1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:17:33 ID:9HJjP7HY
先輩「人生に2度もチャンスがあることなんて、そうそうないんだから。」
男「……だからって、入れ過ぎじゃないですか?」
先輩「……だって、チャンスがころがってるのよ?」
男「えっと……」
先輩「だって、ね?」
男「何枚使いましたっけ?」
先輩「まだ、まだ2枚だから!」
男「……100円玉で?」
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:25:47 ID:9HJjP7HY
アリガトーゴザイマシター
先輩「もう!あとちょっとだったのに……」
男「懲りませんね」
先輩「だって、ムカつくじゃない!だれよ、貯金箱なんていった奴は!」
男「だからって、なんでまたフラットさんなんですか?」
先輩「そりゃあ~」
男「クラリネットだから?」
先輩「オカマだからよ」
男「……」
先輩「いいと思わない?」
男「……先輩らしくて」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:35:25 ID:9HJjP7HY
先輩「さってとー、帰ろ帰ろ-」
男「あ」
男「譜面コピーしないと」
先輩「練習用に?熱心ねー」
男「先輩には負けますって。もう3年なのに」
先輩「わたしは、ほら。推薦もらっちゃったから」
男「そういうもんだいですか?」
先輩「そういうもんだいです。」
男「そっか。……あっと、そうですね」
先輩「ん~?」
男「いえ……。」
先輩「……直さなくてもいいのに(ボソッ」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:41:20 ID:9HJjP7HY
アリアーッザース
先輩「それじゃ、私はここで」
男「えっと……おくり……ます?」
先輩「私に聞かれてもねー。 今日はいいわよ、ここで」
男「そっk……そうですね」
先輩「フフッ じゃ、またね。4月から後輩入ってくるんだから、しっかりしないと!」
男「はい……また」
先輩「それじゃあねー」 コツッ コツッ コツッ……
男「また……か。まだ……また、か。」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:53:46 ID:9HJjP7HY
---------------------------------------------------------------------2012- Clockwise
----------------------
ーーーーーー
ーー
ハシッテモー アルイテモー
チキュウノスピードハー オナジデスー
妹「はぁ~~~ おはよ」
母「おはよ、パンでいいわね」
妹「いいよー、兄貴今日も早いねー」
男「あー、朝練あるし」
妹「この時期に部活顔出すなんて、へんなのー」
男「まぁ、推薦もらってるから」
妹「ありゃ、余裕だこと」
母「あんたも朝練でしょ?あんまり余裕ないわよー」トッ トッ トッ
母「姉ーー!パンでいいわねー!」
姉「あ゛ー……、挨拶より先にそれはどうなんだ」
妹「お姉ちゃん!?って、もうこんなっ!支度してくる!パン早くお願い!」ダッ
母「だから言ったじゃないの-」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/10(火) 23:53:59 ID:9HJjP7HY
姉「イッ……大声は…………だから、挨拶より先にそれはどうなんだと、聞いてるんだが」
母「毎朝のことじゃない、のんべ大学生?」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:00:44 ID:XNYi9y9c
キーンコーンカーンコーン
教師「じゃあ、今日はこれで。いくら受験シーズンだからって授業には顔だせよ-」
男友「っと~!帰るかー。」
男「んー。またなー。」
男友「あ、おい。今日はオケ部ないぞー?」
男「ん?」
男友「禿がいってただろ、後輩もそろそろ期末近いって」
男「あ、あーー。」
男友「ったく、最近抜けてんなー。」
禿教「ぬけてる……だと?ちょっと顔貸せ男友」
男友「へぁっ!ひぁーーー!ちがっ!ってか俺勉強が」
教師「勉強かぁー、英語ならたぁーーーっぷりみてやっから」ギュッ アイテテテテテ
男「……帰るか」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:03:42 ID:XNYi9y9c
フックブックロー オーイーツーイーテクールヨー
ダカーラココラデ ソヨカゼヲー アーオゾラヲー
チョットシンコキュー
男「……」
母「あら、もう帰ってたの」
男「……」
母「あらーー。あの、えーっと、ヴァイオリンやらおっきいヴァイオリンやら、
変なオカマが出てるやつから変わったのねぇ」
男「かあさん、だいぶ遅れてる。朝もやってたよこれ」
母「そうなの?」
男「ってか、覚えてあげなよ。ねーさんの楽器。」
母「あー、あんたそれより部活は?後輩の面倒みるんじゃなかったかしら?」
男「もうそろそろ下はテスト週間だよ」
母「テス……妹ちゃん大丈夫かしら?」
男「さあねー?」
男「変なオカマ、ね」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:11:52 ID:XNYi9y9c
ーー
ーーーーーー
----------------------
---------------------------------------------------------------------2009- Counter-clockwise
先輩「思うにね?私達って守られてるのよ」
男「突然ですね」
先輩「人間は自由の刑に処されてるっていうじゃない?
クラリネットがオーケストラで輝いていけるのも、弦楽器のお陰なの。」
男「……といいますと?」
先輩「同じ畑でなく、姉ちゃんみたいな弦楽器の皆の音に守ってもらいながら、輝ける。
ルビーの指輪だって、他の宝石でなく、座金があわさるとるびーの色気が引き立つのよ。」
男「……先輩?」
先輩「だからねー。吹奏楽を選ばなかったみえっぱりって言われるのも癪なのよねー。」
男「まさか……いまさらDQ3ですか?」
先輩「え?なんでばれたの!?」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:18:07 ID:XNYi9y9c
男「そういえば、推薦でしたっけ?」
先輩「そうよー、じゃないとこんなに部活こないわよ」
男「久しぶりにDQも引っ張り出せませんよね。」
先輩「あっもう、それは置いておいてよー」
男「……1月に顔出した時はビックリしました。」
先輩「んー。」
先輩「そりゃー、可愛い後輩の顔みたいじゃない?」
男「……あー」
先輩「みたいじゃない?」
男「……結局、フラットさんは捕れたんですか?」
先輩「あれがね!ほんっとーにもー……」
男「駄目なんですね (ホッ…」
先輩 チラッ
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:23:32 ID:XNYi9y9c
先輩「だんだん桜のつぼみも膨らんできたわねー」
男「あ……そう、ですね。」
先輩「もうすぐ春が来るわよ~」
先輩「そして……」
男「……」
先輩「はやい、はやいなぁ……」
男「そう…ですね……一年間って。でも」
先輩「甘い!駅前の喫茶店のベリーパイより甘いよ!」
男「食べたいんですね?」
先輩「んもー!」
男「……ですね?」
先輩「食べる!食べるけれども!」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:36:28 ID:XNYi9y9c
先輩「だんだん桜のつぼみも膨らんできたわねー」
男「あ……そう、ですね。」
先輩「もうすぐ春が来るわよ~」
先輩「そして……」
男「……」
先輩「はやい、はやいなぁ……」
男「そう…ですね……一年間って。でも」
先輩「甘い!駅前の喫茶店のベリーパイより甘いよ!」
男「食べたいんですね?」
先輩「んもー!」
男「……ですね?」
先輩「食べる!食べるけれども!」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:37:28 ID:XNYi9y9c
イラッシャイマセー
先輩「いっくら全ての知識が経験に基づくからって言うからさー、そういうのってどうなのよー」
先輩「これじゃあ、私が食い意地張ってるみたいじゃない!いかんと、思うのよ!」
男「ですか」
先輩「です!」
男「いかんとも、しがたいですね……」
先輩「むっ……男君ってそういうところが……」
男「なに……なんですか?」
先輩「そういうところ、昔からかわってないわよね」
男「む……」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:52:35 ID:XNYi9y9c
ーー
ーーーーーー
----------------------
---------------------------------------------------------------------2005- Counter-clockwise
男「あれ?ねーさん?」
姉「お、今帰りか?」
男「そうだけど。どうして駅前に?」
姉「待ち合わせだ。副部長とな」
テッテッテッテ
姉友「はっ、まに、まにあ、まにあっ」
姉「合ってない」
姉友「け、けちーー!3分くらいっ あれ?」
男「……どうも(……副部長?)」
姉友「えー、なになにかr「弟だ」……知ってたけどさ-」
男「それじゃ」
姉友「ちょっっっっっっとまったぁ!!」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:52:47 ID:XNYi9y9c
男「えっ?」
姉「あーー」
姉友「せっかくだからさ!おいでよ!」
俺「え、ぼく……おれもですか?」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:57:57 ID:XNYi9y9c
姉友「いやー、女二人ってねー!いくら近所の高校の演奏会とはいえねー。」
姉「あきらめろ、こういうやつだから」
男「あー……はい」
姉友「なによー!」
男「いえ、こういうひとだな。と」
姉「あきらめろ、こういうやつだから」
姉友「うぅー……」
男「……ねーさん」
姉 (なかなか、面白そうな二人、だしな)
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 00:58:17 ID:XNYi9y9c
パチパチパチパチパチブラボーパチパチパチ…
男「……はー」
姉友「ひゃー……高校生って凄いんだなー」
男「……スネアの音の粒、すごい」
姉「あの3楽章のクラリネットも、素晴らしいソロだったな」
姉友「ねー!あー、いいなぁ……オーケストラ」
姉「来ればいい、と言っているだろ?」
姉友「あーうー……なんだか傾いて来ちゃった」
男「やっぱり……姉友さんは、何部なんですか?」
姉友「あれ?っていってなかったかー」
姉「中学吹奏楽部副部長……
……だったやつだ」
男「……はぁ?」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:07:32 ID:XNYi9y9c
ハニホヘトッ イロハニホヘト
イロハハトニホヘトニハ クインテッ!
妹「おかーさん!ぱんやいたー?」トテットテッ
母「おはよう、ジャムは出しておいてね」
男「かーさん、パンお願い」ギーッ
母「はーい。姉ちゃんは?」
男「部屋でごそごそ聞こえたから、そろそろ」
母「男くんが部活入ったから、少しは早くなると思ってたのにねぇ……」
男「そう簡単に、代わりはしないって」
姉「……あー。母、私にも頼む」ペタッペタッ
母「はいはい。部活でもこんな感じじゃないだろうねー?」
男「それが」
姉「いいから、パン食べていくぞ」
母「で、なに?(コソコソ」
男「それがさ、あだ名が氷の女「食べていくぞ?」……いただきます」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:14:54 ID:XNYi9y9c
姉「さて、今日の朝練はスペシャルゲストがいる」
ザワザワ ザワザワ
姉友「おはようございまーすっ!」ガラッ
姉「江末巣中吹奏楽部 元 副部長。そして」
姉友「この時期からだけど、新しく入りました女です!よろしくお願いしまっす!」
ザワザワザワザワ エーマジカスゴーイアノヒトッテ デモナンデコノジキニ ザワザワ
姉「新入部員だ。」
男「……姉友さん?」
姉友「先輩」
男「……え?」
先輩「これからは、先輩。ね?」
男「え?」
男「……後から入ったのに?」
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:16:43 ID:XNYi9y9c
---------------------------------------------------------------------2009- Clockwise
----------------------
ーーーーーー
ーー
ベリーパイニ ロイヤルミルクティー アイスコーヒーオモチイタシマシター
先輩「あの時から、可愛げなかったのよねー」
男「性分……ですからね。」
先輩「でも、最初あった時の「ぼく……おれは」は、可愛かったなー///」
男「……それで」
先輩「ほらほらー、すぐそうやって話題を変えようとするー。
私たちは現在だけ耐え忍べばいい、っていうじゃない。
先輩「過去にも……未来にも苦しむ必要はないのよ?」
男「……先……輩?」
先輩「今を生きていけばいいの。さもあらんってことよ。」
男「……それで、高校に進んでもオーケストラを選んだんでしたっけ」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:16:59 ID:XNYi9y9c
先輩「そう、そうなの。やっぱりあそこって私の好きな音楽と、ちょっと違ったのよねー。
たしかにクラの競争率も高いけど、それ以上に向いてる方向が違ったの」
男「そう、でしたね」
先輩「……やっぱり可愛くない(ボソッ」
男「先輩?」
先輩「ん?」
男「……さっきの、わかりにくいしあんまり落ちてないですよ?」
先輩「んもぅ!可愛くない子ねーー!」
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:22:21 ID:XNYi9y9c
アリガトーゴザイマシター
先輩「さっ。今日もここでいいよー」
男「あ、おく「らなくていいよー」……はい」
先輩「気持ちだけ、もらっておくね?」
男「……先輩は」
先輩「ん?」
男「……先輩はどうしッッッ!!」ヒトサシユビ ピトッ
先輩「内緒っ」ヒトサシユビ ピトッ
男「!」
先輩「じゃあねっ!」カツッ カツッ カツッ
男 (関節……キス?
先輩 (関節……キスかー///
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:28:50 ID:XNYi9y9c
キョウノオテンキハ セキジマサンニツタエテイタダキマス セキジマサン? ハイ!
姉「お帰り、打楽器練が長引いたみたいだな」
男「ただいま、あーそんな感じ」
姉「なるほど……」
男「入学シーズンは、大きいのがあるし」
姉「……姉友もいなくなるし、な」
男「……ねーさんのそういうところ、あんまり好きじゃない」
姉「嫌われたようだ」
妹「あ、にいさんおかえりー!おかーさん町内会行ってる、ご飯はできてるよ!」トテトテ
男「そっか、ありがとう」
妹「で、お姉ちゃん嫌われちゃったの?」
姉「そうなんだ、この傷をどうしてくれよう……(ホロホロ」
妹「にいさんひどいなー、こんなにクールビューティー(氷の女王)なお姉ちゃん泣かせて!」
男「……わりとこの姉妹、嫌い」
姉 (こっそりけなされたな。その仇名、中学まで広がっているとは……)
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:37:52 ID:XNYi9y9c
コン コン コン
男「だれ?」
姉「わたしだ」ギーッ
男「……どうしたの?」
姉「暇を持て余「古いんじゃない?」……あいかわらずだな」
男「それで?」
姉「進展はあったのか?」
男「……何の?」
姉「追い詰められてまでとぼけるのは、美しくないな」
男「……そういわれたって、ないものはないよ」
姉「どういうつもりだって、何を考えてたっていい」
姉「もし、決めたのなら、一発だ。一発で仕留めろ。」
男「……」
姉「打楽器は、そういうパートだ。おやすみ」ギーッ
男「一発……」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:46:53 ID:XNYi9y9c
ーー
ーーーーーー
----------------------
---------------------------------------------------------------------2005- Counter-clockwise
ピヒー ポペー キーキーキー
男「……」
先輩「今日は、あんまりうまくいかなかったねー」
男「姉t……先輩。」
先輩「なんだか、迷ってない?」
男「はい……まだ初めて時間がたってないですし」
先輩「うーん。そういうことだけ、じゃ無いと思うなー。」
男「……」
先輩「シンバルもグランカッサ……ええと、大太鼓も。もちろんティンパニもね?
一発。それだけなの。」
男「一発……?」
先輩「そう。誰もが欲しいポイントに、欲しい音一発。迷ってる暇なんてないんだよー。一発勝負!」
男「……一発。」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 01:47:11 ID:XNYi9y9c
先輩「どのセクションでも、本当はそうなんだけどね。君のポジションは、一番わかり易いんだ。
ま、なにはともあれ、大気は晩成すっていうでしょ?」
男「はぁ」
先輩「だから、目指す一発まで、策をろうしてがんばってみてね!」タッタッタッ
男「……はぁ(え…さく?)」
姉「よし、ではもう一度通して今日は終わりとする」
男 (一発、勝負。)
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:00:30 ID:XNYi9y9c
先輩「帰り道、あっちだったっけ?」
男「そうだけd……そうですが?」
先輩「アハハッ いいのいいの、言い直さなくて。細かいことは気にしないから」
男「そうは行きませんよ。 そういえば、姉と仲がいいですものね」
先輩「帰り道?そうねー。でも最初はそうでもなかったのよー?」
男「あー、そうだったんですか」
先輩「吹奏楽部の演奏を聞くなり、「こんな所じゃなくもっと輝ける舞台がある」ってねー。
当時はあったまきちゃってー!その日はもう、怒鳴り付けちゃったっ☆」
男「へ、へー……(☆……」
先輩「でもねー、姉ちゃんの言うこともうすうすわかってたの。
同じ畑同士でやりやうだけじゃなくて、違う世界もあるんだなってこと。」
先輩「まー、いいじゃんいいじゃん!ちょっと寄り道していこう?」
男「え、ちょっと……」
先輩「ほらー、こっちこっちーー!!」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:03:35 ID:XNYi9y9c
ハーッハーッ
先輩「こ、こ!ここよ!」
男「先輩?息、切れてますよ?」
先輩「ちょ、ちょっと!ちょっとだけ、まって、ね」フーッ フーッ フゥ
先輩「ここの景色が、凄くいいの」
男「わぁ……」
先輩「うん。 どうかな?」
男「すごい……すごいですね」
先輩「でしょ?この時間でないと、ここまでは見れないんだよ!」
男「……もうすぐ、日が沈みますね……」
先輩「……その顔なら、大丈夫だね」///
男「……はい?」
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:03:48 ID:XNYi9y9c
先輩「何でもないよ! ホントはねー、ここの桜が咲くと綺麗なんだよねー」
男「そう、なんですか」
先輩「でもそれはーー、お預け!
門限の電車まであと10分しかないんだ、急いで!」ギュッ
男「え?え?」
先輩「さー、駆け下りるぞ-!」ダダダダダー
男「あー、先輩ーー!」
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:04:48 ID:XNYi9y9c
---------------------------------------------------------------------2009- Clockwise
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ーーーーーー
ーー
キーンコーンカーンコーン ザワザワザワ
先輩「あー、終わっちゃったなー」
姉「そうだな……」
先輩「高校生活、終わっちゃったよー……」
姉「桜……卒業式に間に合ったな」チラッ
先輩「そう、そうね……」
姉「部の顧問に、一言いってくる」クルッ
先輩「あれ?さっき言ったじゃない」
姉「言い忘れだ、ちょっと時間潰しててくれ」タッタッタッ
先輩「あっ!……もぅ。」
タッタッタッ
男「先輩!」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:05:05 ID:XNYi9y9c
先輩「あー!どうしたの?」
男「先輩。卒業、おめでとうございます」
先輩「ありがとうございます、ついにここともお別れかー」
男「……そう、ですね」
先輩「君も、ついに先輩になるんだよ。まだ見ぬ後輩を、よろしくね?」
男「はい……」
先輩「……よしっ!ならばよし、だよ!」ウルッ
男「……先輩」
先輩「……なあに?」
男「先輩。どうしても、聞きたかったことがあります」
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:05:44 ID:XNYi9y9c
先輩「……どうしたのー?」
男「…先輩、大学では楽器を吹かないそうですね」
先輩「……ははっ。やっぱり。それ姉ちゃんからかな」
男「無理やり、聞き出しました。
なぜか、聞いていいですか?」
先輩「あっはは……」
先輩「…………私、最初はね。この子とどこまでやれるかなーって思ってたの。
せっかく、出会った縁だったし。好きだったからね」
先輩「だけど、この先の世界ってさー。厳しいみたいなんだ。」
先輩「お金も、実力も。それにね?そういう道って、
周りによく思われないんだってー」
先輩「いろんな人にね……相談したんだ。それで、そんなに難しいんだなーって。
思い知っちゃった。」
男「……」
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:05:56 ID:XNYi9y9c
先輩「でもね、人間は考える葦であるっていうじゃない?」
先輩「だめだーって、おもっててもしょうがないや。
曲がっても、踏まれても。しなやかにいこーっ!って考えたの」
先輩「これが、私のけじめなの。これが…………」ウルッ…
男「……そこからパスカルは、ちょっと無理がありましたね」
先輩「んもーー!!すぐそうやってーー!」
男「先輩?」
先輩「なによっ!」ジワッ
40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:06:17 ID:XNYi9y9c
男「先輩にとっての楽器のけじめ、伝わりましたよ」
先輩「男君……」
男「だから、1月からも練習見に来てくれたん、ですよね?最後まで、見届けてからって」
先輩「ん……」コクッ
男「でも……」
男「でも、先輩の残した芽。ここに残った芽は、まだ開いてないんです。」
先輩「……芽?」
男「残念ながら、俺の芽は大器晩成ですから。
来年、再来年。聴きに戻ってきてください。」
男「いつか、けじめを後悔させる一発。聞かせますから。」
男「そしたら……」
41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:09:12 ID:XNYi9y9c
---------------------------------------------------------------------2011- Clockwise
----------------------
ーーーーーー
ーー
パチパチパチパチ パチパチパチパチ
姉「ついに、男の最後の晴れ舞台、か。」
先輩「そうねー。ほんとに、時間ってたつのがはやいんだから」
姉「それ、いつも言っているが。時間がたってる割に男の一人でも引っ掛けられたんじゃないか?」
先輩「あーー!姉ちゃんがそれ言うー!?」
姉「言った者勝ち、とはよく言ったものだろう?」
先輩「もぅー……あ、はじまるよ……」
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:10:44 ID:XNYi9y9c
パチパチパチパチパチパチブラボーパチパチ
姉「あいつも……、やるようになったな……」
先輩「うぅ……うーっ!」ズビー ジュル
姉「おい、いつまで泣いてるんだ」
先輩「おど、おどごぐん……」ズビズビー
姉「まったく……」
先輩「ぞういうあねぢゃんも……ないでるじゃない……」フキッフキッ ジュル
姉「いや…………そうだな」 ウルッ
先輩「……いごう、いがなぎゃ。あねぢゃん」ズビー ズルッ
姉「流行る気持ちはわかるが……」
先輩「え……」
姉「もうちょっと、マシな顔して行け」フキフキ
先輩「もぅ……なんでしってるかな……」
姉「そりゃ、姉だからな(いずれはお前の)」
姉「とにかくいってこい。せっかく姉までつかってけしかけたんだからな」
先輩「……うん!」
43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:11:11 ID:XNYi9y9c
ハーッ ハーッ
先輩「い、いたー!」
男「お久しぶりです」
先輩「も、もぅ。よりに、よって、こんなところで、なくとも……」フーッ フーッ フゥ
男「いいえ、ここでないとだめなんです」
先輩「そう、なの?」 オチツイター
男「だって、ワンコインで来れるんですよ?」
先輩「そう……そうね」
男「それに。以前言っていた。桜の木、咲き始めてますよね」
先輩「あー、そんな季節だもんね」
男「先輩……?俺の高校最後の一発。どうでした?」
先輩「……男君」
男「客席で大泣きしてるの、舞台からもわかりましたよ?」
先輩「……そういうところ、変わってないなぁ」
男「性分、ですからね」
44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:11:57 ID:XNYi9y9c
先輩「……正直ね。」
先輩「……悔しかったよ。」
先輩「あんなに凄かったのに、私は一緒に座ってないんだもん……」
先輩「あんなに凄かったのに……楽器の道、目指さないんだね……」
男「嫉妬、しました?」
先輩「……」
男「先輩?」
先輩「ぅー…… した!したよ!したにきまってるでしょ!」
男「これならまた。
先輩のクラリネット。聞けますね」
先輩「……ぅー。あんなに上手いの、卑怯だよー……。」
先輩「わかった、わかったよー。……でも、ブランクあるし。期待はしないでね?」
男「いいえ。ずっと期待してたんですから。それは聞いてあげられません」
先輩「……なんか、男君意地悪くなった?」
男「なんででしょうね?先輩」
45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:13:20 ID:XNYi9y9c
男「そうそう、もう一つ。覚えてます?」
先輩「えっと……えと………………うん」
男「もう、日が沈んじゃいました」
男「月が、綺麗ですね。女さん」
先輩「男…君。」
男「5年もたって、初めて呼びました」
女先輩「……そう、かもね。ビックリしちゃった。よく、覚えてたね?」
男「姉が紹介した時から、ずっと隠してた一発です。
それで、答えを聞いてもいいですか?」
女先輩「……こ、答え?」
男「そう そう、せき にんも、とらせてくださいね」
女先輩「バカ……バカー-!私のセリフよくもとったなー!!!!
それに、それに2年も待たせてーーー!!」ギュッ
男「おまたせ、しました」ギュッ
46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/11(水) 02:13:52 ID:XNYi9y9c
女先輩「……こんなわかりにくい女で、いいの?」
男「だから、いいんですよ」
男「女さん」チュッ
女先輩「チュッ……もう……こういうところ、変わって、ないよね///」
おわり
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