1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 05:22:34.67 ID:nJsLnz440
男「ふあー……あ!?もうこんな時間!」

男「目覚まし時計電池切れてる…」

男「っと、急がなきゃ!」




男「自転車のカギ、カギ……あった!」

カギ「さらば」ヒューカラン

男「タンスの裏に落ちた!?もおお!!」ズズズ…




運転士『ダァシェリアス』プシュー

男「もおお!!」




先生「宿題提出してくれー」

男「……ウチの机の上に忘れた」



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引用元: 男「ツイてない」 


 

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 05:35:19.50 ID:nJsLnz440
男「サイフも忘れた」グー

友「ほれ」つ千円

男「よき友に恵まれた…明日返す…」




男「うわっ」ドンッ

女「あっすみません……って男じゃん。何その大荷物」

男「ごめんね、よく前見えなくて…次の授業で配布される生物の資料集だって。職員室に行ったら頼まれちゃって」ヨロヨロ

女「お人好しなんだから……手伝ったげる」

男「持つべきものはFriendだね!」

女「ひとつ貸し、よ」




友「にしてもお前ツイてないよなー」

女「このままじゃいつか『あなたを不幸の底から救います』なんて謳った怪しい宗教にハマりそうね」

男「そうだねぇー…たしかに友達に恵まれてる以外はツイてないこと多いと思う」

友「お前、結構普通に恥ずかしいこと言うよな」

女「ホント」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 05:43:04.66 ID:nJsLnz440
友「お前、このままじゃ早死にすんぞ」

女「開運グッズ、集めたりしてみたら?」

男「うーん、でもなんかすぐ失くしちゃったり、壊れるんだよね。そういうの」

女「そりゃあんたの管理が悪いからよ。……この招き猫ちゃんストラップあげるわ」

男「ホントに!?でもやっ」カラス「カー!」ガシッ バサッバサッ…

友「」

女「」

男「ごめん……カラスに盗られた……小判のとこ、キラキラしてたからかな……」

友「こら筋金入りだ」

女「……神社よ」

男「え?」

女「神社にお参りするのよ。神頼みよ神頼み!今から!」

男「でも、初詣のとき、毎年行ってるし」

女「いいのそれでも!行くわよ、ホラ!」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 05:53:38.68 ID:nJsLnz440
男「夕立に遭ったり、犬に死ぬほど吠えられたり、足ぐねってなったりしたけど、たどり着いたね」ビショビショボロボロ

友「そうだな…」ビショビショ

女「勘弁してほしいわ…」ポタッ…ポタッ…

友「とっとと済まそう」




男「(2人に僕の不幸せが移りませんように)」

友「(男のやつが幸せになりますよーに)」

女「(男に多少でも幸せを届けてあげてください)」




友「ちゃんと願ったか?」

男「もちろん」

女「アンタこそ」

友「俺は『ガッキー』と会えますようにってお願いしちゃったもんねーッ!」

女「しょーもない願いね」

男「女はどんな願いを?」

女「なんだっていいでしょ」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 06:01:56.92 ID:nJsLnz440
男「今日はありがとう」

友「おう、気をつけて帰れよ。本当に」

女「横断歩道は手を上げて渡りなさい」

男「はいはい、わかりました」


運転士『ダァヒラキャス』プシュー

男「あ、今日はナイターゲームあるの か。座れないや」




警察官「お兄さんちょっとごめん。止まってくれる?」

男「はい」キキッ

警察官「自転車の防犯登録の確認だけね。すぐ終わるから」

男「あー…はい(お腹減った)」




男「ただいま……って誰もいないのか」

男「そうめんでも茹でよう…」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 06:29:13.79 ID:nJsLnz440
男「今日も色々あって疲れたし、お風呂入って明日の準備しっかりして、もう寝よう」チュルチュル




???「男……目覚めよ……」

男「うーん……?わっ!泥棒!」

???「罰当たりなやつ……!我は稲荷。お主が本日訪れた社に祀られし者なり」

男「ということは……神様!?」

稲荷「そうだ。久方ぶりに人の願いを叶えてやろうと思うて、降りてきたのだ」

男「何故僕のもとへですか?僕の願いは……」

稲荷「我は神として祀られし者、と言ったであろう。全てを見通している。輩をお主の不幸から守ってほしい、であろう?」

男「は、はい」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 06:37:15.57 ID:nJsLnz440
稲荷「我は気に入ったのだ。お主の輩は、自らのことは何も祈らず、ただお主の運開きだけを願ったのだ。そしてお主も自分のための願いではなく、その輩のために願った」

男「そうだったんですね……」

稲荷「うむ。我は商いと農業の担当なのだが、まあよい。お主の運命を変えよう」

男「はぁ…」

稲荷「なんだ?嬉しくはないのか?」

男「実感がわかなくて」

稲荷「ふっ、まぁ良い。明日、再び目覚めた時、お主の運命はたしかに変わっているはず。励めよ」

男「それは、ありがとうございます」

稲荷「うむ。では、我はそろそろ帰ろう」

男「お構いも出来ずすみません」

稲荷「ふっ、よいよい。ではまたな」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 13:34:24.55 ID:nJsLnz440
男「朝……か。夢だったのか」

男「学校、行こ」




男「わっ」パサッ

男「何だこれ……一万円!?交番届けてこよ」




男「わっ」コケッ

男「躓いたぁ……ってこれ金塊!?交番に届けてこよ」




男「わっ」ドンッ

男「今度は何……!?ええ!札束の山!?交番に届けてこよ」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 13:45:31.44 ID:nJsLnz440
運転士『ダァヒラキャス』プシュー

男「ガラガラだ」




ガタンゴトン…ガタンゴトン…

お姉さん「スー…スー…」zzz

男「すみません……寄りかからないでください……(いい匂いする)」グイグイ

女「おはよ……って随分そちらのお姉さんと仲いいのねぇ?」

男「ち、ちがうんだ」

女「どうだか……あっ」コケッ

男「あ」ギュム

女「あ……あっ……///」

男「ごごごごめん!!」

女「こ、こっちこそ」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 13:53:20.49 ID:nJsLnz440
女「夢枕に神様が現れてアンタを幸運にするって言った?」

男「そうなんだ」

猫「ニャンニャン」

雀「チチチ…」

犬「ワン!」

烏「カー」

女「それで今日はそんなに動物に懐かれているのね。たしかにいつもだったら犬に噛まれて、猫に引っ掻かれて、鳥にはフンを浴びせられてるわね」

男「そうなんだよ……あ、千円。交番に届けてこよ」

女「凄まじい豪運っぷりね」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 14:07:18.46 ID:nJsLnz440
友「よう。……どうした男」

男「いや、なんだか着いてきちゃって」

狐「コン!(我が主のお加護を受けたお人ですね)」

鷹「クワッ」

鹿「……」テチテチ

熊「グルル」ノッシノッシ

女「さっきからグレードアップを続けているのよ……」

友「あそこの神様マジモンだったんだ」

女「『ガッキー』は来てくれないみたいね?」

友「ん?ああ、そうだったな」

男「あれ?あそこ歩いてるの『ガッキー』じゃない?」

友「ンナバカなこと…あああああ!?ホントに『ガッキー』じゃあねーかァ!?」

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 14:18:02.91 ID:nJsLnz440
先生「今日は『山月記』に出た所の漢字と言葉の意味の小テストやるぞー」

友「んなッ!?先生汚ねェ!聞いてねーよ!」

先生「聞こえませーん何も聞こえませーん」

友「なんて教師だ」

先生「はいはい。いいから回せ」

男「あれ?先生、プリントが足りません」

先生「何?余りは……無いか。しょうがない。みんな、印刷して来るからそのまま待っててな」

クラス「…………」





友「素直に待ってるわけねーだろ!」ペラッペラッ

男「今のうち今のうち…」ペラッペラッ

女「ラッキーね」カリカリ

クラスメイト「助かった」カキカキ

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 14:25:55.02 ID:nJsLnz440
男「あ痛」ポトン

男「お、親方!空からチョココロネが!」

友「何でだよ!」

隣のクラスメイト「俺のチョココロネ……」

男「あ、もしかしてこれ?」

隣のクラスメイト「多分違うよ……俺のはカラスにパクられたんだ」

友「空から降ってきたんだよ、これ」

隣のクラスメイト「それだああああ!!ありがとう!」

男「僕、何にもしてないのに感謝された…」

友「勝手に好感度が上がる……これも幸運ってことなのかね」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 14:48:54.11 ID:nJsLnz440
化学の先生「~というわけで、ダイオキシン類で最強の猛毒は2,3,7,8-テトラクロロジベンゾパラジオキシンになります。毒といえば、生物の毒だけど…」

男「(この先生授業面白いけど脱線多いなぁ)」

化学の先生「はい、ここで質問……だ~れにし~よ~お~か~な~……男くん!」

男「は、はい」ガタッ

化学の先生「有毒生物には様々な種類があるけど、近ごろ海水浴場に出るって言われてる生き物、知ってる?」

男「(全然わからない……そういえば昨日資料集運んで女とぶつかって転んだ時に偶然開いてたページ……たしか)」

男「ヒョウモン、ダコ?」

化学の先生「おっ、よく知ってたねぇ!3
点あげよう。フグ毒テトロドトキシンをもった小さいけど怖ーいタコ。海に行くときは気をつけてね」

友「すごいなァ、お前」

男「たまたまだよ」

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 14:55:48.67 ID:nJsLnz440
体育

ピッチャー「二死満塁……だが次はアンラッキーマン男くん!なんとか打ち取れそうだ」

男「あのね、ぜーんぶ聞こえてんたけど!」

ピッチャー「それは、ごめん、ねっ!」ビュッ

雀蜂「……」ブーン

男「うあっ!?蜂!?」ブンッ カキン

ピッチャー「何ッ!?」

友「ラッキーだぜ、テキサスヒットだ!」

男「や、やった」

「今日男くんなんか生き生きしてない?」

「わかる、なんか昨日までの不幸オーラが無いってゆーか?」

「なんかいいことあったのかなあ?」

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 15:29:59.02 ID:nJsLnz440
友「飯食って帰るか?」

男「いいよ」

店員「おめでとうございます!ご来店10000人目のお客様です!」カランカラーン

男「えー?」

店員「一年間食べ放題券です!」





男「あ痛っ……また金塊?」ガンッ

友「金塊!?また!?」





ガタンゴトン…

お姉さん「スー…スー…」zzz

男「あの、本当に……」グイグイ

お姉さん「ウーンムニャムニャ」ギュウ

男「ホントにやめてください!」




おじいさん「……」

男「おじいさん、よかったら席どうぞ」

おじいさん「ああ、よかばい。次ん次で降りるけんが」

男「僕は次なので……」

おじいさん「そげんまで言ってくれたら甘えさせてもらうばい」

男「はい」

お姉さん「スー…スー…」zzz

おじいさん「おっふ…///」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 15:39:28.44 ID:nJsLnz440
男「ただいま」

母「あら、おかえり」

男「どしたのそれ」

母「前応募してたズワイガニと松阪牛と沖縄3泊4日ペアチケットが当たったらしいの」

男「なんと」




父「ただいまー」

男「おかえり。どうしたのそれ」

父「なんか部長から丑の日だからーってウナギをおすそ分けしてもらっちゃった」

男「部長すごっ…」

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 15:47:03.09 ID:nJsLnz440
「男くん、最近いいよね」

「うんうん、性格も優しいのは知ってたけど、誰も見てないところでも、お年寄りに席譲ってたり、お金届けたりとかしてたよ」

「えっそうなの!?すごいイイヤツじゃん!」

「地味だから誰も目付けてなかったけど結構顔もかっこいいし、これは……」

「夏祭り、誘ってみようかな……」

「マジ!?でも、彼氏になったら大切ーにしてくれそうだよね」

女「(男……評判が鰻登りどころじゃないわよ)」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 16:00:48.03 ID:nJsLnz440
体育の先生「体育委員。お嬢様方の遅いの、更衣室行って呼んでこい」

男「は、はい」

女「はい」





男「みんなー体育もう始まるよー急いでー」コンコン

「ごめん、ちょっと届かないところに体操服置いちゃったの。入って取ってくれない?」

男「えー…」

「早く!遅れる!」

男「は、はい!失礼します……」ガチャ

「「「キャー!!!!」」」

男「え、ちょ、えええ!!??ごめんなさい!!」ガチャ ピュー

「かわいいー」キャッキャッ

「顔一瞬で真っ赤になったね!」

女「はぁ、みんなバカなことしてないで行きましょ」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 16:09:45.33 ID:nJsLnz440
「男ー!今日ボウリング行こうぜ!」

「女の子がどうしても呼んでくれってよォ~」

男「いいよー」





215 デン!

男「何このスコア……」

「くっそ!完敗だ……」

「かっこよかったよ!」

「今月の店内スコア、1位だって」

男「たまたまだよ」

「謙遜しなくていいよー」

「能ある鷹は爪隠すとはよく言ったもんだ」

「次は負けねーぞ!」

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 16:25:56.76 ID:nJsLnz440
男「ボウリング疲れたし、今日は早く寝よう」




稲荷「どうじゃ。男よ」

男「あっ、神様!」

稲荷「毎日が幸せに溢れる日々は楽しかろう?」

男「はい、でも…」

稲荷「まだ足りぬか?」

男「いえ、でもあなたの力を借りてまで一人だけ幸せになるのは少し…」

稲荷「幸運になったのは我が力だけではない。お主は優しい子。才もある。それを周りに少し知られるようにしただけだ。その本質を磨けば、最早大きな不幸を味わうこともそう無いだろう」

男「僕は幸せだけの人生なんてつまらないと思います。不幸でも、自分の力で頑張りたいんです。重ね重ね申し訳ありませんが、幸と不幸をバランスよく人生に振り分けてくれませんか?」

稲荷「ふっふっ…お主はなんとも…面白い若人だ……よかろう!その願い叶えたり」

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 16:32:01.95 ID:nJsLnz440
チュンチュン…

男「うわっと!遅刻!」




男「あ痛っ誰だ空き缶捨てたの」ポーイ

ゴミ箱「ストライク!」カラーン

男「おっ、ラッキー!」




女「おはよ」

友「よう」

男「お、おはよう…」ボロッ

友「戻っちまったか」

女「見たところ、犬に噛まれて、車に水たまりはねられて、遅刻しかけて急いで走ってきた、ね?」

男「正解」ゼーハー

友「せっかく神様に助けてもらったのに、幸福を捨てた?」

女「馬鹿」

男「うっうぐぅ…でも、いいこともあったんだ。朝から二人に会えた」

女「馬鹿///」

友「あーもう、朝っぱらから恥ずかしいこと言うなよな。不幸男!」

おわり