前回 ジャン「カレー・ライス?」

2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:21:02 ID:lrk6CrvA
サシャ 「マルコが入院したんですか?」

アルミン「実はマルコは、薬物による幻覚の症状にずっと悩まされていたんだ」

サシャ 「え、そうなんですか!? 本当に……?」

アルミン「残念だけれど。でもマルコが悪いわけじゃないんだ」 




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3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:21:40 ID:lrk6CrvA
サシャ 「でもそんな、入院するほどだなんて……」

アルミン「いや、直接の原因は、コニーと獲った"腐った豆"らしいんだけれどね」

サシャ 「あぁ、あれですか。酷い話でしたねぇ」

アルミン「でも、それより前から、ジャン達に混乱して"間違った植物の話"をしたのを、
ずっと気にしていたんだ」 


4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:22:39 ID:lrk6CrvA
サシャ 「そんなことあったんですか?」

アルミン「僕はその場にいなかったけど、そうらしいよ」

サシャ 「もしかして、魔女の大釜のときですかね。"カンテンの草"がどうとかって話すのが聞こえました」

アルミン「"壁の中にありもしない植物を、さも当然のように語ってしまった"って言ってたよ」 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:23:17 ID:lrk6CrvA
サシャ 「ちょっとした勘違いだったんでしょうね」

アルミン「でも、それを気にしすぎて、マルコは心を病んでいたんだよ。
     この間、コニーが気分転換に連れ出したんだけど、
     タイミング悪く、"腐った豆"の臭いで止めを刺されて心が折れたんだろうね。
     入院するまでになってしまったんだ」 

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:25:44 ID:lrk6CrvA
サシャ 「マルコは生真面目ですからね、そんなことを気にしていたんでしょうか」

アルミン「僕がマルコに、外の世界の植物辞典なんて貸さなければ、こんなことには」

サシャ 「アルミン、気にし過ぎるのは良く無いですよ」

アルミン「そうだね。気にしすぎても、何も良いことが無い」

サシャ 「そうですよ、気にしたらダメです」 

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:26:24 ID:lrk6CrvA
アルミン「食糧事情が厳しいはずなのに、肉やバターや餡子を普通に食べたり
     麻婆豆腐が普通にあるのに、カレーライスが一般的でなかったりしてるけど、
     そんなことを気にしていると、また誰かが入院してしまうから」

アルミン「気にしてはいけないんだ。いいね?」 

8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:26:54 ID:lrk6CrvA
サシャ 「誰に言ってるんですか?」

アルミン「気にしてはいけないよ」

サシャ 「そうなんですか」 

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:27:25 ID:lrk6CrvA
エレン 「二人で何の話してるんだ?」テクテク

サシャ 「気にしたらダメですよ」

エレン 「?」 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:28:35 ID:lrk6CrvA

サシャ 「そういえば、アルミンにお願いしたいことがあるんです」

アルミン「僕に?なんだい?」

サシャ 「アルミンは、エレンの特訓をしているんですよね?」

エレン 「あぁ、そうだな」

アルミン「うん、ミカサと三人で、山の中でやってるよ」 

11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:29:06 ID:lrk6CrvA
サシャ 「私も、それに混ぜて欲しいんです」

エレン 「俺は構わないぞ」

アルミン「僕もいいけど、なんでまた」

サシャ 「私、夕市で"大猪"って呼ばれてるじゃないですか。
     でも、人に迷惑かけちゃうのは良くないし、
     お腹が空いても、自分を保てるようになりたいんです」 

12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:29:36 ID:lrk6CrvA
アルミン「なるほど、前にエレンが暴走しているのを見たからだね」

サシャ 「ミーナに聞きました。エレンは力を制御できるようになってるみたいだって」

エレン 「まだ完璧じゃねえけどな」

アルミン「女の子って、噂が広がるのが早いね」

サシャ 「私も、そういう風に、なりたくて……」ヘヘヘ 

13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:30:07 ID:lrk6CrvA
アルミン「わかったよ、一緒に訓練しよう」

エレン 「アルミンに任せれば大丈夫だ。俺だってうまくいったんだから」

サシャ 「ありがとうございます!」

アルミン「じゃあ、明日からやるからね」 

14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:30:53 ID:lrk6CrvA
次の日 山中

アルミン「まず、最初に気をつけるのは、エレンとサシャは逆だってことだよ」

エレン 「逆って、どういうことだ?」

ミカサ 「エレンは、力の制御に腹の虫の加護を使っている」

アルミン「そう。エレンは空腹によって、自我を保つ手段を手に入れたんだ」 

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:31:24 ID:lrk6CrvA
サシャ 「私は、お腹が空きすぎて自我を失ってますから……」

エレン 「確かに逆だな」

サシャ 「やっぱりアルミンにも無理なんでしょうか」

アルミン「そんなことないさ。エレンも最初は手探りだったんだ。まずはやってみよう」 

16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:32:38 ID:lrk6CrvA
サシャ 「私はどうすればいいですか?」

アルミン「"大猪"になる空腹のボーダーラインを探そうか。その手前で踏みとどまれるように」

サシャ 「わかりました!お腹をすかせれば良いんですか?」

アルミン「そうだね、お昼まで対人格闘訓練をしながら、その辺りを探っていこうか」 

17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:33:25 ID:lrk6CrvA

ガサッ

ミカサ 「そこにいるのは誰!」

オルオ 「!」

アルミン「あれ、確か、"双頭の鷲"のオルオさん?」

サシャ 「……?」

エレン 「オルオさんって、調査兵団の人ですか!?」パァアア 

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:34:34 ID:lrk6CrvA
オルオ 「お前ら、こんなところで何してやがるんだ?」

ミカサ 「貴方の知るところではない」キッ

エレン 「やめろよ、ミカサ」

アルミン「僕達は、ここで自主訓練中です」 

19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:35:06 ID:lrk6CrvA
オルオ 「随分と熱心な訓練兵だな。憲兵団狙いか」

エレン 「いえ、俺は調査兵団に入りたいです!」

オルオ 「お前、見込みがあるな」フフン 

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:35:43 ID:lrk6CrvA
サシャ 「あの、前にどこかで……?」

オルオ 「げっ、"時限装置"じゃねえか」

サシャ 「あ、前に夕市でご迷惑を……」ヘヘヘ

オルオ 「迷惑どころじゃねえ!お前に、腹を食い破られそうになったんだよ!」 

21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:36:24 ID:lrk6CrvA
エレン 「今それを克服しようと、一緒に訓練しているんです!」

オルオ 「それが出来るならいいけどよ」

ミカサ 「サシャは、やれば出来る子」

サシャ 「ミカサ……」ジーン 

22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:36:59 ID:lrk6CrvA
アルミン「オルオさんは、何でここに?」

オルオ 「最近、ここに蜂が巣を作ったらしくてな、駆除しにきた」

エレン 「なんで、調査兵団の人がそんなことを?」

オルオ 「……蜂の巣には、ハチミツがある」 

23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:37:32 ID:lrk6CrvA
サシャ (ハチミツ……!)

ミカサ 「それを取りに来た、と?」

オルオ 「俺が食うわけじゃねえ。が、な」

アルミン(多分、リヴァイ兵長にあげるんだ……) 

24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:38:32 ID:lrk6CrvA
サシャ 「あの、私もお手伝いします!」

オルオ 「あぁ? 別にいらねぇよ」

エレン 「俺も行きます!調査兵団の人から、勉強させて貰いたいです!」

オルオ 「チッ、仕方ねえな。邪魔はするなよ」 

25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:39:04 ID:lrk6CrvA
ミカサ 「エレン、やめたほうが良い。蜂に刺されたら危険」

エレン 「蜂が恐くて巨人が駆逐できるかよ」

サシャ 「ハチミツ、沢山取れたらみんなで食べましょう!」

アルミン「ミカサ、僕も止めたいけど、言って聞く顔してないよ」

ミカサ 「はぁ……わかった、私とアルミンは先に戻っている」

アルミン(エレン、君は気づいていないけど、ミカサは君が怪我をすることを見越してるよ。
     その後のお説教と、次に何か言うことを聞かなかった時に、この話を持ち出すところまで予想できる) 

26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:39:36 ID:lrk6CrvA

エレン「蜂の巣、見つからないですね」

サシャ「ハチミツの匂いもしないです」

オルオ「もう、誰かに駆除されちまったのかもしれねえな」

エレン「あ、いた。蜂を見つけましたよ!」ガサガサ

オルオ「おい、あまり近づきすぎるな!」 

27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:40:09 ID:lrk6CrvA

ブーン

チクッ


エレン「うっ、蜂に刺された!」

オルオ「チッ、人の話を聞かねからだ」

サシャ「針は無いですね」スゥーペッ

エレン「サシャ?」 

28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:40:41 ID:lrk6CrvA
サシャ「刺したのは蜂じゃないかもしれないです。
    一応、吸い出しましたけど、出来れば軟膏が欲しいですね」

オルオ「近くに温泉施設がある、人がいるから、薬もあるだろう」

サシャ「温泉ですか、私も汗かいたんで、お風呂はいりたいです」

※素人判断は大変危険です。必ず医者に行きましょう。 

29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:41:11 ID:lrk6CrvA
3時間前のペトラ

ペトラ「雑誌にあった、美肌の湯はここね!」

"病気は肌の乱れから!?肌荒れは乙女の大敵!!"

ペトラ「それは大変!すぐに治療しないと!」スルスル

カッポーン 

30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:41:54 ID:lrk6CrvA
男子脱衣所

オルオ「軟膏貰ったから、塗っとけ」ポイッ

エレン「え、何でズボンを、脱いでるんですか!?」

オルオ「俺は風呂に入るんだよ。……お前は入るなよ」

エレン「刺されてなければ、温泉に入れたのに」

オルオ「また来れば良いだろう。お前らは近いんだからよ」

エレン「まぁ、そうなんですけど……」 

31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:42:24 ID:lrk6CrvA
女湯

サシャ「」

ペトラ「」グデーン

サシャ「大丈夫ですか!?こんなになるまで!?何時間入ってたんですか?」

ペトラ「ここ、美肌の湯でね、あんまり来られないから」ハァ

サシャ「長く入れば良いってもんじゃないですよ!?」

ペトラ「アンモニアがね!アンモニアが効くからね!」ハァハァ

サシャ「わかりましたから、一回出ますよ」 

32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:42:56 ID:lrk6CrvA

ペトラ「助かったわ、サシャ。ありがとう」ホカホカ

オルオ「お前、前に威厳がどうとか言ってたけどよ、普段の行動に問題があるんじゃねえか?」ホカホカ

ペトラ「うるさいオルオ!」

サシャ「湯船で人が倒れてたら、誰でも助けますよ」ホカホカ 

33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:43:28 ID:lrk6CrvA
ペトラ「それでも助けてもらったんだから、何かお礼をしないとね」

サシャ「いえ、別に、そんな、気にしないでください」

ペトラ「あ、そうだ。そこに行きましょう」

オルオ「あぁ、それならいいかもな」

エレン「?」

サシャ「?」 

34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:44:00 ID:lrk6CrvA
温泉施設 特設会場

サシャ「ここは?」

エレン「竹のハーフパイプ?」

オルオ「お前らガキは知らねえだろうが、これは」

ペトラ「これはね、流しそうめんっていうの」 

35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:44:30 ID:lrk6CrvA
サシャ「流しそうめん……?」

エレン(そうめんって何だ?)

オルオ「説明するよりも、食ったほうg」

ペトラ「まぁ、やってみるのが早いわよ」 

36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:45:02 ID:lrk6CrvA
ペトラ「すいませーん、4人お願いします」

オルオ「いいか、この竹の上から、水と一緒n」

ペトラ「そうめんが流れてくるから、それをお箸で受け止めて、食べるの」

オルオ「俺の発言を食うな」 

37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:45:32 ID:lrk6CrvA

スゥー

サシャ「お、流れてきましたね」ヒョイ

エレン「流す意味ありますか?」ヒョイ

オルオ「エンターテイメントだ」ヒョイ

ペトラ「食を獲得する醍醐味よ」ヒョイ 

38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:46:06 ID:lrk6CrvA
サシャ「このガラスの器が、涼しげで良いですね」

チュルル

サシャ(さっぱりした味ですね、冷たい汁に、冷たい麺が良く合います。
    麺自体に味はあんまりないですけど、汁のダシが汗をかいた体に染み込みます) 

39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:46:38 ID:lrk6CrvA
エレン「美味いですね!」

オルオ「やっと俺の域まで達したか」ズルズル

ペトラ「オルオ、意味分からない」チュルル

エレン「この葉っぱは何ですか?」

ペトラ「薬味のシソね。良い香りよ」

サシャ「入れてみます」 


41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:47:09 ID:lrk6CrvA

パパッ

サシャ(シソの爽やかな香りが広がりますね。元々のさっぱりした味に加えることで、
    清涼感を強調させます。鼻腔に広がる風味が、食欲を刺激しますね) 

42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:47:41 ID:lrk6CrvA
オルオ「お前ら、食ってるのに夢中になると、そうめんを獲り損ねるからな」ヒョイ

サシャ「危なかったです」ヒョイ

ペトラ「中々、気が抜けないのよね」ヒョイ

エレン「え、あ、獲り損ねた!」スカッ 

43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:48:12 ID:lrk6CrvA
ペトラ「あとで、獲り損ねた分は、まとめて貰えるから大丈夫よ」

エレン「流す意味ありますか?」

オルオ「エンターテイメントだ」

ペトラ「食を獲得する醍醐味よ」 

44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:48:19 ID:n72rYltI
カツ・ドゥーンかと思ったら違った 

45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:49:03 ID:lrk6CrvA
サシャ(他の薬味も試して見ましょうか)

サシャ「これは、生姜ですか?」

ペトラ「苦手でなかったら、入れて見なさい」フフフ

サシャ「好き嫌いは無いので、入れて見ます」 

46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:49:33 ID:lrk6CrvA

チュル

サシャ(清涼感の中に、コクが生まれました!さっきまでは食べたんだか、あやふやな感じでしたが、
    薬味を増やして、どんどん味が変わることで、少しずつ胃袋を満たしていきますね!)

サシャ「中々、味わい深いです」ムムム 

47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:50:04 ID:lrk6CrvA
ペトラ「別で頼んだトッピングが着たわ。これも食べてみなさい」

サシャ「蒸した鳥のささ身ですか?」

サシャ(ささ身は、脂身が少なくて、筋っぽいんで、あんまり肉らしく無いんですよね)ガッカリ

チャプ

パクッ 

48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:50:34 ID:lrk6CrvA
サシャ「!?」

ペトラ「びっくりするほど、よく合うでしょう?」

サシャ(さっきは脂身が無いと思いましたけど、この汁には脂身の無いささ身がピッタリです!
    蒸した肉は、筋張ってるわけでもなく、柔らかく口の中でほどけていきますし、
    肉の隙間にダシの良く効いた汁が染み込んで、さっき入れた生姜ともよく合います!)

エレン「あー、これも美味いなー」パクパク 

49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:51:05 ID:lrk6CrvA
ペトラ「そうめんだけだと、すぐお腹空いちゃうからね」ヒョイ

オルオ「気を抜くなよ」ヒョイ

サシャ「そうめんって、どんな具でも合うんじゃないかと思えてきました」ヒョイ

エレン「今度こそ」ヒョイ 

50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:52:02 ID:lrk6CrvA

チリーン

エレン「何だか、涼しい気分になってきました」

サシャ「ここ、風通しが良いですね、気持ちいいです」

オルオ「お前ら、これも入れてみろ」ニヤリ

サシャ「赤い……タレですかね? 入れてみます」

エレン「俺も入れる」 

51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:52:39 ID:lrk6CrvA
チュルルル

エレン「酸っぱぁぁあ!」

サシャ(確かに酸っぱい!これは梅ですか!?でも、シソの香りもします!そして酸っぱい!

    酸っぱいけど、美味しい!胃袋にギュンギュンくる刺激です!

    汁のダシと酸っぱさがマッチして、そうめんの素朴な味を十二分に引き立てます!

    酸っぱい!美味しい!そして酸っぱい!やけど旨ぁぁあああい!!)

チュルチュル 

52 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:53:11 ID:lrk6CrvA
フゥ

サシャ「身も心も、爽やかにリフレッシュしました」

オルオ「俺の思惑通りだな」

ペトラ「私が誘ったんだからね?」 

53 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:53:46 ID:lrk6CrvA
サシャ「ハチミツを取りに来て、思わぬ収穫でした」

ペトラ「ハチミツ? あんた何してたの?」

オルオ「フッ・・・俺を束縛するつもりかペトラ?」

ペトラ「」イラッ

エレン(今度、ミカサとアルミンを連れて来よう) 

54 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/11(木) 20:54:24 ID:lrk6CrvA
ペトラ「それじゃあ行きましょうか、ちゃんとオルオにご馳走様って言うのよ」

エレン「オルオさん、ご馳走様でした」

サシャ「とっても美味しかったです。ご馳走様でした」

オルオ「お、おう? こ、これも先輩としての務め、だから、な……?」

ペトラ「オルオ、ご馳走様」

オルオ「まてペトラ、お前は自分で払え」

(つづく) 

61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:54:01 ID:78BzDQ7g
夕市 "マリオ・トロスト"

サシャ 「ここは、どんなお店なんですか?」

アルミン「やたら長い名前の弁当が売りに出る店だよ」

ミカサ 「今日は、104期生の餓狼もいないみたい」

アルミン「それじゃあ、お弁当を見に行こうか」

サシャ 「はいっ!」 

62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:54:32 ID:78BzDQ7g
サシャ (お弁当は2つ。どうしてもかち合いますね)チラッ

サシャ (残っているのは、2種類で、どっちもから揚げですね)

     "男ならから揚げだろ!貪り食え!から揚げ弁当"

     "女でもから揚げだろ!肉食系だ!から揚げ弁当" 

63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:55:07 ID:78BzDQ7g
サシャ 「中身は一緒ですよね? 何で名前が違うんでしょうか……?」

アルミン「男弁当の方が、お米の量が多いみたいだね」

ミカサ 「それに、女弁当は肉が小さく切ってあって、食べやすくなってる」

エレン 「お前ら凄いな」 

64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:55:42 ID:78BzDQ7g
サシャ 「アルミンたちは、組んでお弁当を取ってるんですよね?
     こういうときはどうするんですか?」

アルミン「変わらないさ、僕達は4人で2つの弁当を奪取する」

エレン 「3人で1個を分けたこともあるぞ」 

65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:56:16 ID:78BzDQ7g
アルミン「……あれは?」

サシャ 「どうしたんですか、アルミン?」

アルミン「キッツ・ヴェールマン隊長が来ている」

エレン 「誰だ? あのオッサン」

ミカサ 「駐屯兵団の精鋭部隊隊長。一応、偉いヒゲ」 

66 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:56:45 ID:FAXDBsUE
かつっどぅーん 

67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:56:48 ID:78BzDQ7g
アルミン「あの人は、僕と同じ作戦を元に動くタイプだ」

エレン 「アルミンよりも頭が良いのか?」

ミカサ 「エレン、それは無い」

サシャ 「なんだか小心者の顔をしてますね」 

68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:59:03 ID:78BzDQ7g
キッツ 「そうだな、"小鹿"などという二つ名が付く始末だ」ヌッ

サシャ 「た…大変…失礼…しました……」ビクン

アルミン「二つ名の"小鹿"は、ご自分で流布されているのではないですか?」

キッツ 「私は、恐いよ。力を持つ物、意思を持つ物。それと頭の良い奴も恐い」 

69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 22:59:38 ID:78BzDQ7g

バタン

キッツ 「半額神が来たようだ」スタスタ

エレン 「何だったんだ、あの隊長」

アルミン「僕らに、宣戦布告したんだよ。潰してやるぞってね」

ミカサ 「何時も通り、やるだけ」 

70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:00:20 ID:78BzDQ7g
サシャ 「そうですよ、特訓してきたんですから、見せてやりましょう!」

アルミン「そうだね。序盤、エレンが突っ込んで。サシャは腹の虫の加護が高まるまで待機。
     ミカサはサシャが動けるまで護衛をお願い」

サシャ 「わかりました」

エレン 「任せろ」

ミカサ 「何かあれば、私が止める」 

71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:00:56 ID:78BzDQ7g

ギィ

バタン

ドドドドド

アルミン「エレン、早速だけど行くよ!」

エレン 「ああ!」 

72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:01:27 ID:78BzDQ7g

カッ

キッツ 「これは……!?」

アルミン「腕と上胸だけ変身した"騎士"から、更に両脚、腹部まで変身を可能にした」

      ダークナイト
アルミン「"闇騎士"だ」 

73 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:02:06 ID:78BzDQ7g
エレン 「やっぱ、その名前は恥ずかしくないか?///」カァァ

アルミン「名前は、大事だよ!?」

ミカサ 「変則ルールのチェスには実在する駒、何も恥ずかしくない」

サシャ 「きますよっ!」 

74 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:02:38 ID:78BzDQ7g
キッツ 「小賢しい! 変更は無い、実行せよ!」

餓狼A 「うおおおおお」
餓狼B 「うおおおおお」
餓狼C 「うおおおおお」

エレン 「何だこいつら!?共闘してるのか!?」 

75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:03:10 ID:78BzDQ7g
アルミン「エレン、君の敵じゃない!蹴散らすんだ!」

サシャ 「……」

ミカサ 「どうしたの、サシャ?」

サシャ 「何だか、動きがおかしくないですか?」

ミカサ 「確かに、攻撃をするわけではなく、周りを逃げ回っているだけ……」

アルミン(疲れさせる作戦か……? それなら無視して弁当を) 

76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:03:40 ID:78BzDQ7g

エレン『オオオオオオオオオ』

アルミン「え、何で!? ……これは?」

キッツ 「おぉ、理性を無くした様だ。矢張り、恐ろしい」

アルミン「やってくれましたね!」 

77 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:04:11 ID:78BzDQ7g
キッツ 「勝手に暴れただけだ。私が仕組んだというなら、証拠を出せ」

アルミン「証拠は必要ありません!」

キッツ 「何だと!?」

アルミン「注意しなければ、気づかないけれど、これは花の香り」 

78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:04:41 ID:78BzDQ7g
キッツ 「」チッ

アルミン「キンモクセイの香りですね、食欲減退の効果があると聞いたことがあります」

キッツ 「頭が良い者は、恐ろしいな」フン

アルミン「エレンの周りの餓狼は、匂いを振りまいていたんだ」 

79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:05:14 ID:78BzDQ7g

エレン『ウォオオオオオオオ』

キッツ 「気づいたから、どうにかなるものでもあるまい。
     さぁ、その女が暴走を止めるんだろう。早くするんだな。
     そうでなければ、また出入り禁止になるぞ」

アルミン(クッ、最初からミカサに止めさせるのが目的か!) 

80 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:05:50 ID:78BzDQ7g
ミカサ 「アルミン、エレンを止めてくる」

アルミン「あぁ、仕方ないけど、そうしないと本当に出入り禁止になってしまう。
     サシャも、動けるなら……サシャ?」

サシャ 「パァン?」 

81 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:06:23 ID:78BzDQ7g
アルミン「何で"大猪"になってるの!?」

ミカサ 「そういえば以前に、ハチミツの用途を聞いたら、
     自家製のキンモクセイの蜂蜜漬けの話をしていた」

アルミン「食欲減退どころか、腹の虫が刺激されちゃったんだね……」 

82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:06:53 ID:78BzDQ7g
サシャ 「パァアアアアアアン!!」

エレン 『ウオオオオオオ』ガツン

サシャ 「パアア!!!」

キッツ 「そうだ……もっと潰しあえ!」

アルミン「ミカサ、サシャがエレンを止めている間に、弁当を獲るんだ!」

ミカサ 「わかった」ダッ 

83 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:07:28 ID:78BzDQ7g
キッツ 「させはせんぞ!止めろ!」

餓狼A 「うおおおお」

ミカサ 「邪魔」ヒュン

餓狼A 「」カクン 

84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:08:08 ID:78BzDQ7g
アルミン「並みの餓狼で、ミカサの相手になるわけが無い!」

キッツ 「クソッ、駒が弱すぎる」

ミカサ 「女弁当は獲っ」

ガツン 

85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:08:43 ID:78BzDQ7g
アルミン「ミカサが、吹き飛ばされた!?」

ミカサ 「」ガク

サシャ 「パァアアアアアアン」フゥウウウ 

86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:09:15 ID:78BzDQ7g
キッツ 「どういうことだ?」

アルミン「……獲物を、横取りされると思ったんだ」

キッツ 「ハッ、まるで弁当の守護神だな」


サシャ 「パァン?」 

87 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:09:48 ID:78BzDQ7g

アルミン「動けばサシャに襲われるから、サシャとエレンと潰し合うのを待つしかなかった」

アルミン「そして、サシャがエレンを食い破り、キッツ隊長が動いた」

アルミン「襲い掛かる無名の餓狼を、サシャが相手取っている間に、キッツ隊長が弁当を奪取」

アルミン「サシャは全ての餓狼を討ち倒し、自身も倒れた」

アルミン「僕は、残った女弁当を手に取った」 

88 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:10:20 ID:78BzDQ7g
アルミン「僕の負けです、キッツ隊長」

キッツ 「弁当は獲っただろう」

アルミン「獲ったけれど、それだけです。この弁当に、"勝利の一味"は無い」

キッツ 「ならば、獲らなければ良かろう」 

89 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:10:57 ID:78BzDQ7g
アルミン「この味を、忘れないためです。この屈辱の味を」

キッツ 「私は、そういう目をする奴が、一番恐い」

アルミン「キッツ隊長、教えてください。何故、弁当の数以上の餓狼が協力したのですか。
     自分が協力しても、弁当を得られるという確証など無いというのに」

キッツ 「簡単だ。貴様らが恐いからよ」 

90 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:11:27 ID:78BzDQ7g
キッツ 「手を組まなければ、確実に負ける。手を組むしかない。全員で潰すしかない」

アルミン「どんな話をすれば、全員を説得なんて……」

キッツ 「説得など、無駄なことはしない」

アルミン「では、どうやって……」 

91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:12:01 ID:78BzDQ7g
キッツ 「恐怖は簡単に伝播する、人は恐怖に抗えないのだ。
     強い者が恐い、一人で戦うのが恐い、考えるのが恐い、人と違うことをするのが恐い。
     その恐怖に漬け込むと、人は簡単に肉を持たない兵士となる。言いなりに動く骸骨だ」

アルミン「洗脳……ですか」

キッツ 「理論や理屈は知らん。私は"小鹿"だからな、誰よりも怯えることに長けている。それだけだ」 

92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:12:36 ID:78BzDQ7g
アルミン「そんなことを、僕に教えてしまっても、良いんですか?」

キッツ 「言っただろう、人は恐怖に抗えない。知ったところで、どうしようもない」

アルミン「そんなことは……!」

キッツ 「今日の貴様の弁当の味、それが事実だ」 

93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:13:09 ID:78BzDQ7g
アルミン「……」クッ

キッツ 「そうだ、ついでに一つ教えてやろう。
                  タイムボカン
     その女の二つ名は"時限装置"だったな。恐ろしい名前だ」

アルミン「蔑称です」キッ 

94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:13:42 ID:78BzDQ7g
キッツ 「私の二つは"小鹿"だが、私と共に戦うものたちは、暫定的に二つ名が付く」

      ドクロベー
     "髑髏兵" 

95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:14:17 ID:78BzDQ7g
キッツ 「最も恐怖する者達が、恐怖に支配され、最も恐れぬ兵士となる」

アルミン「……次は、絶対に負けません」

キッツ 「やってみろ、恐怖に勝てるなら、な」スタスタ 

96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:14:48 ID:78BzDQ7g

アルミン「皆、帰ろう」

エレン 「ん……」

ミカサ 「エレンを守れなかった……」 

97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:15:18 ID:78BzDQ7g
アルミン「お弁当は1個しかないけど、皆で……サシャは?」

エレン 「いや、どこにも……」

ミカサ 「私が目覚めたときには、もう」 

98 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:15:50 ID:78BzDQ7g
アルミン「サシャ!どこにいるんだ!」

ミカサ 「サシャ、出てきなさい!」

エレン 「おい、帰るぞ、サシャーーー!!」

アルミン(サシャは、それから、夕市に姿を見せなくなった)

(つづく) 

99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:44:23 ID:78BzDQ7g
調査兵団 詰め所

オルオ「おい、ペトラ。犬やネコは勿論だけどよ」

ペトラ「……」

オルオ「よりにもよって、大猪を拾ってくるこたぁねえだろ?」

サシャ「」 

100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:44:56 ID:78BzDQ7g
ペトラ「だって、仕方ないじゃない! 倒れてるの見つけちゃったんだから!」

オルオ「どうせ、拾い食いでもしたんだろ」

サシャ「エレン、ミカサ、ゴメンナサイ……」

オルオ「……奥に寝かせとけ」チッ 

101 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:45:33 ID:78BzDQ7g
ペトラ「オルオ、おかゆ作っときなさい。起きたら食べさせるから」

オルオ「何で俺が作るんだよ!?」

ペトラ「リヴァイ兵長も食べるかもね」

オルオ「仕方ねえ……」 

102 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:46:19 ID:78BzDQ7g
ペトラ「オルオ、おかゆ作っときなさい。起きたら食べさせるから」

オルオ「何で俺が作るんだよ!?」

ペトラ「リヴァイ兵長も食べるかもね」

オルオ「仕方ねえ……」 

103 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:47:10 ID:78BzDQ7g

サシャ「」クンクン

グルルルル

サシャ「はっ!?」

ペトラ「匂いで起きたのかしら?」クスクス

サシャ「ペトラさん……?」

ペトラ「ここは調査兵団の詰め所よ」 

104 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:47:42 ID:78BzDQ7g
サシャ「なんで、私ここに……?」

ペトラ「夕市の近くで倒れてるのを、私が見つけたのよ」

サシャ「ご迷惑を、おかけしました。すぐに出て行きますので」

ギュルルル 

105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:48:13 ID:78BzDQ7g
ペトラ「凄い音ね。いま、オルオにおかゆ作らせてるから、食べていきなさい」

サシャ「そんなに、お世話になるわけには」

ペトラ「良いじゃない。私も前に助けてもらったんだもの」

サシャ「でも、そうめんをご馳走してもらいましたし」 

106 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:49:06 ID:78BzDQ7g
ペトラ「あの時は、結局オルオに払わせたしね」

オルオ「また今回も俺が飯担当だ」ガチャッ

ペトラ「あんた、ノックくらいしなさいよ!」

サシャ「あの、私、大丈夫ですから」 

107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:49:40 ID:78BzDQ7g
オルオ「おら、食えよ、もう作っちまったんだ」コトッ

サシャ「はい……すみません」カパッ

フワァ

サシャ「ミルクの香り……クリームリゾットですか?」

オルオ「リゾットなんて上等なもんじゃねえ。ミルク粥だ」 

108 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:50:20 ID:78BzDQ7g
サシャ「ミルクの香り……クリームリゾットですか?」

オルオ「リゾットなんて上等なもんじゃねえ。ミルク粥だ」

ペトラ「オルオの癖に、美味しそうじゃない」

オルオ「サシャ、ペトラの分も食って良いぞ」

ペトラ「なんでよ!私の分も出しなさいよ!」 

109 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:51:00 ID:78BzDQ7g
サシャ「頂きます」ハフハフ

サシャ(温かいミルクにコンソメの味で、よく合ってますね。
    体の芯まで温まるみたいに、染み込みます)

ペトラ「カルボナーラを優しくしたような味ね」ハフハフ

オルオ「ホットミルクみたいなもんだからな、体も温まる」ハフハフ

サシャ(塩と胡椒がアクセントになって、食欲を刺激しますね!
    それに、ちょっとだけ入ったチーズもコクを出して美味しいです!) 

110 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:51:31 ID:78BzDQ7g
サシャ(ご飯の真ん中に、卵黄だけが置いてありますけど、これは……?)

ペトラ「卵黄は混ぜるの?そのまま?」

オルオ「好きにしろ。好みで食うもんだ」

ペトラ「じゃあ、混ぜる」

サシャ「私は、そのまま行きます」アーン

オルオ「俺の域に達すると、粥の熱で半熟にさせてから食う」 

111 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:52:02 ID:78BzDQ7g
ペトラ「先にそれ言えよ!美味そうだろ!もう混ぜちゃったじゃないか!」

サシャ(口に入れる前でよかった。私も半熟にしましょう)ソッ

オルオ「いいじゃねえか、混ぜたのも美味いんだからよ」 

112 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:52:47 ID:78BzDQ7g
ペトラ「くっそぅ、覚えてろよ」ハフハフ

サシャ「ふふふ」

オルオ「何が面白いんだよ」

サシャ「いえ、お二人は仲が良いんだな、と思って」 

113 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:58:03 ID:78BzDQ7g
ペトラ「サシャ、あんまりふざけたこと言うと、手がすべるわよ?」
サシャ「ひぃ」
オルオ「ガキの言うことだろう、もっと大人の余裕を持てよ」フフン 

114 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/13(土) 23:59:51 ID:78BzDQ7g
ペトラ「おかわりしていいわよ、サシャ」

サシャ「本当ですか!?」

オルオ「おい、勝手に!」

ペトラ「大人の余裕を持ちなさいよ」

オルオ「くっ」 

115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:00:21 ID:uMBbNAcA
サシャ「あの、他の方の分なら、私は……」

オルオ「構わねえよ、食え」

ペトラ「リヴァイ兵長は、自分の分を食べられるより、
    サシャをお腹を空かせて帰した方が、きっと怒るわ」

オルオ「もっと作っておくんだった」 

116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:01:26 ID:uMBbNAcA
サシャ「あ…りが、と……ざ…ます…」グスグス

ペトラ「サシャ?」

オルオ「泣くほど美味かったのか?」フフン

ペトラ「オルオ、少し黙ってて」 

117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:03:08 ID:uMBbNAcA
ペトラ「オルオが何か嫌だった?」

サシャ「いえ、違うんです」グスグス

ペトラ「どうしたの?」

サシャ「お粥、美味しくて、ペトラさんも、優しくて
    それで、私みたいのに、こんなに良くして貰って……」グスグス 

118 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:05:02 ID:uMBbNAcA
ペトラ「ゆっくりでいいから、話しごらんなさい」

サシャ「はい……」グスグス


~ 

119 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:06:48 ID:uMBbNAcA
ペトラ「それで、友達を攻撃して全滅させちゃったのね」

サシャ「はい……私からお願いして、特訓して一緒に特訓してきたのに、
    全然、そんな甲斐なく、暴れちゃった……私、合わせる顔が……」

オルオ「気にするこたぁねえだろ」

サシャ「そんな」 

120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:09:25 ID:uMBbNAcA
ペトラ「オルオに同意するのは癪だけど、私もそう思うわ」

サシャ「ペトラさんも?」

ペトラ「そのくらいで、サシャを嫌いになるなら、最初から一緒に特訓なんてしてないわよ」

オルオ「お前と組む時点で、想定の範囲内だ」 

121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:11:00 ID:uMBbNAcA
サシャ「でも、私は……」

ペトラ「サシャは、どうしたいの?」

サシャ「私は……夕市に行くのを、やめようと思います」

オルオ「……」 

122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:14:22 ID:uMBbNAcA
サシャ「私が行くと、暴れて誰かに迷惑をかけますから」

ペトラ「……そう」

サシャ「あの、お粥、ありがとうございました」

オルオ「結局、5杯も食いやがって」フン

サシャ「すごく、美味しかったです」ニコッ 

123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:15:42 ID:uMBbNAcA
オルオ「……仕方ねえな」

ペトラ「仕方ないわね」

サシャ「?」 

124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:16:54 ID:uMBbNAcA
オルオ「サシャ、次の休暇日を明けておけ」

ペトラ「一緒に出かけましょう?」

サシャ「え、な、何でですか?」 

125 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 00:18:30 ID:uMBbNAcA
オルオ「口で言っても分からねえよ」

サシャ「は、はい」

オルオ「予定、入れるなよ」

サシャ「どうせ、行くところありませんし、大丈夫です」

ペトラ「じゃあ、楽しみにしててね」フフフ 


131 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:06:52 ID:uMBbNAcA
休暇日

サシャ「おはようございます!」

オルオ「遅えぞ、先輩を待たせるんじゃねえよ」

ペトラ「女の子は、準備に時間がかかるのよ。そんなだから、オルオなのよ?」

オルオ「意味わからねえよ」 

132 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:07:25 ID:uMBbNAcA
サシャ「今日はどちらに行くんですか?」

ペトラ「サシャは狩猟で生活してたのよね?」

サシャ「はぁ、そうですけど」

ペトラ「それなら、行くのは初めてじゃないかしら」

オルオ「今日行くのは、牧場だ」 

133 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:07:55 ID:uMBbNAcA

マダム牧場

サシャ「ここ、マダムって……?」

ペトラ「トロスト・マムのマダムの牧場よ」

オルオ「自分の店で出すものは、全てここで育成している」

サシャ「……凄い人なんですねぇ」 

134 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:08:25 ID:uMBbNAcA
ペトラ「ここにきたら、とりあえずソフトクリームよ!」

サシャ「クリームを舐めるんですか?」

オルオ「その様子じゃ、後で腰を抜かすぞ」フフン 

135 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:08:56 ID:uMBbNAcA
売店

ペトラ「ソフトクリーム2つください」

オルオ「俺の分はどうした」

ペトラ「お粥の半熟卵の仇よ」

オルオ「まだ覚えてるのかよ、それ」チッ 

136 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:09:27 ID:uMBbNAcA
ペトラ「はい、サシャ。溶ける前に食べてね」

サシャ「おぉおお、確かに柔らかいクリームみたいですね!」

ペトラ「一気に食べると頭痛くなるから、ちょっとずつ舐めるのよ」ペロ

サシャ「はい、頂きます」ペロ 

137 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:09:57 ID:uMBbNAcA
サシャ(ひんやりと優しい冷たさです!そして後からやってくる甘さ!
    一気に全身に広がるような芳香と甘み、これがソフトクリーム!?)

サシャ「凄く、美味しいです。確かに腰が抜けちゃいそうですね……」

オルオ「お前がまだ、俺の域に達していないからだ」

ペトラ「オルオ、そのフレーズ気に入ってるの?気持ち悪いからね?」 


138 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:10:34 ID:uMBbNAcA
サシャ「はぁ……この甘い匂いが凄いですね。全身甘ったるくなりそうです」

ペトラ「バニラの香りはケーキにも使われるけど、香りをここまで堪能できるのはソフトクリームだけよ」

サシャ「なんとも不思議ですね、雪とも違うし、冷たいのに柔らかくて、
    濃いミルクの味に、包み込まれる香りと甘さ。うっ、頭がっ!」キーン

ペトラ「あんまり急ぐからよ」フフフ 

139 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:11:08 ID:uMBbNAcA
オルオ「このクリームが、クリームよりもクリーミーで、訳が分からなくなる」

サシャ「本当に、ソフトクリームとは良く言ったものですね」シミジミ

オルオ「くっちゃべってると、溶けるぞ」

サシャ「あわわわわ」 ペロ 

140 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:11:41 ID:uMBbNAcA

ペトラ「この牧場ね、リヴァイ兵長が連れてきてくれたの」

サシャ「へ?」

ペトラ「夕市に出たての頃、私とオルオって、酷い二つ名を付けられて、
    二度と市場には行かないって思ってたの」

オルオ「ある日、リヴァイ兵長に"休暇日を空けておけ"って言われてな」

ペトラ「有無を言わさずに、この牧場に連れて来られたのよ」 

141 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:12:25 ID:uMBbNAcA
サシャ「そんなことが、あったんですか」

ペトラ「到着して、いきなりソフトクリームを渡されたのよ。"美味いぞ"って言って。
    うふふ、笑っちゃうでしょう?人類最強がソフトクリーム食べてるのよ?
    私、今でもあの光景を思い出すだけで、ご飯三杯はいけるわ」ハァハァ

サシャ「は、はぁ。でも、意外ですね。人類最強なんて呼ばれてるんで、
     もっと恐い人なのかと思ってました」

オルオ「素晴らしい人だ」 

142 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:12:55 ID:uMBbNAcA
ペトラ「相談に乗るわけでも、お説教するわけでも無いし、ただ連れてきただけなの」

オルオ「ほぼ放置だった」

サシャ「何がしたかったんでしょうね?」

オルオ「分からん。俺たちの思慮の及ばないところだ」 

143 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:13:26 ID:uMBbNAcA
ペトラ「リヴァイ兵長も、良く分からなかったんだと思うわ」ウフフ

サシャ「そんなもんでしょうか」

ペトラ「ソフトクリームは美味しかったしね。それだけなのかも」フフフフ

オルオ「リヴァイ兵長はだなぁ、もっと深い意味を」クドクド 

144 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:13:59 ID:uMBbNAcA
ペトラ「オルオは放っておいて、あっちのハーブ園行きましょ?」

サシャ「は、はい」

オルオ「まてペトラ、話を聞け、置いていくな!」

~ 

145 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:14:39 ID:uMBbNAcA
夕方

サシャ「いやぁ、楽しかったです」

ペトラ「そう言ってもらえると嬉しいわ」

オルオ「当然だ、リヴァイ兵長の連れて来てくれた場所だからな」

サシャ「今日はありがとうございました」 

146 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:15:09 ID:uMBbNAcA
ペトラ「何言ってるの?」

オルオ「何言ってるんだ?」

サシャ「え?」 

147 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:15:40 ID:uMBbNAcA
ペトラ「今までは前菜。今日のメインディッシュは、これからよ」フッフッフ

オルオ「覚悟しておけ、腰じゃなくて、度肝を抜かれるぞ」フッフッフ

サシャ「??」

~ 

148 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:16:39 ID:uMBbNAcA
食事処 フラム・マム

サシャ「あの、何か、高そうなお店なんですけど」

オルオ「ガキが金の心配をするな」

サシャ「いえ、余計に心苦しいというか、その」

ペトラ「良いのよ。私たちも、リヴァイ兵長に同じことをしてもらったの」 

149 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:17:10 ID:uMBbNAcA
オルオ「お前が、どこの兵団に行くか分からんが、いつか後輩が出来たら同じことをしろ」

ペトラ「それが今日の代金」

サシャ「……はい、ありがとうございます」

オルオ「メニューだけは、任せてもらうけどな」 

150 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:17:43 ID:uMBbNAcA
ペトラ「このお店は、全部美味しいんだけれど、初めて来たなら注文は一択よ」

オルオ「この、"マダム牧場のせいろ蒸し"を3つ」

サシャ「せいろ、ですか?」

ペトラ「竹や木で編んである、蒸し器のことよ」 

151 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:18:15 ID:uMBbNAcA
サシャ「蒸すっていうと、普通はマンジュウみたいなものだと思うんですけど」

ペトラ「ここのは、牧場で育てた、お肉と野菜を蒸すだけ」

オルオ「それ以外に何のひねりも無い」 

152 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:18:49 ID:uMBbNAcA
ペトラ「着たわね」

サシャ「おっきいお鍋ですね」

オルオ「鍋は水が入ってるだけだ」

ペトラ「その上に、せいろを2段乗せるの」

~ 

153 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:19:22 ID:uMBbNAcA
シュウシュウ

サシャ「蒸気が出てきましたね」

ペトラ「蒸されると、せいろから木の香りがしてくるのよね」

オルオ「俺はもう、腹が減ってたまらん」グゥゥ 

154 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:19:54 ID:uMBbNAcA
シュ---

ペトラ「もういいんじゃないかしら」

オルオ「ふた取るぞ」

カパッ 

155 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:20:36 ID:uMBbNAcA
サシャ「おおおおおお!!!!!」

サシャ(綺麗に並んだ薄切りの豚肉ですね!
    ショーケースに並んだ宝石みたいにキラキラしてます!)

ペトラ「冷めないうちに、召し上がれ」

オルオ「ゴマだれか、味つきの酢を付けて食べろ」 

156 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:21:06 ID:uMBbNAcA
サシャ「頂きます!」

サシャ(まずは、味つき酢の方から)

パクッ 

157 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:21:39 ID:uMBbNAcA
サシャ(ふわっ!? ふわっふわですよ、このお肉!

    あぁ!お肉が!柔らかいのを通り越してます!蒸すだけでこんなになるんですか!?

    私が今まで食べてたお肉は、これに比べれば石みたいに硬いですね。

    それに、せいろで蒸されたから、木の香りが漂って、臭みなんてこれっぽっちもありません!) 

158 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:22:13 ID:uMBbNAcA
サシャ(もう一口!)モグモグ

パクッ

サシャ(酢の酸味と味付けした塩気、それから仄かに漂う柑橘系の香り、それがお肉に絡み合って、

    味覚にビリビリと刺激を与えてくれます! お肉の旨味もビリビリと脳髄に直撃する!) 

159 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:22:57 ID:uMBbNAcA
モグモグ

サシャ(……ゴマダレのほうも食べてみましょうかね)

パクッ 

160 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:23:36 ID:uMBbNAcA
サシャ(ひぃいい!まろやかっ!まろやかの限界突破しとる!

    ゴマダレの香りと豚肉の甘みが組み合わさって、新次元の旨味や!

    同じお肉なのに、付けダレが違うだけで、こんなに異なる衝撃が!?

    たまらん!何で今までこれ食べてなかったんや!?嬉しいのに悔しい!) 

161 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:24:20 ID:uMBbNAcA
ハフゥ

サシャ「私、もし豚に生まれ変わっても、このくらい美味しく食べてもらえるなら、後悔は無いです」シミジミ

ペトラ「ふふふっ、サシャって面白いこと言うのね」

オルオ「そのくらい美味いっていうのは、分かるけどな」フフン

サシャ「蒸されたときに余分な脂が、全部落ちたんですね。凄く、サッパリしてます」 

162 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:24:51 ID:uMBbNAcA
オルオ「そうだ。だが、余分な脂じゃねえ。必要な脂だ」

サシャ「?」

ペトラ「オルオ、2段目開けて」

オルオ「ふふふ、驚けよ」

カパッ 

163 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:25:33 ID:uMBbNAcA
サシャ「これは、野菜が下段に入れてあったんですか!?」

ペトラ「何も言うことは無いわ、食べてみて」

サシャ「はい」 

164 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:26:33 ID:uMBbNAcA
サシャ(じゃあ、輪切りになった人参を…)

パクッ

ビカッ!

サシャ(!?!?)

サシャ(雷が!頭の中に、雷が!?) 

165 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:27:03 ID:uMBbNAcA
サシャ(何が起きたか、分からんかった。これ、人参が、柔らかくて、甘い!
    土臭さなんて微塵もない!何で、人参なのに、こんなに旨味が!?)

オルオ「顔に出やすいな、お前」

ペトラ「上段にお肉が入れてあるからね。脂は下に落ちるのよ」 

166 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:27:34 ID:uMBbNAcA
サシャ(そうや!脂がシャワーみたいに降り注いで、蒸されて!

    茹でると、どうしても中に閉じ込めてしまう臭みが一切無い!

    全て蒸気と一緒に外に出て行ってる!その代わりに、脂が染み込んで、

    前代未聞の甘みになっとる!) 

167 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:28:06 ID:uMBbNAcA
サシャ「野菜って、こんなに美味しいんですね」ガクゼン

オルオ「元の味の170%くらいの美味さになっているな」

ペトラ「適当なこと言わないでよ、信じちゃうじゃない」

サシャ「何倍か分かりませんけど、知ってるはずなのに、未知の野菜の味です」 

168 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:28:37 ID:uMBbNAcA
オルオ「冷めても美味いが、熱いほうが美味い。さっさと食え」

サシャ「はいっ、頂きます!」パクパク

ペトラ「ふふふっ、落ち着いてね」

~ 

169 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:29:33 ID:uMBbNAcA
サシャ「今日は、本当に、ありがとうございました!!」ペコーリ

ペトラ「そんなに、頭下げなくて良いから!」

オルオ「俺たちは、リヴァイ兵長から貰ったものを返しただけだ」

ペトラ「そうよ、だからサシャも、いつか誰かに返してね」 

170 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:30:41 ID:uMBbNAcA
サシャ「それは勿論です!でも、それを差し引いても、
    食事でこんなに感激したのは初めてだったので!」

オルオ「安心しろよ、こんなに美味いものは、そうそう無い」

ペトラ「でも、サシャが元気になってよかったわ」

サシャ「済みません、色々、お気遣い頂いて……」 

171 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:31:14 ID:uMBbNAcA
ペトラ「私ね、今でもリヴァイ兵長に連れて来て貰ったこと思い出すと、楽しくなっちゃうの。
    だから、サシャも今日のことを思い出して、楽しくなってもらえれば嬉しいな」

サシャ「それは、間違いなく」ニコリ 

172 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:31:49 ID:uMBbNAcA
オルオ「良い顔だ。次の休暇日、久しぶりに夕市に行くか?」

サシャ「それは……」

ペトラ「オルオ、急ぎすぎよ」

サシャ「いえ、行ってみます」 

173 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/14(日) 22:32:21 ID:uMBbNAcA
ペトラ「無理しなくて良いのよ?」

サシャ「もう一度、自分で考えて見ます。今までは、逃げてただけですから」

オルオ「よし、それなら夕市に行く前に詰め所に顔を出せ」

サシャ「はいっ」

(つづく) 


176 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:01:48 ID:m4A/nQh6
夕市 "マリオ・トロスト"

オルオ「行くぞ」

サシャ「は、はい……」

ペトラ「辛かったら、言ってね?」

サシャ「ペトラ、お前は甘やかしすぎだ」 

177 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:02:37 ID:m4A/nQh6
オルオ「お前の同期の奴らも来てるな、例の3人組だ」

サシャ「ミカサ、エレン、アルミン……」ズキッ

ペトラ「お弁当、見てきたら?」

サシャ「……はい」 

178 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:03:21 ID:m4A/nQh6
サシャ(お弁当は二つ)

    "集え!全ての肉を愛する者共よ!揚げた肉は美味いぞ?トンカツ弁当"

    "あえて、語らないことで、より雄弁に語ることがある。
               今が、そうだ!   これが、それだ!  カツ丼弁当" 

179 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:04:11 ID:m4A/nQh6
サシャ(トンカツに、カツ・ドン? カツ丼って、確か卵でとじた奴ですよね? 
     ただのカツが乗っかってるだけに見えましたけど、何か違うんでしょうか?)

サシャ(方向性は見失ってないのに、何がやりたいのか、サッパリ分からないですね)ムゥ 

180 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:04:41 ID:m4A/nQh6
エレン 「サシャ!」

サシャ 「」ビクン

ミカサ 「もう、夕市には戻らないかと……」ジワァ

アルミン「夕市に、戻ってきてくれたのかい?」

ミカサ 「前のことなら、何も気にする必要は無い」 

181 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:05:12 ID:m4A/nQh6
エレン 「俺たちは、サシャと一緒に弁当を食いたいんだ」

アルミン「その為には、あれくらいのことじゃ引き下がらないよ」

サシャ 「皆さん……」ウルウル

ハッ 

182 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:05:47 ID:m4A/nQh6
サシャ 「いえ、まだ、分かりません。今日はとりあえず来ただけです」

エレン 「そうか……」

ミカサ 「私たちは、いつだって待っている」

サシャ 「はい、ありがとう、ございます」 

183 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:06:18 ID:m4A/nQh6
キッツ 「ふん、恐怖に勝てない者が、何人増えようが変わらん」

アルミン「キッツ・ヴェールマン……隊長!」

キッツ 「"時限装置"いや、サシャ・ブラウスだったな」

サシャ 「……はい」 

184 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:06:48 ID:m4A/nQh6
キッツ 「暫く見なかったものでな、調べさせてもらったぞ」

サシャ 「!」

キッツ 「ダウパー村出身の狩猟民族、そして故郷では」

サシャ 「それは…!」 

185 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:07:21 ID:m4A/nQh6
キッツ 「全ての夕市で、実質的な出入り禁止だったそうだな」

サシャ 「……」

エレン 「そうなのか?」

アルミン「いや、だからと言って、今は違う!」

ミカサ 「過去の話は関係ない!」 

186 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:07:53 ID:m4A/nQh6
キッツ 「本人がどうであるかは、関係ない」

サシャ 「まさか……アレは、やめてください!」

キッツ 「魂に染み付いた恐怖に、勝てるものはいない」 

187 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:08:26 ID:m4A/nQh6

キッツ 『あぁ!!恐ろしい!!!"時限装置"がいる!!俺は退くぞ!』

アルミン「!?」
エレン 「?」
ミカサ 「?」 

188 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:09:01 ID:m4A/nQh6
ザワザワ
「おい、"時限装置"が来てるらしいぞ」
「どうする? 最初から行くか?」

ガヤガヤ
「嫌だよ、おれは、食われたくない」 

189 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:09:39 ID:m4A/nQh6
ザワザワ
「正気なうちに、弁当一つ獲らせて、帰ってもらおう」

ヒソヒソ
「そうだな、一つ弁当は減るが、仕方ない」

コソコソ
「はやく、どっかいっちゃえば良いのに」 

190 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:10:09 ID:m4A/nQh6

バタン

キッツ 「ふん、半額神が来たようだ」スタスタ


アルミン「なんて、姑息な……!」

エレン 「何だ?何が起こったんだ?」

ミカサ 「周りの餓狼に、"大猪"の恐怖を思い出させた」 

191 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:10:55 ID:m4A/nQh6
アルミン「恐怖した者は、戦うことを恐れて、獲物を差し出す。

      誰も、半額弁当を取りに行かない。最低の作戦だ。

      半額弁当を取りに行けば、妬み、僻み、あらゆる悪意の視線をぶつけられる」ギリリ 
 
エレン 「そんな弁当を取ったとしても、美味いわけが無いだろう!」

ミカサ 「それが、実質的な出入り禁止の正体」 

192 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:11:30 ID:m4A/nQh6
エレン 「アルミン、どうするんだ?」

アルミン「一旦戻ろう、タイミングを見て場が動くはずだ」

ミカサ 「サシャ、無理にとは言わないけれど、私達は待ってる。
     それだけは、忘れないで」

スタスタ 

193 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:12:02 ID:m4A/nQh6
サシャ 「あのぅ、私、やっぱり、帰っても、いいです、か……?」ハハハ

オルオ 「そうだな、お前が決めろ」

ペトラ 「……オルオ」

オルオ 「俺たちは誰かに命じられて、弁当を獲っているわけじゃない」

ペトラ 「それはそうだけど……」 

194 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:12:36 ID:m4A/nQh6
ギィ

バタン

サシャ (半額になっても、誰も動かない……私がいるから……)ジワァ 

195 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:13:09 ID:m4A/nQh6
オルオ 「俺は自分の決めた通りに動く、今までも、これからもだ」

サシャ 「それじゃあ、私、その」ヘヘヘ

オルオ 「サシャ、帰るのは自由だが、その前にこっちに来い」

サシャ 「? ……はい」

ペトラ 「オルオ……?」 

196 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:13:40 ID:m4A/nQh6
オルオ 「ふんっ」ガスッ

サシャ 「ふぎゃっ」

ペトラ 「何してるの!?」

オルオ 「痛いか?」

サシャ 「いえ、それほど……」 

197 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:14:11 ID:m4A/nQh6
オルオ 「だろうな。俺の拳がイカレそうだ」

ペトラ 「……?」

オルオ 「腹、減ってるんだろ。腹の虫の加護がハンパねえぞ」

サシャ 「……」ギュルルルル 

198 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:14:42 ID:m4A/nQh6
ペトラ 「……ふふふ」

サシャ 「ペトラさん?」

ペトラ 「後輩が、お腹をすかせてるんですものね、一肌脱がなきゃ!」ウフフ

テクテク 

199 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:15:23 ID:m4A/nQh6
ザワザワ
餓狼A 「なんだ? "双頭の鷲"の片割れだぞ」

スゥ

ペトラ 『お前らは、頭の中が空っぽの"髑髏兵"だ!』 

200 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:15:53 ID:m4A/nQh6
ザワ……

ペトラ 『だが思い出せ!お前らの胃袋は誰の物だ!』

ザワザワ

ペトラ 『私の胃袋は、私だけの物だ!人に委ねたりは、しない!』 

201 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:16:25 ID:m4A/nQh6
ザワザワ ザワザワ
  ザワザワ  ザワザワ

      オオカミ    ブタ
ペトラ 『餓狼は食え!家畜は死ね!』ビシッ 

202 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:16:57 ID:m4A/nQh6
ザワザワ
ザワザワザワ ザワザワ

餓狼A 「何だ? どこを指差して……」

餓狼B 「おい、アレ……月桂冠じゃねえか!?」 

203 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:17:28 ID:m4A/nQh6
ガヤガヤ
ザワザワ ザワザワザワ

サシャ (気づかなかった……あれは、カツ丼弁当?)

餓狼C 「おい、俺は行くぞ!大猪だろうと関係ねえ!」

餓狼D 「俺もだ!誰にも取らせねえ!」 

204 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:18:16 ID:m4A/nQh6

ドドドドド

エレン 「アルミン、まだ待つのか?」ガクガク

アルミン「聞かないでくれよ、武者震いが止まらないんだ」ガクブル

ミカサ 「私も、今日は、二人を守れそうに無い、ふふふ」ブルブル 

205 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:18:47 ID:m4A/nQh6
アルミン「二人とも、全力だ! 作戦は……無い!」

ドドドドドドドドドドドド
ドドドドドド 

206 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:19:19 ID:m4A/nQh6
オルオ 「帰るというなら、これ以上は何も言わない。お前は、どうする?」

サシャ 「私は……」



サシャ 「私はっ……!」 

207 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:19:52 ID:m4A/nQh6
サシャ 「私は、お腹が、減りましたっ!!」グゥゥゥゥウウウウウ

ペトラ 「サシャ!」

オルオ 「なら行け、サシャ!戦って、食え!」

サシャ 「はいっ!!」 

208 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:20:22 ID:m4A/nQh6
キッツ 「恐怖に勝ったと言うのか……!?」

アルミン「違いますよ、キッツ隊長」

ミカサ 「私たちは」

エレン 「腹が、減っただけだ!」バキィ 

209 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:21:14 ID:m4A/nQh6
キッツ 「ぐぬっ!」

アルミン「もう、誰も貴方の言うことは聞かない!恐怖に支配された骸骨ではなく、
      誇りを賭けた、餓狼なのだから!」

キッツ 「私が、恐怖だけで、弁当を取っていたと思わぬことだな!」ブォン

アルミン「ぐっ」グラァ 

210 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:21:45 ID:m4A/nQh6
キッツ 「"時限装置"は空腹だ! じきに"大猪"になる!」

アルミン「だからどうした!」

キッツ 「恐怖がなくても変わらぬということだ!」ガシン

アルミン「ぐふ!」 

211 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:22:15 ID:m4A/nQh6
エレン 「アルミン!」

キッツ 「貴様も潰してくれる!」



サシャ 「パァン?」 

212 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:22:46 ID:m4A/nQh6
エレン 「!」

ミカサ 「!」

キッツ 「フハハハ、矢張りだ。懲りずに大猪になったぞ!元の木阿弥だ!
      さぁ、止めるなら早くしろ!」 

213 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:23:18 ID:m4A/nQh6
アルミン「エレン……」グググ

エレン 「アルミン!無事か!?」

アルミン「いや、もうダメだ。
      特訓中で、名前も無いけど、アレをやってくれ」

エレン 「アルミン……」 

214 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:23:51 ID:m4A/nQh6
エレン 「………お前の作戦、確かに受け取った!」

キッツ 「小賢しい、また何か企んでいるのか!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アルミン「名前は、大事だよ!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エレン 「そうだったな、アルミン」 

215 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:24:23 ID:m4A/nQh6
キッツ 「何をしようと、その前に潰してくれる!」

エレン 「これは、オレの、親友が遺した、最後の力だ!!」

      アルレルト
     "賢者の意思"ッッ!!!


カッ 

216 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:24:53 ID:m4A/nQh6
キッツ 「ぐぅうう」

エレン 『うおおぉぉぉぉお!!!』

キッツ 「全身が、変身したの、か……?」

エレン 『ウォォォオォオ』 

217 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:26:07 ID:m4A/nQh6
キッツ 「ただの暴走か。代わり映えの無い」フンッ

エレン 「どうかな?」バゴッ

キッツ 「なっ!?」

エレン 「全身が変身しても、意思を保っていられるんだ!」

キッツ 「そんなものを……!」 

218 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:26:37 ID:m4A/nQh6
エレン 「ただ、15秒しか持たないからな!終わらせてもらうぞ!」

ガツン

キッツ 「ならば、耐えるのみ!」グッ 

219 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:27:46 ID:m4A/nQh6
エレン 「うおおおお」ガシッ

キッツ 「うう!」ググッ

エレン 「だあああああ」ズバシ

キッツ 「ぐうううううう!」グググッ

エレン 「う……」バタン 

220 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:28:18 ID:m4A/nQh6
キッツ 「はぁ、私の忍耐勝ちだな」

サシャ 「少し、気が早いんじゃないですか?」

キッツ 「貴様……!?」

サシャ 「エレンの声が聞こえました。アルミンの声も。
      ペトラさんと、オルオさんも、みんなの声が」 

221 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:28:50 ID:m4A/nQh6
サシャ 「空腹なのに、こんなに穏やかな気持ちになったのは初めてです」

キッツ 「貴様……貴様は何者だ!?」

サシャ 「とっくにご存知なんでしょう?
     私は、弁当を取るためにダウパー村からやってきた少数民族…」 

222 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:29:30 ID:m4A/nQh6
サシャ 「激しい空腹を持ちながら、穏やかな心に目覚めた狩猟民族……」

     超サシャです!」ドヤァ

キッツ 「何が超だ!ただ、正気になっただけだろう!」

ガガガッ

サシャ 「今、何か、しましたか?」 

223 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:30:00 ID:m4A/nQh6
キッツ 「え……?」

サシャ 「少し寝ててください」ヒュッ

キッツ 「」カクン 

224 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:30:30 ID:m4A/nQh6
サシャ 「ふぅ、お腹空きすぎて、倒れそうですよ」

サシャ 「でも私、初めて、大猪でなく自分で、お弁当を取れました」ポロポロ

ミカサ 「おめでとう、サシャ」ゲット 

225 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:31:04 ID:m4A/nQh6
サシャ 「え、ミカサ?」

ミカサ 「そっちはオトコノコの世界だったので、何となく出番がなかったから、
     無名の餓狼を蹴散らしていた」

サシャ 「そういえば、ミカサの声だけ聞こえませんでしたね」ハハハ 

226 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:31:40 ID:m4A/nQh6
ミカサ 「サシャに伝言、調査兵団の人たちから」

サシャ 「あ、ペトラさんとオルオさん……!?」

ミカサ 「"俺たちはうどんを食べに行くから、お前は仲間と弁当を食え"」

サシャ 「オルオさん……」ウウウ 

227 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:32:20 ID:m4A/nQh6
ミカサ 「"今度は、私たちとお弁当を食べましょう"」

サシャ 「ペトラさん……」グスグス

ミカサ 「二人とも、サシャが参加してすぐに出て行ってしまった。
     お弁当を取るかも分からないのに。貴方を信じていた」

サシャ 「ぅぅううう、ミカサぁああああ」ボロボロ

ミカサ 「サシャは良い子」ヨシヨシ 

228 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:32:53 ID:m4A/nQh6
エレン 「取り込み中悪いけどよ、腹減ったから帰ろうぜ」

アルミン「今はまずいよ、エレン。良いところなんだから」

ミカサ 「エレンは、もう少し空気を読む能力を持つべき」ムゥ

サシャ 「いいですよ、ミカサ。私たちも帰りましょう!」ウフフフ 

229 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:33:35 ID:m4A/nQh6
訓練兵団 食堂

ミカサ 「サシャとエレンとアルミンに、カツを一切れずつあげよう」

エレン 「ありがとな」

アルミン「ありがとうミカサ」

サシャ 「頂きます、ミカサ」 

230 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:34:05 ID:m4A/nQh6
サシャ 「それでは、頂きます」

サシャ (まずは、ミカサに頂いたカツから)

ザク 

231 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:34:37 ID:m4A/nQh6
サシャ (カラっと揚ったカツ衣の歯ごたえが堪らないですね!

     外はザクザクの食感なのに、中は柔らかくて……?)


エレン 「随分、柔らかい肉だな、これ」

アルミン「違うよ、エレン。これは」

サシャ 「薄く切ったモモ肉を、何枚も重ねて1枚の肉にしてあります」フルフル

ミカサ 「本来は薄い肉だから、肉が柔らかく、火も通りやすい」ザクザク 

232 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:35:08 ID:m4A/nQh6
アルミン「これは、料理人の知恵だね」

サシャ 「うーん、驚きましたけど、これは良いですねぇ」

ミカサ 「肉が冷えても、硬くならない」ザク

エレン 「旨ければ何でも良いや」ザクザク


モグモグ 

233 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:35:40 ID:m4A/nQh6
サシャ (肉の間から流れ出る脂と、フルーティなソースが舌の上にこぼれてきて

     後から後から涎が止まらないですね!

     衣の食感に、肉とソースの甘み。完璧な取り合わせです!)


エレン 「美味いなー。この黄色いのはマスタードか?」

アルミン「これは、ワカラシっていうマスタードの仲間だね」

サシャ 「ちょっとだけ、つけてみましょうか」

チョイチョイ 

234 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:36:12 ID:m4A/nQh6
ザク

サシャ (!!!)スパーン

サシャ (目から星が出るかと思いました!)ジワァ

サシャ (でも、この疾走感のある辛味は癖になりますね!) 

235 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:36:45 ID:m4A/nQh6
サシャ 「も、もうちょっと、多めに付けましょうかね」フヒヒヒ

ヌリヌリ

ザクリ

サシャ 「っはッーーー!!??」

アルミン「!?」ビクン
エレン 「!?」ビクッ
ミカサ 「?」 

236 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:37:18 ID:m4A/nQh6
サシャ (ちょっと付け過ぎましたけど、このソースとワカラシのコンビネーションが

     私の食欲を挑発して止まないです!)ザクザク

サシャ (肉、ソース、カラシ! この組み合わせが完璧すぎます!)パクパク

サシャ (口の中でパーティーが開かれてるみたいに、色々な味が踊り狂ってますよ!

     これは、美味しい味じゃないです!旨い味!人を惹き付けて止まない旨味です!)

ザクザクザクザク 

237 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:37:49 ID:m4A/nQh6
エレン 「おれも、ワカラシ、付けてみようかな」

ミカサ 「エレンがつけるなら、私も」

アルミン「それじゃあ、僕も」


ハッーーーー!!?? 

238 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:38:19 ID:m4A/nQh6
アルミン「辛いけど、美味しいね。涙出てきた」ジワァ

エレン 「鼻から突き抜ける!」ジワァ

ミカサ 「美味しい」モグモグ


フゥ 

239 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:39:14 ID:m4A/nQh6
サシャ 「カツ丼に、いきます」

サシャ (見た目は、さっきのカツがご飯の上に乗って、タレが掛かっただけなんですけどね)

サク 

240 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:39:48 ID:m4A/nQh6
サシャ (柔らかい!さっきのカツとは揚げ方からして違います!

     さっきは堅い衣の歯ごたえが良い食感でしたけど、これは甘噛みするだけで

     簡単に噛み切れるくらいの柔らかさです。衣も薄くて軽いですね!) 

241 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:40:22 ID:m4A/nQh6
サシャ (多分、下ごしらえで予め煮込んだ豚肉に……)

サシャ 「!?」ガタン

ミカサ 「?」

エレン 「どうしたんだ、サシャ?」

アルミン「舌でも噛んだの?」 

242 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:41:03 ID:m4A/nQh6
サシャ 「このお肉、チャーシューや。チャーシューを揚げとる!」ワナワナ

ミカサ 「!」
エレン 「!」
アルミン「!」 

243 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:41:36 ID:m4A/nQh6
サシャ (柔らかいチャーシューに衣を着けとるから、口に入れた瞬間にほろほろに崩れる!

     甘辛のタレは、サクサクの衣にもチャーシューのお肉にも良く合う!

     付け合せの半熟卵!これをカツに絡めると、黄身のねっとりとした甘みがカツを包み込んで、

     さらにカツの旨味を増強させるわ!) 

244 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:42:07 ID:m4A/nQh6
フ、フフフ

サシャ (あぁ、酷い。全く酷い!何て仕打ちや!)

フフフフフ

サシャ (顔がにやけるのが止まらん!)エヘヘヘ 

245 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:42:39 ID:m4A/nQh6
ミカサ 「サシャ、貴方は私たちにも、それを分けるべき」ソワソワ

エレン 「一切れでいいから!」ソワソワ

アルミン「ぼ、僕も!」

サシャ 「うふふ、いいですよぉ」ニヘラニヘラ 

246 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:43:21 ID:m4A/nQh6
エレン 「美味めぇえぇ!何だこれ!?」

ミカサ 「今までに無い組み合わせの味。これは美味しい」

アルミン「顔の筋肉が緩んでしまうね」エヘヘ 

247 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:43:56 ID:m4A/nQh6
サシャ (出来立ての、温かいときも美味しいんでしょうけれど、これはむしろ

     冷めて温度が下がったほうが、味の真価を発揮するんじゃないでしょうか。

     チャーシューに染み込んだ深みが、じんわりと染み出てくるようですね!)

サシャ (付け合せの千切りキャベツ!脂っぽさとタレの甘辛を流しさってくれます!

     はぁ、せいろ蒸しは、上品な美味しさでしたけど、これは大衆の味です!

     元気の出る美味しさ、庶民の味ですね!あぁ、大好きですよ!」 

248 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:44:29 ID:m4A/nQh6
ミカサ 「私も、サシャのことは大好き」

アルミン「僕もだよ」

エレン 「俺もだ」 

249 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:45:04 ID:m4A/nQh6
サシャ 「え、もしかして声に出てました?」

ミカサ 「鮮明に」

サシャ 「違うんですよ。いえ、違わないんですけど、今のは違うというか」

ミカサ 「分かってる」フフフ 

250 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:45:48 ID:m4A/nQh6
サシャ 「もう、からかわないでくださいよ!」ウフフフフ 

251 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:46:28 ID:m4A/nQh6
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キッツ・ヴェールマン
 予想できないもの、理解できないものが恐いと、強く思う。
 次からは、そういうものは徹底的に排除することを決意する。 

252 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:47:11 ID:m4A/nQh6
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マルコ・ボット
 無事に退院した。薬も抜けたので、幻覚も見ないはずだ。

コニー・スプリンガー
 食べてみたら、意外と納豆がイケたので、毎日食べている。
 そのせいか分からないが、最近体の調子が良い。
 今度、マルコにも薦めてみようと考えている。 


253 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 00:47:46 ID:m4A/nQh6
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ペトラ・ラル
 うどんを食べに行ったら、リヴァイ兵長が先にいて、
 一緒の席に呼んでもらえたので、ご満悦。

オルオ・ボザド
 尊敬する人がいる。あんな風になりたいと思う。
 守るものがあれば、少し近づけるのではないかと、
 最近ふと思った。
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(おわり) 


次回 ミーナ「ス・ブタ?」