2: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:47:50.57 ID:jn87d9AaO
【プラウダ高校学園艦:戦車格納庫前】

ノンナ「全車両、格納及び確認作業完了しました」

ニーナ「全隊員、整列完了す」

カチューシャ「ん!」コクリ

カチューシャ「今日はよくやったわね、オマエたち!」

カチューシャ「聖グロと組んだとはいえ、あの大洗に一矢報いたのよ。偉大なるカチューシャが誉めてつかわしちゃうんだから!」

カチューシャ「この後は各自夕食を済ませた後、ミーティングルームで軽く反省会したら終わり!」

プラウダ隊員たち「「「 Да! 」」」

カチューシャ「遅れないようにね! じゃあ解散!!」

引用元: 【ガルパン】カチューシャ「大洗から通信?」【劇場版】 


 

3: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:48:45.54 ID:jn87d9AaO
隊員たち「ふぃー……」「食堂さ行ぐべ」「んだ」ザワザワ

カチューシャ「ノンナ。クラーラに伝令、頼んだわよ」

ノンナ「はい。お疲れ様です、カチューシャ」

カチューシャ「今日の晩ごはんは何かしら」

ノンナ「ペリメニにしようかと」

カチューシャ「いいわね、楽しみ!」

カチューシャ「先に戻って、待ってるからね!」トテテ...

ノンナ「はい」クス

4: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:50:14.35 ID:jn87d9AaO
ノンナ「さて……[クラーラ、聞いていましたね]」

スゥ...

クラーラ「[勿論です同志ノンナ。カチューシャ様の可愛らしいお声を聞き逃すなんて勿体ないこと、できませんわ]」

ノン「[よろしい、時間厳守でお願いします]」

クラーラ「[了解]」

クラーラ「[それにしても、カチューシャ様といつも二人っきりの食事なんて羨ましい限り]」

ノンナ「[……日本語を話せる事、いい加減教えてはどうです]」

ノンナ「[そうすればカチューシャとも話が出来るでしょうに]」

クラーラ「[ごもっとも……しかし、カチューシャ様の『日本語で話しなさいよ!』があんまりにも愛らしすぎて……もうちょっとだけ聞いておきたいのです]」

クラーラ「[この期間しか味わえないやり取りですよ]」

ノンナ「[ばれた後でも私とこうやって会話すれば事足りるのでは]」

クラーラ「[それはそう。でも、そうですね、もうちょっとだけ……]」

ノンナ「[あなたがそういうのなら構いませんが……]」

5: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:51:55.16 ID:jn87d9AaO
ノンナ「[カチューシャを待たせているので、そろそろ行きます]」

クラーラ「[えぇ、また後程―――]」

アリーナ「あ、ノンナ副隊長~~! えがった、まだこちらにいらしたべか」タタタ

ノンナ「……? どうかしましたか、同志アリーナ」

アリーナ「大洗の会長さんから通信が入ってるじゃ」

ノンナ「わかりました。しかし困りましたね、カチューシャを余計待たせてしまう」

アリーナ「会長さんにちょっと待ってもらうべか?」

ノンナ「いえ、この時点で既に待たせてもらっているのですから」

ノンナ(アリーナにカチューシャへの伝言を……いや、休憩をとらせてあげなくては)

ノンナ「あぁ、適任がいましたね。[同志クラーラ、メモ書きをしますから……]」チャッ.サラサラ...

クラーラ「[おまかせあれ]」ニコ

アリーナ「ほんに副隊長ペラッペラだべな……」

ノンナ「同志アリーナ、あなたも休憩を」

アリーナ「すまんこってす。それでは失礼するだよ」ペコ

ノンナ「ではまたミーティングルームで」

6: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:54:18.20 ID:jn87d9AaO
 * * * 

【プラウダ高校学園艦:食堂付近通路】

アリーナ「待だしちまったな」

ニーナ「そんなでもねえ。行こ」

アリーナ「んだな」

スタスタ

アリーナ「ん。そうそう、副隊長のそばにクラーラもおっでな」

ニーナ「すごい美人さんだよなあ」

アリーナ「んだんだ。髪どかさぁらっさらでよー」

ニーナ「いやぁ羨ましい……ん?」

7: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:56:00.18 ID:jn87d9AaO
トコトコ...

ヒソヒソ...

??1「いやー、楽しみだなープラウダの飯!」ヒソヒソ

??2「いやいやいや、堂々とし過ぎだから……! あっちの通路からこっそり行こうって!」ヒソヒソ

??1「だぁいじょぶだって。この通り制服も『貸して』もらえたんだしさ」ピラ

??2「洗濯場に『借ります(はーと)』ってメモ置いただけなんだけどね」ヒソヒソ...

??1「飯代も払うんだから問題ないって」ケラケラ

??2「あぁぁもう……! もう一人に至ってはまたさらっと消えてるしぃぃ……!」

ニーナ「…………おい」

??2「……は、はいっ!?」ビクーッ!!

??1「あ、お疲れさまでーす! なんか用ですか?」ニコー

ニーナ「……」

アリーナ「……」チラ

ニーナ「……」コク

8: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 11:58:46.45 ID:jn87d9AaO
ニーナ「おめだつ、みねえ顔だな?」ジトー

??2「あ、えっと、私たち最近転入したきたもので……っ」ワタワタ

??1「そうなんですよー」ニコニコー

ニーナ「ほぉん……?」

ニーナ「なぁんだ転入生かぁ。なら見なくてもおがしくねえな~」ニッ

??2「え、えぇ、これからよろしくお願いします~~」アハハ

??1「どーもでーす」ヒラヒラ

ニーナ「……そういえば、転入生はカチューシャ様直々に転入祝いのお言葉があったべ」

ニーナ「あれ、めちゃくちゃ長くて退屈したろ~」ニガワライ

??2「あ、え、えっとぉ」

??1「いっやーそうなんですよー本当もう参っちゃってー」

9: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:00:11.64 ID:jn87d9AaO
アリーナ「……」

ニーナ「……合理主義のカチューシャ様がそんな時間の無駄使いするわけねえべ」スマホパシャー

??1&2「 」

...スゥゥッ!!

ニーナ「  ッ  侵  入  者  だ  ぁ  ぁぁああああ!!!!!!!」

バターン!

ガタガタ!!

プラウダ生徒「何事だべ!」「どしただ!?」「こっづからだ!!」

??1:ミッコ「あっちゃー……!」ダッ

??2:アキ「だから言ったじゃんもぉお~~!!」ダッ

10: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:01:26.18 ID:jn87d9AaO
ニーナ「アリーナ! 艦内緊急放送!! 今来たおめとおめは自警団と設備科にこの場所と人相を連絡!! 顔は撮っだ今送る!!」

アリーナ「Да!!」

プラウダ生徒「あいよ!!」「わかったじゃ!!」

プラウダ隊員「ニーナ!」バタバタ

ニーナ「いいどごに! 副隊長がおそらく通信室か隊長の部屋だべ!! 連絡頼む!!」

プラウダ隊員「まがせれ!!」バッ

   ジリリリリリリリリリリ...!!!

ニーナ「残ったやづはわだすとあの二人を追うぞ!! ついて来い!!」ダダッ

プラウダ生徒たち「「「おぉ――っっ!!!」」」ダダダッ

11: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:04:08.76 ID:jn87d9AaO

【侵入者発見以前:カチューシャの部屋】

カチューシャ「遅いわね、ノンナってば」

カチューシャ「……何かあったのかしら?」

コンコン

カチューシャ「……! (ノンナじゃないわね……)……入りなさい!」

ガチャ

クラーラ「[カチューシャ様、失礼します]」ニコ

カチューシャ「クラーラ?」

クラーラ「[ノンナ副隊長から、伝言を預かって来ました]」ピラ

カチューシャ「にーほーんーご! もう!」プンスカ

クラーラ「Что?(あぁ可愛い……っ)」ウットリ

カチューシャ「えっと、なになに……あぁ、通信ね。全く、このカチューシャを待たせるなんて……」

カチューシャ「お腹すいた……」キュウ

12: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:05:17.73 ID:jn87d9AaO

クラーラ「……」

カチューシャ「あ"。い、今のは、別に……っ! 忘れなさいよ!!///」

クラーラ「[――――何か、お作りしましょうか?]」スッ

カチューシャ「どうしたの、冷蔵庫指さして……もしかして、何か作ってくれる気?」

クラーラ「……」ニコ

スタスタ

カチューシャ「あ、ちょっと勝手に……まぁ、ノンナもそろそろ戻ってくるでしょ」

カチューシャ「任せちゃお……」

13: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:07:10.27 ID:jn87d9AaO

ガチャ...カチャカチャ...

カチューシャ「……」

クラーラ「……(これと、これと……たしか先ほどペリメニだと……)」カチャカチャ

カチューシャ(何か、ノンナ以外が台所に立ってるのって新鮮ね)

カチューシャ(あれ……よくよく考えてみると、私ノンナの手料理以外殆ど食べたことないんじゃ……?)

カチューシャ「(プラウダに入学して出会ってからずっとだわ。もう三年……)……三年……」ポツリ

クラーラ「……」カチャカチャ...

カチューシャ(ノンナはずっと私と一緒で……卒業しても、多分……)

カチューシャ(今までいつの間にか当たり前になってたけど、普通こんな関係って珍しいわよね)

カチューシャ(親友……? んー、腹心……、いや、家族みたいなものね。もう)アシプラプラ

カチューシャ(ノンナは、私のことどう思ってるかしら?)

カチューシャ(でもノンナのことだもの。私と同じに決まってるわ!)

14: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:08:08.14 ID:jn87d9AaO

カチューシャ(あ、そうだ。いい機会だし、たまには労いの言葉をかけるべきね!)ピコーン!

カチューシャ(いいアイデアだわ! これこそ『良い隊長』よ。きっとミホーシャだったらそうするわ!)

――ミホーシャみたいな、『良い隊長』なら――

カチューシャ(ミホーシャ……)

カチューシャ(ふふん、今日は勝ったわ!)

カチューシャ(こういうの、良いわね。なんか、全国大会で他の学園に勝った時とは違う……)

カチューシャ(……――――)

15: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:09:34.80 ID:jn87d9AaO

 * * * 

『また、見下された……』

『あの弱者を憐れむような、嘲るような、こちらを見下ろす目――――』

『気にくわない……』

『気にくわない、気に食わない、気ニ喰ワナイ……~~~~ッッ!!』

『何か、何かないだろうか』

『あいつらを私が見下せるような』

『…………戦車道……?』

『…………これだ』

『これはいい。爽快だ。見ろ、あいつらの惨めたらしい姿』

『これなら私の身長も関係ない。むしろ好都合じゃないか…!』

『ザマァない……!!! いい気分だ……!!!』

『もっと勝ちたい……!!』

『勝てば皆、私を見下すことはない……!!』

『勝利を! 不敗を! もっと!!』

『もっとだ!! 更なる勝利を!! もっとッ……!!』



『――――もっとちゃんと、私を、認めて……っ』



16: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:11:38.77 ID:jn87d9AaO

 * * * 

クラーラ「…………~♪」ジャー...コト.シュボ...

カチューシャ(……ミホーシャは強かった)

カチューシャ(誰もが、私だって、認めたわ)

カチューシャ(でも、決勝戦でミホーシャの戦い方を見て確信した)

カチューシャ(私とは決定的に違う、強さの種類)

カチューシャ(今まで薪をくべ続けていたストーブような私の心に、知らない風が吹き抜けたみたいだった)

カチューシャ(目が覚めるような心地)

カチューシャ(素直に感じたの。ミホーシャが、羨ましかった)

カチューシャ(私もあんな隊長になりたい……)

カチューシャ(隊員たちを、勝つための駒のように考える隊長じゃなくて――――)

カチューシャ(みんなで気持ちを一つにして勝利を目指す、そんな、『良い隊長』に……)

17: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:13:56.48 ID:jn87d9AaO

コト

カチューシャ「……!」ハッ

クラーラ「[カチューシャ様のお口に合うと良いのですが]」ニコ

カチューシャ「……いただくわ」パク

カチューシャ「ふむ……」モグモグ

カチューシャ「……うん、おいしいわ! やるじゃないクラーラ!! はらしょー!」モグモグ! ニコーッ!

クラーラ「[良かった♪]」ニコ

カチューシャ「……」

カチューシャ(どうせ、言ってる事分からないし……)

カチューシャ「ありがとね、クラーラ」

クラーラ「……!」

カチューシャ「アンタみたいな、優秀な乗り手がウチに来てくれてとっても嬉しい」ニコ...

カチューシャ「今年で、私やノンナはいなくなっちゃうけど……」

カチューシャ「それまではクラーラ、それにニーナやアリーナ」

カチューシャ「プラウダの隊員たちにとって、良い隊長になれるように精一杯頑張るから」

カチューシャ「これからも、よろしくね!」ニコー

クラーラ「……ッ……!! …っ…!」ニ...ニコ... プルプル...

カチューシャ「……日本語のわかんないクラーラに、こんなこと言っちゃうのズルいかもだけど」

カチューシャ「分かられちゃったら、恥ずかしいもの///」テレ

クラーラ「 」ズキューン

18: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:15:33.85 ID:jn87d9AaO

クラーラ「(……あぁっ! もう、なんて……なんて可愛らしいのですカチューシャ様!!)」シュパッ

クラーラ「(これです! こういうことです同志ノンナ!! あとであなたにも聞かせて差し上げますからね!!)」カチッ

クラーラ「(あぁぁカチューシャ様ぁぁあ!!!!)」

クラーラ「(来てよかった、日本に来て本当に良かった!!!)」

クラーラ「(お父様に無理を承知で、転校を頼み込んだ甲斐がありました!!)」

クラーラ「(たまたま見た日本戦車道全国大会の映像でカチューシャ様に一目惚れして以来、私は目の前にいる天使の虜)」


クラーラ「(この方のためなら本当に、命だって惜しくはない……!!)」


19: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:17:05.23 ID:jn87d9AaO

カチューシャ「それにしてもノンナったら、まだ通信室にいるのかしら……?」

   ジリリリリリリリリリリリッ!!

カチューシャ「…!! 何っ!?」

クラーラ「(かちゅーちゃたんマジはらしょ…)……!!」

ガチャッ!!

ノンナ「失礼しますカチューシャ、良くない報告が二つ」

カチューシャ「一つは今のね!」キッ

ノンナ「学園艦に女学生と思われる侵入者が二名。現在ニーナ率いる臨時捜索隊及び自警団員たちが追っていますが目標を消失。目的は不明」

ノンナ「設備科の生徒も可能な範囲で動員し、艦内を点検中です」

カチューシャ「エキシビションの勝利の余韻に水を差すなんて不届き者ね! 捕縛したらしゅくせーよ!!」

ノンナ「それと、もう一件…………ですが……」

カチューシャ「……? どうしたの……?」



ノンナ「……。大洗学園が約束を反故にされ、廃校処分になったと」


20: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:18:58.41 ID:jn87d9AaO

クラーラ「…………!!」ピク

カチューシャ「……何、それ……どういうこと!?」

ノンナ「……学園艦教育局は、初めから廃校を撤回するつもりはなかったようです」

カチューシャ(――――ミホーシャ…………っ!!)グ...ッ

カチューシャ「ッ!!」ッダン!!

カチューシャ「ひとまずは、侵入者から……!!」ギンッ...!!

カチューシャ「ちまちま時間かけるのは大ッ嫌いよ。相手は女子なのね? なら船舶科の清掃係たちも捜索隊に回しなさい!! アリーナにも小隊を指揮させるの。許可を出すから、甲板と船底から区画ごとに一部隊づつが、各ゲートを閉鎖しつつ囲い込め!!」

ノンナ「はい」

カチューシャ「クラーラと各区画責任者代理たちに侵入経路の捜索をさせて。脱出する準備等を発見次第封じなさい!!」

ノンナ「[クラーラ、キッチンの脇に臨時の無線機があります、持って行ってください]」

クラーラ「поняла!」タッ

カチューシャ「ノンナ!」

ノンナ「はい」

カチューシャ「んーーあ、待って。今回は私じゃなくて、ニーナとアリーナのサポートにまわってくれるかしら」

ノンナ(!?)

ノンナ「……お一人で、大丈夫ですか」

カチューシャ「平気よ! 私は中央管理に行くから、アリーナのところへ直接向かって」

ノンナ「わかりました」

ザザッ

ポーン...!! ポーン...!! ポーン...!!

アリーナ『緊急警報! 緊急警報! 侵入者が最低2名学園艦内にて逃走中!! 特徴はどちらも小柄で、赤い髪と白い髪!! 手の空いてるものは非常時訓練用小隊を組んで付近を警戒!! 発見次第即時報告せよ!! 自警団の到着までむやみに接触はするな!! 繰り返す!!――――』

21: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:20:38.74 ID:jn87d9AaO

 * * * 

アリーナ『――――!!!』

ブツッ!

スタタタタタタ...!!

ミッコ「いやーまいった」タハハ

アキ「まいったどころじゃないよ!! ひとまず隠れられる場所を探して、追っ手だけでも撒かないと!」

アキ「プラウダ怖すぎ! 偵察行為がバレた時とかでも、どこもここまでやらないよ!!」

ミッコ「あ、とりあえずミカと合流しとこうよ」

アキ「そうしたいのはやまやまなんだけど、居場所わかるの!?」

ミッコ「んーまー走ってりゃどっかで見つかるっしょ。ミカだし」

アキ「その言葉に納得できちゃう辺り、あたしも随分ミカに染められたんだなって思うよ……! ええいもーミカもキッズ携帯でいいから電話くらい持ってくれればいいのに!」

ミッコ「『携帯……それって必要なものかな?』ぽろろーん♪ってね! あっはっは!」

アキ「微妙に似ててなんか腹立つう!!!」

アキ「あっ!! ていうか一度車に戻ろうよ! アレを抑えられたらもっとやばいじゃん!」

ミッコ「そだねー」

アキ「軽い!! あぁぁこんなことなら――――」

アキ『夏休みもそろそろ終わるし、折角だから避暑地で遊んでから帰ろうよ! ほら、プラウダって確か青森でしょ、いつもみたいにちょっと乗せてってもらお』

アキ「――――とか言い出すんじゃなかったぁ!!」

ミッコ「そーだそーだー反省しろよアキー」

アキ「ぐぬぬぬ! ごめんねえっ!!」

タタタタタタタ......!!

22: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:22:18.92 ID:jn87d9AaO

 * * * 

【プラウダ高校学園艦:中央管理室へ移動中:艦橋エレベータ内】

ウォン...ウォン...

カチューシャ「ウチに忍び込むなんていい度胸してるわ」

カチューシャ「そんなにネズミの真似事がしたいなら、お望み通りにしてあげようじゃない。……袋のネズミにね」

ピピピッ...ピピピッ...

カチューシャ「!」

カチューシャ「プライベート回線……? この忙しい時にアイツってば……」ピ

カチューシャ「カチューシャは今忙しいんだけど!」

ダージリン『あら、お邪魔だったかしら。失礼』

カチューシャ「ふん! どーせアンタのことだから、大洗廃校の件で動くつもりなんでしょ」

カチューシャ「それで、学園艦教育局の動きが未知数で聖グロだけじゃ力不足かも知れないから、各校への根回しの最中って感じかしら?」スラスラ

ダージリン『話が早くて助かるわ。私からの電話とタイミングだけで察せられるなんて、流石カチューシャね』

カチューシャ「呼び捨てにしないで!」

ダージリン『大洗はこんなところで消えていいような学園ではないわ。彼女たちの価値は、直接対峙したカチューシャ、あなたも何らかの形でわかっているはず』

カチューシャ「細かいところはどうでもいいの!! 心の広いカチューシャは仕方がないから協力してあげるわ!! 感謝なさい!」

カチューシャ「それに、大洗は来年の全国大会でウチの後輩たちにリベンジさせなきゃならないの!! 勝ち逃げなんてカチューシャの気がすまないんだから!」

ダージリン『フフ……、結構よ。手が空いたらまた連絡してちょうだい』

カチューシャ「ふんだ!」ピ!

ガコォン...

23: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:24:04.99 ID:jn87d9AaO

ザザ

カチューシャ「ノンナ」

ノンナ『はい』ザッ

カチューシャ「他に侵入者がいる報告はまだないみたいね」

ノンナ『先ほどの二人組も追加情報が未だに……これだけの包囲網の中で痕跡を残さないなんて、相当手慣れているようです』

カチューシャ「学園艦専門のこそ泥かしら。そんな奴ら、思い当たる節が一つくらいしかないけど」

ノンナ『配置した検問を抜けられて、地上に出られたらマズいですね』

カチューシャ「いや……」

ピタ

カチューシャ「どうも、その心配はなくなりそうよ――――」

ノンナ『!?』

24: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:24:47.22 ID:jn87d9AaO


ポロロン...



25: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:30:42.78 ID:jn87d9AaO





ミカ「ここは、とてもいい場所だね。ーーーー風が穏やかに流れている」





26: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:35:25.56 ID:jn87d9AaO

 * * * 

【戦車道作業車両第二格納庫】

コソコソ

ミッコ「お、無事だったみたいだな。ウチらの車」

アキ「追っ手も撒けたし、ひと安心かな。あとはミカが戻ってくるのを待って、甲板に車両運搬用のボートがあるはずだからそれで……」フ-

ミッコ「ッ!! アキ!! 止まれ!!」

アキ「へ……?」

カツ

カツ

カツン...

クラーラ「[ごきげんよう、可愛い子ネズミさんたち]」トン

クラーラ「[折角乗ってきてくれたところ悪いけど、つまみ食いはよくないわね]」

アキ「うっ、流石にバレてたかぁ……」

ミッコ「ロシア語……。[悪いけど、その車から離れてくれないか? 放浪癖のカンテラ弾きを、これから乗っけなくちゃいけないんだよね]」

クラーラ「ーーーーあいにくと、そうは問屋が卸さない」ニコ

ミッコ「日本語ペラペラじゃないか……」

ドタドタドタッ

バタァン!!

ニーナ「見っけたぁあ!! こごならもう逃げらんね!!」

ニーナ「付近にいる捜索隊と自警団を呼んで出入口を封鎖!! カチューシャ隊長とノンナ副隊長に連絡さ入れろ!!」

隊員「おぉッッ!!!」

アキ「うわー詰んだっぽい……」

ミッコ「そろそろ……アレの出番だな……」

アキ「ミッコ……やるしか、ないみたいだね!」

クラーラ「……?」

ビシッ

ミッコ&アキ「せーの……っ!!」


「すいませんでしたああああああ!!!!」ペコリィィィィ


27: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:37:14.78 ID:jn87d9AaO

 * * * 

【プラウダ高校学園艦:艦橋:屋外展望エリア】

【日没間近】

ヒュウゥ--...

ザザッ

ノンナ『侵入者の確保完了しました。同志クラーラが同時に車両も押さえたと』

カチューシャ「だ、そうよ、継続高校。アンタも部下が大切なら、大人しくするのがけんめーね」

ポロン

ミカ「僕たちは呼ばれてきたんだよ。この艦の運ぶ、風のお誘いに乗っただけさ」

カチューシャ「人の話を聞きなさいよ! っていうか、アンタたちがいつの間にかブン盗ったKV―1もいい加減返しなさいよ!!」

ミカ「盗んだ訳じゃない。あるべき場所に、あるべきものが流れ着いた結果なんじゃないかな」

カチューシャ「その結果が盗んだって……さては話をする気ないわね!? あぁもう!!」

カチューシャ「ノンナ! 艦橋屋外展望!!」ザザ

ノンナ『すぐに自警団を送ります……!』

カチューシャ「まとめてシベリア送りよ!! カチューシャに舐めた態度をとったこと、後悔するのね!!」

28: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:39:05.10 ID:jn87d9AaO

ポロン...ポロン...

ミカ「後悔というのは、するべきものじゃない」

カチューシャ「なら、カチューシャの率いるこのプラウダを、敵に回すんじゃなかったわね!」

ミカ「そうじゃないさ。後悔というのは、得るはずだったものが手に入らなかったという幻にとらわれること」

ミカ「この世界は一つだけだからね。何かの始まりも、何かの終わりも、それぞれ一つずつしかないって理解するべきなんじゃないかな」

カチューシャ(何かの……終わり……)

みほ『今日は本当に、ありがとうございました!』ニコッ

カチューシャ(なんで、こんなときにーーーー)

カチューシャ『ミホーシャ! ぜーったい、またウチとやるのよ!! 約束破ったらただじゃおかないんだから!』

みほ『ふふ…はい、約束です! 必ずまたーーーー』

カチューシャ「……」

カチューシャ「決まっちゃったことは仕方がないから諦めるって言いたいわけ……?」

ミカ「通り抜けた風は引き返しては来ないからね」

29: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:40:18.12 ID:jn87d9AaO

カチューシャ「…………認めない……」ボソ

ヒュゥ...

カチューシャ「…………」

カチューシャ「継続高校」

ミカ「……ーーーーなにかな」

カチューシャ「プラウダに来た目的は何」

ポロン

ミカ「寄り道かな」

カチューシャ「途中寄港する中継地点で降ろせばいいのね」

フワ...

ミカ(……風が……)

ミカ「そういうことになるかな」

カチューシャ「ーーーー気が変わったわ」

カチューシャ「シベリア送りは中止よ。次に寄港できるポイントで降ろしてあげる」

ミカ「それは助かるね」

30: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:41:41.50 ID:jn87d9AaO

ビュウ...!

カチューシャ「……でもこれは取引よ、継続高校!!!」

カチューシャ「アンタたち、大洗から乗り込んだんでしょう。ならエキシビションも、大洗女子学園も見てたわね!!」

カチューシャ「さっき大洗が廃校になるって通信が入ったの、学園艦教育局は約束を守らなかった。……カチューシャは全然納得してない!! 他にも同じような気持ちのやつらがいっぱいいるわ!!!」

カチューシャ「どこかの紅茶マニアもご立腹で、大洗を守ろうと徒党を組始めた」

カチューシャ「アンタもその末席に参列するの!」

カチューシャ「カチューシャのプラウダに許可なく入り込んで、五体満足でおうちに帰れるのよ。これは貸しよ。大きな、地球に存在するいかなるものよりも大きな貸し!!」


ビュォォォ…………ッ

31: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:42:35.47 ID:jn87d9AaO




カチューシャ「だからもしこの先、大洗を助けるときが来たら、アンタも手を差し伸べるの!!! このカチューシャと一緒に!!! いいわね!!!!」




32: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:43:51.51 ID:jn87d9AaO

ゴォオッッ!!!!



ミカ「……」

ミカ「…………この風は、さっきと反対から吹いているね」

ミカ「でも勢いは全く違う」

ミカ「まるで友達をつれてきて、嬉しさのあまり踊ってるみたいだ」

カチューシャ「ステップの踏み方なら、カチューシャが教えて上げるわ」

ミカ「私は曲を奏でる方が好きかな」ニコ

33: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:45:39.57 ID:jn87d9AaO

 * * * 

【カチューシャとノンナの寝室:夜更け】

ノンナ「突然解放する指示が来たときは驚きました」

カチューシャ「いいのよ、もう」

ノンナ「ベッドはこれでよし。カチューシャ、歯磨きはもう済みましたか?」

カチューシャ「ばっちり。さ、ノンナ、早く寝ましょ!」

ノンナ「ふふ、はい」

カチューシャ「おやすみ、ノンナ」ギュッ

ノンナ「おやすみなさい、カチューシャ」ギュ...

カチューシャ「……」

ノンナ「……」

ノンナ「……」

ノンナ(それにしても……今日のカチューシャはいつもと様子の違うところが多かった気がします)

ノンナ(特に、私と離れることを気にも止めずに一人で……)

ノンナ(まさか、このまま行くとーーーー)

カチューシャ『いままでありがとうノンナ、カチューシャ、ううん、私はもう一人で大丈夫だから……』

カチューシャ『これからはそれぞれ別の道を歩くことになってもーーーー』

ノンナ(……そんなことになったら、私は耐えられない……)

ノンナ(カチューシャは私にとってかけがえのない存在……もう、カチューシャのいない人生なんて……)

34: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:47:42.33 ID:jn87d9AaO

カチューシャ「あ、そうだわ」パチッ

ノンナ「…っ、どうしました、カチューシャ?」

カチューシャ「ノンナ、えっと…あのね……///」

カチューシャ「あ、そう! 下!」

ノンナ「はい?」

カチューシャ「もっと下にさがるの!」

ノンナ「……こう、ですか?」ズリズリ

カチューシャ「そう、ノンナの頭がカチューシャの胸らへん」

ノンナ「一体何を……。っ!!」ギュッ

カチューシャ「えへへ、今日はカチューシャがノンナのこと抱っこして寝てあげるわ!」ギュ~

ノンナ「あの、か、カチューシャ、これは…………!」

カチューシャ「こっち見ないの……///」

カチューシャ「あのね、ノンナ。めったに言わないけど、聞いて?」

カチューシャ「すー……はー…………うん…」

カチューシャ「その、…いつも、おいしいご飯作ってくれたり、こうやって一緒に寝てくれたり」

カチューシャ「いつも、そばにいてくれてありがとう」

ノンナ「……っ!」

カチューシャ「高校卒業しても、大学行っても、ずっと一緒よ、ノンナ」

カチューシャ「ーーーーだいすき///」ポソ

ノンナ「カ、カチューシャ……~~~っ!!///」グリグリ

カチューシャ「わっ、きゃはは、くすぐったい!」

カチューシャ「うふふ、今日はノンナが子供扱いよ」ナデナデ

ノンナ「……っ」ギュー


カチューシャ「おやすみ、ノンナ……」


35: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:49:37.01 ID:jn87d9AaO

 * * * 

アキ「一時はどうなるかと思った……けどなんで急に解放してくれたんだろ」

ミッコ「まーまー、良かったじゃん無事に降りれたんだしさ」

ミカ「……」

アキ「ミカ? どうかしたの?」

ミカ「いや……。ご覧、星が綺麗だ」

アキ「んー、そうだね。今日はよく晴れてる」

ミッコ「また北極星見ながら行こうか?」

ミカ「それもいいかもしれないね」

アキ「それ前にやって結局迷子になったじゃん……」

ミカ「たまにはいいんじゃないかな」

ミッコ「だろー?」ヘヘ

アキ「えー?」アハハ

ミカ「それに、感じたことのない風が吹くかもしれない」






ミカ「ーーーーそうしたら、それに吹かれて舞ってみようか」

36: ◆illjV4KnQM 2016/06/30(木) 12:51:50.70 ID:jn87d9AaO
以上になります。
読んでくれた方がいたら、ありがとうございました。

ラブラブ作戦のノンカチュはもう本当にね、うん。