2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 20:58:00.39 ID:tR3m4DgW0
モバP「346プロに入社して、はや3年」
モバP「高垣楓に憧れ、三船美優に浮気して、
鷺沢文香の担当になった同期には不幸の手紙をつづり、
ついに渋谷凛という原石に巡り合った」
モバP「そう、俺はCool属性を愛している。
淡麗な容姿、取っ付きにくい距離感、かと思えば、気を許したときに垣間見せる別の表情」
モバP「Cute、Passionと満遍なく50人以上を担当する今でも、小さい声でハッキリと言える。
俺はCoolプロデューサーだと」
モバP「だから、いくら可愛かろうが、Passion属性のアイドルに入れ込む事などない」
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 030堀裕子
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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 20:59:45.93 ID:KYDaqnsA0
モバP「ましてや、日野茜と双璧を成すパッション・オブ・パッション。
堀裕子に、心を揺らされる事などありえないのである」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:04:34.01 ID:KYDaqnsA0
モバP(堀裕子は俺を土手に連れ出した。
ちまちま動いたり、
俺の顔をじっと見たり、
恥ずかしそうに目を逸らしたりしていたが、
やがて話を始めた)
堀裕子「プロデューサー、特訓といえば、やはり土手ですよね!
夕日に染まる町並み!光を照らす水面!まるで輝きの海!」
モバP(裕子が何か言っているが、俺には知った事ではない。
見えているのは夕日に染まる頬と、輝きを映す大きな瞳だ。
断じて見とれているわけではない。不思議な生き物だなあと思って見ているだけだ)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:06:51.59 ID:ZPopcQaS0
裕子「あの光の先には、なにが待っているんでしょうか。
素敵なところだといいなあ」
モバP(風になびく髪と、意外にも女の子らしい良い匂い。
……なんか目を逸らせないぞ。なんだこれは。
あぁそうか、俺は疲れているんだ。視線を動かすのも億劫なだけなのだ)
裕子「……ってそうじゃない!そんな話じゃなくて!」
裕子「無理やりこんなところに連れて来ちゃって、すみません。
事務所は落ち着いた話をするには向かないから、つい……」
モバP(普段の振る舞いからは想像も付かない、しおらしい姿。
小動物のようにもじもじしている。
愛くるし……
……早く本題に入れ、俺は忙しいんだ)
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:08:37.97 ID:tR3m4DgW0
裕子「それと、こんなアイテムまで用意しちゃって、すみません」
モバP(ん?なんだ?)
裕子「あの、糸電話です。見たまま、そのまんまですけどね!」
モバP(ハッ、おいでなすった。
糸電話ときたぜ。何をする気か知らんが、こんなオモチャ、クールアイドルは決して持ち出さないぞ。
こういう子供っぽいところが放っておけないというか、何というか)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:10:16.02 ID:KYDaqnsA0
裕子「これはですね、直接お伝えするのが難しい言葉でも、伝えてくれるスペシャルアイテムなんです。
サイキックアイテムじゃないですよ!」
モバP(表情がコロコロ変わる。感情丸出しじゃないか。
アイドルたるもの一度ステージに立てば、感情などコントロールし尽くして見せねばならない。
全く、プロ意識の無さがそういう所に滲み出るのだ。
焦った顔も可愛いなあ。
……いや違うよ何言ってんの!?
今の可愛いは客観的な意味だから!
アイドルであれば可愛いのは当たり前だから!)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:14:22.67 ID:ZPopcQaS0
裕子「そんなわけで、今日は特別に、聞いてください。
普通の言葉じゃないですよ」
モバP(特別……普通じゃない……俺だけのための言葉……だと?
た、試しに聞いてやろうじゃないか。どうせ大した事は言わんだろうけど)
裕子「これは特別に、心の声を伝えますから」
モバP(心の声!?
ふだんから開けっ広げに見せておいてお前……
別の表情を隠しているとでも言うのか!
あと特別って2回言ったな、そういうちょっと抜けてる所がまた魅力だな!)
裕子「えーと、あの、聞こえますか?」
モバP(聞こえるよ、そんな近くに寄ったら糸電話関係なく聞こえるよ!アホ!うわなんだこの美少女!初めて見たよスカウトしないと)
裕子「これは一度しか言いませんよ」
モバP(よせ、何を言う気だ、よせっ!
心の扉ノックされちゃう!ノックアウトされちゃうぅぅぅ!)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:36:14.88 ID:ZPopcQaS0
裕子『いつも、ありがとうございます!』にこ
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:38:56.67 ID:tR3m4DgW0
モバP(グゥオオオオォォォォォォォォ!!)
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:40:29.63 ID:ZPopcQaS0
モバP(思いのほか普通の言葉なのに、なんだ!この威力は!
熱い!溶ける……っ!俺のCoolが溶ける……っ!)
モバP(こ、これが……Passion……)
モバP(ぐ……ぐふ……っ)
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:41:57.85 ID:tR3m4DgW0
モバP(ふ……ふっふっふ……)
モバP(た、耐えた……
耐えたぞぉ!
俺のCoolは守られた!やはりCoolこそ正義!Passionに遅れは取らん!)
モバP(しかし危なかった……
もう一言あったら完全に溶けていた事だろう。詰めが甘いぞユッコ!)
モバP(……ん、んん!?)
モバP(糸電話を下ろして……何か、何か言うつもりじゃないだろうな!)
モバP(あ……ああ……
やめろ!これ以上はやめろォォォ!)
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:43:30.28 ID:ZPopcQaS0
裕子「……と、届きました?」ぱあっ
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:44:38.13 ID:ZPopcQaS0
モバP(ぎゃあああぁぁぁぁぁぁーーーーー)
ボシュシュシュウゥゥゥゥン
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:45:47.60 ID:KYDaqnsA0
モバP(サ、サー……ファイア……パッ、ション……)
ジュッ……
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:47:10.19 ID:ZPopcQaS0
モバP「俺はCool、Coolプロデューサー」
モバP「Coolプロデューサーの日常はCool。
目の前には渋谷凛をはべらせ、左手には高級腕時計を巻き、額にはアイスノンを貼っている」
モバP「そう、昨日土手に行ってから風邪を引いているのだ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:48:14.89 ID:tR3m4DgW0
凛「大丈夫?プロデューサー」
モバP「大丈夫だ、少し熱っぽいだけだ」
凛「ふだんは体調管理を厳しく言うくせに」スッ
ペリ
ぴとっ
モバP「いっ!?りりり凛、おでこを合わせるな。人前だぞ」
凛「おでこ、冷たいね。アイスノンを貼ってたからかな。
……!?」スン
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:49:11.56 ID:tR3m4DgW0
モバP「ど、どうした?」
スンスン
「りっ」
スンスンスン
「凛、ちょっと」
スンスンスンスンスンスンスンスンスン
「だめぇ」
モバP「めー!めーでしょ!?」
凛「ふーん」
モバP「あ、あの……?」
凛「ううん、なんでもないよ」
モバP「ドッキンドッキン」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/05(木) 21:50:08.61 ID:KYDaqnsA0
凛「そうだ、プロデューサー、食欲ある?ちゃんとご飯食べてる?」
モバP「いや、あんまり食べてない」
凛「ゼリー買ってきたんだ。食べさせてあげる」
モバP「あ、じゃあこのスプーンで」
凛「プロデューサー」
モバP「どうした?」
凛「なんでスプーンなんか持ってるの?」
モバP「……」
凛「……」
モバP「サイキック・ステルスマーケティングッ!」
おわり
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