8: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:46:33 ID:bLY4XWF.
「硬くて、すっごくたくましいよぉ……お兄ちゃんの、ココ」
そう言って、妹は俺の硬いモノを撫で回す。
油断した。しくじった。畜生。糞。
左足だ。根本からやられた。
そう言って、妹は俺の硬いモノを撫で回す。
油断した。しくじった。畜生。糞。
左足だ。根本からやられた。
引用元: ・妹「お兄ちゃんのココすっごく硬ぁい」
戦後日本の大量猟奇殺人―教科書には載せられない悪魔の事件簿 (ミリオンムック /X-BOOK)
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9: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:47:54 ID:bLY4XWF.
人間の力じゃあない。
わかっていたが、人間じゃあない。
俺の足は根本から引き千切られた。
今、妹が荒い息を吐きながら撫で回してるのが、俺の足だ。
筋肉質で硬い、俺の足だ。
わかっていたが、人間じゃあない。
俺の足は根本から引き千切られた。
今、妹が荒い息を吐きながら撫で回してるのが、俺の足だ。
筋肉質で硬い、俺の足だ。
10: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:49:12 ID:bLY4XWF.
妹は、まるでバナナの皮でも剥くように、俺の足の肉をぢぢっと引き裂くと、
中から現れた、真っ白い大腿骨を舐め回す。
「美味しいよぉ、お兄ちゃんの、白いの……すごく、美味しい」
れろれろれろんと舐め回す。
中から現れた、真っ白い大腿骨を舐め回す。
「美味しいよぉ、お兄ちゃんの、白いの……すごく、美味しい」
れろれろれろんと舐め回す。
11: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:50:42 ID:bLY4XWF.
しばらく、ぼうっと見つめてしまった。
美しい。
妹は変わってしまったが、その容姿は変わらずに可愛いままだった。
美しい。
妹は変わってしまったが、その容姿は変わらずに可愛いままだった。
12: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:51:45 ID:bLY4XWF.
そのうちに、世界がグラリと傾く気がして、俺の意識が遠くなる。
見つめている場合ではなかった。このままいくと失血死だ。笑えない。
俺は着ていたシャツを脱ぐと、それで足の断面を覆い、腰の辺りでしっかりと括りつける。
妹が、俺の硬いモノに夢中になってくれているのが幸いだった。
見つめている場合ではなかった。このままいくと失血死だ。笑えない。
俺は着ていたシャツを脱ぐと、それで足の断面を覆い、腰の辺りでしっかりと括りつける。
妹が、俺の硬いモノに夢中になってくれているのが幸いだった。
13: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:53:11 ID:bLY4XWF.
こんな大変な時に、俺の頭は、昔に偽善活動で献血した事を思い出す。
あの時の何倍もクラクラした。あの時抜いた血が欲しいくらいだ。
俺は震える手で、銃を探した。近くに落ちているはずだ。
あの時の何倍もクラクラした。あの時抜いた血が欲しいくらいだ。
俺は震える手で、銃を探した。近くに落ちているはずだ。
14: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:54:28 ID:bLY4XWF.
血溜まりの中にそれはあった。
アルミホイルで包まれた電磁銃だ。
妹を……『アレ』を殺すために、必要な銃だ。
引鉄を軽く引くと、二本のレールに挟まれた弾丸が、直列電流を受けて無限大に加速する。
この速さが、魂を殺すのに必要なのだ。
俺は心の中で、ニコラ・テスラに礼を言った。
アルミホイルで包まれた電磁銃だ。
妹を……『アレ』を殺すために、必要な銃だ。
引鉄を軽く引くと、二本のレールに挟まれた弾丸が、直列電流を受けて無限大に加速する。
この速さが、魂を殺すのに必要なのだ。
俺は心の中で、ニコラ・テスラに礼を言った。
15: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:56:50 ID:bLY4XWF.
照準を合わせ、深く引鉄を引く。
電磁銃から放たれた弾丸が、妹の頭を貫いた。
俺の硬いモノをしゃぶっていた妹は、弾丸を受け、崩れ落ちた。
死んだのだ。これで妹は、二回死んだ。
人の魂は、脳に宿るのか?
それとも、心の臓に宿るのか?
俺はその問いに答えを見つけた。
電磁銃から放たれた弾丸が、妹の頭を貫いた。
俺の硬いモノをしゃぶっていた妹は、弾丸を受け、崩れ落ちた。
死んだのだ。これで妹は、二回死んだ。
人の魂は、脳に宿るのか?
それとも、心の臓に宿るのか?
俺はその問いに答えを見つけた。
16: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:58:14 ID:bLY4XWF.
人の魂は、ぐちゃぐちゃの味噌に宿るのだ。
俺の血と、妹の脳漿が混ざったドロドロの中で、
笑う。笑う。笑う。
俺の血と、妹の脳漿が混ざったドロドロの中で、
笑う。笑う。笑う。
17: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 00:59:46 ID:bLY4XWF.
21.262グラムだ。
21.262グラムが、全てを駄目にした。
彼のダンカン・マクドゥーガルが提唱した、魂の重さだ。
21.262グラムが、全てを駄目にした。
彼のダンカン・マクドゥーガルが提唱した、魂の重さだ。
18: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:01:00 ID:bLY4XWF.
彼によれば、魂を持つのは人間だけだそうだ。
犬は魂を持たない。
今になって、その研究成果が正しかったという事が証明された。
犬は魂を持たない。
今になって、その研究成果が正しかったという事が証明された。
19: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:02:52 ID:bLY4XWF.
死んだ人々は21.262グラム軽くなり、
そして、21.262グラム重くなったのだ。
ちゃんと埋めたはずなのに、死んだ人々が歩き出す。
レチクル座から、少女たちが舞い戻る。
破滅の歌を朗々と、歌いながら。
想い人を殺す。
そして、21.262グラム重くなったのだ。
ちゃんと埋めたはずなのに、死んだ人々が歩き出す。
レチクル座から、少女たちが舞い戻る。
破滅の歌を朗々と、歌いながら。
想い人を殺す。
20: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:04:28 ID:bLY4XWF.
俺はぴかぴかに磨かれた、銀のノコギリを取り出すと、妹の身体を108の部位に切り分けた。
もう二度と、21.262グラム重くならないように。
上半身、下半身、腕は肘関節に刃を入れ。
手は、二度と俺を引き千切る事がないよう、指の一本一本でバラバラにする。
夜の闇の中、ぎこぎこというノコギリを引く音と、なまぐさい臭いが漂う。
もう二度と、21.262グラム重くならないように。
上半身、下半身、腕は肘関節に刃を入れ。
手は、二度と俺を引き千切る事がないよう、指の一本一本でバラバラにする。
夜の闇の中、ぎこぎこというノコギリを引く音と、なまぐさい臭いが漂う。
21: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:05:47 ID:bLY4XWF.
妹の足を切っている時、ふと視線を感じた気がして、
顔をあげると、女がいた。
黒髪の、鼻がツンと高い、美しい女だ。
大切そうに、いとおしそうに、男の生首を持っている。
想い人を、見つけたのだろう。
俺は無視して妹の再殺を再開した。
顔をあげると、女がいた。
黒髪の、鼻がツンと高い、美しい女だ。
大切そうに、いとおしそうに、男の生首を持っている。
想い人を、見つけたのだろう。
俺は無視して妹の再殺を再開した。
22: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:07:08 ID:bLY4XWF.
切り分けた妹は一つ残らず、1.3メートルの深さに掘られた墓の中に埋められる。
それは、魂が透過出来ないとされる土の厚さだ。
片足の俺は穴を掘るのに苦労したが、なんとか妹が眠れる大きさの穴をあける。
しめった土の臭いが鼻をつく。
血のなまぐささに慣れた俺に、その臭いは痛いほどだった。
それは、魂が透過出来ないとされる土の厚さだ。
片足の俺は穴を掘るのに苦労したが、なんとか妹が眠れる大きさの穴をあける。
しめった土の臭いが鼻をつく。
血のなまぐささに慣れた俺に、その臭いは痛いほどだった。
23: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:08:36 ID:bLY4XWF.
妹の名が書かれた墓石は、無惨にも横倒しになっていたが、無視した。
もう、ここに眠るのは妹ではないのだ。
妹であった21.262グラムは、もう空へ昇ったのだ。
俺の腕の中にあるのは、21.262グラムの入っていた器でしかない。
俺は、その器の頬にキスをした。
この世の終わりのような味がした。
もう、ここに眠るのは妹ではないのだ。
妹であった21.262グラムは、もう空へ昇ったのだ。
俺の腕の中にあるのは、21.262グラムの入っていた器でしかない。
俺は、その器の頬にキスをした。
この世の終わりのような味がした。
24: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:10:32 ID:bLY4XWF.
器を、投げ捨てる。
1.3メートルの深さを落ち、気味の悪い音をたてる。
死んだのだ。妹は、死んだのだ。
俺の頭の中で、妹は、レチクル座の入口にある水晶の舟に乗り、
遠くとおくへ去っていった。
ずっと前に死んだ妹が、
やっと今、死んだ気がした。
1.3メートルの深さを落ち、気味の悪い音をたてる。
死んだのだ。妹は、死んだのだ。
俺の頭の中で、妹は、レチクル座の入口にある水晶の舟に乗り、
遠くとおくへ去っていった。
ずっと前に死んだ妹が、
やっと今、死んだ気がした。
25: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:11:43 ID:bLY4XWF.
全てを終えて、一息つき、
片足のけんけんで、墓場を去ろうとした時。
俺は、嫌なものを見た。
片足のけんけんで、墓場を去ろうとした時。
俺は、嫌なものを見た。
26: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:12:37 ID:bLY4XWF.
隣の墓だ。隣の墓の……
墓石が、倒れている。
土がめくれ、大きな穴が、あいている。
墓石が、倒れている。
土がめくれ、大きな穴が、あいている。
27: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:13:59 ID:bLY4XWF.
隣に眠るのは……
俺の恋人だ。
俺の恋人が……永遠の眠りについていた……はずだ。
俺の恋人だ。
俺の恋人が……永遠の眠りについていた……はずだ。
28: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:15:11 ID:bLY4XWF.
声をかけられた。
後ろから、俺の名前を呼ばれた。
懐かしい声で。暖かい声で。
後ろから、俺の名前を呼ばれた。
懐かしい声で。暖かい声で。
29: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:16:11 ID:bLY4XWF.
振り返ると、彼女がいた。
いや……彼女の器を奪った、『アレ』がいた。
そいつは底抜けに明るい顔で笑うと、
俺の唇を奪う。
いや……彼女の器を奪った、『アレ』がいた。
そいつは底抜けに明るい顔で笑うと、
俺の唇を奪う。
30: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:17:25 ID:bLY4XWF.
奪われた。
冷たくて、肉の腐った臭いと、彼女の懐かしい匂いが混ざった、そんな息を嗅いで、
面食らった隙に……引き千切られた。
唇を奪われた。文字通りに。
冷たくて、肉の腐った臭いと、彼女の懐かしい匂いが混ざった、そんな息を嗅いで、
面食らった隙に……引き千切られた。
唇を奪われた。文字通りに。
31: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:18:29 ID:bLY4XWF.
彼女は笑っていた。
笑っていた。
笑っていた。
笑って、いたんだ……!
笑っていた。
笑っていた。
笑って、いたんだ……!
32: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:19:23 ID:bLY4XWF.
俺はもう……疲れてしまった。
俺は、生を諦めた。
俺は瞳を閉じたけれど……
それでも世界は、無くならない。
俺は、生を諦めた。
俺は瞳を閉じたけれど……
それでも世界は、無くならない。
33: ◆eUwxvhsdPM 2016/04/24(日) 01:19:59 ID:bLY4XWF.
その後、俺は……
21.262グラム軽くなり、
21.262グラム重くなるのだが……
それはまた、別の話だ。
……………………
21.262グラム軽くなり、
21.262グラム重くなるのだが……
それはまた、別の話だ。
……………………
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