1: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 20:58:12.14 ID:hpb97BWSO


―――事務所


李衣菜「――お? なに食べてるの、加蓮」


加蓮「んぅ。ひなあられ」モグモグ

李衣菜「おー、懐かしー。それ、泰葉がお仕事でもらってきたやつ?」

加蓮「うん。食べる?」

李衣菜「もち。おひとつくださいなー」

加蓮「んー」


ころっ……


李衣菜「……いや、おひとつとは言ったけどさ。まさかひと粒とは」

加蓮「んふふ♪」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457006292

引用元: モバP「だりやすかれんと桃の花」 


 

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3: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:11:10.12 ID:hpb97BWSO
李衣菜「なんだよー、小袋に入ってるんだから普通ひと袋でしょー」ペシペシ

加蓮「美味しいから李衣菜にはあげなーいっ、ふふふー」

李衣菜「加蓮のけちー!」


泰葉「――また李衣菜いじめてる。めっ」ペチ

加蓮「あうっ。あ、泰葉」

李衣菜「救世主泰葉! 私にもひなあられを恵んで~」

泰葉「んー、ひなあられは加蓮にあげたのだけだから……三色ゼリーも一緒にもらったから、こっち食べましょうか」

4: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:14:16.27 ID:hpb97BWSO
李衣菜「おっ、なにそれ。聞いたことないや」

泰葉「ふふ、菱餅の形をしたゼリーよ。学校の給食で出たりしたみたい――はい、どうぞ」

李衣菜「へー……わ、ほんとに見た目菱餅だ。へへ、美味しそう♪」

加蓮「泰葉、私の分はー?」

泰葉「ひなあられが美味しいならいらないでしょう?」

加蓮「えー、そんなぁ……」

泰葉「李衣菜をいじめた罰です。ふふふ」

5: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:19:00.37 ID:hpb97BWSO
加蓮「むー、正直あらればっかりだと口の中が乾くんだよね……」ムグムグ…

李衣菜「……しょうがないなー。ほい、あーん」

加蓮「へ、くれるの?」

李衣菜「いらないの? ほらほら」

加蓮「ぁむっ。……んー♪」

李衣菜「どうだ、美味しいだろ。そしたらひなあられをよこしてもらおうか、ふっふっふ」

加蓮「…………。それはいやー」プイッ

李衣菜「ちょ、なんだよそれー! ほんとにずるいじゃん、だったらゼリー吐けー!」

加蓮「ふふー、そんな約束してないし~♪ 李衣菜が勝手にくれたんだもんっ」


泰葉「もう……しょうがないんだから。……ふふ、ゼリー美味し……♪」

6: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:21:46.79 ID:hpb97BWSO


―――


泰葉「――そういえば。今日のお仕事で、撮影用に流し雛もやったんだけど……」


李衣菜「もぐもぐ」

加蓮「もぐもぐ」

泰葉「……ゼリー美味しい?」

李衣菜「ん、だいじょーぶ。聞いてるから」

加蓮「うんうん」

泰葉「くすっ……ならいいんだけど。それでね、流し雛って『無病息災』を願ってするものらしいの」

7: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:25:08.50 ID:hpb97BWSO
李衣菜「無病息災」

泰葉「そう、無病息災」

加蓮「……視線が私に向いてるのはもうお約束として。楽しかった?」

泰葉「ええ、とっても。川の流れに乗って、どこまで行くのかな……とか考えたの」

李衣菜「どこまで、か……。海まで行ったりして!」

加蓮「その前に石とかにぶつかって転覆でしょ、どう考えても」

李衣菜「うわ、夢ないなぁ……まぁそうだろうけどさ」


泰葉「……お仕事とは別に、私たち3人をかたどった紙人形を乗せて流した、ってお話をしようかと思ったんだけどな……」ズーン…

「「あっ」」

8: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:29:24.18 ID:hpb97BWSO
泰葉「そうよね……どうせすぐ転覆してバラバラになって水に溶けて……。無病息災なんて迷信……ふふ、ふふふ……」ブツブツ…

李衣菜「ああああごめん泰葉! そ、そんなことないって!」

加蓮「だ、大丈夫! 私たちなら7つの海だって超えて行けるはずだから!」

泰葉「ふふふ……いいの。私がメルヘンチックなだけ……。現実をしっかり見てるのは2人だもの、当然よね……」

加蓮「メルヘンとかじゃないってば! 素敵だと思うよ私! ね、ねっ!?」

李衣菜「お、お願いだからハイライト戻してよ泰葉~!」

泰葉「はぁ……」ドヨーン…


泰葉(……くすくす♪ 2人とも簡単に騙されちゃうんだから……ふふふっ♪)

9: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:32:03.44 ID:hpb97BWSO


―――


李衣菜「…………」ムスッ

加蓮「…………」ツーン

泰葉「ふふっ、ごめんなさい2人とも。だってすぐ引っかかるんだもの、いつもいつも……♪」

李衣菜「……もう騙されないぞ」

加蓮「泰葉のことなんて絶対信じない」

泰葉「そ、そんな……すんっ、ひどいよ……」

李衣菜「すぐまた嘘泣きする……!」

加蓮「このっ、こうしてやるっ」ムニー

泰葉「んにゅ、んふふっ……♪」

李衣菜「あ、すごいほっぺ伸びる」

10: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:34:49.40 ID:hpb97BWSO
加蓮「泰葉の紙人形だけ舟から落ちないかな……」

泰葉「あ、ひどい。でも大丈夫、しっかり糊付けしたもの」

李衣菜「そういや、3つも乗せて平気だったの? バランスとか」

泰葉「ええ、そこは上手くやったから。普段のドールハウス作りが役に立ったかも」

加蓮「じゃあ安心か……残念」

李衣菜「あはは。加蓮、根に持ちすぎだよ」

11: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:36:58.19 ID:hpb97BWSO
泰葉「ふふ、桃のお花もたくさん飾り付けたの。いつまでもずっと一緒にいられますように、って」

李衣菜「あ、そっか。桃の節句、だもんね。……桃のお花ってどんな意味あるんだっけ?」

泰葉「……実はそれはあんまり知らなかったり……」

李衣菜「あらら」

加蓮「もー、そこが肝心なとこでしょ……。――『桃 花言葉』で検索検索っと……」

泰葉「ふふ、ありがと加蓮」

12: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:38:54.39 ID:hpb97BWSO
加蓮「んー……あ、あった。『天下無敵』だって」

李衣菜「おー、花の見た目とは違ってなんか強そう」

泰葉「天下無敵……。私たちも天下無敵?」

李衣菜「うん、強くなろう! 誰にも負けないトップアイドルにっ」

泰葉「うん……なれるなら、なりたいな……!」

加蓮「なりたいじゃなくて、なるのっ。私たち3人で協力してね♪」

李衣菜「頑張ろ、みんなでさ!」

泰葉「ええ――♪」


泰葉(私たちが乗った舟も、いつまでも、どこまでも進んで行けますように……!)

13: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:40:48.60 ID:hpb97BWSO


加蓮「――ところで。もうひとつ面白い花言葉も見つけたんだけど……♪」

泰葉「面白い?」

李衣菜「どんなの?」

加蓮「ふふっ、私たちからPさんへ、ぴったりな意味……かなっ。ほら見て、これ――」


―――

――


14: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:42:12.27 ID:hpb97BWSO


がちゃり


P「ただいま戻りましたー」


ちひろ「あ、プロデューサーさん。おかえりなさい♪」

P「ちひろさん、どうもお疲れさまです。みんなはレッスンですか?」

ちひろ「ええ、先ほど出かけましたよ。……ふふ、デスクの上、見てみてください♪」

P「へ? ……なんですかこの花びら。セロテープで止まってますけど」

15: ◆5F5enKB7wjS6 2016/03/03(木) 21:44:04.36 ID:hpb97BWSO
ちひろ「桃の花びらですって。その3枚分の想い、しっかり受け止めてあげてくださいね?」

P「想い? それってどういう……」

ちひろ「それはご自分で調べてくださいっ。ヒントは花言葉ですよ」

P「??? はぁ、花言葉ですか……。まぁ調べますけど――」カタカタ…


ちひろ「ふふふ。まさに女の子のためのお花ですね、桃のお花は……♪」ニコニコ



おわり