1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:49:04.35 ID:0ILXnveC0

※ ラジオドラマ風

※ ナレーション(cv大川透)

奈緒「トライアドプリムスのミニライブが終わって数日」

奈緒「プロデューサーが持って来た次の仕事は、慰安の意味も込めたリゾート地での体験レポ、そのはずだったのに」

凛「奈緒。はやいとこ火を起こしてくれないと、いつまでたってもご飯にできないよ?」

奈緒「なんだってこんな事になってるんだよぉぉーっ!!」

『ほんとうに、どうしてこうなってしまったんでしょうねぇ?』


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455997744

引用元: 神谷奈緒「バカンスだって聞いてたのに、無人島じゃないかぁ!」 


 

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:50:14.94 ID:0ILXnveC0
奈緒『もばますぅ……』

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:50:46.45 ID:0ILXnveC0

『発端は、数日前のPの発言からでした』

P「いやー。今度のミニライブも大成功だったなぁ」

凛「ふふっ。プロデューサーも、準備とか大変だったんじゃない?」

加蓮「もちろん、私達も頑張ったけどさ」

奈緒「ま、お互いにお疲れ様ってことだな!」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:51:32.90 ID:0ILXnveC0

P「ここで日頃から頑張ってくれてるトライアドの三人に、朗報があります!」

加蓮「なになに? どんな良い話?」

P「次の仕事なんだけど、慰安の意味も込めて二泊三日、リゾート地での体験レポのお仕事を取ってきました!」

奈緒「おぉ~。珍しくやるじゃん、プロデューサー!」

凛「うん。悪くないね」

加蓮「リゾート!? これは期待しちゃうよ?」

P「はっはっはっはっ! 大いに楽しみにしておいてくれたまえ!」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:52:08.47 ID:0ILXnveC0

『そして後日、港へやって来たトライアドの三人』

奈緒「なぁ、あたし達の乗る船ってどれになるんだ?」

凛「プロデューサーの話だと、この辺のはずだけど……」

加蓮「……それにしても、なんにもないところだね」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:52:42.20 ID:0ILXnveC0

船員「お~い!」

『どうやら、お迎えのようです』

船員「あんたらが、今日予約してた『アイドル』の人かい?」

加蓮「はい……多分、そうですけど」

船員「んじゃ、早いとこ船に乗っちまって……すぐ出発するかんな」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:53:11.76 ID:0ILXnveC0

凛「今日は、お世話になります」

奈緒「あ、お、お世話になります!」

加蓮「お世話になりま~す!」

船員「あいよ~」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:53:44.23 ID:0ILXnveC0
凛『……もばます』

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:54:18.55 ID:0ILXnveC0

『船に揺られる事一時間。目的の島が見えてきました』

奈緒「お! 凛、加蓮! 見えてきたみたいだぞ!」

加蓮「って言っても、さっきから島なら一杯見てるけどね」

船員「それにしても、あんたらも仕事とは言え大変だねぇ」

凛「大変なのは、どんな仕事でも一緒ですよ」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:54:51.02 ID:0ILXnveC0

船員「まぁ、それはそうだがよ~……っよ! ほい、ついたぜ」

凛「どうも、ありがとうございます」

船員「んじゃ、三日後に迎えに来るからぁ」

船員「ほいこれ、預かってた荷物な」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:55:43.07 ID:0ILXnveC0

加蓮「結構大きめなバッグ……これ、なんの荷物だろ?」

船員「本気でやばくなったら、中に入ってる無線で連絡してくれや。じゃ、気をつけてな」


奈緒「無線……? あ、ちょっと!」

加蓮「……行っちゃったね」

奈緒「なんかさ、様子がおかしくないか?」

『確かに、リゾート地にしてはこの島は人気が無いように見えます』

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:56:58.74 ID:0ILXnveC0

凛「ねぇ奈緒。そのバックちょっと貸してくれない?」

奈緒「あ、うん」

加蓮「ねぇねぇ、何が入ってるの?」

『さて、バックの中から、渋谷くんが綴じられた書類を取り出しました』

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:57:31.73 ID:0ILXnveC0

凛「……これ、どう思う?」

奈緒「なんか、企画書みたいだけど……?」

加蓮「二泊三日の……アイドル無人島サバイバル……」

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:58:01.54 ID:0ILXnveC0

凛「出演者のところにさ、輿水幸子って」

「「えっ……」」

凛「後、我那覇響、宮尾美也とも書いてあるね」

「「えぇぇーーっ!!!!」」

『――どうやら三人は、輿水くん達と間違われてここに連れてこられたようですね』

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 04:58:30.44 ID:0ILXnveC0
加蓮『も、もばますぅ』

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 12:23:58.82 ID:0ILXnveC0

加蓮「これってさ、テレビで見たことあるんだけど」

加蓮「『生っすかウェンズデー』だよね?」

奈緒「多分、間違いないと思う」

凛「……なにそれ?」

加蓮「えっ」

奈緒「凛! 『生水<なまみず>』知らないのか!?」

凛「う、うん」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 12:24:39.25 ID:0ILXnveC0

奈緒「水曜の深夜にやってる、『生っすかサンデー』のスピンオフ番組だよ!」

奈緒「元々は、『サンデー』でやってた『響チャレンジ』ってコーナーがあって」

奈緒「そこにうちの幸子がゲストで登場してさ、これは良いコラボだって」

奈緒「週一放送のレギュラー番組に昇格したんだよ」

凛「へぇ……そうなんだ」

加蓮「あー、そうだったんだ」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 12:25:14.53 ID:0ILXnveC0

奈緒「あれ? 加蓮も見てるんじゃなかったの?」

加蓮「アタシは、たまたまテレビでやってたの見ただけだよ」

加蓮「それより奈緒、随分詳しいんだね」

凛「……ファン?」

奈緒(あ、墓穴掘ったかも)

『どうやらそのようです』

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 12:25:42.66 ID:0ILXnveC0
奈緒『もばます!』

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:20:06.45 ID:0ILXnveC0

加蓮「とりあえずさ、手違いでここに連れてこられたんだったら」

加蓮「連絡して迎えに来てもらおうよ! 確か、無線で呼べっていってたじゃん?」

奈緒「そういえば、そんなこと言ってたな」

『三人はバッグの中から、小さな無線を取り出しました』

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:20:44.79 ID:0ILXnveC0

凛「……ノイズばっかりで、繋がんないね」

加蓮「えぇー。携帯も圏外なんだけど」

奈緒「凛、チャンネルが合ってないのかも」

凛「チャンネル……あぁ、コレを合わせてったらいいんだ?」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:21:12.18 ID:0ILXnveC0

『ザ、ザザー…………』

『ザザー、キュイーン…………』

『イーン……ら……じゃ』

凛「あ、なんか入ったかも」

奈緒「ホントか!?」

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:21:41.21 ID:0ILXnveC0

ピピッ

『――こちらアイドルフォース所属! 最上です! そちらの状況は!? ガガッ』

凛「え、えっと……どちら様ですか?」

『ドドド……チュイーン! あ、あれ? 監督! なんだか無線の調子が――ブツッ』

凛「……切れちゃった」

奈緒「あーもう何やってんだ! 貸して!!」

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:22:12.95 ID:0ILXnveC0

奈緒「ここを……こうやって……」

 ピュイーン…………。
 
奈緒「あっ」

加蓮「どうしたの?」

奈緒「バッテリーが……切れた」

32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:22:41.71 ID:0ILXnveC0
『もばます!』

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:23:09.38 ID:0ILXnveC0

加蓮「マジなんなの! ちょっと、しっかりしてよね!」

奈緒「あ、あたしのせいかよ!?」

加蓮「どうすんのよぉ~。予備のバッテリーとか、入ってないの!?」

凛「……無いみたい」

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:23:39.40 ID:0ILXnveC0

加蓮「そ、そんな……リゾートでバカンスだって聞いてたのに……」

凛(バカンスとは言ってなかったと思うけど)

加蓮「こんな無人島で……誰も助けに来てくれないなんて……」

加蓮「これはもう遭難だよ! ロビンソン・クルーソーだよ!!」

奈緒(ロビンソン漂流記は知ってるんだ)

35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:24:22.64 ID:0ILXnveC0

凛「ねぇ、ちょっと落ち着こうよ」

加蓮「凛……」

奈緒「なんだよ……」


凛「二人ともさ、思い出してみて」

凛「これも、結局私達『アイドル』の仕事なんだよ」

凛「なら、その仕事を途中で放ったらかしにして帰るなんて……できないと思わない?」

奈緒(……何言い出してんだ、凛は)

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:25:01.18 ID:0ILXnveC0

凛「出演者が違っても、この場所に『アイドル』が降り立った時点で、企画は動き出してるんだ」

凛「中途半端に出来ませんって逃げるのは……らしくないよ」

凛「コレまでだって沢山の困難を乗り越えてきた私達だよ?」

凛「今回の試練だって……私は正面からぶつかっていきたいと思うな」

37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:25:40.40 ID:0ILXnveC0

奈緒(……え、どゆこと?)

加蓮「り、りぃん……」

奈緒「加蓮……?」

加蓮「アタシが、間違ってたよ! そうだよね、らしくないよね!」

奈緒「っ!?」

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:26:15.30 ID:0ILXnveC0

凛「わかってくれたんだね……ごめん、年下なのにでしゃばっちゃってさ」

加蓮「大丈夫、わかってるよ……だって私達――」

加蓮「三人で、トライアドプリムスだもん……ね! 奈緒!」

奈緒「あ……うん……」

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:26:55.83 ID:0ILXnveC0

凛「それじゃあ、私達三人、力を合わせて三日間を乗り切ろうよ!」

加蓮「おぉーっ!!」

奈緒「お、おぅ……」

『神谷くん、その場の勢いに流されて、三人の無人島生活スタートです』

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 13:27:23.76 ID:0ILXnveC0
奈緒『も、もばます?』

45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:29:17.09 ID:0ILXnveC0

『一方その頃、某リゾート地では』

幸子「無人島でサバイバル……のはずですよね?」

響「うん……そう聞いてたけど」

美也「皆さ~ん! 次はあちらに行ってみませんか~? なんだか楽しそうですよ~!」


幸子「ここ、どうみてもリゾート地に見えるんですけど」

響「……ドッキリ?」

幸子「でも、それにしたら予算が掛かってる気がします」

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:30:01.80 ID:0ILXnveC0

『そこに、P到着』

P「ええっ!? 何で幸子がここにいるの!」

幸子「なんでって……予定されてた港に行ったら、ここに連れてこられたんですよ」

P「それに765の……じゃあ、もしかして凛たちは……」

幸子「り、凛さんがどうかしたんですか?」

47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:30:37.85 ID:0ILXnveC0

P「幸子達と間違えられて、無人島に連れてかれてるかも」

幸子「そ、それってかなりマズイんじゃないですかぁっ!?」

P「…………よし」

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:31:05.80 ID:0ILXnveC0

P「幸子達には、このままリゾート体験レポを引き続き行ってもらう」

幸子「じゃあ、凛さん達は……」

P「あぁ! こうしちゃいられない……すぐに迎えに行くさ!!」

P(それまで、待っててくれよ! 三人とも!)

49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:32:01.01 ID:0ILXnveC0
P『うぉぉーっ! もぉばぁまぁすぅーっ!!』

50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:32:40.57 ID:0ILXnveC0

『そして再び、無人島』

凛「それじゃ、当面は企画書に沿ってやっていこうか」

奈緒「バッグの中にカメラは入ってたけど……ほんとにこんな手持ちカメラで撮影してんだな」

凛「書類によれば、基本は出演者の一人がカメラ撮影って書いてあるけど……」

51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:33:14.41 ID:0ILXnveC0

奈緒「じゃ、この中で比較的機械に詳しいあたしが――」

加蓮「はいはいはいはい! アタシ! アタシ撮影係やりたいー!」

奈緒「うぉっ! な、なんだよいきなり……」

加蓮「いやー、一度さ! こういうカメラマンみたいな事してみたかったんだよね!」

52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:33:48.45 ID:0ILXnveC0

凛「じゃあ、撮影は加蓮に任せるよ。いいよね? 奈緒?」

奈緒「別に……あたしはかまわないけどさ」

加蓮(ふっふっふ……撮影係なら、そんなにキツクないだろうし)

加蓮(病弱なアタシには、ピッタリの役割でしょ!)

53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:34:22.29 ID:0ILXnveC0

奈緒「本当に良いのか? 加蓮」

加蓮「えっ?」

凛「奈緒! せっかく加蓮がやる気なんだから、水を差しちゃ悪いよ」

奈緒「そうか……じゃあ、頼んだぜ加蓮! しっかり撮ってくれよな!」

加蓮「う、うん……ねぇ、撮影係って、もしかして大変?」

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:35:04.15 ID:0ILXnveC0

凛「そうだね。基本ずっとカメラ持ちっぱなしだし」

奈緒「肩で担ぐならともかく手持ちだからな……ぶれないように長時間支えとくのって凄く辛いと思う」


加蓮「げっ……」

凛「でも、あえてそういう大変な役に挑戦する加蓮、格好良いと思うよ」

奈緒「成長したよな! いつまでも病弱キャラじゃないってとこ、この撮影を通して見せてやろうぜ!」

55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:35:35.64 ID:0ILXnveC0

加蓮「あ、あのアタシやっぱり――」

凛「加蓮……頑張ろうね!」

加蓮「が、がんばる……」

『渋谷くんの満面の笑顔に、北条くん諦めました。撮影係に決定です』

56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 17:36:04.18 ID:0ILXnveC0
加蓮『うぅ……もばます』

58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:38:36.00 ID:0ILXnveC0

『無人島生活一日目 午前』

凛「とりあえず、バッグの中にはナイフとかロープとか……必要最低限の道具は入ってたけど」

奈緒「三人分の飲み水と、携帯食料もあったのは助かるな」

凛「それは食べ物が手に入らなかった場合を考えて、なるべく取っておく事にしようね」

59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:39:09.62 ID:0ILXnveC0

加蓮「――それで、これからどうするわけ? テレビとかだと、まず寝る場所を探したりするけど」

凛「加蓮。一応これもテレビだよ」

奈緒「そうだなぁ。水辺の近くは色々と危ないって言うし、海岸はパスかなぁ」

奈緒「島自体もそんなに大きくはなさそうだし……一回りしてみる?」

凛「そうだね。それからどこに拠点を作るか決めようか」

60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:39:42.32 ID:0ILXnveC0

『三人が島を回る事一時間』

奈緒「えー非常に幸運な事に、屋根のついた建造物を発見しました」

加蓮「柱の上に板を乗っけただけで、壁も何にもないけどね」

奈緒「贅沢言うなよ……屋根があるだけいいだろ!」

61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:40:11.25 ID:0ILXnveC0

凛「そういえば、他にもお堂みたいなのがあったけど」

加蓮「あっちはなんか怖いからヤダ」

奈緒「でもこの建物……どっかで見たことある気がするんだよなぁ」

62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:40:43.47 ID:0ILXnveC0
『もばます!』

63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:41:18.30 ID:0ILXnveC0

『無人島生活一日目 午後。拠点を見つけたというのに、三人の間には険悪な雰囲気が流れています』

凛「さてと、反省会しようか」

奈緒「…………」

加蓮「…………」

64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:41:47.05 ID:0ILXnveC0

凛「これはさ、もしもの時のための備えだったわけだけど」

『あ、先ほどの携帯食料の事ですね』

凛「……なんで食べたの?」

奈緒「ご、ごめん」

加蓮「……つい、お腹空いちゃって」

65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:42:39.46 ID:0ILXnveC0

凛「うん。お腹が空いてて、我慢が出来なかったんだよね」

凛「ちょうどお昼だし、今日は朝も早かったから、何か食べたくなる気持ちも分かるよ」

凛「でもさ……食べ物は三人分あったんだよね?」

凛「なんで私が水場を探しに行っている間に、全部食べちゃったの?」


『どうやら渋谷くんが水源を探しに行っている間、留守番をしていた二人が彼女の分まで食べちゃったようです』

66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:43:15.01 ID:0ILXnveC0

加蓮「あ、アタシは止めようって言ったんだけど、奈緒がちょっとぐらいなら大丈夫だって……」

奈緒「なっ! あたしはちゃんと三人分に分けてから食べたじゃんか!」

加蓮「でもでも! 我慢できなくて結局食べちゃったのは奈緒でしょ!?」

奈緒「加蓮だって最後には一緒になって――」


凛「「いいかげんにしてっ!!」」

奈緒・加蓮「ビクッ!」

67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:43:40.37 ID:0ILXnveC0

凛「もういいよ……言い訳なんて聞きたくない」

凛「私、これからは一人で生きていくよ……」

奈緒「り、凛……?」

凛「トライアドプリムスは……今日で解散だよ!」

『まさかの解散宣言と共に、バッグを手にとっていずこかへ走り去っていく渋谷くん』

68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:44:11.87 ID:0ILXnveC0

奈緒「り、りーんっ!!」

加蓮「まさか、バッグごと持ってくなんて……!?」

『お腹は膨れたが、飲み水と道具類は全て渋谷くんが持って行ってしまいました』

『無人島生活一日目から波乱の展開、彼女達は無事に、三日後の朝を迎える事ができるのか!?』

69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:45:19.65 ID:0ILXnveC0

P「えっ? 今の時期は漁に出てるから空いてる船が少ない?」

P「しかも海も荒れてきそうだから今から船を出すのも無理?」

『そしてPも、無事に彼女達を迎えに行く事ができるのでしょうか?』

P「それでも三人が、俺の事を待ってるんです! 必ず迎えに行きますよ!」

70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 19:45:52.66 ID:0ILXnveC0
P『もばます!』

74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:11:31.35 ID:4E3UQRaC0

『無人島生活一日目 夜』

奈緒「あたし達が凛の分の食料まで食べた事で、彼女は怒って飛び出してしまった」

奈緒「急いで探しに行ったけど見つかんないし」

奈緒「日も暮れて探索も難しくなったので、仕方なく戻って来たのは良いものの」

奈緒「さ、寒い……」

『雨はしのげても、壁が無いので夜風がもろに吹き付けるのです』

75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:12:05.79 ID:4E3UQRaC0

加蓮「奈緒、アタシ、もうだめだよ……」

奈緒「か、加蓮! しっかりしろよ! このまま寝ちゃ、確実に風邪引くぞ!」

加蓮「あー、火、火が欲しい……温もりがぁ」

奈緒「ライターとかも全部、凛が持ってったバッグの中だよ」

76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:12:38.15 ID:4E3UQRaC0

加蓮「奈緒って、あったかいね……」

奈緒「ちょ、ちょっと! いきなり抱きついてくるなよ!」

加蓮「うー、ぎゅっとしてぇ……あたためてぇ」

奈緒「わ、わかった! わかったから絞めるな! 苦しぃ……」

加蓮「この髪が保温性高いのかな……ふわふわしてるし、動物の毛みたい」

奈緒「怒るぞ」

77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:13:07.84 ID:4E3UQRaC0
加蓮『Zzz……もばます』

78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:13:35.55 ID:4E3UQRaC0

『無人島生活 二日目 朝』

奈緒「結局一睡も出来なかった」

奈緒「おい加蓮、起きろよ……朝だぞ」

加蓮「むにゃ……まだ、あと五分……」

奈緒「……しょうがないな……起きるの待つか……」

奈緒「ふわぁ……なんだろ……いまさら眠気が……」

奈緒「…………Zzz」

79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:14:20.02 ID:4E3UQRaC0

『それから数時間後』

奈緒「ふにゃ……」

加蓮「あ、やっと起きた」

奈緒「ん……加蓮?」

加蓮「まったく呑気だね。お日様もとっくに昇ってるよ?」

加蓮「いつまでも寝ぼけてないで、しゃきっとしなよしゃきっと!」

奈緒(なんだろう……凄く腹立たしいぞ)

80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:14:47.52 ID:4E3UQRaC0
奈緒『……もばます!』

81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:15:37.34 ID:4E3UQRaC0

『目を覚ました二人は、渋谷くんを見つけるため、島の中を探索中です』

奈緒「おーい! りーん!」

加蓮「どこー? アタシ達が悪かったからさー!」

 ガサガサ。
 
奈緒「――あっ」

82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:16:11.52 ID:4E3UQRaC0

 サラサラサラ……。
 
奈緒「川だ……」

加蓮「……喉渇いたね」

奈緒「まぁ、昨日から何にも飲んでないからな」

83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:16:59.93 ID:4E3UQRaC0

加蓮「川の水ってそのまま飲めるの?」

奈緒「一応、沸かしたりして消毒するもんじゃないのか? 道具は無いけど」

加蓮「うぅ……この誘惑は辛いよぉ」

『そのとき、川の反対側に渋谷くんが現れました』

84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:17:28.86 ID:4E3UQRaC0

凛「……奈緒、加蓮」

奈緒「凛……無事だったんだな!」

加蓮「昨日のはアタシ達も悪かったよ……ごめんね」

凛「もういいよ。気にしてないし」

 スッ。

85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:17:58.72 ID:4E3UQRaC0
 
凛「それより二人とも……喉、渇いてるんでしょ?」

『バッグから取り出した鍋に、川の水を汲む渋谷くん』

凛「これからコレを沸かして飲み水にしようと思うんだけど……欲しい?」

奈緒「そ、そりゃあ喉は渇いてるし……」

加蓮「ほ、欲しい!」

86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:18:29.95 ID:4E3UQRaC0

凛「そう……それじゃあ……」

凛「『申し訳ありませんご主人様』って言えたら……」

奈緒「な、何言って――」

加蓮「申し訳ありませんご主人様!」

奈緒「おぉいっ!?」

87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:19:00.56 ID:4E3UQRaC0

凛「『意地汚い自分に飲み水をお与えください、ご主人様』」

加蓮「意地汚いアタシに飲み水をお与えくださいご主人様!」

奈緒「プライドゼロかよお前は!」

凛「加蓮は良い子だね。ほら、こっちおいで」

加蓮「はい!」

 ぴょーん。

88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:20:00.49 ID:4E3UQRaC0
 
加蓮「あぁ~凛ご主人様ぁ~」

奈緒(地獄絵図だ……)

凛「よしよし……それで、奈緒はどうするの?」

奈緒「た、食べちゃったのは謝るけどさ! そんなペットみたいな真似なんてできるかよ!」

89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:20:31.94 ID:4E3UQRaC0

加蓮「……奈緒」

奈緒「なんだよ!?」

加蓮「プライドで喉は癒されないんだよ?」

奈緒「格好つけて言ってるけどさ! 説得力ゼロだかんね!?」

90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:21:02.92 ID:4E3UQRaC0

凛「どうやら奈緒は、水を飲みたくないみたいだね」

凛「それじゃ、行こうか加蓮。実は、食べられる木の実も見つけたんだ」

加蓮「ホントに! 凛!」

凛「……加蓮?」

加蓮「ほ、本当ですか……凛ご主人様」

91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:21:33.33 ID:4E3UQRaC0


奈緒「――行ってしまった」

奈緒「なんだこの状況……極限状態ってのはここまで人を変えてしまうのか?」

奈緒「…………」

奈緒「……この水……そのまま飲めるのかな……

92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 06:22:03.20 ID:4E3UQRaC0
『もばます!』

97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:20:20.32 ID:4E3UQRaC0

奈緒「やっぱ、生水はダメだ……お腹痛い……」

奈緒「なんとなく最初の海岸に来てみたけど……」

奈緒「なんかめっちゃ荒れてるじゃん……天気も悪いし、これで雨まで降り出したら泣くぞ? あたし」

98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:20:51.36 ID:4E3UQRaC0

 ドッドッドッドッドッ……。

???「おーーいっ!!」

奈緒「――ん?」

P「大丈夫かー! 迎えに来たぞー!!」

奈緒「p、Pさぁーん!」

『ナイスタイミング。Pがボートに乗って、荒れる海を渡り迎えに来てくれたようです』

99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:21:23.03 ID:4E3UQRaC0

P「待ってろー! すぐにつくからなぁー!」

奈緒「危ない危ない! 後ろぉーっ!!」

P「――えっ?」

 ざっぱーんっ!
 
『P、高波にさらわれてボートごと転覆』

100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:21:54.56 ID:4E3UQRaC0
P『がぼっごぼっ……もばっ……ます……』

101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:22:25.11 ID:4E3UQRaC0

『ボートに乗って三人を迎えに来たPでしたが、波にのまれ、ボートは流されてしまいました』

P「うぅ……死ぬかと思った」

奈緒「大丈夫か? まだ海草ついてるぞ」

P「なぁに、このぐらい慣れっこさ!」

102: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:23:34.08 ID:4E3UQRaC0


P「ボートは流されたけど、ほら! この通り荷物は無事だ!」

奈緒「そのばかデカイ鞄のせいで溺れかけたの、忘れてないよね?」

P「……これ、中に食べ物入ってるんだけどなぁ」

奈緒「よっ! さすがPさん! あたしはPさんの事信じてたよ!」

P「ゲンキンな奴め……まぁいいや。ほら、缶詰と水な」

103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:24:10.94 ID:4E3UQRaC0

奈緒「うぅ……なぜか涙が出る」

P「ところで、他の二人はどうした? 姿が見えないけど」

奈緒「あぁ……その二人なら……」

凛「ここにいるよ」

奈緒「っ!?」

104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:24:41.81 ID:4E3UQRaC0

P「おぉ! 心配してたんだぞ凛!」

凛「ふふっ、ありがとうプロデューサー」

凛「でも大丈夫だよ。私達、力を合わせて仲良くやってたから」

奈緒「り……凛。どっから出てきたんだ?」

105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:25:11.31 ID:4E3UQRaC0

凛「プロデューサーと私は、信頼の絆で結ばれてるからね」

凛「例え姿が見えなくても、近くに来たらすぐにわかるよ」

P「信頼の絆か……なんだか嬉しい事言ってくれるなぁ」

凛「ふふっ……ちょっとプロデューサー撫でないでよ……奈緒が見てる」

奈緒(もう、突っ込むのは止めよう)

106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:25:43.82 ID:4E3UQRaC0
凛『もばます……ふふっ』

107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:26:12.17 ID:4E3UQRaC0

奈緒「ところで、加蓮はどうしたんだ?」

凛「加蓮なら、私達の拠点で留守番してるよ」

P「そうなのか? なら、早く会いに行ってやらないとな」

奈緒「拠点って……ここ以外にも寝泊りできる場所ってあったっけ?」

凛「ほら、あのお堂があったでしょ? 加蓮は入るの嫌がってたけど」

108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:26:53.73 ID:4E3UQRaC0

『凛の案内でお堂に移動する一行』

凛「加蓮ー? 戻ったよー」

加蓮「あ……うぅ……」

奈緒「ど、どうした加蓮!?」

P「何てこった……謎の液体でべとべとじゃないかっ!?」

凛「一体何があったって言うの!?」

『そこでP達が見たのは、お堂の床に倒れる、変わり果てた北条くんの姿でした』

109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:27:26.60 ID:4E3UQRaC0

加蓮「あ、あぅ……」

P「ダメだな……完全に放心状態だ」

奈緒「な、なぁ……やっぱりこのお堂はなんかヤバイよ……」

奈緒「あ、あたし戻る! こんな何かいるかもしれない場所になんていられないよ!」

110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:27:59.98 ID:4E3UQRaC0

 ガチャ!
 
 ドザザザザー……。

奈緒「あ……あぁ……」

P「諦めろ、奈緒。この雨と風はさっきの場所じゃ凌げないよ」

凛「どうやらここで一夜を明かすしかないみたいだね」

奈緒「そんなぁ……」

111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:28:25.21 ID:4E3UQRaC0
『もばます!』

112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:29:05.06 ID:4E3UQRaC0

『無人島生活 二日目 夕食後』

 ヴァイ……ヴァイ……。

P「この酷い雨の中、蛙が鳴いてるみたいだな」

凛「蛙なの?」

奈緒「もうなんだって良いよ。とりあえず朝になったら迎えがくるんだろ?」

P「そのはずだけど、このまま雨が降り続けたら正直わからん」

113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:29:42.12 ID:4E3UQRaC0

加蓮「う~……」

凛「加蓮もあれから目を覚まさないし……心配だね」

奈緒「一体何に襲われたのか……この調子じゃ聞く事もできないし」

 ドガンッ!!
 
P「な、なんの音だ!?」

凛「扉に何かぶつかったみたいだけど……」

114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:30:20.36 ID:4E3UQRaC0

 ヴァイ……ヴァイ……ヴァイ……。

凛「ねぇ、鳴き声が大きくなってる気がしない?」

P「い、言われてみたら確かにそんな気もするけど……まさか」


 ガン、ガン、ガタガタ、ドンッ!
 
奈緒「や、やばいよやばいよ……」

凛「プロデューサー! 加蓮を抱えて! 逃げ出せる準備をしないと!」

P「で、でも入り口は一つしかないぞ!」

115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:30:49.51 ID:4E3UQRaC0

 メキメキメキッ――!
 
奈緒「だ、だめだ……扉が……」

凛「くっ……入ってくる気!?」

P「あ、あぁ……外に!外に!」

116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 12:31:17.84 ID:4E3UQRaC0
『かっかー!』

122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:35:39.37 ID:4E3UQRaC0

奈緒「うぅ……はっ!」

奈緒「あ、あたしは一体……皆は……」

凛「う、うぅん」

P「あ、頭がガンガンする……」

奈緒「凛! Pさん! 無事なの!?」

123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:36:12.85 ID:4E3UQRaC0

凛「ここは……お堂……?」

P「一体何があったんだ……外から大量の黒い影が入って来たところまでは覚えてるが」

加蓮「あ……あぁ……か、かっか」

奈緒「加蓮! すっかり忘れてた……大丈夫か!?」

凛「酷い……また謎の液体でべとべとだよ……」

124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:36:56.04 ID:4E3UQRaC0

『色々ありましたが、なんとか無人島生活三日目の朝を迎えました』

奈緒「あ……」

P「朝日だ……」

凛「なんだか、ここに来てから色々あった気がするよ……」

125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:37:29.85 ID:4E3UQRaC0

加蓮「はっ……あれ? 奈緒に、プロデューサー?」

奈緒「加蓮! 気がついたのか!」

加蓮「なんか……全身べたべたするし……昨日のお昼ぐらいからの記憶が無いんだけど」

P「いいんだよ加蓮。人には、覚えてないほうが幸せな記憶だってあるさ」

加蓮「そ、そうなのかな?」

126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:37:58.68 ID:4E3UQRaC0

凛「あ、見て! 迎えの船だよ!」

『どうやら、長かった無人島生活も終わりが近づいてきたようです」

奈緒「思い出したんだけどさ」

凛「何を?」

奈緒「加蓮が持ってたカメラ……撮影らしい事殆どしてなかったけど大丈夫なのか?」

加蓮「……言われてみれば……っていうか、カメラもどこやったかわかんないんだけど」

127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:38:36.39 ID:4E3UQRaC0

 トントン。

加蓮「え……なに?」

謎の生き物「ン゛ブー」

奈緒「な、何だソイツっ!?」

凛「でっかい……」

加蓮「ひ……ひぃ……」

P「加蓮! 動くなよ……そういうのは刺激せずに、ゆっくりと後ろに下がるんだ……」

128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:39:05.76 ID:4E3UQRaC0

 じりじり……。
 
謎の生き物「ン゛ブーヴ」

 スッ。
 
奈緒「な、なんだ?」

凛「それ……加蓮のカメラじゃない?」

『どうやら、カメラを持ってきてくれたようです』

加蓮「ど、どうも……」

謎の生き物「ン゛ブー」

129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:39:38.14 ID:4E3UQRaC0


凛「――行っちゃった」

奈緒「び、びっくりしたぁーっ! 何だよアレ! 何だよアレェ!」

P「だ、大丈夫か加蓮?」

加蓮「…………」

 バタリッ。
 
P「か、かれぇーんっ!!」

130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:40:08.10 ID:4E3UQRaC0
『もばます!』

131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:40:38.10 ID:4E3UQRaC0

奈緒「まぁ、なんだかんだあったけど。こうして無事に帰りの船には乗れてるし」

凛「長いようで短い三日間だったね」

加蓮「ねぇねぇ二人共! これみてこれ!」

奈緒「なんだよ……さっきのカメラか?」

132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:41:11.84 ID:4E3UQRaC0

 カチッ。

『――さてと、反省会しようか』

凛「これって……初日の」

奈緒「あの変な生き物が撮影してたのか?」

加蓮「そうだと思う……」

133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:41:40.38 ID:4E3UQRaC0

凛「このテープがあれば、一応今回の仕事はこなせたって事になるよね」

凛「ふふっ……感謝しないといけないや」

『いつかまたこの無人島に来た時に、今回のお礼をしようと心に決めた渋谷くんでした』

奈緒「あんな見た目なのに、器用なもんだよなー」

加蓮「これさ、アタシが留守番してる所とかは撮れてないんだけど……」

134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:42:09.79 ID:4E3UQRaC0

凛「ところで二人とも」

奈緒「? どうした、凛」

凛「何か、忘れてないかな?」

加蓮「えっと……確かに、何か忘れてる気がするけど」

『そう、何か忘れてるんです』

135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:42:46.22 ID:4E3UQRaC0

凛「向こうに帰ったら、反省会の続き、しようね?」

奈緒「……まだ根に持ってたのか」

加蓮「あ、アタシはすっかり反省してます! 凛ご主人様ぁ~!」

凛「加蓮、泣いても許されないから」

凛「ふふっ……楽しみだね」

「「ひ、ひぃぃ~っ! ごめんなさぁ~いぃ!!」」

136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:44:03.99 ID:4E3UQRaC0

『こうして、勘違いから始まった三人のサバイバル生活は幕を閉じました』

『この後、録画されたビデオを見た番組ディレクターから彼女達に新たなチャレンジのオファーがあったりもしましたが』

『それはまた、別のお話です。それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう!』


 おわり

139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:46:58.45 ID:4E3UQRaC0
『もばます!』

140: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 16:47:48.67 ID:4E3UQRaC0

P「って! 終わってない! 俺! 俺がまだ無人島に残されたまんまだよっ!」

P「だ、誰か! この際鬼でも悪魔でも! ちひろさんでも良いっ!!」

P「誰か! 誰か助けてくれぇぇ~~っ!」


『こんどこそ、本当におしまいです』