1: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:02:51.80 ID:EFkkVYHE0
失うことから全ては始まる



 ミカサ「私は血も心も捧げる」



 正気にては大業はならず



 アルミン「憎い、憎い!憎い!」






 兵士道はシグルイなり






 ※ このSSは!

 『進撃の巨人』をベースに『シグルイ』なエレンのSSです、原作のネタバレ自己解釈があります。

 以上のことが苦手な方はブラウザバックでお願いいたします。


 尚、>>1は投稿自体始めてですので、至らぬ点などございましたら遠慮なくご指摘ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380423771

引用元: ジャン「この死狂い野郎が!」 


 

 
2: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:04:59.47 ID:EFkkVYHEo

キース「オイ、貴様。貴様は何者だ!」

アルミン「ハッ!シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」バッ

キース「そうか!バカみてえな名前だな!親がつけたのか!」

アルミン「祖父がつけてくれました!」



教官「やってるな、お前も訓練兵の時は初っ端からあれだったろう?」

若教官「懐かしいです、でもあの恫喝には何の意味が?」

教官「通過儀礼だ、それまでの自分を否定して、真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるには必要な過程だ」

3: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:06:48.26 ID:EFkkVYHEo
キース「貴様は何者だ!」

ジャン「トロスト区出身、ジャン・キルシュタインです!」バッ

キース「なんの為にここに来た!」

ジャン「!・・・・・・憲兵団に入って内地で暮らすためです・・・・・・」

キース「・・・・・・フンッ!」頭突きゴンッ

ジャン「グッ!!」ドサッ

キース「誰が座っていいと言った!こんなところでへこたれる者が、憲兵団になど入れるものか!」

4: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:08:28.22 ID:EFkkVYHEo
若教官「何も言われていない子がいるようですが・・・・・・?」

教官「ああ、すでに通過儀礼を終えたものには必要ない。おそらく二年前の地獄を見てきた者達だ、面構えが違う」



ミカサ「・・・・・・」

ライナー「・・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」



エレン「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ・・・・・・

5: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:09:41.93 ID:EFkkVYHEo
若教官「・・・・・・あの、なんか尋常じゃない凄みがある子がいるんですが・・・・・・」

教官「・・・・・・何だあれ?」

若教官「あれ?キース教官、あの子にも行くようです」



キース「貴様!貴様は何者だ!(この子は・・・・・・グリシャの・・・・・・)」

エレン「・・・・・・シガンシナ区出身、エレン・イェーガー」バッ

キース「貴様はここに何しに来た!」

エレン「・・・・・・母の無念を晴らすため、そして・・・・・・」ツーッ

キース「!!(・・・・・・鼻血?)」

エレン「・・・・・・守れなかったお家を取り戻し、守るため・・・・・・これに尽き申す」ゴゴゴゴ・・・・・・

6: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:11:09.47 ID:EFkkVYHEo
ミカサ「(・・・・・・エレン)」

アルミン「(・・・・・・エレン、やっぱりカルラさんのことを)」

ライナー「(・・・・・・俺が、あいつの故郷を)」

ベルトルト「(・・・・・・なんて殺気だ、いずれ強敵になるかもしれない)」

アニ「(・・・・・・体幹が正中線から微動だにしていない、かなりやりそうだね)」



キース「グッ!!(なんという凄みだ・・・・・・真面目に医術の勉強をする少年と聞いていたが・・・・・・しかし、このままではしめしが・・・・・・ん?)」



サシャ「(怖い目ですねー、正直何人か殺ってそうです)」モグモグ

キース「何食ってんだ貴様ぁ!!」

サシャ「ヒイィ!」

7: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:12:09.90 ID:EFkkVYHEo

エレン「・・・・・・」ジー

コニー「何見てんだ?・・・・・・ん?おい、あの芋女まだ走ってるぞ」

マルコ「すごいな、5時間ぶっ通しか」

コニー「あっ!そうだ!お前、シガンシナ区出身だって言ってたよな?」

エレン「・・・・・・」

コニー「?おい、どうした?」

アルミン「・・・・・・エレン?と、コニーとマルコだっけ、どうしたの?」

コニー「いや、こいつ話しかけても返事しねーんだ」

アルミン「あはは・・・・・・ごめんね、エレンは無口だから」

コニー「そうなのか?まあ、いいや。でさ、お前らシガンシナ区出身てことは見たんだろ?」

アルミン「え?何を?」

マルコ「お、おい、よせよ」

コニー「超大型巨人!」

8: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:13:57.17 ID:EFkkVYHEo



アルミン「・・・・・・だから見たことあるって」

エレン「・・・・・・」モグモグ

モブ1「本当か!?どれくらい大きいんだ!?」

アルミン「壁が50メートルでそこから頭が見えるくらいくらいだから60メートルくらいかな。皮膚が無くて、筋肉が露出していたよ」

エレン「・・・・・・」ムシャムシャ

モブ2「『鎧の巨人』は!?」

アルミン「背格好は普通の巨人かな?遠目からでは外見は大して変わらなかったよ」

エレン「・・・・・・」ゴックン

モブ3「じゃ、じゃあ普通の巨人は!?」





カルラ『ごめんねエレン・・・・・・こんなことさせて・・・・・・』ボロボロ





エレン「」カラーン

アルミン「・・・・・・エ、エレン」

9: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:16:14.09 ID:EFkkVYHEo


「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」


マルコ「・・・・・・みんな、質問はよそう。思い出したくない事だってあるだろう」

コニー「す、すまん!色々思い出させちまって・・・・・・」

エレン「・・・・・・これからにござる」

アルミン「・・・・・・エ、エレン?」

エレン「・・・・・・これからにござる、私は調査兵団に入り、『アレ』を駆逐する・・・・・・一匹残らず」

アルミン「・・・・・・エレン」


ジャン「オイオイ正気か?今、お前、調査兵団に入るって言ったのか?」

エレン「・・・・・・」ギラッ

ジャン「(・・・・・・グッ、なんだよこいつ、この迫力は・・・・・・いや、負けてたまるか)」グッ

エレン「お前は・・・・・・憲兵団に・・・・・・」

ジャン「・・・・・・そ、そうだ、俺は正直者なんでね、心底怯えながらも勇敢気取ってつやつよりも、よっぽどさわやかだと思うがな」

10: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:17:24.13 ID:EFkkVYHEo
エレン「・・・・・・憲兵団に入れば家族も内地にいける。お家は保たれる、お前のあり方は間違っていない」

ジャン「・・・・・・ならお前も現実を見てそうしろよ」

エレン「・・・・・・私は」ツーッ

ジャン「・・・・・・(鼻血?)」



エレン「・・・・・・斬りたいから斬りに行く。それだけだ」グイッ



ジャン「・・・・・・(な、なんなんだこの死に急ぎ野郎)」ゴクリ





「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」ゴクリ




11: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:19:30.14 ID:EFkkVYHEo


カンッ カンッ カンッ カンッ カンッ



マルコ「ば、晩飯は終わりだ片付けるぞ」


ジャン「・・・・・・正直あんたのような考えは俺にはわからねえ、でもよ、否定したわけじゃないんだ。どう生きようと、人の勝手だからな」

エレン「・・・・・・」コクリ

ジャン「絡んで悪かったよ、これで手打ちにしよう」スッ

エレン「・・・・・・」パチン ザッザッザッ


アッ エレンマッテヨ エ?キョウモケイコスルノ!? アシタカラホンカクテキニクンレンガハジマルンダヨ!? ワカッタヨボクモツキアウヨ



ジャン「・・・・・・変なヤツ」

ミカサ「・・・・・・」ツカツカツカ

ジャン「・・・・・・!?な、なあ、あんた!」

ミカサ「・・・・・・?」

12: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:21:08.28 ID:EFkkVYHEo
ジャン「い、いや見慣れない顔立ちだと思って、すまない、きれいな黒髪だ」

ミカサ「・・・・・・ありがとう」ニコッ

ジャン「ッ!(なんだよ!変なヤツもいるかと思ったがかわいい子もいんじゃねえか!しかも結構脈ありなんじゃねえか!?)」

ミカサ「(・・・・・・あのエレンが私とアルミン以外であんなに会話できていた、ので、この人はエレンにとって貴重な人)」



エレン ケイコナラワタシモイク キョウコソエレンカライッポントッテミセル ミカサ、アシタカラクンレンダヨ?ソレニエレンノアイテハアブナイヨ デハ、アルミンガヤル? ゴメンナサイ…


13: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 12:22:09.21 ID:EFkkVYHEo
コニー「ん?おい、ドアの前で突っ立ってんなよ」

マルコ「ジャン?どうしたの?」

ジャン「ハッ!いや・・・・・・訓練兵団も悪くねぇと思ってな・・・・・・」

コニー「何言ってんだお前・・・・・・いや、ホント何言ってんだお前?」

ジャン「なんで2回言うんだよ」

マルコ「ハハ、大切なことだからかな?」

ノウナイカイテキナンジャネエノ?ンダト、コノボウズアタマ!オマエコソズイブンスズシソウジャネエカ、カゼトオシガヨスギテボケテネエダロウナ?ナニオゥ!?ボウズバカニスンナヨ!?カミアラウノラクナンダゾ!マアマアフタリトモ……

22: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:00:23.70 ID:EFkkVYHEo



深   夜



エレン「・・・・・・」ジーッ

サシャ「し・・・・・・死ぬ、死んでしまいます・・・・・・これ以上は」フラフラ

サシャ「ああ、もう駄目です、もっと、たくさん、色んなものが食べたかった」フラァ

エレン「・・・・・・」ガシッ

サシャ「」グッタリ

エレン「・・・・・・」ズリズリ

クリスタ「・・・・・・あの!」

エレン「!」

クリスタ「その娘、おなか減ってるんじゃないかと思って、その、私も・・・・・・」

23: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:02:18.93 ID:EFkkVYHEo
サシャ「」ピク スンスン

サシャ「ガアアアアアア!」グワ

クリスタ「キャアアアアアア!」

サシャ「・・・・・・ハッ!?これは・・・・・・パァン!」

エレン「・・・・・・」ガシ グイ スッパァン

サシャ「ヒグエ!?」ドサッ

クリスタ「だ、大丈夫!?ひ、ひどいです!どうしてそんなことしたの!?」

エレン「・・・・・・脱水状態で固形物を摂取すると誤嚥する可能性がある・・・・・・水は?」

クリスタ「・・・・・・あ、これ」チャポン

エレン「・・・・・・」サラサラサラ

24: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:04:02.62 ID:EFkkVYHEo
クリスタ「・・・・・・あの、なにを混ぜたの?」

エレン「・・・・・・食塩」マゼマゼマゼ

サシャ「うう・・・・・・痛いです」

エレン「・・・・・・ゆすげ」

サシャ「うう・・・・・・は、はい(なんなん、この人、怖いけど優しい・・・・・・)」モゴモゴ

クリスタ「(出来ておる・・・・・・ハッ!?今何か変な思考が!?)」

エレン「・・・・・・パンは止めておけ・・・・・・食べられるようになってから水に浸してゆっくり食え、それと」ジロッ

クリスタ「ハ!ハイ!(こ、怖いよう・・・・・・)」

エレン「宿舎までは運ぼう、そこからはお前に処置を任せる」

クリスタ「え、えーと」

25: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:04:51.94 ID:EFkkVYHEo
エレン「・・・・・・女人の部屋には入れん、加えて衣服を緩める必要がある、故に、お前しかいない。寝台に寝かせたら足を高くし、末梢から中心に掛けて手足を揉み解す。桶を用意しておけ、吐きそうなときは横向けにし、気道を確保しろ。水分は必ず取らせるように、塩を少しだけ混ぜること、嘔吐が続くようなら直ちに軍医に連絡、輸液の手配を・・・・・・」ペラペラペラ

クリスタ「」

サシャ「」

エレン「・・・・・・?」

クリスタ「い、いえ、わかった、そうする。立てる?私も肩貸すよ」

エレン「・・・・・・」ガシッ グイッ

サシャ「ヒャ!」///

クリスタ「・・・・・・(わ、お姫様抱っこ)」

エレン「・・・・・・」ノシノシ

クリスタ「・・・・・・あ!待って、待って下さい!」

27: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:06:05.56 ID:EFkkVYHEo
クリスタ「・・・・・・エレン、さんだったよね、その、エレンさんは何故この娘のことを・・・・・・?」

エレン「・・・・・・」

クリスタ「その・・・・・・『いいこと』をして、誰かの為に役に立つ人間にだとか・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

クリスタ「ご、ごめんなさい!そんなこと言うつもりじゃなくて!ただ、食堂での事とか見てて、なんだかその・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・ごめんなさい、うまく言えません(私と似ているような)」





エレン「・・・・・・エレン・イェーガーは生まれついての医者にござる」





28: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:07:09.13 ID:EFkkVYHEo
エレン「『医は仁術なり』。今は兵士なれど、医家の家に生まれたる者のなすべきは・・・・・・」

エレン「目の前の患者に医を施す、これに尽き申す」



クリスタ・レンズはやんごとなき家の生まれだった。しかしその生まれから放逐され、自身もその運命から逃げ出すように、

苦しみから逃れるように訓練兵団に入団した。

エレンは医家に生まれついたその責務に対する覚悟を述べただけだった。

しかし、生まれの不幸に挫けたクリスタにとってその言葉は・・・・・・




サシャ「・・・・・・(どうしよ私空気やん、いつまでこの格好なんかな、いや悪くはないんやけど)」///




物 陰

ユミル「・・・・・・」ジーッ

29: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:08:48.57 ID:EFkkVYHEo
翌 日  ~訓練初日~




キース「まずは貴様らの適正をみせてもらう!全身のベルトでバランスをとれ、出来ないものは開拓地行きだ!」



教官「やってるな、これは初歩の初歩だが、この段階で立体起動の適正は見て取れる。あの子達を見てみろ・・・・・・まったくブレが無い」



ミカサ「・・・・・・」ピタッ
アルミン「・・・・・・」ピタッ


教官「他にも出来る者が多いようだ。今年は豊作だな」


コニー「・・・・・・(な、なんだ結構簡単だな)」ブラーン
サシャ「・・・・・・(昨日のあの人なんて名前やったかな?あとお腹すいた)」ブラーン
ジャン「・・・・・・(ふん、どうって事はねえな)」ブラーン

ジャン「・・・・・・(あいつは・・・・・・)」チラッ

30: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:09:40.85 ID:EFkkVYHEo


エレン「・・・・・・!・・・・・・!」ギシッギシッギシッ



ジャン「!・・・・・・(おいおい大丈夫か?今にもバランス崩しそうじゃねえか)」

アニ「・・・・・・(妙だ、歩くときですら重心がズレ無いような化け物のクセにバランス感覚が無いわけが無い)」ジーッ



若教官「あの子はどうなんですか?」

教官「・・・・・・素質というものだろう、人並み以上に出来ないこともある」



キース「・・・・・・いいだろう降ろせ(及第点か、しかし兵士としては大成しないだろうな・・・・・・ん?)」

キース「・・・・・・ワグナー、イェーガーとベルトを交換しろ、イェーガー、交換後にもう一度だ」

エレン・トーマス「「ハッ」」バッ

31: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:10:27.91 ID:EFkkVYHEo

エレン「・・・・・・!」ピタッ

キース「・・・・・・ベルトの破損だ、ここが破損するなど聞いた事も無いが・・・・・・それよりも(破損したベルトでああまでバランスをとれるとは・・・・・・どんな身体能力だ)」


アニ「(・・・・・・やはりできる)」

ジャン「・・・・・・チッ(まあ、そうじゃなきゃおもしろくねえ)」

ミカサ「・・・・・・(いつもより口角が2度上がっている、私と一緒にいれるのでエレンは喜んでいるに違いない)」

アルミン「・・・・・・!(いつもより目が2ミリ大きい!喜んでるんだ、やったねエレン!)」グッ

32: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:11:32.83 ID:EFkkVYHEo
ミカサ・アルミン「「エレン!」」

エレン「・・・・・・アルミン、ミカサ」

アルミン「良かったね、これでまた一歩兵士に近づいたよ!」

エレン「・・・・・・」コクッ

ミカサ「・・・・・・エレン心配しないでいい、私はあそこでエレンが開拓地に行ったとてついていくつもりだった」

エレン「・・・・・・?」

アルミン「・・・・・・アハハ、でもまさかベルトの破損だったなんてね」

33: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:12:16.06 ID:EFkkVYHEo

ジャン「」

コニー「あいつすげーな、破損したベルトで姿勢維持したんだろ?」

マルコ「ああ、普通じゃ出来ないよね」


ジャン「」

コニー「ん?またこいつボーっとしてやがる、オイ邪魔だろ?」

マルコ「ジャン、またか?どうしたの?」


ジャン「(どういうことだ、なぜあの死に急ぎやろうと俺の女神が仲良さそうにしてやがる、ハッ!?もしかして二人は付き合ってるのか!?だとしたら俺はとんだピエロじゃねえか、少しでもあいつのこと心配した俺がバカだったぜ)」

34: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:16:07.99 ID:EFkkVYHEo
サシャ「あ、見つけました!神様ぁ!!」ダキッ

エレン「・・・・・・?」

ミカサ「」

アルミン「わっ、びっくりした、エレンその娘誰?」

クリスタ「サシャ!急に走ったら危ないよ・・・・・・あ、エレン・・・・・・さん」

アルミン「え、えと、誰かな?(なんだこの娘、すごくかわいい)」

クリスタ「あ、急にごめんなさい、クリスタ・レンズです。そのエレン・・・・・・さんが、昨日その娘を看病してて、それで」

サシャ「はい!やさしくしてもらいました!水を飲ましてもらって宿舎まで抱っこしてもらって、服を脱がして・・・・・・」

ミカサ「」



ジャン「(あまつさえ他の女子まで近づいてきただと!?普通に抱きつかれてるし、片方はなんか女神みたいだし、あ、でも俺にはあのミカサってこの方がいいけどな、、浮気とかじゃあねえからな!?)」

35: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:33:13.97 ID:EFkkVYHEo
クリスタ「サ、サシャ!それは私がしたんでしょう!?エレンさんは処置の指示をしてくれて、それで助けてもらったお礼をしたいってこの娘が・・・・・・」

サシャ「命を救ってもらった恩は忘れません!これからは神様と呼んでどこまでも・・・・・・」

ミカサ「アルミン」

アルミン「ミ、ミカサ?」

ミカサ「どうやらエレンの周りに虫が集ったようだ、ので、虫は早急に削ぐべき、違う?」

アルミン「だ、ダメだよミカサ!?初対面の人に何言ってるの!?」

クリスタ「サシャもいい加減エレンさんから離れて!」

サシャ「ハッ!?すみません・・・・・・取り乱しました、昨日のお姫様抱っこが忘れられなくて、つい・・・・・・」


ミカサ「削ぐ」ジャキ

アルミン「やめなよミカサ!パン用のナイフなんかで何するってのさ!?」

ミカサ「大丈夫、切れ味が鈍い分、痛みは鋭くなる」
ワーワーギャーギャー

36: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 15:34:19.41 ID:EFkkVYHEo
ジャン「・・・・・・」ズリィィィィィ

コニー「!?お、おい!?人の服で何しやがる!お前今何ぬぐった!?」




ジャン「・・・・・・人との、信頼だ・・・・・・」




コニー「・・・・・・何言ってんだお前?・・・・・・いや、本ッ当何言ってんだお前?」

マルコ「・・・・・・何言ってるの?ジャン・・・・・・いや本当に何言ってるの?」
ウルセー!フタリシテニカイモイウンジャネー!アー!?ヤンノカ!?コラーフタリトモヤメナヨ!アンマリサワグトキョウカンガ!?……イマシガタオオキナオトガキコエタガダレカセツメイシテモラオウカ……オワッタ・・・・・・

42: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:22:24.16 ID:EFkkVYHEo


対人格闘訓練



ライナー「おおおお!!」

エレン「・・・・・・」スッ ガシッ

ライナー「ぐぐぐ・・・・・・(どうなってやがる!?体格で勝る俺の突進をいなしもせずに受け止めやがった!)」ズズズ

エレン「・・・・・・」グググッ

ライナー「・・・・・・グ、オ、オ!(押し切られた!ノドに腕が食い込む!体がピクリとも動かねえ!)」

エレン「・・・・・・」グググッ





ミカサ「・・・・・・エレンの鍔迫り・・・・・・あれはツライ」

アルミン「参ったを言わせてくれないからね・・・・・・」

43: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:23:17.27 ID:EFkkVYHEo



ズッダアァン!!




ライナー「・・・・・・ま、m(声がだせねえ・・・・・・死ぬ)」パクパクパク

エレン「・・・・・・」グググググッ


キース「それまで!!」


エレン「・・・・・・」スッ

ライナー「ガハッ、ゴホゴホ・・・・・・死ぬかと思った・・・・・・」

キース「・・・・・・イェーガー・・・・・・もう少し、こう、なんというか手心というか・・・・・・」

エレン「・・・・・・しゃあでい教官・・・・・・」





エレン「・・・・・・痛くなければ覚えませぬ」




44: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:24:16.81 ID:EFkkVYHEo

ライナー「しかし強いなお前。取っ組み合いに慣れてるとかそんなレベルじゃないだろう、どんな筋力してんだよ」

エレン「・・・・・・虎眼流」

ライナー「・・・・・・何?コガン?」

エレン「虎眼流、アルミンのご祖父の蔵書にあった流派」

ライナー「・・・・・・で、お前がそれの体現者か・・・・・・たいしたもんだなそのコガンリュウてのは」

エレン「・・・・・・巨人相手には別の手段をとらねばならない」

ライナー「・・・・・・だから意味無いってのか?そんなことはねえだろう・・・・・・実際適正訓練のときに破損したベルトで姿勢制御したらしいじゃねえか、それもそのコガンリュウのおかげじゃねえのか?」

エレン「・・・・・・」

45: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:25:55.60 ID:EFkkVYHEo

ライナー「それにな、俺たちは兵士だ、使えるものは何でも使って、守るべきものを守らなけりゃならん。だからこういった訓練にも意味はあると思うぞ?」

エレン「・・・・・・」コクッ

ライナー「うわぁ、説教くさくなっちまったな・・・・・・ともかく俺じゃお前の相手は難しいな・・・・・・誰か心当たりはいるか?」

エレン「ミカサにアルミン。共に同門なれば」

ライナー「ミカサはともかくアルミンもか?悪く言うつもりはねえが、全然そうには見えんぞ」

エレン「・・・・・・アルミンの『柔』は誇るべきものだ」

ライナー「『ヤワラ』?なんだそりゃ、どうもよくわから・・・・・・お?」



アニ「・・・・・・」スタスタスタ



ライナー「エレン、ここはひとつ、あいつにも兵士の責任というヤツを教えてやろうぜ」スタスタスタ

エレン「・・・・・・?」

46: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:26:36.43 ID:EFkkVYHEo

アニ「・・・・・・何?邪魔なんだけど」

ライナー「教官の頭突きは嫌か?それ以上身長を縮めたくなかったら、ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな」

エレン「・・・・・・ぶらうん?」

アニ「・・・・・・!(コイツは!)」

アニ「・・・・・・いいよ、やろう。私もあんたには興味があった」スッ

エレン「・・・・・・」コクッスッ


ライナー「・・・・・・(なんだこいつら?誘導するまでも無く構えあって・・・・・・まあいい、流石にエレンでもアニの相手は・・・・・・)」


47: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:27:52.27 ID:EFkkVYHEo

エレン「・・・・・・」スッ

アニ「フッ!(間合いに入った!出足払い!)」バッ

エレン「・・・・・・!」バッガキン ガシ

アニ「な!?(蹴り足だけで間合いをつめて威力を半減させた!?やばい奥襟を取られて)」グラッ

エレン「・・・・・・」ブンッ スパァン

アニ「グッ!(間に合え!)」クルッ スタッ

エレン「・・・・・・!?」

アニ「フッ!(今だ!)」バッ




パシンッ カランカラン




エレンの払い腰を身をひねりかわしつつ、短刀だけを狙ったアニの内回し蹴り

神速の攻防を目視できたのは、同門ミカサ アルミンの二名のみである



ミカサ「やはりエレンは優しい、ちゃんと手加減をした」

アルミン「エレンだったら弧拳※を打っただろうからね」

※ 手首の間接で相手を打つ打法、通常は打撃を弾く用途、すんげー痛い

48: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:29:42.90 ID:EFkkVYHEo

アニ「・・・・・・次は私が襲う番だね(パーカーなんか着てくるんじゃなかった、そうでなくとも打撃でこられたら終わってた)」サッ

エレン「・・・・・・」スッ

アニ「・・・・・・(こいつは速い上にリーチ差もある、間合いに入るのは危ない。ならば掴もうとしてきたその手を刈る!)」

エレン「・・・・・・」スッ




エレンの右手が、存在しない刀を掴んだ




アニ「・・・・・・(初めて見る構えだ、どんなことを仕掛けてくる?)」

エレン「・・・・・・!」バッ

アニ「!(来た!)」バッ

49: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:30:55.11 ID:EFkkVYHEo

アニ「(いける!手首はもらった・・・・・・)」


アニ「!?」


アニ「(向こうも!こちらの手首を!)」




バシンッ カランカラン




アニ「痛ッ・・・・・・(しくじった・・・・・・打撃は警戒していたのに)」

エレン「・・・・・・」スッ

アニ「・・・・・・なに?もう参ったよ、この手じゃ訓練は出来ない」

エレン「しゃあでい教官」



キース「・・・・・・ハッ!?・・・・・・なんだ?」

ライナー「(さっきの攻防に見入って我を失っていたな・・・・・・俺もだが・・・・・・)」

エレン「れおんはあと訓練兵が負傷いたしました、直ちに応急処置を施したく存じます」

キース「・・・・・・許可する、医務室を使うがいい。・・・・・・他のものは何をしている!訓練に戻れ!!」

スゲーナサッキノ、ドウナッテンダ? ヨクモアニヲ… チッシニイソギヤロウメ サスガハワタシノエレン エレンカッコイイデスネー サシャモマジメニシナヨ

50: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:32:10.01 ID:EFkkVYHEo

エレン「・・・・・・」ガシッ スクッ

アニ「・・・・・・何コレ?怪我したのは手首だろ、なのになんで私はあんたに抱えられてるの?」

エレン「・・・・・・最初の投げの時、無茶な受身を取った」

アニ「・・・・・・ッ」ドキッ

アニ「・・・・・・目聡いんだね、まあ好きにしなよ」

エレン「・・・・・・」ザッザッザッ



ミカサ「なっ・・・・・・あの女狐!なんてことをっ!私ですらエレンにお姫様抱っこされたことは無いというのに・・・・・・削ぐ!絶対に削ぐ!」ワナワナ

アルミン「サシャもされたらしいけどね」

ミカサ「アルミン!?」ギヌロ

アルミン「ひい!?やめてよその目!」

ミカサ「こうなったら私も医務室に・・・・・・」チラッ

アルミン「僕は嫌だからね怪我するのは」

ミカサ「チッ!!!!」

アルミン「(うわあ幼馴染にあからさまに舌打ちされちゃったよ・・・・・・)」

ミカサ「・・・・・・む、あれは」

51: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 18:33:18.91 ID:EFkkVYHEo

ライナー「・・・・・・(俺一人にされちまった)」ポツーン

ミカサ「・・・・・・」ニヤリ

アルミン「・・・・・・(ご愁傷様ライナー)」




ミカサ「ライナー」

ライナー「・・・・・・お?ミカサか、どうした?」

ミカサ「私とやろう」ニヤァ

ライナー「」






笑うという行為は本来攻撃的なものであり

獣が牙をむく行為が原点であるが

ミカサの笑みはライナーがそれを理解するのに充分なものだった





ヤ、ヤメロ ソノカンセツハソッチニハマガラナイ ウグアァ! ヤメロッテ ナンデアシモスルンダヨ!? タントウハモウハナシテルダロ ア、ヤメロヤメテ……ヌフゥ!

53: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 19:30:47.74 ID:EFkkVYHEo


医 務 室



エレン「・・・・・・」スッスッスッ

アニ「・・・・・・随分、手際がいいんだね」

エレン「・・・・・・」スッスッスッ

アニ「・・・・・・あんたはどこであんな技術を習得したの?」

エレン「・・・・・・」ホウタイクルクル

アニ「・・・・・・私は父親から。でも、あんたのこの医術と違ってなんの役にも立たない、兵団に入っても、対人格闘なんか点数にもならない」

エレン「・・・・・・」ホウタイチョキチョキ

アニ「・・・・・・おかしいとは思わない?大きく見れば立体起動ですらそうだ。憲兵団に入れるのは上位10人、みんなその特権を狙ってる。この世界は巨人に対抗する手段に長じたものほど巨人から離れられる」

エレン「・・・・・・」ホウタイギュッギュッ

アニ「みんな現実離れした理想に酔ってる。こんな下らない世界で、兵士ごっこに興じてられるほど私はバカにはなれない」

エレン「・・・・・・」スッ

アニ「・・・・・・終わった?あんたにやられたんだけど一応言っとく、ありがと」

エレン「私は・・・」

アニ「・・・・・・なに?喋れたんだあんた」

エレン「私は・・・・・・『アレ』を、『巨人』を一匹残らず駆逐しなければならない・・・・・・」

エレン「この世がどうであれ・・・・・・私は・・・・・・『俺は』アレらを切らねばなり申さん・・・・・・!」

55: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 19:49:39.83 ID:EFkkVYHEo




2 年 前




アルミン「ごめんね、エレン、ミカサ。せっかく三人で体現した虎眼流をケンカに使っただけでなく、あいつら年長の子まで呼んできて・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・」

アルミン「ジンバー峠に六時・・・・・・」

ミカサ「アルミン・・・・・・」

アルミン「二人ほど強くないけど、僕だって虎眼流の剣士だ、一人でも戦ってみせる!」

ミカサ「アルミン!」

アルミン「な、なに?ミカサ・・・・・・」





ミカサ「・・・・・・でかした!」ニヤア

エレン「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ




その日、ジンバー峠にボコボコにされた少年達のむせび泣く声が聞こえたという・・・・・・

56: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 19:56:19.58 ID:EFkkVYHEo

カルラ「あんた達は!またケンカしたんでしょう!毎回ハンネスさんが青ざめた顔してるのよ!いい加減にしなさい!!」

ミカサ「・・・・・・」ショボン

エレン「・・・・・・」ショボン

アルミン「・・・・・・きっと二日酔いだと思う」ボソッ

カルラ「ア、ル、ミ、ン!?」

アルミン「ご、ごめんなさい、おばさん!でもエレンとミカサは悪くないんだ!あいつらがエレンとミカサのことバカにするから僕が・・・・・・」

カルラ「・・・・・・アルミン、エレンとミカサを大事にしてくれるのはうれしいわ、でも貴方は暴力に訴えるような子じゃないでしょ?」

アルミン「僕はなんと言われたって殴り返したりなんてしないよっ!でもあいつらエレンのことを・・・・・・」




悪ガキ1『エレンのヤツは医者の息子のクセにイカレてんだな!wwwwww』

悪ガキ2『引き取られたミカサも同じだ、二人してなんにもしゃべらねえ!wwwwww』

アルミン『歯ぁ食いしばれ!』バキッ




アルミン「・・・・・・グッ!(・・・・・・言えない、誰よりも優しいエレンにこんな事ッ)」ギリッ

60: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 20:08:10.99 ID:EFkkVYHEo

アルミン「クソッ!」ダダダッ

ミカサ「アルミン!」

カルラ「・・・・・・ミカサッ!」

ミカサ「・・・・・・っ!」

カルラ「・・・・・・ごめんなさい、アルミンをお願い」

ミカサ「・・・・・・」コクッ タタタ

カルラ「・・・・・・」ハァ

エレン「・・・・・・母上」ジーッ

カルラ「エレン・・・・・・(こんな時にも私の事を心配して・・・・・・本当に優しい子)」

カルラ「エレン・・・・・・アルミンは本当に良い子ね・・・・・・?」

エレン「・・・・・・」コクリ




あまりにも無口なため、エレンは、感受性に欠落があるのではと噂されている。そんなエレンにも態度を変えることなく接してくれたのがアルミンだった




カルラ「・・・・・・ミカサはかわいい子ね?」

エレン「・・・・・・」




エレンの首筋から耳にかけてが紅く染まった

無口ではあるが壊れていない、カルラはそう確信した




61: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 20:26:04.23 ID:EFkkVYHEo

エレン「アルミン、ミカサ」タタタッ

ミカサ「エレン・・・・・・」

アルミン「・・・・・・う、エレン」グスッ

エレン「・・・・・・」

アルミン「・・・・・・僕が悪いんだ、壁の外に興味を持つ事自体異端だって」

アルミン「・・・・・・それで言い返したら、今度はいつも話を聞いてくれるエレンとミカサのことまで・・・・・・ホントにごめんよ」グスッ

ミカサ「アルミンのせいじゃない、アルミンは正しい」

エレン「・・・・・・」コクリ

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・調査兵団のような危ないことは私も反対。でも、壁の中が安全なんてことはどこにも保証が無い」

アルミン「・・・・・・ごめんね、今日はなにしようか・・・・・・『虎眼流』はあらかた読んじゃってあとは稽古の積み重ねだし・・・・・・」

エレン「外の世界・・・・・・」

アルミン「・・・・・・ホントにエレンはその話が好きだよね(医術書と一緒に全部読破して写筆してるし)」

66: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 20:41:34.13 ID:EFkkVYHEo





ド  オ  ォ  ン ! !




エレン「!?!?!?」

ミカサ「地震・・・・・・?」

アルミン「・・・・・・広場に行ってみよう!きっとな・・・・・・に、か」

ミカサ「アルミン?」





超大型巨人「」





エレン「」

ミカサ「」

アルミン「ありえない・・・・・・巨人は最大でも15メートルのはず、50メートルの壁から頭を出すなんて・・・・・・」






超大型巨人「」ゴオオオオオオ






エレン「!?動く、伏せろ!」






ド ッ ゴ オ オ オ ン ! !






67: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 21:05:46.10 ID:EFkkVYHEo

アルミン「か、壁に穴をあけられた・・・・・・!?」

エレン「・・・・・・!?」ダッ

ミカサ・アルミン「「・・・・・・エレン!?」」

エレン「壁の破片が飛んでった先に家が!母上が!!」ダダダッ

ミカサ「!!」ダダダッ

アルミン「エレン!ミカサァ!」




エレン「母上ぇ!!」タッタッタッ

ミカサ「おばさん!!」タッタッタッ

カルラ「エレン!ミカサ!」

エレン「ミカサそっちを・・・・・・」ガシッ

ミカサ「・・・・・・」コクッ ガシッ

カルラ「エレン!ミカサを連れて逃げて!」

エレン「・・・・・・」グググプルプル

カルラ「母さんの足は瓦礫に潰されている。ここから出ても走れないわ・・・・・・」

エレン「・・・・・・俺が担いでいく・・・・・・」グググ

ミカサ「・・・・・・ヤダ・・・・・・イ、ヤだ」グググ

カルラ「どうして言うことを聞いてくれないの!?いつもはそうしているでしょ!!」

68: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 21:11:32.38 ID:EFkkVYHEo



ズシン ズシン ズシン



カルラ「!!巨人が!!」

エレン「・・・・・・ミカサッ!」グググ

ミカサ「ウウウウ・・・・・・」グググプルプル



ズシン ズシン ズシン




カルラ「・・・・・・エレン。今すぐミカサを連れて逃げなさい。これは『命令』よ」

エレン「・・・・・・」グググッ

カルラ「・・・・・・エレン!」

エレン「・・・・・・」スッ

ミカサ「!?エレン!?」

カルラ「ありがとうエレン・・・・・・いい子ね」

エレン「・・・・・・」プルプルつナイフ

カルラ「・・・・・・それは!そう・・・・・・お願いエレン」

ミカサ「エレン?何をするつもりなの!?エレン!」

カルラ「貴方はやっぱり優しい子・・・・・・これで巨人に食われずに、人らしく逝ける」ボロボロ





ズブリ






69: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 21:34:28.04 ID:EFkkVYHEo

エレン「・・・・・・」ハナジツーッ

カルラ「ごめんねエレン・・・・・・こんなことさせて・・・・・・」ボロボロ

カルラ「お願い・・・・・・生きて、生き残って・・・・・・」ガクッ

ミカサ「おばさん!?エレン!なんて事を!!」

エレン「・・・・・・」ガシッ

ミカサ「あ、あ、エレン、おばさんを・・・・・・」

エレン「・・・・・・」タッタッタッ

70: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 21:35:15.96 ID:EFkkVYHEo



脱 出 船



アルミン「エレン!」

エレン「アルミン・・・・・・」ハァハァ

ミカサ「・・・・・・」ズキンズキンズキン

アルミン「カ、カルラさんは・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ギリッ ツーッ

アルミン「エレン鼻血が・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・(ああ、またこれか)」ズキンズキンズキン

アルミン「で、でも二人は無事で・・・・・・エレン?」

エレン「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴ

アルミン「・・・・・・!?(誰だ!?)」



親友の顔が別人に見えたのは夜も明け切らぬ薄暗さのため
アルミンはそう自分に言い聞かせた



71: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/29(日) 21:37:10.83 ID:EFkkVYHEo


この日生まれ出でた怪物が 一




エレン「駆逐する・・・・・・一匹残らず・・・・・・」ギリィ





いや、二





ミカサ「この世界は残酷だ・・・・・・」ズキンズキンズキン

81: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 20:54:49.73 ID:ksCTzgWpo




訓練風景 兵站行進




アルミン「・・・・・・」ザッザッザッ



キース「・・・・・・(アルミン・アルレルト・・・・・・体格面において決して恵まれているとは言えないが、底知れぬ身体能力を持つ、兵站行進でも息一つ切らさず走り、対人格闘でも104期中5本の指に入る・・・・・・座学の受け応えにおいても非凡な発想を見せると聞く)」



ライナー「・・・・・・やるなアルミン、座学や対人格闘だけじゃなく、スタミナもあるのか」ヒソヒソ

アルミン「・・・・・・ライナーこそ、僕はズルしてるから」ヒソヒソ

ライナー「なに!?ばれたら開拓地行きだぞ!」ヒソッ!

アルミン「そういうのじゃないよ!ナンバ歩法※っていう特殊な歩き方なんだ」ヒソソォ!

ライナー「『ナンバ』?よく分からんがお前といいエレンといい、変わってるな・・・・・・」

アルミン「ああ、エレンとミカサも同じ走り方だね。でも僕からしてみれば、体力だけでそれに平行できるライナーの方がすごいと思うよ」

ライナー「そ、そうか?よく分からんが照れるな・・・・・・」



※ ナンバ歩法 飛脚の走法とされる。古武術の骨子ともなる歩き方で、右手と右足、左手と左足を同時に出すとされる走り方

83: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 20:57:31.11 ID:ksCTzgWpo




キース「・・・・・・(ライナー・ブラウン・・・・・・屈強な体格と精神力を持つ、何より仲間からの高い信頼を得る、
     あのイェーガーとも分け隔てなくコミュニケーションできる数少ない人間でもある)」




ライナー「マズイ、教官がこっち見てやがる。さっさとエレンとミカサに追いつくぞ!」

アルミン「負けないよ!お荷物は死んでもごめんだ!」

84: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 21:06:11.81 ID:ksCTzgWpo




訓練風景 立体起動



ジャン「ウラァ!」ザンッ

アニ「・・・・・・!」ズバァ!

ベルトルト「フン!」ズバァ!



アニ「・・・・・・(少しブレードに負担がかかった、アイツならもっとうまく削ぐ・・・・・・次は)」バシュッ

キース「(アニ・レオンハート・・・・・・斬撃の進入角度に非の打ち所が無い、また、対人格闘ではイェーガー、アッカーマン、アルレルトに唯一引けをとらない、
      
     が、性格は孤立気味、連帯性に難あり)」

ベルトルト「・・・・・・(訓練は問題無い。警戒しておくべきはやはり・・・・・・)」ヒュンッ バシュッ

キース「(ベルトルト・フーバー・・・・・・各方面に特化した104期の中でどの訓練もそつなくこなし、高い潜在性を感じさせるが・・・・・・積極性が欠け、流されやすい)」

85: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 21:11:59.42 ID:ksCTzgWpo

ジャン「(・・・・・・チクショウ!またアニとベルトルトか!斬撃の深さじゃ敵わねえ!)」



キース「(ジャン・キルシュタイン・・・・・・高い立体起動補正の他、現状認識に長けている)」

キース「(今期はかなりの豊作だ、それぞれが逸材と言えよう・・・・・・だがやはり特筆すべきは・・・・・・)」



コニー「ジャン!獲物はもらってくぜ!」バシュゥン

サシャ「甘いですね、コニー!私がもらいます!」バシュゥン

ジャン「しまった!尾行てやがったのか!?」バシュッ





ヒュン    ズババババン!!





ジャン「」

コニー「」

サシャ「」

86: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 21:25:09.37 ID:ksCTzgWpo

エレン「・・・・・・」ヒュンッ バシュッ

ミカサ「・・・・・・」バシュゥン

アルミン「!・・・・・・二人とも!次は五時方向!8m級、2 15m級、1!物陰に4m級、1!」




キース「(ミカサ・アッカーマン・・・・・・あらゆる難解な科目を完全にこなす実現力を持つ、歴代でも類を見ない逸材との評価は妥当)」

キース「(エレン・イェーガー・・・・・・入団当初から格闘術に秀でていたが尋常では考えられない量の自主訓練を課し、あらゆる訓練を高水準でこなす。・・・・・・高い医療技術及び知識も備えており、軍医から熱望されている)」

キース「(この二人の成績には目を張るものがある。アルレルト含め、体幹のバランスをどのようにとればいいかを完全に理解している、末恐ろしい逸材だ)」



87: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 21:34:27.15 ID:ksCTzgWpo

エレン「・・・・・・」シュンッ バシュッ




ライナー『俺たちは兵士だ、使えるものは何でも使って、守るべきものを守らなけりゃならん。だからこういった訓練にも意味はあると思うぞ?』




エレン「・・・・・・!」ヒュン! ズバンッ!

ミカサ「・・・・・・!?エレン、駄目!その角度では持ち直せない!」バシュッ

アルミン「・・・・・・エレン!クソ!間に合え!」ダッ ビシュンッ

キース「!?いかん!!」




エレン「・・・・・・フッ!!」グルン!パシュン キンッ ズバンッ!



ミカサ「!?」

アルミン「!?あれは・・・・・・『柔』の!」

キース「・・・・・・」アゼン

88: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 21:51:35.68 ID:ksCTzgWpo

アルミン「・・・・・・そうか、『柔』なら空中でも急激な体変換も・・・・・・!」

ミカサ「・・・・・・完全に理解した、でもまた危ないことをしたエレンには後で文句がある」



ジャン「」

コニー「」

サシャ「」



コニー「・・・・・・今、エレンのヤツが何したのかわからねえのは、俺がバカだからじゃねえよな?」

サシャ「・・・・・・進入角度が深すぎて、ワイヤーが射出できない角度からそこからエレンがなんかグルンって回って、気付いたら次の獲物を・・・・・・私も良く分かりません・・・・・・」

ジャン「チッ!!なんなんだあの死に急ぎ野郎が!」




※ 『柔』特殊な呼吸法による身体操作、用途は多岐にわたるがこの場合「猫三寸返り」を参照。分かりにくい人は『シグルイ』第三十五景を読んでみよう!



89: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 22:05:19.49 ID:ksCTzgWpo

ジャン「(それだけじゃねえ!ミカサのように基本に忠実に完全に無駄をそぎ落としてるだけじゃなくアイツは障害物や獲物に衝突することを一切恐れて無ぇ、訓練なのに死線を抜けて獲物を刈ってやがる。死に急いでるどころじゃねえ完全にイカレてやがる!)」



ジャン「オラァ!ボッとすんな、追いかけるぞ!死に急ぎ野郎には死んでも負けねぇ!」

コニー「他の穴場探した方が楽だろ!俺でもわかるぞ?」

サシャ「狩人が集中して一つの狩場にいてもいいことにはなりませんよ?」

ジャン「うるせぇ!喋る前に体を動かせ!俺は行くぞ!」

コニー「よし!いくぞサシャ!」

サシャ「獲物を掠め取りましょう!」


ンダヨツイテクンナヨテメエラ!アマイデスネジャン!エモノヲカルノニサホウガイリマスカ!ソウダ!ヨコドリサレルオマエガワルイ!




キース「(・・・・・・グリシャ・・・・・・お前の息子はなんなんだ・・・・・・)」



ベルトルト「(やはりミカサ、エレン、アルミンはハッキリとした脅威だ、なにか弱点があれば・・・・・・)」



アニ「フッ、ムッ(・・・・・・どうやるんだろ?こうかな?こう?)」ピョン ピョン

94: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 23:38:27.16 ID:ksCTzgWpo




訓練風景 座  学



アルミン「・・・・・・以上のように、人類が晒される脅威は巨人だけではありません。万一ウォールローゼが陥落した場合、残った人類による大規模な紛争と略奪が予想されます」ペラ

アルミン「そうなれば人類の滅亡は避けられない。『超大型巨人』、『鎧の巨人』等、壁面扉を破壊しうる巨人が討伐されていないことを加味すれば、現状でも壁は脅威に晒されていることは否定できません。故に現在では『内地』『最前線』の枠組みは意味が無く」ペラペラ

アルミン「現実としては壁内全体の生活水準を確保すること、早期の建築技術の研究が求められます。その為に軍部が執り行う役目としては犯罪の抑制、災害の予防など治安維持が主体であるべきであり、生産者の開拓指揮に憲兵団があたる事は『内地』『最前線』という経済観念が離れた人間が執り行う事に関し無駄を否定できません」ペラペラペラ

アルミン「あまつさえ、訓練兵団では経済学を学ぶわけでもなく、その作業効率は良いものとも思いません。解決策としては農地開拓に適した人材を広く公募し、ある程度の自治権をもった組合を設立させることで・・・・・・」ペラペラペラペラ




教官「」

エレン「・・・・・・」カキカキ

ミカサ「・・・・・・」カキカキ

ライナー「・・・・・・」

アニ「・・・・・・(あいつ・・・・・・結構、睫毛長いんだ・・・・・・)」ジーッ

ベルトルト「・・・・・・(ここまでの危険予測は立てているか、簡単にはいきそうにないな)」


95: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 23:39:54.41 ID:ksCTzgWpo

エレン「・・・・・・」

ミーナ「エレン!ここはどうやるの?」

エレン「・・・・・・」スッ スッ

ミーナ「包帯をこう巻いて・・・・・・こう?」

エレン「・・・・・・」スッ

ミーナ「こうか!ありがと!」



サムエル「おい、エレン、すまん分からなくなっちまった!」

エレン「・・・・・・」スッ ギュッ

サムエル「おお?流石だな、助かったよ!」



トーマス「おーい、エレーン」
エレン「・・・・・・」コクリ

96: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 23:41:26.24 ID:ksCTzgWpo

サシャ「流石は神様ですねー医術講座も鮮やかなものです」

クリスタ「ああっ、もうサシャ!動かないで」

サシャ「クリスタもエレンに教えてもらえばいいじゃないですか」

クリスタ「え・・・・・・いいよ、私はあの人のように出来ないし・・・・・・」

サシャ「?」

ユミル「・・・・・・おい芋女、クリスタ困らせてんじゃねえぞ」

サシャ「ヒィ!」

ユミル「食料庫に忍び込んだのを見逃してやった事忘れて無ぇだろうな」ニヤァ

サシャ「エ、エヘヘ・・・・・・わかってますよ恩人様」ダラダラ

クリスタ「もうっユミル!脅しちゃ駄目だよ!」

ユミル「相変わらず良い子ちゃんだなクリスタ、私を看病してくれよ」





ベルトルト「・・・・・・ア、アニ。大丈夫?」

アニ「・・・・・・(絡まった)」グルグルマキ

97: ◆nlCx7YJs2Q 2013/09/30(月) 23:53:20.99 ID:ksCTzgWpo




訓練風景  休  暇



キース「貴様らには勿体無い話だが、知ってのとおり明日は休暇とする!分かっているとは思うが問題を起こすな!」

キース「尚、何度も言ったことだが外出する際には届け出る事!それにもう一つ!!」

キース「休暇中の一切の訓練は禁ずる!ひよっこどもは体を休めることも訓練だ!」ギロッ



アルミン「・・・・・・エレン、見られてるよ?」

ミカサ「・・・・・・しかし丁度いいエレンは休まなすぎる」

エレン「・・・・・・」ショボン

99: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 00:07:41.26 ID:7SCwdHcco




休暇当日



クリスタ「(雑貨も大体そろったし馬のブラシも買えた・・・・・・そろそろ帰ろうかな)」

クリスタ「・・・・・・ん?なんだろう、あの人だかり・・・・・・」


ザワザワザワ


モブA「あの若い先生、ほとんど触らずに薬だけ出してくれたんだけど、こんなので本当大丈夫かよ?」ヒソヒソ

モブB「腕は確かだぞ、俺も腰痛を治してもらった。なんでも視ただけでも粗方の悪いところは分かっちまうんだと」ヒソヒソ

モブC「最近になってここを手伝うようになったんだと、あんまり腕がいいもんだからあの先生が来る時はここも繁盛するんだよ」

100: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 00:08:33.29 ID:7SCwdHcco

クリスタ「・・・・・・診療所?(あ・・・・・・窓から)」チラ

エレン「・・・・・・いかがなされました?」

モブ女「・・・・・・胸が苦しくて」



クリスタ「」



エレン「・・・・・・」

エレンは、患者の経絡脈の滞りを視診にて看破し、活法を施すべき部位は輝いて見えた
加え、父からと独学とで学んだ外科医術を駆使し、医術の幅を広げていた

101: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 00:09:17.56 ID:7SCwdHcco
今日はこれまで。
早くエレンを死狂いさせたい。

106: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 21:49:50.29 ID:7SCwdHcco
今晩はご機嫌いかがでしょうか、虎眼先生の鯉を貪るシーンが頭から離れない>>1です

投下を開始いたします。


今晩も、ごゆるりと・・・・・・

107: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 21:53:54.91 ID:7SCwdHcco



夕刻 帰舎時刻前



医者「いつも助かってるよイェーガー君。今日も見事な診察だった、訓練兵にしておくのが勿体無いよ」

エレン「・・・・・・」

医者「グリシャさんも名医として有名だったが・・・・・・どうかね?いまからでも医師を目指しては・・・・・・なんならこの診療所を継いで・・・・・・」

エレン「・・・・・・」スッ ペコ

医者「・・・・・・そうか、本当に残念だ、しかし今のこの壁内では医療を施せるものは貴重だ、どうかそのことを忘れないで欲しい・・・・・・」

エレン「・・・・・・」



クリスタ「・・・・・・(私何してるんだろう・・・・・・盗み聞きなんてして)」コソコソ



110: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 22:05:48.17 ID:7SCwdHcco

医者「・・・・・・少ないが謝礼だ、取っておいてくれたまえ」

エレン「・・・・・・」ペコッ

医者「今日も受け取ってはくれないのか・・・・・・」

エレン「・・・・・・」スッ スタスタスタ

医者「いつでもおいで!患者も待っているよ!」



クリスタ「(休暇の日にまでエレンは働いてるんだ・・・・・・しかもお医者様として・・・・・・私なんかと違って本当に人の役に立ってる)」コソコソ




エレン『エレン・イェーガーは生まれついての医者にござる』




クリスタ「っ!!」ズキン!

クリスタ「(なんで?心が痛い・・・・・・私には無理だと割り切ったはずなのに)」

クリスタ「(私は生まれたころからの責務を放棄して、『自分自身』ですら放棄して死のうとしてる)」

クリスタ「(せめても誰かに好かれて、『役に立つ』と思われて綺麗に死のうとしてる卑怯者)」

クリスタ「(エレンのようにはなれないと、私とは別のものだと理解したはずなのに・・・・・・!どうして心が痛いの?)」

111: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 22:18:33.99 ID:7SCwdHcco



エレン「・・・・・・」スタスタスタ ピタッ



クリスタ「(・・・・・・止まった・・・・・・?)」コソコソ



エレン「・・・・・・早よ、来い・・・・・・日が暮れようぞ」ギラッ

クリスタ「・・・・・・!!(後ろを尾行ていたのがバレてたの!?)」ゾワッ!

エレン「・・・・・・」ザッ!

クリスタ「ゴ、ゴメンナサイ!そんなつもりは無かったの!!」ワタワタ

エレン「・・・・・・れんず」ハテナ

クリスタ「え、えと買い物してて、そしたら何かざわついてて、診療所があって、エレンがいて、ゴメンナサイ!盗み見しようとかそんなのじゃないの!」オロオロ

エレン「・・・・・・」

112: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 22:30:41.45 ID:7SCwdHcco




帰路、訓練兵団宿舎に向かうエレンの足は速い

これまでの人生で、ミカサ以外の女人と連れ立った経験の無いエレンの歩みは

クリスタにとって過酷であった




クリスタ「(よく考えたら門限ギリギリだった・・・・・・!早くしないと!)」ハァハァ

エレン「・・・・・・」ザッザッザッ

クリスタ「(エレンは速いなあ・・・・・・兵站行進でもいつも上位三位だし・・・・・・あ!)」ハアハア

クリスタ「痛ッ!」グキッ ズデン

エレン「・・・・・・」ザッザッ ピタッ



クリスタ「ご、ごめん足をくじいちゃって・・・・・・だ、大丈夫だから」

エレン「・・・・・・」

クリスタ「(うう、何やってるんだろう、考え事しながら歩いて何も無いところで転んじゃって、またユミルにからかわれちゃう・・・・・・)」

113: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 22:39:21.53 ID:7SCwdHcco

エレン「・・・・・・」スッ サワッ

クリスタ「イタッ!」ズキン

エレン「・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・ゴ、ゴメンナサイ!でも大丈夫だから!お願い、行って?」



ああ・・・・・・何やってるんだろう



エレン「・・・・・・」ガシ スクッ

クリスタ「キャ!エ、エレン!」///



拒否の言葉を吐きながら・・・・・・この人がそうしてくれるだろうということを期待している



エレン「・・・・・・」ノシノシノシ

クリスタ「うう、恥ずかしいよ・・・・・・」///



なんて打算的、なんて狡猾さ、なんて卑怯者・・・・・・やっぱり私は



ママーアノヒトオヒメサマダッコサレテルー アノヒトオヒメサマ? マア、ホントニオヒメサマミタイネ チクショウミセツケヤガッテ…… ハゼロッ モゲロッ テンシ… メガミ… ケッコンシヨ…

クリスタ「え、えれぇん・・・・・・」プシュー///

エレン「・・・・・・」ツーン ノシノシノシ


この人とは違う・・・・・・

114: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 22:57:55.66 ID:7SCwdHcco



訓練兵団 医務室



エレン「・・・・・・」スッスッスッ

クリスタ「・・・・・・ごめんね、私なんかにこんな事してくれて・・・・・・それに」

クリスタ「(お、お姫様抱っこ・・・・・・)」プシュー///

エレン「・・・・・・」ホウタイクルクル

クリスタ「・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ホウタイギュッギュッ

クリスタ「・・・・・・(か、会話が続かないよぉ・・・・・・)」オロオロ

115: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 23:07:48.64 ID:7SCwdHcco



その裏



ベルトルト「・・・・・・ライナー?ユミル?・・・・・・なにやってるの?」

ユミル「馬っ鹿!ベルトルさん、でけえのはそのノッポな体だけにしろっ!」ヒッソォ!

ライナー「そうだぞベルトルト!声を抑えろっ!」ヒソソォッ!

ベルトルト「いきなりひどくない?君達・・・・・・珍しい組み合わせだけど地面に這いつくばって何してるの?」

ライナー「う・・・・・・なんでもないさ、え、とアレを探してんだよ、なあ、ユミル?」ヒソォ…

ユミル「わ、私かよ・・・・・・アレだ、芋女が食べる虫を獲ってんだよ、コオロギとか」ヒソヒソォ…

ベルトルト「色んな意味でその言い訳はひどくない?君達・・・・・・悲しいな仲間外れは・・・・・・」

116: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 23:20:59.64 ID:7SCwdHcco

ライナー「な、なんだ?どうする気だ?見逃してくれ!後でダズ秘蔵のエロ本回してやるから!」ヒソヒソォッ!

ユミル「頼むからここは引いてくれよノッポさん!後で芋女のパンツやるから!」ヒッソォ!

ベルトルト「さっきから悪意しか感じさせないよね、君達・・・・・・やっぱり仲間はずれは悲しいなあ、ワケを話さないなら大声を出すよ僕は?悲しいからね」

ユミル「馬鹿!止めろ!」ヒッソ!

ライナー「わかった!説明するから!大声だけは止めろ!」ヒッソソッ!

ベルトルト「・・・・・・最初からそうしてよ」ヒソヒソ

120: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 23:36:26.55 ID:7SCwdHcco

ベルトルト「・・・・・・エレンがクリスタをお姫様抱っこして帰ってきた?」

ライナー「そうだ、あいつめ、女に興味なさそうな素振りで俺の女神を・・・・・・」

ユミル「兵団の中でも既に噂になっている、よくも私の天使を・・・・・・」

ベルトルト「(壁面扉の調査から帰ったばかりで知らなかったな・・・・・・)それで・・・・・・二人は何を?」

ライナー「真相を探るべく二人を捜し歩いていたわけだ、俺の感知能力(クリスタ限定)を駆使してな」

ユミル「そして他に先んじて発見したわけだ、私の察知能力(クリスタ限定)のおかげでな」

ベルトルト「・・・・・・人間離れしてるね二人とも・・・・・・」

ライナー・ユミル「「((巨人化のことじゃねぇよな))」」ビクッ

121: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/01(火) 23:43:25.39 ID:7SCwdHcco

ベルトルト「・・・・・・それにしてもミカサはどうしたの?いつもエレンに気を配っている彼女もここにいそうなものだけど・・・・・・」

ライナー「あいつならいち早くここに来ていた。暴れだしそうだったところを今はアルミンが抑えている・・・・・・」

ユミル「正直お嬢ちゃんと馬鹿にしていたが・・・・・・今後は怒らせないようにしようと誓った」

ベルトルト「何があったのさ・・・・・・」

ライナー「いやな、最初は説得していたんだが・・・・・・」

ユミル「ついにブチ切れたのか、こんな眼をしてな」<◎>川<◎>ギヌロッ!

ベルトルト「そ、そうなんだ・・・・・・」

ライナー「いやー怖かった。眼力だけで巨人を屠れそうな感じだった」



ユミル「・・・・・・いや、そんなことはどうでもいいんだよ!私のクリスタの貞操が!」

ライナー「ハッ!そうだった、俺の女神が!」

ベルトルト「落ち着きなよ二人とも・・・・・・ばれたら大変だよ?」



ベルトルト「(とはいえ、少し気になるな、観察した限りクリスタは特にエレンを苦手としていたはずだ。一体どんな話を・・・・・・)」




131: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 21:26:59.17 ID:qkuvNrgto



エレン「・・・・・・」テキパキ

クリスタ「・・・・・・エレンは、誰にでも優しいんだね・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ホウタイクルクル

クリスタ「・・・・・・サシャの時もそうだし、アニもよく運んであげてるよね、二人は対人格闘よく組むし」

エレン「・・・・・・」ホウタイチョキチョキ

クリスタ「初めて会った時の事覚えてる?サシャが走らされて、倒れそうになって、エレンがそれを抱きとめて・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ホウタイギュッギュッ

クリスタ「あの時私、私とエレンは似てる気がしたの」




止めろ、何を言おうとしてる




クリスタ「・・・・・・でもすぐに違うって気付いた、私はね、エレンみたいに生まれながらの責務を背負う覚悟なんてなかった・・・・・・自分自身のことですら放棄したの」

132: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 21:34:45.58 ID:qkuvNrgto




彼だったら受け入れてくれるだろうと思ったか。

誰にでも優しい彼なら、こんなに惨めな自分でも肯定してくれるとでも思っているのか




クリスタ「エレンはジャンに『この死に急ぎ野郎』ってよく言われてるよね・・・・・・私はね・・・・・・『死にたがり女』なの・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ピク




どこまでお前は汚い女なんだ、また彼の優しさに漬け込み、劣等感を紛らわせようなど、一体何様のつもりだ




クリスタ「・・・・・・誰にも言ったことは無いんだけど・・・・・・ちょっと生まれが複雑なの・・・・・・でも全部それを捨てて逃げてきちゃった」




止めろ、止めろ、止めろ、止めろ、止めろ




クリスタ「死んでやろう、て思った。でも散々『汚たない』とか『下賎』とか蔑まれてたからかな?人の役に立って『いい子』に思われて『きれい』に死んでやろうって思った」

133: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 21:46:08.97 ID:qkuvNrgto



止めろ、止めろ、止めろ、止めろ、止めろ
止めろ、止めろ、止めろ、止めろ、止めろ
止めろ、止めろ、止めろ、止めろ、止めろ




クリスタ「だからね?私とエレンは全然違うの。すぐにわかっちゃった。でも今日エレンを見てて思ったんだ・・・・・・私でも生きていたらもっと誰かの役に立てるんじゃないかなって・・・・・・」ニコッ




やめろやめろやめろやめろやめろ
やめろやめろやめろやめろ
やめろやめろやめろ
やめろやめろ
やめろ




クリスタ「・・・・・・ねえ、エレン私に・・・・・・医術を、「お断り申す」」

クリスタ「・・・・・・え?」




エレン「お断り申す」




134: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 21:47:49.76 ID:qkuvNrgto



エレン「『己の劣等感を癒す』医術などは覚え申さぬ」



エレン「医術は仁術」



エレン「医は『怯惰の情』で施すもではならぬゆえ」




クリスタの顔がみるみる紅潮した

エレンの言葉はあまりに抜き身すぎた




クリスタ「・・・・・・あ・・・・・・」ボロ




ほらみてことか




135: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 21:56:17.90 ID:qkuvNrgto




クリスタ「ああ・・・・・・あああ」ボロボロ




馬鹿ねヒストリア、誰がお前なんか認めてくれるものか




クリスタ「ああああああああああ」ボロボロボロ




あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




クリスタ「・・・・・・ごめんなさい、そういうつもりじゃ・・・・・・ううんやっぱりそう思ってた・・・・・・ごめんなさい」ボロボロボロ




恥を知れ、ヒストリア・レイス。優しい彼につけ込んだお前にはお似合いの結末だ




クリスタ「ごめんなさい、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」ボロボロボロ




136: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 22:02:29.27 ID:qkuvNrgto




よく解っただろう。お前はその程度の女だ、綺麗に死ぬなんて許されるものか

お前の浅い考えなど見透かされて当然だ




クリスタ「ごめんなさいっ、ごめんなさいっごめんなさいっ、ごめんなさいっごめんなさいっ、ごめんなさいっ」ボロボロボロ




絶対に許されない、今日のことを良く覚えておけ

彼を侮辱し、医術を侮辱し、それに関わる全ての人間と、今まで関わってきた全ての人間を侮辱し、病める全ての人間を利己の為にお前は侮辱した

他の誰が言わなくとも私自身がお前に行ってやる



お  前  は  永  久  に  許  さ  れ  な  い




エレン「私も同じだった」



137: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 22:05:27.47 ID:qkuvNrgto

クリスタ「・・・・・・え?」グスグス

エレン「れんず・・・・・・私もそなたと同じだった」

クリスタ「・・・・・・エレンが・・・・・・私と?」

エレン「・・・・・・」コクリ





二年前 開拓地 冬




アルミン「この部屋・・・・・・広くなったね」

エレン「・・・・・・」カキカキ

145: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 23:29:26.09 ID:qkuvNrgto

開拓者宿舎の一室。六畳一間の小さな部屋

『孤児の間』と呼ばれ、エレンやミカサのように先の侵略で親を失った子供に当てられる部屋である。

多くのものは栄養不良と不衛生で倒れるか、逃げ出し浮浪児となった

今、部屋にいるのはエレンとアルミンの二人のみである



アルミン「・・・・・・ミカサは?」

エレン「・・・・・・」カキカキ









ビュオオオォォォ・・・・・・





ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ



ミカサ「・・・・・・」ジーッ

ヒ/ナ タ/マゴ タマ/ゴ



ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ



146: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 23:37:42.64 ID:qkuvNrgto

医者として壁内を駆けずり回っていた父グリシャに代わり、エレンに読み書きを教えたのはアルミンであった

開拓地では紙は貴重なので板に水で文字を書いて学ぶ

毎日欠かさずである

その右手が現在二倍に膨れ上がっている



アルミン「・・・・・・その右手、またミカサに噛まれたの?」

エレン「・・・・・・」カキカキ

アルミン「膿んでるじゃないか、エレンなら処置できるだろ?ちゃんと治しなよ」

エレン「・・・・・・」カキカキ

アルミン「・・・・・・いい加減にしなよエレン!」ダンッ!

エレン「・・・・・・」ピタ

アルミン「カルラさんが亡くなったのが悲しいのは解るよ!でも君がそんなだったら!」

アルミン「・・・・・・ミカサは・・・・・・ミカサはどうするんだよ・・・・・・」

147: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 23:50:24.17 ID:qkuvNrgto




ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

ミカサ「・・・・・・」ジーッ

ヒ/ナ タ/マゴ タマ/ゴ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ




悪童「おい」

ザクッ ザクッ ピタッ

開拓地の子供らが最も恐れていたのはこの悪童である。

悪童「この百姓どもが」

悪童の口癖であった

148: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/02(水) 23:55:49.17 ID:qkuvNrgto

悪童の父は、元は憲兵団のエリートであり、国王から開拓地の一区画を一任され、支配村より収穫を徴収する身分にあったが

ある時、汚職が発覚、領地没収の上、憲兵団での地位を解消され

避難民がほとんどを占める、最も貧しい地域に再配置され

事実上の逼塞を命じられた

悪童は他の憲兵団の子息達に軽んじられる鬱憤を開拓民の子供にぶつけていた



悪童「・・・・・・お前、まあまあ見られる顔してるな、こっちへ来いよ」ニヤニヤ

ミカサ「・・・・・・」<●><●>




アルミン「エレン!!「アルミン・・・・・・」」

アルミン「・・・・・・エ、エレン?」

エレン「心という、器は、ひとたび、ひとたび、ひびが入れば、二度とは・・・・・・二度とは・・・・・・!」プルプル

アルミン「エレン・・・・・・っ!」ボロッ

150: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 00:08:07.48 ID:l3sPcJFTo

エレン「ましてやミカサは二度目・・・・・・『私』は来年、訓練兵団に入る・・・・・・」

アルミン「・・・・・・!!本気なの、エレン!?あれだけ医者になるため勉強してたじゃないか!今だって!!ミカサはどうするんだよ!?」

エレン「・・・・・・はんねすさんには言っている、『私』は母上の敵を取らねばなり申さん」

アルミン「嘘だ!!耳が赤くなってるよエレン・・・・・・君は昔からそうだ、正直な君が嘘をつく時はいつもそうやって赤くなるほど我慢してるんだ」

エレン「嘘ではない、私は訓練兵団から調査兵団に・・・・・・」プルプル

アルミン「そしてそれは・・・・・・いつだって・・・・・・他に心配をかけたく無い時だったじゃないか・・・・・・」ボロボロ

エレン「・・・・・・」ハナジツーッ





アルミン「・・・・・・死ぬ気なんだろ?」

エレン「・・・・・・」ピク

151: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 00:09:58.05 ID:l3sPcJFTo

アルミン「カルラさんが死んじゃって!ミカサが壊れちゃったこの現実から逃げたる為に死ぬ気なんだろう!?」ボロボロ

エレン「・・・・・・」プルプル

アルミン「何が『カルラさんの敵をとる』だ!今のエレンなんかただの弱虫じゃないか!!開拓地の子供達を看病したのだって、ミカサの世話をしてるのだってそうすることでせめてもの優越感を感じてるからなんだろ!!」

エレン「・・・・・・っ!!」ブルブル ハナジツーッ

アルミン「なんとか言ってみろよ!!この臆病者!!」

エレン「・・・・・・っっっ!!!!」ブンッ バキィッ!



アルミン「グッ・・・・・・!!ウウ・・・・・・ッ!」<◎>川<◎>ギラリッ!!



エレン「・・・・・・っっっ!!」ゾクッ!

アルミン「誰が殴り返すものか、それじゃ『お前』と同レベルだ!!僕が言ったことを正しいと認めているから、言い返せなくて殴ることしか出来ないんだろ?」

エレン「・・・・・・っ!」ブルブルブル

アルミン「それは僕に降参したってことじゃないのか!?この卑怯者!!!!」

152: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 00:22:01.47 ID:l3sPcJFTo

アルミン「・・・・・・」ハァハァ

エレン「・・・・・・」ズルッ ガク

アルミン「・・・・・・エレン、絶対に死なせないよ、僕が助けてあげる・・・・・・」

エレン「・・・・・・」ブルブル

アルミン「・・・・・・僕がどんなに君達に助けられたか・・・・・・今がその恩を返す時だ」クルッ スタスタ

エレン「・・・・・・アルミン」

アルミン「・・・・・・」ピタッ

エレン「・・・・・・私達に、『俺達』に明日はあるのか・・・・・・?」

アルミン「・・・・・・僕にとっての明日は・・・・・・エレンとミカサだよ・・・・・・」スタスタスタ

アルミン「(・・・・・・ある!明日はある!!)」

160: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 21:54:21.32 ID:l3sPcJFTo







ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ



ミカサ「・・・・・・」<●><●>



ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

……サ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

……カサ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ

……ミカサッ

ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ




アルミン「ミカサッ!!」ガシッ




161: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:06:20.09 ID:l3sPcJFTo

ミカサ「・・・・・・アルミン?」

アルミン「こんなところで何をしてるの?それに・・・・・・これはっ!?その手は!?」



ヒ/ナ タ/マゴ タマ/ゴ



アルミン「なんてことを「アルミン」・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・今更、何しに来たの?」

アルミン「!!??」




アルミンは驚愕した

ミカサが手に持っていたのは

頭皮とおぼしき肉片の付着した

人間の頭髪だったからだ




ビュオオオォォォ・・・・・・

162: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:18:38.69 ID:l3sPcJFTo




アルミン「・・・・・・ミカサ、これまで君達の問題に僕が関わらなかったのは僕に勇気がなかったからだ・・・・・・本当に済まない」ドゲザッ

ミカサ「・・・・・・」

アルミン「・・・・・・単刀直入に言うよ。ミカサ、エレンとちゃんと話をしないと駄目だ」

アルミン「このままじゃ「何故?」・・・・・・ミカサ?」ドクン




ミカサ「?・・・・・・これから殺すつもりの人間と何を話すというの?」




ミカサ「・・・・・・不毛」

アルミン「・・・・・・ミカサ・・・・・・今・・・・・・なんて言ったの?」ドクンドクン

ミカサ「『あいつ』を『殺すつもり』・・・・・・そう言った」<●><●>

アルミン「・・・・・・正気かミカサ、二人は・・・・・・お互いに・・・・・・残された家z」ドクンドクンドクン




ミカサ「その『家族』を!!」

アルミン「」ビクゥ!




163: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:26:29.98 ID:l3sPcJFTo



ミカサ「・・・・・・その家族を殺したのはエレン・・・・・・」



アルミン「!!!???」ドックン!!



ミカサ「・・・・・・聞かされなかったの?・・・・・・そう、臆病者の『あいつ』らしい・・・・・・」

ミカサ「この世界は残酷だ・・・・・・教えてあげよう、アルミン・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・『カルラおばさんを』・・・・・・私のもう一人の『お母さんを殺したのは』:・・・・・・」



アルミン「」ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!ドックン!






ミカサ「  『エ   レ   ン』   だ   !   ! 」





ビュオオオォォォ・・・・・・

164: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:36:36.31 ID:l3sPcJFTo



ミカサ「・・・・・・これで解ったでしょう?あなたの友達は、私の家族のフリをしていた男は、臆病で卑怯で惰弱で劣悪で愚鈍で最悪で最低の男」

アルミン「・・・・・・ミカサ、エレンは・・・・・・どうしてカルラさんを殺したの・・・・・・?」

ミカサ「・・・・・・知るワケもない、家族を殺すような男のことなど考えたくも、」



アルミン「  ミ カ サ ! ! 」



ミカサ「・・・・・・」

アルミン「答えてよ・・・・・・」

ミカサ「カルラお母さんは・・・・・・あいつに『私を連れて逃げるように』言った・・・・・・それが『命令』だと・・・・・・あいつは、」

ミカサ「エレンは瓦礫をどける手を止め・・・・・・そして・・・・・・『涙を流すお母さんに』ナイフを突き立てて・・・・・・「わかった」ッッッ!!!!」ブルブル

アルミン「・・・・・・わかったよ、全部理解した・・・・・・ごめんよ、思い出したく無いことを無理に聴いて・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・別に構わない、アルミンにしては頭のめぐりが悪い・・・・・・おばさんを、お母さんを殺した時点であの男は、」




アルミン「ミカサ」




165: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:37:51.01 ID:l3sPcJFTo




ミカサ「・・・・・・何?」

アルミン「・・・・・・僕がわかったって言ったのは・・・・・・君達が『大馬鹿』ってことだよ?」ニコリ

ミカサ「・・・・・・訂正してもらおう、アルミン。『君達』など、あいつと一緒くたにされ「黙れよ」・・・・・・」

アルミン「それ以上僕の友達を侮辱してみろ・・・・・・」





アルミン「・・・・・・『絶対』に『ただじゃ済ませない』ぞ・・・・・・」<◎>川<◎>





166: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 22:49:55.18 ID:l3sPcJFTo



ミカサ「『ただじゃ済ませない』・・・・・・?今日のアルミンは面白い事を言う、元々あいつより臆病だったアルミンが、稽古でも一度として一本を取ったことのないアルミンが私に対して『ただじゃ済ませない』?どうするのか聴かせてもらおう」ザワ

アルミン「・・・・・・さあね?」ニコリ

アルミン「確かに僕は元々臆病で、弱虫さ、『虎眼流』が無ければ今も街の悪ガキどもにいじめられていて、君達に対して引け目を感じていただろうね」ニコニコ

ミカサ「その表現はおかしい、あなたは知っている、あいつはおろか、『私には』『絶対に敵わない』ことを。あなたは未だに引きずっている、現在進行形であるべきだ」ザワザワ

アルミン「・・・・・・でもね、ミカサ?僕が・・・・・・『勝つためには』『何でもする』ヤツだって事は知ってるでしょ?」ニコニコニコ

ミカサ「・・・・・・だからどうしたというの?『あなたが何をしたところで』私には・・・・・・」ザワザワザワ

アルミン「今日のミカサは面白いね?『いつもよりずっと口数が多い』よ?」ニコニコニコニコ

ミカサ「」ザワザワザワザワ

アルミン「口で僕に勝てると思った?口数の少ない君達のイニシアチブを取ってきたのは誰だと思ってるのさ?」ニコリ




ビュオオオォォォ・・・・・・




170: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 23:44:01.51 ID:l3sPcJFTo



ミカサ「やっぱりアルミンもあいつと同じだ・・・・・・私の事など何も考えていない。危険が及べば私の事など・・・・・・『友達』と『家族』と思った人間を簡単に切り捨てる」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「この世界は残酷だった・・・・・・美しくも無い・・・・・・『友達』も『家族』も失った私にはこの世に生き続ける意味は無い」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・アルミンが何をしようと関係ない。私は・・・・・・私はあいつを・・・・・・そして、そして私は、」



アルミン「僕は思っているよ」



ミカサ「・・・・・・」

アルミン「僕は思っている。確かにこの『世界は残酷だ』・・・・・・でも『それ以上に美しいはずだ』」





アルミン「覚えてる?ミカサ・・・・・・世界の大半はね、『海』っていう水で覆われてるんだ」





173: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 23:52:20.49 ID:l3sPcJFTo
>>否、彼奴はすくたれものにござる・・・・・・(結婚しよ)



アルミン「『海』だけじゃない・・・・・・『炎の水』『氷の大地』『砂の雪原』・・・・・・僕はそれを全部見に行くつもりだ」


アルミン「壁の一歩先は地獄のような世界だ。でも僕は、壁から上ってきて、壁に落ちる太陽なんかじゃなく、それはどこから来て、どこに落ちるのかを知りたい。僕達はどこに立っていて、僕達を見下ろす空がどこまで続いているのか全部知りたい」


アルミン「それをこの眼で見た時、それはどんなに美しいものだろうか、世界はどう見えるだろうか僕はいつも思っている」


アルミン「その夢を聴いた君達は、普段まったく表情を変えないのに少し眼が大きくなっていたね。少しだけこちらに迫ってきたよね」ボロ

174: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/03(木) 23:59:24.47 ID:l3sPcJFTo





アルミン「うれしかった・・・・・・同い年の子には『異端者』と言われ殴られた、大人たちにはいぶかしげに見られた」




アルミン「二人だけが僕の話を真剣興味を持ってくれた、真剣に応援してくれた。『僕はボク自身でいていいんだ』って思えた『僕はこの世界にいていいんだ』って思った」ボロボロ




アルミン「『ずっと一緒にいたい』って思った。『ずっと一緒にいる』って自分に誓った。それは・・・・・・『友達』で『家族』だって、ことじゃないのかな・・・・・・?」ボロボロボロ





175: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:01:46.83 ID:VDOGenOMo








僕は・・・・・・ずっと・・・・・・今でもそう思っているよ・・・・・・

176: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:15:05.58 ID:VDOGenOMo



ミカサ「・・・・・・く、口ではなんとでも言える」ブルブル

アルミン「ミカサ・・・・・・」ゴシゴシ

ミカサ「・・・・・・あなたが私の『友達』だと言うなら、『家族』だと言うならば、証を立ててもらおう」ギリッ

アルミン「・・・・・・いいよ、言って」



ミカサ「『二輪(ふたわ)』にて・・・・・・」ニヤァ



アルミン「ふ・・・・・・『二輪(ふたわ)』だって・・・・・・?」



ミカサ「・・・・・・明朝」<●><●>



ミカサ「あの男も連れてきて、そしてアルミン」

アルミン「」




ミカサ「その腹が引き裂かれてもいいように・・・・・・」

ミカサ「せいぜい胃の中を空にしておくこと・・・・・・」ニヤァ

177: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:27:13.30 ID:VDOGenOMo



明  朝



幼き虎両名が手にしているのは竹刀ではない

木剣である

木剣とてまともにあてれば脳汁漏れる

剣をとり、骨を軋めあっていた虎子達はそれ故、その理を解していた




エレン「・・・・・・アルミン!ミカサ!」ザッ

アルミン「エレン・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・そこでよく見ておくといいエレン」



貴様の大事な『お家』とやら、今日 この私が粉と砕いてくれる!



アルミン「・・・・・・虎眼流、『二輪(ふたわ)』つかまつる!」ザッ

ミカサ「・・・・・・」スッ

アルミン「一本目ッ!晦まし!」

ミカサ「・・・・・・」

178: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:37:30.47 ID:VDOGenOMo




『二輪(ふたわ)』とは、虎眼流秘太刀の型であり

『型』とは定められた攻防の手順を呼吸を合わせて行うことで

 剣の術理を覚えこませるものであるが




アルミン「(気になるのはミカサ・・・・・・)」ヒュン ピタ

アルミン「(次はミカサの番・・・・・・何を考えている、いや駄目だ!彼女を信じるんだ!)」スッ

ミカサ「・・・・・・」ヒュンッ



エレン「!!!???」

アルミン「!!!???」



ズ  ム  ッ



179: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:48:33.97 ID:VDOGenOMo



同門の試し合いでは止めるのが作法である

ましてやそれが『型』であれば尚更のこと



アルミン「グッ・・・・・・ミカサ、止め損なったの・・・・・・?」ガクッ

ミカサ「アルミン!」ダダッ

アルミン「だ、大丈夫・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・」



ズ   ン   ッ



アルミン「かはっ!?・・・・・・う う う う う う・・・・・・」

ミカサ「私は止めるとは言っていない」<●><●>

エレン「・・・・・・っっっ!!!」ダダダッ

ミカサ「・・・・・・!」グッ

180: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 00:50:50.48 ID:VDOGenOMo

アルミン「エレンッ!!!」

エレン「!?」ズザザ

アルミン「君は動いちゃ駄目だ・・・・・・」フルフル

ミカサ「・・・・・・チッ」

エレン「!・・・・・・・・・!!」ブルブル



ミカサ「・・・・・・やめにする?」

アルミン「・・・・・・」ブルブル

ミカサ「・・・・・・『家族として』『証を立てるのは』止めにする・・・・・・?」

アルミン「・・・・・・君がエレンを呼ぶように言った時何故気付かなかったのか」グッ

アルミン「殺されるものとして臨むべきだったよ・・・・・・」ググッ

ミカサ「・・・・・・止めにするのね・・・・・・?」

アルミン「ミカサ・・・・・・それにエレン」



アルミン「アルミン・アルレルトはこの日のために精進してきたんだよ・・・・・・」グググッ


ミカサ「!?」

181: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:06:45.52 ID:VDOGenOMo



ミカサを救うことは、三人が一緒に居るために無くてはならぬもの

ミカサの闇を払い

『家族』であると証を立てる

エレンをも救った上で、それが全て出来た上で




三人は本当の『友』となり『家族』となる!




アルミン「~~~~~~~~~~っっっ!!!」ダンッ

ミカサ「!!??」ゾワッ

エレン「・・・・・・」




仁愛である



仁愛がモルヒネのように激痛を麻痺させているのだ





アルミン「・・・・・・」ニコリ

182: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:19:44.29 ID:VDOGenOMo



ミカサ「~~~~~っ!」

エレン「・・・・・・」ギリッ

アルミン「・・・・・・続けよう、ミカサ」スッ

ミカサ「っ!アァルミィン!!」<●><●>カッ!!



ガッ ドゴッ


ドスッ ズンッ



エレン「・・・・・・っ!!」ガブリッ



ガキッ ゴキンッ ドンッ



183: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:22:49.49 ID:VDOGenOMo



ガンッ



ミカサ「~~~っ!不毛ッ!不毛、不毛、不毛、不毛ッ! のでッ!! もはや一息たりとも留まらない、刃と刃の『二輪(ふたわ)』となるッ!!」ビュンッ!

アルミン「・・・・・・」ボロボロ…

ミカサ「ただしこのままではアルミンは打ちのめされるのみ、それは『二輪(ふたわ)』では無い・・・・・・」ハァハァ…

ミカサ「・・・・・・『止め』などしなくとも構わない。やってみるといい・・・・・・やれるものなら・・・・・・」ニヤア



アルミン「・・・・・・」ニコリ



ミカサ「!!!!何 が お か し い!!!???」ビュアァッ!!




184: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:27:59.37 ID:VDOGenOMo



エレンが

膿んで膨れ上がった右手を噛み千切れんばかりに噛み締めたのは



ズドムッ ズムッ ドガッ ドガッ



ミカサ「~~~っ!」



『家族』が『友』一方的に打ち据える様を

文字通り、指をくわえてみるしかなかったことからか



ゴズッ ドムッ ドズッ ドンッ



『友』であり『家族』である男の矜持を見守るしか無かったことから



187: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:38:43.80 ID:VDOGenOMo



バキッ ズカッ ガシッ ボカッ



アルミン「・・・・・・」<◎>川<◎>

ミカサ「・・・・・・っっ!!」ブルブルブル



アルミンはもとより

疲労により、ミカサの呼吸も乱れる

そのような中で

最後の型は

互いを目視できぬ体制から

緊急停止できぬ 手加減すら不可能な



ミカサ「!!!!????」ヒュン!!



188: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:41:36.26 ID:VDOGenOMo



アルミン「・・・・・・」ボロボロ……

ミカサ「」木剣ピタッ



アルミン「・・・・・・ミカサ」ズタボロ…

ミカサ「ッ!!??」ビクゥ!!

アルミン「・・・・・・止めてくれたね・・・・・・殺したくなかったんだ、僕を・・・・・・家族って、認めてくれたんだ」ボロボロ……

ミカサ「」ガチガチガチ

アルミン「今・・・・・・僕は君に『友達であり家族である』と証明できたんだ・・・・・・そして君も・・・・・・『友達であり家族である』と証を立ててくれたんだ・・・・・・」ググッ

ミカサ「」ガタガタガタ

アルミン「・・・・・・うれしいよ」ツーッ




189: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:58:13.57 ID:VDOGenOMo

アルミン「」ガクッ

エレン・ミカサ「「アルミン!!」」



ミカサ「アルミン!アルミンっ!!アルミンっ!!」ボロボロ

エレン「ミカサ!動かすな!頭を強く打っている、担架を用意しろ!!」

アルミン「・・・・・・ミカサ、エレンは、おばさんが怖くないように・・・・・・死体も残らなくされないように、全部、自分で背負うって、決めて、おばさんを・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・ッ!!」

エレン「・・・・・・!!」

190: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 01:59:37.20 ID:VDOGenOMo

アルミン「・・・・・・エ、レンは、臆病で、卑怯、じゃない、誰よりも、勇気が、あって正直で・・・・・・」

アルミン「でも・・・・・・エレンだって・・・・・・おばさんの、『家族』なんだよ・・・・・・?一番、つらいのは・・・・・・エレンじゃないか・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・っ!!」ポロ

エレン「喋るなアルミン、ミカサ、担架だ」

アルミン「エ、レン、弱虫で、臆病者で、卑怯だ、なんて言ってごめんよ・・・・・・でも・・・・・・つらい時は・・・・・・ちゃんと、言葉に出さなきゃ・・・・・・」

エレン「・・・・・・ッ!」

アルミン「君達は、家族なんだよ?支えあわないと、駄目、じゃないか・・・・・・もう」ググッ

エレン・ミカサ「「アルミン!!」」



アルミン「・・・・・・こんなこと、しちゃ、駄目だよ?」ニコッ

アルミン「」ガクッ



199: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 21:56:23.34 ID:VDOGenOMo









ハンネス「・・・・・・本当に良かったのか、エレン。お前ほど真面目な医者だったら憲兵団なんかよりいい待遇で・・・・・・なんだって訓練兵に」

エレン「お気遣いまことに痛み入り申す」ペコ

ハンネス「・・・・・・まあ、お前は時々おっかねえと思うぐらい執念が強え、何言っても無駄だろうとはわかってるさ・・・・・・死ぬんじゃねえぞ」

エレン「・・・・・・」ペコ

ハンネス「入団の申請は任せとけ・・・・・・次に会う時は同僚だな」

エレン「・・・・・・」コクリ スタスタスタ

200: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 21:58:22.00 ID:VDOGenOMo




帰路

エレンは桜吹雪に見舞われた




エレン「・・・・・・」スタスタスタ



「・・・・・・『エレン』」



エレン「・・・・・・」ピタッ クルッ



ミカサ「・・・・・・久し振り」テクテク



エレン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・私は・・・・・・あなたを蔑み、殺そうとし、アルミンをあんな目にあわせた女、ので、何を言っても不毛かもしれない・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・でも、どうか聴いて欲しい」ウツムキ

201: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 22:06:20.44 ID:VDOGenOMo

エレン「・・・・・・」

ミカサ「虫が良いことは解っている・・・・・・どうか、どうかもう一度、私と、『家族』になってもらえないだろうか・・・・・・」

ミカサ「『初めて会ったあの時』私を救ってくれた、カルラお母さんの尊厳を守り、無念を晴らそうとするあなたを、私は『守りたい』と思う」フルフル

ミカサ「・・・・・・どうか、お願い」フカブカ




エレン「・・・・・・ミカサ」



ミカサ「っ!」ビク



エレン「私は巨人の脅威に敗れ、『イェーガーのお家』も『母の命』もお守りすることが出来なかった・・・・・・」




202: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 22:09:57.31 ID:VDOGenOMo


エレン「しかし」


ミカサ「・・・・・・エレン」ボロッ




エレン「『お前とアルミンだけは守り申す』『いかなる嵐にも屈さない』」




エレンの言葉は


ミカサ「・・・・・・私は、今、この時、貴方達に、『私は血も心も捧げる』」ボロボロ


愛情に身を焦がす若者なら

誰もが口にする他愛のなき言葉だったが


エレン「・・・・・・」コクリ


闇を払われた少女は

一生に一度の聖なる瞬間と心得た


ミカサ「ハンネスさんに、傘を借りてくれば、良かった」ボロボロボロ

エレン「・・・・・・」ギュッ



203: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 22:14:03.93 ID:VDOGenOMo


この日、久方ぶりに

二人の歩速はゆるやかに符合し



ミカサ「桜の吹雪、でこんなに『近くにいた』あなたが、見えない・・・・・・」ボロボロボロボロ



ミカサの深部に潜む魔は

跡形もなく消滅していた




戦うために生まれたのではない

戦って結ばれるために生まれたのだ




204: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/04(金) 22:16:06.16 ID:VDOGenOMo




ハンネス「・・・・・・ようやく元の、いや、雨降って地固まる、か」

アルミン「えれぇん・・・・・・みかさぁ・・・・・・」ポロポロ

ハンネス「・・・・・・お前もな、アルミン」フゥ




”なんと美しい家族であろう”


三人の後見人、ハンネスは嘆息をもらした


生きることを決意した者の美しさは、ただ生きるものを圧倒する


この世界は残酷、しかし


そこに生きるものは




ただひたすらに美しい




215: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 20:18:56.50 ID:wFRQ1DzFo



訓練兵団宿舎 医務室



クリスタ「ヒック・・・・・・ヒック・・・・・・」ポロポロ

エレン「あの日、アルミンは言ってくれた、母を殺め、怯惰にも逃げた私に『生きていていい』と、『家族として支えあおう』と、そして己を『死狂い』としてまで、私とミカサを救ってくれた」

クリスタ「ウウ・・・・・・グスッ・・・・・・」ポロポロ

エレン「そして、『レンズ』、今、私はお前にもそうしよう・・・・・・」ポン

クリスタ「・・・・・・え?」ポロポロ




エレン「私はお前が生きていることがうれしい、お前が、お前らが共に並んでいることが」

クリスタ「・・・・・・っ!エレン・・・・・・」グスッ

エレン「・・・・・・『我らは104期訓練兵団』、共に汗を流し、腕を磨く『同胞』ぞ」


216: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 20:25:40.46 ID:wFRQ1DzFo

クリスタ「私は・・・・・・生きていてっ、いいの?・・・・・・みんなと一緒に居てもっ、いいの?」グスグス

エレン「・・・・・・」コクリ

クリスタ「・・・・・・えれぇん・・・・・・」ギュウ・・・・・・


 バ  ン  ッ  !  !


ユミル「クリスタ!私もだ!ただ存在すr・・・・・・」ダダ……

ライナー「おいバカ、ユミル!いきなり入るヤツがあr・・・・・・」ダダ……

ベルトルト「・・・・・・(あーあ)」ハァ




エレン「・・・・・・?」ダキツカレチュウ
クリスタ「」ダキツキチュウ



217: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 20:31:57.35 ID:wFRQ1DzFo

ユミル「・・・・・・おいコラ、この死に急ぎでござる野郎、お前、私のクリスタに何してやがる?」ゴゴゴゴゴゴ

ライナー「なんてこった俺の女神が、これがダズの秘蔵にあった『ネトラレ』ってやつか・・・・・・(エレン!本当にすまない。盗み聞きするつもりはなかったんだ!)」

ベルトルト「ライナー、台詞と本音がが逆になってるよ?」


ユミル「てっきり女なんか興味のねえライナーのお仲間かと思ってたぜ・・・・・・あんたのツレが言ってたよ、集る虫は早急に「 出 て っ て ・・・」そg・・・・・・クリスタ?」




クリスタ「出てってよ!!ユ ミ ル と ラ イ ナ ーの バ カ ァ ! !」マッカッカ



ユミル「」

ライナー「」

エレン「・・・・・・」ハテナ

219: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 20:49:13.52 ID:wFRQ1DzFo

ベルトルト「ハイハイ、帰るよ二人とも、エレン、ユミルを運んでくれる?」

エレン「・・・・・・」コクリ

ベルトルト「女子寮からは、後でミカサに頼めば適当にしてくれるんじゃないかな?ほら、ライナー、重いんだから運ばせたりしないでくれよ?」

ライナー「」ヨチヨチ

エレン「・・・・・・」ガシッ グイ
ユミル「」

ベルトルト「・・・・・・君は人を運ぶ時お姫様抱っこしかしないのかい?」

エレン「・・・・・・」ハテナ

エレン「れんず、医務室での宿泊許可はとってある、無理せずにここで休め」クルッ

クリスタ「あ、エレンっ!待って、私・・・・・・その」チラリ

ベルトルト「!・・・・・・もう眠いし僕は先に戻るよ、ほらライナー口を半開きにしない、だらしないよ、キリキリ歩くっ」スタスタスタ

ライナー「」ヨチヨチ

220: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 20:51:33.92 ID:wFRQ1DzFo

クリスタ「・・・・・・あのねエレン・・・・・・私、『自分自身』を否定したって言ったでしょ?」

エレン「・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・強制だった、ていうのもあるけど、その時から私は、自分を偽って生きてきたの、『クリスタ・レンズ』は私の本当の名前じゃないの」グッ

エレン「・・・・・・」



クリスタ「私の名前・・・・・・『ヒストリア』って言うの・・・・・・」



エレン「・・・・・・」

エレン「・・・・・・解り申した」コクリ




エレン「・・・・・・『ヒストリア』」
ユミル「・・・・・・」




223: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 21:50:58.65 ID:wFRQ1DzFo



女子寮前



ユミル「・・・・・・なあ、ゴザルさん」

エレン「・・・・・・」ノシノシ

ユミル「・・・・・・クリスタのことなんだが・・・・・・みんなの前で『ヒストリア』って呼ぶのはまだ待ってもらえねえか?」

エレン「・・・・・・」ノシノシ

ユミル「あいつの生まれは少々特殊でな・・・・・・今、それがバレると、後でどんなことになるかわからねぇ、もしかしたら・・・・・・」

ユミル「命を狙われることも考えられる・・・・・・それはあんたも本意じゃないだろ?」

エレン「・・・・・・解り申した」コクリ

ユミル「助かるよ・・・・・・ここでいいよ、ていうか、いつまでお姫様抱っこしてんだ、そういうキャラじゃないだろう私は」ヨッコイショ

エレン「・・・・・・」ハテナ

ユミル「・・・・・・せいぜい後ろから刺されないように気をつけな、ああ、それと・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

ユミル「ありがとな、あいつを突き放してくれて、受け入れてくれて。あんたの『家族』の秘密、勝手に聞いて悪かったよ」

エレン「・・・・・・」コクリ スタスタ

ユミル「・・・・・・変なヤツ」

224: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 22:03:57.18 ID:wFRQ1DzFo



ミカサ「ユミル」



ユミル「ッッ!?ミカサ・・・・・・今の話聞いてたのか・・・・・・?」

ミカサ「?何の話だろうか、私はあなたとエレンが見えたので声を掛けただけ、エレンに『おやすみ』は言えなかったけど・・・・・・」

ユミル「・・・・・・なんでもない。気にするな、そういえばアルミンはどうしたんだよ?もうヤツのお説教は終わったのか?えらい恐ろしい剣幕だったが・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・な、な、な、なんの事かわからない、私が『家族』である、ア、ア、ア、ア、アルミンを恐れる訳がない」ブルブル

ユミル「・・・・・・まあ私はあいつを怒らせないように注意しておくよ」クックッ

ミカサ「それがいい。アルミンは私やエレンよりずっと強い。敵に回したら最後」

ユミル「・・・・・・ああ、そうみたいだな」ニヤリ

ミカサ「ところで」




ミカサ「エレンがあなたをお姫様抱っこしていたのはどういうことだろうか」<●><●>

ユミル「」





225: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 22:18:53.99 ID:wFRQ1DzFo



男子寮前



ライナー「・・・・・・エレンは、母親の尊厳を守るために、自分の手で母親を刺したのか・・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・」

ライナー「10歳の子供が、自分の母親を刺したのか・・・・・・」

ベルトルト「・・・・・・ライナー」

ライナー「俺は、あいつにそんな事をさせたのか・・・・・・」

ベルトルト「ライナー」

ライナー「俺は・・・・・・俺は「 ラ イ ナ ー ! 」」



ベルトルト「・・・・・・君は『兵士』か?『戦士』か?・・・・・・どっちだ?」



ライナー「・・・・・・」

ベルトルト「君は戦士だろう?目の前に『ハッキリとした脅威』がいるのに、君がそんなだから、僕まで目立つことになってるんじゃないか・・・・・・」

ライナー「・・・・・・すまん・・・・・・しかしベルトルト、お前だって思うところがあるんじゃないか?訓練兵団に入って、エレンの話を聞いてお前はなんとも思わなかったのか?」

ベルトルト「まあ・・・・・・気の毒だ・・・・・・とは思ったよ」

ライナー「・・・・・・お前!」

ベルトルト「でも僕は『戦士』だ、自分の、『戦士』としての責任を果たすだけだ」



ベルトルト「・・・・・・君はどうかな・・・・・・ライナー?」



226: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 22:28:34.64 ID:wFRQ1DzFo



ライナー「・・・・・・そうだな、お前の言うとおりだ、本当にすまない」

ベルトルト「・・・・・・構わないよ。僕だって・・・・・・楽しくてこんな事するわけないだろう・・・・・・」ウツムキ

ライナー「・・・・・・」グッ

ベルトルト「・・・・・・ともかく、彼らのことがわかったのは大きな収穫だ。次の作戦では、未熟な訓練兵団を狙い打った作戦だったが、彼らの存在がそれを邪魔していた・・・・・・しかし」




彼らの弱点を見つけることが出来た・・・・・・




アルミン「あ、ライナー!ベルトルト!」

ライ・ベル「!!!!」

227: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/05(土) 22:29:57.92 ID:wFRQ1DzFo

アルミン「何してるの、二人とも!!もう就寝前点呼の時間だよ!?」アタフタ

ライナー「・・・・・・す、すまんアルミン!エレンのヤツはもう帰ってきてるのか?」

ベルトルト「(馬鹿!ライナー!!)」ギョッ

アルミン「?・・・・・・どうしてエレンがギリギリに帰ってきたのを知ってるの?」

ライナー「・・・・・・っ!」

ベルトルト「・・・・・・ああ、さっき医務室でエレンと話をしてたんだ。彼はユミルを送っていってたから、それでだよ」ニコリ

アルミン「そうなんだ・・・・・・いや、そんな場合じゃなかった、もう教官が来るよ!?二人とも急いで!!」

ライナー「・・・・・・やばい!行くぞベルトルト!」

ベルトルト「ああ・・・・・・」




ベルトルト「(・・・・・・ライナー、僕の方こそ君に謝らなければならない。心の弱い僕に代わって、ここのみんなと関わり情報を集めてくれたのは君なのに・・・・・・)」

ベルトルト「(・・・・・・僕は君達故郷に帰る・・・・・・絶対に、君が背負えないなら・・・・・・今度は僕が・・・・・・!)」




236: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 11:20:15.73 ID:qOrF2Iemo




虎子稽古風景 



ユミル「・・・・・・見ろ、あいつらだ、よくやるもんだ」

サシャ「?なにがですか?」


ジャン「・・・・・・エレン、工夫がついた、相手しろ」

エレン「・・・・・・」コクリ

コニー「またエレンとやんのか?無駄だって、俺でもわかるぞ?」

アルミン「アハハ・・・・・・でもエレンはうれしそうだし、いいんじゃないかな?」

クリスタ「そうなの?・・・・・・わからない」ムゥ

ミカサ「エレンは最初からジャンのことを気に入っている、クリスタはまだ修行が足らない」ドヤァ

クリスタ「!いつかわかるようになるもん!」ムッ

アニ「・・・・・・(いつもよりアイツの目じりが2度下がってる、喜んでるんだ・・・・・)」ジーッ

237: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 11:21:07.00 ID:qOrF2Iemo



サシャ「・・・・・・何してるんですか?あれは・・・・・・」

ユミル「上位三人の剣法の指南とやらだとさ。わずかな休暇によくやる・・・・・・最近じゃ他のやつ等も参加してる・・・・・・まあジャンはミカサ目当てだろうが」フッ

サシャ「・・・・・・ユミル、クリスタがエレンたちと関わるようになってからうれしそうですね」ニヤニヤ

ユミル「・・・・・・何か言ったか芋女?お前は未だに私に借りがあることを忘れてないだろうな?」

サシャ「ウグッ!わ、解ってますよ、恩人様・・・・・・エヘヘ」ワタワタ

ユミル「・・・・・・」

238: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 11:22:18.89 ID:qOrF2Iemo



エレン「・・・・・・」スッ

ジャン「・・・・・・(やってみて、新ためてわかったが・・・・・・こいつはむかつくほど強え)」

ジャン「(だが、人間である以上、攻撃の後ならば絶対に隙が出るはず、そこを狙えば!!)」ヒュッ

エレン「・・・・・・!」バッ

ジャン「(今だ!)オラァ!!」ブンッ!

エレン「・・・・・・!!」カシンッ!

ジャン「(今だ!行け、踏み込め!ヤツの懐!)」ブワッ

エレン「・・・・・・!?」




ジャンが二体!

否、それはジャンが投げた竹刀!




ジャン「(もらった!!)オオッ!」ブンッ!






エレン「・・・・・・」スカ ガシ スパァン!

ジャン「ウゲッ!?」ドサッ




239: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 11:23:33.34 ID:qOrF2Iemo

クリスタ「・・・・・・ああ、ジャン負けちゃった」

アルミン「竹刀を投げて距離をつめるとは・・・・・・」

ミカサ「邪法な・・・・・・」

アニ「(いや、その前に左腕を前に出したのは・・・・・・あれは『晦まし』>>0�そして竹刀を投げた時にも、二段でしたのか・・・・・・)」



※ 晦まし 構えた状態で殺気だけ飛ばし、攻撃を誤認させる技、端から見れば刀を支える左腕だけ振ったようにしか見えない。虎眼流秘太刀



エレン「・・・・・・『ジャン』」スッ

ジャン「・・・・・・チッ、まだとどかねえのかよ?」ガシッ



クリスタ「よく解らなかったけどすごいねえ!(あれ?少しエレン喜んでる?)」キラキラ

コニー「よく解らねぇけどスゲエな!(エレンとジャン仲良いな!)」

ミカサ「だが、今のは惜しかった、私もウカウカしていられない(いつもよりエレンの声が半オクターブ高い、やはりジャンはエレンにとって貴重な人)」

アルミン「いつの間にか『晦まし』も使えるようになっていたし、ジャンはどんどん強くなるね(いつもよりエレンの耳が赤い!ジャンの成長に興奮してるんだ)」

アニ「・・・・・・(ファーストネームで呼ぶようになっている・・・・・・私は『れおんはあと』だけど)」ショボン



245: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 19:27:39.80 ID:qOrF2Iemo



サシャ「・・・・・・エレンの周りにはいつも人が集まってますねー・・・・・・」
ユミル「・・・・・・なぁ、そろそろうぜえんだが」

サシャ「はい?」

ユミル「お前のその馬鹿丁寧な喋り方だ」

サシャ「・・・・・・」

ユミル「お前同期全員にその喋り方だろ?なんでだ?」

サシャ「・・・・・・えーと、それはですね、その・・・・・・」

ユミル「・・・・・・お前、人と関わるのが怖いのか、馬鹿のクセに案外繊細なんだな?だからそうやって敬語使って、窓枠一枚外から人と接してるんだろ、違うか?」

サシャ「・・・・・・」

ユミル「・・・・・・ああ、止めた。どうもあのゴザルに当てられたらしい。私らしくも無い。詮索が過ぎた」

サシャ「・・・・・・ユミルやジャンは・・・・・・裏表無く人と話しますよね・・・・・・」

ユミル「あ?あいつと一緒くたにすんな・・・・・・だが、まあ否定はしない」

サシャ「・・・・・・」

246: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 19:30:33.21 ID:qOrF2Iemo

ユミル「私だって隠し事の一つや二つはある。だがお前との違いは『他人を中心にしている』か『自分を中心にしている』かだ、大きな違いだ・・・・・・他人の顔色気にして何の得がある?そんなモンに振り回されるのは私はごめんだ」

サシャ「・・・・・・」

ユミル「あいつを見ろ、あのゴザルさんだ」

サシャ「・・・・・・エレン?」

ユミル「今まで私以外誰もツッコンでこなかったが・・・・・・あいつはすげえ、同郷のミカサやアルミンをみたところ、あいつの『アレ』はどうも方言ではないらしい。当たり前のことだが・・・・・・」

サシャ「・・・・・・あの古風な喋り方の事ですか?」

ユミル「古風!?『アレ』をそれでまとめちまうのか!?いやまあ問題はそこじゃない。この場合重要なのは、ヤツは教官相手にもあれで許されてしまうことだ、他なら下手すりゃ上官不敬で営倉にぶち込まれる、そうでなくても私ならあの口調で喋りたくは無いが・・・・・・」

248: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 19:36:56.35 ID:qOrF2Iemo

サシャ「・・・・・・確かにそうでしょうが、エレンの『アレ』はある意味一番丁寧なんではないでしょうか?」

ユミル「・・・・・・だが、『他に合わせているわけじゃない』」

サシャ「」ピク

ユミル「そこでお前に課題を与える・・・・・・お前ヤツ等の仲間に入れてもらえ、ヤツに人との接し方とは何か教えてもらえ」

サシャ「ええ!?私もゴザルになるんですか!?嫌ですよ、営倉入りは!」

ユミル「そしてクリスタがうまくやってるか探って来い」

サシャ「そっちが本音なんじゃないですか!?」

ユミル「あ?誰に意見してんだ?ゴザルで営倉入りか、食料庫への無断侵入での営倉入りか、どちらがいい?」

サシャ「うう・・・・・・どっちも嫌ですよぅ」ウルウル

ユミル「・・・・・・別に上官の前で『アレ』をやれとは言わん。わかったら行け」ギロリ

サシャ「うう・・・・・・」トボトボ

249: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 19:43:44.65 ID:qOrF2Iemo



クリスタ「・・・・・・あ!サシャ!」

コニー「お?珍しいな」

ミカサ「確かに、訓練と宿舎以外ではあまり見かけない」

ジャン「・・・・・・食料庫で芋でも漁ってんじゃねえのか?」ニヤニヤ

サシャ「・・・・・・うう、こんにちは皆さん」ヒクヒク

クリスタ「もう、ジャン!サシャはそんな悪い子じゃないよ!」

コニー「えー、俺こないだパンとられたぞ?」

ジャン「・・・・・・な?」ニヤリ

クリスタ「う・・・・・・だからっていきなりそれはないじゃない!」

アルミン「ハイハイ、そこまでにしなよ、サシャどうしたの?誰かに用?」

サシャ「えーと・・・・・・うう」モジモジ チラチラ




アニ「ここからこうして・・・・・・こう?」ホウタイクルクル

エレン「・・・・・・」コクリ

ミカサ「アニ、エレンに必要以上近づかないで、応急手当なら私が教えよう」

250: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 19:50:11.61 ID:qOrF2Iemo

ジャン「?おい、どうした?トイレでも我慢してるのか?」

クリスタ「ジャンさいてー」

コニー「最低だなジャン、俺でもわかるぞ?」

アルミン「ジャン・・・・・・最低だ」

アニ「・・・・・・無いわ」

ミカサ「ジャン今のは最低、同じ女性として訂正してもらおう」

エレン「・・・・・・」

ジャン「」



アルミン「ごめんねサシャ、彼は思ったことを直ぐに言葉にするから・・・・・・それで?どうしたの?」

サシャ「え?あ、ああ、あのですね・・・・・・その皆さんの」

アルミン「?」



サシャ「皆さんの・・・・・・皆さんのっ!仲間にしてもらえませんか!?」




251: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 20:00:38.91 ID:qOrF2Iemo



クリスタ「」<○><○>


アルミン「」<○><○>

コニー「」<○><○>

ミカサ「」<○><○>

アニ「」<○><○>

ジャン「」<○><○>

エレン「」<○><○>




サシャ「!?!?」




253: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 20:05:12.78 ID:qOrF2Iemo

アルミン「・・・・・・それはこの『稽古』を一緒にしたい・・・・・・そういうことかい?」ニコリ

サシャ「い、いい、今皆さん一瞬白目みたいになりませんでしたか!?」

アルミン「どうでもいいじゃあないかそんなこと・・・・・・で、やっぱり一緒に『稽古』に参加したいのかい?」ガシッ

サシャ「(絶対なってた!今みんな私の事怖い目で見てた!なんなんこの人ら!?)」

アルミン「・・・・・・サシャ?」ニコリ

サシャ「ハ、ハイィ!!」ビックゥ!

アルミン「・・・・・・そうか・・・・・・ミカサ、『涎小豆』の準備をしよう」

ミカサ「わかった、すぐに準備をしよう・・・・・・エレン」チラッ

エレン「・・・・・・」コクリ

257: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 20:25:02.64 ID:qOrF2Iemo
>>252 シグルイの人たちは白目になるのです。老若男女問わず割と頻繁に


ジャン「」

サシャ「?あの?皆さん?」オロオロ

クリスタ「サシャ!!」ガシッ

サシャ「!?ク、クリスタ・・・・・・どうしたんですか?」

クリスタ「いい!?絶対に動いたら駄目だよ!?」

コニー「クリスタの言うとおりだ!!わかるな!?絶対に動くな!!」

ジャン「」

サシャ「????二人とも何の事ですか?あとジャンはさっきからどうしたんですか?」

アニ「・・・・・・これからある儀式の事さ・・・・・・こいつはそれがトラウマになってるんだ」フプルプル

サシャ「(!?あのアニが子犬のように!!??私なにされるん!?)」

ジャン「」ブクブク

259: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 20:37:06.71 ID:qOrF2Iemo


ミカサ「アルミン、検めて」スッ



?豆の甘露煮・・・・・・は砂糖が無いので普通の豆煮で代用し

葛あん・・・・・・も無いので片栗粉で代用し

水飴・・・・・・のような貴重品があるはずも無いので洗濯のりを溶いて代用した

・・・・・・とにかく豆に色々からめてある・・・・・・



アルミン「このねばりなら大丈夫だろう」



エレン「・・・・・・」
クリスタ「」ブルブル
コニー「」ブルブル
アニ「」ブルブル
ジャン「」ブクブク


サシャ「あの・・・・・・みなさん、その、なんで私は座らされてるんですか?」

アルミン「・・・・・・サシャ、頭を下げちゃいけないよ?絶対に動かないように・・・・・・」スッ ピト

クリスタ「・・・・・・」ピト

コニー「・・・・・・」ピト

エレン「・・・・・・」ピト スッ ピト

アニ「(ジャンのやってあげてる、アイツやさしい・・・・・・)」ピト

サシャ「!?(額に血で印を!!??なんの呪いなんこの人たち!?私これからなにするん!?)」

261: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 20:50:45.22 ID:qOrF2Iemo
エレン「・・・・・・」スタタタタ ピトッ

サシャ「・・・・・・これは豆煮か何かですか?額につけたりしたら食べにくいですよ?あ、食べて良いですか?」

ミカサ「・・・・・・」ジャキン!スタスタ

サシャ「!?ブレード!?どうしてそんなもの出すんですか!?どうして私に近付くんですか!!??」ギョッ!

ミカサ「・・・・・・アルミン」

エレン「・・・・・・アルミンでは無い、これなるは当流の門を叩きし者」

ミカサ「・・・・・・そうではない、抑えて」

サシャ「ち、近付かないでください!ヤダ、ヤ、イギィ!!!」ビリビリ

アルミン「ごめんねサシャ、エレンほど上手じゃないから痛いかもだけど、すぐ終わるから・・・・・・」ニコリ

アルミンの骨子術※がサシャの所作を封じた 

アルミンの指が抑えているのは 

サシャの肩のわずか数箇所にすぎない 




※骨子術 人間の経絡脈を指圧などの刺激を加えることで全身になんらかの影響を与える術。活殺自在であり、活法とすれば優れた医術となり、殺法とすれば恐ろしい殺人術となる。オォワッタァ!! 

263: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/06(日) 21:01:01.06 ID:qOrF2Iemo



ミカサ「・・・・・・」スゥ…<●><●>カッ!

ミカサ「シュ!!」ビュンッ フヒョッ!



クリスタ「」

コニー「」

エレン「」

ジャン「」ビクンッビクンッ

アニ「」メカクシ!

エレン「・・・・・・」

アルミン「・・・・・・」ニコニコ



サシャ「」

あ/ず/き



アルミン「お美事!」

エレン「お美事にございまする!」

クリスタ「オミゴトニゴザイマスル!」

コニー「オミゴト!」

アニ「オミゴトニゴジャイマジュ・・・・・・!」ガブッ

ジャン「」ブクブクブクブクブク




サシャ「」





この様切(ためし)こそ

虎眼流の入門儀式

涎小豆である




275: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 21:27:56.95 ID:71KXSredo



サシャ「・・・・・・ハッ!」

クリスタ「あ、気付いた!みんな、サシャが起きたよ!」

コニー「お?ようやく復活したか」

アルミン「よかった。ほらねジャン、ミカサがしくじるわけ無いじゃないか」

ジャン「ミカサの腕を疑ったわけじゃねえよ!ただ、経験者としてなんというか・・・・・・」

サシャ「お、おお?皆さん?急に集まってどうしたんですか?何で私の周りに居るんですか?」

クリスタ「サシャ・・・・・・覚えてないの?」

アニ「・・・・・・これは」

アルミン「記憶を改竄してしまったようだね・・・・・・ミカサ、やっぱり『涎小豆』は廃止にしよう。そもそも意味ないし」

エレン「・・・・・・」コクリ

ミカサ「ぐ、しかしそれではエレンとアルミンに近づく女狐が・・・・・・」


276: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 21:34:51.35 ID:71KXSredo

アルミン「ジャンとコニーはどうするの?それに女子だってクリスタとアニが居る時点で意味無いでしょ?この間のミーナなんか本気で泣いてたんだよ?」

ミカサ「ぐぬぬ・・・・・・」

コニー「クリスタもちょっとモラs「 コ ニ ー 」・・・・・・」

クリスタ「コニー?少しお話しよう?」ニコリ

コニー「」

ミカサ「しかし、アルミンも結構ノリ気だったはず・・・・・・」

アルミン「それを言われると痛いなぁ、確かに本にあったことを再現するのに夢中になった僕にも非は大いにある・・・・・・だからエレンに決めてもらおう」

エレン「無用だ、剣術には無用だ」キッパリ

アルミン「はい、これでいいかな、ミカサ?」

ミカサ「二人がそう言うならそうしよう、ただし条件を掲示したい・・・・・・」

ワイワイガヤガヤ

277: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 21:42:02.22 ID:71KXSredo

サシャ「な、なんですか?これ・・・・・・」ポカーン

エレン「・・・・・・大事ないか」

サシャ「エ、エレン?私倒れてたんですか?」



コニー!キョウトイウキョウハユルサナイカラ! コエエ、クリスタ コエエ,ダガオレノアミダシタ ガマケンポウ ノマエニテキハナイ!



エレン「・・・・・・」

サシャ「あ、コレ、濡れた、タオル?エレンが看病してくれたんですか?」

エレン「・・・・・・」コクリ



クラエ!ヒッサツ!ガマケンポウ!ゴロゴロ …バシーン! バシーン! ウギャアアアア! ソノワザノリクツニハムリガアルゾコニー…



サシャ「ありがとうございます。やっぱりエレンは神様ですね・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

サシャ「・・・・・・えーと、あはは・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

サシャ「(か、会話が続かへん・・・・・・ユミルのアホォ、ゴザルゆうてもそもそもエレンは無口やんか)」ウルウル

278: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 21:51:22.66 ID:71KXSredo

ミカサ「サシャ」

サシャ「ウヒャイ!?」

ミカサ「?今日のサシャは頓狂な声をだす・・・・・・剣術を始める前にこちらに来てもらいたい」

サシャ「え?あ、はい!(そういえばこの人らここでヤットウのお稽古してるんやった)」




ミカサ「・・・・・・さて、集まってもらったのは他でもない」

アニ「・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・」

サシャ「??」

ミカサ「ここにいる人間は・・・・・・一人足りないが、とても罪深い、そう、とても、とても」

クリスタ「・・・・・・なんのことかな?」オドオド

アニ「早くしてくれる・・・・・・?」

サシャ「??」

ミカサ「言わずともわかるだろう、ここにいる人間は『私以外』、『私以外』!とある共通点がある!」

クリスタ「?」

サシャ「??」



アニ「!・・・・・・ああ」

279: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 22:01:01.07 ID:71KXSredo

アニ「・・・・・・アイツ」

サシャ「アイツ?」

クリスタ「ああ!・・・・・・そういうこと、わかった・・・・・・」ニコッ

ミカサ「そうエレンのこと、ここにいる私以外の女子は・・・・・・」

サシャ「??」


アニ「アイツに・・・・・・」


クリスタ「お姫様抱っこだねっ!」ニコリ


サシャ「!(ああ、そういえばそんなこともあったなー)」


ミカサ「そう!その通り!これは由々しきこと。私とエレンは『血と心を捧げあった仲』にもかかわらず・・・・・・!」

アニ「さっさと本題に入りなよ」ハァ

クリスタ「カッコいいけどミカサも女の子なんだねー」クフフ

ミカサ「・・・・・・私もエレンにお姫様抱っこしてほしぃ・・・・・・」ショボン

サシャ「」



アニ「・・・・・・頼めばいいんじゃない?断るヤツじゃないでしょ?(アイツ・・・・・・優しいし)」

クリスタ「ましてやミカサだもん!絶対してくれるよ!(エレンは優しいから!)」

サシャ「確かにエレンならしてくれるんじゃないですか?(エレンは優しいですし)」

ミカサ「違う!あなたたちは全然わかっていない!」ダンダン!

アニ・クリ・サシャ「?」

281: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 22:15:09.23 ID:71KXSredo

ミカサ「アルミンが言っていた、男女の逢瀬には『シチュエーション』というものが不可欠だということを・・・・・・」

クリスタ「え、えーと(ア、アルミィン・・・・・・)」ヒクヒク

サシャ「・・・・・・しちゅえーしょん、おいしそうな響きです」

アニ「・・・・・・(私も教えてもらおう・・・・・・)」

ミカサ「もう一つの三人の共通点。それはエレンに救護なり看病を受けたこと」

ミカサ「しかし、私は自分の体を支配できる・・・・・・怪我などするわけが無い」ショボン

アニ「・・・・・・(こいつ、そんなこと出来たのか、あながち嘘でもなさそうなあたり恐ろしい)」

サシャ「(教官の前で芋を食べれば・・・・・・ミカサなら一日中走っても平気そうですし・・・・・・)」

クリスタ「・・・・・・わかった!」

ミカサ・アニ・サシャ「!!」



クリスタ「・・・・・・みんなで協力しよう!!」キラキラ




283: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 22:31:47.67 ID:71KXSredo




サシャ「・・・・・・本当にうまくいくんですかね?」コソコソ

アニ「・・・・・・メンドクサイ」ハァ

クリスタ「そんなこと言わないの!三人には二人も世話になってるでしょ!」コソコソ

サシャ「確かにエレンは神様ですし、アルミンやミカサには座学でよくお世話になっていますが・・・・・・」

アニ「・・・・・・私は」

クリスタ「アニ、エレンに抱っこしてもらった時どうだった?」

アニ「まあ、悪くはなか・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・」ニヨニヨ

アニ「・・・っ!・・・っ!」ゲシゲシ

クリスタ「やん♪痛いよアニ♪」フフッ

サシャ「(ほとんど共通点の無いクリスタとアニですらこんなに仲良くなってる・・・・・・私、ここで何やってるんやろ・・・・・・)」




ミカサ「ヤ、ヤア、エレン、今日ハ、イイ天気」カチコチ

エレン「・・・・・・?」




クリスタ「あ!行った!みんな静かに!」コソコソ

アニ「早く終わってよ(早くアイツと組み手したい・・・・・・)」ハァ

サシャ「(こんな事で、本当にユミルの課題をこなせるのでしょうか・・・・・・クリスタは本当にうまくやっているようでしたが・・・・・・私は居辛いです・・・・・・)」

284: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/07(月) 22:42:10.52 ID:71KXSredo

ミカサ「アア!?アシクビヲクジイテシマッター」グラァ

エレン「・・・・・・!」



ガ シ ッ



クリ・アニ・サシャ「!?」


エレン「・・・・・・」ウケトメ

ミカサ「・・・・・・エレン」

エレン「・・・・・・危ない」

ミカサ「・・・・・・ごめんなさいエレン。私は嫌な女だ・・・・・・」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・私は自分の欲を満たしたいが為にあなたの優しさを利用してしまった」ショボン

ミカサ「本当にゴメンナサイ・・・・・・医者を目指していたエレンの目の前で、演技でも怪我の振りなど・・・・・・」ウツムキ

エレン「ミカサ」

ミカサ「・・・・・・エレン?」




エレン「お前に怪我などさせ申さぬ」キリィ…

ミカサ「・・・・・・エレン///」ポッ




クリスタ「」イラッ

アニ「」イラッ

サシャ「?」チクッ



サシャ「(なんなん今の・・・・・・何か・・・・・・痛い・・・・・・)」



292: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:03:04.83 ID:+bOOSVIio



サシャ「よいしょ・・・・・・よいしょ・・・・・・」ギコギコ

サシャ「結局水汲みです。課題を、こなせなかった、罰というのは、なにか、釈然としません」ハァハァ

サシャ「・・・・・・」




アニ『・・・っ!・・・っ!』ゲシゲシ

クリスタ『やん♪痛いよアニ♪』フフッ


エレン『お前に怪我などさせ申さぬ』キリィ…

ミカサ『・・・・・・エレン///』ポッ




サシャ「私が、人と関われない臆病者だって事ぐらい、わかってるわ・・・・・・」ショボン




サシャ父『サシャ・・・・・・お前には少し臆病なところがあるな・・・・・・この森を出て他者と向き合うことは、お前にとってそんなに難しいことなんか?』




サシャ「・・・・・・言われんでも、わかってるわ・・・・・・」


ずざざざざっ


サシャ「いたたたたたた!!熱!痛!」

サシャ「ううううう・・・・・・考え事してたら水車の綱を離してしまうとは・・・・・・」フーフー



ザッ・・・・・・



サシャ「?・・・・・・何の音でしょう?」

293: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:09:53.35 ID:+bOOSVIio

サシャ「・・・・・・誰か居るんですか?」ソーッ



エレン「・・・・・・っ!・・・・・・っ!」グググ



サシャ「」



サシャ「(なんなん、エレンがやたらでかい木の板持って・・・・・・動いてんの?アレ)」



長身と強い膂力がなければ

上下することさえ難しいその木剣は

体長三メートルに達するという

アルミンが持っていた本にある海魚にちなんで

"かじき"と名付けられている

"練り"と呼ばれる鍛錬法は

自分の身長より余る"かじき"を用いて

小半刻かけて素振り一挙動を仕終える ※小半刻=約30分



エレン「・・・・・・っ!・・・・・・っ!」ギリギリ



くわえられた手ぬぐいは

踏ん張りによって

奥歯が粉砕するのを防ぐためだ



294: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:14:22.23 ID:+bOOSVIio

サシャ「」

エレン「・・・・・・っ!」ゴト ハァハァ



エレン「・・・・・・?」クルリ

サシャ「ヒイ!?」

エレン「・・・・・・」

サシャ「べべべべ、別に盗み見してたわけでは、なななな、無くて、ゴゴゴゴ、ごめんなさいぃ!」アタフタ

エレン「・・・・・・」テクテク

サシャ「ご、ご、ご・・・・・・」

エレン「・・・・・・」スッ

サシャ「ご、ご、ご、ごめんなさい言うてるやんかぁ!!」クワッ

エレン「・・・・・・」


・・・・・・・・・・・


サシャ「・・・・・・(言ってしまった、誰にも言ったことのない故郷の言葉、でも)」

サシャ「(もっと恥ずかしい思いをするものかと思ってましたが・・・・・・まあ相手が)」チラリ

エレン「・・・・・・」

サシャ「(エレンでは恥ずかしいもなにも無いですね、ユミルの言うことも案外的を射ていたのかもしれません)」ハァ

エレン「・・・・・・」スクッ

サシャ「あ、また訓練するんですか?」

エレン「・・・・・・」

サシャ「だったら私もやってみたいです!昼間は結局何もしませんでしたし」

エレン「・・・・・・」つ竹刀

サシャ「なんですかこれ?・・・・・・立体起動装置のブレードに比べたら玩具のような手触りです」

エレン「・・・・・・」スッ

サシャ「!!これでしたら叩かれてもあまり痛くなさそうです!さあ勝負ですエレン!」

エレン「・・・・・・」

サシャ「本気できても構いませんよ!ほん、き、で・・・・・・」

296: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:20:07.81 ID:+bOOSVIio



・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・



竹刀の竹には割れ目が入れてあり

しなることで致死性を奪う



エレン「」<○><○>ビュアッ!

サシャ「」



バ ム ッ ! !



それ故サシャの

正面は無傷であったが

脱皮する昆虫の如く

背は破れ




・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・






サシャ「ハッ!!何かとてつもなく嫌な予感がしました!だめです、エレン!本気を出してはダメです!」

エレン「・・・・・・」ハテナ

297: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:30:56.78 ID:+bOOSVIio




サシャ「うう、結局一本もとれませんでした・・・・・・」

エレン「・・・・・・」スクッ

サシャ「・・・・・・まだするんですか?エレンは本当に・・・・・・」

サシャ「・・・・・・エレンは本当に自分を曲げないんですね・・・・・・」ウツムキ

エレン「・・・・・・」

サシャ「・・・・・・私は、私はダメです。臆病で、人と関わるのが怖い」

サシャ「だから自分を造ってるんです。今日・・・・・・ユミルにそう言われちゃいました」

エレン「・・・・・・」

サシャ「・・・・・・自分を造って逃げてるんです・・・・・・誰にでも同じように話せるエレンとは・・・・・・大違いです」




エレン「・・・・・・まこと命ほど強面なきもの無し」


サシャ「・・・・・・はい?」




エレン「・・・・・・自己が生き残るためには、凄まじく堂々と心を狂わせる」


サシャ「・・・・・・」



エレン「生死の極みに入りし時、剣は命の流れに乗り、最善の働きをやってのける」

エレン「逃げるもまた法・・・・・・」



サシャ「・・・・・・よくわからないですが励ましてくれてるんですか?」








エレン「・・・・・・」ニコリ






サシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え!?」

298: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:37:55.70 ID:+bOOSVIio



エレン「ヘヘッ」ニコッ

サシャ「!!?? エエェェェェェェ!!!???」



普段は決して見せぬ表情

エレンでさえ、兵団という階級社会の前では

社会性を無視でき無かったことを証明していた



サシャ「なんですか今のカワイイの!?ちょちょ、もう一回!こっち向いてエレン!!」

エレン「・・・・・・」プイッ

サシャ「ええやんか!!減るもんや無し!!あ!首筋あこなってる」プクク

エレン「・・・・・・」サッ

サシャ「ぷ・・・・・・あっははははは!!おもしろっ!そっかーエレンも気にしてたんやねー・・・・・・うぷぷ」

エレン「・・・・・・」

サシャ「はー、悩んでる私がアホらしなった。・・・・・・ユミルに言われたくらいで気にすることなかったんやね・・・・・・」

エレン「・・・・・・」コクリ

299: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:51:51.34 ID:+bOOSVIio

エレン「・・・・・・」コクリ

サシャ「・・・・・・ありがとな、エレン?元気なったわ・・・・・・痛っ」

エレン「・・・・・・?」

サシャ「あはは・・・・・・さっき水汲みしててすりむいて・・・・・・大丈夫!今日はこれで!」

エレン「・・・・・・」

サシャ「エレン、また、お話しよな?」

エレン「・・・・・・」コクリ

サシャ「・・・・・・ああっ!そうでした!水汲み!!ユミルに怒られてしまいます!!」ワタワタ




エレン「・・・・・・」ポン

サシャ「・・・・・・エレン?」

300: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 21:58:33.60 ID:+bOOSVIio



翌朝 食堂



ユミル「・・・・・・で、結局、その喋り方は変わらずか?」

サシャ「ハイ!逃げるのも一つのやり方です!これなら『私が中心』ですよ?自分が嫌で逃げてるんです」

ユミル「・・・・・・物はいいようだな。まあ今更変えられてもうっとうしいだけだ」フッ

サシャ「アハハ・・・・・・そうでもないかもしれませんよ?人の意外な面は面白いものです」

ユミル「どうでもいい。それより何笑ってんだ?課題をこなせなかったんだ・・・・・・ゴザルで教官に話しかけるか、今後水汲み全部変わるか、さっさと決めろ」ニヤァ

サシャ「あー・・・・・・その前にユミル、一つ聞いていいですか?」ニヨニヨ

ユミル「・・・・・・ああ?なんだ?言っとくが容赦はねえからな?」

サシャ「まあまあ、少し耳を貸してください」

ユミル「?」





サシャ「・・・・・・エレンのお姫様抱っこはどうでした」ボソボソ





301: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/08(火) 22:00:41.61 ID:+bOOSVIio

ユミル「ブフッ!?」

コニー「うおあ!?汚ねえなこのブス!!何しやがる!?」

ユミル「テメエ、芋女!?誰からその話聞きやがった!?」フキフキ

サシャ「・・・・・・さあ?誰でしょうか?」クフフ

ユミル「こ、の・・・・・・いい根性になったもんだ・・・・・・誰だ!?クリスタか!?ベルトルさんか!?」

サシャ「あ、コニーそのパンいらないなら下さい」

コニー「えー?でもブスの唾ついたしなー」

ユミル「どうでもいいそんなことは!!吐け、コラ!!」






エレン「・・・・・・・・・・・・」モグモグ

犯人である





313: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 22:42:31.89 ID:j+VwUYCfo




解 散 式



教官「本日、諸君は訓練兵団を卒業する。その中で最も優れた訓練成績を残した10人をを発表する。呼ばれたものは前へ」




同立首位 エレン・イェーガー

同立首位 ミカサ・アッカーマン

三 番  アルミン・アルレルト

四 番  ライナー・ブラウン

五 番  ベルトルト・フーバー

六 番  アニ・レオンハート

七 番  ジャン・キルシュタイン

八 番  マルコ・ボット

九 番  コニー・スプリンガー

十 番  サシャ・ブラウス




教官「以上、十名」

教官「諸君らには3つの選択肢がある」

314: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 22:44:19.17 ID:j+VwUYCfo

教官「壁の強化に努め、各街を守る『駐屯兵団』」

教官「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む『調査兵団』」

教官「王の元で民を統制し秩序を守る『憲兵団』」

教官「無論、新兵から『憲兵団』に入れるのは上位10名のみ、後日希望の配兵科を問う」

教官「では、諸君、これにて104期訓練兵団解散式を終了する。全員・・・・・・『心臓を捧げよ』!」




「「「「「 ハ ッ ! ! 」」」」」ザッ


「首位が二人いんのか・・・・・・」

    
                               「まあ、あの二人じゃな・・・・・・」

   「アルミンがライナーより上なのか」
                          
                       「アルミンは座学系は首位だからな」
 

 「順当じゃないか?」
  



ライナー「お前らは・・・・・・やはり調査兵団に行くのか?」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「エレンがいる場所に私はいよう・・・・・・でもアルミン」

アルミン「・・・・・・何度言われても僕は調査兵団に行くよ、足手まといにはならない」プイッ

ライナー「・・・・・・しかしアルミン、お前のその能力は、憲兵団や技巧でこそ最も活きるだろう?その、外の世界に行くのが夢だったか?憲兵団になって、人類の活動領域を広げてからでも遅くは無いんじゃないか?」

アルミン「 嫌 だ 」

「「「・・・・・・」」」

アルミン「誰が憲兵団に行くものか・・・・・・爺ちゃんはあいつらに殺されたようなものだ、それに巨人だって・・・・・・巨人に恨みがあるのは君達だけじゃないんだよ?」ギリリ

ミカサ「アルミン・・・・・・」

アルミン「僕は絶対に見る、『炎の水』『氷の大地』『砂の雪原』・・・・・・昔からの夢だったからね、なんと言われたって僕は調査兵団に入る」キッ

ライナー「・・・・・・そうか」

315: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 22:51:41.69 ID:j+VwUYCfo


食  堂



ジャン「内地だ!内地の快適で安全な暮らしが俺達を待っている!!」グビグビ

マルコ「オレも憲兵団にするよ、王の元で働けるなんてこんな名誉なことは無い」

ジャン「こんな時にまで良い子ちゃんかよ、マルコォ」

マルコ「まあ、最初から決めていたことだからね、オレは憲兵団に行く」

ジャン「じゃあ、同僚だな、せいぜい仲良くやってこうぜ~」グダグダ

マルコ「はいはい、それにしてもジャンも丸くなったね、最初のころだったら所構わずみんなに自慢しまくってそうなものだけど・・・・・・」

ジャン「お前オレをなんだと思ってんだよ・・・・・・まあ、否定はしねえよ」

マルコ「・・・・・・エレンのところには行かなくていいのかい?」

ジャン「・・・・・・なんでオレがアイツのとこ行くんだよ?あの死に急ぎ野郎がどうなろうと知ったことじゃねえよ」チビッ

マルコ「・・・・・・まあ、そう言うだろうね」フゥ




マルコ「(片方は剥き出しすぎる性格、片方はまったく自分を語らない、それでいて二人とも自分を曲げようとしない・・・・・・そして二人とも不器用だ)」



ジャン「馬鹿な野郎だ・・・・・・」ケッ



マルコ「(それでも仲が良いのは・・・・・・彼らが『剣術』でつながっているからなんだろうな・・・・・・君の友達として、少し複雑な気持ちだよジャン)」




316: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 22:53:32.17 ID:j+VwUYCfo




エレン「・・・・・・」スタスタスタ

ライナー「エレン、まだみんないるみたいだがもう寮に戻るのか?」

エレン「・・・・・・」

ライナー「・・・・・・一つお前に聞きたい。お前はここの大半の人間と違って、巨人の脅威を直接知っているはずだ・・・・・・」

ライナー「・・・・・・エレンは・・・・・・怖くは無いのか?」

エレン「・・・・・・ここに来た時と私は変わらない」




エレン「斬りたいから斬りにいく」

エレン「それだけだ」スタスタスタ




ライナー「・・・・・・」

ライナー「(あいつは・・・・・・自分の責任を全うしようとしている。自分の母親を刺したことを抱え込み、逃げた自分を責め続け、その為の責任を果たそうとしている。俺は・・・・・・俺は・・・・・・)」





翌日 トロスト区 壁上砲台



ベルトルト「・・・・・・」




317: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 23:05:13.57 ID:j+VwUYCfo



前  夜




ライナー「明日遂に決行だ・・・・・・二人とも覚悟はいいか?」

アニ「・・・・・・」コクリ

ベルトルト「僕は、大丈夫だ・・・・・・ライナー、君は?」

ライナー「・・・・・・正直に言う。迷いがあった。だが俺は『戦士』だ、『戦士』として責任を果たす」

ベルトルト「ライナー・・・・・・」

ライナー「必ず生きて故郷に戻る。それが俺がしたことに対する責任だ。もう迷わない」



ライナー「(それを人類に教えられるとは思わなかったがな・・・・・・)」フッ



ベルトルト「僕も一緒だライナー、君が背負いきれないなら一緒に背負うよ・・・・・・」

アニ「・・・・・・変更無しの予定通り?」

ライナー「そうだ、まずはベルトルトが砲台を破壊する。頃合をみて門を俺が突破しよう。巨人どもの誘導は・・・・・・アニ、危険だが頼めるな?」

アニ「問題ない・・・・・・」コクリ




アニ『ここからこうして・・・・・・こう?』ホウタイクルクル

エレン『・・・・・・』コクリ




アニ「・・・・・・」チクリ

ベルトルト「それと、最後に・・・・・・『彼等』のことだ」

アニ「?」

ライナー「・・・・・・」

ベルトルト「人類に成りすまし、訓練兵になって初めてわかったが・・・・・・兵士は訓練兵といえど脅威だ、特に・・・・・・あの三人」

アニ「・・・・・・!?」

318: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 23:25:58.53 ID:j+VwUYCfo



アニ「・・・・・・!?」



ベルトルト「だから彼等には・・・・・・早々に消えてもらうことにする」

ライナー「・・・・・・三人同時にか?普通の巨人相手ならあいつらはたぶん生き残るぞ?」

ベルトルト「最初はアルミンだ・・・・・・彼の洞察力は普通じゃない。アニは知られていないとはいえ、僕やライナーの巨人体に対して対策を考えていないとは思えない」

ライナー「確かにな・・・・・・」

ベルトルト「でも三人を観察してみてわかったんだけど、あの『三人の精神的支柱はアルミンだ』、一番危険だが、一番の弱点でもあるんだ」

アニ「・・・・・・具体的な方法は?正直、私でも一対一は勝てる保証は無い、三人で囲もうとしても逃げられる可能性は高い、アイツは頭が良いからね・・・・・・『暗殺』は現実的じゃない」

ベルトルト「えらく彼を買っているんだね、アニ?・・・・・・立体起動装置に細工をする」

ライナー「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「それは僕がやろう・・・・・・戦闘中に勝手に巨人に食われて「 や っ ぱ り 反 対 だ 」・・・・・・アニ?」




アニ「私は反対だ、あの三人には触れない方が良い」




ベルトルト「何を言ってるんだ。あの三人は脅威だ、一番近くで接していた君の情報じゃないか・・・・・・」

アニ「・・・・・・そう、でもだからこそ、あいつらを良く知っているからこそ各個撃破だけは絶対に肯定できない」

319: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 23:36:27.71 ID:j+VwUYCfo

ライナー「・・・・・・お前にしては回りくどいな、何が言いたい?」


アニ「『あの中の誰かが欠けたら、何が起こるかわからない』」


ライ・ベル「・・・・・・」


アニ「普通の仲の良い『友達』なんかじゃない、あいつらは・・・・・・自分以外の二人の為なら文字通り『命を投げ出す』、そんなバケモノ共を各個撃破なんてしたら何が起こるかわからない」


アニ「今回の件で、あの三人に関わるのは絶対に反対だ」

ベルトルト「・・・・・・アニ、随分とよく喋るんだね?」

ライナー「・・・・・・」

ベルトルト「そんなに感情を露にする君を見るのは初めてだ。うれしく思うけど・・・・・・とても残念だよ」

アニ「・・・・・・」

ライナー「ベルトルト、よせ」

ベルトルト「一緒にいすぎて情でもわいた?僕たちが何をしたか忘れたの・・・・・・僕が、ライナーが・・・・・・」ブルブル

ライナー「ベルトルト!」

ベルトルト「僕たちは彼らの同族を、家族を・・・・・・もう数え切れないほど殺したんだよ?僕やライナーが・・・・・・どんな気持ちで・・・・・・」ブルブル

ライナー「・・・・・・もうわかった。すまない、俺がこんな様だから・・・・・・」

アニ「・・・・・・」ウツムキ

ライナー「アニ、明日は予定通りだ、巨人殺しの達人である調査兵団もいない・・・・・・エレン達に関してもベルトルトの言うとおりにする・・・・・・いいな?」



アニ「・・・・・・忠告はしたよ?」スタスタスタ



ベルトルト「・・・・・・アニは・・・・・・戦士じゃなくなった・・・・・・」


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


322: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/09(水) 23:51:13.61 ID:j+VwUYCfo





ベルトルト「(絶対にうまく行く・・・・・・そして僕は必ず二人と、故郷に帰る!!)」ガリッ





同じ頃 トロスト区 壁上砲台




サシャ「上官の食料庫からお肉とってきました・・・・・・」ハァハァ


「「「「・・・・・・っっっ!!??」」」」


トーマス「・・・・・・サシャ、お前十位以内確定したのに取り消されたいのか?」

サムエル「・・・・・・営倉入りならまだ運が良い方だな・・・・・・開拓地か」

コニー「バカだ・・・・・・えーっと、バカだ」


サシャ「な、なんですか皆さん!?人の不安を駆り立てて・・・・・・大丈夫です、心配要りません!」

ミーナ「サシャはもっと自分の心配をしたほうがいいよ?」

サシャ「だから怖いですってば!!『営倉入り』とかそういうのにしてください!ってそうではなくて・・・・・・私達が土地を取り返せばこの肉は帰ってきます!先行投資ですよ」


サムエル「・・・・・・サシャも調査兵団にいくのか?」ハテナ

トーマス「今年の上位十名は変わってるな、コニーを含めこれで五割が調査兵団だ」

ミーナ「まあ、私達もだけどねー」


サシャ「!?皆さん調査兵団に入るんですか?コニーまで?」

コニー「あれだ、えーと『稽古の時』アルミンに教えてもらった・・・・・・『せんりゃくてきしこー』ってやつだ」

サシャ「?」


323: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 00:03:21.29 ID:0ewlAD9Ko

コニー「つまりだ、内地なんていつ壊れるか解らない、敵が何かもわからない、なら敵を調べなければならない、だから『調査兵団』だ、やはり俺は天才だった・・・・・・」

サシャ「おお・・・・・・いつも輝いているコニーの頭が別の意味で輝いています・・・・・・」

コニー「つまり、その肉も俺達の『先行投資』になるわけだ、やはり俺は天才だった・・・・・・」

サシャ「ええ!?」

トーマス「おーいエレーン、サシャが肉盗ってきたぞ、一緒に食おう」

サムエル「営倉入りは実行犯のサシャに押し付けよう」

サシャ「なんか皆さん性格違いませんか!?」

ミーナ「これもアルミンの影響かもねー私達は戦闘班でアルミンと一緒だから」




エレン「・・・・・・」









ド  オ  ォ  ン ! !





「「「「「っっっ!!??」」」」」




324: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 00:06:07.59 ID:0ewlAD9Ko





超大型巨人「」





サシャ「」アゼン

コニー「」アゼン

サムエル「」アゼン

トーマス「」アゼン

ミーナ「」アゼン






5年前と、同じ光景だった



皆一様に呆け、こちらを見ている



その中にただ一人





エレン「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ





3年間、同じ釜の飯を喰らい



いくらか『ソレ』を理解したと思った



しかし





325: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 00:07:48.60 ID:0ewlAD9Ko










エレン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ニコリ










超大型巨人「ベルトルト(・・・・・・っっっ!!??)」ゾワッ!!





ベルトルト・フーバーは





初めて





エレン・イェーガーの





笑みを見た





超大型巨人「グオオオオォォォォォォッッ!!!(うわあああああぁぁぁぁぁっっ!!!???)」ブオォオン





340: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 21:56:44.96 ID:0ewlAD9Ko



コニー「!!??みんな飛び降りろ!!」



「「「「「!!!」」」」」





ド ッ ゴ オ オ オ ン ! !





超大型巨人「(・・・・・・何もいない・・・・・・吹き飛ばしたのか?)」





エレン『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』ニコリ





超大型巨人「(あんなふうに笑うのか・・・・・・ひどくおぞましく感じた、あれはなんだったんだ・・・・・・)」




・・・




超大型巨人「(しかし、あっけなかった・・・・・・気の張りすぎだったかな)」




・・・・・・




超大型巨人「(僕もアニも彼等を買いかぶりすぎていたようだ・・・・・・後は門を・・・・・・)」




・・・・・・・・・!




超大型巨人「(?・・・・・・何の音だ・・・・・・どこかで聞いたような・・・・・・)」




・・・・・・・・・・・・!!




超大型巨人「(・・・・・・!?これは、立体起動装置の・・・・・・!!)」





341: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:08:04.01 ID:0ewlAD9Ko










エレン「・・・・・・」<◎><◎>



超大型巨人「()」










気付いた時には、そこにいた





超大型巨人「グオオオオォォォォォォッッ!!!(うわあああああぁぁぁぁぁっっ!!!???)」



バシュウウゥゥゥゥウウウ



エレン「・・・・・・!・・・・・・!」バシュ!

超大型巨人「(!?アンカーが既にうなじに、いつの間に!?・・・・・・蒸気の煙幕でも引かないのか!?・・・・・・門だけでも!!)」ゴオオオオオオ





エレン「・・・・・・!!」

超大型巨人「(・・・・・・!!)」





・・・・・・・・・・・・ ・ ・





342: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:21:58.35 ID:0ewlAD9Ko




コニー「・・・・・・消えた!?おーいエレン!お前が仕留めたのか!?」


エレン「否・・・・・・彼奴はすくたれ者にござった・・・・・・っ!」ギリッ


サムエル「・・・・・・逃げたのか・・・・・・」

トーマス「・・・・・・門が!!」

ミーナ「ああ・・・・・・壊されて・・・・・・」




駐屯兵1「何をしているお前達!超大型巨人出現時の作戦は既に開始されているぞ!直ちに持ち場に着け!」

駐屯兵2「ヤツと接触したものは本部に報告しておけ!」

コニー「ハッ、先遣班の健闘を祈ります!」







作戦本部



教官「貴様等とて卒業演習を見事合格した立派な兵士である!全員今こそ心臓を捧げよ!!」



 「ちくしょう・・・・・・死にたくねぇよ」
               
                    「冗談じゃねえ、冗談じゃねえぞクソったれ・・・」

     「もう嫌だ・・・・・・助けてお母さん」

            「どけよ、オラァ!こんなところで吐いてんじゃねえ!!」

343: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:30:56.47 ID:0ewlAD9Ko



ジャン「ちくしょう・・・・・・!なんでだ!?なんで今日なんだ!?明日から内地だってのに・・・・・・っ!」グッ

エレン「・・・・・・ジャン」

ジャン「エレン・・・・・・!なんの用だ?・・・・・・ハッ!!手前ぇはいいだろうな!?やっと親の仇と会えるんだ、うれしいんだろうぜ!?」

エレン「・・・・・・」

ジャン「俺は違う・・・・・・明日から内地だったんだ・・・・・・母さんだって・・・・・・っ!」

エレン「・・・・・・ジャン」

ジャン「駆逐、駆逐って喚いてる手前ぇとは違う!現実を!未来を見ている!誰もが手前ぇのようだと思うなよ、この死に急ぎ野郎!!」

エレン「兵士は・・・・・・分別出来れば、はや後るる・・・・・・」

ジャン「ああ!?」







エレン「正気にては大業はならず・・・・・・」<◎><◎>



ジャン「!?」



エレン「お前はどうだ?ジャン・・・・・・」





ああ・・・・・・今わかった・・・・・・




344: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:32:15.53 ID:0ewlAD9Ko




俺は手前ぇがずっと気に入らなかった




会話してても、剣を持って向かい合っても、訓練の時もずっと感じていた、手前ぇは死に急いでるんじゃねえ、もっとおぞましいもんだ・・・・・・




手前ぇは正気じゃねぇ、イカれてやがる、狂ってやがる、『家を守る』なんてところは似てるのかも知れねえが、それでも俺とは根本的に在り方が違う










ジャン「『この死狂い野郎が・・・・・・っ!』」











345: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:41:03.14 ID:0ewlAD9Ko



ジャン「そうやってミカサやアルミンを巻き込むのか・・・・・・?」

エレン「・・・・・・」

ジャン「・・・・・・なんとか言って見やがれ!?この死狂い野郎が!」ガシッ

マルコ「ジャン!!何をやってるんだ!そんなことしてる場合か!」

エレン「・・・・・・」

ジャン「・・・・・・チッ、これまでだなエレン、せいぜい狂いやがれクソったれが」




オラァ ダズ!!イツマデイエキハイテンダ!?サッサトジュンビシロ!




マルコ「・・・・・・どうか、彼を許してくれ」

エレン「・・・・・・」

マルコ「・・・・・・あんな風にしか言えないんだ彼は、本当は君に死んで欲しくないって思ってるに違いないんだ」





エレン「・・・・・・」コクリ

346: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 22:45:45.27 ID:0ewlAD9Ko



・・・・・・・・・・・・ ・ ・



ミカサ「!・・・・・・エレn」タッタッタッ

エレン「・・・・・・アルミン」

アルミン「・・・・・・」ガチャガチャ

エレン「アルミン」

アルミン「・・・・・・」ガチャガチャ

エレン「アルミン!」



アルミン「まずいことになったねエレン、でも・・・・・・大丈夫、僕は大丈夫だ」

エレン「・・・・・・」



アルミン「・・・・・・みてよこの手、勿論酒が抜けているわけじゃないよ?」ブルブル

アルミン「・・・・・・あの大穴は今の人類の手では防げない・・・・・・ローゼが突破されるのは時間の問題だ、ソレが理解できるんだ、冷静にね・・・・・・」

アルミン「困ったね・・・・・・こんな時に、只の、臆病だった僕に戻った」



ミカサ「違う。アルミンは冷静ではない」



アルミン「・・・・・・ミカサ?」

ミカサ「見て、エレンの首筋が赤い」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・そして私の手も」ブルブル

アルミン「・・・・・・エレン・・・・・・ミカサ」

ミカサ「『臆病』・・・・・・確かに困ったもの、しかも104期上位3位が揃いも揃って同じ病気・・・・・・」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「私は『あの日』以来、臆病になった。何度でも言おう、私は貴方達に『血と心を捧げる』・・・・・・二人とも戦闘が始まったら私のところに来て。必ず守る」ギュ

エレン「・・・・・・私は共にある・・・・・・『どこへも行き申さぬ』」

アルミン「・・・・・・僕だって何度でも言うよ!『死んでも足手まといにはならない』!」ニコリ

353: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/10(木) 23:58:17.71 ID:0ewlAD9Ko





・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・




アルミン「トーマス!ナック!1時方向12m級1、誘導して!サムエルはかかとを!止めは僕が!ミーナは付近を警戒して!」



「「「「了解!!」」」」



トーマス「こっちだ!こっちに来い、マヌケ!」バシュ

ナック「他から離れた!今だ!サムエル」ビシュゥン

サムエル「オッラアアアアア!!」ザンッ



12m級巨人「」 か/かと



サムエル「よしっ!アルミン!!」

アルミン「うあああああぁぁぁぁ!!」ズバンッ!



巨/人「」



アルミン「・・・・・・討伐数3!」

ミーナ「・・・・・・!トーマス、ナック!すぐに戻ってきて、2時の右折路から5m級1、3m級が2!早く!!!!」

サムエル「3体も!?アルミン!!」

アルミン「落ち着いてサムエル、君が一番近い、巨人の誘導支援を、戦闘は許可できない。トーマス!ナック!高い所に逃げてこちらへ!ミーナな先に高所へ、僕たちは三人を誘導するよ!」



・・・・・・・・・・・・ ・ ・



354: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/11(金) 00:18:33.81 ID:0KE7eRMIo



ナック「・・・・・・やれるな、結構いけるんじゃないか?」ハァハァ

サムエル「流石だなアルミン、冷静な指揮だった」

アルミン「みんなが冷静なお陰だよ、誰か一人パニックになっていたらわからなかった」

ミーナ「・・・・・・やっぱり巨人の数が少ないみたい」

サムエル「前衛が踏ん張っているんだろう、補給隊も本部から巨人をうまく遠ざけている、補給線が途切れていないんだ」

アルミン「補給線が・・・・・・(エレン・・・・・・)」



・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・








補給兵1「イェーガー!12時に15m級い・・・・・・」



エレン「・・・・・・!」ズバンッ!

巨/人「」



補給兵2「!?右折路に8m級!イェーガー!!」



エレン「・・・・・・フッ!!」グルン キンッ ズバンッ!

巨/人「」



補給兵1・2「」



補給兵1「いい腕だ、しかし次は命令の後に動け馬鹿者!!(なんだ今のは?見たことの無い動きだ・・・・・・)」

補給兵2「死ぬところだ!(羽でもついているのか?どうなっている今期の主席は・・・・・・)」

エレン「・・・・・・承ってござる」コクリ



補給兵1「(しかし、とんでもない逸材だ、物資は決して軽いものではないというのに、それを軽々と持ったまま顔色一つ変えず戦闘をこなすとは・・・・・・)」

補給兵2「(信じられないことだが、こいつ一人で補給線がかなり安定して保たれている・・・・・・本部が取り付かれていないのは前線に物資が行き届き、踏ん張っているからだ)」


355: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/11(金) 00:25:41.13 ID:0KE7eRMIo




駐屯兵1「あれは・・・・・・物資か!?助かった!」

駐屯兵2「!?いかん!15m級2、12m級1、あっちは・・・・・・補給隊が!」




補給兵1「!!大型が3体!俺たちは引きつける、イェーガー!やつらのケツに回れ!最後尾を攻撃後は即時離脱!離脱後は囮に!挟み撃ちだ!」

エレン「・・・・・・!」コクッ バシュッ



補給兵2「・・・・・・もはや遊撃隊だな俺達」バシュッ

補給兵1「・・・・・・それでもかまわんような気がしてきた、ヤツといると妙な気に当てられる・・・・・・」

補給兵2「!?早い!もうあちらに回り込んでいるぞ、こっちだ木偶の棒共!」バシュゥン

補給兵1「よし・・・・・・イェーガー!!今!!」



エレン「・・・・・・!」バシュゥン ズバンッ!!








「「「「「・・・・・・」」」」」




駐屯兵1「・・・・・・凄まじい補給隊だな・・・・・・」

駐屯兵2「・・・・・・ええ、各隊、あれのお陰で士気が増加しているようです」

駐屯兵1「・・・・・・後衛に・・・・・・ましてや後輩にいい面させてたまるかっ!各員っ!正念場だ、気合を入れろっ!!」




「「「「「応っ!!」」」」」




364: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:01:39.25 ID:8fFtZ554o




エレン「・・・・・・」ズバンッ!

補給兵2「イェーガー、討伐数15確認!まじかよアイツ・・・・・・」

補給兵1「ひとまず帰るぞ、我々もガスが危うい・・・・・・それにしても」

補給兵2「中衛まで巨人が漏れてやがる、すでに中衛の新兵連中も駆り出されているだろうな・・・・・・俺らがいくら遊撃してもキリがねえ、前衛に補給が行き届いているとはいえ時間の問題だ」

補給兵1「・・・・・・我々もかなりの数を狩ったが・・・・・・そうだろうな。どうなるにしろ後衛が住民避難終えたら一時撤退だ、ソレまでは前衛の腹を減らすわけにはいかん、既に前線の新兵どもはかなりの死傷がでているようだ・・・・・・」


エレン「・・・・・・」バシュ


補給兵2「だが、あいつが助けた命もかなり多い。まさか医術の心得まであるとは・・・・・・」

補給兵1「そのお陰で士気も高いままか、ともかく一旦戻るぞ、次は中衛に補給だ、ヤツ等の出番もこれから多くなる。巨人発見時の戦闘は回避、最寄の班に通達、対応を急がせろ、ただし奇行種は見過ごすな、巨人との遭遇は少ないことを予想し、効率重視の為一度散開する!」

補給兵2「了解」バシュンッ

エレン「委細承知」バシュンッ




・・・・・・・・・・・・ ・  ・




365: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:04:45.10 ID:8fFtZ554o




精鋭兵「待て、イェーガー、アッカーマン、貴様らは通常配置とは別任務についてもらう」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・私では足手まといです」

精鋭兵「・・・・・・貴様の意見は聞いていない、命令だ。アッカーマン、貴様は後衛だ、万一後衛に漏れた巨人どもの対処と住民の避難誘導をしてもらう、多くは奇行種が相手になるだろう、数はともかく厄介な仕事だ」

ミカサ「・・・・・・イェーガー訓練兵は?」

精鋭兵「貴様に言う必要はないが・・・・・・イェーガー訓練兵には補給隊と共に、前線と本部を往復してもらう、無論遭遇した巨人は遊撃してもらう」



アルミン・ミカサ「!?」



アルミン「前線だって・・・・・・?それに物資を持ったまま遭遇戦なんて・・・・・・」

ミカサ「私は彼と同立首位です。ならば何故同じ任務ではないのですか?」

精鋭兵「人手が足らない、物資を持ったまま戦闘行動が取れる人材は豊富ではない。補給隊がやられればその時点で戦線は崩壊する。重要な任務だ」

ミカサ「・・・・・・しかし」

精鋭兵「くどい!貴様、上官の命令n「承ってござる」・・・・・・」



エレン「委細承知」バッ



精鋭兵「・・・・・・チッ、さっさと動け。アッカーマン、行くぞ」

アルミン「・・・・・・エレン」

ミカサ「・・・・・・」



エレン「・・・・・・"虎口前"※」 ※=合戦おける激戦区



アルミン・ミカサ「!」



エレン「我ら虎眼流にとってはそこが"住処"・・・・・・」



アルミン「・・・・・・言うね、エレン。でも無理だけはしないで!」

ミカサ「・・・・・・見えた、エレンの凱旋する姿が」ニコリ



エレン「今一度言う。私は・・・・・・『何処へも行き申さぬ』」




・・・・・・・・・・・・ ・  ・

366: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:09:58.64 ID:8fFtZ554o




奇/行/種「」シュウゥ…

ミカサ「・・・・・・奇行種とはいえここまで、来るとは・・・・・・」フゥ




精鋭兵1「我々、精鋭が追いつけないものを、こうまであっさり・・・・・・なんという・・・・・・」

精鋭兵2「顔色一つ変えてない・・・・・・どんな経験を積んでいるというんだ・・・・・・」




ミカサ「・・・・・・中衛は大丈夫なのだろうか・・・・・・」




オラァ! ヤ、ヤメロ!



ミカサ「・・・・・・?」



商会ボス「壁から出たかったら貴様らも押せ貧乏人ども!」

町人「ふざけるな!さっさと荷物をどけろ!」

商会ボス「貴様らのようなチンケな貧乏人が一生かかっても稼せげない積荷だ!さっさと押せ!」

ミカサ「何をしているの・・・・・・?」

商会ボス「ああ!?貴様も兵士ならこいつらを黙らせろ!誰が貴様らにタダ飯を食わせてやっていると思っている!」

367: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:11:35.00 ID:8fFtZ554o

ミカサ「・・・・・・理解した、では皆を黙らせよう」ジャキンッ

商会ボス「!?」

ミカサ「・・・・・・流石は商人だ、話が早くて助かる。あなた一人死ねば、全員が黙ってこの門を通れる、全員が助かる。私の家族や仲間も死なない」ツカツカツカ

商会ボス「ふ、ふざけるな、・・・・・・貴様らは兵士だろう!?この貧乏人共も、俺の為に死んで当然だ!!」

ミカサ「ならばきっと理解してもらえるだろう、あなた一人で多くの人間が救える事に・・・・・・」

商会ボス「や、やってみろ・・・・・・貴様ら兵士の進退など、俺の口先一つで・・・・・・!」





ミカサ「?・・・・・・死体がどうやって喋るの?」





商会ボス「」



商会ボス「・・・・・・荷台を・・・・・・引け」






ミカサ「・・・・・・エレン、アルミン・・・・・・どうか、死なないで」





369: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:19:55.03 ID:8fFtZ554o

トーマス「・・・・・・だんだん数が増えてきたな」

ミーナ「ガスとブレードも少し心許ないね・・・・・・」

アルミン「・・・・・・補給隊は前線の支援で手一杯のようだ、これ以上、中衛に仕留め損ないが流れてくる前に一度本部で補給を受けよう」

サムエル「・・・・・・持ち場を離れるのか?任務放棄とみなされたら即斬殺だぞ?」

ナック「でもこのままじゃ・・・・・・」

アルミン「うん、だから二人ずつ交代で行こう、後の三人は待機。極力戦闘は避けるよ、高所で布陣、奇行種は見落とさないようにね、最後は僕が行く」

サムエル「・・・・・・いや、ガス、ブレード共にアルミンが一番消費量が多いだろう?」

アルミン「え?」

トーマス「討伐数6も叩き出しといてそれはないだろう?」

ナック「ミーナが2、サムエルが1、・・・・・・俺とトーマスは補佐が7だが・・・・・・」

ミーナ「じゃあ、最初はアルミンと私で決定!アルミンならボンベを持って立体起動できるでしょ?それが一番早いよ?」

アルミン「でも班長が抜けるわけには・・・・・・」

サムエル「やばくなったら逃げる・・・・・・俺もだいぶ頭が冷えた、指揮は任せろ」

トーマス「ほら、早く行けって大丈夫だから」

アルミン「わ、わかったよ・・・・・・でも三人とも絶対に戦闘は避けてね?奇行種以外は手を出しちゃダメだよ?誘導だけにしないとだめだよ?」

370: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:28:31.74 ID:8fFtZ554o

ミーナ「行くよアルミン!」バシュン

アルミン「あ、待ってミーナ!単独で動かないで!」バシュ ギュイィン

サムエル「・・・・・・行ったな、さぁ移動するぞ、すぐそこの高台だ」



「「了解」」







ミーナ「やっぱり、巨人を見かけないね、まだ後衛には漏れてないのかな?」

アルミン「・・・・・・いや、中衛はほとんどが訓練兵で構成されている、足の速い奇行種なんかは漏れているかもしれない。仮に避難が完了していてもそうなったら最悪だ。どこかが壊滅したらそこから戦列が崩壊する可能性がある。そうなれば通常種の巨人もそこを抜ける・・・・・・真っ先に巨人が行くのは人が固まっている本部だろうから今度は補給線が崩壊。本部を中心に僕らはすっぽりと巨人に囲まれ、撤退の鐘が鳴らされてもガスなしでは壁を昇れずこのままなぶり殺しに・・・・・・」ペラペラ

ミーナ「止めてよ、アルミン!怖いよ!!」

アルミン「・・・・・・冗談だよ(そう、そうなったらまずは前衛、次は・・・・・・本部と前線を行き来している補給部隊が・・・・・・エレン・・・・・・)」







立体起動装置固定具「」ガタガタガタ







371: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:41:47.90 ID:8fFtZ554o



ライナー「あまり芳しくないな・・・・・・」

ベルトルト「そうだね・・・・・・住民の避難も完了間近のようだし・・・・・・このままでは難しいかもしれない」

ライナー「・・・・・・傷はいいのか?」

ベルトルト「・・・・・・浅いし出血も無い、問題はないよ・・・・・・」







エレン『・・・・・・』<◎><◎>







ベルトルト「・・・・・・っ!!(忘れろっ!彼はもうすぐ死ぬ・・・・・・)」

ライナー「・・・・・・アニ、順番が違うが・・・・・・頼めるか?」

アニ「・・・・・・わかった」

ライナー「・・・・・・撤退が始まると同時に俺も行く・・・・・・これで終わらせるぞ」

アニ「・・・・・・」





エレン『・・・・・・最初の投げの時、無茶な受身を取った』

アニ『・・・・・・目聡いんだね、まあ好きにしなよ』



アニ『・・・っ!・・・っ!』ゲシゲシ

クリスタ『やん♪痛いよアニ♪』フフッ





アニ「・・・・・・」チクリ





372: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:50:37.62 ID:8fFtZ554o


前 衛




女型巨人「・・・・・・」

駐屯兵1「・・・・・・ん?なんだあれは・・・・・・6時に15m級1、奇行種か?こちらを遠巻きに見ているようだが・・・・・・」





キィヤアアアアアアアァァァァァァッッ!!





駐屯兵1「!!!???なんだ!?なにが!?」

駐屯兵2「班長!穴から大量の巨人が!?コレまでの比ではありません!!」

駐屯兵1「なんだと!?馬鹿な!!」




巨人「」ニヤニヤ   
         巨人「」ズシンズシン
                       巨人「」ニヤニヤ
   巨人「」ニヤニヤ       巨人「」

            巨人「」ズシンズシン



駐屯兵1「呼び寄せたとでもいうのか!?いかん全体!一旦さg・・・・・・」


373: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 18:52:02.75 ID:8fFtZ554o




「うああああ!」                  「やだぁ、お母さぁん!!」
        

            「やめろ!やめてくれぇ!」


  「助けて!いやぁ!死にたくない!」     

                 
                               「痛い、痛い、痛いいぃぃ!!」
  
  「足がぁ!俺の足がああぁ!!」



  
駐屯兵1「なんという・・・・・・なんということだ・・・・・・一瞬で戦線が」

駐屯兵2「6時の15m級に動き!・・・・・・!?早い!走ってきます!!」

駐屯兵1「なんだと!?」





女型巨人「・・・・・・」

駐屯兵1「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ?」





グチャ





374: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:04:23.76 ID:8fFtZ554o



中  衛





ナック「・・・・・・!多数の巨人を確認!前線が崩壊した!!」

サムエル「・・・・・・!遂にか・・・・・・アルミン達が戻るまで動くわけにはいかん・・・・・・予定通り、ここ一帯で巨人を引きつける、奇行種は逃がすな!それ以外は誘導だ、高所から高所へ移動し戦闘は避けろ!」

トーマス「アルミン・・・・・・ミーナ・・・・・・大丈夫だよな・・・・・・?」



・・・・・・・・・・・・ ・  ・




アルミン「!!前衛は崩壊したのか!?巨人があんなに近くに!」バシュッ ギュイィン

ミーナ「そんな・・・・・・っ!でも、早めに補給しといてよかった、後衛の住民避難はほぼ完了しているようだし、もうすぐ撤退の鐘が・・・・・・早くサムエル達と合流しなきゃ」バシュゥン

アルミン「ああ!急ぐよ、ミーナ!」カシッ バシュゥン





立体起動装置固定具「」ガタガタガタガタ



パキン





アルミン「!!!???」ガクンッ!

ミーナ「アルミン!?」

アルミン「うあああああああ!?」

ミーナ「アルミン!!ダメ!間に合わない!!」



375: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:16:12.07 ID:8fFtZ554o




アルミン「・・・・・・グ、ウウ、落ちたのか?何故・・・・・・?」



立体起動装置固定具「」プラーン



アルミン「・・・・・・!?これは切断跡・・・・・・?点検項目にも無いところに・・・・・・グッ!」ズキン


ミーナ「アルミン!見つけた・・・・・・アルミン!!逃げて!!」





巨人「」ニヤニヤ



アルミン「・・・・・・あ?」



巨人「」ヒョイ アーン

アルミン「あ、ああああああ!!??うあああああぁぁぁ!?」



ミーナ「アルミン!!・・・・・・そんな!嫌あぁ!!」



アルミン「(どうして、僕の体は動かないんだ・・・・・・やっぱり、僕は、ただの・・・・・・臆病者だったのか・・・・・・)」



ミーナ「待って!待ちなさい!!このっ!!」バシュウゥン



アルミン「(こんな・・・・・・ところで・・・・・・)」

376: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:22:45.62 ID:8fFtZ554o










エレン「・・・・・・」<◎><◎>

巨人「」










巨/人「」シュウゥ…

アルミン「・・・・・・エレン、どうしてここに・・・・・・」

エレン「・・・・・・アルミン」スッ






奇行種「」アーン





ゾブリ





どくん  どくん


ドクン  ドクン


ドクン  ドクン


378: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:24:29.03 ID:8fFtZ554o

エレン「」

アルミン「ああああ・・・・・・エ、エレン・・・・・・」

ミーナ「う・・・・・・う・・・・・・」

アルミン「・・・・・・ひ・・・・・・左腕が・・・・・・」





エレン「」ドオッ

アルミン「エレェン!!!!」



奇行種「」ニヤニヤ



ミーナ「こっのおおおおぉぉぉ!!」ズバンッ!





エレン「(は、離せっ・・・・・・離せ!)」グッ ググッ





首を刎ねられた唐丸が


なお、羽ばたかんするが如き



左手を失ったことで重心が変化し


かつての平衡感覚では


激しい身体操作ほど転倒を引き起こすのだ



エレン「・・・・・・離せ」ピタ

アルミン「う・・・・・・嘘だ、どうしてエレンが・・・・・・」

379: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:26:08.68 ID:8fFtZ554o

ミーナ「アルミン、掴まって!ワイヤーを・・・・・・!!」ビシュ カシン

アルミン「エレン・・・・・・起きてよ・・・・・・エレン」

ミーナ「アルミン!早く!エレンもすぐに引き上げるから!!」

アルミン「いやだ・・・・・・エレン」

ミーナ「アルミン!!・・・・・・!そんな!?」



巨人「」ニヤニヤ   
         巨人「」ズシンズシン
                       巨人「」ニヤニヤ
   巨人「」ニヤニヤ       巨人「」



ミーナ「こうなったらエレンも・・・・・・っ!!」ガシッ

アルミン「どうして・・・・・・役立たずの僕が生き残って・・・・・・どうしてエレンが」

ミーナ「・・・・・・っ!どうして!?動いてっ!動いてよっ!!」カシッ カシッ



巨人「」ニヤニヤ   
         巨人「」ズシンズシン
                       巨人「」ニヤニヤ
   巨人「」ニヤニヤ       巨人「」



エレン「・・・・・・!」ガシッ バッ

ミーナ「!!エレン今、離したら・・・・・・キャッ!!」ギュイィン!

アルミン「・・・・・・!エレン!待ってミーナ、エレンが!!」

380: ◆nlCx7YJs2Q 2013/10/12(土) 19:28:01.16 ID:8fFtZ554o



エレン「・・・・・・」パチン ブンッ



アルミン「!・・・・・・」ガシッ

アルミン「!!これは立体起動装置を・・・・・・エレン?何をする気なの?エレン!?」



エレン「お前だけが・・・・・・私に・・・・・・」





・・・・・・・・・・・・ ・  ・





エレン「・・・・・・」



悪ガキ1「みろよイカレ野郎だwwwwwww」

悪ガキ2「アレで医者を目指すんだとwwwwwww」

悪ガキ3「俺らまで喋れなくなるってのwwwwwww」



エレン「・・・・・・」





アルミン「君がイェーガー君?」

エレン「・・・・・・!」

アルミン「ぼぼぼぼ、僕はア、アルミン・アルレルトっていうんだ。よ、よかったら、とと、友達になれないかな!?」

エレン「・・・・・・///」カァ

アルミン「?大丈夫?赤くなっているよ?」





・・・・・・・・・・・・ ・  ・