右手を差し出す)

大山「えっ、恭介くん?」

恭介「ナイス実況だったぜ、大山!」

380: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:27:29.23 ID:2ayZPPF8O
大山「え、いやあ、僕はただ必死だっただけで…」

恭介「なんでもいいさ。お前とだから俺もあんな解説が出来たんだ。俺とお前の友情の賜物だ」

大山「うん、ありがとう恭介くん!」

恭介(俺と大山もガッチリと握手を交わした)

381: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:28:32.39 ID:2ayZPPF8O
真人「おら、お前らもそろそろ立てよ」

恭介(真人はそう言いながら、野田と高松に手を差し伸べる)

野田「なんのつもりだ、俺は負けたんだ…!哀れみは敗者に対する、侮辱だ…!」

高松「その通りです…。私達はまた筋肉を鍛え直すことしか、出来ることはありません…」

382: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:29:35.25 ID:2ayZPPF8O
真人「何言ってんだよ、てめえらだって良い筋肉だったじゃねえか」

真人「そこまで鍛えるのに、一体どれほどの筋肉痛を乗り越えたかって話だぜ」

高松「それは…」

野田「だが…!」

383: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:30:10.35 ID:2ayZPPF8O
真人「てめえらとなら筋肉の素晴らしさが伝えられる!さあ!筋肉旋風(センセーション)だ!!」

高松「…筋肉!!」

野田「…旋風(センセーション)!!」

384: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:30:56.02 ID:2ayZPPF8O

それでは、SS閲覧中のみなさんもご一緒に

385: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:31:27.25 ID:2ayZPPF8O
真人「いくぜ!筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

高松「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

野田「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

松下「ずるいぞ、お前たちだけで!俺も仲間に入れてくれ!」

恭介「フッ、俺を忘れるなよ!」

387: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:32:12.07 ID:2ayZPPF8O
恭介(遠い昔、筋肉に包まれた世界のことを思い出す…。些細なことなんかもうどうでも良い!)

恭介「とりあえず筋肉だ!」

真人「もちろんだ!さあもっと筋肉の輪を広げようぜ!」

388: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:33:13.65 ID:2ayZPPF8O
松下「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

恭介「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

日向「おいおい、大山!なんかすげえことになってるぜ…?あれ、大山?」

大山「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

日向「お、大山まで!?」

389: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:34:20.72 ID:2ayZPPF8O
ゆり「ちょっと日向くん!?馬鹿どもが筋肉が昂じて大馬鹿になってるわよ!なんとかしなさい!」

日向「いや、そんなこと言われたってさ…」

藤巻「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

TK「Kinnikuいぇい、いぇーい!Kinnikuいぇい、いぇーい!」

日向「ああ、藤巻とTKまで!?」

390: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:35:20.53 ID:2ayZPPF8O
ゆり「日向くん!!」

日向「くそぉ!こうなったら…!」クルッ

日向「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

391: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:36:05.61 ID:2ayZPPF8O
ズコッ

恭介(日向の裏切りに、ゆりっぺは盛大にズッコケた)

ゆり「…ええ、そうでしょうね!ぶっちゃけ読めてたわよ、お約束すぎて!」プルプル

392: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:36:47.31 ID:2ayZPPF8O
椎名「あさはかなり」

遊佐「…ゆりっぺさん」

ゆり「…ああもう」スゥ

394: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:37:25.19 ID:2ayZPPF8O
ゆり「しずまれっ!!このボケぇぇぇーーーーーーーっ!!!」

男共「「「………」」」

ゆり「正座」

男共「「「はい」」」

395: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:38:14.71 ID:2ayZPPF8O
ゆり「あんたたちほっんと馬鹿ね、馬鹿丸出しね」

ゆり「なにが筋肉よ、脳みそ筋肉なんじゃないの?頭大丈夫?」

真人「いや、だってよぉ…、筋肉なんだぜ?」

ゆり「ああっ!?なんだって!?」

真人「ごめんなさい」

396: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:39:11.86 ID:2ayZPPF8O
椎名「紛うこと無き、棗の幼なじみだな。井ノ原は」

遊佐「また馬鹿が幹部入りですね、戦線はお先真っ暗です」

恭介(ゆりっぺの説教はいつまで経っても終わらず、夜が更けていくのであった…)

397: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:40:06.69 ID:2ayZPPF8O
日向「あ、恭介ウィンナーいるか?」

恭介「貰おう、代わりに俺のカップゼリーをやるぜ」

真人「よし、じゃあ俺は味噌汁のワカメやるぜ!ウィンナーくれよ、日向」

日向「やだよ!全然対等な交換じゃねえからな、それ!」

398: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:40:51.49 ID:2ayZPPF8O
真人「ちっ。ケチ臭えな、日向は」

日向「えぇーーっ…。なんで俺が悪いみたいになってんだよ…」

恭介(真人がリトルバスターズ戦線に加入して、数日が経った)

399: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:41:41.16 ID:2ayZPPF8O
野田「真人、俺の牛乳飲むか?筋肉にいいぞ!」

真人「いや、そいつは受け取れねえ。なぜならお前の筋肉に必要だからだ、そうだろ?」

野田「ああ…、そうだな。お前はそういうやつだったな…!」

高松「なら、私達で牛乳早飲み対決でもしませんか!」

松下「そいつはいいな、やるからには負けんぞ!」

401: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:42:39.20 ID:2ayZPPF8O
真人「おうよ、受けて立つぜ!」

野田「じゃあいくぞ!よぉーい、ドン!」

恭介(四人が一斉に腰に手を当て、牛乳を飲み始める。そして、四人同時にむせて涙目になっていた)

恭介(あの日以来、すっかり絆の深まったこの四人は、ゆりっぺから『筋肉バカルテット』などと呼ばれている)

恭介(しかも本人達はそれを気に入ってるんだから、面白いぜ)

402: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:43:42.24 ID:2ayZPPF8O
大山「でも、なんか僕たち仲良くなったよね。こうしてみんなで一緒に、朝食を食べるようになったんだもん」

恭介(そう、仲良くなったのはあの四人だけじゃない)

恭介(筋肉旋風(センセーション)以来、俺たち男同士の仲も深まった)

404: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:44:36.10 ID:2ayZPPF8O
恭介(基本、自由に過ごしている戦線メンバーにとって、朝食の時間を合わせるのは面倒な話だ)

恭介(だが、こうして毎日、男全員でわいわい言いながら朝食を食べている)

恭介「真人の筋肉旋風(センセーション)のおかげだな」

TK「Kinniku Saves the World!!」

405: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:45:27.57 ID:2ayZPPF8O
日向「確かに打ち解けたのは真人のおかげだが、そもそものきっかけは恭介だろ」

恭介「俺か?俺はなにもしていないさ」

日向「お前の『本当の意味で仲間になりたい』って言葉が、みんなの胸に届いてたんだと思うぜ?」

大山「そうだよ、もちろん戦線のみんなはもとから仲良かったけど。友達って感じじゃなかったしね」

恭介(日向と大山がそう俺に言ってくれた。やばい、感動した…!)

406: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:46:26.86 ID:2ayZPPF8O
藤巻「へっ!俺はまだ棗のこと認めたわけじゃねえからな」

日向「お前も素直じゃないよな、藤巻」

藤巻「うっせえ!」

408: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:47:16.90 ID:2ayZPPF8O
恭介(…そうだ。俺が求めてたのはこういう光景だ)

恭介(俺はせいぜい切り込みをいれただけ、そして真人が壁をぶち破ってくれた)

恭介(やっぱすげえよお前は…。自慢の親友だぜ)

410: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:50:17.06 ID:2ayZPPF8O
恭介「ただ、一つ問題があるとすれば。最近、女性陣の視線が冷たいんだよな…」

日向「あーそれな。岩沢はいつも通りだし、椎名も対して気にしてないっぽいけど」

日向「ゆりっぺと遊佐は、なんかもう目がやばいよな」

大山「幹部以外のメンバーの人にも結構噂になってるよ。『最近、筋肉の人ってあなたですか?』って聞かれちゃったし」

411: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:51:07.22 ID:2ayZPPF8O
野田「ぐっ…!友情とゆりっぺ…。俺はどちらか選ばないといけないのかっ!?」

野田「ぬおおおおお!!」

真人「お、どうしたいきなり腕立てなんか始めて?」

高松「なるほど、今度は腕立てで勝負ですか!」

松下「筋トレ勝負なら負けられんぞぉ!」

412: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:51:43.80 ID:2ayZPPF8O
恭介(今度は四人並んで物凄い速さで腕立てを始めた、NPCが怯えてるぜ…)

恭介(さて、今日はこれからどうするか…)

413: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 22:55:01.15 ID:2ayZPPF8O
選択安価

どこに行きますか?下記から一つ選んでください

1 本部
2 音楽の聞こえる教室
3 校舎をぶらつく
4 図書館←new!

23:05:00:00から
↓1 

415: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/13(月) 23:05:16.35 ID:IOPMTR6eO
4

419: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:07:57.61 ID:2ayZPPF8O
恭介(そういえばあれ以来、図書館に行ってなかったっけな…)

恭介「よし、図書館に行ってみるか」

420: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:09:58.05 ID:2ayZPPF8O
恭介「やっぱ広いな、どんだけの蔵書量なんだよ…」

恭介(これだけ本があるなら、どんな本だって見つかるだろう)

恭介(さて、どうするか?)

421: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:11:26.39 ID:2ayZPPF8O
選択安価

なにをしますか?

1 「学園革命スクレボ」を探す
2 しばらく探索してみる

23:20:00:00
↓1

423: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/13(月) 23:20:15.48 ID:EHiReq/2O
1

426: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:23:18.86 ID:2ayZPPF8O
恭介「やっぱあれを探すっきゃないよな!」

恭介(そもそも、俺は漫画を借りる為に図書カードを作ったんだ)

恭介(なら記念すべき一冊目は、当然俺のバイブル。『学園革命スクレボ』だ!)

恭介(生前の青春にあるものが揃ってるなら、きっと見つかるはずだぜ!)

恭介(俺はワクワクしながら、漫画のエリアを探す)

427: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:24:13.45 ID:2ayZPPF8O
恭介「くそ、見つからねえな。どこにあるんだ?」

恭介(只でさえ広い図書館だが、漫画のスペースもめちゃくちゃ広い)

恭介(それでも俺は諦めず、スクレボを探す)

428: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:24:45.18 ID:2ayZPPF8O
恭介「…ん?」

恭介(ゆりの声が聞こえた気がする、あいつも図書館に来てんのか?)

恭介(とりあえず、声くらいは掛けておくべきだろう)

恭介(俺は声のする方に足を向けた)

430: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/13(月) 23:26:10.90 ID:2ayZPPF8O
恭介(……………!!)

恭介(そこで俺は、信じられないものを見た)

??「あーもうっ!こんなことしてる場合じゃないのに!」

??「もしやと思ったけど、本当にあるなんて。ってかこれも一つのトラップなんじゃ…!」

恭介(だが、確かに。この世界にいてもおかしくないやつが、そこにいた…)

441: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:10:29.61 ID:bfThhaTiO
恭介「…朱鷺戸、なのか?」

??「ん、誰よ?今忙し…、………は?」

恭介(間違いない、朱鷺戸沙耶だ。元はスクレボに出てくる、俺が愛してやまないキャラクター)

恭介(だがある時、死後彷徨っていた少女の魂が俺たちの世界に紛れ込んだ)

恭介(彼女は、いつしか朱鷺戸沙耶として生きるようになっていた)

恭介(そして俺が、俺たちの世界から追い出した少女だ…)

442: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:11:32.16 ID:bfThhaTiO
沙耶「あ、あなたもしかして…時風?」

恭介「…ああ、そういうことになるな」

恭介(俺はなんて声を掛ければいい…?許してくれ?会えて良かった?)

恭介(そんな言葉のはずがない。だが、なにか声をかけなければ…)

恭介「朱鷺戸、その…」

443: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:12:13.86 ID:bfThhaTiO
沙耶「…ふふ」

沙耶「…ふふふ」

沙耶「…うふふふふ」

沙耶「あーはっはっはっ!」

恭介(突然、朱鷺戸が笑いだした。まずい、精神が壊れてしまっているんだろうか?)

444: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:13:45.42 ID:bfThhaTiO
恭介(だが、そんな俺の疑問は、次の朱鷺戸の発言で間違いだとわかった)

沙耶「今度はなにを始めてくれちゃったのよ、時風?」

恭介(…なるほど、そういうことか)

沙耶「そうよね、あなたなら次の舞台を用意することくらい、出来るんでしょうね」

沙耶「だってこの世界のゲームマスターだものね。あたしとしたことが、まんまと騙されたわ」

445: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:15:10.67 ID:bfThhaTiO
恭介(銃を構えながらそう続ける。朱鷺戸は勘違いしている…!)

恭介「待て!そう思うのも無理はないが、一度俺の話を聞いてくれ!」

沙耶「うるさい!絶対許さない!!あたしが、あたしがどんな気持ちで…!」

沙耶「どんな気持ちでっ…、理樹くんと…お別れしたと思ってるのよぉ!!」

恭介「………………」

446: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:16:33.85 ID:bfThhaTiO
恭介(…涙を一杯に溜めながら、朱鷺戸は俺に怒りをぶつけてくる)

恭介(言葉を返す権利すら俺にはない…。こんなにも理樹を想うこいつを、俺は…)

沙耶「このサイテー男!!くたばりやがれーーーっ!!」

パァン

447: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:17:41.14 ID:bfThhaTiO
恭介(なら、甘んじて受けよう)

恭介(死ねないこの世界じゃなんの意味もないが、せめてそれくらいはな)

恭介(銃弾がスローモーションで近づいてくるように見える…。俺は、静かに目を閉じた)

沙耶「………え?」

恭介「…っぐ」

448: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:18:26.65 ID:bfThhaTiO
恭介(朱鷺戸の撃った銃弾は俺の左肩を貫いた。おそらく狙ったのは心臓だったんだろう)

恭介(だがきっと、涙を堪えながら撃ったせいで狙いが反れたんだ)

恭介(馬鹿野郎、せっかくのチャンスになにしてるんだよ)

恭介(焼けるような痛みに少しだけ、視界が歪みそうになる。それでも気力で意識を保った)

449: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:19:44.08 ID:bfThhaTiO
沙耶「…嘘、当たった…?もっと近い距離でも、最後の一回しか当たったことなかったのに、こんなにあっさり…」

恭介(朱鷺戸は信じられない、という表情で俺を見ている)

沙耶「…ちょ、ちょっと!なんで当たってるのよ!?あなたなら、今のだって当たるはずないでしょ!?」

恭介「…この世界のゲームマスターは、俺じゃない」

恭介(俺はただ、朱鷺戸の疑問にだけ答えた)

450: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:21:14.18 ID:bfThhaTiO
沙耶「は?なにを…」

沙耶「…どういうことか説明してもらうわよ」

恭介(途中で考えをまとめ直したんだろう、顔つきがスパイのそれに変わっている)

恭介「ああ、お前がそれを望むなら」

451: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:21:55.65 ID:bfThhaTiO
沙耶「ええ、洗いざらい吐いてもらうわ。でもその前に」

恭介(銃を収めながら続ける)

沙耶「あなたの傷を手当するほうが先よ。ここが学校なら、保健室くらいあるんでしょ?」

452: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:22:51.33 ID:bfThhaTiO
恭介(保健室まで来ると、朱鷺戸が俺の傷の手当をしてくれた)

沙耶「銃弾が綺麗に抜けたのが幸いしたわね、それなら後遺症も残らないわ」

恭介「この世界では後遺症なんてものはない。どんな怪我や疲労も、一晩寝れば回復する」

沙耶「…そう、そういう世界なのね。でも謝っておくわ」

453: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:24:00.44 ID:bfThhaTiO
沙耶「ごめんなさい。絶対に当たるわけないって思ってたから、正直勢いで撃っちゃったっていうか…」

恭介(朱鷺戸がそう言って、頭を下げた)

恭介「謝る必要は無い。それより話さないとな、俺の知る全てを」

朱鷺戸「ええ、聞かせてちょうだい」

恭介(俺はあの世界の顛末と、この世界について知っていることを話した)

454: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:24:51.51 ID:bfThhaTiO
朱鷺戸「死後の世界…」

恭介「俺の言葉など、信じられないかもしれないが…」

朱鷺戸「信じるわよ、あなたの言うことなんだから」

恭介(話している途中で、強引に遮られた。嘘をついてるようには見えない)

恭介「…なぜだ?なぜ俺を信じられる?」

455: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:26:15.48 ID:bfThhaTiO
恭介「俺は何度も、ループ中にお前に立ちはだかった、お前を俺たちの世界から追い出した男だぞ?」

沙耶「あなたは何度もループに付き合ってくれた。あたしを、力づくで追い出すこともしなかった」

恭介(朱鷺戸はきっぱりとそう言い切り、更に続ける)

沙耶「本当はすぐにあたしを消すことも出来たはずなのに、それをしなかった」

456: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:27:19.69 ID:bfThhaTiO
沙耶「自分でも数え切れないほどループしたのに、あたしの目的はあなたの目的と反していたのに」

沙耶「それでも…、あたしの気が済むまで、あたしの遊びに付き合ってくれた」

沙耶「あなたがそういう優しい人だってことを、あたしは知ってる」

沙耶「あとは…あれよ。強大な敵とか、宿命のライバルに絶対的な信頼感が湧いたりするのってわりとありがちなことでしょ?」

恭介(照れ隠しのつもりだろうか?そっぽを向いてフフンと笑った)

457: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:29:37.99 ID:bfThhaTiO
恭介(朱鷺戸は俺を憎んでいなかった…、恨むこともしていなかった…)

恭介「それでも、俺がお前を追い出したことに変わりはない」

沙耶「そうね。あと駄目押しはあれかな」

沙耶「すごく幸せな夢を見た。タイムマシンで子どもの頃に戻って、お父さんがいて、幼い理樹くんと一緒に遊ぶ夢」

恭介(目を閉じ、その夢を回想しながら語る朱鷺戸)

沙耶「あれ、あなたが見せてくれたんでしょ?」

458: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:31:06.96 ID:bfThhaTiO
恭介「………ああ」

恭介(俺にとっては、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった)

恭介(朱鷺戸の命もまた、俺たちのように突然奪われてしまったことを、俺は知ることが出来た)

恭介(彼女がどれほど、一度も過ごせなかった青春を惜しみ、理樹を本気で愛していたことも知っていた)

恭介(それでも俺は、理樹と鈴のために、朱鷺戸の夢そのものを切り捨てた)

恭介(明確に憎むことの出来る相手が目の前にいるのに、朱鷺戸はそれをしないことを選んだんだ…)

459: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:31:49.11 ID:bfThhaTiO
恭介「………強いな、朱鷺戸は」

沙耶「あたし一人で強くなったんじゃないわ。あの世界のあらゆるものから、あたしは強さを貰ったのよ」

沙耶「…ま、まあ一番は当然!理樹くんなんだけどね!」

恭介「ふっ…惚気るなよ」

460: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:32:43.20 ID:bfThhaTiO
沙耶「い、いいじゃない!?別に!」

沙耶「考えてみたら、惚気ることの出来る相手なんてあたしは他に誰にも…」

恭介(朱鷺戸がなぜか途中で話を止める)

恭介「どうした?」

沙耶「い、いやぁ…。今になって気づいたからその、すっごく聞きづらいこと聞くんだけど…」

461: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:34:02.71 ID:bfThhaTiO
沙耶「…見てたの?あたしと理樹くんの…あれ」

恭介(………やばい)

沙耶「どうなの!見てたの!?その気になれば見れたはずよ!正直に答えなさいよ!!」

恭介「…み」

沙耶「…み?」

恭介「見てました、…はい」

462: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:35:09.21 ID:bfThhaTiO
沙耶「…ひ」

沙耶「ひやあぁぁああぁ!!あなたやっぱサイテーっ!なんなの!?そういう趣味なの!?」

沙耶「あたし処女だったのよ!?理樹くん以外誰にも見せるつもりなかったのに、人のエクスタシー覗き見してたっていうの!?」

恭介「いや違う!!誓ってエクスタシーまでは見ていない!!それくらい空気は読める男だ!!」

463: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:36:30.85 ID:bfThhaTiO
沙耶「エクスタシーまでは!?じゃあどこまで見てたってのよ!?」

恭介「…キスとか混浴ぐらいは」

沙耶「うがあーーーーーっ!!」

沙耶「このっ、消えろっ!!●●少年ーーーっ!!」

464: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:37:03.65 ID:bfThhaTiO
ドガガガガっ!!

恭介「ぎゃあああああ!」

恭介(おそらく100連発ぐらいのキックを食らったあと、俺の意識は一度途切れた)

465: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:38:19.58 ID:bfThhaTiO
沙耶「でも未練がないと、この世界に来られないのよね?」

沙耶「つくづくあたしも諦め悪いわよね、自分で自分に呆れるわ」

恭介「それを言うなら俺だってそうだ。いや、この世界にいるのはみんなそういうやつらだ」

真人「まさか、他のやつらより先にこいつが来るとは思わなかったけどな」

466: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:39:12.27 ID:bfThhaTiO
真人「ん?でも先に消えたのはこいつだから、ある意味正しいのか?」

恭介「お前はたまに鋭いな。おそらくだが、この世界に来るのにはズレがあるんだろ」

恭介「でないと俺と真人は、同時にこの世界に来てるはずだ」

恭介(意識を取り戻したあと、とりあえず真人と合流し、これからの事を話すことにした)

恭介(ってか痛え…。左肩より蹴りのほうのダメージのがでかいぜ…)

467: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:40:06.40 ID:bfThhaTiO
沙耶「これからってか、そもそもあなた達はこの世界でなにをしてるの?ずーっとここで過ごすわけでもないんでしょ?」

真人「はっ!決まってんだろ!俺たちはだなぁ………なあ、恭介?そもそも俺たちは何すりゃ良いんだっけ?」

ズコッ

恭介(ま、これが、いつもの真人だよな)

沙耶「あなた時風の…じゃない。恭介くんの仲間でしょ?そんなんで大丈夫なの?」

468: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:41:28.86 ID:bfThhaTiO
真人「なんだよ…、その頭に入ってる脳みそまで筋肉なんですね、まさに筋肉馬鹿ですね、おめでとうございますってかっっ!」

沙耶「いや、別にそこまでは言ってないけど…」

真人「まあ俺は馬鹿だからよ。この場所から理樹と鈴の為に出来ることを探す、ってことくらいしか頭に入ってないんだよ」

沙耶「だから、そのために何をすればいいかって話でしょ?」

真人「それは恭介に任す、俺はただこの筋肉を奮うだけだぜ」

沙耶「なるほどね」

469: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:42:22.68 ID:bfThhaTiO
恭介「心配するな、沙耶。こう見えて真人は頼りになる男だ」

恭介「何度お前が理樹を屋上から落とそうと、必ずキャッチしてみせてただろ?」

沙耶「うっ、その話持ち出さないでよ…」

真人「あ、そうだてめえ!思い出したぜ!よくも俺の理樹っちを毎度毎度!」

真人「お前のせいで、『理樹キャッチ世界選手権』なんてもんがあったら間違いなく、世界一位になれる程度には熟練度上がったぜ!」

470: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:43:44.14 ID:bfThhaTiO
沙耶「あ、あれはああしないといけなかったっていうか…」

沙耶「ってか恭介くんだって、どうせなら地下からリプレイさせてくれれば良かったのに…」

恭介「何言ってるんだ、それじゃただの作業ゲーだろ?理樹との出会いから始めることに意味があったんじゃないか」

沙耶「…おっしゃるとおりです」

471: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:44:27.43 ID:bfThhaTiO
真人「まあいい。反省してるっぽいから許してやるが、俺の筋肉に感謝しとけよ」

沙耶「ええ、感謝してるわ。あなたの筋肉には」

真人「俺はぁぁ!?俺にも感謝してくれよっ!?」

恭介「お前が筋肉に、っつったんだろ真人」

472: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:45:00.25 ID:bfThhaTiO
沙耶「もちろん、感謝してるわよ。真人くんには」

真人「さすがだぜ、筋肉の相談があるならいつでも言えよ!力になってやるからよ!」

恭介「単純だな、真人は」

恭介(ま、そこが良いとこなんだけどな)

474: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:45:44.27 ID:bfThhaTiO
恭介「ともかく、ざっくり言うなら俺たちの目的はこの世界の秘密を暴くことだ」

恭介「この世界にはまだまだ謎が多い。絶対に死なないことから、死後の世界なのは確実だろうが」

恭介「どうやって創られたのか?神でもいるのか?はたまた別の誰かなのか?肝心な部分がまだわかっていない」

沙耶「世界の根幹に触れる部分を明らかにすれば、何が出来るようになるかわかるってことね」

475: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:47:14.92 ID:bfThhaTiO
沙耶「もしかしたら生き返ることだって…」

恭介「………」

真人「………」

沙耶「…ごめんなさい、今のは忘れて」

恭介「いや、気持ちはわかるさ。俺だってそういう可能性も考えたからな」

476: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:48:29.87 ID:bfThhaTiO
真人「まあ、今から悩んでも仕方ねえよ!とりあえず前向きにやっていこうぜ!」

恭介「ああ、そうだな」

恭介(こういう時、真人がいてくれるのは本当に頼もしい。不安や迷いが一瞬で晴れてくれる)

477: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:49:27.52 ID:bfThhaTiO
沙耶「そういうことならあたしも力を貸すわ。恭介くんはもう気づいてると思うけど」

沙耶「あたしが『朱鷺戸沙耶』として死んだことが影響したのか、スパイとしての能力はそのまんまみたいだから」

恭介「そいつは頼もしいぜ」

恭介(あのループから判断した感じだと、沙耶の実力は戦線メンバーと比較しても、トップクラスなのは間違いない)

478: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:50:14.68 ID:bfThhaTiO
沙耶「あと、色々武器とか道具もあるわよ」

沙耶「この『コルトコンバットコマンダー』に、それと寮のクローゼットにスパイとしての道具が色々揃ってたの」

恭介(沙耶は愛用している銃を、俺たちに見せながら説明する)

真人「いや待てよ、なんで寮のクローゼットにスパイセットなんか揃ってるんだよ!?」

479: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:51:03.90 ID:bfThhaTiO
恭介「おそらくだが、生前の青春にあったものだからだろうな」

恭介「それらの武器や道具は、沙耶にとって馴染み深いものだったんじゃないのか?それが関係しているのかもしれない」

沙耶「なるほどね、そういう縛りか。M134が無いのも納得ね。あれは一度しか使わなかったし」

恭介(いくらなんでもそいつはやばすぎる、あんなのバランスブレイカーだ。死んでも立華には向けられない)

480: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:51:55.16 ID:bfThhaTiO
恭介「ともかく。ゆりっぺに紹介して我らリトルバスターズ戦線に加入してもらうのが、沙耶の第一歩になる」

沙耶「ふふん、任せなさいよ。恭介くんとしては、戦線と敵対しちゃってる立華さんって人と和解して仲間にしたいんでしょ?」

沙耶「そっちの方も合わせて、私はあなたの指示通りに動くわ。これからよろしくね」

481: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:52:26.02 ID:bfThhaTiO
恭介(そう言いながら、沙耶は右手を差し出す)

恭介「ああ、もちろんだぜ!よろしく頼むな沙耶!」

恭介(二人で固い握手を交わした、やばいな。軽く涙腺にくる、すごく感動している…!)

482: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:53:18.94 ID:bfThhaTiO
沙耶「ふふ。あなたとは色んな理由でずっと敵みたいな感じだったから、なんかこういうの熱いわよね!」

恭介「ああ、俺も今同じ気持ちだぜ!」

真人「おいおい、二人だけで盛り上がってんじゃねえよ!俺も混ぜろよ!」

恭介(真人が俺たちの手の上から、更にその両手を重ねてきた)

483: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:54:09.70 ID:bfThhaTiO
恭介「よしっ!お前ら覚悟はいいな?気合い入れていくぞぉ!」

三人「おおーーーっ!!」

恭介(こうして、沙耶が俺の仲間に加わった。しがらみから解放され、和解し、手を取り合うことが出来た)

恭介(そうだ、沙耶とも仲間になれたんだ。立華だってそうなれるはずだ)

恭介(さあ、次は戦線の仲間になるための試練が待ってるぜ沙耶!)

484: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:56:28.59 ID:bfThhaTiO
ゆり「で、案の定。また棗くんの知り合いが来ちゃったと」

ゆり「ってか、棗くんなにがあったの?体ボロボロなんだけど…?」

恭介「大丈夫だ、問題ない。それより沙耶、自己紹介だ」

沙耶「ええ、名前は朱鷺戸沙耶。ちなみに、最っ初から幹部入り志望よ」

485: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:57:23.41 ID:bfThhaTiO
藤巻「おいおい、女でいきなり幹部なんて無理に決まってんだろ」

日向「突っかかるなよ、藤巻」

ゆり「自信家は嫌いじゃないわよ。なにより実力さえ備わってるいるなら、即幹部にするのがあたしの方針だから」

沙耶「ええ、どんな能力で試験してもいいくらいよ」

486: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:57:52.29 ID:bfThhaTiO
沙耶「なにせ、あたしは…」

恭介(沙耶が一度言葉を切る。そこからめいいっぱい溜めて繋げた)

沙耶「『スパイ』、だから」

ゆり「………は?」

487: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:58:22.81 ID:bfThhaTiO
日向「は?」

大山「え?」

野田「は?」

藤巻「あ?」

松下「む?」

488: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 22:58:49.37 ID:bfThhaTiO
高松「はい?」

TK「What !」

椎名「ん?」

岩沢「???」

遊佐「………」

489: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:00:00.25 ID:bfThhaTiO
戦線組「「「はぁーーーっ!?」」」

恭介(予想通りのリアクションが本部に響いた)

恭介「おい真人、やりやがったぜ。すごいドヤ顔だったぞ!」

真人「ああ、自らハードル上げていきやがった…!」

490: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:00:59.16 ID:bfThhaTiO
ゆり「いやスパイってなによ!スパイごっこかなにか!?」

沙耶「ごっこじゃないわ。諜報員、本物のスパイよ」

日向「ああー。そうか、そもそもこいつも恭介の友達なんだよなぁ」

高松「はい、まともな思考回路の人間のはずありません。ずばり言うなら…」

491: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:01:31.79 ID:bfThhaTiO
遊佐「また馬鹿ですか」

松下「間違いないな」

藤巻「だな」

TK「History Repeats itself !!」

492: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:02:21.49 ID:bfThhaTiO
沙耶「ふふん、信じられないのも無理ないわ。でも、事実よ。言わば、あなたたちがやってきたことのプロよ」

ゆり「いや、そもそもなんで、棗くんの友人にスパイがいるのよ!ありえないでしょ!」

沙耶「ありえないとこないわ、だって『恭介』くんなのよ?」

戦線組「「「………」」」

恭介(その言葉だけで、騒がしくなっていた空気が一瞬で沈静した)

493: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:03:13.25 ID:bfThhaTiO
ゆり「………ごめん、みんな。なんか納得しちゃったあたしがいるわ」

大山「あはは、僕もだよ」

野田「確かに恭介なら、スパイの友人の一人や二人いてもおかしくない気がする…!」

岩沢「物凄い説得力があったな」

494: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:04:12.61 ID:bfThhaTiO
真人「恭介よぉ、大分お前のキャラってやつが戦線にも浸透したな」

恭介「嬉しく思うべきだな」

ゆり「あー、とにかく!スパイだって言うならその実力見せてもらうわよ!」

沙耶「ええ、かまわないわ。それとさっきから気になってたんだけど…」

沙耶「そこのカーテンのとこ、ゴキブリがいるわよ?」

495: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:04:54.37 ID:bfThhaTiO
ゆり「えっ!うそっ!?」

恭介(そこでゆりっぺが思い切り椅子を引いて立ち上がったのがまずかった)

恭介(物音に反応してゴキブリが飛び始めてしまった)

ゆり「うわあああっ!飛んだっ!飛んだっ!」

496: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:05:38.70 ID:bfThhaTiO
野田「おのれ!ゆりっぺを脅かす黒い悪魔め…!切り裂いてやるっ!」

野田「うおおおおっ!!」

恭介(野田がハルバードを振り回しながら、空飛ぶGに襲いかかった!)

日向「馬鹿っ!?部屋ん中でそんな武器振り回すんじゃねえよ!?」

椎名「あさはかなり」

497: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:06:20.85 ID:bfThhaTiO
大山「僕たちが切り裂かれちゃうよっ!」

野田「気にするな!どうせ死なんっ!」

日向「気にするわっ!!」

恭介(最早、本部は飛び回るGと暴走する野田のせいで戦場と化した。が…)

498: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:08:23.97 ID:bfThhaTiO
沙耶「シャラップ!!」

恭介(沙耶の言葉が、みんなの動きをその場で止める)

恭介(無理もない、沙耶の声はゆりっぺにそっくりなんだ)

恭介(命令されたらつい反応しちまうもんさ。みんなは多分、今ので声のこと気付いんただろうがな)

499: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:09:12.05 ID:bfThhaTiO
沙耶「動くんじゃないわよ」

恭介(そして)

パァン

恭介(飛び回っていたゴキブリを、いともたやすく撃ち落とした)

沙耶「ふう、ざっとこんなもんね」

恭介(髪をかきあげ、そう言い残す沙耶の姿に)

500: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:09:45.98 ID:bfThhaTiO
日向「す、すっげえーーーっ!!」

松下「今のを狙い撃ったのか!?」

藤巻「マジかよ…?」

大山「僕、銃を抜いたのすら見えなかったよ!」

恭介(戦線メンバーは魅せられていた)

501: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:10:16.04 ID:bfThhaTiO
椎名「驚いた…。凄腕だな」

恭介(椎名ですらそう呟くのが聞こえた)

沙耶「言ったでしょ、プロのスパイだって」

ゆり「…ええ、驚いたわ。さすがプロを名乗るだけあるわね」

502: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:10:57.01 ID:bfThhaTiO
真人「いやぁ、マジですげえんだなあいつ。こりゃ幹部入り確実だな、恭介」

恭介(真人が俺の肩を叩きながら、笑いかけてくる。だが…)

恭介「…おかしい」

真人「は?なにがだよ」

503: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:11:40.32 ID:bfThhaTiO
恭介「…上手くいきすぎている、確かに沙耶は凄腕のスパイだ…」

恭介「高速で飛び回るGを狙い撃つなんていう芸当もこなしてみせた…」

恭介「…だがこのまま終わるはずがない。あいつが俺の知る朱鷺戸沙耶なら、絶対にこのまま終わらない!」

真人「いや、なに言ってんだ?お前」

504: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:12:40.96 ID:bfThhaTiO
ゆり「実力は今ので見せてもらったわ。文句無しで合格よ」

沙耶「やったぁ!バンザーイ!」

恭介(満面の笑顔で、バンザイしながら喜ぶ沙耶)

日向「クールなのか、愉快なのかよくわからんやつだな」

大山「まあまあ恭介くんの友達だし」

505: ◆u0K2X4aJDs9X 2015/07/14(火) 23:13:49.13 ID:bfThhaTiO
恭介「お前らいくらなんでも、俺の友達ってだけで色々納得しすぎだ!」

恭介「宇宙人連れてきても、俺が友達って言えば信じるんだろ!?」

岩沢「えっ、いないのか?宇宙人の友達?」

恭介「いねぇよ!宇宙飛行士志望の友達ならいるが」

日向「いやそれも大概だぞ…」



次回 恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」 後編