1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:43:26 ID:w2e6fp1k
女「うぅ....うぅううう....」グスグス
弟「...............」ダラン
女「....救えなかったんだ....あたしはこの子を救えなかった!」
男「....お前はよくやったよ」
女「やめて....慰めなんか....お願いやめて........」ガタガタ
男「弟くんは君に感謝してる。....死ぬ間際、君と一緒に過ごせて良かったと」
男「こんなに自分を想ってくれる人がいて幸せだったと。そう思っている」
女「か....勝手なことを....言わないで!」
男「結果はどうあれな....意識を失う瞬間、弟はそう思っていた」
男「生き残っていたら....君にそのことを伝えたろう」
転載元:終わりの後、始まりの前
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:44:03 ID:w2e6fp1k
男「.......『この』弟はもうそれを伝えることができない。」
男「だから代わりに俺が来たんだよ。全てはこのために....」
女「............あん....た....?」
男「これは想像や憶測なんかじゃない。弟が幸せを感じていたこと....きっと分かってくれよ」クルッ
女「............行かないで?」
男「............俺は俺だ。その子の代わりにはなれない」
女「待って....待って!お願いだから....弟ぉ....」
男「............」スタスタ
女「待って....おね....がいだから....」
男「................................」スゥッ
スゥゥゥゥゥッ............
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:44:54 ID:w2e6fp1k
女「....おかしい」
女「分かってるわよ....この子が死んだのはあたしのせいだって....」
女「見える....あたしは....身代わりになれた」
女「この子を救えた....なのに....」
女「............それをしなかったんだ。」
女「..................」
チャキッ
女「辛すぎるって............こんな....世界....」グッ
グサァッ
ブッシュウゥゥゥ............
女「................................」ドサァ....
スゥゥゥゥ....
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:45:48 ID:w2e6fp1k
男「............」スゥゥゥゥ....
男が過去から戻ってきた。
友「....お帰り。」
男「............」スタスタ
友「........どうだった?ん?」
友「お前の姉は....救えたのか?」
スタスタスタスタ
友「おい....何かあったの....」
ガシィッ
友「う....ぅっぐぇ....?」
突然首を締めあげられる。
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:46:42 ID:w2e6fp1k
男「....めぇーのよぉ............」
男「............てめぇのよぉ!」
グググッ....
友「かっ........はぁっ............?」
男「てめぇのせぇじゃねーか........あぁ!?」
男「いや違うね!俺のせいだね!」
男「お前が悪いんだぜ!」
男「なんなんだ?俺がやったことだ!全部!」
男「ははははははははははははははは!!!」
ドサァッ
友「げほっ....ハッ....ハッ....」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:47:46 ID:w2e6fp1k
ハハハハハハハハハハハハハハハ
友「あいつ....何言ってるんだ....どうしちまった....?」
男「俺だよ!」グルン
男「弟を殺したのは俺だ!」
男「女にあんな顔をさせたのも!全部俺だ!!」
男「だってそうだろ!?そうしなきゃ女が死んでたんだ!!」
友「....................お前の姉を、救えたんだな」
男「救えた!救えた?救えただとっ!!?」
男「ははははははははははっ!!フザけろ!!!」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:48:19 ID:w2e6fp1k
アハハハハハハハハハハハハハハ
友「....な....なんなん....だよ....」
男「」ツカツカツカ
ゲシィッ!
友「ぐふっ!」
今度は腹を蹴り飛ばされる。
男「裏切った!裏切った!裏切った!」ゲシッゲシッ
男「俺が女に嘘をついた!俺がついた!女についたっ!!」ゲシッゲシッゲシッ
友「がはぁっ....がっ!」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:49:09 ID:w2e6fp1k
................................
友「ハァっ....ハァっ....................」ゼェゼェ
男「....................」ゴトッ
バシャアッ!
友「っ!?」バシャッ
ガソリンだった。男が俺にたっぷりガソリンをぶっかけていた。
男「............超............イラつく........」ゴトン
友「やっ..........やめっ....................」ポタポタ
男「」シュボッ
男「............................」
男「死ね」
ポイッ
友「............っ............」
俺が燃えた。
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:49:52 ID:w2e6fp1k
友「いぎぇああああぁぁぁぁああああ!!!」
ボォォォォォ
男「....................................」
友「いひっ、いひっ、いっぐぁあああっ!!!」ジタッバタッ
男「............死ね!死ね!死ね!」
友「ふっ、ひっ........ひぃっ....」ググッ
前はロクに見えなかったが、がむしゃらに手を伸ばした。
友「ふぬっ、ふっ、ふぅっ....」ガシッ
男「........」グイッ
男「....放せ!放せ!死ね!」ゲシィッ
友「うぎっ....ぎっ、ぎがぁぁ............」グィィッ
男「このっ、このっ、このぉっ........っ!!」ゲシッゲシッ
蹴りを浴びながらも男にすがりつく。力を振り絞って男を床に引き倒した。
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:50:31 ID:w2e6fp1k
男「やっ、やめ........................火がっ!」ゾッ
友「ふいっ、ふぃいいっ........ふぬっ!」ガシッ
男「放せっ!」
友「うっ............うっうっ........」グゴゴゴ
ブシャアアアッ
ぶっかけられた時飲み込んでいたガソリンを吐き出し、至近距離で吹きかけた。
男「むがぁぁぃいあああああああ!!」シュゴォォオオオ
男の顔面が燃え盛る。
友「えぃいっ、えん、えっえぇ............」カタッ
男「むぬぉおおぉぉおおおおおっ!!」ガリガリ
男が顔を掻きむしる。
焦りきったその様子を見て、体が焼けながらも俺は不思議に冷静だった。
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:51:16 ID:w2e6fp1k
友「ふっ....................」チャキッ
男「もんぬぉおおぉおおおおおぉぉぁあああああ!!!」
ドスッ
男の胸にナイフを突き立てた。
男「むぃいいいぃぃぃぉおぉおおおぉおおおあ!!!」
気付いているのか、いないのか?
男は顔を掻きむしり続けている。
ドスッ ドスッ
友「ふぇぇ........................」ドスッドスッ
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:51:52 ID:w2e6fp1k
何度も何度も繰り返し刺した。
ボロボロの体を動かし続け、火が消えた後も燃えるような痛みが続いた。
男「....................................」
友「....................ハァっ................ハァっ............」カタン
気付けば男は死んでいた。
俺は男にのしかかるような格好で、指一本動かせず転がっていた。
スゥゥゥゥゥゥ................
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:52:23 ID:w2e6fp1k
友「........................」
男「........................」スゥゥゥッ
傍らに男が現れた。
男「.........................」
男「............気持ちが....悪いんだよ............」
友「........................」
男「晴れねぇ............晴れねぇ........っ!!」
友(........あいつは....................きっと............)
友(俺を殺した............未来から........来た........)
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:52:57 ID:w2e6fp1k
男「........................お前も........」
男「お前も殺せば....................」
男「少しはスカッとするかなぁぁああぁあ!!??」ギャアアアッ
きっと過去で分岐した世界は、他にも沢山ある。
ある世界では俺は男に殺され、またある世界では共に死んだんだろう。
その中でも。おそらく俺は特別。
友(....................ツイ............てる................)
カチッ
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:53:29 ID:w2e6fp1k
ズギュウウウウウウン!!!
....と時を超える。
友「男は...あいつの中で何があったのかは知らないが...狂っちまった...」
友「そして俺は殺される...無限に生まれた未来によって...」
友「.............『本編』はもう終わっている」
友「男が女を救い、元の時代に帰った時点で...そこがエンディングのはずだ」
友「この話は男と女のものだった」
友「俺なんて全くの脇役...出しゃばるべきじゃないのかも知れないが」
友「気に入らないんだよ...あの終わり方は」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 01:54:00 ID:w2e6fp1k
友「あの終わり方じゃダメだ。」
友「エンディングの後、男が狂おうが...例えば女が自殺しようが。本編には関係無いはずで...」
友「これ以上手を加えたって...ただの蛇足になるんだろうが...」
友「違うんだぜ...全然違う」
友「こんなの間違ってる...」
友「....俺がやるしか無いんだよな。」
友「主人公達が...頼りないからよ...あぁ、やってやるさ」
友「あの時代に行って、男と女に希望を与えてやる。」
友「二人を納得させて...これでいいんだと...安心してエンディングを迎えられるように」
友「待ってろよ......今行く。ハッピーエンドを作ってやるよ」
完
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