1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 16:59:28.04 ID:nRGUNBt50
これは駆逐艦初月のちょっと昔のおはなし

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471852767

引用元: 初月と知らないおじさん 


 

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:02:59.55 ID:nRGUNBt50
もうだめだろう
ふたたび殿を務められたのは光栄だ
しかも今回は五十鈴や瑞鶴、姉さんたちと同じ部隊だったんだ
思い残すことはない…

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:06:43.70 ID:nRGUNBt50
目が覚めると異質な空間だった
今までこのような部屋に来たことはない
僕は布団に寝かされていた

…心なしか股が痛いが気にしないでおきたい

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:12:57.60 ID:nRGUNBt50
???「やっと目が覚めたか」

目を覚まして落ち着いた頃現れたのは、知らないおじさんだった
どうやら僕はこのおじさんに救われたらしい

初月「あの…お前は誰だ?」

助けてくれたであろう人間だ
相手の素性くらい把握しておきたい

???「見知らぬ相手に対してお前呼ばわりか…まぁいいそんなことより起きたなら飯にするからついてこい」

初月「僕はお前の名前を聞いたつもりだったんだ。教えてくれ」

???「答えることはできない。知らないおじさんとでも呼べ」

意味がわからない

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:20:25.20 ID:nRGUNBt50
だが飯を用意してくれているのだし悪いやつではないと思う
正直言って空腹だったのだ
僕は慌てておじさんのあとをつけていく

おじさん「夕飯だ、シチューにしてみた」

この時代には珍しく牛乳を大量に使う食品だ
そのうえアニメや本でしかみたことのないようなガラスの大きな牛乳瓶まである

初月「これ…食べてもいいのか?」

恥ずかしながら僕は食べることが好きだ
牛缶や麦飯も好きだが珍しいものにはつい目を引かれる

おじさん「いいのか?ではない、食べるのだ」

お言葉に甘えて一口

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:23:51.87 ID:nRGUNBt50
…僕が馬鹿だった

敵地かもしれないところで出された食事に無闇に手をつけるべきではなかった

結果だけ言うと僕が知るシチューとはほど遠い味だった
しょっぱいような苦いような不思議な味だ
そしてそこまで味がいいわけでもなかった

そして大きな瓶に入った牛乳…のようなものも同じ味がした

これは少なくとも牛乳ではない

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:29:42.19 ID:nRGUNBt50
初月「あの…失礼だがこれ以上は食べる気になれない…すまない」

おじさん「すまないではない。全て食べきるのだ」

初月「何故僕がこのようなものを食べなければならない!僕は満腹になったからこれを食べないと言ったんだ!」

おじさん「このご時世だ、食えるときに食えるものを食っておけ…まずは完食しろ」

初月「毒なんかが入っていないと証明できるのか?」

おじさん「俺にはそうする意味がないし理由もない。食い終わったらお前が知りたいことを話そう」


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:40:36.02 ID:nRGUNBt50
無理をして食べきった
初月「ならいくつか聞かせてもらうぞ」

初月「ここはどこだ」

おじさん「…答えることはできない」

初月「…お前の目的は?」

おじさん「答えられない」

嘘だろ…全く答えるそぶりを見せない
あんなにも我慢をして完食したのが無駄になってしまう

初月「何故質問に答えない?お前はさっき完食しろと、したら答えると言ったはずだ」

だんまりだ…

初月「なら最後の質問だ…僕が寝ている間になにか僕にしたか?」

一番知りたかった質問だが答えを聞くには勇気がいる

おじさん「…した。なかなかよかったぞ」


最低だ

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:49:34.89 ID:nRGUNBt50
おじさん「とにかくお前にはどこへ行くあてもないだろう」

そういっておじさんは色々話し始めた

驚いたことにこいつは僕のことを知っている
僕の所属している鎮守府も知っていた
ここはこの戦線ではなかなか帰れない距離にあるという

失うものは失ってしまったのだ
こうして僕の一ヶ月が始まった

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 17:57:19.72 ID:nRGUNBt50
それから半月が経った
やつとの生活もあまり悪いものではないと思うようになった

あいつは僕の知らないような話をしてくれた
なかには感動ものや笑い話、恋愛ものなんかもあった

やつはこの世界に生まれて間もない僕に色々なことを教えてくれた
なんでも「いずれ戦争が終わったあとに役立つだろう」とのことだ

食事も改善された
あまりにも強い反発のお陰だろう
例の牛乳めいた液体を朝昼晩と飲めば普通の食事を提供してくれるようになった
ふふ、あの液体もなんだかクセになりそうだ


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 18:01:01.36 ID:nRGUNBt50
だがまだ馴れない

あいつは毎晩僕を激しく求める
僕にとってアレはとても疲れるものだがあいつは強要してくる

置いていてもらっているから仕方ないと言い聞かせて仕方なく今日も夜を共にする

辛いけど我慢だ…

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 18:56:16.79 ID:nRGUNBt50
最初の日からだいたい一ヶ月が経った

あいつは最後の夜まで僕を求めてきた
この頃になると僕が自分の意思でするようになっていた
おじさん「あぁ…うん…わかった、それじゃぁ」

あいつが電話を切る

初月「いったいどんな話だったんだ?せっかく僕たちが楽しんでるところを…」

この頃になるともはやアレを楽しむほどになっていた
アレをしていないと、アレがないと…徹底的にアレに依存していった

おじさん「初月、明日の午前八時に出発だ」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 18:58:40.18 ID:nRGUNBt50
すっかり忘れていた
僕には帰る場所があったんだ

初月「嫌だ…僕はお前とここに居たい…」

おじさん「お前は…強くなりたかったのではないのか?」

……

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 19:06:49.75 ID:nRGUNBt50
おじさん「俺はお前から強くなりたいという意思を感じた。だからこうして一ヶ月お前と過ごした」

おじさん「お前は俺のことを忘れなくちゃならない」

嫌だ…

おじさん「お前は姉妹がいる、大切な人もいる」

やめてくれ…

おじさん「なによりお前を待っている人がいる」

……

おじさん「何故お前はここに残りたいと思う?」

正直に答えてやる
初月「ここから離れたらお前とアレが出来ないから…」

おじさん「そうか。だがアレは一人でもできる」

おじさん「お前のところにもアレを愛する者がたくさんいるだろう」

初月「そうじゃない!僕はお前としたいんだ!」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 19:08:19.93 ID:nRGUNBt50
おじさん「…これが最後だからな」

そして僕たちは最後の濃厚な夜を終えた

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 19:38:24.72 ID:nRGUNBt50
おじさん「最後にいいことを教えてやろう」

初月「なんだ?」

おじさん「毎日与えてた液体はプロテインだ」

初月「…そうか」

どうやら安全なものだったらしい

初月「でも…やっぱり寂しい…」

おじさん「そんなこと言うな。こっちが寂しくなる」

初月「なら僕から記憶を奪うのをやめればいいさ。そしたらまたここに来れる」

おじさん「そうはいかないからな」

初月「だよな…」

初月「お前と過ごした日々、とても充実して楽しかったよ」

おじさん「あぁ、俺もだ」

初月「…じゃあな」

提督の元へ行こうとする

去り際、僕はあいつの頬にキスをした

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 19:45:36.67 ID:nRGUNBt50
数日後

提督「なんか変わったな」

初月「そうか?しかしここ最近の記憶がどうもあやふやなのだが…」

五十鈴「いや、ほんとにあんた変わったわよ…なにその筋肉!!」

何があったかわからないけど戻ってきた僕は以前より筋肉質になっていた

初月「でも、これで皆を守れる」

今夜もいつもみたいにトレーニングしなきゃな

…いつもってなんだっけか

まぁいいさ

初月「五十鈴や提督も一緒にどうだい?」