1 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:20:17 ID:RI1atSik
バハムー娘「おーい起きろー!ご飯の用意ができたぞ!」
男「むー…ん」
バハムー娘「ほらっ、早く食べてくれないと冷めてしまうだろう!」
男「休みの日はゆっくりさせてくれっていつも…」
バハムー娘「起きてくれないと灰にするぞ?」ボボボッ
男「起きます」ムク
2 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:22:32 ID:RI1atSik
男「いただきます」
男「今日もうまいな。ずいぶん上達したよな、料理」モグモグ
バハムー娘「ふん!私をなめるな!」
バハムー娘「それに、褒めても何も出んぞ?////」プン
男「掃除もすごく丁寧だ」
バハムー娘「だ、だから、褒めても何も…////」
男「なかなかに素晴らしい」ナデナデ
バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー
バハムー娘「はっ////」
3 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:23:45 ID:RI1atSik
バハムー娘「ほ、褒めるようなことでもないだろっ!////」
バハムー娘「私は…、お、恩をお前に返しているだけなんだから!」
男「んな、恩てったって、腹減らしてた所を助けただけだろ?」
バハムー娘「まあ、そうなのだが…、よくもまあ、人外など家に住まわせたものだな」
男「居候して随分経つのに、何を今更」
男「それにバハムー娘は悪いヤツじゃないし」
バハムー娘「お、お前にそう言われると…嬉しいな////」
男「可愛いなぁ」ナデナデ
バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー
4 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:24:49 ID:RI1atSik
――
男「ごちそうさま」
バハムー娘「はいよ」
男「ホントに上達したよな、家事」
バハムー娘「ふん!」フン
男「料理だって最初の頃は…」
……
5 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:28:48 ID:RI1atSik
―
――
―――
バハムー娘「世話になりっぱなしだと、居候としては肩身が狭いな」
バハムー娘「よし!夕飯は私が作ろう!」
男「料理、ちゃんとできるのか?」
バハムー娘「庶民にできて、龍貴族の私にできないワケないだろう?」フン
バハムー娘「今日の夕飯は…」ガサガサ
男「サバを焼こうかと」
バハムー娘「焼くか!私の専売特許だな!」
バハムー娘「チマチマ焼かなくても、一発でこんがり焼いてやろう!」
6 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:29:45 ID:RI1atSik
男「ほう」
バハムー娘「見ていろ」フォーク、ブス
バハムー娘「すぅうぅううう!」
男「?」
バハムー娘「ん」プクー
バハムー娘「ほっ」カッ!
男「!!?」
ズドドゴバボンッ!!!!!!
ズズズン…
男「あっづっ!!な、何した、お前!」
バハムー娘「ふぉふっ、私の体内で起こした化学反応で炎を作り出してだな…」
サバ「」
7 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:31:01 ID:RI1atSik
バハムー娘「お前!サバを何処にやった!?」
バハムー娘「さては一人占めしたな!?まったく、卑しいヤツだな!」
男「アホか!お前は!」
ドンドンドン
大家「大家ですけど!!今お宅からすごい音がして、アパート揺れたんですけど何をしたんですか!?」
男「ああっスイマセン!スイマセン!」
―――
――
―
8 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:31:23 ID:RI1atSik
バハムー娘「言わないで…////」
男「今では焼き加減も完璧だ」
バハムー娘「ふ、ふん!当たり前だ!」
男「あと、掃除もな…」
……
9 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:33:43 ID:RI1atSik
―
――
―――
バハムー娘「世話になりっぱなしだと、居候としては肩身が狭いなぁ」
バハムー娘「よし!掃除は私がしてやろう!」
男「掃除、ちゃんとできるのか?」
バハムー娘「庶民にできて、龍貴族の私にできないワケ無いだろう?」フン
バハムー娘「では…」バサッ
男「おお、龍の翼!…を出してどうする?」
バハムー娘「風を起こす!この翼でな!」
バハムー娘「チマチマ掃かなくても、一発でさっぱり掃いてやろう」
10 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:35:03 ID:RI1atSik
男「ほう」
バハムー娘「見ていろ」バサッ
バハムー娘「んー!」グググッ
男「?」
バハムー娘「んー」ググー
バハムー娘「ほっ」バサッ!
男「!!?」
ブボフォアアアァァァ!!ガチャンパリン!!ドンッガタッ!!ドン!
ズズズン…
男「あいたっ!!な、何した、お前!」
バハムー娘「ふぅふっ、私の翼で起こした風で竜巻を作り出してだな…」
部屋「」
11 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:37:05 ID:RI1atSik
バハムー娘「お前!なぜすぐに散らかす!?」
バハムー娘「まだまだ子供だな!まったく、かわいいヤツめ!」
男「アホか!お前は!」
ドンドンドン
大家「大家ですけど!!今お宅からすごい音がして、アパート揺れたんですけど何をしたんですか!?」
男「ああっスイマセン!スイマセン!」
―――
――
―
12 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:38:26 ID:RI1atSik
バハムー娘「言わないで…////」
男「今では隅々まで完璧だ」
バハムー娘「ふ、ふん!当たり前だ!」
男「あと…」
バハムー娘「もう言わないで…」シュン
男「そう落ち込むな」
バハムー娘「ふふふ」
バハムー娘「そうだな…私は一人だと何もできなかった」
バハムー娘「だが今は、お前のおかげで随分成長したと思うぞ」
ピンポーン
13 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:39:43 ID:RI1atSik
男「はーい」
バハムー娘「あ、多分私だ」
バハムー娘「はいはーい」
?「内職受け取りに来ましたー!」
バハムー娘「はーい!少し待ってくださーい」
男「運ぶの手伝うよ」
バハムー娘「すまんな」
14 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 04:41:04 ID:RI1atSik
依頼主「いやぁ、バハムー娘さんの作業、丁寧だって本社内でも評判ですよ」
バハムー娘「そ、そうなんですか?」
依頼主「しかも丁寧な上に、作業のスピードも速いときた!」
バハムー娘「褒めて頂いて光栄です」
依頼主「これからもよろしくお願いしますね」
バハムー娘「いえっ!こちらこそ今後ともよろしくお願いします!」ペコリ
依頼主「はい」
依頼主「では、これが次回分の内職と…」
依頼主「それと、こちらが今月分のお給料です」
バハムー娘「ありがとうございます!」ペコ
依頼主「はい、またお願いしますね」
バハムー娘「よろしくお願いします」ペコ
18 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 13:07:03 ID:RI1atSik
バハムー娘「おおー!今回は結構な額だぞ!」
男「うちの家計も大いに助かってるよ。いつもありがとう」
バハムー娘「まあ世話になる以上、働かざる者食うべからず、だからな」
男「そういやお前、本社から正社員にならないかって誘われてたんだろ?」
男「内職から正社員ってすげぇ良待遇、なんで断ったんだ?」
バハムー娘「あ、ああ、まあ、その…あまり目立った生活はしたくないしな。嬉しいが断らせてもらったよ」
バハムー娘「それに…」チラ
男「ん?」
バハムー娘「なんでもない////」
19 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 13:08:46 ID:RI1atSik
男「しかし、人外とは言え貴族の娘さんにこんな地味な生活させてるのも、気が引けるというかなんというか…」
バハムー娘「お前は気にしなくていいよ」
バハムー娘「…私は、今の生活が気に入っている」
男「大して広くもない部屋でもか?」
バハムー娘「部屋の広さなんて、問題ではない」
バハムー娘「私は、生まれた時から龍貴族の娘として何不自由なく生きてきた」
バハムー娘「なのに、もっと色んな世界が見たい、色んな世界を知りたい、一人で生きてみたいなどと…」
男「そっちの世界を出た理由がそうだったな…」
20 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 13:10:25 ID:RI1atSik
バハムー娘「本当…、こっちの世界で何もできない自分が嫌になったよ」
バハムー娘「しかし、お前に助けてもらって…」
バハムー娘「お前に色々教わって、気づいた」
バハムー娘「自分の足で地に立って、世界を見るとこんなにも鮮やかに見えるのだな」
男「お、詩人ですな」
バハムー娘「ちゃ、茶化すな////」
バハムー娘「まあ、お前に会えた事が家を出て、最も良かったことだがな」ニコニコ
男「て、照れるだろ////」ポリポリ
バハムー娘「ふふん!仕返しだ」クスクス
バハムー娘「…なあ」
男「ん?」
バハムー娘「土曜日だし、何処か出かけないか?」
男「ああ、そうしようか」
バハムー娘「うん!」
24 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:41:22 ID:RI1atSik
―繁華街―
バハムー娘「ああっ、んっ!」
男「声、出過ぎだぞ」
バハムー娘「だって…!あっ」
バハムー娘「ん、もうっ、少しっ…!」
バハムー娘「あ、ああっ」
バハムー娘「んんんっ!」
25 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:42:32 ID:RI1atSik
ポロリ
バハムー娘「ああ…落ちた…」ガックリ
男「次、貸してみな」
バハムー娘「これ、絶対取れないだろ!」プンスカ
バハムー娘「アームがぷらんぷらんしてるもんっ!」プンスカ
男「まあまあ、コツがあるんだよ、コツが」
チャリンチャリンチャリン
男「見てろよ」
バハムー娘「むー」
ウィーン
バハムー娘「おお?」
ウィーン
バハムー娘「おおおっ!?」
……
…
26 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:45:16 ID:RI1atSik
バハムー娘「ふふ」スキップスキップ
バハムー娘「ふふふー」ニコニコ
男「えらく嬉しそうだな」
バハムー娘「ああ!すごく嬉しいぞ!」
バハムー娘「ほら!コレ!!」
バハムー娘「かわいいだろ?」ギュ
男「ゲーセンでさっき獲ったぬいぐるみだろ?」
バハムー娘「ドラゴンのクセに、全体的に丸いフォルムがたまらんなぁ」ギュー
バハムー娘「それに」
男「うん?」
バハムー娘「男が…獲ってくれたものだから…」
27 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:49:52 ID:RI1atSik
男「え」
バハムー娘「うん、嬉しい」ニコニコ
男「おう////」
男「あっ!ちょ、ちょうどいいや!クレープ食べていかないか?////」
バハムー娘「おお!食べたい!食べよう!」
男「食べたら、どうする?」
バハムー娘「もう少し、ぶらぶらしないか?」
バハムー娘「服が見たいんだ」
男「ああ、いいよ」
バハムー娘「ふふふー」
28 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:52:25 ID:RI1atSik
―
――
男「そろそろ帰ろうか?」
バハムー娘「あ、少しだけ別行動…構わないか?」
男「何か用事か?」
バハムー娘「あ、あの…その…、内職で使う道具を買いに、な」
男「なら一緒に行ってもいいぞ?」
バハムー娘「い、いや、うん、いいんだ」
バハムー娘「その、なんだ…こ、こっちの世界に慣れたとは言っても、やはり日々勉強日々精進、だからな、うん」
バハムー娘「買い物もできるときには一人でしたいんだ」
29 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:53:28 ID:RI1atSik
男「そういうことなら…そうしようか」
バハムー娘「ああ。では30分後に駅の改札で」
男「随分と長いんだな」
バハムー娘「そ、そうか?」
男「まあ、もう一人で居ても問題無いし、バハムー娘がそうしたいってなら、俺もどこかで時間潰してるよ」
バハムー娘「すまないな」
男「いいよ、気をつけてな」
バハムー娘「うん!」
30 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:58:01 ID:RI1atSik
―30分後―
バハムー娘「お待たせー、はあ」パタパタ
男「走ってきたのか?」
バハムー娘「遅れそうだっ、はあ、たから、はあ」
男「別によかったのに」
バハムー娘「翼を出してひとっ飛びしたかったが堪えたぞ!」フン
男「えらいえらい」ナデナデ
バハムー娘「ほふふふー」
バハムー娘「は!なめるな!ここでそんな事できるわけないだろ!?走るしかないじゃないか!」
男「はははっ、そうだな。で、もう用事は無いか?」
バハムー娘「うん。さあ帰ろう」
31 : ◆loxSgAubwY:2014/05/16(金) 23:59:44 ID:RI1atSik
―男宅―
男「ただいま」
バハムー娘「ただいま」
男「晩メシどうしよう」
バハムー娘「私が作るよ」エプロンキュッ
男「出かけて疲れてるだろうに」
バハムー娘「さっきも言ったけど、日々勉強日々精進、だよ!」
男「そか、じゃあ…頼むよ」
バハムー娘「頼まれた!」
バハムー娘「ふんふーん♪」
32 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:00:47 ID:pQVpijjw
バハムー娘「できたよー!」
男「お、俺の好きなサバの味噌煮か!」
バハムー娘「ご飯は鳥めしを炊いたぞ」
男「…すごいな」
バハムー娘「え?」
男「やっぱり料理スキルがすごいなって。いつでも嫁に行けるな」
バハムー娘「ばっ…!////」
男「あ、いや、大した意味は無いんだ」
バハムー娘「…ばか」
男・バハムー娘「…」
男「た、食べようか」
バハムー娘「う、うん」
33 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:02:20 ID:pQVpijjw
――
男「ごちそうさま」
バハムー娘「ごちそうさま」
男「今日も美味かったよ」
バハムー娘「どういたしまして」
男「いつもありがとうな、バハムー娘」
バハムー娘「ど、どうしたんだ?急に」
男「ん…今日でお前がうちにきて」
男「ちょうど1年だよな」
バハムー娘「あ」
男「どうした?」
バハムー娘「覚えてて…くれたんだ」
34 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:04:00 ID:pQVpijjw
男「ははっ、こんな非日常が始まった日を忘れるもんか」
バハムー娘「過ぎる日々はことごとく日常だけどな」クスクス
男「はははっ、ホントだな」
男「お前が人外ってこと以外は、普通の日常だもんな」
バハムー娘「それでも、私にとってはかけがえのない日々ばかりだよ」
男「バハムー娘…」
バハムー娘「…あの」
バハムー娘「…男、これ」ガサガサ
35 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:05:43 ID:pQVpijjw
バハムー娘「受け取ってくれ」
男「…腕時計」
バハムー娘「男に…何をあげればいいかわからないから…」
バハムー娘「内職代で買える範囲のプレゼントを、な」
男「これ…結構なブランド物だぞ?」
バハムー娘「さっき買った」
男「あ、もしかして」
バハムー娘「そうだ」
男「…」
バハムー娘「男、いつも、ありがとう////」
バハムー娘「この1年、本当にお前が居てくれてよかった」
36 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:08:44 ID:pQVpijjw
男「そんな大袈裟な…」
バハムー娘「嘘偽り無い、私の本心だ」
男「ありがとう、嬉しいよ」
男「…ちょっと待ってて」スクッ
バハムー娘「?」
ガラッ
男「…これ」
バハムー娘「これは?」
男「俺からの日頃のお礼だ」
バハムー娘「あ、開けていいか?」
男「どうぞ」
バハムー娘「なんだろ」パカ
37 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:09:46 ID:pQVpijjw
バハムー娘「あ」
バハムー娘「ペンダント…」
バハムー娘「ひまわり…だ」
男「バハムー娘がこっちに来て間もない頃、ひまわりを見て綺麗だなって言ってて」
男「時々、ひまわりを買ってきて、花瓶に挿してあっただろ?」
バハムー娘「そんな些細な事、覚えてたのか…」
バハムー娘「うん、好きなんだ、ひまわり」
男「と、思ってひまわりのデザインにした」
バハムー娘「ほふふふー////」ニコニコ
バハムー娘「着けていいか?」
男「ん、どうぞ」
38 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:11:47 ID:pQVpijjw
キラリ
バハムー娘「似合う?」
男「うん。似合ってる」
バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー
男「バハムー娘っ…」
ギュッ
バハムー娘「えっ!?」ドキッ
男「…花言葉って知ってるか?」
バハムー娘「えっと、どどどうした?お男?」
男「花に込められた想いというか、そういうのなんだけど…」
男「ひまわりの花言葉は」
39 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:17:28 ID:pQVpijjw
男「あなたは素晴らしい」
バハムー娘「え?」
男「私はあなただけを見つめたい」
」
バハムー娘「え?え?え?」
男「ははは…アホだな、俺は」
男「身分はおろか、種族も違うのに」
男「でも…バハムー娘…好きだ」
バハムー娘「おっ!おーっ!お…」
バハムー娘「男!」
ギュッ
バハムー娘「わっ、私で、いいのか?」ギュウ
バハムー娘「私は、龍だぞ!?」
40 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:19:43 ID:pQVpijjw
男「お前の頑張りはずっと見てたよ」
男「人間とか龍とか、そんなの関係ないくらい」
男「バハムー娘は魅力的だ」
男「バハムー娘!好きだ!!」
バハムー娘「私だって!!」
バハムー娘「優しく根気よく面倒見てくれて」
バハムー娘「お前がいる世界を私に教えてくれた」
バハムー娘「何より」
バハムー娘「人を愛することを、教えてくれた!」
バハムー娘「そんなお前が愛しくて愛しくてっ…!」
「だ、だからっ…!」
グイッ
男「な、なんだ?いきなり」
41 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:23:50 ID:pQVpijjw
バハムー娘「う、うなじに黒い鱗の部分があるだろう?」クイックイッ
男「ああ」
バハムー娘「その中に、一枚だけ逆さまの鱗があるんだ」
バハムー娘「それが私の『逆鱗』…なんだけど」
バハムー娘「さ、触って…いいぞ」
男「んえ?」
バハムー娘「ほら」クイッ
男「いや、逆鱗って触れちゃいかんもんなんじゃ…?」
バハムー娘「私は…男、お前を」
バハムー娘「ううん…」
バハムー娘「あなたを愛しています」
バハムー娘「…愛する人には触られても、触らせても、良いんだ////」
42 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:25:06 ID:pQVpijjw
男「バハムー娘っ…!」
男「じゃあ…触らせて、もらうぞ?」
バハムー娘「あ、ああ////」ドキドキ
ヒタ
バハムー娘「はうぅっ、あっ////」
男「だ、大丈夫か!?」
バハムー娘「はあっはっ、あっ、ふ、普通なら苦痛なハズなのに」
バハムー娘「んんっ、気持ち次第で、ふあ、こうも変わるのだな」トローン
男「ば、バハムー娘…」
バハムー娘「んふぅ…、おと…あなた…」
チュ
男「んっ」チュウ
43 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:25:52 ID:pQVpijjw
バハムー娘「ふあっ、私のファースト、キスだ////」
男「あ、ありがたき幸せ」
バハムー娘「ふふっ」
バハムー娘「愛しています、あなた////」
44 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:27:24 ID:pQVpijjw
―数日後―
バハムー娘「おーい起きろー!ご飯の用意ができたぞ!」
男「むー…ん」
バハムー娘「ほらっ、早く食べてくれないと冷めてしまうだろう!」
男「休みの日はゆっくりさせてくれっていつも…」
バハムー娘「起きてくれないと灰にするぞ?」ボボボッ
男「起きます」ムク
バハムー娘「よろしい♪」ニコ
45 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:29:18 ID:pQVpijjw
男「しかし、驚いたな」
バハムー娘「何がだ?」
男「バハムー娘たちの世界の住人に、だよ」
男「まさか、戸籍まで作ってしまうとは」
バハムー娘「まあ、神に近い存在だからな」
バハムー娘「人智を超えることなど簡単だ」
男「公文書偽ぞ…」
バハムー娘「人聞きの悪い!」
バハムー娘「あくまで、『新造』しただけだ!神の力でな!」
男「うーん…ま、神様ならいいか」
46 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:31:16 ID:pQVpijjw
バハムー娘「我々にできない事などそうはないぞ!」フン
男「家事はできなかったのに?」
バハムー娘「ばっ////」
バハムー娘「ばか!そんな事言うと別れるぞ?」
男「お前にできるのか?」
バハムー娘「…できません////」
男「はははっ」
バハムー娘「ふふふっ」
47 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:32:31 ID:pQVpijjw
バハムー娘「なあ」
男「ん?」
バハムー娘「正社員の話、断った理由、まだちゃんと言ってなかったな」
男「目立ちたくないからじゃないのか?」
バハムー娘「それも少しある」
バハムー娘「…けど」モジモジ
男「?」
バハムー娘「一番の理由は…あなたに、温かいご飯を用意したいからだよ」
男「え?」
バハムー娘「うん、あなたがいない昼間は正直、寂しくて…働くのもいいかと思ったが」
48 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:34:01 ID:pQVpijjw
バハムー娘「仕事から帰ってきたあなたを、出迎えてあげたい、温かい夕食を食べてもらいたい…」
バハムー娘「働くと、それが難儀になるから」
バハムー娘「私は…、あなたが第一だ!////」
男「バハムー娘ぉっ!!」ガバッギュウ
バハムー娘「こらっ!朝ご飯…!」
男「大っっ好きだ!」
バハムー娘「私も大っっ好きだ!」
男「ぎゅー!」ギュウ
バハムー娘「ふふっ、いちゃつくのはこれぐらいにして…」
49 : ◆loxSgAubwY:2014/05/17(土) 00:34:39 ID:pQVpijjw
「さあ、朝ご飯だ!」
おわり
57 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 13:09:32 ID:7OA3kAZw
~その後の話~
男「んー」ノビー
男(あー疲れた)
男(だが、しかし!)
男(今の俺には!)
男(俺の帰りを待ってくれてる人がいる!)
男(そういうのって、やっぱりいいよなぁ…)ニコニコ
ガチャ
男「ただいまー!」
?一同「「「おかえりなさーい!」」」
58 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 13:10:56 ID:7OA3kAZw
男「???????」
バハムー娘「お、おかえり、なさい…」
男「バハムー娘…えーと…」
父ムート(ちちむーと)「お邪魔しているよ」
バハムー娘「父です」
母ムート(ははむーと)「お邪魔しています」
バハムー娘「母です」
姉ムート(あねむーと)「お邪魔していまーす!」
バハムー娘「姉です」
妹ムート(まいむーと)「お邪魔しております」
バハムー娘「妹です」
59 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 13:12:59 ID:7OA3kAZw
父ムート「娘が随分世話になったな、男君」
男「あ、いや、あ、こちらこそ勝手に娘さんを預かりまして…えーと、あーと…うー」
バハムー娘「す、少し落ち着こうな」ナデナデ
男「バハムー娘さん、状況の説明を」
バハムー娘「家族が…訪ねてきました」
男「…急すぎる」
60 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 13:14:20 ID:7OA3kAZw
父ムート「落ち着いたかね」
男「ええ、まあ」
父ムート「これは土産だ」スッ
【銘菓『龍の咆哮』】
男「…」
父ムート「心配するな。君達人間も食べられるものだ」
男「あ、ありがとうございます」
父ムート「まず、礼を言わせてくれ。娘が本当に世話になった。ありがとう」ペコリ
男「あ、いえ。成り行きとはいえ、こちらこそ勝手に住まわせて…」
男「心配していらっしゃったのでは…?」
61 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 13:15:22 ID:7OA3kAZw
父ムート「まあ、多少は、な」
母ムート「でも、すっかり家事もこなせるようになって感謝していますよ」
母ムート「すっかり女らしくなって」
バハムー娘「かっ、母様っ!////」
姉ムート「ああ!それでうまくいいヒトを見つけたのね」
バハムー娘「ね、姉様まで!////」
妹ムート「誠実そうな方ですね」
バハムー娘「そうだろう?」ニコォ!
男「おっ、おいっ!////」
姉ムート「あーあ、私もこっち側に引っ越そうかしら」
姉ムート「私もいいヒト見つかるかも」
バハムー娘「姉様の性格では中々に難しいかと…」ボソ
姉ムート「あぁ?」
姉ムート「ふんっ!最近の男共は軟弱なのよ。ちょっとワガママ言っただけですぐに音をあげるんだもの」
64 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:16:22 ID:7OA3kAZw
バハムー娘「だから、そういう性格を直さないと…」
姉ムート「…」ムカ
姉ムート「ねぇ男君?」ズイ
男「はえっ!?」
姉ムート「こんな乳臭いガキはやめて、お姉さんとイイ関係にならない?」
男「はあっ!!?」
姉ムート「ねえ…」スッ
男「だっ、だめで…」
男「!!」ゾクッ
65 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:21:19 ID:7OA3kAZw
バハムー娘「姉様…」ギロッ
バハムー娘「その指が男に触れたら」
バハムー娘「姉様と言えど」
バハムー娘「灰にしますよ?」ボウッ
姉ムート「はっ、ガキが!調子に乗るんじゃないよ!」ゴウッ
ピリピリ
男「ま、まずいんじゃないか…?」
妹ムート「男さん…二人が本気を出してぶつかれば、ここらへん一帯、蒸発しますよ?」
男「妹さんはさらっと怖いこと言うね!?」
男「ちょっ、バハムー娘!大丈夫だから!俺はお前しか見てないよ!」
66 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:23:05 ID:7OA3kAZw
バハムー娘「…」
バハムー娘「…////」ポッ
バハムー娘「…あなた////」ニヘラー
バハムー娘「ほふふふー」ギュー
男「よしよし」ナデナデ
姉ムート「ぐぬぬ…見せつけてくれちゃって…!」
妹ムート「大姉様も、大人気ないですよ」
姉ムート「ふん!」プイ
妹ムート「すいません男さん。姉様達がご迷惑おかけして」
67 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:24:54 ID:7OA3kAZw
男「あ、いや、いいんだ」ナデナデ
妹ムート「それより男さん」
男「はい?」ナデナデ
妹ムート「両親の温かい視線が降り注いでいますが?」
男「ん?」ナデナ…
父ムート「…」ニコニコ
母ムート「…」ニコニコ
男「わあっ!すっ、すいません!」
父ムート「はっはっはっ、いいじゃないか」
母ムート「バハムー娘の幸せそうな顔ったら、ふふふ」
68 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:25:54 ID:7OA3kAZw
バハムー娘「ええ、私は幸せですよ」
男「バハムー娘っ!?」
父ムート「そうか…なら、安心した」
父ムート「そろそろ帰るとしようか」
男「え」
父ムート「娘をたのむよ」
男「え?え?」
男「お、おとっ、お義父…さん?」
父ムート「おおっ、早くも『お義父さん』と呼んでくれるか!」
男「あ、いや、そうじゃなくて…」
男「連れ戻しに…来たんじゃないんですか?」
69 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:32:47 ID:7OA3kAZw
父ムート「そんなつもりは毛頭無いが?」
男「バハムー娘は…バハムー娘さんは龍で…貴族で…」
男「俺は人間で…」
父ムート「娘が選んだ相手だ。私は君を信じるよ」
男「あ、ありがとう、ございます!」
父ムート「こちらの世界の戸籍も作ってあげただろう?」
父ムート「娘が君と末長く居られるように、だが…」
父ムート「今更『遊びでした』とでも?」ゴウッ
男「い、いや、めめ滅相もごさいません!」
母ムート「あなた、悪ふざけが過ぎますよ」
父ムート「はははっ、すまんすまん」
70 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:37:07 ID:7OA3kAZw
母ムート「男君、娘を頼みます」
男「はい、必ず幸せにします」
姉ムート「かわいい弟ができたわね」
妹ムート「義兄様、ですね」
男「ははは…」
母ムート「ムー娘、また連絡頂戴ね」
バハムー娘「はい」
バハムー娘「父様母様…姉様も、妹も体に気をつけてください」
父ムート「ああ」
母ムート「あなた達もね」
姉ムート「じゃあね、幸せ死にしないように」
妹ムート「小姉様、お幸せに」
バハムー娘一家「お邪魔しました!」
72 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:38:48 ID:7OA3kAZw
―
――
男「結婚する話になっちゃったな…」
バハムー娘「む」
バハムー娘「男は嫌なのか?」
男「嫌じゃないさ、ただ、ちゃんとプロポーズしたかったな、と」
バハムー娘「今からしてくれても構わんぞ?////」
男「うえっ!?あ、ああ…////」
男「それでは…うほんっ////」
73 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:43:26 ID:7OA3kAZw
男「バハムー娘、毎朝お前の手料理が食べたい」
男「一緒になって、俺のために早起きしてくれないか?」
バハムー娘「…」
バハムー娘「…今と変わらないが…?」
男「…あ…カッコ悪…////」
バハムー娘「ふふふっ、でも、それでいいさ。あなたらしいプロポーズだと思うよ」
男「そか////」
バハムー娘「今度は、あなたの両親に挨拶に行かないとな」
男「うちは男ばかりの兄弟だから、娘ができると喜ぶんじゃないかな」
バハムー娘「ふふっ、今から楽しみだな」
74 : ◆loxSgAubwY:2014/05/18(日) 17:45:27 ID:7OA3kAZw
男「あと、指輪も買わないと!」
バハムー娘「ふふっ、ふへふへへへ」
男「笑い方…」
バハムー娘「自然と笑ってしまうんだ」
バハムー娘「ふふふっ、私はあなたと出会えて幸せだ」
バハムー娘「末長くよろしくお願いいたします。あなた」
男「こちらこそお願いします」
チュ
おわり
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