1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 14:14:34.30 ID:WQRuTCLQ0
男「……何か用?」

許嫁「何それ。折角来てあげてるのに」

男「………」

許嫁「随分不機嫌そうね」

男「もともとこんな顔だよ」

許嫁「そうは思わないけど。ここのところ会うたび会うたびそんな顔」

男「………」

許嫁「荷物、ここに置かせてもらうから」

男「……好きにして」

引用元: 男「また来たの?」 許嫁「ええ」 


 

 
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 14:24:17.95 ID:WQRuTCLQ0
男「………」

許嫁「空ばかり見てて楽しい?」

男「……楽しくない」

許嫁「でしょうね」

男「でも他に何かしたいとも思わないんだ」

許嫁「部屋に閉じこもってばかりいるからよ。あとで散歩にでも行きましょう」

男「……行きたくない」

許嫁「どうして?」

男「面倒くさい」

許嫁「はぁ……」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 14:31:25.84 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「うちの庭で取れた林檎持ってきたけど」

男「そこに置いておいて」

許嫁「どうせそのままにして腐らせてしまうでしょう」

男「………」

許嫁「今私が剥いてあげるから」

男「………」

許嫁「………」シャリシャリ

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 14:44:01.80 ID:WQRuTCLQ0
男「許嫁はさあ」

許嫁「なに?」

男「なんでいつも僕に会いにくるの?」

許嫁「………」

男「無理して来なくていいのに」

許嫁「………」

男「………」

許嫁「……林檎、剥けたけど」

男「……うん」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 14:53:35.97 ID:WQRuTCLQ0
男「………」サク

許嫁「美味しい?」

男「………」コクン

許嫁「それはよかったわ」

男「………」サクサク

許嫁「もっと剥く?」

男「………」コクン

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:01:25.16 ID:WQRuTCLQ0
男「………あっ」ポトッ

許嫁「あっ、私が拾うわよ」

男「いいよ、自分で拾うから」

許嫁「……そう」

男「……んっ、よいしょっと」

許嫁「………」

男「……なんでそんなに悲しい顔をするの」

許嫁「別に、そんなことないわ」

男「………」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:11:18.58 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「もういいわよね。一杯食べたし」

男「……うん」

許嫁「じゃあそろそろ散歩に行きましょうか」

男「………」

許嫁「またそんな顔して」

男「……今日はいいよ」

許嫁「ダメ」

男「………」

許嫁「ほら、支度するから」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:20:52.34 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「今日はいい天気ね」

男「………」

許嫁「もうすっかり暖かくなってちゃって」

男「………」

許嫁「向こうの川の側を歩いていきましょうか」

男「………」

許嫁「ほら、魚がいっぱい泳いでいるわよ」

男「………」

許嫁「…………」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:30:34.27 ID:WQRuTCLQ0
男「……今僕たちの横を通った人たち」

許嫁「あの人たちがどうかしたの?」

男「僕を見ながら何かコソコソ話してた」

許嫁「気にしすぎよ」

男「でも僕はこんななりだし……」

許嫁「……気にすることないわ」

男「そういうわけにはいかないだろ」

許嫁「………」

男「………」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:42:42.67 ID:WQRuTCLQ0
男「許嫁は美人なんだからさ」

男「いくらでも他の男なんか見つかるんじゃないの」

許嫁「そんなことないわ」

男「いつまでも僕になんかに構ってないでさ」

許嫁「まるでもう関係が終わってしまったかのような口振りね」

男「終わってるでしょ」 

許嫁「そう思っているのはあなただけじゃないの」 

男「いいや、君のお父さんだってきっとそう思ってる」

許嫁「………」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 15:51:20.92 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「ハンカチ、いる?」

男「………」

許嫁「無理しなくていいのよ」

男「………グスッ」

許嫁「誰がなんと言おうと、私はあなたの側に居続けるから」

男「うっ……ぐっ……」

許嫁「………」ギュッ

男「…………」ギュー

許嫁「……そろそろ、戻りましょうか」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 16:12:03.55 ID:WQRuTCLQ0
………………………………

許嫁「…………」

男「…………」

許嫁「……それじゃあ、そろそろ私帰るわね」

男「……うん」

許嫁「また来るから」

男「………」

許嫁「ちゃんとご飯食べるのよ」

男「…………」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 16:22:27.53 ID:WQRuTCLQ0
男「……最低だ」

男「……また許嫁に甘えてしまった」

男「………」

コンコン

女性「男さん、そろそろお食事の時間ですよ」

男「………」

女性「今部屋まで持ってきますからね」

男「………」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 16:33:27.55 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「……ふぅ」

許嫁父「おかえり、許嫁」

許嫁「………!」

許嫁父「随分遅かったな。どこへ行っていた?」

許嫁「………」

許嫁父「まさかあの男に会っていたのではないだろうな」

許嫁「いいえ、お友達のお家に遊びにいっていました」

許嫁父「本当か?嘘ではないだろうな?」

許嫁「……私、今着替えてくるので」

許嫁父「おい!待て、許嫁!」

許嫁「…………」ガチャン

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 16:44:05.72 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「男、来たわよ」

叔父「………!」

許嫁「………!あなた、なんでまたここに


叔父「いや、私はただ男くんの、ね?」

男「………」

許嫁「二度とここに来るなと前にも言ったはずです」

叔父「だ、誰の権限でそんなこと…!私は男君の親族だぞ!」

許嫁「帰ってください」

叔父「………チッ」

男「…………」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 16:56:39.50 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「まったく、もう……なんだったの?」

男「……お金に困ってるんだってさ」

許嫁「だと思ったわ」

男「従妹が音大に行きたいんだってさ」

許嫁「それであなたにたかりに来るなんて、呆れたものね」

男「僕のところに訪ねてくる人なんてみんなそうだよ」

許嫁「………」

男「この前もさ、顔も知らない、大学の同回生らしい人が来てさ……」

許嫁「………」

男「…………」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 17:05:52.76 ID:WQRuTCLQ0
男「………」

許嫁「今日はお天気悪いわね。一雨来るかも……」

男「………」

許嫁「今日はお散歩やめにする?」

男「僕はいつだって行きたくないよ」

許嫁「そんなことだから気が滅入ってしまうのよ」

男「……関係ないよ」

許嫁「………」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 17:20:26.57 ID:WQRuTCLQ0
男「なんで僕は生きてるんだろう」

許嫁「滅多なこと言わないで」

男「父さんも母さんも酷いよな。僕を置いてって」

許嫁「男」

男「僕もあのとき一緒に死ねばよかったんだ」

許嫁「………っ」ギュッ

男「もうさ、生きててもいいことなんてないんだ」

許嫁「……そんなことない」

男「………」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 17:31:38.42 ID:WQRuTCLQ0
…………………………………

女性「あら?彼女さんはもう帰られたんですか?」

男「……彼女じゃないです」

女性「またまたぁ。……部屋の空気入れ替えておきますね」

男「………」

女性「あんなに可愛い彼女さんが来てくれるんなら、そりゃもう嬉しいでしょう?」

男「………」

女性「もう、また窓の外ばかり眺めて」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 17:40:59.77 ID:WQRuTCLQ0
許嫁父「許嫁、少し話がある」

許嫁「なんでしょうか」

許嫁父「今日も友達の家に遊びに行っていたらしいな」

許嫁「ええ、それが何か」

許嫁父「嘘じゃないだろうな」

許嫁「私が嘘を言っているとでも?」

許嫁父「近頃のお前はおかしい」

許嫁「怒りますよ」

許嫁父「それは自分の身の潔白を証明することができないからか?」

許嫁「……ご馳走様」

許嫁父「………」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 17:57:35.11 ID:WQRuTCLQ0
男「…………」

男「……お久しぶりですね」

許嫁父「ああ、元気にしてたかね」

男「………」

許嫁父「私がなぜここに来たか分かるかね」

男「………?」

許嫁父「……近頃娘が君に会いにいっているようなのだが」

男「………」

許嫁父「もしそれが本当なら、黙って見過ごすわけにはいかないのだがね」

男「………」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 18:09:16.75 ID:WQRuTCLQ0
許嫁父「いいかね、君たちはもう許婚同士でもなんでもないのだよ」

男「………はい」

許嫁父「君だってわかっているな?」

男「わかってますよ。もう父さんも死んでしまっていますし、結婚する意味もない」

許嫁父「そうだ。だが、許嫁はそうは思っとらんらしい」

男「………」

許嫁父「そんな状態で君たちを会わせるわけにはいかないんだよ」

男「……………」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 18:20:16.22 ID:WQRuTCLQ0
許嫁父「まさかとは思うが、君が娘を呼び出しているんじゃないだろうな」

男「………」

許嫁父「どうなんだね、言いたまえ」

男「…………」

ガラッ

許嫁父「………!」

許嫁「え……お父さん……?」

許嫁父「やっぱりお前は……!」

許嫁「ちょっと、離して!」

許嫁父「いいからこっちへ来なさい!」

許嫁「嫌、やめて!」

男「…………」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 18:36:33.61 ID:WQRuTCLQ0
女性「最近彼女さん来ませんね」

男「………」

女性「何かあったんですか?」

男「………」

女性「まただんまりですか。もう、彼女さんのこと教えてくださいよ~」

男「………」

女性「ねえねえ、もしかして彼女さんってお嬢様だったりします?雰囲気がそんな感じなんですよね~」

女性「ハッ!まさか恋愛を禁止されていて、親御さん目を盗まないと来れないとか!?」

男「………………」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 18:54:00.90 ID:WQRuTCLQ0
男「…………」

男「そうだ、いくら待ったって許嫁はもう来ないんだ……」

男「…………」

男「……これでやっと一人ぼっちか」

男「…………」

男「…………………」



ドサッ

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 19:18:33.42 ID:WQRuTCLQ0
大学生A「なあ、知ってるか?」

大学生B「え、なにが?」

大学生A「同じ学科に男って奴いたじゃん?」

大学生B「今年に入ってから見かけなくなったけど……」

大学生A「それがさ、あいつ入院してたらしいぜ」

大学生B「そうだったんだ。どこか悪いの?」

大学生A「それが事故に遭ったらしい。なんでも、両足と片腕が無くなるほど重症だったとか」

大学生B「うわあ……」

大学生A「そいつがさ、ついこの間病院で飛び降り自殺したらしい」

大学生B「え……」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 19:24:41.44 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「………」

許嫁父「許嫁、気に病むことはない」

許嫁「………」

許嫁父「なんなら私がまた婚約相手を……」

許嫁母「あなた!」

許嫁「………っ」ガタッ

許嫁父「………許嫁?どうした、急に立ち上がったりして」

許嫁「すみません、少し気分が……うっ……!」

許嫁父「お、おい!誰か洗面器を!」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 19:28:36.15 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「………」

許嫁母「余程ショックだったのかしら、あれから随分経ったのに……」

許嫁父「ここのところずっと戻してばかりいるが……」

許嫁「………」

許嫁父「許嫁、大丈夫か?」

許嫁「……ええ、大丈夫です」サスサス

許嫁父「……?」

許嫁「私、部屋に戻って休みますね」

許嫁父「あ、ああ……安静にしているんだぞ?」

許嫁「…………」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/25(日) 19:33:42.85 ID:WQRuTCLQ0
許嫁「男の、バカ」

許嫁「……私がお見舞いに行けなくなったばっかりに」

許嫁「私がついてあげなくちゃいけなかったのに……」

許嫁「…………」

許嫁「……男」サスサス

許嫁「……私は、あなたのことを忘れないから」