前回 サブ・ゼロの使い魔 (ジョジョ×ゼロ使) 第一章 その2

920 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 03:51:39 ID:???
なんというブチキレコンビ。ギアッチョの怒りは、まるで次はオレの番だと 
でも言うかのように静かに爆発した。 
「ところでよォォ~~・・・ 朝こいつを食った感想はどうだったよお嬢様?」 
ギアッチョは波一つない海のように静かに尋ねる。 
「最悪だったわッ!・・・そういえばあんたよくも貴族の私にこんなもの 
食べさせてくれたわね!後でお仕置きを――」 

ゴバァアァ!! 

穏やかな海が突然嵐に変わるように、ギアッチョの全身から突然冷気と 
殺気が噴き出し始めた! 
「うぅッ!?ちょっ・・・何!?こんなところで・・・!!」 
ルイズは慌てて辺りを見回すが、周囲の貴族達にはギアッチョの異変に 
気付いたようなそぶりは見受けられない。ギアッチョがミスタ達との戦いで 
得た教訓の一つ、それは他のスタンド使い達が当たり前にやっている 
「自分の能力を安易に敵にバラしたりしない」ということであった。己の命と 
引き換えに得た教訓は、彼の心の根っこにしっかりと突き刺さっている。 
激しくブチ切れた今も、「周囲に己の能力を悟らせない」という事に関して 
だけは自制が働いていた。つまり――ルイズが感じた冷気と殺気は、 
他でもないルイズただ一人に向けられたものだったのである。 
ギアッチョはすっと地面にかがむと左手で食事の入ったトレイを持ち上げ、 
背中を曲げた体勢のまま、色をなくした眼でルイズを見る。 
「つまりてめーはそんなものをこのオレに食わせるってぇわけだ・・・」 
「なッ・・・あんたは使い魔なんだから当然でしょ!?使い魔の上に平民! 
貴族と同じ地平線に立つことなんて一生ありえないのよ!!」 

ビシッ!! 

ルイズがそう言い放った途端、最近聞き慣れた音が彼女の耳に響いた。  

 

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921 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 03:52:46 ID:???
ビシィッ!!ビシビシビシッ!!ビキキィッ!! 

この音は、他でもないこの音は。ルイズは恐る恐る、音のした方向へ 
眼を向ける。 
音がしていたのはギアッチョの持っている食事・・・いや、食事だったもの 
からだった。パンとスープを載せたトレイは、ギアッチョの左手の上で 
まるで彫刻のように完璧に凍っていた。 
「・・・・・・こんな・・・ええ?こんな『ささやかな糧』でよォォォ~~~~~ 
てめーの命を守らせようってのかァ?・・・え?おい」 

――てめーの人生のかかった仕事を・・・ 

「あ・・・!」 

      クソみてーなはした金でよォォォ・・・―― 

バキィィィィインッ!!! 

ギアッチョがどんな仕事をしていたのか――ルイズがそれを思い出した 
瞬間、白磁の彫刻は彼の手の上で「ブチ割れ」、そしてそれと同時に 
ギアッチョは食堂を震わせるような大声で叫んだ。 

「オレ達の命は安かねェんだッ!!!」 

いつもの薄っぺらな怒りではない。ギアッチョは本気で「怒って」いた。 
ルイズは声も出せなかった。ギアッチョの剣幕に怯えていたのでは 
ない。一体自分がどれほど酷いことを言ってしまったのか、それを 
理解したのである。自分はギアッチョ達を皆殺しにした『ボス』と 
何も変わらない。ギアッチョの彼らしからぬ心の底からの叫びに、 
ルイズの胸は千切れ飛びそうな痛みを感じた。 



394 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 20:29:42 ID:???
グゥゥゥゥ~~ッ 
大きな音を立ててギアッチョの腹が鳴る。 
「チッ・・・」 
何も食べずに食堂を飛び出してきたのだ。腹が減るのは当たり前で 
ある。他に食うものがないというのなら、彼もあれを食べる事に抵抗は 
ない。しかし、あれがルイズ―主から出されたものだというのなら、 
例え飢え死にしようが絶対に!口をつけるわけにはいかない。 
ギアッチョはそう決意していた。 
「しょぉぉおがねーなぁぁあ」 
ギアッチョの口からは無意識に戦友の口癖が飛び出していた。実際の 
ところ問題は切実である。早いところ安定した食糧確保の方法を 
考えなければ飢え死には免れない。 
――貴族のガキ共から日替わりでメシを奪うか? 
と思ったが、食堂には入りたくないし、毎日そんなことを続けていれば 
間違いなく問題が起こる。 
「プロシュートの野郎ならよォォーー 今ここで奴らを皆殺しにしそうな 
もんだが」 
自分以上にキレっぱやいものはいないということに気付いていない 
ギアッチョである。 

「あ、あのー・・・」 
ギアッチョの後ろで声がした。 
「ああ?」 
色んな要因でかなり気が立っているギアッチョは、気だるげな声を 
上げて肩越しに後ろを見た。 

そこにいたのはメイド服を着た黒髪の少女だった。 
「何か・・・用か?このオレによォォ~~~」 
「す・・・すいません その・・・失礼かとは思ったのですが 食堂での 
お二人のお話を聞かせていただきました」 

397 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 20:31:56 ID:???
――大人しそうなツラしやがってよォォーーー 堂々と盗み聞きって 
ワケかァァ~~? 
ギアッチョが発する殺気の量が更に上昇する。それに気付いたのか、 
少女は慌てて本題を口にした。 
「そっ、それでですね!あの、よろしければ厨房に来ませんか?賄い食 
ですが料理をお出しします」 
「・・・・・・」 
ギアッチョは少女に向き直ると、その眼を覗き込む。少女はちょっと 
驚いたようだったが・・・瞳に嘘は感じられなかった。 
「・・・いいだろう 世話にならせてもらうぜ」 
罠ではなさそうだ。ギアッチョは素直に好意に預かることにした。 


「・・・こいつはうめぇな」 
「貴族の方々にお出しする料理の余りで作ったシチューなんですが、お口に 
合われたならよかったです」 
「ああ マジによォォ~ 助かったぜ ルイズのヤローに出されたエサは 
ブチ割っちまったからな・・・」 
「凄い握力なんですねギアッチョさんって・・・ 私ビックリしました」 
どうやら、シエスタにはトレイ自体は見えていなかったらしい。単純にトレイを握り 
つぶしたのだと思っているようだった。 
「ところでよォォーー  何故オレを助けた?」 
ギアッチョにはそこが解らなかった。ルイズの物言いから察するに、ここでは 
貴族と平民には絶対的な上下関係がある。今オレを助けたことで貴族――ルイズの 
恨みを買う危険性もあったはずだ。するとメイドの少女――シエスタと名乗った―― 
はニコリと笑って言った。 
「ギアッチョさんは平民でしょう?平民が平民を見捨てるような時代になってしまえば、 
私達はおしまいです。貴族の圧政に耐えるためには、私達平民は常に団結して 
いなければならないんです」 


398 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 20:33:12 ID:???
――何も考えてない小娘かと思ってたがよォォー・・・ 
ギアッチョは少し感心した。 
「それに・・・ 貴族にあんなに堂々と逆らう人なんて初めて見たんです それが 
その・・・なんていうか 格好よくて」 
シエスタは少し照れたように眼を伏せる。こう言われてはギアッチョも悪い気はしない。 
「なるほどな・・・気に入ったぜェーーシエスタ! 改めて自己紹介するがよォォー 
オレの名はギアッチョだ ここに来るまでは、遠いところで暗殺稼業をやってたッ 
気に入らねえ奴がいるならよォォ~~ いつでも暗殺してやるぜ」 
「暗殺・・・!?ギアッチョさんて 殺し屋さんだったんですか!?」 
普通なら、ここで殺人者に対する拒絶が心の中に芽生えるであろう。しかし 
シエスタは、というよりシエスタ達は違った。純粋に「凄い」と思ったッ! 
だって平民である。単なる平民がそんな凄まじい技量を持っている!シエスタと 
話を聞いていた厨房の平民達は、そんな男が自分達の仲間であることに「誇り」と 
「勇気」を感じた!! 
「『我らの剣』ッ!オレぁおめーが気にいったぜ!!おら!こんな余りモンで 
よかったらいくらでもおかわりしてくんなッ!!」 
マルトーというらしい四十がらみのコック長がガシッとギアッチョの肩を抱く。 
厨房は一転熱気に包まれた。当のギアッチョはというと、これがまんざらでもない 
ようだった。ギアッチョが生きていた頃は、チーム以外の人間と親しくするなど 
ありえないことだった。知っての通りリゾットチームは暗殺を生業にしていたが、 
その報酬だけでは毎月生きていくこともかなわなかった。ギアッチョを含めて 
メンバーはそれぞれが色んな表の仕事を転々として何とか糊口をしのいでいた 
のだが、彼らは暗殺に対する報復などに四六時中警戒しなければならない身で 
ある。敵の刺客はどこに潜んでいるか分からない。仕事仲間にさえも気を許す 
ことは出来なかった。彼らが心を許せる相手は、リゾットチームの仲間のみ 
だったのである。 

399 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 20:34:24 ID:???
――ここは・・・違う 
ここではリゾットはただの平民だ。暗殺者という職業、ボスへの反逆者という 
立場、命を狙われる身という立場・・・、ここではその全てがリセットされている 
事にギアッチョは気付いた。今、ギアッチョは真っ白だった。―もし。もし永遠に 
イタリアへ帰れないのなら。ここでの行動全てが――トリステインの平民としての 
ギアッチョの境遇を決することになる。それを理解したギアッチョは、自分が 
突然何も無い宇宙の真ん中に放り出されたような眩暈を感じていた。 
――どォォォすりゃいいんだよッ!!!クソッ!!! 
ギアッチョは――自分がどうするべきなのか解らなくなってしまった。昨日、 
ルイズはギアッチョを元の世界に帰す方法について、「私は知らない」ととても 
悲しげな声で答えた。その声はまるで、そんな例は古今東西ありえないとでも 
言外に告げているかのようにギアッチョに聞えた。 
――どォすりゃあいいんだッ!!ええッ!?教えてくれよッ!!リゾット!! 
プロシュート!!メローネ!!ホルマジオ!!イルーゾォ!!ソルベ!! 
ジェラート!!ペッシッ!!ええおいッ!!答えてくれよッ!!! 
ギアッチョがいくら問いかけても――彼らは答えてはくれなかった。 



400 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/17(日) 20:35:19 ID:???
ギアッチョが心中凄まじい葛藤をしていたその頃、シエスタはルイズによって 
厨房の外に呼び出されていた。 
「・・・あ、あの・・・何の御用でしょうか・・・ミス・ヴァリエール・・・」 
ギアッチョを厨房に招いていることは、ルイズにはとっくに気付かれていた 
ようだった。ルイズはうつむいたままシエスタに言う。 
「・・・これからも あいつに料理を出してやってくれないかしら」 
「えっ!?」 
シエスタは驚いた。そもそもギアッチョ用にあの貧相極まる食事を出させた 
のはルイズなのだ。まさかギアッチョの剣幕に怯えたわけでもあるまい・・・ 
シエスタは内心首をかしげながらも、 
「・・・分かりました、ミス・ヴァリエール。ご用命とあらば、喜んでお世話を 
させていただきます」 
と答えた。ルイズは「よろしくお願いするわ」とだけ答えると、返事を待たず 
歩き出した。ルイズは見ていた。厨房の窓から、馬鹿騒ぎする料理人達と 
その輪の中心にいるギアッチョを。 
――あいつの居場所は・・・私の隣じゃない 
ルイズは悲しげにそう呟いてその場を後にした。 


536 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:49:56 ID:???
    ともだち~ ずっとともだち~♪ 

ギーシュは上機嫌だった。 

    ずっとともだちいな~い♪ 

鼻歌まで歌ってゴキゲンである。彼は両手で何か大きな箱を抱えて 
中庭を歩いていた。箱の中にはギッシリと、色んな形の小瓶が詰められて 
いる。小瓶――そう、香水である。「香水」の二つ名を持つ彼女、 
モンモランシー・マルガリタ・中略・モンモランシに、彼はこの香水の山を 
プレゼントするつもりなのだ。こいつを決め台詞つきでプレゼントした 
時の彼女の反応を考えると、ギーシュはニヤニヤが止まらなかった。率直に 
形容すると、いわゆる「アホ面」というやつだ。そういうわけで、彼はこの後の 
勝利を確信しながら、それはもう上機嫌でモンモランシーの元へと向かって 
いたわけである。すると後ろの方から彼を呼ぶ声が聞える。 
「ギーシュ!あなた何を持っているの?」 
この声は・・・!ギーシュは確信した。モンモランシーだ!少し予定と違うが 
まぁいい!コホン、と一つ咳払いをすると、 
「ああ、まるでセイレーンの歌声のようなその声!君はモンモランシーだね! 
なんという偶然、いやこれは始祖ブリミルの与えたもうた奇跡!僕も今君に 
会いに行こうと・・・」 
優雅な仕草でギーシュが振り返ったそこには、 

般若のような形相で仁王立ちするケティの姿があった。

539 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:51:02 ID:???
「ギーシュさま・・・」 
背後からゴゴゴゴゴゴという擬音を引き連れて、ケティは死神のような眼で 
ギーシュを睨む。 
「やはり・・・・ミス・モンモランシーと・・・・・・」 
「ケッ、ケケケケケケティ!!ちっちががちが違うんだよこれは!!これは 
先生に頼まれて――」 

バッチィィイィン!!! 

「さよならギーシュさま・・・死ねッ!!!」 
へなっぷすいませんと叫びながらフッ飛ぶギーシュに、ケティはもはや一瞥も 
くれず歩き去った。 

見事なきりもみ回転でフッ飛んだギーシュは地面に倒れたまましばらく痛みを 
こらえていたが、ハッと香水のことを思い出して跳ね起きた。 
「ああああ!!こっ、香水ッ!割れてないだろうなぁ~!?」 
ギーシュは地面に跪き、急いで香水をかき集める。よかった、どれも割れては 
ないようだ。使い魔に手伝わせてガチャガチャと箱に放り込む。草や土が 
ついてるものもあるだろうが・・・モンモランシーなら適当に言い繕えば 
ごまかせるだろう。ギーシュはそう判断すると、香水を仕舞い終わった箱を 
持ち上げて歩き出した。さっきの事は色んな意味で痛かったが、この傷は 
モンモランシーの笑顔で癒してもらおう・・・などと考えると、ギーシュの片側だけ 
腫れた顔はまたニヤニヤと歪むのであった。しかし――、不幸とは往々にして 
連鎖するものである。ニタニタと上の空で妄想にふけっていたギーシュは、 
前から歩いてくる少女もまた考え事で前など見ていなかったことに気付かなかった。 
そして。 

542 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:52:04 ID:???


ドンッ!! 

「うわッ!?」 
「きゃあッ!!」 
二人はハデにぶつかり、ハデに吹っ飛んだ。 
「いったたたたた・・・ き、君ッ!前はちゃんと見て・・・アッー!!!」 
なんと不幸な偶然か、再びギーシュの手から落ちた香水の山は、2度目の 
衝撃に耐えることは出来なかった。ギーシュと少女の周りに散乱した小瓶、 
その実に3分の2が無残に砕け散ってしまっている。 
「なッ・・・なッ・・・なんということだ・・・!大枚はたいて買ったモンモランシーの 
ための香水が!!」 
絶望と怒りに打ち震えるギーシュ。 
「君ッ!!」 
それがないまぜになった感情をぶつけるべく、ギーシュはキッと少女を睨む。 
「責任は取ってもらうぞッ!!ゼロのルイズッ!!」 

543 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:52:56 ID:???
ルイズは悄然とした表情で中庭を歩いていた。ギアッチョはただ訳も分からず 
異世界へ送り込まれてきただけの平民ではない。唯一心を許せる仲間達を 
皆殺しにされ、その上リーダーを一人残したまま自分まで殺されてしまったのだ。 
もしもギアッチョが自分だったら、とルイズは考えた。唯一無二の親友である 
アンリエッタが、敬愛するワルドが、そして家族が皆殺しにされてしまったら。 
そう考えると、今までギアッチョにされた仕打ちなんか全て忘れて、ギアッチョの 
隣で泣きたくなる。ギアッチョの怒りは、悲しみは、痛いほど分かっている 
つもりだった。それなのに、自分はギアッチョにあんな酷い事をしてしまった。 
どれだけ悔やんでももう遅い。自分とギアッチョの心には、きっともう修復なんて 
不可能な溝が出来ている。――ギアッチョは厨房の平民達の屈折のない善意に 
囲まれていた。自分じゃきっと一生かかっても素直になんかなれない。自分は 
あの輪の中には永遠に入れない。ルイズはそう確信していた。 
ルイズは幼い頃から周囲にバカにされ続けてきた。例え口には出されなくても、 
周囲の眼は「ゼロだ」「落ちこぼれだ」という意識を持ってルイズの心に突き刺さる。 
幼いルイズが心無い他人達から身を守るには、虚勢という張子の盾を持つしか 
なかったのである。そしてその盾はもはやルイズの心と完全に一体化し、 
ごく一部の親しい人間を除いて、ルイズはその心の深奥を誰かに吐露する 
事など出来なくなってしまっていた。 
――あいつの居場所は・・・私の隣じゃ・・・ない 
ルイズはもう一度呟き、そして悲しい決意をした。やっぱりダメだ。元の世界に 
戻るにしろ、ここに留まるにしろ、あいつは私の使い魔なんかでいるべきじゃ 
ない。あいつを元の世界に送り返す方法か・・・もしくは契約を解除する方法。 
どっちを選ぶかはギアッチョ次第だが、とにかくどちらかを見つけなければ 
いけない。そんな事を考えながらルイズは図書室へと歩き出し――そして、 
ギーシュと衝突した。 


545 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:53:49 ID:???
「責任ですって!?前を見てなかったのはあんたも一緒でしょ!!どっちか 
一人でも前を見ていたらぶつかりなんてしないわ!」 
「黙りたまえゼロのルイズ!僕達の周りを見ろッ!!僕が大金をはたいて 
買った香水だぞッ!!責任を取るのはそっちだ!!」 
ルイズはそこで初めて周囲に眼をやり、香水瓶だったものの惨状を知った。 
「フンッ!どうせモンモランシーにあげるつもりだったんでしょう!!あんた 
みたいな趣味の悪い男にはお似合いのプレゼントね!!自分の不始末は 
自分でぬぐいなさいよッ!!」 
「言ったなゼロのルイズッ!!大体どうして君がまだここにいるんだ!? 
魔法も使えないメイジが魔法学院にいるなんてお笑いだな!!君がとっとと 
ここを辞めていれば僕がここでぶつかることもなかったんだ!!土下座して 
謝りたまえ!!そしてこいつを全部弁償しろッ!!そうすれば君がこの学院に 
居続ける事を許してやろう!!」 
「・・・なんですって・・・!!何も・・・何も知らないくせに・・・ッ!!許さないわ 
ギーシュッ!!決闘よッ!!!」 
「ゼロのルイズが決闘だって!?アッハハハハハ!!いいだろう、女性に 
手は上げない主義だが・・・受けて立とうじゃあないかッ!!僕が勝ったら 
君は僕に土下座で謝った後にこいつを全て弁償し、その上でこの学院を 
出て行けッ!!いいな!!」 

547 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:54:43 ID:???
「・・・上等じゃない・・・!!私が勝ったらもう二度と私を『ゼロ』だなんて 
呼ばせないわッ!!ギーシュッ!!」 
「いいだろう・・・フフフ・・・『君が勝ったら』ね!!こいつは傑作だ!! 
アッハハハハハハ・・・!!」 
こいつは自分の勝利を微塵も疑っていない。ルイズは悔しさで涙が出そう 
だった。目頭が熱くなるのを必死で堪えていたその時、 

バグシャアアッ!! 

「あぁあぁああーーーーッ!!!ぶっ、無事だった香水をぉおお!!」 
壊れることなく残っていた香水瓶を踏み潰しながら―― 

ギアッチョがそこに立っていた。 


552 :サブ・ゼロの使い魔:2007/06/18(月) 23:55:35 ID:???
「・・・なッ・・・何してんのよッ・・・っく・・・ギアッチョ・・・!私を笑いに来たの 
なら・・・帰りなさいよ・・・!あんたには・・・うっく・・・関係ないでしょ・・・ッ!」 
悔しくて情けなくて、ルイズはついに涙を堪え切れなかった。涙を見せまいと 
うつむきながら、ルイズは精一杯の強がりを言う。こいつには、ギアッチョに 
だけは、こんな場面を見られたくはなかった。きっとこいつは完全に幻滅した。 
そう思うと、ルイズの涙はいよいよ量を増して溢れて来る。 
だが―― 
「いいや・・・関係あるね てめーはさっき言ったよなぁあぁ~~ 主の不始末は 
使い魔の不始末だってよォォーー・・・!」 
そこまで言うと、ギアッチョは色をなくした眼でギーシュを睨む。 
「ルイズの不始末は・・・オレが引き受ける ギーシュとか言ったな・・・てめーの 
決闘の相手はよォォーーー!!このオレだぜマンモーニッ!!!」 



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