1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:08:29.17 ID:RyY8mOhSO
冬
ニジュク「だからきょうも『だめ』」
サンジュ「そっか」
ニジュク「ねぼすけだ」
サンジュ「きっと、おそくまでおきてたんだよ」
ニジュク「わるいこだ!」
サンジュ「わるいこだね!」
ニジュク「わるいこのねぼすけ、おこさなくちゃ!」
サンジュ「おふとんとって、おこさなくちゃ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376233708
ニジュク「だからきょうも『だめ』」
サンジュ「そっか」
ニジュク「ねぼすけだ」
サンジュ「きっと、おそくまでおきてたんだよ」
ニジュク「わるいこだ!」
サンジュ「わるいこだね!」
ニジュク「わるいこのねぼすけ、おこさなくちゃ!」
サンジュ「おふとんとって、おこさなくちゃ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376233708
引用元: ・ニジュク「クロちゃ、まだねてる」
棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (5) (まんがタイムKRコミックス)
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きゆづき さとこ
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:11:08.77 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「でもセンが『だめ』って」
サンジュ「センはいっしょなのにね」
ニジュク「ずるっこだね」
サンジュ「ずっといっしょで、そとにでてこないもんね」
ニジュク「なかで、なんかしてるのかな」
サンジュ「でもクロちゃんはねてるよ?」
ニジュク「じゃあ、いっしょにねてる?」
サンジュ「でもおきてたよね?」
サンジュ「センはいっしょなのにね」
ニジュク「ずるっこだね」
サンジュ「ずっといっしょで、そとにでてこないもんね」
ニジュク「なかで、なんかしてるのかな」
サンジュ「でもクロちゃんはねてるよ?」
ニジュク「じゃあ、いっしょにねてる?」
サンジュ「でもおきてたよね?」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:13:32.55 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「あたしたちも、ねてみたらわかる?」
サンジュ「じゃあきょうは、ずっとねててみよう」
ニジュク「あたしここ!」
サンジュ「あたしはここ!」
ニジュク「おやすみ」
サンジュ「おやすみ」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
チョウ「うわあ!?」
サンジュ「じゃあきょうは、ずっとねててみよう」
ニジュク「あたしここ!」
サンジュ「あたしはここ!」
ニジュク「おやすみ」
サンジュ「おやすみ」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
チョウ「うわあ!?」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:16:09.80 ID:RyY8mOhSO
チョウ「ああびっくりした……」
ニジュク「ねてたの」
サンジュ「ねれなかったね」
チョウ「頼むから雪の中で寝るのはやめてくれない?」
ニジュク「でもふかふかだったよ?」
サンジュ「ふわふわして、ほわほわしたの」
ニジュク「あれ? サンジュのて、あかいね」
サンジュ「ニジュクもあかいね。ここ、しろいのしかないのに」
チョウ「青くなる前でよかったよ、全く」
ニジュク「ねてたの」
サンジュ「ねれなかったね」
チョウ「頼むから雪の中で寝るのはやめてくれない?」
ニジュク「でもふかふかだったよ?」
サンジュ「ふわふわして、ほわほわしたの」
ニジュク「あれ? サンジュのて、あかいね」
サンジュ「ニジュクもあかいね。ここ、しろいのしかないのに」
チョウ「青くなる前でよかったよ、全く」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:19:05.38 ID:RyY8mOhSO
チョウ「もう少しで旅立っちゃうところだったんだから」
ニジュク「たび?」
サンジュ「ここでねてたら、たびにでるの?」
チョウ「え? うん、まあ」
ニジュク「どこにいくの?」
サンジュ「クロちゃんも、そこにいる?」
チョウ「クロちゃん? ああ、あの旅人のこと?」
サンジュ「クロちゃん、ここでねたの」
ニジュク「クロちゃ、たびにでちゃったの?」
サンジュ「ここでねたら、クロちゃんにあえる?」
ニジュク「たび?」
サンジュ「ここでねてたら、たびにでるの?」
チョウ「え? うん、まあ」
ニジュク「どこにいくの?」
サンジュ「クロちゃんも、そこにいる?」
チョウ「クロちゃん? ああ、あの旅人のこと?」
サンジュ「クロちゃん、ここでねたの」
ニジュク「クロちゃ、たびにでちゃったの?」
サンジュ「ここでねたら、クロちゃんにあえる?」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:22:13.47 ID:RyY8mOhSO
チョウ「……いや、まだここにいるよ。寝てるんでしょ?」
サンジュ「でもクロちゃん、おきないの」
ニジュク「たびにでちゃったから、『だめ』なのかな」
チョウ「大丈夫だって、まだ旅立っちゃいないよ」
ニジュク「ほんと?」
サンジュ「クロちゃん、まだいる?」
チョウ「いるいる」
ニジュク「でもクロちゃ、おきないよ?」
サンジュ「いるのに、いないの?」
チョウ「ああもう……」
サンジュ「でもクロちゃん、おきないの」
ニジュク「たびにでちゃったから、『だめ』なのかな」
チョウ「大丈夫だって、まだ旅立っちゃいないよ」
ニジュク「ほんと?」
サンジュ「クロちゃん、まだいる?」
チョウ「いるいる」
ニジュク「でもクロちゃ、おきないよ?」
サンジュ「いるのに、いないの?」
チョウ「ああもう……」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:25:07.43 ID:RyY8mOhSO
チョウ「……まだここにいるけど、もしかしたらいつか旅立っちゃうのかもね……」
ニジュク「?」
サンジュ「クロちゃんおきたら、たびするよ」
ニジュク「いっしょに、たび、するの」
チョウ「そっちじゃなくてさ、うん、そうね……」
チョウ「今『クロちゃん』は、旅の準備をしてるのよ」
サンジュ「!」
ニジュク「!」
サンジュ「じゃあ、もうすぐしゅっぱつ?」
ニジュク「もうすぐあえる?」
チョウ「え」
ニジュク「?」
サンジュ「クロちゃんおきたら、たびするよ」
ニジュク「いっしょに、たび、するの」
チョウ「そっちじゃなくてさ、うん、そうね……」
チョウ「今『クロちゃん』は、旅の準備をしてるのよ」
サンジュ「!」
ニジュク「!」
サンジュ「じゃあ、もうすぐしゅっぱつ?」
ニジュク「もうすぐあえる?」
チョウ「え」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:29:14.80 ID:RyY8mOhSO
チョウ「えっと、すごく時間のかかる準備だから、まだかなあ」
ニジュク「なんだー」
サンジュ「そっかー」
ニジュク「とおくにいくのかな」
サンジュ「とおくにいくときは、いつもよりおそいもんね」
チョウ「遠くに、か」
チョウ「行っちゃうのかもしれないけど……」
チョウ「……まだ迷ってるのかもね」
サンジュ「?」
ニジュク「クロちゃ、まいご?」
ニジュク「なんだー」
サンジュ「そっかー」
ニジュク「とおくにいくのかな」
サンジュ「とおくにいくときは、いつもよりおそいもんね」
チョウ「遠くに、か」
チョウ「行っちゃうのかもしれないけど……」
チョウ「……まだ迷ってるのかもね」
サンジュ「?」
ニジュク「クロちゃ、まいご?」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:31:58.94 ID:RyY8mOhSO
チョウ「迷子というか……」
サンジュ「どこでまよってるのかな」
ニジュク「なににまよってるのかな」
サンジュ「みちがいっぱいあるのかな」
ニジュク「たいようのほうにも?」
サンジュ「たいようのほうにいっぱいあるの?」
ニジュク「たいようがいっぱいあるの?」
サンジュ「まっくらじゃないのにクロちゃんおきないの?」
チョウ(議題は一つなのに筋道が迷子ね……)
サンジュ「どこでまよってるのかな」
ニジュク「なににまよってるのかな」
サンジュ「みちがいっぱいあるのかな」
ニジュク「たいようのほうにも?」
サンジュ「たいようのほうにいっぱいあるの?」
ニジュク「たいようがいっぱいあるの?」
サンジュ「まっくらじゃないのにクロちゃんおきないの?」
チョウ(議題は一つなのに筋道が迷子ね……)
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:36:10.80 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「さがさないと」
サンジュ「まいごなら、さがさないと」
チョウ「ああだめだめ!」
チョウ「そんなことしてたら、あんた達の方が迷子になりそうだわ」
サンジュ「『だめ』?」
サンジュ「また『だめ』だ」
ニジュク「『だめ』だね」
チョウ「また?」
ニジュク「センが『だめ』って」
サンジュ「クロちゃんのとこ『はいっちゃだめ』だって」
サンジュ「まいごなら、さがさないと」
チョウ「ああだめだめ!」
チョウ「そんなことしてたら、あんた達の方が迷子になりそうだわ」
サンジュ「『だめ』?」
サンジュ「また『だめ』だ」
ニジュク「『だめ』だね」
チョウ「また?」
ニジュク「センが『だめ』って」
サンジュ「クロちゃんのとこ『はいっちゃだめ』だって」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:40:07.11 ID:RyY8mOhSO
チョウ「成る程、それであんた達は『迷子』になってるのね」
ニジュク「まいご?」
サンジュ「あたしたち、まいご?」
チョウ「……ねえ、たぶん、さ」
チョウ「あんたたちが迷ったら、その『クロちゃん』が見つけてくれるでしょ?」
ニジュク「うん!」
サンジュ「センがくるときもあるけどね」
チョウ「じゃあ今も『クロちゃん』は、あんた達を探しているのかもね」
ニジュク「まいご?」
サンジュ「あたしたち、まいご?」
チョウ「……ねえ、たぶん、さ」
チョウ「あんたたちが迷ったら、その『クロちゃん』が見つけてくれるでしょ?」
ニジュク「うん!」
サンジュ「センがくるときもあるけどね」
チョウ「じゃあ今も『クロちゃん』は、あんた達を探しているのかもね」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:42:34.73 ID:RyY8mOhSO
チョウ「だから待ってて。きっと『クロちゃん』は、あんた達を見つけて、戻ってくるから」
ニジュク「ほんと?」
サンジュ「クロちゃん、もどってくる?」
チョウ「うん、きっと」
サンジュ「じゃあ、まってる!」
ニジュク「クロちゃがくるの、まつ!」
チョウ「うんうん、おとなしくしてなさい」
ニジュク「いつくるかなー」
サンジュ「はやくこないかなー」
チョウ「早く来るといいね」
ニジュク「ほんと?」
サンジュ「クロちゃん、もどってくる?」
チョウ「うん、きっと」
サンジュ「じゃあ、まってる!」
ニジュク「クロちゃがくるの、まつ!」
チョウ「うんうん、おとなしくしてなさい」
ニジュク「いつくるかなー」
サンジュ「はやくこないかなー」
チョウ「早く来るといいね」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:44:42.56 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「そうだ!」
チョウ「え?」
ニジュク「まいごのときは、あれやらなきゃ」
サンジュ「そだね、でもいまはない」
ニジュク「とりにいこう」
サンジュ「うん!」
チョウ「え、ちょっと!」
チョウ「……あっという間に行っちゃった」
チョウ「え?」
ニジュク「まいごのときは、あれやらなきゃ」
サンジュ「そだね、でもいまはない」
ニジュク「とりにいこう」
サンジュ「うん!」
チョウ「え、ちょっと!」
チョウ「……あっという間に行っちゃった」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:46:51.66 ID:RyY8mOhSO
チョウ「久々に会ってみれば倒れてるし、子供はいるし……」
チョウ「あの子達、あいつらの連れ、なのよね?」
チョウ「ただでさえ変わった見てくれだったけど、並んだら一際ね、きっと」
チョウ「……一目くらい見なきゃね」
チョウ「あの子達、あいつらの連れ、なのよね?」
チョウ「ただでさえ変わった見てくれだったけど、並んだら一際ね、きっと」
チョウ「……一目くらい見なきゃね」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:48:54.69 ID:RyY8mOhSO
チョウ「あ、帰ってきた」
チョウ「何それ?」
サンジュ「まいごのときは、きいろなのー」
ニジュク「きいろー」
サンジュ「はい」
チョウ「? これに火を点けろって?」
< パ ァ ン
セン『!?』
チョウ「何それ?」
サンジュ「まいごのときは、きいろなのー」
ニジュク「きいろー」
サンジュ「はい」
チョウ「? これに火を点けろって?」
< パ ァ ン
セン『!?』
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:50:55.85 ID:RyY8mOhSO
春
サンジュ「きょうも『だめ』」
ニジュク「クロちゃ、まだおきない」
サンジュ「かえってこないね」
ニジュク「もどってこないね」
サンジュ「クロちゃんも、まいごのときにつかうもの、もってたらよかったのに」
ニジュク「そしたら、あたしたちがクロちゃ、みつけられるのにね」
サンジュ「でもセンが、クロちゃんはねてるって」
ニジュク「ねてながら、まいご?」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:52:57.08 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「あのしろいののところでねたら、まいごになるのかな」
ニジュク「まいごのたびにでるのかな」
サンジュ「しょうがないから、さがしにいこう」
ニジュク「でも、それも『だめ』ってゆってたよ」
サンジュ「だってまだおきないんだもん」
ニジュク「あ、まって!」
ニジュク「それで、どこにいくの?」
サンジュ「……さあ?」
ニジュク「まいごのたびにでるのかな」
サンジュ「しょうがないから、さがしにいこう」
ニジュク「でも、それも『だめ』ってゆってたよ」
サンジュ「だってまだおきないんだもん」
ニジュク「あ、まって!」
ニジュク「それで、どこにいくの?」
サンジュ「……さあ?」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:55:33.38 ID:RyY8mOhSO
少年「暖かくなってきたなー」
少年「あ、ニジュクとサンジュだ。2人で遊んでるってことは、今日もあの旅人は寝てんのかな」
少年「あれ? こっちに来るぞ」
サンジュ「ねえ、ねぼすけクロちゃん、どこにいるの?」
ニジュク「まいごのクロちゃ、どこさがせばいいの?」
少年「……ええと、何それ、なぞなぞ?」
少年「あ、ニジュクとサンジュだ。2人で遊んでるってことは、今日もあの旅人は寝てんのかな」
少年「あれ? こっちに来るぞ」
サンジュ「ねえ、ねぼすけクロちゃん、どこにいるの?」
ニジュク「まいごのクロちゃ、どこさがせばいいの?」
少年「……ええと、何それ、なぞなぞ?」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 00:58:30.20 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「クロちゃ、しろいののうえでねたの」
サンジュ「だから、どこかで、たびをしてるの」
ニジュク「そしたら、クロちゃ、おきないの」
サンジュ「きっと、まいごになったの」
ニジュク「それで、さがしにいこうとしたの」
サンジュ「でも、どこをさがせばいいか、わからないの」
ニジュク「どうしたらいい?」
サンジュ「どうすればいい?」
少年(どうしろってんだこれ)
サンジュ「だから、どこかで、たびをしてるの」
ニジュク「そしたら、クロちゃ、おきないの」
サンジュ「きっと、まいごになったの」
ニジュク「それで、さがしにいこうとしたの」
サンジュ「でも、どこをさがせばいいか、わからないの」
ニジュク「どうしたらいい?」
サンジュ「どうすればいい?」
少年(どうしろってんだこれ)
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:00:56.19 ID:RyY8mOhSO
少年「寝ながら旅をしてるってことか……? なんだそりゃ、夢の話か?」
ニジュク「ゆめ?」
サンジュ「ゆめって、たびのこと?」
少年「そりゃ、中には、旅する夢もあるだろうけど」
ニジュク「じゃあ、ゆめをさがせばいいんだね!」
サンジュ「ゆめをさがせば、クロちゃんにあえる!」
ニジュク「でも、ゆめってどこ?」
サンジュ「どこかな。どこにあるの?」
少年(あ、答え間違えたかな)
ニジュク「ゆめ?」
サンジュ「ゆめって、たびのこと?」
少年「そりゃ、中には、旅する夢もあるだろうけど」
ニジュク「じゃあ、ゆめをさがせばいいんだね!」
サンジュ「ゆめをさがせば、クロちゃんにあえる!」
ニジュク「でも、ゆめってどこ?」
サンジュ「どこかな。どこにあるの?」
少年(あ、答え間違えたかな)
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:03:22.47 ID:RyY8mOhSO
少年「いや、夢ってのは好きなように見れるもんじゃないぞ」
ニジュク「えー?」
サンジュ「なんだー」
ニジュク「じゃあ、どうしたらクロちゃにあえる?」
少年「会うもなにも、そこにいるし……」
サンジュ「だってセンが『だめ』って」
少年「ああ、そうか」
少年「……なあ、あいつ、なんの病気なんだ?」
ニジュク「びょうき?」
ニジュク「えー?」
サンジュ「なんだー」
ニジュク「じゃあ、どうしたらクロちゃにあえる?」
少年「会うもなにも、そこにいるし……」
サンジュ「だってセンが『だめ』って」
少年「ああ、そうか」
少年「……なあ、あいつ、なんの病気なんだ?」
ニジュク「びょうき?」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:05:26.81 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「クロちゃん、びょうきなの?」
少年「違うの? だって、あれ……」
ニジュク「よくわかんない」
サンジュ「びょうきだから、クロちゃん、おきないの?」
少年「あ、いや。違うんならいいんだ、違うなら」
ニジュク「ちがうの?」
サンジュ「さあ。じゃあ、どうしてクロちゃんおきないの?」
少年「えー、そうだなあ」
少年「暖かくなってきたから? とか……なんて」
少年「違うの? だって、あれ……」
ニジュク「よくわかんない」
サンジュ「びょうきだから、クロちゃん、おきないの?」
少年「あ、いや。違うんならいいんだ、違うなら」
ニジュク「ちがうの?」
サンジュ「さあ。じゃあ、どうしてクロちゃんおきないの?」
少年「えー、そうだなあ」
少年「暖かくなってきたから? とか……なんて」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:08:29.61 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「あったかいのかー」
サンジュ「あったかいからねちゃうのかー」
少年「暖かいと眠くなるからなあ、うん」
ニジュク「あたしたちも、ねるとき『あったかい』なるの」
サンジュ「クロちゃんとあったかくなるの」
少年「そうなんだ」
ニジュク「おはなししてもらうの」
サンジュ「でも、いつもさいしょしかわからないの」
ニジュク「あれ? なんでだろ」
サンジュ「なんでかな」
少年(おいらも少ししか理解しきれないや、この子らの話……)
サンジュ「あったかいからねちゃうのかー」
少年「暖かいと眠くなるからなあ、うん」
ニジュク「あたしたちも、ねるとき『あったかい』なるの」
サンジュ「クロちゃんとあったかくなるの」
少年「そうなんだ」
ニジュク「おはなししてもらうの」
サンジュ「でも、いつもさいしょしかわからないの」
ニジュク「あれ? なんでだろ」
サンジュ「なんでかな」
少年(おいらも少ししか理解しきれないや、この子らの話……)
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:10:41.24 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「じゃあクロちゃん、いまあったかくしてもらってるのかな」
ニジュク「だからおきないのかな」
サンジュ「でも、いっしょなのはセンだけだよ?」
ニジュク「センがクロちゃ、あったかいしてる?」
サンジュ「センがクロちゃん、ぎゅってしてる?」
少年「コウモリが!?」
ニジュク「センずるい!」
サンジュ「あたしもクロちゃん、ぎゅってしたい!」
ニジュク「ぎゅってされたい!」
サンジュ「おはなし、まだとちゅうなのに!」
少年「……」
ニジュク「だからおきないのかな」
サンジュ「でも、いっしょなのはセンだけだよ?」
ニジュク「センがクロちゃ、あったかいしてる?」
サンジュ「センがクロちゃん、ぎゅってしてる?」
少年「コウモリが!?」
ニジュク「センずるい!」
サンジュ「あたしもクロちゃん、ぎゅってしたい!」
ニジュク「ぎゅってされたい!」
サンジュ「おはなし、まだとちゅうなのに!」
少年「……」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:12:39.99 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「やくそくしたのに」
ニジュク「おはなし、してくれないね」
少年「……それ、どんな話?」
サンジュ「! あのね、カエルのはなし!」
ニジュク「カエルがね、おうじさまなの!」
少年「王子様のカエル?」
ニジュク「まほうでカエルなの!」
サンジュ「まほうでかえたの!」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
少年「?」
ニジュク「おはなし、してくれないね」
少年「……それ、どんな話?」
サンジュ「! あのね、カエルのはなし!」
ニジュク「カエルがね、おうじさまなの!」
少年「王子様のカエル?」
ニジュク「まほうでカエルなの!」
サンジュ「まほうでかえたの!」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
少年「?」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:15:27.94 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「……つづきは、しらない」
サンジュ「クロちゃんおきなきゃ、わかんない」
少年「あー……、ごめん」
ニジュク「どんなおはなしだろうね」
サンジュ「おうじさま、どうなるのかな」
ニジュク「クロちゃ、はやくおきないかな……」
サンジュ「うん……」
少年「う……」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
少年「……あれ?」
サンジュ「クロちゃんおきなきゃ、わかんない」
少年「あー……、ごめん」
ニジュク「どんなおはなしだろうね」
サンジュ「おうじさま、どうなるのかな」
ニジュク「クロちゃ、はやくおきないかな……」
サンジュ「うん……」
少年「う……」
ニジュク「……」
サンジュ「……」
少年「……あれ?」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:18:20.19 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「うー……」
サンジュ「んんー……」
少年「もしかして、眠い?」
ニジュク「んむー……?」
サンジュ「んー……」
少年「……だめだこりゃ」
サンジュ「あー、また『だめ』……」
ニジュク「『だめ』だ……」
少年「はいはい。わかったから、ここで寝るなよ」
サンジュ「ん……っ」
ニジュク「う……っ」
少年「ん?」
サンジュ「んんー……」
少年「もしかして、眠い?」
ニジュク「んむー……?」
サンジュ「んー……」
少年「……だめだこりゃ」
サンジュ「あー、また『だめ』……」
ニジュク「『だめ』だ……」
少年「はいはい。わかったから、ここで寝るなよ」
サンジュ「ん……っ」
ニジュク「う……っ」
少年「ん?」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:20:30.84 ID:RyY8mOhSO
少年「ほら、とりあえずおいらの家で寝なよ、すぐそこだし」
ニジュク「そとでねたら、たびする……」
サンジュ「そとでねたら、クロちゃんにあえる……」
少年「だめだよ、風邪ひいたらどうすんだ。ちゃんと布団で、暖かくしな」
ニジュク「しろいのなくなっても『だめ』……?」
少年「だめ」
少年「……2人が病気になると、『クロちゃん』が心配して、もっと寝込むかもしれないだろ。だから、な」
サンジュ「ん……」
ニジュク「そとでねたら、たびする……」
サンジュ「そとでねたら、クロちゃんにあえる……」
少年「だめだよ、風邪ひいたらどうすんだ。ちゃんと布団で、暖かくしな」
ニジュク「しろいのなくなっても『だめ』……?」
少年「だめ」
少年「……2人が病気になると、『クロちゃん』が心配して、もっと寝込むかもしれないだろ。だから、な」
サンジュ「ん……」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:23:18.67 ID:RyY8mOhSO
少年「そういうわけだから、2人は今うちにいるよ」
セン『そうか。悪いな、わざわざ』
少年「……お連れさん、早くよくなるといいな」
セン『まあ、そのうちな』
少年「そのうちか。……会いたがってたよ、『クロちゃん』に」
セン『運が良ければ、夢の中で会えるさ』
セン『夢の中じゃ、話の続きは聞こえないだろうがな』
セン『そうか。悪いな、わざわざ』
少年「……お連れさん、早くよくなるといいな」
セン『まあ、そのうちな』
少年「そのうちか。……会いたがってたよ、『クロちゃん』に」
セン『運が良ければ、夢の中で会えるさ』
セン『夢の中じゃ、話の続きは聞こえないだろうがな』
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 01:27:20.01 ID:RyY8mOhSO
少年「2人は後で送るよ。じゃあ」
セン『おう』
セン『――魔法でカエルにされた王子様、か』
セン『そういや、魔法で100年眠っちまったお姫様の話、なんてのもあったな。どっちも魔法を解く方法は似たようなもんだったが』
セン『……100年か』
セン『コウモリの寿命ってのは、どれくらい持つんだかな』
セン『おう』
セン『――魔法でカエルにされた王子様、か』
セン『そういや、魔法で100年眠っちまったお姫様の話、なんてのもあったな。どっちも魔法を解く方法は似たようなもんだったが』
セン『……100年か』
セン『コウモリの寿命ってのは、どれくらい持つんだかな』
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 07:56:57.70 ID:RyY8mOhSO
夏
ニジュク「まだ『だめ』?」
サンジュ「うん、『だめ』」
ニジュク「クロちゃ、はやくおきないかなあ」
サンジュ「つまんないね」
ニジュク「つぎのたび、いつだろ」
サンジュ「またいっしょに、たびしたいね」
ニジュク「どんなところがあるかな」
サンジュ「どんなところにいけるかな」
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:00:26.18 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「たのしいところがいいな」
ニジュク「たのしいところー」
サンジュ「あそんだりー」
ニジュク「たんけんしたりー」
サンジュ「はしったりー」
ニジュク「そらもとんで」
サンジュ「あと、おかし!」
ニジュク「おなかすくもんね!」
ニジュク「たのしいところー」
サンジュ「あそんだりー」
ニジュク「たんけんしたりー」
サンジュ「はしったりー」
ニジュク「そらもとんで」
サンジュ「あと、おかし!」
ニジュク「おなかすくもんね!」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:04:08.90 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「きれいなところも、いきたい」
ニジュク「きれいなところー」
サンジュ「はながさいてー」
ニジュク「うみがあってー」
サンジュ「きがあってー」
ニジュク「そらがあってー」
サンジュ「いろんないろのものがあるの!」
ニジュク「いろいろないろ!」
ニジュク「きれいなところー」
サンジュ「はながさいてー」
ニジュク「うみがあってー」
サンジュ「きがあってー」
ニジュク「そらがあってー」
サンジュ「いろんないろのものがあるの!」
ニジュク「いろいろないろ!」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:07:54.75 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「いろがあると、たのしいね」
ニジュク「ここも、たくさんあるよ」
サンジュ「そらがあおー」
ニジュク「きがみどりー」
サンジュ「きがみどりなのは『あおい』んだって」
ニジュク「みどりが、あお? あおが、みどり?」
サンジュ「……きがあお?」
ニジュク「そらがみどり?」
ニジュク「ここも、たくさんあるよ」
サンジュ「そらがあおー」
ニジュク「きがみどりー」
サンジュ「きがみどりなのは『あおい』んだって」
ニジュク「みどりが、あお? あおが、みどり?」
サンジュ「……きがあお?」
ニジュク「そらがみどり?」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:12:30.19 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「たくさんいろがある」
ニジュク「うん、いっぱい」
サンジュ「……クロちゃんがねちゃったときは、なかったね」
ニジュク「しろと、くろと、はいいろばっかりだった」
サンジュ「クロちゃん、そこにいて、たのしいかな」
ニジュク「ずっと、しろと、くろと、はいいろのなかにいるのかな」
サンジュ「ここのほうが、たくさんいろがあるのに」
ニジュク「たくさんいろがあって、たのしいのに」
ニジュク「うん、いっぱい」
サンジュ「……クロちゃんがねちゃったときは、なかったね」
ニジュク「しろと、くろと、はいいろばっかりだった」
サンジュ「クロちゃん、そこにいて、たのしいかな」
ニジュク「ずっと、しろと、くろと、はいいろのなかにいるのかな」
サンジュ「ここのほうが、たくさんいろがあるのに」
ニジュク「たくさんいろがあって、たのしいのに」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:17:19.44 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「クロちゃにさわって、くろくなったこと、あった」
サンジュ「あったね」
ニジュク「クロちゃに、いろ、あげれなかった」
サンジュ「しろいの、あげられなかったね」
ニジュク「だから、しろいとこで、しろいのもらってるのかな」
サンジュ「でも、くろいのもあったよ」
ニジュク「あのくろは、クロちゃのくろ?」
サンジュ「あのしろは、クロちゃんのくろをもらってるの?」
サンジュ「あったね」
ニジュク「クロちゃに、いろ、あげれなかった」
サンジュ「しろいの、あげられなかったね」
ニジュク「だから、しろいとこで、しろいのもらってるのかな」
サンジュ「でも、くろいのもあったよ」
ニジュク「あのくろは、クロちゃのくろ?」
サンジュ「あのしろは、クロちゃんのくろをもらってるの?」
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:20:58.65 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「じゃあ、クロちゃがおきたら、クロちゃのくろ、しろくなる?」
サンジュ「あたしたちみたく、しろになる?」
ニジュク「そしたら、いろんないろをもらえるね」
サンジュ「はなとか、つちとか、きとか、たくさん!」
ニジュク「たくさんいろがあるから、どんないろもなれるね」
サンジュ「どんないろがにあうかなー」
ニジュク「きの、あお!」
サンジュ「そらの、みどり!」
サンジュ「あたしたちみたく、しろになる?」
ニジュク「そしたら、いろんないろをもらえるね」
サンジュ「はなとか、つちとか、きとか、たくさん!」
ニジュク「たくさんいろがあるから、どんないろもなれるね」
サンジュ「どんないろがにあうかなー」
ニジュク「きの、あお!」
サンジュ「そらの、みどり!」
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:25:08.85 ID:RyY8mOhSO
夫人「なんだか楽しそうな話してるね」
ニジュク「いろがたくさんー」
サンジュ「きがあおいのー」
ニジュク「そらがみどりなのー」
夫人「? そうかい、そりゃよかったね」
サンジュ「ほかにはどんないろがあるかな」
ニジュク「どんないろがある?」
夫人「色ねえ」
夫人「例えば太陽なんかは、『木が青い』みたいに、場所によって、赤だったり、橙だったり、黄色だったり、白だったりするんだよ」
ニジュク「いろがたくさんー」
サンジュ「きがあおいのー」
ニジュク「そらがみどりなのー」
夫人「? そうかい、そりゃよかったね」
サンジュ「ほかにはどんないろがあるかな」
ニジュク「どんないろがある?」
夫人「色ねえ」
夫人「例えば太陽なんかは、『木が青い』みたいに、場所によって、赤だったり、橙だったり、黄色だったり、白だったりするんだよ」
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:29:05.23 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「たいよう?」
サンジュ「たいよう、いろんないろ?」
夫人「いろんな見え方があるのさ」
夫人「じゃあ、こうやって、手をかざして、太陽を見てごらん」
ニジュク「んー」
サンジュ「ちかちかー」
夫人「光が散らばって、いろんな色に見えるだろ?」
ニジュク「わあ」
サンジュ「たいよう、いろんないろ?」
夫人「いろんな見え方があるのさ」
夫人「じゃあ、こうやって、手をかざして、太陽を見てごらん」
ニジュク「んー」
サンジュ「ちかちかー」
夫人「光が散らばって、いろんな色に見えるだろ?」
ニジュク「わあ」
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:33:43.20 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「たいよう、いっぱいいろ!」
夫人「太陽はね、見方次第で、いろんな姿になるんだ」
夫人「白いときもあれば、色のあるとき。明るいこともあるし、眩むこともある。暖かいし、厳しかったり」
サンジュ「たいよう、すごいね」
ニジュク「あったかいし、いっしょがたのしい」
サンジュ「クロちゃんみたい」
夫人「太陽はね、見方次第で、いろんな姿になるんだ」
夫人「白いときもあれば、色のあるとき。明るいこともあるし、眩むこともある。暖かいし、厳しかったり」
サンジュ「たいよう、すごいね」
ニジュク「あったかいし、いっしょがたのしい」
サンジュ「クロちゃんみたい」
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:36:46.93 ID:RyY8mOhSO
夫人「あんた達の連れのこと? どんな人なんだい」
サンジュ「えっとね」
サンジュ「いっしょにたびしてるの!」
ニジュク「たのしいよ!」
サンジュ「おこるときびしい!」
ニジュク「ぎゅってするとあったかい!」
サンジュ「くろいけど、しろくなるの!」
ニジュク「ひるはみえるけど、よるはわからないの!」
夫人「あはは、なぞなぞみたいだねえ」
サンジュ「えっとね」
サンジュ「いっしょにたびしてるの!」
ニジュク「たのしいよ!」
サンジュ「おこるときびしい!」
ニジュク「ぎゅってするとあったかい!」
サンジュ「くろいけど、しろくなるの!」
ニジュク「ひるはみえるけど、よるはわからないの!」
夫人「あはは、なぞなぞみたいだねえ」
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:40:33.75 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「だからね、クロちゃんといっしょにたびするの」
ニジュク「いっしょがたのしいの」
サンジュ「はやくおきないかな」
ニジュク「ね」
夫人「……」
夫人「『道に迷った時は太陽について行け』って、わかる?」
サンジュ「まえにセンがゆってた」
ニジュク「ゆってたね」
夫人「『クロちゃん』があんた達の太陽なら、『クロちゃん』の太陽はあんた達かもね」
ニジュク「いっしょがたのしいの」
サンジュ「はやくおきないかな」
ニジュク「ね」
夫人「……」
夫人「『道に迷った時は太陽について行け』って、わかる?」
サンジュ「まえにセンがゆってた」
ニジュク「ゆってたね」
夫人「『クロちゃん』があんた達の太陽なら、『クロちゃん』の太陽はあんた達かもね」
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:44:38.34 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「あたしたち、たいよう?」
夫人「あんた達が、一緒にいて楽しいなら、きっと向こうもそうさ」
夫人「……変わるけど変わらない、家族は、太陽なんだよ」
夫人「だからあんた達が太陽なら、『クロちゃん』はきっとあんた達がわかるよ」
ニジュク「ほんと?」
ニジュク「あたしたち、たいよう?」
サンジュ「あたしたちが、たいよう!」
夫人「そうそう、その笑顔」
夫人「あんた達が、一緒にいて楽しいなら、きっと向こうもそうさ」
夫人「……変わるけど変わらない、家族は、太陽なんだよ」
夫人「だからあんた達が太陽なら、『クロちゃん』はきっとあんた達がわかるよ」
ニジュク「ほんと?」
ニジュク「あたしたち、たいよう?」
サンジュ「あたしたちが、たいよう!」
夫人「そうそう、その笑顔」
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 08:47:11.26 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「センー」
ニジュク「センー」
セン『あ? もう戻って来たか。駄目だっつったろ』
サンジュ「これはだれだ」
ニジュク「このひとだれだ」
セン『なんだ、なぞなぞ?』
サンジュ「たいよう!」
ニジュク「だれだ!」
セン『は?』
サンジュ「こたえは、クロちゃん!」
ニジュク「こたえは、あたしたち!」
セン『は?』
49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:13:44.14 ID:RyY8mOhSO
秋
サンジュ「『だめ』?」
ニジュク「うん」
サンジュ「……」
ニジュク「……」
サンジュ「なにする?」
ニジュク「なにしよう」
サンジュ「……」
ニジュク「……」
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:16:24.66 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「そらがみどりだね」
ニジュク「でも、きはあおじゃなくなったね」
サンジュ「あっちは、あかい」
ニジュク「こっちは、きいろ」
サンジュ「こうよう、なんだって」
ニジュク「きれいだね」
サンジュ「もっとちかくでみよう」
ニジュク「うん」
ニジュク「でも、きはあおじゃなくなったね」
サンジュ「あっちは、あかい」
ニジュク「こっちは、きいろ」
サンジュ「こうよう、なんだって」
ニジュク「きれいだね」
サンジュ「もっとちかくでみよう」
ニジュク「うん」
51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:20:37.33 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「いっぱいおちてるね」
ニジュク「ね」
サンジュ「きはあかだけど、おちてるのはちゃいろいね」
ニジュク「きいろも、ちゃいろ」
サンジュ「なんか、みんなちゃいろだ」
ニジュク「ちゃいろい、ばっかり」
サンジュ「あれもちゃいろ」
馬「ヒヒーン」
ニジュク「ね」
サンジュ「きはあかだけど、おちてるのはちゃいろいね」
ニジュク「きいろも、ちゃいろ」
サンジュ「なんか、みんなちゃいろだ」
ニジュク「ちゃいろい、ばっかり」
サンジュ「あれもちゃいろ」
馬「ヒヒーン」
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:23:24.09 ID:RyY8mOhSO
馬「ブルル」
サンジュ「おうまさんも、こうよう?」
ニジュク「まえは、あかとか、きいろだったの?」
サンジュ「みたことないね」
ニジュク「どんなだろ」
サンジュ「……」
ニジュク「……」
馬「」
爺「!?」
サンジュ「おうまさんも、こうよう?」
ニジュク「まえは、あかとか、きいろだったの?」
サンジュ「みたことないね」
ニジュク「どんなだろ」
サンジュ「……」
ニジュク「……」
馬「」
爺「!?」
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:27:21.34 ID:RyY8mOhSO
爺「う、馬の毛が真っ赤に……」
馬「」
ニジュク「おうまさん、こうようー」
サンジュ「あかいろにもどしたのー」
爺「おちびさん達の仕業か……新しい遊びかい? だがこりゃ、すぐに戻しちゃくれねえか」
サンジュ「もどしたよ?」
ニジュク「あかにもどしたよ?」
爺「何言ってっか知らんが、この馬は最初から茶色だ」
サンジュ「そうだっけ」
ニジュク「?」
馬「」
ニジュク「おうまさん、こうようー」
サンジュ「あかいろにもどしたのー」
爺「おちびさん達の仕業か……新しい遊びかい? だがこりゃ、すぐに戻しちゃくれねえか」
サンジュ「もどしたよ?」
ニジュク「あかにもどしたよ?」
爺「何言ってっか知らんが、この馬は最初から茶色だ」
サンジュ「そうだっけ」
ニジュク「?」
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 10:31:56.46 ID:RyY8mOhSO
爺「赤毛の馬もまあいるが、こんな趣味の悪い色はしちゃいねえよ……」
ニジュク「あかいの、ちがうの?」
サンジュ「きいろだった?」
爺「茶色だ茶色」
サンジュ「じゃあ、みどり?」
爺「そもそも馬は木と違……」
ニジュク「あお?」
爺「……」
ニジュク「あかいの、ちがうの?」
サンジュ「きいろだった?」
爺「茶色だ茶色」
サンジュ「じゃあ、みどり?」
爺「そもそも馬は木と違……」
ニジュク「あお?」
爺「……」
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:06:59.08 ID:RyY8mOhSO
爺「紅葉はああいう木にしか起こらねえよ」
ニジュク「へー」
爺「それに紅葉ってのは、木の葉の色が変わって、木から落ちることを言うのさ。茶色になったら仕舞いだ」
サンジュ「じゃあ、あの、おちてるちゃいろは?」
爺「ありゃ枯葉だ、もう乾いちまってる。元には戻らんよ」
ニジュク「へー」
爺「それに紅葉ってのは、木の葉の色が変わって、木から落ちることを言うのさ。茶色になったら仕舞いだ」
サンジュ「じゃあ、あの、おちてるちゃいろは?」
爺「ありゃ枯葉だ、もう乾いちまってる。元には戻らんよ」
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:14:02.17 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「……もどらないの?」
爺「そりゃそうさ、落ちたらもうくっつかないからな」
ニジュク「くっつかないと、もどらないの?」
爺「くっつかないから戻らないのさ」
ニジュク「くっつかないと、もどらない?」
サンジュ「いっしょじゃないと『だめ』?」
爺「木ってのは、そういうもんだ」
爺「そりゃそうさ、落ちたらもうくっつかないからな」
ニジュク「くっつかないと、もどらないの?」
爺「くっつかないから戻らないのさ」
ニジュク「くっつかないと、もどらない?」
サンジュ「いっしょじゃないと『だめ』?」
爺「木ってのは、そういうもんだ」
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:17:37.46 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「じゃあ、なんでこうようするの?」
サンジュ「いっしょじゃないと『だめ』なのに、いっしょじゃなくするの?」
爺「難しい事は知らんよ」
爺「あの木は去年も、今年も、来年も、紅葉して枯れていくのさ」
爺「あれは、そういう木だからな」
サンジュ「いっしょじゃないと『だめ』なのに、いっしょじゃなくするの?」
爺「難しい事は知らんよ」
爺「あの木は去年も、今年も、来年も、紅葉して枯れていくのさ」
爺「あれは、そういう木だからな」
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:22:06.55 ID:RyY8mOhSO
サンジュ「クロちゃんは、かれないよね?」
ニジュク「こうようは、くろくならないよね?」
爺「黒い紅葉は聞いたことねえな」
ニジュク「じゃあ、クロちゃといっしょじゃなくなったり、しない?」
サンジュ「クロちゃん、かれない?」
爺「どうだかな」
爺「生きてりゃ、いつかは枯れちまう」
ニジュク「こうようは、くろくならないよね?」
爺「黒い紅葉は聞いたことねえな」
ニジュク「じゃあ、クロちゃといっしょじゃなくなったり、しない?」
サンジュ「クロちゃん、かれない?」
爺「どうだかな」
爺「生きてりゃ、いつかは枯れちまう」
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:25:50.15 ID:RyY8mOhSO
爺「でもまあ、おちびさん達は木じゃねえだろう?」
ニジュク「うん」
爺「人と木は違う、枯れたくれえじゃ落ちたりはしないよ」
サンジュ「ほんと?」
ニジュク「クロちゃ、かれても、いっしょ?」
爺「たぶんな。そんな歳でもねえだろうし」
サンジュ「とし?」
爺「紅葉は秋のもんだ。秋ってのは、こういう老いぼれのことだからな」
ニジュク「?」
ニジュク「うん」
爺「人と木は違う、枯れたくれえじゃ落ちたりはしないよ」
サンジュ「ほんと?」
ニジュク「クロちゃ、かれても、いっしょ?」
爺「たぶんな。そんな歳でもねえだろうし」
サンジュ「とし?」
爺「紅葉は秋のもんだ。秋ってのは、こういう老いぼれのことだからな」
ニジュク「?」
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:29:27.27 ID:RyY8mOhSO
爺「それにな、木の葉ってのは、落ちたら終わりってわけじゃない」
爺「冬を越して、春には新しい葉が生える」
爺「また元気になるってこった」
ニジュク「げんきになるの?」
サンジュ「ちゃんと、おきる?」
爺「当り前だ。木も人も、なかなかしぶとく生きてるんだよ」
爺「冬を越して、春には新しい葉が生える」
爺「また元気になるってこった」
ニジュク「げんきになるの?」
サンジュ「ちゃんと、おきる?」
爺「当り前だ。木も人も、なかなかしぶとく生きてるんだよ」
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:33:28.59 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「でも、おちたちゃいろは、どうなるの?」
爺「肥料に……まあ、そうだな」
爺「木にくっついてたときとは違う形だが、木の側で、木の役に立つってとこだろう」
サンジュ「いっしょじゃなくなるけど、いっしょにいられるの?」
ニジュク「すごいね」
サンジュ「よかったね」
爺「……木は凄いな。死んでも、いろんなもんを残せる」
爺「人はおちびさん達に、何ができるだろうなあ」
爺「肥料に……まあ、そうだな」
爺「木にくっついてたときとは違う形だが、木の側で、木の役に立つってとこだろう」
サンジュ「いっしょじゃなくなるけど、いっしょにいられるの?」
ニジュク「すごいね」
サンジュ「よかったね」
爺「……木は凄いな。死んでも、いろんなもんを残せる」
爺「人はおちびさん達に、何ができるだろうなあ」
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:36:16.13 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「?」
爺「いや、なんでもないさ」
爺「よし、じゃあおちびさん達、枯葉を集めてくれないかい」
サンジュ「あつめる?」
爺「芋を貰ってな。焼いて食おう」
ニジュク「でも、きといっしょなのに……」
爺「煙になって旅したい奴もいるのさ」
爺「いや、なんでもないさ」
爺「よし、じゃあおちびさん達、枯葉を集めてくれないかい」
サンジュ「あつめる?」
爺「芋を貰ってな。焼いて食おう」
ニジュク「でも、きといっしょなのに……」
爺「煙になって旅したい奴もいるのさ」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:39:08.31 ID:RyY8mOhSO
セン『それで焼き芋貰って来たのか』
ニジュク「あまい」
サンジュ「おいしい」
ニジュク「クロちゃは、きじゃなくて、けむりなのかな」
セン『旅をして元の木を探すってか』
セン『あいつは煙ほど自由に流れられちゃいねえよ、不器用なことにな』
ニジュク「……もとの?」
サンジュ「なんかわすれてるきがする」
セン『?』
爺「」
馬「」
ニジュク「あまい」
サンジュ「おいしい」
ニジュク「クロちゃは、きじゃなくて、けむりなのかな」
セン『旅をして元の木を探すってか』
セン『あいつは煙ほど自由に流れられちゃいねえよ、不器用なことにな』
ニジュク「……もとの?」
サンジュ「なんかわすれてるきがする」
セン『?』
爺「」
馬「」
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:46:11.71 ID:RyY8mOhSO
冬
ニジュク「きょうは?」
セン『駄目だ』
サンジュ「まだ?」
セン『まだ、だ』
ニジュク「どして?」
サンジュ「なんで?」
セン『どうしても、なんででもだ』
ニジュク「……」
サンジュ「……」
セン『駄目だ』
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:49:18.92 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「クロちゃ、いつおきるの?」
セン『さあな』
サンジュ「クロちゃん、いつかえってくるの?」
セン『夢に飽きたらじゃねえの』
ニジュク「クロちゃ、まだしろいとこにいるの?」
セン『こいつはいつでも真っ黒だよ』
サンジュ「クロちゃん、けむりになってまよって……」
セン『しつけえ!』
セン『さあな』
サンジュ「クロちゃん、いつかえってくるの?」
セン『夢に飽きたらじゃねえの』
ニジュク「クロちゃ、まだしろいとこにいるの?」
セン『こいつはいつでも真っ黒だよ』
サンジュ「クロちゃん、けむりになってまよって……」
セン『しつけえ!』
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:52:10.08 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「だって」
セン『だってじゃありません』
ニジュク「つまんない」
サンジュ「まだおはなしもとちゅうだし」
セン『話なあ』
セン『お前らちゃんと聞いてたのか?』
ニジュク「きいてたもん!」
サンジュ「センよりしってるもん!」
セン『じゃあ聞かせてみろ』
ニジュク「……」
サンジュ「……」
セン『だってじゃありません』
ニジュク「つまんない」
サンジュ「まだおはなしもとちゅうだし」
セン『話なあ』
セン『お前らちゃんと聞いてたのか?』
ニジュク「きいてたもん!」
サンジュ「センよりしってるもん!」
セン『じゃあ聞かせてみろ』
ニジュク「……」
サンジュ「……」
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 12:55:41.97 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「……」
サンジュ「……」
セン『泣くな馬鹿』
サンジュ「ないてない!」
ニジュク「ないもん!」
セン『はいはい』
サンジュ「クロちゃんおきないから、わかんないの!」
セン『うんうん』
ニジュク「クロちゃがおきたら、はなせる!」
セン『そうだな』
サンジュ「……」
セン『泣くな馬鹿』
サンジュ「ないてない!」
ニジュク「ないもん!」
セン『はいはい』
サンジュ「クロちゃんおきないから、わかんないの!」
セン『うんうん』
ニジュク「クロちゃがおきたら、はなせる!」
セン『そうだな』
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:00:04.44 ID:RyY8mOhSO
セン『起きたらまず、その続きからだな』
ニジュク「……うん」
サンジュ「……クロちゃん、いつおきる?」
セン『旅がしたくなったら、起きてくるさ』
セン『それまで待ってられるか?』
ニジュク「うん」
サンジュ「あたしたち、クロちゃんとたびしたいもん」
ニジュク「……うん」
サンジュ「……クロちゃん、いつおきる?」
セン『旅がしたくなったら、起きてくるさ』
セン『それまで待ってられるか?』
ニジュク「うん」
サンジュ「あたしたち、クロちゃんとたびしたいもん」
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:03:59.63 ID:RyY8mOhSO
セン『お前らがそう言うなら、あいつもそうするだろうな』
セン『だから待ってろ。そうすりゃ、そのうち戻ってくる』
サンジュ「なんで、あたしたちからあいにいくの『だめ』なの?」
セン『まあ選ぶのはあいつだからな』
セン『決まりきってるくせに、あの馬鹿はいつまでも悩んでやがるのさ』
セン『だから待ってろ。そうすりゃ、そのうち戻ってくる』
サンジュ「なんで、あたしたちからあいにいくの『だめ』なの?」
セン『まあ選ぶのはあいつだからな』
セン『決まりきってるくせに、あの馬鹿はいつまでも悩んでやがるのさ』
70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:08:36.20 ID:RyY8mOhSO
ニジュク「まってたら、あえる?」
サンジュ「あえるら、まってる」
ニジュク「クロちゃのおはなしききたい」
サンジュ「クロちゃんとたびしたい」
ニジュク「だから、まつ」
サンジュ「きっとかえってくるよね」
ニジュク「あたしたち、クロちゃのたいようだから」
サンジュ「あたしたち、クロちゃんのきになるから」
サンジュ「あえるら、まってる」
ニジュク「クロちゃのおはなしききたい」
サンジュ「クロちゃんとたびしたい」
ニジュク「だから、まつ」
サンジュ「きっとかえってくるよね」
ニジュク「あたしたち、クロちゃのたいようだから」
サンジュ「あたしたち、クロちゃんのきになるから」
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:11:37.07 ID:RyY8mOhSO
クロ「随分と寝過ごしたな」
セン『まったくだ。おかげで随分と疲れた』
クロ「2人の世話は大変だったかい?」
セン『お前がいない分な。だがその分、いろんな奴に遊んで貰ったらしいぞ』
クロ「なら、寂しくはなかったかな」
セン『そうでもないさ』
セン『あいつらにとっては、お前が太陽で、木らしいからな』
クロ「?」
72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:15:07.05 ID:RyY8mOhSO
クロ「……もしあのとき、私が2人を連れ出さなければ」
セン『あん?』
クロ「少し考えてたんだ。どうなっていただろう、と」
セン『どうもねえよ、そのまま旅を続けるだけだ』
クロ「あの2人は、いつまでも『はかせ』を待っていただろうか」
セン『待っただろうな。それしか知らなかったんだからよ』
クロ「辛くなかった、だろうか」
セン『さあな。それも知らなかったんじゃないか』
セン『あん?』
クロ「少し考えてたんだ。どうなっていただろう、と」
セン『どうもねえよ、そのまま旅を続けるだけだ』
クロ「あの2人は、いつまでも『はかせ』を待っていただろうか」
セン『待っただろうな。それしか知らなかったんだからよ』
クロ「辛くなかった、だろうか」
セン『さあな。それも知らなかったんじゃないか』
73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:22:37.50 ID:RyY8mOhSO
クロ「知らなければ、か。結局、寒さについては教えないままだったね」
セン『そういや、そうだったな』
クロ「知らないというのは、楽なことなんだろうか」
セン『さあな。オレはいろいろと知ってるから、知らねえよ』
クロ「知れば、後悔すると思うかい?」
セン『後悔ってのは、ずっと先にするもんだ。今聞くな』
クロ「……今より昔のことでも?」
セン『今悩むなら、今のことだろ』
セン『そういや、そうだったな』
クロ「知らないというのは、楽なことなんだろうか」
セン『さあな。オレはいろいろと知ってるから、知らねえよ』
クロ「知れば、後悔すると思うかい?」
セン『後悔ってのは、ずっと先にするもんだ。今聞くな』
クロ「……今より昔のことでも?」
セン『今悩むなら、今のことだろ』
74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:25:07.46 ID:RyY8mOhSO
クロ「センの理屈は変わってるね」
セン『お前ほど面倒には考えねえだけだ』
クロ「……そうだね、私は余計なことを考えすぎていたのかもしれない」
セン『お前は元々そんな頭回らねえくせにな』
クロ「センが回り過ぎてるだけだよ。分割されて、頭の回路も増えたんじゃないかな」
セン『千分割の細っこい回路なんざ、すぐ壊れちまうじゃねえか』
クロ「ああ、だから変なのか」
セン『誰が壊れてるって?』
セン『お前ほど面倒には考えねえだけだ』
クロ「……そうだね、私は余計なことを考えすぎていたのかもしれない」
セン『お前は元々そんな頭回らねえくせにな』
クロ「センが回り過ぎてるだけだよ。分割されて、頭の回路も増えたんじゃないかな」
セン『千分割の細っこい回路なんざ、すぐ壊れちまうじゃねえか』
クロ「ああ、だから変なのか」
セン『誰が壊れてるって?』
75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:28:58.88 ID:RyY8mOhSO
クロ「私は旅をして、たくさんのことを知ったよ」
クロ「知らなかった場所で、知らなかった人に会って、知らなかったものを見て、聞いて」
クロ「私はこの先、それを後悔したくない。……2人にも、後悔して欲しくない」
クロ「知ることを、後悔して欲しくないんだ。たとえそれがどんなことであっても」
クロ「知らなかった場所で、知らなかった人に会って、知らなかったものを見て、聞いて」
クロ「私はこの先、それを後悔したくない。……2人にも、後悔して欲しくない」
クロ「知ることを、後悔して欲しくないんだ。たとえそれがどんなことであっても」
76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:33:58.01 ID:RyY8mOhSO
セン『オレは元々学者気質だからな、知ることを悪いと思ったことはそうねえけどよ』
セン『もうあいつらだっていろんなことをわかってきてる、お前が寝呆けてた間にもな』
セン『それに、知って後悔するか、知らないで後悔するかは、本人の決めることだ。お前はそれまで待ってりゃいい』
セン『そしてオレの言うことに従うかどうかも自分で選べ』
クロ「そう言われると逆らいたくなるね」
セン『もうあいつらだっていろんなことをわかってきてる、お前が寝呆けてた間にもな』
セン『それに、知って後悔するか、知らないで後悔するかは、本人の決めることだ。お前はそれまで待ってりゃいい』
セン『そしてオレの言うことに従うかどうかも自分で選べ』
クロ「そう言われると逆らいたくなるね」
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:37:45.76 ID:RyY8mOhSO
セン『まあとりあえずだ、あいつらが待ったのも、旅をするのも、結局はあいつらが決めたことだ』
クロ「……うん。私は道を知らせただけだ」
セン『お前を待ってたのも、あいつらが決めたことだ』
クロ「そうだね」
セン『けどあいつらにする話は、お前が決めたことだろ』
ニジュク「あ、クロちゃ。にもつのせいり、おしまい?」
サンジュ「おしまいなら、あったかいして、おはなし!」
クロ「……うん。そうだね」
クロ「……うん。私は道を知らせただけだ」
セン『お前を待ってたのも、あいつらが決めたことだ』
クロ「そうだね」
セン『けどあいつらにする話は、お前が決めたことだろ』
ニジュク「あ、クロちゃ。にもつのせいり、おしまい?」
サンジュ「おしまいなら、あったかいして、おはなし!」
クロ「……うん。そうだね」
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/12(月) 13:38:37.91 ID:RyY8mOhSO
おわり
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