1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:40:16 ID:y98Msv7g
男「ねえ、何でこっち見てるの?」

男「…」

男「君だよ君!今僕の事見てるの君だけだろう?」 

 

WHO are YOU? (フーアーユー) アクアブルー
セガトイズ(SEGA TOYS) (2018-08-09)
売り上げランキング: 748
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:42:10 ID:y98Msv7g
男「…ねえ、そのガラスみたいなの何?」

男「そこ狭くないの?」

男「…何か答えてくれたっていいじゃないか」

男「…あ、そうか」

男「そのガラスみたいなのが邪魔で聞こえてないのかな?」

男「なら外してあげるよ」

男「ちょっと…なんで逃げるのさ」

男「…もう知らない」 


3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:43:07 ID:y98Msv7g




男「…ねえ、なんでついてくるの?」

男「近づこうとしても…逃げるし」

男「…少し怖いんだけど」

男「…」 

4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:44:09 ID:y98Msv7g



男「まだついてくるの?」

男「ここが僕の家だよ」

男「まあ…普通の一軒家だよね」

男「むぅ…なにか答えてよ…」 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:45:41 ID:y98Msv7g
男「ただいまー」

母「おかえりなさい」

男「わっ…まだ居たの?」

母「え?何を言ってるの?」

男「ほら、あそこのガラス越しの人」

母「え?どこに?」

男「そこにいるじゃないか!」

母「…ごめんなさい、私には見えないわ」

男「そ、そんな馬鹿な…」 

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:47:11 ID:y98Msv7g



男「…君は何者なんだい?」

男「何をするでもなく、ずっと見てる…」

男「母さんには見えないみたいだし…」

男「…」

男「あのさ…トイレ行くけど…流石についてこないでよ?」 

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:48:38 ID:y98Msv7g



男「だから…なんでくるのかなぁ…」

男「はずかしいじゃん?」

男「もう…」

男「君の性別がわかれば…また違うんだろうけども、それでもやだよ…」

男「お願いだから出て行ってよ~…」

男「…仕方ない…絶対回り込んでこないでよ?」

チョロロロ 

8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:49:46 ID:y98Msv7g


男「ああもう!恥ずかしかった」

男「この変態!スケベ!」

男「野郎のトイレなんて覗いてどうするのさ…」

男「…」

男「いいや、とりあえず勉強するね」 

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:50:57 ID:y98Msv7g


男「まだいるの?」

男「すっかり日も暮れちゃったよ?」

男「…」

ゴハンヨー

男「はーい…」

パタパタパタ 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:53:18 ID:y98Msv7g
男「いただきまーす」

父「なあ、男」モグモグ

男「なに?」

父「母さんから聞いたんだが…」

男「…ああ」

母「まだ…見えるの?」

男「…うん」

父「今はどの辺だ?」

男「えーと、そこかな」

父「浮いてるのか?」

男「浮いてるって言うか…」

男「うーん」

父「そこに窓があるような感じか?」

男「そうそれ!」 

11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:54:35 ID:y98Msv7g
母「あなた…?何か知ってるの?」

父「…ああ、知ってる」

男「本当に!?これはなんなの?!」

父「…男、お前は本を読んだ事があるか?」

男「そりゃあ…」

父「じゃあ、それは読者だ」

男「え?」 


12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:56:30 ID:y98Msv7g
男「ど、どう言う事?」

父「あ、映画の方がわかりやすかったかな」

男「え…?」

父「お前が映画を見る時、視点は主人公か?」

男「い、いや…TPだけど…」

父「そう、FPじゃないよな?」

男「…うん」

父「つまり…そこに窓を作って傍観してるわけだ」 

13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 17:58:39 ID:y98Msv7g
男「あ…てことは…」

父「そう、お前には読者が見えてる」

男「僕の人生が…物語ってこと?」

父「そうだ、俺も若い頃あったんだ…」

母「…話についていけないわ」

父「すまんな母さん」

父「あ、丁度いい」

父「母さん、俺たちが付き合いたての頃覚えてるか?」

母さん「ええ、勿論」

父「じゃあ、あの嵐の待ち合わせも…」

母さん「覚えてます」 

14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:01:33 ID:y98Msv7g
父「あの時…雨風吹き荒れて揉みくちゃの中で、何故俺が100mも離れた母さんを見つけることができたと思う?」

母「…偶然?」

父「いや、違う」

父「あの待ち合わせの時、普段俺の周りにいる筈だった読者の窓が消えて居たんだ」

父「んで、母さんを探してたら、窓が母さんの所に居てな」

父「そして、見つけることができたんだ」

母「そんな…」

男「今度は僕がついていけないよ」 

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:03:57 ID:y98Msv7g
父「すまんな」

男「良いんだけど…」

母「じゃあ…男は変な病気とかじゃないのね?」

父「ああ、そうだ」

母「ならいいわよ」

母「安心した……」

父「男、その窓にはお前は干渉できない」

父「ものを投げても当たらないし、気にしないのが1番だぞ」

男「う、うん…」

父「それに、時々消えるしな」

男「そっか…」 

16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:05:26 ID:y98Msv7g



男「君は読者なのか…」

男「僕はどう見える?」

男「かっこいい?可愛い?」

男「なーんて…」

男「干渉できないんだもんなぁ」

男「ん?てことは、君にとって僕の言葉はメタ発言になるわけだ」

男「なんだか面白いなぁ」 

17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:06:37 ID:y98Msv7g
男「でも、僕を見ても何も面白くないよ?」

男「幼馴染も居ないし、成績は中の下」

男「部活もやってないし…」

男「…まさか、なんかしらの事故に遭うとか…」

男「そんなことないよね」 

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:08:47 ID:y98Msv7g



青年「あ!久しぶりだね!」

青年「僕は大学生になったよ」

青年「君は?」

青年「…そうだよねぇ、干渉できないもんね」

青年「相変わらず普通の人生だよ」

青年「…実は居なかった君にとってはほんの数秒だったりしてね」

青年「ふふっ、学校行ってくるよ」 

19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:10:25 ID:y98Msv7g


おじさん「おお、またまた久しぶりだね」

おじさん「もう、こんなに歳をとったよ」

おじさん「君はどうだい?」

おじさん「…ふふ、やっぱり干渉できないね」

おじさん「またいつでもおいで」

おじさん「といっても暫らく居るんだろうけど…」

おじさん「君は面白いなぁ」 

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:12:01 ID:y98Msv7g


おじいさん「やあ、何年ぶりだい?」

おじいさん「ワシはもう70になるよ」

おじいさん「そう考えると、君は10歳の頃から年齢がキリ番になるたびやってくるね」

おじいさん「…ダイジェストなのかい?」 


21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/11/18(日) 18:14:36 ID:y98Msv7g



おじいさん「…君か」

おじいさん「ワシの人生は面白かったかい?」

おじいさん「そろそろ…終わりそうだけど…」

おじいさん「…ワシは君を殆ど見てないけどね」

おじいさん「どんな人生に感じたのかな…」

おじいさん「ん?ひょっとして…君が意識される…と言う物語だったのかな」

おじいさん「ふふ、なんだか面白いなぁ」

おじいさん「ああ…眠たくなってきたよ」

おじいさん「君が楽しんでくれたなら…幸いさ」

おじいさん「そいじゃ…おやすみ」


end