5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:19:58.05 ID:SKraePJH0
兄「はうぁっ!?妹?」

妹「…うん、そうだけど」

兄(しまったぁぁぁぁーー!!やってしまったぁぁぁぁーー!!)

兄(通常なら普通に見えるこの光景、しかし俺にとってはとんでもない状況なのである!)

兄(何故なら…俺はオレオレ詐欺の真っ最中だからだ!)

引用元: 兄「もしもしー?オレオレw」妹「もしもし」兄「妹!?」 


 

職業
NHKスペシャル職業”詐欺”取材班
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8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:21:04.92 ID:SKraePJH0
兄(俺は兄、弱冠20歳の若人!しかしながらその実態はオレオレ詐欺初犯!)

兄(俺のこの歪んだ職業の開業を語るには俺の人生を語らずにはいられないであろう!)


兄(俺が6歳の時、母親は死んだ。その当時親父はギャンブル…パチンコに溺れておりとても生活できる状態でなかった!)

兄(焦った父はその2年後に懇意にしていた   嬢と結婚したのである。噂では  関係を持ったとかなんとかかんとかまあその辺の事情はどうでもいい)

兄(そしてその   嬢の連れ子が…妹だった。大きくなると近所に遊び相手がいなく、俺と妹はすぐに仲良くなった。(もっとも、親父の結婚当時妹は4歳だった))

兄(だがしかし、俺14歳妹10歳の夏!親父はお袋(といっても義母だが)の言う事も聞かず内緒でまたもギャンブル…競馬に手を出した!)

兄(借金はそれほど今度はしなかったが競馬をやっている事がばれ、親父とお袋の信頼関係という名の形状記憶合金はあっさり切断した!お袋は妹を連れ出て行きそれ以後戻る事はなかったのだった…)

兄(親父はパチンコに溺れ競馬に溺れ…そして今度は酒に溺れた。親父は酒に溺れ毎日酒を煽りアル中に。結果的に肝臓ガンでアッサリポックリ逝去!残された俺はガックリビックリ返済!)

兄(そしてシフトぎっしりドーン!もうスタントマンはスッカリ真っ平御免!20歳になり借金はなんとか返済できたもの返済のため高校を辞めて働き完全に体ブローケン!)

兄(「毎日が 昼夜逆転 エブリデイ!」って感じの川柳にできる地獄だったァァァ!!!)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:21:56.92 ID:SKraePJH0
兄(昼夜逆転した後は無職転落残念無念!バイトは俺の生来のドジが災いして何処も受け付けなくなっていた。それまでやっていたスタントマンも演技下手で辞めさせられた。)

兄(生活保護?市役所に行って何度もお願いしたさ。だが役人は俺への生活保護を受給拒否した。)

兄(もう二度と来ないという誓約書まで書かされた。以来俺はあの国家の狗を嫌い、なるべく近寄らず何とか生きてきた。)

兄(だがしかしそんな俺も貯金が底をついた。援助してくれた親戚の叔父さんも娘が重病になっていたと分かったところで見捨てられた。)

兄(家賃も払わなきゃいけない…俺は失意と絶望のズンドコ、もといどん底にいた。)

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:22:56.03 ID:SKraePJH0
(~遡る事2週間前~)

兄(何日喰ってないっけ…)

兄(お袋に電話…駄目だ。何処にいるか分からない。)

兄(もう死のう…餓死して無様な姿を晒すくらいなら自殺しよう…)

兄(手元に残されてた二千円…何喰おうか。最後の晩餐だ。ポンパン(※ポンカレー付けパン)なんかじゃあない豪勢なのに…)

兄(いっその事最後の晩餐は無銭飲食にでもするかな…)

兄(…あ、クロサキだ…。お袋よく読んでくれたっけ…お袋が妹にあげて、そのまま妹が親父や俺たちから離れる時忘れてったんだっけ…)

兄(いっつもお袋は『親父みたいに借金しないで真っ当に生きな』って言ってたな…)

兄(詐欺、か…。)

兄(…そうだ、詐欺をしよう。)

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:24:01.35 ID:SKraePJH0
兄(どうせ捕まるなら無銭飲食だって詐欺だって変わりゃしないさ、ただ刑期が違う、同じ『犯罪』さ。)

兄(なら捕まらずに稼げる…シロサギになってやる…!「騙される? なら騙そうぜ ホトトギス」だ。)

兄(巷でもう騒がれなくなった?オレオレ詐欺ってのをやってみようか)


兄(ここが新宿駅…広いな…)

兄(やっと一人引っかかったネットの裏業者…『モーティマー』だったかな、そろそろ来る時間だが…遅いな…)

兄(ん?…あれは…中学まで一緒だった少年サッカークラブに入っていた友?どうしてこんなところに…)

兄(接触してみるか)「おい、友だろ!友!」

友「ん?お、あ…ああ!兄か!?久しぶりだな!元気してたか!」

兄「それが最近体狂いまくってもうマイッチングって感じでwwwwwww」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:25:03.85 ID:SKraePJH0
友「俺ぁ最近バイトで忙しくて高校殆ど行ってないwwwにしても兄、その口調と調子で一発で分かるのは助かるわwww」

兄「特徴的な言い回しで悪かったなwww…で、なんでこんなとこにいるんだ?」

友「…あ、ああ…人を…ちょっと待っててなw」

兄「なんだよお前A でも出んのか?www」

友「ハハハ…言えねぇよ…」ボソ

兄「…。」(まさか…)

兄「ところでさ、お前外人の彼女っていたよな?」

友「えっ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:26:01.76 ID:SKraePJH0
兄「誰だっけ、お前が『牧場』の近くに住んでる奴って言ってたろ?」

友「????????」

兄「リリーだっけ?それとも『リリアン』だっけ?あの『ミッキー』プルーン…って奴だっけ?大好きな奴だよwww」

友「…。!ああ、そうだな!いたよいたいた!」(まさか兄だったのか?『春瓶』って…)

兄(気づいたな…)「それで、例の『プレゼント』はどうなったの?『諸事』情知らない『?』」

友「ああ、あげたら喜んでたな。」コソッ「場所移動しようぜ。ここ(警察)臭い。」ゴニョ

兄「わかった。」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:26:57.43 ID:SKraePJH0
友「お前だとは思わなかった」

兄「俺もだ。なあ、例の物は?」

友「ああ、これだよ。」

兄(なにかの名簿…番号はしっかりしてそうだな)「ありがとう。じゃあな」サッ

友(プリ携帯の携帯番号とアドレスを書いた紙…)「ああ、元気で」(俺も渡すか)サッ

兄(こっちも同じプリ携帯か…)「そっちもな」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:28:00.75 ID:SKraePJH0
(~現在~)

兄(そして俺は口座を作った。1つじゃあ、ばれそうだったから5つ作って頻繁に中身を入れ替えるシステムだ)

兄(話は「家族が妊婦を轢いたので示談をする羽目になっている」と言う話を使おうとした!)

兄(そして臨場感を出すために録音したテープも友ことモーティマーから借りた!事故現場や警察署内のガヤ音を出すため!)

兄(その見返りとして俺は友が不正アクセスして名簿を集めるために使うPCのパーツを買ってやった!安い奴だったけど!)

兄(そして今日、実行の日!電話に手をかけると手が震えた、今更であるが能動的に犯罪に染まろうとしている自分自身が怖かった!)

兄(だが俺はやるしかない!やるしかないんだ!ブタ箱で臭い飯食わされて毎日死んだような生活するくらいならやった方がマシだ…とな!)

兄(そして後は実行!名簿屋ことモーティマーから貰った名簿の一人目が―…まさかの妹だった。こんな笑えない偶然要らねぇよ!)

兄(南無三!なんたる偶然!なんたる失態!はい死んだー!今俺の人生死んだよー!)

妹「お兄ちゃん?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:29:32.81 ID:SKraePJH0
兄「え、な、何々?何々ー!!!??」(いや落ち着け俺落ち着け俺)

妹「どうしたの?」

兄「な、なんでもねぇよ」

妹「それにしても久しぶりだね!私の方から探しても全然見つからなかったんだもん、びっくりしちゃったよ」

兄「あ、ええと…ま、まあな!兄の情報網をなめんじゃねぇぞ!ハッハッハ!」

妹「びっくりしたよ…あ、そうだ。久々に会えない?お兄ちゃん。」

兄「おういいいいいぜ!いつだ!」

妹「…?お兄ちゃんちょっと今日変だね。どうしたの?あっまさか」

兄「」ギグウ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:30:10.85 ID:SKraePJH0
妹「●●●●の最中だったんでしょ!」

兄「ふぅ…」アブナイアブナイ

妹「えっ、まさか今フィニ」言わせるか!

兄「そうだ来週の土曜!来週の土曜午前10時、お前と遊んでたビル裏公園で会おうな!」

妹「えっ、う、うん。」

兄「週末まで元気にしてろよな!お袋とも仲良くやれよ!」

妹「…うん、…じゃあね。」ガチャ

兄「危ないところだった…」フィー

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:30:52.63 ID:SKraePJH0
兄(にしても、妹声可愛くなってたな)

兄(…何考えてんだ俺は、きっと3次元の事だから滅茶苦茶不細工に成長してるに違いねぇ!)

兄(問題はどう食い繋ぐかだな…)チラ

兄(確かあのダンボールん中には妹やお袋の物が…お袋の口紅とか、妹お気に入りの熊のぬいぐるみとか…)

兄(大切な思い出だと今まで質屋に入れたりしなかったが…もうこうなってくると背に腹は…)

兄(だぁぁークソ!捨てられる訳ねぇじゃねーか!)

兄(これで食いつなぐしか…)チラ

二千円札「だが俺はレアだぜ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:31:39.58 ID:SKraePJH0
兄「なんとか食い繋いだ…」ゲッソリ

兄(妹よ、頼むから俺に希望の光を差し伸べておくれやす)

兄「何考えてんだ俺は、それにしても妹まだかよ」ブルッ

兄「…」

ヒョコ

?「だーれだ!」

兄「目を隠さないでだーれだなんてやる奴始めて見たぞw」

妹「ブッブー!残念!正解は妹でしたー!」

兄「あっ、ずりぃーぞ妹!まだ俺回答してないっつーの」

妹「えー…即答しなきゃ駄目でしょ?それとも妹だって分からなかった?」

兄「ああ、すっげぇ変わってんだもんビックリしたわ」

兄(俺の妹がこんなに可愛いわけが無い)

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:32:33.91 ID:SKraePJH0
兄(黒白赤のコントラストが目立つセーラー服に身を包み、髪は短め、あどけなさと幼さがマッチした女子高校生。)

兄(髪は中学の頃から茶色っぽいと思っていたがここまで茶色になるとは思っていなかった。もみあげは短く背は低い。)

兄(総じて子供っぽい可愛らしさで中学生かと見間違えてしまうほどだ(ちなみに俺の年齢から逆算すると16歳、高校1年生だ))

兄「目悪くなったのか?眼鏡してるけど」

妹「…うん。それに最近風邪気味でね…」

兄「成る程それでマスクしてアh…寝癖立てているのか。」

妹「寝癖!?そういうことは先に言ってよね…ゴホゴホ」ブツクサ

兄(アホ毛直ってないし…そういや妹小さい頃から寝癖つけまくってたっけ)

兄「まあこんなところで話すのもなんだしウチ来るか?」

妹「うん、いこ!」ギュ

兄「おい手とるなって!」(相変わらず胸は未発達みたいだな)チラ

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:33:31.13 ID:SKraePJH0
妹「何この汚い部屋」(色々と幻滅…)

兄「仕方ないだろ、親父の借金返すのに夢中でろくに部屋の掃除も進学も出来ないし」

妹「お父さんに任せればいいでしょ?なんでそれで進学も出来なく」

兄「親父は死んだよ」

妹「あ…」

兄「酒で肝臓ガンだ。そりゃあポックリ逝っちまったぜ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:34:33.36 ID:SKraePJH0
兄「お前等と別れた後、親父は酒ばっかり飲んでたわ。んで、俺が酒買って来なかったり酒止めるよう言ったりした時はもう凄かったぜ。」

兄「灰皿投げたり俺を蹴飛ばしたりとかな。アザは治っちゃったし灰皿は売っちまったからもう証明するモンはねぇけどな」

兄「死んだお陰で酒買う金を借金に注ぎこめたからこんなに早く借金返し終えられたんだけどな」

妹「…お」

兄「あ?」

妹「…ううんなんでもない。それで今どうやって生活してるの?」

兄「?え、ああえっと…」(まさか詐欺しようとしてましたなんて言えないな)「バイトさ、俺致命的にドジだからスタントマン以外の仕事回ってこなくなっちゃってな」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:35:33.16 ID:SKraePJH0
兄(俺は致命的にドジだ。それは自覚している。)

兄(ドジのお陰で噂が広まりこの近辺のバイトはあらかた駄目、残ったスタントマンの仕事も致命的に演技が下手で借金を返し終わると同時に解雇になった。)

兄(だから就活に疲れ、詐欺をしようと思い立ったんだよ…)

兄「つまりなんだ…その…」

妹「ニート?」

兄「そう!それだよ!…ハイ、ニートしてます…うう…」

妹「よくそれで生活できるね」

兄「その事なんだがもう資金が尽きた」

妹「へ?」

兄「所持金1000円、大家から出て行けって言われている」

妹「…」

兄「妹?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:36:43.04 ID:SKraePJH0
妹「馬ぁぁー鹿ぁぁーーーーー!!!!!!!!!!!!ゴホッゴホッ」ゴズッ

兄「うおっ!!」(ティッシュ箱うおぃ!)

妹「どーしてそれで誰にも助けを求めないの!友達は?先生は?家族はどうしたの!」

兄「ぼっちだったし高校行かなかったし家族は…」(あ、やべっ、偶然ってばれない様にしないと)「その…頼りたくねぇからよ」

妹「お兄ちゃんのバカ!プライ…ゴホゴホ…プライド?そんなの全部借金と一緒に返しちゃえばいいでしょ!何?頼ってくれたっていいでしょ!!!」

妹「もう!お兄ちゃんのバカ!」二度言われた…

兄「ごめん…」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:37:50.81 ID:SKraePJH0
妹「…ウチ」

兄「?」

妹「ウチ来る?」

兄「いいのか?」

妹「だってしょうがないでしょ。ナマケモノのお兄ちゃんがここでアホ面でのたれ死ぬよりは幾分かマシでしょ」

兄(酷い言われようだ)「ああ、是非行かせてもらおうか」

妹「そうと決まったらひっこ…あ、そうか引越し業者金無いから呼べないか…」

妹「そうすると…」ブツブツ

兄「まあとりあえず住所教えろ、そこに後で少しずつ持ってくから」

妹「いいよ、私が引っ越し業者呼ぶし」

兄「ごめん」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:43:26.64 ID:SKraePJH0
妹「もう…こんな馬鹿なお兄ちゃんになってるとは思わなかった」グゥゥ

妹「…」グーキュルル

兄「朝飯でも抜いたのか?まだ11時だぞ」

妹「…うん。」

兄「まあいいか。丁度いいしポンパンでも作るか」

妹「ポンパン?何それ!おいしそう!」ワクワク

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:44:57.51 ID:SKraePJH0
兄「出来た」

妹「何これ」チョンチョン パク

兄「兄特製ポンカレー付け食パン!名づけてポンパン!ここに再誕!」

妹「」

兄「さあ早く食パンをカレールウに付けて食べる作業に戻るんだ」

妹「うう…期待しなきゃ良かった」

兄「現実なんてそんなもんだ。さあもう一口」

ドンドンドン

妹「あれ?誰か来たみたいだね。開けるよ」

兄「ああ開けちゃ…開けんじゃねえええ!!!!」

バン

大家「まだいたんですか!いい加減出てってください!そろそろ某リバーシの片方みたく訴えまs…ってあなた誰ですか」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:45:42.55 ID:SKraePJH0
妹「この人の妹です。お兄ちゃん?この人は」

兄(あー面倒くさい人が)「…ああ大家さんだ。ご機嫌麗しゅう大家陛下。」

大家「妹さんですか?どうかこの人を説得して出て行かせてください!」

妹「説得は終わりました。明日…いや明後日にはこの部屋のものは片付けられそうです」

兄「!?おい妹!」

大家「ありがとうございます!物分りのいい人がいて助かりました!それじゃ」バタン

妹「これから私の家に入るんでしょ?だったら家主である私の言う事に従ってよ!ね?」

兄「はいはい…」

妹「分かってくれたのならばいいの!うん、じゃあ明後日、引越し業者ここに呼ぶからね!」

兄「分かったよ。」

妹「あとは…」

兄「住所は?」

妹「そう!それ言おうと思ってたんだよ!」カキカキ

兄(地図の通りだと割りと近いな、なんだこんな近くに住んでたのか)

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:46:59.07 ID:SKraePJH0
兄「色々とありがとな。妹。」

妹「…いいよ、私さ、小さい時結構いじめられてたじゃない?お兄ちゃんその度に守ってくれてさ。」

妹「だから、家くらいちょっとは助けてあげよっかなって…ま、アパートなんだけどね。」

兄(そういえばこの家も叔父さん(クソ親父の弟)の計らいで借りたんだったな)

兄(ちなみに…叔父さんは不動産関係の職だ。バブル期を見事に見抜いて生き抜いてきた賢い人だ。)

兄(だがもっとも、叔父さんはちょっと前に亡くなったらしいけどな!(そうとも知らず、家を用意してくれた恩人であるのに連絡が無かったため葬式に出られなかったのが心残りだ))

兄(…だからこそ俺への家賃取立てが酷くなったのだが。)

妹「じ、じゃあ行くから!」

兄「あ、ちょっと待て」(危うく妹やお袋のモン忘れるとこだった。)

妹「ダンボール?」

兄「これ、お前のモンやお袋のモン…つっても、お袋几帳面だったから、お袋んのは口紅しかないけど…先に、お前に渡しとこうかと思って」

妹「あ、ありがと。じゃあ、また明日ね。」

兄「…ハッ!まさかお前のアパートも家賃滞納」

妹「どっかの馬鹿みたくしてるわけないでしょ!」ガチャン

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:48:34.00 ID:SKraePJH0
兄「…ったくなんてぇじゃじゃ馬に成長したんだか。可愛くしてればいいものを。」

兄「…」(父に殴られ、バイトの上司に怒られ、妹に説教され…)

兄(挙句の果てに詐欺か?惨めなもんだな俺って奴は。)

兄(思うに、妹と出会い、サッカーに明け暮れ、運動会の司会に張り切っていた小6が俺の全盛期だったんじゃなかろうか。)

兄(あー駄目だクソクソ!ネガティブなんて俺の性じゃねぇ!荷物整理でもするか)

prrrrr ピッ

兄「はいもしもし。兄ですが」

友「よおw俺だ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:49:30.32 ID:SKraePJH0
兄「友か。どうした?」

友「どうだった?例のサギ、罠にかかった?」

兄「あ」(やべっ…すっかり忘れてた)

兄「ああ、その事なんだが、やめたよ。」

友「え?」

兄「実はな、電話で掛けた先が妹でな。目が覚めた。俺、真っ当に生きるわ。」

友「…そうか。…くれぐれも、口外するなよ」

兄「…ああ。」ガチャ

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:50:18.62 ID:SKraePJH0
友「…」(アイツが、詐欺をやめる。か…)

友(…待てよ、『電話で掛けた先が妹』なんて偶然あるか?もしそれが嘘だったとしたら?)

友(怖気づいた訳じゃない…としたら?まさか裏切り?)

友(…俺の今までの詐欺をばらされたら?それだけじゃない、もしあの録音テープを警察に突き出されたら?俺は確実に破滅だ)

友(消すか。だが俺が手を下したら…)

友(!そうだ、こんな時にこそあいつがいるじゃないか)

友(ただホ なのがたまにキズだが…)

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:51:18.51 ID:SKraePJH0
(~翌日~)

兄「ふぅ。これでいいか。やっと荷造り終わった…もう夕方か」

兄(時間がかかったのは朝飯が昨日の残りのポンパンだけで腹が減っていたせいもある。うんそれに違いない、間違いなくそれに違いない!)

兄(贅沢だけじゃない、空腹も敵だ!)

兄「あー腹減った」

トントン

兄「はーい」

ガチャ

大家「こんにちは。兄さん」

兄「ああ、今までお世話になりました」

大家「いえいえ。家賃滞納以外は気持ちよく使ってくれる人だったので不満は無いですよ。家賃滞納以外は」

兄「もう、しませんから」

大家「これからも忘れないでくださいね!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:52:34.92 ID:SKraePJH0
兄「あ、そういえば家賃は妹が」

大家「ああ家賃ですか?妹さんが代わりに振り込んでくれましたよ」

兄「それは良かった。…あなたが男なら、銭湯へ行こうかと誘おうと思ったんですけどね」

大家「混浴無いですからね、この周辺。でも早速だし、銭湯行きます?」

兄「えっ!牛乳おごってくれるんスか!?」

大家「そんな事言ってないです!」

兄「冗談ですよ冗談wwwじゃあ、行きましょか」

大家「はい、じゃあ準備してきます。15分後にまた。」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:53:41.01 ID:SKraePJH0
兄「そろそろだな」

狭川「すみません、狭川急便ですけど、ここの202号室って」

兄「ああ、そこですよ。俺の住処の隣ッス」

大家「兄さん、それじゃあ行きましょうか」

兄「はい」


兄「いい湯でしたねー」

大家「そうですね」

兄「全く、うちの妹も大家さんくらい素直な奴に育てばよかったのに」(それなら可愛くてタイプど真ん中だったのにな)

大家「やめてくださいよーw」

兄「ハハwww」

大家「兄さんて叔父さんに似てますよね」

兄(大家さんは叔父さんの友人の娘だったな)「え、そ、そうかなぁ…ww」

大家「似てますってww似てますよww…凄く…ね…。」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:55:03.52 ID:SKraePJH0
兄「叔父さんに似て金持ちになれるといいですけどねw」

兄(因みに、叔父さんには借金もちょっと返してもらった。まあ娘重病になっちゃったからそれも打ち切られたけど)

大家「それはそうと、さっき銭湯に行く前に誰と話してたんです?まさか意中の男性と密会ですか?フフッ。」

兄「俺はホ じゃないですよwwwただの宅急便だったと思いますよ。なんでも、202号室に荷物だとか」

大家「?それはおかしい」

兄「??なんでです?」

大家「あそこ人が入ってないんです。空き家ですよ?本当に202なんですか?」

兄「え…ちょっと覚えが」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:57:08.83 ID:SKraePJH0
ズズン

兄「!?」(地震?主要動全く感じなかったぞ!?震源地何処だ!?)

兄(あれ?それにしても規則性全く無かったな…それにさっきの揺れと一緒の轟音は…?)

兄(あ、大家さん!…は…よかった、大丈夫みたいだ)

兄「ハハ…w地震ですかね?」

大家「まさか…」ブツブツ

兄「大家さん?」

大家「…」ダッ

兄「あっ!ま、待ってくださいよ!」(足速っ!)

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/06(火) 23:58:59.07 ID:SKraePJH0
兄(野次馬…?一体何が…)カキワケカキワケ

201号室「」ファイヤアアアアアア

兄(!??俺の住処が焼かれてる!?詐欺に使おうとしたプリ携帯もあの中だぞ…焼け跡に入って後で焼けてるか確認して回収しないと…)

兄(放火…?いや、もしかしてさっきの轟音は…『爆弾』…?)

大家「あ、あ…」

兄(明らかに俺への悪意、殺意が滲み出てる火災だぞ…)

兄(一体全体…俺は誰にこんなに恨まれた…?)

消防隊員「どいて!そこどいて!」

兄(ああ…友に『録音テープ』返せなかったな…)

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:00:14.65 ID:oFSwoR8S0
警官k(俺、警官k(以下k)と警官h(以下h)は署で唯二の特殊処理課メンバーである。)

k(特殊処理課と聞けば聞こえはいい。だがその実態はただの他の課の手伝いをやらされるだけだ。)

k(自ずとゼネラリストになるのだが、時に危険な業務さえ手伝わなければならないので最も昇進には向かない課だ。)

k(厄介払い課と揶揄される所以だ。)

h「なあ、広報ポスター製作いつまでやるんだ?飽きたぞコノヤロウ」フデピタッ

k「知らんな。お偉いさん方がいいって言うまで続くんだろうな」

h「いい加減家に帰ってPCやりたいぜ」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:01:23.25 ID:oFSwoR8S0
k「…なあ、お前最近PCで何やってるんだ?」

h「ん?…ネットサーフィンだよ」

k「怪しいな」

h「つつつ、ツイッターだよ!」

k「ああ、なうなう呟いてる奴か」

h「なっ…なんだと!それは偏見だ!なうなう呟いてねぇよ!バーカ!」

k「…で、フォロワー何人だ?」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:02:19.14 ID:oFSwoR8S0
h「…ひ、100人くらいだ!100人!」

k「ふぅん…ところで…最近そのフォロワーとした会話は?」ガチャ

h「ぐぐ…」

k「ん?」

h「…。…『シャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアwwwwwwwwwww』」ボソ

k「botじゃねーか」ビシ

h「ぼぼ、botじゃねーよ!フォロワーだよ!」

k「いーやbotだn」prrrrrr

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:03:03.94 ID:oFSwoR8S0
h「俺が出る」カチャ

h「もしもしhだ。あ?放火事件の手伝い?」ガッツボーズッ「分かりました、ポスター製作中断してそっち行きますね。じゃあ」ガチャ

h「しゃああああああああああああ開放だあああああああああああ」

k「大げさな…放火だって?」(身だしなみを整えて…と)

h「ああ、アパート燃やされてるらしいぞ!爆弾使ったらしい!」

k「ふむ…」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:07:04.69 ID:oFSwoR8S0
k「ここが現場か」

h「随分壊れてんな。爆破は本当か」

鑑識「あ!kさーん!こっちですこーっちこっち!」

k「おう、鑑識か。元気してたか?」ヒョイ

鑑識「はい!kさんのためなら元気アルミ粉100万倍です!」

h「アルミ粉は100万倍じゃなくてよろしい」

鑑識「黙ってろ」バシィ

h「このパワハラ女がァ…」ボソ

k「で、爆発物はどうだ?」

鑑識「はい、無煙火薬でおそらくダブルベース火薬の物が多量と、黒色火薬で塩素酸カリウムを加えた物が少量見つかってます。おそらく黒色の方は起爆に使われた物とみています」

k「ありがとう。つまり火薬は一種類じゃなかったってことだな?」

鑑識「はい…///あ、それとさっき犯人の目撃者がそこに」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:09:08.31 ID:oFSwoR8S0
k「おう、いやしかし爆薬分かるの早いな」

鑑識「奇跡的に不発の爆発物もありましたしね!」

k「不発物から犯人は洗い出せるか?」

鑑識「はい。爆発して焼き尽くされると思ってた犯人は僅かに指紋を残してました。これで犯人は一網打尽です!」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:10:03.22 ID:oFSwoR8S0
h「あのー…目撃者はあなたですか?」

大家「あ、はい。わたしです。」

h「…!!美しい…」

大家「は?」

h「是非あなたの初め…いえ白壷を僕にください」

大家「ドンタッチミー」

h「oh…」

大家「犯人らしき人が狭川急便の服装で爆発物を置きに来たんですよ。で、202号室に荷物があったらしいって兄くんに聞いて、で轟音と地鳴りがして帰ってみたら火事でした。」

大家「ですよねあn…あれ?」

h「どうしたんですか?」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:12:15.51 ID:oFSwoR8S0
大家「さっきまでここに男の子がいたんですよ、兄って名前の…。でも今はいなくなってる」

h(その兄とやらが犯人の可能性があるな)「わかりました。とりあえず、兄さんのことをもっと詳しくお願いします」


兄「ふう…まさかあんなに早く警察が来るなんて」

兄(プリ携帯は半壊…まあ原形はとどめてたが…その事はラッキーだった。が…テープ燃えちまった…ハァ…)

兄(一応こっちの本携帯でもちょっと連絡取ったからあとで友のメール消しとこ)

兄(叩けば埃が出る身だし、何より友も俺からばれちまう。外出は慎重にしないとな)

兄(あと、妹の家からナイフでも護身用に拝借するか。あと念のため…)

兄「さて、と」トントン

妹「はーい…お、お兄ちゃん!?どこ行ってたの?荷物全然届かないからびっくりしたよ。」

兄「ああ、その事なんだが俺の部屋が爆破された」

妹「へ?」

兄「ああ、順を追って説明する。とりあえず家に上がらせてくれ」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:13:23.73 ID:oFSwoR8S0
(~説明後~)

妹「道理で荷物届かないわけだね…あーあ…」

兄「ああ、爆破されて荷物運べなかったから引越しの人放火後の現場あんぐりしながら見てたわ…ハハッ…w」

妹「でも無事でよかった…こんな事なら、銭湯誘ってくれればよかったのに」ボソ

兄「何か言ったか?」

妹「何でもないよ!ホントに何でもないから」

兄「?…それにしても綺麗な部屋だなお前の部屋」

妹「お兄ちゃんが来るって言ってたからね。ホントは汚いんだけど…」

兄(だと思った)

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:16:21.32 ID:oFSwoR8S0
兄(テーブルはコタツと一体型、冬でも過しやすくしており上には妹のお気に入りだった熊のぬいぐるみ。)

兄(3面鏡とその付属テーブルはコンパクトにまとめてありお袋の口紅や妹の化粧品が置かれている。)

兄(ベットは低く頭の側に本棚、漫画ばかりだが小奇麗に仕上がり上の方の段には使わなくなった中学の教科書、アルバム(一目で分かったのは見覚えがあったから)などが収められている。)

兄(仏壇…?なんだあれ…とにかくなんか仏教関係の物が隅におかれてる)

兄「俺の妹の部屋がこんなに綺麗なわけが無い」

妹「まあ来客用にパパッとまとめたんだよ。スペースが開きまくってるでしょ?お兄ちゃんの荷物置こうと思ってたんだけどね」

兄「爆破されたからその必要はなくなったと。寝る場所は?」

妹「ベットは貸さないよ?コタツで寝てね。」

兄(一緒の布団で寝る年じゃないし一緒に寝る関係でもないしな)

妹「あ、そうだ!」タタッ

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:17:14.88 ID:oFSwoR8S0
兄「?」

妹「お兄ちゃんの引越し記念!」ドサッ「はい、ケーキ」

兄「おっ!ホットケーキじゃんか!気が利くな」(因みに俺の大好物はホットケーキだ。)

兄「好物、覚えててくれたんだな」トロー

妹「うん。…ねえ」

兄「なんだ?」

妹「一つ言ってなかった事があるの」

兄「お袋か?亡くなってんだろ?」

妹「…!どうしてそれを」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:18:43.52 ID:oFSwoR8S0
兄「この部屋の違和感ですぐ気づくだろ。なんでお袋もお前も信仰は厚くなかったのに仏壇?かわかんないけど…あんなものがあるんだよ?なんでお袋の物が極端に少ねぇの?」

兄「大方お袋が死んで荷物整理したからお袋のものは殆ど無く、お袋が死んだからあれがある。そうだろ?」

兄「あっ、でも物が無くてあれがあるって事はお袋失踪してて、でなんかの宗教にはまってるって事もあるか!忘れてくれw」

妹「死んじゃったんだよ。お母さん」

兄「…嘘だろ?な?嘘だろ?え?何?今日旧暦のエイプリルフール?ハハ…」

妹「…」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:19:22.95 ID:oFSwoR8S0
兄「…嘘だって言えよ…」

妹「嘘じゃないよ」

兄「…」

妹「…」

兄「…なあ」

妹「何?」

兄「何で死んだんだ?」

妹「…乳がん」

兄「ガン…か。」

妹「…」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:20:50.51 ID:oFSwoR8S0
兄「ハイハイやめやめ!どん位悲しんだってお袋は生き返りゃしねぇよ!ドンクライドンクライ!笑えよ妹!ハッハッハ!!」

妹「…。…プッ…w何それ…w」

兄「ハッハッハッハ!!!」

妹「wwwww…お兄ちゃんって、強いよね。その、すぐ立ち直ったりするとこ。」

兄「強くねぇよwwwアホ丸出しで飢え死にする所だったんだぞwwwバカwwwwはよケーキ喰おうぜwww」

妹「wwww…そうだね」パク

兄「ああ」パク

妹「…」チノケサーッ

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:22:31.99 ID:oFSwoR8S0
兄「…あー…えっと…とっても…うん。このホットケーキ…」チノケサーッ

兄「…正直に言うぞ。塩辛い。まずい。触れたナメクジが死ぬレベル。」

妹「うぐぐ…こんなはずじゃ…」

兄「っかしーな…お前よく料理するんだろ?ならこんな事…」

妹「いや3食で即席パスタとインスタントカレーとインスタントラーメンと菓子パン購入と外食をループさせてたり?」

兄「なんで疑問符付けるんだよ」

妹「ち、ちゃんとお砂糖は入れたしお塩もまあまあ入れたし…」

兄「…なあ、これなんて読む?」(sugar)

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:23:45.23 ID:oFSwoR8S0
妹「スガーの事だよね?確かお塩の事だと思ったけど」

兄「…じゃあこれは?」(salt)

妹「サルト?お砂糖のことでしょ?」

兄「…逆だ」

妹「へ?」

兄「逆なんだよおおおおおお!!!!!!!」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:24:46.13 ID:oFSwoR8S0
k(鑑識が「中さんって人と指紋が一致しました!すぐ近くの家ですよ!」って言ってたな…)

k(鑑識は俺の中学時代の同級生、俺は彼女にはっきりとしない好意を抱いており、また彼女も俺の事を慕っている。)

k(まるで子供のように俺が警察学校に合格した時、一緒の署になれた時などこっそり一緒になって喜んでくれた…)

k(だが彼女の父親は隣の管轄署の署長だ。彼女と付き合うのであれば自然と将来の道は開けるだろうが、そんなコネを利用せず実力で勝負したいという気持ちがある。)

k(第一、それはプライドが許さない。)

k(hと俺は警察学校での親友であり、ライバルであった。ライバルを倒そうと躍起になって付き合い始めたのがそもそもの馴れ初めだ。)

k(…だからこそ、コネでこの戦いに決着はつけたくなかった。)

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:25:52.68 ID:oFSwoR8S0
k(彼女が欲しい。なんのしがらみも無く、純真無垢な彼女を手に入れたい。愛でたい。そんな邪な欲望がよく頭の中で回転する。)

k(…人間は強欲だ。)

k(だからこそ、欲望のために人間は犯罪を生む。この感情は時に押し殺さねばならない。)

k(…でないと、いつ自分が追う立場から追われる立場になるか分からない。)

k「ここが中の家か…さて、行くか」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:27:23.41 ID:oFSwoR8S0
k「警察ですが…中・国人さんですね?ちょっとお話したい事が」

中「はい。私ですが」(…!)

k(動揺の色が見えるな)「ちょっと話を聞かせてもらおうか」(名前、身長、ファッションからして留学生といったところか)

中「…!なあ…」

k「ん?」(関西系の訛り…?何故に…?まあいいとして…)

中「●●●しようや」

k「は?」(えっ)

中「なかなかええ体やで。こらワイの経験からすると ごっつうきついで」ポーッ

中「な?な?ちょっとでいいから  させてくれ」ガシッ

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:30:11.72 ID:oFSwoR8S0
k「ちょ、ちょおい!公務執行妨害だぞ…っ…放せっ…!」ドン

中「おわぁ!」ガン

k「はあ…はあ…」(危うく●●●を奪われるところだった、危ない危ない)

k(…ハッ!まさか死んだんじゃ)ピトッ

k(良かった…脈はある。)

k(…事情聴取は後だな。ともあれまずは援軍だ…!)ピポパ

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:34:16.20 ID:oFSwoR8S0
兄(全くなんてぇ凶器を喰わせようとしてたんだか、それにしても夕飯のスパゲッティまだかよ)

兄(今ならスパゲッティモンスターを信仰しててもスパゲッティ喰らいつけそう…)

兄(あっ、そうだ久々にアルバムでもこっそり見ておこうか)スッ パラッ

兄(小学校の入学式か。ハハ、俺のまでとっておいてあるな。)

兄(悪がきだったなぁ…確かあの頃に、親が俺を無理やり少年サッカークラブ入れたんだっけ。懐かしいな。)

兄(お、これは妹の写真だ。小学校の入学式。お袋の晴れ着いつ見ても派手だな。)

兄(妹全然変わってねぇでやんのw今と比べても可愛いが、胸がな…。)

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:35:24.85 ID:oFSwoR8S0
兄(小3の時のディズミーランド面白かったな…確かなんちゃらマウンテンだかなんだか乗ったっけ。また行きてぇな。)

兄(…そうか、もう4人で行けねぇんだな…。)

兄(少年サッカー大会、確か準優勝だったっけ。1対2で迎えた後半戦、あの時友のヘディングが決まってれば同点だったのにな…)

兄(運動会の司会、好評だったな…w普段滅多に褒めない先生が「お前ニュースキャスターかアナウンサーになれ」とか俺の事ベタ褒めだったのにはびっくりしたわ…)

兄(お、俺の小学校卒業式だ。懐っ…帰る途中、友と下ネタ改変の替え歌歌いながら帰って、家についてから泣いたっけな…)

兄(みんな変わっちまったな…。)

兄(さて、俺が見れなかった妹の中学入学式と卒業式は…と。小学校の卒業式も探すか。)

兄(…あ、高校入学式だ。珍しく制服で県立なのな。)

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:36:22.80 ID:oFSwoR8S0
妹「ただいまー」

兄「おかえりー。夕飯はよう」

妹「まだだよー…そんな早くできるわけ…あ!アルバム!」

兄「おう、見させて貰ったぞ。」パタン

兄「なんでぇ、昔とお前全然変わってねぇな。ハッハハ」ナデナデ

妹「そんな事…無いよ」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:37:22.56 ID:oFSwoR8S0
兄「…まあ、例えば身長とかその胸とか」ビシ

妹「この変 兄貴!ゴホッゴホッ…」

兄「冗談だってジョーダンw」

兄「…大丈夫かよ?診してみ?」ピト

妹「へ?…ひゃぁぁっ!?おおおお、お兄ちゃん!」カアアアア

兄「手なんかで触るより頭で触った方が違いがわかんだよwww微熱だな。」スッ

妹「あー…。んん”…もう、バカ…」

兄「メシにしようぜメシ。早く茹でやがれぇ!」ビシ

妹「…うん。」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:38:58.51 ID:oFSwoR8S0
兄「うまいな」

妹「よかった。口に合わなかったらどうしようかって思ってたんだよ!」

兄(そりゃあ出来合いのソースかけただけだからおいしいだr)「ぐっ…」

兄「う…ぐ…」

妹「!どうしたの?まさか出産」

兄「腹が痛い…出産なんかするわけ無いだろ常識的に考えてええええええええええええええええええええええ」ダッ

妹「あ…」

ガチャ バタン

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:39:37.84 ID:oFSwoR8S0
妹(行っちゃった…)

チラッ

妹(あ、お兄ちゃんの携帯…忘れてったんだ…)ジッ

妹(…)

妹(何してたんだろ…いきなり電話で私に繋がるなんて訳は…)カチッ

メモ:『実行テスト、その後銀行で金をすぐ下ろす。危なくなったらすぐに切る』

妹(確かこの日はお兄ちゃんが電話してきた日…?テストって…)

妹(お兄ちゃんはまだトイレだよね…もうちょっと見ちゃお…)

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:41:37.33 ID:oFSwoR8S0
メモ:「終わったら金は自分の口座に入れろ。絶対に実行の事はばらすな。」

メモ:「○月×日。モーティマー」

妹(……?)

兄「あー…やっと収まったわー…絶対メーカーにクレームつけてやる…」ガチャ

妹「お兄ちゃん」

兄「ん?なん…」テモトチラッ「…!お前それ俺の携帯…」

妹「ちょっと聞きたい事があるんだけど…」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:43:44.23 ID:oFSwoR8S0
妹「治験でもやってたの?もしかして…」

兄「え?」(いやなんか勘違いしてる!これを使うっきゃない!)「そ、そうだよ。なんでその事を…」

妹「だってさ、実行テストで危ない橋渡ろうとしてたんでしょ?だから危なくなったら契約をうち切るって。多分モーティマーってのは業者さんの名前でしょ?モーティマー株式会社?」

兄「…そうだ。腸の検査薬の治験だったんだけどな、俺腸弱かっただろ?だから家族にばらしたら止められるかと思ってな」

兄「結局腹減りすぎて栄養失調だったから治験は駄目になったんだけどな」(これ以上ばれないように携帯奪って…と)バッ

兄(殆ど中見られてないみたいだ…よかった…)

妹「そうだったんだ。よかった。てっきり何か危ない事でもやろうとしてたんかと思ったよ」

兄「危ない事ってなんだよ」

妹「え~?スタントとか高所での工事とか…それとか法に触れる事とか」

兄(ギクッ)「そんなわけないだろ?てか、前スタントは恒常的にやってたしな」

妹「そうだよね。ごめんごめんw」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:46:32.38 ID:oFSwoR8S0
k「こんな月夜にはブラックコーヒーが映える」スッ

h「なんでこんな場所で待機しなきゃいけないんだよ」

k「言わなかったか?俺の事情聴取の結果、中の携帯からモーティマーって奴が中の口座に金を払い込む約束をしていた事がわかった」

h「ゲロ吐くの早いなwつまりそのモーティマーって奴が黒幕か」

k「そういう事だ。そして中の携帯からアポを取り付け、呼び出してる」

k「あとは仲間が包囲、その後職質に見せかけ接近し逮捕だ」

h「あーわかったわかった。…なんなの?捜査なんでそんなに早いんだ?」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:47:46.71 ID:oFSwoR8S0
k「うちの署の仲間が戻ってきたからな。あいつ等の優秀さは異常だ」

h「だからってこんなに早くなるもんなのかよ…」

k「来たぞ」

友「…ったくロケットの野郎また呼び出しやがって…」ブツブツ

友「まさか失敗したんじゃ…確かに201は焼いたって」ブツブツ

k「おい」スッ ガシッ

友「!?」

k「ちょっと署まで来てもらおうか」

友(いつの間に囲まれた…!?逃げられない…?!)

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:48:55.76 ID:oFSwoR8S0
兄(朝起きると妹が丁度朝食を食べ終わった所だった。)

妹「あ、オハヨお兄ちゃん」

兄「早ぇ…なんだよお前」

妹「私高校生なんだよ?そんなのんびりしてらんないし…あ、もう時間!」

兄「え、お、おい!」

妹「冷蔵庫に朝ご飯入ってるから。それと、適当にお昼食べてね!」

妹「帰ってきたらお母さんの墓参りするから、準備しといてねー!行ってきまーす!」バタン

兄「ひゅー…エネルギッシュだな…」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:53:03.93 ID:oFSwoR8S0
友「…そうだよ。俺が学校を不正アクセスしてその名簿を手に入れた『モーティマー』だよ。間違いない」

友「それで、俺が爆破した理由は兄の除外とテープだ」

k&h「テープ?」

友「兄に貸したのは所謂犯罪幇助テープだ。兄がやろうとしていたオレオレ詐欺は交通事故示談だ。バックでガヤガヤ音がしてなければおかしいだろ。」

h「(おい、k。聞いたか?)」ゴニョ


k「(ああ、もし爆破現場からテープだけ抜き取られていたとしたらコイツを起訴する重要な証拠となる)」ゴニョゴニョ

h「(よし、兄も探すか)」ゴニョニョ

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:55:55.25 ID:oFSwoR8S0
兄「妹遅いな…」(もう5時過ぎだぞ…部活か…?部活やってないって言ってたのに)

兄(さっき昼飯作ってる最中に窓の外で黒猫が走ったりコタツから落ちた熊のぬいぐるみで転んだり机の角に小指ぶつけたり…挙句は妹の帰りが遅い、か。)

兄(今日は厄日だな!)デーン

妹「たーだいまー!」

兄「おかえ燐奥村」

妹「青エク面白いよね…SQ買うたびに真っ先に読…ってそうじゃなくて!」バン

兄「ノリは絶好調だな。よし。そのテンションで墓参りも頼むぜー!」

妹(なんでテンション上げる必要?それにちょっと不謹慎な気も…まあいいか)「…じゃあ行こ!」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:57:30.42 ID:oFSwoR8S0
兄「ここか…」

妹「うん」

兄「…作法とかわかんねぇけどとりあえず水掛けようぜ」フタピッ ミズジャバッ

兄(俺も死んだらこの墓標の下に埋まっかな…いやでも妹がどう言うかわかんねぇしな)

兄(…死後にお袋、俺のしようとしてた事許してくれっかな…)

兄(…親父だったら絶対に許さないだろうな。『お前が捕まったら誰がお前の代わりに酒買ってくるんじゃい!』ってな)

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:58:29.45 ID:oFSwoR8S0
兄(…俺は人間の屑だな。周囲に嘘ついて、借金までして、高校も行ってないし働いてないし、挙句妹に寄生する社会の落伍者だ。)

兄(いや、犯罪まで犯そうとしてたんだから落伍者どころじゃないか。人間、いや生物ですらない、ただの生ける…)

兄(ダァァーーーーー!!糞!ネガティブなんて性に合わねぇのになんでこんなに心が重いんだ!)

兄(心軽量化!小型化!新発売!ニンテンボウココロDSmini新登場!)

妹「お兄ちゃん?お兄ちゃん聞こえてるー?」

兄「おおおおう。なんだ?」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 00:59:16.96 ID:oFSwoR8S0
妹「さっきから線香線香連呼してたんだけど」

兄「レンコンしてれば?」

妹「…ちょっと意味わかんないwwはい」スッ

兄「おうよ」

兄(にしても意外に新しい墓だな…新しい墓建てたのか…?建てたの伯母さんか?)

兄(確かバリバリの新聞記者をやっている小皺が目立ってきたオバサ…お姉さんだっけ)

兄(あれ?伯母さん死んでたっけ?生きてるよな?)

兄(…。どうでもいいか…)

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:00:10.49 ID:oFSwoR8S0
妹「お兄ちゃん。先帰ってて。」

兄「おうよ。…ん?」

妹「ちょっと…一人にさせて。お母さんと向き合いたいから」

兄「でも夜道は危ないぞ?」

妹「いいから」

兄(…?)「ふーん。分かった。じゃあ夕飯買っておくからな。早く帰って来いよ」


兄「ハッ…ハッ…」タッタッタ

大家(…?あれは兄さん?)

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:01:54.18 ID:oFSwoR8S0
k「…とりあえず今は情報待ちだが…あんまり時間かかるとな…」

h「また友の携帯を使っておびき寄せるってのはどうだ?」

k「それもそうだが…詐欺をやめるって直前に友が聞いてたから、多分今の携帯は破棄してるとみていいだろう。事実掛けても繋がらなかった。」

※プリ携帯の方にkは掛けました。無論壊れてるので出るわけありません。

h「それに爆破に巻き込まれて携帯が大破してる可能性もあるしなwwww」

h「さて、次はどうしようか」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:03:08.50 ID:oFSwoR8S0
兄(たまに目標を定めてトレーニング紛いをするのもいいもんだ。)

兄(特に走る事、歩く事は最も人間の原始的な運動といえるな。)

兄(サッカーや野球よりその歴史は深く、人類の争いの歴史はスピードや機動力が物を言い、そして人間は足こそが自身の体を裏切らない最高の体の部位だと信じ鍛えてきた。)

兄(だからこそ、たまにはスポーツもいいじゃないかといった時に脚を鍛えてるんだ。足は期待を裏切らないからな。)

妹「ただい…お兄ちゃん!?」

兄「ん?ああ…トレーニングマシン借りてたわ。」ピッ「たまには走らなきゃな…とか思ってな…ふぅ…」ヴゥゥゥン

妹「凄い息切れてるよ。ちょっと休んだ方がいいよ。水持ってくる?」

兄「ああ、頼む。あ!スーパーでの夕飯忘れてた!行ってくる!」ガチャ

妹「ええっ!ちょっと!水いいの!?お兄…行っちゃった。」

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:04:02.72 ID:oFSwoR8S0
兄「いやぁね、今日行ったらトーユー丁度特売でさぁ!」

チーン

兄「おっ、唐揚げ暖め終わったな。食べようぜー!」

妹「東友普段行かないから分かんないけど、この時間帯だったんだね。特売。」

兄「おう。それより、風邪大丈夫かよ?」

妹「あ、これね。」ニッ「もう大丈夫。風邪まだ治りかけだし取らないほうがいいかなって思って取ってないけど」

兄「ふーん。さ、て、と。いっただ金貨~!」バッ

妹「あっ!一番おっきいの!」

兄「こーいうのは早いモン勝ちなんだよwwwウッへッへwwww」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:05:03.72 ID:oFSwoR8S0
兄「ん…が…」

兄(夕食の後二人でTVを見て、その後そのまま眠りこんじまったようだな。)

兄「う…あ…」(いってぇ…首寝違えたか?今何時だ?)

兄(午前2時か。あートイレトイレ…っと)

兄(コタツ最弱でもこんなあっついのな)

兄(…妹は…と、寝てるな。可愛い寝顔しやがって、そのうちキス奪うぞ?)

兄(なーんてぇな。『妹と 昼夜一緒で パラダイス』…くぅ~!)ジタバタ トイレガチャ

…。

ジャーッ

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:05:51.96 ID:oFSwoR8S0
兄「ふぅ~」

兄「さて、布団に」ギュム

兄「おわっ!」ツルッ スベッ バッターン

兄「うぐぐ…これが噂のバナナこけか…」ムニュ

兄「ん~?」ムニュムニュ

兄(えっと…まさか手にあるのは胸なわけ)ムニュムニュ

妹「ん…?んあ…。ん…あっ…?」

171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:06:24.17 ID:oFSwoR8S0
兄「」

兄「…」

兄「ぐわぎゃああべべべおんどぅぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

妹「…んあ?もう…うるさいな…」

兄「ごごごごめんごめんごめんごめん!!!」ガクガク

妹「ふわぁ~ぁ。お兄ちゃん?何してんのー?」ボヤケ

兄「ごめんごめんマジで不可抗力マジでマジで」ブンブン

妹「何言って…?」ムネハダケ

妹「ひゃあぁああああああああ」カアアアア

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:06:57.89 ID:oFSwoR8S0
h「爆発しろ!」

k「何言ってんだ…お前…」ウツラウツラ

h「世界のどこかでリア充が真実の愛を語り合ったような気がした!」

k「知るか。ふぁ~」

h「爆発すればいいのn」prrrr

h「ハイもしもし。ああどうもいつ聞いても美しいお声ですね大家さん。え?兄を見た?どこで?」

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:07:56.02 ID:oFSwoR8S0
兄「ホントごめん」(ガラにも無く大声出しちまったな…俺ここにいる事ばれてねぇよな…)

妹「うるさい」

兄「ごめんって」(足元に転がってた熊のぬいぐるみが恨めしい…)

妹「ファーストタッチは結婚初夜にあげたかった」

兄「…ごめん」

妹「…フッ」

妹「何言ってんの?そんなのお兄ちゃんらしくないでしょ?」

兄「でも」

妹「でももデーモンも二進も三進も!しおらしくしてるのはお兄ちゃんらしくないでしょ!お兄ちゃんはお兄ちゃんらしくヘラヘラ笑ってればいいんだよ!」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:08:59.40 ID:oFSwoR8S0
兄「!」

妹「お兄ちゃん最近なんか変だよ?まるで何か重大な事をしちゃった時のような…」

兄「…なんでもない。ごめんな今日は」

妹「あーもう!第一…」

兄「?」

妹「…。もういいや、おやすみっ!」ガバッ

兄「…?ああ。おやすみ」

妹(…こんな感情、抱いちゃいけないのに…)ゴロン

兄(俺は罪の意識に無意識のうちに苛まれている…?)

兄(だからといって自首すれば妹に迷惑がかかる)

兄(どうすればいい?いつか俺は捕まるかもしれない…)

兄(どうすれば妹に迷惑をかけないだろうか…?)

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:10:02.25 ID:oFSwoR8S0
チュンチュン

兄(眠れねぇ…ついに朝か)

兄(…今さっき考えたプランは最終手段だ。だがもしやるとなったら…)


h「この周辺だ。ここを基点に捜索すれば必ず妹か兄かのどっちかは引っかかるはずだ」

h「…ってのが俺の考えだ。ついでに情報提供してくれた大家さんもディナーに誘いたかったんだがな」

k「そのうちセクハラで訴えられるぞ」

h「ヘイヘイ。じゃあ捜査開始としましょか若旦那」

k「気持ち悪いぞ」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:11:03.21 ID:oFSwoR8S0
妹「」ムクリ

兄「おはよ」

妹「!」ビクッ

兄「あ、ご、ごめん」

妹「もういいって言ってるのに…」ブツクサ

兄(朝食は手馴れた作業のみたいだな。)

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:16:03.66 ID:oFSwoR8S0
妹「言うの忘れてたけど今日の午後、伯母さんとちょっとした旅行出かけるから」

兄「…そうか。」(伯母さん死んでなかったんだな。ごめんオバサン。いやお姉さん。)

兄「…旅行費とか、生活費とか、今どうやって捻り出してんだよそういや。」

妹「お母さんのお金。一応…高校卒業して専門学校出る位まではうちに残ってるんだよね。」

妹「もっとも、お兄ちゃんが来たから…ね?」

兄「俺も働かないとな」

妹「あ、そうだ。生活保護は?」

兄「それに頼るのはちょっとな…」(っていうかもう来るなって誓約書書かされてるし)

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:17:50.92 ID:oFSwoR8S0
妹「じゃあバイト探してよ。はい、ご飯できたよ。」

兄「重ね重ねごめん」

妹「…」

妹「バーカ。」ベシ

兄「あ痛っ」

妹「昨日もそうだけど、お兄ちゃん最近元気なさ過ぎ!疫病神でもついてんの?」

兄「かもな…」

妹「かもな…じゃないでしょ!!!重病のうつなの!??それなら、うつも疫病神もフッ飛ばさなきゃ!」

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:19:30.52 ID:oFSwoR8S0
兄「フッ飛ばすってどうすんだよ」

妹「話してよ。」

兄「!?」

妹「悩んでる事とか、辛かった事とか全部話してよ。私が全部受け止めてあげるから!」

妹「…ね?」

兄「でも…」

兄「でも怖いんだよ。何話したって、どうせ、どうせ…」(それに、話したら迷惑をかける。怖いんだ。怖い。)

兄(俺はもしかして生粋の臆病者かもしれない)

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:21:21.32 ID:oFSwoR8S0
妹「ハイハイやめやめ!どん位悲しんだって働いてなかった過去は変わったりしないよ!ドンクライドンクライ!笑ってよお兄ちゃん!」

兄「…!」

妹「私だってさ、悩むけどさ。悩んで悩んでどうしろっていうの?」

兄「えぇ!?」

妹「どうせ悩むなら、辛い顔して悩むより笑って悩んでる方が100倍人生楽しいよ!」

妹「第一、いい顔が台無しだよ。」

兄「…」

妹「その…お兄ちゃんの励ましで…その、生きる活力になったんだよ!私は!」

妹「だから今度は私がお兄ちゃんを慰める番!でしょ?」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:22:31.69 ID:oFSwoR8S0
兄「…フッ」

兄「お前俺に惚れてんじゃねぇの?」

妹「なっ…」

兄「冗談だよ冗談。あれか?ホントに惚れてるとか?な訳ないだろ」

兄「じゃあ、話すぜ。あのな、実はお前に電話」ピンポーン

妹「あ、私出るよ。」

兄(チッ…こんな時に…)

妹「はーい」

k「すみません、○署のkと申しますが…妹さんですね?」

兄「…!!」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:23:31.81 ID:oFSwoR8S0
妹「はい。妹は私ですが」

h「捜査協力をお願いしたいのですがぁね。あ、私はhと言う者です。」ニタァ

妹「…!」


h「(やっぱりここじゃねぇか。割と勘って当たるもんだな)」ゴニョ

k(チッ…)

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:24:57.59 ID:oFSwoR8S0
兄(ノッポの警官がkでチビの警官がhか)

妹「捜査協力って、何のですか?」

k「いやぁ…とある事件の事でちょっと聞きたいことが。」

妹「…私は何もしてません」

h「あなたじゃなくて、兄さんですよ。ここにいるんでしょ?」

兄(や…やばい…っ!!ここ裏口無いし外に出られない…!窓開けるのも音で気づかれる…!)

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:25:58.69 ID:oFSwoR8S0
妹「兄…ですか?」(お兄ちゃんが…?とにかく誤魔化さないと…)

妹「いたんですけどね、さっきまで。どこか外にでも出かけたんじゃないですか?」

h「おや?しかし…」ゲンカンミマワシッ「男物の靴がありますね?ここは女性しか住んでないはずなんですけどね。お母さんの靴ですか?」

妹「」ビクッ

兄(お袋はもう死んだよ!じゃなくて大ピンチだ!)

妹「それは…。…ああ、これですね?コミケでコスプレする用に買ったんですよ。トム&ジェイニーってN○Kで半年前から放映してるアニメ知ってるでしょ?あのキャラクターのコスプレ用なんです」

h「しかしこんなに使い込まれるんですかね?」

妹「私よくコスプレしてオフ会行くんですよ。トム&ジェイニーの格好して。」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:27:29.84 ID:oFSwoR8S0
h「(チッ…これじゃ埒があかねぇ)」

h「いいじゃないですか。ちょっとうちの中見せてもらうだけ…」ガッ

妹「プライバシーの侵害です!出てってください!」パシッ

k「(ここは俺に任せろ、h)」ゴニョ「…あなたの言っている事、ちょっとおかしい事がありますよ。」

妹「…」

k「トム&ジェイニーは半年前からN○Kオリジナルで放映しているアニメですが、幅広い年齢層を取り込んでいて人気は意外と高い。コスプレしてオフ会するのも納得でしょう」

妹「何が、言いたいんですか?」

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:28:30.72 ID:oFSwoR8S0
k「オフ会が頻繁に行われるわけないんですよ。だって半年以上前、いやもっと前の宣伝が始まるまで、あなた達は存在すら知らなかったアニメですよ?例えどんなに人気でもそんなに頻繁にオフ会できるわけがない」

h「…!その通り。ツイッターで開催するにしても企画も含めればそんなに頻繁には開催できない。」

妹「…わかりませんよ?毎週やるって決めてれば開催できますよ?」

k「なら、N○Kは映るんでしょうね?受信料未払いは誤魔化せませんよ?」

妹「…!」(しまった…うちN○K映らない…っ…)

h「なぁんなら、コスプレ衣装全部持ってくればそれでも俺ぁ納得しますよ」ニヤッ(勝った…!)

兄(く…妹…!)

兄(…こうなったらアレをやるしかない…。)

208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:33:08.35 ID:oFSwoR8S0
/大家しか住んでないのは事前の調査で「なにかおかしいところはありませんか?」って周辺住民に聞かれたとき
/「あそこの家、変なんですよ。女性しか住んでないのに男の声が…」って事で女性しか住んでないって事に。

/事前に苗字云々戸籍云々のくだりが色々あったけどその調査の仕方はおかしいかなと思って消したんです。
/今回は完全なる私のミスです…


h「なんで警察の進入を拒否するんです?それはやましい事があるからだ」トビラガシッ「さあ、見せてもらいましょうか」ググッ

妹「…は、入…」ググッ

兄「なんでぇ、うっせぇな」グイッ

妹「!」

h「おや、こちらの方は?」

兄「こいつの兄だ」

妹「お兄」兄「黙ってろ」

兄「俺に何の用だ?」

h「ちょっとパトカーに乗って一緒に付いてきて欲しいだけですよ」

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:34:47.91 ID:oFSwoR8S0
兄「ほう、そうかい」ジャキッ「だがご一緒なのは御免被りたいものだがな!」

兄(警官二人を突き飛ばし)ドンッ

k「!?」

h「!」

兄(妹の腕を掴んで…)バッ(そして奇声!)

兄「いぇいばぁあああぱっしぃぃぃへんだぁああああああああああ!!!」ダタッ(そして階段まで移動…!)

兄(そして妹の頭をホールド)ガシッ(ナイフを突きつける…)ビッ(成功…!)

兄「おら!パトカーの鍵投げて渡せ!さもねぇと妹の命はねぇぞゴルァ!」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:35:47.32 ID:oFSwoR8S0
k(完全に虚を突かれた…てっきり、抵抗するなら逆に警官のいない窓から逃げると踏んでいた…!)

h(手ぇ掴んで投げ飛ばそうとしたがスリ抜けちまった…奇声さえなければ不意を衝かれることもなかったのに…ッ…!)

h「なっ…」

k「お、おい…」

兄「無駄に動くな!動いたらこいつ○すぞ!」

妹「…!」

h「…」ブン

兄「よし」パシ

k「…!何故鍵を投げた!」

兄「物分りがいい奴は嫌いじゃないぜ!じゃあな!」ダダッ

k「あっ…コラ…」

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:39:56.37 ID:oFSwoR8S0
兄「おい妹、お前が運転しろ。」

妹「どう…して…」

兄「いいからハンドル握ってアクセル踏め!ナイフ見えねぇのか!」ギラッ

妹「…分かった…でも操作わかんない…」

兄「あっ…。…チッ。」

兄「とりあえずハンドブレーキと鍵させ…多分後はアクセル踏んでりゃ何とかなるだろ」※オートマチック車です

妹(無理…)ブロ…(あれ?以外…と楽だ)ブロロロロロロ

兄「早くしろナイフみえねぇのか」

妹「あっ、うん」ブロロロロロロ

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:40:58.59 ID:oFSwoR8S0
k「何でだよ…」

h「アイツはな、鍵を渡せといったが無線を使うなとも付いてくるなとも狙撃するなとも言っていない。」

k「…!」

h「(徹底的に追い込んで、警官の恐怖って奴をあいつの体に教え込んでやるぜ)ゴニョ おい!無線で仲間呼べ!」

k(どこの元賞金稼ぎだ)「…おう」

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:44:01.99 ID:oFSwoR8S0
k(兄をかばってたな…もしかして、共犯…?)

k(いや、あの怯えた表情はないな。勘でだけど…)


兄「そこだ!そこを右に曲がって山に入れ!」

妹「…ねえ。なんで?お兄ちゃんは犯罪なんか」

兄「するんだよ!お前の兄はどうしようもない犯罪者なんだよ。お前に話そうとしたの…」

兄「…実は、お前に電話したの、お前を詐欺に掛けようかと電話したんだよ」

妹「!?」

兄「詐欺をしようとしたら丁度一番初めに知り合いに会っちまってな。だからやめたんだ」

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:46:39.59 ID:oFSwoR8S0
兄「…今では反省してる。」

兄「…。お前を巻き込んで犯罪者の家族のレッテルを貼られるのは忍びない…」

兄「…。いや、2つ、方法がある。海外に高飛びして逃げるかそれか…。!止まれ!」キキッ

妹(こういう場合の高飛びって大抵成功しないし第一行く先で警察待ち構え…ひっ!)ガクン

兄「…!糞っ!川かよっ!川に沿って行け!」ブロロロ

妹「もう一つは…?」

兄「俺とお前で、心中だ。それしかお前を苦しめない方法は無い」

妹「…!」

兄「お前にとって最悪の選択だ。これが嫌なら逃げるしかない。こっから先は許可があるまで黙ってろ、万が一首にナイフが刺さって死んでも知らんぞ」

妹(…もしかしてお兄ちゃん、私を庇おうと…?)

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:47:44.01 ID:oFSwoR8S0
k「急げ!○山中に入ってるぞ!」

脇役警官達「了解っ」

prrrr ピッ

h「もしもしk、聞こえるか!k!」

k「もしもし!なんだ!」

h「俺は山の反対側から追い詰める!山に先に入る!」

k「なんだって!?まだ仲間は来ちゃいないぞ!今無線で呼んだとこだ!」

h「だが出動してはいけないとは言ってない。俺一人でも行く!」プツッ

k「おい!待て!おい!」

k「…んのやろ…っ…!勝手に動きやがって!」

230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:48:49.37 ID:oFSwoR8S0
兄「妹!ここしか通る道は無いのか!地図確認しろ!」

兄(この山わたる橋ってこんなボロ橋しかねぇのかよ…!)

兄(ロープは今にも切れそうだ…落ちる可能性が…)

妹「…。無いよ」

兄「チィッ…ボロ橋だけかよ!…まあいい!」

兄「オラ!出ろ!」ガチャ グイ

妹「…」

兄「橋を渡るんだ!早くしろ!」グイッ

キキッ

兄「!来た!!急げ!」ダダッ

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:49:55.90 ID:oFSwoR8S0
k「待て!兄!」

兄「来るな!おとなしくしろ!ナイフ見えねぇのか!」

k(妹…とかいったな…彼女は懸命にこの状況に耐えている。今にも倒れそうなその体でいつまで持つか…!)

k「その子を話せ!大人しく投降しろ!」

兄「うるせぇ!」ダッ

k(向こう側から逃げ…。…!)

妹「後ろ!」

兄「!」ハッ

h「!」ブンッ

兄(間一髪だった…もうちょっとで掴まれるとこだった…!)

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:51:03.85 ID:oFSwoR8S0
h「チィッ…」

兄「畜生…!」ダタッ

兄(前門の警官、後門の巡査ってとこか…!)

兄(…こうなったら、俺にとっての最悪の選択しか…)

k「h、追い詰めろ…!」

h「大人しく妹をこっちに渡せ!」ジリジリ

兄「嫌だね!」(…。)

兄(…なんだったかな、あれ。)

k「(…今だ)ゴニョ h!」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:52:49.44 ID:oFSwoR8S0
兄「!」ハッ

兄(チビマッポが動かない…?どういう…)


バン


兄「…っ!」チャキン(狙撃でナイフを落としちまった…!)

k「こっちは任せろ!」ダッ

h「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」ダダッ

兄(もう迷ってる暇は無いな…)

兄「言ってなかったが妹、俺は大嘘吐きだ。」ドン

兄(妹を前の警官に突き飛ばし、ポケットから『予備で持っていたナイフ』を折りたたんだまま後ろの警官にノーモーションで投げつける…)ブンッ(…成功…!)

兄(前の警官は妹に手間取って、後ろの警官は何を投げられたか戸惑って、そして後続の警官は道がつっかえて僅かに動きを止めるだろう。それでいい。)

兄(あとは落としたナイフで…)

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:53:51.18 ID:oFSwoR8S0
k(俺はhとともに捕まえようと接近した!)

k(…が、俺は妹を突き飛ばされhは何かを投げつけられ動きを止められた。逃げる気か…?)

k(だが不意打ちは2度目だ。俺は妹を確保しhは危険がないと見るやすぐ体勢を立て直…!)


k(兄が小さく哂ってる…その腹を、ナイフで真一文字で切り裂きながら。)

k(兄は吊り橋の間とhの腕の間をすり抜け落ちた。「3つ目の選択肢、『俺だけが死ぬ』ってのを言い忘れてたぜ」と言いながら。俺もhも間に合わなかった。)

k(橋から、遠ざかり、落ちる。蒼き水面に揺れと、水飛沫が立ち込める。)

妹「お兄…ちゃ…ん…」

k(少女の心からの悲痛な呟きとともに、飛沫は川底へ消えた。)

242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:55:00.50 ID:oFSwoR8S0
兄(…。)

兄(お袋が本を読んでる。クロサキだっけ。)

兄(幼い妹と、一緒に布団に入っている。勿論俺も一緒だ。妹はもう寝ていた。熊のぬいぐるみと一緒に。)

兄(親父は眠い目を擦りながら俺と妹が一緒に入っている布団をかける。)

兄(ああそうか、親父こんなに優しかったんだっけ。)

兄(お袋、いや母さんの朗読、また聴きたいな。)

兄(ああそうか、俺死ぬんだっけ。母さん死んだんだっけ。)

兄(天国で聴きたいな。)

兄(またこんな優しい朗読、聴きてぇな。みんなで。)

兄(…。)

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:56:06.17 ID:oFSwoR8S0
兄(真っ白い天井…?)

兄(地獄って真っ白じゃねぇか、昔の人め、俺みてぇな大嘘吹かしやがって…あり?なんか体重い…。)

兄(亡…者…?あ、妹か。)

兄(妹がまさかあの後死刑に処されて地獄に来たわけねぇし、第一目の前にTVもあるわ棚はあるわドア見えるわ机の上に林檎があるわ…)

兄(どうやら俺は死に損なったらしい。ヘマしたもんだぜ。)

244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:57:10.82 ID:oFSwoR8S0
兄(じゃあまた死ぬか?やめよう、きっと死ねない。)

兄(妹服変わってねぇでやんの。制服のままだ。それに日付もそんなに経ってない。)

兄(どうやらつきっきりで看病されたらしいな。全く…)

兄(…正直、色々な感情や考えが渦巻いていて妹に何も言えねぇ)

兄(林檎でもしばらく喰ってるか)シャクッ

兄(あ、妹起きたなこれ。寝癖またついてるし…)

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 01:59:33.24 ID:oFSwoR8S0
妹「ふぁ…ぁ…。…。…!お兄ちゃん!起きてたの?言ってくれればよかったのに」

兄「気持ちよさそうに寝てるとこ起こせるかよ。それにずっとつきっきりだったみたいだし」

妹「…まさか起きてたの?」

兄「いや?俺が吊橋から落ちたときと同じ服装だったからな。簡単な事だ」

妹「…あっ、待ってて」シャッ「着替えてくる」顔ヒョッ スッ

兄「…お前に、2つ言いたい事がある」

妹「何?」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:00:59.32 ID:oFSwoR8S0
兄「1つ目、…俺の身勝手な自殺にまき込んじまってすまなかった」

妹「…いいよ、別に。それに私も何もお兄ちゃんの事知らなかった。詐欺の事も、私が携帯見たとき気づけていればよかった。私が…」

兄「それ以上言うな。その…しおらしくしてるのなんてお前らしくないぞ。」

妹「…!うんっ。」


兄「あともう一つ」

妹「そっちの方が気になるんだけど、何かな?通ってる高校でも聞きたいの?」



兄「…お前は誰だ?」


妹「…えっ」

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:03:35.71 ID:oFSwoR8S0
妹「ちょ、ちょっとー!吊橋から落ちて頭でも打っちゃった?」

兄「いや、俺はいたって正常だ。妹…いや『そこにいる』お前、お前は一体何者なんだ?」

妹「…冗談きついよ?」

兄「すべて言い終わってから怒ってくれ。始めはほんの小さな綻びだった。覚えてるだろ?俺が転んでお前に…その・・・なんだ…●●タッチした時の事」

兄「あの時思った。熊のぬいぐるみさえ踏まなきゃ転ばず、●●タッチもなかったのにってな。まあ●●タッチできてちょっと感謝もしてるけど」

妹「…ふぅん。で?それがどうして私が妹じゃないって事になるの?まさか胸の形が違ったからとか?」

兄「俺が言っているのは胸のことじゃない。熊のぬいぐるみの事だ。」

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:04:52.29 ID:oFSwoR8S0
兄「あのぬいぐるみは妹のお気に入りだった。初め、引越しした時にすぐ手に取れるように机の上に配置したのかと思ったぜ。」

兄「だが、ただのインテリアとしてお前は飾っていた。それだけならまだいい。あろう事かお前は机の上においておいたままだった」

兄「そして…机の上から転げ落ちた熊のぬいぐるみはずっと床の上だった。●●タッチの原因となったのはそのせいだ。」

兄「小さい頃寝るときずっと一緒だった熊のぬいぐるみに妹がこんな『仕打ち』をするはずがない。」

妹「…もうぬいぐるみの事はどうでもいいの。あんなモノ…」

兄「まだあるぞ。アルバム見たよな」

妹「…見たね」

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:05:57.85 ID:oFSwoR8S0
兄「あのアルバムはお袋のアルバムだ。だから妹とお袋のすべてが詰まっているはずだ」

兄「それにしては写真が少なすぎる。それに一番大事な中学の卒業式や入学式などの写真が抜け落ちていた」

兄「写真は意図的に消し去ったものだった。そうだろう?」

妹「何言ってんの?お母さんが無くしたかもしれないじゃない」

兄「そうか?お袋は水商売関連で随一の几帳面な女だと思うぞ。」

兄「だからお袋が出て行ったときの荷物、あれ口紅以外全部妹のものだ。多分口紅は無くしたと思ってたんだろうな。」

妹「人間は完璧じゃないんだよ?お兄ちゃん…」

260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:07:06.25 ID:oFSwoR8S0
妹「…もうそれ以上言わないで。じゃないと…」

兄「じゃないと?」

妹「…お兄ちゃん追い出すよ」

兄「最後の一つだ。我慢しろ。お前とお袋の墓行った帰り、お前帰ってくるの遅かったな。『先に帰ってて』って言ってたよな」

妹「あれはお母さんと2人になりたかったから…」

兄「それは嘘だな」

妹「何で?」

兄「俺はその後を見てたからな」

妹「…ストーキング?」

兄「尾行だ。お前はその場で立ち止まりつつ、脇の石碑?よくわかんねぇけど死んだ奴の名前が書かれてる奴だ…あれを拝んですぐ帰ってきた」

263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:08:46.37 ID:oFSwoR8S0
兄「お前がすぐ戻ってきたから俺は走って先回りして帰った。だから息が上がってたんだ。」

妹「…あれ、トレーニングマシンじゃなかったんだ」

兄「そう。それとあの後、スーパーに俺は一人で買い物に行ったよな?」

妹「まさか特売があったっていったのは」

兄「特売?あんなもん嘘だよ。じゃないと帰宅時間が早くなっちまうからな。気になって俺はまたお袋の墓に行かせて貰った。」

兄「お前が何をしていたのか気になって…な。」

兄「お前の拝んだところにあったのは…戒名とか書かれた石碑?何て言うんだろうな、あれ」

妹「…」

兄「俺も高校出てりゃあな、戒名くらいは読めたんだろうけど。こんな文字列だ。」カキカキ

『正心院一妹童女』

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:10:49.28 ID:oFSwoR8S0
妹「…」

兄「吊橋で追い詰められてはっきりと思い出したよ。戒名の中にやけに見知った文字列があった。『妹』ってな」

兄「突拍子も無かった発想だが、『もしかしたらあれは妹だったかもしれない』と思ったね。」

兄「その後起きてから林檎喰いつつずっと考えてたが妙に今までのおかしな事と辻褄が合っちまうんだ。」

兄「俺馬鹿だしさ、人の心なんて所詮わかんねぇよ。」

兄「…だから、一言『違う』って言ってくれればいいんだよ。」

妹「…っ…」

兄「…頼むから、正直に答えてくれよ。ホントにお前『妹』なんだよな?」

270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:11:55.23 ID:oFSwoR8S0
妹「…。…もう、隠す必要なんて、ないよね。」

兄(カーテンが開いた。)

兄(黒のブレザーを着た妹…いや、妹に扮した何者かが立っていた。)

妹「そう。『妹』は…もうこの世にいないの」


兄「…旧暦のエイプリルフール、でも、なさそう…だな…。」

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:13:53.26 ID:oFSwoR8S0
妹「でもね、私もある意味でお兄ちゃんの妹なんだよ?」

兄「どういう事だ?」

妹「お兄ちゃん、『妹』はお母さんの連れ子だって知ってるよね?」

兄「ああ。」

妹「お母さんは初めて結婚した時…双子を出産したんだよ。瓜二つの双子。」

兄「…は?」

妹「初耳だったでしょ?まあお母さん自分の事全っ然話さない人だったから仕方無いっていえば仕方無いけどね。」

兄「…まさか。」

妹「そう、そのまさか。私はお母さんと…『あなたのお父さんじゃない、『妹』のホントのお父さん』が別れる時、お父さんの方に着いていった双子の片割れなんだよ。」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:15:44.13 ID:oFSwoR8S0
妹「だからある意味で「異父兄弟」ってことになるのかな?」

妹「お母さんが『妹』とお兄ちゃんの元を離れた後、1年後に私のお父さんが死んでまた私はお母さんの元で暮らす事になったの」

兄「そうだったのか…ん?じゃあ風邪ってまさか」

妹「うん。嘘。」マスクバッ「ほら、口元にほくろがあるでしょ?」

兄「…!ああ、妹にそんなほくろは無かった。」

妹「双子を見分ける簡単な方法はメガネとほくろ、身分証明書だったんだよ。」

妹「まあメガネは視力が落ちたって言い繕えばいいし、身分証明書は見えないように隠せば名前の一字以外違いは無いからばれなかっただろうけど、ほくろは誤魔化せなかった。」

妹「あのお兄ちゃんが私を人質に取った日、午後に伯母さんと一緒に旅行に出かける予定って言ってたよね?」

妹「あの日実はほくろとって貰って、戻ろうかと思ってたの。」

兄「…道理でいきなりだったわけだ。ハハッ…」

281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:17:35.76 ID:oFSwoR8S0
兄「…なあ、『妹』はどうして死んだんだ?」

妹「乳がん…って知ってるでしょ?」

兄「…お袋の命を奪った病気か」

妹「お母さんのお姉ちゃんも乳がん見つかってね。」

妹「私は全然ガン見つからなかったけど、『妹』はお母さんや伯母さんの乳がんが分かった時に急いで診断して分かってね。手遅れだった。」

妹「『妹』は最後まで私やお兄ちゃん、お父さんのことを想ってくれていた。だから、お兄ちゃんの話沢山してくれてたんだよ」

兄「ちょっと待て、そうだとしても電話でいきなり兄だって分かるはずないだろ」

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:19:18.28 ID:oFSwoR8S0
妹「お兄ちゃん、運動会の司会やってたよね?」

兄「ああ。」

妹「その時のビデオ残ってたんだよ。何度あのテープ見たか覚えてないくらい見たよ。それに、お兄ちゃん声変わり早かったから今の声と殆ど遜色ないしすぐわかった」

兄「何でそんなものを…」

妹「あの時が一番カッコよく見えたんだって『妹』は言ってたよ」

妹「すっごく楽しそうだったよ。」

兄「そうか…『妹』は俺が好きだったのかもな」

妹「うん。『妹』は言ってたよ。まあ『慕ってる』って言ってたけど。」

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:21:35.07 ID:oFSwoR8S0
(~数年前~)

妹(妹よりも数秒早く生まれたので以下、姉)「おはよー!『妹』!元気してた?」

『妹』(以下、妹)「あ!お姉ちゃん!うん。大丈夫。今日はね、隣のおじさんが退院してったんだよ!」

妹「花束渡したら『ワシにもこんなかわいい娘が欲しかったワイ』なんて言ってた。やっぱりね、退院には花束なんだよ!」

姉「わかった、退院には絶対大きな花持ってくね。ヒルガオとかどう?」

妹「うん…でも、もう私には退院は無理かな…あはは…」

姉「…何言ってるの!成功率50%もあるんだよ!?約半分だよ約半分!」

妹「…無理だよ。」

姉「妹…」

妹「私ね、最近お兄ちゃんがひょっこり来ると思ってるんだ。」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:22:35.67 ID:oFSwoR8S0
妹「お兄ちゃんね、ドジだけど水際というか…瀬戸際の運だけはいいから、だからきっと来てくれるよ。私のガン治す先生も一緒に連れてね!」

妹「それでお父さんが資金ラスベガスで大もうけしてギリギリになって届けてくれるんじゃないかって思うの!」

妹「それでそれで、お母さんが墓の下からガァァーッ!って蘇って、それで姉も一緒に暮らすの!お父さんはもうギャンブルしないし…」

姉「それホラーじゃんwwwあるわけ無いよwww」

妹「だよねwww…でも、それくらいの奇跡起こらないと私、病気治らないかなって…」

姉「妹…」

姉「あの…お父さんが悪いんだ…っ!お父さんがいなきゃ家族もバラバラにならなかったし、幸せに暮らせたし…妹が好きなお兄ちゃんだって同罪、絶対に許さない…!!!」

妹「好きとは言ってないでしょ…。…慕ってるというか…」

姉「そう、"慕ってる"ね。あの2人だけは絶対に許せない…!」

妹「…お姉ちゃん…。」

姉「許さないっ…!」ギリッ

妹「ねえお姉ちゃん。聞いて。」

290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:23:36.80 ID:oFSwoR8S0
姉「何?」

妹「私の分もお父さんを許してあげて、私の分までお兄ちゃんを愛してあげて」

姉「なんで…!だってあの2人は妹を見捨てたのよ!」

妹「それは結果的にそうなっちゃっただけで、見捨てたくて見捨てたわけじゃないんだよ。」

妹「私ね、姉にも幸せに暮らして欲しいの。そうなったらいがみ合ってる余裕なんか無いし、私はそんな姉の姿を見たくない」

姉「妹…」

妹「ね?私に免じてお願い!あ、それと戒名の事なんだけど…『正心院一妹童女』って戒名にしといて」

姉「なんで?」

妹「いつか、いつか家族が幸せに暮らせるように、死ぬまで『正』に『一心』に祈るって意味。」

姉「まだ…死なないでよ。私を、一人にしないで…」

292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:24:41.40 ID:oFSwoR8S0
妹「そんなの…分からないよ。…あ、そうだ。ちょっとこっち来て。」

姉「?」

妹「最期かもしれない記念撮影!いくよー?ハイ、1-5+5+1は~?」

姉「2ー!」カシャ

妹「…うん、これでいいね。これ、あとでペンダントにしてお姉ちゃんの元に送るよう、妹友に頼んでおくから!たーのーしーみーにーしーろー!」ユビクイクイッ

姉「やーらーれーたーwww」バタッ

293: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:26:24.78 ID:oFSwoR8S0
(~数日前~)

姉(以下、妹)(妹(以下、『妹』)…お姉ちゃんは元気だよ。)

妹(…そろそろ成仏、できたかな…)

prrrrrr ガチャ

兄「もしもしー?オレオレw」

妹「もしもし」(お兄ちゃん?そんな馬鹿な!今まで見つからなかったのに!)

兄「はうぁっ!?妹?」

妹「…」(なんで慌ててるの?…まさか、私と声がそっくりな『妹』とを勘違いしてる…?チャンスだ…!)「うん、そうだけど」

兄「…」

妹「お兄ちゃん?」(混乱…?)

297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:27:53.66 ID:oFSwoR8S0
兄「え、な、何々?何々ー!!!??」

妹「どうしたの?」(何?今まで『妹』が苦しい間に全然来ないで、今更になって掛けてきてしかも「何々ー!!!??」?おちょくるのもたいがいにして欲しいんだけど…許せないんだけど…!!)

兄「な、なんでもねぇよ」

妹「それにしても久しぶりだね!私の方から探しても全然見つからなかったんだもん、びっくりしちゃったよ」

兄「あ、ええと…ま、まあな!兄の情報網をなめんじゃねぇぞ!ハッハッハ!」

妹「びっくりしたよ…」(これはきっと嘘だ。お兄ちゃん、聞いてた通り嘘がお下手…)「あ、そうだ。久々に会えない?お兄ちゃん。」(「会ってお兄ちゃんをじっくり料理してあげようかと思って☆」)

兄「おういいいいいぜ!いつだ!」

妹「…?お兄ちゃんちょっと今日変だね。どうしたの?あっまさか」(ここで拍子抜けする答えを出してこいつに混乱させておかなければ声でもしかしてばれるかも…)

兄「」ギグウ

妹「●●●●の最中だったんでしょ!」

兄「ふぅ…」アブナイアブナイ

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:28:59.36 ID:oFSwoR8S0
妹「えっ、まさか今フィニ」(食いついて多分こいつは言わせない。余裕を奪うのも戦略の一つ…!)

兄「そうだ来週の土曜!来週の土曜午前10時、お前と遊んでたビル裏公園で会おうな!」

妹「えっ、う、うん。」(ここは唐突な要求に戸惑ってるフリしないと…)

兄「週末まで元気にしてろよな!お袋とも仲良くやれよ!」

妹「…うん、…じゃあね。」ガチャ

妹「…じゃあね、お兄ちゃん…」ニッ「『妹』、お姉ちゃんやっぱり仇とるよ」

303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:30:46.58 ID:oFSwoR8S0
(~現在~)

妹「因みに人質にされた日の励ましも半分嘘。お兄ちゃんの情報を把握しておけば復讐する時に役に立つかと思った。」

兄(とんだ策士だな…!)

妹「でもね。許せなかった思いは少しずつ揺らいでいった。」シャラッ ギュッ

兄(ペンダント…?)

妹「半分って言ったのはそれ…!」

妹「因みにたらこパスタ。ちょっとずつクスリ入れて体壊させようとしたんだよ?まあ分量間違えちゃって腹痛になって全部出されちゃったから次から慎重になったけど」

兄(あれもお前の仕業か…!)

妹「絶対に許せないのに、許せないのにあの●●タッチ一発で気づかされた。私は恋してるんだって。」

妹「仇に恋するって何?『流星群の絆』?馬鹿げてるよ。私は、そんな気持ちに気づいた、そんな気持ちを抱いた私が許せなくなっていた…!」

妹「私はどうすればいいの?!ねぇ!お兄ちゃん!私にどうして欲しいの?殺して欲しい?なら殺すよ!」

兄「妹…」

妹「でもそうなったら私は私を殺す!!!お兄ちゃんは絶対に許せないしそれを好きになった私も重罪私は許されない私はゴミ屑私は」

兄「妹!!!!!」

妹「う…」

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:32:35.51 ID:oFSwoR8S0
兄「これは兄からでも仇からでも好きな人からでもない。伝言だ。『妹』はなんて言っていた?」

妹「『いもう…と…』?」

兄「そうだ。『「私の分もお父さんを許してあげて、私の分までお兄ちゃんを愛してあげて」』だっただろ?ならそのままでいいじゃないか。もう、いいんだよ…」

妹「だって私は『妹』だ!私ばっかり!私ばっかり悲しい思いをして、勝手に死んで、勝手に」

兄「『妹…!」ギュッ

妹「!」

兄「もう、復讐なんて抱え込むな。『妹』はそんなこと望んでない…。」

妹「そうなの…?『妹』…?」カチャ キラッ

309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:35:32.37 ID:oFSwoR8S0
妹(思い出が…逆流する…)

妹(『妹』…私は…)

 妹「お姉ちゃん!クッキー焼いたんだよ!食べて!」

妹「いもう…と…?」

 妹「おーねーえーちゃ-ん!私のプリン食ったな~!許すまじ!でもそのゼリーくれたら許すマジ!」

妹「あ…あ…」

 妹「お姉ちゃんハイ、花冠!」

 妹「お姉ちゃん!」

 妹「お姉ー!ちゃーん!どこー!?」

 お姉ちゃん!

 おねえちゃん。

 お姉ちゃん…もう…いいんだよ。だから許してあげてよ…!

 お姉…
 ちゃん…姉…
 お姉ちゃん…

314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:36:45.47 ID:oFSwoR8S0
妹(ずっと妹はお兄ちゃんを許して…!)「あっ…あっ…」ジワッ

兄(…何故だろう。殺されかけてたのに、今なら許せる気がする…。)「…妹。」ギュッ

兄「お前の居場所は、ここだよ。泣きたいなら俺の胸でいくらでも泣け。」ギュゥ

妹「ごめん…ごめんお兄ちゃん…ごめん『妹』…あ、あ、ああああ…」ポタッ

妹「う…あ…ああああああ…」ボタボタ

兄(こんな小さいからだで、ずっと俺への好意と悪意を支え続けてたんだな…)

兄(…守ってやりたい。いや、こいつは…俺が守ってやる…)

316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:37:55.46 ID:oFSwoR8S0
兄「もう大丈夫か?」

妹「…うん。ごめん今までの事。私、妹に許してあげてって言われてたのに殺そうとしちゃって…」グス

兄「どうだっていいぜ。だって俺生きてるしw」ウデユルメッ

妹「…うん。」スッ

兄「俺は家族でもお前の恋人でもいいさ。好きなほうを選びな。」

妹「…ねえ」

兄「なんだ?」

妹「初めての●●タッチはもうしたから、今度は初めての接吻が欲しい…ん…だよ…ね…///」

兄「妹…」

320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:39:21.99 ID:oFSwoR8S0
兄「接吻って何?」

妹「」コケン

兄「い、いやぁ俺実は高校行ってないからそんな言葉全っっっ然知らんしwwww」

妹「き、キッス、だよ…///」カアアアアアアアア

兄「…いいのか?顔真っ赤だが大丈夫か?」

妹「は、初めてだし…ね…?」

兄「お、俺も初めてだ。えっと…まず」グイ

妹「うあっ…///」(近い…顔近いよ!)

兄「顔斜めに傾けて…///」

妹「う、うん…」

兄「目を…瞑れ」

妹「うん…///」

兄(可愛い唇しやがって)

兄「…」(いざとなると緊張するもんだな)

322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:40:22.90 ID:oFSwoR8S0
兄(…ダァァーーッ!糞!勇気がでねぇ!)

妹「は、早くしてよ…こっちだって恥ずかしいんだから…」

兄「ああ」スッ


トントン

兄「!?」(来客!?こんな時に…!)

兄(キスは出来なかったぜ…)

兄「ん”ん///」チッ「はは、入ってー!どうぞー!入れや!こんのKY野郎がぁ!」

h「よおwww自殺未遂www」

k「入るぞ」ピシャッ

325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:42:30.04 ID:oFSwoR8S0
兄「ふう…アンタ等か」

h「アンタ等ァァ??ハァ??崖下捜索してここまで運んでやったのは誰だと思ってんだ糞ガキ。謝罪しろ謝罪」

兄(hって言ったっけなコイツ、よく警官やってこれたな。)「病院まで運んでくれたのは救急隊員と病院関係者だろ国家の狗が」(俺は公務員が人間のなる職業の中で一番嫌いだ。)

h「んだと…この」

k「ハイハイそこまで。公務執行妨害ならびに詐欺未遂犯ならびに脅迫犯、口慎んどけ。h、お前ももっと堪忍袋の緒鍛えとけ。」ボスッ

h「…わーったよ相棒」

k「お前が目覚めたら伝えようと思ってた。体が回復して歩けるようになったら警察署で話を聞かせてもらう。いいな?」ユビブン

兄「もう逃げねぇよ。あんなに騒ぎ大きくして悪かったな」

k「ああ。妹から大体の話は聞いたさ。よっと」ボスッ「…なんでお前は死のうとしたんだ?」

兄「想像つくだろ。それに言わなくていいだろ、そんな事」

327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:43:35.42 ID:oFSwoR8S0
k「これは俺の趣味なんだ。世界中でテロ起こそうとしてる絶対悪でも無い限り犯罪には誰だって理由をつけるもんさ」

兄「たっけいなご趣味をお持ちでありますね。」

h「『けったいな』な。磔にでもされたいんか?wwwwww」

兄(黙れ国家の狗)「…単純に言わせて貰うなら…まあ、俺の人生はグチャグチャだ。詐欺なんかしようとしてたどうしようもない人間だ。だから…捜査が本格化する前に死のうかと思ってな」

兄「それなら妹に『犯罪者の家族』のレッテルが貼られることは…ないだろ?」

h「かーっ!何言ってんだか若造が。結果死に切れなかったんだろバァァーーカ!!!」

兄「…」

k「残念だが俺の意見もこいつと同じだ。死んでどうする?裁かれる事はなくとも妹の心には大きな傷跡が残るぞ」

k「それに死んだとして、裁けなくとも罪が許される事はない。」ハァ「罪っていうのは過去だ。過去は書き換える事はできない。」

k「過去の書き換えはドラえもんかウェルズにでも頼むんだな」

330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:44:42.08 ID:oFSwoR8S0
兄「死で許されようとなんか思ってない!死は…その…決意と裁きだ。死をもって俺は罪を受け入れるという事を証明し、自分自身を裁く…そういう事だ。」

k「決意?何が決意だ。第一、警察も世間もそんなに甘くないぞ。」

k「それに裁くのは裁判所の仕事だ。この国じゃ死刑はOKだが私刑は許されないんだよ。」

h「そーだそーだ!バーカ!」

兄「…」

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:45:50.56 ID:oFSwoR8S0
k「…俺の好きな漫画の主人公が昔、とある殺人事件の犯人にこう言っていた」

k「『―生きろよな!』」

k「『お前がしたことに少しでも罪を感じるならな、手っ取り早くカッコつけて逝くより…地道に罪を償って生きてけよ!』」

k「『そうやって無様に生きる方が、カッコつけて逝くより…』」

k「『1000倍カッコよく見える時だって、あるんだぜ?』」

兄「…!」

k「…まだ死ぬか?お前」

兄「…。…もう死にゃあしねぇよ。妹の前でこれ以上無様な醜態は晒したくない。それに、これからこいつをなるべく守りたい」(それに、出来る事ならこいつを守りたい。)

妹「お兄ちゃん…」

336: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:47:31.47 ID:oFSwoR8S0
h「おーおー、お盛んなこって」

k「どうやら俺達の出る幕は無いようだな。エピローグって感じだ。」

k「…エピローグってのは小さな終焉。次回も見てね、こう御期待。言ってみれば完全な終わりじゃないのさ。再演はまた見れる。」

k「…お前の人生がまた新たな発展を遂げるといいな」

兄「…ああ。」

340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:49:09.21 ID:oFSwoR8S0
兄(護送中…とでも言っていいのか?ともあれ俺はパトカーの中にいる。)

兄「事情聴取って本当にカツ丼が出るのか?」ブロロロロ

k「出した覚えは無いぞ。だが、出したら出したで容疑者へ自白を誘導した利益誘導にあたるんじゃないか?」

兄「最近はカツ丼出ないって噂で聞いてたからてっきり『世知辛い世の中だな』とかなんとか勝手に思ってた」

兄「…なぁ、友はどうなるんだ?」

h「…話すつもりは無い」

兄「助かるのかだけは教えて欲しい」

k「死ぬまでには出てこれるさ。そういう事は俺達じゃなく裁判所や検事や弁護士に聞いて欲しいもんだな。」

k「誰だって法律のエキスパートじゃないんだからな。っと、着いたぞ」ガチャ

兄「今日は本当に…その…」

h「何度も言わせるな糞ガキ」ガチャ

兄「すまん」ガチャ

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:50:11.11 ID:oFSwoR8S0
兄(警察署って意外と大きいな…)

兄(俺の前には国家権力、周囲を廃工場らしき建造物で囲まれた警察署がそびえていた。)

兄(人影は無く静寂に包まれている。)

兄(報道関係は伯母さんが何とかしてくれたって言ってたけど大丈夫かな…妹、いじめられないといいが)ウィン

妹「お兄ちゃん!」

兄「!妹…?」

343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:51:11.81 ID:oFSwoR8S0
妹「…ふぅ~…すーっ…」

妹「…ふぅ…」スゥッ

妹「帰ってきたら、ケーキ作って待ってるから!絶対帰ってきてよね!!」

兄「…フッ」(心配してたこっちの気も知らないで。)ニッ

兄(さ、て、と…答えてやらないとな)スゥッ

兄「待ってるからな!塩辛いホットケーキ!!!」

妹「お兄ちゃんの馬鹿ーーーーー!!!!!」ニッ「待ってるからねー!!!」ブンブン

兄(…大丈夫、だな。)ウィン

346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/07(水) 02:52:07.95 ID:oFSwoR8S0
兄(俺は警察署内へ、堂々威風。もう、怖いものなんてあるか。俺を信じる妹は、きっと待っててくれる。)

兄(残るは、俺の決意。)

兄(過去を認めに、未来を見つめに、無限の今に、さあ行こう。そこにどんなエピローグが待ち受けていようとも。)


少年は一歩、また一歩、歩いていく。

ズンズンと、ズンズンと。

ズンズンと。


(終わり)