1: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 04:57:25.04 ID:9cgRI41DO


ガサ


P「荷物、ここでいいか?」

忍「うん。ありがと、お疲れさまー」

P「いえいえ」

忍「すぐご飯にする?それとも…ちょっと休憩してからにしよっか」

P「そうするか」

忍「分かった。じゃあリンゴ切らなきゃリンゴ」パタパタ

P「……」

P(いまのやり取りはいいっすね)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378670245

引用元: 工藤忍「大人になったら」 


 

アイドルマスター シンデレラガールズ ビジュアルファンブック

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2: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 04:59:49.17 ID:F77FBiVfo


コト


忍「やるよー」

P「やったれー」

シャリシャリ

P「それにしてもたくさんあるな」

忍「う、うん。…へへ…お母さんってば、これでもほどほどだーなんて言うんだよ…もぉ」

P「そのうち事務所に持って行くか」

忍「うん」シャリシャリ

忍「…」

忍(アタシ一人じゃこんなに食べ切れないよって、そしたら、あら二人分よぉって……あわわ。思い出したらまた恥ずかしくなって来た…)ザクザク

P(あれが本場の剥き方なのかな……ご、豪快だな)

3: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:01:50.70 ID:9cgRI41DO

P「…」フム

P「それじゃあ、よかったら明日は迎えに来るよ」

忍「え?ど、どうして?」

P「少しずつ持って行くのは面倒だろ?車で段ボールごと、ある程度まとめて持って行くよ」

忍「…あ、でも……そうしちゃうと…」ゴニョ

P「?」

忍「あ、ありがと。でもまとめては、またそのうちね。アタシとプロデューサーさんで、食べられる分は食べちゃお」

P「そっか。忍に送られて来たものだしな。忍がそう言うなら」

忍「う、うん。そうしよう」コクコク

忍「……ふへへ」ニヘラ

P(よっぽど林檎が好きなんだな)

4: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:02:44.84 ID:F77FBiVfo


コト


忍「ウサちゃん」

P「ぴょん」

忍「…なんかごめん」

P「謝るなよ…」

5: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:04:03.08 ID:9cgRI41DO

忍「上手でしょ」フフ

P「たしかに。…うん、味もおいしい」モグ

忍「味はアタシは関係ないけどね」アハハ

P「そうか?一人で林檎剥いて食ってもおいしくないと思うけどな」モグモグ

忍「例えが極端だね…」

6: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:06:12.70 ID:F77FBiVfo

忍「とりあえず一つでいいよね…ご飯食べられなくなっちゃうし」

P「うん。ありがとな。忍もよかったらお一つどうぞ」

忍「剥いたのはアタシだけどね」クス

忍「…」スッ

P「?」

7: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:08:32.51 ID:9cgRI41DO

忍「ぴょんっ。えい」

P「むぐ」

忍「……おいし?」

P「……おいしいです」

忍「ふふ。そっか」

P「…………」モグモグ

8: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:09:02.66 ID:F77FBiVfo

P「とつぜんなにかと」

忍「ウサギだからね」

P「ウサギだからか」

忍「そうそう」コクコク

忍「ふふ…だから、残りのウサギもきっととぶんだよ」

P「なに言って――…、」

P(ああ、そういうことか…)

忍「……へへ…あーん」

P「…………」

P「あーん」

忍「ぱくっ。…むぐ」モグ

忍「えへへ。おいしい!」

P「そっか」

忍「プロデューサーさんも、もひとつどうぞー♪」ピョン♪

P(楽しそうだ)アーン

9: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:09:29.83 ID:9cgRI41DO

忍「…食べさせっこしてたらあっという間になくなっちゃったね…」

P「…本当だな。ウサちゃんおそるべし」

忍「へへ。プロデューサーさんがウサちゃんって言うと、なんだかへん」クス

P「む、忍が言うと可愛いのにな。ずるいぞ」

忍「どこに悔しがってんのさ」クスクス

忍「……、……可愛い……かな」

P「?うん。そりゃもう」

忍「あ、そー…へへ……可愛いか…」パタパタ

P(可愛い)

10: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:09:52.25 ID:F77FBiVfo

忍「そだ」パタ

忍「この服もね、事務所のみんなにお店教えてもらったりして……新しいのなんだよ。どう?」

P「似合ってるよ」

忍「うわー常套句」

P「口下手なもので」

忍「言い訳無用だよ!お誂え向きに包丁が一本――」

P「洒落にならないから」

11: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:10:20.53 ID:9cgRI41DO

忍「もぉー…ま、いいけどさ。…プロデューサーさん、いつも可愛いぞーとか、似合ってるよーとか、そんな普通の台詞ばっか…」ハッ

忍(…、い、いつも?…思い返すと、ありきたりな言葉とはいえプロデューサーさん、いつもアタシを、可愛いとかって……)カア//

忍(あわわ…)

P(なんて言うか)

忍(…?)

P(そうやっていつも可愛くなりたい!って思って、努力してるところが忍のいいところで、可愛いところだと思うんだよ)

P(――…って言ったら、…怒るだろうな。実際可愛いのをそうは思っていないみたいになるし…うーん…難しいもんだ…)

忍「…………//」

12: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:10:43.17 ID:F77FBiVfo

忍「……はふ。」

忍「ちょ、この話、やめ。もーアタシ息止めらんないし」

P「??なんで息を止めるんだ?」

忍「き、緊張しちゃうとつい、ね。なんない?」

P「俺はべつに」

忍「そっか。ねえねえ、ご飯のあとにも食べるかもだし、とりあえずもう一個、剥いておくね」

P「おう」

忍「♪」シャリシャリ

P(……、なんだか、上手く話を逸らされた気が……、…まあいいか)

13: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:11:18.86 ID:9cgRI41DO

P「……」

忍「…」スッ

P「…」

P「…」

忍「?…」シャリ

忍「どうかした?プロデューサーさん」

http://i.imgur.com/LytBkiT.jpg


P「…あ、いや…、」

P「なんでもないよ」

忍「そう?」

P「うん」

忍「…ふふ、へんなプロデューサーさん」シャリシャリ…

P「…」フー…

P(なるほど…たしかに、息が止まることって…あるな)

14: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:11:43.08 ID:F77FBiVfo


・・・・・


忍「ことこと」

忍「へへー。お鍋のおとって、聞いてるだけであったかくなるよね!」

P(分かるような分からんような)

忍「へへーまだかなー。まだかな?」ユラユラ…コトコト…

P(よく分からんが可愛い)

15: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:12:10.10 ID:9cgRI41DO


・・・・・


P「ご馳走さまでした」

忍「お粗末さまです」

忍「さーぱぱっと片づけちゃおっ」

P「えらいなー。俺、食べ終わったらいつもとりあえず寝転がっちゃうよ」ゴロン

忍「こら。太っちゃうぞ」カチャ

P「あと五分ー」

忍「朝起こしに来たんじゃないんだから」クス

忍「……?あ…ねえねえ。プロデューサーさん。こっち来てみて」

P「動くとかむーりぃ」

忍「似てるけど、それってどっちかっていうと杏ちゃんみたいだよ」

忍「もー。ほらー起きてー」グイグイ

P「あー」ズルズル

16: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:12:35.86 ID:F77FBiVfo


シャッ


忍「見て。ほらっ」

P「…、おお…」

忍「雪だね」

P「雪だな。…白くなってる」

忍「ね!わー…こっちに来てから、初めて見る……降ってるのは、去年もよく見たけど。それにまあ、全然地元の方とは雰囲気違うけど…」ペタ

忍「……なんだか…懐かしいな…」

P「……そっか」

17: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:13:01.88 ID:9cgRI41DO

忍「……」

忍「…アタシさ……その…」

P「大丈夫」ポン

忍「…ん」

P「忍は頑張ってるよ。だれに聞いたってもう立派なアイドルだし、トップアイドルだってもう夢じゃない」

忍「……そ、かな。アタシ、頑張れてる?か、輝けてる…かな?」

P「そばにいると眩しいくらいだ」

忍「……ふふ」ニコ

忍「それじゃープロデューサーさんに見てもらえないよ」クス

P「そんなもんだよ。一人で見るには眩しいくらいに、輝いてこそアイドルだ」

忍「……うん。そっか。そうだね」

忍「アイドルだもん。みんなに見てもらわなきゃね!」

P「うん」

18: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:13:21.43 ID:F77FBiVfo

忍「…じゃあ、でも…」

忍「いつかは光度の調節を覚えなきゃね」ウン

P「なんだそれ」

忍「なんだろねー」バシッ

P「いたい」

19: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:13:46.87 ID:9cgRI41DO

P「そろそろ帰るな」

忍「えー」

P(えーって)

忍「ほら。きっとこの雪でタクシーも動かないし!」

P「いや歩いて帰るし」

忍「この雪だとプロデューサーさんも動かないし!」

P「ひきこもりか、俺は」

忍「やしないますよー」ヘヘー

P「子どもがなに言ってんだ」ピコ

忍「あてっ」

20: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:14:09.41 ID:F77FBiVfo

忍「……」サスサス

忍「ねえ」

P「ん?」

忍「大人になったらいいの?」

P「……、いや、…そういうことじゃ」

忍「やしないますよー」

P「いや俺も働くって」

忍「も?」

P「う…」シマッタ…

21: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:14:38.09 ID:9cgRI41DO

忍「…」テレ

忍「へ、へへ。こ、この話も、この辺にしとこ……二人とも窒息しちゃうよ」ハフ

P「そ、そうだな」ゼェ

忍「……」ヘヘ…

忍「一旦、中断ってことで」

P「?」

忍「…アタシが大人になったら、」

忍「さっきの話の続き……しよっ」

P「……うん」

忍「うんっ」

忍「ま、そのまえにまずはトップアイドルだ!頑張るよ!」オー

P「頑張れー」

忍「プロデューサーさんも一緒にね!」コラー

P「頑張ります」

22: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:14:59.55 ID:F77FBiVfo


ポスン


P「っと」

忍「ふふ」

忍「ね…アタシ、もっと頑張るよ。だから、これからも、見ててね。アタシのこと」

P「…うん。見てるよ」

P「とりあえずサングラスでも買っておこう」

忍「ふふっ。そーだね。よろしく」クス

23: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:15:29.42 ID:9cgRI41DO

忍「じゃあ…雪、気をつけてね。車の事故もあるかもしれないし」

P「ありがとう。気をつけるよ」

忍「うん」

P「じゃあ、また明日」

忍「うん」

ガチャ

忍「……」

忍「…」パシ

P「?しの――…」クル

24: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:15:51.14 ID:F77FBiVfo

忍「…… …」

P「……」

忍「へへ…リンゴの味がする…」

P「…あ、ああ。デザートに、食べたしな…」

忍「うん…えへへ…ご、ごめん。き、急に変なことして、その、アタシ――」

忍「――っ…むぐ…」

25: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:16:18.25 ID:9cgRI41DO

忍「…はふ…」

P「……これでおあいこな」

忍「あ、…う、うん。うんうん」

P「…大丈夫か?」

忍「だ、だいじょーぶ!」

P(そうは見えないが)

P「…どうせ緊張して息が詰まるなら、口を塞いでも変わらないよな」

忍「…そ、そーだね」

忍「、……じゃあ」

26: ◆9A08jC1.oE 2013/09/09(月) 05:16:43.60 ID:F77FBiVfo

忍「これからは……どきどき、したら、…こうする?」

P「……、いや」

P「また忍が大人になってからな」

忍「……ん」

忍「分かった!アタシ頑張って、早く大人になるよ!」

P「それは無理だと思うが」

忍「待っててね、プロデューサーさん」

P「…待ってるよ」

忍「うんっ」



・・・・おしまい