1: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:23:17.65 ID:GTfo7JYbO


―――屋上


泰葉「…………」


泰葉(まるで空を覆い尽くすような星の海……綺麗だな……)


泰葉「……手が届きそう」スッ…

泰葉(ふふ、なんて――)


がちゃ……ぎぃ


P「――あ。やっぱりここだったか、泰葉」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454257397

引用元: モバP「だりやすかれんは星明かりの舞台へ」 


 

2: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:24:54.55 ID:GTfo7JYbO
泰葉「わっ、あ、Pさんっ……」

P「なにしてるんだ? 手なんか伸ばして」

泰葉「い、いえ……なんでもないですっ」

P「そうか?」

泰葉「は、はい。……えっと、私を探しに来てくれたんですか?」

P「ああ、いつの間にかいなくなってたからさ」

泰葉「すみません……一言声をかければ良かったですね。わざわざありがとうございます」ペコリ

P「ふふ、いえいえ」

4: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:29:32.13 ID:GTfo7JYbO
泰葉「2人は……李衣菜と加蓮はどうしてますか?」

P「ん? 2人ならお祝いのジュースやらお菓子やらで、はしゃぎまくってたよ」

泰葉「お祝い……『スターライトステージ』でしたよね。出演するのが今から楽しみです」

P「うん。様々なプロダクションのアイドルたちが一堂に会して、それぞれが磨いたパフォーマンスを披露する……」

泰葉「まさに夢のような舞台、ですね。……そんなイベントに私たちが呼ばれるなんて……」

P「んー……信じられない、か?」

泰葉「……少しだけ。Pさん……Pさんは、今の私たちでも……通用すると思いますか?」

5: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:32:44.41 ID:GTfo7JYbO
P「思うよ」

泰葉「そ、即答ですか」

P「だって、泰葉たちが俺を信じてくれたからな。だから俺も、みんなを信じてる」

泰葉「……!」

P「ずっと見てきたんだ。汗を流して一生懸命レッスンしたり、夜遅くまで特訓したりしてたこと」

泰葉「……そうですね。李衣菜や加蓮と一緒に……成功を喜んだり、失敗を悔しがったりしました」

泰葉「思えば……そのたびに成長してきてたんだな、って気がします」

P「だろ? だから大丈夫。お前たちなら必ず、最高のステージに出来る!」

6: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:35:14.18 ID:GTfo7JYbO
泰葉「……ふふ。なんだかPさんと話していると、不思議と不安がどこかにいってしまいます」

P「あはは、そりゃ良かった」

泰葉「たしかに……そうでした。うん、私たちは……きっと、他のアイドルよりもずっとずっと輝けるはず」

泰葉「他の子には負けない。私と、李衣菜と、加蓮が一番だってこと……証明してきますから!」

P「お、急に強気になったな」

泰葉「ふふっ、ロックでしょう?」

P「はは、専売特許取られて怒るんじゃないか?」

泰葉「ふふふ♪」

7: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:38:01.44 ID:GTfo7JYbO
P「まぁ……人気商売だから、勝ち負けもいいけど。楽しむことも忘れずにな」

泰葉「あ、それはもちろん。まずはなにより笑顔、です。私たちも、観客やファンの皆さんも」

P「あぁ。キラキラの笑顔、見せてくれ」

泰葉「はいっ。この、満天の星より……ずっとずっと清かな、最高の笑顔をみんなにお届けします……!」

P「おー、星よりも――って、たしかに今日の星空すごいな……! 都会でここまで星が見えるなんて」

泰葉「ふふ、さすがにプラネタリウムよりは少ないですけど……綺麗ですよね」

10: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:41:10.24 ID:GTfo7JYbO
P「だな……。思わず手を伸ばしてみたくなるな」

泰葉「う」

P「……ん? あ、だからさっき手を伸ばしてたのか、泰葉」

泰葉「……なんのことでしょう」プイ

P「ふふ……照れちゃって」

泰葉「暗くて良かった……顔、多分赤いです」

P「星明かりで見えてるぞ?」

泰葉「もう……Pさんは無粋です。ふふっ……♪」

11: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:42:58.22 ID:GTfo7JYbO


―――


P「――さて、そろそろ戻るか。いい加減冷えてきたし」

泰葉「はい。……あ、すみませんでした。せっかく呼び戻しに来てくれたのに、長話を……」

P「なんの、いつだって聞くよ。それが俺の役目だ」

泰葉「ふふ……。本当、Pさんがプロデューサーで良かった」

P「よせやい、へへへ」

泰葉「くすっ……♪」

12: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:45:03.92 ID:GTfo7JYbO
P「足元気をつけてな、暗いから」

泰葉「平気です。だって、ほら――」


ぎゅ……


泰葉「こうすれば……暗くても、たとえ星明かりも届かなくても……」


泰葉「安心して、前に進めますから!」ニコッ


P「泰葉……!」



P「ほんと手ぇ冷たくなってるな。やっぱり冷えちゃったか」

泰葉「私がスベったみたいになってるじゃないですか! もう!」カァッ

13: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:47:49.45 ID:GTfo7JYbO


―――

――




ちひろ「すぴー……ふにゃあ、もう飲めにゃいぃ……んふふへへぇ……♪♪」ムニャムニャ

P「ああもう! 性懲りもなくお酒隠し持ってたなこの人! あんだけ言ってなんで言うこと聞かないんだよ、ったく!」ガサガサ ゴトゴト…


泰葉「……やっぱりこうなってたのね」

李衣菜「あ、あはは……。加蓮と2人で、今度のイベントのことで盛り上がってたらいつの間にかね……」

加蓮「いっつも酔い潰れるまで飲むんだから、ちひろさんってば……すぐ寝ちゃうからこっちに害はないけど」

14: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:50:52.26 ID:GTfo7JYbO
泰葉「Pさん、手伝いましょうか?」

P「あーいや、いいっていいって。大人の不始末は大人が、ってな……どっこいせっと、ほら自分で動いてちひろさん!」

ちひろ「うにゅぁ~……」

泰葉「そ、そうですか……」

李衣菜「泰葉、代わりにこっち手伝ってくれない? 空のペットボトルとかお菓子の袋とか……」

泰葉「ああ、うん。私がいない間もけっこう飲んだりしてたんだ」

李衣菜「ご、ごめんね。Pさんが探してすぐ戻ると思ってたからさ……」

15: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:53:03.03 ID:GTfo7JYbO
泰葉「ううん、私の方こそごめんなさい……Pさんを独り占めにしちゃって。ふふ♪」

李衣菜「あー、それ言っちゃう? だったらとことんそっちのこと聞いちゃうけど?」

加蓮「もぐ。もぐもぐも、もぐもぐ?(泰葉。Pさんといったいなに話してたの?)」サクサクサク…

李衣菜「ってまだなんか食べてるし!?」

加蓮「ごくん。……ポテロング、食べる?」

李衣菜「食べ過ぎでしょさすがに……もういい時間なんだから控えめに――」

泰葉「さくさく。ん、おいひぃ」

李衣菜「食べちゃうんだもんなぁ」

16: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:54:51.24 ID:GTfo7JYbO
泰葉「今日はあまりお菓子食べてなかったから……」モグモグ…

李衣菜「泰葉って泊まりに行くとお母さんみたいだけど、こういうときはかなり自由だよね……」

泰葉「ほら、ああいうのは使命感みたいな……お世話しなきゃ、って」

李衣菜「で、事務所とかでは私がお世話しなきゃいけない、と」

加蓮「もぐもぐさくさく」コクコク

李衣菜「なんか頷いてるけど、加蓮はどこ行ってもお世話されてる側なんだよ? 分かってる?」

加蓮「んふふ、いつもありがとね♪」

17: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:56:45.63 ID:GTfo7JYbO
李衣菜「感謝の言葉が軽い……」

加蓮「ふふっ、そんなことないって。……それよりも、泰葉?」ズイッ

泰葉「え、な、なに?」

加蓮「とぼけないの。Pさんとなーにお話してたのかな?」

李衣菜「あ、そうだよそうだよ。私も気になる!」

泰葉「んー……秘密、じゃダメ?」

「「ダメー」」

泰葉「ふふ、そうよね……分かった、話すから。って言っても、今度の『スターライトステージ』のことだけだったけど」

18: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 01:59:00.15 ID:GTfo7JYbO
加蓮「なんだ、いちゃいちゃしてるのかと思ったのに」

李衣菜「ねー、つまんないの」

泰葉「ふふ、そんなずるい真似しません。Pさんは、いつだって私たちを信じてくれてる……って。それだけの話」

加蓮「ふーん……」

李衣菜「……うーん。そういうの、私たち全員の前で言うべきだと思うんだけどなー」

加蓮「ふふ、LIVEの前とかにね。ここ一番、ってとこで決めてもらわないと、心に響かないよ」

19: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 02:00:31.98 ID:GTfo7JYbO
李衣菜「そーそー、やっぱかっこよくビシッとロックにね!」

加蓮「胸がときめくようなのがいいな、私♪」

泰葉「ふふ。――だそうですけど?」


P「……んじゃ、今度のイベント、とっておきの口説き文句で奮い立たせてやろう。覚悟しとくように」

加蓮「ふふっ、期待しないで待っとくねー」

李衣菜「ハンパなのは許しませんよー、へへへ♪」

P「はいはい……というか早く片付けしろっての。こっちはもうちひろさん、仮眠室に運んじゃったぞ?」

20: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 02:02:34.57 ID:GTfo7JYbO
李衣菜「わわ、はやっ! 泰葉、あっちからゴミ袋持ってきてっ」

泰葉「う、うん。待っててっ」タタッ

李衣菜「加蓮はとりあえずそこら辺のを――」

加蓮「もぐもぐ」

李衣菜「またポテロング!?」

加蓮「ううん、じゃがりこ」ザクザク

李衣菜「あぁもう! 間違って縦に噛んじゃって歯茎に刺され!」

加蓮「怖いこと言わないでよ!?」

21: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 02:04:38.57 ID:GTfo7JYbO
泰葉「はい、ゴミ袋持ってきたよ」トテトテ

李衣菜「ん、ありがと泰葉。ちょっと広げてくれる?」

泰葉「こう?」ガサガサ


李衣菜「で、加蓮を入れる」

泰葉「なるほど、加蓮を入れる」


加蓮「ご、ごめん分かったからっ、ちゃんと片付けるから許して!」

22: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 02:06:29.60 ID:GTfo7JYbO
泰葉「ふふ、冗談よ」

加蓮「目が本気だった……!」ガクブル

李衣菜「最初っから素直に言うこと聞けばこんなこと言わないのに」

加蓮「こ、今度ネイル綺麗にするから……」

李衣菜「もー、しょーがないなぁ。あはは」

泰葉「ふふ、じゃあ……イベント用の、『星明かり』にちなんだ可愛いネイル、期待しようかな」

加蓮「あ、それなら気合入れて仕上げてあげるっ。楽しみにしてて♪」

23: ◆5F5enKB7wjS6 2016/02/01(月) 02:08:41.82 ID:GTfo7JYbO
李衣菜「あっ、言ったな~?」

泰葉「アイドルに二言は無し……有言実行、よろしくね加蓮。ふふ♪」

加蓮「うんっ。星屑イメージでビーズとか――♪」


P「……片付けはどうなったんだ? 3人とも」



「「「あ。……えへへ♪」」」

P「ふふ……まったく」




>プロデューサーサーン…ハキソウ…ウォエ



おわり