2: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 18:14:18.55 ID:oaD626V30
モバP「…ふー、喉が渇いたなー…水でも買うか」

ピッ ゴトンッゴトンッ

モバP「あれ、二つ…当たりか?なんでまたこんな機能作ったんだ?貰えるなら貰うけどさ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガタッ

モバP「…っと、はぁ、外は暑すぎるな…ちょっと車から降りて歩いたらこれだ」

モバP「おっと、そうだ、今何かいるかなー?どれどれ…」スッ

モバP「おー、ゼニガメか。懐かしいな。…よし!ゲット!」

引用元: 橘ありす「早く大人になりたいです」モバP「どうして?」 


 

 
3: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 18:19:12.20 ID:oaD626V30
ありす「おはようございます」ガチャ

モバP「お、おはようありす。って、ん?」

ありす「どうかしましたか?」

モバP「今出したスマホ、それもしかしてポケモンか?」

ありす「はい、そうですけど…」

モバP「おー、後で見せてくれないか?俺のも見せるからさ。あと水いる?」

ありす「はぁ、別に構いませんけど…お水はいただきます」

ゴクッゴクッ

モバP「お、なんか美味しいなこの水」

ありす「気のせいじゃないですか?」

4: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 18:24:56.59 ID:oaD626V30
ありす「…って、プロデューサーもポケモンやってるんですか?大人なのに…」

モバP「なんだよー、いけないか?」

ありす「いけないわけではないですが…」

モバP「にしても、ははっ、ありすも流行に乗ったりするんだな」

モバP「さっき口元緩んでたぞ?イーブイでもいたか?」

ありす「!?」バッ

ありす「な、何でイーブイ限定なんですかっ」

モバP「ありすってイーブイ似合いそうだからさ。しかしそういうところ、やっぱ年相応って感じだな」

ありす「こ、子供扱いしないで下さいっ!」

モバP「悪い悪い。ちょっとからかいすぎたかな」

ありす「もう…」

5: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 18:30:27.34 ID:oaD626V30
モバP「しかしポケモンかー。やっぱり今子供たちの間でも広まってたり?」

ありす「確かに広まってますね。みんないつも以上に外を出歩いてるみたいです」

モバP「この暑い中元気だなー。やっぱり子供っていいな」

ありす「そんなことないです」

モバP「え?」

ありす「だって、マナーだってきちんとしてないし、男子なんか急に大声で叫んだりするし…」

ありす「私は早く大人になりたいです」

モバP「っ…」

9: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:22:24.32 ID:oaD626V30
モバP「…なあ、ありす。それ、前から言ってたけど、どうしてなんだ?」

ありす「どうしてと言われても…とにかくなりたいんです。」

モバP「子供って、楽しいじゃないか」

ありす「否定はしません。でも、なってみたいんです」

11: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:29:01.45 ID:oaD626V30
ありす「そうですね…例えば美波さんや文香さん、あんな風になりたいです」

モバP「そうか…やっぱり、ありすから見てカッコいいものかな、大人って」

ありす「はいっ!…っと言っても、例外はありますけど。私にとって美波さん達は目標です」

モバP「へー、そっか。やっぱりそう考えたりするんだなぁ…」

ありす「…プロデューサー?」

12: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:36:26.20 ID:oaD626V30
モバP「いやさ、俺なんかはもう一度子供に戻ってみたいけどなって」

ありす「えっ…どうして」

モバP「どうしてって言われてもなー。お前が言ったみたく、そうなりたいんだよ」

ありす「大人でいいのに…」

モバP「そうだ!晶葉に頼んだらそういう機械作ってくれるんじゃないか!?一日限定とかでさ!」

ありす「ありえませんよ」

モバP「むぐっ…そんなあっさりと…意地が悪いな…」

ありす「貴方にだけは言われたくないです!」

13: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:44:09.76 ID:oaD626V30
ありす「でもやっぱり気になります。どうして戻りたいんですか?」

モバP「そうだなー。まあやっぱり思い出のせいかな。懐かしくってさ」

モバP「今だって、誰かの家に集まってみんなでゲーム!とかあるだろ?」

ありす「はい、それはまあ…」

モバP「俺がまだ子供だった頃ってさ、今みたいにWifiとか普及してなかったから…」

モバP「持ち寄って遊ぶのとか日常茶飯事だったんだよ、ゲーム機ポケットに入れてさ」

ありす「そうだったんですか?」

モバP「そりゃあもう。と、そうだ、確かこの辺に…」ゴソゴソ

ありす「?」

14: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:55:04.99 ID:oaD626V30
モバP「お、あったあった。ほら」ゴトッ

ありす「この黒い四角い物は…?開けますけど…」パカッ

ありす「ABボタンに、十字キー…?ゲーム機ですか?使い古されてるみたいですけど」

モバP「ああ、ゲームボーイって言うんだ、それも最新機種。といってもまあ古いんだけど。カッコいいだろ?」

ありす「昔のゲーム機ってことですか?」

モバP「その通り」

ありす「この赤い部分は…?あ、外せた。これゲームソフトですか、それもポケモン…」

モバP「ああ、初代のリメイク版だよ」

15: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 21:59:34.59 ID:oaD626V30
モバP「ちなみに今でも充電すれば遊べるぞ。もちろん当時のデータも残ってる。たまにやりたくなるんだよな」

ありす「もしかして、遊ぶためにこれを?」ジトッ

モバP「ああいや、それはまた別だよ」

ありす「別って…結局遊ぶための物はあるんじゃないですか。仕事して下さい」

モバP「ちゃーんとやってるって。心配するな。…それで、ゲームボーイを持ってきた理由、だけど」

モバP「まあそうだな…お守りって感じかな」

ありす「お守り…」

モバP「そう、どうしても手放せなくってさ」

16: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/06(土) 22:03:34.22 ID:oaD626V30
モバP「ほら、こうやって電源入れてみると」カチッ

プァーン ピーン

モバP「当時そのまんまの画面が出てきて」テーレッテー テーレレレー

ありす「はい…」

モバP「昔のなじみ深い仲間たちが顔を覗かせる。これが懐かしくってさ。時々昔やったゲーム漁っちゃうんだ」

ありす「少しだけど、分かる気がします。無性に前やったゲームがやりたくなる時がある…」

モバP「だろ?そうなんだよ」

29: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:36:19.63 ID:+/ysvV5A0
モバP「それでさ、やり直してる時に思うんだよ」

モバP「あ、ここ苦労したな。うわっ、こんな攻略法だっけ!?」

モバP「そうそう!偶然この場所で凄いやつ見つけたんだ!あの時のこの敵、本当に強かった!ってな」

ありす「確かに」コクッ

モバP「それにつられてさ、昔の友達とか思い出しちゃったり。学校の中で集まって攻略法考えてみてさ」

ありす「攻略本とかは無かったんですか?」

モバP「ありはしたけど、俺の周囲にはあんまり持ってる人いなかったなー。お小遣いとかの問題じゃないかな」

モバP「それに集まって話すのがなんだかんだ一番楽しいんだよ。数少ない攻略本持ちは英雄だったよ」ハハッ

ありす「そうだったんですね…」

モバP「まあ今の子も少なからずそういうことはあるだろうけどな」

30: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:38:02.93 ID:+/ysvV5A0
モバP「しかし、まーた子供に戻ってからやりたいことが増えたな」

ありす「え?何ですか?」

モバP「いや、また会ってみたい人がいるんだよ。今何してるんだろうなー」

ありす「!?」ガタッ

31: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:40:29.12 ID:+/ysvV5A0
ありす「誰ですかっ!?はっ、まさか初恋の人とか!?」クワッ

モバP「うおっ!?落ち着け、友達のことだよ!さっきの話題に出てた!」

ありす「友達!?…あ、ああ、そうですか」

フゥー

ありす「すみません、取り乱しました」キリッ

モバP「お、おう」

32: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:42:58.07 ID:+/ysvV5A0
モバP「でもさー…」

ありす「はい?」

モバP「結局のところ、どんなに技術が発達しても今の子供も昔の子供も変わらないなってさ」

ありす「ああ、確かにそうですね」フフッ

モバP「みんな馬鹿みたいにハマってそのことにしか目がいかない。でもそれがすごく楽しいんだ」

33: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:45:00.51 ID:+/ysvV5A0
ありす「それにしても、そうですか…プロデューサーにもそういう頃があったんですね」

モバP「俺にもとは何だ俺にもとは」

ありす「いえ、いつも仕事のことしか考えてないみたいですし」

モバP「いやここ仕事場だし」

ありす「昔から灰色だったんだろうな、と」フフッ

モバP「おい」

35: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/07(日) 23:52:21.77 ID:+/ysvV5A0
ありす「…」

モバP「おいこら。…ありす?」

ありす「あの、プロデューサー」

モバP「どした?」




ありす「どうして今日はこんな話をしてくれたんですか?だって、いつもは昔の話とかしないじゃないですか」

モバP「ああ、そうだな…自分でも正直よく分かんないけど、多分…」

ありす「多分?」

モバP「いやさ、最近卯月や凛、未央達とちょっと思い入れのあるゲームをやってさ」

モバP「それで自然と、昔を懐かしむようになったのかもな」

ありす「ニュージェネレーションズの皆さんと、ですか」

ありす(そっか…羨ましいな…)

38: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:19:06.59 ID:/wKt5NCi0
モバP「それともう一つ」

ありす「…えっ?はい?もう一つ?」

モバP「ああ、それがさっきお前が言ったことだ」

ありす「えっ…?」



モバP「『早く大人になりたいです』。これだよ」

39: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:22:34.56 ID:/wKt5NCi0
ありす「それが、どうかしたんですか…?」

モバP「うん、お前がカッコいい大人になりたいってことはよく分かったよ」

モバP「そして、そうなれるように努力し続けてるのもな。でもさ」

ありす「はい…?」

モバP「『子供に戻りたい』って言った俺に、お前はこう返しただろ?」

モバP「『ありえませんよ』って」

ありす「…」

40: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:26:21.54 ID:/wKt5NCi0
モバP「俺と話をしてて思っただろうけど、思い出話って尽きないんだよ、それこそ無限って言ってもいい程」

ありす「…」

モバP「でさ、そんな思い出を作れる子供時代」



モバP「俺たちは、もう戻れないんだよ。誰にだって一回しかない」

モバP「お前の大切な時間だって、少しずつ減っていってる」

ありす「…ぁ」

41: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:30:58.74 ID:/wKt5NCi0
モバP「お前にはまだピンと来ないかもしれないけど、大人に近づくほど、時間が過ぎるのが早くなるんだ」

モバP「怠いって思ってた授業も、友達と話す休み時間も…」

ありす「…はい」

モバP「だからさ。『早く大人になりたい』って言うのも分かる、けど」

モバP「今、子供であるお前にも少しでいいから目を向けて欲しかったんだよ。お節介かもしれないけどさ」

ありす「…いえ、そんなこと、ないです」

42: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:53:12.96 ID:/wKt5NCi0
モバP「もちろん、お前が今楽しんでて、大切って胸張って言える思い出が作れてるんならいいけどさ」

モバP「最近、お前、子供らしさを無くそうとして言いたいこと我慢したりしてないか?」

ありす「それは…」

モバP「我慢する必要なんかないぞ?我儘は子供の特権だし」

モバP「俺から見たらお前は聞き分けが良すぎなくらいだ」

ありす「そうでしょうか?」

43: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 18:57:04.00 ID:/wKt5NCi0
モバP「ああ、まあ流石に麗奈ほどのいたずらっ子になられても困るけどさ」ハハッ

モバP「もっと素直になってもいいんじゃないか?」

ありす(素直になる、か…)

モバP「そうだ、なんかやりたいこととかないか?」

ありす(やりたいこと…あ、そうだ)

44: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 19:00:53.06 ID:/wKt5NCi0
ありす「あり、ます」オズオズ

モバP「お、何だ?遠慮せずに言ってみな?」

ありす「あの、さっきの話…NGsの皆さんと、一緒にゲームをしてたって言う…」

ありす「それに、その、私も…」カァァ

モバP「はははっ!なーんだ、そんなことか!もちろん!あいつらに色々教えてやってくれ」

ありす(…!やった!)グッ

モバP「素直になるって案外難しいんだけどなー。よく言えたな、ありす」ナデナデ

ありす「ふぁっ…えへへ」ニコニコ

45: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 19:06:09.16 ID:/wKt5NCi0
モバP「…っと。大分話し込んじゃったな。お前これからレッスンだったろ?」

ありす「っ!はいっ」キリッ

モバP「そろそろ時間だから行ってきな。また今度やる時に誘うからさ」

ありす「はいっ!」

モバP「頑張って来いよ?目標は、素直になれるクールタチバナ、だ」

ありす「はっ!…いぃ…」

ありす「クー…ル…ちょ、プロデューサー!」

モバP「はははっ!いやー悪い悪い」

ありす「もうっ、全く、もう!」

46: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 19:12:11.03 ID:/wKt5NCi0
モバP「く、ふふ…いや、でも本当に応援してるからさ」

ありす「ふー、ふふっ…私が、なれるでしょうか?」

モバP「当ったり前だろ!そのために俺がいるんだし」


モバP「お前なら大丈夫!」

ありす「っ…はい!それじゃ、行ってきます!お誘い、待ってますから!」ガチャ

モバP「おう!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ありす(『お前なら大丈夫!』…)

ありす(ずっと、不安、あったけど…やっぱり、私の夢、追いかけていたい!)

ありす(うん!今なら大丈夫!)

47: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 19:19:19.20 ID:/wKt5NCi0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モバP「ふー…」

モバP(本当に話し込んじゃったなー…まさかあそこまでになってしまうとは…ちょっと反省)

モバP(ここまでアイドル達を育てるのに夢中になってて気づかずにいたけど、思い返すとなぁ…)

モバP(また、アレとかアレとか、やり直したいなー。友達とも会いたいし)

モバP(あの時の対戦どっちが勝ったっけ?とか笑いながら話をしたいな。あいつら忘れてそうだけど)フフッ

48: ◆PLE3wWwbfw 2016/08/09(火) 19:32:13.22 ID:/wKt5NCi0
モバP(ま、やり直すって言っても当分先にはなるな。なんたって、今は別の夢があるしな)

モバP(それこそ、アイドル達に関わってきてからも色々あったよな)

モバP(何にでも全力でぶつかって、へこんだらちょっと休憩して)

モバP(頑張ることに、疲れたりなんかして…あの時は陰で泣いたなー…なんでうまくいかないんだって)

モバP(どれだけの時間がたったんだっけかな。そんなでもないか。…アイドル達は本当に俺の自慢だ)

モバP(みんなまとめてトップアイドルにするって夢を叶えるためにも…)




モバP(思い出は、今はまだ、仕舞っておこう)