1: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:07:19.57 ID:6grWIob3O
梨沙「突飛じゃないわよ! ずーっと前から言ってるじゃない、パパと結婚したいなーって」

飛鳥「それはそうだけど、実際に行動に移すとなると話は別だろう」

梨沙「アタシはね、もう守りに入るのはやめたの。これからはどんどん攻めていくわ!」

飛鳥「アレで今まで攻めていなかったのか……」

梨沙「ちゃんと早いうちに頑張っておかないと、あーいうふうになっちゃうかもしれないし」ビッ

飛鳥「ああいう……?」チラ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463252839

引用元: 的場梨沙「パパにプロポーズする」 二宮飛鳥「また突飛な話だね」 


 

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 043二宮飛鳥
歌、トーク:二宮飛鳥(CV:青木志貴)
日本コロムビア (2016-03-02)
売り上げランキング: 531
2: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:10:26.37 ID:6grWIob3O
心「結婚式の招待状……今年4通目……はぁ~」

P「めでたいんだけど、素直に喜び100パーセントで迎えられない歳になっちゃいましたね」

心「ほんとにね~……アイドルとはいえ、辛いものは辛い☆」

心「ねえプロデューサー♪ もしはぁとがアイドル引退した後、完全行き遅れになったら……」

P「なったら?」

心「………」


心「だ、誰が完全行き遅れだこのやろー!」

P「自分が言い出したんでしょう?」





梨沙「あんな感じにはなりたくない」

飛鳥「あれもあれで悪い関係ではないと思うけど……少しずつ進んでいるように見えるし」

3: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:15:07.77 ID:6grWIob3O
梨沙「とにかく! 殺し文句ってヤツが欲しいのよ。パパのハートをぎゅっとつかめるような」

心「パパのはぁと?」ニュッ

梨沙「ハートさんの話はしてないわよ」

飛鳥「Pは?」

心「部長と打ち合わせがあるから出て行ったぞ☆ 話し相手いなくなったから、はぁともガールズトークに混ぜて♪」

梨沙「ガールズ?」

心「ガールズ☆」ニコニコ

梨沙「飛鳥、判定は?」

飛鳥「子供と大人の境界線は常に曖昧……意識ひとつでいくらでもありようを変えるのさ」

心「つまりはぁともガールだな☆」

梨沙「……まあ、別にどうでもいいんだけど」

4: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:17:31.02 ID:6grWIob3O
心「なるほど♪ 梨沙ちゃんがパパのハートを撃ち抜くセリフを考えてたってわけか♪」

梨沙「どんなのがいいかしら」

心「君の瞳は、100万ドルの夜景よりも美しい☆」

梨沙「? なにそれ」

心「今どきの若者には通じないかー」

飛鳥「通じたとしても、それは成人男性にかける言葉ではないだろう」

心「そう? じゃあ……『一生お前を離さない』☆」

梨沙「とりあえず語尾に星マークつけるのやめなさいよ」

心「あなたと一緒のお墓に入りたいの……」

梨沙「気が早すぎない!?」


心「私の人生半分やるから、あなたの人生半分おくれ☆」

梨沙「完全にパクリ!」

心「出た☆ 梨沙ちゃんのツッコミ三連コンボだ☆」

梨沙「真面目に考えなさいよね!」

心「てへぺろ☆」

飛鳥「……実は、自分が言われたいプロポーズのセリフが混ざっていたりしないのかい」

心「………」

心「そ、そそそんなわけないだろっ」

飛鳥(理解りやすい……)

5: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:20:12.89 ID:6grWIob3O
梨沙「飛鳥はどう? 漫画書いてるんだし、プロポーズのシーンのセリフとか思いつかないの?」

飛鳥「ボクは恋愛モノは描かないからな……そういった要素がゼロなわけじゃないけど、今までまともに手を出したことがない」

梨沙「そっか……確かに、今まで読んだヤツでそういうのなかったわね」

心「だいたいかっこいい系だもんね♪ それか、なんか哲学っぽいやつ」

梨沙「というか、アンタの漫画はいちいちセリフが長すぎるのよ。吹き出し大きすぎるし、そのせいで絵がぎゅうぎゅうに押し込まれてるじゃない」

飛鳥「自分でも読みづらいのは理解しているけれど、なかなか改善は難しい」

梨沙「ま、だんだんマシにはなってるけどね。その調子で名作を描いたら、また読んであげるわ!」

飛鳥「先生のようなことを言うね、キミは」フッ


6: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:22:24.45 ID:6grWIob3O
心「ていうか、言われたい言葉なんて人それぞれ違うんだから……リサパパの好みがわかんないとなんとも言えないぞ?」

梨沙「そこは大丈夫! アタシはパパが喜ぶかどうか、言葉を聞けばなんとなくわかるから!」

梨沙「ただ、セリフ自体が思いつかないだけ」

飛鳥「ふうん」

心「じゃあじゃあ、ちょっと試してみる? 飛鳥ちゃんが告白する側、梨沙ちゃんが受ける側で演技やってみよう☆」

梨沙「あ、それありかも」

飛鳥「なぜボクが」

心「面白そうだから♪」

飛鳥「はあ……大した理由はないと思っていたけれど」

梨沙「飛鳥、一回やってみるわよ」

飛鳥「……一度だけだよ」

心「さすが飛鳥ちゃん! なんだかんだ付き合ってくれる!」

梨沙「じゃ、アタシがここに立つから、飛鳥は」



ドンっ

梨沙「え」←壁際

飛鳥「これで、キミの視界にはボクしか入らない」

心「い、いきなり壁ドンの先制攻撃!?」

7: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:25:02.19 ID:6grWIob3O
梨沙「ちょ、えっ?」

飛鳥「梨沙。キミの勝気な瞳は美しい……ボクにとっては羨ましく、まぶしくさえ感じられるモノだ」

飛鳥「だからこそ、それをボクだけのモノにしたい。その結果、キミの瞳が淀むことになろうとも」

飛鳥「ボクだけを見て……」クイッ

梨沙「あ、あう」ドキドキ

飛鳥「………」

梨沙「………」



飛鳥「これ以上はセリフが思いつかないな」ケロリ

心「そこまでやっといて!?」

梨沙(た、助かった、かも)


8: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:26:23.80 ID:6grWIob3O

飛鳥「それで、なにかの参考になった?」

梨沙「……なるわけないでしょ。アンタ、実際にプロポーズするのはアタシで、プロポーズされるのはアタシのパパだって忘れてない?」

心「まー、梨沙ちゃんにああいう方向性は難しいわな♪」

飛鳥「ふむ……確かに。厄介だね、演技というのも」

心「というか、嫌がってた割にはノリノリだったね☆」

飛鳥「最近は、他人のペルソナを被ることにも少しずつ慣れてきたんだ」

飛鳥「他人の輪郭を知ることで、自らの輪郭も知ることができる……悪くないと思っているよ」

梨沙「演技が面白いっていうのはわかるわね。アタシもこの前怪盗役やったけど、楽しかったし」

9: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:27:39.81 ID:6grWIob3O
心「あ、そうそう! 定番といえば、やっぱり『毎日俺の味噌汁作ってくれ』だよね♪」

飛鳥「それも男の側から言うモノだが」

心「だから、そこは応用☆ 『毎日あなたの味噌汁作らせて☆』って言えばいいんだぞ♪」

飛鳥「なるほど。発想の転換……押しかけ女房だね」

梨沙「でも、お味噌汁くらいなら今でも毎日作れるわよ? もっと豪華なものにしたほうが」

心「味噌汁なめんなこのやろー!」

梨沙「なんでちょっとキレてるのよ……」

心「はぁとはなあ、たまにお母さんの味噌汁が無性に食べたくなる日がなぁ……」ホロリ

梨沙「おふくろの味ってやつ?」

飛鳥「ボクも今は親元を離れている身だけど……いつかはこんなふうに、親の料理が恋しくなる日が来るのかな」

心「どうしても豪華なのがいいって言うなら、毎日味噌汁じゃなくて毎日満漢全席でもいいぞ♪」

梨沙「重いわよ!」

飛鳥「二つの意味でね」

10: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:30:04.76 ID:6grWIob3O
心「毎日満漢全席食べさせてあげる☆ うん、いいじゃんこれ♪ スウィーティー☆」

梨沙「スウィーティーなの? マンカンゼンセキ」

心「このセリフを使えば誰だってイチコロだな♪」

飛鳥「Pでも?」

心「おうよ☆ PでもQでもよゆーのよっちゃん――」

P「俺がどうかしました?」

心「はへっ!?」

飛鳥「おかえり」

梨沙「もう終わったの? 打ち合わせとか言ってたけど」

P「ああ。打ち合わせっていっても、ほとんど今までに決めたことの確認だったからな」

P「それで心さん。俺が余裕とかなんとか聞こえましたけど……なんの話をしてたんです?」

心「あ、えっと」

心「ま、まん……」

P「まん?」

心「………」

心「マンガン電池……」モジモジ

P「???」


梨沙「全然イチコロじゃないし」

飛鳥「どんな言葉も、使えなければ価値は生めない……そういうことさ」

12: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:33:43.49 ID:6grWIob3O
P「ほう。パパの気持ちを引き付けるための言葉か」

梨沙「プロポーズよ、プロポーズ!」

飛鳥「いくつか案は出たけれど、どれも梨沙のお眼鏡にはかなわなかったようだ」

P「そうだなあ……結局、あれこれ飾らないくらいが一番いいんじゃないか?」

梨沙「飾らない?」

P「父親が相手だからな。娘のことはよくわかってるだろうし、下手に手の込んだことをしたって、無理をしてると思われて逆効果かもしれない」

飛鳥「無粋な装飾は不要ということか」

心「満貫☆」

心「大好き! って言えればそれでいいんじゃない?」

梨沙「でも、それだといつもと変わらないし」

P「……隠し味程度なら、入れてもいいのかもしれないな」

梨沙「隠し味?」

P「少しだけ、外見に手を加えてみるとか」

飛鳥「なるほど。装飾を加えるのは仮面のほうか……キミらしいな」

心「なんとなくわかる気もするけど、つまりどういうこと?」

P「それはですね――」

13: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:35:26.19 ID:6grWIob3O
その日の夜


梨沙「パパ! お帰りなさい!」

梨沙「アタシ、今日も頑張ったの!」ニコニコ

梨沙「……あ、やっぱりすぐにわかるんだ。さすがはパパねっ」

梨沙「ちょっと他のアイドルに香水借りたの。どう?」

梨沙「……いい匂い? ふふっ、よかった♪」

梨沙「あとね、こっちの髪についてる羽根は――」ニコニコ


14: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:38:13.09 ID:6grWIob3O
翌朝


梨沙「~~~♪」

心「梨沙ちゃんゴキゲンだね♪」

梨沙「ふふっ♪ パパにいっぱい褒めてもらっちゃった。仲のいい子がたくさんいるんだねって」

梨沙「作戦大成功ね!」

梨沙「ありがと、ハートさん! 香水好評だったし」ニコニコ

心「おう♪」


心(……あれ、プロポーズは?)

梨沙「ふんふんふーん♪」

心「……ま、本人が幸せそうならべつにいいか☆」



おしまい

15: ◆C2VTzcV58A 2016/05/15(日) 04:42:21.81 ID:6grWIob3O
おまけ

梨沙がパパをお出迎えしていたころと同時刻


飛鳥「梨沙はうまくやっているだろうか……」

飛鳥「………」

飛鳥「恋愛漫画、か」

飛鳥「………」カキカキ



飛鳥「今、あなたと結ぶ。永遠に絶えることのない、契約の口づけ――」

飛鳥「………」

飛鳥「ないな、これは」ハァ

飛鳥「もっとスマートに、かつダイレクトに感情が伝わるような……」カキカキ




翌朝


P「おはよう、飛鳥」

飛鳥「おはよう……」ポワポワ

P「眠そうだな」

飛鳥「……恋愛は、怖いね。ボクにとってはまだ、触れるのは早い代物だったか……ふわぁ」

P「?」




梨沙「やっぱり、夫婦なら名字は同じがいいわよね! アタシパパと結婚したら名字同じにする!」

心「もともと同じだろ☆」


おまけおわり