乃々「小梅さん、早いですね」

小梅「ううん……みんなも早かった」

美玲「相変わらず幸子は物量で押し切るつもりか」

幸子「勝つためには必要ですからね」

輝子「あ、あの……？」ｱｾｱｾ

輝子「みんな……ちょ、ちょっと落ち着いて」ｱﾜﾜ

輝子「私だぞ？ 私とのキスなんだぞ？」

輝子「本当に良いのか？」

幸子「……確かに輝子さんの言うとおりですね」ｽ...

美玲「もう一度額を提示しなおすか？」ｽ...

小梅「賛成」ｽ...

乃々「みなさんがそうするのなら……」ｽ...

輝子（ホッ……）









小梅つ2100万?＜ﾄﾞﾝｯ

美玲つ2400万?＜ﾄﾞﾝｯ

幸子つ2400万?＜ﾄﾞﾝｯ

乃々つ1800万?＜ﾄﾞﾝｯ

※全て現ナマです



輝子「なんでぇっ？！」

乃々「思い切ったつり上げですね」

美玲「そんなの当然じゃんか」

幸子「だって輝子さんとキスですよ？」

小梅「輝子ちゃん絡みなら、貯金を切り崩すのが基本……」

輝子「いやいやいやいや」

輝子「みんな、分かってないだろ……私とのキスだぞ？」

輝子「そ、それにこれは、オークションじゃないから……な？」

輝子「ちゃんとみんなに……し、してあげるから……」

輝子「こういう争いをされると……私も……辛い……」

美玲「……輝子の言うとおりだな」ｽ...

幸子「ボクたちは大きな勘違いをしていました」ｽ...

乃々「すぐそこで打ち合わせしましょう」ｽ...

小梅「ちょっと、待っててね？」ｽ...

輝子（ホッ……）

乃々「決まりましたよ、輝子さん」









美玲つ8640万円?＜ﾄﾞﾝｯ

小梅つ8640万円?＜ﾄﾞﾝｯ

幸子つ8640万円?＜ﾄﾞﾝｯ

乃々つ8640万円?＜ﾄﾞﾝｯ

※全て現ナマです



輝子「ふひえぇ～……」

美玲「ウチらは全員親友だからな」

小梅「ケンカせず……横並びになれば良い」

乃々「8640万円、24時間分のキスでいこう……となりました」

幸子「さぁ輝子さん！ 受け取ってくださいね！！」

輝子「待って待って待って待って」

輝子「分かった……分かった、私が甘かった……」

輝子「値段は1/1000にする！！」

美玲「な、なんだって？！」ｶﾞﾀｯ

乃々「それじゃ輝子さんが――！」ｶﾞﾀｯ

輝子「私はいい！ いいんだ……！」

輝子「だから、もう一度考え直してほしい……！」

幸子「……他ならぬ輝子さんの望みです……ここは聞き入れましょう」ｽ...

美玲「そうだな」ｽ...

乃々「それでは、もう一度話し合いましょう」ｽ...

小梅「待っててね？」ｽ...

輝子（ホッ……）

乃々「決まりました」









美玲つ8640万円 ＜ﾄﾞﾝｯ

小梅つ8640万円 ＜ﾄﾞﾝｯ

幸子つ8640万円 ＜ﾄﾞﾝｯ

乃々つ8640万円 ＜ﾄﾞﾝｯ

※全て現ナマです



輝子「もうやだ……」ｸﾞｽｯ

幸子「安くなるなら、現状維持で何も問題ないですよね？」

美玲「1000倍キスできるもんなッ！ 1000日だぞ、1000日ッ！！」

乃々「興奮のあまり、何らかの後遺症が残りそうなんですけど……」

小梅「私は……輝子ちゃんだけの愛ゾンビになるなら、本望だから……！」

輝子「ちょっと待ってくれ……（泣き）」

輝子「もう分かった……さすがにもう分かった！」

輝子「1人1万円まで！ これ以上は認めない！」

輝子「これでもキスが24時間以上だぞ？ じ、十分だろ！」

輝子「な？ だから考え直してくれ……」

乃々「とうとう胴元から上限を言い渡されましたね」ｽ...

幸子「でも、輝子さんの希望ですから」ｽ...

小梅「お金が1万円までなんだよね？ 現金やカードでも？」ｽ...

輝子「そう……」

美玲「しかたないな……オマエら、それでいくぞ？」ｽ...

幸子つ1万円 ＜ｽｩ

乃々つ1万円 ＜ｽｩ

美玲つ1万円 ＜ｽｩ

小梅つ白坂小梅 ＜ｽｩ



4人「「！？！？！？！？」」

幸子「ちょっと小梅さん！？ どういうことですか！？」

美玲「オマエ、ウチらを裏切るつもりか！？」

乃々「そもそもそれは、上限違反では……！？」

小梅「ううん……上限があるのは、現金やカードなどの『お金』だけ……！」

小梅「それ以外のものには、上限は無いんだよ……！」

幸子「ぐっ……！」

美玲「……い、いやダメだ！ 輝子の言った『お金』は『価値』という意味のハズッ！」

美玲「オマエには価値があるだろッ！ それも1万円は軽く超えるほどの！」

乃々「そうですよ……諦めてください！」

小梅「ううん……たとえそうだとしても……」

小梅「人間の価値は『プライスレス』だから……！！」ﾄﾞﾝｯ!!

美玲「くっ……冷静に切り返してきたぞ……！」ｷﾞﾘ...

幸子「こんなに的確に、論破してくるなんて……！」ｸｯ...

乃々「これは気を抜くと負けますよ……！」ｳｩ...

輝子「えぇ～……」

美玲「待てよ、それだけじゃ納得できないぞッ！」

幸子「そうですよ！ 小梅さんがプライスレスじゃ、輝子さんは1円も稼げないじゃないですか！」

乃々「本末転倒なんですけど……？！」

小梅「確かに、私は1円も払わないよ……」





小梅「でも……私が輝子ちゃんのものなら、私の財布も輝子ちゃんのものだよね……！！」ﾄﾞﾄﾞﾝ!!

3人「「！！！！！！！！」」

輝子「いやいやいやいや……」

乃々「確かに、自分の財布を使うのは当たり前のこと……！」ｶﾞｸｯ

美玲「1万円以下でありながら1万円以上輝子に稼がせるなんて……！」ｶﾞｸｯ

幸子「自分の人生をも売るなんて、勝てるワケないですよ……！」ｶﾞｸｯ

小梅「勝った……！」ﾊﾟｱｧ

輝子「待ってこれ全然納得できない」

小梅「輝子ちゃん……私を、どうぞ///」ｼﾞﾘ...

輝子「なんで顔を赤くしてるの？！」

小梅「私はもう輝子ちゃんのものだから、自由に使ってね……？」ｼﾞﾘ...

小梅「どんな命令も従うし、どんな扱いをされても文句言わないよ……？」ｼﾞﾘ...

小梅「いつでも捨てて良いし、いつでも拾えるようにずっとそこにいるから……」ｼﾞﾘ...

小梅「だって私……輝子ちゃんを愛してる……から……///」

輝子「小梅の愛が重い！！！！！！！！」

輝子「ちょ……だ、誰か助けて……！」

小梅「うん、私が助けるね。どうしたの？」ｷﾞｭｰ

輝子「いや違っ……小梅がその……！」

小梅「さっそく私を使ってくれるんだ……嬉しい///」ｷﾞｭｰ

輝子「そうじゃない、そうじゃないんだ……！」

小梅「どうしたの？ 輝子ちゃんのためなら私、何でもするよ？」ｷﾞｭｰ

輝子「怖い！ 小梅が怖いぃ！」

小梅「私が怖い？ あっそうだ！ 私に『タヒね』って命令してくれたら、すぐ私を消せるよ？」ｷﾞｭｰ

輝子「短時間で病み過ぎぃ！！」









「「「ちょっと待ったぁ！！！」」」

小梅「……あれ？ どうしたのかな、負け組のみんな？」ｸｽｸｽ

輝子「助けて……小梅がもう勝ったつもりでいるんだ……」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

幸子「小梅さんこそ、何をトボけてるんですか？」ﾆﾔﾘ

美玲「輝子もハッキリ言っていただろ？」ﾆﾔﾘ

乃々「『オークションじゃないから全員受け付ける』ですよね？」ﾆﾔﾘ

輝子「あっこれ絶望の前兆だ」

小梅「全員分を受け付ける……？」

小梅「……！」ﾊｯ

小梅「ま……まさか……？！」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

幸子「そう……そのまさかです……」









幸子「ボクたちも同じだけ支払います！！」ﾄﾞﾝｯ!!

幸子つ輿水幸子

美玲「小梅にだけ美味しい想いをさせてたまるか！！」ﾄﾞﾝｯ!!

美玲つ早坂美玲

乃々「私たちの輝子さん愛をなめないで欲しいんですけど！！」ﾄﾞﾝｯ!!

乃々つ森久保乃々









輝子「うわーみんなたのもしいなー（やけくそ）」

小梅「みんなのこと……誤解してた……」

小梅「いつも自分のことばかりで、輝子ちゃんのことをないがしろにしてるものとばかり……」

幸子「そりゃ、言えませんよ……」

幸子「名前を言うだけで、心臓が飛び出そうになるんですから！！」

美玲「だからまずは一緒の空間にいるところから、体を慣らしていく予定だったんだ……」

美玲「でも、もうなりふり構っていられないぞッ！！」

乃々「可愛い上に格好いい――そんな輝子さんに惹かれるのは自然の摂理……」

乃々「だから輝子さんのための苗床（意味深）になるのは、当然のことなんです！！」









輝子「み、みんな……！」

輝子「そんな前から末期症状だったなんて……！！」ﾌﾞﾜｯ

小梅「でも……良かった」

小梅「4人なら、輝子ちゃんのための楽園を築く計画が実行できる……！」ｽｯ...

幸子「そ、その計画書はまさか……！」

美玲「『輝子ハーレム計画』……！」

乃々「わ、私たちが、そのメンバーで良いんですか……？！」

小梅「うん……輝子ちゃんのために全てを投げ出せるみんななら、理想の楽園を築ける……！」

小梅「……ううん……私たちだからこそ、輝子ちゃんを幸せにできるの……！」

幸子「小梅さん……！」ｸﾞｽｯ

美玲「ありがとう……！」ｸﾞｽｯ

乃々「この命が尽きる最期まで、頑張ります……！」ｸﾞｽｯ

小梅「うん……一緒にがんばろ……！」ｸﾞｽｯ









輝子「うぅ……みんなが手遅れだったなんて……」ｸﾞｽｸﾞｽ

その後、4人の尽力により、
輝子専用の楽園(ハーレム)は早々と完成した
噂によれば輝子は、4人から至れり尽くせりの毎日を送っているという



『トップアイドルたちが専用の百合の場を作る』ということで、
そのテのファンから多額の寄付金が集まったことも、
早期完成の大きな要因であった



キノコを模した玉座に腰を下ろしながら、
『やっぱり身売りってクソだわヒャッハー』と思った輝子は、
世界の子供を救う基金を開設、
のちにノーベル平和賞を受賞することになるのだが……



――それはまた別のお話に――



終わり