1: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:56:06.27 ID:QhIVlEhmo

後輩「おはようございます、先輩」

先輩「おはよう。それじゃ、また」

後輩「待ってください。あまりにも粗雑な扱いです」

先輩「だってクラスどころか学年も違うんだよ」

後輩「私は1-Aで先輩は2-Aです。ちょうど私の席の上は先輩の席です」

先輩「そうだけど」

後輩「天高くから見下ろせば私たちは一つの存在です」

先輩「分からないでもないかな」



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引用元: 後輩「先輩と後輩と先輩と後輩」 


 

 
2: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:59:38.86 ID:QhIVlEhmo

先輩「そうは言っても横から見れば僕たちは離れ離れなわけでしょ」

後輩「無理に横から見なくてもいいのです」

先輩「はい」

後輩「あっ、また対応が粗雑になりました」

先輩「そろそろ予鈴なるんだから行こうよ」

後輩「それもそうです。それではまた後で」

先輩「お昼は食堂にいるよ」


3: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:02:02.62 ID:QhIVlEhmo

後輩「お昼です先輩。愛妻弁当を作ってきました」

先輩「愛妻ではないと思う。美味しそうなお弁当だ」

後輩「ええ。愛がたっぷりです。栄養バランスは最悪」

先輩「蓋を開けると肉しか詰まってない。野菜が食べたい」

後輩「草食系男子ですか」

先輩「うるせえよ」

後輩「でも、味は保証しますよ。料理は得意なので」

先輩「本当だ。美味しい。でも胃がもたれる」


4: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:05:16.09 ID:QhIVlEhmo

先輩「こう、何ていうかさ。緑色も欲しくない?」

後輩「私は茶色で十分です。緑色は苦手なので」

先輩「緑はクズですぞ」

後輩「そういう問題ではなかったのですが」

先輩「はい」

後輩「美味しくいただいてくれましたか」

先輩「美味しかった。黒烏龍茶が欲しくなったよ」


5: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:08:44.67 ID:QhIVlEhmo

先輩「僕たちってもうちょっと賢そうな話とかできないかな」

後輩「例えばどんなものでしょうか」

先輩「特に思い浮かんだわけじゃないんだけどさ。うん」

後輩「結局のところ私たちには無理なのです」

先輩「そうかも」

後輩「帰り、どうしましょうか。本屋にでも寄りますか」

先輩「そうしよっか。僕の一日は読書なしでは終われないし」

後輩「了解です」


6: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:11:54.14 ID:QhIVlEhmo

後輩「私はやはり恋愛小説が好きなのです」

先輩「僕はミステリかな。推理するのが面白いんだ」

後輩「ドラマで見る方が好きです、ミステリなら」

先輩「活字に触れたいって感じかな。読んでると惹き込まれるんだ」

後輩「アリバイ崩しだとか、結末が意外な展開だと驚きます」

先輩「それはある。ネタバレされたら僕のやる気はしばらく無くなる」

後輩「それは恋愛小説とて然りです」


7: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:14:32.96 ID:QhIVlEhmo

先輩「君は恋愛小説の何が面白いって思うの?」

後輩「こう、ロマンティックな恋をしたいのですよ」

先輩「恋に焦がれるって感じであってるかな?」

後輩「そうとも言えます。憧れをお金で買っています」

先輩「すごく嫌な言い方だ」

後輩「先輩も興奮をお金で買っています」

先輩「今度は誤解を招きそうな言い方だよ」


8: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:18:03.57 ID:QhIVlEhmo

後輩「けれど、実際に恋をするなら普通の恋でいいのです」

先輩「そうなの? 君のことだから、何て言うんだろうか」

後輩「好きな人と結ばれるのなら、私は何でも構いません」

先輩「そっか」

後輩「身の丈に合った恋をしなければ破綻します」

先輩「たまには、夢を見たっていいと思うけどな、僕は」


9: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:21:48.76 ID:QhIVlEhmo

後輩「身の丈に合った、と言うのは語弊がありました」

先輩「うん?」

後輩「私は私らしい恋がしたいのです」

先輩「あ、それは僕も賛成だ」

後輩「そうでしょう」

先輩「うん」

後輩「そろそろ帰りましょうか」

先輩「そうしよう」


10: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:26:43.62 ID:QhIVlEhmo

先輩「おはよう」

後輩「今日は粗雑な扱いの日ではないのですか」

先輩「挨拶しただけなんだけど」

後輩「今日は授業中に先輩と会える日です」

先輩「うん。とは言っても一緒には居られないけど」

後輩「ぼんやり眺めながら先生に叱られることにします」

先輩「ほどほどに。三時間目だっけ、体育」

後輩「はい。ブルマでなくて恐縮です」

先輩「恐縮の意味分かってる?」


11: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:30:20.30 ID:QhIVlEhmo

先輩「疲れた」

後輩「先輩ふぁいとー」

先輩「しばらく光合成するよ」

後輩「バッグの中に私のブルマねじこんどきますよ」

先輩「さて、走らないとな」

後輩「先輩ふぁいとー」


12: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:33:31.06 ID:QhIVlEhmo

後輩「先輩ふぁいとー」

女先生「先輩ふぁいとーもいいんですが私の話を聞いてください」

後輩「先輩ふぁいとー」

女先生「あの……」

後輩「先輩ふぁいとー」

女先生「…………」

後輩「先輩ふぁいとー」

男先生「僕からも頼むから女先生の話も聞いてあげてよ」

後輩「すみません」


13: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:36:04.00 ID:QhIVlEhmo

先輩「ほら怒られた」

後輩「応援していただけなのです」

先輩「はい」

男先生「サボっちゃダメだよ、走って」

先輩「後輩ふぁいとー」

男先生「速度落ちてるよー」

先輩「後輩ふぁいとー」

後輩「先生が鬼です先輩、先輩も先生を止めて下さい、先輩が先生を先輩」

先輩「もうわけ分かんなくなってるよ」


14: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:40:10.13 ID:QhIVlEhmo

女先生「ほら、先輩が応援していますよ」

後輩「先輩ふぁいとー」

先輩「ふぁいとするのは君なんだけどな」

後輩「後輩ふぁいとー」

女先生「先生も後輩を応援する先輩のように先生らしく応援してください」

先輩「文章に起こすとゲシュタルト崩壊しそう」

男先生「僕もそう思う。赴任して一年経ってるんだけど」

先輩「お互い大変な気がします」

男先生「うん」


15: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:42:40.28 ID:QhIVlEhmo

先輩「男先生はここで二年目でしたっけ」

男先生「そうだよ」

先輩「教師って憧れます」

男先生「僕は体育教師だから、何というかあまり教えられないけど」

先輩「でも、運動は好きになってきました」

男先生「やりがい出るよ。ありがとう」

先輩「いえいえ」


16: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:46:00.31 ID:QhIVlEhmo

後輩「死にます」

女先生「先輩の応援で頑張れたじゃないですか」

後輩「先輩成分が足りません」

女先生「そうなのですか」

後輩「そうなのです」

女先生「……何というか、お互い頑張りましょう」

後輩「……はい」

女先生「……」

後輩「……」


17: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:53:01.34 ID:QhIVlEhmo

男先生「はい、授業はこれで終わりだよ、解散」

先輩「お疲れ様でした」

男先生「お疲れ様、お腹すいたな。がっつり食べたい」

先輩「男先生みたいに食べたら線も太くなるんでしょうか」

男先生「多分。今でもそんな食事ばっかりだけど」

後輩「先輩はここに居ましたか。お疲れ様です」

女先生「ああ、そうそう、せん、先生。次の授業なんですけど」

男先生「息上がってるの? 休んだほうがいいんじゃない? じゃ、僕は戻るよ」

先輩「お疲れ様です」

後輩「お疲れ様です」


18: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:55:01.63 ID:QhIVlEhmo

後輩「四時間目も終わって食堂にて食事がはじまりました」

先輩「どこに向かって話してるの? こっちを見てこっちを」

後輩「すみません。少々宇宙と交信していた感じです」

先輩「はい」

後輩「とりあえず、頑張るのです。私は。誓いです。これは誓いです」

先輩「君はちょっと近いな。もう少し離れてもらえるかな」

後輩「はい」


19: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:58:01.39 ID:QhIVlEhmo

後輩「……というわけで、何というか、その。一歩を踏み出そうと思うのです」

先輩「…………」

後輩「ああ。ええと。その。先輩と後輩ではなく、何と言えばよろしいのやら」

先輩「えーっと」

後輩「別に。別に私は、そう。何と言われようとも傷つかないのです」

先輩「あのさ」

後輩「いえいえ。今すぐでなくともいいのです。ええ。はい」


20: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:01:59.60 ID:F4qguiEuo

先輩「……よし、帰ろう。今日はこれで帰ろう」

後輩「や。ええと。手が。手が温かいです先輩」

先輩「割と恥ずかしいから今のところはここまでで」

後輩「これにて先輩と後輩の物語は終わりを告げる」

先輩「何というか機が熟したら言うよ。ちゃんと」

後輩「ちなみに後日談は一切ありません」

先輩「はい」

後輩「……帰りましょうか」

先輩「そうしようか」

後輩「そうしましょう」


21: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:04:27.34 ID:F4qguiEuo

先輩「という訳で僕らも出会って一年になるわけでしょ」

後輩「そうなります」

先輩「この学校にはもう慣れた?」

後輩「さすがに慣れました。いいところです」

先輩「よし、帰ろうか」

後輩「そうしましょうか」

先輩「そうしよう」


22: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:09:26.77 ID:F4qguiEuo

先輩「何というか、未だに校内で会うのが昼食と体育の時間だけなのは寂しいな」

後輩「いいじゃないですか。お昼は屋上で二人で食べればいいのです」

先輩「そうなんだけどさ。夏場とか絶対暑いよあそこ」

後輩「もう少し涼しいところとか探した方がいいんでしょうか」

先輩「あればいいと思うんだけどな。うん」

後輩「やっぱりベターに食堂というのがいいのでは」

先輩「でも色々と都合悪いよ。やっぱり屋上で食べようか」

後輩「よし」

先輩「よし?」


23: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:12:06.65 ID:F4qguiEuo

後輩「愛妻弁当です。さてどうぞ」

先輩「まさかの草原ごとく敷き詰められたコールスロー」

後輩「健康にはいいですよ」

先輩「ここまで来ると肉食べたくない? 僕お肉食べたいよ」

後輩「ケチャップはここですよ」

先輩「そういう問題じゃないんだけどな」

後輩「マヨネーズはダメですよ」

先輩「聞いてないよ」


24: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:15:20.58 ID:F4qguiEuo

後輩「さて今日はどうしましょうか。帰りに本屋に寄りますか」

先輩「そうしようか。新刊出てるかな」

後輩「漫画もたまにはいいと思えるようになりました」

先輩「普段恋愛小説ばっか読んでると、何となく読みたくなってさ」

後輩「先輩は影響を受けないのですか」

先輩「ミステリはいいかな」

後輩「そして誰もいなくなった」

先輩「何の伏線?」


25: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:18:51.53 ID:F4qguiEuo

後輩「ロマンティックな恋がしたいのです」

先輩「そう? 僕は普通の恋でいいけどさ」

後輩「夢がありません。今絶賛恋愛中ですが」

先輩「そうだけどさ。現状ロマンティックじゃない?」

後輩「隠れて恋愛ってところでしょうか」

先輩「そうそう。君、すごく人気あるんだもんな」

後輩「先輩は女性陣の黄色い声を聞いてないんですか?」

先輩「知らないよ」

後輩「やだ、たくましい……とか」

先輩「何だろうこの気持ち」


26: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:22:45.55 ID:F4qguiEuo

後輩「明日からランニングですよランニング」

先輩「みなの不平不満の声が簡単に想像できるよ」

後輩「走る走る俺たち」

先輩「僕は走らないけど」

後輩「私も走りません」

先輩「走った方がいいのかな」

後輩「どちらでもいいんじゃないでしょうか」

先輩「応援だけに回るよ」

後輩「賛成です」


27: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:26:04.62 ID:F4qguiEuo

先輩「君さ、さっきの時間僕のこと呼び間違えそうだったでしょ」

後輩「何という観察眼でしょうか。愛のなせる技でしょうか」

先輩「僕としては誤魔化すので精一杯だったけど」

後輩「すみません。もしかしたらバレてしまったかもしれません」

先輩「そっか。ま、僕の予想だと大丈夫だと思うけど」

後輩「私もそう思います。お互い頑張りましょう」

先輩「誰に言ってるの?」


28: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:30:18.66 ID:F4qguiEuo

後輩「さて、そろそろさらにもう一歩踏み出してみる気はありませんか」

先輩「僕はありだと思う。隠れてってのも嫌だ」

後輩「……」

先輩「僕たちはやましいことしてるわけじゃないんだしさ」

後輩「はい」

先輩「学校でも普通に手を繋いだっていいわけなんだよ」

後輩「はい」

先輩「ま、ちょっと冷やかされることにはなると思うけどさ」


29: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:32:48.36 ID:F4qguiEuo

後輩「どうして先輩はこう、一つ上なだけでこうも頼りがいがあるのでしょう」

先輩「一応先輩だから。うん。というか、僕のこと先輩って呼ぶのもう止めない?」

後輩「はい。でも、先輩は先輩ですから」

先輩「そうだけど」

後輩「でも、冷やかされることになると、あまり落ち着けません」

先輩「それはそうかな」

後輩「だから……もう少しだけ、このままでいようと思います」

先輩「うん」


30: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:41:19.13 ID:F4qguiEuo

後輩「あ、見て下さい。学校でもあのように熱いカップルが」

先輩「僕らもああいうことが出来たらいいんだけどな」

後輩「知ってます? もうラブラブすぎてすごいらしいですよ」

先輩「そっか。なら僕らも負けてられないな。あの後ろ姿、ええと」

後輩「そうですよ。よくご存知のはずでしょう」

先輩「うん。何というか熱々すぎて陽炎ができてて分かんなかった」

後輩「ええ。……学外でなら、お名前で呼ぶことにします」

先輩「僕もそうするよ。じゃ、校内ならちょっと余所余所しくなるな」

後輩「彼らのようなカップルに私はなりたい」

先輩「1-Aと2-Aの先輩後輩。彼ら、本当に熱いな」

後輩「ええ。じゃ、授業はじまりますよ。行きましょう」

先輩「そうしようか、女先生」

後輩「そうしましょう、男先生」


31: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 00:41:57.78 ID:F4qguiEuo

おわり。