1 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:41:19 ID:7D3egraA
幼「なっちゃった…」
男「いやだっ!」
幼「だって、お父さんの転勤なんだから、仕方ないじゃん!」
男「い、行かないでよ、幼ちゃん!」
幼「もう決まった事なんだから…」
男「いやだ!いやだ!」
幼「わ、わたしだって、行きたくないよっ!」
幼「男くんと、離れたくないよ!」
男・幼「うわーーーーーーーん!」
2 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:41:49 ID:7D3egraA
・
・
男「僕、幼ちゃんとお別れしたくない!」
幼「わたしも、男くんとずっと一緒がいい!」
幼「でも、すっごく遠くに引っ越すって…」
男「いつ?いつ引っ越すの?」
幼「夏休みに入ったらすぐだって…」
3 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:43:01 ID:7D3egraA
男「…二人で逃げよう!」
幼「逃げる?」
男「どこか、遠くに…」
幼「…どこに?」
男「…」
幼「…」
男「そうだ!僕のおばあちゃんの家なら!」
幼「男くんのおばあちゃん?」
4 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:43:34 ID:7D3egraA
男「おばあちゃんはすっごく優しいんだ!」
男「絶対、黙っててくれるよ!」
幼「どうやってそこまで行くの?」
男「大丈夫!電車の乗り方はわかるし」
男「行き方は覚えてるし」
男「お金も、貯金箱にある!」
男「行こう!幼ちゃん!」
幼「…うん!」
5 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:44:24 ID:7D3egraA
・
・
・
婆さん「ごめんね、男ちゃん…」
男「おばあちゃんの嘘つき!」
男父「母ちゃん、電話くれてありがとう」
男父「まさかこいつがこんな事するなんて思ってなくて」
男父「警察に捜索願出す所だったんだ」
6 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:45:01 ID:7D3egraA
男父「さ、帰ろう。二人とも」
男父「幼ちゃん。お父さんとお母さんが待ってるよ」
男「父ちゃん!僕は帰らないよ!」
男父「男!いい加減にしないか!」
男「いやだっ!僕、幼ちゃんとお別れしたくないよっ!」
幼「…男くん。もういいよ…」
男「幼ちゃん?」
7 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:45:43 ID:7D3egraA
幼「やっぱり無理なんだよ…」
男「いやだーーー!」
幼「わ、わたしだっていやだよ!」
男・幼「うぅ…うわーーーーーん!」
男父「…困ったな」
男父「とりあえず、幼ちゃんのお父さんに電話しよう」
男・幼「うわーーーーん!」
8 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:46:31 ID:7D3egraA
・
・
男父「母ちゃん、あの二人今日ここに泊めてもらってもいいかな?」
婆さん「私は構わないけど…大丈夫なのかい?」
男父「あぁ。今、幼ちゃんのお父さんと電話で話した」
男父「小さい二人には辛い事だから、ちょこっとだけ時間を、な」
婆さん「二人、同じ部屋で良いよね?」
男父「あぁ、その方が良いかな。いっぱい話しをさせてやりたいし」
9 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:47:38 ID:7D3egraA
・
・
男父「あー、二人とも聞いてくれ」
男・幼「…」
男父「幼ちゃん、引越しの出発は明日にするそうだよ」
男父「とりあえず、二人は今日ここに泊まる事になった」
男「…」
幼「…すみません、おじさん」
10 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:48:16 ID:7D3egraA
男父「明日の朝には迎えに来るから、ちゃんと家に帰るんだぞ?」
男「いやだ…うぅ…」
男父「男、これ以上わがままを言うな」
男父「幼ちゃんが一番辛いんだぞ?」
男父「お前がそんなにメソメソしてどうする!」
幼「…」
男「…」
11 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:49:31 ID:7D3egraA
男父「今日は二人、同じ部屋で寝なさい」
幼「え?」
男父「二人でたくさん話しをすると良い」
男父「男、ちゃんと話しをするんだぞ?」
男「…うん」
・
・
幼「ねぇ、男くん」
男「なぁに?」
12 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:50:19 ID:7D3egraA
幼「わたしね、男くんの事が大好き!」
男「ぼ、僕も幼ちゃんの事が好きだよ!大好き!」
幼「明日でお別れだけど…だけどね…」
幼「大人になったら…」
幼「わたしの事、迎えに来てくれる?」
男「迎え?」
13 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:51:04 ID:7D3egraA
幼「結婚して…お父さんとお母さんみたいに…」
幼「いつまでも一緒に居てくれる?」
男「行くよ!僕、必ず幼ちゃんを迎えに行く!」
男「今は子供だから無理だけど…」
男「絶対、幼ちゃんを迎えに行くから!」
男「その時は…僕のお嫁さんになってくれる?」
幼「…うん!わたしを男くんのお嫁さんにして下さい!」
14 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:51:51 ID:7D3egraA
幼「約束だよ?」
男「うん!」
男「必ず…迎えに行くから!」
幼「じゃあ、約束ね…」
男「え?」
チュッ
男「!」
15 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:52:42 ID:7D3egraA
幼「私のファーストキス」
男「僕もファーストキスだけど…」
幼「忘れないでね?」
男「絶対に忘れない!」
幼「…」
男「…」
幼「…ね」
男「なあに?」
16 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:53:28 ID:7D3egraA
幼「男くんの布団に入ってもいい?」
男「…うん」
モゾモゾ
幼「手、繋いでいい?」
男「うん」
ギュッ
幼「あったかいね…」
男「うん…」
幼「…男くん、大好きだよ…」
男「僕も、幼ちゃんの事、大好きだよ…」
17 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:54:09 ID:7D3egraA
・
・
・
幼「なーんて事があったよね?」
男「んあー、照れくさい!懐かしい話しだな、おい」
幼「えへへー、照れてる照れてる」
幼「その顔が見たかった!」
男「…あの頃は若かったな」
18 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:54:56 ID:7D3egraA
幼「今だって若いじゃない。まだ18歳なんだから」
男「まぁ、若いっちゃ若いけどさー」
幼「あの時の男の行動力は、今考えても凄いよね」
男「子供2人で電車乗り継いで、婆ちゃんの家まで…か」
男「我ながら、怖いもの知らずだったなー」
幼「小4のちびっこが出来る事じゃないわよねぇ」
男「まさか、幼が3年でこっちに戻ってくるとは」
男「夢にも思ってなかったからさー」
男「必死だったんだよ」
19 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:56:03 ID:7D3egraA
幼「えへへ。お互い子供だったよねぇ」
男「ところで、何で今さらそんな話しをする?」
幼「いやぁ。今朝、夢で見ちゃってさー」
男「夢、ねぇ」
幼「あ、所でさ、男」
男「何だよ?」
幼「私ね…」
20 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:57:11 ID:7D3egraA
幼「今度引っ越す事に…」
男「…」
男「え?マジで?」
幼「マジです」
男「だ、だって…大学はどうするの?」
男「せっかく同じ大学に通う為に、必死に勉強してるのに」
幼「…」
21 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:57:54 ID:7D3egraA
男「それに、さっきの話しじゃないけどさ」
男「…や、約束は?」
幼「仕方ない事なんだよ、男…」
男「い、嫌だっ!」
幼「男…」
男「俺、幼の事…大好きなんだ!」
男「行かないでくれよ、幼!」
22 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:58:35 ID:7D3egraA
男「もう…あんな気持ちになるのは嫌だっ!」
男「どこかに引っ越すってんなら、俺もついてくぞ!」
男「ガキだったあの頃とは違うぞ?」
男「…幼が俺の事嫌いって言うなら…諦める、けど…」
男「でも、そうじゃないなら!」
幼「…嬉しいよ、男。決まってるじゃんか」
ギュッ
男「なっ?」
23 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 19:59:37 ID:7D3egraA
幼「ごめんね、試すような事言って」
幼「でもやっと男の気持ちが聞けた…」
幼「あの時、男のおばあちゃんの家でした約束」
幼「ちゃんと守ってくれるんだよね?」
男「もちろん守る気満々だ!」
幼「私がこの町に戻ってきてからさ」
幼「また仲良く遊ぶようになったけどさ…」
24 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:00:19 ID:7D3egraA
幼「男の口から『付き合おう』とか」
幼「『好きだ!』とか、聞けなかったからさ」
幼「私、不安だったんだー」
幼「それこそ、あの約束の事、忘れちゃってるんじゃないか…って」
男「俺はあの時の約束を、一瞬も忘れた事は無いぞ?」
男「…まぁ、照れくさくて、口には出さなかったけどさ」
25 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:01:14 ID:7D3egraA
幼「…ね、男もギュってして?」
男「おう」
ギュッ
幼「約束、ね?」
幼「ずっと一緒に、居てね?」
男「ずっと一緒に、居るぞ!」
男「だから、ついていくぞ?」
26 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:01:54 ID:7D3egraA
男「どこに引っ越すんだ?」
男「またおじさんの転勤か?」
幼「えへへ。実は引っ越すのは私だけなんだー」
男「は?」
幼「あの家から出ようと思ってるんだ、私」
男「え?どう言う事?」
男「出ようと思ってるって…決定じゃないの?」
27 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:02:43 ID:7D3egraA
幼「まだ住む場所、決めてないよ」
幼「今から探すんだから」
男「え?え?マジでどう言う事?」
幼「鈍感だなぁ、男は」
男「はぁ、まあ鈍感なのは自覚してるけどさ」
幼「一緒に住もうよ、私達」
男「は?」
28 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:03:30 ID:7D3egraA
幼「私達の実家からあの大学までって結構遠いじゃない?」
男「…まぁそこそこ遠いな」
幼「大学まで10駅なのが、2駅くらいになったらさ」
幼「一緒に居られる時間が増えるじゃない?」
男「…」
幼「…嫌なの?」
男「いやぁ、幼はやっぱ凄いなぁと思って」
29 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:04:23 ID:7D3egraA
幼「そう?」
男「俺に出来ない事を平然とやってのける」
男「そこにシビレる、アコガレるゥ!」
幼「意味わかんないけど、とにかくOKって事でいいよね?」
男「おう!いいですとも!」
幼「じゃあ早速不動産屋へGO!」
男「え?今から!?」
30 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:05:03 ID:7D3egraA
幼「思い立ったが吉日って言うじゃん!」
幼「実はもう何件かアタリはつけてあるんだよね!」
男「今日のお出かけって、そう言う事なのな?」
幼「ソユコトー」
男「…やっぱ幼、凄いや」
31 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:05:48 ID:7D3egraA
・
・
・
男「幼、俺の番号あった?」
幼「あったよ。私のは?」
男「おう、ちゃんとあったぞ!」
幼「ふぅ…まぁ自信はあったけどさ」
32 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:06:35 ID:7D3egraA
男「何が起こるかわからない、それが野球だもんな?」
幼「野球関係ないでしょ」
男「いやぁ、それにしてもこれで肩の荷が一つ、おりたなー」
幼「そうだねー。とりあえず、一つだね」
男「アパート、押さえておいて良かったなー」
幼「だよねー。この大学まで徒歩5分だもんね」
男「バイトもこの近くで探そうぜ」
幼「そうだねー」
33 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:07:18 ID:7D3egraA
幼「んじゃ、このまま不動産屋に行って、本契約してこよう!」
男「だな。準備も出来てるし」
幼「…始まるね、いよいよ」
男「ん?」
幼「二人での生活」
男「そうだな」
34 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/17(火) 20:07:54 ID:7D3egraA
幼「ね、ウチの両親も、男の両親も認めてくれてるしさ」
幼「もういっそ入籍とかしちゃう?」
男「んー。それはなー」
幼「嫌なの?」
男「俺がちゃんと社会人になってから、改めてプロポーズしたい」
幼「!」
男「それまで待っててくれよ、幼」
幼「…うん。待ってるよ、男」
幼「約束、ね?」
チュッ
おわり
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