1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:18:33.71 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我、目覚めたり」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトはベッドから体を起こすと、腕をぐっと伸ばした。
一日の始まりである。
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:22:57.06 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「漆黒なる発酵食品と、暗雲渦巻く熱湯を食す」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの朝食は、いつも黒パンとブラックコーヒーである。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:23:44.29 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我が牙を蝕む微生物どもに死の制裁を」シャカシャカシャカ
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの歯磨きは非常に念入りである。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:24:44.82 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「黒き鎧を装着せし時、我、騎士となる」
鈍く黒光りする鎧を装備すると、闇に堕ちし騎士・ダークナイトは騎士団駐屯地へと出動する。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:28:02.38 ID:orJSvlZVo
騎士A「おはようございます!」
騎士B「おはようございます!」
白騎士「おっす!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「お早う。我は闇に堕ちし騎士・ダークナイトなり」
大勢の騎士が、闇に堕ちし騎士・ダークナイトに挨拶をする。
後輩騎士「先輩、おはようございます!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「君は女性でありながら、声は男性よりも快活でよろしい」
後輩騎士「あっ、今の言葉、女性差別ですよ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我、失言せり」シュン…
後輩騎士「アハハ、冗談ですよ、冗談!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:30:59.88 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「これより訓練を開始する」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは騎士の中でもトップクラスの実力を誇り、
騎士団では教官のような役割を務める。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:34:07.80 ID:orJSvlZVo
キィンッ! ギンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「貴様ら、訓練不足なり」
キンッ! ギィンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「そのような腕前では、民を守ることかなわぬ」
騎士A「す、すみませんっ!」
騎士B「申し訳ありません!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの訓練に妥協はなく、厳しい。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:40:07.25 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「しかし……精神力は一人前になってきたようだ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あとはひたすら鍛錬あるのみである。恐れず我についてこい!」
騎士A「はいっ!」
騎士B「光栄です!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトはムチを浴びせた後は、アメを与えることも忘れない。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:42:58.56 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「次は後輩、かかってくるがよい」
後輩騎士「お願いします!」
キィンッ! ギンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「だいぶ腕を上げたが、まだ脇が甘い」
後輩騎士「はいっ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは女性にも分け隔てなく接する。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:45:51.23 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「あのう、白騎士さん」
白騎士「ん?」
後輩騎士「先輩はどうして≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫になってしまったんですか?」
白騎士「あいつの過去を……知りたいのかい?」
後輩騎士「知りたいです!」
白騎士「やめときな……後悔するぜ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの過去は深い深い闇に覆われている。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:48:57.94 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「迷える子羊たちを導かねばならぬ」
昼食(イカスミスパゲティ)を食べ終えると、闇に堕ちし騎士・ダークナイトは任務遂行のため町に出る。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:51:10.76 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「そっちは馬車が通るから危ないよーっ!」ピピーッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「こっちは大規模なペンキ塗りをやってるから近づかないでねー!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「はーい、みんなさようならー!」
子供A「さようならー!」
子供B「さよならー!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは、交通安全の誘導が得意である。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:54:31.46 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「本日の任務終了なり」
白騎士「お疲れ!」
後輩騎士「…………」
交通安全やパトロールを終え、これといって事件が起こらなければ、
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの任務は終了となる。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:58:13.36 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「先輩っ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「……ん?」
後輩騎士「私、先輩にどうしても聞きたいことがあるんです!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「質問する権利を与えよう」
後輩騎士「先輩の過去を教えて下さい! なぜ≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫になったんですか?」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「それを聞いても後悔せぬな?」
後輩騎士「しませんっ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ならば教えてやろう……我が過去を」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトに秘められし過去が、ついに明かされる。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 01:59:27.43 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あの日を思い出すたび、我の心と体は漆黒の闇に沈んでいく……」
後輩騎士「…………」ゴクッ
生唾を飲み込む後輩騎士。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 02:02:40.14 ID:orJSvlZVo
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「実は五年前、私は任務中にドブ川に落ちてしまってね」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「なにしろ鎧をつけてたから、いくらもがいても体が沈むわ沈むわ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「どうにかはい出ることはできたんだけど、鎧の黒い汚れが全然落ちなくてね」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「それを白騎士たちに“闇堕ち”ってからかわれて、ならいっそ開き直ることにして」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫を名乗ることにしたんだ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「で、キャラを演じてるうちに、すっかりその気になっちゃって……」
後輩騎士「…………」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 02:05:49.35 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「うわああああんっ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ああっ!?」
衝撃の過去を知った後輩騎士は、闇に堕ちし騎士・ダークナイトから逃げるように走り出した。
町に飛び出す二人。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 02:08:39.81 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「うわあああああああんっ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ま、待ってくれ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「こんなしょぼい過去で、本当にすまない……!」タタタッ
泣きながら走る後輩騎士と、謝りながら走る闇に堕ちし騎士・ダークナイト。
すると――
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 02:12:31.11 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「アハハ、冗談ですよ、冗談!」クルッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「へ?」
後輩騎士「全然しょぼくないですよ! 先輩らしい、いい過去じゃないですか!」
後輩騎士「むしろ先輩のこと、余計好きになり――」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あっ、走りながら急に振り返ったら――」
後輩騎士「へ?」
後輩騎士「きゃっ!」ズルッ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 02:16:11.93 ID:orJSvlZVo
ベチャッ……
後輩騎士「あらら……鎧がペンキまみれに」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「今日ここは大規模なペンキ塗りが行われてるんだよ」
ペンキ職人「大丈夫かい!? 立て札を用意しとくの忘れてた! すまんかったな!」
後輩騎士「こちらこそすみませんでした……」
後輩騎士「ところで……この赤い色、多分洗っても落ちませんよねえ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ちょっと難しいかもしれないね」
22: ◆uXA4XbKdQg 2016/10/01(土) 02:19:16.94 ID:orJSvlZVo
後輩騎士「よーし、だったら! 私も先輩みたいに開き直ります!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「へ? どういうこと?」
後輩騎士「私も≪紅炎に彩られし騎士・レッドナイト≫になります!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「えええええ!?」
この瞬間こそまさに、
後に国中の騎士・兵士から尊敬を集めることになる二人組の騎士≪闇炎ナイツ≫誕生の瞬間であった――
― 完 ―
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