1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:06:53.62 ID:9qCv1E/uo
ある霧の濃い夜、幼い息子を胸に抱え、馬を走らせる父親の姿があった。
パカラッ! パカラッ!
少年「お父さん、お父さん!」
父「どうしたんだい、坊や?」
少年「魔王がいるよ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461841613
パカラッ! パカラッ!
少年「お父さん、お父さん!」
父「どうしたんだい、坊や?」
少年「魔王がいるよ!」
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ザ・ベスト・オブ・シューベルト
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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:09:18.39 ID:9qCv1E/uo
魔王『フフフフ……。これはこれは、可愛い坊やを見つけたぞ……』
少年「魔王が! 魔王がいるよぉ!」
父「ハハハ、なにを言ってるんだい。あれはただの霧だよ」
少年「魔王が! 魔王がいるよぉ!」
父「ハハハ、なにを言ってるんだい。あれはただの霧だよ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:11:56.31 ID:9qCv1E/uo
魔王『坊や、私と一緒に遊ぼうじゃないか。楽しい場所に連れていってあげよう……』
少年「お父さん! 魔王がしゃべってるよ! 恐ろしい声だよ!」
父「大丈夫、あれは枯れ葉のざわめきさ」
少年「お父さん! 魔王がしゃべってるよ! 恐ろしい声だよ!」
父「大丈夫、あれは枯れ葉のざわめきさ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:14:42.25 ID:9qCv1E/uo
魔王『ほらご覧、私の娘もいるよ。坊やに美しい舞いを披露したがっているよ』
魔王娘『オホホホホ……』
少年「うわぁぁぁ! 魔王の娘だ! お父さん、魔王の娘もいるよぉ!」
父「あれは枯れた柳の木だよ。魔王の娘なんかじゃないんだよ」
魔王娘『オホホホホ……』
少年「うわぁぁぁ! 魔王の娘だ! お父さん、魔王の娘もいるよぉ!」
父「あれは枯れた柳の木だよ。魔王の娘なんかじゃないんだよ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:16:10.74 ID:9qCv1E/uo
少年「ホントだよ! 魔王がいるんだよぉ! 怖いよぉぉぉ!」
魔王『なんと可愛らしい悲鳴だ。こうなれば、力ずくで連れていくことにしよう』
魔王『なんと可愛らしい悲鳴だ。こうなれば、力ずくで連れていくことにしよう』
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:19:02.05 ID:9qCv1E/uo
少年「お父さん、お父さぁん! 魔王が、魔王がぁぁぁ!」
魔王『無駄だよ、坊や』
魔王『君のお父さんは私に気づくことができないんだよ……さぁ、おいで……』
魔王『無駄だよ、坊や』
魔王『君のお父さんは私に気づくことができないんだよ……さぁ、おいで……』
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:21:03.52 ID:9qCv1E/uo
少年「覇ァッ!!!」
ドゴォッ!!!
魔王『ぶっ!?』
ドゴォッ!!!
魔王『ぶっ!?』
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:24:07.26 ID:9qCv1E/uo
魔王『な、なんだと……!? 人間の子供がこれほどの打撃を……!?』
少年「お父さん、ごめん……ぼく、やっと分かったよ」
少年「お父さんは魔王に気づいてないんじゃない……気づかないふりをしてるだけ……」
少年「お父さんはこう言いたいんだよね」
少年「“魔王くらい自力で倒せないと、一人前の男になれない”って!」
父「……」ニヤッ
少年「お父さん、ごめん……ぼく、やっと分かったよ」
少年「お父さんは魔王に気づいてないんじゃない……気づかないふりをしてるだけ……」
少年「お父さんはこう言いたいんだよね」
少年「“魔王くらい自力で倒せないと、一人前の男になれない”って!」
父「……」ニヤッ
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:27:11.39 ID:9qCv1E/uo
少年「来いよ、魔王! 一対一だ!」ビシッ
魔王『ふ、ふざけるなよ……! このクソガキが!』
魔王『可愛いから連れ去ろうと思ったが、もういい! 肉体ごと滅してくれるわァ!』
魔王『キエェアアアアアアッ!!!』
少年(お父さんから伝授された奥義……今こそ使わせてもらうよ!)キッ
魔王『ふ、ふざけるなよ……! このクソガキが!』
魔王『可愛いから連れ去ろうと思ったが、もういい! 肉体ごと滅してくれるわァ!』
魔王『キエェアアアアアアッ!!!』
少年(お父さんから伝授された奥義……今こそ使わせてもらうよ!)キッ
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:30:41.72 ID:9qCv1E/uo
少年「蹴ゥッ!!!」
ドドドドドドドドドドッ!!!
魔王『ぐごあぁぁぁっ……!』
父(敵の腰回りに蹴りの連打を浴びせ、まるでベルトを巻いたような傷を残す奥義――)
父(その名も“蹴(しゅう)ベルト”)
父(初めて使うにしては、上出来の威力だ……見事!)
ドドドドドドドドドドッ!!!
魔王『ぐごあぁぁぁっ……!』
父(敵の腰回りに蹴りの連打を浴びせ、まるでベルトを巻いたような傷を残す奥義――)
父(その名も“蹴(しゅう)ベルト”)
父(初めて使うにしては、上出来の威力だ……見事!)
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:33:40.56 ID:9qCv1E/uo
魔王『ガ、ガハッ……! バカな……魔界の王である私が、こんな子供に……!』
魔王娘『……』
魔王『おおお……む、娘よ……私の傷を回復してくれえ……』
魔王娘『イヤよ』
魔王『え……』
魔王娘『負け犬はとっとと魔界に消えなさいな、このショタコン親父。キモイのよ』シッシッ
魔王『!!!』ガーン
魔王『ウギャアァァァァァ……』ボシュゥゥゥゥゥ…
魔王娘『……』
魔王『おおお……む、娘よ……私の傷を回復してくれえ……』
魔王娘『イヤよ』
魔王『え……』
魔王娘『負け犬はとっとと魔界に消えなさいな、このショタコン親父。キモイのよ』シッシッ
魔王『!!!』ガーン
魔王『ウギャアァァァァァ……』ボシュゥゥゥゥゥ…
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:35:47.74 ID:9qCv1E/uo
サァァァ……
少年「霧が晴れていく……」
少年「お父さん……ぼく魔王に勝ったよ!」
父「よくやったな、坊や」
父「だが、まだまだ甘い。私なら最初の一撃で魔王を仕留めていただろうからね」
少年「ちぇっ、お父さんには敵わないや」
少年「霧が晴れていく……」
少年「お父さん……ぼく魔王に勝ったよ!」
父「よくやったな、坊や」
父「だが、まだまだ甘い。私なら最初の一撃で魔王を仕留めていただろうからね」
少年「ちぇっ、お父さんには敵わないや」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:39:34.67 ID:9qCv1E/uo
魔王娘「あ、あのっ……」
少年「あっ、魔王の娘! どうしたの?」
少年(霧の中じゃよく分からなかったけど、あらためて見るとこの子すごく可愛いな……)
魔王娘「今のあなたの戦いぶりを見て、惚れちゃいました……」
魔王娘「あたしと……お友達になって下さい!」
少年「う、うん……ぼくでよかったら!」
魔王娘「キャーッ! 嬉しいっ!」
父「これはこれは、とんだ戦利品だな」
少年「あっ、魔王の娘! どうしたの?」
少年(霧の中じゃよく分からなかったけど、あらためて見るとこの子すごく可愛いな……)
魔王娘「今のあなたの戦いぶりを見て、惚れちゃいました……」
魔王娘「あたしと……お友達になって下さい!」
少年「う、うん……ぼくでよかったら!」
魔王娘「キャーッ! 嬉しいっ!」
父「これはこれは、とんだ戦利品だな」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:42:28.61 ID:9qCv1E/uo
父「ところで、君のお母さんも美人なのかい?」
魔王娘「はい、魔界一の美人ですよ! あのショタコンクソ親父にはもったいないくらい!」
父「そりゃあいい! ぜひ今度、紹介してくれないか!」
魔王娘「いいですよ!」
少年「!」
少年「お、お父さん……お父さん……!」ガタガタ…
父「――ん?」
魔王娘「はい、魔界一の美人ですよ! あのショタコンクソ親父にはもったいないくらい!」
父「そりゃあいい! ぜひ今度、紹介してくれないか!」
魔王娘「いいですよ!」
少年「!」
少年「お、お父さん……お父さん……!」ガタガタ…
父「――ん?」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:44:38.75 ID:9qCv1E/uo
少年「お母さんがいるよぉ!」
父「ハハハ、まさか……こんなところにいるわけないよ」クルッ
母「あぁ~……なぁ~……たぁ~……?」
父「ヒエエエッ!!?」
父「ハハハ、まさか……こんなところにいるわけないよ」クルッ
母「あぁ~……なぁ~……たぁ~……?」
父「ヒエエエッ!!?」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/28(木) 20:48:01.00 ID:9qCv1E/uo
母「君のお母さんも美人? 紹介してくれ? 今のは一体どういうことかしら?」ゴゴゴ…
父「ちっ、違うんだ! 落ち着くんだ! 話を聞いて――」
ウギャァァァァァ……!
少年「あの二人はほっといて、この馬に乗ってどこか遊びに行こっか!」
魔王娘「うん!」
馬「ヒヒィ~~~~~ン!」
<おわり>
父「ちっ、違うんだ! 落ち着くんだ! 話を聞いて――」
ウギャァァァァァ……!
少年「あの二人はほっといて、この馬に乗ってどこか遊びに行こっか!」
魔王娘「うん!」
馬「ヒヒィ~~~~~ン!」
<おわり>
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