―――――事務所・小会議室―――――


ｶﾞﾁｬ
藤居朋「２人とも、おまたせー！　ごめんね、午前の撮影が長引いちゃって」

緒方智絵里「あ、朋さん！　大丈夫ですよ！『私たちも今来たところです』って言うつもりなので！」

朋「その本音の部分は隠してほしかったな」

白菊ほたる「プロデューサーさんがさっきまでいたんですが、入れ違いになってしまいましたね」

朋「あ、そうなんだ。えっと、何についてのミーティングをするのかっていう指示はもらったの？」

智絵里「たぶん！」

朋「なんで他人事！？」

ほたる「なんと、常務から直々に指示書が来てるんです」

朋「え！？　常務から！？」

智絵里「ほたるちゃん、読んでもらっていい？」

ほたる「はい」

ほたる「『拝啓、藤井、尾形、氏羅菊の３名』」

朋「……なんかおかしくなかった？」

ほたる「『春の日差しが心地よく感じられる今日このごろ……』」

朋「そういうの飛ばしちゃって」

ほたる「『近くの道ではつくしも顔を出し、春の訪れを感じて……』」

朋「早く本題に入って！！！」

ほたる「『そろそろ藤居が“早く本題に入って！！！”と言うだろうから本題に移る』」

朋「思考回路を読まないで！！！！！」

ほたる「『最近よく３人の仕事依頼が来るからユニット名を考えておいてほしい。以上だ』」

朋「終わり！？　結局前置きの方が長かったけど！？」

智絵里「プロデューサーさんが言うには、ユニットでCDデビューの企画も進行中らしいですっ！」

朋「CDデビュー……！　な、なんか来るとこまで来たわね……」

智絵里「CDに何を付ければ売れるんでしょうか？　握手券？　投票券？」

朋「デビューから巻き上げにかかるの！？」

朋「……」

ほたる「どうかしましたか？」

朋「いや……、２人とも、ありがとね」

智絵里&ほたる「？」

朋「ううん、あたし1人じゃ、お仕事とか全然もらえなかっただろうし……」

朋「ましてラジオとか、テレビとか、今度はCDまで……」

朋「ホントに２人のおかげだと思うの……」

智絵里「遺言ですか？」

朋「智絵里ちゃん！！！」

ほたる「……それは、スタートラインに立つまでの話だと思います」

朋「え？」

ほたる「そこから人気になって、いろいろなお仕事をもらっているのは、ちゃんと朋さんの魅力がみなさんに届いたからですよ……！　胸を張ってください！」

朋「ほたるちゃん……」

智絵里「張る胸があるのかはまた別の話ですよっ！　元気出してください！」

朋「緒方ァ！！！」

※年齢順
朋（19）→智絵里（16）→ほたる（13）

身長順
朋（163）→ほたる（156）→智絵里（153）

バスト順
智絵里（79）→朋（78）→ほたる（77）

カワイイ順
朋＝智絵里＝ほたる
（筆者調べ）

智絵里「さて、ユニット名を決めましょう！」

朋「どんなメンタルしてるの？」

ほたる「智絵里さんは、朋さんにいきなり感謝されて照れてるんですよ」

朋「そ、そうなの？」

智絵里「ほたるちゃん、夜道に気をつけてね」

朋「また！？」

ほたる「今度は成功するといいですね」

朋「前科アリ！？」

～～～～～

朋「でも、ユニット名っていきなり言われてもね……」

朋「何か、アイデアある？」

智絵里（カワイイ朋さんと不運な仲間たち……）

ほたる（頼れる朋さんと不幸な仲間たち……）

朋「すでにイヤな予感すごい」

朋「な、なにか、共通点から考えるのがいいと思うな！」

智絵里「植木鉢……」

ほたる「植木鉢……」

朋「まずそれ！？」

智絵里「植木鉢ing……」

ほたる「植木鉢キセキ……」

智絵里「植木鉢アイランド……」

ほたる「植木鉢デビュー！……」

朋「植木鉢から離れて！！！」

朋「イヤよ！植木鉢推しのアイドルなんて！！！　しかも使用用途おかしいし！！！」

智絵里「インパクトはありますよ？」

朋「インパクトしかないのよ！！！」

ほたる「毎回、歌のどこかで植木鉢が砕ける音が入るんですね」

朋「楽器の一部として扱わないで！！！」

ほたる「私くらいになると、音からメーカーを割り出せますよ……！」ﾌﾝｽ

朋「ビックリするくらい羨ましくないわ」

ｶﾞﾁｬ
渋谷凛「お困りのようだね」

朋「り、凛ちゃん！！！」

ほたる「凛さん！」

智絵里「プリンセスブルー（笑）さん！」

朋「煽らないの」

凛「こういうアイデアは、案外周りで見ている第三者の方が浮かぶものなんだよ」

朋「言ってることはマトモなのに」

凛「そして、この３人の中心は朋であることは間違いない……」

凛「それを踏まえて、私の案はこれ！」

『サファイア・ダブルムーン』ﾊﾞﾊﾞｰﾝ

朋（……ぜ、絶妙にダサい！！！）

智絵里「却下で」

ほたる「理由を聞いてから却下しましょう？」

朋「却下が前提は失礼だけどね」

朋「えっと、この“ダブルムーン”は、あたし？」

凛「もちろん。朋って字を分解したんだ」

朋「それで……、“サファイア”はどこから？」

凛「私の趣味」

朋「私情！？」

ｶﾞﾁｬ
本田未央「しぶりん！！！」

朋「未央ちゃん！」

凛「あ、未央」

未央「あ　じゃないよ！！！　人様に迷惑かけて！！！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

凛「そんな引っ張らないでって」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

未央「ごめんね３人とも！　失礼しました！」
ﾊﾞﾀﾝ

朋「……」

ほたる「私が不幸なせいであんな……」

朋「そのセリフが一番失礼よ？」

朋「えっと……、どこまで話したっけ？」

ほたる「確か……」

ｶﾞﾁｬ
宮本フレデリカ「やっほー☆フレちゃんだよー！」

朋「また！？」

智絵里「警察呼びますよ？」

朋「そこまでではないけどね！？」

フレデリカ「助けを呼ぶ声が聞こえたからさんじょーしたんだよ！」

ほたる「私が不幸なせいでこんな……」

朋「とうとう本人の前で！？」

フレデリカ「フレちゃんの溢れるセンスに恐れおのののののくがいい！」

朋「多い」

フレデリカ「マンハッタン仕込みのワザを見せちゃうよ！」

朋「フランスじゃないの！？」

ほたる（本当にツッコミうまいなあ……）

フレデリカ「そんなフレちゃんのアイデアはこれ！」

『ヴィフ・サフィール』ﾊﾞﾊﾞｰﾝ

朋「おお～……？」

智絵里「響き“は”悪くないですねっ」

ほたる「どういう意味なんですか？」

フレデリカ「まず“ヴィフ”は、“生き生きとした”って意味でー！」

朋「うんうん。サフィールは？」

フレデリカ「サファイヤ！」

朋「またかよ！！！！　この事務所の蒼推しはなんなの！？」

フレデリカ「ダメかなー？」

朋「せっかく割とカッコいいと思ったのに！」

フレデリカ「じゃあ次はねー……」

ｶﾞﾁｬ
橘ありす「フレデリカさん！！！」

フレデリカ「わお！　ありすちゃん！」

ありす「わお！　じゃないですよ！！！　人様に迷惑かけて！！！」

朋（未央ちゃんと同じこと言ってる……）

ありす「帰りますよ！！！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

フレデリカ「フレちゃんを倒しても、いずれ第二第三のフレちゃんが」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

ありす「そういうのいいですから！！！　失礼しました！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

フレデリカ「じゃーね♪」ｽﾞﾙｽﾞﾙ
ﾊﾞﾀﾝ

朋「嵐みたいだったわね……」

ｶﾞﾁｬ
島村卯月「こんにちは！」

朋「もうちょっと間をあけて襲来してくれない！！？？」

卯月「ネーミングライターの資格を持っている私に相談してくれないなんて、水臭いですよ！」

朋「その資格自体が初耳なんだけど！？」

ほたる「私が不幸なせいで……」

朋「その発言はノルマなの！？」

ｶﾞﾁｬ
未央「しまむー！！！！！」

智絵里「回収の業者さんが来ましたねっ」

朋「扱いひどいね！？」

卯月「わ！　未央ちゃん！　早いですね！」

未央「わかってるなら早く戻るよ！！！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

卯月「まだ発表してないのに～」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

未央「本人たちが決めるのが一番なの！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

未央「ホントごめんね！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

卯月「未央ちゃんが謝ることじゃないですよ！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

未央「しまむーが言うな！！！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ
ﾊﾞﾀﾝ

朋「疲れた……」

智絵里「この事務所、ロクな人間がいないですねっ」

朋「積極的にブーメランを投げにいくよね」

ほたる「朋さんも割と不運ですよね……」

朋「まあ、さすがに植木鉢が落ちてくる２人には負けるけど……」

智絵里「不運な集まりですね！」

朋「嫌な共通点ね」

智絵里「なんか運が悪そうなユニット名にしましょう！」

朋「智絵里ちゃん！！！」

智絵里「不運は英語でアンフォーチュンですよね」

朋「いや、でも、ユニット名にそんな直接“不運！”ってのはどうなの……？」

ほたる「じゃあ、“運がない”くらいにぼかす方がいいんでしょうか？」

智絵里「えっと……運は英語で」

朋「ラックじゃなかったっけ？」

智絵里「ノーラック！」

朋「結局ストレートになってる！！！」

ほたる「ノー、ノット……、“ない”って英語でどうすれば……」

智絵里「ネバーも否定だよね」

朋「どんどん酷くなってるけど」

ほたる「他には……」

朋「オフとかアウェーは“離れる”って意味だけど……語呂がよくないね」

智絵里「リモート、ファーも“遠い”ですけど……」

朋「“失う”はロスト……“欠ける”はラック……」

ほたる「え？　ラックは“運”でしたよね？」

朋「あ、違う違う。発音は似てるけど、スペルが違ってて……」

朋「……」

智絵里「……」

ほたる「……」

３人「！！！」

朋「“欠ける”はLackで、“運”はLuck……！」

智絵里「語呂……いいですね……」

ほたる「Lack Luckで……」

朋「運に欠ける……。いい感じのぼかし方……」

３人「これ、いいのでは……！！！？？？」


※度重なる乱入によってハードルが下がりきったところに、なんかいい感じのアイデアができたのでテンションが上がる３人

智絵里「『Lack Luck』で決まりですっ！」

朋「う、うん！　これは悪くないと思うわ！」

ほたる「いい感じの語呂と、いい感じの不憫さが表現できてます！」

智絵里「途中で来た人々は、何の意味もなかったですね！」

朋「確かにそうだけど智絵里ちゃん！！！」

ほたる「では、プロデューサーさんに連絡しますね」

智絵里「うんっ」

朋（今日は室内だし、このまま待っていれば、ほたるちゃんに何も起きずに終われそうね……）

ほたる「えっと……」ﾋﾟﾎﾟﾊﾟ

ほたる「あれ？　発信できな……」
ﾄﾞｶﾞｧｧｧｧｧｰｰｰｰｰｰｰｰﾝ!!!!!!!!!!!!!

智絵里「す、スマホが爆発しましたっ！」

朋「ほたるちゃん！！！！！！！！！」



おわり




このシリーズで一度でもクスッとしたことがある方はぜひこの３人に１票を！！！


次回　智絵里「ほたるちゃんが」朋「風邪を引いた！？」