2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:07:16.60 ID:UwUjkB310
肇「おはようございます」
モバP(※以下表記P)「あぁ、おはよう。初出勤だな。昨晩は眠れた?」
肇「いえ……やっぱり、胸の奥がずっと落ち着かなくて。いつもより寝不足です」
P「ま、そんなに緊張することはないんだけどな。とりあえずこっちに」
肇「はい」
P「はい、どうぞ。ちょっと待ってもらうことになるけど、リラックスしてて」
肇「わかりました」
引用元: ・肇「はじめましてのご挨拶は」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:08:13.74 ID:UwUjkB310
肇(ここが……芸能事務所)
肇(おもっていたより普通のオフィス、かな)
P「あぁ、そうだ。飲みものなにがいい?」
肇「あ……おかまいなく」
P「若いうちから遠慮を覚えてもいいことないぞ?」
肇「えっと、それならお茶を」
P「熱いのでいいかな」
肇「それでお願いします」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:09:41.79 ID:UwUjkB310
肇(ソファ、ふかふか)
肇(やっぱりいいものなのかなぁ)
P「へい、お待ち」
肇「ありがとうございます」
P「そこにある雑誌とか好きに読んでくれていいから」
肇「はい」
P「じゃあ申し訳ないけど」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:11:56.29 ID:UwUjkB310
肇(神秘の歌姫、高垣楓……)ペラッ
肇(そういえばこの人、ここの事務所だったような)
肇(……トップアイドルにいきなり会えるわけなんてないか)
柚「じーっ」
楓「じーっ」
肇「……?」
柚「じ~~~~~っ」
肇「あ……お、おはようございます」
柚「柚たちが見える……!?」
肇「えっ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:13:57.46 ID:UwUjkB310
楓「ふう、座っていい?」
肇「は、はい」
肇(わ、ほ、本物だ……)
柚「おはこんばんちはなら!」
楓「あら、さようならも入れちゃうの?」
柚「どんな状況でも使えるようにしてるんだー」
楓「私も使っていい?」
柚「いいよ! まぁ柚のじゃないんだけどねー」
楓「ふふ、おはこんばんちはなら」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:18:00.41 ID:UwUjkB310
楓「はじめまして、よね?」
肇「は、はい。今日からこちらへお世話になる藤原肇と申します」
楓「肇ちゃん」
柚「肇サン」
楓「肇ちゃんにはじめましてって、安直ね。ふふっ」
肇「えっ、あ、は、はい、そうですね」
柚「肇サン、真面目に反応しなくて大丈夫だよ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:24:55.53 ID:UwUjkB310
楓「肇ちゃんはどこから?」
柚「柚のカゼは鼻からが多いよ!」
肇「え、えっと……私は喉からくることが……」
楓「あら、きれいな声だから気をつけなきゃね」
柚「アメ食べる?」
肇「ありがとう、ございます……」
柚「龍角散のど飴って意外とおいしいよね」
楓「私は梅のど飴。ところで出身は?」
肇(あ……どこからってそういうことだったんだ)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:26:39.09 ID:UwUjkB310
肇「岡山県の備前市というところです」
楓「岡山県」
柚「びぜんし?」
楓「備前焼で有名なところね」
柚「ドコだっけ? 四国?」
肇「広島と兵庫の間ですね。中国地方の」
柚「香川? うどん?」
楓「それが四国」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:34:19.73 ID:UwUjkB310
柚「ん~……とりあえず地図で見ると左側にあるとこだね!」
楓「そうそう。柚ちゃんえらいえらい」ナデナデ
柚「へへーん。あっ、そうだ、きびだんごがあるとこ!」
肇「そうですね。私はあまり食べたことがないですけど……市街に行くと、桃太郎の像があったりします」
楓「あとは、もんげー」
柚「もんげー!」
肇「よくご存知ですね」
楓「もんげー?」
柚「もんげーもんげー♪」
肇(……使い方がちがうけど、まぁいっか)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:37:05.88 ID:UwUjkB310
沙紀「ふたりともなにやってんすか」
楓「あら、沙紀ちゃん、おはよう。肇ちゃんとお話を」
柚「こみゅにけーしょん!」
沙紀「おはようっす。交流は大事なことっすけど、困ってるじゃないすか」
楓「そう?」
肇「あ、楽しいですよ。あまりこういうのに慣れていないだけで……」
柚「だって! あっ、もしかしてもしかして、沙紀さんさみしかった~?」
沙紀「なに言ってんすか」
柚「返しがクール!」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:41:43.11 ID:UwUjkB310
沙紀「えっと、肇さん?」
肇「は、はい。なんでしょう」
沙紀「Pさんが急に用事入っちゃって。ちょっと時間空くからレッスン見学しておいてって伝言っす」
肇「わかりました」
楓「プロデューサーも忙しい人だから。ごめんなさいね、肇ちゃん」
肇「い、いえ! お仕事はしょうがないですから」
沙紀「あと30分くらいで行くから、それまでのんびりしといてっす」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:43:36.04 ID:UwUjkB310
柚「沙紀サンのレッスン見学?」
沙紀「そうっすよ」
柚「柚も見たい!」
沙紀「柚ちゃんは他の仕事が入ってるじゃないっすか」
柚「あー、そうだった。ちぇー」
沙紀「そんなに残念がることっすかね」
楓「ふふ、それだけ沙紀ちゃんのことが好きなのよ、柚ちゃんは」
柚「そーだよ! 沙紀サンガチラブ勢! あっ、もちろん楓さんも!」
楓「私も柚ちゃんかわいがり勢」ナデナデ
柚「うへへ」ナデラレナデラレ
肇(かわいい)
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:44:58.27 ID:UwUjkB310
沙紀「じゃ、行くとき声かけるんで」
肇「はい」
柚「えーっ、沙紀サンもこっちでおしゃべりしよーよー」
楓「しよーよー」
沙紀「したいのは山々っすけど、アタシにもやることがあるんすよ」
柚「ぶーぶー」
楓「ぶーぶー♪」
沙紀「はいはい、別に今日しかできないわけじゃないっすから、またあとで」
柚「しょうがないなぁ、まったく」
沙紀「なんでアタシが悪いみたいな感じなんすか」
楓「沙紀ちゃん、それはしょうがない」
沙紀「なんなんすか、もう……」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:49:06.09 ID:UwUjkB310
肇(仲いいんだなぁ……)
楓「そういえば」
柚「ん?」
楓「岡山といえばままかりって魚があって、昔その酢漬けを食べたとき、すごいお酒に合ったのを思い出して」
柚「へぇ~、ままかりってヘンな名前だねー」
肇「ご飯が進んで、家で炊いた分を食べきってしまっても足りないから、隣の家からご飯を借りてこないといけないくらいおいしい、っていうのが名前の由来ですね」
柚「ままがごはん? なんで?」
肇「漢字で書くとこう……飯借りって書くんですよ。ご飯のことをまま、とか、まんまって言ったりしませんでした?」
柚「ほぉ~……」
楓「焼いたままかりの酢漬けがあるって聞いて、すっごく食べてみたいのよね~」
肇「私は未成年なのでわからないですけど、おじ……祖父や父がお酒の肴にしていました」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:50:49.72 ID:UwUjkB310
柚「えっ!?」
肇「ど、どうしました……?」
楓「肇ちゃん、いくつ?」
肇「16ですが……」
柚「柚といっこ違い!?」
楓「ごめんなさい。随分と落ち着いているから、大学生くらいだって勘違いしちゃって」
柚「柚よりいっこお姉さん……」
肇「大丈夫です。よく間違われるので……」
楓「言葉使いも丁寧だから余計に……どうしたの、柚ちゃん?」
柚「柚といっこ違い……」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:55:31.61 ID:UwUjkB310
肇「あの……大丈夫ですか……?」
楓「肇ちゃんがひとつ違いっていうのでびっくりしたみたい」
柚「もっとお姉さんだって……」
肇「ご、ごめんなさい……?」
楓「柚ちゃんはかわいい系で妹系だもの。肇ちゃんは、その逆かしら?」
肇「そう、なんでしょうか……自分じゃわからないですね」
柚「……柚は妹系?」
楓「純然たる妹系よ。なんといっても抱き心地がいいし」ギュッ
柚「むっ、柚太ってないよ! むしろちょっとだけ痩せた!」プンスコ
肇(妹系と抱き心地ってどう関係あるんだろう……?)
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/29(水) 23:59:28.86 ID:UwUjkB310
肇(あ、そういえば)ゴソゴソ
肇「これ、よかったら事務所のみなさんで分けてください」
柚「袖の下だ!」
肇「えっ、いや、あの……そういうつもりじゃ……」
楓「……ツッコミ不在だとまとまらないわね」
肇「ツ、ツッコミ?」
楓「ううん、こっちの話。それで、これは? 開けていいかしらって言う前に柚ちゃんが開けちゃってるけど」
柚「てへ。ガマンできずについ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:08:02.74 ID:k7FSa/IR0
柚「むらす、むら……なんて読むの?」
肇「むらすずめと言って、岡山のお菓子です。薄いどら焼きの生地をひっくり返してあんこを包んだもの、と言えば伝わるでしょうか」
柚「あんこ!」
楓「岡山のお菓子といえばきびだんごのイメージだったから、これは初めて見たかも」
柚「柚はつぶあん派ー」
肇「むらすずめはつぶあんを使っているので、ちょうどよかったです」
楓「うん、おいひい」モグモグ
柚「お茶が欲しくなるねー」
肇「気に入ってもらえてよかったです」ホッ
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:09:41.08 ID:k7FSa/IR0
楓「せっかくだし、肇ちゃんも食べたら?」
肇「いえ、私は……みなさんにと買ってきたものですし」
柚「肇サンもこの事務所の一員になったんだからさー、一緒に食べよ!」
肇「えっと……」
楓「こういうときは遠慮しちゃダメよ?」
肇「……なら、いただきます」
柚「やっぱりみんなで食べるとおいしいねー!」モグモグ
楓「ふふ、そうね」
肇(久しぶりに食べたかも……)モグモグ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:13:19.82 ID:k7FSa/IR0
柚「んまんま」モグモグ
肇(おいしそうに食べるなぁ)
楓「柚ちゃん」
柚「なにー?」モグモグ
楓「食べ過ぎじゃない?」
柚「大丈夫だよー、今日はレッスンあるし!」
楓「前もそう言って後悔してなかった?」
柚「うっ……ま、前とは違うから! 今日は頑張るし!」
楓「それも前に聞いたような……」
柚「ううう……だっておいしいのがいけないんだもん……」モグモグ
楓「おいしいものはなかなか止められないからしょうがないわね。私もお酒やめられないし」モグモグ
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:17:16.48 ID:k7FSa/IR0
楓「3人で一箱空けちゃった」
柚「ほとんど柚と楓サンが食べてたけどね」
肇「まだあるので……これを他のみなさん用に」
柚「肇サンはいいおヨメさんになるね」
楓「わかるわ」
肇「えっ、あ、ありがとうございます」
柚「……なんだか調子狂っちゃうねー」
肇「え、えっと……」
柚「ううん、こっちの話ー」
楓「新たな刺客の登場ね」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:19:44.74 ID:k7FSa/IR0
沙紀「おしゃべりをお楽しみのところ申し訳ないっすが」
楓「あら、沙紀ちゃんもやっぱり寂しくなって?」
柚「もー、最初っから素直になればよかったのにー」
沙紀「違うっす。時間になったんで声かけに来たんす」
肇「あ……もう30分」
楓「楽しい時間はあっという間ねぇ」
柚「おしゃべりしたりなーい」
沙紀「別に今日だけってわけじゃないのに」
柚「今日という日は今日しかこない!」
楓「明日は明日の風が吹く」
沙紀「午前中なのになんでそんなにテンション高いんすか……」
楓「ふふ、肇ちゃんのおかげね」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:21:50.83 ID:k7FSa/IR0
肇「わ、私ですか?」
沙紀「困ってるじゃないすか」
肇「い、いえっ、私も楽しいです」
柚「ほらほらー、レッスン見学ってあとでもできるじゃーん」
沙紀「Pさんの指示なんだから、アタシに言われても」
柚「もっと自主性を持つべきだっておもうカナ!」
沙紀「便利な言葉に仕立てるのはやめるっす」
肇(沙紀さんが入って、すごい賑やかになって……仲いいんだなぁ)クスクス
楓「あ、そうだ」ピコーン
柚「お? 沙紀サンを丸めこむ作戦カナ?」
沙紀「それ、本人の目の前で言っちゃう?」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:23:24.88 ID:k7FSa/IR0
楓「肇ちゃんの歓迎会をしましょう」
柚「パーティー! やるやる!」
沙紀「全然いいとおもうっすけど、楓さんが言うとお酒を飲む理由が欲しいからに聞こえちゃうっす」
楓「もうっ、失礼しちゃう。4割しか考えてないのに」プンプン
肇「4割……」
沙紀「もうちょっとで半分すけど、大丈夫すか」
楓「その1割の壁は高いから」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:24:40.51 ID:k7FSa/IR0
柚「肇サンのこともっと知りたいし、柚たちのことももっと知ってもらいたいし!」
沙紀「アタシは賛成っす」
楓「なら今日やりましょう」
肇「すごく嬉しいんですけど、随分急ですね……」
楓「楽しいことを後回しにする理由なんてないでしょう?」
柚「思い立ったが吉日、だね!」
肇「……ありがとうございます。私のためにわざわざ」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:25:49.19 ID:k7FSa/IR0
楓「あとのことは私たちに任せて、ふたりはレッスンに行ってらっしゃい」
沙紀「……余裕持っといてよかったす」
柚「沙紀サンったらうっかりやさんなんだから~」
沙紀「……」グリグリ
柚「ほっぺぐりぐりしないでぇ~」
楓「ふふ、じゃあ、いってらっしゃい」
柚「またあとでねー!」
*
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:29:32.76 ID:k7FSa/IR0
沙紀「スタジオは歩いてすぐなんすよ」
肇「本当に近いんですね。遅刻の心配はなさそう……」
沙紀「はは、そうっすねぇ」
肇「……事務所はいつもあんな感じなんですか?」
沙紀「騒がしかったっすか、やっぱり」
肇「い、いえっ、にぎやかでいいなぁって」
沙紀「あのふたりは特にあんな感じっすから。迷惑だったらハッキリ言っていいすよ」
肇「迷惑だなんてそんな……むしろ緊張していた私に気を使ってくれたみたいで」
沙紀「そこまで考えてるのかなぁ」
肇「戻ったらお礼を言わなきゃ……」
沙紀「律儀っすねぇ……夜になったら絶対会えるっすよ」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:31:04.59 ID:k7FSa/IR0
肇「本当にやるんでしょうか」
沙紀「ふたりに限らず、こういうのが好きな人ばっかりいる事務所っすから。まぁ、アタシもそのひとりっすけど」アハハ
肇「……嬉しいです。こういうの、あまり経験がないので」
沙紀「これから先、楽しいことをいっぱい体験できるっすよ。もちろん大変なことも多いけど、それ以上にドキドキできる毎日を過ごせるっす」
肇「素敵、ですね……」
沙紀「……まぁ、これPさんからの受け売りなんすけどね。でもアタシが保証するっす!」
肇(……お父さん、お母さん、おじいちゃん。私、ここでなんとかやっていけそう)
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:31:30.77 ID:k7FSa/IR0
沙紀「改めて、これからよろしくっす!」
肇「はい……! よろしくお願いします」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 00:36:01.91 ID:k7FSa/IR0
おわり
岡山のお土産はきびだんごよりむらすずめか大手まんぢゅうを
ありがとうございました
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