1 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:21:39 ID:iFCzUigE

「違う!ラウラ・ボーデヴィッヒだ!」

一夏「おいおい、そんなムキになるなよ」

「だいたいあんなものとこのラウラを
 一緒にしてもらっては困るぞ、嫁よ」

一夏「携帯電話なのによく喋るなぁ…」

「ふふん、なんといってもドイツの
 最新式の会話アプリだからな!」

一夏「ふ~ん…」

「あっ!こら、アプリを閉じ―」 


転載元:一夏「ラウラ・ボーダフォン?」


2 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:26:57 ID:iFCzUigE

「―たらダメだぞ、嫁よ」

一夏「ん?続きからなのか?」

「続き?一体なんのことだ?さっきから
 時間は…ん?一時間経っている?
 嫁!これは一体どういうことだ!?」

一夏「いや、ご飯食べてただけだよ」

「そうか、ならしかたないな」

一夏「あ、これ音声入力なんだな」

「む、会話アプリだからな。もちろん
 文字を入力しての会話もできるぞ!」 


4 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:35:21 ID:iFCzUigE

一夏「ふ~ん…じゃあせっかくだし
   入力してみようかな…えーと…」

『おはよう』

「おはよう…と返したいところだが
 今は昼だからこんにちは、
 ではないのか?」

一夏「はは、だけど"おはよう"ってのは
   どこでも使える挨拶なんだぜ?」

「なんと。さすがは私の嫁だな!」 

5 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:42:44 ID:iFCzUigE

一夏「う~ん…」

「む?どうした?嫁よ」

一夏「その"嫁"っていうのはなんだ?」

「ああ、なんだそんなことか。どうやら
 日本では 気に入った相手の事を"嫁"と
 呼ぶらしいじゃないか。私は私を
 選んでくれた嫁が気に入ったのだ!」

一夏「そうか。でもなぁ…」

「む?」

一夏「嫁、というのは正しくは男の妻、
 つまり女性の方が嫁になることなんだ」

「なに!クラリッサから集めた情報は
 嘘だというのか!?」 

6 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:47:49 ID:iFCzUigE

一夏「ある意味、間違ってはいないけど…
   ん?クラリッサ?」

「ああ。説明していなかったな。
 クラリッサとは私が情報を集めるための
 ツールの名称だ。覚えておくといい」

一夏「ツールねぇ。あ、嫁の話は―」

「お互いに相手が嫁だというのだろう?
 どこに問題があるというのだ?」

一夏「……」

「……」

一夏「…まぁ、いっか」

「うむ」 

7 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 12:53:10 ID:iFCzUigE

一夏「さて、どうしようかな…ん?」

「む、クラリッサからの新しい情報だな」

一夏「あぁ、この変なマークは
   更新が来た時の記号なのか」

「な、なにっ!嫁となる相手にはその
 姿を相手に見せなくてはならないだと!」

一夏「え、姿あるの?」

「う、うむ…クラリッサが私の姿を
 画像で送るから受信してくれとのことだ」

一夏「…ん。来たみたいだな」 


8 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 13:00:04 ID:iFCzUigE

一夏「ぶはぁっ?!」

「よ、嫁?!一体どうしたというのだ!?」

一夏「銀髪ツインテのビキニに…
 さらにもう一枚はスク水ニーソの
 ポニーテールが来るとは…」

「日本の男児はこれが喜ぶとクラリッサが
 情報を集めてくれたからな!」

一夏「ラ、ラウラ…」

「どうした嫁よ」

一夏「すごく、似合っているぞ!」

「なっ……!」

一夏「しかもこれ!すげーかわいい!」

「か、かかかか可愛い!?」 

9 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 13:05:53 ID:iFCzUigE

一夏「ああ!正直、携帯だからと
   馬鹿にしていたけど!ラウラ、
   おまえってかわいかったんだな!」

「そ、そうか」

一夏「ん?どうした?なんか熱いぞ
   オーバーヒートでもしたか?」

「な、なななななんでもにゃいぞ!」

一夏「噛んだ…最新科学なのに…」

「そ、そういう機能だ!」

一夏「ふ~ん…」

「ク、クラリッサもそう言っているぞ!」 

11 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 13:13:17 ID:iFCzUigE

一夏「あっ…そういえば」

「む?」

一夏「まだ文字入力を一回しか
   していなかったな」

「そうだな。嫁、私は寂しいぞ!」

一夏「わかったわかった。ほら、今から
   入力してやるから静かにしなさい」

「うむ」

一夏「さて、しかし何を入力…あ!
   ラウラ、これは単語を一つだけ
   入力しても会話は成り立つのか?」

「む、それはあまり好ましくはないが
 嫁の頼みとあらば単語に関する私の
 知識あるいは感想ぐらいは言うぞ!」

一夏「なるほど…じゃあ…」

『犬』 

12 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 13:20:50 ID:iFCzUigE

「犬か。あれは良いものだ。なんと
 いってもあの強さとかわいさを備えた
 ものは他にないだろう。小型犬は
 抱くのにちょうど良い。またドイツの
 特殊訓練犬は普段はあんなに速くて
 強いくせに餌の時間になると律儀に
 姿勢をよくして早く餌をくれと言わん
 ばかりのあの瞳と…」

一夏「ま、待て!」

「む?」

一夏「ちょっと長すぎやしないか?」

「気のせいだろう。さ、嫁!早く文字を!」

一夏「わかったから落ち着けって」

「むー…」 

16 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 16:12:55 ID:iFCzUigE

一夏「その…なんていうか物事はだな」

「む?」

一夏「長過ぎるのはダメだと思うんだ」

「ならば"犬"に対する答えは
 "かわいい!""強い!"でいいのか?」

一夏「いや、短すぎてもダメだ」

「難しいことを言うな、嫁」

一夏「それも会話の一つだよ」

「むむ…」

一夏「それじゃあ次に行こうか」

「うむ」 

17 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 16:17:38 ID:iFCzUigE

一夏「それじゃあ次も単語で…」

「待て、嫁よ」

一夏「なんだ?」

「せっかくだから会話がしたい」

一夏「なに言っているんだ。会話なら
   さっきからやっているじゃないか」

「違う。そうじゃない。入力でだ」

一夏「入力?」

「そうだ。単語を入れてそれに対する
 何かを言う。それではまるで私は
 ちょっとした辞書のようではないか」

一夏「携帯電話なのに」

「嫁よ、私は会話のためのアプリだ」

一夏「知ってるよ」

「うむ、わかればよろしい」 

18 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 16:23:21 ID:iFCzUigE

一夏「でも会話なら、この音声入力の
   ほうが便利じゃないか」

「そうだな」

一夏「あ、でも…」

「どうした?」

一夏「こういう恥ずかしい言葉なら
   文字入力が役立つかもな」

「?」

『大好きだよ』

「なっ…ななななななにを!?」

『愛してる』

「よ、嫁!これ以上は…!」

『結婚してくれ』

「…なっ…ぁぅ…」

一夏「ん?フリーズしてしまった?
   例えばの話でこういうのはどうかな
   と意見を聞きたかったのになぁ」 

19 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 16:28:11 ID:iFCzUigE

一夏「ラウラー?」

「……」

一夏「…ラウラ・ボーデヴィッヒさーん?」

「嫁に名前を初めて呼ばれた気がした!」

一夏「うわっ…びっくりした…名前って
   …フルネームで呼んだだけだぞ?」

「うむ。そこはかとなく嬉しいぞ」

一夏「そんなもんかー」

「そんなものだ」

一夏「ま、これからもよろしくな?」

「うむ!明日はもっと会話するぞ、嫁よ!」 


20 : ◆X9gBn93PwA:2012/03/30(金) 16:29:44 ID:iFCzUigE

一応、これで終わりです

ネタがあればまた夜にでも書きます。

ありがとうございました