前回 ベルトルト「新宿の巨人」ユミル「西口」

1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 21:47:26 ID:BOkfWBrw

エルヴィン「諸君ら104期を呼び出したのは他でもない。明日一日かけて遠征調査に行ってもらう」

一同 ザワ

サシャ(私たちが初参加する壁外調査は2週間後のはずでは……?)

エルヴィン「調査と言っても壁外ではない。この世界の外だ」

サシャ(!?)

エルヴィン「昨日、地下の食料庫の荷台に乗り……なんやかんやでつきあたりの壁につっこむと」

エルヴィン「異世界に行けることが判明した」

サシャ(さすが食料庫です!) 

 

 
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 21:54:56 ID:BOkfWBrw
エルヴィン「昨夜、ハンジとリヴァイが荷台で遊んでいた際に発見した」

リヴァイ「エルヴィンお前もだろ」

ハンジ「レースで負けたからって、情報操作はよくないよ~」

サシャ(優勝商品はやはり食べ物だったんでしょうか)

エルヴィン「この世界ではない、未来世界に存在する極東の島国に繋がった」

エルヴィン「早急な調査が急務である。この世界にとって有益な情報が得られるかもしれない」

エルヴィン「よって諸君ら104期の中から志願者を募り、スパイを送ることを決定した」

ジャン「なんだよそれ」

コニー「非科学的じゃねえか」

サシャ「コニー、キャラがぶれてます」

エルヴィン「志願者は明日、その荷台に乗り、目標の地域の最重要人口密集地帯に送られる」

エルヴィン「シンジュク駅という巨大なダンジョンだ」

エルヴィン「そこで君たちには現地の人間や文化を偵察してきてほしい」 


4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 21:56:05 ID:BOkfWBrw
クリスタ「偵察……見るだけでよいのですか?」

ユミル「戦闘が起こる可能性は?」

ハンジ「私が昨日事前調査に行ってきたけど、基本的に治安はいいし確率は極めて低いと思うよ」

ハンジ「皆格闘術を心得ていないもやしっ子みたいだったしね」

ハンジ「まあ難しいことはさておいて、純粋に未来の異国を楽しんでくるといいよ」

ハンジ「ただ、シンジュクダンジョンは現地の人間でさえ飲み込む迷宮だよ……気をつけてね」

一同 ゴクッ

エルヴィン「以上だ。志願者は明日9時ここに集合」

エルヴィン「約1時間ハンジより向こうの情報を聴講したのち10時出発だ。それでは解散したまえ」

サシャ(異世界、ですか……) 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:07:46 ID:BOkfWBrw

――深夜 食堂

ガチャ

サシャ「!」

ジャン「んあ?」

サシャ「こんばんは」ニコ

ジャン「こんな夜遅くに食堂に何の用だ」

サシャ「眠れなくて」

ジャン「お前が?」ゾッ

サシャ「私をなんだと思っているんですか」

ジャン「まあ大方予想はつくな。食いもんならあっちだぞー」シッシッ

サシャ「はは、そうでしたね。間違えました」

ジャン「……」

サシャ「ジャンこそ、食堂で何を?」 

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:08:59 ID:BOkfWBrw
ジャン「明日の予習ってとこだな」ペラッ

サシャ「事前に配布されたシンジュクダンジョンのレポートですか。よくわからない単語ばかりですよね」

サシャ「でも明日ハンジさんからの講義もあるし、大丈夫じゃないですか?」

ジャン「まあそうだろうが」

サシャ「……明日楽しみですか?」

ジャン「どうだろうな」

サシャ「どうでしょうね」

ジャン「俺は明日ミカサと過ごしたい」

サシャ「知ってます。おそらく全員」

ジャン「るせえ」

ジャン「過ごしたいが……おそらく叶わねえ。あいつはエレンとアルミンと行動するだろう」

サシャ「わからないですよ?誘ってみては?」

ジャン「役回りは決まってんだよ大抵は」

サシャ「はは」 

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:11:57 ID:BOkfWBrw
ジャン「だからせめて、何かやって、喜ぶ顔が見てえと思ってな」

サシャ「プレゼントを買うんですね?」

ジャン「笑うか」

サシャ「笑うどころか怒ります」

ジャン「あ?」

サシャ「全く、水臭いですねジャンは。私にお手伝いさせてください」

ジャン「!」

サシャ「ね」

ジャン「いやいいって。一人でやるつもりだ」

サシャ「プレゼント選びって一人でやるとドツボにはまるんですよ。それにほら、一般女子の意見とか」

ジャン「お前どう考えても一般女子じゃないよな」

サシャ「失礼な」 

8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:13:39 ID:BOkfWBrw
ジャン「プレゼントに食べ物は買わねえんだぞ。チュウゲンやセイボじゃあるまいし」

サシャ「私は確かに食べ物に目がありませんが、それとこれとは別ですよ」

ジャン「……」ジィ

サシャ「別ー!」

ジャン「まあ、じゃあ……頼むとするか」

サシャ「了解です!」バッ

ジャン「心臓捧げなくていいぞ」

サシャ「あはは」

ジャン「で、俺は何を食わせればいいんだ?」

サシャ「え?」

ジャン「えって……駄賃に食いもんいるんだろ?」

サシャ「一言も言ってませんよ」

ジャン「お前そういう役だろ」 

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:15:06 ID:BOkfWBrw

サシャ「本当に失礼ですね!無条件でやりますよ!」プン

ジャン「そ、そうか。悪かったな」

サシャ「……」

ジャン「……」

サシャ「明日のパァン……とか?」チラッ

ジャン「あいよ」

サシャ「うふふ///」

サシャ「じゃあ私も一緒に予習を」ストン

ジャン「いやもう寝ろ」

サシャ「え?」

ジャン「お前最近元気ないだろ」

サシャ「食欲ありますよ?」ハテ

ジャン「食欲以外」 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 22:16:36 ID:BOkfWBrw
サシャ「あはは……ばれていましたか」

ジャン「理由は知らねえが寝ろ。気持ち悪いからとにかく寝ろ。眠れなくても寝ろ」

サシャ「もっと他の言い方があると思います!」

サシャ「でも……ありがとうございます。また明日」

ジャン「ああ」

バタン


サシャ(はあ。私顔に出やすいんですかね……)

サシャ(ただでさえ2週間後の壁外調査で緊張しているのに、いきなり異世界だなんて。こわい……)

サシャ(おいしい食べ物あるらしいですから、行きますけど……) 


17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:42:45 ID:1nVG5Ddg
翌日

1000――地下食料庫

エルヴィン「志願者はこれだけか。心より尊敬する」

ハンジ「じゃあ向こうの情報も伝えたところで、出発するよ!荷台に乗って乗って!」

サシャ(ジャンからの報酬のパァン美味しかったです)

サシャ(異世界の食べ物って何があるんでしょうか……お小遣いたりますかね) 

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:43:17 ID:1nVG5Ddg

『さあみんな。

君たちは今荷台に揺られている。この暗がりを抜けたらシンジュクダンジョンに到着するよ。

でも手が滑っちゃって。到着地点がJR中央線、東京行きのホームになっちゃった。ごめんね。

君たちの任務。それはこの世界の情報をなんでもいいから集めてくること。

そして、この国の要である超大型ダンジョン、シンジュク周辺の調査だ。

でもこれは外形的な任務内容。旅行に行ったと思って楽しんできてよ。

緊急のため、立体機動装置は装備、雨具で隠しておくこと。一般人との混乱、戦闘は極力避けてね。

帰還は、2200。JR新宿駅西口、世界時計前に集合だ。帰りの荷台がくるから。

遅れたら最期、戻ってこれる保証はできないから覚悟してね。

それじゃあ良い旅を! ハンジより』 

19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:44:01 ID:1nVG5Ddg
ガタンガタン

ライナー「真っ暗だな。本当に目的地に進んでいるのか?」

アルミン「はは……明るくなってのお楽しみってとこかな」

ミカサ「減速してる、到着するみたい」

サシャ「緊張しますね!」

コニー「俺が一番に降りるからな!」

エレン「はあ?子どもかよコニー。俺が先だろ」

ジャン「どけよ、前見えねえよ」

キキィーッ

エレジャンコニ「わっ」グラッ

エレジャンコニ「うわあああ!」スッテンコロリン

プシュー

クリスタ ピョン

クリスタ「いちばんのり!」ウフフ

ライユミ(結婚) 

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:45:00 ID:1nVG5Ddg
1005――JR新宿駅 中央線東京行ホーム

ガヤガヤ

エレン「ここが、シンジュクダンジョン!!」

ライナー「すげえ人の数だ!押し流されちまいそうだな」

ユミル「安心しろ、ゴリラは流されねえから」

アルミン「出口へは階段を下るみたいだ」

エレン「なんかすげえのあんぞ!」

アルミン「あれがハンジさんの言ってたエスカレーターって乗り物だね」

エレン「乗ろうぜアルミン!ミカサ!」ワクワク

アルミカ「うん!」

スタスタ

ライナー「甘いなエレンは。ラクしてたら兵士失格だぞ、常に鍛えなければな」クリスタチラッ

ライナー「俺とベルトルトはそこの階段からいかせてもらう」

ベルトルト(変なとこ格好つけないでよ…)

スタスタ 

21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:45:45 ID:1nVG5Ddg
クリスタ「ユミルー」キラキラ

ユミル「わかってるよクリスタちゃん。乗ってみてえんだろ動く階段」

クリスタ「うんっ!皆も行こう?」

コニー「ジャン!サシャ!そこの出店見てみてえ!行こうぜ!」

ジャン「おい!下手に行動したらはぐれちまうぞ!ここはクリスタたちに続いて行くべ」

サシャ「食べ物買ってから行きましょう!クリスタ、すぐ追いますから!」

コニサシャ「うひょー!!」ダダダ

ジャン「話聞けよ!」

ユミル「子守はジャンに一任だな」

クリスタ「わんぱくって可愛いね」 

22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:49:59 ID:1nVG5Ddg
1020――

ジャン「……まだホームさえ出てねえのに」

サシャ モグモグ

コニー ムシャムシャ

ジャン「食い散らかしてんじゃねえよ!」

サシャコニ「え?」

ジャン「ホームの売店が目的じゃねえっつってんだよ!」

キイロイセンノウチガワニ-

サシャ「聞きましたあ?コニー。黄色い線の内側に~ですって」

コニー「これが線かよ太すぎじゃね」

サシャ「ですよね~」

サシャコニ「あはははは!」

ジャン「意味がわからねえ」 

23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:50:48 ID:1nVG5Ddg
ジャン「フラフラしてっとホームから落ちるぞ」

コニー「怖いのかよジャン」ププ

サシャ「まだまだですねジャン」ププ


プオォォォン!!


サシャコニ「うわっ」グラッ

ジャン「あぶね!」ガシッ


ガタンガタン!!


サシャコニ「……!!」

コニー「……し、死ぬかと思った」ドキドキ

サシャ「私もです……」ドキドキ

ジャン「ったく開始そうそう何やってんだ」 

24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:51:42 ID:1nVG5Ddg
コニー「す……すまねえな」

サシャ「すみません」

ジャン「……」

サシャ「……」

コニー「……う」

サシャコニ「うひょおおおおお!!」ダダダ

ジャン「懲りろ!」 


26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:57:33 ID:1nVG5Ddg

1030――JR 新宿駅 東南口改札前

ジャン「で、なんで俺らは東南口とかいう中途半端な改札出てんだよ……」

ジャン「他の奴らのとこに戻るべきだったろ」ゲッソリ

コニー「ジャン。後悔先に立たず」ニヤ

ジャン「お前がことわざ使うと無性に腹立つ」

サシャ「さて、まずはご飯ですね!」

ジャン「そう言うと思ったが却下だ」

サシャ「えっ!?」

ジャン「朝飯くってからまだ時間たってねぇぞ。つかお前ら今売店で食料大量買いしただろ」

サシャコニ「……」

コニー「いや飯だろ」

サシャ「ですよね」

ジャン「んで俺が間違ってるみてえな空気だしてんだよ……」 

27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 12:59:13 ID:1nVG5Ddg
サシャ「買い食いしながらお食事処を探しましょう。まずはあのクレープ」

コニー「おう」

ジャン「なんなんだよお前ら」 


34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:46:25 ID:1nVG5Ddg

1130――新宿通り 焼肉屋

ガヤガヤ ジュー

ジャン「聞け!男とは!」ガタッ

コニー「うえぇ何か立ち上がったぞコイツ!」プークスクス

サシャ「ジャンって男がどうたらって言うタイプでしたっけ?」

コニー「どっちかってえとライナーだよなー」

ジャン「うるせえ」

サシャ「すみません」

ジャン「男とはな!惚れた女にゃあストレート一本勝負ってもんだ!」

サシャ「変化球が使えないだけだろー」

コニー「緊張して使えないだけだろー」

ジャン「野次とばすな。ちょっとこのベーコンやるから黙れ」

サシャ「はい」モグモグ

ジャン「コニーはこのイカな」

コニー「おう」モグモグ 

35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:47:33 ID:1nVG5Ddg
ジャン「俺はミカサ一筋だ!きたねえ手はできるだけ使わねえ!」

サシャ(できるだけ……)

ジャン「んで俺は男であって!」

ウンウン

ジャン「家族家族を建前にミカサ愛を享受し続けるエレンとは違う!」

ジャン「と」

ジャン「言いたい……」

サシャ「……」

コニー「……」

ジャン「言いがかりかもしれないが……と、言いたい」ボソ

サシャ「ただ羨ましいんですね」

コニー「まあ家族って言えばいつも一緒にいられるからなーいいよなー」

ジャン「……はぁ」ズーン 

36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:48:22 ID:1nVG5Ddg
サシャ「俺がエレンの立場だったらよかったのにーとか」

コニー「思うよな普通ー」

ジャン シュン

ジャン「……お前ら!いや、サシャには話したからコニー。今日は俺はプレゼントを買う!」

ジャン「だからおとなしく付き合えよ!もしくは単独行動でもしてろ」

コニー「はああああ!?」

コニー「サシャお前こんなんに付き合うつもりかよ!」

サシャ「もちろんです!お姉さんですから私は!」キリッ

コニー「つまんねー!」ガクッ 

37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:49:32 ID:1nVG5Ddg
ジャン「おら!タマネギやるから!」グイグイ

コニー「やめろ!もう腹いっぱいなんだよ!!」ウプ


イラッシャイマセー ガヤガヤ


サシャ「!」ハッ

サシャ「噂をすれば!エレンとミカサですよ!ほら、お店の入り口に!」

ジャン「なっなにっ!?///」

コニー ウプ

サシャ「エレーン!ミカサー!おーい!」フリフリ

サシャ(ここはジャンのために一肌脱ぐとしましょう!)ニヤ 

38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:56:15 ID:1nVG5Ddg

1250――新宿通り 焼肉屋外

サシャ「エレン!ミカサ!またあとでー!」フリフリ


ジャン「行っちまった……」ハァ

サシャ「気を落とさないで下さい!ばったりミカサに会えたのは幸先が良い証拠ですよっ」アセ

サシャ「一緒のテーブルで食べてくれましたし!」

サシャ(やはりミカサに少し怒られてしまいましたが……)

コニー「お前……食い過ぎ」ウプッ

ジャン「サシャ……さっきは、ありがとよ」

サシャ「?」

ジャン「俺とミカサが喋れるように、エレンと大食い勝負したんだろ」

サシャ「アハハ、ばれてました?」 

39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:59:17 ID:1nVG5Ddg
ジャン「まあな。でもミカサはやっぱりエレンばっかみてた……」ズーン

ジャン「イヤ、慣れてる。慣れてるからな……いつものことだ」ズウゥゥン

サシャ「げ、元気だしてください!腹ごしらえもすんだことだし!お買い物しましょう!」

コニー「何買うんだよ」

サシャ「決めているんですか?ジャン」

ジャン「当たり前だろ!」

サシャコニ「?」

ジャン「夏!」

ジャン「日差し!」

ジャン「さらさらの美しい黒髪と言えば!」

サシャコニ「言えば?」


ジャン「麦わら帽子だ!」 

43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:26:45 ID:1nVG5Ddg

1300――東口 ルミネエスト

イラッシャイマセー

キョロキョロ

ジャン「すげえ女子女子してるな……き……緊張する」ドキドキ

コニー「坊主がくるとこじゃねえ」ドキドキ

サシャ「あはは……」ドキドキ

ジャン「おいサシャ!お前が頼りなんだぞ!」

サシャ「そっそうでしたね……私はお姉さんなんですからね……」

サシャ「それではジャン!気を落ち着かせるためにこれを贈呈します」

ジャン「あ?」

サシャ「百味ガムです」

ジャン「百味ガム?」 

44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:29:00 ID:1nVG5Ddg
サシャ「口に含んで噛むと味がする食べ物です!」

ジャン「?」

サシャ「まあまあ試しにおひとつ!」スッ

ジャン「……」パクッ

ジャン「!」

ジャン「うえええええ!くせえ!なんだこの味!!」

サシャ「えっと……それは“シンカイギョの味”」

ジャン「ううう!」ゴクン

サシャ「飲み込んじゃだめですよ!これは味がなくなったら吐き出すものなんです!」

ジャン「早く言えよ!」

サシャ「あはははは!」

コニー「早く選んで終わらせよーぜー」ムス 
 

46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:31:42 ID:1nVG5Ddg
 
サシャ「何を言っているんですコニー!」

サシャ「あなたにもガムあげます!このガムは100種類の味があるそうですから!」

コニー「どれくれんだ」

サシャ「どれでも、好きな色を」

コニー「じゃあこれ」

サシャ「それはえーっと“母親のへそのゴマの味”ですね」

コニー「ちぇー」

サシャ「あれっ食べないんですか?」

コニー「お前のせいで今腹いっぱいなんだよ」

サシャ「ちぇー」 

47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:34:44 ID:1nVG5Ddg
コニー「ちぇーとはなんだちぇーとは。ちぇー」

サシャ「ちぇー」

コニー「……」

サシャ「……」

コニー「ちぇっちぇっこりっ♪」

サシャ「ちぇっこりっ♪」

ジャン「歌うな!黙れ!」

サシャコニ「あははははは!!」

ジャン「箸が転がってもな年頃だなお前ら……」



――

サシャ「ジャン!この帽子なんてどうでしょう?」

ジャン「かぶってみろ」

サシャ「はいっ!」スチャ 

48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:42:43 ID:1nVG5Ddg
ジャン「……黒髪じゃない」ボソ

サシャ「え」

コニー「なかなか似合ってんじゃねえかー」

サシャ「じゃあこれは?」スチャッ

ジャン「……これも黒髪じゃない」ボソ

サシャ「当たり前じゃないですか!」

ジャン「そりゃそうだが」

コニー「おいサシャこれお前に似」

サシャ「これはどうです!」スチャ

コニー「……」

ジャン「んー……」

サシャ「私の顔を手で隠さないでください!もっともですがショックです!」プンスカ 

49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:45:23 ID:1nVG5Ddg
ジャン「なんか違うんだよなあ……」

サシャ「えー」

コニー「……つまんねー」ボソ

ジャン「あ」

サシャ「……?」


ジャン「これ……」スッ


サシャ「これですか?とても可愛らしいですね!赤いリボンがついています!」

ジャン「か!かぶれ!」

サシャ「はいっ!」スチャ

ジャン「……」

サシャ「……」

ジャン「……最強だ!!///」ドキドキ

サシャ「最強ですか!」パアア 

50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:47:37 ID:1nVG5Ddg
ジャン「ああ!ミカサがかぶったらな」

サシャ「むー!」


サシャ「!」ハッ


サシャ「25m先からユミルとベルトルトがこちらを見ています!」シュビッ

ジャン「あからさまに嫌そうな顔したぞあの女」 

51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:50:23 ID:1nVG5Ddg
――

ユミル「プレゼントはそれにするのか?」

ジャン「は?」

ユミル「ミカサへのなんだろ、それ」

ジャン「お前……何者だよ」

ユミル「見てりゃわかるよ馬面」

ベルトルト「ジャン。女の子の顔を手で隠すのはいただけないよ」

サシャ「ですよね!失礼です!」

ジャン「想像力がなくて悪かったな。俺はこの麦わら帽子で勝負をかける」

サシャ「えっ!まだ見始めてすぐですよ?5時までまだたくさん時間があります!」

ベルトルト「あ、集合のこと、もう聞いたんだ」

サシャ「はい。エレンたちから伝言で」

ジャン「アルミンの提案で、点呼のため5時に西口世界時計前に一度集合」

ベルトルト「うん」 

52 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:51:52 ID:1nVG5Ddg
サシャ「ジャン、もっと探しましょうよ」

ジャン「うるせえ!これがいいんだ俺は!」ダキッ

サシャ「確かにとても可愛いですが」オロオロ

ジャン「じゃあ構わねえだろ?」

サシャ「今日の目的が一瞬で終わるってどうなんですか!?」

ジャン「一目惚れしたんだ!」

ユミル「一目惚れ!?ダハハ!女子かよ!」ケラケラ

サシャ「私の一般女子意見は!?ていうか本当にジャンが一般女子みたいですよ!」

ジャン「俺はふざけてねえぞ!これでいく!」

ユミル「アハハハハ!」

ベルトルト「ユミルうるさい」 

53 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 23:53:10 ID:1nVG5Ddg
サシャ「でも……そうですね。ジャンが言うならそうしますかね!」

ジャン「だろ!」

サシャ「ジャンはミカサにも一目惚れでしたし、一目惚れ力を信じましょう」

サシャ「審美眼があるんですね!きっと!」

ユミル「顔に似合わず」

ジャン「殴りてえ」

ユミル「で、イチャついてるとこ悪いが、コニーはどこだ?」

サシャジャン「?」 


60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 11:48:50 ID:gpyPZY7E
――

ガヤガヤ

ジャン「プレゼント買ったはいいが……」

サシャ「コニー見つかりませんね」オロオロ

ジャン「ほんとに単独行動しやがったあいつ」

サシャ「どうしましょう……」オロオロ

ジャン「あ?どうにかすんだろ」

サシャ「でも!こんな知らない土地で……ひとりぼっちなんて危ないです!」

ジャン「ハンジ分隊長がここは治安いいっつってたろ」

サシャ「でも……迷宮」

ゾッ 

61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 11:49:44 ID:gpyPZY7E
ジャン「いや……さすがに、ご、5時には会えんだろ」

サシャ「……」

ジャン「……」

ジャン「はぁ……不安しかねえな。コニーの場合」

サシャ「うう……」

サシャ(こんな巨大なダンジョンで迷子に……)

サシャ(少しプレゼント選びでコニーを退屈させてしまったんですね……)

サシャ(おわびに何か買って、ちゃんと謝りましょう……) 

62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 11:51:06 ID:gpyPZY7E

1400――東南口 東南口広場

ジャン「おい」

サシャ「?」

ジャン「散策とコニー探ししながら、礼に何かやる」

サシャ「礼って……ジャンがひとりで選んだので、私何もしていませんよ?」

サシャ「それにもう朝食のパァンはもらいましたし……」

サシャ「その上で?」

ジャン「ああ」

サシャ「私得しすぎじゃないですか?」

ジャン「損じゃねえならいいだろ」

サシャ「そ、それでは……お言葉に甘えさせてもらいます」ペコッ

ジャン「ああ。何が食いたい?」 

63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 11:55:05 ID:gpyPZY7E
サシャ「そうやって食べ物と決めつけるのはよくないですよっ」プン

ジャン「いやパンで釣られたじゃねえか」

サシャ「……そうでした」シュン

サシャ「でもでもっ!食べ物じゃなくて、別のものにします!」

サシャ「人から頂けるものは、食べものでなくても何でも嬉しいですから」ニコ

ジャン「そうか……」


サシャ「!」ハッ


サシャ「あれ見てください!」 

64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 12:00:31 ID:gpyPZY7E
ジャン「ライナーとクリスタか。あいつらデート?」

サシャ「よかったですねライナー。嬉しいを通りこして恍惚とした表情です」

ジャン「うええぇ鼻にティッシュつめてんぞ」ゾワワ

サシャ「この世界の人は道端でよくティッシュくれますからね。とても優しい方たちです」

ジャン「建物に入っていくな」

サシャ「……ギンコウ?ギンコウって何でしたっけ?」

ジャン「金や財産を預けたり引き出したり、借りたりできるとこだろ」

サシャ「さすがジャン。ですが、なんでギンコウなんかに……?」

ジャン「まあ後で聞こうぜ。行くぞ」

サシャ「そうですね」

タタタ 


67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 22:30:11 ID:kUns4Ovg

1520――南口 新宿ミロード

サシャ ジィ

ジャン「……」

サシャ ジーッ

ジャン「……値段次第」

サシャ「へっ?」

ジャン「あの花柄のワンピースだろ。ミカサの帽子より高けりゃ買わねえぞ」

サシャ「! み、見てもいいんですか?」

ジャン「早く行け」

サシャ「!」パア

タタタ

ジャン「……」

サシャ「ジャーン!やすーい!買ってくーださーい!」ピョンピョン

ジャン「わかった!わかったから跳ねるな!恥ずかしい!」 

68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 23:18:12 ID:pHlLlFfU
――試着室前

サシャ「ハッ!」バッ

ジャン「ワンピースで心臓捧げるな」

サシャ「えへ。どうです?」クルクル

ジャン「!」ハッ

ジャン「……お、おう///」

サシャ「おうじゃ意思疎通は不可能ですよ。ジャンはどう思います?」

ジャン「……///」チラチラ

サシャ(どこ見てるんですかね?)

ジャン「……いや悪くねえ。悪くねえがだめだ!俺にはミカサがいる!」チラチラ

サシャ「はい?」

ジャン「パ  透けてっぞ」

サシャ「ヒッ!」


バチィィィィン!! 

69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 23:19:42 ID:pHlLlFfU
ジャン「いてえ!ビンタすんなよ!」ヒリヒリ

サシャ「ジャンが見たからですよ!もう!///」

ジャン「透けてたら見るだろ!お前が悪い!」

サシャ「んー!///」

ジャン「……はぁ。じゃあ買ってくっから外で待ってろ」

サシャ「えっ私も一緒に」

ジャン「プレゼントやるヤツに会計を見せるバカがいるか」

サシャ「値段なら私知ってるじゃないですか」

ジャン「そういうモンなんだよ」 

70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 23:20:45 ID:pHlLlFfU
サシャ「み、見失わないでくださいね!」アセ

ジャン「んな近距離で見失うか」

サシャ「だって」アセアセ

ジャン「いいから黙って立ってろ」

サシャ「はい……」

サシャ(だって……少しでもひとりになると不安になります……この街)

サシャ(結局下 透け防止のペチコートまで買ってもらっちゃいました……) 



72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 23:22:45 ID:pHlLlFfU
――


えっ……はい。ひ、人を待っています。

なにじん?じんしゅ?あの……どういう意味でしょうか

出身地のことですか?ウォールローゼ南……え?サシャ・ブラウスと申します。

遊びにって……どこにですか?あなたたちと、ですか?

あの……えっと、手をあまり強くひっぱらないでほしいです……いやです

行きたくないです!いや……っ!


ジャン「おい」

サシャ「!」 

73 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 23:23:48 ID:pHlLlFfU
ジャン「てめえら……そいつをどこに連れてく気だ?あ?」

サシャ(ジャン!お会計長すぎですよお!)

ジャン「ああ!?こいつぁ俺の女じゃねえがな」

ジャン「おめえらみてえなチンケな野郎共に渡すワケにゃいかねえだよ」

サシャ(……!)

ジャン「こいつに手え出してみろ。ンときは全員潰すからな」

サシャ(ジャン……///)

ジャン「こいつが」

サシャ「えっ」

ジャン「野糞でもしてろクズ」 

75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/02(金) 00:00:47 ID:iIf14Hyk

1540――南口出口付近 甲州街道

ジャン「……」

サシャ「……」

サシャ(危うく口の悪いジャンにフォーリンラブしてしまうところでした……)ドキドキ

サシャ「ありがとう、ございます……」

ジャン「あんなナンパ野郎さっさと追い払えよ……」

サシャ「すみません……」

ジャン「お前だって上位組だろ」

サシャ「はい……」

ジャン「……」

サシャ「……ジャン」

ジャン「あ?」

サシャ「私、実は今日この異世界がとても怖いんです……。何が起こるかわからないですし」

サシャ「環境の変化に、その……馴染むのが苦手で。今だって上手く動けなくて……縮こまって」

サシャ「臆病、みたいなので……私」 

76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/02(金) 00:28:40 ID:iIf14Hyk
ジャン「はあ?俺らの世界と比べたら天国だろ。些細なことだ」

サシャ「アハハ……確かにそうです」

サシャ「……でも、そんな些細なことでビビってしまうんです、私」

ジャン「……」

サシャ「ですから……2週間後の壁外調査のこと考えると……最近、怖くて眠れない……」

ジャン「……!」

サシャ「まだ先のことなのに……」

サシャ「……」

ジャン「……」

ジャン「お前、元気なかった理由はそれか」

サシャ コクッ

サシャ「怖い……」

ジャン「……俺だって怖えよ」

サシャ「逃げたい……」

ジャン「……ああ。正直な」 

77 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/02(金) 00:33:23 ID:iIf14Hyk
サシャ「……」

ジャン「……」

ジャン「サシャ。俺ぁ死ぬ気はねえが……」

サシャ「……」

ジャン「その気がなくても死ぬときゃ死ぬってことは知ってる」

ジャン「だからこそ俺は今日、ミカサにプレゼントを渡す」

ジャン「んで笑ってもらう。俺の力でな。この麦わら帽子で」

ジャン「……いつ死ぬかわからねえんだ。見ておきたい……だから俺はやるし、怯えてる暇はない」

サシャ「……ジャン」

ジャン「……」

サシャ「そ、そうですね!ミカサに笑ってもらいましょう!」

サシャ「変な空気にしちゃってすみません!」

サシャ「応援してます!がんばりましょうね、ジャン!」ニコ

ジャン「おう」 


78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/02(金) 00:34:01 ID:iIf14Hyk
サシャ「それではあなたにこのガムを」スッ

ジャン「いらねえ!」

サシャ「そんなあ。なかなかクセになりますよ?」パクッ

ジャン「……それは、何味だ?」

サシャ「“暖炉の味”」モグモグ

ジャン「すすくせえ」

サシャ「えっとここはどこでしたっけ?」モグモグ

ジャン「甲州街道」

サシャ「そうそう。ではどうしましょうか……」キョロキョロ


ドンッ


ジャン「うおっ!」

サシャ「ヒッ!」


タタタ…… 

79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/02(金) 00:37:05 ID:iIf14Hyk

サシャ「なななんですかいきなり、ぶつかってきて……」


ジャン「!!」


サシャ「……ジャン?」

ジャン「あいつ!!」

サシャ「?」


ジャン「ひったくりだ!!追うぞ!」ダッ


サシャ「えっ」


ジャン「帽子を取られた……っ!!」


サシャ「えええええ!!」


ダダダ……!! 

82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:33:37 ID:6c1JxbR.

――東南口改札前

ダダダ!!

ジャン「待ておらぁぁあ!!」

ガヤガヤ

サシャ(人が多すぎる!ここは……最初に出てきた東南口!?)

バタバタバタ!!

サシャ(階段を降りて広場へ……いえ地下へ潜っていく!!)

ジャン「クソッ!どこいきやがる!!」


――新宿東南口地下歩道

バタバタ……

サシャ(地下通路!?ここは……やった直線!!)

サシャ「人も少ないし、私たちなら追いつけます!!」

ジャン「……っ」 

83 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:35:06 ID:6c1JxbR.
ダダダ……

サシャ(!? あれ……?)

サシャ(私たちが全力出してるのに……追いつけない!?それどころか……)


サシャ「!」


サシャ「ジャン!前!」

ジャン「!!」

サシャ「エレンとミカサです!挟み撃ちしてもらいましょう!」

サシャ「このままでは逃げられてしまいます!」

ジャン「エレンの力なんて借りねえ!」

サシャ「そんな言ってる場合じゃ」

ジャン「家族ってミカサの横陣取って!」

ジャン「家族って土俵にあがらねえアイツには頼らねえ!」

サシャ「この言いがかり!ひねくれ者!」 

84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:37:05 ID:6c1JxbR.
ジャン「るせえ!んなことわかってんだよ!」

ジャン「俺ぁミカサの家族じゃねえ!どうせ、ただのひとりの男だ……」

ジャン「でもだからこそ!俺は俺の力で!今日!ミカサの笑顔を!手に入れる!!」

サシャ「!」

ジャン「手に入れたい!!」

ジャン「手に入れされてくれ!!」

サシャ(なんて意地っ張りな!)


サシャ「……わかりました!!」



ジャン「うおおおおい!!エレェェェェン!!」



エレンミカサ「!?」ハッ

エレン「何だ!?」

ミカサ「誰かを追っている!」 

85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:43:33 ID:6c1JxbR.
ジャン「そいつだ!!」ダダダ

エレンミカサ「!?」


ジャン「そいつを捕まえないでくれええええぇぇ!!」ダダダ


エレン「は!?」

ジャン「捕まえんなよ!!絶対手えだすなよ!!」ダダダ

サシャ「どいてくださああああい!!」ダダダ


ダダダダダ……


サシャ(ハハ……ふたりともあっけに取られた顔でしたね……無理もありませんが)

サシャ(直線が終わって通行人が多くなってしまいました!これでは……!)

エレン「サシャ!」ダダダ

サシャ「!?」

サシャ(エレンとミカサ!やっぱりついて来てしまいましたか……) 

86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:44:32 ID:6c1JxbR.
エレン「これはどういうことだ!?」

サシャ「ひったくりです!」

エレン「言えよ!捕まえたのに!ジャン!立体機動!」

サシャ「狭いし、人が多すぎます!」

ジャン「この死に急ぎ!俺は男だ!」

エレン「はあ?知ってるよ!」

ジャン「男だ!」

ジャン「お前なんかと違って!」

エレン「!?」

ジャン「お前には!わからねえ!!」

サシャ「お願いです!ミカサ、エレン!大丈夫ですから!」

サシャ「追って来ないでください!!」

エレミカ「!?」


サシャ「ジャンがっ、やらないと!意味が……ないんですうううう!!」ダダダ 

87 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:46:25 ID:6c1JxbR.

エレン「!!」

エレン「くそっ!!」

エレン「ミカサ止まれ!!」ザザッ

サシャ(2人が止まった!)


ダダダ……!!


サシャ(あとはジャンが捕まえるだけ……!なのに!)

サシャ(なんで!なんで追いつけない!?)

サシャ(もうしばらく地下通路を走って……ここはどこ!?)

サシャ「……っ!」キッ

サシャ プッ!!

ジャン「おいガム飛ばしてどうすんだよ!ガムで倒せるわけねえだろ!」

サシャ「だって……!だって!」

サシャ(このままだと……!) 

88 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 20:57:41 ID:6c1JxbR.
サシャジャン「!!」

サシャ(あいつ階段を上る!地上へ出るつもりだ……!)

サシャ「一気に追いつきましょう!」

ジャン「ああ!」


いつも報われなくて

いつも振り向いてもらえなくても


それでもひたむきに、ミカサが大好き!


一途で不器用で、堂々とした……!



サシャ「ジャン!いけええええ!!」



ジャン「うおおおおおおお!!」

ジャン「まちやがれええええええ!!」 

89 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:00:38 ID:6c1JxbR.



カツン






ちょっ


まっ



ゴロゴロゴロ


ズシャアァァァ!!



ああ私たち……

盛大に

転倒…… 

90 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:17:01 ID:6c1JxbR.

1550――都営新宿線 新宿三丁目駅 階段上

バタバタバタ

サシャジャン「!!」

ジャン「はぁっ……はあ……」

サシャ「……はあっ……はっ」

ジャン「あ、あれ……はぁっ……」

ジャン「確かに……この階段のぼって……地上に……出たよな、あいつ……」

ジャン「い……いない?」

ジャン「どこだ……?」

ジャン「どっちいった……?」

ジャン「わかるかサシャ……」

サシャ「……」

ジャン「……」

サシャ「わかりません……」

ジャン「……逃げ……られた……?……のか……」 

91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:21:05 ID:6c1JxbR.
サシャ「……」

ジャン「……はあーッ!」ガクッ

ジャン「ああクソ……俺の……最強の……麦わら帽子」

ジャン「ミカサの……黒髪に、よく似合う……」

サシャ「……」

ジャン「はは……」

ジャン「そうか……取られたか……はは」

サシャ「……」

ジャン「はあぁーっ……みじめだな」

ジャン「俺は、いつまでたっても……みじめな男だ」

サシャ「……」

ジャン「……知ってんだよ……ミカサはエレンしか見てないってこと」

ジャン「そんくらい……馬鹿でも……わかる……」

サシャ「……っう……っ」ジワ

ジャン「俺は……エレンに勝てない」 

92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:24:11 ID:6c1JxbR.
サシャ「……ううっ……」ウルウル

ジャン「……なに」

ジャン「……お前……泣いてんだよ」

サシャ「うえっ……ひっ……」ポロポロ

ジャン「……泣きてえのは、こっちだ……」ジワッ

サシャ「ひっく……うう……だってぇっ」

サシャ「……なんかっ……く、悔しいっ……悔しい私……っ!」ポロポロ

ジャン「……くそぉっ……っ」ポロポロ


サシャ「……!」ハッ


サシャ「うああァァん!ゆみるううう!べるとるとおおお!」

サシャ「そっちで見てないで来てくださああああい、うぁああああ!!」 

93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:40:35 ID:6c1JxbR.

1600――新宿バイパス沿い 喫茶店

サシャ「ゆみるぅぅう!!」ズビー

ユミル「うえ……いつまでもくっつくな!あと鼻水つけんな!」グイグイ

ユミル「たっく……ジャンまで何泣いてんだよあんな道端で」

ベルトルト「何があったの?」

サシャ「うぁぁぁぁぁん!!」

ユミル「るせえ!黙れ!」バシッ

サシャ「いたぁああああああい!」

ベルトルト「ユミル叩かない」

サシャ「ひっ……ひっ……くり……」

ユミル「あ?」

サシャ「ひったく……っりがぁ!!」

ユミル「ひったくり?」

サシャ「……ぞうなんでず……ひっく……」

ユミル「そりゃ災難なこった」 

94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:54:55 ID:6c1JxbR.
ベルトルト「何盗まれたの?」

サシャ「う……わぁぁぁぁぁぁぁん!!」

ユミル「るせええええ!」ドカッ

ベルトルト「ユミル蹴らない」

サシャ「……ひっく……っ」ズビッ

ユミル「……ジャンは使いもんにならなそうだな」

ベルトルト「うん。さっきから雨具のフードかぶって……テーブルに伏せて微動だにしない」

ジャン「」

ユミル「だからお前。話すなら早くしろ」

サシャ「ぐずっ……はい……」

――

サシャ「それで……異常に足が速くて……そのまま」

ユミル「完全に逃げられたのか」

サシャ「……」

ユミル「はあ。んなことでビービー泣くなよ」 

95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:56:25 ID:6c1JxbR.
サシャ「そんなことって!」

ユミル「もう一度買いにいけ。ここのモンは大量生産されている製品ばかりらしいから、あんだろ」

サシャ「さっきユミルもいたじゃないですか……あれはもう1品しか残ってないって」

ユミル「別の似たの」

サシャ「……」

ジャン「あれがよかった」ボソ

ユミル「突っ伏したまま喋るなジャン。仕方ねえだろ」

ジャン「あれじゃないと嫌だ」ボソ

ユミル「ガキじゃあるまいし」

ジャン「ガキだろクソ。……俺はあの麦わら帽子にかけてたんだ」

サシャ「……」

ジャン「ミカサに渡して、あいつの笑顔がみたかった……2週間後の調査の前に、一度でいい」

ジャン「俺はエレンじゃないからな……。ミカサを笑わせるのだって、一苦労なんだ……」

サシャ「……」 

96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/03(土) 21:58:45 ID:6c1JxbR.
ユミル「健気だな」

ジャン「笑え」

ユミル「……」

ジャン「ちくしょう」

サシャ「……」

ジャン「……ちくしょ」

ベルトルト「……」

ジャン「ち、く……しょう……うぅ」

サシャ「……?」

ユミル「……?」

ベルトルト「……?」

ジャン「ちく……しょ……クソ……腹、痛え」

一同「!?」 

99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 00:11:53 ID:OVxcVroM
1620――

ユミル「トイレに篭って早10分、だな。あいつ一体なに食べたんだ?」

ユミル「お前がなんか食わせたんだろ」

サシャ「アハ、アハハ……“シンカイギョ”を少々」

ユミル「あ?」

ベルトルト「こんなときに申し訳ないんだけど……僕は先に西口に戻らなきゃ」ガタッ

サシャ「ええっ!もう行っちゃうんですか!?」

ベルトルト「5時までに現像に出しときたくて」

サシャ「ゲンゾウ?」

ベルトルト「うん」

ユミル「じゃ、そういうことだ」ガタッ

サシャ「まままって下さい!!私やらなきゃいけないことがあります!」

ユミル「は?」

サシャ「ですから……ここからひとりで動きたい……」

ユミル「臆病者のお前が?ひとりで?」 

100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 00:24:36 ID:OVxcVroM
サシャ「はい……」

ユミル「ジャンはどうすんだ?」

サシャ「あ、あの、ですから……ユミルがついていてくれたら」

ユミル「あ?」ギロ

サシャ「ああああの!どうしてもしなくちゃいけないんです!!」アセ

サシャ「お願いします!この借りは必ず返します!」

ユミル「……お前、今更ひったくり探すつもりか」

サシャ「はい……」

ユミル「あては?」

サシャ「ガムのにおいです」

サシャ「私が食べていた暖炉味のガムをプレゼントにくっつけましたから、それを追います」

サシャ「剥がされていなければ、ですが……」

ユミル「今もにおうのか?」

サシャ「今は……。でも街にでればきっと!」 

101 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 00:42:42 ID:OVxcVroM
ユミル「……」

サシャ「……」

ユミル「クソ……途中までベルさんに着いてけよ。地図も方角もわかるから」

サシャ「はい!ありがとうございます!トイレのジャンに一言言っていきます!」


――トイレ前

ドンドン

聞こえますか?ジャン!

ふんばりながら聞いてください!

今日過ごしていて気づきました。私はジャンに憧れています。 

102 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 00:43:50 ID:OVxcVroM
自分の気持ちにいつも正直で、堂々としているジャンに、私は憧れているのです。

素直な自分をさらけだすって、怖いし、難しいことだと思いますから。

尊敬しています。強くてかっこいいと思います。

ミカサへの気持ちも、一途で真っ直ぐで……とても素敵だと思います。


さっきも言いましたが、私はこのダンジョンが怖いです。

でも今から!私は私の憧れのために動きます!プレゼントを取り返しに行きます!

必ず取り返します!

私はジャンを応援していますから!

ですからどうか!待っていてください!ふんばりながら待っていてください!

……それでは、また後で。


サシャ(知らない街にひとり……でも、やらなきゃ!) 


109 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 23:52:12 ID:wmK8TeG2

1630――新宿通りをJR新宿駅方面へ

サシャ キョロキョロ

サシャ(探しながらまずは駅を目指しましょう)クンクン

ベルトルト「君は今日ジャンにつきっきりだったみたいだね」

サシャ「はい」

ベルトルト「楽しかった?」

サシャ「微妙ですね」

ベルトルト「あんなに泣いてたもんね」

サシャ「私、臆病者なので……堂々としているジャンがとてもかっこよく見えるんです」

サシャ「そんなジャンがいつも損な役ばかりだと思ったら、たまらなく悔しくなってしまって」

サシャ「ミカサに振り向いてもらえなかったり、私とコニーのお世話したり……」

ベルトルト「自覚あったんだ」ボソ

サシャ「?」

ベルトルト「なんでも」ニコ 

110 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 23:54:17 ID:wmK8TeG2
サシャ「ジャンには少しでも報われてほしいと思ってます」

ベルトルト「君はジャンに恋をしているの?」

サシャ「えーっ!/// ちょっと口が悪すぎませんかあ///」

ベルトルト「はは」

サシャ「あっ!そういえば、ベルトルトはユミルのことが好きなのですか?」

ベルトルト「ん?違うよ」ニコ

サシャ「じゃあ嫌いですか?」

ベルトルト「ううんと、僕はユミルといると、不安感と安心感を同じぶんだけ感じる、かな」

サシャ「ユミルはトゲトゲしてますからね。結局優しいんですけど」

ベルトルト「そうだね」


サシャ クンクン


サシャ「きた!!」キラーン 

111 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/04(日) 23:55:13 ID:wmK8TeG2
ベルトルト「!?」

サシャ「する!!」キョロキョロ

ベルトルト「な、なに!?」

サシャ「ガムのにおい!する!」クンクン

ベルトルト「えっ」

サシャ「私もう行きます!いってきます!」

タタタ……

ベルトルト「い、いってらっしゃい……」

サシャ(このにおい……間違いない!私がさっきプレゼントにくっつけた“暖炉の味”ガムのにおい!)

サシャ(どこ!どこにいる!?) 


114 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:35:44 ID:GUknwBe2

1700――歌舞伎町2丁目

キョロキョロ

もう点呼集合時間の5時……間に合いませんでしたね

ここはどこでしょう……かなり北上?したと思ったらまた南下?してきました……

方角があってたらの話ですが……

一体やつはどこに向かっているのでしょうか……

においは感じるのになかなか見つかりません……

あれっ……コニーにさっきあげた“母親のへそのゴマの味”のガムの香りもします。

……でも今はひったくりが先です。

落ち着いてやれば平気なはずですよね。私は兵士なんですから。

ここは治安もいいし、格闘術を知らない人ばかりと聞きましたし……

いざとなったらブレードを……うん。いけます!!


ドンッ! 

115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:39:08 ID:GUknwBe2


サシャ「ヒャ……ッ!」


ドサッ


ななな何!?

口を塞がれて、路地の駐車場に連れ込まれた……!

誰!?

怖い!

なんかむさい!

なんか息荒い!

し、死ぬうううう……っ!!


「おい!」 

116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:40:34 ID:GUknwBe2

!?

ハッ

サシャ「ライナー!?」

ライナー「乱暴して、悪かった……」ゼェハァ

サシャ「何しているんですか!?どうしてこん」

ライナー「しっ!」

サシャ「!?」

ライナー「……俺は今ケイサツに追われている」ゼェ

サシャ「ケイサツに!?抵抗したら危険なんじゃ!?」

ライナー「ここで拘束されたらおそらく22時の集合に間に合わなくなる。それはだめだ」

ライナー「お前たちには迷惑はかけん。なんとか巻いてみせるさ」

ライナー「だが西口の先でアルミンとクリスタがクルマでさらわれた」

サシャ「!!」 

117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:41:54 ID:GUknwBe2
ライナー「お前も援護に向かってくれ。煙弾は撃ったが……誰も気づいてないかもしれん」

サシャ「あ、あの……!」アセ

ライナー「いいか、起動装置は絶対に使うな。もちろん刃も見せるな。追われたくなければな」

ライナー「もう行く、頼むぞ」タッ

サシャ「待って!待ってライナー!!」

ダダダ……

サシャ「ラ……イナー……私はどうすれば……いいん、ですか……」 


119 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:46:48 ID:GUknwBe2

1710――喫茶店

ユミル「さすがにもう動けんだろ下痢野郎。もう集合時間過ぎちまったぞ」

ジャン「るせ」

ユミル「どうすんだ?サシャが取り返すと言っていたが」

ジャン「……こんなダンジョンで見つかるかよ」

ユミル「じゃあ別の買うのか?」

ジャン「……」


ジャンユミ「!!」ハッ


ユミル「ハハ……なあ見えるか。窓の外」

ジャン「ああ」 

120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:49:07 ID:GUknwBe2
ユミル「ライナーなに全力疾走してんだよ。元気だな」

ジャン「オイあれ……ケイサツに追われてねえか……?」

ユミル「確かあっちは……」

ジャン「?」

ユミル「おい下痢野郎……下痢でお前の今日は終わらねえみてえだぞ」

ジャン「あ?」

ユミル「お前の冴えねえ人生、逆転のチャンス到来だ」ニヤ 

121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:56:43 ID:GUknwBe2

1710――歌舞伎町


サシャ「ど、どうしよう……」ガクガク


ライナーがケイサツに追われて……アルミンとクリスタがさらわれた!?

この世界は治安がいいなんて嘘じゃないですか!

ひったくりも人さらいもいるし、なぜかライナーはケイサツに追われているし!

ハンジさんの嘘つき!


それにここ……

夕方になってきてから……雰囲気変わってきた?


街のキラキラが目立ち始めて……セクシーなお兄様やお姉様が……

さっきからお兄様に声をかけられますし……こわいよおぉぉ……

ドンッ

「ヒッ!すみません!!」

もたもた歩いていたらすぐぶつかられるし…… 

122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 00:58:36 ID:GUknwBe2
やっぱり怖い!こんな街でひとりなんて無理ですよおお!

そ、そうだ!

コニーが近くにいるはずですから、先にコニーと落ち合ってから……キョロキョロ


クンクン


!!


ひったくりのにおいが……すぐ側まで来てる……!!


ドクン ドクン


そこの角を曲がったところに……いる!!

チャンス……これはチャンス……!

早く捕まえないと……また見失うかもしれない……!!


「……っ」ガクガク 

123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:00:59 ID:GUknwBe2
ブレードは使えない……

足の異常に速いひったくり……

巨人は人間を食べることしか考えないけど、人間は何を考えているかわからない

もし捕らえることに失敗して、逆に何かされたら……?

そのまま知らないこの世界に置いてけぼりにされたら……?


嫌だ……嫌だ!





でも……

だけど……っ 

124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:03:20 ID:GUknwBe2


グッ


私はジャンに約束した……!

プレゼントを取り返すって!

いつも報われないジャンを応援したくて!!



キッ



私が取り返す!!


私が戦わなければ!

私は私の!


憧れのために!!


動けッ!! 

125 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:04:30 ID:GUknwBe2



ダッ



サシャ「うあああぁぁぁぁ!!」

サシャ「そいつを返さんかああぁぁぁい!!!」



ダダダダ!! 

126 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:21:36 ID:GUknwBe2


――

この後のことはもう、必死で……判然としません。

気がついたらコニーの小さい背中におんぶされていました。

どうやらプレゼントは取り返せたようで……私は安心して、眠ってしまったようです……。

あったかい……。落ち着きます。私生きているんですね。

コニーが話しかけてくれていましたけど、眠くてあまりよく覚えていません。ごめんなさい。

あとで、コニーに、今日のこと、聞きま……しょう……。

スー スー 

127 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:23:14 ID:GUknwBe2

2050――西口からセンタービルへの地下通路


トコトコ

おーいアルミン!道こっちー?

待ってよエレン!コニー!ちゃんとかたまって歩いてよ!

アハハ……


トコトコ

サシャ「ジャン。今日はお疲れ様です」

ジャン「ああ」

サシャ「よかったですね、プレゼントが戻ってきて」

ジャン「……サシャ」

サシャ「はい?」

ジャン「コニーもだが……その……ありがとよ。このプレゼント取り返してくれて。すげえ感謝してる」

サシャ「とんでもないです。だって私」

ジャン「結局、俺はお前たちの力を借りちまったなあ」 

128 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:25:51 ID:GUknwBe2
ジャン「俺は俺の力でとかいってたのによ」

サシャ「でもミカサを笑顔にするのは、ジャン。やはりあなたです。今日ならきっとできますよ!」

ジャン「そ、そうかな……///」

サシャ「はい。応援してます」ニコ

ジャン「……おう///」

サシャ「私、今日ジャンのおかげで少しだけ強くなった気がします。目はつむってしまいましたが」

ジャン「目?」

サシャ「ふふっ、何でもありませんよーっ」

ジャン「?」

サシャ「……ありがとう」ニコ

ジャン「別に何もしてねえけど」

サシャ「そういうものです」

ジャン「そうか」

サシャ「はい」 

129 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:27:52 ID:GUknwBe2
ジャン「にしてもお前が俺に憧れてるなんてなー」ニヤ

ジャン「俺にはミカサがいるからなー悪いなサシャー」ニヤニヤ

サシャ「そんなんだからあなたは残念男子なんですよ……」ボソ

ジャン「おい口に出てるぞ」

サシャ「おっといけません!ジャンに憧れた結果、本音がポロリしてしまいましたね!」

ジャン「可愛くねえ」

サシャ「あはは」

サシャ「あ。そろそろ、センタービルに着きますね」

ジャン「ああ」

サシャ「ミカサにはジャンからお話があると言っておきましたから」

サシャ「展望台の上についたら、2人で話してきて下さいね」

ジャン「おお。すまねえな」 

130 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:30:13 ID:GUknwBe2
サシャ「さあ!男らしくキメて下さいよーっ!」

ジャン「……」

サシャ「?」

ジャン「本当にありがとな。その、憧れとか……」

ジャン「すげえ、う、嬉しかった……///」

サシャ(……///)

サシャ「どういたしましてっ」ニコ 

131 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:33:55 ID:GUknwBe2

2100――センタービル展望台(53階)

サシャ「エレン」

エレン「ん」

サシャ「ジャンとミカサ、いい感じですね」ニヤ

エレン「そうかあ?」

サシャ「あのほどよい緊張感がいいんですよ。それにジャンだと身長差が出ます」

エレン「悪かったなチビで」

コニー「いや俺に謝れ」

アルミン「もう!さっきからだめだよ恋の出歯亀は///」

エレン「アルミンお前も見てるじゃねえか」

アルミン「……///」

アルミン「でっ、でもエレンとじゃなくジャンとしっかり話すミカサは珍しいよね」

コニー「あいつ思ったより表情変わるんだな。ミカサに何したんだよ?」 

132 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:36:42 ID:GUknwBe2
エレン「別に何もしてねえよ」

コニー「ひー!見ろよジャンのやつ。身振り手振りが大きすぎ」ニッシッシ

アルミン「頑張ってるね」

サシャ「ジャンにチャンスを与えるなんて、エレンも男じゃないですかぁ」ニヤニヤ

エレン「当たり前だろ」

エレン「しっかりミカサに見定めてもらった後で、俺はジャンを下し完全勝利する予定だからな」プイッ

エレン「それにジャンはアプローチがへただからな。これくらいは譲歩してやらねえと」

アルミン「エレンに言われたくないと思うよ……」

コニー「アハハ!エレンだせえ!」

エレン「……」ジー

サシャ「……」ジ-

アルミン「……なんか」

コニー「おう……」

サシャ「結構いい雰囲気……」

アルミン「うん」 

133 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:38:10 ID:GUknwBe2
サシャ「エレンはちょっと後悔してますね」

エレン「うるせーな」

サシャ「あはは」

エレン「あーあ!俺はベルトルトとユミルでものぞいてくっかなー」

アルミン「あっちはあっちでライナーとクリスタが見てるね」

コニー「ベルトルトもやるよなー。写真みたときはビビったぜ」

エレン「あいつ昼会ったときは●●って言ってたのによ。ホ だとさえ思ったし」

コニー「なんか生々しいよな」

エレン「だがそれがいい」

サシャ「ちょっと!ちゃんと見ていて下さいエレン」

サシャ「ジャンはこれからエレンに追いついて、追い越します。一途さは人一倍ですよ!」

アルミン「あっプレゼントを渡すみたいだ!」

エレン「いいよ俺は見なくて!」プイ

一同 ドキドキ

エレン「ってバカお前らも見んなよ!」グイグイ 

134 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:49:28 ID:GUknwBe2
――

ジャン「と、ところで……ミカサ。お前に受け取ってほしいものがある」

ミカサ「私に?」

ジャン「そうだ。お前に渡したいものがあるんだ」

スッ

ミカサ「……これは」

ジャン「ああ。さっきひったくりに取られかけたやつ……」

ジャン(いや言うと一度取られたんだがな。サシャとコニーが取り返してくれた)

ジャン「俺は今日、お前のために走った」

ミカサ「そう」

ジャン「だから受け取ってほしい」

ミカサ「……うん」

ジャン「……」

ミカサ「ジャン」

ジャン「?」 

135 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:52:55 ID:GUknwBe2
ミカサ「ありがとう」ニコ

ジャン「!!」

ジャン(笑った……!俺に!俺だけに!!///)

ジャン「おう!あ、開けてくれ!///」

ミカサ「……うん」


ゴソゴソ


ジャン「これ絶対ミカサに似合うと思ってな……」

ジャン「きれいな黒髪をきっと引き立ててくれる///」


ゴソゴソ


パカッ 

136 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:56:56 ID:GUknwBe2












ミカサ「これは?」



ジャン「カツラだな」







ドゴォォォォッッ!!


ぐうぇッッ!!! 

137 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 01:58:46 ID:GUknwBe2
ミカサッ!殴るな!落ち着け!ヒィ!

ちょ……!なんでカツラが入ってるんだよ!!


あなたは私にこれが似合うと言った


イ……イヤちがう!!ブンブン


宣戦布告と受け取った


ちがうって!聞け!説明する!つうか俺も説明して欲しいくらいだ!

おいサシャ!!コニー!?


……死体がどうやって喋るの?


うあああああぁぁぁぁ!!!




コニー「あ、俺だわ」

一同「!?」 

138 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 02:01:25 ID:GUknwBe2
――

その後コニーはジャンとミカサ、そして何故かアルミンからお叱りを受けました。

ん?なんだかあのカツラの髪型……見たことあるような?

コニーには放ったらかしにしてしまったこと、謝りました。笑顔で許してくれました。……笑顔すぎませんか?

ベルトルトはユミルを好きではないと言っていたのに、2人は濃厚な関係みたいです。オトナの香り……

ライナーはクリスタに失礼なことを言ってしまったみたいです。意外ですよね。

ミカサは少し、エレンとアルミン以外にも心を開くようになった印象です。

あ!ジャンったら私に買ってくれたワンピース失くしてしまったみたいなんですよ!

はあ。もっとミカサ以外の女の子にも気を使って下さいよ……。残念男子。 


139 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/05(月) 02:04:33 ID:GUknwBe2


ジャン・キルシュタイン15歳。

ミカサが大好き脈なし懲りず。

いつも不憫で報われない、いつも損な役回り。


そして私の憧れです。


とりあえずそういうことにしておきましょう。ね///





サシャ「新宿の巨人」

ジャン「盗難口」