1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:45:07.46 ID:uMt1KAP/o
兄「おーい!」

妹「どしたの、お兄ちゃん?」

兄「宝くじ当たったぞ!」

妹「いくら!? まさか3億円!?」

兄「300円!」

妹「キャッホーイ!」

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引用元: 兄「宝くじ当たったぞ! 300円!」妹「キャッホーイ!」 


 

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:45:48.39 ID:uMt1KAP/o
妹「300円あったらなにができるかな!?」

兄「新しいゲームだって買えるし!」

妹「新しいお洋服だって買えるし!」

兄「海外旅行にだって行けるし!」

妹「おいしいものもたくさん食べられるよ!」

兄「ヒャッホーイ!」

妹「キャッホーイ!」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:48:16.52 ID:uMt1KAP/o
兄「今日は休日だし、さっそく換金しに行くとするか」

兄「このあたりで、一番近い宝くじ売り場はどこかな?」

妹「えーと、たしかこの町には売り場がないんだよ」

妹「だから隣町まで行かないと!」

兄「そういや、このくじも隣町で買ったんだっけな」

兄「じゃ、隣町まで行くとするか!」

妹「オーッ!」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:49:41.18 ID:uMt1KAP/o
駅――

兄「隣町までは歩いてもいけるけど、どうせならリッチに電車を使おう」

兄「えーと、隣町の駅までは150円か」

妹「今のあたしたちにとっては安すぎる金額だね!」

兄「ああ、換金さえ無事終了すれば俺たちは鉄道会社ですら買えるからな」

妹「買っちゃうの!?」

兄「俺たち兄妹の専用車両を作るってのもいいかもな」

妹「そんなの作ったら、お兄ちゃんあたしに痴漢し放題じゃん!」

兄「イヤか?」

妹「全然!」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:50:44.74 ID:uMt1KAP/o
隣町――

兄「着いた!」

妹「この隣町も、その気になれば買えちゃうんだよね、あたしたち!」

兄「もちろんだ」

兄「だけどいきなり換金しに行くってのも、がっついてるようでみっともないし」

兄「換金するのはカフェで腹ごしらえしてからにしよう!」

妹「さんせーい!」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:51:53.09 ID:uMt1KAP/o
カフェ――

妹「このパフェおいし~い!」

兄「このコーヒーも悪くないな」

妹「ねえ、換金が終わったらこの店買っちゃわない?」

兄「フッ、それも悪くないな」

兄「コーヒーは350円、パフェは700円……安い、安すぎる!」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:53:31.67 ID:uMt1KAP/o
兄「腹ごしらえも済んだし、いよいよ換金へ……」

妹「……」ガタガタ…

兄「おいっ、どうした!?」

妹「もうすぐ大金が手に入ると思うと、緊張してきちゃって……」ガタガタ…

妹「それに……宝くじが当たって、人生狂っちゃった人ってよくいるじゃない?」ガタガタ…

妹「あたしたちもああなっちゃわないかなって……」ガタガタ…

兄「……」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:54:13.85 ID:uMt1KAP/o
兄「大丈夫さ!」ギュッ

妹「!」

兄「俺たちは変わらない! どんな大金が手に入ろうと! 絶対に!」

兄「だから……気を強く持つんだ! 腹に力を入れて、深呼吸だ!」

妹「ありがとう……お兄ちゃん」

兄「さあ行こう……換金へ!」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:55:52.96 ID:uMt1KAP/o
宝くじ売り場――

おばちゃん「はいよ、300円」チャリーン

兄「……」

妹「……」

兄「ついに手に入ったぞ……300円が!」

妹「ついに手に入ったね……300円が!」

兄「ヒャッホーイ!」

妹「キャッホーイ!」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:57:34.72 ID:uMt1KAP/o
兄「こっ、これから……これから、どっ、どうするよ!?」

妹「どうしよっか!?」

兄「とりあえず、新しいパソコン買って……」

妹「あたし、ブランド物のバッグ欲しいなー」

兄「オーディオもすんげえの買って……」

妹「エステもやってみたいし……」

兄「むふふふ……」

妹「うふふふ……」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 20:58:35.07 ID:uMt1KAP/o
青年「アフリカの子供たちはワクチンを必要としていまーす」

青年「ご協力お願いしまーす」







兄妹「!」ハッ

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 21:00:16.83 ID:uMt1KAP/o
兄「妹よ」

妹「うん」

兄「どうやら……300円の使い道は決まったようだな」

妹「……そうだね」



兄「どうぞ」チャリーン

青年「ありがとうございまーす!」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 21:02:02.13 ID:uMt1KAP/o
兄「さ、帰るか!」

妹「お兄ちゃん、あの300円でアフリカの子供たちをどのぐらい救えるのかな?」

兄「ざっと3億人くらいかな」

妹「すっごーい! キャッホーイ!」

兄「そう、俺たちはすごいことをしたんだ! 胸を張って歩こう!」

妹「うんっ!」

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 21:03:53.89 ID:uMt1KAP/o
10年後――

兄「や、久しぶり」

妹「久しぶり~」

兄「いやー、ちょっと見ない間にすっかり美人になったなー。一瞬ドキッとしたよ」

妹「お兄ちゃんこそ、もう立派な社会人だね。スーツ、よく似合ってるよ」

兄「――ん?」



アフリカの大人「コンニチハー!」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 21:06:04.41 ID:uMt1KAP/o
兄「あなたは……?」

アフリカの大人「ワタシは、アナタがたの300円によって命を救われた者デース!」

兄「あ……!」

アフリカの大人「おかげで大人になることができマシータ!」

アフリカの大人「救われた命で会社を立ち上げ、今は億万長者になりマシータ!」

妹「それはそれは、おめでとうございます」

アフリカの大人「そこで、アナタたちにぜひお礼をしたいのデース!」

アフリカの大人「この3億円を……ぜひ受け取ってくだサーイ!」

兄妹「……」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/30(木) 21:07:24.03 ID:uMt1KAP/o
兄「いえ……お金はいりません」

アフリカの大人「ホワッツ!?」

妹「なぜなら私たちは……」

兄「お金よりもっと大切なものをとっくに手に入れてるのですから」



兄妹「“思い出”という……ね」





                                   ~おわり~