前回 キュゥべえ「エレメーラ?」トゥアール「魔法少女?」 前編
191: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/17(木) 01:03:12.99 ID:Y5YhZBNG0
さやか「マミさんやほむらを騙しておいてどの口が契約だなんて言えるんだ。この詐欺師!!」
キュゥべえ「……ふぅん。やっぱり暁美ほむらはそこまで知っていたんだね」
さやか「あっ!!」
トゥアール「…………」
キュゥべえ「……ふむ?僕が情報を引き出そうとしているのは気づいてたんだろう。どうして君は美樹さやかを止めなかったんだい?」
トゥアール「……私から情報を与える気はありませんよ」
キュゥべえ「でも美樹さやかが話せば同じことだろう?」
トゥアール「違います。人の思いは単なる情報なんかじゃありませんから」
キュゥべえ「何が違うんだい?」
トゥアール「キュゥべえちゃん。あなたが司る因果と魔法の力は人の希望を踏みにじることで成り立つエネルギーですよね」
キュゥべえ「心外だな。僕たちには君達が持つ様なそんな悪意は存在しないよ」
キュゥべえ「まぁ、希望を絶望に変えるという点では君の表現は一部の真実を表しているかもしれないけどね」
さやか「あんた!!」
トゥアール「でもね、エレメーラは違うんです。エレメーラは人の思い、希望を叶えようとする力で成り立つエネルギーです」
キュゥべえ「だからどうしたんだい?」
トゥアール「さっきの美樹さんが話したことは、あなたにとっては単なる情報漏洩なんでしょう」
トゥアール「ええ、もし部外者の私が言ったならそうなのかもしれません」
トゥアール「けどね、運命に逆らおうとする者が口にする思いのこもった言葉は運命を変える刃に成り得るんですよ」
まどか「……思いが運命を変える」
キュゥべえ「君はもう少し合理的な考えの持ち主だと思っていたんだけどね」
トゥアール「私は合理性の枠でしかものを考えられませんよ。けど人の思いは運命を変える力であることを知ってるんです」
トゥアール「キュゥべえちゃん。総司様達を見てて下さい。あなたが知ってる絶望の力よりも強い希望の力を見せてあげます」
引用元: ・キュゥべえ「エレメーラ?」トゥアール「魔法少女?」
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192: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/17(木) 01:05:51.38 ID:Y5YhZBNG0
アハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ
ビルの陰から姿を現す巨体の前に4人が向き直る。
マミ「みんな!行くわよ!!」
キャハ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ キャハ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
キャハ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ キャハ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
その先には空を覆い隠す雲霞ような黒い少女達
マミ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
背後の3人を覆い隠す程の無数の銃口が空に生まれる。
無数の銃口は火を吹き、消え、そして再び生み出されて火を吹く。
それは噴火する火口を思わせた。
だが嘲笑は止まない。
どがっ!! どがっ!! どがっ!! どがっ!!
時折、飛来するビルの一角が砲撃で撃ち落とされる。
マミ(拙いわね。詰められて来てる。でも!)
直撃を避けたビルは、4人が動ける範囲をじわりじわりと削っていく。
アハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ
一際大きな嘲笑とともに黒い群れが大蛇のように首を擡げ4人に襲いかかる。
まだだ
あと少し
ぎりぎりまで引き付けてっ!!
マミ「いくわよっ!!」
はらり
ワルプルギスに対峙する4人の内3人が、そしてワルプルギスが行き過ぎたビルの給水塔が絡み合ったリボンへと姿を変え解ける。
そして、給水塔の中から3人の少女が姿を現す。
193: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/17(木) 01:10:43.11 ID:Y5YhZBNG0
ブルー「属性玉《エレメーラオーブ》……性転換属性《トランスセクシャル》!!」
左腕の属性玉変換機構《エレメリーション》に新たなパーツが覆いかぶさる。<学校水着属性《スクールスイム》> <兎耳属性《ラビット》>
左腕に新たな輝きを携えた少女はビルの壁を一気に駆け下り一本の矢の様に指先から大地に飛び込む。
とぷん
そして少女は大地の深くへと姿を隠す。
深い。テイルギアを通してもかなりの熱気を感じる。大地を泳ぐ学校水着属性《スクールスイム》に空をも蹴る兎耳属性《ラビット》
2つの結晶が大地の中からの長距離の助走を可能とする。
ブルー「じゃあ後のフォローは任せたわよ。みんな」
ぐんっ
そして全力の第一歩が蹴り出された
レッド「フォーラーチェインっ!!」
結び目だけがすとんと落ちたかの様になめらかにツインテールが下結びに変わり、
ぼっ!!
2つの穂先が地に着く寸前、それは属性力の粒子を迸らせて一気に加速する。
レッド「うおおおおおおおおおっ!!!」
夜が侍らせる使い魔を足場にピンボールの様なめまぐるしい動きで赤い影は一気に夜の上空へと躍り出る。
レッド「ライザーチェインっ!!!」
放物線の頂点、身体と髪の位置が入れ替わる瞬間、ツインテールは上結びへと変わる。
ぼうっ!!!
全ての噴射口が天空に向かって炎をあげ、ツインテールが一対の流星へと変わる
どがっ!!
ワルプルギスの真下、大地から水の槍が天に逆巻く瀑布のように吹き上がる。
がきん!
動きを止めた世界で必殺の射線を妨げる可能性が次々と摘み取られていく。
そして、
レッド「ライジングっ!!」 ブルー「エグゼキュ――――――トっ!!」
天空よりはあらゆる絶望を焼き払う劫火の刃が、大地よりは生命の力を宿した濁流の槍が
レッド「ブレイザ――――――――――ぁぁぁっ!!!!」 ブルー「ウェイ――――――――――――ブっ!!!!」
一対の顎(あぎと)と化して絶望に牙を突き立てる。
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
それはこの夜、嘲笑する絶望があげる初めての悲鳴だった。
197: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/24(木) 03:06:40.12 ID:lx3MoVv30
びしっ!!!
ワルプルギスの頭頂から右脇腹にかけて大きな亀裂が走る。
マミ「効いてるっ!」
マミ「ティロ・ボレー!」
無数の弾丸がその亀裂をわずかにだが確実にこじ開けて行く。
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
悲鳴とも怒りともつかない叫びに呼応し、使い魔の群れが4匹の大蛇と化して少女を襲う。
ががががががががががががががががががががががががががががががが
ががががががががががががががががががががががががががががががが
本来、単発でしか発射できないマスケット銃が無数に産み出され、ガトリングガンを思わせる火力で使い魔達を塵へと変えて行く。
ぶおっ
使い魔たちが残した塵の雲の陰からゆっくりと4つのビルが現れる。
マミ「使い魔を目暗ましに!?それにこの軌道!!」
そして4つのビルは遥か上空でぶつかり瓦礫の雨と化して彼女に降り注いだ。
198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/24(木) 03:13:58.16 ID:lx3MoVv30
ほむら「巴さんっ!!」
かしゃん
左腕から乾いた音が響く。
まさか!!
世界を凍らせるはずの砂時計が今持ち主の心を凍りつかせる。
かしゃん かしゃん かしゃん かしゃん かしゃん かしゃん かしゃん かしゃん
駆け寄る彼女の左手からは乾いた音が響き続ける。
凍りついた様な冷たい時間の中、瓦礫の雨はその人を目掛けてゆっくりと降り注いでいく。
一緒に夜を越えるんでしょ!!
もう誰も欠けないって言ったじゃない!!
せっかくここまで一緒に来られたのに!!
ぱんっ!
足下に打ち込まれた弾丸から生み出されたリボンが彼女の足を絡め取る。
ごめんなさい。
倒れた視線の先でそういった様に見えたその人は瓦礫の雨に飲み込まれていった。
202: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/27(日) 06:32:18.38 ID:hb92683O0
土煙が晴れるとそこには瓦礫がうずたかい山を形作っていた。
ほむら「……巴……さん」
心の中で何かにひびが入る音がする。
ほむら「…………何よ……一緒に夜を越えるって言ったのに」
それは長い繰り返しの中作り上げてきた嘘と諦めを塗り固めた心の壁
ほむら「また自分で一番危ないことを引き受けて、また一番最初にいなくなるの」
けど何もかもが上手くいって来たこの時間は最初の願いを思い出させてしまった。
ほむら「……………今度こそ……………今度こそ一緒に明日に行けるって……………思ってたのに」
心に空いた穴から思い出が涙になって漏れ出していく。
だめだ!!私はこんなところでうずくまっていちゃいけない!!
私にはそんな資格なんてない。
私は救いを求める手を振り払って、崖に落ちようとする友達を見捨てて、一番大切な友達をこの手で殺してここにいるんだ。
私はあの子との約束を果たすまで絶対に立ち止まっちゃいけない。
そう。これはいつものことだ。
私の願いはまどかを護れる私になること。私の願いを叶えるためには立ち上がらなきゃいけないんだ。
心を凍らせて。足に力を込め………足………リボン
ほむら「……あんな時に……そんな暇があったら自分の身を守りなさいよ」
ほむら「うぅ……うう゛うっ、うっ、うわぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
……………………リボン?
203: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/27(日) 06:34:37.91 ID:hb92683O0
「まだ終わってねぇんだ。情けねぇ声出してんじゃねぇよ!!」
ほむら「えっ?」
眼前に出来た瓦礫の山の中心から巨大な三角錐がせり上がる。
……あれは槍?
それが光の粒子となって消えるとそこには
ほむら「巴さんっ!!」
マミ「………私、どうして?…………暁美さん…………泣いてるの?」
ほむら「っ!」
ざっ!!
涙を拭う少女の後ろにその人物は姿を表した。
側面に小さな羽根のついた黒いフルフェイス
フルフェイスの襟元から伸びる炎を宿したツインテール
燃える赤を思わせる服装に、胸部と上腕、そして膝より下を守る黒いプロテクター
そしてその人物は名乗りを上げる。
「仮面ツインテール参じ「佐倉さん?」
杏子「うぇいっ!?」
マミ「…………えっと、佐倉さんよね?」
杏子「か、仮面ツイ「佐倉杏子。一体どうしたのその格好?」
杏子「………」
黙り込むヘルメットの周囲に居た堪れない空気が漂った。
204: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/27(日) 06:40:44.22 ID:hb92683O0
杏子(一体どうなってんだ!?このヘルメット着けたら誰だか分からなくなるんじゃねぇのか?)
杏子(マミに気づかれない様にわざわざこの格好して来たのに、バレたらマヌケにも程があるんだろうが)
杏子(おい!牛女!牛女っ!!牛女っっ!!!一体どうなってやがるんだっ!!)
トゥアール(あっ、杏子さん、間に合ったんですね)
杏子(間に合ったじゃねぇだろ!!このヘルメット着けたら誰かわからなくなるんじゃないのかよ?)
トゥアール(いやぁ、そのぉ)
杏子(何だよっ!)
トゥアール(巴さんが杏子さんのことすごく気にしてたんでぇ……イマジンチャフ切っちゃいました)
杏子(おい、待てっ!?じゃあこのマヌケな格好があたしだってマミにバレバレなのか?)
トゥアール(マヌケって言うのはちょっと承服できませんけど……まぁ、そういうことになりますねぇ)
杏子(はぁぁぁぁぁっ!?)
マミ「佐倉さんどうしたのかしら?何か独りでぶつぶつ言ってるけど」
ほむら「……たぶんツインテイルズ絡みで何かあったんしょうね……頼りにはなるのだけど、あの人達と会話していると頭が痛くなることがあるもの」
マミ(………………そんなにおかしなこと言ってたかしら?)
トゥアール(もう、素直じゃありませんねぇ。えいっ!ぽちっとな)
ぽんっ!
軽い音とともに黒いプロテクターが弾けて宙を舞った。
210: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 22:54:20.33 ID:IN10jMGq0
前触れ無く飛び去った仮面から現れた顔に気遣う様な視線が注がれる。
杏子「あ、う、あっ//////////」
マミ「……えっと………その」
マミ「佐く「あ、あたし帰る!!//////////」
マミ「えっ!?」
杏子「と、とりあえずピンチは助けたし、義理は果たしたし、だからあとはお前らだけでやれ!!」
マミ「ちょ、ちょっと佐倉さん!」
杏子「あたしは帰るったら帰るんっっ!!!!??ってなんでリボン!!??」
ほむら「へっ?ちょっと!なんで私にまで!?」
有無を言わせずにリボンで引き寄せられた2人は2本の手でしっかりと抱き抱えられる。
杏子「えっ!?」
ほむら「ちょっと何!?」
伏せられた顔から小さな声が漏れる。
マミ「……暁美さん、心配かけてごめんなさい」
ほむら「え、ええ」
マミ「佐倉さん……助けてくれて本当にありがとう」
杏子「お、おう」
マミ「…………ぐすっ………ぅ、ぅ」
ほむら(……泣いてるのかしら?)
杏子(いや、そんな感じじゃあなさそうだけどな?)
マミ「………ぅ……ぅ……うふ……うふふ、あははははははっ」
211: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 23:00:11.85 ID:IN10jMGq0
ぎゅっ
2本の腕が2人を強く引き寄せる。
杏子「へっ?なんだぁ!?」
ちゅっ ちゅっ
ほむら「ちょっ!?//////////」
杏子「おいっ!?//////////」
マミ「2人ともあと少しよ!!越えるわよあいつを!みんなで!!」
杏子「お、おう」
ほむら「え、ええ」
マミ「じゃあ、2人とも行くわよっ!!私について来てちょうだいっ!!」
そこには頬を抑える2人が取り残された。
ほむら「……」
杏子「……」
ほむら「大丈夫かしら?あれって危なっかしい方の絶好調よね」
杏子「いや、絶好調の時は落差が大きいから目立つだけで、あいつは基本いつもどっか抜けてるんだぞ」
ほむら「…………ああ……そう言われたらそうかも知れないわね」
ほむら「けど、なんだかテンションが高すぎない?」
杏子「死にそうな目にあって気づいたら、泣くほど心配されてたり、勝手に出てった奴が助けに来てたり……まぁ、嬉しかったんだろうな」
杏子「……けど、いくら嬉しいからって舞い上がりすぎだろ……まったく世話の焼ける」
ほむら「……ほんとにね……行きましょう。こんなところで和んでる暇はないわ」
杏子「あぁ……いや、直ぐに追いかけるから先に行っててくれよ。ちょっと気合入れなおすわ」
ほむら「わかった……ありがとう、佐倉杏子。先に行ってるわよ」
杏子「ああ」
ふぅ。
大きく息をつくと少女は首筋に手を回した。
212: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 23:02:16.35 ID:IN10jMGq0
レッド「ぐあぁっ!!」
ブルー「レッドっ!!どうかしたの!?」
レッド「……今、どこかで貴重なツインテールが失なわれたんだ!!」
ブルー「はぁ?あんたこんな時に何言ってんのよ!?」
レッド「何言ってるって、何言ってるんだ!?俺はツインテールを守るために戦ってるんだぞ!!」
ブルー「目の前の敵に集中しなさいって言ってんの!敵の前で隙を作ってどうすんのよ?」
レッド「ツインテールだぞ!この世から貴重なツインテールが失われたんだぞ!!愛香にだってそれがどれだけ重大なことかわかるだろうっ!!」
ブルー「もうっ!わかったから目の前の敵に集中してちょうだいっ!!!」
216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 17:30:59.35 ID:wOMHfj/F0
杏子「ふむ」
ひとつに束ねられた髪が少女に凛とした空気を纏わせる。
杏子「やっぱ、こっちの方が落ち着くな」
「……よう、久しぶ……ねぇか」
杏子「ちっ!やっぱりまだ聞こえやがるのかよ。今立て込んでんだ、後にしてくれよ」
「ほう。今度ははっ……聞こえるぜ」
杏子「なんだ?あたしが言ってることわかんのか?」
「なるほ……今のお前のポニーテー……は一本芯が通っ……らこっ……も心が通るよ……なったんだな」
杏子「相変わらず訳分かんねぇこと言う奴だな。まぁ、聞こえるならそれで良いぜ。今忙しいんだ邪魔はすんな」
「待て、これだけ通じ……らいけるか」
ぼっ!
少女の持つ槍の穂先から、地面を踏む足元から炎が溢れる。
杏子「これは?」
「俺の力……片だ。何だかごつい奴とやり合う……いじゃねぇか。何……足しになるかも……ねぇ。使ってくれよ」
ごっ!
振るった穂先が炎の軌跡を描く。
ぼっ ぼっ!
踏みしめる炎が空を踏みしめる足場となる。
杏子「使い勝手は悪くねぇな。けど何でだ?無償の善意なんて胡散臭ぇことは言わないよな。お前、なんの思惑があるんだ?」
「いや、そっちに迷い込んだ3人が……知り合いでな。出来たらそれでそいつらを助け……ってくれねぇか?」
杏子「そういやお前そんなこと言ってたな」
杏子「いいぜ。あたしもそいつらには借りがある。きっちり頼まれてやる。じゃあ力は借りてくぜ」
ぼっ!
そして少女は一筋の流星のように嵐の中心に向かう。
「良いね。やっぱりポニー……ルは一本通った芯があ……こそだ。あ……なくっちゃな」
「しかし、繋が……やけに不安定……界だな。いったい何……るんだ?」
217: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 17:35:50.44 ID:wOMHfj/F0
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
マスケット銃が波打ち際の泡のように生まれて弾ける。
それは使い魔を引き裂き、夜の傷口を確実に抉っていく。
レッド「何だ?さっきまでとは火力が段違いだぞ!」
ブルー「火力もだけど何よあの命中精度!?」
ほむら「多分、もうすぐ我に返るか何かミスをすると思うからその時はフォローをお願い」
ごうんっ!!
使い魔が運んだタンクローリーが銃弾の壁にぶつかり炎の壁を産み出す。
きゃは! きゃははははははっ! きゃは! きゃははははははっ! きゃは! きゃははははははっ!
炎の壁を通りぬけ、全身に炎をまとった使い魔が少女に迫る。
ごうっ!!
炎の濁流が小さな火を飲み込む。
杏子「おい。また気ぃぬいてたのか?」
マミ「違うわよ。佐倉さんが来てるのわかってたからまかせたのよ」
杏子「けっ、こきやがれ」
マミ「けど、佐倉さん。今のは一体?」
杏子「ああ、なんか暑苦しい奴から借りたんだ。使い勝手は悪くねぇな」
マミ「なんか暑苦しいってそんな素性の知らない人を簡単に信用しちゃだめじゃない」
杏子「お前どこのおかんだよ?」
マミ「おかんって私はあなたが心配だから……」
杏子「……はぁ……まったく」
杏子「おい!ツインテイルズ!」
ブルー「何か用?」
杏子「フェニックスギルなんとかって奴はお前らの関係者で良いんだな?」
ブルー「そうよ。味方って訳じゃないけど信用出来る奴よ」
杏子「そうか。あたしは佐倉杏子だ。そいつからあんたらに力を貸してやってくれって頼まれたもんだ」
ブルー「そう。助かるわ。私はテイルブルーよろしくね。本名はこれが終わってからで良いかしら」
218: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 17:39:18.20 ID:wOMHfj/F0
杏子「いいぜ。とりあえずはあいつを倒し……………………」
レッド「……………」
杏子「……………」
レッド「……………」
杏子「……………なぁ、そっちのちっこいのは、なんで涙目でこっち見てひっ!!!!???」
杏子「い、今血の涙がっ!?…………や、やっぱ気のせいだよな」
レッド「……………」
杏子「だ、大丈夫か?このちっこいの?」
ブルー「あ~気にしないで。ちょっとした発作みたいなものだから」
杏子「発作?………病気なのか?」
ブルー「ごめん。紛らわしかったわね。こっちはテイルレッド。身体は健康そのものだから気にしないで」
杏子「身体は健康そのものって………あぁ、そういやあんたらはあいつの関係者なんだよな」
ブルー「…………そういう納得の仕方されるのはすごく嫌だなんだけど…………多分それが一番正しいんでしょうけど」
杏子「まぁ、気にすんなよ。あいつも暑苦しい事を除けば悪ぃ奴じゃなさそうだしな」
ブルー「そうね。どっちかと言えば正義の味方だし信用出来る奴なのは間違いないわ」
杏子「ってことらしいぜ。これに関しては特に心配しなくて良いんじゃねぇの」
マミ「……もう」
ほむら「あなた達!!ワルプルギスがまた動き出したわよ!!」
219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 17:41:04.51 ID:wOMHfj/F0
ごうっ
ワルプルギスの夜から6方向に槍が打ち出される。
レッド「グランドブレイザー!」
ブルー「エグゼキュートウェイブ!」
マミ「ティロ・ボレー!」
杏子「行けぇ!!」
がががががががががががががががががががががががががががががが
3本の槍は四散し、残り2本はその半ばを塵へと変えられる。
杏子「ったく油断も隙もねぇな」
マミ「けど6本中4本近くは使い魔になる前に消せたわね。これなら次が来る前に倒しきれるかも知れないわね」
レッド「そうだなこっちは戦力も増えたし、この調子なら何とかなりそうだな」
ブルー「そうね……………何か使い魔の動き何かさっきと違わない?」
ほむら「…………!?………まさか!………まどかっ!!」
マミ「待って暁美さん!!いったいどこに!?」
レッド「ほむらはどうしたんだ!?」
マミ「……わからない……けど………使い魔が街の人を狙ってる!?」
マミ「……いまさらどうして?…………まさか!?私達の戦力を分断するつもり?」
224: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/09(金) 02:06:38.23 ID:vXHqGtQs0
ブルー「トゥアール!!」
トゥアール(愛香さんどうしました?)
ブルー「使い魔が街を攻撃しだしたわ。それで三割くらいはそっちに向かったの!!」
トゥアール(使い魔が!?いったいどうして)
ブルー「詳しくは、わからないわ。ほむらがそっちに向かったけど気をつけて」
トゥアール(戦力を分断するつもりでしょうか?けど魔女にそんな知性があるとは)
ブルー「多分、知性とかじゃないと思うわ。あいつら私達の弱みや嫌がることを本能で感じてるんだと思う」
トゥアール(嫌がることを感じる?)
ブルー「ええ。さっきからの攻撃もなんかこうなったら嫌だなって感じの攻撃ばっかりなのよね」
ブルー「使い魔の動きが変わったのも私達の誰かの不安とかに反応したんじゃないかって気がするのよね?」
トゥアール(弱みに反応したってことですか。じゃあ、使い魔の動きが変わったのって)
ブルー「多分、こっちが弱みを実現したって感じだと思うわ」
ブルー「まぁ、知性だろうが直感だろうが、こっちはやらなきゃならないことをやるだけなんだけど」
ブルー「ねっ、リーダー」
マミ「はいっ!……レッドさん!暁美さんと私の3人で使い魔の掃討にあたって下さい」
レッド「わかった。街の人を放っておくわけにはいかないからな」
マミ「はい。それで暁美さんはこのまま避難所に向かった使い魔を受け持って貰います。そして私は北側に向かった使い魔を」
マミ「そしてレッドさんはワルプルギス周辺の使い魔の掃討をお願いします」
レッド「……なるほど。俺はワルプルギス周辺で使い魔を叩きながら隙を見て本体を叩けば良いんだな」
マミ「はい。使い魔と本体の双方が相手ですから負担は大きいですけど、機動力を考えるとレッドさんじゃないと務まりませんから」
レッド「わかった。確かに散らばった使い魔の掃討は射程持ちの方が向いてるだろうからな。そっちは任せた」
マミ「お願いします」
マミ「………………それから……それから」
225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/09(金) 02:19:00.82 ID:vXHqGtQs0
杏子「へっ。みなまで言うな。残りの二人であいつの相手すりゃ良いんだろ」
マミ「…………」
杏子「気にすんな。要は適材適所ってやつだろ」
杏子「まぁ、確かにあたしもブルーも飛び道具や機動力ってタイプじゃないしな」
ブルー「まぁ、そうね。それに一人ならきつそうだけど相棒が頼りになりそうだからなんとかなると思うわよ」
杏子「そうだな。得物も槍と槍で揃ってるし連携も取りやすいだろ」
マミ「……………二人とも……頼んだわよ」
ブルー「オッケー!」
杏子「辛気臭い顔してんじゃねぇよ。早く行かねぇとそっちの使い魔もあたしが貰うぜ」
マミ「…………そうね使い魔を手早く片付けて私がワルプルギスの夜を倒しちゃえば良いのよね」
杏子「そういうこった……さっ。無駄話してる場合じゃねぇだろ。行ってこいよ」
マミ「…………二人とも無理はしないで」
レッド「ライザーチェイン!」
マミ「っ!!?」
こわばった空気の横から爆発としか言えない加速で赤い人影がワルプルギスに飛びかかる。
レッド「グランドブレイザー!」
ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり
炎の剣が巨体に火花の線を描く。
レッド「やっぱりこいつは硬いな」
レッド「ブルー!俺は使い魔と本体の両方が担当だからな。必要になったら直ぐに連絡しろよ!」
レッド「じゃあ俺は行ってくる。任せたぞ!」
226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/09(金) 02:23:40.51 ID:vXHqGtQs0
マミ「……彼がいれば心配ないかもね。じゃあ私も行くわ…………二人とも。任せたわよ」
杏子「おうっ」
ブルー「ええ。そっちも気をつけて」
ブルー・杏子「「さてと」」
先程までとは比べ物にならない圧力の中2人は夜に向き直る。
杏子「なぁ、あのちっこいの小学生くらいだろ。けっこうやるじゃん………けど彼って誰だ?」
ブルー「ふふっ。そうね、これが終わったらけっこう面白いものが見られるかもね」
杏子「何がだ?」
ブルー「それは終わってからのお楽しみってことにしましょ。それより」
杏子「そうだな。狙うとしたら」
ブルー「ええ、顔から左脇腹に走ってる」
杏子「ああ。あの傷口を抉って真っ二つにしてやる」
そして紅蓮の炎が、全てを砕く濁流が夜へと襲いかかる。
赤と青、炎と水、魔法と科学、ポニーテールとツインテール、対照的な属性を持つ2人の夜への抗戦が始まった。
230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/12(月) 02:50:33.68 ID:AL7gHuFH0
まどかっ!!
使い魔が避難所に向かった時、心に過ぎったのはいつかの時間軸だった。
そう、少しだけみんなとの関係が良かったあの時間、イレギュラーな少女を中心に希望が見えたその直後、
死に行くあいつに胸を貫かれてあの子は命を落とした。
嫌だ!!あの時私が油断しなければ夜を越えられたかも知れなかったのに!
嫌だ!!もう夜明けがすぐそこに見えてるのに!
ががががががががががが ががががががががががが ががががががががががが
銃声が響かせて、押し寄せる使い魔の群に幾ばくかの穴を穿つ。
しかしその群れはそれ以上の物量を持って避難所に迫る。
いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!
少女は朝を目指して彷徨って来た。それは自分の無力さを思い知る惨めな行程だった。
助けたかったはずなのに、上手くいくはずだったのに、その力は素晴らしいものだったはずなのに
気がつけば大事だった仲間は目的の障害と成り果て、手にした力は呪いそのものだと知ってしまった。
それでも少女は最初の願いだけを胸に抱いてたった独りでその一ヶ月を彷徨い続けて来た。
そして残ったはずの最初の願いに「続けてさえいればいつか」という諦めと現実逃避の影が差し始めた頃、そのイレギュラーは現れた。
異世界から来という彼女(?)達は、少女の手から溢れるはずの大切なものをその手に救い、最初に目指した朝を思い出させてくれた。
今度こそまどかを、いやあの時願った朝に辿り着くことが出来る。
けれども少女はすでに知っている。希望の足元には常に絶望の影が絡みついていることを。
もし今回ワルプルギスを倒せないとすれば、あの子が契約しない限りそれは叶わないんじゃないだろうか?
もし今回夜を越えられなかったら次の周回で私はあの人達を諦められるんだろうか?
また繰り返したとして、こんな都合の良いイレギュラーが起こるんだろうか?
上手く行く程に、朝が近づく程に、背後にそれを壊す何かの影を感じてしまう。
希望と絶望の相転移
呪いを振りまいた張本人の言葉が今実感を伴って蘇る。
それでも少女は前に進む。
誰よりも夜の恐ろしさを知りながら。自らの足に諦めや怯えが絡みついていることを知りながら。
それでも捨てきれない希望を求めてただ前へ前へと。
それは彼女達が求めるものと一致していた。
231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/12(月) 02:53:56.52 ID:AL7gHuFH0
ビルと瓦礫の雨、使い魔の群れによる波状攻撃、そして時折襲いかかる無数の鬼火
跳び、躱し、弾き、隙を見て本体への攻撃を入れる。
しかし2人は高架道路の上をジリジリと後退させられていく。
それがあと数分も続けば2人は夜に呑み込まれていただろう。
しかし突如それは訪れた。先程と変わらない嵐の中、少しだけ、しかし確実に違う何かが。
杏子「おい、なんか攻撃が微温くなってねぇか?」
ブルー「あなたもそう思う?ちょっと前から圧力が弱くなってるわ」
杏子「あたしの勘違いじゃないみたいだな。けど何でだ?あのままだったら時間の問題ってくらいやばかったんだぞ」
杏子「何であいつはこの期に及んで手を抜いたんだ?」
ブルー「私達を弄んでるって風でもなさそうよね。でもさっきと何かが違う」
杏子「…………」
杏子「…………ひとつ思いついた。どうする?このまま戦って時間を稼ぐか?それともこいつが何考えてんのか確かめるか?」
ブルー「後の方で」
ブルー「私達ならこれくらいの攻撃は捌けるでしょ。だったらこいつが何を考えてるのかはっきりさせときましょう」
ブルー「こいつが次の使い魔を産み出す前に誰かが帰って来た時に少しでも情報は欲しいもの」
杏子「わかった。じゃあ、あの分岐だ!」
そしてワルプルギスの進行方向、2人の後ろに続く道路の分岐を指差す。
杏子「あれを右に行くぞ!それでこれからは出来るだけあいつに分かりやすい様に道路の右側に寄っててくれ!!」
ブルー「どうして?」
杏子「多分だけどな!!あいつはあたしらを相手にしてねぇ!」
ブルー「どういうこと?」
杏子「論より証拠だ!多分あいつは左に行く!ネタばらしはそん時だ」
ブルー「ほんとにあっちに行ったわね。しかも私達のこと置いてけ放りにして」
杏子「ああ。さっきまであいつはあたし達を呑み込もうとして本気で攻撃してやがった」
杏子「でもいつからかはわかんねぇけどあたし等じゃなくてあたし等の向こうを目指しだしたんだ」
杏子「あたし等は攻撃の標的から障害物に各下げされたから攻撃も微温くなったんだろうぜ」
ブルー「でもあっちって……避難所の方向!?何で!?いったいどうなってるのよ?」
ブルー「トゥアール!ワルプルギスがそっちに向かったわ!!トゥアール!!」
杏子「くそっ!なんもかんもは上手く行かねぇか。もういっぺん前に出るぞっ!」
232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/12(月) 03:03:03.35 ID:AL7gHuFH0
それは大地を見上げて漂っていた。
それはかつて希望を運び、いつか呪いを振り撒いた少女達の成れの果て。
それに知性はなく、自我と言えるものは長い年月に渡って吸収された少女達のそれと溶け合い呪いと絶望の結晶と成り果てていた。
知性も自我もない、それの行動原理はただ一つ。
不安に怯えながらも希望を抱き続ける魂に縋りつくこと。絶望に堕ちた自らの救済を願って。
けれどそれが近づけば纏った呪いは不安を具現化し、その希望の持ち主を絶望へと堕とし自らの内に取り込む。
そして再び救いを求めて次の希望を求め彷徨う。
それは産まれ出たその時から希望を求め絶望を取り込みいつしか夜の名前を冠された。
それが時間にも場所にも何にも縛られなくなり、己の絶望を越える希望が見えなくなった頃、それは時間と空間の狭間で活動を停止した。
それが何時だったのか、何故だったのか理由はわからない。それは希望の欠片を見つけた。
そこにはなく、その時には産まれもしていなかった小さな欠片を。
それでも希望を求めるそれはその欠片に惹かれそこに現れた。
その時、そこには何もなかった。しかしそこには確かに小さな何かが育っていった。
それは歓喜した。それを救済し得る希望が芽吹いたことを。
そして、その希望を持つ者を自らの内に招き入れることを。
そしてそれはついに見つけた。
自らを救いえる程の希望の持ち主を。自らがもたらした絶望に抗いながらも希望を抱き続ける魂を。
彼女達はそれに引かれそこを目指した。
235: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/17(土) 00:26:46.95 ID:ZKWpp0Z00
炎を纏った槍が使い魔と鬼火を無へと返す。
杏子「だあぁ~っ!くそっ!!全っ然止まりやがらねぇ!」
そして濁流の槍が押し寄せるビルや瓦礫をわずかに押し止め2人が生き残る道を切り開く。
ブルー「ビルやら瓦礫の狙いが嫌らしくなって来てるわ。このままだったらいずれ捕まりそうね」
杏子「攻撃は最大の防御って言うけどよっ!!」
魔女に走る炎の奔流が風の盾の前に霧散する。
ブルー「あいつは届きそうで届かない所からこっちを攻撃して来ると」
杏子「で、どうする?」
ブルー「あそこに攻撃が届かないわけじゃないんだけどね」
ブルー「槍を投げると後が続かないし、別の大技もあるんだけど効かなかったらこれ以上は戦えなくなりそうなよね」
ブルー「イチかバチかに賭けるのはかまわないけどある程度の勝算は欲しいわよね」
杏子「あんたあっちのちっこいのみたいに飛べないのか?」
ブルー「飛べるわよ。けどこの嵐の中、あいつや使い魔の攻撃を躱して本体まで近づくのは無理ね」
ブルー「そっちはどう?あいつを地面に引き寄せるか、こっちがあいつに近づく方法はないの?」
杏子「………あいつの首に縄をかけるくらいは出来るけどな。でもその先が続かねぇ」
ブルー「縄をかけるって?」
杏子「ん?ああ。よっと!!」
じゃりん!ごうっ!!!
多節槍と化した槍が炎の鞭となって使い魔の群れを焼き払う。
杏子「こういうことだ。こいつをあいつの首に引っ掛けるくらいは出来るんだけどな」
杏子「けど引き寄せるには力が足りないし、これを伝ってあいつのところにたどり着くにはちょっと時間がかかり過ぎる」
ブルー「それで攻撃するのは?」
杏子「借り物の火があるからな。それなりには効くんだろうけど一撃でなんとか出来なきゃ、射程の外に逃げられた後にやられるだけだろうな」
ブルー「となると遠距離からの攻撃であいつを何とかしなきゃならないってことか」
ブルー「トゥアール!!聞いてる?ちょっと手詰まりぽいのよね。何か良い作戦思いつかない!?」
236: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/17(土) 00:35:20.86 ID:ZKWpp0Z00
トゥアール(聞いてましたよ愛香さん)
杏子「あ~この牛女!さっきはよくもやりやがったな!!」
トゥアール(あぁ、杏子さん。さっきはどうもすみませんでしたね。あっはっはは)
杏子「てめっ!欠片も悪いと思ってねぇだろっ!!」
トゥアール(いやぁ、人間素直が一番ですよぉ)
杏子「だあぁぁ、ムカつくっ!!あとで絶対落としまえつけてやるからな!!」
ブルー「ちょっとそういうのは後回しにしてちょうだい!トゥアールどう?」
トゥアール(……そうですね…………杏子さん、いくつか質問して良いですか?)
・
・
・
トゥアール(それではそういう段取りでお願いします)
ブルー「……そんなんで大丈夫なの?」
トゥアール(ええ。なんだかんだ言ってワルプルギスが受けたダメージは小さくありません)
トゥアール(正直、今ならほむらさんのミサイルの方が効果的だったかも知れませんが)
トゥアール(けどお二人の組み合せは思った以上に相性が良かったみたいです。これなら最小限のリスクでミサイル並みの効果を望めると思います)
杏子「……ふうん…………なぁ、あたしにはとっておきってやつがあるんだけどな」
杏子「さっき、お前らのコンビネーション見てたけどあれくらいの威力は出せると思うんだ」
杏子「ただちょっと隙がでかくてな。あんた当てる算段組めないか?」
トゥアール(…………今回の攻撃が効かなかったら考えさせて貰います……ただ一つだけ)
トゥアール(ワルプルギスの夜は本当に強大な敵です。でも私が本当に勝ちたいのはそれじゃないんです)
杏子「はぁ?なんのことだ?」
トゥアール(杏子さんにはワルプルギスの後にこそ協力して欲しいんです。だから捨て身みたいなリスクの高い方法だったらお断りです)
杏子「………」
トゥアール(もっとも今回の攻撃が決まればこれで終わりです。けど、それもこれも杏子さんが頼りです。どっちも期待してますからね)
トゥアール(………杏子さんの作戦は私のが失敗した時のとっておきってことでよろしいですか?)
杏子「………ちっ!!……フェニックス何とかもお前らも訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇよ」
杏子「勘違いすんな。あたしは他人のために体張るほどお人好しじゃねぇよ」
トゥアール(ええ。存じています。巴さんに杏子さんのことは色々お聞きしましたからね)
トゥアール(ですから杏子さん。どちらも頼りにさせて頂きますね。それじゃ御武運を)
238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/17(土) 00:58:31.10 ID:ZKWpp0Z00
杏子「……ちぇっ、喰えねぇ奴だな。あんたの相棒」
ブルー「そうでしょ。ほんとに腹立つくらい喰えない奴なのよね」
杏子「……ったく……あたしはあんたの攻撃に合わせてギリギリの距離から攻撃する。タイミングは全部そっちに任せるぜ」
ブルー「ええ。お膳立てはこっちでするわ。とどめは任せたわよ」
杏子「まぁ、あれが何でとどめになるのかはわからねぇけど、言われた作戦はきっちりこなすさ」
杏子「まかせたぜ。相棒!」
ブルー「こっちこそ頼りにしてるわよ。相棒!」
赤い髪の少女が踵を返し夜に向き合うと同時に青い髪の少女が大きく後ろに飛び退る。
杏子「行くぜっ!でいりゃあああああああああああああああ!!」
ごうんっ
撃ち出された炎の刃が風の盾に触れると同時に大爆発を起こす。
それは夜からわずかな時間を削り出す。
ブルー「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
少女が掲げて廻す槍が、彼女の頭上に竜巻の様な水の塊を作り出す。
ブルー「オッケーよ」
杏子「おうっ!!」
合図と共に赤い髪の少女は傍らのビルに向かって駆け出す。
ブルー「エグゼキューーーート!!」 「ウェイーーーーーーーーーーーーーブっ」
逆巻く水の塊が風の盾を突き抜けてワルプルギスの本体に直撃する。
夜は槍の一撃で後退を余儀なくされるが、槍は呪いの結晶を傷つけることは能わない。
アハッ、アハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ
夜は打ち砕かれた水の槍をその身に纏わせ嘲笑と共に再び前進を始める。
239: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/17(土) 01:07:32.39 ID:ZKWpp0Z00
伸縮自在の槍を駆使してビルの上にたどり着いた少女が槍を大上段に振りかぶる。
杏子「いくぜっ!!」
少女の叫びとともに水の槍が掻き消える。
杏子「でいゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
振り抜かれた槍から撃ち出された穂先が分裂しながら夜へと迫る。
がしっ!!! がしっ!!! がしっ!!! がしっ!!! がしっ!!! がしっ!!! がしっ!!!
穂先は違わず夜の傷口を縫いとめる様に突き刺さる。そして
杏子「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ごうっ
穂先から一気に噴き上がる炎が傷口に刷り込まれた水を一瞬で沸点まで引き上げる。
びしっ
それは水蒸気の楔に変わって夜の傷口をこじ開ける。
ギギッギギギギギギギィィィッィィィィィッィイッィイィィィイィィィィィx
夜が奏でる不協和音とともに、風が、使い魔が、炎が一瞬凍りつく。
レッド「使い魔の動きが止まった!?行けるかっ!!フォーラーチェインっ!!!」
レッド「でいりゃあああああああああああああああ!!」
大気の壁に穴を開け、赤い影がピンボールのように使い魔の隙間を跳ね回る。
ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ ぼっ
時間差で使い魔が次々と炎に包まれて行く。
レッド「よしっ!トゥアール、今からブルー達のフォローに入る!!」
トゥアール(総司様!ナイスタイミングです。愛香さん達の攻撃が決まったらおっきいのを叩き込んで下さい!)
レッド「おうっ!」
240: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/17(土) 01:12:46.53 ID:ZKWpp0Z00
どしゅ
再び水の槍が夜の傷口を抉る。
杏子「追撃かよ。まったく容赦ねぇ」
杏子「なっと!!」
再び生み出された槍がしなやかな曲線が描くバネによって一直線に傷口に吸い込まれる。
ばしゅっ!!!!!
傷口を水蒸気の爆発がこじ開け、槍から噴き出す炎が傷口を焼き払う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!
悲鳴にならない声が魔女の口から響き渡る。そして、
ごがっ!
どうっ
水と炎により分断された魔女の半身は轟音とともに地面へと突き刺ささる。
杏子「よしっ!」
レッド「2人とも!待たせなたっ!!」
ブルー「レッドっ!!」
杏子「ちっこいのっ!美味しいところに来やがったな」
トゥアール(総司様!やっちゃって下さい!)
レッド「ああ。行っくぜぇーーーーっ!」
レッド「ライジングっ!!」
トゥアール「よしっ!!これで終わりです」
さやか「やった!」
キュゥべえ「ツインテイルズの力がこれほどとはね…………でも残念だよ。これだけ発達した文明が無に帰するなんて」
トゥアール「………………えっ?……キュゥべえちゃん、一体何を」
きしゅぃん
夜を切り裂くはずの刃はいつの間にか張り巡らされた光のカーテンに阻まれてその動きを止めた。
245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/18(日) 01:38:08.63 ID:Bk5FHYz80
ほむら「……………はぁ……………ごほっ……………はぁ………ふふっ………後のことを考えずにやったらなんとかなるものね」
ほむら「……………ごほっ………まぁ、これで手持ちの武器もほとんどなくなったけど」
ほむら「………けどあいつはみんながなんとかしてくれる」
遠目にビルの谷間に浮かぶ魔女が炎でその身を引き裂かれる光景が映る。
ほむら「…………まどか……………これでやっとあなたとの約束を果たせる」
半身を失った魔女に炎の大剣が迫る。
ほむら「………ありがとう………みんな…………これで私は」
ほむら「っ!!?」
全てを終わらせるはずの一撃がなんの前触れもなく動きを止める。。
何!?いったい!?こっち!!?危ないっ!!
置き去りにされた思考と、辛うじて現実に追いすがる身体が弾き飛ばされた少女の前に割って入る。
ほむら「くっ!!あぁっ!!!」
少女とビルの間に割って入った魔力の障壁が単純な物理の力に押しつぶされる。
ほむら「ごふっ!」
ほむら「…………いったい、何が?」
246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/18(日) 01:48:42.93 ID:Bk5FHYz80
ブルー「総司っ!!!!」
吹き飛ばされる人影が2人の少女を通過した瞬間、それを中心に広がった不可視の衝撃波が2人を弾き飛ばす。
ブルー「きゃっ!!」
杏子「ぐっ!いけるかっ!!」
赤い髪の少女の背後からハーリキンチェックの網が広がる。
びっ、びり、びりびりびりっ
網は己を犠牲に主と相棒を辛うじて守りきる。
杏子「ぐっ!無事か!!」
ブルー「ごめん!気を取られた。助かったわ」
ぎりっ ぎりっ ぎりっ ぎぎっ ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ
階段状に重なる3つの歯車が上段からゆっくりと逆に回りだす。
ブルー「何っ!」
ごうんっ
上面の歯車と大地を見上げる魔女の身体が巨大な歯車吸い込まれ、ワルプルギスの夜と呼ばれたそれは一枚の円盤に姿を変える。
杏子「……いったい何が起こってるんだ?」
ぎりっ ぎりぎりっ ぎりっ ぎりぎりっ
軋む歯車の上面から純白の衣に装いを変えた魔女がゆっくりと姿を現す。
ブルー「まだ続きがあるみたいね」
杏子「あぁ、けどあの姿」
半身を失いながらも残された右手を口元に天を仰ぐその姿は祈りを捧げる様だった。
247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/18(日) 01:52:35.98 ID:Bk5FHYz80
マミ「何?あれがワルプルギスの夜?」
杏子「マミっ!?」
マミ「遅くなっちゃってごめんなさい。突然使い魔が動きを止めたから片付けてこっちに来たんだけど」
マミ「弾き飛ばされたのレッドさんじゃないの!?」
杏子「そうだ。あのちっこい奴が!」
ブルー「……総司」
マミ「ブルーさんっ。レッドさんの所に行ってあげて下さい。あれはしばらく動きそうにないし、レッドさんが心配です」
ブルー「……でも」
マミ「大丈夫です。いざとなったら助けを呼びます。それより早く行ってあげて下さい」
ブルー「………ごめん!恩に着るわ」
杏子「おい。なんか考えがあるのか?」
マミ「……そうね、その前に」
ぱしゅん!
びぎっ!!
生み出されたマスケット銃が火を吹き、そして跳ね返された弾丸によって打ち砕かれる。
杏子「……おい、今のって?」
マミ「レッドさんが吹き飛ばされたのを見てそうじゃないかと思ったんだけど」
マミ「原理はわからないけどあの光の膜に触れると正反対の向きに反射されちゃうみたいね」
杏子「おい、そんなのどうすんだよ!?」
マミ「………あれを放っておく訳には行かないけど……迂闊な攻撃も出来そうにないわね」
251: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/21(水) 01:34:20.43 ID:YzFGR/z/0
トゥアール「………キュゥべえちゃん……あれはいったい何なんです?」
キュゥべえ「ワルプルギスの夜が本気を出したってところかな」
トゥアール「本気?」
キュゥべえ「彼女についてはっきりとしたことは僕にもわからない」
キュゥべえ「けどこれから起こることは知ってるよ。過去に3回ほど見たことがあるからね」
トゥアール「……これからどうなるって言うんですか?」
キュゥべえ「これから彼女は祈りを捧げる。そして祈りが終われば彼女は再び動き始める」
トゥアール「……それで?」
キュゥべえ「それで終わりだよ。動き始めた彼女は地表の全てをひっくり返すまで止まらない」
まどか「そんなことになったら!!」
キュゥべえ「あぁ、別に人類が滅亡するわけじゃないよ。魔法少女の祈りによって繁栄した数が間引かれるくらいに考えれば良いよ」
キュゥべえ「現在の人口を基準にすればおそらく数万分の1くらいにまでは減少するんじゃないかな」
キュゥべえ「そして残った人類がまた僕達と契約して新しい文明を築くことになるだろう」
キュゥべえ「そうやって人類は何度も文明を滅ぼし創り出してきたんだよ」
さやか「何が人類がよ。あんたがやってることでしょっ!!」
キュゥべえ「違うよ。僕は君達の希望を叶えてきただけだよ」
キュゥべえ「そして彼女達が積み重ねてきた希望が人類の文明をここまで発展させて来んだ」
キュゥべえ「けどどんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる」
キュゥべえ「やがてそこから災厄が生じるのは当然の節理だ」
キュゥべえ「彼女達の希望によって積み重ねられた文明が彼女達が生み出した歪みによって滅ぼされるのは仕方ないんじゃないかな?」
さやか「ふざけないでっ!!なんで希望が叶ったらって、その分私達が不幸にならなきゃならないのよ」
キュゥべえ「別に不幸にならなければならない訳じゃないよ。僕達のやり方では叶った希望にはそれに見合う対価が必要なだけさ」
キュゥべえ「それが受け入れられないのなら僕達のシステムを利用しなければ良いんだよ」
さやか「あんたっ!!」
キュゥべえ「この話はこれまでにしようよ美樹さやか。もう少しで彼女の祈りが終わる」
キュゥべえ「それまでにマミ達がワルプルギスを倒さなければ、ここを中心に半径数キロは宙に巻き上げられて何も残らない」
キュゥべえ「そうすれば君達も君達の大切なものも全てが無に帰することになるだろう」
まどか・さやか「「!!」」
キュゥべえ「でも、まだ全てが終わったわけじゃない。」
キュゥべえ「まどか。君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい」
キュゥべえ「図らずも暁美ほむらが君に与えた、その為の力が君には備わっているんだから」
まどか「………その為の力」
キュウべえ「そうだよ。だから僕と契約して、魔法少女になってよ!」
252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/21(水) 01:39:27.10 ID:YzFGR/z/0
まどか・さやか「「……」」
トゥアール「…………キュゥべえちゃん……魔女化を防ぐ方法はあるんですか?」
キュゥべえ「あるよ。ソウルジェムが濁り切る前にソウルジェムを砕けば良いんだよ」
さやか「……あんた……そんなことしたら」
キュゥべえ「そうだね。ソウルジェムは魔法少女の魂だ。砕けば当然その魔法少女は命を落とすことになるだろね」
さやか「あんた、わかっててそんなことが言えるの!!」
キュゥべえ「でもそうすればまどかは自分が護りたいものを護れるだろう?君だってまどかが契約すれば命も大事なものも助かるんだよ」
キュゥべえ「美樹さやか。それでも君はまどかに契約すべきじゃないと言えるのかい?」
さやか「……っ!」
キュゥべえ「僕達は君達に選択肢を示すだけだよ。あとは君達が決めれば良いことだよ」
キュゥべえ「どうする、まどか?」
まどか「…………私は」
ブルー「あんたって本っ当にえげつないわね」
さやか「愛香さんっ!!」
空から降り立った人影の後からリボンに包まれた2人がゆっくりと地面に下ろされる
さやか「ほむらっ!?レッドさんっ!?」
ブルー「トゥアール2人をお願い!そんなに大きなケガはないと思うんだけど呼びかけても返事がないの!」
トゥアール「っ!?はいっ!!」
トゥアール「……これは………巴さん!応答してください巴さん!!」
マミ(トゥアールさん。何かあったんですか?)
トゥアール「総司様と暁美さんが負傷しました。大きな傷は見当たりませんがお二人とも意識がなくて」
トゥアール「確か巴さんは治療の魔法が使えるって言ってましたよね!お願いです。すぐに戻ってきてください!!」
杏子(おい、マミ!行ってやれ。こいつが動き出したらあたしが少しでも時間を稼ぐ!!)
マミ(…………いいえ。佐倉さんも一緒に来て頂戴)
杏子(こいつをほっとく気かよ!)
マミ(ええ。現状で私達があれに出来ることは何もないわ。それならあの2人を助ける為に全力を注ぎましょう)
杏子(……………わかった!行くぞ!)
マミ(ええ)
マミ(トゥアールさん。今からすぐそちらに向かいます!!それまで2人のことをお願いします!)
257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/25(日) 02:04:30.58 ID:2jb4Cq+P0
ブルー「トゥアール。2人を看ながら聞いてちょうだい。あのバリアみたいなやつ私と巴さん達とでなんとか出来ると思う」
トゥアール「わかりません。でも総司様の状態を考えると正面から破るのは難しいと」
ブルー「じゃあ、あいつが動き出す前にあれを何とかする方法思いつきそう?」
トゥアール「…………自信はありません……おそらく間に合わないかと」
ブルー「……そっか……じゃあ最後の手段ね」
トゥアール「………愛香さん、まさか!?」
問いかけに答えず少女はそれに声をかける。
ブルー「キュゥべえ、聞きたいことがあるの」
キュゥべえ「なんだい?」
ブルー「私があいつを倒したいって願って契約したらあいつを倒せる?」
キュゥべえ「答えは『わからない』だね」
キュゥべえ「過去に君と同じ祈りを捧げた少女がいたけど、その願いはワルプルギスの夜には届かなかった」
キュゥべえ「君の素質はけっして低くはないけどワルプルギスの夜に打ち勝てるという保証は出来ない」
ブルー「そう。鹿目さんなら可能なの?」
キュゥべえ「そうだよ。彼女の素質はこれまでに契約した魔法少女のすべてを合わせた総量にすら匹敵する」
キュゥべえ「彼女が願えば間違いなくワルプルギスの夜を打ち倒せるだろうね」
ブルー「それにはワルプルギスの夜以上の魔女になるってのが付いてくるんでしょ」
キュゥべえ「遅かれ早かれね」
ブルー「………あんたって本気でムカつくわね」
キュゥべえ「時間がなくなるよ。聞きたいことがあるなら早く聞いておくべきだと思うけどね」
ブルー「…………あと二つ聞かせて」
キュゥべえ「なんだい?」
ブルー「例えば誰かのソウルジェムを絶対に濁らない様にするって願いは叶えられる?」
キュゥべえ「なるほどね。質問の答えはイエスだ。けど君の思惑通りの結果になるかはわからないよ」
ブルー「私の思惑ってどういうことを言ってるの?」
キュゥべえ「君のもう一つの質問は『君の願いで鹿目まどかを生き返らせることが出来るか』じゃないかな?」
ブルー「………当たりよ」
キュゥべえ「やっぱりね。まず質問の答えとしてはどちらもイエスだ」
キュゥべえ「ただどちらの願いも多少の問題が発生する可能性は否定出来ないよ」
258: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/25(日) 02:08:41.00 ID:2jb4Cq+P0
ブルー「問題って?」
キュゥべえ「そうだね。前者の願いなら誰かのソウルジェムの濁りは、別の誰かが引き受けることになるだろう。これは君も望まないだろう?」
ブルー「まぁね。それでもうひとつの願いの問題点は?」
キュゥべえ「鹿目まどかを人間として生き返らせることは可能だ。ただ生き返ったまどかの素質は失われる可能性は高いね」
ブルー「私としては何の問題もないわよ。それで困るのはあんただけじゃないの?」
キュゥべえ「それは否定はしないよ。ただその選択自体が君にとってかなり精神的な負荷になるんじゃないかな?」
ブルー「へぇ、心配でもしてるつもり?」
キュゥべえ「まさか。君がそれを選ぶのなら僕が口出しする様なことじゃないよ」
ブルー「そういうことよ」
そして空色の髪の少女は桜色の髪の少女に向き直った。
ブルー「ごめんなさい。大口叩いてたけど私達じゃあいつを倒し切れないみたい」
ブルー「だからあなたの願いであいつを倒して欲しいの」
まどか「……」
ブルー「それでもう一つ。魔女化ってやつに全力で耐えて欲しいの。時間さえあればトゥアールならなんとか出来ると思うから」
ブルー「……けど、どうしても耐えられない時は」
ブルー「………………私があなたのソウルジェムを砕く」
ブルー「そして私が契約して必ずあなたを生き返らせる。だからお願い。あいつを倒して」
トゥアール「愛香さんっ!そんなことをしたら」
ブルー「でも、そうしなきゃ私達は全滅するんでしょ」
ブルー「私は今死ぬのも嫌だし、あいつの思い通りのどっちも嫌なの」
ブルー「だったら今のところこれしか方法がないみたいでしょ」
トゥアール「でも契約したら魂が、それに魔法少女は」
ブルー「あ~それね。私、魔女化云々が解決するまで元の世界には戻らないつもりだから」
ブルー「まっ、そのへんはあんたが何とかしてくれるんでしょ。プレッシャーかけて悪いけど頼りにしてるわよ」
トゥアール「愛香さんっ!!」
264: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/27(火) 22:40:59.82 ID:ju7IcxVC0
マミ「トゥアールさん!!2人は?」
トゥアール「巴さん!」
ブルー「来てくれたみたいね。じゃあトゥアール。その2人のことお願いね」
マミ「……これって…………待ってて2人とも」
右手から伸びるリボンが2人の下に魔方陣を描く
マミ「佐倉さん、そっちの端から魔力を注ぎ込んで。これなら2人同時に回復できるわ」
杏子「おい、マミ!!もう良い。お前は休んでろ。もう限界のはずだ」
マミ「そんなことは言ってられないわ。2人は放っておけないし、ワルプルギスの夜はまだ動いてるんだから」
杏子「お前に倒れられても困るんだよ。ここはあたしに任せろ」
マミ「佐倉さんは回復が苦手でしょ。私が休んでる暇はないの」
杏子「だからってお前が倒れても意味ねぇんだよ!」
トゥアール「待ってください!大丈夫です!ほむらさんからこれを預かってます」
杏子「グリーフシードかっ!」
トゥアール「はい。調べてくれって預かってたんですけど使えますよね」
マミ「助かるわ。ちょうど2個あるし。佐倉さんも使って」
杏子「いや、あたしは良い。途中参加だし、あいつから借りてる火のおかげでそんなに消耗してないんだ」
杏子「おい牛女!それは2個ともマミに使ってやってくれ」
マミ「佐倉さんっ!!」
杏子「……ほんとにそこまで消耗はしてねぇ。どっちにしてもこの2人をなんとかしなきゃならないんだ」
杏子「回復はお前の方が得意だろ。たのむから使ってくれ」
マミ「…………わかったわ」
265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/27(火) 22:55:26.70 ID:ju7IcxVC0
ブルー「……あっちは、なんとかなりそうね」
まどか「愛香さん」
ブルー「なに?どうかした?」
まどか「……愛香さんは別の世界の人ですよね……私のために契約なんてしなくても良いんじゃないですか?」
ブルー「………かもね。けど私は誰かが犠牲にならなきゃならないこの世界に、それを何とか出来ない自分自身にムカついてるの」
ブルー「だからそれを何とか出来るなら自分が出来ることは全部やっておきたいのよ」
まどか「でも、もし私が魔女になりそうになったら…………誰かを傷つけるくらいなら私が自分でソウルジェムを砕きます」
まどか「だから愛香さんが契約とかしなくても良いんです。愛香さん達はたまたまここに来ちゃっただけなのにそんなことしなくても」
ブルー「やめてよ!友達を犠牲して自分が助かるなんて一生もののトラウマになっちゃうわよ。そんなの頼まれたってゴメンよ」
ブルー「それにね。私はあなたが魔女化に耐えて、トゥアールが魔女化を何とかする方法を考えてめでたしめでたしってのを期待してるの」
ブルー「私のはあくまで保険よ。けど、こんな重い話一人で背負う必用ないでしょ。それだけよ」
まどか「……愛香さん………ありがとうございます。私、絶対に耐えてみせます。だから」
ブルー「ええ、期待してるわ。でも、もしも………もしも万一………………ううん。あなたなら絶対に出来るから」
まどか「はいっ!!ありがとうございます」
キュゥべえ「話は纏まったかい?」
さやか「……ちくしょう!」
まどか「大丈夫だよさやかちゃん。みんながこれだけ頑張ったんだもん。絶対に上手く行くよ」
キュゥべえ「鹿目まどか」
キュゥべえ「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと、叶えられるだろう」
キュゥべえ「さあ、君は――その魂を代価にして何を願う?」
まどか「…………私は、私は」
まどか「…………………キュゥべえ…………まだ時間あるかな?」
269: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:23:55.23 ID:i9ou9aWf0
キュゥべえ「彼女の様子を見る限りあと少しくらいはあるんじゃないかな?保証は出来ないけどね」
キュゥべえ「でも何かすることでもあるのかい?」
まどか「うん。ちょっとね」
少女は踵を返すと横たわる1人の少女の手を握る。
まどか「観束さん。ありがとうございました。こんなになるまで私達を護ってくれて」
まどか「魔女のことは観束さん達には関係ないのに…………ごめんなさい。そして本当にありがとうございます」
まどか「あとは私に任せてください。観束さんがそうしてくれたみたいに………今度は私がみんなを護ります」
そして握った手をゆっくりと下ろすと隣に横たわる少女の手を取る。
まどか「…………ほむらちゃん………さやかちゃんから全部聞いたよ」
まどか「ほむらちゃんがずっと私を護ってくれたことも………魔法少女のことも」
まどか「私、ほむらちゃんが転校してきた日、ほむらちゃんの夢を見たんだ」
まどか「少し思い出したの。あの時ほむらちゃんは私を護って戦ってくれてた。あれはワルプルギスの夜だったんだね」
まどか「…………あの時も……そして今も……ほむらちゃんはこんなになるまでずっと私を護ってくれてたんだ」
まどか「…………ありがとう、ほむらちゃん………今度は………私にほむらちゃんを護らせて」
ぎゅっ
握り締めた手にぽつりと熱い雫がこぼれる。
ほむら「…………だ…………め……………魔法…………少…………に……………………な………………ちゃ」
まどか「ほむらちゃん!!」
こふっ
咳き込む口から赤いものがこぼれる。
まどか「ほむらちゃん!!マミさん!ほむらちゃんが!!ほむらちゃんが!!」
マミ「暁美さんっ!!」
マミ「肺に肋骨が刺さってるのかもしれない。佐倉さんは胸に力を集中してっ!」
270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:32:12.02 ID:i9ou9aWf0
ほむら「…………だ………め……」
まどか「………ほむらちゃん。喋らないで」
ほむら「…………だ…め…ま…か」
まどか「ごめん、ほむらちゃん…………もう私が契約しないと何もかもが終わっちゃうの」
まどか「ほむらちゃん………ほむらちゃんが私のことを護ってくれてたの全部さやかちゃんに聞いたよ………今まで本当にありがとう」
ほむら「…………まど………か」
まどか「それから私が魔法少女になったらワルプルギスよりもっと大変なことになることも」
まどか「…………でも、私諦められないの。パパもママもタツヤも」
まどか「ほむらちゃんやさやかちゃん、マミさんも観束さんも愛香さんも、私の知ってるみんなのことも」
まどか「私、ほむらちゃんのこと裏切っちゃうのかもしれない………でも、私はみんなのこと諦めきれないの」
ほむら「……………う、うっ…………う、うぅ、うぅっ」
まどか「だから、ごめん………私のわがまま許して欲しいな」
ほむら「………う、うっ………まど…か」
そして少女は立ち上がる。
まどか(私が契約しなきゃみんながワルプルギスの夜に殺されてしまう)
まどか(けど私が魔法少女になったらほむらちゃんはまた時間を遡っちゃうかも知れない)
まどか(そして私のソウルジェムが濁っちゃったら……地球を滅ぼす魔女になるか、愛香さんが魔法少女になってしまう)
まどか(そしてもしトゥアールさんが間に合わなければみんないつか魔女になってしまう)
まどか(………私やっぱりそんなの嫌だ。)
まどか(でも、もし私が過去も未来も全部の魔女を生まれてこないようにしたら、こんなこと全部なくしちゃえるのかな?)
まどか(………でもそんな願いを叶えたら私はどうなっちゃうんだろう?……けど、それでみんなを助けられるのなら私は、私は)
まどか「………………キュゥべえ。私は――――」
そして少女は光に包まれた。
275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:14:22.93 ID:QzCB6Mbv0
………心に広がる暗いものが目の前をゆっくりと暗く閉ざしていく
何もない白い闇の中で、いつからかそこにいた黒い服を着た私が私に問いかける
ねぇ、あなたはどうしてそんな顔をしているの?あの子が私の願いを裏切って契約するから?
違う。
あの子は誰よりも強くて優しい子だもの。誰かの命が失われそうな時に放っておけるわけがない。
あの子が契約するのは、私があの子をそんな状況に追い込んでしまったから。あの子を裏切ったのは私なの。
健気ね。じゃあ、魔女化を防ぐために命を投げ出すあの子が見ていられないから?
違う………いや、違わないのかもしれない。
あの子が命を落とすところなんて二度と見たくないもの。
でもやっぱり違う。私はあの子に助けられて、あの子をこの手で殺してここにいる。
例えどんな辛いことがあっても必ずあの子を救う。それが私の願い。私の誓い。そして私への罰。
だから、絶望なんて絶対に出来ない。どんなに辛いことがあっても私はあの子を救ってみせる。
……ふふっ。やっぱり私ね。けど気付いちゃったんでしょ
……………何を………言っているの?
もう、わかっているんでしょ?自分が何に絶望しているか
知らないっ!!私は絶望なんかしていない!!あの子を救うまで何度だってやり直してみせる!
どんな目に遭っても、どんなに手を汚しても…………例え全てを犠牲にしてでも!!
あら、怖い。でも私はあなただもの。もうわかっちゃったのよ。
私は絶対にワルプルギスには勝てない。あの子を救えないって。
そんなことないっ!!今回はあともう少しで助けられた。もし今回がダメでももう一度
ツインテイルズ
っ!?
遥かに進んだ科学力と巴マミと同等以上の力を持つ異世界から来たイレギュラー
彼女達のおかげで私は考えられる限り最大の武器を手に入れ、みんなを救うことが出来た。
そして巴マミは生き残り、佐倉杏子は新たな力を手に入れた
それでもワルプルギスには届かなかった………………ねぇ、次の時間でも彼女達は手を貸してくれると思う?
………
276: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:18:22.42 ID:QzCB6Mbv0
私が何度も繰り返した時間にあんなイレギュラーは一度もなかった。
今回やり直したらもう二度と会うこともないでしょうね。それとも彼女達ともう一度会うまで繰り返してみる?
………
もうわかったでしょ。私はまどかを護れない。あの子との約束も果せない。どれだけ繰り返してもね。
違うっ!私は絶対にまどかを救ってみせる。
あの子を救うためなら何度でも繰り返す!何度でも!何度でも!何度でも!何度でもっ!!!
霞んでいた意識が徐々にはっきりとしていく。
ふふっ。それでこそ私よね。
でも耐えられるのかしら。あの子が契約した姿を、そしてあの子が冷たくなって行く姿を見て。
本当にもう一度立ち上がれる?
ほむら「私は絶対に諦めたりしない」
あら残念。追い出されちゃったわね。けど近いうちにもう一度合えるんじゃないかしら?
じゃあね。その時は一緒にあそこに行きましょうね。
そして白い闇は霞み薄れて現実へと移り変わる。
ほむら「はっ!?………」
ほむら(……今のは………夢……いえ、あれがそうなのね)
ほむら(…………もう私は……………いえ、諦めるなんて許されない)
マミ「暁美さん!」
ほむら「巴さん。ありがとうございました」
ほむら「私はもう大丈夫です。あとは彼に集中して下さい」
マミ「暁美さん。まだ立ち上がっちゃダメよ」
ほむら「でも早くまどかを止め…………」
まどか「~~~~~~~~」
キュゥべえ「~~~~~~~~!!?」
耳の片隅にあの子の力強い声と驚きを含んだあいつの声がかすかに届く。
ほむら「っ!まどかっ!?」
277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:19:49.71 ID:QzCB6Mbv0
振り向いたそこには光に包まれるあの子がいた。
ぺたん
両膝の力が抜ける。
……………………あぁ、私はこの時間でも失敗したんだ。
気がつけば地面を支える両の掌の間には小さな水溜りが出来ていた。
ほむら「…………まど………か」
一段と強い光が水面に映る。
キュゥべえ「あれは………」
トゥアール「あれは!?」
ブルー「………あれが」
マミ「あれが鹿目さんの」
杏子「………………あれ……」
杏子「……………………なんかごつくないか?」
ほむら「……………………………ごつい?」
278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:20:40.11 ID:QzCB6Mbv0
279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:21:23.79 ID:QzCB6Mbv0
( ゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
280: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:21:53.18 ID:QzCB6Mbv0
281: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 22:23:56.88 ID:QzCB6Mbv0
(;゚Д゚) …!?
ほむら「なんか光った!?」
ほむら「………………………………っていうか」
ほむら「なんかいつもと形が違うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
キュゥべえ「………まどかのあの姿は」
トゥアール「………まどかさんのあの装甲は」
キュゥべえ「それにあのエネルギーは魔力……だけじゃない………」
トゥアール「それにあのエネルギーはおそらく………」
キュゥべえ「………あれは」トゥアール「………あれが」
キュゥべえ「エレメーラ?」トゥアール「魔法少女?」
キュゥべえ「まさか。確かにまどかの祈りは世界を変え得るものだった」
キュゥべえ「だけど彼女の願いは彼女をツインテイルズと同じ存在に変える様なものではなかったはずだ」
トゥアール「いえ。けれども確かにまどかさんからはエレメーラとほむらさん達と同じ魔力が検知されています」
トゥアール「おそらくは魔法少女がテイルギアを装着した状態だとは推定されますが」
キュゥべえ「僕が知る限りこの世界に存在するテイルギアは君達が持つ2つだけのはずだ」
トゥアール「はい。ここにある総司様と愛香さんの持つテイルギア2つ以外には存在しないはずです」
トゥアール「それにこの世界にエレメーラは存在しないはず」
トゥアール「もしテイルギアが存在したとしてもそれが起動することは理論的にはありえません」
キュゥべえ「じゃあ、あれはいったい何なんだ?いったい何がおこってるんだ!?」
288: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/10(火) 03:06:10.62 ID:u6JaHeU20
………俺はいったい?………身体が動かない…………俺は確かあいつに斬りかかって
……なんで俺はこんなところに?
…………誰だ?………まどかとキュゥべえ?………何か話して………愛香!?
おい、待てよ!……………みんなを助けるためだからって…………生き返れるからって………それしかないからって
違う!…………それしかないのかも知れない…………けど……………………女の子がそんな顔して良いわけないだろ!
そりゃあツインテールは綺麗だよ
……泣いてたって、怒ってたって、笑ってたって、どんな表情だって輝かせてくれるさ
けどなんでツインテールの女の子がそんな顔しなきゃならないんだよ!そんなの絶対におかしいだろ!
………………いや違う………俺が巻き込んだんじゃないか………俺が護るって言ったんじゃないか
………なのに俺はっ!…………ちきしょうっ!!………なんで動かないんだ…………なんで声も出ないんだよ!なんで俺はこんな時に!
………………暖かい………これは……巴さん……と巴さんの知り合いの…………治療してくれてるのか?
…………暖かいものが流れ込んで………なんだ?………暖かいものといっしょに声が…………これは……
………嫌だ………もうこれしか方法はないのかも知れない………でもこんなのって
……………どうして?………私はまどかを護れる自分になりたかった…………なのにどうしていつもあの子をこんな目に合わせてしまうの?
……………これは、ほむらの声?………そうかほむらもか。
そうか。そうだよな。お前もツインテールを護りたいんだよな。
こんなにツインテールを思う魂がこんなに近くにあったのか。 なのに俺は…………頼む!早く治してくれ!そうしたら俺は
「ツインテールを思う魂?私の魂はあの子のためだけのものよ!あなたみたいな変 と一緒にしないでちょうだい」
「私はツインテールじゃなくてあの子を護りたいの!」
289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/10(火) 03:09:59.85 ID:u6JaHeU20
なんだ!?今頭の中に!?ほむら?いや違う。誰だ?
いや、そんなのどうでも良い!ツインテールを思う魂がふざけてる!?
そっちこそふざけるな!!他人から見たらバカバカしいかも知れないけど俺はツインテールに魂をかけてるんだ。
「………はぁ……理解の範疇を超えているというか理解したくないというか」
「けど概念を内包する魂なんて………人にそんなことが………いえ、だからこそここまで戦えたのかしら?」
おい!あんた何を言ってるんだ?それにここはいったい?
「あなたが何に魂をかけてるかになんて興味はないの。あなたの質問に答える気もないわ」
「こちらから聞きたいことはひとつよ」
「あなたはあの子『鹿目まどか』を助けたいの?」
当たり前だろ。俺はツインテールを護りたいんだ。ツインテールの女の子があんなに辛そうな顔してるのに放っておけるかよっ!
「そう、あなたがあの子を護りたいというのなら、私はあなたに力を貸すことが出来るかもしれない」
だったら今すぐ俺に力を貸せ!ツインテールを見ればわかるんだ!!あの子はあんな辛い目にあっていい子じゃない!
あの子は強くて優しいさ。だからって、なんでそんな子が世界の全てを背負わなきゃならないんだよ!!
そんなの絶対におかしいだろ!!そんな運命俺が絶対に変えてやる!!俺はツインテールを絶対に護ってみせる!!
だから俺に、俺に力を貸してくれっ!!
290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/10(火) 03:12:10.13 ID:u6JaHeU20
「…………私にはあなたが馬鹿にしか………いえ、心を病んでいる変 にしか見えない」
「でもあの子を護りたいと思う気持ちは痛いほど………………いえ……あなたは護りたいものを傷つけたりはしないものね」
「………私は愛するものを求め……そして己のエゴの中に歪めるもの」
「本当にあの子を救うのならあなたの方が相応しいのかもしれないわね…………けど私は私のエゴを諦めきれないの」
エゴ?歪める?そんな下らないことどうだって良いだろう?
「どうでも良い!?」
あぁ。あんたはあの子を助けたい。俺もあの子を助けたい。だったら協力するのに理屈なんていらないだろ。
もしあんたがやり過ぎるっていうならその時は俺があんたを止めてやる。大事なのはあの子を助けたいってその気持ちだけだろ。
だから頼む!あんたがあの子を護りたいのなら力を貸してくれ!
俺はあの子を護りたいんだ。だから頼む!俺はどうなったって良い!だからあんたの力を貸してくれ!
「…………そう……じゃあ貸して貰うわよ………あなたが持つその概念の力」
あぁ。あの子を助けられるんなら何だって貸す…………えっ?
「………………そして貸してあげる……………あの子のために世界を歪めるこの力を!!」
おい!?なんだ?あんたどこにいったんだ?
なんだこれ!?おい、あんた!いったい何が起こってるんだ!?おいっ!!?
296: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 01:20:23.28 ID:t8DUTt7E0
…………白くて……何もない…………ここはいったい?…………私は確かキュゥべえに
…………?………………声?………誰かが呼んでる?
「………………ま……どか……………まど………か………鹿…目まど……か」
…………私を呼んでる?…………誰?……あなたはいったい?
ツインテール(CV池田秀一)「私は君のツインテールだ。そして異世界から来た概念の一つでもある」
わ、私のツインテール!?どうして男の人の声?それも無駄に偉そうでダンディな感じの!!??
ツインテール(CV池田秀一)「ほぅ、君にはそう聞こえ……待てっ!君は何故髪を解こうとしているんだ!?」
い、いやその自分の髪の毛が男の人の声で話しかけて来るのは………やっぱりその気持ち悪い……かなって
ツインテール(CV池田秀一)「失礼な奴だな、君は!」
そ、その……すみません
ツインテール(CV池田秀一)「………まったく、いや……少し落ち着こう。ここでのやり取りに時間は関係しないが無限でもないのだから」
時間が関係しなくて、無限じゃない?
ツインテール(CV池田秀一)「あぁ。だがその件は説明すると長くなる。だから単刀直入に聞きたい」
ツインテール(CV池田秀一)「君は自分が犠牲になることで全てを解決しようと思っていないか?」
っ!?………そ、それは!?
ツインテール(CV池田秀一)「……そうか。君は強いな。そして優しい………だが、それでも全ての解決には繋がらないんだ」
……それっていったい?……えっ!?これは私…………………………………………………やっぱり私の願いが叶ったら私は
ツインテール(CV池田秀一)「そうだ。だがそれで終わるわけではない」
ほむらちゃん!!?………どうして!?
…………ほむらちゃんが世界を……………これっていったい?
ツインテール(CV池田秀一)「これは君と彼女の間にあった過去でもあり、これからなぞられるであろう未来でもある」
………私のためにほむらちゃんが…………でもこうしなきゃみんなが!
ツインテール(CV池田秀一)「私も君のやり方が間違いだとは思わない。だがそのやり方の結末はそうなってしまうのだよ」
297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 01:23:55.91 ID:t8DUTt7E0
……………でも私が契約しなきゃみんなが…………でも、ほむらちゃんが私のために犠牲になるなんて
ツインテール(CV池田秀一)「君はみんなのために『犠牲』になるのかい?」
………違います。私は私の意思で………………………それはほむらちゃんも同じこと………なのかな
ツインテール(CV池田秀一)「おそらくはそうなのだろうな」
…………でも……そんなのって
ツインテール(CV池田秀一)「では問おう。鹿目まどか。君は今の結末を見て、そして何を望むんだい?」
…………わかりません……だって私の願いを叶えたらほむらちゃんが………けど契約しなかったらみんなが
ツインテール(CV池田秀一)「では君はあの結末を受け入れるのかい?」
………………私の願いが間違いだとは思わないけど…………けど、ほむらちゃんが………ほむらちゃんとあんな風になるなんてやっぱり嫌だよ
ツインテール(CV池田秀一)「そうか。なら考えるんだ。君が欲しいものを、大事な人達と手に入れたい未来がどんなものかを」
………でもみんなが幸せになる答えなんて私には
ツインテール(CV池田秀一)「今の状況を打開するには君の祈りが必要だろう。だが君一人で全てを背負う必要はないさ」
ツインテール(CV池田秀一)「君の周りには頼れる仲間がいるんだ。必ず君を助けてくれるはずだ」
ツインテール(CV池田秀一)「そして私も………………いや」
ツインテール(観束総司)「俺はそのためにここにいるんだっ!!」
まどか「観束さん!?」
キュゥべえ「どうしたんだい?まどか」
白い世界は夢のように掻き消え、目の前では紅い瞳がこちらを覗き込む。
摂理以外の何者をも映さない儚い穴の様なそれを見たとき心をよぎったものは何だったのだろう?
怒り? 悲しみ?
気がつけば溢れ出た感情が言葉となって目の前のそれに向かって迸っていた。
けれども紅い瞳は揺るがない。
それは絶対の条理の側から私達の希望を絶望を、喜びを悲しみを、単なる熱量としてただ眺めるだけ。
嫌だ!私達の思いはそんなものじゃない!私は、私は、私は、私は!
まどか「………私はみんなの願いを護りたい」
まどか「今日まで魔女と戦ってきたみんなが、希望を信じた魔法少女が、絶望するなんて納得出来ない」
まどか「私はみんなの願いを護る。それを邪魔するルールなんて壊してみせる、そんな世界私が変えてみせる」
まどか「これが私の祈り、私の願い」
まどか「さあ!叶えてよ、インキュベーター!!」
298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 01:28:49.23 ID:t8DUTt7E0
少女の言葉と共に嵐を切り裂く様な光の柱が天にまで届く。
そこには魔法少女の装束を纏った少女が目を閉じて独り佇む。
キュゥべえ「………まど!?きゅっぷい!」
少女が目を開くと同時に巻き起こるエネルギーの奔流が目の前のそれを弾き飛ばす。
ごうっ!
そしてツインテールから噴出した炎が少女の四肢に絡みつき巨大な鋼鉄の鎧を形作る。
総司(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!)
まどか「あああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
雄叫びとともにそれまでを超えるエネルギーが再び周囲に吹き荒れる。
ブルー「総司!?」
トゥアール「総司様?でも総司様はここに?」
総司(愛香、トゥアール。二人とも心配かけたな)
マミ「観束さん、これはいったい?」
総司(みんな心配かけてすまない。今俺はどうやらまどかと重なってるみたいなんだ)
トゥアール「総司様と重なるっ!?まどかさん一般人が戦闘に関わるのは危険です!!」
トゥアール「今すぐに私がまどかさんの代わりに、いえ是非私と代わってくだぐぇっ!!!」
ブルー「あんたはこんな時まで脊髄反射で行動してんじゃないわよっ!!」
ブルー「総司!いったい何がどうなってるのよ」
総司(いや俺にも詳しい原因はわか「えええええええええええええええっ!?」
まどか「こ、この手は…………なんで私の服装だけこんなにごついの…………こんなの可愛くないよっ!!」
じゃきっ
ほむら「まどか、落ち着いて。原因を排除すればきっと元の姿に戻れるわ」
ほむら「今すぐこいつを……………変身が解けたらすぐ排除するから少し我慢しててね」
杏子「おい、お前!?怪我はどうしたんだ?」
ほむら「!?傷が………これはいったい?」
総司(おい、みんな!!話は後だ!ワルプルギスと決着をつけるぞ!!行くぜっ!!)
303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/22(日) 00:23:18.77 ID:KZvRHcY80
ずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずず
地面がゆっくりと、細かく、そして途切れない振動を帯びていく。
さやか「何!?地震?こんな時に」
キュゥべえ「重力震だよ」
さやか「じゅうりょくしん?それっていったい?」
キュゥべえ「ワルプルギスの夜が動き出したんだよ。彼女は重力を反転させて地表と大気を撹拌しながら世界を廻る。その予兆だよ」
キュゥべえ「彼女が動き出すまでにあと数分。それまでに彼女を止めなきゃ間違いなくここは壊滅するだろうね」
さやか「まどかっ!!ワルプルギスが動き出したってキュゥべえが!!早くなんとかしないとここが!!」
まどか「さやかちゃん!………でも止めるってどうしたら?」
抑えつけるんだっ!!
まどか「観束さんっ!!けどあんな大きなものどうやって!?」
考えるなっ!手を突き出せ !そしてあいつが目の前にいると思って抑えつけろっ!!
まどか「目の前に?でもそんなの」
信じるんだ自分の願いを!テイルギアはそれに必ず応えてくれる。
ごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごご
トゥアール「揺れが大きく!?」
さやか「まどかっ!!」
まどか「みんなっ!?やめてっ!!」
突き出した手に呼応するように光の粒子で形作られた巨大な双掌が浮かび上がる。
マミ「なっ!?」
杏子「おい、デカ過ぎんだろ!?」
よしっ!そのまま抑えつけるんだ。
まどか「は、はいっ!!」
光る掌が密度を高めてワルプルギスの夜をぎしりと掴む。
ぎしっ ぎぎっぎぎぎっぎぎぎぎぎぎぎぎっぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ
まどか「っ!!く、あっ!!………抑え……切れ」
304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/22(日) 00:30:14.09 ID:KZvRHcY80
キュゥべえ「すごいね。一瞬とは言えまさかあれと拮抗するなんて」
キュゥべえ「けどワルプルギスの夜はまだ余力を残している。まぁ時間の問題だろうね」
まどか「………だ、だめっ!!もうっ!」
まだだっ!!
まどか「み、観束さんっ!?」
諦めるんじゃねぇ!!!一度は自分を犠牲にしてまでみんなを救おうとしたんだろ!!
けどみんなと同じ未来を掴むための契約をしたんじゃないかっ!ここで諦めてどうするんだよっ!!
まどか「で、でもっ!!」
思い出せっ!さっき見ただろ。力が足りなくても、誰にも理解されなくても諦めなかった馬鹿野郎をっ!!
勝てないのがわかってるのに大事な友達を護るためにワルプルギスに立ち向かった自分自身をっ!!
まどか「でも私あんなに強くは………」
違う!思い浮かべろっ!!自分が心から護りたいものをっ!!
まどか「えっ!?は、はいっ!う、うぇいっ!!?み、観束さんの頭の中にツインテールが!?」
そうだっ!俺はツインテールを護るために戦っているっ!
まどか「」
俺っておかしいだろ。
まどか「いえ……そ、そんなことは………」
いや、俺は自分がおかしいと思うんだ。はっきり言ってまともじゃない。
けどさやっぱり俺はツインテールが好きだってことがやめられないんだ。
まどか「…………そ、そう………ですか」
俺はこんな奴みんなから石を投げられても不思議ないって思ってた。
でもトゥアールと出会って俺のツインテール好きでみんなを護れるようになったんだ。
まどか「………いや…そのへんの設定はやっぱりついて行けない……って言うか」
別について来る必要はないさ。けど大事なものへの想いがみんなのを助ける力になるんだぜ。
だったらその気持ちを否定する理由なんて何もないだろ。
305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/22(日) 00:32:35.09 ID:KZvRHcY80
まどか「っ!」
そうだっ!行くぜ、まどかっ!!!
吠えろっ!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ
まどか「えっ………あ……あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
ぎっ ぎぎっ ぎぎぎっ ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ
キュゥべえ「出力がアップした!?まさかっ!!………………いや、まだワルプルギスの力を抑えるには足りないね」
キュゥべえ「残念だけど、あと一歩及ばないんじゃないかな」
マミ「じゃあ、そのあと一歩」
しゅるるるっ しゅるるるるるるるる しゅるるるるるるるるる しゅるるるるるるるるるるるるるる
光で出来た掌の外側に、黄色いリボンで編まれた立体型魔法陣が一瞬で構築される。
杏子「あたし達で埋めてやるぜ」
ばっ ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば
黄色いリボンに黒いハーリキンチェックの格子が組み込まれる。
まどか「マミさんっ!!」
マミ「お待たせ鹿目さん。足りない分は私がフォローするから。思いっきりやってちょうだい!」
杏子「あたしも力を貸すぜ。行けっ!!ごっついの」
まどか「はいっ!うああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/28(土) 16:10:52.07 ID:WQ6NnMaH0
さやか「まどかっ!頑張っ…………!?」
ばじっ ばじっ ばじっ
さやか「…………トゥアールさん………なんかワルプルギスの周り……光ってません」
さやか「ほらっ!今、雷みたいなのが!!」
トゥアール「?………………!!?」
トゥアール「……………………………まさか………けれど」
ブルー「トゥアール、何かあったの!?」
トゥアール「……いえ……やっぱりなんでも………でも、ひょっとしたら……」
ブルー「一人で考え込んでどうにかなるもんじゃないでしょ!予想でもなんでも良いから言いなさいよっ!」
トゥアール「………今、ワルプルギスの夜は重力に働きかけながら攻撃を反射するフィールドを張っています」
トゥアール「そしてまどかさんはその両方を力付くで抑え込んでいるわけです」
ブルー「それはわかってるわよ」
トゥアール「つまりあそこでは放出されるエネルギーと抑え込むエネルギーがぶつかりあってるんです」
ブルー「それで?」
トゥアール「それでぶつかりあったエネルギーは逃げ場もなくどんどんあそこに溜まって行ってる訳です」
ブルー「…………なんか…………嫌な予感がするんだけど」
トゥアール「……………おそらくは………臨界点に達するか均衡が崩れた瞬間に」
トゥアール「……爆発…………するんじゃないかと」
さやか「ちょ、ちょっとそれってえらいことじゃないですか!!?」
ブルー「ちょっと!!?どうすんのよトゥアール!?」
310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/28(土) 16:19:13.53 ID:WQ6NnMaH0
トゥアール「ど、どうするってそんないきなり言われても!」
ブルー「何言ってんのよ!こんな時『こういう事もあろうかと思って』とか言ってびっくりどっきりメカを出すのがあんたの役回りでしょう!!」
トゥアール「なんですその無茶振り!真田さんでもこんな事あるなんて普段から考えませんよ!!」
ブルー「はぁ!?こんな時役にたたなきゃ頭脳派キャラに活躍の機会なんてないでしょ!!」
ブルー「出来ないなら『ぬぅ、あれこそは悪腐流擬巣の夜』とか胡散臭い解説役しか仕事ないわよ!」
トゥアール「はぁ!?そんなこと言ったら元気しかとりえのない幼馴染キャラなんて真のヒロインの噛ませしか仕事ないでしょ」
さやか「ぐはっ!」
トゥアール「あ」
ブルー「………あんたは今全ての幼馴染キャラを敵に回したわ。覚悟はいいでしょうね」
トゥアール「そうですか。それならここで「やめなさい」
さやか「ほむらっ!あんた大丈夫なの!?」
ほむら「ええ。体調も魔力もほぼ万全に近いわ。まどかの魔法の力かも知れないわね」
ほむら「あなた達、みんなが戦っている時にそんなことしてる場合じゃないでしょ」
トゥアール・ブルー「「………」」
ほむら「ねぇ、トゥアール。爆発を上空に逃がすことは可能かしら。そうすれば多少は被害を軽減できるはずよ」
トゥアール「たしかにエネルギーの流れを一方向に誘導するのは悪くありません。けれどそれには資材なり準備が必要です」
トゥアール「今から爆発までに出来ることはほとんど皆無に近いと思います」
ほむら「いえ巴マミがいるわ。彼女の魔法ならビル1棟くらい十数秒もあれば創り出せる」
ほむら「障壁なら佐倉杏子も私もそれなりには張れるしね」
ほむら「それにまどかの力を上乗せすることが出来るなら………試してみる価値はないかしら?」
トゥアール「ビル1棟を…………確かにそれなら………けど…………そんなことが」
マミ「トゥアールさん!」
トゥアール「は、はいっ」
マミ「無茶でもかまいません。トゥアールさんから見て少しでも勝算がある方法を指示してください」
トゥアール「け、けど………」
マミ「お願いします………ここまで来て何もせずになんて………」
杏子「おい牛女!さっきの貸しはちょっと負けといてやる。だからその分は今返しやがれ」
ブルー「トゥアール。考えるのはあんたの仕事でしょ。あとは私達が絶対にやり遂げるから。思いっきりこき使ってよね」
まどか「トゥアールさん!お願いします!!」
総司(トゥアール!頼む)
トゥアール「…………………………」
トゥアール「わかりました……………………成功率は良くて3割、それもみなさんが無茶を実現させた上でのお話です」
トゥアール「でも生き残るにはおそらくこれしか方法はありません!みなさん力を貸して下さい!」
313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/03(木) 05:51:59.93 ID:5072cgz10
まどか「………パパ、ママ、タツヤ………そしてみんな………………絶対に私が護ってみせる…………」
総司(………どうかしたのか?)
まどか「……………いえ、なんでもありません………観束さん、私に力を貸して下さいね」
総司(もちろんだ!絶対にみんなを護るぜ!俺達でな)
まどか「はいっ!!」
まずは、まどかさん、総司様。
大前提としてお二人がワルプルギスの夜を抑えて貰わなければこの作戦は成り立ちません。
ただこれまでとは違って全方位から抑え付ける必要はありません。
イメージとしてはワルプルギスを筒に閉じ込める感じで上下に力の逃げ道を開けてやって下さい。
大丈夫です。まどかさんの願いは絶対にあんなのに負けません。それに総司様も力を貸してくれてるんですから。
…………あと終わったらで結構ですから、それ替われたら変わって下さぐえっ!
マミ「…………爆風を抑え込む強度と可能な限り上空までか……………出来るかしら………」
マミ「……………でも後輩が頑張ってるんだもの………先輩として格好悪いところはみせられないわよねっ!」
次は巴さんです。
巴さんの約割はひとつ。ワルプルギスの夜が爆発した時の爆風の逃げ道を造ることです。
とりあえずまどかさんの掌の外からワルプルギスの真上に向かってリボンで筒状の障壁を創って下さい。
条件としては可能な限り広く、高く、出来れば成層圏までそれを届かせること。
そして出来る限りの強度を持たせてその筒の中を真空に保つことです。
この作戦の要は巴さんです。無茶は承知ですが頑張ってください。
314: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/03(木) 05:56:31.47 ID:5072cgz10
杏子「イメージは螺旋に絡みついて内側に絞り込むようにだったな」
杏子「マミっ!!リボンの強度は最高まで上げとけよ。行くぜ!」
そして杏子さん。
おそらく巴さんのリボンだけではワルプルギスの爆発に耐え切れないと思います。
杏子さんは外から巴さんのリボンを内側に抑え付けて下さい。
爆発の衝撃や爆風を宇宙まで放り出さなきゃここら一体は吹き飛びますからそれはお二人にお任せします。
………えっ、貸しですか?もう素直じゃありませんねぇ。仲直り出来た分の貸しは別に返さなくても良いんですのに
え!違う?まぁ詳しいことは帰ってきたら思う存分お話しましょう。良いですね帰ってからですよ。
ブルー「………はぁ……よりにもよって最後に頼りになるのがこれって何なのよ………しかもあんな頼み方してくるなんてさ」
ブルー「まぁ、マジで頼まれたんだからマジでやりきるだけなんだけどさ」
ブルー「属性玉《エレメーラオーブ》……貧 属性《スモールバスト》!!」
この作戦はワルプルギスごと爆発を抑え込んでその余波を宇宙に放り出すというものです。
ただ爆心をまどかさん独りで抑え込むとなるとその負担は測り知れません。
ですからここは真下から愛香さんの鉄壁でひとつ爆風の底を塞いでいただきたいんですよ。
これはまどかさんと並んで一番危険なポジションにあたります。
けど愛香さんの貧 は宇宙一ですからこれくらい朝飯前ですよね。あっはっはっ………あれ?いつもみたいに殴ってこないんですか?
な、なに言ってるんですか…………私は心配なんか………だ、だいたい宇宙最平の貧にゅぐっ!!
…………人のことをぽんぽんと………帰ったら決着をつけますよ………絶対に帰ってこなきゃ許なさいんですから。
315: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/03(木) 06:00:52.19 ID:5072cgz10
まどか・マミ・杏子・ブルー「「「「はああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」」
4人の少女の中心に宙にまで届く光の柱が創り出されて行く。
ほむら「…………すごい………でもこれなら爆発のエネルギーを宇宙にまで飛ばせるかも知れない…………でも」
ほむら「トゥアール。これだと爆心のまどかの負担が大きすぎない?」
ほむら「障壁なら私も張れるわ。私もブルーのところに行くわよ」
トゥアール「いえ………おそらくほむらさんの力で張った障壁はほとんど役に立たないと思います」
ほむら「何が言いたいの?」
トゥアール「さっき成功率を3割と言いましたが、それにはほむらさんの力は入っていません」
トゥアール「もしほむらさんの張る障壁が愛香さんやまどかさんと同程度であってもあまり影響はないと思います」
ほむら「…………何が言いたいのか話が見えないわ?」
トゥアール「確かに障壁は硬ければ硬いほど良いんですけどね。けど出来れば今は緩衝材が欲しいんですよ」
ほむら「緩衝材?………わからなくはないけどそんなものがどこに?それにあんな空間にそんなもの……っ!?」
トゥアール「ほむらさんのそれは武器を収納する空間になっているんですよね。その空間を爆発の緩衝材として使用することは可能でしょうか?」
ほむら「………そんな使い方は考えたこともないわ…………それに」
トゥアール「はい。もし失敗すれば私達と一緒にほむらさんも命を落とします」
トゥアール「それはまどかさん達が助かる可能性を閉ざすこととイコールです」
ほむら「…………勝算は?」
トゥアール「それが上手く機能して成功率が1割と少し上がるくらいでしょうか」
ほむら「まどか達4人で3割のところを私一人で1割以上あげられる訳ね。悪くない計算ね」
トゥアール「それでも5割には届きません」
トゥアール「ほむらさん。こんな時にこんな選択肢を突きつけてすみません…………どうなされます」
320: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 00:27:58.94 ID:5RV07I2d0
321: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 00:30:23.29 ID:5RV07I2d0
キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?
約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!
砂の落ち切った砂時計にいつかの約束が映し出される。
ばしっ
それは軋むエネルギーが産む稲光に乱されるも決して消えることはない。
ほむら「………………………………………………私は……………………」
ぐにゃり
砂時計に映る自分が歪んで暗く冷たい笑顔を浮かべる。
ほむら「っ!…………まだよ………………まだ私は」
トゥアール「…………ほむら……さん?」
ほむら「……………大丈夫よ………………私がやることは決まっているから」
砂時計の影から取り出されたリュックサックが鈍い音とともに地面に投げ出される。
ほむら「………ここまで減ったのは初めてかも知れないわね」
ほむら「巴さん、これを」
マミ「暁美さん?」
ほむら「これを今からブルーの障壁の上に設置して欲しいの。出来るかしら?」
マミ「暁美さん!」
ほむら「作戦の成功率が1割と少し上がるらしいわ。やってみる価値はあるでしょ」
マミ「………でもこれが壊れたら暁美さんは」
ほむら「もう、いらないの………………あの子を護れるのなら私は何もいらない……………力も!約束も!思い出も!未来も!」
トゥアール「………ほむらさん」
ほむら(……………きっと私はもうすぐ魔女になる…………けっきょくあの子との約束は果たせなかった………けど………まだあの子は諦めてない)
ほむら(だったら私の全てはあの子のために捧げる…………そしてその時は……………でも、せめて……………せめて)
ほむら「越えてやるあいつを………絶対にあの子を助けてみせる!」
322: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 00:32:56.81 ID:5RV07I2d0
マミ「………暁美さん」
杏子「マミっ!細かい話は後にしろ!ぼちぼちヤバそうだ」
マミ「佐倉さん!」
杏子「おい、そこの!!」
ほむら「…………」
杏子「お前にどんな事情があるのかは知んねぇ………けどな自分を犠牲に全部独りで背負い込む様な真似したらあたしは抜けるからな」
杏子「あたしはそんなしけた奴と組む気はねぇぞ。つまんねぇ真似したらこいつらがどうなろうが絶対に抜けるからな」
杏子「わかったら絶対につまんねぇ真似すんじゃねぇぞ」
ほむら「…………ふぅ………あなたにそんなことを言われるなんて、私も相当まいってたみたいね」
杏子「何がだ?」
ほむら「どちらかと言えばあなたの方が自己犠牲とか危ないんじゃないの?」
杏子「何言ってやがる?あたしは徹頭徹尾自分のためにしか魔法は使わねぇんだよ」
ほむら「そんな人は私みたいなのに声なんかかけたりしないわよ」
杏子「て、てめ「ありがとう」
ほむら「少し思いつめてたみたい。ちょっとすっきりしたわ」
杏子「………お、おう」
ほむら「………でも、先のことは約束できないわ」
杏子「おい!」
ほむら「魔法少女がそういうものだってことはあなたの方が知ってるんじゃないかしら」
杏子「………」
ほむら「けどあなたに見捨てられる様な事はしないわ。それで良いかしら」
杏子「………ちっ!おい、マミっ!そいつの準備を早くしてくれ」
マミ「わかったわ」
ほむら「……………ごめんなさい………でも、私にはもうあの子を助ける以外に何も考えられないの」
ほむら「…………………だから………」
323: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 00:36:55.56 ID:5RV07I2d0
トゥアール「総司様。まどかさん。準備は完了です」
総司(まどか、いくぜっ!)
まどか「はいっ!絶対にみんなを」
総司(あぁ………絶対に)
まどか・総司「(助けてみせる!!)」
総司(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっ!!!)
まどか「うああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!」
びしっ ばばばっ
ばじっ ばじっ
ばしっ じじっ じじっ じじじじじじじじじっ
そしてその時は訪れた
きしゅいん
さやか・トゥアール「「きゃっっっ!!!!!」」
ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ
327: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/21(月) 00:12:57.49 ID:tuDiae6B0
トゥアール「……………っ…………………………はっ!?総司様っ!!?愛香さんっ!」
トゥアール「…………これは」
それは平坦な黄色い光に包まれた何もない空間だった。
さやか「………うっ……………つっ」
トゥアール「さやかさんっ!?」
さやか「……………トゥアールさん…………えっ、まどか達は!?」
トゥアール「…………いえ………私が気がついた時はここに………………えっ、これは!?」
周囲を覆っていた光のカーテンがゆっくりと晴れ、景色は見慣れたそれに代わる。
さやか「これ………マミさんの?」
そして眼前の光の塔が輝きと形をゆっくりと失っていく。
さやか「みんなはっ!」
ほむら「………無事よ」
さやか「ほむ………まどかっ!」
トゥアール「総司様っ!愛香さんっ!」
ほむら「たぶん大丈夫よ。怪我もないし呼吸も安定してる………ソウルジェムも濁ってないわ」
ほむら「トゥアール。あなたの方が医学に詳しいでしょ。念の為に見てあげて」
2人が駆け寄ると同時に少女は立ち上がり歩み始める。
ほむら「………キュゥべえ」
キュゥべえ「なんだい?暁美ほむら」
ほむら「状況を説明できるかしら?」
キュゥべえ「君達とワルプルギスの夜とのエネルギーによるせめぎ合いは臨界点を迎えて爆発を起こした」
キュゥべえ「そして君達は周囲に爆発の余波を及ぼすことなく宇宙に逃がすことに成功した。だね」
キュゥべえ「実際、君達があれを抑え切れる各率は2割もなかったと思っていたんだけどね。いや実に見事だったよ」
ほむら「…………じゃ。あれは何なの!?………………あいつは………………あれでも殺しきれなかったと言うの!?」
宙に消えた光の柱があったそこには昏く輝く光の玉とそれに寄り添う2人の少女の影が佇んでいた。
328: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/21(月) 00:17:32.56 ID:tuDiae6B0
キュゥべえ「いや、彼女との戦いは君たちの勝ちだ」
ほむら「…………じゃあ、あれは何なの!?」
キュゥべえ「ワルプルギスの夜と呼ばれる魔女になった大元の魔法少女達の内の2人、そしてワルプルギスの夜の中核たる呪いの結晶だよ」
ほむら「呪いの結晶?」
キュゥべえ「そうだよ。ワルプルギスの夜とはあの結晶に惹かれた呪いの集合体なんだ」
キュゥべえ「あの結晶がある限り、ワルプルギスの夜と同等の何かがいつか産まれることになるだろうね」
ほむら「あれを砕けばワルプルギスの夜は完全に滅びるということね」
キュゥべえ「厳密には違うんだけど、そういう理解で良いんじゃないかな」
キュゥべえ「まぁ、あれ自体は不安定なエネルギーの結晶体でしかないから破壊すること自体は難しい話じゃないんだけどね」
ほむら「『あれ自体は』ね。じゃあ、あの2人について話しなさい。聞かないと不利益を被る類の何かがあるのでしょ」
キュゥべえ「そうだね。あの2人はさっきも言ったようにワルプルギスの夜と言われる魔女の大元となった魔法少女達だ」
キュゥべえ「性質は拒絶と依存。誰かを攻撃したり何かに働きかけるような能動的な能力は持ち合わせていない」
キュゥべえ「………そういえば君も彼女達の能力を見ていたね。ツインテイルズのひとりが斬りかかった時跳ね返されてただろう」
ほむら「………拒絶………そういうことなの?」
キュゥべえ「彼女達は自分達と結晶に向けられた攻撃をその相手に跳ね返すことが出来るんだ」
ほむら「………それじゃああいつを倒すことは出来ないの」
キュゥべえ「もし彼女達が万全の状態ならそうかも知れない。でも今ならどうだろうね」
キュゥべえ「結果としてあの爆発でワルプルギスの夜は彼女達を残して吹き飛ばされている」
キュゥべえ「つまり彼女達の能力が絶対ではないことはそれが証明しているし、それにより彼女達が弱体化しているのも間違いない」
キュゥべえ「君の攻撃でも2割くらいの確率で彼女の能力を破れるんじゃないかな?」
ほむら「…………2割ね…………あいつが元の力を取り戻すにはどれくらいかかるの?」
キュゥべえ「ここに現れた時と同じの力と言うなら少なくとも百年はかかるんじゃないかな?」
キュゥべえ「でも数ヶ月もすれば君達が単独では相手に出来なくなるだろうね」
ほむら「………そう」
329: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/21(月) 00:21:14.92 ID:tuDiae6B0
ほむら「美樹さやか。まどかの具合はどう?」
さやか「大丈夫みたい。トゥアールさんが観ても怪我とははないって」
ほむら「そう。良かった」
さやか「うん………ねぇ、ほむら…………あれ、ひょっとして」
ほむら「ええ、ワルプルギスの夜の一部よ…………大丈夫、力を失った残り滓だから。今から私があれを片付けてくるわ」
さやか「…………でも、ほむら武器とか」
ほむら「大丈夫よ。これで本当に最後だけどね」
振り返る背中に不自然に膨れたリュックサックが顕になる。
ほむら「………じゃあ行ってくるわ」
さやか「………ほむら?」
ほむら「さやか、お願いがあるのだけど…………まどかに伝えてちょうだい」
ほむら「私はやるべきことを果たすために行かなきゃならないの。さよならを言えなくてごめんなさいって」
そして少女は駆け出す
ほむら(どうせ魔女になるのなら私の全てはあの子に捧げる!)
さやか「………………ほむら?………ほむらっ!?」
トゥアール「ほむらさんっ!」
ぐっ
駆け出した少女は不意に動きを止められる。
振り返れば光る掌がリュックサックをしっかりと掴んでいた。
まどか「……………駄目だよ……………ほむらちゃん」
333: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 00:58:07.75 ID:HEz0aR3h0
まどか「駄目だよ。独りで抱え込んじゃ………独りで抱え込んで友達を独りぼっちにしちゃった私が言うんだもん。絶対に駄目だよ」
ほむら「………まどか?………何を言っているの?」
まどか「うぇへへ。前にあったことでこれから起こること。ほむらちゃんは知らないけど私が知ってることだよ」
ほむら「…………あなたがそう言うのならそうなのでしょうね………でも私にはわからないことよ…………離しなさい鹿目まどか」
まどか「嫌だよ………それに今なら私の方が強いもん。絶対に行かせない!」
ほむら「強い?…………そうねあなたは確かに最強の魔法少女よ」
ほむら「でもあなたじゃ駄目なの」
ほむら「…………まどか、あなたは誰も攻撃しない魔女を殺せる?」
まどか「えっ!?……」
ほむら「いえ出来るのは知っているわ。あなたは強くもあるもの。だからそう決めればそれをやり遂げてしまう」
ほむら「でも私は見てきたの。魔女の正体を知ったあなたが魔女退治の度にソウルジェムを濁らせていくのを」
ほむら「あなたは優しすぎる。あなたが魔女になれば世界は終わるわ。だからあなたじゃ駄目なの」
まどか「………じゃあ、ほむらちゃん約束してくれる」
ほむら「…………出来ることなら」
まどか「………絶対に帰って来るって約束して」
ほむら「………………約束は出来ない…………話はこれで終わり。離してちょうだい」
まどか「嫌だっ!確かに私は魔女のこと後で後悔しちゃうかも知れない。でもほむらちゃんがいなくなることの方がもっと後悔しちゃうよ!」
まどか「だから、ほむらちゃん。行かないで」
ほむら「………………ありがとう、まどか」
ほむら「でも駄目よ…………私はもうすぐ魔女になってしまうから………だからせめてこの命は大切なもののために使いたいの」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「私は一度魔女になることを受け入れたの。そんな私が魔法少女でいられたのはあなたと交わした約束があったから」
ほむら「………でも、もう駄目………私は時間を遡る術を失った」
ほむら「……………もし時間を遡る術を取り戻しても、私達だけじゃワルプルギスに勝てないことを知ってしまった」
ほむら「私はあなたとの約束を守ることは出来ない」
まどか「もう繰り返さなくても良いじゃない!………みんなで一緒にいようよ!」
まどか「ワルプルギスの夜だってみんなで力を合わせたら何とか出来る!魔女になることだって、みんなでなら絶対に乗り越えられるよ!」
まどか「だから、ほむらちゃん!…………行かないで……みんなと一緒にいようよ」
334: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:03:04.00 ID:HEz0aR3h0
ほむら「私が魔法少女でいられたのはあなたとの約束があったから。あなたを救うことが出来ると信じていられたから」
ほむら「………ごめんなさい…………私じゃあなたを救えない」
ほむら「……………結局私のやって来たことは…………私は何にも出来ないまま…………だから………お願い」
ほむら「…………………せめて私の魂はあなたのために使わせて」
まどか「………………」
まどか「………………ゃ…………絶対に嫌!!」
ほむら「きゃっ!!」
少女の身体が弾かれるように引き寄せられ、そして鋼鉄の腕にがっしりと抱きとめられる。
ほむら「ま、まどか!?」
どうっ
爆弾のつまったリュックが鈍い音を立てて光る掌に握りつぶされる。
まどか「………ほむらちゃん………言ったでしょ……………独りで抱え込んじゃ駄目だって」
まどか「私達はいつか魔女になるのかも知れない…………でも、もしそうだとしてもその時まで一緒にいようよ」
まどか「辛いこと待ってるからって、だから離れちゃうなんて絶対に間違ってるよ」
ほむら「…………駄目よ…………私はこの手であなたを…………私にはあなたの横に居る資格なんて」
まどか「ほむらちゃんっ!!」
ほむら「…………」
まどか「………………今まで辛い思いをしてここまで来んだよね。だったら幸せにならなきゃ」
まどか「資格なんて知らないよ。ほむらちゃんに隣にいて欲しい。今まで辛かった分だけ幸せになって欲しい」
まどか「私がそう思うの…………だから一緒にいようよ…………これからも……ずっと」
ほむら「………まどか」
総司「そうだぜ、ほむら。お前はまどかの為に命懸けで戦って来んだろ。そんな奴が不幸になってみろよ。まどかが悲しまないわけないだろ」
ほむら「………………あなた、まだいたの」
総司「まだいたのって随分だな」
ほむら「当たり前でしょ。変な男がまどかの中にいるなんて許されるものではないわ」
ほむら「用が済んだなら早く出て行きなさい。あまりしつこいならあっちで寝ている本体を処理するわよ」
総司「おいおい。せめてこの戦いが終わるまでは待ってくれよ」
ほむら「…………はぁ………なんだかぶち壊しにされた気分よ」
総司「何がだ?」
ほむら「何でもないから黙ってて」
335: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:05:51.98 ID:HEz0aR3h0
総司「そうか………なぁ、二人とも相談なんだが………あの結晶出来たら砕いてやれないかな」
まどか「………砕いて『あげる』………ですか」
総司「あぁ。魂だけの状態になってるからかもしれないけど、あそこから泣いてる声が聞こえるんだ………自分も何もかもが許せなくなった女の子達の」
総司「多分あの子達はあそこに居る限り自分や誰かを呪うしか出来なくなってるんだと思う」
総司「しばらく放っておいても俺達には害はないかも知れないけど、出来るだけ早くあの子達をあそこから出してやりたいんだ」
まどか「………………魔法少女になって………そして自分自身が許せなくなって………そんな子達を助けるのにそうするしかないんですか」
総司「…………わからない…………でも、俺はあの子達をあそこにいさせたくない…………だから、頼む。出来ればあの結晶を砕いてやってくれ」
まどか「………そんなのって」
昏い結晶を見据える瞳に悲しみに溢れる。
まどか「………………ねぇ、ほむらちゃん…………………私のこと護るって言ってくれたよね」
沈黙はそれを作り出した少女自身の言葉で破られる。
ほむら「まどか?」
かけられた言葉が2人の少女の視線を繋ぐ。
ほむら「あなた………まさか!」
まどか「うん……………ほむらちゃんに一緒に来て欲しいんだ」
まどか「………こんなお願い、多分間違ってると思うんだけど…………私とほむらちゃんには正解じゃないかなって思うんだ」
ほむら「……まどか」
まどか「うぇへへ………ほむらちゃん…………一緒に来て………そして私のこと護ってくれないかな?」
ほむら「…………あなたは……………………絶対に私が護ってみせる!」
336: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:08:18.14 ID:HEz0aR3h0
ごうっ
装甲を纏った少女が片手に少女を抱き抱え、圧縮された爆炎とともに宙高くに飛び上がる。
まどか「………………これしかないのかも知れない……………でも………ごめんなさい!」
ほむら「………まどか」
まどか「ほむらちゃん、お願い!」
ほむら「ええ」
まどか「うわああああああああああああっ」
光を纏った拳が流星と化して昏い結晶に迫る
ぎぢっ
流星は昏い結晶の直前で動きを止め、再びエネルギーの嵐が渦を巻く
キュゥべえ「暁美ほむらが自爆するものだと思ってたんだけどね」
キュゥべえ「まぁ、まどかの力なら呪いの結晶は砕けるだろけど、それをほむらが護りきれるかだね」
キュゥべえ「まどかには魔女になって貰わないと僕達のエネルギー回収は大幅に遅延する」
キュゥべえ「暁美ほむら。君がまどかを護りきれることを心から祈っているよ」
まどか「あああああああああああああっ!!!!」
ほむら「まどかっ!あなたは絶対に私が護ってみせるっ!!!」
ばしっ!! ばしっ!!
さやか「あれってまた爆発しちゃうんじゃないですか」
トゥアール「いえ」
トゥアール「…………先ほどよりエネルギーの勢いは明らかに小さい………これなら押し切れるかも」
キュゥべえ「さすがに力を失った状態で最強の魔法少女の力を完全に拒絶することは難しい様だね」
キュゥべえ「それに最強の魔法少女の力を受けているとは言えほむらも良く護ってるみたいだし」
さやか「それじゃあ………まどか達は勝てるんだよね」
キュゥべえ「彼女達の性質は拒絶と依存」
キュゥべえ「拒絶はなんとかなりそうだけど依存に対してはどうだろうね?」
トゥアール「……依存?」
337: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:11:23.99 ID:HEz0aR3h0
まどか「…………ほむらちゃん………何か聞こえない」
ほむら「まどか。何を言っているの?」
まどか「……ほら……何か…………助けてって言ってる!」
ほむら「これは!?呪いが纏わりついている!?」
キュゥべえ「彼女達は己に向かう力に対して拒絶して跳ね返し、救いを求めてすがりつく」
キュゥべえ「放っておけばそれほど害はないんだけど、倒そうとすればかなり厄介な相手だよね」
キュゥべえ「まどか達は何時まで彼女達に対抗出来るだろうね。それにまどかは助けを求める手を振り払えるかな?」
ほむら「まどか!どうしたの?力が落ちてるわ。このままじゃ呪いに飲み込まれる」
まどか「ほ、ほむらちゃん、ごめん」
まどか「大丈夫!私はみんなの方が大切だから!倒さなきゃ駄目だってわかってるから!」
まどか「だから!だから!だから!だから!!」
ほむら「まどか………大丈夫よ。助けたいのでしょ。あの子達を」
ほむら「良いわ。2人で考えましょう。あの子達を救う方法を」
まどか「………ほむらちゃん」
ほむら「それまでは私があなたを護ってみせる。だから迷わないであなたの信じる道を行って」
ほむら「私はずっと一緒について行くから」
まどか「うん!」
ほむら(何時までもは持たない。でもまどかを護るためなら………絶対に!!)
総司(………そうか………そうだったのか)
ほむら「どうしたの観束総司!!」
総司(君はずっとここにいたんだ)
338: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:16:03.99 ID:HEz0aR3h0
総司(そうだよな。全ての宇宙、過去と未来の全てにいるのならここにもいない訳はないんだ)
ほむら「何を言っているの観束総司!!」
総司(例え存在がひとつ上の領域に移行しようとも君が君であった結果がなければそれ自体もありえないんだ)
総司(ここは君に収束するはずの世界の一つかもしれない。けれども君の願いは君は君自身をも救えるはずだ)
総司(誰にも認識出来ない?誰にも干渉出来ない?何を言ってるんだ?)
総司(君がツインテールである限り俺は君を感じ取れるさ。そして俺を通じて力だって使えるさ)
総司(条理?因果?そんなもん知るかよ!!君だってそれが納得出来なかったから覆したんだろ!!)
総司(そんなもんの為に誰かが泣くなんて納得出来るわけないだろ!!だから手を伸ばすんだ!!)
総司(そうだ俺達のツインテールは)
総司(奇跡だっ!!!)
どくんっ
まどか「えっ!?何?この力?………わかる…………これは」
ぶうぉん
渦巻くエネルギーがかき消され、輝く同心円で出来た紋様が呪いの結晶を包み込む。
キュゥべえ「…………これはいったい!?」
ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん
ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん ぶぅおん
呪いの結晶の上空を起点に同心円が植物の様に空を覆い尽くしていく。
キュゥべえ「なんだ………いったい何が起こっているんだ!?」
ほむら「まどかっ!?」
まどか「大丈夫だよ。ほむらちゃん」
まどか「大丈夫。ほむらちゃんもみんなもあの子達もみんな救えるんだ」
ほむら「これはいったい」
まどか「説明は後だよほむらちゃん。最後まで一緒に行くよっ!!!」
339: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 01:21:07.08 ID:HEz0aR3h0
まどか「シャイニングっっっっっっっっっっっっっ!!」
まどか「ブレイザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
光る拳が全ての闇を吹き払う輝きを放つ。
ほむら「………呪いが………浄化されていく?」
さやか「トゥアールさんこれはいったい?」
トゥアール「………わかりません………これは……いったい何が?」
キュゥべえ「なんだ………僕達が認識出来なくなっている?…………これは……個体間のリンクが切断されているっ!?」
キュゥべえ「いったい何が起こっているんだ?」
総司(さぁ、行こう!!円環の理!いや、まどかっ!!)
キュゥべえ「何なんだ!?いったい何が起こっているんだ?」
キュゥべえ「何なんだこの光は!!!」
そして世界は光に包まれた。
343: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 23:52:29.49 ID:cuxc+pBG0
………ありがとう………私を見つけてくれて
……………ありがとう……………みんなを助けてくれて
…………私はそこには行けないけれど…………みんなはそこで違う生き方を見つけられるはずだから
………だからみんなのことお願いします…………観束さん……………本当にありがとうぇい!?
……………………え~~~~~~っ!?/////////////
ちょ、ちょっとそんなのって///////きゃ~~~~~っ///////ほむらちゃんとそんな/////////////
だ、だめ!!?集中しないと空間が維持出来なっ………み、観束さんっ!!絶た……とに戻れる………れぐれも早まっ………
ぶつん!
レッド(なんだ?今のは………夢?)
レッド「んっ…くっ………………ここは?」
愛香「気がついたんだ……………おはよう……総司」
まどか「観束さん。ありがとうございました」
ほむら「やっとまどかの中から…………いえ…………ありがとう観束総司………あなた達のおかげで私達は夜を越えることが出来た」
ほむら「………ほんとうに…………ありがとう」
レッド「…………そうか俺は……………終わったんだな………愛香」
愛香「ええ。終わったわ………お疲れさま。総司」
レッド「終わったか………おい!他のみんなは」
愛香「大丈夫よ。気絶してるけど誰にも怪我はないわ。今はあそこでさやかが看てるわよ」
そうか、みんな無事だったか。
約1名が頭から壁にめり込んでいるように見えるけど怪我がないなら心配ないんだろう。
なんでめり込んでいるかはきっと考えないほうが良いだろう。
レッド「けど、今回俺は最後の方実質ずっと気を失ってただけだもんなぁ」
まどか「そんなことないですよ。最後観束さんが力を貸してくれなかったら本当に危なかったですよ」
まどか「あれっていったい何だったんですか?」
レッド「あぁ、あれか……………そうだな。話すと長そうだし、伝言も頼まれてた気もするし………祝勝会を兼ねて何か食べながら話そうか」
レッド「…………費用はこっち持ちでな」
まどか「うぁ」
きぃしゅいん
総司「とりあえず、みんなのところに行こうか」
愛香・まどか・ほむら「「「………」」
344: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 23:56:26.43 ID:cuxc+pBG0
総司「ん?どうかしたのか?」
愛香「そ、総司!?」
総司「なんだ?」
愛香「あ、あ、あ、あんた」
突き出された掌がそれをむんずと掴む
ぽにゅん
総司「うひゃぅ///////あ、愛香何をって!?これは胸!!?」
総司「まさかっ!?……俺またソーラに!?」
愛香「違うわよっ!………………あんた………総司のまま女になってるのよ!!?」
総司「…………っ!!!」
その一言が一瞬で顔を蒼白に変える。
総司「あっ、あ、あ、あぁ、まさかっ!!………………俺は、俺はっ!」
総司「ツインテールじゃないっ!!」
愛香「なんでそっちが最初に来るのよ!!!女になったことを気にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
ふうおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!クロスアウッ!!!
愛香「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
突如空に出現した裸体がオーバーヘッドキックで撃ち落とされ、錐揉みしながら宙に浮ぶ着衣の中に押し込まれていく。
トゥアール「なっ…………ひと蹴りで脱ぎ捨てた着衣に人を押し込めるなんて…………何たる神技」
愛香「あんたが女でも襲う変 なのは知ってるけど、なんでいつもより「やる気」出してんのよっ!!」
トゥアール「何を言ってるんです!想像して下さい愛香さんっ!」
トゥアール「今、総司様は女の子になっています。それであんなことやそんなことをしちゃってですね」
-
トゥアール「『トゥアールぅ………そんなところ…………くぅっ………だめっ……も、もうっ』なんて言ってくれるかも知れないんですよ」
愛香「 」
ばしゅあっ
トゥアール「汚っ!!●●蛮人が鼻血吹いたっ!!!」
「ハッ、コノスキニソウジサマヲ」「サ、サセルカァ」「ヤン、アイカァ、ソコキモチイイヨォ」「 」バシュアッ「フッ、イガイニオトメナノガアダニナリマシタネ。サァ、イザソウジサマーー!!」
345: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 00:00:31.89 ID:c+Cw/VzJ0
ほむら「………………頼りにはなるのだけれど………私、あの人達のああいうところどうしても馴染めないの」
まどか「…………あはは………まぁ、別の世界の人達だし…………きっとあっちはあれが普通なんだよ」
ほむら「…………あんなのが普通の世界に生まれなくて良かったわ………ほんとに」
まどか「あはは………でもほんとに良かったよね」
ほむら「えぇ…………でも」
まどか「大丈夫だよ……………私達なら大丈夫だよ」
ほむら「…………そうね」
まどか「うん。絶対に大丈夫だよ」
まどか「…………ねぇ、ほむらちゃん………今までほんとうにありがとう………これからもよろしくね」
そして握手を求めて鋼の腕が差し出される。
ほむら「…………ふふっ………それ、かっこいいかもね」
まどか「あぁっ!ほむらちゃんひどいっ!」
ほむら「ごめんなさい………でもあなたはいつも私の憧れだった……どの世界のあなたも眩しいくらいにかっこよかったわよ」
まどか「ほ、ほむらちゃん!/////わ、私なんて!//////////そ、それにせっかく魔法少女になるんだったらかわいい方が絶対に良いよ!」
ほむら「そうね。けどそれはトゥアールに頼んだらなんとかしてくれるんじゃないかしら」
ほむら「でも、そのままじゃ握手は難しいわね。硬くて痛そうだし」
まどか「あぁっ!ほむらちゃんやっぱりひどい!」
ほむら「ふふっ」
ふぁさっ
髪をかき上げると同時に少女は光に包まれながら装いを変え、そして右手を差し出す。
ほむら「これからもよろしく。まどか」
まどか「うん」
微笑みとともに少女の手足が光へと換装され、華奢なその手が再び差し出される。。
まどか「よろしく。ほむらちゃん……んっ、んんっ…………今日は叫びすぎかも……えへへ」
まどか「あれっ?ほむらちゃんそんな良い匂いのシャンプーしてたっけ?」
ほむら「 」
まどか「ほむらちゃん?」
346: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 00:03:22.04 ID:c+Cw/VzJ0
ぽん ぽん ぽん
差し出された手を通り過ぎた手が、肩を、腕を、確かめるように叩く。
まどか「…………ほむらちゃんどうしたの?…………なんだかすごく脂汗が出てない?」
ほむら「い、いえ………ぜ、絶対に私の勘違いだから」
ほむら「まどか………わ、私今からすごく失礼なことをするから………そしたら私をおもいっきり引っぱたいてね………きっと気のせいだから」
まどか「えっ?ほむらちゃん何言って、ちょ、ちょっ!?」
ぺたん
二人の心にしか聞こえない音が響いた。
まどか「………ほ、ほむらちゃん」
ほむら「………まどか…………違うわよ。絶対に勘違いだから」
まどか「そ、その……今気がついたんだけど、そのスカートの中に何かいる……………みたいなの」
まどか「き、気のせい………だよね」
ほむら「だ、大丈夫だから!絶対に気のせいだから!だから!だからっ!!!」
意を決した少女が行動を起こす。
ぐにっ
ありえない何かが止めた時間の中、少女達は潤んだ目でお互いを見つめ合う。
ほむら「……ま、まどか」
まどか「………うぇ………うぇひっ」
そして少女は崩れ落ちた。
ほむら「まっ、まどかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
347: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 00:08:39.59 ID:c+Cw/VzJ0
マミ「鹿目さん、ダメよ!拳の必殺技にブレイザーなんて名まえっ?…………私は」
杏子「やっと気がついたか………てかお前どんな夢見てたんだ?」
マミ「佐倉さん…………夢って………えっと…………っ!ワルプルギスの夜は!!」
杏子「終わったよ。あたしも気ぃ失っててよくは知らないんだけどな」
杏子「まっ、間違いなくあたし達がワルプルギスの夜を倒したんだ……………そういや、いつだったかそんな話もしてたっけな」
マミ「………佐倉さん…………さっきはほんとにありがとう」
杏子「よせよ。あたしが自分の都合でこっちに出てきて、なりゆきでああなっただけだよ………感謝なんてされるようなもんじゃねぇよ」
マミ「……佐倉さん」
杏子「…………まぁ、あの時マミと話してたことが本当になったのは悪くなかったかな」
マミ「佐倉さん!」
杏子「しかしなんだな………あたしと別れてから随分面白い奴らとつるんでるんだな」
杏子「ひとり男がいるって聞いてたけど、まさかあいつだったとはなぁ」
マミ「観束さんのこと?」
杏子「えっ?あのまどかってやつだろ」
マミ「鹿目さんが?」
「コ、コラ、ヤメロッテ、トゥアール。ヒャッ、ソ、ソンナトコロ///」「ヨイデハナイカ、ヨイデハナイカデスヨ、ソウジサマ」「チョ、チョットコレイジョウハ」「ヒャッハーノッテキマシタネ、ノッテキマシタワーデスヨォーーー」
「トゥー ア- ルーーーー」「ヒィッ!!バ、バンジンガフッカツシタ」「ヨクモ、ワタシノイナイウチニ、ソウジニ。キョウコソケッチャクヲツケテヤルワッ!!」
「ホ、ホムラチャン、ソノナニカニギリシメテルヨウナミギテ、ナマナマシイカラヤメテヨォ」「ミ、ミギテ//////」「ソコデカオヲアカラメナイデッ!」「デ、デモワタシアンナノサワッタノハジメテデ」
「ホムラチャン!!//////」「ゴ、ゴメンナサイ//////」「ダカラカオヲアカラメナイデヨォ!?ヤダッナンカオオキクナッテ。ヤダヤダヤダアーー]ボクッ「ハウッ」「マ、マドカァーーーー」
マミ「えっと……何なの、このカオス?」
杏子「まぁ、付き合いの幅が広がるのは良いことなんじゃね」
マミ「あ、あはは、は、あっそうだ佐倉さんこれから家にこない?祝勝パーティをしましょうよ」
杏子「まぁ、かまわないけど………あの調子だとそんな雰囲気じゃないと思うぜ」
マミ「そ、そうねあれが終わってから…………ということで良い………かしら」
杏子「いつになるやら」
マミ「あ、あはは、は………あれっ!?……そう………言えば」
マミ「キュゥべえは?」
353: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/24(日) 02:56:29.00 ID:Uc6+gJcj0
うんんっ やっ はんっ だ、駄目っ はぁ
……………ほむらちゃんかわいい………だめよ、まどやっ!!…………
ち、違っ、やっ////////…………嘘ついちゃだめだよ、ほむらちゃん…………う、嘘なんかじゃ、んんっ///////
そうなんだ。じゃあやめちゃおうかな?………そんな………そんなってどんな?
やっ///////////………ほむらちゃん……私、ほむらちゃんが素直になってくれたら嬉しいなって
大丈夫、ほむらちゃんに恥ずかしいコトなんて言わせないから………もし続けて欲しいなら…………私の名前呼んでくれないかな
………お願い……私のことが好きなら名前を呼んで………お願い
…………んっ///////////……まど……か……まどか……まどかっ
まどか! まどか! まどか!
まどかっ!
まどか「うぇひっ?!!」
ほむら「大丈夫?まどか。随分うなされてたみたいだけど」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?………えっと、へっ!?/////////////な、なんでもない!なんでもないよ!!あは、あはは///////////////」
ほむら「ほんとに大丈夫?」
まどか「ひゃうっ!か、顔近いよほむらちゃん!///////////」
ほむら「あっ、ごめんなさい……熱はないようだけど気分は悪くない」
まどか「だ、大丈夫!大丈夫だから!!///////////」
ほむら「そう……だったら良いのだけれど…………ねぇ、まどか」
まどか「ひゃ、ひゃいっ!!」
ほむら「………その……気持ちは分かるのだけれど………やっぱりテイルギアのまま寝るのはやめた方が良いんじゃないかしら」
ほむら「………ベッドが随分軋んでたし…………それ……どう見ても寝るのには向いてないと思うのよ」
ほむら「………うなされていたのそれが原因じゃないかしら」
ほむら「………ねぇ、やっぱり私の幻術じゃ身体のことが気になっちゃうかしら」
まどか「違うよっ!ほむらちゃん」
354: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/24(日) 03:05:35.50 ID:Uc6+gJcj0
まどか「ほむらちゃんが住み込みで幻術をかけてくれてるおかげで身体のことも気にならないし、ママ達にも心配かけずに済んでるんだよ」
まどか「ほんとに感謝してるんだよ………ほんとは私が自分でなんとか出来たら良いんだけど、私の魔法だと………」
ほむら「………そうね……前に幻術を使ったら見わたす限りの人がみんなまどかの姿になっちゃったのよね」
まどか「……うん………それに魔法で身体を女の子に戻そうとしたら」
ほむら「…………トゥアールがあとで調べたら世界中の男の人全員が女の人に変わっていたみたいね」
ほむら「しかも私達以外は誰もそれに違和感も抱かなかったって」
まどか「………うん、身体が元に戻るんだったらそれでも良いかなって思ったんだけど……タツヤとパパも女の人になっちゃって」
まどか「…………ママと女の人になったパパがいちゃついてるのが見てられなくなって元に戻しちゃったんだよね」
ほむら(トゥアールの話だと世界中の雌雄に分類される生き物の雄がすべてが雌に変化したって言ってたのよね)
ほむら(あのままだったら生物の大半が絶滅してたかも知れないって言ってたから、まどかには気の毒だけどお母さんGJだったのかしら?)
まどか「なんで私の魔法こんなんなんだろう……強すぎて全然役使えないよ」
ほむら(………そう、まどかの魔法は強力過ぎる………なのにソウルジェムは少しも濁らない)
ほむら(いえ、あの戦い以来、私のソウルジェムも誰のソウルジェムも濁らなくなった)
ほむら(そしてあれ以来、魔女とキュゥべえが姿を見せなくなった………いったい何が起こっているの?)
まどか「………ほむらちゃん?」
ほむら「大丈夫よ。魔法はいつか使いこなせるようになるんだから。もっともそれまでにトゥアールがなんとかしてしまうかも知れないわね」
ほむら「それまでは私達があなたのことをちゃんとフォローするから……だからテイルギアで寝るのはもうやめなさい。いつか首を痛めちゃうわよ」
まどか「………うん……でも男の人の身体で寝ちゃうと………起きたら女の子としての何かが終わっちゃいそうな気がするんだ」
ほむら「女の子として終わる?」
まどか「…………ほむらちゃん………そこは深く突っ込ま………っ!/////////////////なんでも!なんでもないから!!」
ほむら「どうしたの?」
まどか「ほ、ほむらちゃん!顔近いよっ////////////////」
まどか(………ううっ………突っ込むってナニにナニをって//////何で夢の中でもこんな変なことばっかり思い浮ぶの!)
まどか(こんなの絶対おかしいよぉ//////////////)
ほむら「まどかやっぱり顔が赤いわよ。熱があるじゃ」
まどか「っ!!だからなんでもないったらなんでもないの!!//////////////」
ほむら「わ、わかったわ。そ、そうだまどか!今日は駅前のショッピングモールにでも行かない?」
ほむら「考え込んでても急に問題は解決しないもの。たまには気分転換しなきゃ」
ほむら「大丈夫よ。今は辛いかもしれないけど絶対に解決する話だから。思いつめちゃだめだよ」
まどか「………うん………ありがとうほむらちゃん」
ほむら「良かった………ねぇ、もし予定が合うならみんなも呼んで、ちょっとくらいハメを外しても良いかも知れないわね」
まどか「うん!そうだねっ!」
359: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 02:25:26.59 ID:DKVvbtYh0
「「はぁぁ」」
放課後のフードコート、2人はその溜息で通路を挟んだ隣を認識した。
ほむら「あら?」
さやか「あれ?」
ほむら「美樹さ………いえ美樹さやか」
さやか「………今のは言い直さなくても良かったんじゃないの?」
ほむら「………そうね、ごめんなさい………つい昔の口癖が出てしまったわ」
さやか「どっちがだよ、ってそういえば色々あったって言ってたよね」
ほむら「……でもあなたには関係ないことよ………ごめんなさい」
さやか「……………ねぇ、ほむら。あたしが言うのはちょっと違うかも知れないんだけど」
さやか「なんかあたしが色々迷惑かけたみたいでごめん!とりあえず、あたしが代表して謝っとく」
ほむら「……私の過去にあったことは私だけの問題よ。あなたが謝る必要はないわ」
ほむら「…………いえ、あなたがどうなるかを知っていながらそれを見捨て続けてきた私の方こそあなたに謝るべきでしょうね」
さやか「だから、そういうの引き摺りたくないんだ……確かにあんたの過去に何かがあったなんて今のあたしには関係ないよ」
さやか「でもあんたが体験してきたことを全部なかったことにするのもなんか間違ってる気がするんだ」
さやか「だからさ、まぁ仲直りって訳じゃないけど………うん!やっぱりあたしが代表して謝る。だからこれからはよろしくね」
ほむら「………むちゃくちゃな理屈ね………でもあなたのそういうところ、すごく眩しくて羨ましく思ったことがあったわね………永い間忘れていたけど」
ほむら「………………ありがとう……………美樹さん」
さやか「う~ん、呼び方はさやかで良いんだけどなぁ」
ほむら「違うわ………ついでに思い出したのよ………最初の頃、あなたに親切にして貰ったのにお礼も言えなかったことを」
ほむら「………だから………筋は違うけどあなたにお礼を言いたい気分になっただけよ」
さやか「…………デレた?………はっ!ひょっとしてこれはさやかちゃんルート突入?」
ほむら「安心しなさい『美樹さやか』。私だってバッドエンドしかないルートを選ぶほど物好きじゃないないわ」
さやか「おい」
ほむら「でもさっきのため息、上條恭介に告白出来なくてうだうだ考えてたからなんでしょ」
さやか「ぐっ」
ほむら「はっきり言うわ。私が繰り返して来た1ヶ月で、あなたと上條恭介が上手くいった時間は一度もなかったわ」
さやか「………」
360: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 02:32:02.87 ID:DKVvbtYh0
ほむら「……………あなたが魔法少女になった時はね」
さやか「えっ?」
ほむら「そうでない時はどうだったかしらね…………そうねまどかと一緒にあなたから惚気話をさんざん聞かされた覚えがあるわ」
ほむら「バイオリンを弾いてるところが格好良いだのあれで優しいところがあるだとか」
さやか「………それって」
ほむら「安心しなさい………いえ安心しないでかしら………それと同じくらい泣き言も聞かされてるから」
ほむら「憶えている限りだけど………傍目にも浮かれすぎてて危なっかしい時はそんなことが多かった気はするわ」
ほむら「少なくともあなたが上條恭介と付き合うことになったループは何度かあった」
ほむら「どっちにしても今回どうなるかなんてわからないし、私が知ってるのは先週までの一ヶ月間だけだから………気休めにしかならないでしょうけど」
ほむら「でも私には上手くいった時間の方が多かった様に思うわ………いつも通りのあなたなら上手く行くんじゃないの」
さやか「うん!ありがとう、ほむら」
ほむら「どういたしまして」
さやか「それじゃ、次はさやかちゃんがほむらの力になってあげようじゃないか!」
ほむら「遠慮するわ」
さやか「ほう、随分強気じゃないの………じゃああんたが何に悩んでるか当てて見せようか」
さやか「あんたがため息ついてたのまどかのことでしょ。それもあいつが落ち込んでるのが気になって仕方ない」
ほむら「当たり前でしょ。私はあの子の運命を変えるためにずっとこの一ヶ月を繰り返してきたのよ」
ほむら「運命は変えられたけどあんなことになっちゃうなんて………悩まないわけないでしょ」
さやか「それはわかってるよ。けどあんたがため息ついてる理由は違うでしょ」
さやか「まどかが気を紛らわせられるようにいろいろ考えてやったことが裏目に出てかえって落ち込ませたんじゃないかって悩んでる………違う?」
ほむら「………どうして?」
さやか「いやあんたはまどかが悩んでたら、自分のことは放っておいてもまどかの為に全力投球って感じでしょ」
さやか「もし悩むとしたら自分がまどかを傷つけたんじゃないかって思った時だけだろうなってね」
ほむら「隠し事が出来ないだけかと思ったら………そこまで見透かされるとなんだか屈辱的な気分になるわね」
361: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 02:36:30.17 ID:DKVvbtYh0
さやか「そんなこと言わないでよ………こう見えてもあたしあんたに感謝してるんだ」
さやか「だからあたしも少しは力になりたいんだよ」
さやか「そりゃあ、あんたもまどかのことはよく知ってるんだろうけど、それは中学生になってからのまどかでしょ」
ほむら「………」
さやか「あんたがあいつを理解してないって言ってるじゃないんだよ」
さやか「もしあいつ落ち込んだ原因が小学校の頃の思い出かなんだったら、あいつがそれをあんたに話さなきゃそれはわからないでしょ」
さやか「あたしはまどかとの付き合いは、あんたより長いからそのへんは力になれると思うんだ」
さやか「どっちにしても独りで考え込んだってあんまり良い結果に繋がらないのはお互いよくわかってるじゃない」
ほむら「そうね……相談に乗って貰えるかしら………さやか」
さやか「そう来なくっちゃ!」
さやか「それで何があったのよ?」
ほむら「正直わからないわ。でも原因はこの間出かけたことにあるとは思うの」
ほむら「あの日から何か考え込んだり、じっと私を見てたかと思ったら突然目をそらしたり、」
ほむら「なんだかすごくぎくしゃくしちゃってるのよ」
さやか「う~ん。それだけじゃなぁ………その日ってどこに何しに行ってたのよ?そんでなんか心当たりあるの?」
ほむら「行ったのは駅前のショッピングモールよ。映画を見に行ったの。原因はわからない………でも私にあるのだと思うわ」
さやか「う~ん、ベタな話だけどその映画が原因じゃないの?」
さやか「ほら。例えば恋愛映画を見てあんな恋愛したいなって思ったら、男になった自分を省みちゃって落ち込んだとか」
ほむら「多分違う………いえ映画は違うと思うのだけれど、まどかが男になったことを意識して落ち込んだのは当りだと思うわ」
さやか「なんかあったの?」
ほむら「映画に行く前にいろいろ行ったのよ。カラオケとか、スポーツとか、買い物とか」
さやか「………カラオケとスポーツはなんか予想がつくな」
ほむら「最初は楽しかったみたい。身体が軽いとか歌えなかった演歌が歌えるとか。けどそれが続くと自分が女の子じゃなくなっていくみたいだって」
さやか「買い物は………服か」
ほむら「ええ、どうしても着られる服が少なくなっちゃうのよね。あと服や小物というか買い物自体に興味がなくなったみたいで」
さやか「………」
362: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/22(月) 02:42:10.91 ID:DKVvbtYh0
ほむら「だから気を紛らわせられれば良いと思って映画に誘ったの」
ほむら「それで恋愛とか、アクションみたいに男になったことを意識するような映画を避けて探してたら良い映画があったの」
さやか「悪くないと思うよ。何を見に………いやなんかわかった!アニメでしょデ○ズニーみたいな動物が主役のやつ」
ほむら「………当たりよ………デ○ズニーじゃないけどここまで読まれると怖くなるわね」
さやか「けどデ○ズニー以外でそんなのやってたっけ?」
ほむら「ほら今コマーシャルでもやってるでしょ。オオカミとヤギが友達になる映画よ『あらしのよるに』って知らないかしら」
さやか「ん?『あらしのよるに』って確か?キャッチコピーが」
ほむら「ええ、そうよ『ともだちなのに、…おいしそう。』って言うやつよ」
さやか「…………」
ほむら「………どうかしたの?」
さやか「………えっと…………ほむらってコウノトリが赤ちゃんを運んで来るとか、キャベツ畑とか信じてるタイプ?」
ほむら「何を言ってるの?そこまで幼くはないわよ」
さやか「でも『おいしそう』ってのはわからないんだ」
ほむら「………それ……何か意味があるの?」
さやか(………基本真面目そうだし、入院生活長かったからそういうの疎いんだろうなぁ。けどほむらの話だとまどかってかなり染まって来てないか?それに……)
ほむら「どうしたの?」
さやか(まどか命でそっち方面の防御力は0か………このままだったら近いうちに美味しくいただかれちゃうよなぁ)
さやか(………一瞬2人とも幸せなのかもって思えたけどやっぱりそれはダメだろ)
さやか「うん。あんたは良くやってると思うよ。けどまどかが男である限りどうやったって問題は解決しないよね」
ほむら「それはわかってるわ」
さやか「とりあえず………専門家を呼ぼうか」
ほむら「………専門家?………あの人たち?」
370: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:32:56.26 ID:Lb4GAVjk0
さやか「あっ!愛香さん………と観束さん………トゥアールさんは来てないのかな?」
ほむら(………ねぇ、さやか。ツインテールの専門家を呼んでも、まどかの身体は治らないんじゃないの)
さやか(わかってるわよ。あたしだってまどかの身体についてはトゥアールさんに聞くつもりだったんだから)
さやか(けどあたし愛香さんの番号しか知らないし。それにトゥアールさんも来ると思うじゃない)
さやか(どっちにしても観束さんも愛香さんもちゃんと相談には乗ってくれるし、トゥアールさんに話は繋いでくれるでしょ)
ほむら(別にこの二人が………いえ津部愛香が頼りにならないと言ってるわけではないのよ)
さやか(いや、そこは観束さんも頼りにしてあげなよ)
さやか(確か観束さん、前にも女の人になったことがある様なこと言ってたから、あたしたちよりはまどかの悩みとか理解出来るかも知れないよ)
ほむら(どうかしら?観束総司にそんな機能がついているとは思えないのだけど)
さやか(あんた、それはいくらなんでも失礼ってもんでしょ)
ほむら(悪い人じゃ……いえ、頼りにはなるし、良い人だとは思うのよ)
ほむら(たけど、たまにキュゥべえ並に会話が噛み合ってない気がして苦手なのよ)
さやか(キュゥべえ並みって全然ダメなレベルじゃん。人のこと言えないけどあんまり誰かを色眼鏡で見るのは良くないよ)
ほむら(…………あと三人じゃなくて二人って言うのもなんだか不安が残るのよ)
さやか(あ~もうっ!あたし達だけじゃどうにもならないんだから贅沢言ってても仕方ないでしょ!)
ほむら(………それはそうなのだけど)
愛香「元気そうねさやか………上条君とは上手く行ってるの?」
さやか「今のところ進展なしです………けど今その話をしてて……………明日、告白するつもりです」
愛香「そっか、先は越されちゃうみたいね………でも、上手く行くんじゃない。なんかすごく良い顔してるもの」
さやか「はい!ありがとうございます愛香さん」
さやか「……………ところでその顔どうしたんですか?………なんか目の下、酷い隈ですよ」
愛香「隈?………あぁ……毎晩トゥアールが総司にちょっかいかけるのを撃退してたら寝不足になっちゃってね」
さやか「毎晩って…………うぇっ!!……トゥアールさんマジで女の人も襲っちゃうんですか!?」
愛香「あいつは良い奴だし、親友だけど…………マジにナチュラルボーン●●で、男も女もどっちもいける口なのよ」
さやか「………えっと………大変ですね」
愛香「………もう慣れたわ………はぁ」
さやか「マジで疲れてますね」
愛香「………大丈夫よ……けど私を呼び出したってことは何か用があったんでしょ」
371: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:36:28.53 ID:Lb4GAVjk0
ほむら「主にトゥアールにね」
さやか「ほむらっ!」
ほむら「相談したかったことはまどかのことなの。あの子、男になっていろいろ悩んでるみたいだから。それをなんとかしたかったの」
ほむら「それを根本的に解決出来るとしたらトゥアールくらいしか思いつかなくて………それでさやかに頼んであなたに連絡を取って貰ったの」
ほむら「………あなた達が頼りにならないって言ってる訳じゃないけど………女の子が男になった悩みとかちょっと特殊すぎるでしょ」
愛香「………まぁ……それは………ね」
ほむら「先に要件を伝えておくべきだったわ………ごめんなさい手間を取らせてしまって」
さやか「ちょっと待ちなよ、ほむら。もしトゥアールさんでもまどかの身体のことすぐに解決出来なかったらどうするの」
ほむら「どういうこと?」
さやか「トゥアールさんだったらいつかまどかのことも解決してくれると思うけどさ。もし元に戻すまでに時間がかかるかも知れないじゃない」
ほむら「それはそうかも知れないけど………だからどういうこと」
さやか「だから、もし時間がかかるとしたらその間まどかのこと放っておくの?」
ほむら「そんなわけないでしょ」
さやか「そうでしょ。だったら簡単に関係ないみたいな態度を取らないで、同じ様な問題を抱えてる人達とはしっかり話すべきだよ」
ほむら「………それはそうかも知れな「はい!四の五の言わないの!」
さやか「観束さんだって同じようなことで悩んでるんだからちゃんと話は聞いておく!」
ほむら「えっ?じゃ、じゃあ観束そ「違うでしょ」
さやか「観束さんは歳上なんだから、観束さんか、総司さんって呼びなさいよ!」
ほむら「えっ?何なのいきなり?」
さやか「あんたの話し方!前から気になってたんだけど友達になったからには言いたいことは言わせて貰うからね!」
ほむら「私は別に………」
さやか「親しき仲にも礼儀有り!」
ほむら「別に親しくは」
さやか「………」
ほむら「じゃあ………観束………さん」
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:39:12.43 ID:Lb4GAVjk0
ほむら「えっと………さっきから気になってたのだけど、その髪型は何なの?………角でも生えたの?」
総司「これか?これは芽だ」
ほむら「芽?」
総司「ああ………今は角に見えるかもしれないけれど、これはいつかは立派なツインテールに育つ芽なんだ」
ほむら「………あなたそれまで女でいるつもりなの?」
総司「いや、さすがにそんなつもりはないけどな………でもそれまでにこれがツインテールが育ったなら男に戻ってもそのままでも良いかもな」
ほむら(………さやか、本当にこの人の話がまどかの役に立つと思うの?)
さやか(………えっと…………そうだ!嫌なことがあっても好きなこととか興味があることがあったら悩まずに済むってことだよ!)
ほむら「………」
さやか「…………たぶん」
さやか「あっ、そうだ!観束さん女の人になって困ったこととかないですか?」
ほむら「その質問に何か意味があるの?」
さやか「ほら、女の人になって困ったこととか男になって困ったこととかに共通してるかもしれないでしょ」
総司「………う~ん、まどかの悩みの参考にって言うんなら男と女だから一概には参考にならないと思うけどな」
総司「俺の場合、顔が変わってないのにこの身体だからな………正直どっちとして見ても違和感もって見られてる気がするんだよな」
ほむら「まどかも同じような事は言ってたわね………けどあなたの場合、身近な人を気にする必要はないでしょ」
ほむら「女性として見られることに抵抗が有るのはわかるのだけど、ツインテールにするくらいなら少し化粧でもすれば良いのじゃない?」
総司「俺もその辺はまどかの方が大変だと思うし、ほむらの言ってることは一つの解決策だと思う」
総司「けど俺はツインテールを愛してるだけで、女装したいわけじゃないんだ」
ほむら(………ねぇ、さやか。今の私と観束そ………さんの会話噛み合って………たけどツインテールが良くて女装はだめって理解できる?)
さやか(……………えっと………………その辺はパスっ!とりあえず違和感持って見られるところが問題だってわかったから良かったじゃん!)
ほむら(そんなの最初からわかってたんじゃ………)
総司「あと個人的にはやっぱり胸がなぁ………男から変な視線で見られるし、動くと鬱陶しいし、手を動かす時も邪魔になるし」
総司「下 を着けなきゃ擦れて痛いし、不安定だし、下 を着けたらめちゃくちゃ肩がこるし」
総司「こうなるまで気にもしてなかったけど………女って大変だったんだなぁ」
愛香「ぐっ!!」
373: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:42:16.54 ID:Lb4GAVjk0
ほむら(…………さやか………魔女がどこかで結界を張ったみたいだから私行かなきゃ)
さやか(おいっ!!その前にここの結界を何とかしていってよ!)
ほむら(何のこと?ここに魔女でもいるのかしら?)
さやか(あんた、わかってて言ってるでしょ!)
愛香「…………ねぇ、総司」
ほむら((ひぃっ!!))
総司「どうかしたのか愛香?」
愛香「………そんなに大変?」
総司「あぁ。こんなことになるまで気にもしてなかったけどな。女の子には優しくしろって言うのが良くわかるよ」
愛香「………そう………それは………良かったわね」
さやか(ねぇ、ほむら!何とかしてよ)
ほむら(何をどうするのよ!)
さやか(だってこのまま放っておいたら観束さんの胸もぎ取られちゃうよ!)
ほむら(本人もそれで悩んでるんだから、ちょうど良いんじゃないの?)
さやか(こんなところでそんなことしちゃったらスプラッタにちゃっちゃうでしょうがっ!!)
ほむら(………とりあえず津部愛香はあの中で一番の常識人でしょ)
ほむら(好意を抱いてる相手に手を出したり、トゥアールもいないしこんなところで暴力沙汰なんてありえないわよ)
総司「そういや愛香はそんなに大きくないから良かったよな」
ぎりっ!
どこからともなく何かを噛み殺すような歯ぎしりが響き渡る
それは2人の脳裏に翼と●●●●を生やした憐れなモニターの残骸を思い出させる。
さやか(ほむらっ!あたしも連れてってよ!)
ほむら(あなたは津部愛香と仲が良いから大丈夫でしょ!私はあの時追い掛け回されたのがトラウマになってるからもう無理!)
さやか(愛香さんとは仲良いけど、観束さんが導火線に火を付けまわってるじゃない。私だって無理だよ!)
ほむら(私は時間停止もなくなっちゃったのよ!津部愛香の相手なんて2秒も持たないわよ)
愛香「総司……………そんなに…………大変なんだ」
総司「あぁ。特に俺の場合もともとが男だからな。大きいからって何も良いことないしな」
ほむら・さやか((ひぃぃぃぃっ))
愛香「そうなんだ…………私………原始的だけど良い方法知ってるの………試してみる」
総司「へぇ、そうなんだ。じゃあ頼んでみようかな?」
愛香「………良い………覚悟だわ」
374: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:49:53.51 ID:Lb4GAVjk0
まどか「そ、そこまでだよ、愛香さん!」
杏子「おい、こらっ!?」
ほむら・さやか「「まどかっ!?」」
ほむら「………と佐倉杏子?あなた達何をしてるの?」
さやか「っていうか何であんたとまどかが一緒に?」
杏子「いやあたしはたまたまこの辺をうろついてたら、こいつがお茶奢るからって引っ張り込まれただけなんだけどな」
杏子「まぁ、あたしに用があったんじゃなくて、あんたらが何してるのかを観察する出汁にされてたみたいだけどさ」
ほむら「そうなの、まどか?」
まどか「えっ!………いや、その…………あっ、ちょっとまって、ほむらちゃん」
まどか「観束さん!」
総司「えっ、俺?」
まどか「そうです!観束さんは無神経過ぎ………だと思います」
総司「そうかな?」
まどか「はい。やっぱり男の人が女の人の身体のことを口にするのはあんまり良くないかなって」
総司「いや俺は自分の身体のことを」
ほむら「あなたは自分を男だと思ってるのでしょ」
総司「そりゃあ、まぁ」
ほむら「それなら男としての自覚が有るなら、女の人の身体を良いとか悪いとか言うべきではないってまどかは言ってるのよ」
総司「あ~~なるほど。確かにあんまり良くない気はするかも」
さやか「良くないです!」
総司「確かにな女の身体になったからって俺は男だもんな。これから気をつけるよ」
総司「けどこの身体前よりも大変だってのは本当なんだよなぁ」
愛香「………」
さやか(あれ、まだ収まってないよね)
ほむら(………ここはさやかと杏子を囮に2人で………いえ、それだけじゃ無理ね………せめてまどかだけでも)
さやか(ほむら、あんた今ぶっそうなこと考えてなかった?)
まどか「愛香さん。大丈夫です」
愛香「………」
まどか「愛香さんの悩み、たぶん私が何とか出来ます」
愛香「………えっ?」
375: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:53:24.21 ID:Lb4GAVjk0
まどか「はい。見てください」
杏子「えっ!?なんだ?おいっ///////えっ!?なにこれ?///////////」
杏子「ちょ/////////やっ///////ひぅっ///////////」
愛香「これって!」
杏子「くぅ//////はっ/////////はぁあ////////………今の何……なんだこれ!おい!なんで胸がこんなになってるんだよっ!!」
ほむら「…………まどか」
まどか「うぇへへっ。マミさんに手伝ってもらって魔法の練習してたんだ」
杏子「おいっ!魔法の練習は構わねぇけぶっ!「まどかさん!!」
愛香「これを使えば私にも」
まどか「はい、愛香さん達にはすごくお世話になりましたし、魔法がうまく使えたら元の世界に帰るお手伝いも出来るんじゃないかって」
愛香「帰るのはどうでも良いけど………これで私にも」
まどか「はい。まかせてください!」
まどか「えっと………あれ?……どうして」
愛香「………」
ほむら「えっと魔法の使い過ぎで疲れたとか」
まどか「………そんなことは………えっと杏子ちゃん!」
杏子「うひぅ////////って、またおまえっ!あたしはこんな(それ以上はだめっ!)
さやか(あんただって事情は見てたんでしょ。命がいらないって言うの!)
杏子(いや、そんな深刻な話じゃねぇだろ。てか、お前何げにひどいこと言ってねぇか?)
まどか「………おかしいなぁ………えっと、さやかちゃん!」
さやか「ひゃぅっ!////////」
まどか「やっぱり効いてるよね………観束さん!」
総司「ひゃんっ!////////っておい!」
まどか「じゃあ、ほむらちゃん!」
ほむら「………何も起こらないわよ」
まどか「……………ほむらちゃんもってことは魔法が効きにくい体質とかあるのかな?」
愛香「…………」
さやか「ま、まどか!あんた1人に魔法かけるより全体にかける方が得意とか言ってなかった!?」
ほむら(さやか!まどかの魔法を制限なしにかけたら生態系とか、世界のあり方にまで影響が出るかも知れないのよ!)
さやか(知ってるって!だからそんなことがないように女の人の胸のサイズを全世界共通にするとかすれば良いでしょ)
アカチャントカニエイキョウデタラドウスルノヨ?ソレハネンレイトカジョウゲントカキメトキャヨイジャナイ!アタシソンナニコマカクジョウケントカキメラレルカナ?
ダイタイ、ソコマデシテムネノオオキサヲドウニカスルイミガアルノ?ソレヲシナキャ,イマココデアタシタチノセカイハオワルワヨ!イヤ、ソコマデシネェダロ? アンタハアレヲミテナイカラソンナコトイエルノヨ
376: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:57:14.42 ID:Lb4GAVjk0
まどか「…………ということで気を取り直して」
まどか「これから13歳以上女の人の胸のサイズは90センチになります。それっ!!」
さやか「あっ、胸が大きくなった」
杏子「またちょっと大きくなったじゃねぇか」
総司「俺はちょっと小さ「観束さんは黙ってて!!」
総司「お、おう」
ほむら「………私は変わってないかも」
まどか「私は大きくなったけどほむらちゃんが変わらないってことは………うぇひっ!?」
さやか「どうしたのまどか!!」
ぱしっ
ブラウスのボタンがはち切れる肉の圧力に耐え兼ねて弾け跳ぶ
愛香「…………これ………どう………なってるの?」
さやか「せ、せいきまつきゅうせいしゅっ!!」
ほむら「まどかっ!!今の願いをすぐにキャンセルしてっ!!」
まどか「ひゃ、ひゃいっ!!」
さやか「………あ、愛香……さん?」
愛香「…………大丈夫………私もこんなコンプレックス持ってるのことの方がおかしいと思うし」
愛香「………みんなが私のこと思ってやってくれてるのもわかってるから………だから大丈「せっかく少し楽になってたのに。また胸が大きくなったのか」
がりっ!
さやか(ひぃぃぃぃっ!あれわざと?それとも天然でやってるの?)
ほむら「ま、まどかっ!全世界の女の人を男にしてちょうだいっ!!」
まどか「えっ!そんなことしちゃった「緊急事態だから!!もう胸のない世界にでもしなきゃ収まらないわよ!お願いっ!」
まどか「じゃ、じゃあ世界中の女の人は男の人になります。えいっ!」
377: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 02:59:43.74 ID:Lb4GAVjk0
キマシタワー
まどか「………なんか今、仁美ちゃんの声が聞こえなかった?」
杏子「なんだっ!?この足のつけねに何か引っ付いてるみたいな感覚!気持ち悪ぃ」
総司「おぉっ!男に戻ってる!やったぜっ!!!」
さやか(えっ!?なにこれなんか固くなって………えっ!これが男の人のアレなんだっ!!)
さやか(えっ//////………男の人ってこんな風に感じて//////えっ//////えぇ~っ///////////ひょっとして恭介もこんな風に痛っ!!!」
さやか「な、なにすんのよ、ほむらっ!!」
ほむら「………何だかあなたが如何わしい行為をしているみたいに見えたものだから」
さやか「い、如何わしいってそ、そんなわけないでしょ!………ってほむらはあんまり変わってないけど魔法効かなかったの?」
ほむら「悪かったわね、あんまり変わってなくて。しっかり男になってるわよ」
ほむら「緊急避難とは言えあまり気持ちの良いものじゃないわね………まどかはいつもこんな気持ちを」
さやか「はい。はい。いつもながらのまどか至上主義ごちそうさまです………って愛香さんは?」
ほむら「津部愛香ならそこ………まどかっ!今の願いも今すぐキャンセルしてっ!!!」
まどか「えっ?」
ほむら「早くっ!お願いっ!!」
まどか「じゃ、じゃあ今のなしで!」
ウアァァンモウ!
まどか「………やっぱり仁美ちゃんの声が聞こえたような?」
さやか「ねぇ、今、愛香さんの座ってたところにハリウッド映画でテイルブルー役をやってそうなツインテールでマッチョな白人の男の人が座ってなかった?」
ほむら「やめてちょうだい!そんな絶対大ゴケするのが確定してる映画なんてないし、さっきのは私とあなたの見間違いなのよ」
杏子「いや、あたしも見「てないったら見てないのっ!!」
愛香「…………別に気を使ってくれなくても良いわよ」
ほむら「ひぃっ!!」
愛香「………なんかとんでもない目にあってたみたいだけど………大丈夫………良かれと思ってくれてるのはわかってるから」
杏子「そう、そう。魔法のかかりがどうとか本人に責任のないこと気にし過ぎだろ」
愛香「……うん………ちょっと残念だけど私は私のままなんだから気にしても仕方ないわよね」
ほむら「そ、そうね………それにまどかもまだ魔法は使い慣れてないでしょうから、今回のことをそんなに気にする必用はないと思うの」
愛香「あはは………うん、大丈夫だから」
ほむら(はっ!!さやか!!観束総司の口を塞いで!もう津部愛香のHPはゼロよ!!)
さやか(わかっ…………で……でかっ!!!」
378: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 03:04:55.17 ID:Lb4GAVjk0
ぎすっ
杏子「なんだ!!魔女の結界!?」
さやか「ばかっ!!あんたなんてこと!!」
総司「ま、まて!俺、今回は何も言ってないぞ」
愛香「大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫」
杏子・さやか・総司(((ひぃぃぃぃっ!!)))
さやか(ほ、ほむ!?ほむら?えっ、まどかも?えっ2人ともどこいったの!?)
杏子(おいっ!!テーブルの上、なんだこれ?金と紙がおいてるぞ)
「お勘定はお願いします」
さやか(えっ?逃げたっ!?でも、ほむら時間停止使えないって)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ほむら「くっ………ワルプルギスの夜から2週間………なんだか2ヶ月くらいたった気分だけど時間を止められたわ。2秒だけだけど」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「大丈夫、まどか」
まどか「大丈夫って………これ時間停止!?」
ほむら「えぇ、使えなくなったとばかり思ってたけど、なんとかなったみたい………ちょっと疲れたけどね」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「大丈夫………じゃないかも………恥ずかしい話だけど津部愛香のプレッシャーに耐えられなくて逃げ出しちゃったのよ」
ほむら「あなたを連れ出すのが精一杯だった………けど私は友達を見捨てて………仕方ないわね今から戻りましょうか」
まどか「うえひひっ!大丈夫だよ。杏子ちゃんたちの分のお勘定は置いてきたから」
ほむら「へっ?」
379: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 03:06:25.40 ID:Lb4GAVjk0
さやか(ほむらの奴~っ………ってこれまどかの字だよね?)
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「ちょ、ちょっとまどか///////」
まどか「立てないんでしょ。お姫様だっこで運んであげる」
さやか(えっ?ほむらとまどかの共犯?いやほむらとは偶然ここであって、杏子はまどかが連れてきて)
杏子(あ~っ!ひょっとしてあたしこれの面倒見させるために連れ込まれたんじゃねぇだろうな!?)
愛香「……………ねぇ、総司………それ重くて大変そうね」
総司「ま、まて愛香!なんか目が据わって」
杏子「おい、こら!その何かを握りつぶしそうな手は止めろって」
さやか「えっ?えっ?今何がどうなってんの?なんかわけわかんないんだけど、これって本当に収集つくのっ!?」
385: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 00:54:47.17 ID:HSfWDQ6S0
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ぱりんっ
それは乾いた音を立て、あっけと砕け散った。
そしてそれは
ぁぁぁぁ ぉぉ……ぉぉぉ ぅ……ぅぅぅぅ……ぅぅぅ
ぉぉぉぉぉぉぉぉ ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ああああああああああぁぁぁぁぁっ おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ うあああああぁぁぁぁぁぁっっ
滲み出ていた呪いを塞き止めていた堤防の決壊し、世界にそれが解き放たれることを意味していた。
キュゥべえ「ワルプルギスの夜が倒されるのは何世紀ぶりになるのかな?」
キュゥべえ「けど倒されたという事実はそれほど大きな意味を持たないんだよね」
それを砕いた輝きが溢れ出る呪いに包まれていく。
キュゥべえ「これでまどか達が取り込まれてより強大な魔女になるか、世界に呪いが満ち溢れるかのどちらかが確定したわけだ」
キュゥべえ「これは僕達のエネルギー回収にどう影響するんだろうね?場合によっては地球からの撤退も検討しなければならないかな?」
キュゥべえ「エネルギー源としては優秀な惑星だったんだけど…………ん?あれは………いったい?」
呪いの塊から天に向かってひと筋の光の柱が伸びて行く。
キュゥべえ「これは!?」
天に届いた柱から光の紋様が空を埋め尽くすように広がり、そして世界に光が満ち溢れる。
キュゥべえ「これはワルプルギスの呪いが浄化されていく………すごい…………こんなエネルギーが」
キュゥべえ「………これを解析すれば僕達が抱える問題は全て出来る………すばらしい………魔法少女にこんな可能性が秘められていたなんて!」
キュゥべえ「…………これは僕達の戦略を練り直す必要があるね」
すっ
それは満ち溢れる光の中、それを遮る影として彼の目の前に現れた。
386: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 00:57:10.32 ID:HSfWDQ6S0
そうよね…………あなたたちはそういう奴だったわよね
…………いえ、誰もが納得できるハッピーエンドが存在するなら私が産まれるはずなんてなかったものね
そう呟いた影は慈愛に満ち溢れた昏い笑みを浮かべる
何世紀もずっと煮詰められてきた呪いだもの………光に救われて全部終わりって言うのも味気ないわよね
どれだけ辛かったか………どれだけ恨んでいたか………きっと近くにいた人にはわかって貰いたいわよね
キュゥべえ「君は………何を言っているんだい?」
これはどんな昏い呪いも優しく溶かして包み込んでくれる聖なる光………今、世界はそれに満たされているの
………だけど
ばさっ
広げられた翼が落とす昏い影が彼を包み込む
………私が向き合っているあなたに光は届かない………だからあなたの周りだけにはそれは存在出来るの
影の中に何かがゆっくりと蠢いていく
キュゥべえ「これはいったい!?」
大丈夫よ。私だってこの子達を呪いのままでいさせたいとは思ってないわ
………けど少しくらい時間があっても良いと思うの……………お互いの理解を深め合うためのね
キュゥべえ「まさかっ!僕たちのリンクを伝って呪いを!!」
あら、強制的にリンクを切断したの?…………残念……リンクの切断より呪いが伝わる方が早かったみたいね
キュゥべえ「………ぁ……ぁぁ……」
………大丈夫よ………時間はそんなに取らせないから………多くても私達全員分くらい
でもずっと苦しんで来た子達もいるからちょっと永くなるかも
まぁ、私には時間なんて意味のないことだから気にしないで…………じゃあ………行きましょうか
とぷんっ
…………そして……影はその中に彼らを包み込んで消えていった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
387: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 00:59:17.90 ID:HSfWDQ6S0
激しい閃光と轟音の中、立体的に張り巡らされた幾何学模様の中心にそれは現れた
キュゥべえ「うああああぁっ!?」
キュゥべえ「………………僕はあの時……うあああぁっ!………………なんだ?………今の僕の反応はいったい」
キュゥべえ「………いや………今は現状把握を優先させるべきだ…………ここは………人の家?」
キュゥべえ「………いやここは……………けど、そうならこんなものが張り巡らされていることは………いったい何が?」
それは彼が見知った場所のはずだった。
ただそこに幾重にも張り巡らされた蜘蛛の巣の様な………紐?いやリボンだ………それにあれは………けどこれが彼女の部屋ならそんなものがあるはず
かちゃり
びくん!
背後から聞こえる音に身体が不可解に跳ねる
そこには彼が予想しない彼女が立っていた
トゥアール「ど~も、お久しぶりですキュゥべえちゃん…………はぁ……けどここにおられるってことは本当に起動したんですねこれ」
キュゥべえ「………君はトゥアール?…………なるほど、ここに張り巡らされた訳のわからないものは君の仕業ということだね」
トゥアール「…………訳のわからない……そうなんですよねぇ」
トゥアール「いちおう、これはキュゥべえちゃんサルベージシステム『召喚魔法陣トゥアルグラム』…………なんですけど」
トゥアール「なんなんですかあの人でなし!美人局!詐欺!!悪魔っ!!」
トゥアール「私、全っ然、良い思いしてないじゃないですか~~~!!」
388: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:04:05.65 ID:HSfWDQ6S0
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
くっくっくっくっくっくっ
勝った!
連夜繰り広げられた野戦の果て、倒れ伏す好敵手(とも)を見下ろして高らかな勝利宣言を行う
トゥアール「アンチアイカシステム(AAS)Ver4.13『アイカネムラセール・フログレンス・ソウジサマ(AFS)』」
トゥアール「1度は愛香さんを眠らせたこれに総司様が男の時着てたTシャツの香りをつけたもの」
トゥアール「男の総司様を求める愛香さんにはわかっていてもそれを吸い込まずにはいられない………これを造るまでに私がどれだけ苦労をしたか」
トゥアール「しかし!これで勝ったと油断すれば舌を噛みちぎっても起きてくるのがこの蛮族!!」
トゥアール「そこでこの総司様の身長と体温、ささやき声を再現したで安眠抱き枕『ふわふわ総司様』」
トゥアール「………これに私の持ってる総司様の香りがついたTシャツを着せて香りをつければ」
がしんっ!!
得物を捉える熊ががっぷり四つに組み合う様な音を立てて抱き枕が抱き潰される。
トゥアール「蛮族にこれを使うのは惜しい気もしますが、私が欲しいのは包み紙じゃなくてあくまでも中身!!」
トゥアール「………愛香さん、良い夢を…………私はその間に総司様と新たな扉を開かせて頂きますから」
トゥアール「それでは………ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅおおおおおっっっっっっ!!!いざ百合の咲き誇る花園へぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃ!!!」
がちゃり!
総司「待ってたよトゥアール」
トゥアール「総司様?」
そこには彼女が求めた少女()がベッドに腰掛ける
その身に白い布だけを纏って。
トゥアール「………総司様………その布の下は…………何だか胸のあたりにぽっちり尖ったものが2つ見えるんですけど」
総司「………この下………何も着てないからね……………ずっと待ってたんだ」
ごくり
トゥアール「あ、あはは誰を………ですか」
総司「…………扉を開いてくれる人………かな」
トゥアール「と、扉、あ、新しい扉を私とひらっ!!//////」
気がつけば自らの膨らみの上に白い布に覆われただけの膨らみが暖かくのしかかる。
トゥアール「そ、総司様、きょ、今日は随分と/////////」
389: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:07:37.00 ID:HSfWDQ6S0
こつん
額が額に甘く優しく触れる。
トゥアール「はぅぅ!総司様////////い、息が!」
総司「けどトゥアールさ………最近、帰るための機械あんまりさわってないよな」
総司「…………その理由って………帰る前にこれを思うがままにしたかったからじゃないかな」
己のそれに匹敵する膨らみが薄い布を通して頬を優しくなでる
トゥアール「そ、そんなことは!ひゃぅう柔ら硬いぽっちりが頬っぺたをぉぉっぉっぉっぉっぉ~///////」
総司「違うなら良いよ………けどそうなら正直にそう言って欲しいんだ」
総司「…………俺も少し興味はあるし…………トゥアールがそう思ってくれてるなら…………トゥアールになら俺」
トゥアール「ひゃほぉ~~~いぃぃぃぃぃぃぃ!!ついについに総司様がデレてくれました」
トゥアール「女体の総司様とあんなことやこんなこと、 ふにょん、ふにょんして私なしではいられない身体にするため」
トゥアール「そのために帰るのを先延ばしにした甲斐がありましたよ。さぁ、総司様私と新たな世界線を目指してエル・プサイ・コングルゥ」
トゥアール「それではいざ!!いったっだっきまぁ~~~す」
………はぁ、いい加減に気持ち悪くなってきたわ
とぷん
部屋の全てが溶け込むように影に呑み込まれる
トゥアール「あれっ!?総司様?総司様ったら総司様?」
……………まったく……どこまでが本気なのだか…………なんだかんだ言ってあなたってキュゥべえに似てるのよね
390: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:10:24.92 ID:HSfWDQ6S0
トゥアール「はい?…………総司様………じゃあないですよね?」
………ふぅ…………腹の探り合いは苦手なの…………あとキュゥべえと同じタイプの人と駆け引きをする気もないわ
トゥアール「いやぁ、そんなこと言われても私なんのことだかぁ」
…………わかったわ………あなたが私の望む回答を持ってないならもう用はないわ………あなたはこのまま解放してあげる
………けど、思った通りの結果が出ないのはちょっと残念だから………腹いせにちょっとくらいイタズラしても良いわよね
………例えばどこかの幼馴染を2人っきりで閉じ込めちゃうとか………けどあの2人だと裸にでもしないと進展しないかしら?
…………ねぇ、あなた………良いアイデアはない?
トゥアール「どうううああああぁぁぁぁぁぁぁ、総司様を蛮族の生贄にするつもりなんですか!あなたなんて恐ろしいことを」
………蛮族?………確かに美樹さやかはすぐに手が出ちゃうタイプだけど………そんなに乱暴だったかしら?
トゥアール「…………」
トゥアール「…………はぁ、あなたみたいな上位と言える存在が関わっているのは、総司様の話から少し予想はしてましたが」
トゥアール「まさかそっちから接触してくるとは思ってませんでしたし、総司様にちょかいをかけてたのは本当にいつものことなんですけどねぇ」
トゥアール「まぁ、接触出来たのなら確かに聞きたいことはあるんですけどね」
………………本当にどこまでが本気なのかしら………じゃあ少し話をしましょうか
お互い自分の力だけじゃ手詰まりになってるみたいだから
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
391: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:16:22.11 ID:HSfWDQ6S0
キュゥべえ「…………上位の存在…………そうだ僕は確か………光の中で何かに」
トゥアール「それ、詳しくは思い出せないみたいですよ………キュゥべえちゃんが過負荷で壊れない様にそうなってるって言ってましたから」
キュゥべえ「………いったい僕はどうなっていたと言うんだい?」
トゥアール「ワルプルギスの夜に閉じ込められてた呪いがあったじゃないですか」
トゥアール「浄化される前のあれにキュゥべえちゃんを浸して………魔法少女達がキュゥべえちゃん達に抱いた感情を魔法少女視点で追体験して貰ったって」
キュゥべえ「………うっ、あ、あ、………ああっ、あっ」
トゥアール「ていっ!!」
キュゥべえ「ぷいっ!」
キュゥべえ「いきなり何をするんだいっ!」
トゥアール「いやキュゥべえちゃんの調子がおかしくなったら、頭をこういう角度で叩いたら治る様に調整しといたって言ってましたから」
キュゥべえ「………どうもその存在は僕に悪意を持っているみたいだね」
トゥアール(おそらく彼女が元魔法少女だったからでしょうねぇ………どこかであった様な雰囲気だったのが微妙に気になりますけど)
トゥアール(まぁ、これはキュゥべえちゃんには言わない方が良いかもしれませんけどね)
トゥアール(キュゥべえちゃんの反応によってはキュゥべえちゃんがもっとひどい目に合いそうですし)
キュゥべえ「それで、君はその存在と何を話したんだい?」
キュゥべえ「その存在が君に何をさせて僕をどうしようと言うのか。正直、どうにもよくわからないんだけどね」
トゥアール「え~っと、私に対してはキュゥべえちゃんを助けてやってくれと。その代わりに元の世界に戻る方法を教えるって言ってました」
キュゥべえ「君に僕を助けろって?何故だい?あれはどう考えても今の僕達の科学力なんて問題にもしない存在だったはずだ」
トゥアール「ええ、おそらくはそうだと思います」
キュゥべえ「じゃあそんな存在が何故君にそんなこと頼む必要があるんだい?」
トゥアール「それが………私達が元の世界に戻れないのはキュゥべえちゃんを不自然に閉じ込める結界が世界間の通路を阻害しているからだと」
トゥアール「いい加減キュゥべえちゃんを解放しないと世界にも悪影響が起きるけど、キュゥべえちゃんが苦しむのが楽しくて止められなくなった」
トゥアール「それに自分からキュゥべえを解放するのは、私があいつを助けるみたいで癪だからあなたが助けてやって欲しいの………って」
キュゥべえ「……………」
トゥアール「それで私が造っていた装置をこの部屋に適当に配置して、リボンでつないでエネルギーを通せば良いって」
トゥアール「こんなのが起動しちゃうなんて、はっきり言って私、単なる当て馬みたいなものじゃないですか」
392: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:21:27.60 ID:HSfWDQ6S0
トゥアール「総司様と一緒に2人っきりで添い寝させて下さいってお願いも『あなたが支払っただけの報酬は用意する』ってアレはなんですか!」
トゥアール「あの蛮族がいなかったのは良かったとして、横にいながら指一本動かせなかったんですよ!」
トゥアール「寝顔と匂いを目の前に何にも出来ないなんてどんな拷問なんですか!本当にあの美人局!詐欺師!悪魔ぁっ!!!」
キュゥべえ「…………君から聞かされた事情やら君の態度を見ているだけで身体中のエネルギーが奪われている様に感じるのは何故なんだろうね?」
トゥアール「あぁ、それはうんざりとか呆れるとかそう言う類の感情だと思いますよ」
キュゥべえ「なるほど。それでこんなに脱力感が………感情!?」
トゥアール「えぇ。あの悪魔さんが言ってたんですけど、仮にも共存するなら感情くらい理解してもらわないとって」
トゥアール「それでキュゥべえを感情の坩堝であるワルプルギスの呪いの中で煮崩れないようにじっくりことこと煮込んでみたの」
トゥアール「本当の意味での感情ではない擬似的なものかも知れないけど、少しは相互理解が深まると良いわね……って」
キュゥべえ「………感情を植え付けられた………ということかい」
トゥアール「当たらずも遠からずと言うところでしょうかねぇ」
キュゥべえ「なるほどね………契約を結ぶことに対する不合理な抵抗感……なるほど、確かにこれは感情のようだ」
キュゥべえ「…………だからと言って僕達に取れる選択肢は変わらない………その悪魔は契約の度に僕達が罪悪感を抱けばそれで満足なのかな」
トゥアール「あぁ、その辺もまたややこしい事情がありまして」
キュゥべえ「事情?」
トゥアール「えぇ………ここキュゥべえちゃん達がいた世界とは別の世界なんです」
キュゥべえ「別の世界?」
トゥアール「はい、ぶっちゃけ私達がいた元の世界みたいで………どうもキュゥべえちゃん達のいた地球だけをこっちに貼り付けた感じですかね?」
トゥアール「ここはエネルギーの枯渇とかは特に問題になってませんから、キュゥべえちゃん達がエネルギー回収をする必要性はありません」
トゥアール「それに魔法少女さん達の魔法はエレメーラのひとつの形として落ち着いたみたいですから魔女化とかも無さそうですし」
トゥアール「ひどい言い方をすればキュゥべえちゃん達はいなくても良い状態で、前向きに捉えるなら働かなくても生きていける職についた様な状態なんです」
トゥアール「………それで悪魔さんからの伝言です。『私はその世界にもあなた達にも二度と干渉出来ない。だからあとは好きにしなさい』って」
キュゥべえ「………」
トゥアール「まぁ、いきなりこんなこと言われてもすぐには考えも纏まりませんよね」
キュゥべえ「………」
トゥアール「………じゃあ、私からはひとつだけ………感情って面倒臭いものですけどやっぱりあった方が楽しいと思いますよ」
かちゃり
何かを見つめるそれを残して扉が開かれる
トゥアール「それじゃあ、後はおまかせしますね」
393: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:23:19.40 ID:HSfWDQ6S0
トゥアール「よっ、ぴっ・ぽっ・ぱっのぴ・ぴ・ぴっと」
この一ヶ月、何度かけても繋がらなかった番号が一瞬の間も置かずにつながる。
トゥアール「おっそぉ~~~~いっ!!こういう時は最終決戦でピンチになったときどや顔で登場するのがお約束でしょう!」
トゥアール「もう全部、全部終わっちゃったじゃないですか!いったい何を………………………何泣いてるんですか」
トゥアール「総司様と愛香さんが一緒なんですよ…………無事じゃないわけないじゃないですか………だから泣かなくて良いんですよイースナ」
受話器越しに聞こえる声が鼻の奥につんと刺さる
トゥアール「えぇ、こっちは全て上手く行きました。あとは帰るだけです…………慧理那さん、大丈夫です。心配をおかけしました」
トゥアール「えっ?音量が小さくてこっちにまで声が届いてない?いえ、ちゃんと慧理那さんの声は聞こえてますよ」
トゥアール「はい?声が聞こえないんじゃなくて声が届いてない?ちゃんと聞こえてますよ」
トゥアール「声が届かないと出番が?出番って何のことで……あっ!出番といえばこっちで一緒に闘ってくれるかも知れない人達を見つけたんですよっ!」
トゥアール「みんな凄いんですけど、特にテイルピンクは総司様を上回る程の出力を持つ期待の大型新人なんです」
トゥアール「それにテイルイエ………ロー…………とブラック……)
トゥアール(………被っているのは色だけ……でも、このまま、まどかさん達が加入したら)
トゥアール(あの二人もっと出番がなくなるか、もっとイロモノ路線に走らなきゃ認識されなくなるんじゃ…………)
懐かしさと先行きの不安と今まさに失われようとしている出番をのせてトゥアルフォンは彼女達を繋いでいた。
394: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:27:56.24 ID:HSfWDQ6S0
マミ「はい、キュゥべえ」
差し出された紅茶から立ち上る湯気が紅い瞳に映る
キュゥべえ「………」
マミ「………飲まないの?」
キュゥべえ「………マミ………君は聞いてるんだろう………僕のことを」
マミ「暁美さんとトゥアールさんから、だいたいのことはね」
キュゥべえ「………じゃあ、何故君はこんな風に僕に接することが出来るんだい?」
キュゥべえ「僕は君達が僕をどう思っていたかを追体験した………それを思えば暁美ほむらのように扱うが当然だと思う。君の行動は不合理だ」
マミ「………まぁ、そういう気持ちがないって言ったら嘘になるわね………けど、それだけでもないのよね」
キュゥべえ「………それだけじゃないってどういうことなんだい?」
マミ「う~ん………ねぇ、キュゥべえが追体験した魔法少女達はどうだった?」
キュゥべえ「………多くの少女達は自分に何が起こったかも知らずに絶望していったんだ」
キュゥべえ「中には真実に辿り着いた少女達がいて、そして僕に対して絶望し、怒りを抱いて魔女へと堕ちていった」
キュゥべえ「あれに刻まれた記憶から考えれば、僕に対してこんな風に接することはありえない」
マミ「………じゃあ、キュゥべえ。あなたがそこで体験した感情に不合理なものはひとつもなかった?」
キュゥべえ「………」
キュゥべえ「僕の目的を知った魔法少女………そうだね確かにそんな中にも僕を恨まない、いや親愛の情すら抱いて死んでいった少女達もいたね」
キュゥべえ「確かに不合理だ。マミ、君にはその理由を合理的に説明出来るのかい?」
マミ「………不合理なものを合理的になんて説明出来ないわ………でもそれは少し理解出来るの」
キュゥべえ「それは感情のせいなのかい?」
マミ「そうね………頭の中では私達を弄んだあなたを許せない………確かにそんな気持ちもあるのよね」
マミ「………でも………パパとママを亡くした私の側にあなたは居てくれたの」
マミ「それが私とは関係のないあなただけの事情があったとしても、私はあなたが居てくれたことが嬉しかったの」
キュゥべえ「それこそ不合理だよ。ひょっとしたら僕が君の家族があった事故を仕組んでそう仕向けたのかもしれないんだ」
キュゥべえ「君はもっと人を疑うことをおぼえるべきだね」
マミ「事故は偶然よ………もしあなたが仕組んだことなら、私が死んでしまうような危険は犯さない………もっと確実な手段を取るわ」
キュゥべえ「………」
マミ「ね、一緒にいるだけでも通じ合えることってあるでしょ」
キュゥべえ「………やっぱり僕には感情というものがよくわからないみたいだよ」
396: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:32:27.96 ID:HSfWDQ6S0
マミ「当たり前でしょ。私達だって自分の感情が全部理解してるわけじゃないもの」
マミ「あなたはこれからゆっくりと時間をかけて自分の感情と向き合っていけば良いんじゃないかしら」
マミ「…………だから………キュゥべえが嫌じゃなきゃ、私の隣で一緒にそうしてくれると嬉しいわ」
キュゥべえ「………やっぱり僕には感情というものが理解出来そうにないよ」
マミ「……………早く飲まないと冷めちゃうわよ」
湯気の勢いが少し穏やかになったティーカップがひとりの口元に運ばれる
それに倣ってもう一つのティーカップがもうひとつの小さな口元に運ばれて
キュゥべえ「………これは…………ダージリン………だったっけ」
マミ「キュゥべえが紅茶の銘柄を気にするなんて始めてよね………でも、ずっと前から区別はついてたのね」
キュゥべえ「区別はついてたよ………けど銘柄なんて特に大きな意味はなかったから………紅茶は紅茶でしかないはずだからね」
マミ「でも今日は銘柄に意味があったってことかしら?」
キュゥべえ「そうなのかも知れないね………これも感情のせいかな?」
マミ「さあ、でも気にしてくれる方が紅茶の入れ甲斐があるわよね」
キュゥべえ「………感情というものは面倒くさいものだね」
マミ「でも、私は感情があった方が楽しいと思うわよ」
キュゥべえ「トゥアールもさっきそんなことを言ってたね……………僕にもそれがわかる日が来るのかな?」
マミ「ええ。いつかきっと。だからこれからもよろしくね。キュゥべえ!」
キュゥべえ「………はぁ………今、僕の思考の中には君達に負けたんだという思いがわいて来て仕方がないんだ」
キュゥべえ「おそらくそれは敗北感というものなんだろうけど………普通これは悔しいという気持ちになるものだろう?」
キュゥべえ「けど、今の僕にはそれがまるで望ましいかの様な思いの方が大きいんだ」
マミ「そうね。感情ってそういうものだから」
キュゥべえ「まったく………感情というものはわけがわからないよ」
いつもと同じお茶会、それは少しだけ中身を変えて………あたたかく過ぎていった。
397: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:33:07.64 ID:HSfWDQ6S0
おしまい
398: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 01:46:28.13 ID:HSfWDQ6S0
終わった~い!
最終投稿前に読み直したら誤字脱字の嵐、その中でも
どっかの駅構内
ほむら「観束総司…」
杏子「ん…?」
マミ「暁美さん…?『総司』って…」
杏子「誰だよ?」
ほむら「えっ!?」
総司 → 総二
ほむら「!!!!」
読み返したらハコの魔女で変身したあとから変わってたorz
俺ツイファンの人どうもすみませんでした。
トゥアールさんと愛香さんはSS的には有能なので気が向いたら誰か書いてあげてください。
ここは2,3日放置しますが、今週中にはHTML化の依頼をするつもりです。
こんな誤字脱字、休載だらけのSSにお付き合いありがとうございました。
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素晴らしいクロスオーバーSSだった。ツインテールは、非常に面白いアニメだった。ただ作画に対してネタにされるが、本当にアニメは面白い。見て損は無い
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