2 :1:2013/07/26(金) 00:45:25 ID:cusOl.Jw
芋屋「いらっしゃいませー、おいしいおいしいヤキイモはいかがですかぁ?」
ユミル(4)「…………」
ユミル(ヤキイモ……蒸かしイモじゃなくてサツマイモか!美味しそうだなぁ)ジー
ユミル(……ふぅん、やっぱり普通の芋より高い、ってうわー……)
芋屋「いらっしゃいませー」プーン
3 :1:2013/07/26(金) 00:47:17 ID:cusOl.Jw
ユミル(いい匂い嗅いじまった、……お腹鳴りそう)ムー
ユミル(……忘れよう、お金なんて持ってないし。これは早々に立ち去るのが吉だな)スタスタ
ユミル「…………」スタスタ
ユミル(うわあああ!!頭から離れん!)ヤキイモーヤキイモー
ユミル(しかし手持ちのお金は……全然足りないな)チャリチャリ
ユミル(ヤキイモ自体は……熱い容器に入ったままだから盗むのは無理だろうし
しょうがない、どこからか金目の物を盗……いや、借りるか!)ヨシッ!
ユミル「となると、急がなきゃな!売り切れる前に!」ダッシュ
ヤキイモ「待ってるよー!」ノシ
4 :1:2013/07/26(金) 00:48:15 ID:cusOl.Jw
ユミル「とは言え困った……教会は2,3日前に忍び込んでいるから、警備が堅いだろうし
貴族の所はしっかりリサーチしないと危険だろうし……こんな子供の体じゃ」チラッ
ユミル「色の買い手は無いし、逆にどんな変 に行きあたるか分からん」ハァ
ユミル「となると……」ジー
通行人「」スタスタ
通行人「」スタスタ
ユミル「手っ取り早いのはスリか、もしくは夜を待って酔っ払いから財布を分捕るか……」
ユミル「よし、とりあえずカモがいないか見張るとするか!」
5 :1:2013/07/26(金) 00:49:02 ID:cusOl.Jw
【数時間後】
ユミル「……カモ、いなかった」ズーン
ユミル(なんか最近ガードが堅いな……そろそろこの街を離れて、新しい所に行くべきなのかもしれないな)
ユミル「まぁ最後にヤキイモを食べて、元気になって行くとするか!……って」
憲兵団員「」フラフラ
ユミル(お……憲兵団員だ、酔って裏道に入って行くな……)
ユミル「よし!」グッ
ユミル(気付かれたとしても逃げ回るルートは想像できるし……これはイケるぞ」ニヤッ
6 :1:2013/07/26(金) 00:50:02 ID:cusOl.Jw
憲兵団員「」フラフラ
ユミル「…………」スタスタ
ユミル(よーし、気付かれないように近づけているな)スタスタ
憲兵団員「」フラフラ
ユミル(あと……少し)
憲兵団員「」フラフラ
ユミル(気付くなよ……気付くなよ…………)スッ
ユミル(よし!財布の先を掴ん……)
ガシッ
ユミル「……え?」
リヴァイ(12)「…………」ギュウッ
ユミル「…………」パッ
7 :1:2013/07/26(金) 00:52:17 ID:cusOl.Jw
そいつを初めて見た時は、その目を見た瞬間寒気が走った
まるで天敵を初めて見つけた蛙のように、目が離せない
相手にとって悪い事は自分の不利益になる、相手を怒らせる事は自分の命に関わるのではないか
そんな感覚と共に、ユミルは財布から手を放した
リヴァイ「……それでいい、行くぞ」グイッ
ユミル「わっ」
ユミル(なんだコレ、誰だコイツ、なんだこの感じ……これは、恐怖……か?)ガタガタ
ユミル(でもこんな震え……スリの現場が見つかって、咎められるからとかではない)ガタガタ
――こいつはいずれ私達を殺す
私の中の巨人がそう伝えている
――こいつは私の脅威だ、と
その内からの真摯な警告に、ユミルは胸を抑える事しか出来ない
9 :1:2013/07/26(金) 00:53:12 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「ここまで離れればいいか」
ユミル「は……?え?」
ユミル(なんだ、いつの間にこんな奥に)
リヴァイ「ちょっと面を出せ」
ユミル「は?何が……ぶふっ!」
リヴァイ「顔が汚れている、そんな面を俺に向けるな……汚いのは許せねぇんだよ」ゴシゴシ
ユミル「ちょ……ぶ、顔……こすれる!やめ……」ジタバタ
10 :1:2013/07/26(金) 00:55:10 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「ん……なんだ?落ちねぇと思っていた分はそばかすか、そりゃあ落ちねえはずだな」パッ
ユミル「み、見りゃあ分かるだろうが!!」ヒリヒリ
リヴァイ「いや、分からんな……どれ、もう一度こすり……」
ユミル「いいって言ってんだろうが!と言うかお前、何か怒っているんだろ!だから……もがっ」
リヴァイ「まぁ怒っていると言われれば、そうになる」ゴシゴシ
ユミル「痛い痛い痛い!」ジタバタ
リヴァイ「大人しくしろ!」ギュッ、ゴシゴシ
ユミル「嫌だぁ!離せよ!!」ジタバタ
リヴァイ「もう少しで綺麗になるだろうが、動くな」ゴシゴシ
ユミル「止めろ!頬がこすれ…頬骨が痛……って、離せよ!!」バシッ
11 :1:2013/07/26(金) 00:56:16 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「……ほぉ」
ユミル「なんだよお前、何がしたいんだよ!悪い事は…………たくさんしているが、お前には会った事も無いぞ!」ギリッ
リヴァイ(身のこなしが素早いな……が)
リヴァイ「幼児の貴様が、俺から逃げ切れると思ったか――アホめ」ガシッ
ユミル「なんだよ!テメェだってチビじゃねぇか!」
リヴァイ「…………」ムカッ
リヴァイ「そうかよ」ヒョイ
ユミル「なんだよ!小脇に抱えるな!」ジタバタ
リヴァイ「俺に迷惑を掛けてないだと?……掛けられているんだよ、思いっきりな!」グリン
ユミル「へ……?」
12 :1:2013/07/26(金) 00:57:55 ID:cusOl.Jw
ユミル(う、わ……体が反転し)
バシイ!
ユミル「うぇ!?」
リヴァイ「ここは俺たちのシマなんだよ、一応な」バシッバシッ
ユミル「痛ぁ!――痛い!痛いって、いっ言ってんだろ、離せぇえ!」ジタバタ
リヴァイ「そんな事を言っても無駄だ……こっちはいらない疑いを掛けられて迷惑していたんだ」バシッバシッ
ユミル「……!わ、悪かったって!」
リヴァイ「そんな事で止まると思っているのか?……このお尻叩きが」バシッバシッ
ユミル「や、やめてくれぇ~!」ジタバタ
13 :1:2013/07/26(金) 00:58:55 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「止めてくれで止まるはずがない、むしろより悪化する……衝撃の間に挟まっている、この布切れを取ってな!」ペラッ
ユミル「うわっ!ちょ……止めっ恥ずかしいだろうがぁ!」ジタバタ
リヴァイ「……ん?お前、女か?」バシッバシッ
ユミル「そうだよ!だからその手を緩めろぉ!」ジタバタ
リヴァイ「まぁ、その幼さで男女の差なんてほとんど無いだろうな」バシッ
ユミル「……!やめ、やめ…………やめてくれえええええ!」
14 :1:2013/07/26(金) 00:59:51 ID:cusOl.Jw
ユミル「……痛い」ヒリヒリ
リヴァイ「ふん、まぁ多少はすっきりしたか」
ユミル「やりすぎだ」
リヴァイ「ふん、そんな事は俺が決める」
ユミル「座れない」
リヴァイ「自業自得と言う奴だな」
ユミル「…………」ブー
リヴァイ「ぶーたれても何も出ないぞ、ここの裏道には……お前のような奴がごまんといるんだからな」フンッ
16 :1:2013/07/26(金) 01:00:46 ID:cusOl.Jw
ユミル(畜生、さすがにこの体じゃ勝てないな……待てよ?もうこいつの気が済んだんだったら、もう立ち去っても支障は無いじゃないか)
リヴァイ「……にしてもお前」
ユミル(は、話を続けるんか!?)ギクッ
ユミル「な……なんだよ」
リヴァイ「それだけ身のこなしが柔らかかったら、時を見て壁の辺りに行け……訓練兵になったら飯も食えるし兵士になって三年たつと戸籍も貰える」
ユミル「は?」
ユミル(なんだ、こいつ……こっちの事を心配しているのか?ふぅん……いいトコあるじゃん)
リヴァイ「だからさっさと俺のシマから出て行け」シッシッ
ユミル「だぁ!それが目的かよ!!ちょっと感動して損したぁああ!!」
18 :1:2013/07/26(金) 01:02:25 ID:cusOl.Jw
ユミル「あーそうかい!分かったよおい、こっちもそろそろ流れようと思っていた所だ!お前みたいな奴がいる場所なんてこっちからゴメンだね!」
リヴァイ「そんなに言うなよ、傷つくな」
ユミル「こっちは尻が酷く傷ついているんだよ!現在進行形で、誰かさんのせいでぇええ!」
リヴァイ「……まぁそれでいい」
ユミル「じゃあな!もう二度と会うもんか!」ダッシュ
リヴァイ「……子供は元気がいいと、皆言っているしな」フゥ
19 :1:2013/07/26(金) 01:04:21 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「元気と言うか……人間ってのは腐らなければそれだけで全うだ」ゴロン
リヴァイ「生きながら腐っている俺が、よく言うもんだな」ファー
リヴァイ(眠い……)ウトウト
リヴァイ(…………ん?)
ユミル「あ」ギクー
20 :1:2013/07/26(金) 01:05:05 ID:cusOl.Jw
リヴァイ「…………おい、何をしている」ムクッ
ユミル「…………………………あ、あは」ダラダラ
ユミル「」ダッシュ!
リヴァイ「お、おい!それは!」
ユミル「」スタコラサッサ
リヴァイ「俺の財布、…………まぁいいか」ファー
リヴァイ「どうせはした金しか入っていない、小銭入れだ」ゴロン
リヴァイ「直に叩きすぎた尻の、慰謝料にでもしてやるさ」
リヴァイ「」zzz
23 :1:2013/07/26(金) 01:06:53 ID:cusOl.Jw
ユミル「……はぁ、……はぁ、……どうだ、少しは報いてやったぞ」フンッ
ユミル「さてさて、中にはいくら入っているのかなぁ?」チャリンチャリン
ユミル「……これだけ」
ユミル(少ない……な。たったこれだけで一体何が…………ん?待てよ、確かヤキイモって、これに私の持ち金少し足せば足りるじゃん!)
ユミル「これは私に、ヤキイモを食べろって言う天の思し召しか!よし、行くぞヤキイモー!」ダッシュ
24 :1:2013/07/26(金) 01:08:21 ID:cusOl.Jw
ヤキイモ屋さん「いらっしゃいませ、はいどうぞ!」
ユミル「ヨッシャ!じゃあこれでも食べながら、次の街に向かうとするか!」スタスタ
ヤキイモ「美味しく食べてね!」
リヴァイ「大人しくしろ」ユミル「嫌だぁ!離せよ!!」【完】
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