3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:23:29.15 ID:+E11YXXm0

─堤防


提督「……」ボー


金剛「ヘーイ!テートクゥー!」


提督「うわっ!?なんだ…金剛か」


金剛「ナニしてるんデスカー?」


提督「え、ああ…釣りだよ」


金剛「フィッシング!楽しいデスか?」


提督「まぁね、釣れないけど」


金剛「ワタシも御一緒してイイデスか?」


提督「え…やだ…金剛うるさいし」


金剛「なっ!酷過ぎマース!ワタシに対シテ!」


提督「事実じゃん…」


金剛「良い雰囲気になった所でテートクに告白しようと思ったノニー」


提督「またそれか…何十回目だよ…」


金剛「こんなにテートクの事を愛シテ止まないというノニ…」


提督「はいはい」デコピーン


金剛「ぎゃんっ」

引用元: 金剛「ココに居たんデスネ…」提督「…金剛か」 

 

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:25:47.88 ID:+E11YXXm0





─執務室


提督「もう、春だなー…」


金剛「デスネー」


提督「春は、出会いの季節とも言うし別れの季節とも言う」


金剛「新しく入ってくる艦娘達が楽しみデスネ」


提督「…そうだな」


金剛「それに春と言えば…新しい事にチャレンジしてみたくもなりマース」


提督「あー確かに、新しい事に挑戦する季節でもあるもんな」


提督「金剛は何したい?」


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:28:53.26 ID:+E11YXXm0


金剛「ソウデスネ~…」


金剛「ン~…」


提督「まぁいざ考えるとパッとは出てこないもんだよな」


金剛「お嫁サン?」


提督「…え?なんだって?」


金剛「だから~!テートクとケッコンする事デース!」


提督「あ、そうなの」


金剛「エー!段々反応が薄くなってきましたネー!」


提督「懲りないね金剛も」


金剛「エヘヘ~」


提督「褒めてないし」


金剛「…テートクは何かしたい事あるんデス?」


提督「そうだなぁ…」


提督「…新しい海域の解放…とか?」


金剛「真面目デスカ!」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:31:30.85 ID:+E11YXXm0


提督「そんな…」


提督「まぁ半分くらいは嘘だけど、旅行とかしたいね」


金剛「旅行デスか!イイデスネー!北の方に行ってみたいデース!」


提督「え、何で金剛と行く事になってんの」


金剛「酷い!連れてって下さいヨー!」


提督「考えておこう」


金剛「モー!」プンスカ


提督「それにしたって…ポカポカしてて…散歩でもしたくなるな」


金剛「ワタシはいつも提督の事を考えてるからポカポカしてマース」テレテレ


提督「さて、仕事仕事…」


金剛「エー!そこは反応シテ下サイヨー!」


提督「金剛、うるさい」デコピーン!!


金剛「ぎゃんっ」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:33:12.49 ID:+E11YXXm0





─執務室


提督「…っつい…くそ暑い…」


金剛「デース…」


提督「れ、冷房…冷房…あ…壊れてるんだった…」


金剛「コノ時期に壊れるとは…信じられないデース…」


提督「ぐぅ暑い…暑すぎる…」


金剛「テートク直せないんデースか…」


提督「無理だ…それに明石や夕張は今日は帰らん…」


金剛「オーゥ…」


コンコン


提督「どうぞぉ~…」


吹雪「失礼しまーす…ってうわっ!この部屋暑い!どうしたんですか!?」


提督「へへへ…気が付いてしまったか…精神を鍛えてるんだよ…」


吹雪「えぇ…」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:36:54.75 ID:+E11YXXm0


金剛「何言ってるんデスか…クーラーが…壊れてしまっているのデース…」


吹雪「ああ…それで…」


提督「それで…吹雪…どうしたんだ…」


吹雪「ああえっと…スイカの差し入れなんですけど…」


提督「最高かよ…」


金剛「今ワタシには…ブッキーが天使に見えマース」


吹雪「お二人とも……そ、そうだ!仕事が済んだら皆で海に行きましょう!」


提督「その手があったか…」


金剛「大賛成デース…」


吹雪「私、皆を誘ってきますね!そのスイカ食べてお仕事頑張ってください!それでは!」


提督「へへ…海か…楽しみだなぁ…」


金剛「何考えてるんデスか…」


提督「何ってお前…海だよ…」


金剛「ワタシにはわかりマース…水着が目当てデショウ」


提督「…違うし、そんなんじゃないし…」


金剛「ワタシの…」


提督「……」デコピーン!


金剛「ぎゃんっ」


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:39:54.84 ID:+E11YXXm0





─提督自室


提督「……」ペラ


バンッ


金剛「ヘイ!テートクゥ!」


提督「……」ペラ


金剛「無視しないで下サーイ!」


提督「…今読書中だから、静かに」


金剛「読書とワタシどっちが大事なんデスカー!」


提督「読書」


金剛「即答!薄々わかっては居ましたケド!」


提督「で、何の用だ?」


金剛「イエス!えっとデスネ、皆さんでBBQするのでテートクも一緒にと思いまシテ」


提督「おー、バーベキューか!良いな!行くぞ行くぞ」


金剛「イエス!決まりデース!」


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:44:32.14 ID:+E11YXXm0





─広場



天龍「オラオラオラァ~!」シュバババ


吹雪「お~!天龍さん凄~い!私はそんなに早く刺せないや~…」サクサク


天龍「へへっ慣れだよこんなもん!」シュババ


提督「肉ばっか刺してんじゃねーよ」ゴツン


天龍「ってぇ!何すんだ提督!」


提督「何で野菜刺して無いの、偏っちゃうだろ」


天龍「俺は肉が好きなんだ!野菜なんて食わねーぞ!」


提督「ほぉ~…だからそんなにデカイのかぁ~?」ジロジロ ワキワキ


天龍「なっ!?ど、どこ見てんだ変態!その手つきやめやがれ!」バッ


提督「だったらちゃんと野菜も刺せよ?」


天龍「ぐぅ…わ、わかったよ…!」


提督「よし…」サクサク


金剛「~♪」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:47:21.46 ID:+E11YXXm0


提督「…ん?機嫌良さそうだな金剛?」


提督(というか、いつの間に隣に居たんだ)


金剛「え、そう見えマス?」


提督「まぁ見えたけど…」


金剛「フフ、何でデショウネ♪」


提督「変な奴」


金剛「なっ!だからそういう事は言うんじゃないデース!」ムキー



13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:52:22.43 ID:+E11YXXm0


ジュー ジュー




天龍「おー、いい匂いじゃねぇか!」


吹雪「美味しそう~!」


金剛「はい、テートク~!アーン!」


提督「え、やだ」


金剛「エー!?女の子からアーンして貰えるんデスヨ!」


提督「別に金剛じゃなくても」


金剛「ワタシくらいしかやってあげないデスヨ!」


提督「初耳だ」


金剛「むぅ…」シュン


提督「あ…」


提督「し、仕方ないな…ほら金剛」


金剛「…ハイ?」


提督「…」アーン


金剛「…!!はい、アーン…」


提督「モグ……お、これは美味いな!」モグモグ


金剛「エヘヘ…はい、アーン…」


提督「2度目は無い」デコピーーン


金剛「ぎゃんっ」



14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 02:57:49.59 ID:+E11YXXm0





─執務室



提督「あーさむさむ…はー」


金剛「…も、もーすぐ…クリスマスデース」


提督「あー…そうだな。まぁ…いつもと変わらないけどな」


提督「仕事して、寝て終わりだ」


金剛「あ…あのデスネ…」


提督「どうした?」


金剛「こ…今年ハ…その…テ、テートクと一緒に…」


提督「うん」


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:02:50.81 ID:+E11YXXm0


金剛「す…過ご…」


提督「うん」




金剛「スゴロクしたいデス!」




提督「え、スゴロク…?まぁ…別にいいけど」


金剛「え、その…あぅ…アリガトウ、ゴザイマス……」


金剛(間違えたァァァァ!)


提督「何で落ち込んでるんだ?」


金剛「イエ、別に…」


提督「そうか。駆逐艦の子達と遊ぶ用にあったと思うんだよなー、探しておくよ」


金剛「…オネガイシマスゥゥ…」


提督(…何だ何だ)


金剛(まぁデモ…一緒に過ごせる事には変わりありマセン…結果オーライデース)

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:07:02.05 ID:+E11YXXm0





─提督自室


コロコロ


提督「あ、一マス足りねー!」


金剛「ワタシの番デース!」


コロコロ


提督「あ!」


金剛「イエース!ワタシの勝ちデース!」


提督「あちゃぁ~、負けちまったか~。あと一マスだったのに…」


金剛「エヘヘー、思ったより楽しかったデスネ」


提督「そうだな、久々にやってみると面白いもんだ」


提督「…ってもう結構良い時間だな、金剛そろそろ戻れよ」


金剛「エー!テートクはワタシと一緒に居たくないんデスカー!?」


提督「仕事終わってからずっと同じ部屋に居るじゃん、飯も食ったし遊んだし、十分だろ」


金剛「そ、そんな…ずっとだナンテ…」テレテレ


提督「照れる所ないけど」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:17:55.94 ID:+E11YXXm0


金剛「残念デスガ!今日の所は退いてあげマース!」


提督「宜しい」


金剛「それじゃテートク!オヤスミデース!」


提督「あ、待て金剛」


金剛「?」


提督「えーとだな…」


提督「…今日はありがとう」


金剛「えっ」


提督「お礼と言っちゃ何だが…」ゴソゴソ


提督「これ」スッ


金剛「…コレハ……」


提督「俗に言うクリスマスプレゼントってやつだな、気に入ってくれると良いんだが」


金剛「テートク…」


金剛「アリガトウ、ゴザイマスゥ」ニヘー


提督「…!ま、まぁ好みとか知らないから適当になっちまったけど…」


金剛「ワタシは、テートクから貰えれば何でも嬉しいデース!」


提督「そうか…そりゃ助かる」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:24:17.72 ID:+E11YXXm0


提督「…ところで、俺にはないの?プレゼント」


金剛「えっ!?」


提督「無いのか…」


金剛「や!あ、あるにはあるんデスガ…!」


提督「ほんとに?」


金剛「で、でもその…チョット失敗したとイウカ…その…」


提督「どれ?見せて見せて」


金剛「あ…ハイ……コレ…」スッ


提督「おっ、マフラーじゃん。……長ッ!」


金剛「む、夢中になり過ぎてデスネ…!その…使いにくいデスヨネ…」


提督「まぁ一人で使うには余り過ぎるなこれは…」


金剛「デスヨネ…やっぱり…」シュン


提督「でも」スッ


金剛「え…」

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:29:31.52 ID:+E11YXXm0


提督「こういう風に2人で使うってんなら、丁度良いかもな」


金剛「テ、テートク…」ドキドキ


提督「ありがとうな、金剛」


提督「大事に使わせてもらうよ、これ」


金剛「…ハイ」


金剛「…ネー……テートク?」


提督「ん?」


金剛「大好きデス」ニコ


提督「…全く……飽きないなお前も」


提督「早く寝ろよ」デコピン


金剛「…ハイ」オデコサスサス


バタン


提督「……まぁ…人の事言えねー…か、俺も」


提督「…!……くっ!」ギュッ



21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:33:32.19 ID:+E11YXXm0





─神社への道中



提督「ひ、ひぃぃぃさぶい…」


金剛「まだ冬デスからネー」


提督「は、初詣行くのやめようぜ…さみぃ…」


金剛「ダメデース!ちゃんと行ってこの一年の幸せを祈願するデース!」


提督「俺そういうの信じてない性質なんだよなぁ…」


提督「て…ていうか金剛寒くないの、着物じゃん」


金剛「寒いデスヨ!ワタシも耐えてるんデス!だからテートクも耐えるんデース!」


提督「横暴だぁぁ~…」


金剛「それより!ワタシに対して何か言う事無いんデスカ!?」


提督「は…?」


金剛「いつもと違う服を着ているんデスヨ!」


提督「あ、あ~……良い着物だな!」


金剛「ソコじゃなくて!」


提督「え…違うの…」

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:37:13.16 ID:+E11YXXm0


金剛「ワザトやってるんデスカ?テートクは」


提督「そりゃそうだ」


金剛「性質が悪いデース!」


提督「ははは…まぁ冗談はさて置き、似合ってるよ金剛」


金剛「…!エヘヘ…急に言われると恥ずかしいデース…」ニヘー


金剛「これ、鳳翔に着付けて貰ったんデスヨ」クルクル


提督「ほー、そうなんだ」


提督「まぁ冗談──」


金剛「え…」ガーン


提督「…冗談だ」


金剛「性質悪いデース!」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:38:23.08 ID:+E11YXXm0




─境内


ガランガラン パンパン


提督「……よし」


金剛「……イエース」


提督「さてと…どうする?このまま帰るか?それともどっか寄るか?」


金剛「おみくじ引きマショー!」


提督「おお良いな、引こう引こう」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:45:33.39 ID:+E11YXXm0




─おみくじ処



提督「さてさて……何が出るかなぁ…」


金剛「イエース!見て下サイ!大吉デース!」


提督「おおまじか!俺は…」


金剛「どうデース?」


提督「…凶だ、ついてねぇなぁ」


金剛「普段ワタシに冷たいからデース!罰が当たりましたネ!」


提督「そんな事ないのに!」


提督「まぁ……とりあえず結んでおくか」


金剛「イエース!」





金剛「…ここを…こうして…出来マシタ!」


提督「お、ちゃんと結び方知ってるんだな」


金剛「鳳翔に教えて貰いマシタ!」


提督「なるほどなー、流石鳳翔さん…あっ」ビリッ


金剛「あ…」


提督「あちゃぁ…破れちまったか、こりゃ縁起が悪そうだ」


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 03:48:35.60 ID:+E11YXXm0


金剛「大丈夫デース!」ギュ


提督「なっ!何故急に手を握る…」


金剛「ワタシの運勢をテートクに分けてあげマース!」ギュゥ


提督「金剛…」


金剛「…テートク…」


提督「そろそろマジで痛いから離してくれ…!」


金剛「エッ!ゴ、ゴメンナサイ!」


提督「く、砕けるかと思った…!ありがとうな金剛…気持ちだけ貰っておくよ」


金剛「でもでも…これではテートクに運勢を分けてあげられて無いデース!」


提督「いや十分だって、もう十分!」


金剛「あ…」


提督「な、何だ…?」


金剛「テートクゥ…」チュー


提督「え…何してんの金剛」


金剛「コッチの方が分けてあげられると思いマシテ…さぁ」チュー


提督「そう」デコピーーン


金剛「ぎゃんっ」


33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:24:50.68 ID:vwqStWOG0





─神社の帰路


提督「そういやさ」


金剛「ハイ?」


提督「何で大吉を結んだんだ?普通は持って帰る物だと思うんだけど…」


金剛「ア~……大吉って…全部が全部良い事が書いてある訳じゃないみたいデスネ」


提督「ん…まぁそうであってほしくない事も書かれてるかもなぁ……何か書いてあったのか?」


金剛「これはヤダ…ってものが一つだけありマシテ…だから結びマシタ」


提督「ふーん…そういうもんか」


金剛「そういうものデス」


金剛(……そうであってほしくはナイ事…)


金剛(例え他全てが良い事だとしても…ワタシは…)


金剛(【待人:来ず】……イヤデス…)


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:26:48.86 ID:vwqStWOG0




─執務室


バーン!!


金剛「ヘーイ!テートクゥ!」


金剛「…あれ……?テートク?」


金剛「居ない…デースか」


吹雪「…あれ?金剛さんどうかしましたか?」


金剛「ブッキー…テートクは何処に行ったか知りマセンかー?」


吹雪「あー司令官ですか、確か結構前に病院に行ったと…」


金剛「What!?何か病気なんデスか!?」


吹雪「や…!ただの風邪って聞きましたけど…!」


金剛「オー…風邪デスか…」


吹雪「最近は新しい海域解放の為に頑張ってましたし、大丈夫かなぁ…」


金剛「心配デース…」



35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:31:18.28 ID:vwqStWOG0


提督「…ん、何してんだお前達?」


金剛「テ、テートク!?大丈夫なんデスか!」


提督「おいおい大袈裟だな…大丈夫だよ」


吹雪「それなら良かったです~。では私はこれで」ペコ


提督「ああ、心配掛けたな。すまんすまん」


提督「で、何か用があったんじゃないのか?金剛」


金剛「イエース!今日は何の日か知ってマスかー!」


提督「チョコが貰える日だな」


金剛「イエス!ハイ!どうゾ!」


提督「お~…なんとも…凄く…お、大きいね…」


金剛「エヘヘ~…ワタシの愛情を表現してみマシタ」テレテレ


提督「あ~…こりゃ重くて持てないなぁ」


金剛「ソンナ!チョコなんデスからそんなに重くないデース!」


提督「そうか、金剛の愛情は軽いなぁ~」


金剛「モー!」ボカボカ


提督「いだっ!いだだっ!嘘です!有難く頂戴します!」


金剛「イエス!それでイイんデース!」


金剛「ンー!ホワイトデーが楽しみデスネー!」


提督「まぁ…返せたら良いんだがな」


金剛「エー!ちゃんと下サイヨー!」


提督「ああ…そうだな」


提督「というかチョコめっちゃ貰ったんだよ~、これ皆に返すのキツイ」


金剛「ワタシにはテートクの愛があればイイデスヨ」


提督「ほう、例えば?」


金剛「テートク自身とか」


提督「ふんっ」デコピン!


金剛「ぎゃんっ」


36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:36:29.35 ID:vwqStWOG0




─病院


医者「正直申し上げますと…よくここまで生きてこられましたね…」


提督「ははは…」


医者「…そして…非常に誠に申し上げにくいんですが…今の医学では…」


提督「まぁ…何となくそうなんじゃないかなって思ってました」


提督「自分の事は自分が良くわかって…わかってるつもりですから」


提督「だから…」


医者「申し訳ない…ただ一つ…余計なお世話ですが…」


提督「…何ですか?」


医者「もう貴方はいつ倒れてもおかしくありません」


医者「悔いは残さないで下さい、今出来る事で…やり残した事があるなら────


提督「ああ、大丈夫ですよ」








「…そんなの、無いですから」







37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:38:13.21 ID:vwqStWOG0



─執務室


提督「いやぁ~…疲れたなぁ…まじで」


金剛「オツカレサマデース」


提督「はぁ~…ホワイトデーってこんなに疲れるイベントじゃないでしょ~…」


金剛「律儀に返すテートクも流石デスネ」


提督「……まぁな」


金剛「テートク、その…えっと……」モジモジ


提督「ん……何モジモジしてんの」


金剛「ワ、ワタシまだ貰ってないデース……ナンチャッテ…」


提督「ああ、忘れてた」


金剛「な…!忘れてたって…!酷過ぎマース!」


38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:41:11.61 ID:vwqStWOG0


提督「嘘だよ、金剛のはちゃんとココにあるよ」


金剛「!」


金剛「テートクは焦らすのがホントに好きデスネ~…」


提督「好きな子はいじめたくなるだろ?」


金剛「えっ!?」


提督「冗談だ」


金剛「ソレハ冗談じゃなくて良いデスヨ!!」


提督「ほら、お返しだ」スッ


 カランカラン コロコロ…


金剛「ン…?何か机から落ちましたヨ?」


提督「あ…やべ」ボソッ


金剛「何デスか?これ?指輪みたいデスけど…」ヒョイッ


提督「さ、さぁ~?何だろうなぁ…俺も良く知らないなぁ…」アセアセ


39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:44:06.28 ID:vwqStWOG0


金剛「キレイデース…これもお返しデスか?」


提督「い、いや…!それは違う…!」


金剛「でも、よくワカラナイ物なんデスヨネ?」


提督「んェッホン!…ん~!とりあえずソレは返して…?」


金剛「むぅ…」


提督「こ、このクッキーで我慢してくれ!」


金剛「む~…仕方ないデスネ」


提督「うんうん!物分かりが良い子は好きだぞ~!」ナデナデ


金剛「…!えへへ…」ニヘー


提督(……こんな事でも、喜んでくれるんだよなぁ…)


提督「…なぁ……金剛はさ」ナデナデ


金剛「~♪…ハイ?」


提督「…ああいや…何でもない…」


金剛「エー!気になりマース!」


提督「何でもないの」デコピーン


金剛「ぎゃんっ」


40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:52:12.95 ID:vwqStWOG0




─執務室


提督「……春…か」


金剛「出会いと別れの季節デスネー!」


金剛「と言ってもテートクの指揮で轟沈もナシ!出会いしかありませんネ!」


提督「だな~」


提督(出会いと…別れ…か)


金剛「ン?……テートク?元気ナイデスカー?」


提督「考え事」


金剛「何か悩み事があるならワタシがイツデモ!」


提督「新しい海域について」


金剛「……ワタシには無理そうデスネ」


提督「だろう」


41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 21:55:16.69 ID:vwqStWOG0


金剛「それはさて置き、今年こそ」


提督「今年こそ?」


金剛「テートクとケッコンシマース!覚悟して下サイネー!」


提督「はっはっは   無理だな」


金剛「急にマジトーンにならナイデ!見てて下サイ!鈍感テートクでもワタシの魅力に気付かせてあげマース!そして後悔させマース!」


提督「後悔ねぇ……そりゃぁ楽しみだ」


金剛「イエス!」


提督「金剛……仮にさ」


金剛「ハイ?」


提督「仮の話な、もし俺がここから居なくなったら…どうする?」


金剛「どうして…そんな事を聞くんデスか?」


提督「興味本位だ」


金剛「ン~…そうデスネ…」


42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:02:21.97 ID:vwqStWOG0


金剛「もしソレがどうしようも無い事なら…ワタシは……テートクの意思を尊重シマス」


提督「そうか…」


提督「それは俺が居なくなっても平気って事かなぁ~?」


金剛「な!もしもの話デスヨネ!?テートクと離れるのは絶対にイヤデース!」


金剛「皆さんもきっと同じ気持ちネ!」


提督「へいへい、俺は艦娘に愛されて幸せ者だなぁ~」


金剛「モー…すぐ茶化す…」


金剛「でもデスネ……ワタシはテートクの事本当に…」


金剛「いえ…誰よりもテートクの事が」


   ああ…


金剛「大好きデスヨ」ニコ


   やめてくれ…


提督「……何度でも同じ事を言うな、金剛は」


金剛「何度だって言いマス!」



   そうやって何度も…



提督「…冷たくあしらってるのにねぇ~」


金剛「テートクからは温かさを感じマース!」



   お前に想い伝えられると…



金剛「愛情を感じマース!」



   俺は…



提督「そんなの…無いよ」


金剛「…アリマスヨ?」



   前に進めなくなる…



提督「……からかうな」デコピン


金剛「ぎゃんっ」


金剛(アレ…いつもより弱い…?)

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:04:29.31 ID:vwqStWOG0





─執務室


提督「うおぉ…結構掛かっちまったなぁ…」


提督「金剛先に帰らせないでもう少し手伝って貰えばよかった…」


提督「もう遅いし…俺も部屋戻って寝よ…」


ドクン


提督「…!」


ズキズキ


提督「ぐ…!ぐあっ…!」バタンッ


ズキズキ


提督「く、くっそ…!!がぁ…!」


スー


提督「ハァ…!ハァ…!…クソ…」


提督「今のは……結構…ヤバかったな…ハァ…ハァ…」


提督「ハァ~…こりゃ……本格的に…行動に移さないとな……」


提督「金剛……」


提督「………ごめんな」


44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:06:54.43 ID:vwqStWOG0




─海岸・夜


球磨「大車輪だクマ~!」ブンブン


天龍「オオオイ!花火振り回しながら走ってくんな!!」


提督「食らえ!マキビシ!」シュッ



シュルルルル パン!パパパパン!



天龍「ギャー!ただのネズミ花火だろが!!あぢっ!」


球磨「こっちにも被害が出たクマー!」


提督「まだまだ甘いな、天龍・球磨よ」


天龍「テ、テメェ…!」


球磨「もう怒ったクマ!」


天龍「こっちも仕返しだ!食らえ!」シュゥゥゥ


球磨「爆ぜるクマ!」シュゥゥゥ


提督「うわっ!ロケット花火かよ!あぶねっ!」


天龍「避けんじゃねぇ!」


提督「いや!それは無理!無理!」


球磨「逃げるかクマァ~!」


天龍「待てコラァァァ!」


45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:08:46.36 ID:vwqStWOG0






吹雪「…あっちは元気ですね~」


金剛「元気なテートクを見てると癒されマース…」ニヘヘ


吹雪「あはは…金剛さんて本当に司令官の事が好きなんですね」


金剛「イエース!気持ちなら誰にも負けないネー!」


吹雪「…でも、何で司令官は受け入れてくれないんですかね?」


吹雪「満更でもなさそうなのに…」


金剛「………ねぇブッキー…ワタシって…魅力がないデースか?」


吹雪「えぇ!?そんな事ないですよ!」


金剛「ホントに…?」


吹雪「本当です!私が男だったら絶対金剛さんお嫁さんにしますもん!」


金剛「そ、ソッカ…」


吹雪「自信持ってください!絶対司令官も振り向いてくれますから!」


金剛「……デスヨネ…!そうデスヨネ!」


吹雪「そうです!」


金剛「何だか今年こそイケル気がしてキマシタ!」


金剛「アリガトウネ!ブッキー!」


吹雪「いえいえ!」


46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:10:52.67 ID:vwqStWOG0





提督「はっ…はっ…」タッタッタ


吹雪「あ、おかえりなさい司令官」


金剛「オツカレサマデスヨー!」


提督「あいつら…本気で追い回しやがってぇ…」


吹雪「あはは、司令官だって同じ事してたじゃないですか」


提督「ぐぅ…その通りです…」


金剛「ヘイ!テートク!こっちで一緒に花火やりまショー!」


提督「あぁ…良いぞ」


吹雪「じゃあ私は球磨さん達と遊んで来ますね!後はお二人でごゆっくり!」


提督「お…?おう…」


金剛「アリガトウネー!ブッキー!」


提督「ん…?何故お礼?」


金剛「ブッキーは相談に乗ってくれたんデース」


47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:12:41.23 ID:vwqStWOG0


提督「お前が悩み事か?珍しい」


金剛「ワタシだって悩み事くらいありマスヨー!」


提督「ふ~ん…そっか」


提督「お、線香花火余ってんじゃん。これやろう」


金剛「風情がありマスネ!」


提督「意味わかってる?」


金剛「……」


提督「まぁ合ってるからいいか」


金剛「モー!なら突っ込まないで下サーイ!」


提督「悪い悪い…どれ…」


カチャッ 


提督「おーついたついた」


49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:14:34.21 ID:vwqStWOG0


金剛「火の玉が大きくなってきましたネ」


提督「この状態は蕾って言うんだよ」


金剛「ホーゥ…」


提督「んで…」


パチッ パチッ


提督「火花が少しずつ出て来たな、これを牡丹と言う」


金剛「オー…」


パチパチパチパチッ


金剛「強くなりましたネ!」


提督「この激しいのは松葉」


50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 22:19:56.88 ID:vwqStWOG0


パチッ…パチッ…


金剛「あ、弱くなってしまいマシタ…」


提督「これが散り菊」


提督「以上。線香花火の解説でした」


金剛「凄いデース!」


提督「無駄に覚えた知識がここで役に立つとは…」


提督「知ってるか?金剛」


金剛「ハイ?」


提督「線香花火って、火をつけた時に命が宿るんだ。そして消えたら…死ぬ」


提督「………線香花火の一生って…短いよな」


金剛「ソウデスネ……ちょっと悲しいデス…」


提督「コイツはさ、表情をコロコロ変えて、そして儚く消えて…それこそ人の人生のような…そんな気がするんだよね」


金剛「…デスカ……」


提督「まぁ……俺も線香花火みたいなもんか…」


金剛「…?どういう意味デスか?」


提督「さぁ…どういう意味だろうね」


提督「…あ」







提督「落ちた…」






57: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 00:59:19.63 ID:FjXVabkF0




─グラウンド


天龍「うぃ~~っし、笹竹はこんなもんでいいか?」


提督「お~良いじゃん」


球磨「見てないで手伝うクマ…」


提督「ほら、俺非力でさ」


天龍「男のクセによォ~…ったく…」


球磨「去年もおんなじ事言ってたクマ…」


提督「面目ない!」


提督「だが飾りつけは任せてくれ!」


球磨「それまでやらせてたらブチ切れるクマ」


提督「ひぃ、怖い怖い」


58: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:01:16.26 ID:FjXVabkF0





提督「んじゃ、天龍達が休憩してる間にパパッと終わらすぞ~」


金剛「イエース!」


吹雪「はい!」


提督「駆逐艦の子らに作って貰ったコレを飾ります!」ジャーン


提督「とりあえず確認な」


吹雪「は~い」


金剛「ワタシはまだ、良く覚えられてないデース…」


提督「まぁそうだろう、どれ…」


提督「紙衣に投網~…」


提督「巾着と屑籠~…」


提督「吹き流しとちょうちん…」


提督「千羽鶴と織姫と彦星…」


提督(……これは…今更だな)


金剛「…?ドウかしましたか?」


提督「いんや、何でもない」


提督「確認完了!それじゃ飾ろうか!」


金剛「イェース!」


59: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:03:02.96 ID:FjXVabkF0





提督「よーし、良い出来じゃないか」


吹雪「やったー!」


金剛「後は短冊に願い事書いて飾るデース!」


提督「だな。吹雪、皆を呼んできてくれるか?」


吹雪「わかりました~!」


天龍「…お、出来てんじゃん!やるじゃねーか!」


球磨「ご苦労だクマ!さてさて、今年は何をお願いしようかクマ~」


提督「色々大きくなるようお願いしておけ、色々とな」


球磨「これは喧嘩売ってると捉えて宜しいかクマ?」


提督「まっさかぁ…」


60: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:04:15.48 ID:FjXVabkF0

天龍「ある意味セクハラだよな」


提督「天龍は色々とデカイもんな」ジロ


天龍「だからその目つきやめろ!殴るぞ!」バキッ


提督「っでぇ!殴ってから言うなよ!」


提督「大体なぁ~…」


提督「俺は球磨の為を思ってだなぁ~…」


球磨「あ、キレたクマ。覚悟しろクマ」


提督「え、何で!?お、おい馬鹿…やm──」


61: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:06:15.32 ID:FjXVabkF0





提督「あ~いたたた…少しは手加減してくれよ…」トボトボ


金剛「ウーン…」


提督「お…金剛じゃん、どうした?」


金剛「ワァッ!急に後ろから声かけちゃノー!デース!」ビクッ


提督「そんな驚く事ないだろう…短冊はもう飾ったのか?」


金剛「まだデース、何にしようか迷ってしまってイテ…」


提督「去年とは違うんだ?」


金剛「それはヒミツデース!」


提督「あ、そう…」


金剛「興味無さそうデスネ!?もう……テートクは何をお願いするんデス?」


62: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:08:20.85 ID:FjXVabkF0


提督「ん、ひみつ」


金剛「むー」


提督「そう睨むなって……あ、そうだ金剛」


金剛「ハイ?」


提督「それ書き終わったらさ執務室…来てくれないか?」


金剛「…?ハイ、イイデスけど…」


提督「んじゃそゆことで、待ってるよ」


金剛「……」


金剛(も、ももも、もしかしてこれは…!!)


金剛(あのテートクが…!初めてお誘いしてくれマシタ!!)


金剛(こ、これは…期待してイイデスカー!?)


金剛(お、落ち着くデース!ワタシ!)


金剛(期待のしすぎは良くありマセン!!)


金剛(テートクの事デス!きっとまた冗談めいた話デース!)


金剛(ヤァ…!ドキドキが止まりマセン…!!)




提督(今日で…終わらせるんだ…)

63: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:14:16.19 ID:FjXVabkF0




─執務室


コンコン


提督「どうぞ」


金剛「し、失礼シマス!!」


提督「お、おう…どうした…?」


金剛「い、いえ!ナンデモ!?」


提督「そ、そうか…」


提督「それで大事な話なんだが…」


金剛「ハイ!!」


提督「その……」


金剛「……」ドキドキ


提督「……」


64: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:16:52.87 ID:FjXVabkF0


提督(何してんだよ…言えよ…)


提督(ここで金剛を突き放さなきゃ……駄目なのに……)


提督(どうして…言えない…)


金剛「…?テ、テートク?」


提督「…!!あ、ああ何だ」


金剛「思いつめたような顔をしてましたケド…大丈夫デスか?」


提督「え、そんな顔してたかな…」


金剛「ええ…」


提督「と、ところで金剛はさ、今年は何て短冊にお願いしたんだ?」


金剛「え、アー…えっと」


提督「去年と同じで【今が続きマスように…】とか?」


金剛「こ、今年は違いマース!」


金剛「その…チョット…恥ずかしいデスケド…」テレテレ


提督「うん?」


65: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:20:46.23 ID:FjXVabkF0


金剛「えと…テートクと…ずっと一緒に居たい…と」モジモジ


提督「!!!」


   やめろ…


金剛「ワタシは…テートクと一緒に居られるだけで…シアワセデス…」


   やめてくれ…


金剛「また…同じ事って言われるかもしれませんケド…何度だって言いマス」


   本当に前に進めなくなる…


金剛「ワタシ…テートクが大好きデス」


   言うんだ…


金剛「これからもずっと…ずっと一緒に…」


  金剛の為に…


金剛「テートクの傍に…居させて───


   突き放せ─。


66: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:24:11.26 ID:FjXVabkF0


提督「あのさ…金剛」


金剛「…ハ、ハイ?」


提督「…お前の好きだのとかさ」


提督「もう…飽きたんだよ」


金剛「え…」


提督「毎度毎度同じような事言ってさ…」


金剛「て…テートク…?」


提督「俺の気持ちとか…考えた事あんの?」


金剛「ドウシタンデスカ……?」


提督「どうもしてないよ」


67: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:27:50.38 ID:FjXVabkF0


提督「正直さ、金剛…目障りなんだよね」



   嘘をつけ



金剛「…!!!」



提督「くだらない事で喜んで…」



   小さいな事でも喜んでくれた



金剛「そ…そんな…」



提督「優しくすりゃ調子に乗って…」



   嫌われたくなかった



金剛「…ウソ…デスヨネ……?」ポロポロ



提督「俺を…苦しめて…」ツー



   俺は金剛に救われてた



金剛「いつもみたいに…ウソだと…冗談だと…言って…」ポロポロ


68: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 01:31:28.69 ID:FjXVabkF0


提督「もう……うんざりなんだよ…」ツー



   俺は知ってる



提督「い、イヤデス…イヤデス…」ポロポロ



金剛「……テートクは…ワタシがキライ……デスカ…?」ポロポロ


   この感情を


提督「何言ってんだよ……わかるだろうが…!」ツー


   今まで言えなかったけど


提督「俺はな!」ツー


   素直になれなかったけど、俺は


提督「金剛の事が──!


   金剛の事が







    大好き
            だよ!!」
    大嫌い






──



74: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:31:54.32 ID:lH+SYKeo0




─執務室


提督「……ふぅ…」


提督「……ははは…」


提督「……言えないと思ってたんだけどなぁ…」


提督「……結局最後まで金剛に助けられちまったな…」


提督「………」


提督「……もう」


提督「……後戻りは出来ないぞ…」


提督「後は……俺の代わりが来て、俺は退役して…」


提督「…そして…」

75: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:34:10.61 ID:lH+SYKeo0

提督「……」


提督「…良いシナリオじゃないか…」


提督「…俺は最善を選んだ…はずだ…」


提督「…覚悟だって出来てた…」


提督「…そのはずなのに…」


提督「なのに…!」


提督「何でこんなに苦しいんだよ…!」


提督「わかってた事だろ…!」


提督「くそ…!」ガンッ


カランカラン コロコロ…


提督「あ……」


76: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:35:35.43 ID:lH+SYKeo0

提督「…」ヒョイ


提督「…ケッコン……」


提督「…俺には必要の無いものだったな…」


提督「はぁ……代わりが見つかるまで…持ってくれよ…俺の身体…」

77: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:46:44.16 ID:lH+SYKeo0





─堤防


吹雪「んぅ~・・・ん~!」ノビー


吹雪「早起きのランニングは気持ちが良いですね~」


吹雪「あれ、金剛さんだ」


金剛「……」


吹雪「あの~…金剛さん?」


金剛「……」チラッ


吹雪「うわっ!目真っ赤じゃないですか!どうしたんですか!?」


金剛「…ブッキー…」


吹雪「え、えぇと…!」ワタワタ


金剛「…う…うぅ…ブッキィ…!」ギュ


吹雪「ちょ、金剛さん!?一体何があったんですか!」アタフタ


金剛「わぁぁぁぁん…!」ボロボロ


吹雪「お、落ち着いて…!」


金剛「てぇぇぇとくにぃ…!てぇぇとくに…!嫌われマシタぁぁ…!」


吹雪「えぇ!?」


金剛「わぁぁぁん…!」


吹雪「一体何が……金剛さん…」

78: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:49:01.24 ID:lH+SYKeo0




─吹雪の部屋



吹雪「もう…落ち着きましたか?」


金剛「ハイ……ゴメンナサイデース」グスッ


吹雪「そうですか、良かった…」


吹雪「それで…その…さっきの話は本当なんですか…?」


金剛「ハイ…信じたくないデスケド…」


金剛「昨日の夜…目の前で…ハッキリと言われマシタ…」グスッ


吹雪「そうですか…司令官が…そんな…」


金剛「…でもネ」


吹雪「はい?」


金剛「テートク……泣いてマシタ…」


吹雪「え…」


金剛「とても辛そうに…苦しそうに…」


79: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:51:41.29 ID:lH+SYKeo0


金剛「…でも」


金剛「…あの時、頭がゴチャゴチャして考える余裕も無かったデスが……」


金剛「…同じなんデス」


吹雪「同じ…?」


金剛「テートクがワタシの事をあしらった時と同じ…」


金剛「優しさが…」


吹雪「優しさ…」


金剛「なんて…ワタシの勘違いかもしれまセン…」


吹雪「う~ん…」


吹雪「…もしかして…金剛さんを遠ざける理由があったとか…?」


金剛「理由…?」


吹雪「憶測ですけどね、でも…」


吹雪「あれだけ傍に居た金剛さんが、司令官から優しさを感じたというのなら…」


吹雪「それは本物のはずです。私には…理由がある気がしてならないです」


金剛「ブッキー…」


80: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:55:17.14 ID:lH+SYKeo0


金剛「でも…あくまでソレは憶測で…本当はずっと前から嫌われていたと思うと……」


吹雪「ワタシは…怖いデス…」


吹雪「…金剛さん…」


金剛(あ…)



『もし俺がここから居なくなったら…どうする?』



金剛(そっか…)



『もしソレがどうしようも無い事なら…ワタシは……テートクの意思を尊重シマス』



金剛(きっと昨日のアレは……)


金剛(どうしようも無い事なんだ…)


金剛(だとしたら……テートクは…)


吹雪「金剛さん?」


金剛「…そういう事…デスか…」


金剛「…ワカリマシタ…」


吹雪「え…?」


金剛「ワタシは……テートクの意思を…尊重シマス」


吹雪「は…?意思…ですか?」

81: ◆cbUISzKFTk 2015/11/20(金) 23:58:33.55 ID:lH+SYKeo0


金剛「ハイ…ワタシを遠ざけるのには理由があって…」


金剛「…昨日の事には…テートクの意思が…思いが……」


金剛「…だったら…ワタシはそれを受け入れマス…」


金剛「いや…受け入れなければならないデス…」


吹雪「意思って…金剛さん……」


金剛「もう…良いんデス。わかったから…」


金剛「あ~あ…色々と…楽しかったんデスケドネ…」


金剛「テートクとの事…思い返せば…楽しい思い出ばかりデスネ…」


金剛「一緒に笑って、悩んで、戦って、遊んで…」


金剛「本当に…本当に…楽しかったデース…」


吹雪「もしかして……金剛さんは…」


吹雪「司令官の事を…諦めるんですか…?」


金剛「……諦めマス…」


吹雪「!!」


82: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:07:05.51 ID:pCctcYRM0


金剛「これが…ワタシに出来る───


パシーンッ!


金剛「っ…!?…何を…!」


吹雪「…ふざけないでください…」


金剛「…何が…ふざけてるんデスか…?」


吹雪「司令官の意思とか…そういうのじゃなくて・・・金剛さんの意思は…?」


金剛「え…」


吹雪「金剛さんの意思は!本当にそう思ってるんですか!?」


金剛「だから…」


吹雪「嘘です!嘘です嘘です!!金剛さん…本当はそうは思ってない!!」


金剛「………ブッキーに何が……何がわかるって言うんデスか…」


金剛「ワタシは!テートクの為を思って諦めようとしているんデス!!」


吹雪「司令官の為…?どこがですか…!そんなの…!自分を隠してるだけじゃないですか!!」


金剛「…!何も知らないで…!ワタシの気持ちもわからないクセに!」


吹雪「確かに私は何も知らない!気持ちもわからないです!」


吹雪「でも、嘘をついてるのはわかります!!」


83: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:12:26.45 ID:pCctcYRM0


金剛「嘘なんて…!ついてないデス…!」


吹雪「じゃあ何で泣いてるんですか!」


金剛「えっ」


吹雪「ほら…」


金剛「あれ…何で……?」ツー


吹雪「諦めたくないんですよね…?」


金剛「ワタシは…!」


吹雪「だから…!」



吹雪「何で嘘をつくんですか!」



吹雪「何で諦めるんですか!」



吹雪「何でそんな辛そうな顔をするんですか!」



吹雪「本当に諦めているならそんな顔しないですよ!!」



吹雪「金剛さんは!司令官が好きなんでしょッ!?」



吹雪「その気持ちまで…嘘って言うんですかッ!?」



「ワタシの………キモチ…」

84: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:20:27.14 ID:pCctcYRM0


吹雪「貴女は!誰ですか!」


金剛「……」


吹雪「金剛型1番艦の金剛さんです!!」


吹雪「誰もが認める司令官の事が大好きな人です!!」


吹雪「私の知ってる金剛さんは…!皆が好きな金剛さんは…!」


吹雪「簡単に司令官の事を諦めるような人ではありません!!」



吹雪「誰よりも司令官と一緒に居る事も!」



吹雪「誰よりも司令官の傍に居る事も!」



吹雪「誰よりも司令官が大好きな事も!」



吹雪「皆知ってるんです!!金剛さんがどれだけ提督の事を好きで好きで仕方がないのか!!」



吹雪「そんな金剛さんが司令官を諦めるのは!絶対に許さない!!」



吹雪「私が許さないです!!」



「…ブッキー…」

85: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:35:49.60 ID:pCctcYRM0


吹雪「……ごめんなさい…」


吹雪「…もう一度聞きます…」


吹雪「…金剛さん……本当に良いんですか?」


金剛「……」


金剛「…ノー」


金剛「良い訳…ないじゃないデスか…」


金剛「ワタシは……テートクから…離れたくないデス」


金剛「…一緒に居たいデス!」


金剛「好きという気持ちに…嘘はつきたくないデス…!」


金剛「ワタシは…テートクが…大好きデス!」


86: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:36:51.59 ID:pCctcYRM0
吹雪「…はぁぁ……良かったです…諦めたんじゃなくて…」


吹雪「ほんとに良かった…」


金剛「フフ…思ったより強引デスネ…ブッキーって」


吹雪「あ、あははは…」


金剛「ワタシの中にあったモヤモヤが…無くなりマシタ!」


吹雪「それは良かったです!」


吹雪「でしたら、やるべき事は…」


金剛「ハイ…真実を聞きたいデス」


金剛「例え……どんな事であっても…」


吹雪「いつもの金剛さんですね」


吹雪「もう…大丈夫」


金剛「イェス!アリガトウネ…。またブッキーに助けられマシタ」


吹雪「またって…そんなんじゃないですよ。私は…引き戻しただけ…」


吹雪「道を踏み外そうとしてるから止めた、ただ…それだけの事です」


金剛「それだけの事で…ワタシは…」


吹雪「だって私達…仲間である前に友達じゃないですか」ニコ


金剛「そうデスネ……ワタシは本当に良いフレンドを持ちマシタ…」


吹雪「あはは、ありがとうございます。……頑張って下さいね、金剛さん」


金剛「…イェース!」

87: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:40:53.67 ID:pCctcYRM0



─執務室


提督「……」カキカキ


提督(一人で仕事するの…久しぶりだな)


提督(いつもなら、くだらない会話をして…金剛をいじって…)


提督(笑って…)


提督「……」パンッパンッ


提督「…いてて」


提督(だが…もうそれはない……)


提督「んー…引継ぎ資料作るのも楽じゃねぇなぁ……」カキカキ


提督「お…?」


提督「これは…もう代わりが見つかったのか、早いな」ピラ


提督(なっ!?……代わりは……来年!?まじかよ……!)


提督(大本営……俺の状態の事知ってるだろうに…)


提督(だが…もっと掛かると思っていたしな…これだけ早く見つけてくれたのは有難い)


提督「……もってくれよ……」


コンコン

88: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:45:10.20 ID:pCctcYRM0


提督「ん、どうぞ」



金剛「失礼シマス……」




提督「なっ……」


提督(なんでだよ…)


提督(来るなよ…)


提督「……何だ?くだらない用ならさっさと帰───


金剛「テートク」


提督「…!な、何だ…?」


金剛「…本当の事、教えて下サイ」


提督「は…?急に何言ってるんだよ…意味がわからない…」


金剛「テートク……」


提督「俺は忙しいんだ…訳のわからん事言ってないで、戻れ」


金剛「あのネ…どれだけワタシが…」


金剛「テートクと…一緒に居たと思うんデスか?」


金剛「ワタシには、わかりマスヨ」

89: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:47:49.28 ID:pCctcYRM0


提督「さっきから何の事だよ…」


金剛「…どうしてワタシを遠ざけたんデスか?」


提督「…!」ピクッ


提督「言っただろ…お前の事が…き…嫌いなんだよ…」


金剛「それ、嘘…デスヨネ?」


提督「…何の根拠があってそんな事言うんだよ…?」


金剛「言ったじゃないデスか、わかるって…」


提督「…馬鹿馬鹿しい……」


金剛「…話して」


提督「話す事なんて…」


金剛「話して」


提督「だから…!」


金剛「話して!!」グイッ


提督「なっ…!」

90: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:52:40.19 ID:pCctcYRM0


金剛「いい加減にして下サイ!!」


金剛「理由も話さないで突然突き放シテ!!」


金剛「納得出来る訳無いデース!!」


金剛「ワタシが!!」


金剛「何年貴方の事を見てたと思ってるんデスか!!」


金剛「貴方の嘘なんてお見通しデス!!」


金剛「秘書艦ナメんじゃないデース!!!」


提督「……はは…」


提督(馬鹿だなぁ…俺は……大馬鹿野郎だ…)


金剛「…?」


提督「………離してくれるか…?」


金剛「あ……ご、ゴメンナサイ」パッ


提督「いや、良いんだ。ありがとう…」


提督「……あーあ」


提督「……敵わないな…金剛には…」


金剛「…テートク?」

91: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:54:33.42 ID:pCctcYRM0


提督「金剛の言う通りだよ、俺はお前を突き放してた」


金剛「…!元に…!」


提督「別におかしくなった訳じゃない…悪かったな、一方的に…」


金剛「イエ……!」


提督「最初からこういう風にすれば良かった……」


提督「余裕が無かった…ってのは言い訳だな…ごめん…」


金剛「やっぱり理由が…?」


提督「ああ…あるよ」


提督「でも…教えられない…」


金剛「え…」


提督「ただ…これだけは知っていてくれ」


金剛「…なん…デスか?」


提督「もうすぐ……俺は、ここから居なくなる」

92: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 00:57:13.78 ID:pCctcYRM0


金剛「……」


提督「すぐじゃない、少なくとも今年中は居る」


金剛「そう…デスか…」


金剛(やっぱり…ずっと一緒には…)


提督「あんまり驚かないんだな」


金剛「何となく…そうなんじゃ無いかッテ…」


提督「…そうか」


提督「…金剛は凄いな……それなのに俺は…」


提督「…あんなに一緒に居て、全然金剛の事わかってなかった」


提督「自分の勝手な思い込みで…これが最善だって決め付けて…」


提督「それで結局金剛には見破られて…情けない…」


提督「…最低だな、俺」


「…」

94: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 01:03:21.96 ID:pCctcYRM0


金剛「…そうデス…テートクはサイテーデス。かっこ悪いデース」


提督「あ、あはは……」


金剛「でも…そんなサイテーサイアクなテートクの事を」


金剛「…まだ…好きなワタシは…」


金剛「変デスか…?」


提督「…変だよ…あんな酷い事言ったのに…」


金剛「あれは傷つきマシタ…辛かったデス…」


提督「あぁいや…ごめん」


金剛「…でも、あの言葉達は嘘で」


金剛「テートクと過ごした時間…」


金剛「思い出…」


金剛「想い…」


金剛「そしてこの気持ち…」


金剛「これは…テートクがワタシにくれた…」


金剛「ホンモノ達デス」


提督「本物……」


金剛「ネー…テートク…ワタシの我侭…聞いてもらえマスか?」


提督「なんだ?」

95: ◆cbUISzKFTk 2015/11/21(土) 01:09:53.05 ID:pCctcYRM0


金剛「…今年のクリスマス…ワタシと一緒に…過ごして下サイ…」


金剛「…最後のクリスマス…デスから…」


提督「最後……」


提督「ああ、もちろん良いぞ…」


金剛「ヨカッタ…」


提督「それにしたって随分と先のお願いだな、まだ数ヶ月くらいあるぞ」


金剛「…そこまでの時間を…テートクとの時間を…大切にしたいデス」


金剛「忘れられなくなるくらいに…」


提督「おいおい、大袈裟な……」


提督「ああ…大袈裟でもないか…」ボソッ


金剛「大袈裟…デスか。でもそうデスヨネ…」





金剛「だって、二度と会えなくなる訳じゃ無いデスもんネ!」


   ああ…


提督「ああ……」


   ごめんな…金剛…


提督「そうだな…」


   どうやら俺は…


提督「最後まで…」


   最後まで…


提督「最後まで……思い出を沢山作ろうな」


   お前に正直になれない…


金剛「もちろんデース!」

110: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:30:55.62 ID:SjDvxpUM0



─執務室


コンコン


提督「どうぞー」


吹雪「失礼します!そして、トリックオアトリ~ト~!」


提督「お…?あーそうだったか、ちょっと待ってろ」


吹雪「あ、金剛さん!今は…ティータイムですか?」


金剛「イェース!テートクと一緒にネ!」


提督「……お前がどうしてもって言うからだろう」


提督「ほら吹雪、こんな物しか無かったけど」


吹雪「わぁ!ありがとうございますー!」


提督「それにしても…もうすっかりハロウィンか…」


金剛「ハロウィンパーティーでもシマスかー!」


吹雪「おー!良いですねー!」


提督「何故そうなる…」


金剛「え~…ダメデスか?」ウルウル


111: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:33:02.46 ID:SjDvxpUM0


提督「そんな目で見ても駄目だぞ、そんな事をする暇は──


吹雪「うぅ…」シュン


提督「ある…」


吹雪「えっ…!」パァッ


金剛「チョットォ!ワタシとブッキーの扱い違い過ぎ無いデスか!?」


提督「そんな事はない」


金剛「悪意しか感じられないデース!」


提督「ほらあれだ、思い出に…な」


金剛「…!」


金剛「…モー…そう言えば良いってワケじゃ無いデスからネ!」


提督「それじゃ吹雪、今夜楽しみにしててな?」


吹雪「はーい!」


金剛「チョットォ!聞いてるんデスか!」


提督「聞いてるよ」


金剛「尚更性質悪いデース!」


112: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:34:38.35 ID:SjDvxpUM0


吹雪「あははは、相変わらず仲が良いですね」


金剛「それはもうワタシとテートクの相性はバッチリデース…」ポッ


提督「おいおい、まだしてないだろう?」


金剛「…?何をデスか?」


提督「あ、いや……何でもないです」


吹雪「司令官…最低です…」


提督「ジョークだよジョーク…」


金剛「…?ブッキーは今の意味わかるんデス?」


吹雪「え、えぇ!?い、いややや!わからないですよ!?」カァァ


提督「吹雪は勉強熱心だね」ニコォ


吹雪「もう!!」プンスコ


113: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:35:35.70 ID:SjDvxpUM0


金剛「ブッキー顔が赤いヨ?大丈夫?」


吹雪「だ、大丈夫です!何でもないですから!私はこれで失礼しますねーー!」


金剛「アララ…」


金剛「どうしたんデスかね?ブッキー」


提督「知らないってのは時に罪となる」


金剛「ハイ…?」


提督「気にするな、それじゃパーティーの手配だ。時間が無いから急ぐぞ」


金剛「よくわからないケド、了解デース!」


114: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:36:58.24 ID:SjDvxpUM0





─食事処・間宮



ガヤガヤ


間宮「急にハロウィンパーティーするから料理作ってくれって言われてビックリしましたよ~」


提督「急な事ですいません…」


間宮「いえいえ、良いんですよ」


提督「それにしても、よくこれだけの料理作れましたね。流石です」


間宮「鳳翔さんにも手伝ってもらったので何とかなりましたよ。ただ簡単な物が多いですが」


提督「いえいえ十分です、有り難う御座います」


間宮「ふふふ…提督の最後のお願いくらいは聞いてあげないとね?」


提督「あはは…そう言って貰えると助かります」


間宮「ふふ…あら?そういえば金剛さんは?いつも提督の傍に居るのに」


提督「向こうで姉妹の相手をしてるんじゃないですかね、流石にこういう場で俺に付きっ切りって訳にもいかないですしね」


115: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:38:09.80 ID:SjDvxpUM0


間宮「成程…そうですか。寂しくありませんか?」


提督「え…いえ、そんな事は」


間宮「私で良かったらお傍に居ますよ?」


提督「ちょ、からかうのはやめてくださいよ…」


間宮「あらあら、からかってないのに」


提督「き、気持ちだけ…じゃあ俺は別の所行ってきますね」


間宮「はーい。行ってらっしゃい」フリフリ


116: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:39:43.20 ID:SjDvxpUM0




ガツガツガツガツ…


提督「よ~、おつかれ。凄い食いっぷりだな」


天龍「ングング……あ?…なんだ提督じゃねーか」モグモグ


提督「なんだとは何だ、皆の提督だぞ」


球磨「その皆の提督が居なくなるのに黙ってるのは、どういう了見クマ」モグモグ


提督「うぐっ…!…それは……すまん」


天龍「全くだぜ、その上会場の準備も手伝わされたしなぁ」


提督「それは、ありがとう。助かった」


天龍「ま、美味いもん食えてるから別に良いけどな」


提督「そうか。そういえばお前たちは仮装しないのか?皆してるぞ?」


天龍「オレはガラじゃねーし」


球磨「めんどくさいクマ」


提督「ブレないな…」


球磨「球磨は誰かのせいで疲れてるクマ~肩が~」


117: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:41:34.20 ID:SjDvxpUM0


提督「はは~っお揉みします」モミモミ


球磨「ん~♪気持ちいクマ~♪」


天龍「お、じゃあ次オレな」


提督「えっ…どこ…そこ揉んで良いの?」ジロ


天龍「ん?そこって……」


天龍「ば、馬鹿!どこ見てんだ!!」バッ


提督「そこだけど…」


天龍「マジマジと見るんじゃねぇ!話の流れでわかりやがれ!!殴るぞ!」ドガッ


提督「いだぁっ!だから殴ってから言うのやめろォ!」


球磨「今のは提督が悪いクマ~~。あ~極楽クマ~」


提督「…言ったなぁ、こいつぅ…」


提督「ふんっ」モミンッモミンッ


球磨「ギャー!痛いクマ!やめろクマー!」ジタバタ

118: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:43:43.55 ID:SjDvxpUM0


提督「おいおい、もう良いのか?遠慮するなよ~」モミンッモミンッ


球磨「痛いクマー!ごめんなさいクマ!ごめんなさいクマーー!」ジタバタ


提督「はい」パッ


球磨「…ハァ……ハァ…何で…球磨が謝ってるクマ…」ピクピク


提督「はて…何でだろうな」


球磨「さっさと退役しろクマ…」


提督「酷過ぎない!?」


天龍「でも…提督居なくなるんだよな…此処も少し寂しくなっちまうなぁ」


提督「天龍…お前…」


天龍「…はっ!…ちげーよ!深い意味もねーし!それに少しだけ!少しだけだからな!別に居なくなった所で大して変わんねーし!」


提督「素直じゃないなぁ、天龍ちゃん」


天龍「ちゃんはやめろ!それに隠してた提督よりかはマシだろ!」


提督「うぐぉっ!!」グサァッ


天龍「な、何だよ…大袈裟だな」


提督「い、いやぁ…心に来るなぁ…って」


球磨「今後もそうやってネチネチ苛めていくクマ」


提督「勘弁してくれ…」


提督「じゃ、俺そろそろ他の所行ってくるわ」


天龍「おう!」


球磨「ばいば~いクマ~」


119: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:45:41.43 ID:SjDvxpUM0




吹雪「あ、司令官!」タタタ


提督「お、吹雪じゃないか。楽しんでるか?」


吹雪「はい!とても!ありがとうございます!」


提督「そりゃ良かった、やった甲斐があるってもんだ」


吹雪「えへへ…でも去年はやらなかったのにどうして今年は?」


提督「だってふb…じゃなくて、ほら、だって今年で俺…」


吹雪「あ……そう、でしたね…」


吹雪「司令官が普段通り過ぎて、何だか実感が湧かないです…」


提督「そうかな?まぁあまり気負いはしないようにしてるけど」

120: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:47:42.89 ID:SjDvxpUM0


吹雪「思い出をたくさん作ってしまうと、別れが辛くなりませんか?」


提督「…辛いよ。でも、金剛のお願いだからな」


吹雪「金剛さんの?」


提督「そう。思い出を沢山作って、お別れしようって…ね」


吹雪「……そう…だったんですか…」


吹雪「司令官は…」


提督「ん?」


吹雪「司令官は…良いんですか…?その…金剛さんの事」


提督「……はは、吹雪は優しいな。…心配してくれて」ワシャワシャ


吹雪「なっ!……もう…子供扱いして…」


提督「悪い悪い…でも大丈夫だ。心配するような事は無いよ」パッ


吹雪「そうなんですか…?」


提督「ああ、任せてくれ」


吹雪「…なら…良いんですけど」


提督「うんうん……んじゃ、そろそろ俺は行くね」


吹雪「あ、はい!また!」


121: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:49:44.57 ID:SjDvxpUM0





─間宮・外


提督「……ふぅ」


提督(任せてくれ……か)


提督(良く言えたもんだなぁ……笑えてくる…)


提督(…俺がこれ以上金剛との関係を近づけたら……)


提督「…辛いな」


金剛「テートク?何してるんデスか?」ヒョコ


提督「おわぁっ!?」ビクッ


金剛「そんなに驚かなくテモ」


提督「び、ビックリした…金剛かよ…」


金剛「かよ、とは失礼デスネ!」


提督「言葉のアヤだ…さて置き…どうしてここに?」


金剛「テートクが外に出たのが見えたのデ」


提督「成程…良いのか?姉妹達放っておいて」


122: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:51:45.18 ID:SjDvxpUM0


金剛「それは大丈夫デース!イッパイお話したデース!」


金剛「それより…」


金剛「辛いな…ってテートク今言ってましたケド…?」


提督(声が出てたか…)


提督「それはだな──


金剛「退役の事デスか?」


提督「そ…そうだ」


提督(助かった…)


金剛「やっぱりそうデシタか…」


提督「段々と終わりが見えてきたしな、寂しくなるなぁ…って」


金剛「テートクが退役する理由は…まだ、教えてくれないんデスか?」


提督「…言っただろ?どうにもならない理由…って。それに話すような事じゃないからさ」


金剛「そうデスか…」


金剛「でも、いつかは聞かせて貰いマース!」


提督「ああ……いつかな」


金剛「あ、というか見て下サイヨ。どうデースこの衣装!」


提督「馬子にも…」


金剛「…」ジッ


提督「とても可愛いです」


123: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 18:59:25.86 ID:SjDvxpUM0


金剛「最初からそう言えば良いのに、素直じゃないデース」


提督「金剛見てると、からかいたくなっちゃうんだよね」


金剛「何かの病気デスか!?」


提督「それはもう、重症だよ」


金剛「早く治して下サイヨ!」


提督「これはもう治らない病だからね、仕方ないね」


金剛「モー!」


提督「ははは……はぁ…楽しいなぁ、本当に…」


   怖い…


金剛「…?テートク?」


提督「こんなに楽しいのに…どうして、俺は……俺はまだ…!」


   おい…


金剛「だ、大丈夫デスか…?」サスサス


提督「………なぁ、金剛…」チラッ


   怖い…


金剛「テートク…?」クイッ


提督「トリックオアトリート」スッ


   後悔するぞ…

124: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:01:41.39 ID:SjDvxpUM0


金剛「どうしたんデスk────んんっ!?


提督「……」


金剛「…ん……!」


金剛(テ、テテテテートク!?)


提督「…………!」サッ


金剛「……………」ポカーン


提督「……すまん…!」


金剛「…………」ワナワナ


提督「どうかしてた…!今のは忘れてくれ…!」


金剛(い、今……ワタシはテートクと…キスを…?)ボンッ


提督「お、俺戻るな…!」スタスタ


提督(やっちまった…!やっちまった…!)


ガシッ


提督「──!?」


金剛「…待って……下サイ…」


提督「は、はい…」

125: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:03:37.34 ID:SjDvxpUM0


金剛「今のは……思い出として…デスか…?」


提督「…!あ、ああ…!そういう事になる…かな?」


金剛「そう、デスか…」


提督「こ、金剛…?」


金剛「……」プルプル


提督「お、おい…大丈夫────」


金剛「ノーーー!!」ガバッ


提督「うおっ!?」


金剛「大丈夫のワケないデース!!」


提督「ムードも何もあったもんじゃ無いデース!!」


金剛「せっかくのキス…!」ボンッ


金剛「キス…だったのにーー!」プンスコ


提督「す、すまん…!」


金剛「あんなんじゃすぐ忘れてしまいマース!」


金剛「だからもう一度して下サイ!!」ビシッ


提督「え……えぇ!?」


金剛「イヤ…なんデスか!?」


提督「いや…いやいやいや…!嫌じゃないけど…!」



126: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:05:06.15 ID:SjDvxpUM0


金剛「だったらして下さいヨ!」


提督「あれぇ…!何か違う…!」


金剛「何がデスか!」クワッ


提督「いえ!何でもないです…!」


提督「……じゃ…じゃあ……するぞ!」


金剛「…!は、ハイッ!」


提督「……」ガシッ


金剛「…!」ビクッ


提督「………行くぞ」


オイバカ!オスナヨ! ホラホラ!シチャイマスヨ!! クマァァ!!


提督「………」チラッ


提督(……うっすらと戸が開いている…まさか…)


金剛「……ア、アレ…?テートク…?」



127: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:07:51.21 ID:SjDvxpUM0


提督「……」スタスタスタ


ガラッ バターン!


金剛「……!!?」


天龍「ぎゃっ!」


吹雪「わぁっ!」


球磨「クマッ!」


提督「……何してんの君達…」


天龍「い、いやぁ…これはその……なぁ?」


吹雪「あ…あははは…あは…」


球磨「(口笛)~♪♪」


提督「…見てたのか?」


天龍「え!?何の事だ!?オレ達は何も知らねーぞ!?」


球磨「そうクマ!球磨達は何も見てないクマ!偶々そこに居ただけクマ!」


吹雪「ご、ごめんなさい…!私達…見ちゃいました!」ワナワナ


天龍・球磨「「おぉぉい!!」」


提督「…そうか…見てしまったのか……そうかぁ…」


天龍「あ、あれ…?提督どうしたんだよ…?」


球磨「…何で顔隠してるクマ?」


吹雪「司令官……?」



128: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:14:14.47 ID:SjDvxpUM0


提督「…ちょ…あんま見ないで……はずいから…」シッシッ


3人「「「!?」」」


天龍「…オ、オレ、こういう提督…初めてみたぜ…」


球磨「悔しいけどちょっとキタクマ、何とは言わないけどクマ」


吹雪「……」ボケー


天龍「や、やべぇ…!あまりのギャップに吹雪がショートしてやがる…!」


球磨「たしかに大打撃だったクマ。しょうがないクマ」


天龍「そ、そういう訳だから!俺達は吹雪連れてくから!後はごゆっくり!!」ダダダ


提督「お…おう……」


球磨「…」


球磨「クマッ!」スパーン


提督「…いでっ!ケツを叩くな!」ピーン


球磨「しっかりしろクマ。いつまでも縮んで無いで、お姫様が待ってるクマ」スッ


提督「えぇ…?お姫様って……」チラッ


金剛「……」パクパク


球磨「そういう事クマ」


提督「あぁ…」


球磨「茶々入れて悪かったクマ。もう安心して出来るクマ」


提督「安心てなぁ…」


球磨「ほら、さっさと行くクマ、女の子を余り待たせるなクマ」


提督「はいはい……わかったよ」タタタ



球磨「……ばいばいクマ」






129: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:17:13.59 ID:SjDvxpUM0



提督「お、おーい金剛…?」


金剛「み、見られてマシタ……?」


提督「残念ながら…」


金剛「うわぁ~……スゴク…恥ずかしいデース…」カァァ


提督「だよなぁ…」


金剛「不覚デース」


提督「時間と場所が大事…だな。それじゃ……」


提督「戻るか」


金剛「えっ」


金剛「してくれないんデスか?」


提督「だってもう…そういう雰囲気…じゃないだろ…?」


金剛「エ~!じゃあ今度絶対して下さいヨー!?」


提督「はいはい、今度な」


金剛「ノー!そういう感じのダメデース!」ブーブー


提督「今度、な」デコピーン


金剛「ぎゃんっ」




130: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:36:31.80 ID:SjDvxpUM0

─金剛の部屋


金剛「んん……」ゴソゴソ


金剛「ンモー!」ガバッ


金剛「今日の事が気になって全然眠れないデース…」


金剛「……少し、夜風にでも当たりマスか…」





─通路


金剛「それにしても…夜の鎮守府って結構怖いデスネ…」


金剛「早く出ない……と?」


金剛(おや?テートクの部屋が明るいデース)


金剛(今なら……今日の続き、出来るかもしれないデスネ!)


金剛(そうと決まれば!)サササ


金剛(何してるんデショウネ~…)ソー…


ガタンッ!


金剛(え…)


提督「ぐぁっ…!!くそ…!!」ギュッ


提督「っつぁっ!ハァ…ハァ…!」


提督「ハァ…ハァ…」


金剛(何…?)


提督「持ってくれよ…、まだ俺には時間が必要なんだ…」


金剛(…時間…?持ってくれ…?)


金剛(テートクは一体何を…)


ギシ…


金剛(…!隠れなきゃ…!)サッ


131: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:37:58.78 ID:SjDvxpUM0


提督「…!誰か居るのか!?」バッ


提督「……」キョロキョロ


提督「…気のせいか…?」


金剛(……テートク…)


金剛(何を…隠してるんデスか…?)





─病院前


金剛「…ココが…テートクの通っていた病院デスか…」


金剛「昨日のあアレは、普通じゃ無かったデス…きっとここでなら何かわかるはずデス」


金剛「待っていてネ…テートク…」


132: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:44:24.28 ID:SjDvxpUM0





─病院


医者「──鎮守府で、そこの提督さんの秘書官…金剛さんですね?」


金剛「イェス」


医者「そうですか…彼の事はどこまで?」


金剛「ドコマデ…とは?」


医者「ん……何も聞かされてないのですか?」


金剛「え……もうすぐ退役するとかは、聞きましたケド…」


医者「退役……成程…」


金剛「…?どういう事…デスか?」


医者「…これは、お話しするべきか迷いますが…」


金剛「教えてください…!テートクが…何デスか!?」


医者「良いですが、貴女には……彼の意思を…意志を守る事が出来ますか?」


金剛「…!」


医者「これを教えるという事は、貴女は貫かなければなりません。彼の想いを」


金剛「……ワタシは、テートクの意志を貫き通しマス」


医者「そうですか…では、貴女を信じてお話します───」




133: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:52:02.13 ID:SjDvxpUM0

─帰路


金剛「………」


『良いですか?率直に言いますと、彼は』


金剛「………」


『時期に亡くなります』


金剛「………」


『心筋梗塞・心不全等・狭心症…等種類はありますが、どれに当て嵌まらず、どういった病気かさえ…』


金剛「………ワタシは」


『申し訳ない…今の医学では…解りかねます…』


金剛「………バカデスネ」


『きっと彼は……それを知って最善を選んだんだと思います』


金剛「………思い出何て」


『彼の意志を守ってあげてください。そして…』


金剛「………テートクを苦しめるダケなのに」


『これを知った貴女にしか、出来ない事があります』


金剛「………ワタシに出来るコト…」


金剛「………わかってマスヨ」


金剛「テートクの事は…」


金剛「ワタシが守りマス──」





134: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:57:05.61 ID:SjDvxpUM0

─堤防


提督「……」ボー


カツン カツン


提督「……ん?」チラッ


提督「なんだ、金剛じゃないか。どこ行ってたんだ?」


金剛「少し…」


提督(ん?聞かれたくないのかな?)


提督「そっか、元気ないな?どうした?」


   どうして…


金剛「そうデスか…?疲れてしまっているのかも…」


提督「疲れてるって…もしかして昨日の事とか…?な、なんてな!あははは…」


   どうして笑っていられるの?


金剛「…イヤ…違いますケド…」


提督「あ、違うのか…そうか」


   辛くないの?


金剛「隣…良いデスか?」


提督「あ、ああ!別に良いけど…」


   怖くないの?


金剛「アリガトウゴザイマス…」


提督「今日はいつにも増して元気ないな…大丈夫か?」


   無理しないでよ…


金剛「テートク…」ギュッ




135: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:58:12.15 ID:SjDvxpUM0


提督「お、おわっ!どうしたんだよ金剛…」


   優しくしないでよ…


金剛「…今は、こうさせてください…」


提督「…ここ堤防だおぞ…、誰かに見られちまう…」


   遠くに…


金剛「…テートク…」


提督「…な、なんだ…?」




  いかないでよ…




金剛「大好きデス」ニコ







136: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 19:59:25.17 ID:SjDvxpUM0


─12月


─執務室


提督(なんだかんだで12月…案外行けるもんだな)


提督(もしかしたらまだまだ生きれるんじゃないか?……な訳ないか…)


提督(もう…動悸も息切れも不整脈も間隔が短くなってきた…)


提督(もって来年の何処か…或いは…)


提督(だー!何考えてんだ!今年は乗り切る!乗り切らなきゃダメなんだ!)


金剛「ヘイ!テートクゥ!ティータイムにしまショー!」


提督「ん、ああそうだな。一旦休憩するかー」


提督(あの件から大分日も経ったが、金剛は元気だ…)


提督(元気なんだが…何だろうなぁ…)ズズズ


提督「ん…?何だ今日の紅茶…いつもと違うな?」


金剛「流石テートクデスネ!That's right!今日は新しいのを淹れてみたんデース!」


提督「ほぉ~…美味しいな…何て紅茶なんだ?」


金剛「えっとデスネ~…これは『ルイボスティー』というある地域でしか取れない葉なんデース!」


137: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:02:18.21 ID:SjDvxpUM0


提督「ルイボス…何処かで聞いたことあるような気もするんだが…思い出せないな」


提督「まぁ美味しいから別に良いか…」


金剛「お茶受けとして…これもドウゾ!」


提督「これは…?ブルーベリーと、何だろうこれ」


金剛「クランベリーデース!」


提督「クランベリーか!聞いたことはあったが食べるのは初めてだな!」


金剛「たくさん!たくさん…食べてくださいネ」


提督「この紅茶とも結構イケるな……色々準備してくれてありがとうな、金剛」


金剛「イイエ……テートクが喜んでくれるならソレで!」


提督「そうか…なぁ金剛さ。俺がここに居れるの、あと少しの間だろ?だからそれまでに俺…」


金剛「無理しなくてイイデスヨ!それにテートク覚えてマスか?」


提督「ん?」


金剛「クリスマス」


提督「あ~クリスマス…。もちろん覚えてるぞ、忘れるわけがない」


金剛「ヨカッタデース!ワタシはそれだけ……それだけがあれば良いデース」


提督「ん…そうか?まぁ~…金剛がそう言うんなら俺は別に構わないんだが…」


金剛「良いデスヨ。あ、テートク空いてますヨ」


提督「ん?おぉ…ほんとだ。これ美味しいからグイグイ飲んじゃうよ」


金剛「沢山ありマスから…もっと、もっと…飲んでくださいネ」




138: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:05:14.65 ID:SjDvxpUM0


─金剛の部屋


「………」


「…無駄…だとわかってるんデスケドネ……」


「ドクターに治せない物がワタシに治せるワケ…無いのに…」


「…テートク…」


「思い出を作っちゃいけないのに…」


「まだクリスマスを楽しみにしてるワタシが……」


「・・…ワタシは…弱い…」


「ゴメンナサイ…」グスッ





139: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:06:56.46 ID:SjDvxpUM0


─12月23日


─射手場前


提督「うーむ…」


提督「やっぱり最近の金剛少し…変…だよな?…いや、絶対に変だ…うーむむ…」


提督「あれ…考え事してたら射手場に来ちゃったな…」


赤城「──あら、提督。悩み事ですか?」


提督「ん…?おぉ…赤城さん…ちょっと金剛の事で…何か変わった事ありませんでした?」


赤城「金剛さんですか…そうですねー…。あ…」


提督「お!何か知ってるんですか?教えてください!」


赤城「まぁまぁ落ち着いて…ね?せっかくなので上がってください」


提督「あ、はい」





─射手場


提督「あれ、誰も居ないんですね」


赤城「加賀さんは今日翔鶴さんとお出掛けしてますよ」


提督「なるほど…」


140: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:11:43.47 ID:SjDvxpUM0


赤城「あ、そこに座って下さい」


提督「では失礼して…」


赤城「それじゃ、本題に入りましょうか。あくまで私の予想なんですけど…良いですか?」


提督「大丈夫です、何でも良いので教えてください」


赤城「では…」


赤城「提督もお気付きかと思いますけど、金剛さん最近…正確には12月に入る直前くらいですかね」


赤城「急に元気になりましたよね、空元気というのでしょうか。でも私には何かを誤魔化しているように見えました」


提督「何か…とは…?」


赤城「自分の気持ち…ですかね。でも、それは提督が良く知っているんじゃ無いですか?」


提督「えっ…な、何を言ってるんですか赤城さん…」


赤城「まぁ良いです、もっとわかりやすく言います。そうですね…金剛さんが悩むのは提督か姉妹の事くらいだと、私は思います」


提督「悩み…?もしかして…姉妹同士で何か…」


赤城「提督?」


提督「……はい」


141: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:19:09.69 ID:SjDvxpUM0


赤城「薄々は解っているのでしょう?金剛さんが自分の事で悩んでいるって事」


提督「それは……俺は…どうしたら良いんでしょうか…」


赤城「知っているのに、目を逸らすのは駄目ですよ。目を背けないでください」


赤城「それに…提督がやろうとしている事は、正しい事なのか悪い事なのかは私にはわかりません。ですけどね」


赤城「あのままの金剛さんとお別れが出来ますか?…出来ませんよね」


提督「……」


赤城「提督に残された時間はもう僅かです」


赤城「黙って後悔するくらいなら、吐いて後悔しなさい」


トン


赤城「……提督はね…ちょっと無茶するくらいが格好良いんですよ」


提督「赤城さん……ありがとうございます。俺、行きます」ダッ


赤城「はい、行ってらっしゃい」


赤城「頑張れ、男の子──」




142: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:22:45.36 ID:SjDvxpUM0


─執務室


金剛「テートクは何してるネー…」カリカリ


金剛「もう就業の時間だって言うの───


ガチャ


金剛「あ、テートク!遅いデスヨー!」


提督「金剛…ちょっと良いか?」


金剛「テートク?どうかしましたか?」


提督「…何を隠してるんだ…?」


金剛「え……隠してないヨ?急にどうしたんデスか…?」


提督「…それ、嘘だよな…?」


提督「話してくれ、一体何があったんだ?何で急にそんな風になっちまったんだ?」


金剛「何って……」


提督「金剛…?」


金剛「テートクが、良く知ってるんじゃないデスか…?」トントン


提督(胸を…まさか…?)


提督「お前…もしかして…」


金剛「イェス」


提督「それで…まじか…」



143: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:26:17.22 ID:SjDvxpUM0


金剛「でもネ…テートクの気持ちも分かりマス。もしワタシだったら、きっと同じ事を言ったと思いマス」


提督「金剛…」


金剛「最初は許せませんでしたヨ?どうして言わないのかって…」


金剛「でも…テートクは考えて…一人で考えて…一番良い方法を見つけて…」


金剛「誰も傷つかない……仲良く別れる術……」


提督(くそ…まただ…何やってんだ俺は…また金剛にだけ…!)


金剛「…辛かった、デショ?」


提督「…え?」


金剛「思い出…沢山作って…」


金剛「…辛かったデスヨネ…」


金剛「知らなかったとはいえ…残酷な……」ポロポロ


提督「!! そんな事は無い!お前、言ったじゃないか!忘れたくないって!」


金剛「それ……もう…良いデスヨ…」ポロポロ


144: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:30:37.63 ID:SjDvxpUM0


提督「なっ…!」


金剛「…約束……忘れてください…」ポロポロ


提督「何…だと?」


金剛「楽しみ、だったんデスケドネ……」ポロポロ


金剛「これ以上、テートクを苦しめたくないデス──




提督「金剛ッ!!」




金剛「えっ…」


提督「勝手に決めつけるなッ!!」


提督「お前が罪悪感を背負ってるならッ!!」


提督「俺も背負うッ!!!」グイッ


金剛「なっ…何を…」


スッ


金剛「え…コレって…指輪…?」




提督「金剛!お前の事が好きだ!!ずっと俺の傍に居てくれ!!」




金剛「──!!」」


145: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:34:27.82 ID:SjDvxpUM0


提督「……やっと…言えた。俺の気持ち」


金剛「テ、テートクゥ…」ポロポロ


提督「…これで俺もお前も同罪……とことん最低だな、俺」ギュッ


金剛「本当に…本当にサイテーデス…、サイアクの告白デス…」ポロポロ


金剛「でもサイアクなのにネ…嬉しくて…涙が止まらないデス……」ポロポロ


提督「そうか…」ナデナデ


提督「お前一人に背負わせはしない……最期まで一緒だ」ナデナデ


提督「今作ってる思い出は…辛いけど、幸せなんだ…」


提督「変だけどな…俺、死ぬのは怖くないんだ。金剛に想いを伝えずに別れる方がずっと…怖かった…」


提督「でも、良かった…最後までに気持ちが伝えられて…」


金剛「……」グスッ


提督「好きだよ、金剛」


金剛「ワタシも…大好きデース…」


147: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:39:05.55 ID:SjDvxpUM0



ドクン ドクン ドクン…




提督「───!!」


提督(あ………時間切れ……)


提督(…まだまだ…これからだってのに……)


提督(もう少し…もう少しでいい…持ってくれよ…)



   金剛…



提督「…なぁ…金剛…」



   今までありがとう…



提督「…ハイ?」グスッ



   こんな俺を好きでいてくれて…



148: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:40:48.06 ID:SjDvxpUM0



提督「…俺…お前の笑った顔が好きなんだ…」



   何も返してやれなくてごめん…



提督「一回で良い…笑ってくれないか…」ウツロ目



   貰ってばっかりでごめん…

   

金剛「──!テ、テートクゥ…!!」ポロポロ



   生まれ変わったら…



金剛「グスッ…良いデスヨ… 最期 デスから…」ポロポロポロ



   また会えるかな…?



金剛「テートク……大好きデスヨ」ニコ ポロポロ



   その時は…



提督「…は……は……」



   またよろしく…



「変な……顔…」デコピン




   大好きだよ、金剛







149: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:43:08.90 ID:SjDvxpUM0



金剛「………」



   貴方と出会えて良かった



金剛「後は……任せてください…テートク…」



   沢山の思い出…貰ったね



金剛「貴方の想いは……ワタシが…」



   沢山の気持ち…教えてくれたね…



金剛「だから…」ツー



   忘れない…貴方から貰った物…



金剛「今だけは…」ポロ



   忘れない…貴方から教えて貰った事…



金剛「泣いても良いデショ…?」ポロポロ






   ねぇ、いつかまた会えるかな?








    …会いたいな。



     ・

     ・

     ・

150: ◆cbUISzKFTk 2015/11/26(木) 20:44:42.80 ID:SjDvxpUM0

─堤防


   



「ココに居たんデスネ…」







「…金剛か」







「……待ちくたびれたよ」ニコ







END