【それ町×進撃】歩鳥と巨人の世界 完全版 前編

237: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:40:07.78 ID:mimqUZYA0

ガシッ

辰野「!!」

真田「オッサン!タッツンを離しやがれ!!」

ジーク「ふう…っ」


ガシッ!

ライナー「…ちょうどいい。サナダも来い」

真田「!!」


紺「待てコラア!!」

静「くっ…!!ダメだ、これ以上深追いするな!」ギリッ

歩鳥「…!!」


ジーク「じゃあね、また」ザッ

真田「お前らまで来るな!捕まっちまう!!」

辰野「…ごめん…!」



歩鳥「辰野!!真田ぁっ!!!」



ゴゴゴゴゴ………



引用元: 【それ町×進撃】歩鳥と巨人の世界 完全版 


 

 
238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:54:39.40 ID:mimqUZYA0






その後……

彼等は礼拝堂から脱出

対人制圧部隊によりこの事は各兵団のトップに伝えられ、調査兵団と駐屯兵団は壁の外からの敵の襲撃を迎え撃つため準備を始める………

そして、エレンと104期、歩鳥達は人気のない場所へ身を隠すことに………














ウトガルド城



239: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:55:33.36 ID:mimqUZYA0

パチパチパチ…



ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」


辰野「…」

真田「…」



真田「なあ…」


ライナー「…なんだ」



真田「お前らは…なんで、戦っているんだ…」

真田「一緒に過ごしてた同期なのに…なんで戦わなくちゃいけなくなった…」

ベルトルト「…」

アニ「…」


ライナー「………」


ライナー「すまん…」


真田「!」

辰野「!」


ライナー「…本当に…皆にはすまないと思っている……」



240: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:56:08.05 ID:mimqUZYA0

ベルトルト「…」

アニ「…」


ライナー「…俺もな…皆と過ごして楽しかった…罪の意識が頭から消えたことはなかった」

真田「………」


ライナー「だが、俺はもう…手を汚しちまっている…今さら引けないんだ、ここまでやっておいて…な」

ライナー「だから俺は…ただ、戦士としての使命を最後まで貫く…そうするしかないんだ」

真田「…」


ベルトルト「僕も…本当は怖いんだ。今まで一緒に過ごしてきた皆と敵対するなんて…でも…もう…後には引けない。誰かがやらなくちゃならない」


アニ「…うん…」

辰野「…」

真田「…」


真田「座標ってのを奪うのが…お前らの目的なのか?」

ライナー「…ああ」

ベルトルト「そして、壁内人類も滅ぼさなけりゃならない」

真田「な、なんで!?」

アニ「…呪われた歴史を止めるため…」

辰野「…でも、やっぱり…ころすのは、違うと思う…」

ライナー「…」


241: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:56:35.14 ID:mimqUZYA0

ザッザッザッ…


ジーク「…よう、若者同士会話中かい」


ライナー「戦士長…」


真田「…あなた達は…なんなんだ!?」


ジーク「…」


ザッ!


ジーク「…ふう…」

ベルトルト「…」

アニ「…」

辰野「…」



ジーク「…ごめんな」


ライナー「!!」

真田「…え!?」

辰野「せ、戦士長が…謝っ」



ジーク「君らみたいな若者に…重たい使命背負わせちまって…」



242: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 08:57:21.37 ID:mimqUZYA0

ライナー「戦士長…」


ジーク「だが、もう…甘いことは言ってられないんだ……」

ジーク「君らにも壁内人類にも悪いと思っている…」

ジーク「そして、別の時代から来た君たちも巻き込んでな」

真田「…」

辰野「…」



ジーク「前にも言ったよな、タッツン…俺は、自分が間違っているのか正しいのかもわからない……」

ジーク「だから、君たちのような別の時代を生きてきた人間から見て…俺達の行い、この世界の行く末、未来…それらを見届けて欲しいんだよ」


ジーク「偉そうにしておきながら自分にも自信が無いのさ。恥ずかしい事にな」

真田「…」

辰野「…」


ジーク「…ま、弱音本音吐くのはここまでにしておこう」コポコポ



ジーク「とりあえず、皆コーヒーでも飲みな……やれることをやるしかないんだ、俺達は」

ライナー「…」


パチパチパチ…



243: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:07:58.51 ID:mimqUZYA0









歩鳥「…んが…っ?」パチッ



歩鳥「あれ!?どこだここ!?」ガバッ


静「よう、やっと起きたか歩鳥」

歩鳥「あ、静ねーちゃん!」


静「ここは昔の東洋人やアッカーマン家の隠れ家らしいよ~~、ケニーとかいうオッサンが教えてくれた。今はここで身を隠してるのさ」

歩鳥「あれ…私、いつから寝てたの?」


静「なんでタッツンと真田を助けなかった!!って私達に突っ掛かってきた後、倒れこんだんだよ…疲れが溜まってたんだろうね」


歩鳥「そうか…タッツン、真田……」

静「ごめんな…助けてやれなくて」


歩鳥「いや、いいよ…確かに近付いたら危なかったもん……」



歩鳥「…!静ねーちゃんなに読んでるの?」

静「レイス卿の屋敷にあった本だよ~~」

歩鳥「うへー、勝手に持ち出したのか……ん?」チラッ



歩鳥「え!?日本語!?」バッ

静「その通り、日本語で書かれた本なんだな~~…これが」



244: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:08:29.27 ID:mimqUZYA0

歩鳥「何が書いてあんの!?」

静「ロボット、人工生命体とか…そんな類いだね」

歩鳥「書かれた年月は?」

静「聞いたことのない元号だね~~…」

歩鳥「……日本語…聞いたことのない元号、高い技術力……そんなものが書かれた本があるという事は」


歩鳥「この世界は…私達がいた世界のずっと未来の姿!?」


静「うん…単純に考えればそうだろうな~~~。だが、少し引っ掛かる」


静「レイス卿の言っていた『終わりと始まりの繰り返し』。なんだと思う?」

歩鳥「あー…そういやそんな事言ってたな……わからん」

静「突飛な予想だが………この世界は私達のいた世界の未来の可能性でもあり過去の可能性でもある……」

歩鳥「へえ?」



静「つまり…人類はずっと、グルグルと同じような歴史を繰り返し廻り続けているということではないだろうか」

歩鳥「ん~~~?待って、よくわかんない」



245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:09:02.97 ID:mimqUZYA0

静「まあ、難しい~~話は置いといて。ここに書いてあるのどう思う?」

歩鳥「え?んーと……戦争用フェアリー……」

静「フェアリーとはこの本が書かれた時代に生まれた人工生命体の事だ」

歩鳥「…タイタン?」

静「そう、戦争用に生まれた人工生命体…その名がタイタン」

歩鳥「まさか!巨人の事!?外うろついてるのとか!?」

静「いや…外にいる無知性はまた別だと思う」

歩鳥「へえ?」

静「この本に書かれている事から推察するに、昔、1人の人間とほぼ同じのフェアリーの少女を作った科学者がいるらしく…その資料などは何者かによって全て抹消されているはずだった。しかし、その科学者の残した資料がまだ残っていたらしく…それには人間とほぼ同じのフェアリーの少女の事が書かれていたらしい」

歩鳥「…」

静「そして、その資料を元にある科学者は人間と同じレベルの知能を持つフェアリーの研究を始める………そして長い年月をかけ人間と同じ知能を持つフェアリーを作ることに成功」


246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:09:37.88 ID:mimqUZYA0

静「まあ、フェアリーというのは元々、観賞用の人工生命体の事だったのだが…途中からこの言葉自体が人工生命体全ての総称として使われていったらしい」


歩鳥「ははぁ…」

静「で、その発展として作られたのが戦争用のフェアリー…」


歩鳥「…あ、そうか…人間とほぼ同じの人工生命体…つまり…!」


静「…巨人化の力を有する人間…それが戦争用のフェアリー…タイタンの事だと思われる」


247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:10:13.01 ID:mimqUZYA0

歩鳥「待って、じゃあ…、エレンや、ライナー、ベルトルト、アニは…」

静「…ま、どこまでがそうなのかもわからんが…」


静「…歩鳥、ロボットとフェアリーの違いはなんだ?」

歩鳥「え?そりゃ……知能があって…生きてる事?」

静「もしお前がこのフェアリーの立場だったらどう思う?」

歩鳥「え?」


静「もし、自分が戦争の為に…人をころすためだけに作られた存在だったとしたらどう思う?」

歩鳥「そんなの嫌だし…納得できないよ」

静「嫌ならどうする?」

歩鳥「…え…どうするって…」





歩鳥「………反逆?」


静「………」

歩鳥「あ…」

静「何か思い付いたか?」

歩鳥「まさか…」




グギュルルルルル………


歩鳥「」

静「………」



歩鳥「ご、ごめん…お腹鳴っちゃった……てか、そう言えばまだ何も食べてなかった…」タハハ


静「おめえ~~って奴はよ~~~」



248: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:10:44.47 ID:mimqUZYA0

静「ま、続きはまた後な。飯持ってきてやるから食べな、あと疲れてるだろうから今日は1日ベッドで休んどきなさい」ガタッ

歩鳥「うん、ごめん」エヘヘ

静「あと、この本も置いておくから見ていいよ」

歩鳥「うん」



ガチャ バタンッ



歩鳥「…」パラッ



歩鳥「はあ………」





歩鳥「…やっぱり私は…巨人達と殺しあってるだけじゃ…解決しないと思うよ……」



249: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:11:11.98 ID:mimqUZYA0

静「…ユミル」

ユミル「あん?」


静「歩鳥起きたよ」


ヒストリア「え、起きたの!?良かった…話してきていい?」

静「いいよいいよ~~」

ユミル「…そうか」


静「じゃあ、そろそろ頼むよ…知ってることを全て話してくれ」

ユミル「ああ、晩飯食ったら話そう」




250: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:11:39.81 ID:mimqUZYA0





―――巨大樹の森





ジーク「……はあ……べちこ焼き…食いて~~な~~~……」


ベルトルト「…」

アニ「…」

真田「…?」

辰野(急になに言い出すんだこのオッサン)

ライナー「は…?べちこ焼き…ですか?」


ジーク「そうか、知らないわな…美味いんだぞ?カラフルで、パリッとしてモチッとして…」

真田「カラフル…」

辰野「それがなんなんすか」


ジーク「…人間てのはぁ、ろくでもないもんいっぱい発明してるが…」

ジーク「料理や菓子…音楽とかは、そんな人類の中でも偉大な発明だと俺は思うぜ?」


251: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 09:12:41.78 ID:mimqUZYA0

真田「…そろそろ話してくれ。あんた達は何者なんだ?」

ライナー「…戦士長…サナダにも話しましょう」



真田「レイス卿の屋敷にあった本に載っていた…戦争用に作られた人工生命体…タイタン」

真田「それは巨人の事じゃないのか!?」

ライナー「!お前、どこでそんな…」

ジーク「…ふう…何か変なこと知ってるみたいね…」ザッ

ジーク「だが、外をうろついている無知性は違う」

真田「…じゃあ…ライナーやベルトルトやアニ…」

ジーク「その三人も、近いが違うな……生まれつきに巨人化の力を持っている訳ではなかった。タイタンとは生まれつきで巨人化の力を持っている者だ」

真田「え?」


ジーク「…俺は、生まれた時からこの力を持っていた…そして、ずっと血生臭い場所に生きていた」

辰野「…」


ジーク「戦争用フェアリー…タイタンとは……俺の事だよ」


252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 15:58:04.52 ID:mimqUZYA0

―――――


ケニー「オメェ…、アッカーマンと東洋人のハーフだったな」

ミカサ「はい」

アルミン「ミカサに用ってなんですか?」

エレン「変なことする気じゃないよな…」

ケニー「おいおい、信用してくれや、ちったぁよ」ガタッ

ケニー「…実は…東洋人の血を引いてるってお前に見せたいもんがあってな」

ミカサ「?」

ケニー「これだ……東洋人の間で使われていた暗号の解説書」バサッ

ミカサ「暗号…?」パラッ

アルミン「…あれ?これ…どっかで見たような…」

ケニー「あに?」

エレン「…!!この本に載ってる暗号…いくつかミカサの刺青で見たことあるぞ!!」

ミカサ「!!」

アルミン「それだ!」

ケニー「なんだと!?なんだその刺青ってのは…見せてみろ」

ミカサ「はい」

アルミン「さっそくミカサの刺青に書かれている内容を解読してみよう」

パラッ パラッ

ケニー「…あ…?なんだこりゃ?」

アルミン「お菓子の作り方…?」

エレン「はあ!?なんだそりゃ!?」

ミカサ「…」


253: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 15:59:18.05 ID:mimqUZYA0

ケニー「おいおいおいおいおいおい!何で菓子の作り方なんてもんが刺青にしてあんだ!?」


ミカサ「………あ……まさか…」







ミカサ「べちこ焼き!?」



254: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 15:59:55.96 ID:mimqUZYA0


―――――


歩鳥「なんか、表情前より良くなって来たね~」

ヒストリア「そうかな…」アハハ


ガチャ


紺「あ、歩鳥!目え覚めたんだな!!」

歩鳥「あ、紺先輩!おはようございます!」

紺「もう昼過ぎだよ」

歩鳥「まあまあ、私にとったら朝です」


紺「…辰野と真田…無事かな」

歩鳥「私は無事だと信じるよ。でも…どうやって助けよう…」

紺「なあ…歩鳥。またあいつら攻めてきたら、人類勝てると思うか?」

歩鳥「…どうだろうね…」

ヒストリア「…ライナーやベルトルトやアニとも…戦うしか無いのかな?」

紺「まあ、私達が戦いに連れ出されることは無いだろうけどさ」

ヒストリア「…」

歩鳥「…私は…戦ってるだけじゃ解決しないと思う」



ヒストリア「…何とかならないのかなぁ…」

紺「…ま、今は休んでろよ歩鳥…疲れ溜まってるだろ」

歩鳥「うん、とりあえず今は休むよ」

ヒストリア「じゃあ私もそろそろ行くね」

紺「またな」

歩鳥「うん、またね~」


255: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:00:22.98 ID:mimqUZYA0



―――――



歩鳥「さーて、晩飯晩飯♪」


紺「すごく嬉しそうな顔するな、お前…」

歩鳥「だってちゃんとご飯食べるの久しぶりだもの!」


静「…歩鳥」

歩鳥「ん?」


静「晩飯が終わったら…やっと謎明かしの時間だよ」

歩鳥「へ?」


紺「今夜、ユミルが知ってること全部話すってさ」

歩鳥「え、マジで!?」


歩鳥「…いよいよ謎の核心に迫る時が来たのか…!?」



256: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:01:07.83 ID:mimqUZYA0

カチャカチャ


ジャン「はあ…えらいことになっちまったな」

コニー「ライナー達、また攻めてくるのかな…」

サシャ「私まだ頭が整理つかないですよ…」

エレン「…ここにジッと隠れてるなんて嫌だぞ…俺も戦いたい」

ミカサ「駄目」

アルミン「エレンが狙われてるんだからジッとしてなきゃ…」

エレン「俺を探すために他の人達が殺されたらどうすんだ」

静「…まあ…私らが戦闘に駆り出される事は無いだろうけど…」


歩鳥「………」モグモグカリカリ


ジャン「…ホトリ、飯食いながら何を紙に書いてるんだ?」

歩鳥「作戦計画書だよ、ジャンくん」

ジャン「作戦計画書?」

紺「お前、まさか…戦う気か?やめとけって」

歩鳥「戦うなんてしないよ。タッツンと真田を救って戦いも止めさせる…死者を出さずに」

ジャン「…そんなことが出来るのか?」

歩鳥「やるよ。意地でも戦いなんか止めてやる」カリカリ

紺(…歩鳥、戦争とか大嫌いそうだもんな…)



257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:02:54.72 ID:mimqUZYA0


エレン「あのなぁ…ホトリ、これは命をかけた真剣な戦いなんだ…冗談じゃすまねぇんだぞ?」

歩鳥「ちょっ、何か私が悪ふざけしようとしてるみたいな言い方だね!私だって真剣に殺し合いが嫌なの!!」

ミカサ「誰だって嫌だと思う…けど、それでも戦わなければならない時だってある。こっちをころそうとしている相手に説得するなんて、簡単に出来る事ではない」

エレン「綺麗事だけじゃどうにもならない事だってあるんだ…」

歩鳥「…そりゃ…私だって分かってるけども…」

静「歩鳥の気持ちも痛いほど分かるけど…エレンくんやミカサちゃんの言う通り、世の中甘いことばっかりじゃないからね~…」

歩鳥「…」

歩鳥「私がバカな事言ってる自覚あるよ。でもやっぱり私には…それも都合のいい逃げ道に見えるよ!要はどうにもならないから『仕方ない』で済ませてるんでしょ!?」

静「うん、そうだよ」

歩鳥「わお、即答…」

静「仕方ない状況で、死にたくないし守りたいものもあるから…何とか自分の心に言い訳して戦うんだよ」

歩鳥「…うん…」

歩鳥「でも私は、戦う前にまず戦いを止める努力をするよ」

エレン「そうか……まあ、お前の考えを否定する気は無いよ」

紺「…私はお前のやることに協力してやるよ」


ユミル「お前ら…そろそろいいか?」

歩鳥「!」

258: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:05:40.47 ID:mimqUZYA0

エレン「そうだ、何か大事な話があるらしいな…」

ヒストリア「…どうしたの?ユミル」


ユミル「…お前らも知っての通り、私は巨人の力を持っている」

ユミル「で…この世界の事についても大体は知ってる」

アルミン「!」

ミカサ「なんと」

紺「何か色々隠し事してそうだな~、とは思ってたんだ」


ユミル「…で、私が知ってることを…話そうと思う」

歩鳥「お!ついに来たね!」ワクワク

ユミル「…んなワクワクするような内容じゃねぇよ」

歩鳥「いや、ごめん…やっぱりそういう話になると名探偵の血が疼くというか…」エヘヘ

紺「いつから名探偵になったんだお前は」

ジャン「さっきまで真剣な顔つきだったのにいつものアホ面に戻ったぞ…」

アルミン「それがホトリの良いところだよね」

歩鳥「バカにされてんのか誉められてんのか…」

アルミン「割と真面目に誉めてるよ」


エレン「ホトリは名探偵つーか泥棒だよな。レイスの屋敷に勝手に侵入して変な薬盗むし…」

歩鳥「ち、違いますわよ!?名探偵として怪しい物を回収しただけでございますわよ!?」

紺「あからさまに怪しい反応すんなや」ベシッ


259: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:09:41.39 ID:mimqUZYA0
ユミル「ん?薬?何のことだ」

エレン「なんか、『ヨロイ』やら『サイキョウノキョジン』やら書いてある奴だっけ?」

歩鳥「そうそう!これの事ね!」ガサゴソ


ユミル「…お前…こんなもん持ち出してたのか…」

歩鳥「私の推理だと、これは人間に巨人の力を与える薬…」

ユミル「正解だ」

紺「ほー」


歩鳥「おぉ………試しに飲んでみようかとも思ってたけど、飲まなくて良かった……」

エレン「変なものは口に入れるなと親に教わらなかったか?」


260: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:18:19.74 ID:mimqUZYA0


静「どういう風に使うもんなの?それ」

ユミル「人間を無知性巨人にする薬………要は人間を人工生命体に変えちまう薬だ。シズカがレイス屋敷から勝手に持ち出した本に人工生命体の事が書いてあったろ?それと『ある物』を更に研究し作られた薬だ」

ユミル「…で、既に巨人の力を持つ人間に投与させても、薬に含まれた巨人の特性を得る事が出来るんだ」

静「へえ~、なるほど」

紺(歩鳥と二人揃って泥棒探偵か…)

静「じゃあ…外にいる無知性巨人はこの注射でなった奴?」

ユミル「いや、外にいる無知性はまた別だ」

静「え~~~?あ、外にいる無知性はさっき言った『ある物』ってのに関係あるの?」

ユミル「うん」

アルミン「…そもそも、外にいる無知性巨人とライナー達、知性を持つ巨人は仲間なの?」

ユミル「仲間じゃない。まあ…これから順を追って話すよ」

歩鳥「メモもばっちり用意したし、いつでも聞く準備は出来てるよ!」

ユミル「…じゃあ、始めるぞ…」



261: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:29:26.68 ID:mimqUZYA0



ユミル「…そうだ、シズカ…もうお前らの事も今のうちに話しておけよ…これからどうなるかわからないんだ」

静「そうだね~…」

アルミン「え?」







―――――――――







ジーク「この世界はずっと同じような歴史を繰り返し続けて来た………人類が繁栄し、ついには世界をも破壊し人類同士で殺し合い…最後は『巨人』が出現し…滅び、また生まれる…何度も同じように廻り続けている」



真田「…え?ど、どういうこと…?」



ジーク「人類を管理するシステムがこの世界には存在するんだ………まあ俺も実物は見たことないが、壁の中のどっかの地下にあるだか何だか聞いたことあるけどね」


ジーク「そいつは人類がダメだと判断したら人間を巨人にするウイルスのようなものを撒き散らしちゃうんだ。そして、そのシステムの脳はどっかの地下にあるが…『体』となるのが座標だ」



ジーク「座標とは全ての巨人を操り、人類の脳にも影響を与える力」


ジーク「外にいる無知性巨人は…そのシステムにより巨人に変えられた人間達さ」


真田「………」


262: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 16:32:19.29 ID:mimqUZYA0

ジーク「で、その『ある物』とフェアリーからヒントに作られたのが…戦争用の人工生命体、タイタン。生まれつき巨人化の力を有する者」

ジーク「そして、更にそこから発展させたのが人間に巨人の力を与える薬。ライナー達がそれだ」

ジーク「人工生命体なんてろくでもないもん作って…反逆を起こされ、世界中で戦争が起きた。人間同士でもころし合っていた。そして、システムが発動し…半数の人類は巨人に変えられ、巨人に残りの人間が喰われ…そして生き残った者たちは2つの勢力に分かれた。それが壁内人類と俺達だ」

ジーク「俺達のいる場所…ライナー達の故郷には、生き残った人工生命体や人間とのハーフ…薬で巨人の力を与えられた人間等がいる。ライナー、ベルトルト、アニの持つ力は昔から代々受け継がれてきた」

ジーク「実は今までも二度ほど攻撃を仕掛けた事はある…だがレイスの持つ座標の力には敵わずに終わっていた」

ジーク「そんでどちらの攻撃の後もレイスは壁内人類の記憶を改竄させ忘れさせた」


真田「…」


263: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:07:51.54 ID:mimqUZYA0
ジーク「…で…その壁内人類は世界を破滅に至らしめた罪人として壁に閉じ込められ…105年の猶予を与えられる」

真田「…猶予?」



―――――

ユミル「…つまり、その105年の間だけ最後の平和を満喫させてやるって事だ。まあ、その平和を維持させるために憲兵が汚い仕事するって矛盾が起きてるみたいだがな。その105年が過ぎたら…巨人化のウイルスが撒き散らされ全ての壁内人類は巨人になる」

アルミン「え!?」

エレン「はあ!?」

ジャン「なんじゃそら…」

紺「なあ…確か、この壁が出来てから105年って来年だよな?」

サシャ「そ…そうです…」

コニー「もうすぐじゃねぇか!」

歩鳥「急にそげなこと言われても…」

静「…じゃあ…レイス家とは?」

エレン「そうだ…レイスって何なんだ?」

ヒストリア「…」


ユミル「ちょっと説明が難しいが……例えば「人類の始まりから終わり」までを1つの『人類の歴史』として…その人類の歴史一回につき1つの血筋が人類を管理するシステムにより選ばれる」

ヒストリア「選ばれる?」


264: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:08:24.14 ID:mimqUZYA0
ユミル「無知性巨人は一定の時間が経てば自然に消滅する。だが、何人かの人間は元に戻され、その中から座標を持つ人間が選ばれるんだ。そしてそこから新たな人類の歴史が始まる」

ユミル「そして、その力は長い歴史の中で子孫に受け継がれていき…」

ユミル「その受け継がれてきた力の持ち主が、今のこの世界のレイス家だ」

アルミン「つまり、そのシステムは人類を管理するための血筋を1人選び、その力を継ぐ人間を通して人類を監視し…ダメだと判断すれば滅ぼして、その後わずかに残しまた長い歴史をかけて人類を繁栄させる…それを何度も繰り返して来たと?」

ユミル「その通り」

歩鳥「なんか頭ん中がこんがらがって来た…」

ユミル「そして、人工生命体フェアリー……知性を持つ巨人は、今この私達が生きている人類の歴史の中で生まれた存在だ」


265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:08:55.28 ID:mimqUZYA0


―――ある日…三体の「巨人化の力を有する人工生命体」が誕生した。

三体は、それぞれ「ジーク」「グリシャ」「ユミル」と名付けられた。






………気付けば、俺達は毎日巨人の力と戦闘の訓練ばかりやらされていた。
そして、敵国との戦いに駆り出され、たくさんの人間を葬り多くの戦闘機や戦車を破壊した。

毎日毎日毎日毎日毎日…戦いばかりの日々だった。俺達にはそれ以外は何もなかった。
そもそも、その為に生まれたのだから…





ジーク「そして、俺はある日…戦場で1人の女に出会ったんだ」




266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:09:23.78 ID:mimqUZYA0


ジーク「俺がその日任されていた任務は…自国の不穏分子共の抹殺だったんだ」


真田「…」

辰野「…」


ジーク「ま、俺はそんときは戦いしか知らなかったし、他人の事を考えるなんてしたことがなかった。だから相手が力の無い一般人だろうと殺したさ、躊躇なくな」

真田「…」


ジーク「そして、目標を全て葬り終えた時…女は現れた」



ジーク「その女は、不穏分子とされていたターゲットの娘だったらしく…父親の姿を見つけ、激しく泣いていた」

ジーク「俺は…何で泣いているのかわからないから近づいて観察した」



――――――



女「う…うう……ぐす、な、なんで…なんで…!」


女「なんでこんな酷い事が出来るの!?」


ジーク「…?任務だからやった…それだけだ………任務はちゃんと終わらせた。酷い事なんかない」

女「人の命を何だと思っているの!?」

ジーク「…死んだら何か問題があるのか?」

女「当たり前でしょ!彼等だって死にたくなかった!みんな…生きてたのよ!しかも…ただ国にとって不都合だからって…そんな理不尽な理由で…!!」

ジーク「…」


267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:09:49.79 ID:mimqUZYA0
女「あなたには…生きているって事が何なのかわからないの!?」

ジーク「…考えた事もない」

ジーク「俺はただ、戦うために生まれた…」

女「!?」

ジーク「お前はターゲットではない。さっさと去れ」

女「………」


その女は何かを考え込んでいる様子だったね…


女「あなた…まさか、最近生まれたっていう…戦争用の人工生命体?」

ジーク「…そうだ」

女「…」

女「駄目…あなた、私と居なさい」ガシッ

ジーク「…は?」

女「私は貴方を許せない…でも、貴方みたいな可哀想な人を生み出した者も許せない」

女「貴方が戻ったらまた犠牲者が増える…人をころす為だけの道具になってはいけない。あなた自身にとっても害でしかない」

ジーク「…?」


女の制止する手を振りほどき逃げることなど簡単だった。
しかし…今まで出会った事の無い雰囲気の人間に、俺は興味を持ったんだ。


268: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:10:35.21 ID:mimqUZYA0


ジーク「…何を作っているんだ?」

女「お墓」


ジーク「…なんだそれは」

女「ここに死んだ人が眠ってるの…そしてその人はこの世に確かに生きていたという証でもある」

ジーク「そんなものを作って何の意味があるんだ」

女「…はあ…」

女「いいから、あなたも手伝って。あなたがやったんだから…責任持ってやりなさい」


ジーク「…」


俺には何がなんだか訳がわからなかったね。だが…何故か逆らえなかった



女「…あなたには私が『人間らしさ』を教えてあげるわ」

ジーク「…人間らしさ?人間はころし合って憎みあい妬み合ってるイメージしかない」

女「…まあ…悲しいけど、確かにそれも人間だからやる事だよね」

女「でも、私が言ってるのはさ…そういうのじゃないの。人間にだって綺麗な部分もあるんだよ」


――――――

ジーク「それから俺はその女と暮らし始めた……最初は単なる変わった物への興味だったよ」

真田「…」

ジーク「だが…一緒に生活する内に…俺は今までになかった様々な感情を持てるようになったんだ」



269: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:11:02.55 ID:mimqUZYA0

ジーク「心地良かった…研究室や戦場ではなかった感覚だったよ」

ジーク「その女はべちこ焼きが好物でな…俺もよく食っていたよ。美味かったなぁ……俺は、その時……人間も悪くないと思っていた」

ジーク「そして、恐らくその女を愛していたのかもしれない」

真田「でも…その、研究者達が…黙ってないんじゃ…」

ジーク「その通りだよ、サナダくん」

ジーク「悲劇は突然起きた……俺は結局、血に濡れた運命からは逃れられなかったんだ」


270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:11:32.42 ID:mimqUZYA0



…俺と女はある日、研究員や軍人どもに見つかった…そして、俺は、『女は無関係』『俺が脅して一緒に居させた』と嘘を吐いた…女を守りたかったからだ


ジーク「そして、俺は女が手を出されないよう黙ってついていったよ………」

ジーク「だが、2日後…」




―――――

研究員「ジーク…本当にあの女は何でもなかったのか?敵国のスパイとかでもないのか?」

ジーク「だから何もないと言っているだろう」

研究員「そうか…じゃあ本当に何もなかったのか?拷問しても最期まで吐かなかったからな」


ジーク「…!!!」



ジーク「貴様……今、なんと言った………」ガシャ!

研究員「ひ!?」

ジーク「拷問だと!?『最期まで』だと!?」



271: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 17:12:00.53 ID:mimqUZYA0

――――――


ジーク「その後、俺は研究員や軍人を殺しながら女を探した…そして、見つけたんだ……が…」



ジーク「……もう…死んでいた」





ジーク「しかも…その遺体は……酷い有り様だったよ」


辰野「…っ!!」

真田「………何を…されてたのか、想像もしたくないな………」



ジーク「俺は…悪魔と呼ばれても殺されても仕方ない存在だ……だが、何故彼女が殺されなければならなかったのか」

ジーク「俺はその日から再び感情を捨て……そして、人類への憎しみで頭がいっぱいになった」

ジーク「それから俺は世界中から人工生命体を集めた…人間を滅ぼす為にな」


272: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:37:45.13 ID:J/pV84VA0



―――――――


ヒストリア「…ユミルが…巨人化の力を持つ人工生命体!?」


ユミル「いや、名前はユミルだが私の事ではない。まあ、その辺りも詳しく話す」






ある日、生まれた三体の人工生命体…タイタン

その中の1人、『ユミル』



『ユミル』は生まれつきから戦いを好まない性格であった。



研究員「全く…駄目だな、あれは…役に立たん…」



ユミル「…ぐすっ…」


グリシャ「大丈夫だ、ユミル…泣くなよ」ポンッ


ユミル「…うん」

グリシャ「なあ…俺さ、考えてる事があるんだけど…」

ユミル「なに?」

グリシャ「この研究室から逃げ出さないか?」

ユミル「…え?」



273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:40:28.39 ID:J/pV84VA0

『グリシャ』

彼は三体の「タイタン」の中でも最も正義感の強い男であり普段は温厚な性格だった。しかし、獣の様な狂暴性をみせる事もあったという。それは兵器として生まれた故の本能だろう


そして、彼の正義感の強い面にはある科学者が関係していた。その科学者は後に、『レイス初代王』と呼ばれる者である。
科学者時代のレイスは、元々別の分野の学者であった…
彼は先祖から『座標』を受け継いでいた。
身勝手な人類に絶望しながらもその繰り返される歴史を止めるため、人類をよくしようと様々な研究も続けていた。

そして、レイスは戦争用の人工生命体である『グリシャ』に接触。
表向きには「研究の為」としていたが、その真意は「兵器として作られた人工生命体に人間らしい優しさを与える」事であった。


そして、それは成功し…強い正義感を持つグリシャは戦争を嫌い、ユミルを連れ研究室を脱走した。


そして、その後二人はレイスの元へ行くことになる…



しかし、一見まともな科学者に見えるレイスは…ある狂気的な面も持ち合わせていたのだ。
それは、人工生命体への異様なまでの崇拝と執着。
彼のグリシャに優しさを与えたこの行動も、その一環であった…


274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:42:13.91 ID:J/pV84VA0


レイス「…グリシャ、ユミル…これが『ホワイトリドル』と呼ばれるものだ」


グリシャ「…白い球体に顔と四本足…」

ユミル「なんですか?それは」



レイス「これが、この前君たちに教えた『人類管理システム』…人類が駄目な生き物だと判断すれば『巨人化』のウイルスを撒き散らす」


レイス「ずっと奴等に脅され奪われていたが…君たちの脱走を手伝うついでに奪い返した」



グリシャ「そんなものがこの世にあったなんて…っ」


レイス「そして、こいつは他にも様々な機能がついているみたいなんだ…タイムマシン機能や通信機能…しかし、未知の技術が使ってあるから私も迂闊には手を出せない」


ユミル「…なんか、怖い…」

レイス「ふふ、君たちは人工生命体だから大丈夫だよ」


レイス「人工生命体は、人間のように醜い欲望が無い…素晴らしい、完璧な生命体だよ…」


ユミル「…?」

グリシャ(この人…何を言ってるんだ?)

レイス「そして私は…ホワイトリドルを元にこんなものを作り上げた」



レイス「ブラックリドル……人間や霊体の精神と交信や、記憶の読み取り等が可能なのだ」


275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:43:04.73 ID:J/pV84VA0

レイス「…一番最初に生まれた、人間と同等な知能を持つフェアリーの話を知っているか?」

ユミル「話くらいなら…」

グリシャ「確か、一度その情報は全て抹消されたはずだけど、また見つかって…研究され、体も丈夫な出来になり…そして、俺達が生まれた」

レイス「そうだ…私は、その可哀想なフェアリーの少女と…話をしてみたいと思っていたのだ」


レイス「そしてこれを作り上げ…つい先日、成功した」

ユミル「…え?」


レイス「フェアリー研究施設にはその少女の髪の毛が残されていた…そして、それをホワイトリドルの一部として組み込んで、研究を繰り返し…つい先日、ついに…彼女との交信に成功した」

グリシャ「ど…どういう事…?」


レイス「はっきりとした声は聞こえなかったが…微かにこう聞こえた」



『タスケテ』『カイホウシテ』


レイス「恐らくこれは…自分の苦しみから解放させて欲しい…と、私に訴えかけているのだ。愚かな人間達から助けて欲しいと」


ユミル「………」

ユミル(本当に…そうなのかな…?)


276: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:59:04.66 ID:J/pV84VA0

その夜、ユミルはこっそりと『ブラックリドル』の元へ行く。


そして…ユミルはブラックリドルに話し掛けた



ユミル「ねえ…聞こえる…?あなたは誰?」


………




???「あなた…私…と…同じ、匂い…が…する」


ユミル「!!」


その時、ユミルの脳内に少女の声で返答が返って来た。少し聞き取りづらかったが…


???「あなた…には…声が届き…やすい、みたい」

ユミル「…同じ人工生命体だからかな?」


???「私は…解放、されたい……」

ユミル「え?なに?何から解放されたいの?」

???「…私は…このリドルに…接触され…再びこの世に…生きて返れると…思った……そして…次こそは……普通の人間として……生まれたいと…」

ユミル「え?どういう事?」


???「でも…願いは叶わなかった……私は……………」


ユミル「…え?」



ユミル「…!!?」


ユミル「……それは…本当なの!?」

???「…ごめんなさい……でも、私は………」

ユミル「あなた…名前は何て言うの?」


???「…キリエ」



277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 08:59:32.49 ID:J/pV84VA0
――――――

歩鳥「…え!?そん時ユミルは…何を聞かされて驚いたの!?」

ユミル「…今までの『人類の歴史』は始まりと終わりを繰り返していたが、それはそれぞれ違う世界だった。だが、私の今いるこの『人類の歴史』から狂ったんだ」


ユミル「私の今いるこの『人類の歴史』になってからは…時間そのものがループしているんだよ。つまり、本当に同じ歴史が何度も繰り返されているんだ」


静「…」


278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:00:02.57 ID:J/pV84VA0

紺「え、どゆこと?」


ユミル「図で説明しよう」


人類の歴史①始まり←―――――――――→終わり


人類の歴史②始まり←―――――――――→終わり


人類の歴史③始まり←―――――――――→終わり






ユミル「…と、いう感じだったのが……私達がいる歴史を仮に⑤として」



人類の歴史⑤始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史⑤始まり←―――――――――→終わり

人類の歴史⑤始まり←―――――――――→終わり



ユミル「…という感じになっちまったんだ」

紺「あー…何となく理解できた」


歩鳥「そ…それはなぜ!?」

エレン「…」



ユミル「…科学者レイスは…異様にフェアリー等の人工生命体に入れ込んでいた…そして、そのフェアリーの少女の意思をリドルに取り入れる事で神として崇め…その少女こそが人間を裁くにふさわしいと判断したんだ」


ヒストリア「なにそれ…」

ジャン「勝手な話だな、おい」

ユミル「そうだ…その勝手な考えと行動のせいで……時間のループが生まれた」



279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:00:51.43 ID:J/pV84VA0

―――――――

キリエ「私は…ブラックリドルを通じて喋る事が出来るけど……魂は既に、ホワイトリドルに取り込まれている…あの科学者がやったの…」


ユミル「え!?」

キリエ「そして…」



キリエ「私は、フェアリーの軍団と人間の軍団の殺しあいを見た…そして最後は巨人が出現し…巨人になった人間は悪夢を見続け…最後は全ての人間が滅ぶ………」

キリエ「そんな結末は嫌だった…何より…私は……普通の人間として生まれたかった……そして、私はホワイトリドルに捕らわれ何も出来ない。だから………リドルの力を使い、時間を巻き戻していた…何度も、何度も…」

キリエ「…でも…結果は変わらなかった…」


ユミル「…!!」


ユミル「待ってて、私が…レイスさんを説得してみる!」




………そして後日説得しようとしたが……


レイス「でたらめを言うんじゃない!彼女は死んでもなお苦しみ続けているんだ!リドルで彼女の思い通りにさせれば、彼女の心は解放されるはずなんだ!!」




…何を言っても通じなかった。そして、ユミルは…



ホワイトリドルを盗むことには失敗したが
ブラックリドルを持ち出し、グリシャと共にレイスの研究室から脱走した。


280: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:15:10.39 ID:J/pV84VA0


その後………

それぞれの『タイタン』達の動き



『ジーク』

人類を滅ぼすため、人工生命体を集めた彼は様々な国へ攻撃し、多数の犠牲者を出し…世界を恐怖に陥れる


『グリシャ』

強い正義感を持つ彼は、一部の人間や人工生命体と協力し「ジーク一派」や人類の中の「フェアリー撲滅派」と戦う。多くの人間から差別を受けながらも信頼してくれる人間とともに戦い続ける。ある日を境に行方不明になるが詳細は不明である。


『ユミル』

差別を受ける人工生命体や、人間とフェアリーのハーフ等を集め、1つの村を作り上げる。そこに住む者は「ユミルの民」と呼ばれる事になる。
そして、非暴力による反戦、人類とフェアリーを和解させるため行動するが一部の人間達から迫害を受ける。




281: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:15:39.27 ID:J/pV84VA0

世界中で憎しみや争いが加速していき…


…更に、『人間に巨人の力を与える薬』が生まれ…世界はますます滅亡の一途を辿る………

…そして…ホワイトリドルの機能が発動し、人間達が巨人に変えられ…その巨人に多くの人類が殺されて行った…



レイス「………」


レイス「…私がしたことは正しかったのか?いや…間違っているはずは…間違っているはずなどない……」





そして、レイスは大量破壊兵器として扱われていた『超大型巨人』達を元に壁を作り…その中で人類に最後の平穏を与える。



しかし…



その壁の中で人間が暮らすには数が多すぎた…様々な理由により迫害を受ける者達もいた。
そして、一部の人間達は壁から追い出されたのである。





ジーク「…ふん…こんな状況になっても、まだ、醜い事を繰り返すか……」



ジーク「…君達…壁から追い出された人間だろ?」


ジーク「俺と一緒に…戦わないかい?」



282: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:16:14.48 ID:J/pV84VA0

ジーク「…俺は…色々調べてる内に知ったんだ…この世界の仕組み。人類は昔から殺しあい…滅び、始まりと終わりを繰りし続けてきた。急に現れた無知性巨人もその仕組みによるものだ」

ジーク「…悪夢のようだろう?殺しあい、憎みあい、妬みあい…最後は世界をも破壊し滅び巨人になり…全てが終わる…そして、また始まる」


ジーク「そして、その元凶は壁の中にあるみたいだ」

ジーク「立て、今日から君達は…戦士だ」


ジーク「繰り返される…呪われた人類の歴史を、俺達の手で止めるんだ」


―――――――


辰野「…」


ジーク「…」


真田「…」



真田「あの…まだ、人間を…恨んでるんですか?」



ジーク「いや…もう、恨みもないね…時間経ちすぎたし…」

ジーク「今は…ぶっちゃけ、疲れたという気持ちが強いかなぁ…」

辰野「疲れた…」

ジーク「うん。自分も…人間を裁けるような存在ではないしねぇ…」



ジーク「…でも…また同じ歴史を繰り返すのは、嫌だなぁ………」

ジーク「だから、ここらで座標を奪い、この世から消して…座標が移ってしまう可能性のある壁内人類も滅ぼす。そうすりゃ、呪われた歴史も止まる…はずだ」

真田「…」

283: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:17:21.71 ID:J/pV84VA0


ジーク「人間も、俺達人工生命体も……この世にいちゃいけない存在なんだよ…」

辰野「…」


284: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:18:09.47 ID:J/pV84VA0



―――――――



ユミル「…そして…私の事だが……」



生き残ったユミルの民はこの壁の中にいた…
しかし、その民族は60年以上前に迫害を受け始めた。
人工生命体…フェアリーの存在は隠していた過去の歴史の産物であり、過去を隠したい王政側にとって不都合な存在であった。


そして………ユミルの民は「世界に戦争を起こした張本人」と嘘の情報を流され、壁内人類から恨みを買う。



ユミル「…私は…幼い頃からそのユミルの民と仲良くしてた。だから何で皆…あんなに恨みをぶつけるのかわからなかった」


…そして、ある日…ついにユミルの民は壁外追放を食らう…


憲兵に抗議した私も反逆者として一緒に放り出された…



ユミルも戦ったが…巨人のあまりの数に疲弊し…力もなくなり…他のユミルの民もどんどん死んでいき……死にそうになれば延命に無知性巨人になる薬を打つものもいた…
そして



残ったのは私とユミルだけになった



285: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:18:37.25 ID:J/pV84VA0


私は巨人に襲われ…死ぬ寸前だった……そして……


ユミル「…ごめんなさい……巻き込んでしまって……」


ユミル「…これが今、私にできる償い…」


「…え?」


ユミル「貴女に巨人の薬を打つ…そして私を食べて、知性を持つ巨人に……」

「な、なんのこと?」

ユミル「私は…もう…力を使いすぎて…長くない、から…あなたに、私の命あげる……」

「え!?」

ユミル「生き延びて………」


――――――


ユミル「…そして、私は…知性巨人になったが、力をちゃんと制御できず…暴走し、無知性になっちまった。その後、60年ほど経ち…人間に戻れた」


ユミル「私はユミルの記憶を受け継いだ……だから、ユミルと名乗っている」



286: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:19:47.67 ID:J/pV84VA0

エレン「…」

アルミン「…」

ミカサ「…」


静「…」

紺「…」

ヒストリア「…」

ユミル「…以上だ」



歩鳥「ねえ…」

ユミル「なんだ?」



歩鳥「じゃあ…私達がここに連れてこられたのは…どういう事?」


ユミル「…」



ユミル「お前達なら歴史を変えられる…そう思ったのかも知れん」


ユミル「たまにいるらしいからな…歴史を変えてしまう程の…常人とは違うような奴が…」


歩鳥「…」



ヒストリア「…なんか…どうして、そんなことなっちゃったんだろうね…」

静「ふう…っ」


エレン「……父さんは…途中から行方不明…一体、何が…」

ユミル「…それは、お前の中のグリシャの記憶が蘇れば…わかるだろうな」


エレン「…ユミル」

ユミル「ん?」

エレン「巨人の力の使い方を…教えてくれ」




287: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:20:13.28 ID:J/pV84VA0



紺「はあ…ちょっと頭クラクラする…」

コニー「俺もだ…」


静「あんなごちゃごちゃした話聞かされちゃね~……」


ジャン「でも…俺達はそれで、どうすりゃいいんだよ」

アルミン「……」





歩鳥「………」



歩鳥(リドルに魂を捕らわれた女の子…助けてあげたい…きっと、その子に私達が呼ばれたんだもの…)


歩鳥(…何で私達が選ばれたんだろう……歴史を変えられる人間……)


歩鳥(静ねーちゃん?勘鋭いし…いや、でも…それだけならアルミンもすごく頭いいし勘鋭いし…)


歩鳥(…うーん…)



288: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:20:44.59 ID:J/pV84VA0

歴史を変えてしまう程の常人とは違う奴

歩鳥(…歴史を変えてしまう程の……常人とは、違う………)


常人とは違う


歩鳥(常人には理解できない?不可解な人?)



歩鳥(変わった言動をとる人………)


歩鳥「…!!」ピクッ


その時、歩鳥は…
1つの恐ろしい結論に至ってしまった。



歩鳥(ま、ま、まさ…か…)ガタガタ





常人とは違う=他人と違う言動を放つ人


=…


変わった人


=…


変な人


=…













アホ


289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:21:18.40 ID:J/pV84VA0

常人とは違う人=他人と違う言動を放つ人=変わった人=変な人=アホ=…





嵐山歩鳥





変わった言動をとる人=アホ=歩鳥






歩鳥「…」


歩鳥「………」



歩鳥「い…いや……まさか、ねぇ?ははは……」ダラダラ



290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:41:32.06 ID:J/pV84VA0


歩鳥「うーん…う~ん…」


ジャン「何を唸ってんだ。腹でも減ったのか?」

歩鳥「ちゃうよ。ライナー達との戦いを止めて和解する方法を模索してるんだけど…なかなかいいアイディアが浮かばなくて」

アルミン「まあ、和解なんて簡単な事じゃないからね」

歩鳥「そうなのだぜ」



歩鳥「…こうなったら…エルヴィン・スミスとかいうオッサンを拉致して…私が調査兵団団長に成り代わるか」

エレン「何バカな事を言ってんだお前は!?」

ジャン「そんなことしてタダで済むと思うなよ」

紺「お前は本っ当にアホ鳥だな」

歩鳥「ジョークだよ!?そげに一斉に怒らいでも!」

紺「ツッコミだよ。ありがたく思え」

ミカサ「まあ…ホトリが言うと本気かジョークかわからないし」

歩鳥「私ゃ、どんだけ変な奴だと思われてんだ!?」

紺「ははは」


歩鳥「助けてよ、ヒーちゃん!みんなが私をいじめるよ!」

ヒストリア「あはは…まあ…歩鳥なら仕方ないよね」ポンポン

歩鳥「この子まで言うようになった!!誰の影響だ!?ユミルか!?」

ユミル「お前の影響もあると思うぞホトリ」


291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:42:03.44 ID:J/pV84VA0

―――

ジュウウウ…


サシャ「どうですか?」

ミカサ「うーん…いまいち…」モグ



静「ん?なんかいい匂いがするな~~~。ミカサちゃん、何作ってんの~~?」


ミカサ「あ…えっと、べちこ焼き」



静「…!」ピクッ



静「べちこ焼きだって!?」





――――――



巨大樹の森



ジーク「…で、もう少し詳しい話をするが……外をうろついてる無知性巨人の本当の役割を知ってるかい」

真田「え?人を…食べることじゃ?」

ジーク「それが違うんだな…人を食べ減らすだけじゃない」



ジーク「人を食い…そして食われた人は大地に吸収され…それが自然を育み植物等を再生させる」


ジーク「人間により破壊された自然を再生させるのも…巨人のもう1つの役割なのさ」



292: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:42:33.12 ID:J/pV84VA0

――――――


ミカサ「…お母さんから聞いた話では……昔、種族間の憎み合いや殺し合い…そして、戦争が起きていた。でも、そんな中でも1つだけ…全ての種族に愛されたものがあった」


ミカサ「それが…べちこ焼き」



静「………」



静(この話とユミルの話を総合して考えれば…べちこ焼きは人間と人工生命体両方に愛されたお菓子…)



静(しかし、巨人の出現により…存在そのものが消えかかっていた……更には過去の歴史を消したい王政側にとってもその存在は邪魔かも知れない。だからせめて…製造方法だけでもと暗号として刺青に残したという事か?)



静「…歩鳥にも、べちこ焼きの事を教えとこう。あの子のヒントになるかも知れない」


293: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:43:03.44 ID:J/pV84VA0

―――――――



ジーク「…俺達の済む壁外の小さな村…ライナー達の故郷。そこにいる人間は皆、壁の中から追い出されたものや過去からの生き残りである人工生命体や、人間とのハーフ達だ…」

ジーク「壁の外で巨人に追われ、家族や友人や恋人を目の前で喰われたりしながら必死に逃げ延びて来た奴等や過去に人間から迫害を受けてきた奴等がいる………だから、彼等の多くは壁内人類を憎んでいる」


辰野「…」

真田「…」



ジーク「そして、俺達戦士の目的は…壁の中にいる人類を巨人に食わせ、人類に破壊された自然を再生させ…座標を奪い巨人の歴史の連鎖を止めることだ」


ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」



ジーク「だが…時間が経ちすぎてしまったのか…人類への憎しみも薄れてきて……あの優しかった女を度々思い出すんだ」

ジーク「そして、自分のしている事は本当に正しいのかと自問自答するようになった………だが。ここまでやっといて後戻りなど、無責任だし許されないだろう」

ジーク「だから俺は…最後までやるよ。そして…タッツンとサナダくんに、この世界の行く末を見届けて欲しいんだ」


294: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:43:35.56 ID:J/pV84VA0

――――――

ザッザッ

ケニー「よお、ホトリ」

歩鳥「あ、ケニーのおっちゃん」

ケニー「お前…もし巨人が攻めてきた時、何かやらかす気らしいな」

歩鳥「やらかすって、何か私がアホなことするみたいな言い方だな~」

ケニー「面白そうだったら俺も参加させてくれよ」ギシッ

歩鳥「面白そうって私は真面目なんだからね」



歩鳥「あ、てかさー。色々あって聞き忘れてたんだけど…」

歩鳥「地下のゴタゴタで何となく察したけど、おっちゃん、エレンの持ってる力奪おうとしたんでしょ?なんで?」

ケニー「この世界をひっくり返す為……だが、それは無理な願いだった。ユミルから聞いた話から察するに、力を使うにゃ最初に座標として選ばれた人間と同じ血を持ってなきゃ駄目みたいだな…」

歩鳥「まあ…でも、力を使えたら使えたで、先祖の記憶に支配されるときがあるらしいし…良かったんじゃないかな」

ケニー「そうだな…結果的にはな」

ケニー「…ウーリはきっと…その先祖の亡霊とも戦いながら生きてたんだろうな」

歩鳥「ウーリ?」

ケニー「レイス家の人間であり…俺の友人だった男だ」

歩鳥「へー…あ、だからレイス家の人間にも信頼されていたんだね!?」

ケニー「まあ…それもあるだろうな」

ケニー「俺は…たぶん、力を手に入れる事で……あいつと同じ景色を見てみたかったんだろうな」

歩鳥「…」

ケニー「ま、どうせ俺みてぇな人間はすぐに死ぬ運命さ。もうすぐあの世で会えるかもな、ウーリと」

歩鳥「ちょっと、不吉な事言わないの」

ケニー「実際、俺は死んでも仕方ねえクズだぜ?」

ケニー「ヒストリアの母親を殺したのも…俺だ」

歩鳥「…え!?」


295: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:44:24.60 ID:J/pV84VA0

ケニー「まあ…ヒストリアは俺の顔覚えてないみたいだが…教えりゃ思い出すだろうがな」

歩鳥「ちょっ…サラッととんでもない事を!!どういうこった!?」バンッ

ケニー「…俺だって正直、ガキの前で親ころすなんざ気分悪い事だよ…」

歩鳥「じゃあ…なんで…」

ケニー「命令だったからだ」

歩鳥「命令だったからって…」

ケニー「それだけじゃねえ…俺は昔から何人も殺してきたよ」

歩鳥「…それは…何となく察してたけども…」

歩鳥「でも…どんな理由があっても、命を奪うのは罪だし悪いことだと思う。ヒストリアに謝るべきだよ」

ケニー「簡単に言うけどよ…そりゃつまりヒストリアにまた、母親が殺された光景を思い出させることでもあるんだぞ」

歩鳥「あ…そっか…」

ケニー「…俺は……あの時……」

歩鳥「え?」


…あの時…ヒストリアの母親が吐こうとした言葉…

アレを最後までヒストリアに聞かせたくなかった………


歩鳥「ん?なに?」

ケニー「…いや、やめとこう…言い訳じみて聞こえるからな」

歩鳥「?」

ケニー「…ホトリ…お前はアホだが、真っ当で優しい人間だな」

歩鳥「アホは余計だよ」


296: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:48:33.31 ID:J/pV84VA0


―――――


歩鳥「せーんぱーい!!」ガチャッ

紺「わ、なんだよ!もうすぐ寝ようと思ったのに元気な奴だな…」

歩鳥「紺ばんは(こんばんは)!!!」



紺「…」

歩鳥「…」



紺「さっさと部屋から出てけ」グイッ

歩鳥「わーん!追い出さないで、ごみんなさい!!」


紺「…で、何の用?」


歩鳥「実はですね、紺先輩に2つ頼みがありまして」


歩鳥「携帯電話の充電器持ってませんか!?」

紺「あー?ここは電気なんか通ってないだろ?」

歩鳥「いや、あの…あれです。コンビニとかにある電池式の。それなら使えるでしょ?」

紺「あー、それなら確かあるよ。この世界来てから使って無いから電池も残ってるし」ガサゴソ

紺「でも、携帯電話なんか何に使うんだよ?電波無いから意味ないだろ」

歩鳥「電波が無くても使える機能はあるじゃないですか」ムフフ

紺「で…もうひとつの頼みは何?」

歩鳥「先輩に歌を歌って欲しいんです!!」



297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 09:51:51.84 ID:J/pV84VA0

紺「は~?なんで?別にいいけども…」

歩鳥「私はね…歌には特別なパワーがあると思っているんです」

歩鳥「歌を聞けば人間はその歌に気をとられ、その瞬間は『戦い』を忘れるのです!!」

紺(………本当にそうなのだろうか………)


紺「まあ、歩鳥の持論はわかったけど…あれか、そのお前が考えてる戦いを止めさせる作戦とやらに使うのか」

歩鳥「そうですよ。さあ、先輩!ついに私の助手としての力を発揮するときが来ました!存分に歌ってくださいな!」

紺「まあ…歌うのは好きだから別に構わんけど。なぜ私が勝手に助手にされてるのかは納得出来ないが」

歩鳥「着実に計画は進んでいるぞ…ふふふ」カキカキ
紺「…」


歩鳥「…これで…戦いを止めて…皆を守りたい」

紺「!」

歩鳥「訓練兵団の皆も…暮らす内にお世話になった街の人達とかも。皆…生きてて欲しい…」

紺「…」

歩鳥「元の世界にはもちろん戻りたいけど…この世界の人達も好きだから」エヘヘ

紺「…うん」


298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 10:03:33.20 ID:J/pV84VA0
歩鳥「先輩も友達出来ましたよね」

紺「ああ…サシャとコニーな」

歩鳥「…あん時はどうなるかと思いましたよ。今から2ヶ月ちょっとくらい前の時…」

紺「え?あぁ…」


ー回想ー




訓練兵団 階段


サシャ「コンセンパイ!今日も走りを教えてください!」

コニー「コンセンパイ師匠!」

紺「先輩師匠って意味わかんねぇよ…」

歩鳥「人気者だね先輩~」

辰野「あはは…」

紺「うー…わかったよ。じゃあ今日の昼…」

サシャ「さっすが、コンセンパイ!太っ腹!」ポンッ

紺「…!」ピクッ



あはははは…
何やってんだよ座成~

もっと上から落とさないと怪我しねーじゃん



紺「…おい」

サシャ「はい、なんでしょう!」

グイッ!


サシャ「!?」

歩鳥「!?」


紺「テメェ何、人の背中押してやがんだオラァ!?」

サシャ「え…え!?」

辰野「ちょっ…先輩!?」

コニー「ど、どうしたんだよ…」

歩鳥「押したって…今の軽く背中に手ぇ当てただけじゃん!何も危なくなかったよ!?」

サシャ「あ、あ…あの……ごめんなさい……」

紺「…!」


紺「くそ…っ!」ダッ

歩鳥「ちょっと、先輩!待ってよ!?」


299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 10:09:49.73 ID:J/pV84VA0
静「…あらら…見てたけど、双葉ちゃんどうしちゃったの?」ザッ

歩鳥「わ、わかんない…急に怒って……」


サシャ「ううう…コンセンパイ怒らせちゃいましたぁ…」

コニー「嫌われたかな…」

辰野「だ、大丈夫だって!ちゃんとまた話してみたら…」


静「なあ…歩鳥。あの子、過去に階段で何かあったの?」

歩鳥「え?いや…何も聞いてない。そういえば先輩、あんまり過去の事とか話したがらないけど…」

静「…そう…」

静「まあ、あの子もちょっと感情的になってカッとなっちゃっただけだろうから…ちゃんと話せば大丈夫だと思うよ」



静「あと、歩鳥…余計な詮索はしなくていいからね」

歩鳥「え?」

静「過去の事は…あの子が自分から話すまで待ってな」

歩鳥「…うん」


300: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 10:25:00.91 ID:J/pV84VA0



紺「………」


紺(あの事を思い出して…カッとなっちまった。何であんな事言っちゃったんだ…あいつはただ私と仲良くしたかっただけだろうに)


紺「…はぁ………せっかく、仲良くなれそうな奴が出来たのに…」

紺(もう、私の事…怖がって近づいて来ないだろうな)


「コンセンパイ!」

紺「!」


サシャ「あ、あの…さっきはすみませんでした!お詫びにお肉を…」

コニー「おいおい、肉なんかどこから持って来るんだよ!」

紺「……はは…」

ザッ

紺「いや…私の方が悪かった。ゴメンな…」


サシャ「!ゆ、許してくれるんですか!?」

紺「許すも何も…勝手に怒った私が全部悪かったよ…もう気にすんなって」

サシャ「コンセンパイ!」

コニー「コンセンパイ!」


紺「それより…さ、約束しただろ?」ポリポリ

紺「…一緒に走ろう」


サシャ「…!はい!」

コニー「もちろん!」


ザッザッザッ!


歩鳥「うんうん…仲直り出来て良かった」

辰野「一時はどうなるかと思ったわね…」ホッ


301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 10:36:04.60 ID:J/pV84VA0
――――――――

紺「はは…あったよな、そんなこと」

歩鳥「仲直り出来て良かったですよ」

紺「うん…あいつらには申し訳ない事したよ、本当…」

歩鳥「一緒に頑張りましょうね、先輩」

紺「うん」

歩鳥「…絶対に戦いを止めてみせますよ、私は」

紺「………なぁ、歩鳥」


歩鳥「はい?」



紺「…あんま無理しすぎんなよ……頼むから…」


歩鳥「…」


紺「…お前に何かあったら……」


歩鳥「…」


歩鳥「大丈夫ですよ、先輩。前に言ったじゃないですか」



歩鳥「私はサザンクロスでも石炭袋でも降りませんって」


紺「!」


紺「お前…まだ覚えてたのかよ、それ…」

歩鳥「忘れるわけないじゃないですか~」



302: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 10:37:47.15 ID:J/pV84VA0


歩鳥「この世界の人達をを守って…そしたら、必ず皆で元の世界に戻りましょうね!」

紺「…うん」


歩鳥「さーて、寝る前に外で頭をリフレッシュしよう」ンーッ


紺「…じゃ、おやすみ」

歩鳥「はい、おやすみなさい。また明日」ガチャッ


紺「…」



紺「…皆で…戻れるよね…」


303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:02:16.36 ID:J/pV84VA0


歩鳥「…ん~っ、夜風が気持ちいいな~~」


歩鳥「……はあ……っ」ボサッ



歩鳥「…真田…タッツン…どうしてるかな……」



ザッザッザッ…


ジャン「ホトリじゃねぇか、なにしてんだ?」

歩鳥「ジャン、いや…ちょっと寝る前に頭のリフレッシュをね」

ジャン「…ま、お前でも色々不安になるわな」

歩鳥「私でもって何だよその言い方…ジャンこそなにしてんの?」

ジャン「エレンとアルミンとミカサが、エレンの巨人化の訓練するって言ってたからちょっと手伝いにな…アルミンに誘われてよ」

歩鳥「あはは、単にミカサと一緒にいたかっただけでしょ?」ケラケラ

ジャン「な、何でミカサが出てくるんだテメエ!?」

歩鳥「え?好きなんでしょ?丸分かりだよ」

ジャン「ちっ…お前は変なとこだけ勘鋭いよな」

歩鳥「いや、これはモロに皆にバレバレだと思うけど」

ジャン「うるせえな…」

ジャン「それより、サナダとタッツンは…どこまで連れてかれたんだろうな」

歩鳥「うん……そういやあんた、真田と仲良かったよね」

ジャン「ああ。お前もあいつらとずっと仲良かったんだろ?」

歩鳥「うん…そういえば、真田とはどう仲良くなったん?」

ジャン「あ?あぁ~…」


ー回想ー


訓練兵団 男子寮

ライナー「…なぁ…クリスタって可愛くないか?」

ベルトルト「えっ!?あ、あぁ…僕もそう思うよ」

アルミン「うん…クリスタは美少女だよ。あの美しい金髪で優しいし女神だし…」

エレン「アルミンがこんな熱く語るとは…」

マルコ「うん。まあでも確かに一番可愛いかもね」

コニー「クリスタは良い奴だな」

ライナー「ジャンやサナダもそう思うだろ?」

真田「え?ああ…うん。可愛いと思うよ」

真田(俺は嵐山が好きなんだけどな…)


304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:09:31.58 ID:J/pV84VA0
ジャン「確かにクリスタは可愛いくて神様のようだ…だがな」


アルミン「!」

ジャン「金髪美少女よりも、やっぱり……黒髪美少女こそが至高なんだよ!!!」←ミカサを想像しながら


ライナー「ぬうっ!!」
エレン「ジャンの奴…なんて熱い目をしていやがるんだ!」


真田「その通りだ、ジャン!!」ビシイッ


ライナー「!!!」

アルミン「サナダ!!」


真田「やっぱり、金髪美少女よりも………黒髪美少女だよな!!!」←歩鳥を想像しながら


※美少女に感じるのはあくまで真田の主観です。歩鳥の見え方には個人差があります。


エレン「サナダの奴も…なんて熱い目をしていやがるんだ…っ」

マルコ「なるほど…確かに、黒髪も悪くない…」

ライナー「ふっ…そうだな。金髪も黒髪も…素晴らしいものだ」

アルミン「うん…それぞれに良さがあるんだよ」


ジャン「…サナダ、お前とは気が合いそうだぜ」

真田「ああ…」


305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:11:50.89 ID:J/pV84VA0
――――――


ジャン「…………………」

ジャン(さすがにこれを話すのは恥ずかしいな…)


歩鳥「ん?黙り込んでどうしたのさ?」


ジャン「いや、まぁ…色々と気が合ったんだよ」

歩鳥「はぁ」


306: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:45:01.89 ID:J/pV84VA0
歩鳥「…真田もタッツンも大事な友達だから…助けてあげたい…」

ジャン「そうだよな…」

ジャン「…ところでよ、お前…真田のこと友人としか見てないのか?」

歩鳥「はあ?真田は幼なじみで友達だよ」

ジャン「…もしもの話だが…サナダの奴がお前の事を好きだったら、どう思う?」

歩鳥「!?」ブッ

歩鳥「な…っ、急に何言ってんのかね、この人は!?」


307: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:45:29.50 ID:J/pV84VA0

ジャン「…もしもの話だよ…どう思うんだ?」

歩鳥「いやいや、もしもも何も真田はタッツンの事が好きなんだよ?よく私とタッツンが居るとこに来るじゃん?そんでさ、タッツンは真田が好きなんだよ。つまり二人は両想いなわけ」

歩鳥「だから私ゃ、二人の邪魔をしないように…真田とタッツンが一緒に居るときは気を遣って離れて…」

ジャン「…お前は勘が鋭い奴だ」

歩鳥「えへへ、そんな誉めないでよ」

ジャン「だから本当は…気づいてんじゃねぇのか?」

歩鳥「はい?」

ジャン「本当に両想いだと思ってるならそこまで気を遣う事も無いだろ。本当はタッツンが片想いで…サナダの本心に気づいてるからそこまで気を遣ってるんじゃねぇのか?」

歩鳥「………」

歩鳥「はあ…何で急にそんな話しようと思ったわけ?」


ジャン「…なんだろうな…なんつーか…」

ジャン「お前もサナダもタッツンも……もしあの巨人達がまた攻めてくりゃ…いや、確実に来るだろう。そうすりゃ、もう二度と同じような生活が出来なくなるかも知れない…最悪、二度と会えなくなる可能性だってあるんだぞ。こう言っちゃ悪いがな」

歩鳥「…」

ジャン「もし、そうなったらよ……何も

308: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:48:20.42 ID:J/pV84VA0

――――――


歩鳥「さーてと…もう寝よ…」フアア



エレン「…お、ホトリ」

アルミン「まだ起きてたの?」

ミカサ「普段はすぐ寝てるのに」


歩鳥「あ、仲良し三人組。ちょっと色々考える事あってね~。巨人化の訓練は調子どう?」

アルミン「何とか巨人になりながら意識を保つ事は出来るようになってるみたいだよ」

エレン「ああ。この調子で巨人化を完璧にして…あいつらを」

ミカサ「…」

歩鳥「それなら、人類側の戦力も安心ってわけだね。で、やっぱ調査兵団に協力するの?」

エレン「いや、俺達はホトリに付くつもりだ」

歩鳥「え!マジで!?」

アルミン「僕の提案だよ…たぶん壁外側はエレンが調査兵団に協力してる可能性が高い事を考慮して攻めてくる」

アルミン「だからあえてホトリ側に付いて…向こうの裏をかくつもりだ」

歩鳥「なるほど、さすがアルミンだね!」


309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/07(水) 12:53:13.54 ID:J/pV84VA0

歩鳥「…でもさ、私に付くって言っても…私は戦いを止める気なんだよ?」

エレン「ああ、わかってるよ。本当に止めれるならそれでいいんじゃないか?」

歩鳥「へ?」

エレン「俺は確かにあの巨人達が憎いしぶっ潰したいけど…もし戦わずに終わればそのぶん、しぬ兵士も少なくなるんだ。俺だって人がしぬのは嫌だよ」

歩鳥「そっか、…そうだよね」

アルミン「それにホトリ1人じゃ心配だしね。問答無用で襲われたときの為にもエレンが居れば安心でしょ?」

歩鳥「なるほど、ボディーガードって訳だね」

ミカサ「私も」

歩鳥「そだね、エレンとミカサがボディーガードに居れば怖くないな!」

エレン「ははは」

ミカサ「ふふ」


歩鳥「そう言えば、私達4人って訓練の時よく同じ班だったね」

アルミン「ああ………やっぱ歩鳥の成績やら性格を見てそうなったんだろうね」

歩鳥「へ?」

エレン「なるほどな…よくドジするし変な事やるから一番優秀なミカサと面倒見の良いアルミンが付いてると…」

歩鳥「こ、こっちの世界でもやっぱり子供扱いなのか私は……」

ミカサ「待って、それならエレンも少し当てはまる。すぐ感情的になるし…」

エレン「おいおい、まさか俺も子供扱いされてるって言いたいのか?」

歩鳥「仲間だね♪」ポンッ

エレン「何の仲間だ!?」

アルミン「ははは…」


310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:51:44.01 ID:OR439jsA0
歩鳥「…ところでさ、あの、エレン…」

エレン「ん?」

歩鳥「ライナーやベルトルトやアニ……もし、私が止められなくて戦うことになったら…やっぱり……」

エレン「…」

アルミン「…やっぱりホトリも辛いよね」

歩鳥「うん…や、ごめん。エレンやミカサやアルミンが故郷を奪われた側だから…私は偉そうな事を言える立場じゃないよ。でも、何て言うか…その」

エレン「…はっ…」

歩鳥「な、何かねその笑いは」

エレン「それは、俺とあいつらの問題だ。お前がそんな難しく考える事はねぇよ」

歩鳥「でも…」

エレン「それに、もし失敗したら…なんてお前らしくねぇよ。お前は馬鹿みたいに気の向くまま明るくしてればいいんだ」

歩鳥「そっか…ありがと」


311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:52:28.55 ID:OR439jsA0

エレン「俺は基本、平和ボケしたような発言は嫌いなんだが…ホトリの発言なら何か許せるよ」

ミカサ「なんか色々と幼いからだと思う」

アルミン「はは、そうかもね」

歩鳥「ちょ…、子供扱いとは失礼な奴等め!」

エレン「俺は誉めたつもりだったんだけどな」

アルミン「でも…ホトリがいると何か雰囲気が明るくなるよね」

歩鳥「ん?そう?」

ミカサ「うん…話すの苦手な私も、ホトリ相手なら話しやすい」

エレン「だから、まあ…お前はあんまり重苦しく悩まず、やりたいことやってりゃいいんだ」

エレン「お前が明るくやってると…俺達もみんな気が楽なんだ」

ミカサ「うん」

アルミン「そうだね」


歩鳥「…ふふ、そう言われちゃ、全力で頑張らなきゃあかんね」


歩鳥「元気出たよ三人とも、ありがとう!!一緒に頑張るぞ!!」

エレン「おう!」

アルミン「皆で生きて…全部終わらせよう」

ミカサ「うん」

歩鳥「三人とも大好きだ!終わったら私の助手にしてやろう!!」

エレン・ミカサ・アルミン「いや、それは遠慮願う」

歩鳥「おいっ!!」ビシイッ

ハハハハハ…



312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:52:57.86 ID:OR439jsA0


―――――――





「…姉ちゃん…なんで、あんな人間達をこの世界に呼んだんだ…」

「…もう…終わりにしたかったから…」

「なんでだ!俺は…俺はまだ諦めたくない、姉ちゃんを幸せにしてあげたいんだ…!」

「もう、いいから…もう終わりにしよう」


「…俺は認めないからな、姉ちゃん…」

「…」



「嵐山歩鳥……俺達のところまで来てみろ。俺を止めたけりゃな…」


「…アリオ…」




313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:53:48.77 ID:OR439jsA0

――――――


パチパチパチ…


真田「…」

辰野「…」


ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」



真田「なあ…ライナー…ベルトルト」

ライナー「なんだ?」

真田「本当に…やるのかよ?壁の中には、ずっと一緒にいた仲間がいるんだぞ…」

辰野「やっぱり……そんなのを見るなんて…嫌だよ、私達は…」

アニ「…」


ベルトルト「でも…君たちに僕らを止めることは出来ないよ。それに、君たちと同じ世界の人間は助ける…この世界の人間ではないから」

真田「そういう問題じゃないんだよ!」

辰野「そうよ。あなた達にも同情するし…しばらく一緒にいたから、三人も我慢してやる気なのはわかるよ」


辰野「でも…それでも……」


ライナー「………」


ライナー「本当に…すまん…」


真田「…すまんじゃないよ……」

アニ「でも、もう…このまま放っておけばいずれ、壁の中の人間は巨人になる…そして、壁の中にいる…長い時間で無知性化してしまった大型巨人も目覚め、壁が崩壊するんだ。巨人になりそこねた人間達も巨人に喰われる。どちらにしろ地獄が待ってるんだよ…」



314: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:54:28.72 ID:OR439jsA0
辰野「じゃあ…もう、どうする事も出来ないっていうの?」

ベルトルト「だから…せめて、一緒にいた…友達だった僕らの手で…」

真田「…世界はどうしようもない状況で、お前らが切羽詰まるのも仕方ないと思う……けど」

真田「何て言えばいいか、わからないけど………みんな、何か…大事なものを見失ってるんじゃないか…?」



315: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:54:57.33 ID:OR439jsA0

ライナー「……俺だって…あいつらとの平和な毎日をずっと送れるなら……そうしたいさ」


ライナー「だが、もう…駄目なんだ。時間がない…地獄しか待ってない。もうどうしようも無いんだ」


ライナー「…」グイッ


真田「ライナー…」

真田「…泣くなよ…」



ベルトルト「……僕だって嫌だ………」

ベルトルト「…僕は、最低だ……少しホッとしてるんだ………自分の本音を吐ける相手が…サナダやタツノがいて…」グスッ

アニ「…ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…」ボロボロ


真田「…」


辰野「…」



真田「タッツン……俺達は、どうしたらいいんだろうな…」

辰野「…この三人も、壁の中にいる皆も見捨てたくない…」


真田「…はあ…」



316: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:55:49.15 ID:OR439jsA0

四足巨人「…ご飯を持って来ました」ザッザッ


辰野「!」

真田「あ、四足の喋る巨人…」


ライナー「!お前ら、泣くな…涙ふけ」

ベルトルト「うん…」

アニ「…」グイッ



四足巨人「…三人とも…泣いていましたね。大丈夫ですか?」

ライナー「あ、いや…っ」

四足巨人「いいんです。今は作戦中ではありませんから」


辰野「…そういえば、あなたもライナー達と同じように…元々壁の中の人だったの?」


四足巨人「いえ、私は壁ができる前から居ます…人工生命体フェアリーの一種です。戦闘向きではなく偵察用に作られた人工生命体です」



真田「え!?そうだったの!?」

四足巨人「まあ…私以外にも生き残りの純粋な人工生命体は居ますが、その中で戦う力を持っているのは戦士長だけです。残りは私のように偵察用だったり他の用途で生み出されたフェアリーだったり…」

四足巨人「もう戦士長以外で戦う力を持っているのは…巨人薬の力で昔から受け継がれてきた鎧、超大型、女型だけなのです」

真田「…」

四足巨人「…私は、ジーク戦士長につかえて100年以上は経っていますね…」


317: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:56:26.61 ID:OR439jsA0

真田「…そうか…あんたも人工生命体だったのか。だから喋れるのか…」

ライナー「いや、それは関係あるのか知らんが」

四足巨人「…これからどうなるのかわかりません…とりあえず、同じ仲間として暮らしていたあなた達五人で…話ながらご飯でも食べてください。私は離れたところにいますからお気になさらず」

辰野「あんたって意外と紳士よね」

四足巨人「ええ…モテないですけどね。タッツンさんにも最初怖がられましたし」

辰野「ちょっ、変な冗談言わないでよ。つーか、タッツンさんってなんじゃい」

アニ「ふふ…」

辰野「あ、笑った」

アニ「あ、ごめ…」

辰野「いや、謝らなくていいから」

四足巨人「では…私は失礼します」

真田「…まあ…ちょっと落ち着いて。飯でも食うか」

ライナー「そうだな…」

ベルトルト「うん」


318: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:57:09.63 ID:OR439jsA0

――――――――


―――――翌朝


「サナダ…起きて、サナダ…」


真田「う…あ、あらし…やま…?」


「サナダ…」



真田「嵐山あああ!!」ガバッ


ベルトルト「うわあ!?」ビクッ

ライナー「おい、そいつはベルトルトだ」

真田「…はっ!?」


真田「すまん…寝ぼけてたみたいだ…」

ベルトルト「いや…別いいけど…ビックリした」

ライナー「タッツンはどうだ?」


辰野「お…きる、から…もうすぐ、おきる、から……」

アニ「…なかなか起きない」

真田「そういや、低血圧とか聞いたことあるな…タッツン」



辰野「…はあ……おはよ…」フラッ

アニ「おはよ」

ライナー「おう」

辰野「…今のこの世界とこの状況…夢じゃなかったか…夢なら覚めて欲しかった…」

ベルトルト「…うん、気持ち分かるよ」

ライナー「…でな…実は二人に報告がある」

真田「え?」

ライナー「ついに明日…壁に攻撃を開始するそうだ」

真田「え!?」

辰野「…やっぱり、止めないんだ……どうしても止められないの…?」


ライナー「…ああ…もう、無理だ」



319: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 17:57:35.94 ID:OR439jsA0

――――――


そして…翌日





四足巨人「…申し訳ありませんが…私はあなた達二人の側にいるよう命じられました」


辰野「…真田くん…どうしよう…」


真田「…」

真田「このまま、ここにじっとしてるなんて……」







ザッ…ザッ ザッ



ジーク「さて…準備はいいかい?君たち」


ライナー「はい」

ベルトルト「いつでも行けます」

ジーク「アニちゃんも大丈夫?」

アニ「大丈夫です」


ジーク「…さあ…これで最後にしよう…」




320: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:05:20.51 ID:OR439jsA0


―――


ウォール・ローゼ 壁上



ミケ「…エルヴィン」ピクッ


エルヴィン「どうした?」

ミケ「…巨人のにおいが多数接近してくる」

ハンジ「なんだって!?」

エルヴィン「…前にマリアが破られた時も、同じ感じだったと聞く…と、いうことは…」

リヴァイ「…ついに来るな」

エルヴィン「ああ。各員、急いで情報を伝達!迎え撃つ準備に入れ!!」


バシュウウウ…




321: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:06:19.50 ID:OR439jsA0


―――――――


トラウテ「隊長!巨人がもうすぐ来る可能性が高いとの事です!」ザッ


ケニー「ご苦労さん……だとよ、もうすぐ来るみたいだぜ?」


歩鳥「ん…」ザッ


静「ついに来るか…大丈夫か?歩鳥」

歩鳥「大丈夫だよ、準備は万全。先輩も大丈夫ですか?」

紺「ああ。無茶すんなよ、歩鳥」

歩鳥「…で、私と来るメンバーは…」


ヒストリア「…私も行くよ、ホトリ」

ユミル「お前らだけじゃ心配だしな」

サシャ「私達だって行きますよ!」

コニー「あいつらとはもう一度話がしたい…」

ジャン「俺も…同期として知らんぷりは出来ねぇな」

マルコ「僕もだ」


エレン「…ミカサ…アルミン…行けるな?」

ミカサ「ええ」

アルミン「大丈夫…心の準備も出来た」

歩鳥「はは、結局みんなで行くことになったね」

ケニー「いいじゃねぇか」

静「仲間は多い方が心強い」



322: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:06:49.22 ID:OR439jsA0


静「さ…戦いが本格的に始まっちまう前に行こう」

紺「戦いを止めるのが目的だもんな」


歩鳥「うん!…あ、そうだアルミン」ガサゴソ

アルミン「ん、なに?」

歩鳥「これ、アルミンに渡しておくよ」コトッ

アルミン「これは…」

歩鳥「『ヨロイ』と『サイキョウノキョジン』の薬」

アルミン「な、なんで僕に…」

歩鳥「私が持ってるよりアルミンの方が安心できるからね……判断力も優れた勘もある。信頼してるから一番いい判断をしてくれそうな君に託すんだ」

歩鳥「いざって時は……任せたよ」


アルミン「…わかった。任せてくれ」ギュッ



323: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:07:22.12 ID:OR439jsA0

―――――――





ミケ「…来た…前方より、毛で覆われた巨人が接近!」

ハンジ「報告で聞いたタイプの巨人か」

リヴァイ「超大型や鎧も来るだろうな…」

ピクシス「いよいよじゃな…」

ハンネス(エレン、ミカサ、アルミン…あいつらのいる壁内を…めちゃくちゃにされてたまるか)

エルヴィン「行くぞ!!心臓を捧げよ!!!」





ついに攻めてきたジーク、ライナー、ベルトルト、アニの戦士達…

迎え撃つは、調査兵団と、駐屯兵団・憲兵団精鋭達の連合軍



人類の命運を左右する戦いが今…幕を開ける。



そして





この大きな戦いに…

嵐山歩鳥が乱入する





歩鳥「いくぞ、我ら嵐山探偵兵団!!!」

紺「なに勝手な名前つけてんだお前は!?」


324: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:07:49.80 ID:OR439jsA0

ウォール・ローゼ トロスト区門


ゴオオオオオオ………



獣の巨人「…」





ハンジ「獣の巨人…ずっと離れた位置からこっちを見て動かないよ」


リヴァイ「なにしてんだありゃ…やる気ねぇのか?」


ミケ「他の無知性巨人も定の位置から動く気配は無いな」

リヴァイ「どうする?こっちも突っ立って待っている気か?」

エルヴィン「もう少し待て」

エルヴィン(こちらの様子をうかがっているのか?鎧の巨人や超大型巨人の姿も見えない)

エルヴィン「…巨人の人間体が隠れながら接近している可能性もある。警戒を続けろ」

「はっ!!」




獣の巨人「…」

ジーク(…見た感じエレンの姿は見えないな…どこかに隠れているのか?)

ジーク(まあいい…確認は済んだ。そろそろ動くか)



325: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:08:20.05 ID:OR439jsA0

エルヴィン「まず、我々が何よりも阻止しなければならないのは壁扉の破壊だ…超大型巨人を接近させてはならない」



ミケ「!木の陰から人影が現れた!!」

ハンジ「!!」


ライナー「…」ダダッ

ガリッ



カアアアッ!!!



鎧の巨人「…」ズシイイイッ


エルヴィン「鎧の巨人!!」

リヴァイ「人間が巨人になるってのはマジだったみたいだな…迎え撃つか?」

エルヴィン「ああ…このまま奴に壁を登り飛び越えられでもしたらいけない…一匹たりとも侵入させるな!」

ハンジ「了解!!」

リヴァイ「行くぞ、お前ら」バッ


リヴァイ班「はい!!」


鎧の巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ

ライナー(…俺の巨人の鎧の隙間にはベルトルトが隠れている。どうせ奴等の刃や砲弾は俺には通じない。攻撃を防ぎながら接近し扉の前でベルトルトが巨人化すれば…誰にも止められんだろう)


ヒュンッ…

ライナー「!」


カランッ…

エルヴィン「む?待て、総員動くな!何かが落ちてきた!!」



326: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 18:09:01.05 ID:OR439jsA0

リヴァイ「なんだ…?」

エルヴィン「奴等の罠かも知れん…いったん下がれ!」


ハンジ「でも…巨人側も止まったみたいだよ」

エルヴィン「なに?」


ライナー(今…目の前に何か落ちてきた?なんだ?人類側の新兵器か?いったん止まって様子を…)


ジーク(ん~?なんか落ちてきたなあ……)



~♪~~♪~~♪


エルヴィン「!?落ちてきたものから何か音楽のようなものがが聞こえるぞ!?」



329: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 18:21:25.59 ID:WpgGQdKA0

『七色の 黄昏降りてきて~』



ハンジ「あの目の前に落ちてきたものから…歌が聞こえる!?」


リヴァイ「あれも…巨人の力だってのか?」



???「その通り…」ザッ


???「これこそが…『平和』という名の巨人の力…」


エルヴィン「人の声?」バッ

ハンジ「誰だ!?」


???「私は…この戦いを止めるため現れた…平和の探偵……」



リヴァイ「はあ?」



歩鳥「嵐山歩鳥!!!」


ライナー(鎧の巨人)「なんでお前がいるんだあ!?」



静「あいつ…なんか訳のわからない事抜かしてやがんな~~。何をしでかす気やら」

アルミン「え?シズカさんもホトリの計画の詳細知らないんですか?」

静「うん?知らないよ~?」

ヒストリア「え…シズカさんも何らか協力してると勝手に思ってた…」

ジャン「つまりホトリ一人で全て考えた作戦って訳か…なんか不安になってきた

マルコ「僕もだ…」

サシャ「え?もしかしてみんなホトリの作戦の内容知らなかったんですか?私も知らなかったですけど」

コニー「作戦内容知らないのについてきた奴等もついてきた奴等だな。俺も知らないけど」

紺「みんな歩鳥が移っちまったかな…」

エレン「つーか今、鎧の巨人の中からライナーの声聞こえたぞ」


330: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 18:22:12.21 ID:WpgGQdKA0

『~~~♪』


サシャ「…てか、この歌の声、コンセンパイじゃないですか?」

紺「うん…そうだよ……私が歌った歌を歩鳥が携帯に録音した奴だ」

コニー「ケータイ?ロクオン?」

紺「つーか、あいつ…私に歌わせて…その歌を何に使うかと思いきや、自分の登場曲かよ!!」


ジーク(ありゃ、タッチャンの仲間じゃないか…危ないなあ、あんなとこまで来て…何しに来たんだ?)


ライナー(まあ、いい…気にせず突撃だ!!)


リヴァイ「来るか!?」ジャキッ


歩鳥「ストーップ!!刈り上げくんと鎧の巨人及びライナーストーップ!!!」ダダダッ


鎧の巨人「!?」ビクッ


リヴァイ「あっぶね!?近づくなアホタレ!!」ビクッ


歩鳥「いいかい?戦う前にまずは…話し合いでも出来ないのかね?人間は知能と言葉が発達した生き物…力で争うだけなら馬鹿でも獣でも出来る」

歩鳥「人間として生まれたなら、まずは言葉を使うべきだよ!!」


エルヴィン「で、君は何だ?危ないから早く下がりなさい」

歩鳥「くう…っ、いいこと言ったつもりなのに華麗にスルー…」

静「歩~~鳥~~~!私は、感動~~したよ~~~!!マ~ジで~~!!」



歩鳥「わざとらしいフォローはいらないよ!!」

リヴァイ「拗ねんな、さっさと用件を言え」


331: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 18:23:50.12 ID:WpgGQdKA0
『~~~♪』


ハンジ「…あの音が出てる変なものを投げ入れたのも君か?」

歩鳥「そうです。私の携帯です。ぶん投げたのに壊れてないのは突っ込まないでください」

ペトラ「ケータイ?」

オルオ「なんだそりゃ」

リヴァイ「それより…何しに来たんだ?遊びに来ただけなら叩いて家まで帰すが」

歩鳥「ですから…戦いを止めに来たんです」

ザッザッ…

ピクシス「ほう…戦いを止めにとな?何故じゃ?」

歩鳥「人が死ぬのが嫌だからです。それ以上の理由もそれ以下の理由もありません」

リヴァイ「だが…向こうが攻めてくるんだ。だから仕方ないだろう」

歩鳥「いや、だからこそ向こうにも戦いを止めさせるんですよ。迎え撃つんじゃなくて」

リヴァイ「よくそんなおめでたい事が言えるな」


歩鳥「おめでたくて結構です。私は…みんなの平和を願っているんです。自分の願いを求め…その為に行動することが悪いことですか?」

リヴァイ「……ま、そうだな、そりゃお前の自由だ。こっちも言い方が悪かった」

歩鳥「…聞いてください…」スー

ハンジ「ん?」



歩鳥「ダウンタウンへ繰りだっそーうっ!♪ダウンタウンへ繰りだっそーうっ!♪」

ペトラ「何か歌い出したした!?」ビクッ

モブリット「しかも音痴だ…」

ハンジ「変わった子が居たもんだね」



332: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 18:24:45.16 ID:WpgGQdKA0
リヴァイ「おい、本当に危ないから下がれ。戦いを止めたい気持ちは分かるが、そんなことは難し…」

歩鳥「いや、今止まってるじゃん」

リヴァイ「なに?」


エルヴィン「…」


獣の巨人「…」


リヴァイ「………」

リヴァイ「そうだな」

歩鳥「そうだよ」



ペトラ「ていうか君…さっきから兵士長にタメ口……」

歩鳥「え?…兵士長!?あの噂のリヴァイ兵士長!?」

リヴァイ「…ああ」

歩鳥「へ~、すごいね君!そんな年で兵士ちょ…」

ハンジ「いや、30代だから」

歩鳥「へ?」

ハンジ「リヴァイ30代だから」

歩鳥「………」

リヴァイ「………」


歩鳥(タメくらいかと思ってた!!!)


歩鳥「あ、は、ははは…重ね重ね失礼致しまして本当にすみません………………ごめんなさい」

リヴァイ「…気にするな」


オルオ「つーか本当に何なんだ?お前は」


333: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 07:09:39.68 ID:YUimQd6A0


エルヴィン(…あの少女が現れてから戦局が止まった……あの謎の音の出る物体…あの子は何者だ?)


エルヴィン「きみ…少し話がある。こっちへ来たまえ」

ハンジ「君、エルヴィン団長がお呼びだよ」

歩鳥「え!団長!?」

歩鳥(むふふ…計画通りだね。団長に興味を持ってもらい…そしてかっこよく団長の隣に行き、かっこよく団長と交渉!!)

歩鳥「はいはい、今いきまーす!」バシュッ

リヴァイ「お前、立体機動装置まで持って来てたのか」


ギュイイイッ

歩鳥(このままかっこよく団長の隣に着地だよ!)

ギュイイ…

歩鳥「…ん?」

ハンジ「あれ?」



アルミン「…あ」


静「待て歩鳥!その方向は危ない!!」

エルヴィン「ん?」


歩鳥(やば…飛びかたミスった!!)



アルミン「マズイ!あの方向……団長にぶつかる!!」

エレン「なにい!?」

リヴァイ「ば…っ!!!」


歩鳥「団長!!避けてえええ!!!」ギュイイイッ

エルヴィン「え?」



ゴチイイイイインッ



334: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 07:10:12.49 ID:YUimQd6A0


歩鳥「い…たたた…っ」ズキズキ


歩鳥「…ん?」



エルヴィン「」チーン


歩鳥「!!!!!!」



ミケ「あ…あ…っ」

ハンジ「うわあ…っ」


ペトラ「だ…団…長…」


エルヴィン「」チーン


歩鳥「はわわわわわ…」ブルブル


リヴァイ「…大丈夫だ、頭突きで気絶しているだけだ」


ハンジ「いや、まずいよ。司令塔が動けなくなっちゃったじゃないか…」

ミケ「なんてこった…」

リヴァイ「はあ…」


歩鳥「う…うう…」



歩鳥「申し訳ありません………」


オルオ「申し訳ありませんで済むかかあああ!?」

ペトラ「もう終わりだああ!!」



人類の明日はどっちだ!?



335: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 07:11:03.97 ID:YUimQd6A0

静「…まさか…歩鳥が……噂のエルヴィン団長に『頭脳』で勝ってしまうとは…」

アルミン「いきなり何言ってんですか、シズカさん。上手いこと言ってるつもりですか」

ヒストリア「しかも頭脳じゃなく頭突きだし」

ジャン「まさか…あれがホトリの作戦じゃねぇよな?」

エレン「あれが作戦なら一発殴ってやるよ」

ミカサ「いや…あの子の反応からしてドジが発動しただけだと思う」

紺「こんな状況で普段通り雑談してるお前らも大概だよ」

静「仕方ない…私ちょっと行ってくる。皆はまだ隠れてていいよ~」

ユミル「頼むぞ」





オルオ「…どう責任をとる気だ」

歩鳥「申し訳ありません…」

ペトラ「申し訳ありませんじゃないでしょ!?」

歩鳥「うう…責任を持って…」


歩鳥「私が代わりに団長を…」グスッ

ハンジ「いや、それだけはやめてくれ、本当に。マジで」



336: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 07:14:39.58 ID:YUimQd6A0

リヴァイ「まあ、ピクシスの爺さんに指揮を任せるのが無難だろう」

ハンジ「そうだね」

ピクシス「うむ、ワシの出番か」

ミケ「誰か来たぞ」

リヴァイ「今度はなんだ?」


静「すみませ~ん!この子が大変な事をやらかしてしまい…」タッタッタ

歩鳥「静ねーちゃん、ごめんなさい…」グスッ

静「わ~かったから、気を取り直して、はい」


オルオ「知り合いかよ!」

ペトラ「来る前に止めて欲しいものだわ…」



ジーク(なに突っ立ってんだよライナー…さっさと行け)

獣の巨人「ガアアアアア!!!」バアンッ


リヴァイ「!!」

鎧の巨人「!!」ビクッ


ライナー(しまった…任務を続け無ければ)


鎧の巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ


ハンジ「また来たぞ!」

リヴァイ「俺がやる」ザッ


静「あの~~~…さっきからずっと思ってたんですけど」

静「超大型巨人になるベルトルトくん…鎧の巨人のヨロイの隙間に居るんじゃないですか~~?」

鎧の巨人「!?」ビクッ

リヴァイ「なんだと?」

静「例えば…誰からも狙われないような…あそこの部分とか」

ピクシス「なるほど、有り得るのう」

ハンジ「よし、全員で鎧の巨人のヨロイの隙間らしき部分を狙え。超大型巨人になる人間が隠れているかも知れない」

ベルトルト(見破られた…)ダラダラ


337: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:37:32.73 ID:Xm2SdfeA0


歩鳥「駄目だ!まだ戦いは許さないよ!」バッ

リヴァイ「うお!?」

静「よし、復活したな歩鳥」

オルオ「いや、止めてくださいよ頼むから」


静「…そこの座ってるリーダーのお猿~~~!!」

獣の巨人「!」

静「鎧の巨人の動きがまた止まっちゃったって事は…あんたの作戦は私が見破っちゃったって事でいいんだよね~!?」

獣の巨人「…」


静「そっちも作戦見破られたらまた態勢立て直しなんかも面倒でしょ~~!?だから一旦休戦して…話し合いなんて無理かな~~~!?」


ジーク(ふん…作戦なら見破られても大丈夫なように立ててあるよ)


静(まあ、作戦なんか見破られてもいいように何重にも練ってるだろうが…)

静「よし、後はあんたの出番だ歩鳥」ポンッ

歩鳥「へ!?」


獣の巨人「…」


歩鳥「そうだよー!中のおじさん出ておいでよ~!」ニコニコ

ジーク(…)



338: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:38:07.53 ID:Xm2SdfeA0

ジーク(なに考えてんかね、あの子は…罠か?)



歩鳥「ラブ&ピース!メイド&ピース!」

リヴァイ「お前は交渉をしようとしてるのか喧嘩売ってるのかどっちだ」


ジーク(…いや…ありゃ罠や裏なんか無いアホ面だ)


ジーク(…あんな平和バカな人間も…いるんだな…)


ジーク(…)



ジーク(裏の無い無邪気な表情…あの女みたいだ)

ジーク(…)



獣の巨人「…」ズシッ


静「!動いた!?」

歩鳥「お!?」

ハンジ「怒ったんじゃないよね?」


獣の巨人「いいよ…君の話だけでも聞かせて貰おうかな」



ハンジ「喋った!?」

ミケ「それもビックリだが、話し合いに答えたのもビックリだ!!」

リヴァイ「…ほう…」

歩鳥「よっしゃ!」


静(やはりこの子は…人をひきつける何かがあるな…)



339: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:38:47.53 ID:Xm2SdfeA0


ライナー(何だって…!?)


獣の巨人「悪いな、ライナー…ちょっと待っててね」

鎧の巨人「…」

ハンジ「…本当に信じていいのか?」


獣の巨人「…話を聞くとは言ったが攻撃を止めるとは言ってないよ。どうなるかは…その子次第だ」

歩鳥「!!」


オルオ「おいおい、マジかよ…」

ペトラ「君…責任重大よ…」

歩鳥「あはは…いざその場になるとプレッシャーがヤバいね…」ダラダラ

静「始めに戦いを止めさせるといい始めたのはお前だ、歩鳥」

獣の巨人「あと…条件がある。そこの女の子1人だけがこっちまで来てもらおうか…心配しなくても襲わないから」

獣の巨人「あと、ライナーは鎧の巨人のまま…俺も巨人体は出したままで居させてもらう。話してる隙を狙われたりされたら敵わないんでね」

ピクシス「わかった。いいじゃろう」


リヴァイ「…ここまで話は進んじまった。やるしかねぇ、いいな?」

歩鳥「りょ、了解であります!」

静(…エルヴィン団長を気絶させたのは単なるドジだろうが…結果的にそのお陰でここまで出来たのかも知れんな…)



340: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:39:27.61 ID:Xm2SdfeA0



ザッザッザッ…


巨人「…」


歩鳥「うひゃあ…周り巨人ばっかり…動かないけど」


獣の巨人「…」バシュウウウ…

ジーク「心配しなくても巨人達は俺が命令するまで動かないよ」ザッ



歩鳥「あ、猿のうなじから出てきた」

ジーク「…巨人体は出したままで居させてもらうよ」

歩鳥「心配しなくても私は罠とか仕掛けてないよ」

ジーク「君はそうでも他は分からんからね…」



341: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:39:54.21 ID:Xm2SdfeA0

ライナー(まさか…戦士長が話し合いに応えるなんて…)

ベルトルト(どうなるんだ…?)



エレン「マジかよ…あいつ話し合いまで持っていっちまったぞ」


ヒストリア「ホトリやるね…」

紺「こっからが心配だけどな」






ジーク「…で…君は何故そこまでして戦いを止めさせたいんだい?」

歩鳥「誰にも死んでほしく無いからです!」

ジーク(汚れも偽りもない真っ直ぐな眼だ…本当にそう思っているんだな)

ジーク「でもね…君のいた世界だって…どこかで戦争や犯罪が起きて…理不尽に人が死に不幸になっている人だってたくさんいるでしょ?」

歩鳥「そんなことはわかってます……人間1人にできることなんて限られてるし…人間1人を救うことだって凄く難しい事で…今、私がやってる事も…ぶっちゃけ上手くいけたら奇跡だと思ってます」

ジーク「…」

歩鳥「でも…なんていうか…その…」

歩鳥「全ての人が幸せになるなんてのは無理なのはわかってます…だから、せめて…自分の周りや…手の届く範囲だけでも幸せになって欲しいというか…」


歩鳥「…話、脱線しちゃってますかね?えへへ…」

ジーク「いや…君がどういう人間なのか分かったよ」

343: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:41:51.96 ID:Xm2SdfeA0

歩鳥「てか…私こそ聞きたい事あるんですけど…真田とタッツンは無事なんですか?」

ジーク「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと飯もあるし」

歩鳥「そっか…良かったあ~…っ」ホーッ

ジーク「…くくく…」

歩鳥「な、なんですかその笑みは」

ジーク「いや…」

ジーク「君は…本当に素直に感情を表すんだな」

歩鳥「はあ…それはどういう意味の発言なのか」

ジーク「誉めてるよ」

歩鳥「ありがとーございます」


ジーク「ま…君が本気なのはわかったが…こちらとしても…もう引き下がれないところまで来てるんだ…」

歩鳥「むう…私だってせっかくここまで来たんだから引き下がれないっすよ」

ジーク「ふふ」

歩鳥「まあ…ちょっとお茶でも飲みながら話しましょう」ガサゴソ

ジーク「お茶なんて持って来てたのかい…」



344: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:42:18.63 ID:Xm2SdfeA0


―――――――


真田「…なあ…あんた、頼みがあるんだ…俺達を、ジークやライナー達の居る場所まで連れていってくれ」

四足巨人「しかし…戦場ですよ。危険です」


辰野「やっぱり…自分達だけ安全な場所にいるのは…」


真田「もう一度、ジークに交渉してみる…攻撃を止めてくれないか」

四足巨人「…」


辰野「…ダメかな…?お願いだから…!」


四足巨人「わかりました。いいでしょう…ただし、何かあっても私は責任取れませんよ」

辰野「ありがとう!」

真田「あんた結構いいやつだな!」

四足巨人「…まあ、勝手に脱走されるよりはマシですから」




345: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:42:46.77 ID:Xm2SdfeA0


ズシッズシッズシッ…



四足巨人「見えてきました」


真田「本当だ…ライナーの巨人やジークの巨人がいる…」

辰野「あれ?なんかみんな止まってない?」

真田「確かに…何で?」

四足巨人「む、獣の巨人の足元にジーク戦士長とタツノさんの友人が…」

辰野「え?」





歩鳥「お茶の味はいかがですかな?」

ジーク「…うん、お茶だね」ゴクッ



真田・辰野(え、これどんな状況!!?)



346: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/13(火) 19:43:21.83 ID:Xm2SdfeA0

その頃…壁の上



駐屯兵「ん?四足歩行の巨人が来たぞ」

駐屯兵「本当だ…人が二人乗ってる」

憲兵「巨人達の仲間か?」

憲兵「…警戒しとおけ」



―――


歩鳥「そういえば、オッサンは何でこの無知性巨人達に命令出したり出来るの?」ゴクッ

ジーク「それが俺の生まれ持つもう1つの能力…自意識を持たない人工生命体を操る事が出来るんだよ。限度はあるけどね」

歩鳥「ほへー」


ジーク「………この世界にも人間にも未来はない…全てを一からやり直す…その必要があると、俺は思うんだ」

歩鳥「…私はやっぱり…そんなの納得いかないよ」

ジーク「…そうかい…」


ダッダッタ…

ジーク「!」


辰野「ちょっと歩鳥!そんなとこで何してんの!?」

真田「なんでジークと話してんだ!?」


歩鳥「あ!タッツン!!真田!!」

ジーク「…おいおい…連れてきちゃったの?」

四足巨人「すみません…」


347: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:15:27.75 ID:F4oPb85A0

リヴァイ「おい、何か二人ほど四足歩行巨人と共に来たようだが」

静「あ、あの二人は歩鳥のお友達です」

ハンジ「へえ…」


エルヴィン「…う…」


ペトラ「あ、団長!」

エルヴィン「なんだ?何が起きている?」

リヴァイ「ああ。お前が寝てた理由から説明してやろう…」


ヒュンッ ヒュンッ


リヴァイ「…ん?」

ミケ「今、壁上から兵士が三人ほど降りていったぞ」

リヴァイ「爺さん…」

ピクシス「いや、ワシは何も命令しておらんぞ!?」

静(…ん?まさか…)


静「まずい!早くさっきの兵士達止めてください!」


348: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:15:49.26 ID:F4oPb85A0

歩鳥「…でさー…まあ、和平交渉みたいな感じかな?」

辰野「あんた…勝手で無茶苦茶な事やってたのね」

真田「どんな状況でも相変わらずだな」

歩鳥「せっかくの再会なのに普段のノリの台詞かよ!!」

辰野「そりゃあんたも普段の歩鳥だからよ」

ジーク「…ま、今は歩鳥ちゃんと話してるんだ…二人は下がっ…」


四足巨人「ジーク戦士長!」

ジーク「!」


パアンッ!パアンッ!


ジーク「な!?」

辰野「きゃっ!?」

真田「うえ!?」

歩鳥「だ、誰だ発砲したのは!?」



駐屯兵「動くな…全てわかったぞ」ガチャ

憲兵「そこのホトリとかいう女…巨人の仲間だな?そして自作自演していたのだろ?」

歩鳥「はあ!?」

ジーク「おいおい…どういうこった?」


駐屯兵「そこの二人が四足歩行巨人と共に来て…そこのホトリと親しげに喋って…巨人の仲間なんだろう」

辰野「いや、え!?」

真田「ちょっと待って…」


静「待ってください!その子達は巨人の仲間じゃない!」

駐屯兵「ならば、その証拠を見せろ!」

歩鳥「う…っ、証拠って…」


349: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:16:40.97 ID:F4oPb85A0
憲兵「巨人なんて血も涙もない人間を襲うだけの奴等だ!信用できるか!」

歩鳥「待って…!」

真田「…確かにこいつらは悪い事したよ!でもこいつらの言い分だって聞いてもいいだろ!?話もせずに一方的に…」

駐屯兵「そいつら巨人は話もせずに一方的に襲ってきた!」

辰野「だからって、私達まで巨人の仲間なんて決め付ける理由にはならないし…!」

エルヴィン「…向こうとの和平交渉はピクシス司令からも許可をもらっている…焦らずとも様子を見て決めれば良いだろう」

駐屯兵「俺は故郷のシガンシナを巨人に滅茶苦茶にされたんだ!和平などする気はない!」

歩鳥「………っ」

辰野「ど、どうするのよ…」

真田「向こうは巨人への敵意や憎しみで一向に話を聞く気がない……でもあんなこと言われちゃ責めれねぇよ…」

歩鳥「…」

歩鳥「お、落ち着いて!交渉に失敗したら私に何してもいいから、今は時間をちょうだい!」


350: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:17:10.74 ID:F4oPb85A0

憲兵「ふざけるな、敵の親玉は目の前だ!撃て!」

ジーク「!」

ピクシス「待て!勝手な行動を取るな!」

リヴァイ「お前ら、やめろ!銃を下ろせ!」

駐屯兵「俺達の故郷を返せよ!!」ガチャッ


リヴァイ「ぐっ!」ダダッ

辰野「きゃあああ!?」ガクッ

真田「くそ、伏せろタッツン!!」


歩鳥「撃つなあああ!!」ダッ



パアンッ!パアンッ!



351: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:17:44.72 ID:F4oPb85A0



辰野「…え……?」パチッ


真田「……あ………」ブルブル


リヴァイ「…ちっ…!!」


ピクシス「馬鹿どもが…っ」



辰野「…え…嘘…」





静「歩鳥いいいいい!!!」





歩鳥「…」



辰野「歩鳥!!!」ダダッ


真田「歩鳥が俺を…庇って…撃たれた……」ガクッ



辰野「ちょっと!なに黙ってんの!?目え覚ましなさいよ!?」


歩鳥「…」


静「意識が無いのは撃たれて倒れた時に頭を打ったんだ。撃たれたのは足…応急処置すればまだ助かるはず……」

辰野「でも…血が……」


静「…くそ…!」


真田「てめえら!何で撃った!!何で撃ったあ!!」ガシッ

憲兵「うっ!?」

駐屯兵「あ…あれ、巨人じゃ……ないのか?」ブルブル

駐屯兵「俺、撃ったの…普通の女の子だったのか…?」ガクッ

真田「…くっ、今更後悔したって遅いんだよ!!」

憲兵「…」ガクッ



アニ「…」ザッザッ


真田「!」

辰野「アニ…」



352: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:18:31.55 ID:F4oPb85A0

駐屯兵「…」

憲兵「…」

リヴァイ「…お前達はもう休んでろ…」ザッ

エルヴィン「…」



紺「おい!歩鳥いいい!!!」ダダッ

ヒストリア「な、なんで…!」

エレン「見てられねえ!行くぞ!」



ジーク「……残念ながら…和平交渉は途中で決裂だな」ザッ


辰野「!!」

静「待って!まだ歩鳥が目覚めるまで…」


ジーク「…もういいよ。気分悪くなった」


獣の巨人「アアアアアア!!!」ズシンッ


ジーク(いつもそうだ…優しい人間ほど、理不尽な負の感情に巻き込まれ…真っ先に傷ついちまうんだ。俺みたいなクズはいつまでも生きてんのによ…)


ライナー(…ホトリ… まさか、お前が撃たれるなんて…)

ライナー(…戦士長はやる気だ。俺も戦いを再開せねば)


鎧の巨人「…」ズシンッ


エルヴィン「…動き出したか…」

リヴァイ「くそ…もうどうしようもねえ、やるぞ」



獣の巨人「アニちゃんは…そこのホトリちゃんとお友達を見張っておいて」

アニ「了解」


353: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:19:16.53 ID:F4oPb85A0
静「くそ…歩鳥は…本気で、戦いを止めようとしていたのに…」

歩鳥「…」



アニ「…」


辰野「…ごめん…ごめんね、歩鳥…」


辰野「私が…ここに来なければ…変な疑いを持たれず…撃たれずに済んだかもしれないのに…」

真田「俺だ…最初にここに来たいと言ったのは俺だ。俺が悪いんだ…」

静「自分を責めるんじゃない!二人とも悪くない!」

四足巨人「…」

アニ「…」


辰野「うう…」グスッ

真田「…アニ…」

アニ「…なに?」

真田「本当に戦いを続ける気かよ?」

アニ「もうどうにもならないから…仕方ないじゃない」

辰野「仕方ない?歩鳥の本気で戦いを止めようとしてた気持ちを無視して…仕方ないって理由で戦いを続けるの?」

静「…撃たれた歩鳥を見ていた君の表情…とても悲しそうに見えたけどね」

アニ「…」

真田「…アニ…それでも戦い続ける気なら…」

真田「…俺と勝負しろ」

アニ「…は?」

真田「俺と勝負して…俺が勝ったら…」

真田「俺達に協力しろ!そして…一緒に戦いを止めてくれ、歩鳥の為にも!」

アニ「…」



アニ「いいよ」


354: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:19:43.03 ID:F4oPb85A0

ゴゴゴゴゴゴ…

鎧の巨人「…」


超大型巨人「…」



紺「くそ…歩鳥のとこに早く行きたいのに!!」

ミカサ「…彼等と…戦うしかないの!?」

エレン「…みたいだな…くそ…」

アルミン「…」

ヒストリア「でも…ホトリは…戦いを止めようとしていたのに…」

ジャン「…」

エレン「ああ…だから、皆しぬなよ…ライナーとベルトルトも生け捕りだ」グッ

アルミン「エレン…」

エレン「今は戦うしかない!」ガリッ






エレン巨人「オオオオオ!!!!!」




355: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/14(水) 12:20:11.40 ID:F4oPb85A0


アニ「…あんたじゃ…私には勝てないよ」ザッ

真田「やってみなきゃわからないだろ」ザッ


辰野「真田くん…アニ…」

静「…」







歩鳥「…」



356: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 21:59:06.41 ID:ExpH+h8A0

―――

――――――


歩鳥(6歳)「ねーちゃん家に泊まる!!」

静「ダメだよ~、もうお家帰らなきゃ~~」

歩鳥(6歳)「やだやだやだ泊まる泊まる!ねーちゃん家に泊まる!!」

静「あ~もう、わかったわかった~~、歩鳥のお父さんとお母さんに許可もらってからだよ」







歩鳥(6歳)「ねーちゃん!この白くて変な顔ついた四つん這いの変なのなに!?」

静「それね~、リドルっつーんだよ~~。それ売りに来た人から『関わりたくないから誰かにでも売り付けて』って言われたけど~…そんな怪しいもん無理矢理他人に売り付けるのもね~」

白リドル「…」

歩鳥「えー、変だけど可愛いじゃん!」

静「か、可愛い…のか?」

歩鳥「この子ちょーだい!」

静「一応売り物だからタダはダメだよ~~」

歩鳥「じゃあ、今日1日だけ一緒にいさせて!!」

静「えらく気に入ったね~。ま、1日だけならいいよ。じいちゃんには内緒な」

歩鳥「やったー!」

白リドル「…」



357: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 21:59:33.58 ID:ExpH+h8A0

歩鳥(6歳)「うえええん!!」

静「なになにどうした」

歩鳥「リドルと外に出てたら無くしちゃった~~~!!」

静「無くしちゃった!?その前に外にまで持ち出してたの突っ込みたいが…!それより探しに行こう!!」

静「うわ、外雨強っ…でも商品無くしちゃじいちゃんに怒られるし歩鳥泣いてるし…」



ザアアアアアア………





バシャッバシャッバシャッ


静「あ~!あれじゃないの!?」

歩鳥(6歳)「あれだー!」バシャッバシャッ


白リドル「…」

静「見つかって良かったな~」ポンポン

歩鳥(6歳)「うえええん!雨のなか置き去りしてごめんねええ!!」

白リドル「…」


静「そんな置物相手に泣かんでも…」


………




358: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:02:17.16 ID:ExpH+h8A0


歩鳥(中学生)「ねーちゃん!小説書いたの見てみて!」

静「はいは~い…見せてみそ」


白リドル「…」


歩鳥(中学生)「ん?あ、リドルおはよー」

静「なに置物相手に挨拶してんだよ~~~」

歩鳥(中学生)「え?んー、何か見られてる感じがしたというか…」

静「ちょっと気味悪いこと言うなよな~」

歩鳥(中学生)「リドルって昔からずっとここあるよね~」

静「誰も買わないからね~~」


白リドル「…」






…歩鳥…




359: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:02:50.28 ID:ExpH+h8A0

――――――――

ウォール・ローゼ壁門前



ビュンッ ビュンッ


ガキイインッ


リヴァイ「ちっ…!刃が通らねえ!!」

鎧の巨人「…」ズシンッズシンッ



ボオオオオオ…


超大型巨人「…」ゴオオオ


ハンジ「ダメだ、熱で近づけない…これじゃ斬撃を加えられない…!」



ペトラ「兵長!どうすれば…」

リヴァイ「手当たり次第攻撃しろ、弱点を探せ!」

リヴァイ「ただし、死なない程度にな、誰一人死ぬな!損害は許さん!」

オルオ「はっ!」


ミケ「!後方から新たな巨人が来たぞ!」

リヴァイ「なに!?」




エレン巨人「オオオオオ!!」ズシンッズシンッズシンッ!


エルヴィン「あれも敵か!?」


アルミン「突然ですみません!説明してる暇はありませんが、あの巨人は味方です!!」


ハンジ「いきなり言われてもね…」

エルヴィン「いや、信じるしかあるまい…我等の兵力だけであの巨人二体を相手にするのは正直厳しい」

リヴァイ「…了解した」


ライナー(あれが恐らくエレンの巨人…自分から来るとは)



360: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:04:12.86 ID:ExpH+h8A0

アルミン「とりあえずまずは皆でエレンを援護しながらライナーを止める!みんなしぬなよ!!」

ミカサ「わかった」

紺「歩鳥…大丈夫だよな…くそっ!」


サシャ「私の視力なら何とか見えますが…怪我はしてますが命までは関わらないと思います」

コニー「良かった…」

紺「でも…こんなことなるなんて…歩鳥…」

ユミル「今はライナーを止める事に集中しろ」

ヒストリア「うん…」


エレン巨人「…」ズシンッズシンッ

ライナー(…突撃か…エレンらしい戦法だ。だが、ただの巨人のパワーでは俺の巨人の鎧に傷をつけることは無理…)


アルミン「やれえ!エレン!!」


エレン巨人「オオオオオ!!」ブンッ



ガシャアアアアアンッ


鎧の巨人「!!?」ズザザザッ

ライナー(な…俺の巨人の鎧が、破られた…)


エレン巨人「…」パキッパキッ


ライナー(硬質化!?)


アルミン(予想通りだ…)

アルミン(エレンがさっき巨人になる際に、『ヨロイ』の薬を投与した)

アルミン(『ヨロイ』は名前の通り鎧の巨人と似通った性質を持つ…これならライナーと戦える)


361: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:04:48.41 ID:ExpH+h8A0

ミケ「あの巨人のパンチで鎧の巨人に傷がついたぞ!」

リヴァイ「そいつは助かった…俺達もあの巨人を援護…」



ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!


リヴァイ「!!」


巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ


エルヴィン「無知性巨人数体が動き出した!!迎え撃て!!」

リヴァイ「ち…、俺達はあの巨人どもを狩るぞ!」



ジーク(…全ての無知性を動かすのは奴等全体が弱ってからだ…)

ジーク(あのエレンの巨人が硬質化を得ていたのは想定外だった…無知性も少しは動かさなければライナーも一人では辛いだろう)




鎧の巨人「…」


ライナー(甘く見ていた…いかん、全力で掛からなければ)


エレン(…ライナー、ベルトルト…俺はお前らが憎い…だが、お前らを殺したら………ホトリが悲しむだろうな……)

エレン(だから、死なねえ程度にその巨人から引きずり出してやる!!)


362: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:05:36.26 ID:ExpH+h8A0


ザザザッ!!


真田「ぐっ!!」



アニ「…サナダ…もう止めなって…」ハアハア

アニ「あんたじゃ私と格闘しても勝てない…そんな事わかってるだろ?」


辰野「真田くん…それ以上は…!」


真田「…うるせえ…俺は…諦めないから…」ザッ


アニ「………私は…戦士長に、あんた達が取り返されたり勝手な動きをしないよう見張りを命じられてる…頼むから……大人しくしてて…」


真田「…やだ。嵐山は戦いを止めることを願っていた…だから、俺達が代わって…」

アニ「もう…無理だよ」


静「…確かに無理かも知れないけど…君の場合は、諦めて自分の本心から逃げてるだけに見えるよ」

アニ「!」

真田「アニ!俺はお前がどけるか協力するまで何度でも立ち上がるぞ!!」ダダッ

アニ「う…っ」



辰野「…」


歩鳥「…」


363: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:06:06.85 ID:ExpH+h8A0


エレン巨人「オオオオオ!!」ガンッ

鎧の巨人「…!!」ブンッ


ガシャアアアッ!!


ミカサ「はっ!!」ビュンッ

鎧の巨人「!!」

ライナー(ち…っ、ミカサもいちいち鎧の壊れた部分を狙ってきて厄介だな…)


ライナー(…)

ライナー(くそ…同期に情が移っちまってる……ちゃんと攻撃できない)




ジャン「…そういや、ケニーのオッサンはどこだ?姿を見ないぞ?」

アルミン「僕も見てないからわからないけど…」


紺「それより!さっさとそこどけライナー!」



364: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:06:36.92 ID:ExpH+h8A0

ガアアアアアンッ!!


エレン巨人「…!!!」ズザザザッ


エレン(くそ…!!ライナーのタックルは強烈だ!!)

アルミン「強い…!」



エレン(だが…まだだ、まだ負けねえ!)

エレン(ホトリがあそこまでやったのに、結局戦うハメになっちまったが…せめて、死人を出さずに終わらせてやる!誰も死なせない…負けてたまるか!!)


エレン巨人「オオオオオ!!!」ブンッ

ドガアアアアッ


鎧の巨人「!!!」


ライナー(くそ…ダメだ、エレンの気迫に押されている!!)


ミカサ「押してる!!」

ジャン「エレン!ライナーを引きずり出しちまえ!!」


エレン(勝ってやる…ライナーに!!)

ガシャアアアアアンッ!!!


鎧の巨人「…」ボロッ



ライナー(…くそ……もう、無理だ…)


365: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:07:07.54 ID:ExpH+h8A0

ヒストリア「もう…ライナーは動けないみたい…」

ユミル「…私が手助けする必要はなかったな」

コニー「ライナー…」

サシャ「あの…まさか、命奪ったりは…」

ミカサ「心配しなくてもやらない。ホトリも悲しむ」

アルミン「…もう鎧の巨人は戦意喪失したみたいだ…うなじを剥がしてライナーを拘束しよう」


ズウウウウウンッ!!!

紺「うわっ!?」

ジャン「デケエ足音…!まさか!」

アルミン「来た…っ」


ズウウウウウンッ!!!




超大型巨人「…」



紺「そうか…まだベルトルトも居る…」


エレン巨人「…」ザッ



366: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:34:18.13 ID:ExpH+h8A0

リヴァイ「はあっ!!」ズバッ


ハンジ「くそ…こんだけ倒してもまだ獣の巨人の周りにはたくさん動いてないやつがいる。こっちの被害状況は!?」


エルヴィン「負傷者は出ているが…まだ死人は0だ」


リヴァイ「わかった……このまま誰も死ぬなよ…」






獣の巨人「…」ズシンッ


ジーク(さて…ライナーも動けなくなっちまった…少し予定より早いが俺も動き始める頃だな)


ガコッ ボキッ

ジーク(俺の拡散投石で…一気に殲滅してやろう)


獣の巨人「…」メキメキッ


ジーク(行けっ!!)



「バキュウウウウウンッ!!!」


ジーク(!!!)


バンッ!!バンッ!!


獣の巨人「なに!?指を…誰だ!?」


ジャリッ



ケニー「よう、毛むくじゃら…お前が動くのを待ってたんだ。シズカに、いざというときの為と頼まれていた」ジャキッ


367: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:35:03.37 ID:ExpH+h8A0
ケニー「………」

ケニー(ホトリの奴が兵士に撃たれそうになる寸前…俺が遠くからその兵士に銃を向けた。だが…)

ケニー(その瞬間ホトリは、『撃つな』って目で俺を見てきやがった)


ケニー(ったく、お人好しのアホにも程があるぜ…)



エルヴィン「…!獣の巨人…さっき投石をしようとしていた…!」

ハンジ「え!?」

エルヴィン「何者かに阻止されたようだが…リヴァイ…獣の巨人の相手を頼めるか?また目を離した隙に何をされるのかわからん。ならばあえてこちらから向かい、奴の作戦を狂わせる」

リヴァイ「…わかった。任せておけ」ビュンッ





リヴァイ「…!」



ケニー「よう…久しぶりだな、リヴァイ」

リヴァイ「ケニー!?何故あんたが!?」

ケニー「ま、色々あってな…」

リヴァイ「…さっき獣の巨人を止めたのもあんたか?」

ケニー「そうだよ。どうだ、俺達で協力して奴の相手をしねぇか?」」

リヴァイ「…あんたには言いたいことが山ほどあるが…今はそれどころじゃない。いいだろう、あんたが居るなら心強い」

獣の巨人「…」


368: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:35:59.40 ID:ExpH+h8A0


真田「うあああ!!」ダダダッ


ガシイッ


アニ「く…う…っ」ギリッ


バシンッ!!


真田「かはあ!!」ドサッ


アニ「本当…もう、やめなよ…あんたも限界でしょ?」

真田「はあ…はあ……うるせえよ……俺は…まだ、立てる」フラッ


アニ「…っ」



辰野「アニ…お願い…、私達に協力して…!」

静「君も本当は…争いなんて嫌なんだろ!?」



アニ「……嫌だよ…」

真田「!」


アニ「でも…どうする事も出来ないじゃないか!!」


真田「どうする事も出来ないって言って何もしなけりゃ…何も出来ないままなのは当然だろ!!」

真田「諦めんなよ!例え無謀でも…自分の気持ちに正直になるのが大事なんじゃないのか!?」



辰野「アニ!一緒に戦いを止めよう!!」


アニ「………っ!」



369: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:36:34.59 ID:ExpH+h8A0

ボオオオオオッ!!!


ジャン「うあっ!!?」

紺「くそ!熱で近づけないよ!」

マルコ「熱風でアンカーも外れる…!」

ミカサ「どうしよう…」


エレン巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ!!

ガシイッ!


超大型巨人「…」



ベルトルト(ライナーがやられてしまった…僕がやらないと…!)


超大型巨人「…」グンッ!

ドガアアアアアッ!!!


エレン巨人「!!」ギュンッ


ミカサ「エレン!!」

ズザザザッ!!!


エレン巨人「…」ブシュウウウ…


エレン(くそ…思い切り蹴られちまった……ベルトルトめ!!)

ジャン「エレンの巨人じゃやっぱり歯が立たねえか…!」

コニー「ちくしょう、ベルトルト!もう止めろよ!」

サシャ「ど、どうするんですか、アルミン!?」
ユミル「…私の巨人でも無理だぞ…」

ヒストリア「そんな…」


超大型巨人「…」ズウウウウウンッ


紺「ヤバい、もう壁まで来ちまう!どうすんだよ、アルミン!!」

アルミン「…」

ミカサ「く…」ジャキッ

アルミン「待って、ミカサ」

ミカサ「!」


アルミン「…これに…賭けてみよう……」


アルミン「『サイキョウノキョジン』」


370: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:37:00.62 ID:ExpH+h8A0

ベルトルト(…君たちじゃ僕の巨人は倒せない…おとなしく下がって…)

ベルトルト(…ん?何をしてるんだ?)


アルミン「エレン…賭けになるけど、これを…使ってくれるか」

エレン巨人「…」コクッ

エレン(このまま普通にやっても勝てない…賭けを信じよう)

ミカサ「エレン…」










ゴオオオオオ………



ベルトルト「…な…っ!!?」



ズウウウウウンッ!!


ズウウウウウンッ!!!




エレン巨人(80m級)「グオオオオオオ!!!!!!」


371: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:37:41.19 ID:ExpH+h8A0
ベルトルト(エレンの巨人が巨大化した…!?一体なにが!?)

ドゴオオオオオオ!!!

超大型巨人「!!?」ドシャアアッ



エレン巨人(80m級)「…」シュウウウ

ズウウウウウンッ


ベルトルト(くそ…硬質化の能力も合わさって強烈だ…だが…!)

ベルトルト(僕だって…負けられないんだ!!)

超大型巨人「…」グオンッ

ドガアアアアアッ!!!


エレン巨人「!!」

エレン(ぐっ…返して来やがった!!)


ヒストリア「エレンが…更に巨大化した…」

ミカサ「凄い…」

紺「やったじゃねぇか、アルミン!成功したぞ、賭けが!」


アルミン「うん……でも…」

アルミン(1つだけ気掛かりな事が…)


エレン巨人(80m級)「オオオオオ!!!」ゴオオオオオ!!


ズウウウウウンッ!!!

ジャン「ベルトルトがひざまづいた!!」

超大型巨人「…」シュウウウ


ベルトルト(ダメだ…完全にパワー負けしている…!!)

エレン(…なんだ……?)

エレン(意識が少し朦朧としてきた…)


372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:38:22.08 ID:ExpH+h8A0

エレン(いや…それより今は、ベルトルトの巨人を倒さねえと!)


ドガアアアアアアンッ!!!


超大型巨人「!!」ドシャアアアッ


ミカサ「…完全にベルトルトが負けている…」


ベルトルト(くそ…ダメだ、もう力が…持たない…巨人から出た方が懸命だ!)


ベリッ!


ベルトルト「はあ、はあ…!」ブチブチッ


ジャン「ベルトルトが出てきた!」

アルミン「よし!拘束…」


ドサアアッ!!!


アルミン「!!」

ミカサ「え…エレン!!?」


エレン巨人(80m級)「…」ブシュウウウ

シュウウウ…


エレン「…う…」シュウウウ

サシャ「あれ!?」

紺「エレンの巨人が消えちゃったぞ!?」


ユミル「そうか…硬質化に、更なる巨大化…強力だが、その分パワーを消費し過ぎたんだ…もうエレンはしばらく巨人化は出来ない!」

アルミン「…!!」

エレン「くそ、すまん…っ」ハアハア


ミカサ「エレン!大丈夫!?」

エレン「力が出ねえ…」

アルミン「すまないエレン!今は休んでて!」


ベルトルト「…力を…使いすぎたみたいだね」ザッ

アルミン「!」

コニー「ベルトルト…!」


373: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 22:38:55.16 ID:ExpH+h8A0

ズザザザッ!!!

リヴァイ「はあ…はあ…っ!」


ケニー「くそ…リヴァイと組んでも…厳しいのかよ」フラッ


獣の巨人「…」ズシンッ!!


獣の巨人「…俺は、戦う為に生まれた人工生命体だ…」

ジーク「人間が勝てると思うなよ」



獣の巨人「オオオオオ!!!!!」バアアアンッ


リヴァイ「…!!」



┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!



巨人「…」┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!!


リヴァイ「残りの無知性巨人どもが一斉に来やがった!!」

ケニー「ちいっ!くそったれめが!!」



ジーク(ベルトルトもやられた…だが、エレンも力を使えなくなった…人類側も疲弊してきた頃だろう。後は無知性の群れで殲滅する…)


エルヴィン「総員!無知性の大群が来るぞ!!やるしかない!!」

ハンジ「さすがにあの数は不味いかも…」ゼエゼエ




リヴァイ(くそ…誰も死なないでくれよ…!!)ギリッ


374: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:08:49.67 ID:ExpH+h8A0
ジャン「どうすんだ、巨人の大群が向かって来やがったぞ!」

アルミン「う…!」


ハンネス「お前ら!なにしてんだよ!!」ザッ


ミカサ「!」

エレン「ハンネスさん…」

ハンネス「事情は後で聞く!今はお前らは壁の上にでも避難しろ!!」

ユミル「それが懸命だな…アルミン」

アルミン「…わかった…」

紺「歩鳥や辰野、真田、静さんは…!?」

ジャン「今は仕方ねえ!俺達が巨人に食われちまう!逃げろ!!」

紺「くっ!!」



リヴァイ(さすがにあの数はダメだ…さっさとこの獣を始末し、他の無知性を片付けねえと…!)

ケニー「…参ったな…勝てんのか?これ…」

リヴァイ「やるしか無いだろ」ジャキッ


獣の巨人「オオオオオ!!!」



巨人「…」┣¨┣¨┣¨┣¨ド!!!


ペトラ「はあ…はあ、数が多すぎる…!!」

オルオ「くそ…やってらんねえよちくしょう…!!」

ハンジ「諦めるな!全力で迎え撃て!!」

エルヴィン(不味い…数の差が違いすぎる!このままでは…!!)


ジーク「終わりだ…」





~♪~~♪~~♪


ジーク「!!」

獣の巨人「…」バアアアアン!!!


リヴァイ「…!!」

ケニー「あ!?」


巨人「…」ピタッ


エルヴィン「…獣が、巨人を止めた?」


375: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:09:11.87 ID:ExpH+h8A0

『暗い気持ちだって すぐに晴れて~♪』



リヴァイ「歌声!?」



ハンジ「なんだ!?」


エルヴィン「歌がどこからか聞こえる……!」



サシャ「あれ…この声…!」

コニー「まさか…」


ミカサ「…フタバの声…」

紺「私の歌を録音したのを…再生させてる音だ!!」


ヒストリア「そして、その歌と同時に聞こえる…」

ジャン「音痴な歌声…!」

アルミン「この歌声は…」

エレン「………やっと……起きたか……」

ライナー「!」

ベルトルト「!」





歩鳥「ダウンタウンへ繰り出そう!!♪ダウンタウンへ繰り出っそーう!!♪」ダンッダンッ





紺「歩鳥いっ!!!」





歩鳥「あたたた…っ!!」ガクッ


静「怪我してるのに動くからだ…」

辰野「あんたねえ!ちょっとは自分の怪我の心配もしなさいよ!!」

歩鳥「ごみんなさい…」

真田「無茶すんなよ、嵐山」


376: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:09:41.91 ID:ExpH+h8A0


女型の巨人「…」


ジャン「そんで歩鳥達がいるのは、女型の巨人の手のひらだ…」

アルミン「アニ…協力してくれてるのか?」



エルヴィン「…」



獣の巨人「…」



エレン(…また戦いが止まった…)





辰野「ほら、私達が支えてあげてるから」

真田「一緒に止めるぞ…こんな戦い」

歩鳥「うん…ありがとう」





歩鳥「…すう…」





歩鳥「全員!!戦いをやめんかあああ!!!」



377: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:10:11.09 ID:ExpH+h8A0

エレン「…」

アルミン「…」

ミカサ「…」

ヒストリア「…」

紺「…」





歩鳥「この世界に…後が無いらしいのも聞いたし…あんた達壁の外に住んでる人間が…昔、壁の中から追い出された人達ってのもアニから聞いた…」

歩鳥「でも」


歩鳥「だからといって…人の命を勝手に奪っていい権利があるのか!!?壁の内にいる人も外にいる人も…もっと話してお互いの事を知るべきなんじゃないのか!?」

歩鳥「みんな…みんな、ただ…幸せになりたいだけのはずなんだ!!どこにいる人だって…!」



エルヴィン「…」

ハンジ「…」

リヴァイ「…」



ライナー「…」

ベルトルト「…」


アニ(…)



獣の巨人「…でも…君は…人間に勝手な疑いを持たれ撃たれた」


歩鳥「それも人間だからだよ!確かに痛かったし怖かったし怒りも感じた…でも、その私を撃った人達だって…きっと、怖かっただけなんだ…自分達の幸せが壊れるのが!守りたいものがあるから必死だっただけなんだ!」

駐屯兵「…!」


378: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:11:45.01 ID:ExpH+h8A0
ジーク「そう感じるのは君に余裕があるからだ…もし撃たれたのが自分でなく他の人なら…そんな事は言えないだろう」

歩鳥「それは、否定しないよ。でも…やっぱり、間違いに怒りや憎しみだけで返すのは…間違いを繰り返すだけだと、思う」

憲兵「…」


ジーク「…」



辰野「…」

真田「…」

静「…」



歩鳥「…私…アホだから…上手く言えないし…子供っぽい事しか…言えないと思う……でも」

歩鳥「それでも私はこの戦いを止めさせたい…」


ジーク「…」



歩鳥「…もっと…人間を信じた方が…いいと思う」

歩鳥「世界には…色んな性格や考え方をした人がいるし…どんな人にだって…色んな可能性があるんだよ」

歩鳥「あんたのやってることは………人間の可能性を否定してる事なんじゃ、ないかな」


歩鳥「…もっと人間を信じようよ」



ジーク「…」


379: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/15(木) 23:12:36.75 ID:ExpH+h8A0

歩鳥「…エルヴィン団長…ジーク戦士長…ちょっと代表者としてお互い来てください」


ジーク「…」


リヴァイ「どうする?エルヴィン」


エルヴィン「いいだろう…行こう」


ジーク「…なんだい?」ザッ



エレン「何をする気だ?」

紺「…」

ライナー「…」






ザッザッザッ…



歩鳥「…あの…これ…」ガサゴソ



スッ



ジーク「!!」

エルヴィン「これは何だ?」





ミカサ「あれは…私が作った…!」






歩鳥「べちこ焼きってお菓子です…食べてください」ニコニコ



380: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:01:14.06 ID:w/aSNWWA0

エルヴィン「…変わった色の菓子だな…」

歩鳥「でも美味いっすよ」エヘヘ

ジーク「…」

ジーク(懐かしいな…あの女が死んでから…ずっと食わなかった…)

歩鳥「ささ、お二人とも召し上がれ。食べながら話し合いませんか?」ニコニコ

エルヴィン「…」パリッ

ジーク「…」パリッ





エルヴィン「…うむ…」


エルヴィン「美味いな…」

歩鳥「でしょでしょ~?」

エルヴィン「…何だ、この不思議な味は………懐かしい気持ちと、優しい気持ちの混じったような菓子だ…」


ジーク「…」


歩鳥「どうですか?戦士長さんは?」



ジーク「…」ボロッ


歩鳥「!!!」


静「!」

辰野「え!?」

真田「…!?」


アニ(嘘…)

ライナー(戦士長が泣いてる!?)

ベルトルト(初めて見た…)


歩鳥「あ、あ、あの…大丈夫ですか?どうかなさいました?」オロオロ


ジーク「ふふふ………そうか……やっとわかった…」グイッ

ジーク「俺はこの菓子が好きだった…だが、あの女が死んだ時から食うのを拒否するようになった…」

ジーク「それは…もしかしたら、べちこ焼きのこの不思議な味で……あの女の優しさを思い出して、自分の中の憎しみや怒りが消えるのが…怖かったのかもな……」


歩鳥「…」


381: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:01:33.45 ID:w/aSNWWA0



ジーク「…ふう…っ」


エルヴィン「…」



歩鳥「…私は…こんな状況だからこそ、壁の中にいる人も外にいる人も…協力するべきだと思うんです…」

歩鳥「そりゃ…いきなり仲直りなんて上手くいかないのはわかってます…でも、だからと言って諦めて何もしなければ何も変わらないままなんです」

歩鳥「少しずつでも…お互い、理解して…少しずつでも協力し合う事だって出来るはずなんです」


歩鳥「私達は機械じゃない!いくらでも変われる可能性があるんです!!未来を信じましょう!!」






ジーク「………」



ジーク「エルヴィン団長…だったか?」

エルヴィン「!」


ジーク「この戦い………」



ジーク「やめにしよう」



382: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:02:07.71 ID:w/aSNWWA0


静「…!!」


アニ(!!)

真田「え…マジで…!」

辰野「やったあ!!」



四足巨人「…」

四足巨人(私は気づいていました…戦士長は長い間ずっと…つかれている様子でした)

四足巨人(もしかしたら本当は…自分の戦いを終わらせるきっかけが……欲しかったのかも知れない)



ライナー「…終わった…?」

ベルトルト「終わる…のか?」



コニー「やったあ!!」

サシャ「やりましたね皆さん!!」

ジャン「まさか…本気で止めちまうとは…」

マルコ「ははは…」

ヒストリア「良かった…これで…もう…」

ユミル「…あいつは…アホだが、本当…不思議な奴だな」





エレン「…」

ミカサ「エレン…」


アルミン「…終わったよ…」


エレン「…」

ミカサ「…」

アルミン「…やっぱり…複雑な気持ちかい?」

エレン「…故郷を奪われたんだ…ホトリの言う通り簡単に仲直りなんて出来ないさ」

ミカサ「…うん」

エレン「でも…戦いなんて起きない方が…これ以上しぬ人が出なくて済むもんな」

アルミン「エレン…」


エレン(簡単に怒りは消えない…でも…)


エレン(いつかは、憎しみを乗り越えて…分かり合える日も、来るのかな…)


383: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:02:30.34 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「はあ…っ」ガクッ

辰野「歩鳥!大丈夫!?」

歩鳥「えへへ…一気にドッと疲れが…」

真田「本当…やったな、嵐山!」

静「大した奴だよ…」ポンッ



紺「歩鳥!」ダダッ

歩鳥「あ…先輩!」

紺「やったじゃねえかよ、おい!一時はどうなるかと思ったんだぞ!!」グイッ

紺「本当に…良かった」

歩鳥「へへ…だって私は、名探偵ですよ?」

静「いや、探偵は関係ないけどな」

辰野「だいたい、いつから名探偵になったの」

紺「お前もうちょい考えて発言しろよ」

アニ「全く…どこまでも歩鳥だね」


歩鳥「ちょっ…一斉にツッコミかよ!?アニまで混じってるし!?」


紺「あははは」


真田「いや…本当によくやったよ、嵐山…お疲れさん」




384: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:02:56.03 ID:w/aSNWWA0



歩鳥「おーい、みんな~!」ザッザッザッ


ヒストリア「ホトリ!すごいよ、本当に終わらせちゃうなんて!」

ミカサ「とても驚いた」

歩鳥「いやいや…皆も居てくれたからだよ」

ジャン「…とりあえず、もう今日は休めよ」

ヒストリア「疲れてるだろうし怪我もしてるし」

歩鳥「うん」

エレン「よう、おかえり」

アルミン「怪我は大丈夫?」

歩鳥「うん。…でも、実際まだ問題は山積みだと思う…」

エレン「うん…簡単な事じゃない」

アルミン「これからが大変だろうね」

歩鳥「でも、これからも諦めないで頑張ろう!」

エレン「そうだな…ありがとよ」





ズキンッ


エレン「!!」

アルミン「!」



エレン「…う…?」

ミカサ「え!?」バッ


歩鳥「ちょっ…どうしたの!?」


エレン「な、何かが…来る!?」

ズキンッ


385: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:03:23.46 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「え!?」

アルミン「どうした…っ!?」




エレン「…」ガクッ


ミカサ「エレン!?」


コニー「おい、様子が変だぞ!?」


アルミン「エレン!」



エレン「…エレンの体から…失礼するよ…」ボソッ

ミカサ「!?」


歩鳥「…!エレンじゃない!?誰だ、誰かエレンの意識を乗っ取っているのか!?」


エレン「察しがいいね…お前が…歩鳥か…」


歩鳥「!!」


アルミン「な、なにが…!?」



歩鳥「あんたは誰だ!?まさか、あんたが私達をこの世界に呼んだ奴か!?」


エレン「君たちを…呼んだのは…姉ちゃんだよ…」

歩鳥「姉ちゃん!?」


ユミル「…まさか…!」



歩鳥「お前は誰だ!?」


エレン「俺は………アリオ」




386: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:03:52.41 ID:w/aSNWWA0

エレン「…歩鳥……俺は……この廻り続ける世界を…止めさせるつもりは…ない」

歩鳥「!?」

ユミル「…」


エレン「姉ちゃんと俺が…普通の人間として…暮らす世界が来るまで………」


歩鳥「なにを言ってんだ!?」



エレン「…歩鳥……エレンの家の…地下室までこい……そこにリドルが…ある…」


歩鳥「…!?」


エレン「…外をうろついている巨人なら…俺がリドルの力を使い…止めておいてやる………来い……歩鳥……」

ドサッ!

アルミン「エレン!!」

エレン「う……俺は…?」

歩鳥「大丈夫かエレン!?さっきまで意識を乗っ取られていたんだ!」

エレン「はあ!?」


紺「歩鳥…どうした?」ザッザッ


歩鳥「…ごめん、みんな…まだ終わってないみたいだ…」


歩鳥「会いに行かなきゃいけない」


387: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:20:14.01 ID:w/aSNWWA0


ジーク「…キリエとアリオか…知ってるよ、話はね。グリシャから聞いた」

エレン「…!父さんから!?」

ジーク「へー…きみ、グリシャの子供か……。まあ、あいつとは敵対していたが、兄弟みたいなもんでもあった」

アルミン「…」


紺「行くのか?歩鳥」

歩鳥「うん、私がお呼ばれされてるみたいだからね」

静「…エレンの家の地下室にある…リドルとか言ってたな」

真田「…何でエレンの家の地下室に?」

エレン「…父さんの記憶も思い出せないからわからない…だが、地下室へ行けばわかるかも知れない」

歩鳥「とりあえず地下室へ行くしかないみたいだね」

ミカサ「ええ」

辰野「はあ…まだ終わらないのね…」

歩鳥「たぶんこれで最後だよ…私達を連れてきたのは…アリオの姉ちゃんらしいから…」

辰野「でも、何で歩鳥を?」

静「…」


388: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:20:48.62 ID:w/aSNWWA0

ライナー「…」


ベルトルト「…」


真田「あ、ライナーとベルトルト」


エレン「…」

辰野(重い空気ね…まあ仕方ない…)


歩鳥「あ、ライナー!ベルトルト!何か顔見るのだいぶ久しぶりだね!!おいでよ!!」

ライナー「!?」

ベルトルト「!?」

紺「お前…ちょっとは空気読めよ…」

歩鳥「へ?だってもう敵対してないし私が話したいだけだし…」

ライナー「しかし…」チラッ

エレン「いいよ別に。ホトリがお前らと話したいってんだから俺は関係ないだろ」

ベルトルト「うん…ごめん…」

エレン「お前らとちゃんと話すのはまた後でいいよ…今はホトリの相手しとけ」



389: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:21:15.55 ID:w/aSNWWA0


ジャン「…ライナー…ベルトルト」

コニー「…」

サシャ「…」



ベルトルト「みんな…」

ライナー「…すまない…」

サシャ「…も、もう…敵になんてならないでくださいね…っ」グズッ

コニー「やっぱりお前らは…俺の友達なんだよ…!」

ライナー「サシャ…コニー…」


アルミン「…」





アニ「…」

辰野「アニも、そんなとこ隠れてないで皆のとこに行きなよ」

アニ「タッツン」

辰野「そうやって人から遠ざかるから誤解されたりするんだよ。皆のところに行きたいんでしょ?」

アニ「…うん…」


真田「…こっちは、何だかんだで大丈夫そうだな」

静「あの子達は、いい子達だからね…理解し合えるよ、きっと」


静「それに、私達はこの世界の住人じゃない…これ以上の関わりは持てないよ」

真田「そうっすね」


静「後の私達の問題は…」



歩鳥「…どんな理由で呼ばれたか知らないけど…ちょっと休憩したらすぐ行こう。何が起こるかわからない」

紺「…キリエとかいうの…知り合いとかでは無いんだよな?」

歩鳥「たぶんねー」


390: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:21:44.40 ID:w/aSNWWA0
静「いや…もしかしたら」

紺「!」

静「ずっと歩鳥の事を見ていたのかも知れないよ…キリエちゃんって子は」

歩鳥「へえ?」






エルヴィン「…では…これで、あなた方も壁内への攻撃は二度としないと?」


ジーク「うん…今まで騒がせて悪かった。しかし、壁の外にいる人間は壁内に恨みを持つ人間も多い。和平も簡単には進まんだろう」

ピクシス「こちらも、特にウォール・マリアに住んでいた者は…あなた方にいい感情を抱かないでしょうな。先は困難ですが…少しずつでもいい方向へ行けるようお互い努力しましょう」

ジーク「ああ」

エルヴィン「後は…この世界を管理するシステムというものへの対策が問題だ…」

ジーク「…それなら…俺に案がある」


391: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:22:12.98 ID:w/aSNWWA0


そして、歩鳥達と104期は調査兵団と共にエレンの家の地下室へ向かう事になった…



エルヴィン「本当に巨人はいないようだな」

リヴァイ「わざわざ俺達の為に巨人を止めておいてくれるなんざ律儀な野郎だ」

ザッザッザッ…

ハンジ「…つまり、その『ホワイトリドル』ってのがこの世界を管理するシステムで…人類がダメだと判断したら人類を巨人に変え自然の再生を行い…最後は数人の人間だけを残し他を滅ぼさせ、また世界を一からやり直しさせると…。しかもホワイトリドルには時間を操作する等の様々な未知の機能が備わっているのか」

静「そんなとこっすね~…で、今の私達がいる時間軸ではもっとややこしい事になってるって」

ユミル「レイスの先祖がキリエっつーフェアリーの少女をホワイトリドルの一部に組み込んじまってからだ…そしてどうやら、さっきの出来事から察するに、その時キリエだけでなくアリオの霊体も乗り移っちまったらしい」

静「そして…時間を操作し何度も同じ時間を繰り返していると…」

ハンジ「つまり…それ、ホワイトリドルを半分その姉弟に乗っ取られているようなもんだよね」


392: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:22:40.01 ID:w/aSNWWA0

静「そうですね~~。まあ、好き勝手やってんのは弟の方だと思われますが」


歩鳥(…きっとその二人も過去に何か酷いことがあったんだろうな…)ギュッ


紺「…」



393: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:23:05.54 ID:w/aSNWWA0

真田「ところで…俺気になってる事があるんだけど」

真田「亀井堂にある…四足で顔がついた…白い色の球体の置物。あれの名前…リドルじゃありませんでした?」

静「うん…ホワイトリドルという名前からして…それだろうね」

辰野「あ、あの変な置物!?」

歩鳥「じゃあ、私達がここに来たのはやっぱりリドルの力だったのか」

紺「でも、何で私達なんだよ」

静「さっきも言ったけど…たぶんお前だよ歩鳥」

歩鳥「なんで私なのかね…」


静「ま、何を話しても予想の域からは出ないよ。本人に聞くのが手っ取り早いね~」


394: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:43:04.35 ID:w/aSNWWA0

――――――


―――



エレン「…ついた…俺達の故郷…」


ミカサ「シガンシナ区…」

アルミン「…変わり果ててるね…」


ベルトルト「…ごめん…」

ライナー「なんと言えばいいのか…」

エレン「いいっつってんだろ。そういう話はまた後だ」

アニ「…うん」



歩鳥「………」

辰野「これは…酷い有り様ね」

紺「怖いな…」

歩鳥「………」ズズッ


真田「って、おい嵐山!?泣いてないか!?」

歩鳥「だってさ…こんな光景見たら…悲しくなるじゃん…」ズズッ

歩鳥「きっと皆…普通に暮らしてたのに…」

ミカサ「ホトリ…」

エレン「だからってホトリが泣くことは無いだろ…」

アルミン「そうだよ、落ち着いてほら」

歩鳥「うん…」


ライナー「………」

歩鳥「あ!その…ライナー達を悪く言った訳じゃないよ!あの…」オロオロ

ライナー「え!?いや、わかってるぞ、うん」

ベルトルト「そうだよ、気にしなくていいよ…」

アニ「あんたが感情豊かなだけなのは知ってるからさ」


395: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:46:20.60 ID:w/aSNWWA0

エレン「…こっちだ…俺達の住んでた家…」

ミカサ「…」

歩鳥「馬に一緒に乗せてくれてありがとね、ヒストリア」

ヒストリア「うん、無理しないでね」

辰野「後は私達が支えててあげるから」

真田「ゆっくり歩けよ」

歩鳥「うん、ありがと」

アルミン「…準備はいい?入るよ」

歩鳥「…あのさ…私、1つ恐ろしい事…想像しちゃったんだけど……」

アルミン「え、なに?」ビクッ



歩鳥「地下室の鍵…忘れてきてないよね!?」


エレン「はあ?ホトリじゃあるまいし忘れる訳ないよ」

辰野「あんただったら忘れてたろうけどね」

歩鳥「ちょっ!人は結構真剣に聞いたのにいつものノリの返答かよ!」

真田「まあ、確かに忘れてたら恐ろしいな…長い距離また往復だ」



396: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:46:47.64 ID:w/aSNWWA0



アルミン「あった…これが地下室か…」

ミカサ「この中に…」

エレン「…」


エレン(父さんは何でリドルなんてものを地下室に持っていたんだ?ここから先へ行けば…わかるのか?)

ハンジ「エレンくん、開けてくれたまえ」

エレン「はい」ガチャ

歩鳥「いよいよだね」


エレン「ああ」



ガコンッ…



397: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:47:15.30 ID:w/aSNWWA0









カッ カッ カッ…



アルミン「あ…部屋が見えたよ」

歩鳥「果たしてこの先には…何が待ち受けているのか…!?」

紺「リドルだろ」

歩鳥「いや、うん。まあ…そうなんだけどさ。あれだよ、雰囲気付けだよ」

静「ちょっと拗ねた顔してないの~」

紺「わかったわかった、ツッコミ入れてごめんな」

辰野「最後まで同じ調子ねあんたは」

真田「まあ、それの方が安心だよ」



398: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:47:45.02 ID:w/aSNWWA0

エレン「…広い部屋に出た」

アルミン「あ…何か置いてある」

ミカサ「白と黒の置物…」


白リドル「…」


黒リドル「…」



歩鳥「リドルだ!」

真田「白と黒の二種類がある…」

静「うちの店にあったのが…この白い奴だね~…」


リヴァイ「黒い方は何なんだ?」

静「なんだっけ?確かユミルから前に聞いた話なら…黒いリドルはレイスの先祖が白リドルを元に作った『記憶や意志を読み取る力』を持ってる奴だっけ」

ユミル「そうだ…キリエの意志とはそれを通し会話していた」

歩鳥「…」


歩鳥「記憶を読み取る力って…事は…」

歩鳥「この黒いリドルに触ったら…エレンの中にあるお父さんの記憶も蘇るんじゃないの?」

エレン「!」

アルミン「あ、本当だ!」

静「久しぶりに冴えてるな」ポンポン

歩鳥「いやいや、それほどでも」


399: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:48:27.95 ID:w/aSNWWA0
エレン「その通りだな…試してみるよ、ホトリ」

ミカサ「さすが名探偵」

歩鳥「えへへ」


静「で…アリオくんは?」

紺「そういや…来いって行ったのに…」


歩鳥「…このホワイトリドルに話しかけてみよう」

白リドル「…」

歩鳥「おい、アリオ!来てやったぞ!返事しなさい!」


白リドル「…」


ズキンッ


歩鳥「…うっ!?」ガクッ

辰野「!」

紺「歩鳥!?」

真田「大丈夫か!?」

静「どうした!」


歩鳥「…大丈夫…呼ばれた…だけ…」

紺「え!?」

歩鳥「…行ってくるね…」ヘヘ


真田「おい、嵐山!?」ガシッ

紺「どうしたんだよ!?」グイッ

辰野「ちょっと歩鳥!?」ガシッ


静「あ…」



カアアッ!!!


ドサッドサッドサッドサッ


歩鳥「…」
真田「…」
辰野「…」
紺「…」

静「おい、四人とも!どうした!?」


ジャン「…!なんだ!?」

サシャ「な、何があったんですか!?」

エレン「おい、お前らどうした!?」


400: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:48:54.04 ID:w/aSNWWA0

ユミル「…たぶん…白リドルの中にいるアリオにホトリが呼ばれたんだ。意識を中に連れていかれたんだろう…サナダ、フタバ、タッツンもホトリに触れていたせいで巻き込まれたんだ」

静「!」

ヒストリア「だ…大丈夫なの?」

ユミル「それは…あいつら次第だろ」



401: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 20:49:21.06 ID:w/aSNWWA0






――――――



辰野「…う…」

真田「ここは…どこだ?」


紺「また変なとこに来ちまった…」

歩鳥「…この建物…何か書いてある…」


辰野「え?」



歩鳥「…外天楼…?」






「…ここは俺がリドルの力を使い作った仮想空間…君たちの意識は今リドルの中にある」


真田「!!」

紺「誰だ!?」


歩鳥「…まさか…あんたが…」


ザッ…ザッ…



アリオ「やっと会えたね…歩鳥」

キリエ「…」



402: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:09:42.67 ID:w/aSNWWA0


―――――


黒リドル「…」


エレン「…こいつに触れれば…父さんの記憶が、蘇るかも知れない…」

ミカサ「…」

アルミン「…」



ヒストリア「…私もいい?」

アルミン「ヒストリア」

ヒストリア「レイスの…先祖の事がもっと詳しくわかるかも知れないから」


エレン「そうか…よし、行くぞ」

ヒストリア「うん」


ジャン「…」

サシャ「…」

コニー「…」



エレン(父さん…俺はここまで来た……父さんの知っている全てを見せてくれ)

ペタッ…


ビリッ!!!



403: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:10:10.73 ID:w/aSNWWA0


エレン「…う…」パチッ


ヒストリア「な、なに?何が起きたの?」



グリシャ「…久しぶりだな。エレン」


エレン「!父さん!?」

フリーダ「…ヒストリア…覚えてる?」


ヒストリア「あ…全部思い出した…フリーダお姉さん!」



ウーリ「ここは黒リドルにより作られた君の中に眠る記憶と精神の世界だよ…エレン。ヒストリアも来てしまったみたいだがね」



「俺もいるぜ」


ウーリ「!」


ヒストリア「え!?」




ケニー「…まさかと思って…俺もこっそりエレンに触れてたんだ。まさか予想通りお前に会えるとはな…ウーリ」

ウーリ「ケニー……相変わらず面白い男だな」フフ


グリシャ「ここにはエレンの中の記憶の世界…今まで座標を引き継いできた様々な人間の記憶もある。だからレイス家の人間の精神体もいるんだ」

ヒストリア「そうなんだ…」


エレン「…理屈はわかった。でも今知りたいのは…父さんが何故、リドルを持って地下室にしまっていたのか…」

ヒストリア「あと、レイスの先祖の事をもっと詳しく知りたい」



404: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:10:42.81 ID:w/aSNWWA0


世界中で人間同士、人間とフェアリー、フェアリー同士と様々な争いが起きていた混沌とした時代…

世界の平穏の為に戦っていたグリシャだったが…ジークとの激しい戦いの末行方不明となっていた。







グリシャ「…う…」



ジーク「よう、目が覚めたかい。兄貴」

グリシャ「ジーク…」

ジーク「……なあ……」


ジーク「もう人間なんか見捨てちまえよ。奴等は敵だけでなく自然もお構いなしに焼き払ってんだ。超大型巨人になる薬を大量の人間に使ってな」

グリシャ「…お前の仲間にも超大型巨人の力を持つ奴はいるだろう」

ジーク「…俺達はなるべく自然まで巻き込まないように気は使ってるよ。敵の超大型巨人に対抗するために使ってるまでだ」

グリシャ「…ジーク…憎しみをぶつけるだけでは何も解決しない」

ジーク「人間は世界を身勝手に壊す…だから俺が制裁を加える。それだけだ」

グリシャ「それで本当に平和になれると思っているのか!?」

ジーク「ああ。人間がいなくなりゃ平穏は訪れるさ」

ジーク「そういや…ユミルはどうしてんだ?ユミルの民とかいう、様々な種族の集った奴等で…反戦活動をしていたらしいが」

グリシャ「…協力してくれるものもいるが、敵意を向ける者や迫害する者も多いらしい」

ジーク「は、そりゃそうだ……人間なんて奴は相手を理解するより迫害する方を優先する生き物なんだよ」

グリシャ「お前は……愚かな…」

ジーク「何とでも言えよ」

405: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:11:07.02 ID:w/aSNWWA0


グリシャ「…もうすぐ……ホワイトリドルが発動するらしい」

ジーク「ああ。知ってる。前にお前からそいつの存在を聞かされてるよ」

グリシャ「なら、なぜ愚かな戦いを続ける」

ジーク「兄貴よ…人間は昔から人間同士で殺し合いしてた…ずっとどこかでな。何度殺し合っても学ばない…愚かな生き物なんだ」

ジーク「そして、その人間を潰すために俺達は人間を攻撃してる…そんな状況でも思想や宗教等の違いで人間同士は殺し合いを続けている」

ジーク「例え俺がいなくたって…ホワイトリドルが発動する運命だったさ」


グリシャ「…人間が一斉に巨人になれば…俺達のような自意識を持つ人工生命体も、恐らく人間として認識され喰われるぞ?」

ジーク「だからなんだ」

グリシャ「…俺は…ホワイトリドルの機能を停止させる手段を考えているんだ。未知の素材が使われていて…今の人類の力では、ある程度の分解は出来ても、機能停止させるまで破壊することはできない。そもそも破壊すれば何が起きるかもわからない…」

グリシャ「だが、このままリドルを発動もさせたくない」

ジーク「だから…人間がいなくなりゃそれも機能しなくなるだろ」


406: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:11:40.35 ID:w/aSNWWA0
グリシャ「…確かに、人類を管理するのが目的だからそうかも知れん。だがな、俺は人類を救うために止めたいんだ」

ジーク「は…っ、そこまでしたいかね」






その後…グリシャがユミルの村から離れている隙に「ユミルの民」は一斉攻撃を受け村を焼き払われてしまい…ユミルの民により管理されていたブラックリドルが奪われてしまう。

そして、それと同時にホワイトリドルが発動

世界中の人間は巨人になって行き…巨人にならなかった人間は巨人達により喰われていった。




グリシャ「…俺は、無くなったブラックリドルを探す。世界を救う何かの鍵になるかも知れない」

グリシャ「…お前はユミルの民を連れて巨人から逃げるんだな」


ユミル「…死なないでね…」


その後…グリシャは行方不明となった。


そして…


407: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:15:05.42 ID:w/aSNWWA0
グリシャ「人工生命体にも色々あってな…俺達『タイタン』は年を取るのが非常に遅いタイプだった」

エレン「…」



それから数十年後


壁の世界にグリシャは訪れる



ブラックリドルと共に






グリシャ「…その後は…レイス家の人間がホワイトリドルを隠している場所を探った……それがこの地下室だったんだ」



408: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:15:34.17 ID:w/aSNWWA0


グリシャ「…そして…俺はブラックリドルを通じてキリエから様々な話を聞いたよ」

グリシャ「ホワイトリドルは全てではないが、機能の一部を乗っ取られているみたいだった」

グリシャ「アリオという男にな」

ヒストリア「…」

グリシャ「そして…キリエはこう言っていた」


キリエ『もう終わりにしたい…アリオを止めてあげたい。このホワイトリドルによって繰り返される歴史も止めたい…でも、どうしたらアリオを…ホワイトリドル止められるのか…』


キリエ『…私は…昔……出会った。歩鳥という子に……リドルを通じて。あの子は優しくて、人間味の溢れている子だった。周りも…あの子がいるだけで明るくなっていた』

キリエ『アリオやリドルを止めるためには…力じゃいけないと思うの。歩鳥みたいな優しい子こそが必要だと思う』


キリエ『…賭けてみるわ…あの子に』



キリエ『時間を越えて…あの子を呼んでみる…』





グリシャ「…俺は…ホワイトリドルの機能を停止させるにはどうすればいいか考えた」



409: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:17:05.69 ID:w/aSNWWA0

グリシャ「キリエは…リドルを通じ座標を持つものと交信できた。だから俺はキリエとリドルを通じ、ウーリ・レイスやフリーダ・レイスと対話したんだ」

ヒストリア「え!?」

ウーリ「ホワイトリドルの隠し場所を教えたのは私だ」

フリーダ「…もう終わらせたいから座標を受け継がせる必要は無いって。だから私はあの日…わざと負けたの」

ヒストリア「…」

エレン「…」


410: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:51:42.74 ID:w/aSNWWA0

エレン「それで…何で、俺に力を渡したんだ?」


グリシャ「ああ…巻き込んでしまって悪い」

グリシャ「…俺はキリエとアリオの事から1つの結論を出したんだ……もしかしたら」

グリシャ「人工生命体や人工生命体とのハーフの人間なら…ホワイトリドルの機能に干渉しやすいのでは無いかと」

エレン「!?」

グリシャ「だから俺はエレンに喰われる事で…座標を持つお前の中の一部になり…そこからホワイトリドルに近付こうとした」

グリシャ「そして…お前に継がせたのは…もしも人工生命体やそれとのハーフがリドルと干渉しやすいのならば…先代血筋が同じでなくとも座標の力を使えるのでは無いかと思ったからだ」

グリシャ「そして、前に礼拝堂の地下で…その一端を見せたよな。俺の予想は当たっていたようだ」

エレン「…だから…俺に力を…」

グリシャ「しかし、1つ問題がある…アリオの存在だ。彼はホワイトリドルに眠る一部の機能を支配している」


グリシャ「彼を何とかしなければ…ホワイトリドルを完全に止めることは出来ない」



411: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:52:09.41 ID:w/aSNWWA0


ケニー「ところでよ…この壁を作ったレイスの先祖は結局なんなんだ?」

ヒストリア「うん…」


ウーリ「…この壁が出来てからの初代レイス…彼は元々科学者だった」

ヒストリア「それは…ユミルから聞いた」

ウーリ「彼は実は…人工生命体と人間のハーフなんだ」


ヒストリア「え!?」

ウーリ「だから…人工生命体の血が濃い彼の意思は強く残り…後の我々レイスの子孫の意思に干渉してきていたのだ」

ケニー「そうだったのかい…」


ウーリ「キリエとアリオをホワイトリドル取り込み…神として崇めフェアリーを過剰なまでに神聖化する宗教のようなものも作っていたらしい」

ウーリ「彼は人間を救いたいと思いつつも争いを続ける人間に絶望もしていた…2つの感情を抱いていたのだ。しかし、次第に絶望の感情の方が大きくなっていたんだ。そして、人工生命体を崇めるようになっていった…」


ウーリ「恐らく彼は…完全なフェアリーになりたかったのだろうな」



412: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:53:35.74 ID:w/aSNWWA0

―――――――


―――



キリエ「…」

アリオ「…」



歩鳥「…最初に質問しても…いいかな…」


歩鳥「キリエちゃん。なんで…私を呼んだの?」


キリエ「…歩鳥なら…救ってくれると思ったから。あなたは優しくて…周りを明るくする不思議な力を持っているから」


歩鳥「…ちょっと照れるな…」ポリポリ

辰野「照れとる場合かっ」

キリエ「それに…ずっと見てきたから」

歩鳥「…ああ…リドルの中から?」

キリエ「うん…」


歩鳥「あとさ、もう1つ。私達がこの世界に来て…何だか色々都合よく重なって周りが動いてた気がするのは…」

キリエ「…ホワイトリドルには少し先の未来なら予測できるシステムもあるの」

キリエ「それで…どのタイミングで連れてきたら、本来の歴史からどう変わるかを予測して…一番いい時間軸に呼んで来たから」

歩鳥「なるほどね…通りで私やエレンが同時に拐われたり…色々重なって起きた訳だ」

キリエ「…壁外との戦いに割り込んだりとか、ジークを説得しちゃったりとか、予想外の事もあったけど」



413: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:54:02.44 ID:w/aSNWWA0

アリオ「…姉ちゃんは優しいから…お前に期待してるみたいだけどな…」

歩鳥「!」


アリオ「俺は違う。ずっと平穏に暮らしてきた人間に…何が救えるってんだ」

歩鳥「…アリオは…何で私を呼んだのさ」


アリオ「話してみたかったからだ。姉ちゃんがやけに気に入ってる歩鳥とかいう奴に」

キリエ「…」



414: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:54:43.41 ID:w/aSNWWA0
アリオ「歩鳥……君は自分が生まれてきた意味がわかるか?」

歩鳥「はあ?」

アリオ「君は…家族に必要とされ生まれてきたのか?」

歩鳥「……私はそうだと思いたいけど」

紺「何が言いたいんだよ」



アリオ「俺と姉ちゃんが生まれてきた理由を知ってるか?俺は…何のために生まれてきたか…お前にわかるか?」

キリエ「…アリオ…もういいから…」



ザザザッ!


真田「うわ!?」

歩鳥「わわ、なんか勝手に頭の中に映像が浮かんでくる!」

紺「こ、これは…!?」

辰野「や、やだ…やめて!」ガクッ



アリオ「…ごめん…無理やり見せる気はなかったんだ…だが…感情が抑えられなく…勝手に映し出してしまったようだ…」

キリエ「…」


真田(…ある学者が自分の娘の細胞を使い、娘と同じ姿をしたフェアリー…それがキリエ。そして…)

真田(その学者が精神的に参った時、キリエを無理やり……)

真田(そして生まれてきたのが…)


紺「うう…っ!」

辰野「み、見たくなかった…っ」ウプッ


歩鳥「…アリオ…」



アリオ「なあ…歩鳥、答えてくれ」

歩鳥「!」

アリオ「姉ちゃんは…俺は、何のために生まれたんだ!!」

415: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:55:51.27 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「………っ」ギュッ



アリオ「…」

キリエ「…」



アリオ「…答えられないか?歩鳥…」


キリエ「いきなりそんなこと言われて…簡単に答えられる訳が無いじゃないの…」

アリオ「…」


歩鳥「…アリオ、でも…あんたはリドルに囚われてから、必死に自分達の運命を変えるため、リドルの力の一部を支配してきたんでしょ?」

アリオ「…」


歩鳥「つまり、アリオは…普通に生まれて普通に生きたかったんでしょ!?生まれてきた意味じゃなく…自分がどう生きたいかが大事なんじゃ…ないかな。意味は、生きながら作るものじゃないのかな」

アリオ「…そんな言葉で納得いくと思うのか?俺は、父親にも友人にも裏切られ、信じていたものを…ずっと過ごした人生を否定されたに等しい…」

アリオ「姉ちゃんは…ずっと子供の姿のままで、フェアリー用の電池がないとすぐにボロボロになる脆い体だった……そして、姉ちゃんはずっと……どんな気持ちで生きていたのか」

キリエ「…」


歩鳥「…ごめん…」


416: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:56:17.51 ID:w/aSNWWA0

アリオ「…このホワイトリドルに取り込まれてから…様々な人類の歴史も見た」

歩鳥「…」



アリオ「酷い有り様だった……最後は結局、人間が世界や他の生き物…同じ人間を滅ぼして行き……そして、最後は人間全て巨人にされ、終わる」

キリエ「…」



アリオ「歩鳥…お前は言ったな?ジークに…人間を信じようと」

アリオ「だが、人間は何も学ばず自然や命を破壊し続け…何度も滅びを繰り返し、そして…俺達のようなものまで生み出してしまった」


アリオ「人工生命体?ふざけるなよ…自分を何様だと思ってやがる。人間がそんな領域に踏み込んでいいとでも思っているのか?」

アリオ「そして、最後は人工生命体に反逆され世界中で争いが起きた…自分達の尻拭いも出来ない、バカな連中だ」


真田「…」

紺「…」

辰野「…」

歩鳥「…」


アリオ「そして俺と姉ちゃんはそんな世界は嫌だし…自分達も…人間として生まれたかった。だから何度も時間をやり直しさせた…でも、結果は変わらなかった」

アリオ「俺はもう…人間を信じられなくなってきた…」


417: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:56:45.04 ID:w/aSNWWA0
アリオ「歩鳥…お前だっていつまでもそんな人のいい性格でいられると思っているのか?自分には負の感情が一切ないと言い切れるか?」

歩鳥「…」

アリオ「お前の優しさは本当のものなのか?偽りのものじゃないのか?」

キリエ「アリオ!」


418: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 21:57:18.08 ID:w/aSNWWA0

キリエ「そうやって…口では言うけど、アリオだって…結局今も…普通の人間として生まれたかったと、思っているでしょ?」

アリオ「…」


歩鳥「…」

真田「嵐山…」


歩鳥「…ごめん…考えが、まとまらない」



アリオ「…」



歩鳥「でも…私は、二人とも…こんなものにいつまでも囚われてるんじゃなく…楽になって欲しい……」

歩鳥「…だからキリエは私を呼んだんでしょ?」

キリエ「…うん…」

アリオ「俺は…まだ、そんなつもりはない」


辰野「あ、あなたねぇ…っ」

歩鳥「いいよ、タッツン。私は…二人を救いたい」

紺「お前…」

アリオ「…」

アリオ「歩鳥…お前を1つ試そう」

歩鳥「え?」

アリオ「君のその気持ちが本物なのか」


419: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:10:35.26 ID:w/aSNWWA0

アリオ「…歩鳥1人で来てもいいし皆で来てもいい…この建物を入り屋上まで来るんだ」

紺「…?」

辰野「それだけ?」


アリオ「…そして、その道中には様々な人類の醜い歴史が映し出されている」

歩鳥「!」

アリオ「目を背けたくなるようなものばかりだ…その中を通り抜け…屋上まで来い。俺はそこで待っている」

アリオ「まあ、無理なら無理でいいよ…別に。途中でも呼べば助けてあげるから」



歩鳥「…」

アリオ「ただし、俺を最後まで説得できないようなら…歩鳥はこのホワイトリドルにずっと居てもらう」

歩鳥「!?」

真田「はあ!?」


キリエ「アリオ…!何もそんな!」

アリオ「…じゃ、屋上で待ってるよ」


フッ


420: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:11:30.37 ID:w/aSNWWA0

真田「ど、どうすんだよ…」

紺「歩鳥、行くのか?」

歩鳥「…うん、行くよ」

辰野「こ、怖いんだけど…何が映し出されるのよ」

歩鳥「無理なら目をつむってていいよ…私だって怖いし」

歩鳥「無理になったら私が引っ張ってあげるからさ」



ガコン…



歩鳥「みんな…心の準備はいい?」

紺「う、うん…」ギュッ

歩鳥「先輩、いきなり私にしがみついてんじゃないっすか…」

辰野「せ、先輩は本当に…怖がりなんだから…ねえ」ガクガク

歩鳥「タッツンもじゃん」タハハ

真田「…俺は、耐えてみせるぞ…。最後まで、行ってみせる…」

ザッザッザッ…





ダダダダダダッ!!


辰野「ひっ!?」ビクッ

歩鳥「さっそく来たか!」

ぎゃあああああ!!
あああっ!!!



辰野「うわあ!怖い!」

紺「いきなりひでえ映像流しやがる…!」

真田「うう…っ」

歩鳥「きついねえ…こりゃ」

歩鳥(でも…最後まで行かなきゃ)


421: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:12:01.44 ID:w/aSNWWA0

ドオオオオオンッ!!ボオオオンッ!!!
ゴオオオオオ…ッ



真田「ぐうっ」

辰野「きゃああ!」ビクッ

紺「うぅ…こ、怖く…ない…」ボロボロ


歩鳥「…ふう…っ」ダラダラ


助けて……助…け…


辰野「うぷ…っ」ガク


歩鳥「タッツン!?」


辰野「ごめん…もう…無理…」グスッ



歩鳥「…わかった。私の手につかまって。目えつむってていいから」

辰野「本当ごめん…」

歩鳥「いいんだよ。無理に見ることない」ギュッ

真田「…嵐山は、強いな…」フラッ

真田(俺もちょっとヤバい…)



422: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:12:29.91 ID:w/aSNWWA0


ああああああ!!

うあああ…っ


神様…っ!!



パアンッ パアンッ !!!



紺「はあ…はあ…ううう…っ!」ボロボロ


紺「もう、見たくない…」フラッ


歩鳥「…先輩も無理しなくていいよ。怖いなら目えつむって」

紺「ごめん……」パチッ

歩鳥「真田は?」


真田「俺は…大丈夫、だ…っ!」ゼエゼエ


歩鳥「…無理してない…?」

真田「嵐山だって無理してんだろ…」

歩鳥「…ははは」

歩鳥「じゃあ真田…タッツン任せたよ。私は先輩引っ張って行くから」

真田「任せろ」



歩鳥「…ねえ…真田」

真田「!」

歩鳥「正直、私もかなりキツいからさ…心強いよ。ありがとう」

真田「うん」


歩鳥(…こんなとき…静ねーちゃんも居れば頼りになっただろうに…)

歩鳥(でも、今は居ないから仕方ない…私達だけで何とかしなきゃ!)


423: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:12:56.19 ID:w/aSNWWA0

――――――


屋上




アリオ「…」


キリエ「…何も…あんなの見せなくても良いじゃない…」

アリオ「俺は無理に見ろとは言ってない。説得したければここまで来いって言った…それに呼べば助けてやるとも」

キリエ「…でも、歩鳥をこのホワイトリドルにずっと居させるって…」

アリオ「姉ちゃんの為に言ったんだ」

キリエ「…ねえ…アリオ」

アリオ「なに?」

キリエ「あなた…本当は……」

アリオ「…」


ガチャ…

アリオ「!!」

キリエ「!」





アリオ「…まさか…本当に…」



ザッ…






歩鳥「へへ…来てやったよ…アリオ」フラッ


424: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:13:25.65 ID:w/aSNWWA0


真田「タッツン!もう目え開けても大丈夫だぞ!」

辰野「うう…音だけでもキツかった…ごめん、真田くん」

真田「いや、いいって。俺ももうヤバいから…」ガクガク

紺「…お…屋上ついたか?」ブルブル

歩鳥「着きましたよ、安心してください」


アリオ「…まさか無事に最後まで来るなんて…」

歩鳥「全然無事じゃないわ!何度か目眩して倒れかけたわ!!」


425: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:13:59.47 ID:w/aSNWWA0


歩鳥「…で、私はちゃんと来たよ。何か言いたいことはある?」

アリオ「………」


アリオ「…なんで…そこまで…」


歩鳥「…あのさぁ、アリオ…私、なんとなく気付いたんだけどさ…」

アリオ「…?」


歩鳥「あんた…こうやって心配してあんな場所からも来てくれる人間を…待ち望んでたんじゃないの?」ザッ

アリオ「な…っ?」

歩鳥「人間不信なようなこと口では言うけど…本当は、信じたいんだよね」ザッ



歩鳥「ねえ、アリオ…あんた。最初下で会った時より…見た目幼くなってるよ」

アリオ「!?」

アリオ(本当だ…何で…)

歩鳥「…それがきっとあんたの本心だからだよね。子供の頃が楽しかったから…またあんな楽しい毎日に戻りたかった」

キリエ「…」

歩鳥「…自分の存在を認めてくれる人間にいてほしかった。お姉さんと普通の人間として生活していたかった」


歩鳥「…ただ、それだけだよね?難しい話なんか並べず正直に言いなよ」


アリオ「………」


426: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:14:33.15 ID:w/aSNWWA0

辰野「…」

真田「…」

紺「…」



キリエ「アリオ…もう、いいでしょ?」


アリオ「く…う…っ」


アリオ「俺は…」


ギュッ

アリオ「!」



歩鳥「辛かっただろうね…でも、私には…何もできない……ごめんね…」グズッ

アリオ「な…泣いてんのか!?なんで…」


真田「…」


アリオ「俺は…今までさんざん好き勝手やって…あんた達には…あんな映像を見せて…」


歩鳥「本当にね…一発叩いてやりたい気持ちもあるけど」グズッ


辰野「おいっ」

キリエ「…」



歩鳥「…でもさ…世の中には完璧な人間なんていないよ…あんたも含めてさ」ポンッ

アリオ「!」

歩鳥「人間なんて弱い生き物だよ………だから、悪いことだってやるし」

歩鳥「でもね、変わる事だって…頑張ればきっと出来るから」


アリオ「…」

歩鳥「えーと…まあ、何と言えばいいのか…いい言葉が思い浮かばんけど…」


歩鳥「あんたも人間だよ、アリオ。誰がなんと言おうと私が認めてあげるから」


アリオ「…うう…っ」

キリエ「…」ギュッ


427: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:15:00.03 ID:w/aSNWWA0

アリオ(俺は……誰かに…人間として認めて欲しかったのか……)

歩鳥「もういつまでもホワイトリドルなんてのに居ないで…楽になりなよ。こんなとこ居たって苦しいでしょ」

アリオ「……」ズズッ

歩鳥「大丈夫、私はずっと覚えていてあげるからね。だから安心しなよ?」


アリオ「…でも…もし、君たちが元にいた世界に戻れば…その記憶は全て消えるんだ」


歩鳥「あ、そうなの!?じゃあ…」


歩鳥「そんときゃ生まれ変わって私んとこ来な!『忘れんなアホー!』って!」


キリエ「ふふっ…」

紺「簡単に言うよお前は…」

辰野「生まれ変わってって…」


アリオ「…お前は…アホだな…」グイッ

歩鳥「んえ!?ショック!」

アリオ「でも…」

アリオ(何故だろうな…心が楽になってきた)


428: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:34:05.14 ID:w/aSNWWA0


アリオ「俺は…バカだった…自分勝手にやって…姉ちゃんにも迷惑かけて」

キリエ「…」


アリオ「ごめん…」



歩鳥「気にしなくていいって。だいたい最初は無理矢理ホワイトリドルに取り込まれたんでしょ?」

アリオ「そうだけど…」


歩鳥「過去の事あーだこーだ言ったって…何も変わらないよ」


アリオ「…」

キリエ「私も、歩鳥達を勝手に連れてきて…ごめんなさい」

歩鳥「いいっていいって。楽しい事だってあったしね!!」



歩鳥「…もう…気はすんだ?」




429: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:34:31.64 ID:w/aSNWWA0


――――――――



―――――



――



訓練兵団食堂



歩鳥「はい、という訳で!明日リドルの力を使って私達は元の世界に帰り…ホワイトリドル機能停止作戦が決行されるわけですが!!」


歩鳥「今夜は私達と104期の皆のお別れ会をしようと思う!今まで皆ありがとー!明日のお別れまで…存分に楽しもうではあるまいか!!」


エレン「あいつ泣き笑いながら喋ってるよ」

ミカサ「ふふ…」

アルミン「寂しくなるね…」


歩鳥「それでは皆…」



歩鳥「めいどっ!!」ビシッ


辰野「乾杯じゃないのかよ」ビシッ

紺「おめーはアホか」ビシッ

ヒストリア「ちゃんとしようよ最後くらい」ビシッ

歩鳥「ひいいいん、三人から同時にツッこまれた!!しかもヒスちゃんまで!!」


静「はいはい、かんぱ~い」


430: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:35:02.18 ID:w/aSNWWA0


真田「まあ、いつかは別れる時が来るのはわかってたけど…寂しいなやっぱ」

ジャン「ああ…」

マルコ「楽しかったね」

ライナー「お前とは訓練兵団で色々な話をしたよな…  本とか」

真田「ブッ!!?」

ライナー「ベルトルトも  本の話してるとき興味無さそうなこと言いながらソワソワしてたもんな」ハハハ

ベルトルト「な、な、何を言ってるんだライナー!!  本なんて!!」

ジャン「デカイ声で  本とかいうなよ。聞こえるぞ」


アニ「…」ジロッ


ベルトルト「うわあああ!アニに見られてる!!」ワアアア


ライナー「す…すまん…」

真田「大丈夫だって。俺なんか現物を見られたからよ」ポンッ



歩鳥「ベルトルトでかい声で恥ずかしい言葉叫んだよ。全く  ユキのツレはやっぱ●●●●だね」

辰野「年頃の男子はあんなもんよ」



431: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:35:27.65 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「ところで…結局壁って何で出来てたの?」

静「前に予想した通り巨人だよ…グリシャさんとレイスの記憶が蘇ったエレンくんから聞いた」


静「彼等は戦争で大量に量産された大型巨人らしい…そしてその技術を封印させるため、その力を使い巨人達を壁にし存在を無いものにしたんだ」

歩鳥「その巨人達は、これからどうなるのかな…」

静「ホワイトリドルが機能停止したらリドルの力により生まれた無知性巨人や座標の力で生まれた壁も消えるらしい。その時、壁にされた大型巨人達も…100年以上も壁にされていて無知性の状態になっちゃってるから、ホワイトリドルの機能停止と一緒に消えちゃうらしいよ…」

歩鳥「…そっか…」



静「そんで、前に私の首しめてきたのはやっぱり初代レイスの亡霊だったみたいだよ。私の勘が当たったから…」


静「キリエちゃんに呼ばれたのは、謎に気づく事で歴史の流れを変えてくれるかもと思ったのもあるかも知れないね」

歩鳥「うん」



静「ま、今はそういう話より、皆と楽しみなよ。今日明日で最後だよ」


432: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:35:54.73 ID:w/aSNWWA0

サシャ「コンセンパイ…お別れなんて寂しいです…」

コニー「うう、コンセンパイと友達になったのに…」


紺「悲しむなよ、二人ともありがとうな。楽しかったよ。…センパイの部分は名前じゃないけどな」


サシャ「タッツンともこれで最後なんですね…」

コニー「タッツンはツンツンしてたけどいい奴だったよ…」

アニ「ありがとうね、タッツン。ずっと忘れないよ」


辰野「うん、元気でね」

辰野「…ところで、今更言うのもあれだけど、私は最後までタッツンなのね…まあ、もういいけども」


静「タッチャン…最初の1週間くらいは気味悪がってあまり関わろうとしてなかったのに、だんだん打ち解けて今ではここでの友達も多いよね。私も嬉しいよ」

辰野「タッチャンじゃなくてタッツン…じゃなくて辰野です。てかわざと言ってませんか?」


433: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:36:27.12 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「サシャ…コニー…楽しかったね、色々な思い出…」

サシャ「はい…」グズッ

コニー「座学で教官の似顔絵を書いたり…立体機動で木の枝を利用した凄い動き発明して教官に怒られたり…」

サシャ「夜中にお腹空いてホトリと食糧庫に忍び込んで失敗したり…」

歩鳥「タッツンの無くなった立体機動装置を探してたら実は単に私が間違えてタッツンの使ってただけだったり………寝てるジャンのノートに落書きしたりしたね」

コニー「ああ…そんなこともあったな」ハハ


ジャン「ちょっと待て!寝てる間に落書きってなんだコラ!?」ガタッ

歩鳥「ちゃ、ちゃんと消したよ…さすがに残すなんて酷い事はしないって」

ジャン「そういう問題じゃないだろ!?」

歩鳥「申し訳ありませんでした…」


ヒストリア「三人とも子供みたいな思い出ばっかりだね…」ハハハ


434: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:37:52.89 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「ヒストリアも自然体になって来たし…私も安心して帰れるよ」

ヒストリア「うん、ありがとう」

辰野「最近のあんた良い感じだよ」

ヒストリア「ホトリやユミルのおかげだよ」

静「このまま性格が歩鳥に似てきちゃうかもな~」アハハ

ヒストリア「ん…と、それはちょっと…」

歩鳥「返答に困った顔すんなよ!?」

紺「ははは」

歩鳥「そんで紺くんはユミルとは気が合わないままだったね」

紺「な、別にいいだろ」

ユミル「私も別にホトリみたいに友達いっぱい欲しい訳じゃねえよ」

コニー「よし、二人で腕相撲でもしろよ」

紺「え~?」

ユミル「何でだよいきなり」

歩鳥「激戦の末、目覚める友情って奴だね」

ヒストリア「いいね、見てみたい」

ユミル「ヒストリアまで言うか…っ」

歩鳥「先輩とユミル、どっちも意外と強いからどうなるかわからないね」

辰野「先輩は下手な男子の数倍運動神経いいからね」

歩鳥「やっぱ双葉は男だった…」

紺「おい、歩鳥、辰野。お前らも後で相手してやるから覚悟しとけ」

歩鳥「ひえっ!?」

辰野「私まで!?」


435: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:38:36.17 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「そういえばさ、ホワイトリドル止めるのってエレンの力を利用するんでしょ?」モグモグ

エレン「そうだよ」

ミカサ「ホトリ、パンをモグモグしながら喋らない」

歩鳥「それってさ…何か、大丈夫なの?危険とかはない?」


エレン「ああ…父さんが考えた方法で…座標を通して俺の精神をホワイトリドル内部の機能の中枢まで送り内から破壊する作戦らしいけど」

エレン「もしかしたら…破壊できても俺の精神も二度と戻って来れなくなるかも知れないらしい」

ミカサ「…」ギュッ

歩鳥「え!?何それ!?」

アルミン「…言っちゃったね、エレン…ホトリなら騒ぐだろうから黙っておこうって言ってたのに」

エレン「やっぱり、嘘ついたり黙ってるなんか出来ないよ」

歩鳥「…」

エレン「そんな顔すんなよ。心配するな、必ず成功させて帰るさ」

エレン「だから…お前は俺を信じて明るく居ろよ。そっちの方が俺も落ち着く」

歩鳥「…うん、わかった。頑張ってね!」

エレン「おう」


436: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 22:39:02.03 ID:w/aSNWWA0

ジャン「…最後まで騒がしい奴だったな。ホトリは」

真田「うん」

真田「でも…あいつが居ると空気が明るくなるんだ」

ジャン「…そうだな。ま、頑張れよ」ポンッ


真田「はは、お前もな」




アニ「…私達はいったん故郷に帰るつもりなんだ」

ライナー「ああ。まずは故郷の人間達を説得しなけりゃならんからな」

辰野「そっか…大変だろうけど、頑張ってね」

ベルトルト「うん」


真田「いつか皆、分かり合えたらいいな」

ライナー「ああ…いつかな…」

アニ「…」



辰野「ま、辛気臭い話は今はよそうよ」

アニ「うん」


437: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:01:27.92 ID:w/aSNWWA0



歩鳥「…さてさて、お食事も終わったところで…私に1つ面白い提案があります」


エレン「おう、なんだ?」

アルミン「面白い提案?」

静「な~に?」


歩鳥「ジャーン!これを見てみそ!」

黒リドル「…」



辰野「それ!リドルじゃないの!」

歩鳥「そそ、ブラックリドルは単に意思の通信機能や記憶解読機能があるだけだから別に危険がないというわけで破壊はしません…という訳です」

歩鳥「まあ、正確には捨てられようとしてたのを私が鼻水と涙たらしながら欲したら『まあ危険物ではないし』とくれたのであります」


静「鼻水涙流してまで欲しかったかよ~~~」

真田「何に使うんだよ?」

ジャン「玩具ではねえぞ?」


歩鳥「ふふふ…アルミンくん。この黒リドルの持つ機能は何かな?」


アルミン「えっと…だから、記憶の読み取り…」

歩鳥「それだ!」ビシッ

アルミン「え!?」ビクッ


歩鳥「ユミルの話だとこいつは記憶の『保存』も可能らしい」

ユミル「ああ」


静「ははあ~~…にゃるほど。あんたの考えは読めた!」


アルミン「もしかして…」


438: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:02:06.63 ID:w/aSNWWA0
ジャン「そいつに俺達の記憶を保存して…時代を越えた先にいるホトリ達の下へ届けようって訳か」

歩鳥「その通り!皆の記憶をこいつに保存して…そして歴史を越え私達のいる時代にもこいつが残っていれば、私達の住む町にこの黒リドルが流れてきて…また記憶として皆と再会できるかも知れないじゃないか!」

紺「へー、面白そう」

辰野「あんたにしちゃいいこと考えるじゃん」

歩鳥「えへへへ、もっと褒めて」

静「うん…これまでこの歴史は何度も繰り返して来たみたいだし…それを私達が止めた訳だけど」

静「まあ、その繰り返しだった中での私達が呼ばれたこの世界が、私達がいた元の時代より過去だと仮定したら…可能かも知れないね」

アルミン「上手く行くかは運もあるけど…」

歩鳥「いいじゃんいいじゃん、やってみようよ!」

439: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:02:32.75 ID:w/aSNWWA0

歩鳥「ついでに、よく一緒にいた私達メンバーの名前をリドルの裏に掘ろう」クルッ

マルコ「掘れるの?」

歩鳥「ブレードでは無理だった」

ヒストリア「もう試したんだね…」

マルコ「どうするの?」

歩鳥「ふふふ…私の天才頭脳は何でも閃くのだよ」

ジャン「勿体ぶらんでいいからさっさと言え」

真田「まあまあ」

歩鳥「エレンくん!硬質化の力でちょうどいいサイズの刃物を作ってくれたまえ!」

エレン「そんな事に巨人の力使わせる気かよ!?まあ別にいいけどさ!」

アルミン「でも、確かに硬質化の力で作った刃物なら掘れるかも…」

ミカサ「私とエレンの名前は是非くっつけて欲しい」

歩鳥「もちのろんだよ!」

辰野「じゃあ私は…」

紺「落ち着け」






バシュウウウウウ…


エレン「ほら、作ってやったぞ…これでいいか?」

歩鳥「お、ちょうどいいね!サンキュー!」ガリッ

ライナー(本当に硬質化で作るとは…平和的な巨人の使い方だ)


440: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:03:03.10 ID:w/aSNWWA0

辰野「うーん、でも歩鳥が掘るのは心配だわ」

静「な~んか失敗して取り返しのつかないことになりそうだもんな~~」

真田「そういう事言うな………と、言いたいとこだが否定できない……」

歩鳥「うん、自分でも思った」

紺「思ったんかい」ベシッ


歩鳥「じゃあ、ここは手先の器用なアルミンに任せよう」

アルミン「え、ぼく!?」

ミカサ「うん、アルミンなら安心」

ジャン「アルミンなら心配いらないな」

エレン「頼んだぜ」

アルミン「うん…結構責任重大だなぁ…」

歩鳥「大丈夫大丈夫」ポンッ

アルミン「わ、ちょっと今は触らないで!」

歩鳥「す、す、すみませんでした…っ!」ガクブル


辰野「あんた本当に抜けてるわね…」ハア


441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:03:34.02 ID:w/aSNWWA0

ガリッ ガリッ ガリッ



ガリッ ガリッ………






アルミン「ふう…あとはユミルの名前を掘って……完成だ」


ユミル「…私のとこは、ユミルの民と書いておいてくれ」


アルミン「え?」

コニー「何で?」


ユミル「ユミルの民の理想は…争いを無くし和解させることだった。ホトリはそれを一歩進めさせてくれた。その礼みたいなもんだ」

歩鳥「ははあ、なるほどね」


442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:04:02.48 ID:w/aSNWWA0

アルミン「…出来た」フウ


歩鳥「おー、すごい!」

エレン「上手く掘れてるじゃねぇか」

ヒストリア「さすがアルミンだね!」

ジャン「うん…まあ、悪くねえな」

真田「こいつとまた会えるかも知れないと思うとワクワクするな…」

辰野「見せてみ~…」チラッ





辰野「って、なんじゃこりゃあああああ!?」

歩鳥「うわ!?突然なに1人ツッコミしてんだよ、タッツン!?」

ライナー「何か不満でもあるのか?」

静「変なとこは別に無いと思うけど?」

辰野「見て!ちゃんと見て!」





『リドルの裏に掘られた文字』』

エレン・イェーガー
ミカサ・アッカーマン
アルミン・アルレルト
ジャン・キルシュタイン
マルコ・ボット
コニー・スプリンガー
サシャ・ブラウス
ヒストリア・レイス
ホトリ・アラシヤマ
ヒロユキ・サナダ
タッツン
シズカ・カメイドウ
フタバ・コン
ライナー・ブラウン
ベルトルト・フーバー
アニ・レオンハート

ユミルノタミ



辰野「なんで!私だけ!タッツンなんだ!」


443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:04:29.47 ID:w/aSNWWA0

アルミン「あ…ごめん!いつもの癖でつい…」

ミカサ「ごめんなさい…もうタッツンが定着してしまっていて…」

マルコ「でも…タッツンっていいアダ名だと思うよ…?」


辰野「…うん…まあ、いいよ。タッツンで……私も騒ぎすぎたよ。せっかく掘ってくれたのにケチつけるのも悪いもんね。それに考えようによれば、タッツンってアダ名こそが皆との思い出と言えるかも知れない…」

辰野「大事なのは、掘られてる名前じゃなくて…思い出だもんね!」

アニ「…うん、その通りだね」

コニー「良いこと言うじゃねえか」

歩鳥「そうそう、タツノでもトシコでも…タッツンはタッツンなんだから、思い出を大事にしようね、タッツン」

辰野「あんたね、余計なこと言わなくていいから」


444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:05:28.68 ID:w/aSNWWA0

―――――――

翌日





白リドル「…」


歩鳥「ついに帰るときが来たね…」

紺「うん」

静「色々あったね」


エレン「お前ら、あっちに行っても元気でな!」

ミカサ「…ホトリは不思議な子だった…」

アルミン「うん。あんな人は初めて見たよ…」

歩鳥「アルミン!黒リドルは任せたからね!」

アルミン「うん、皆の所に届けれるように大事にしておくよ」

歩鳥「ミカサ!エレンと仲良くね!」

ミカサ「照れる」

歩鳥「エレン!ホワイトリドル止めて…ちゃんと無事戻れよ!」

エレン「言われなくてもわかってるよ!!」



ライナー「…ついに行っちまうんだな…」

ベルトルト「…色々巻き込んでしまってすまなかった」

真田「いいんだよ。俺も…お前らに会えて良かった」

辰野「途中でくじけたりしちゃダメだよ。頑張ってね」

アニ「うん…和解させてみせるよ」

ライナー「それが俺達の罪滅ぼしだ…まあ、都合のいい考えかも知れんが」

エレン「そうだな、お前らに都合のいい考えかも知れん」

ベルトルト「エレン…」

445: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:05:58.48 ID:w/aSNWWA0

エレン「でも、本気で罪滅ぼししたいと思ってるなら何も言わねえよ…黙って見ておく」


ベルトルト「…うん…ごめんね…」

エレン「こんなときに辛気臭い話はやめようぜ」

ライナー「ああ…」

歩鳥「…私はエレン達もライナー達も好きだからね!」

エレン「ははっ」

ライナー「ありがとうな」


446: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:19:33.09 ID:w/aSNWWA0

ジャン「…あばよ。なんだかんだで楽しかった」

マルコ「ずっと忘れないよ」

サシャ「ううう…!寂しくなりますよぉ…!」

コニー「これは涙じゃねぇ…汗だ」グスッ


歩鳥「あはは、皆いつまでも忘れないでね」

紺「…楽しかったよ」

真田「じゃあな、コニー、サシャ、マルコ…ジャン」

真田「お互い、頑張ろうな。友よ」

ジャン「おう、お前も諦めんなよ」

歩鳥「あの二人なに話してんの?」

静「恋の話だよ」

紺「結局お前は本当に気づいてないのか?歩鳥」


ヒストリア「…みんな…楽しかったよ。バイバイ」

歩鳥「うん、ヒストリアも今の調子で元気でいるんだよ」

ヒストリア「本当に…ありがとう」グスッ

歩鳥「笑って笑って。笑顔でお別れしようよ」

紺「それがいいな」

ヒストリア「うん…」

ユミル「…お前らが来なかったら…また歴史の繰り返しになっていたかも知れない。ありがとうな」

歩鳥「うん。じゃあね、ユミル」

紺「…また腕相撲したかったな」

ユミル「…はっ、そうだな」

辰野「本当に少し友情が芽生えてる」

ヒストリア「お~…」

真田「そういえば…どっちが勝ったんだ?」

歩鳥「ん~?」


447: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:20:06.30 ID:w/aSNWWA0

リヴァイ「…間に合ったか…」ザッ

歩鳥「!あ、兵士長さん!」

ハンジ「本当はもっと色々話を聞いてみたかったんだけどね」

リヴァイ「…ホトリだったか?こいつらが、お前らに一言謝りたいそうだ」

歩鳥「!」

駐屯兵「…すまない。あの時は、巨人への怒りや焦りで…頭が一杯で…」

憲兵「申し訳ない」

歩鳥「いやいや、いいですって。気にしないでください」

歩鳥「これからも頑張ってくださいね」

駐屯兵「ああ…すまない。ありがとう」


448: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:20:33.03 ID:w/aSNWWA0


ケニー「…俺も知らない世界か。ちょっと興味あるが…」


歩鳥「あ、おっちゃんもいたんだ。来る?」

ケニー「いや、やめとくよ。見送るだけでいいさ」


歩鳥「憲兵団のとこでは助けてくれてありがとうね!」


ケニー「おう。じゃあな」


ケニー(俺は結局生きてる………)

ケニー(ま、もう少しの間待ってろよ…クシェル…ウーリ)



449: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:21:20.15 ID:w/aSNWWA0


ジーク「…そろそろいいかい?君たち」

歩鳥「猿のおっちゃん」

真田「ジークさん…来てたんですか」

ジーク「ああ…タッツンも、思えば長い事俺達といたな。元気でな」

辰野「あはは。お元気で」


エレン「じゃあ…そろそろホトリ達を帰そう」

アルミン「そうだね」

歩鳥「うん…」



歩鳥「キリエ、アリオ…もういいよ。私達を元の世界に送ってくれても」

白リドル「…」

アリオ(わかった…じゃあ始めよう)

キリエ(ありがとう…歩鳥……ずっと忘れない)


歩鳥(…うん…二人も…もし生まれ変われたら……私の所まで来てね)



白リドル「…」カアアアアッ


真田「来た…っ」

静「いよいよだね…これで私達は帰れる」


紺「長かったね…」

辰野「うん」

歩鳥「みんな、元気でね!バイバイ!!」



カアアアアッ!!!!!!


450: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:21:46.68 ID:w/aSNWWA0









シュウウウウウ………



エレン「………ホトリ達の姿がなくなった…」

ミカサ「帰れたのね…」

アルミン「うん…帰ったら、この世界での記憶も無くなっちゃうらしいけど…」


ジャン「…そのために、黒リドルをあいつらのいる時代に届くまで大事にしとくんだろ」

アルミン「うん」


ヒストリア「…うう…」

サシャ「うわあああん…」

コニー「寂しくなるぜ…っ」

ライナー「…」


ライナー「これから…頑張らねばな…」



451: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:22:15.27 ID:w/aSNWWA0


アルミン「…ふう…さて…最後に」


ミカサ「…ホワイトリドルの機能を止める…」

エレン「ああ」


アルミン「…危険も伴うらしいけど…」

ミカサ「…っ」

エレン「やってやるさ」



ジーク「待ちな」

エレン「!」


ジーク「エレン…お前がそんな危ない事をする必要はないよ」

エレン「ジーク…!?」


アリオ(エレン…ホワイトリドルは俺達で止める)

キリエ(あなたは…未来を生きて)

エレン「…!?キリエと…アリオ?」


ジーク「…こいつは俺が始末する。若者は…まだまだ長い未来があるだろ」

ライナー「戦士長…なにを…」


ジーク「…次の戦士長は四足くんに託してある。彼と一緒に壁内人との和解を進めなさい」

ベルトルト「…!」


ジーク「アリオ…キリエ…昨日話し合った通りにやれるか?」ザッ


452: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:22:49.98 ID:w/aSNWWA0

ジーク「あと…これには…エレン、君にも少し協力してもらうよ。でも君はサポートくらいだから危険はない、安心してね」

エレン「…わかった」


ジーク「…グリシャ…文句は無いだろ?」

グリシャ(…)


ジーク「無いようだな。始めよう」





ジーク「アリオ、キリエ、タイムスリップ機能…作動開始」

白リドル「…」


ジーク「エレン…君は座標を通し、ホワイトリドルの内部を少しだけいじってもらう。深いとこまでは行かないから危険はない」

エレン「わかった…」


エレン「…」グッ



アルミン「なにをする気だ?」


ジーク「タイムスリップ…移動場所指定…」


ジーク「生物のいない星だ」


453: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:30:37.14 ID:w/aSNWWA0
―――――――

ホワイトリドル内部


エレン「う…これは、リドルの内部か…」



グリシャ「そうだ。ジークに言われた通り、深くまで行く必要はない」

エレン「父さん!」

グリシャ「…私も手伝おう」


キリエ(エレン!気をつけて!)

エレン「!」



レイス「…邪魔はさせん…」

グリシャ「…初代レイス」

エレン「え!?」

レイス「ホワイトリドルを破壊はさせん…人類の為には…」

エレン「うるせぇよ、こんなもん必要ねぇ…」

レイス「必要ないだと!?わかっているのか!?人類を管理するものがなければ…野放しにしていればいずれ世界全体をも破壊し…」

エレン「………」

エレン「俺は、人間の可能性を信じる」

グリシャ「…ああ、俺もだよ。エレン」

レイス「!!」

エレン「ミカサを、アルミンを、仲間を…皆を、ホトリ達のいる世界を守るために」

エレン「ホワイトリドルなんざ、ぶっ壊してやる!!」


454: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:36:46.77 ID:w/aSNWWA0
レイス「貴様…!」

グリシャ「そこをどけろ!!」

レイス「ぐう…っ」



キリエ(…レイスは、後は私に任せて)

エレン「!」



キリエ「…もう…やめましょう」

レイス「!!この声は…キリエ!?」

アリオ「…もういいんだ。間違っていたんだよ…」

アリオ「そもそも…人類を管理しようなんて、それこそ神様気取りで傲慢だよ」

キリエ「…ねえ…レイス…あなたは」

キリエ「あなたが最初に望んでいたものは何?」

レイス「…私が…最初に望んでいたもの………」

レイス「…全ての人間が…幸せに暮らせる世界…」

キリエ「…ホワイトリドルなんかでは…人は幸せになれないわ」

レイス「………」


レイス(私は…間違っていたのか……どこから、間違っていたのだろう………そうだ…私は…ただ…)

レイス(…平和な世界を……)


455: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:38:58.44 ID:w/aSNWWA0


エレン「………」

グリシャ「エレン、こちらに集中しろ」

エレン「あ、うん!」

グリシャ「…ここから座標の力を使い…ホワイトリドルのプログラムを少し書き換えるのだ。エレンと私がいれば…機能に干渉しやすいはずだ」

エレン「わかった…やるぞ、父さん」



456: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:44:34.01 ID:w/aSNWWA0
―――――――

エレン「…う…」パチ

ジーク「…エレン…終わったかい?」

エレン「…ああ、こっちは終わった」

ジーク「お疲れさん。じゃあ…行ってくるよ。この白リドルと共に」

エレン「え?」

ジーク「本来リドル自身を転移や地球外への転移は不可能だが…リドルに干渉しやすい人工生命体やがいたことでホワイトリドルのプログラムを書き換えることが出来た」


ジーク「誰も居ない惑星へ、俺が…ホワイトリドルと共に転移する」

アルミン「!?」


ジーク「じゃあね」



カアアアアッ!!!



457: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:46:44.14 ID:w/aSNWWA0




生物のいない惑星



キリエ(…ジーク…)


アリオ(本当にこれで良かったのか?二度と戻れないぞ…)


ジーク「問題ないさ…元から死ぬつもりだった」

白リドル「…」


ジーク「こいつで仕上げだ…戦士の故郷に一本だけ持っていた…禁断の巨人能力の注射だ」

ジーク「こいつは…惑星一つ吹き飛ばす威力を持っている。自分も巻き込むがな」

ジーク「…この惑星に今いる生物は俺だけ…俺が消えればこいつは星から生物がいなくなったと判断するだろう。惑星が無くなりゃ生物も生まれなくなる。生物がいなけりゃこいつも役目が無くなり機能停止する」

ジーク「…あばよ」プスッ



カアアアアッ!!!









チュドオオオオオオンッ!!!!!







生物のいないある惑星が破壊され…
ホワイトリドルは宇宙を漂った…

人間のいない空間…
ホワイトリドルは人類を管理する為に作られたシステム
生命反応のない場所で、ホワイトリドルは自分の役目が終わったと自己判断し…
機能を完全に停止させた。
もう二度と…動く事はない。





そして、機能が停止したことにより壁と無知性巨人…座標は世界から無くなり

アリオとキリエの魂は解放され天に昇った…



458: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:48:26.24 ID:w/aSNWWA0

―――――――

―――――



ああ…そうだ、思い出した…

歩鳥「これは…あの時の記憶だ……黒リドルはちゃんと……私達のとこまで、来たんだ…」


歩鳥「…ん?まだ続きがある?この映像は…」





歩鳥「…!別れてから1年くらいの皆の映像だ!!」




459: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/19(月) 23:58:32.83 ID:w/aSNWWA0
―――――――

エレン巨人「…」ズシッズシッ

鎧の巨人「…」ズシッ

超大型巨人「…」ズウウンッ

ジャン「よーし、そこだ。いいぞエレン!ライナー、もっと材料運んで来てくれ!」


アルミン「…ホトリ達と別れてから1年がたった。もう壁や無知性巨人は無くなり……エレンやライナー達の巨人の力を利用しながら、街の復旧作業をしている」

コニー「おい、何一人言言ってんだ?アルミン」

アルミン「わ、ちょっと、今この黒リドルに記憶を保存させてる最中なんだよ…」

コニー「あ、そうなのか。すまん」



ミカサ「エレン、みんな。そろそろ休憩にしよう」

エレン「ああ」ジャリッ

ライナー「ふう…」

ベルトルト「疲れた…」

アニ「お疲れ様」

ジャン「あんま無理して巨人の力使いすぎると身体に負担かかるんだろ?程々にな」


ライナー「ああ、大丈夫だ。復旧作業の手伝い程度なら休憩さえ取れば問題ない」


460: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:07:36.77 ID:Q/5pBQMA0
マルコ「…ふう…あっちもだいぶ建て直して来たよ」ジャリッ

サシャ「そう言えば、ライナー達の故郷の人とは進展は?」

アルミン「うん…女王になったヒストリアが中心にちょこちょこ向こうまで話に行ってるらしいけど、なかなか上手く進まないらしいよ」

ライナー「やはり…簡単には行かんな…」

エレン「…まあ、焦ってもいけねぇよ。そういうのは」

ベルトルト「うん」

ジャン「そういや、黒リドル持ってきてどうしたんだ?アルミン」

アルミン「ああ、ちょうどホトリ達と別れてから1年だし…皆の事をこいつに保存しておこうかと」

コニー「じゃあ、ヒストリアも呼んでこようぜ」

アルミン「でも、今は女王だし…」

ミカサ「大丈夫、あのこ意外と暇だから」


461: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:12:25.38 ID:Q/5pBQMA0


王政本部


ウルクリン「…ヒストリア」

ヒストリア「ん、どうしたの?」

ウルクリン「友達が呼んでるよ」

ヒストリア「え!?」ザッザッ

ガチャッ

ユミル「よう」

アルミン「ヒストリア…ちょっといいかな?」

ヒストリア「うん、どうしたの?」

アルミン「ホトリ達と別れてから1年って事でこの黒リドルに僕達の記憶保存しておこうかと思うんだけど…一緒に来る?」

ヒストリア「うん、行きたい!」

ロッド「ちょっと待ちなさい、ヒストリア。女王の仕事は…」

ヒストリア「ごめん、お父さん代わりにお願い!!」

ロッド「ええ!?」

ウルクリン「あはは」



ケニー「…ま、女王の護衛なら俺がやってやるから心配すんなや」ジャリッ


462: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:18:23.02 ID:Q/5pBQMA0





ヒストリア「お待たせ!」ザッザッザッ

エレン「お、皆集まったか」



アルミン「じゃ、今の皆の姿をこの黒リドルに残しておこう」

ミカサ「うん」

ジャン「あいつらは元気にやってるかな…」

ライナー「元気にやってるだろうさ」

アニ「特にホトリは騒がしいからね」

アルミン「あはは」

コニー「ホトリー!みんなー!見てるかー!?」

サシャ「私達は元気ですよー!!」



エレン「こらこら、お前らで独占するな」

アルミン「とりあえず、皆の笑った顔を保存しようか」

ミカサ「笑った顔」

エレン「ちょっと恥ずかしいな」

ジャン「ま、いいじゃねえか。それもよ」


463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:25:34.99 ID:Q/5pBQMA0

―――――――

―――――



歩鳥「…エレン…ちゃんと成功できたんだね。あはは…皆、元気でやってる」

歩鳥「…ん?さっきのから更にまだ先の映像が…」

………ホトリ……聞こえてるかい?僕…アルミンだよ


歩鳥「…!アルミン!?すっかり老けちゃってまあ…」


あれから何十年も経ち…色々大変な事はあった…でも、何とかライナー達の故郷と分かりあえるとこまで来れた

歩鳥「!!」

そして…悪用されたら危険な巨人化の技術も…僕らの世代で完全にこの世から抹消させるつもりだ…



…この僕の記憶が君のところまで本当に届いているのかわからないけど…
もし見ているのなら、安心してくれ…僕らは何とか平穏を築いているから

歩鳥「…うん…ちゃんと届いてるよ…」



でも、この先なにがあるかわからない…人が増えればまた世界で戦争が起きるかも知れない…でも、それでも…

人間の可能性を信じよう…どれだけ道を間違えたって、また正すことだって出来るはずなんだから

歩鳥「うん…」


じゃあね、ホトリ…

いつまでも笑顔でいてね。僕らも笑顔でいるから。

歩鳥「…あはは…最後に皆の笑顔の映像を残すなんて………涙出てきたじゃん」ポロッ


464: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:34:17.33 ID:Q/5pBQMA0

――――――――


―――――


―――



丸子商店街


丸子病院



歩鳥「…んがっ!?」パチッ



黒リドル「…」


歩鳥「…ここは…病院?」

紺「う…寝て、た…?」パチッ

静「…ん~…?」パチッ

辰野「う…あれ?」パチッ

真田「あれ、何か…見てたんだけど…」パチッ

嵐山母「歩鳥!!」

嵐山父「良かった!目が覚めたんだな!!」

歩鳥「うわ!お父さん、お母さん!」


ウキ「良かった…目が覚めてくれた…」

歩鳥「ああ、そうだ…このリドルを見てたら寝ちゃったんだっけ…うーん、何か見てたんだけど思い出せないなぁ」

歩鳥「でも…これだけは何となくわかるよ。このリドルは…すごく大事なものだって…そんな気がするんだ」

ウキ「…おい、歩鳥や。どうしたんだい」

歩鳥「え?」

ウキ「涙が出てるよ」


歩鳥「あ、本当だ…でも…」

歩鳥「何だか…暖かい気持ちの涙だよ」



465: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:34:52.28 ID:Q/5pBQMA0




一週間後…



亀井堂


静「よう、歩~鳥~」

歩鳥「ねーちゃん、この小説読んでよ。私が書いたんだ」

静「はいはい、見せてもらうよ~」


黒リドル「…」

歩鳥「相変わらずここにあるんだね、リドルは」

静「うん、この前から余計捨てたくない気分になっちゃってね」

歩鳥「…私にとっても宝物だよ」

静「うん」

歩鳥「さーてと、頼まれた買い物しなきゃ。読み終わったら教えてね!」

静「はいよ。行ってらっしゃ~~~い」



466: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:35:17.46 ID:Q/5pBQMA0





紺「…あ、歩鳥」

歩鳥「先輩!こんにちは!」

紺「これからシーサイド行くとこだったんだけど…」

歩鳥「私、ばあちゃんに頼まれて買い物の途中だったんですよ!」

紺「ふーん。付き合うよ…心配だし」

歩鳥「心配って…子供じゃないんだから…」

紺「はは」

歩鳥「…先輩もうすぐ受験でしたっけ?」

紺「うん…」

歩鳥「頑張ってくださいね、応援してますから」

紺「ありがとな」


467: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:35:43.11 ID:Q/5pBQMA0

―――――――――――

――――――――



ラーメン屋 大名行列


歩鳥「やっぱり美味いねえ、ここのラーメン」ズゾゾ

辰野「あんたいつもチャーシュー麺ね」

歩鳥「タッツンこそいつも天津麺じゃん」ズゾゾ

真田「どっちも美味いじゃん」ズルッ


辰野「はあ…もうすぐ進路決めなきゃダメだよね~…」

真田「うん、一年生の頃は時間あるし大丈夫だろと余裕こいてたら…意外と時間経つの早いし決まらない…」

辰野「ほんと、あっという間だよね」

歩鳥「私は…図書館の司書とかいいかな~…とか、思ってんだよね」ズズッ

真田「へえ~…司書ね」

辰野「おお、まともな進路じゃないの。確かにあんた本好きだもんね」

歩鳥「そんで、司書探偵とか…」

辰野「いや、探偵はいらないけどね」

歩鳥「おいっ!?」ベシッ

真田「ははは…」


468: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:36:10.73 ID:Q/5pBQMA0


歩鳥「はあ~…美味かった。ごちそうさま~!」

真田・辰野「ごちそうさま~」


歩鳥「さて、次はどこへ行こうか!」

辰野「昼からシーサイドでバイトだろ」ベシッ

歩鳥「そうでした!」

真田「じゃ…俺もシーサイド行くかな」

辰野「うん、来て来て!」

歩鳥「貴重なお客様だ、大歓迎だぞ真田くん」

真田「遠回しに客いないって言ってるようなもんだな」

辰野「メイド長が聞いてたらキレてるわね」



???「キャッ!」

歩鳥「!悲鳴!?大丈夫ですか?お姉さん!」

???「…さっき…通りがかりの男にバッグを盗まれました…」


真田「どうした?嵐山」

歩鳥「この二十代の綺麗なお姉さんがバッグを盗まれたらしい!さっそく追いかけてくる!」

真田「なんだって!?俺も行く!」

辰野「あ、私も!」

???「皆さん…ありがとうございます」


469: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:36:38.45 ID:Q/5pBQMA0


泥棒「…」ダダダダッ

歩鳥「くそ…っ、あいつ早い!!」


紺「なにしてんだ?歩鳥」

歩鳥「あ、先輩!あいつお姉さんのバッグを盗んだんです!追いかけてください!」

紺「ん~…仕方ねえな…追いかけてやるよ」ジャリッ


紺「ふっ!!」ドウッ

ダダダダダダ!!


歩鳥「うわ!先輩はやっ!?」



紺「捕まえた!!」ガシッ

泥棒「ぐえっ!」ドサッ

歩鳥「ははは、どうだ見たか!」

紺「捕まえたのは私だぞ、歩鳥」


470: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:37:29.19 ID:Q/5pBQMA0

歩鳥「お姉さん…これ、バッグです」

???「あ、ありがとうございます!!ありがとうございます!!」

紺「いえ…」

歩鳥「ふふ、照れてますな先輩」


「姉ちゃん!なにしてんだよ!」

???「あ、さっきバッグを盗まれて…この人達が取り返してくれたの」

「そうなんだ…どうもありがとう」

歩鳥「いえいえ、当然のことをしたまでで」

紺「弟さんですか?」

???「はい」


真田「お~い、嵐山!」

辰野「そろそろ行かなきゃバイト遅れるよ!」

歩鳥「あ、本当だ!それでは!」



???「…本当にありがとう」



「…姉ちゃん、盗まれた時に怪我しなかった?姉ちゃん二十歳になってもおとなしい性格だから」


???「そんな心配しなくても大丈夫だって…私だって大人よ」

???「あなたこそ、高校生にもなって子供っぽいじゃない……アリオ」


アリオ「子供っぽいとは、失礼だな。姉ちゃん」


キリエ「ふふ」


アリオ「そういえばさ、丸子商店街に変わったメイド喫茶があるんだって行ってみようよ!」

キリエ「はいはい。行ってみよっか」


471: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:37:56.27 ID:Q/5pBQMA0

歩鳥「…」





何気ない日常…平穏な日々
それはちょっとした拍子で崩れ去る事もある。


でも、私達は日々…明日も平穏な世界であるよう祈りながら暮らしている


楽しい事 悲しい事 嬉しい事 ムカつく事 憎たらしい事 残酷な事 不幸な事 幸せな事

この様々な人間が生きている世界では…様々な事が起きている。
それでも私達は…未来を信じて生きていかなければならない。

良い事も悪い事も全て引っくるめて…この私達の世界は存在している。



明日も…またこんな何気ない日常が続きますように。



そう信じながら…

それでもこの世界は…



472: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:39:25.73 ID:Q/5pBQMA0


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喫茶シーサイド

カラン コロン



歩鳥「めいどっ!!!」




…それでも町は廻っている



473: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/20(火) 00:39:51.74 ID:Q/5pBQMA0

おしまい