武内P「凛さんの朝」 前編

297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:38:20.43 ID:pQW9/yr10
~物販スペース~

客A「えーっ、もうTシャツ売り切れっすかぁ!?」

客B「散々待たせておいてそりゃないよぉ!」

客C「ていうか誘導ヘタすぎるでしょー!」

ブーブー…!


スタッフ「じゅ、順番にご案内しておりますのでどうか焦らずゆっくりとー!」


タタタ…!

卯月「お待たせしましたぁ!」

スタッフ「あ、ありがとうございます! って、えぇっ!?」

未央「ふっふーん、さぁ私達が来たからにはもう大丈…」


凛「あ、あれ……アンタ……?」



同僚P「り、凛……お前達……!!」

一同「(元)プロデューサーさんっ!?」

引用元: 武内P「凛さんの朝」 


 

 
298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:40:06.88 ID:pQW9/yr10
ガヤガヤ…


同僚P「いやぁ捌いた捌いたっ! 本当助かったぜ、ありがとな。はいジュース」サッ

未央「ありがとー、プロデューサー!」

同僚P「よせやい、俺はもうお前達のプロデューサーじゃねぇんだ」

同僚P「いや……むしろもう、プロデューサーですらないんだけどな」

卯月「えっ?」


同僚P「346の子会社のイベント屋に出向さ。左遷ってヤツだ」パコッ

同僚P「ま、社長に盾突いたバツだな。悔いはねぇけどよ、ハハハ」グビグビ…


凛「ひょっとして……話、聞いた事あるんだけど、私の医療費の事で?」

同僚P「まぁ色々あるが、一言で言えばオトナの事情だよ。気にすんな」

凛「…………」


同僚P「それにしても……」グスッ…

凛「……?」

同僚P「本当に……本当に良かったなぁ、凛よぉ……お前本当に、よく…!!」ボロボロ…

凛「や、やめてよ! なんか鼻水すごいっ!」

299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:42:28.81 ID:pQW9/yr10
未央「おぉ、どうどう。よしよし」ナデナデ

同僚P「ヒック、ヒック……おう、うぉう……」

凛「大の大人が女子高生に介抱されてるよ……」

卯月「それだけ凛ちゃんが元気になった事が嬉しかったんですねっ」

凛「まぁ……そうなんだろうけどさ」


同僚P「ところで、お前達はアレか? 高垣楓の前座か何かで呼ばれたのか?」

未央「うん、そうだよ」

同僚P「ふぅーん、彼女も随分とCPの肩を持つんだなぁ」

卯月「何か、あったんですか?」

同僚P「ん? いや、何……」


同僚P「俺がCPを離れる時、俺に代わってアイツを担当にしてくれるよう、
    俺から常務にお願いしたんだけどよ」

同僚P「もう一人、同じお願いを常務にしたアイドルがいたらしいんだよな」

同僚P「で、そのアイドルってのが……」

凛「えっ……」

300: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:43:45.78 ID:pQW9/yr10
~控え室~

武内P「やはり、そうだったのですね」

楓「余計なお世話、だったでしょうか?」

武内P「…………」

楓「自らプロデューサーとしての道を閉ざして、私達の単純な世話役に徹して、
  抑揚の無い日々を求めて……」

楓「そんな折、未来ある子達が生み出す激動の渦になど、巻き込まれたくなかった?」


武内P「……ありがた迷惑、と思っていました」

武内P「それを言い渡された当初の私には」


武内P「ですが、今では……充実した日々を送れる事に、心から感謝しています」

楓「……良かった」ニコッ


武内P「加えてお聞きしたいのですが……なぜ、私を推薦したのですか?」

301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:45:53.99 ID:pQW9/yr10
楓「昔のプロデューサーを、取り戻してほしかったんです」

武内P「えっ?」


楓「今日のライブが終わる頃には、思い出してもらえると良いなぁって」

楓「だから、シンデレラプロジェクトの子達を……凛ちゃん達を呼んだんです」

楓「プロデューサーにも、来てほしかったから」


武内P「…………」

楓「ちょっと、大人げなかったですよね」



スタッフ「高垣楓さーんっ! そろそろうちわの配布をお願いします!」

楓「分かりました」


楓「それじゃあ、またライブで」ペコッ

スタスタ…



武内P「…………ここは……」

302: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:47:23.08 ID:pQW9/yr10
~物販スペース~

同僚P「とまぁ、俺が知ってんのはそんなところだ」

卯月「ほえぇ~……意外、です。楓さん、そこまでシンデレラプロジェクトに…」

未央「チッチッチッ、しまむーは本当にお子ちゃまだねぇ」

卯月「えっ?」


ズイッ

未央「楓さん、プロデューサーにゾッコンのデレッデレなのだよ。分かんない?」

卯月「!? え、ええぇぇぇっ!!? そ、そんな私は…!」アタフタ…!

凛「何で卯月がうろたえてんの」


同僚P「俺もそう思ったけどよぉ。
    アイツはマジで仕事が恋人だから、本気でくっつけようとするならホネだぞ?」

未央「なぁにを弱腰になる必要があるのさ!
   世話になったプロデューサーのため、一肌でも二肌でも脱ごうじゃん!」ガバッ

卯月「未央ちゃんっ! 私も頑張りますっ!」ギュッ


スタスタ…

楓「お疲れ様ですー」

303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:49:03.01 ID:pQW9/yr10
未央「ちゃああぁぁぁっす!!」ペコーッ! (←90°)

楓「!?」ビクッ!

卯月「楓さん、一緒に頑張りましょうっ!!」ギュッ!

楓「え、えぇ、そうね?」


同僚P「それでは、これから高垣楓のサイン入りうちわを配布しまーす!
    焦らずゆっくりと、こちらから一列にお並びくださーい!」



凛「……ねぇ、楓さん」

楓「なぁに、凛ちゃん?」


凛「私のお見舞いに足しげく来てくれていたのも、プロデューサーに会うため?」



楓「きっと、それもあったでしょうね」

304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:50:28.60 ID:pQW9/yr10
~ライブ会場~

ワアァァァァァァァァ…!! パチパチパチ…


タタタ…!

未央「プロデューサー! どう、バッチリだったでしょ!?」

武内P「はい。いつも以上に、気迫を感じられる、良いステージでした」

卯月「持てる力を振り絞って、一生懸命頑張りましたっ!」ブイッ!


未央「さぁ、お次は楓さんの番だね! しまむー、ペンライト!」

卯月「はいっ!」ササッ

武内P「はっ?」


未央「しまむー、しぶりん!! いざ出陣じゃあっ!!」ダッ!

卯月「ムード盛り上げ楽団、ニュージェネレーションズの出番ですっ!!」ダッ!

武内P「あ、あの! あまり目立つような行いは…」

タタタ…!

305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:52:12.85 ID:pQW9/yr10
武内P「一体、何を……?」

凛「楓さんのステージを最高に盛り上げてやるんだ、ってさ」

武内P「現役のアイドルが、表立って客席で目立つような事をするのはまずいかと…」

凛「分かってる。ちゃんと後ろの方にいるよう、私が二人を抑えておくから」

武内P「お願いします」

凛「じゃあ、私も行ってくるね」ポロッ

武内P「あっ」

ポトッ コロコロ…


武内P「……ペンライト、落としました」スッ

凛「あ……ごめん、ありがとう。それじゃあ」

タタタ…


武内P「………………」



ワアァァァァァァァァァァァァァ!! パチパチパチパチパチパチ…!!


楓「今日は、本当にありがとうございます」

306: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:53:35.00 ID:pQW9/yr10
「楓ちゃーーんっ!!」「こっち向いてー!」「綺麗だよーーっ!!」

未央「楓ちゃぁーん、俺だーーっ!! 結婚してくれぇーーっ!!(重低音)」ブンブン!

卯月「キャーーッ!! 楓様ぁーーーっ!!(怪鳥音)」ブンブン!

凛「……ッ!!」ポカッ! ポカッ!

未央・卯月「痛いっ!」


楓「……」クスッ



楓「あの日、あの時と同じ……このステージを、覚えてくれている人はいますか?」


武内P「…………!」


「覚えてるよーーっ!!」ワァァァッ!!


楓「ありがとうございます」



楓「ここは、私がデビューして初めて立ったステージです」

307: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:54:31.07 ID:pQW9/yr10
楓「心細くて、不安でした。でも……」

楓「そんな私を応援して、共に笑ってくださる皆さんと出会いました」

楓「そんな大事な場所で、こうしてまたライブをできることが、何より嬉しいです」

楓「楽しんでいってください……」スッ


ワアァァァァァァァァァァァ…!!


~~♪



武内P「………………」

308: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:58:37.28 ID:pQW9/yr10
  ――歯車にさえなれば、仮面の下に隠れた君という個人が傷つく事は無い。


  ――私達は、あなたのお人形なんかじゃないっ!!



  ――あの、ぷ、プロデューサー……私、ダメかも知れません……

  ――こんな、小さい会場なのに、緊張でこ、声が……声だけじゃなくて、体も……!


  ――えっ? …………仕事に、大きいも小さいも無い……

  ――緊張は、味方……いつも通り、慎重に……?

  ――ぷっ……ふふ、あははっ。ダジャレだなんて……あははは!



  ――プロデューサーの言葉のおかげで、私、とても楽しむ事ができたんです。


  ――本当に……ありがとうございます、プロデューサー。

309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 21:59:49.07 ID:pQW9/yr10
~~♪

楓「~~~~♪」

楓「~~~~~~ッ!!♪」


武内P「………………」



ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!! パチパチパチパチパチパチ…!!


未央「うわあぁぁぁん……楓さぁ~ん、結婚してぇ~~~……!!」ボロボロ…

卯月「ひっぐ、えぐっ! か、楓さん、凄すぎますぅ~~……!」ボロボロ…



凛「…………」パチパチパチ…!

310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:01:29.16 ID:pQW9/yr10
ガヤガヤ…


未央「……はぁ~~泣いた泣いた。良いモノ見せてもらったよぉ」

卯月「楓さん、綺麗でカッコ良くて、素敵でした」



武内P「本日はどうも、お疲れ様でございました」ペコリ

同僚P「よ、よせよ仰々しい。こっちの立場からすりゃ、お前はご依頼人様なんだしさ」

武内P「しかし、相変わらずお元気そうで何よりです」

同僚P「そう言われんのも腹立つな。左遷だって分かって言ってんだろ?」


同僚P「ま、どのみちお前には頭が上がらねぇや。あの子達の事、しっかり頼むぜ」ポンッ

武内P「はい」

311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:03:24.86 ID:pQW9/yr10
武内P「それと……高垣さんは、どちらに?」

同僚P「あん? あぁ、そういやお前、あまり彼女の現場に行った事無かったっけか」

同僚P「3階のラウンジじゃねぇか?
    あそこ、人が少なくてゆっくりできるから、彼女のお気に入りみたいでよ」

武内P「分かりました。ありがとうございます」スッ

コツコツ…



コソコソ…

未央「ウッシッシッシ……!」

卯月「本当に良いのでしょうか?」

凛「良い訳ないと思うけど……」

同僚P「心配だから俺もついてく」

312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:05:54.32 ID:pQW9/yr10
コツ コツ…

武内P「…………」コツ…


楓「あ、プロデューサー」


楓「ホットコーヒーで、一緒にホッとしましょう?」

楓「……イマイチ、ですね」


武内P「高垣さん。どうも、お疲れ様でした」ペコリ

楓「ふふっ。ひょっとして、まだ思い出されていないんですか?」

武内P「いいえ……ハッキリと、思い出しました」


武内P「私はどうやら、心の奥底に過去のトラウマを隠し、鍵を掛けていたようです」

武内P「そして、その鍵も気づかぬうちに、どこかへ失くしてしまっていた……」


楓「先輩の方々が一斉に辞めてしまわれて、体調不良でしばらく休職された後……」

楓「プロデューサー、私と再会しても何も反応が無かったのは、
  結構ショックだったんですよ?」

武内P「それは、その……申し訳ございません……」ペコリ

楓「いいんです。昔と違って、私も大人ですから」

313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:08:37.40 ID:pQW9/yr10
楓「早苗さんや瑞樹さんと一緒に、私も担当としていただけるよう、
  今西部長に頼んだりもしました」

武内P「そうでしたか」


楓「でも、結局……私は、プロデューサーの心を開く鍵に、なれなかったんですね」

武内P「? ……いいえ、そんな事はありません。あなたは…」

楓「ううん」フリフリ


楓「直接のきっかけとなってくれたのは……鍵になったのは、凛ちゃんです」

楓「彼女の治療に真摯に向き合う事で、きっとプロデューサーは、
  情熱に溢れていたあの頃を思い出せたんだと思います」

楓「私は、ただ背中を押しただけに過ぎません」

武内P「…………」


楓「ふふっ、でも……まだもうちょっと、ですね?」

武内P「えっ……?」

楓「昔のプロデューサーは、私の事を下の名前で呼んでくださっていたんですよ?」

314: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:09:39.37 ID:pQW9/yr10
武内P「!? い、いや、そんなはずは…!」

楓「ふふふっ」ニコニコ



ヒョコッ ヒョコッ

卯月「何やらとっても、良い雰囲気です……!」ワクワク…

未央「いけっ、そこだ……ガッとやれ、チュッと吸ってしまえー……!!」ソワソワ…!

同僚P「発想がおっさんじゃねぇか……」

凛「…………」

315: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:10:45.80 ID:pQW9/yr10
楓「もう少し、心が開き切るには、時間が必要みたいですね」

楓「でも、今日は本当に良かったです」


武内P「お招きいただき、ありがとうございました」

楓「こちらこそ。また、一緒にお仕事したいですね」

武内P「ご要望があれば、ぜひまた当プロジェクトのメンバーをお呼びください」

楓「その時は、プロデューサーも?」

武内P「善処します」

楓「ふふっ……はい」スッ

316: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:12:32.68 ID:pQW9/yr10
未央「あ、あれ……?」

同僚P「まずい、こっち来るぞ、隠れろ!」コソコソ…

卯月「隠れる所無いですよぉ……!」コソコソ…

凛「マネキンが……」


楓「それじゃあ、失礼します」ペコッ

武内P「はい」

スタスタ…



卯月・凛「…………」 ←マネキンのポーズ

未央・同僚P「…………ッ」プルプル…! ←水魚のポーズ


スタスタ…

317: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:14:26.93 ID:pQW9/yr10
同僚P「…………行ったか?」

卯月「はい……」

未央「だっはぁー! はぁ、はぁ……危なかった、被り物が無かったら即死だった」

凛「無理な体勢でいるからだよ」

未央「でも惜しかったなぁ。せっかくプロデューサーと楓さんが良いカンジに…」

武内P「…………」

未央「あとちょっとで、むっちゅ~~って出来たかも知れないのにさー。
   ねぇプロデュ…」

未央「うわあああああああっ!!」ガタガタ-ッ!



武内P「あまり大人をからかうものではありません」

未央・卯月「はい……」シュン…

武内P「あなたも、彼女達の元保護者として、節度ある振る舞いをお願いします」

同僚P「ごめんなさい……」シュン…


武内P「それでは、駅までお送りします」

318: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:15:30.59 ID:pQW9/yr10
ブロロロロ… キキィッ

ガチャッ


武内P「私はこのまま、諸星さん達の現場へ行って彼女達を拾い、事務所に戻ります」

卯月「今日も一日、お疲れ様でしたぁっ!」ペコリ

未央「楓さんとの馴れ初め話、今度じっくり聞…」

武内P「本田さん」

未央「う、ウソウソ冗談! アハ、アハハ……」ブンブン


武内P「それでは、お疲れ様でした」

バタン  ブロロロロ…



凛「ふぅ……さて、帰ろうか」

卯月「そうですね」

319: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:17:34.21 ID:pQW9/yr10
テクテク…

未央「うぅーーん……やっぱり諦めきれない」

凛「まだ言ってるの?」

未央「だってさ、どう見ても相思相愛じゃん! お似合いじゃんっ!」

卯月「お二人がとても楽しそうにお話されている様子、すごく素敵でした」


凛「それはそうかもだけど……アイドルとプロデューサーだよ?」

凛「大体、私達アイドルって恋愛がご法度なのは、業界の常識だと思うけど」

未央「む、むぐぐ……!」


未央「……あぁーーー分かったっ!!」

凛「?」

未央「しぶりんもプロデューサーの事が好きなんだーーっ!!」ビシ-ッ!

凛「!? ……はぁっ!?」

320: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:19:53.19 ID:pQW9/yr10
未央「だから楓さんとプロデューサーがくっつくのが面白くないんだぁーっ!!」

卯月「うええぇぇぇぇっ!? り、凛ちゃん…!」

凛「ちょ、ちょっと馬鹿言わないでよ! そんな訳ない!!」


未央「そりゃそうだよねー、覚めない眠りから救ってくれた、
   しぶりんにとってはまさしくシンデレラの王子様だよねー」ウンウン

卯月「未央ちゃん、それを言うなら白雪姫とか眠り姫ですよ」

未央「あそっか。でもそういう事だよねーそりゃあ好きになるのはしょうがないよねー」

凛「いい加減にして!! 確かにプロデューサーには感謝してもしきれないけど、
  そういうのとコレとは別だからっ!!」

未央「本当に?」

凛「ほ、本当だよ」

未央「なら楓さんとプロデューサーがラブラブになっても別に気にしないよね?」

凛「当たり前でしょ! 勝手にすれば!?」


未央「じゃあさ! 今から買い物に行こーっ!!」ガッツ!

凛「えっ?」

未央「名付けて!
   『楓さんのハートを鷲掴み! Pから送るプレゼントをプレゼント』大作戦~!」

卯月「わぁーーいっ!!」バンザーイ!

323: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:20:51.61 ID:pQW9/yr10
~美城グループ附属総合病院 医務室~

志希「…………」


医師「これを……」

博士「うむ…………」



博士「だが…………止むを得ませんな」

医師「えぇ……」


博士「……シキ。君の意見も聞かせてもらえないだろうか」



志希「………………」

324: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:22:42.68 ID:pQW9/yr10
~駅前のデパート ホール~

未央「さぁさぁやってまいりました、高垣楓のハートを掴みとれ!
   Pと楓のキューピットプレゼント大作戦の火蓋が切って落とされます!」

卯月「はいっ! 楓さん好みの贈り物、バッチリ当てちゃいますっ!」フンスッ

凛「名前変わってる」


未央「ルールは簡単!
   プロデューサーから楓さんに渡す用に一番良いプレゼントを見つけた人の勝ち!」

未央「制限時間は30分!
   予算は私達三人で出し合うとして、イチゴー(1万5千円)くらいでどう?」

卯月「一人5千円ですか」

凛「予算は別に制限つけなくて良くない?
  良い物があったら、それが私達で買えるものかどうか、皆で相談すればさ」

未央「おっ、良い事言うねー! 意外とノリノリか渋谷ぁ?」ウリウリ

凛「…………」ハァ…

325: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:24:32.72 ID:pQW9/yr10
未央「じゃあ30分後にまたココでっ! じゃ、スタートぉ!」ダッ!

タタタ…!


卯月「未央ちゃん、楽しそうですね」

凛「プロデューサーと楓さんをネタにふざけているだけにしか見えないけど」

卯月「ううん、未央ちゃんは、皆で楽しくなるのが大好きなんです」

卯月「凛ちゃんが倒れていた時も、ずっと未央ちゃん、私達の事を……」

凛「…………」

卯月「だから、たとえ悪ふざけでも、こうして凛ちゃんとまた一緒に楽しくできるのが、
   すごく嬉しいんだと思うんです」


クルッ

卯月「ありがとうは、最後になりそうだから言わないって、凛ちゃん言ったけど……」

卯月「私は、今この瞬間どうしても言いたいし、この先も何度だって言おうと思います」


卯月「元気になってくれて、本当にありがとうございます、凛ちゃん」

326: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:25:36.25 ID:pQW9/yr10
凛「……時間、気にしなくていいの?」

卯月「あ、えっ!? そ、そうだ私も早く探さないと…!」

卯月「じゃあ、凛ちゃんも頑張りましょうね! 負けませんよっ!」ギュッ!

タタタ…



凛「頑張りましょう、負けませんって……どっちなの」クスッ

凛「それに、ありがとうございますなんて……」

凛「……感謝しなきゃいけないの、こっちなのに」

327: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:26:38.02 ID:pQW9/yr10
テクテク…

凛「…………」プラプラ…



【季節の贈り物 『秋』ギフトキャンペーン!】

【お世話になった方への感謝の気持ち 喜ばれる秋の味覚プレゼントコーナー】



凛「ふーん…………」



凛「プレゼント、何か買おうかな……卯月と未央用に」


凛「花……お菓子、いや……うーん」

328: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:28:00.24 ID:pQW9/yr10
女「ねぇ、これなんかどう?」


凛「……?」クルッ


男「うーん……俺は、こっちの方がお前らしいと思う。それは少し派手すぎないか?」

女「そうかなぁ。特別な時にしか付けないんだし、ちょっとくらい派手でも良くない?」

男「それもそうか」

店員「よろしければ、ご試着されてみますか?」

男「あ、はい。じゃあ、これを……」



凛「……アクセサリー、か」



テクテク…


店員「いらっしゃいませ」

330: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:33:20.80 ID:pQW9/yr10
凛「…………」ジィーーッ…


凛「…………うーん」


店員「何か、お探しでしょうか?」


凛「あ……あの、ちょっと、友達へのプレゼント用に、何か良いのないかなって」

店員「ご友人の方へのプレゼント用ですね? ちなみにご予算は…?」

凛「えっと、特には決めてなくて……」

店員「かしこまりました」


店員「そうしますと、イヤリングなどはいかがでしょう?」

凛「イヤリング……」


店員「今、お客様がお召しになられているピアスとペアになるようなものですと……」スッ

店員「例えば、こちらのアイオライトをあしらった小さいお花型のものであれば、
   派手な印象は与えませんし、可愛らしさもアピールできますよ」

凛「アイオライト?」

店員「“誠実”とか“初めての愛”“癒し”などといった石言葉がございます」

331: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:35:04.48 ID:pQW9/yr10
店員「お値段も比較的控えめですので、当店の人気商品となっております。
   あっ、失礼ですがご友人の方は女性、それとも男性で…?」

凛「あ、いえ女! 女二人、です」

店員「かしこまりました。それであれば、ご友人の方々にも気軽にお付けいただ…」

凛「あ、いや……三人、いや……?」

店員「?」


凛「薬を作ってくれた志希……あとプロデューサー……は付けないか」

凛「他の皆にも、何もしない訳には……」ブツブツ…

凛「でも、全員に買ったらお金が……かと言って、差別するのも……」ブツブツ…


凛「……~~~~ッ!!」ワシャワシャーッ!

店員「あ、あの……よろしければ、ご試着されてみてはいかがでしょう?」

凛「えっ? あ……そうですね」

332: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:37:07.28 ID:pQW9/yr10
店員「はい、ではこちらになります」スッ

凛「ありがとうございます」

凛「…………」スッ 

スチャッ

凛「…………ふーん」チラッ

店員「大変、良くお似合いですよ」


店員「ちなみにご友人の方は、他にお好きなアクセサリー等はございますか?」

凛「いえ、何も……でも、これならたぶん、そんなに抵抗無く付けてもらえそうかな」

店員「ありがとうございます」


凛「じゃあ、これを。とりあえず、自分用も含めて、三つください」 

店員「かしこまりました。ありがとうございます」

店員「お支払は、現金になさいますか?」

凛「あ、はい……あっ」ゴソゴソ…

333: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:38:58.13 ID:pQW9/yr10
店員「?」

凛「あ、あの……お金をおろしてなかったから、やっぱり今日は…」

店員「あぁ、構いませんよ。それでは、またの機会にお待ちしていますね」

凛「すみません、ありがとうございます。あ、イヤリング返します」スチャッ

凛「あっ」ポロッ

カチャンッ!

凛「あっ、す、すみません!」

店員「あぁいえ、大丈夫ですか? ……うーんと」フキフキ…

凛「あっあの、やっぱりそれ、買います。一つだけ」

店員「あぁいえいえ、大丈夫ですよ。特に傷は付いてませんし、お気になさらないで…」

凛「いえ、どうせ自分用ので買いますから。それ、自分用にください」

店員「か、かしこまりました。それでは、今お包みしますので少々お待ちください」スッ

スタスタ…


凛「やっぱ、貯金確認しとこう……」

334: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:41:52.44 ID:pQW9/yr10
凛「はぁ……」


奈緒「おーい、りーんっ!」

凛「……?」クルッ


加蓮「奇遇ね。こんな所で会えるなんて思わなかった」

凛「奈緒、加蓮。何か買い物に来てたの?」

奈緒「あたしは興味無いって言ったのに、加蓮がネイルやらせるってうるさくてさぁ」

加蓮「いいじゃない。何だかんだで、奈緒も最後の方はノリノリに見えたけど?」

奈緒「の、ノリノリっていうか! あそこまで勧められたら普通断れないだろ」


奈緒「で、あたしらの話は置いといて……へぇー、凛はこういうのに興味あるのか?」

凛「うん、ちょっとね」

加蓮「ひょっとして、誰か気になる人でもいるの?」

凛「お生憎様。自分用だよ」

加蓮「なぁんだ、つまんないの」

奈緒「加蓮、お前なぁ……」


加蓮「それより、凛……ちょっとこの後、時間ある?」

335: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:44:05.87 ID:pQW9/yr10
~ホール~

未央「遅いなぁ、しぶりん」

卯月「きっと、悩んでいるんですね。凛ちゃん、仲間思いですから」

未央「それは私達だって同じだよぅ、しまむー」


未央「まぁそれはそれとして、しまむーは何を選んだの?」

卯月「はいっ。私はコレです!」つ 写メ


卯月「じゃじゃーん! ちょっと高級アロマディフューザー!(税込16,200円)」

未央「おぉー、ちょっと何これオシャレ!」

卯月「えへへ、でしょっ!? 綺麗な楓さんのイメージにもピッタリかなって」

卯月「それに、ミストがこう、ポワポワッてちょっとずつ出てくるのがかわいくて!」

未央「うんうん、確かにコレいいかもー! デザインも楓さんっぽいね!」


未央「あ、でも一つ思ったんだけど……これ、既に楓さん持ってそうじゃない?」

卯月「えっ……」

卯月「あ、た、確かに……すごくしっくり来ます」

336: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:46:26.65 ID:pQW9/yr10
未央「ふっふーん、しまむーはちょーっとその辺、詰めが甘かったかな~?」

卯月「ま、まだ持ってるって決まった訳じゃありません!
   そういう未央ちゃんは、何を選んだんですか!?」

未央「よくぞ聞いてくれた! この未央ちゃんが選んだのは……コレだぁ!」つ 写メ


未央「えーと……金の井酒造『綿屋』純米大吟醸~(税込11,340円)」

卯月「うえぇぇぇぇっ!? お、お酒ー!?」

未央「日本酒党との噂に名高い楓さんに送る、料理と響きあう銘酒、綿屋。
   柔らかく丸みのある芳醇な香りと、東北のお酒らしいキレの良い後味が奏でる…」

卯月「だ、ダメですよ未央ちゃん! 私達未成年だから買えないんじゃ…」

未央「チッチッチッ、やっぱしまむーはお子ちゃまだねぇ。
   そんなの、学校の先生へのプレゼントですー、とか言っとけば問題無いっしょ!」

卯月「あ、なるほどーっ!」ポンッ


卯月「で、でもこれ、女の人へ渡すプレゼントとしては、どうなんでしょう……?」

未央「あ……こ、このお酒を、今夜貴女と共に飲み交わしたいのです、的な?」

卯月「ムードが……女の人って、意中の男性に酒飲みだって思われたがるものかなぁ」


卯月・未央「う~~~ん……」

337: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:47:54.36 ID:pQW9/yr10
凛「卯月、未央」

卯月「あ、凛ちゃん!」

未央「遅いよしぶりん! 一体何をそんなに悩ん……?」


奈緒「おー、お疲れー二人とも」

卯月「奈緒ちゃん! 加蓮ちゃんも、ここに来てたんですね」

加蓮「ごめんね。私達がちょっと、時間を取らせちゃって」

凛「ううん、そんな事無いよ、私が元々遅れてただけ」

未央「えへへー、なるほどぉ。
   二人がしぶりんのプレゼント選びを手伝ってくれてたんだね?」


奈緒「いや、うーんとさ……そうじゃないんだよな、コレが」ポリポリ…

卯月「えっ?」


加蓮「ちょうど良かった、って言ったら失礼かも知れないけど……
   二人にも、聞いてもらいたい話があるんだ」

加蓮「この後、もし良かったら駅前のどこかのお店にでも、一緒に来てくれる?」

凛「…………」コクン

未央「……?」

339: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:50:49.64 ID:pQW9/yr10
~駅前のファーストフード店~

卯月「賛成ですっ!」

加蓮・奈緒「えっ!?」


未央「なぁーんだ、プロデューサーが言ってた例のユニットがっちゃんこの話かぁー。
   心配して損したよー」

卯月「凛ちゃんと一緒にユニットを組んでくれる人って、お二人だったんですね。
   常務に選ばれるなんて、凄いです!」


奈緒「で、でもお前達三人の活動が減っちゃうかも知れないんだぞ?
   あたし達、悪いかなぁって思ってたのに、そんな簡単に受け入れてくれるのか?」

卯月「それは、確かに寂しくないって言ったらウソになりますけど……」

卯月「でも、それ以上に、凛ちゃんがもっと活躍してくれる嬉しさの方が大きいんです。
   ね、未央ちゃん?」

未央「しまむーの言う通り!」ウンウン


加蓮「…………」

未央「にっひっひ、ひょっとして私達が、
   「しぶりんはお前達にやらん!」って言うと思った? 腕とか組んじゃってさ」

加蓮「う、うーん……まぁ、ね」ポリポリ…

340: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:53:20.55 ID:pQW9/yr10
加蓮「でも、そんなに自信満々に送り出してくれるって事は、
   それだけニュージェネの絆の強さを信じてるって事だよね」

未央「そうとも! 浮気の一つや二つ、許してやれない未央ちゃんじゃないのだよ」

奈緒「ほー、さすがニュージェネのリーダー! 器がデカいなー」

卯月「未央ちゃん、カッコいいです!」


加蓮「……ちょっと、うらやましいな」

加蓮「でも、逆に燃えてきた」

奈緒「加蓮?」


加蓮「逆に私達の方が、もっともっと凛と強い絆を作って、見返してやろうよ」

加蓮「どうせ最後はニュージェネに戻るんだ、なんていうその態度、面白くないしさ。
   どっちがメインかを、これから思い知らせてやるのも楽しそうかなって」

奈緒「お、おい加蓮! そんなケンカ売るような事言っちゃダメだろ…!」

未央「ホッホッホ、高見の見物といったところかのぉ」ニヤニヤ

卯月「み、未央ちゃんも挑発しないでぇ!」オロオロ…

加蓮「ふふふ」ニヤリ



凛「……皆、ちょっといいかな?」

341: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 22:57:18.26 ID:pQW9/yr10
奈緒「ん?」

卯月「?」


凛「あの……まだ私、ちょっと悩んでるんだ」

未央「えっ、そうなの?」


凛「ニュージェネの二人と離れ離れになりたくない、っていう気持ちが無い訳じゃない」

凛「でも、そういうのより……
  あちこち、色々な事に手を付けて、どれも中途半端になると嫌だな、って思ってさ」

凛「やるからには、ニュージェネも加蓮達とも、全力でやりたい。でも、だから……」

凛「それが許される実力が、自分でちゃんと付いたっていう自信ができるまで、
  加蓮と奈緒には、もう少し待っていてもらいたいんだ」


卯月「凛ちゃん……」

未央「ブレないねーしぶりんは」


加蓮「……分かった。凛自身がそういう思いなら、仕方がないよね」

奈緒「美城常務には、あたし達の方から言っておくよ。
   ていうか、凛の気持ちも聞かないで好き勝手言いすぎだよな。ごめん」ペコッ

凛「ううん、私こそ」

342: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:00:15.81 ID:pQW9/yr10
~駅~

ガヤガヤ…  プルルルルル…!

奈緒「じゃああたし、こっちの線だから」

卯月「加蓮ちゃんと未央ちゃんは同じ方向ですね。どこまで行くんでしたっけ?」

加蓮「私は秋葉原まで出て、そこから日比谷線かな」

未央「じゃあそこまで一緒に帰ろっか! じゃ、今日は皆ありがとー!」フリフリ

奈緒「うん、またなー!」フリフリ

テクテク…


卯月「さてと……じゃあ私、こっちなので。また明日からも頑張りましょうねっ」

凛「うん」


凛「あ、あのさ、卯月」

卯月「はい?」

343: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:02:40.75 ID:pQW9/yr10
凛「もしも、だけどさ……」

凛「仮にだけど……私のせいで、ニュージェネが中途半端になっちゃうとしたら、
  その時は……」

凛「………………」


凛「ごめん……やっぱこんな事言うの、どうかしてるよね。気にしないで…」

卯月「凛ちゃんは、私の親友です」

凛「……!」


卯月「ニュージェネの仲間である以上に、私達の親友なんです」

卯月「どんな結果になろうと……もし、ニュージェネが大変な事になっちゃうとしても、
   私と未央ちゃんは、いつだって凛ちゃんの味方です」

卯月「それだけは、忘れないでくださいね?」ニコッ

凛「卯月……」


卯月「えへへ、それじゃあ、今日はお疲れ様でした。バイバイ、凛ちゃん!」フリフリ

凛「うん……!」フリフリ

タタタ…



凛「えへへ……」

344: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:04:50.74 ID:pQW9/yr10
【経過報告】
 報告日:10月15日
 報告者:Анастасия

  プロジェクトクローネという企画が、本格的に始まろうとしています。

  私と志希と凛は、一緒に美城常務から、プロジェクトの説明を受けました。

  私はソロで、凛はトリオ、志希はなんと、5人組み。クインテットだそうです。

  少し不安ですが、美波が勇気づけてくれるので、私は参加しようと思います。

  志希も、興味があるようで、たぶん参加することになりそうです。

  凛は、悩んでいます。

  本人の意思が大事なので、これは凛の気持ち次第です。

  でも、未央も卯月も、もちろん他の皆も、凛の事を応援しています。

  Не беспокойся! Всё будет хорошо!

  きっと、全てうまくいきます。心配しないでください。

345: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:06:32.28 ID:pQW9/yr10
【経過報告】
 報告日:10月16日
 報告者:神崎 蘭子

  不安に揺らめく 乙女子が
  神秘の衣を 纏う時
  非情の大地を 照らし出し
  世界をあまねく 救い出さん

  来たれ希望の 燈火よ
  驟雨の如き 憂心を
  光明一閃 切り裂かん
  広がる未来に 事は無し


  ~ (天使みたいなものが、空を舞っている絵) ~



  薬はちゃんと飲んでいました。
  レッスンも受けていたけど、今日は少しミスが多かったかも・・・
  でも、凛ちゃんは元気です。

346: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:08:28.34 ID:pQW9/yr10
――――――――――――

――――――


凛「あっ……!」ドンッ

卯月「うわぁっ!?」グラァ

ドテッ!

凛「う、卯月ごめん! 大丈夫!?」

卯月「えへへへ、だ、大丈夫です……凛ちゃんは平気ですか?」

凛「私は、何も……」


ベテトレ「渋谷っ」

凛「は、はいっ!」

ベテトレ「今日はもう上がれ」

凛「えっ……」


ベテトレ「上の空の状態でレッスンしても意味が無い。少し頭を冷やしてこい」

ベテトレ「本田、島村、お前達もだ。プロデューサーともよく話してみたらどうだ?」

ベテトレ「半端な気持ちじゃ、掛け持ちなんていつまで経ってもできないぞ」

347: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:11:35.46 ID:pQW9/yr10
トボトボ…

凛「…………」

未央「し、しーぶりん? ほら、カントリーマアムだよ~。チョコ味だよ~」チラチラッ

卯月「元気出してください、凛ちゃん。あれくらい、よくある事ですから、ねっ?」ヒョコッ


凛「……ごめん、二人とも」

凛「ちょっと、一人にさせてもらえるかな」

凛「本当に、ごめん……」


未央・卯月「…………」



ダダダダ…!

卯月「……あれ?」


志希「凛ちゃんの後ろからーー……!」ダダダ…!

志希「がばぁーっ♪ にゃははーっ!!」ガシィーッ!

凛「!?」ビクッ

348: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:14:38.55 ID:pQW9/yr10
未央「し、しきにゃんっ!?」


志希「にゃーはっはっはっ! 凛ちゃんの匂い、何だかご無沙汰かもー♪」スリスリ

凛「ちょ、ちょっと志希……!?」

志希「ふむふむ、この感じ。ひょっとして、凛ちゃん何かお悩み事かにゃー?」クンクン…

卯月「えっ、に、匂い嗅いだだけで分かるんですか!?」

志希「大体ねー。悩んでもしかたない、ま、そんな時もあるさ あしたは違うさー♪」


志希「そうやって悩みを抱えてウジウジしてちゃ、一度きりの人生、もったいないよ?」

志希「だから、パァーッと人生エンジョイしちゃお♪ 何でもいいからさー!」

志希「目一杯楽しんで、幸せになんなくちゃっ! ねっ? にゃははーっ!」ガシィッ!


凛「志希、どうしたの? 何か今日変じゃない?」

志希「変なのは元から~、何故ならギフテッドだから~♪」スリスリ

未央「相変わらずブッ飛んでるねー! しきにゃんのそういうトコ好きよー♪」

志希「ふははは、志希ちゃんギフテッドであるぞー!
   ヒトというスペクトルの極限であるぞー! 良くない意味でー!」

卯月「よ、良くない意味でっ!?」

志希「にゃはははーっ!」

349: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:16:55.83 ID:pQW9/yr10
志希「で、悩みって?」ケロッ

凛「早いな切り替えが……別に、何でもないよ」

卯月「ちょっと、美城常務のプロジェクトの事が、気になってるみたいで…」

凛「卯月、余計な事言わなくていいから!」

志希「おーアレね、別にどうなったっていいじゃん、やってみなきゃ分かんないし」

凛「うん、そうだよね。だから私悩んでないから、気にしないで」


未央「いやー、実はしぶりん、最近恋の悩みがねぇ~?」

凛「未央っ!!」

志希「おっ? おぉーー恋っ! 恋かぁいいねー!!」

志希「まさしく幸福感を司る最大の因子、これを活かさない手はなぁいっ!」


凛「あのさ志希、ちょっと待って…」

志希「お相手は誰? あぁ言わなくていいや、あたしの知ってる人?」

未央「モチのロンだよ、しきにゃん!」

志希「ふふーん、だとすると十中八九プロデューサー…」


志希「あ、いやいやいや……ひょっとして、ソッチ?」

凛「……え゛っ」

350: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:20:57.56 ID:pQW9/yr10
未央「そ、そっち……!?」ワナワナ…!

志希「女子校男子校とか、ここも同じようなものだと思うけど、
   同性が集まるコミュニティであればそういう人達も多いとゆー」

志希「もちろん、今日日セクマイを引け目に感じる必要は全然無い訳でさ?」

卯月「せ、せく……!」カァァ…!


志希「あたしは別にソッチじゃないつもりだけど、
   フツーの人よりかは多少アブノーマルだってのも自覚はあるし…」

志希「ほれっ、凛ちゃんの本命の人のためなら、いくらでもこの志希ちゃん、
   クラスチェンジして練習台となる事もうぇるかむだよー! かもーん!!」バーン!

未央「そ、それは暴言でございましょう!!」


凛「悪いけど、付き合ってられないよ」スタスタ…

未央「あ、ちょっとしぶりーん!」



卯月「あー、行っちゃいましたねー」

志希「…………」

未央「ちょ、ちょーっとしぶりんには、刺激が強すぎたかなぁなんて? アハハ……」

351: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:23:37.44 ID:pQW9/yr10
志希「ねぇ、卯月ちゃん、未央ちゃん」

卯月・未央「はい?」「うん?」


志希「今みたいな絡み方って、やっぱり凛ちゃん、嫌だったかな?」

志希「楽しいとか、気が紛れたり、出来なかったかな」

未央「そんな事ないよ、しきにゃんすっごく楽しかったよ!」

未央「しぶりん、ちょっとすましててリアクション薄いんだけど、
   あれくらいガツガツ行ってあげた方が、しぶりんは喜ぶよ!」

志希「そう?」

卯月「はいっ! 友達に構ってもらえるのを、凛ちゃんが悪く思うはずがありません!」


志希「そっか……うん、よしっ」

志希「ありがとう! じゃあまたねー!」フリフリ

テクテク…


未央「……でもさ、いつにも増してテンション高くなかった、しきにゃん?」

卯月「うーん、そうですねぇ」キョトン

352: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:24:33.72 ID:pQW9/yr10
スタスタ…

凛「ふぅ、まったく……」ゴソゴソ…


チャリンチャリン

凛「……」ピッ!

ウィーン ガコン!


凛「……」ガチャッ

凛「…………」グッ

パチン



凛「…………?」

353: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:26:54.18 ID:pQW9/yr10
カチッ パチッ

凛「……ッ」ガチッ パチッ


武内P「どうかされましたか?」ヌッ


凛「あ、プロデューサー……ちょっと、蓋が開かなくて」

武内P「よろしければ、私が」

凛「……うん」スッ


武内P「……」グッ パコッ

武内P「どうぞ」スッ

凛「ありがとう……ちょっと、レッスンで手が疲れちゃったみたいでさ」

武内P「そうですか」


凛「今日は、もう帰るね」

武内P「はい、お疲れ様でした」ペコリ

凛「うん、また明日」

スタスタ…

354: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:28:36.11 ID:pQW9/yr10
【経過報告】
 報告日:10月19日
 報告者:あんず

  ニュージェネといっしょにレッスンをしたけどすこしながびいた
  あんずはかえってゲームをしたいのにちょっとつかれてしまった
  りんちゃんもあんずみたいにだきょうしていきられないだろうか
  おしまい

355: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:32:56.19 ID:pQW9/yr10
【経過報告】
 報告日:10月20日
 報告者:緒方 智絵里

  お仕事は順調です。
  今日は私達キャンディアイランドとニュージェネレーションズとで、
  一緒にCDショップでのイベントに参加してきたんです。
  あっ、お仕事先では、セクシーギルティの方達も一緒でした。

  音楽の違法コピーぼくめつ運動という、ちょっと怖いイベントでしたけど、
  裕子ちゃんや早苗さん、雫さんのキャラもあってか、終始楽しく進みました。

  それにしても、すごいのは未央ちゃんのトークスキルです。
  私やかな子ちゃんがウッカリ変な事を言ったら、すかさずそれを拾って、
  おどけてみせて、会場の人達を楽しませるんです。
  ボーッとしている凛ちゃんにもすかさずパスを出して、
  リアクションが薄ければ自らオーバーリアクションしに行って。
  杏ちゃんも、絶妙なタイミングでキレのあるツッコミを……あぁなんという。

  何でやねんってツッコミを、以前未央ちゃんに教えてもらった時もありました。
  あぁこういうのを目指さないとなぁ、なんて……
  でも、アイドルというより、あれは芸人の域だったんじゃないかとも。

  未央ちゃんの話ばかりになってすみません。
  凛ちゃんは、少し元気無さそうですけど、いつもの凛ちゃんだったと思います。

  プロジェクトクローネの事で、少し気が張っているのかな。
  来月から始動していくそうで、それまでに参加の意思を固めるとか。
  まだ、迷っているのかも知れません。

356: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:35:29.07 ID:pQW9/yr10
――――――――――――

――――――


医師「何か、娘さんに変わった所は無いですか?」

凛母「いえ、あまり見受けられないですけれど……」

凛父「仕事が雑になった」

凛父「剪定も手入れも行き届いていないし、花を束ねたりリボンを結ぶのも、
   最近は細かい作業が全体的におざなりだ」

凛母「そういえば、最近いつもムスッとしてるのよねぇ。今に始まった話じゃないけれど」


ガララッ

凛「悪かったね、愛想悪くて」

武内P「検査は、どうでしたか?」

凛「……問題無いよ」

博士「えぇ、こちらを」ピラッ

357: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:39:07.42 ID:pQW9/yr10
医師「……支障の無い水準内に収まっていますが…」

医師「精密な動作と集中力を測るテストに、前回から少しミスが増えているようです」

凛「面倒くさいんだよ、いちいち細かい迷路を解かされるなんて」

凛「集中したい事が別にあるんだから、こんな検査なんて放っておきたいんだけど」

凛父「凛。お前先生方に向かってその口の利き方は何だ」

凛「…………」


凛父「お前が仕事で何か悩みを抱えているのも分かる。
   何かあれば、私達もいるのだから、相談したい事があれば遠慮無く言いなさい」

凛父「押し殺して、不満そうな態度だけを表に出すのは良くない」

凛「やめてよ、他の人達の前で身内の説教なんか…」

凛父「だったらそのだらしない態度を少しは改めたらどうなんだ!」

凛母「あなたっ! 病院なのだから少し落ち着いて……」


凛「あーあ……プロデューサー、次の仕事控えてるでしょ」

凛「先に車の前で待ってるね」スタスタ

武内P「えっ、あ……」

ガララッ ストン

358: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:42:32.01 ID:pQW9/yr10
凛父「ふん、まったく……すみません、至らない娘で」

武内P「いえ、私の方こそ、上手く彼女を導く事ができておらず……」


博士「まぁ、凛さんは確か16か17歳でしたね?」

博士「私にも同じ年頃の娘がおりますが、思春期の子供には良くある事です。
   ましてやアイドルという特殊な環境下ですし、外界からの刺激も多いでしょう」

医師「自身の将来に言い知れぬ不安を覚えて、周囲に当たり散らすというのも、
   一種の自己防衛機制と言えるのだと思います」

医師「迷いが消えるまで傍に寄り添い、暖かく見守るのが、我々大人の務めでは?」

凛母「えぇ……そうですね」

凛父「まったく、未熟者の癖に根性とプライドだけは一丁前だから始末が悪い。
   誰に似たんだか……」

凛母「本当よねぇ」



武内P「では、次の仕事へ凛さんをお連れしなくてはなりませんので、ここで」ペコリ

359: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:43:59.44 ID:pQW9/yr10
~都内の公園~

パシャッ! パシャッ!

カメラマン「凛ちゃーん、ちょっと表情硬いかなー?」パシャッ!  パシャッ!

カメラマン「誰かイイ人と遊びに来た的な感じでさ~。好きな人とかいない~?」パシャッ!

凛「…………」



武内P「どうも、お疲れ様でした」ジィーーッ…

凛「あの人、何かいやらしくてムカつくんだけど」ドサッ

武内P「……特に悪気がある訳ではないと思われます。お気になさらずとも大丈夫かと」

凛「ふーん……」


凛「…………」ジロッ

武内P「……何か?」ジィーーッ…

360: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:47:05.53 ID:pQW9/yr10
凛「それ、今撮ってるビデオ、病院への報告用?」

武内P「はい」ジィーーッ…

凛「まだ続けてたんだ」

武内P「ひとまず、今年度末までは」ジィーーッ…

凛「ふーん……」


凛「……あのさぁ、突っ立ってないでこっち座ったら?」

武内P「えっ? いえ、私は特に……」

凛「アンタがどうとかじゃなくて、私が落ち着かないの。そこにそうしていられると」

武内P「……これは、失礼しました」


ギシッ…

凛「…………」

武内P「……最近、お仕事やレッスンはいかがですか?」

凛「……いかがって?」

武内P「もしかしたら、あまり楽しめてはいないのではないかと」

凛「結構ハッキリ聞くんだね」

361: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:50:39.40 ID:pQW9/yr10
凛「……楽しくない、というか…」

凛「何というのかな……楽しまなくちゃっていう気持ちは、きっとあるのに」

凛「どうすれば楽しめるのかとか、楽しいって何だろうとか、
  分からなくなっているというか、その……」


凛「……そもそも、私がアイドル始めたのって、スカウトだったんだよね」

武内P「…………」


凛「楽しいから、違った未来が広がっているから、って言われて……本当にそうだった」

凛「卯月や未央、他の皆とも、誘われるまま色々な事をして、可愛い服も着れたり……
  それで喜んでくれる人達もいるし、嬉しくなったんだ」

凛「だから……美城常務の、あのプロジェクト」


凛「無理強いはされていないよ。でも……」

凛「いや……だからこそ、自分の気持ちで選択しなくちゃならないんだよね」

武内P「……差し迫る未来を、恐れていると」

凛「…………」

362: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:53:14.10 ID:pQW9/yr10
凛「そんなの、ここに来て……というより、たぶん自分の人生で初めてでさ。
  高校だって、家から近いってだけで決めたし」

凛「本気で自分の将来について、こんなに考えた事って無かった」

凛「今までは分かりやすい判断基準があって、それに寄りかかっていられたけれど、
  今回は、あまりに私にとって自由すぎるんだ」

凛「卯月や未央が、絶対嫌だとか言ってくれたら……
  いっそ常務が、これは命令だとか、言ってくれたらどんなに楽だろうなんてさ」

凛「自由って、こんなに怖いものなんだって、思って……どうしようもなく不安、かな」


武内P「自由には、責任が伴います。それは仕方が無い事です」

武内P「ですが、どのような選択をしたとしても、決して無駄にはなりません」

武内P「失敗も成功も、積み重ねて人は大きくなるものだと、私は教えられてきました」

凛「誰に?」

武内P「あなた方、アイドルの皆さんにです」


凛「……そういえばさ、プロデューサー」

武内P「はい」

凛「アンタは、何でプロデューサーになったの?」

363: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:56:38.07 ID:pQW9/yr10
武内P「そうですね。強いて言えば……」


武内P「夢を追いかける人々を、応援したかったのだと思います」

武内P「誰かの手助けをしたい、役に立ちたい……寄与したい、と」

凛「人が、好き?」

武内P「そうでなければ、出来ない仕事ですので」


凛「ふーん……なんか、意外だな」

凛「プロデューサー、私達の事なんて、仕事上の付き合いだけって思ってそうだったから」

武内P「意図的に、そういう姿勢を取ってきました」

凛「……?」



武内P「過去に、厳しく指導し過ぎた余り、多くのアイドル達を潰した事がありました」

武内P「皆さんのためと思い行ってきた事が、逆に彼女達を苦しめていた……
    それを言われるまで、私はエゴを押しつけている事に気づけもしませんでした」

武内P「自分は、何と独りよがりな人間なのだと、その時ようやく分かったのです」

凛「…………」

364: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/19(土) 23:59:37.90 ID:pQW9/yr10
武内P「それからは、出来る限り人との距離を置くようにしました」

武内P「シンデレラプロジェクトにおける、個性を伸ばすという育成方針も、
    アイドル達の自由にさせる事で、不必要な反発を避けるためです」

凛「皆はそれに感謝しているよ。みくと李衣菜は……最初は、反発凄かったけど」

武内P「自身に都合の良い距離感を保ちたかったのです。感謝する必要などありません」

武内P「私は、独善的な人間です」



凛「楓さんの意見は、違うよ」


武内P「? 高垣さん……彼女が、私の話を?」


凛「プロデューサーは、とても親切で、誰よりも人を愛しているんだ、って」

凛「そう言ってた」

武内P「…………」


凛「あまり、私が偉そうに言える立場じゃないけどさ……」

凛「人が好きだっていうんなら、ちょっとはそういう態度を表に出してくれたって、
  良いんじゃないのかな」

365: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:01:27.15 ID:i7CkCEbb0
武内P「…………」

凛「……!? あっ、いや、私にって訳じゃなくてさ!」ブンブン!

凛「誰かに拒絶されるのが怖いって……そうやって人のせいにするの、ズルいと思う」

武内P「……!」


凛「好きなら、もっと気にせず歩み寄ってあげても、良いと思うんだ」

凛「あの…………か、楓さん、とか?」

凛「もちろん、他の誰か…………み、皆にでも、良いと思うけど……」


武内P「……ぜひ、前向きに検討させていただきます」

武内P「ありがとうございます、渋谷さん」ペコリ

凛「えっ!? あ、いや、私なんて別にどうだって…!」ブンブン!

スタッフ「すみませーん、写真のチェックをお願いしまーす!」

武内P「かしこまりました」スッ

スタスタ…


凛「…………はぁ、何言ってんだろ私」


凛「? あれ……」

366: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:03:08.16 ID:i7CkCEbb0
武内P「お待たせしました、次の撮影を…」

凛「! ……は、はいッ」バタバタ!

武内P「……どうかされましたか?」

凛「何でもないよ。プロデューサー、ビデオ回しっぱなしだったから切っただけ」

武内P「それは、失礼致しました」ペコリ

凛「ボーッとしてちゃダメだよ、疲れてるんじゃない? 体には気をつけないと」

武内P「善処します」

凛「もう……じゃあ、行ってくる。見てて」スッ

武内P「はい」

テクテク…



カメラマン「おぉ、凛ちゃーん、いいよ表情すっごく良くなってるよ~!」パシャッ!

カメラマン「さっきとは別人みたいだね~、何かイイ事あったの~?」パシャッ!  パシャッ!

パシャッ! パシャッ!…

367: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:06:13.41 ID:i7CkCEbb0
~346プロ エントランスホール~

ウィーン…

凛「ちょっと、疲れたな……事務室で記録取ったら、すぐ帰っていい?」

武内P「えぇ、構いません。今日もお疲れ様です」


未央「……あっ、来た!」

智香「いよしっ! じゃあさっそく!」

卯月「はいっ!」


凛「……!?」ギョッ!


茜「それではぁ~~ッ!! シンデレラプロジェクトが誇るクール・ボンバァー!!」

茜「渋谷っ凛さんの益々のご発展をぉ~~ぅ!! 応援致したくぅ~~!!!」

茜「我々、新生チアフルボンバーズより、エェーールを!! 送らせてぇ~~!!!」

茜「いただきますっ!!! 掛け声よぉ~~いっ、ハイッ!!!」


智香・未央・卯月・志希・友紀「フレーッ! フレーッ! し、ぶ、りぃーーん!!」ドンガドンガッ!

智香・未央・卯月・志希・友紀「L、O、V、E、し、ぶ、りぃーーん!!!」ドンガドンガッ!

368: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:08:09.31 ID:i7CkCEbb0
凛「……何してんの?」

卯月「強力な助っ人をお呼びしました、凛ちゃんっ!」

凛「は?」

友紀「チームメイトの恋路を応援したいなんて聞かされたら、黙ってられないっしょ!」

茜「全身全力でっ!! 凛ちゃんのために身を粉にパワーを送らせてくださいっ!!」

凛「いや、何で茜だけ学ラン鉢巻と白手袋なのかも気になるけどさ」

未央「6人全員チアだと面白味が無いかなっていう、私としきにゃんの意見だねそれは」

智香「格好じゃありません。応援は気持ちですよっ、凛ちゃん!」


茜「フレェェェェーーーッ!!! フレェェェェェーーーッ!!!」ビシィーッ ビシィーッ

凛「いや、ちょっと恥ずかしいから本当に止めて」

志希「にゃっはっはー! こうして誰かを応援するってのも気持ち良いにゃー♪」

凛「ひょっとしなくてもコレ、志希の差し金でしょ」


凛「本当に、どうしたの?」

369: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:10:10.99 ID:i7CkCEbb0
志希「じゃあ、あたしから説明しよーか。このエールの崇高なる目的を」

未央「いよーっ、しきにゃーーん!!」

武内P「…………」


志希「まずさ、最近のニュースや新聞の記事を見てごらんよ」

志希「誰かが誰かを攻撃したり、批判したり、悪い事ばかり載ってるでしょ?」

志希「皆、生きる事の素晴らしさを忘れてると思うんだよね」

志希「今こそあたし達は思い出さないといけないんだよ。人生とは喜びであると!」

志希「かくも尊き贈り物であると! 人生は自由で、素晴らしい!」

未央「そうだそうだー!」

卯月「そうだそうだー!」

凛・武内P「…………?」ポカーン


志希「要するにだねー、もっとポジティブにならないとって事!」

志希「今まさにプラスに向かおうとしてる人がいるなら、それを後押ししなくちゃ!
   ねっ、分かるよねっ!?」

友紀「いいぞー、良く言った志希ちゃんっ!」

智香「ノーエール、ノーライフ!!」

茜「ノーボンバー、ノーボンバー!!!」

370: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:12:15.05 ID:i7CkCEbb0
志希「仕事、趣味、友人、家族、何でもいいからさ」

志希「何かに感謝して、寄与して、手を取り合って、前に進もうよってさ♪」

志希「そうして人は幸せを手にするのであると、この一ノ瀬志希は考えるのだーっ!!」

一同「よぉーーっ!」「大統領ッ!」「結婚しようっ!!」


志希「と、いうワケでもっかい凛ちゃんの…!」

凛「志希」

志希「んにゃ?」


凛「何をそんなに焦ってるの?」

志希「……!」ピクッ


凛「…………」

志希「にゃっはっは、面白い事を言うねぇ凛ちゃん。志希ちゃんぜーんぜん焦った事…」

凛「嘘。絶対隠してる、自分の本心」

志希「そう言われてもにゃあ~?」

武内P「…………」

372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:14:40.72 ID:i7CkCEbb0
凛「ふーーん……」

志希「にゃっはっは、さぁさ凛ちゃん、分かってくれたらそこに…」

凛「いい。そうやって腹の底を見せようとしない仲間の話なんて、聞きたくない」クルッ

志希「……」

凛「帰るね」

スタスタ…


武内P「…………」

友紀「あちゃー、ちょっと気を悪くさせちゃったかなぁ」ポリポリ…

智香「気持ちを伝えるって、とても難しい事ですね……」


卯月「どうしましょう……凛ちゃんのためになるかなって、私…」

未央「大丈夫、しぶりんは分かってくれるよ。何だかんだツンデレだしさ?」

茜「伝わらなければ、もっと強い気持ちをぶつけていきましょうっ!!」ガッツ!


志希「…………」

武内P「一ノ瀬さん、あの…」

志希「みんなーっ! 集合~~♪」フリフリ

374: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:17:34.81 ID:i7CkCEbb0
未央「おっ?」

智香「何ですか、志希ちゃん?」ゾロゾロ…


志希「ふむ、集まってくれた所悪いのだが……」

志希「特に無しっ! 解散っ!!」

茜「はいっ!!!」

友紀「いやいや、そこはツッコむけど!?」

志希「でも、今日は本当にありがとう! 凛ちゃんをもっと応援したい人ーっ!?」

一同「はぁーーいっ!!」

志希「よーしっ! 次の参集があるまで各々待機しててくださいにゃー♪」

志希「じゃあ、志希ちゃんこれから秘薬の調合しなくちゃいけないからここで」

卯月「ひ、秘薬!?」

志希「怪しくない方のだから心配しないで。いちおー合法だよ? じゃ、あでゅっ!」サッ

ダバダバ-…!


友紀「あ、嵐のように気移りしやすいんだねぇ志希ちゃんって」

武内P「………………」

376: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:20:16.59 ID:i7CkCEbb0
~常務の部屋~

ちひろ「こちら、今回のプロジェクトに参加の意思を示したメンバーのリストです」スッ

美城「…………」ペラッ


美城「……例の三名のうち、アナスタシアは参加すると言っているそうだが…」

美城「渋谷凛、一ノ瀬志希。この二名はどうなっている」

ちひろ「プロデューサーさんのお話によれば、
    志希ちゃんは間もなく意向を固める見込みとの事ですが……」

美城「……渋谷凛は、体調面での不安、という事か?」

ちひろ「いえ、確か自分の将来に関わるとの事で、悩んでいるみたいです」


美城「? ……渋谷凛は、自分の体調を何も不安視していないという事か?」

ちひろ「えっ? えぇ、そういう話は、本人からもプロデューサーさんとも、
    特に話題に上りませんが……」


美城「…………美城総合病院の連絡先を」

377: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:29:40.79 ID:i7CkCEbb0
~346プロ 中庭~

テクテク…

志希「…………」


ヴィー!… ヴィー!… 『ハッダッカーニ ナッチャオッカッナー ナッチャエ! ハッアットー…♪』

志希「! …………」ピッ

スイ スイッ…


   From: Doctor
   To: Shiki Ichinose
   Subject: 10.25検査結果
   Data20161025.pdf



志希「…………」

志希「………………」



テクテク…



菜々「あっ、いらっしゃいませぇー!」

378: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:32:04.78 ID:i7CkCEbb0
志希「このお店で一番から~い飲み物くーださい♪」

菜々「辛い物ですかっ!?
   と、当店は地球と肝臓に優しいものしかお取り扱いしてないんです」

志希「ふーむ……たまにはいっか。じゃあ、一番あま~いので!」

菜々「やったぁ! まっかせてください!
   ウサミン星分た~っぷり込めたスペシャルドリンク、お持ちしますね!」キャハッ!

菜々「ナナ特(>>0�入りましたぁー!!」ルンルン♪
   ※『ナナ特製グァバと豆乳のコールドプレスジュース~No Border, USAMIN~』の略


志希「…………」


フンフンフフーン…♪


志希「…………?」


フンフフ-ンフーン…♪ カキカキ…



女の子「フンフンフフーンフンフフー、フレデリカーっと♪」カキカキ…

女の子「んー、ちょっとシクった? まぁいっか、失敗は何とかのアレ♪」


フレデリカ「フンフンフフーン……♪」カキカキ…

379: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:34:37.92 ID:i7CkCEbb0
志希「…………♪」ニコッ

ガタッ トトト…


ギシッ


志希「ハスハス……んふふ~♪」クンクン…

フレ「フンフンフフーン、フンフンフーン♪」カキカキ…


志希「ねぇねぇ、何描いてるの?」ヒョコッ

フレ「んー、コレー? 実はねーアタシにもよく分かんないの」

フレ「でもさー、そろそろ学校行かな過ぎてヤバッ! てなってねー?
   とりあえず何でもいっかって今描いてるの。フレちゃんマジ大ピンチ♪」

フレ「あっ、課題ねコレ課題。何の課題か忘れちゃったけど」

志希「ふーん。あっ、でもココ、猫ちゃんの耳に似てない?」

フレ「えっ? あー、すごいホントだ猫だ! そこに気づくとは、天才!?」

志希「にゃははー、志希ちゃんギフテッドな上に猫好きだからねー♪」

フレ「ギフテッドって? 何かデパートのチラシ的な?」

志希「デパート? あっ、ドリンクこっちくださーい」フリフリ

フレ「贈り物ギフトプレゼントとか、ザキヤマ春のパン祭りとかあるでしょ?」

381: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:39:02.87 ID:i7CkCEbb0
志希「まー似たようなもんかな? 一応おめでたいって意味では、志希ちゃん」チューッ

フレ「そいつぁーお祭りだねー。季節で変わりそう、四季折々のシキちゃん!」

志希「ひゃー甘っ! 興味の対象ならしょっちゅう変わるよ? 3分毎に」

フレ「本当に!? うらやましーカップラーメン食べ放題じゃん!」

志希「にゃはははー、しかも一口ずつしか食べないとゆー暴挙! 飲むコレ?」

フレ「ありがとー! ……おふっ、すっごい甘いねコレ、アタシ好きかも」

フレ「残ったラーメンも、こうして他の誰かにあげちゃえばウィンウィンだよねー♪」

フレ「あっ、でもそれだと『シキちゃんの間接キス入り』って書いとかないと、
   表示の何とかで犯罪? フレちゃん逮捕?」

志希「いたいけな女の子の唾液を商売に使う時点でアウトだから今さらだよ♪」

フレ「ならいっか、でもえっ、いたい家って? シキちゃんの苗字イタイさん?」

志希「のんのん。うーん、幼いとか幼稚なとか、未熟なとか。英語だといのせんと」

フレ「全然天才じゃないじゃん、アハハハ! チョーおかしいフレちゃん大爆笑!」

志希「にゃははーっ! まんまと騙されたねーフレちゃん?」

フレ「タイホだタイホー! シキちゃん逮捕、えいーっ!」ガシーッ

志希「おーまいがーっ! へるぷみー!」ニャハハーッ!



奏「……何をしているの、フレデリカ?」

382: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:41:46.78 ID:i7CkCEbb0
フレ「あっ、奏ちゃんシューコちゃん。フレちゃんシキちゃんと学校の課題やってたの」

周子「いやいや絶対やってなかったやん。何、逮捕って?」


志希「えーと、誰だっけ? ふーあーゆー?」

奏「一ノ瀬志希さんね。さっき、美城常務から話は聞いたわ」

周子「フレちゃんも来るって思ったのに、こんな所で油を売ってたなんてねぇ」

フレ「あれ、ひょっとしてアタシ、シキちゃんと初対面?」

志希「お互い名前知ってるんだから、初対面じゃないんじゃない?」

フレ「あ、そっか!」ポンッ

奏「ハァ……まぁ、そういう事でいいわ」


奏「私の名は速水奏。あなたとクインテットを組ませてもらう者の一人よ」

周子「あたしは塩見周子。シューコって呼んでくれればいいから♪」

志希「あー、常務のヤツかー。あれどうしよっかなーって」

周子「えっ、やんないの?」

志希「ソロで気ままにやらせてもらってたからねー。ユニットって面倒そうでしょ?」

奏「それならそれで、早めにプロジェクトスタッフに申告するべきだわ。
  今後の活動方針にも関わるから、私達としても困るのだし」

383: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:44:25.77 ID:i7CkCEbb0
フレ「アタシはやるって事でいいんだよね?」

周子「常務怒ってたよー? カリスマギャルの子はお仕事だったからしょうがないけど」

奏「おそらく本人にはその気はあるでしょうと、ひとまずは伝えておいたわ」

フレ「その気?」

奏「何でそこを聞き返すのかしら」


志希「カリスマギャル……莉嘉ちゃんのお姉ちゃんの、城ヶ崎美嘉ちゃんかー」

奏「さすがに彼女の事は知っているのね。実績は私達の中でも抜きんでているし」

志希「んー、というより凛ちゃんのお見舞いにちょくちょく来てたからね」

周子「そっか、そういやその凛ちゃんも常務にお呼ばれされてんだよね?
   加蓮ちゃんと奈緒ちゃんと、ユニット組むって話だったっけ」

志希「そーそー、凛ちゃんもちょっと悩み中らしいけどねー」

フレ「りんちゃんって?」

志希「あたしのいるシンデレラプロジェクトのメンバーだよ。
   長い事入院してたけど、今はフレちゃん達と同じ常務のプロジェクトに…」


志希「…………」

フレ「? シキちゃんどうしたの、ケータイ無くした?」


志希「ううん。フレちゃんならきっと、凛ちゃんとも仲良くできるかなって♪」ニコッ

384: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:45:52.58 ID:i7CkCEbb0
~凛の家~

凛母「ありがとうございましたー。またのお越しをー」



凛「ただいま」

凛母「あら。お帰りなさい凛、病院とお仕事はどう?」

凛「別に。なんか疲れたから、お風呂先入るね」スタスタ…

凛母「それは構わないけど、まだ沸かしていないわよ?」

凛「いい、シャワーで」ガチャッ

バタン


凛母「ふぅーん……」

凛父「凛が帰ったのか? 配達に出たいから、店番をさせたいんだが」

凛母「私が店番をしておくわ。あの子疲れてるみたい」

凛父「甘やかしていたらあいつのためにならんぞ」

凛母「大丈夫、あの子はそこそこしっかりしてますよ。お届け物はどれ?」

385: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:46:46.65 ID:i7CkCEbb0
凛「…………」ヌギヌギ…

凛「…………?」ヌギ…


凛「…………」プルプル…



サアァァァァァ…!


凛「…………」プルプル…

凛「……ッ」ガシッ


ブルブル…


凛「…………」ブルブル…

凛「…………何、これ……」ブルブル…


凛「くっ…………」ブルブル…


サアァァァァァ…!

386: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:48:44.80 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:10月26日
 報告者:島村 卯月

  凛ちゃんは、ようやく決心したそうです。
  プロジェクトクローネという企画に入り、加蓮ちゃん、奈緒ちゃんと、
  新しいユニットを結成する事が決まりました。
  ユニット名は、これから決めていくんだそうです。

  本当は、シンデレラプロジェクト皆での、正式なお祝い会もしたかったんですけど、
  凛ちゃんの希望もあって、やっぱりやめました。
  でも、今日は私と未央ちゃんとで、凛ちゃんのお祝い会をファミレスでしました。
  お祝いする事なんて無いよ、って凛ちゃんは言いますが、私達にはあるんです。

  きっと、凛ちゃんはこれから色々な経験をして、すごいアイドルになる気がします。
  私には、それが今から楽しみで、うれしくて仕方がありません。

  ファミレスでは、凛ちゃんは珍しく、カレーを食べました。
  せっかく私達がごちそうするから、普段食べない物を食べたかったんだそうです。
  あまり辛い物は苦手なのに、チャレンジする凛ちゃんはすごいと思います。

  あっちの活動をする間、いつも通りに連絡を取り合うのは難しいかも、
  と凛ちゃんが言いました。
  それはしょうがないよって、私と未央ちゃんも思います。

  でも、できる限り会う時間を作って、どんな事をしてるか、教えてくれるそうです。
  なので、これからもこの経過報告はできると思います。

387: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:51:27.93 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:10月27日
 報告者:本田 未央

  レッスン終わりにしぶりんと会ったけど、いつもと変わらない感じだった。
  そりゃー昨日あったばっかりだし、変わるワケないよね。
  しぶりんに聞いても、同じこと言ってた。
  今日初めて一緒にレッスンしたばかりだって。

  かれんとかみやん(←こう書くと、ぐりとぐらっぽい)はどう?って聞くと、
  二人は事あるごとにケンカしたり笑ったりしててにぎやかだって。
  ケンカというより、かれんが一方的にかみやんをイジるんだそう。
  かわいそうに。私も会いたいねぇ。

  あっ、そうそう、ユニット名は?
  そう聞くと、しぶりんはちょっとキョドりつつ、

  「ぷ、プリンセスブルー……」

  とか言って、すっごく笑っちゃった!
  しぶりんが考えたんだって!

  カッコいいー!ってしまむーはひたすらホメてたけど、自分でプリンセスて。
  言ってる本人は顔真っ赤だし、もうお腹がいたすぎて死ぬかと思った。

  いつか絶対、ぜったい私が何かの番組のMCをやって、
  しぶりん達をゲストに呼ぶ時があれば、絶対高らかに叫んでやるんだ。
  手を取りながらプリンセスブルゥー!ってコールして、茶化しちゃおう。

  絶対楽しい、間違いない。
  早く有名になるのだ、しぶりん。筆者も頑張るぞい。

  以上

388: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:53:58.96 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


コンコン

ガチャッ

ちひろ「失礼します」

ちひろ「常務、本日の11時より予定されておりますプロジェクト・クローネの…」

ちひろ「あら? ……お留守かしら」



ちひろ「すごい資料……常務もお勉強屋さんねぇ」

ちひろ「とりあえず、今日の資料をキーボードの上にでも置いて、付箋を……」


ちひろ「…………?」ペラッ



ちひろ「!! ……こ、これは…………!!」

389: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:56:23.01 ID:i7CkCEbb0
~346プロ 中庭カフェ~

フレ「オーノー、ディスイズアッペーン!」

志希「いえーす、ゆーはぶあぺーん! ぷりーずどろーみー!」

フレ「ドロー? ドロー、ユー?」

志希「いえすおふこーす! らいとひあ、らいとなーう! はーりあっぷ!」

フレ「イエッサー! ドロー!」デュクシ!

志希「うぅーぷす! ほわっとあーゆーどぅーいんぐ!?」

フレ「ドロー シキチャン! カードヲ 1マイ フセ、ターンエンド・ダー!」

志希「じーざす! ゆーあーきでぃんぐみー!」

フレ「ノー! アイアムフレチャーン!」ウィー!

志希「おーけー、ゆーあーフレちゃん。ぜぇん? ほわったーいむいずいっなーう?」

フレ「んー? イッツナーウ」

志希「なーう!? にゃっははは、しゅだのーん!」グ-ッ!

フレ「しゅだのーん!」ゲッツ!

志希・フレ「アハハハハハハハッ!!」


ツカツカ…!

美嘉「こんな所にいたっ! あーもう、奏ー周子ー、いたよー見つけたーっ!!」

390: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 00:58:30.26 ID:i7CkCEbb0
志希「ふむふむなるほど、これは使えるにゃ」メモメモ…

奏「使えるって?」

志希「うんにゃこっちの話。で、どうかした?」

美嘉「どうかしたじゃないよ! 時間、チョー遅刻してるんですけどぉ!?」

周子「ん、美嘉ちゃんって意外とマジメちゃん?」

美嘉「プロとしての常識だからコレくらい! 何してんの!?」


フレ「フレちゃん英語はペラペラなんだけど、意味は分かんないからさー?
   だからシキちゃんと英会話ごっこ♪」

志希「今度また、凛ちゃんとか混ぜてやろうね。テキトー英会話ごっこ!」

フレ「略してフレ語ね!」

志希「略せてないし! にゃはは、もーフレちゃんホントサイコー!」

美嘉「くだらない事グダグダ言ってないでさっさと行くよっ!!」ムンズッ!

志希・フレ「あれれ~」ズルズル…

奏「頼りになるわね」

391: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:01:10.73 ID:i7CkCEbb0
~常務の部屋の前~

テクテク…

美嘉「あーもう、のっけから不安だなぁ……」

奏「順当にいけば美嘉、あなたがリーダーになりそうだけど」

美嘉「絶対に嫌っ!! こんな問題児二人の面倒なんてアタシ見たくない!
   なんなら奏がリーダーやってよ!」

奏「それは構わないけれど……あの二人の世話役は、あなたに任命する事になるわよ?」

美嘉「奏、アンタねぇ~っ!」ワナワナ…!

フレ「どーうどう、ミカちゃんどうどう。カルシウム的なものでもどう?」つ ナナ特

美嘉「いらんわ、ナナ特なんぞ!! そもそもカルシウムそんな無いでしょそれ!」

志希「イライラを抑えたいなら、カルシウムよりセロトニンだけどねー♪」

美嘉「知るかっ!! ていうかそこ撮るなぁ!!」

周子「えー、楽しいやん」ジィーーッ…


フレ「楽しそうだねーシキちゃん」

志希「うん! 良かった入ってー」


奏「志希。そういえば、あなたはなぜ急に参加しようと思い立ったのかしら?」

392: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:02:26.00 ID:i7CkCEbb0
周子「そうだよね。この間までユニットめんどい~って、言ってたのにさ」

美嘉「本っ当にね」

志希「んー? 別にー、志希ちゃんは猫のように気まぐれなだけー♪」

奏「やれやれね。いつか本当の理由を聞ける日が楽しみだわ」

志希「そんなん無いってばー」

志希「ん?」



ちひろ「……!! …………!!」

常務「…………」



周子「あれ……ちひろさんと、常務?」

美嘉「何か、すごく険悪な雰囲気……何話してるんだろう」

フレ「ナナ特の出番?」



ちひろ「……!! …………ッ!」クルッ

タッタッタ…!

393: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:03:20.86 ID:i7CkCEbb0
美嘉「あっ!?」

周子「ちひろさん、走ってっちゃった……」



常務「…………」

常務「……? あぁ、遅かったな」

常務「今のは君達が気にする事ではない。さぁ、中に入りたまえ」ガチャッ


一同「失礼しまーす」

バタン

394: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:05:45.76 ID:i7CkCEbb0
アーニャ「あっ。ズドゥラーストヴィチェ。こんにちは、皆さん」ペコリ

志希「アーニャちゃん!」ピョンッ

アーニャ「シキ、久しぶりに会えて、嬉しいです」ギュウッ

志希「アーニャちゃんの透き通る匂いも久しぶりだにゃー♪ ハスハス」スリスリ…


奏「匂いって、透き通るようなものかしら」

美嘉「アタシに聞かれても困るかなぁ」


美城「アナスタシアは仕事の都合で遅れたのは了承しているが……」

美城「君達5名は、どのような理由があったのか後でじっくり、聞かせてもらうとして…」

美城「さっそく本題に入ろう」

フレ「せんせーしつもん」サッ

美城「常務だ。何かあるなら手短に」

フレ「他の子達はもう来てたの?」

美城「来ていた。先に全体のガイダンスを終え、別室で個別にミーティングを行っている」

志希「はぁ~いてぃーちゃー」サッ

美城「常務だ。今度は君か、何だ」


志希「他の子達ってどんな子がいたんでしたっけー?」

395: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:07:14.91 ID:i7CkCEbb0
常務「そんな事か」

常務「ここにリストがある。見るがいい」ピラッ

志希「わぁーいありがとー♪」

志希「…………」


志希「………………!?」



周子「なになに、気になる子でもおったん?」ヒョコッ

奏「こうして見ると意外と少ないのね」

志希「……して…………」

周子「えっ?」



志希「どう、して…………?」

396: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:08:03.31 ID:i7CkCEbb0
タッタッタッ…!



楓「……柔軟剤、じゅうなんざい…………あっ」

楓「ちひろさーん、今度の“早苗会”のお店なんですけれど…」フリフリ

ちひろ「……ッ」

楓「あら?」

タッタッタッ…!



楓「どうしたのかしら……」

397: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:10:00.66 ID:i7CkCEbb0
~346プロ スタジオ~

スタッフ「照明、スタンバイオッケーでーす!」

スタッフ「セット足りてないよー! どうなってんのー!?」


武内P「のびのびと、普段通りの皆さんでいていただけたら良いのです。
    どうか、楽しんできてください」

年少アイドル達「はぁーい!!」


莉嘉「……なんかPくんさー」

武内P「はい」

莉嘉「顔変わった?」

武内P「えっ?」


みりあ「うん! 何だか怖くなくなったねー!」

武内P「そ、そうでしょうか」

きらり「Pちゃん、すぅーっごく表情が柔らかくなったにぃ☆ ぷにぷにぃ♪」

杏「こういう現場だからじゃないの? ひょっとしてプロデューサー、ロリコ…」

きらり「杏ちゃーーんっ!!」ガバォッ

398: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:12:19.06 ID:i7CkCEbb0
武内P「そうですか……変わったと言われれば、そうなのかも知れません」

武内P「皆様方、アイドル達から教わる事も、とても多いですから」ニコッ

きらり「!」

杏「わ、笑った……だと……!」

莉嘉「いや、たぶん笑ってはいたけどね、前からちょいちょい」

みりあ「この番組も、色々なこと教えてくれるから楽しいー!」

武内P「えぇ、そうですね」

きらり「うぇへへ……Pちゃん、お仕事楽しめてゆ!」


タッタッタッ…!

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!!」

武内P「? 千川さん、何か?」

ちひろ「はぁ、はぁ、た、大変ですっ!! これ……!」スッ

武内P「? …………」


武内P「!? こ、これは……!」

399: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:13:43.27 ID:i7CkCEbb0
~シンデレラプロジェクト 事務室~

未央「すぃーまむぅー……」

卯月「何ですか、未央ちゃん?」

未央「なんでもなぁーい……」

かな子「クッキー焼いてきたよ、食べる?」

未央「たべるぅー……」


みく「んもうっ! 凛ちゃん達があっち行ってから露骨にだらけすぎにゃっ!」

蘭子「我らを鼓舞し、彼の地へと導いてきたのは気高き天使。
   彼の者が降り立たぬ荒野は、魂を吸われた愚者の……うーんおいひい」モグモグ

智絵里「凛ちゃん達、元気にしてるかなぁ……」

美波「大丈夫よ、凛ちゃんもアーニャちゃんもすごく頑張り屋さんだもの。
   どんな所でも、自分を見失わずにしっかり結果を残せると思うわ」

智絵里「志希ちゃんは?」

美波「し、志希ちゃんは、う~ん……」

400: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:14:50.28 ID:i7CkCEbb0
美波「だ、大丈夫よ! あの子はきっと大丈夫、ギフテッドだし、うんっ!」

李衣菜「誤魔化したよね!?」


ガチャッ

加蓮「失礼します」

奈緒「失礼しまーす……あれ、いないな」


みく「あっ、加蓮ちゃんに奈緒ちゃん。いらっしゃいにゃ」

加蓮「凛、いる? お世話になったし、ちょっと挨拶でもしようかと思って」

卯月「あれ、一緒じゃないんですか?」

奈緒「ん? いや、ここにいるかと思ったんだけど?」


未央「えっ? だってプリンセスブルーで今月からやってくんでしょ?」

401: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:15:50.48 ID:i7CkCEbb0
加蓮「プリンセスブルー?」

奈緒「何だそりゃ? お前達こそ、何でニュージェネで一緒じゃないんだ?」


卯月・未央「へっ?」

加蓮・奈緒「えっ?」


未央「いや、え……ちょ、冗談キツイなぁ、だって私達しぶりんからそう…」

加蓮「私達の方こそ、凛からはニュージェネ一本でやるから、って断られたんだけど」



卯月「どういう、事ですか……?」

402: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:16:58.61 ID:i7CkCEbb0
   ・大槻 唯
   ・鷺沢 文香
   ・橘 ありす
   ・アナスタシア
   ・速水 奏
   ・塩見 周子
   ・宮本 フレデリカ
   ・城ヶ崎 美嘉
   ・一ノ瀬 志希
   ・北条 加蓮
   ・神谷 奈緒



志希「どうして……凛ちゃんは……?」

アーニャ「!? な……そんなはずありません! リンは参加するとミオ達が…!」

美嘉「凛? あの子も呼ばれてたの?」


常務「渋谷凛か……」

志希「常務、どういう事……!?」

403: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:18:32.14 ID:i7CkCEbb0
常務「今回は辞退させてほしいと、本人から申し出があった旨、
   北条加蓮、神谷奈緒から聞いている」



加蓮「だから、私と奈緒二人でデュオを組む事になったんだけど、
   先輩である凛から色々とアドバイスももらったりしてたんだ」

奈緒「でも、何でアイツは、あたし達と違う事を未央達に言ったんだろうな?」



武内P「『Bu-DOPA』の投与中断……既存のドパミン作動薬への切り替え!?」

武内P「黒質の、変質の兆し有り……なっ……!」


ちひろ「凛ちゃん、今……どこにいるんでしょうか!?」

404: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:20:57.40 ID:i7CkCEbb0
武内P「すぐに美城病院へ向かいます。諸星さん、千川さん、すみませんが…!」ダッ!

きらり「ここはいいから早く、Pちゃん!!」



未央「ッ!!」ダッ!

奈緒「あっ、おい未央!?」

卯月「未央ちゃん、私も行きます!!」ダッ!



常務「むっ? 待ちなさい一ノ瀬志希、どこへ行く」

志希「志希ちゃんやっぱやる気無くしちゃったー、帰るねー」クルッ

周子「ちょ、えぇぇっ!? ここに来てドタキャンとかそんな…!」

志希「ごめんねー失踪は志希ちゃんの趣味だからさー、それじゃバイバーイ♪」ガチャッ

フレ「また明日ねー♪」フリフリ

バタン

志希「……!!」ダッ!

405: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:23:04.87 ID:i7CkCEbb0
ピッ ピッ

プルルルルル…

プルルルルル…


ガチャッ

『もしもし、シキか』

志希「ドクター、今日の検査結果は!? もう終わってるはずでしょ!?」


『それが、まだ彼女が病院に来ていないのだ。何か聞いていないか?』

志希「……!!」

プツッ!

406: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:24:17.67 ID:i7CkCEbb0
タッタッタッ…!

武内P「……!」


未央「あっ……プロデューサー!!」

卯月「はぁ、はぁ、ぷ、プロデューサーさん……!!」

武内P「本田さん、島村さん……!」


タッタッタッ…!

志希「!? はぁ、はぁ……!」

未央「しきにゃん……!」



武内P「皆さん……」

武内P「どうぞ私の車へ。ひとまず、至急病院へ向かいましょう」

407: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:26:06.10 ID:i7CkCEbb0
~車の中~

ブロロロロロ…!

卯月・未央「…………」

志希「…………」


武内P「…………」

武内P「……一ノ瀬さん」

志希「…………」


武内P「あなたは、何か……」

武内P「渋谷さんの容体、あるいは……治療方針の経緯について、ご存知でしょうか?」



志希「………………」


志希「……『Bu-DOPA』の投与が中断されたのは、ちょうど一ヶ月くらい前」

408: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:29:52.18 ID:i7CkCEbb0
~美城グループ附属総合病院 医務室~

医師「脳のドパミン生成組織を活性化させる作用があるというのは、
   以前にもお話をしたかと思いますが……」

医師「こちらをご覧ください」

医師「脳の黒質と呼ばれる部分……ここが、肥大化の兆候を見せていたのです」


博士「若干16歳という子供の身体に、薬による負荷が耐えられなかったのか…」

博士「あるいは『Bu-DOPA』自体が強すぎる作用をもたらすものなのか、
   それは現段階では分かりかねます、が……」

博士「これ以上の投与は危険と判断し、従来のドパミン作動薬、
   プラミペキソールの投与に切り替えたのです」

博士「以降、経過を注意深く観察している所なのですが……」


武内P「なぜ、私にそれを教えてくださらなかったのですか」

医師「…………」

武内P「私は彼女のプロデューサーであり、この病院の非常勤スタッフです。
    そう要求されたのは、あなた方のはずでしょう!」


ガララ…

看護師「失礼します。先生、先ほど渋谷さんが……」

409: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:31:29.67 ID:i7CkCEbb0
タタタ…

未央「しぶりんっ!」

卯月「凛ちゃ……!?」



凛「ウアアァァァッ!! イヤだ、はなしてっ!!」ジタバタ!

凛父「大人しく、検査を受けなさい! くっ……!」

凛「なんでもないっ!! こんなの、なん…!!」ブルブル…!

凛「ウウゥゥゥゥァァァァッ!!」ジタバタ…

ズルズル…



志希「……ッ」


卯月「凛ちゃん……?」

未央「は、はは、え…………なにあれ」

410: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:34:57.70 ID:i7CkCEbb0
凛母「病院に行ってくると言って、一人で出て行って……」

凛母「でも、いつも持って行くはずの検査証が、部屋のゴミ箱に捨ててあったので、
   おかしいと思ったんです」

凛母「携帯に電話しても、あの子、全然出なくて……」


凛母「あの子は、家から5駅ほど離れた公園にいました」

凛母「ママ友の人達から……ツイッターって言ったかしら。
   あの子の目撃情報が無いか、調べてもらって」

凛母「特に変装もしないから、すぐに見つかったんです。それで、夫と迎えに……」

凛母「そしたら、あの子、すごく抵抗して……!」

武内P「…………」


凛母「凛は……!」

凛母「凛は、お世辞にも愛想なんて良くないけど、礼儀正しくて行儀の良い子よ!」

凛母「控え目で、私達にあんなに逆らった事なんて……!」

凛母「まるで別人みたい、あの子もそう感じているわ!」

医師「…………」


凛母「あの子を変えてしまったのね!」

411: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:36:25.73 ID:i7CkCEbb0
~病室~

未央「し、しぶりん……」

卯月「…………」


凛「みっともないとこ、見せちゃった、ね」

凛「でも、大丈夫。心配、しないで」ギュッ

ブルブル…


卯月「凛ちゃん……体が、震えて……」

凛「心配ない! ってば……気分は、これでもすごく、良いから」

凛「……」ガクガク…



未央「お願い、しぶりん……本当のこと、言って?」

412: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:38:41.13 ID:i7CkCEbb0
凛「……」ギュゥ…

凛「私が……嘘を、ついてる、って、言いたいの?」

凛「あぁ、そうだ……二人に、渡したいものが…」ゴソゴソ…

未央「かれんから聞いた!」

未央「プリンセスブルーなんて、しぶりんがその場で私達に言ったでまかせだって!」

未央「私達、しぶりんがもっと活躍していくんだって、本当に嬉しかったのに……!」


未央「何でそんな嘘つくのさ!! そんなに心配されたくない!?」

未央「ふざけないでよ、いつもそうやって隠して平気ぶって、私達を信用…!!」

凛「これ、この間、買ってさ。とりあえず、片耳ずつ…」スッ

未央「話を聞いてよっ!!」バシッ!

凛「ッ!?」

ガチャンッ! ポロッ…


卯月「あ……い、イヤリン、グ……?」

凛「…………!!」ブルブル…!

413: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:40:43.03 ID:i7CkCEbb0
未央「あ……ご、ごめん」

凛「未央……!!」

未央「イヤリング、買ったんだ……へぇ、ちょっとかわい…」

ガッ!

未央「うっ! わあっ!?」


凛「うるっ……さいっ!!!」グアァッ!

ドカァッ!


未央「!! ウアッ……ぐっ……!!」

卯月「……!!」

卯月「未央ちゃんっ!!!」ガバッ

卯月「未央ちゃん、大丈夫ですか!! 頭を……未央ちゃん、しっかり!!」

未央「え、えへへ、だ……大丈夫、未央ちゃん石頭、へへ、へ……っ!」


凛「……ッ」クルッ

凛「…………」プルプル…


卯月「凛ちゃん……」ポロポロ…

414: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:42:33.89 ID:i7CkCEbb0
~医務室~

博士「……検査の結果は、お世辞にも楽観視できるものではないと言わざるを得ません」

武内P「…………」

博士「集中力の低下、痙攣等不随意運動の発現……
   パーキンソン病の初期症状によく似た症状が、見受けられます」

博士「薬の、副作用によるもの……の可能性がある、という事しか現段階では…」

凛父「そんな無責任な言い方があるか……!」

ガタッ!


凛父「お世辞にも楽観視できないだと!? ふざけるんじゃない!」

凛父「あの子を苦しめる薬だと知っていれば、我々は同意書にサインなどしなかった!」

医師「……お気持ちは分かります、ですが落ち着いて…」

凛父「落ち着け!? よくもそんな台詞をのうのうと言えたものだな!!」

415: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:44:52.16 ID:i7CkCEbb0
凛母「……ッ」グスッ…


凛父「納得できるか!? 希望をチラつかされておいて、
   あの子は今まさに絶望に叩き落とされようとしているんだ!」

凛父「こうなったのは誰の責任だ、えぇ!? 先生か!?」

医師「うっ……!」

凛父「それとも博士さんか、芸能事務所の人か!? 誰なんだ、答えろっ!!」

博士「わ、私はただ……!」オロオロ…

武内P「…………」



志希「はぁ~い、あてんしょんぷりーず?」ヒョイッ

一同「……!?」


志希「こうなった原因、たぶんあたしでーす♪ にゃははー」ヒラヒラ

416: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:48:23.36 ID:i7CkCEbb0
凛父「な……」

武内P「一ノ瀬さん……?」


志希「いやー合法的にトリップできるお薬を作れないものかにゃー、ってずーっと。
   あっちに留学してる頃からずーっと考えててねー?」

志希「今まで色んな研究に駆り出されて論文書いてきたけど、その裏では志希ちゃん、
   人目を忍んでコッソリ研究してたんだー」

志希「でもさー、研究と関係無いものを経費で落としたらバレちゃうでしょ?
   かと言って、あたしのポケットマネーだけでお薬調達していくのもシンドイし」

志希「うーんどうしたもんかにゃと、そう思ってた矢先!
   A-10神経系に関する薬について、国からの委託研究をやってる大学が日本にある!」

志希「そう聞いて、あーやっと堂々と脳にイイお薬を作れるチャンスだーって!
   それからのケミストライフはとても充実したものだったにゃー♪」

志希「あ、でもここで一つ問題が……作ったお薬を人体実験できる機会が無い」

志希「そこでまた、うーん困ったにゃー、って思ってたら……」ニヤッ


志希「そこのプロデューサーが声掛けてくれてね」

志希「おあつらえ向きに良い子がいるよーなんて。らっきーらっきー、にゃははー♪」ニコッ

417: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:50:26.08 ID:i7CkCEbb0
凛母「狂ってる……あなた、悪魔よ……!」

志希「んまぁー化学の発展に犠牲はつきものだしー、
   せっかくお友達になれた凛ちゃんには申し訳無いとは思ってるよ? ホントに」

志希「と言っても、世界中のハイになりたい老若男女の希望のため、
   ここは一つ礎になってもらうしかないかにゃー?」

凛父「きっさま……!!」ガタッ!

医師「お、お父様、お待ちを…!!」ガシッ


志希「にゃっはっは、納得なんてできないよねー、求めてもないし。でもさー」ヒクッ

志希「あたしみたいなクレイジーがいて初めて進歩する技術も、あるって事でぇ…」カタカタ…

武内P「……?」


志希「にゃっはっはー……」ガタガタ…

志希「…………ッ」ガタガタ…

418: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:54:04.32 ID:i7CkCEbb0
博士「シキ……お前……」

凛母「ヒザが、震えて……?」


志希「…………ッ」ガタガタ…


志希「あ、あたし……あたしは…………!」ガタガタ…

志希「わるいこ、だから…………わるいこ、おこって、おこ……」ガタガタ…



武内P「一ノ瀬さん」スッ

志希「! ……」ビクッ


武内P「強がる必要は、ありません」

武内P「あなたが全て、背負う必要など……」

志希「ひ、いっ…………」ガタガタ…



博士「…………」

博士「……『Bu-DOPA』に関する特許は、彼女にありません。私が持っています」

博士「この薬による治療の責任は、全て……私にあります」スッ…

凛父・母「………………」

419: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:57:26.67 ID:i7CkCEbb0
~夜、中庭~

武内P「……先ほど、渋谷さんのご両親がお帰りになられたようです」

志希「………………」


武内P「……本田さんと島村さんから、お聞きしました」

武内P「渋谷さんを楽しませようと、様々なアプローチを試されていたようだったと」

武内P「中には、少なからず過激な内容のものもあったそうですが……」

志希「…………」


武内P「幸福感は、脳の黒質を刺激し、ドパミンの生成を促進すると」

志希「…………」


武内P「一ノ瀬さん、あなたは……
    渋谷さんに幸福感を与え、症状の進行を食い止めようとされたのでは?」



志希「……プロデューサーや皆に、内緒にしようって言ったの、あたしなんだ」

志希「細かい話を言っても、皆よく分からないだろうし、不安にさせるだけだろうから」

志希「まだ悪くなるって、決まった訳じゃないからって、私が、ドクター達に……」

武内P「…………」

420: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 01:59:43.20 ID:i7CkCEbb0
志希「何であたしが、これの研究していたかって、言ったっけ?」

武内P「いえ……」


志希「この研究ね……元々、ダッドがやってて、挫折したものだったんだ」



志希「あたしの両親は、赤ん坊の頃からあたしの事、何でも褒めてくれた」

志希「天才だ、神に愛された子だ! って、あたしが何かをする度に一喜一憂するの」


志希「お箸を持てばオーブラボー、四元数の演算を解けばワンダホー。
   子供の頃のあたしにとっては、どっちも難易度変わらないのに喜んじゃってさ」

志希「あたしも、二人が喜んでくれるのが嬉しかったから、何でもやってみせた。
   その度に、ご褒美もいっぱいもらえた」

志希「美味しいケーキも、可愛い服も、おもちゃもお人形も……」


志希「最初のうちは、それで良かった……でも、後になるほど、だんだん辛くなって……」


志希「あたしのダッドも、天才なの。たぶん、あたし以上に」

421: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:02:29.10 ID:i7CkCEbb0
武内P「……お父様からの要求が、高くなっていった?」


志希「応えられなかった事なんて無かったよ」

志希「未だこの国で流通されない、花粉症を即根治させる特効薬だって非合法で作ったし、
   四色定理の証明だって解いてみせた」

志希「何でもやってみせたし、ダッドはいつもあたしを褒めてくれた。
   怒られた事だって無かった。だから……」


志希「どんどんレベルが高くなって、いつか、解けない問題を突きつけられたら……
   ダッドの期待に応えられない時が、いつか必ず来るんじゃないかって」

志希「結果を出さないあたしに、ダッドはどんな顔をするんだろうって、怖くなって……」

武内P「…………」


志希「ダッドが突然、外国に行く事になった時、あたしも誘われたんだけど、断ったの」

志希「断って、全然違う国に留学したんだ……それから先は、連絡なんてしてない」

志希「たまたま受けた大学で特待生扱いされて、さらに違う大学に点々と引き抜かれて、
   適当に特許取って生計立てて……」

422: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:06:57.07 ID:i7CkCEbb0
志希「したい事なんて、何も無かった」

志希「どうでもいい人達から寄せられるしょうもない期待に適当に応えて、
   安い優越感を得るのが自分の幸せなんだって、信じたの」

志希「あたしに過度な期待を寄せるダッドとは、もう会う事は無いんだからって、
   そう思ってたのにさ……」


志希「おじいちゃんがやってたパーキンソン病の薬物治療法を、ダッドが研究し直して、
   ニューデリーかどこかの学会で発表したっていうニュース、見たんだ」

志希「ちょうど一年くらい前かな……皆から、笑い物にされたみたい」

志希「“幸せ因子”など絵空事だとか、麻薬や覚せい剤と何が違うんだとか」

志希「ドクター一ノ瀬の息子も、ついにヤキが回ったとか、ね……」


武内P「……言葉は悪いですが、あなたの研究は、お父上の敵討ちだったと?」

志希「にゃははは! そんなリッパなもんじゃないよー」


志希「あたしはただ、ダッドに褒められたかっただけ」

志希「ダッドでさえ解けなかった難問を、文句の付けどころが無いくらいに、
   見事スパッと解いてみせたら、どんなに喜んでくれるだろうって」

志希「ふふ……ちょっと前まで、ダッドに会いたくないなんて言ってたくせに、
   自分勝手だよね」

武内P「…………」

423: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:09:41.46 ID:i7CkCEbb0
志希「そこで、似たような研究やってる機関を片っ端から調べて、
   一番設備の整ったこの国の大学を見つけたの」

志希「国からの委託研究だったから、それなりにお金も使えたしね」


志希「そして、あたしは『Bu-DOPA』の理論を完成させた」

志希「自信はあったんだ……ちょうど良い所に、その薬を欲している人まで現れた」

武内P「…………」

志希「悪いけど、本心だったよ」

志希「どんどん良くなっていく凛ちゃんを見て、自信は確信に変わっていって……」


志希「でも、ある時、重大な欠陥を見つけてしまったの」

志希「『Bu-DOPA』は強すぎた……治療と破壊は紙一重なんて、あの先生もうまいよね」

志希「黒質を活性化させ、働かせすぎて、脳の寿命を縮めてしまうものだった」

武内P「……!」



スッ

博士「…………」

424: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:13:46.00 ID:i7CkCEbb0
志希「だから、一旦『Bu-DOPA』の投与を取りやめる事を提案したんだ。
   その後凛ちゃんに渡してたのは、中身は塩酸プラミペキソールってヤツ」

志希「でも、たぶん恒常的な効果は期待できない。このままじゃいずれ終わりが来る。
   だから……」


武内P「渋谷さんを楽しませようと、わざと大袈裟な行動に出た、と」

武内P「プロジェクトクローネに参加するのも、渋谷さんを見守るため……」


志希「……フレちゃんっていう、最近できた友達がいてね?」

志希「346プロのカフェでいつも話すんだけど、本当に楽しいんだー♪」

志希「くだらないのに刺激的で、実のある話なんて何一つ無いのに、夢中になるの」

志希「あたしの悩みなんて、全部忘れさせてくれちゃうくらいに」

武内P「…………」

志希「で、そんなフレちゃんの事、あたしは本心ではどう思っていたかと言うと……」


志希「“使える”って、言ったの……フレちゃんの事、あたし」


志希「フレちゃんだけじゃない。
   智香ちゃんも友紀ちゃんも茜ちゃんも、ニュージェネの二人も皆……」

志希「あたしの失敗をフォローするための、道具としか思ってなくて……!」ジワァ…

425: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:17:34.54 ID:i7CkCEbb0
武内P「一ノ瀬さん……」

志希「いつも結果を求められた。それが当たり前だった」

志希「結果を出せない子は、悪い子なんだって、ずっと感じてた」

志希「頑張ったんだよ? ダッドの研究やれば、ダッドも、見てくれる、かなって……」


志希「でも、う……結局あたし、自分は頑張ったって、え、ぐっ、思いたいだけで…!」ポロポロ…

志希「ひっぐ、あ、あたしは、何も、なにも、できな、かっ、あ、うぅ……!!」ポロポロ…


志希「ごめんなさい……う、ご、ごめんなさい……!!」ポロポロ…



未央「あ……」

卯月「志希さん……」


武内P「…………」

志希「ひ、い……う、うあぁぁ……!!」ポロポロ…

426: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:19:32.58 ID:i7CkCEbb0
武内P「結果を出す事が、全てではありません」

志希「え……」

武内P「私達のいる世界は、結果だけで回っているのではありません」


武内P「あなたが渋谷さんのためを思い、行動した事に意味があるのです」

武内P「あなたは頑張りました……それが、何より尊い事です、一ノ瀬さん」

志希「………っ!」



卯月「プロデューサーさん……」

武内P「……お疲れ様です。渋谷さんのご様子は、いかがでしたか?」

未央「うん……ちょっと、一人にしてあげた方が良いかも」

武内P「そうですね……」


武内P「これ以上遅くなる前に、事務所に一度戻りましょう」

武内P「さぁ、手を……一ノ瀬さん」

志希「…………」コクン

427: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:21:46.63 ID:i7CkCEbb0
~346プロ 常務の部屋~

今西「うむ……そうか」

今西「分かった。今日の所は、もう休むといい……うむ、お疲れ様」

ピッ!


今西「……やはり、容体は良くなかったようだ」

美城「そうでしょうね」


ちひろ「…………ッ」ギュッ…!

常務「私を恨むか?」

ちひろ「! い、いえ……」

常務「本来、彼が最初に気づくべき事だった。私が節介を焼いてやる義理など無い」

ちひろ「でも、凛ちゃんの命がかかっていたかも知れないんですよ!?」

常務「その命を救うのは我々ではない。医者の仕事に首を突っ込むなどナンセンスだ」

ちひろ「……~~ッ!」


今西「資金面の援助は、首を突っ込む事にはならないのかな?」

428: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:25:05.22 ID:i7CkCEbb0
ちひろ「えっ……?」

美城「……今西部長。何を仰っているのか、分かりかねますが」

今西「ふっ、説明しないとダメかい?」


今西「国から交付される補助金というのは、大抵の場合、事業終了後の清算払いだ。
   そしてその上限額は、事業開始前の申請に基づいて予め枠が定められる」

今西「第3四半期をも過ぎてから、追加で補助額を得ようとするのは、
   他の事業から流用するとか、余程の事でない限り認められないだろう」

今西「一方で、彼女の再入院や今後行われるであろう諸々の検査、治療にかかる費用を、
   当初の交付申請の段階で見積もられていた可能性はおそらく低い」


今西「彼女の入院がスムーズに決まったのは、つい先日、我が社から先方に、
   有事における費用負担についての協力が約束されていたからなのだそうだ」

今西「おそらく、手を回したのは君だろう。違うかね?」

429: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:27:28.44 ID:i7CkCEbb0
美城「…………」

ちひろ「じょ、常務……」


今西「わざわざ一アイドルのために自ら病院に連絡を取り、検査記録を入手するほどだ」

今西「慈善行為ではないと君は言っていたが……
   やはり、何かに寄与したいと願うのが、人の本質なんだろう」

今西「電話口で、彼は最後に、君に感謝していたよ」



クルッ コツ…


美城「扶助を行う理由など無かった……ですが、今は違う」

美城「私は経営者として、私のやり方で舵を取る。それだけです」

430: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:30:56.76 ID:i7CkCEbb0
~346プロ シンデレラプロジェクト事務室~

ガチャッ

未央「ふぁ~……何だか、疲れちゃったね!」

志希「…………」


武内P「? ……本田さん、右の側頭部に…」

未央「ん……あぁ、これ? えへへ……ちょっと、転んで頭ぶつけちゃって……」

卯月「…………」


武内P「……そうですか」

武内P「…………」ピラッ

卯月「それは?」

武内P「……本日分の経過報告です。新田さんが書いてくださったようです」

未央「帰り、遅くなると思って、代わりに書いてくれたんだね」

431: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:32:30.73 ID:i7CkCEbb0
武内P「…………」

武内P「……渋谷さんのお仕事についての、諸々の関係先との調整は、
    私が明日以降、行ってまいります」

武内P「皆様は、今日の所はお帰りください」ギシッ

卯月「いえ……」

武内P「?」


卯月「今日は何だか……色々な事がありすぎて、頭がいっぱいです」

卯月「本当は、病院にずっといたかったですけど、凛ちゃん、あんな状態だったし……」

卯月「でも、少しでも凛ちゃんを感じられる所にいないと、落ち着かないかなって……
   えへへへ……」

未央「分かるよ、しまむー」


志希「今日はさ……ココに皆、泊まろっか」

432: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:34:24.47 ID:i7CkCEbb0
武内P「えっ?」

未央「さんせーいっ!」

卯月「杏ちゃん専用のフカフカ椅子、私使いまーす!」ボフッ!

未央「あっ、ズルいぞしまむー! 半分こしろー!」グイ-ッ

志希「あたしはこのカッチカチのソファーでいいやー。毛布無いー?」モゾモゾ…


武内P「あ、あの、皆さん……」

卯月「プロデューサーさん。今さらダメだなんて、言っちゃダメですよ?」

未央「ご家族が心配されるので、どうかお引き取りください。なんて言わないでよ?」

武内P「いえ、あの……」


武内P「レッスン室そばのシャワールームは、24時間使えます」

武内P「それと、毛布であれば、エステルームの管理者に連絡すれば、何枚かは……」


志希「! ……にゃははーっ、否定しないのかーい!!」ツンツン!

未央「プロデューサーのエロオヤジめーい、このこのー!!」デュクシデュクシ!

武内P「お、オヤ……!」

卯月「あわわわ、プロデューサーさんはオジさんじゃないですよぉ……!」オロオロ…

433: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:35:30.63 ID:i7CkCEbb0
~美城グループ附属総合病院 病室~

凛「…………」ブルブル…

凛「……ッ」プルプル…


つ イヤリング


凛「……」プルプル…

凛「くっ…………」プルプル…


プルプル…

カチャッ

カチ… ガチン



凛「うっ、あ…………!」プルプル…

凛「……ん…………いっ!」ギュウ…!


凛「…………ッ」カタカタ…

434: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:37:26.25 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月1日
 報告者:新田 美波

  凛ちゃんは、即入院する事になりました。
  公園にいる所をご両親に見つけられ、病院に連れられたのだそうです。
  その日のうちに入院するという事は、検査の結果がかなり深刻だったと思われます。

  未央ちゃんや卯月ちゃんに、プロジェクトクローネに入ると言っていたのが、
  二人を心配させたくなかったからであろう事は、想像に難くありません。

  ですが、誰にも打ち明けず、一人病気と闘う凛ちゃんの辛さはどれだけでしょう。
  刻一刻と症状が進行する自身の体を見つめる恐怖は、いかほどだったでしょう。

  私は、もとい私達は、また同じ事を繰り返してしまいました。
  またしても、気づいてあげる事ができませんでした。

  凛ちゃんに掛けてあげられる言葉が、今の私には何一つ思い浮かびません。
  今はただ、凛ちゃんが無事に回復し、もう一度元気な姿を私達に見せてくれる日が、
  いち早く来る事を祈るばかりです。

435: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:39:17.61 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


チュン チュンッ チュン…


カタカタ… カタカタカタ…


卯月「…………んんぅ~~~~……」モゾモゾ…

卯月「あれ……」


武内P「…………」カタカタ…

武内P「……おはようございます。眠れましたか?」ギシッ

卯月「プロデューサーさん……」


志希「キーボードがカタカタうるさくて全然寝れなかった……」ワシャワシャ…

未央「同じく……もー、プロデューサーさぁ?」

武内P「も、申し訳ございません……」


卯月「病院、行きませんか……?」

武内P「えぇ……準備ができ次第、出発しましょう」

436: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:40:33.36 ID:i7CkCEbb0
~美城グループ附属総合病院~

ブロロロロロ… キキィッ


未央「ここ……裏門?」

武内P「時間的に、正門は閉まっていますから、職員用の通用口から入る事になります」

卯月「早く来すぎちゃったでしょうか」

志希「夜が明けてすぐだもんね」

ガチャッ バタンッ



武内P「……」ピッ

ガチャッ


武内P「どうぞ、中へ」

437: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:41:31.58 ID:i7CkCEbb0
コツ コツ…

武内P「…………」コツ コツ…


未央「また、ここに来る事になるなんて……」

卯月・志希「…………」


コツ コツ…



武内P「…………こちらでしたね」


ガララ…


武内P「…………!?」

438: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:42:38.51 ID:i7CkCEbb0
凛「う、うっ…………」


未央「!? し、しぶりんっ!!」ダッ!

卯月「凛ちゃんっ! 床に倒れて……!?」


凛「み、お……うづき……?」

未央「どこか痛いの!? 脚、大丈夫!? それともお水!?」

卯月「お、お水っ! 私、すぐに…!」ダッ!

志希「待って!」

卯月「!」


武内P「渋谷さん……」スッ

凛「ぷ、ぷろ、デューサー……はぁ、はぁ……」ブルブル…


武内P「手に、何か……?」

凛「…………ッ」ブルブル…

439: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:44:07.30 ID:i7CkCEbb0
武内P「そっと、手を開いて……力を抜いてください……」グッ

凛「う、うぅ……!」ググ…

ジワッ…

未央「て、手に血が……えっ?」


凛「はぁ、はぁ…………」プルプル…

未央「これ……昨日の、イヤリング……?」



凛「昨日、渡し、そびれちゃった、から……」

凛「壊れちゃ、たから……さっきまで、直そう、としてて……」


未央「……私達のために?」

440: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:45:50.02 ID:i7CkCEbb0
凛「未央と、卯月……え、えへへ……志希の分、は、また今度……」

志希「……」フルフル

卯月「凛ちゃん……!」


凛「う、ふふ……ご、ごめんね」

凛「汚く、なっちゃって……ごめん、ね……?」

未央「……ッ!!」ガシッ!

ギュウッ…!

未央「バカッ!!」

未央「しぶりん、ほんっとに……バカぁ!!」ポロポロ…

凛「痛いよ……未央、痛いよ……」


武内P「…………」

卯月「プロデューサーさん……お願いです」

卯月「助けてください……!」

卯月「凛ちゃんをどうか、助けてくださいっ!!」

441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:46:40.14 ID:i7CkCEbb0
武内P「………………」


武内P「肩を、渋谷さん……立てますか?」スッ

凛「はぁ、はぁ…………」

武内P「ベッドに横になって……」



武内P「必ず何とかします」


武内P「一緒に、頑張りましょう」

442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:48:51.86 ID:i7CkCEbb0
~医務室~

医師「馬鹿な。これ以上の投与は危険だ」

志希「従来の『Bu-DOPA』であればの話です」

医師「……何だと?」


武内P「彼女は『Bu-DOPA』の欠陥を誰よりもいち早く発見し、
    その改善に向けた研究開発を、水面下で続けていたのです」

志希「と言っても、まだ試用のレベルにも至っていないですけどねー♪」

医師「あなた方は人の命を軽々しく見過ぎている! 世迷言もいい加減に…!」

ドンッ!

医師「!?」ビクッ

武内P「……?」


志希「……ドクター?」


博士「シキはウチの大学が誇る偉大なケミストだ」

博士「そして、彼女以上に今回の臨床に真摯に向き合っている者はいない」

博士「責任は全て私が取ります。どうか、彼女の話を聞いていただきたい」

443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:54:51.04 ID:i7CkCEbb0
医師「………………」

医師「……良いでしょう。どうせこのままでは負け戦だ」


志希「ドクター……」

博士「先ほどチラッとモノを見せてもらったが、つまりは薬効を薄めたものだろう?」

志希「うん……半分以上薄めた、カプセル状の経口薬を考えてるけど」


博士「プロデューサーさん……医学的には強いお勧めはできません」

博士「ですが、どうか彼女の…」

武内P「存じております」

博士「えっ?」

武内P「私は、一ノ瀬さんのプロデューサーでもあります」


武内P「一ノ瀬さん……開発中のものが試用できる段階になるまで、
    あとどれだけの日数が必要ですか?」

志希「一週間はあると嬉しいかなー。最適な触媒の検討にはまだ時間かかりそうだし」

志希「でも、三日でやれって言われれば志希ちゃん頑張っちゃうけど、どうする?」

武内P「それでは、二日でお願いします」

志希「Should've known.」ニコッ

444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 02:57:03.11 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月4日
 報告者:P

  渋谷凛より、今後の報告用記録映像の撮影を、週に一度ではなく、
  必要に応じてこまめに撮影するよう申し出有り。
  自身の病状を逐次記録に残す事で、後世の治療に役立ててほしいとの事。

  そのため、有事の際に都度彼女の様子を撮影できるよう、
  スタッフはハンディカメラを常に所持。
  スタッフ不在時における、面会人への撮影代行の依頼も今後要検討。

  それまで健康だった彼女を再び襲う病気に向き合う事は、
  彼女自身のみならず、周囲の人々にとっても相応の心的負担が想定される。

  一方で、シンデレラプロジェクトのメンバーは本臨床に非常に意欲的である。
  過去に渋谷凛が倒れた際、力になれなかったという意識が大きいためと思われる。

  彼女達の意志は、ある種危険と考える。
  罪の意識に囚われ、自身を過剰に責める余り、心が押し潰されかねない。
  言うまでも無く、スタッフが率先して渋谷凛の臨床に携わる事が望ましい。

  一ノ瀬志希による新薬『Bu-DOPA』改良型の試作品が完成。
  明日より投与を開始し、経過を観察。
  以上

445: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:03:52.26 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月7日
 報告者:P

  重度の痙攣。
  手、口腔顔面だけでなく、体全体が大きく振動。

  薬の効果は目覚ましく、投与から2、3時間ほどでこれらの症状が緩和。
  一方、効果が持続する時間は2錠服用して約半日程度。

  改良前と比べ薬効は薄いが、投与量が増えれば副作用の恐れも大きくなる。
  脳へのこれ以上の負荷は危険であるため、投与については慎重にならざるを得ない。

  先日、歯磨きを上手く行えず、口内を傷つけた模様。
  ひとまず毛先の柔らかい歯ブラシに取り換えたものの、依然苦しんでいる。
  どうか気にしないでほしいと彼女は言う。

  以上。

446: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:05:00.46 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


武内P「このところ、事務を行う事ができず、ご不便をお掛けしております」

美波「良いんですよ。皆、意欲的に自分達のお仕事に向き合っています。レッスンも」

武内P「私が心配しないように、ですね」

美波「でないと、プロデューサーさん、凛ちゃんの治療に集中できないでしょう?」


凛「ふふ……どっちがどっちを心配してるのか、分かんないね」ニコッ

武内P「うっ……」

みく「あはは、それもそうにゃ! 凛ちゃん相変わらずツッコミ上手いねー」

凛「喜んでいいのかな、それ」

李衣菜「私だったら素直に喜ぶと思うなー。
    ツッコミが上手いってのは、それだけ物事に敏感に気づくって事だし」

みく「ふふーん、さすが李衣菜ちゃんは自分の事良く分かってるにゃ」ニヤニヤ

447: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:06:54.47 ID:i7CkCEbb0
李衣菜「は、どういう意味?」

みく「ニブい李衣菜ちゃんはツッコミには向いてないって事。
   自分で言ってて分かんない?」

李衣菜「な、そんな事無いよ!
    気づいててもあえて受け入れるってのがロックなんだしさ!」

みく「ロックを言い訳にするの、そろそろ止めたら~?」

美波「ふふっ、確かに漫才なら李衣菜ちゃんがボケで、みくちゃんがツッコミね」

みく「ほら、美波ちゃんもそう言って……ん?」

みく・李衣菜「漫才じゃないからっ!!」

武内P「ふっ」

李衣菜「あーっ、プロデューサーまで笑ってるー!」

武内P「あ、いえ……!」

みく「ヒドいにゃ、勝手にコンビ組んどいて! ねぇ凛ちゃんもそう思うでしょ!?」

李衣菜「こんな事が許され……」


美波「…………凛ちゃん?」ユサユサ

448: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:09:35.32 ID:i7CkCEbb0
『凛ちゃん、どうしたの?』

『凛ちゃん……凛ちゃんってば!』

『えっ……あ、あぁごめん。何?』

『何じゃないにゃ! ひょっとして、さっきの話聞いて無かった?』

『え、と……ごめん、その……』

『あ、うん、謝らないで。大丈夫、そんな大した話じゃ……』



凛「ビデオ撮っていると、色々な事が分かって面白いね」

凛「さっきまで会話に参加してたのに、私……こんなに唐突に、気を失ってたんだ」

武内P「…………」


凛「気にしなくて大丈夫だよ」

凛「別に気分が悪い訳じゃない。ただ……何も感じない」

凛「死んだように、何も……」


凛「何か、不思議な気分だね……魂が無い自分を、見るのってさ」

凛「以前の私も、ずっと、こうだったんだよね……」

449: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:10:34.45 ID:i7CkCEbb0
~夜、病室~

武内P「渋谷さん、それは…」

凛「大丈夫だよ、歯磨きくらい自分でやる」ブルブル…

凛「おかげで、この痙攣にも、大分慣れてきた所だから」ブルブル…


グッ…

凛「……ッ」ゴ… ゴシゴシゴシ…!


ゴシ… グリグリ…! ゴシゴシ…!


ゴリゴリ…! ゴシゴシゴシ…

451: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:12:01.03 ID:i7CkCEbb0
凛「…………ッ!」ゴリゴリ グギ…!

凛「ぶっ!」ベチャッ!

武内P「渋谷さん!」

ジャアアアーーッ…!


凛「はぁ、はぁ……」

凛「ふふ……これじゃあまるで、痙攣の塊だよね」ブルブル…

武内P「…………」


凛「気にしないで。結構、面白いよ」ブルブル…

凛「どっちがこの体を、支配しているのか……
  絶対、分からせてやる。こんなのに負けてたまるか、ってさ」


凛「ただ……寝る事だけが、怖いんだ」

凛「一度目を閉じて、もしそのままずっと、起きる事が無かったら……」


武内P「大丈夫です、渋谷さん」

武内P「目を瞑って、もう一度開けたら、明日の朝です」

凛「……うん」

452: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:13:18.32 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月18日
 報告者:P

  発作は何の前触れも無く、突然やって来る。
  そして、何かの拍子で戻る。
  誰かが触ったり、呼びかけたりすると、突然また普通になる。

  11月12日頃からこの繰り返しが確認されるが、その頻度と間隔は、
  日を追う毎に多く、長くなっている。

  一ノ瀬志希を交え、スタッフ同士で協議し、投薬量の増を決定。
  一方、薬に耐性が出来ているのか、薬そのものの効き目が薄くなっている模様。
  脳組織の変調は特に見受けられないとの事。

  以上。

453: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:17:25.20 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月20日
 報告者:一ノ瀬 志希

  ・朝食の食べ残し有 ご飯、おひたし、各半分程度

  ・8:10 『Bu-DOPA R』投与 450mg
  ・8:15~ 中庭の散歩

  ・9:43 発作

  ・9:58 トイレ
  ・10:05~ 読書

  ・12:00 昼食 完食
  ・12:51 トイレ
  ・13:00~ 睡眠

  ・13:54 発作

  ・14:00~ 面会人来訪
  ・前向性健忘の疑い有

  ・GCS  E 3pt、V 5pt、M 5pt、Total 13pt
  ・黒質 特に変化無し

  ・16:08 トイレ
  ・16:15~ DVD視聴 CPライブ映像

  ・17:40 Meeting 特記すべき事項無し

  ・薬効に対する耐性発現の兆し有

454: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:19:29.46 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


凛「見て、皆」スッ

凛「入院生活があまりに暇でさ。未央からもらって、プラモデル、作ってみたんだ」

みりあ「うわぁー! すごい、すっごく本格的だね!」

武内P「とても、良く出来ていると思います」

きらり「こぉんな細かいの、良く作れたねぇー凛ちゃんすごぉい☆」


美嘉「何か見た事あるんだよねーコレ。アニメのだよね、何てヤツだっけ?」

莉嘉「えーっ、お姉ちゃんゼノグラシヤ知らないの? 遅れてるぅー!」

美嘉「はいはい、今度教えてね、莉嘉」

凛「あ、奈緒からDVDももらったんだよ。良かったら貸そうか?」

莉嘉「すごい、いいなぁ奈緒ちゃん!」

美嘉「ありがとう。ごめんね気を遣わせちゃって」

凛「いいよ、確かこの辺に……」ゴソゴソ…


凛「ん……あれ……?」ゴソゴソ…

455: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:21:03.60 ID:i7CkCEbb0
美嘉「あ……あのさ、別にいいよ? 今度来た時でも…」

凛「いや、確かにここに入れて……」ゴソゴソ…


凛「……ッ!!」ガクガク…

凛「う……あぃ……ぎ……ッ!!」ガクガク…


きらり「凛ちゃんっ!?」

武内P「注視発作です…!」

凛「は、早くカメラを……ッ!!」ガクガク…

凛「撮って、わたしを……は、やくッ!!」ガクガク…

武内P「……!」カチッ ジィーーッ…

凛「……ァァアアアァァァァァァァァァァアアッ!!!」ガクガク…


みりあ「凛ちゃん!? 大丈夫、凛ちゃんっ!!」

美嘉「みりあちゃん、莉嘉、見ちゃダメっ!! 外へ……!!」

凛「ミカッ!! ……」ガクガク…

美嘉「!?」ビクッ!

456: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:23:16.47 ID:i7CkCEbb0
凛「見て、わたし……み、みてみて、みて、みれ、みれぇ!!」ガクガク…

美嘉「り、凛……!」


武内P「…………」ジィーーッ…

武内P「……駄目です、渋谷さん」スッ

武内P「とても……とても、撮影する事はできません……!」


凛「ウアアアアァァァァァァァァッ!!! ガァッ、アッ、アッ……!!」ガクガク…

凛「見て、みれぇ!! わたし、をっ!! み、み……!!」ガクガク…

凛「撮ってとってとってとってとってとって…!!!」ガクガク…

凛「わたしのために、早く、とっ、て……みえ、みて、み、いれぇ……!!」ガクガク…


きらり「Pちゃん……お願いっ…!」


武内P「………………ッ」



スチャッ ジィーーッ…

457: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:24:24.41 ID:i7CkCEbb0
~医務室~

武内P「お願いです。どうか……」

武内P「『Bu-DOPA R』の投薬量の増加を、ご検討いただけないでしょうか」

医師「…………」


志希「……これ以上増やしたら、薬効を薄めた意味が無くなっちゃう」

武内P「!」

志希「副作用の無い薬は無いの……だから……」

志希「今の『Bu-DOPA R』では、投薬量はこれが限界かな、って思う……」

458: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:27:18.56 ID:i7CkCEbb0
武内P「そんな……」


志希「今の『Bu-DOPA R』では、ね」

志希「あたし、何とかするよ」


医師「……無茶です、一ノ瀬さん」

医師「いつから寝ていないのでしょう。あなたも体を休ませなければ…」

志希「んー、それ今の話と関係あるー? にゃははー」

博士「! お前……」


志希「止められてもやるよ。研究も、介護も」

志希「青春だもの……なんてね」ニコッ

459: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:30:12.15 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:11月24日
 報告者:高垣 楓

  今日は、プロデューサーさんもシンデレラプロジェクトの人達も来られないそうです。
  凛ちゃんとも相談し、差し出がましいとは思いますが、代わりに報告します。

  ご飯を食べるのにも難儀するほどに、体のけいれんが深刻であることは、
  事前に卯月ちゃん達から聞いてはいました。

  リンゴをむいてあげましたが、凛ちゃんは手からリンゴを落としました。
  新しく切り分けても、その度に、何度も落としてしまいます。

  凛ちゃんが謝るので、気にしなくていいわよと私は言いました。

  アネモネの花が添えられていたので、水を入れ替えに病室を出て、
  また戻ってくると、凛ちゃんは泣いていました。

  とても悔しそうに、泣きながら、布団の上に落ちたリンゴを拾おうとしていました。

  私は彼女の事を、傷つけてしまったのかも知れません。

460: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:31:19.62 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:1|月ZS日
 報告者:レ,う、"やリ∠

  ~―~へ~へ__い_/Z―くてーへ

  >ーーし=う、し|こTこし\

  て゛=し、フ゜口ラ゛ェ―ケー、つうい/つラ、十つ\キらめTよし\

  ~~へ________

461: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:32:54.10 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


『さぁ、視聴者の皆様方から凄い勢いで投票されていきますが、あぁっと!?』

『えっ、な……佐久間まゆさんと双葉杏さんにもかなりの票が集まってきています!
 誰もが及川雫さんの独走を信じて疑わない中、これは意外っ!』

『さぁ、ここで問題です! この投票のお題は、一体何でしょうか?』

『私が三人の中で独走になれそうな事って、あるんでしょうかー』

『うふふ。雫さん、それはひょっとしてギャグで言っているんですかぁ?』



凛「…………っ」ガタガタ…

杏「…………」

かな子「ほら観て……ここの杏ちゃんの一言で、会場がすっごく盛り上がったんだよ?」


凛「…………く……!」グラグラ…

462: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:34:13.48 ID:i7CkCEbb0
凛「……うぅ…………!」グラグラ…

凛「もぅイヤだ…………みれない…っ」ブルブル…

凛「一か所をじっとみれない……!」

蘭子「凛ちゃん、いいよ。ムリ、しないで大丈夫だよ……?」


凛「やっぱり、ダメなんだ……」

智絵里「凛ちゃん、やめて!」

凛「もう、治らないよ……」グラグラ…

アーニャ「リン……ニェット。リン、そんな事を言わないでください……!」

アーニャ「諦めちゃダメです!」ポロポロ…

凛「無理だよ、私を見ないで、こんなの、みじめだ……」グラグラ…

武内P「渋谷さん……」


凛「こんなの私じゃない……」

凛「こんなのわたしじゃない……」

凛「こんなのわたしじゃない……うぅ……!」

463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:36:56.74 ID:i7CkCEbb0
~医務室~

凛母「私達があの子のライブを見に行くのを、あの子はとても恥ずかしがっていました」

凛母「子供の頃の、学校の授業参観の時からそう……
   でも、そういう時にはいつも、あの子は普段以上に張り切っていたそうです」

凛母「プライドが高く、見栄っ張りというのもありますけれど……
   何だかんだで、親が見てくれるというのを、喜んでくれていたのだと思います」


凛母「でも……」

凛母「今のあの子は、私達がお見舞いに来ると、本当に苦しそうな顔をするんです」

凛母「みじめな姿を親には見られたくないという気持ちが、
   表情や言動から滲み出て見えるようで……」

医師・博士「…………」


凛父「私達にはもう、あなた方にお願いをする事しかできない」

凛父「情けない話ですが……どうか何とかして凛を、救ってください」

凛父「この通りです」スッ

武内P「……彼女は、闘っています」


凛父「あなた方は、どうなんですか」

464: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:40:59.22 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:12月2日
 報告者:一ノ瀬 志希

  ・朝食 ほとんど手をつけず
  ・8:09 『Bu-DOPA R』投与 675mg

  ・8:59 発作

  ・9:11 トイレ 軟便
  ・首と胸に裂傷 自傷行為?

  ・12:00 昼食 半分程度
  ・13:21 トイレ 嘔吐
  ・13:44 発作

  ・14:21 トイレ
  ・14:54 発作

  ・15:00~ 面会人来訪

  ・GCS  E 3pt、V 4pt、M 4pt、Total 11pt
  ・黒質 特に変化無し

  ・15:57 トイレ
  ・16:30~ ラジオ視聴 Magic Hour

  ・17:30 Meeting
   今後、カトラリーをプラスチック製スプーンのみに統一

  ・18:00 夕食
  ・注視力低下の疑い有
  ・19:18 発作
  ・22:14 発作

465: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:43:33.46 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】
 報告日:12月5日
 報告者:P

  下降。
  自身を取り巻く何もかもを投げ出し、関わりを断ち切りたい旨を吐露する事しきり。
  一方で、記録を極力残し、今後の医療に寄与する事も彼女の望みである。
  激しい矛盾を抑えながら臨む臨床は非常な負担となり、彼女と周囲を苦しめる。

  一ノ瀬志希が体調不良により昏倒。
  新薬の改良研究と渋谷凛への献身的な介護を並行して行う事への無理が祟ったため。
  これ以上『Bu-DOPA』の改善は望めない。
  当然、投薬量も現状維持を余儀なくされる。

  渋谷凛自身にも、回復の兆しは見えない。
  眠る事への恐怖を日増しに感じている模様。

  以前は絶望を感じる間も無く長い眠りについた彼女が、今度は再び、
  よりハッキリと迫り来る絶望を知覚した上で、眠りの世界に戻ろうとしている。
  それを彼女は極度に恐れている。

  自身の無力さを強く感じる。
  だが、諦める訳にはいかない。

466: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:45:24.24 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


凛「…………」ガタガタ…

凛「ぷ、プロデューサー……」

武内P「はい」


凛「今日は、卯月と、未央が……お見舞いに、来てくれる、って」

武内P「はい……その予定です」

楓「…………」



凛「お化粧、したい」

武内P「えっ……」


凛「今日は、二人に、大事な話……したいから」

467: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:46:26.50 ID:i7CkCEbb0
武内P「引き出しの中に、ご自宅からお持ちいただいた道具類が……」ガラッ


武内P「……どうぞ」コトッ

凛「ありがとう……」


凛「……」ブルブル…

スッ ガシッ

プルプル…

469: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:47:26.86 ID:i7CkCEbb0
凛「……ッ …………!」ブルブル…

カチャッ… ガチャン

グッ…


ガチャンッ! ポトッ


凛「はぁ……はぁ……くっ!」ブルブル…



スッ

凛「…………?」ブルブル…


楓「お手伝い、させてもらえないかしら?」ニコッ

470: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:48:44.72 ID:i7CkCEbb0
凛「い……いい……一人で、やら…!」ブルブル…

楓「ううん、お願い」フルフル

楓「こんな時くらい、私も何か役に立ちたいから」

凛「…………」プルプル…

楓「目を閉じて」


凛「…………」コクン


楓「………………」スッ



楓「…………」

楓「綺麗な肌ね」

凛「そんなこと、ない……カサついてるし……」

楓「自信を持って。自分なんかダメだなんて、思わないで」

凛「! ……」


楓「………………」

471: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:50:37.06 ID:i7CkCEbb0
楓「……はい、おしまい」

楓「凛ちゃん、いつも薄化粧でしょうし、しなくても十分に綺麗だから、
  あまり手を加えなかったけれど」


凛「…………」スッ

凛「……ありがとう、楓さん」

楓「ううん。どうです、プロデューサー?」

武内P「えぇ……とても綺麗です、渋谷さん」

凛「プロデューサー、私をからかってる……」

武内P「いいえ」

楓「ふふっ」


コンコンッ

凛「あっ……」


楓「……それじゃあ、私はこれで」ペコリ

472: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:51:26.84 ID:i7CkCEbb0
武内P「えっ? 高垣さん……」


ガララ…

未央「しぶりーん、ってうわっ!?」

楓「未央ちゃん、卯月ちゃん。お先に失礼しますね」ニコッ

卯月「あっ、あの…」


楓「プロデューサーは、一緒にいてあげてください」


スタスタ…


武内P「…………」

凛「……大事な話、だから、プロデューサーも、一緒にいて」



武内P「……了解しました」

473: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:53:34.19 ID:i7CkCEbb0
未央「あ……しぶりん、いつもよりちょっとキレイじゃない!?」

凛「そ、そうかな? 楓さんに、お化粧、してもらって……」ガクガク…

卯月「とっても可愛いですよ、凛ちゃん!」

凛「卯月には、敵わない、よ……」


凛「最近、事務所は……どう?」ブルブル…

卯月「はい! えーと……クリスマスフェスに向けたレッスンで、大忙しです!」

未央「そうそう! しきにゃんが出れるかちょっと微妙だったんだけどさ。
   この間復帰した途端、いつもの調子でバババーッ! ってかき乱してもー大変!」

卯月「はいっ、すーっごく元気になっててビックリしちゃいました!
   クローネの人達とも合同ですから、皆もいつも以上に張り切っているんですよ!」

未央「大槻唯ちゃんって子知ってる? このゆいゆいがまた面白くてさー。
   私のアイデンティティーを脅かす勢いだよぉ本当、アハハハー!」


凛「それは、良かったね……」

凛「私も、参加、したかったなぁ……」ブルブル…

474: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:54:43.82 ID:i7CkCEbb0
未央「できるよ、しぶりんも」

凛「ふふ、未央……」

凛「慰め、なくていい……私は、ずっと……」ガクガク…

凛「このまま、この病院で、暮らすんだ……」

未央「…………」


凛「あの、ね……?」

凛「……ぁ……っ」ガクガク…

凛「皆に、会えると、すごく……気分が、良くて、うれしい」ブルブル…


凛「ッ………………」ガクガク…



凛「これまで…………ありがとう……」

475: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:55:31.94 ID:i7CkCEbb0
卯月「!! り、凛ちゃん……?」

武内P「…………」



凛「…………」ガクガク…



凛「…………ぅぁ……」ブルブル…


未央「しぶりん……」



凛「……ぃ…………」ブルブル…



凛「………………もう……」ブルブル…

476: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:56:21.45 ID:i7CkCEbb0
凛「会うのは…………」



凛「今日で、もう…………!」





凛「最後に…………」



卯月「凛ちゃん……!」


未央「……ッ!!」ガシッ!

凛「!? う、わ……」グイッ


未央「プロデューサー!! 今すぐしぶりん連れて裏庭に来てっ!!」

477: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:57:38.56 ID:i7CkCEbb0
武内P「えっ……!?」

未央「しまむー!! 音源持ってるよね!?」

卯月「はいっ!!」

未央「じゃあダッシュで準備しよっ!! プロデューサー達も後で来てね!」ダッ!

卯月「凛ちゃんに絶対、絶対見てほしいのがあるので、裏庭で待ってますっ!!」ダッ!

ガララッ! タタタ…



凛「………………」ブルブル…


武内P「……外は冷えます。このコートを」スッ

凛「あっ…………ごめん」

武内P「歩けますか? 私の腕に、捕まってください」

凛「う、ん…………」ブルブル…

478: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 03:59:09.03 ID:i7CkCEbb0
~中庭~

ザッ…

凛「…………」ガクガク…

武内P「寒くは、ないですか?」

凛「ううん、平気…………ただの痙攣、だから……」ガクガク…

武内P「はい……」


凛「卯月……未央、どこ……」



パッ!

凛・武内P「!」

未央「しーぶりん! こっちこっちー!」フリフリ

479: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:00:39.73 ID:i7CkCEbb0
未央「ジャジャーン、どう!? 二人で作った渾身の即席ステージだよーー!!」

卯月「と言っても、ライトは懐中電灯で、音源はラジカセですけどね。えへへ」


未央「プロデューサー、ちゃんとビデオ持ってきた!?」

武内P「は、はぁ……えっ?」


凛「二人とも……ライブの、衣装……?」


未央「それじゃあ参りましょう、しぶりんのためにご用意したスペシャルステージ!」

卯月「お送りするのは、皆で歌ったこの曲!」カチッ


~~♪


未央・卯月「新たなヒーカーリーにー 会ーいーにぃー行こうー♪」

未央・卯月「生まれたーてのー 勇気をー 抱ーきしーめーてー♪」

未央・卯月「走り出ーそうー♪」


凛「…………!」

武内P「『Shine!!』……」

480: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:01:45.90 ID:i7CkCEbb0
タンッ! タタンッ

タン タンタンッ キュッ! タンッ!


未央「~~~~ッ♪」

未央「……へっへっへ」ニヤッ


グイッ!

凛「!? えっ……ちょ……」

未央「さぁさ、一緒に踊ろうぜーしぃーぶりん!!」グイグイ

凛「そ、いや……私、踊れな…!」

卯月「私達でフォローするから大丈夫っ!! ねっ!?」


武内P「…………」コクッ

凛「……ッ!」キュッ

481: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:03:06.72 ID:i7CkCEbb0
タン タンッ

ズッ…

凛「ふ、く……うぅ……!」

凛「う、あぁ!」ドテッ!



未央「ねぇー 捜してーいたーのーはー♪」ニコッ

凛「……未央」

卯月「12時ー過ぎーのー 魔ー法 そーれは♪」

未央・卯月「この自分のー靴でー♪」

未央・卯月「今進んでー行けるー 勇気でしょうー!?♪」スッ

凛「卯月……!」


 新たなヒカリに会いに行こう
 生まれたての希望を抱きしめたら

482: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:04:23.60 ID:i7CkCEbb0
未央・凛・卯月「新たなじーぶーんーにー 会ーいーにぃー行こうー♪」タン タンッ

未央・凛・卯月「このえがーおがー 君ーまでー♪」タンッ タタン

未央・凛・卯月「とーどぉーくぅーよーうーにー はーしーれー!♪」タンッ スゥー…



凛「はぁ、はぁ、はぁ……!」プルプル…

凛「……っ」グラッ…

ガシッ!

武内P「大丈夫ですか、渋谷さん」

凛「プロデューサー…………」ブルブル…

武内P「素晴らしいステージでした。とても……本当に」


卯月「凛ちゃん……とても、楽しかったですね」ニコッ

未央「言ったでしょ? しぶりんのフォローくらい、いくらでも私達、できるんだから」


未央「だから、諦めないで……最後だなんて、バカみたいな事言わないで、ねっ?」

483: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:05:43.39 ID:i7CkCEbb0
凛「ふ、ふっ…………はぁ、はぁ……」ブルブル…

凛「二人とも……ありがとう、でも…………」


凛「やっぱり、私…………無理だよ……」

未央「!? そんな事…!」

凛「未央、ごめん……」

凛「この顔を、見て…………」ヒク…


未央「……しぶりん」


凛「私は、もう……笑えない……」ヒクヒク…

凛「ダンス、だけじゃ、なくて……アイドルとして、一番、大事な……」


凛「笑顔でさえ……誰でも、できる、こと、私……」

凛「どんどん、できなくなってるんだ……」ブルブル…

武内P「…………ッ」

484: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:08:21.96 ID:i7CkCEbb0
凛「今まで、プロデューサーも……ありがとう……」

凛「こんな、私、治る見込み、無くても……」ヒクヒク…

凛「志希と、一生懸命……付き合ってくれて、うれしかった……」

武内P「そんな事はありません。今、先生方と検討中の新しい治療法が間もなく…!」

凛「うそ……下手だよね、ほんとうに……」ブルブル…

武内P「……ッ!」


凛「誰でも、できるのに……笑顔なんて……」

凛「それすら、できないんだもの……」

凛「もう、私には、なにも……なにもない……!」ブルブル…


ガシッ

凛「……?」



卯月「誰でも出来るなんて、言わないでよ……!」

卯月「だって、私……嬉しかったもん」


卯月「凛ちゃんが、私に笑顔で語りかけてくれて、嬉しかったんですっ!!」

485: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:09:54.30 ID:i7CkCEbb0
凛「えっ……」

卯月「誰かを元気づけられたら、眩しく輝かせる事ができたら、どんなに嬉しいって…」

卯月「私や皆のおかげで、そう思えるようになったんだって、凛ちゃんが言ってくれて、
   私……!」

卯月「すごく勇気づけられたんですっ!」ジワァ…

卯月「あぁ、私みたいに、何の取り柄の無い人でも、凛ちゃんや、
   誰かを励ます事、できたのかな……」

卯月「誰かの力になる事が、私にも、できるのかなって……!!」

卯月「あの時の、凛ちゃんの笑顔がキラキラで、眩しかったから……
   ひっ、あ、あの笑顔があったから、私……!」ポロポロ…

卯月「う、うえぇぇ……!」ポロポロ…

凛「…………卯月」


未央「ッ……」グッ

未央「いよっと!」ガバッ!

凛・卯月「わっ!?」「うっ!」

486: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:12:33.86 ID:i7CkCEbb0
未央「私ね……? 前にしぶりんがこの裏庭で、一人で練習してるのを見て…」

未央「やめてほしい! とは思ったんだけどさ……実は、嬉しかったんだ」

凛「……!」

未央「ニュージェネや、シンデレラプロジェクトの事、大事に思ってくれている……」

未央「あぁ、一度言い出したら聞かないしぶりんが、戻って来たんだなぁって。
   えへへ! なんかさ、実感が沸いたっていうか」

未央「じわじわ―って心があったかくなったんだよね」

未央「だからさ? しぶりん……」


未央「お別れ以外のワガママだったら、これまで通り、いくらでも言ってよ」

未央「おしまいになんて私、絶対にしたくない……!」

未央「しぶりんが私達の事、何度突き放そうとしたって、何度でも手を繋ぎに行くよ」

未央「今度は私達が、何度でもこの裏庭に連れて行くから」


未央「また……一緒に、踊ろう?」

487: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:14:00.84 ID:i7CkCEbb0
凛「未央……う、あ……」ブルブル…


プルプル…


……




凛「………………」ツー…

凛「うん……」


凛「うん……!」ニコッ


卯月「凛、ちゃん……!」

未央「ふふ、えへへ……!」ジワッ…

未央「いい笑顔だよ、しぶりん……ね、プロデューサー?」


武内P「はい……」

武内P「とても……良い、笑顔です……」

488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:15:53.71 ID:i7CkCEbb0
~夜、病室~

凛「プロ、デューサー……」

武内P「はい」


凛「二人……かえった…………?」

武内P「はい。先ほど、お帰りになられました」



凛「そう………………」



凛「プロ、でゅ……さー…………?」

489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:16:56.26 ID:i7CkCEbb0
武内P「はい、ここです」

武内P「私は、ここにいます」ギュッ


凛「ぷ、ろ……でゅ……さー…………」



凛「ぷ……ぉぅ……さ…………」

武内P「はい、いつでもそばにいます」

490: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:17:41.14 ID:i7CkCEbb0
凛「うー…………ぁー…………」

武内P「はい、私はプロデューサーです」



武内P「私は、あなたのプロデューサーです」

武内P「これまでも、これからも、ずっと、そばに居続けます」





  どうして?

491: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:21:06.96 ID:i7CkCEbb0
「どうして……?」


  そういう仕事なの?


「そうですね……本来業務とは、言えないのかも知れません」

「ですが、私は……」

「私だけのために、一日でも長く、あなたのそばにいたいと思います」


  他の子の方がいいよ。私なんて――


「愛さない、愛されないようにする理由を、誰かのせいにしてはならない」

「それを、あなたは私に教えてくれました」


「たとえ独りよがりであろうと……私は、あなたを想い続けます」





  ありがとう、プロデューサー――


――――――

――――――――――――

492: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:21:51.35 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


チュン  チュン チュンッ…


武内P「………………」


武内P「…………!?」



武内P「し、渋谷さん…………」


武内P「渋谷さんっ!!」





武内P「渋谷さん………………」

493: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:22:32.79 ID:i7CkCEbb0
凛「  」







――――――

――――――――――――

494: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:23:54.64 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


志希「あともう少ししたら、クリスマスフェスだね」

志希「心配しないでいーよ。もうそろそろ、復帰できると思うから」


志希「卯月ちゃん達から、聞いたよ」

志希「すごく良い笑顔だった、って……」

志希「一時的に痙攣がおさまったのも、ニュージェネの二人が、
   あの子に幸福感を与えてくれて、脳内でドパミンが生成されたからなんだと思う」



志希「………………」


志希「ごめんね…………私、何も力に、なれなかった……」


――――――

495: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:24:57.82 ID:i7CkCEbb0
――――――


未央「……そっか」

未央「仕方ないよ、やる事やったんだもの。そんな事よりさ、フェスのセトリを…!」


未央「そんな事より……?」


未央「そんな、事……」

未央「なワケ……ないじゃん…………う、うぅぁぁ……!!」



卯月「頑張って、治しましょう……!」

卯月「もう一度、凛ちゃんを迎えてあげましょう、プロデューサー!」

卯月「ねっ? ぷ、プロデューサー……」


卯月「はい、って……言ってください…………」


――――――

497: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:26:35.87 ID:i7CkCEbb0
――――――


美城「先日、渋谷凛の両親が事務所を訪ねてきた」

美城「辛辣な言葉をぶつけてしまった……
   娘に親切の限りを尽くしてくれた君に、心からお詫びをしたい、と」

美城「平身低頭して、謝辞を述べて行ったよ」


美城「……君には、しばらく休暇を与えようと思う」

美城「フェスまでの代役には、外部に出向させていた彼を引き戻しておくとしよう」



美城「君は良くやってくれた」

美城「プロジェクトにおける業績だけの事を言っているのではない」


美城「自分を責めるのは、やめなさい」


――――――

――――――――――――

498: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:29:59.69 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


『……ァァアアアァァァァァァァァァァアアッ!!!』

『見て、わたし……み、みてみて、みて、みれ、みれぇ!!』

『……駄目です、渋谷さん』

『とても……とても、撮影する事はできません……』

『ウアアアアァァァァァァァァッ!!! ガァッ、アッ、アッ……』

『見て、みれぇ!! わたし、をっ!! み、み……』

『撮ってとってとってとってとっ』

ピッ!

カチ カチッ…

ピッ!



『…………』

『……それで、何喋ればいいの?』

『自己紹介って……もう、分かったよ』

『コホン…………どうも、渋谷凛です。8月10日生まれ。好きな食べ物はチョコレート』

499: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:31:26.69 ID:i7CkCEbb0
『よく分からないけれど、私は随分長い間、眠ったままだったそうです』

『これからは、寝坊しないように気をつけます』

『ハハハハ…!』



武内P「………………」



『ではぁ、さっそく…』

『あ、あぁっ!? ちょっとしぶりーん、そこはノリツッコミでしょー!』

『悪ふざけもいい加減にしなよ、未央。一応それ、病院への報告用なんでしょ?』

『えー、だからこそでしょ。元気になったぞーってアピールしなきゃ! ねぇしまむー?』



『莉嘉、大丈夫? 無理して付き合わなくていいよ』

『へ、ヘヘ……病み上がりの凛ちゃんに心配されるほど、アタシへばってないもんねー☆』

『まったく、頑固だね莉嘉は』

『それ、凛ちゃんが言う事じゃなくなーい? にゃははーっ♪』

『な、それどういう意味!?』

『アハハハハハ…!』

500: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:32:25.02 ID:i7CkCEbb0
ガチャッ


バタン…



楓「……失礼します」



武内P「………………」



楓「……やっぱり、ありますね」

楓「きっと、まだあるだろうと思って、グラス、買ってきました」

楓「凛ちゃんの誕生日に買った、ワイン」


楓「残しておくのもアレですし……飲んじゃいません?」

501: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:33:24.26 ID:i7CkCEbb0
トクトクトク…


『めーのーまえーにあーるーのーはー みちへのーとびらー♪』

『きみも! ぼくも! みんなっ!』

『おいでよーC’mon~!』

『ワアアァァァァァァァ…!!』



楓「素敵なステージですね」

武内P「………………」

楓「ふふ、心から楽しんでいるようです。凛ちゃん達も、お客さん達も」



武内P「…………あなたは、私を“親切な人”と?」

502: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:35:12.78 ID:i7CkCEbb0
楓「…………」

武内P「渋谷さんから、お聞きしました……」


武内P「命を与えて、また奪うのが、親切な事でしょうか?」

武内P「闇から拾い上げ、認識させた上で再びそこに突き落とす事が、
    親切であると言えるでしょうか」


武内P「仮初めの希望など初めから無ければ、自分が絶望の淵にいる事を、
    彼女は知らずに済んだのです」

武内P「私は、彼女に対し……死よりも残酷な仕打ちを与えてしまった」

武内P「そう思えてなりません…………」



楓「……そうですね」

楓「ある意味では、そうなのかも知れません」

503: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:37:39.31 ID:i7CkCEbb0
武内P「! …………」


楓「人は、何かを与え合い、奪い合って生きるものだと思います」

楓「結果として、凛ちゃんの命を奪ったのだとしても……」

楓「きっと、プロデューサーが凛ちゃんに与えたものだって、少なくなかったはずです」


『いいよ未央、こんな所まで撮らなくて。恥ずかしいよ』

『何言ってんのさ、この先一世を風靡するトリオ結成前の、貴重映像になるかもよー?』

『ふふ、ニュージェネなんて目じゃなくなるくらいにね』

『だから加蓮、お前なぁ…』

『えへへ。三人とも、ピースです、ピィースっ!』



武内P「……それは、詭弁です」

武内P「たとえ、どれだけ渋谷さんが掛け替えのない喜びや、
    数えきれないほどの思い出を得られたとしても、私が……」

武内P「私が渋谷さんを苦しめた事に、変わりはありません。
    まして、それが帳消しになる事など……!」


楓「凛ちゃんは、どうだったでしょうか?」

504: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:38:53.50 ID:i7CkCEbb0
武内P「えっ……」

楓「凛ちゃんは、プロデューサーから何を得て、何を与えたのでしょうか」


『業火に灼かれし欲望が今、我が前に来たれり!!』

『らんらんハンバーグ大好きだよねぇ。プロデューサーもいいよ、先食べて食べて』

『そ、それではすみません。お先に失礼します』

『にょわーっ! Pちゃんすっごい食べっぷり!』



楓「掛け替えのない喜びや、数えきれないほどの思い出を得たのは、
  凛ちゃんだけでしょうか?」

楓「そんな事はありません。プロデューサーが、大切にしてあげられる限り……」

楓「凛ちゃんが与えてくれた命はずっと、生き続けていくはずです」

505: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:40:06.86 ID:i7CkCEbb0
武内P「………………」



『プロデューサー、口にソース付いてるよ』

『えっ、あ……ありがとうございます』

『ヒューッ!』

『ふふ。まるで二人は、オシドリ夫婦、ですね?』

『ちょ、な、何言ってるの!? そんなんじゃないから!!』

『凛ちゃん、顔赤いよー? 熱あるのー?』



楓「……プロデューサーは、親切な人です」

楓「だって、プロデューサー……こんなにも、凛ちゃんのために苦しんでいます」

506: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:41:12.38 ID:i7CkCEbb0
楓「…………」スッ


ガチャッ  バタン…



ポタッ…


武内P「………………ッ」グッ…





『……あのさぁ、突っ立ってないでこっち座ったら?』

507: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:43:26.18 ID:i7CkCEbb0
『あまり、私が偉そうに言える立場じゃないけどさ……』

『人が好きだっていうんなら、ちょっとはそういう態度を表に出してくれたって、
 良いんじゃないのかな』

『あっ、いや、私にって訳じゃなくてさ!』

『誰かに拒絶されるのが怖いって……そうやって人のせいにするの、ズルいと思う』


『好きなら、もっと気にせず歩み寄ってあげても、良いと思うんだ』

『あの…………か、楓さん、とか?』

『もちろん、他の誰か…………み、皆にでも、良いと思うけど……』

『……ぜひ、前向きに検討させていただきます。ありがとうございます、渋谷さん』

『えっ!? あ、いや、私なんて別にどうだって…』

『スミマセーン! シャシンノ チェックヲ オネガイシマース!』

『かしこまりました』


『…………はぁ、何言ってんだろ私』

『? あれ……』

『付いたままだ……どうやって消すんだろう、これ』



『…………コホン……えー』

508: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:46:30.33 ID:i7CkCEbb0
『こ、こんにちは』

『ってあーもう、何だかさっきから調子狂うなぁ……』


『……私が言いたかったのは、もっとプロデューサーは、自分本位になって良いんだって事』

『自分の思うようにしたいって願うのは、エゴでも何でもないよ』

『好きになりたい人がいるなら、自分の気持ちを大切にするべきなんじゃないかなって』


『……何偉そうに説教してんだろう。ごめん』

『でもさ、皆はもっと、プロデューサーと仲良くしたがってるんだよ? だから…』

『……なんて。皆のせいにするの、ズルいよね』


『私だって、もっとプロデューサーと、色々な思い出を築いていけたらって、思う』

『手は、繋ぐために、あるんだって思うから……』


『……えー、もう。何言ってんだろう、本当……あ、あのさ、ところで…』

『実は、この間のライブの帰りに見つけたジュエリーショップで、
 こっそり注文していたヤツがあって…』

509: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:48:57.21 ID:i7CkCEbb0
『あ、いや、プロデューサーのじゃないよ? 絶対似合わない…』

『あぁいや! そういうの、プロデューサーどうせ付けないの、分かってるし……』


『楓さん用に、ブローチを買ってあるんだ』

『未央が言い出した馬鹿みたいな企画に、つい乗っかっちゃってさ。
 アイオライトって、知ってる?』


『いつか取りに行って、プロデューサーに渡すからさ……
 何かの機会に、食事にでも誘ったら? 楓さん、喜ぶと思う』

『大人な楓さんには、似合わないかも知れないけど……
 そんなに高い物じゃないし、もしダメそうだったら、捨てちゃっても構わないから』


『あの……応援、してるから。未央達だけじゃなくて……私も、本当…』

『お待たせしました、次の撮影を…』

『! ……はッ』

プツッ


――――――

――――――――――――

510: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:50:28.48 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


ガチャッ…

同僚P「ふむふむ、セットリストはこんな所だな。それと合同曲の編成だが…」

智絵里「あっ……」

同僚P「……?」クルッ


同僚P「おう……待ってたぜ」

同僚P「お前が素直に有休を消化しきるとは思っていなかったからな」

同僚P「その様子じゃ、何か皆に話したい事、あるんだろ?」


未央「プロデューサー…………!」



武内P「お疲れ様です、皆さん」

511: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:53:53.83 ID:i7CkCEbb0
武内P「……素晴らしい夏でした」

武内P「我々にとって、命の甦りと無垢なる喜びに満ちた、奇跡の夏でした」


武内P「しかし、魔法が解けた先に待っていたのは、重い現実でした」


武内P「薬の副作用のせいだと、決めつける事は簡単です」

武内P「元々、判例が少ない病気です。原因不明の特異な症状が起きてしまった、とも」

武内P「しかし、実際の所……我々の選択は、何が正しくて、間違っていたのか、
    未だに分かっておりません」

一同「…………」


武内P「ただ一つ言える、確かな事は……」

武内P「この治療によって、一つの目覚めがあった事です」

武内P「人の持つ優しさは、どんな薬よりも強く、人を動かすものであると……」

武内P「その心をこそ、大切にしなければならないのだと、気づかされました」

512: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:55:41.72 ID:i7CkCEbb0
武内P「改めて思い出しましょう。人生とは喜びであり、尊い贈り物であると」

武内P「仕事、趣味、友人、家族……
    何よりも大切なものに感謝し、寄与して、手を取り合いましょう」

武内P「それに目覚めさせてくれた、彼女のために……」


武内P「綺麗事であるのは、分かっています」

武内P「しかし、綺麗事で終わらせるつもりはありません」

美波「プロデューサー……」


武内P「これまでも、これからも……彼女はシンデレラプロジェクトの、メンバーです」

武内P「彼女が再び目覚める日まで、皆さんの力を貸してください」

武内P「今後とも、どうかよろしくお願い致します」ペコリ


パチ…

パチパチパチパチ…!


卯月「プロデューサーさん……また一緒に、頑張りましょうね」ギュッ


――――――

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513: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:57:05.31 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


ワアアアァァァァァァァァァァァ…!!!! パチパチパチパチパチ…!!

美嘉「みんなぁーーー!!! 今日は来てくれてー、本当にありがとーーっ!!!」

愛梨「これからも、私達346プロをー!!」

「よろしくお願いしまーーすっ!!!!」

ワアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ…!!!!



裕子「サイキック・クリスマスフェス!! 大・成・功、でしたねっ!!」ボキィッ

奈緒「変えるなよ名前を。そしてスプーン折れてる!」

きらり「幸子ちゃーんっ!! 今日の幸子ちゃんも最高にかわいかったにぃ☆」ボゴォッ!

杏「きらり、それたぶん幸子死んだよ」

515: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 04:58:56.04 ID:i7CkCEbb0
未央「さ、て、と!! それじゃあ打ち上げ行きましょうかねー!!」

一同「おぉーーっ!!」

李衣菜「ジォジォ苑に行ってみない!? 一度は私、行ってみたいなぁって!」

同僚P「お、おーい、その店高いから普通の焼肉屋さんにしようよ」

かな子「おいしいから大丈夫ですよー」ニコニコ

同僚P「何一つ大丈夫じゃねぇよ!! 俺今手持ち無いんだって!」

加蓮「カードくらい持ってるでしょ? 手持ちが無くても払える魔法のカードをさ」

同僚P「翌月になると魔法が切れるの! 本当助けて…!」


同僚P「あ、あれ、アイツどこ行った!?」キョロキョロ…

周子「あぁ、あの人ならまだ中に……」


卯月「今日はたぶん、お邪魔しちゃ悪いと思いますよ? えへへ」

516: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:00:11.46 ID:i7CkCEbb0
武内P「本日はどうも、お疲れ様でした」ペコリ

スタッフ「お疲れ様でしたー! いやー346プロさんの子達ホント良い子っすねー!」

武内P「ありがとうございます。ぜひ、今後ともご贔屓に」


楓「プロデューサー、あのー……」

武内P「あ、高垣さん……」


楓「いえ……お先に、失礼しますね」

武内P「はい」

楓「…………」ペコリ

スタスタ…


スタッフ「あぁ、あとニューイヤーライブもありますよね? そっちの段取りもそろそろ…」

武内P「えぇ、そうですね……」


武内P「………………」



武内P「……それはまた、次の機会に。失礼致します」クルッ

ダッ!

517: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:01:59.33 ID:i7CkCEbb0
スタスタ…

楓「…………」



武内P「た、高垣さんっ!!」


楓「!?」クルッ


武内P「はぁ、はぁ……す、すみません。急に呼び止めてしまって」

楓「い、いえ……」


武内P「今日は、クリスマスですので……」ゴソゴソ…

楓「……?」

武内P「実は、これを……あなたに、渡したくて…………」スッ

パカッ


楓「! ……ブローチ…………」

武内P「きっと、お似合いになるかと」


楓「嬉しい……!」

518: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:03:03.76 ID:i7CkCEbb0
武内P「そ、それと……今日は、その……」

楓「?」

武内P「何かご、ご予定は……もしあるなら、その、いいのですが……」


楓「? ……いえ、この後は何も」

武内P「な、何も……?」

楓「えぇ」

武内P「何も、な、無いなら……もし、良かったらで、良いのですが……」

武内P「私達……つまり、わ、私と、かっ、か……」


武内P「楓さんと……一緒に、どこか……!」

楓「…………!!」パァッ

武内P「ちょっとだけ、どこかに……」



早苗「おーい、お二人さーーん!?」

楓・武内P「!?」ビクッ!

519: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:04:27.61 ID:i7CkCEbb0
早苗「なぁに抜け駆けしようとしてんのー? あたし達も混ぜなさーい!」

瑞樹「あーあ、絶対良い雰囲気だったのにぶち壊してもう」

早苗「何言ってんのよ、楓ちゃんはあたし達の後継者としてじっくり育ててやるんだから」

瑞樹「何よ後継者って! それに私は入ってないわよ!?」


楓「……ふふっ、それじゃあ皆で行きましょうか」

武内P「えぇ、さっそくお店を探し……っ!?」グイッ

楓「ふふふっ♪」グイーッ


早苗・瑞樹「おっ?」「まぁ」

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:05:25.80 ID:i7CkCEbb0
楓「美味しい鳥のお刺身を出してくれるお店があるんですっ」

楓「鳥刺しをつっつき合うの、ひトリでは出来ませんから、
  今夜はトリあえず、朝まで付き合ってくださ~い♪」ルンルン

武内P「は、はぁ……え、朝まで、ですか?」

楓「もちろん。日本酒、お好きでしたよね?」ニコッ


早苗「あちゃー……P君、ご愁傷様」

瑞樹「あれはヤバイわね。いざって時は、私達で二人を介抱しましょう」

早苗「はーい、やれやれ……」


楓「ふふふっ、今日は深酒しますよー♪」

武内P「お、お手柔らかに……」


――――――

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521: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:07:21.66 ID:i7CkCEbb0
――――――――――――

――――――


志希「……『つぼみ』」

武内P「他のメンバーは現在検討中ですが、この曲は、あなたにこそふさわしいかと」

志希「ふふっ……『Bu-DOPA』の“Bud”、って事?」


志希「すごく嬉しい、けど……この曲、あたしには歌えないや」

志希「なぜかとゆーと、志希ちゃんこれから失踪するから♪ にゃははーっ!」

武内P「えぇ、お待ちしております」

志希「……人の話聞いてる?」


武内P「お父様に、会いに行かれるのですね?」



志希「……年末年始は里帰り、ってのがこの国の風習でもあるじゃない?」

志希「どこにいるのか見当もつかないから、世界中を探し回る事になりそうだけどさ」


志希「やっぱり、ダッドにちゃんとこれまでの事、話したいんだ」

志希「それに……凛ちゃんを助けるための知恵を、あの人からも借りたい」

522: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:09:27.59 ID:i7CkCEbb0
志希「研究の事だけじゃなくて、こっちでの生活、アイドルの仕事、私の未熟さ……」

志希「皆と出会えて考えたり感じた事、全部を……怒られるかも知れないけどね」

武内P「きっと、それが良いのでしょう」

志希「そう思えたのも、キミのおかげだよ」


武内P「この事は、皆さんに?」

志希「美波ちゃんと、卯月ちゃん未央ちゃんには伝えといたよ」

志希「それと……チアフルボンバーズの三人と、フレちゃんには謝っておいた」

志希「あたしのエゴで、皆の事、利用してしまって、ごめんって……英語でさ」

武内P「皆さんは、何と?」


志希「うん……ちゃんと、日本語で話せば良かったなぁ。何で素直に謝れなかったんだろう」



志希「…………ぷふ。くくく……!」

523: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:11:19.93 ID:i7CkCEbb0
茜「志希さんっ!! ここは、日本です!! 日本語で話しましょうっ!!!」

フレ「あーいいのいいの茜ちゃん、これフレ語だから」

茜「えっ!? フレデリカさんには今の言葉が分かるんですか!?」

フレ「んー、グッドとナイスと、あとフレンドってのは分かったよー? うん♪」

茜「ペラペラですねっ!!」


智香「志希ちゃんが謝った意味……未央ちゃんから聞いてて、何となく分かっちゃいました」

智香「アタシ達に対して、申し訳無いなんて気持ち、持たなくて良いんです。だって…」

智香「誰かを応援したい、助けたいって気持ちに、嘘なんて無いんだからっ!」

友紀「そうそう! あたし達を利用するだなんて、そんなのいくらでもばっち来いだよ!」

フレ「シキちゃんはアタシに良いコトとか、楽しいコトしかしないからねー。
   だから、よく分かんなくても、まいっかシキちゃんだし♪ ってなれちゃうの」

茜「やる事は常に一つ!! 志希さんも私達も、共に頑張りましょうという事だけです!!」


一同「いっちーのせぇー、しーきっ!!」「ボンバァァァァッ!!!」ドンガドンガ!

一同「かっせぇーかっせぇーしーきっ!!」「ボンッバァァァァァッ!!!」ドンガドンガ!



志希「にゃはははーっ!! How crazy they are, you know?」

武内P「ふふ、そうですね」

524: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:12:41.25 ID:i7CkCEbb0
志希「ふぅ……さってと、じゃあそろそろ行くね?」

武内P「えぇ。行ってらっしゃい、志希さん」

志希「……I'll see you when I see you.」

武内P「We'll be right here.」

志希「Should've known♪」

ガチャッ

バタン…



ガチャッ

みく「おはようございますにゃー」

武内P「おはようございます、みくさん」

みく「へっ?」

みく「……ま、まぁいいや」


みく「さっき、大きな荷物持った志希ちゃんとすれ違ったけど、どこかお仕事?」

武内P「えぇ。失踪すると」

みく「は!?」

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:15:57.39 ID:i7CkCEbb0
【経過報告】


美波「スターチス……とても綺麗な花ね。ありがとう、まゆちゃん愛梨ちゃん」

愛梨「花言葉は、“変わらぬ誓い”だそうです。ね、まゆちゃん?」

アーニャ「マユが選んだのですか? リンもきっと、喜びます」

まゆ「お花はまゆも大好きですから。うふふ」


  あれからいくつもの季節が流れ――


奈緒「おーいプロデューサー。外で楓さんが待ってるけど良いのかー?」

武内P「りょ、了解しました、奈緒さん。今日もですか……」

ちひろ「頑張ってきてくださいね? これ、ウコン入りのエナドリです☆」コトッ


  いくつもの喜びや思い出が生まれていった。


フレ「見てみてー! シキちゃんからメール来たよー!」

周子「おー、元気そうなん? どれどれ……おうふ、ぜーんぶ英語っ」

美嘉「写メを見るに、この人がお父さんなのかな。どんな内容か分かる、奏?」

奏「たぶん、英語は彼女の照れ隠しなのでしょうね……『Bu-DOPA W』って何かしら」

フレ「笑ってるし、何でもいいんじゃない? 嬉しそうだねーシキちゃん!」

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:18:10.87 ID:i7CkCEbb0
  今でも私は、彼女の治療に携わっている。


菜々「新メニューです!
   その名も『ナナ特製バナナとサツマイモのスムージー~No Fate,USAM…」

雫「つまり、“ナナ特2”って事ですねー」ジュー…

瑞樹「アンチエイジング尽くしね、わかるわ」デュー…


  しかし、美城グループ附属病院の非常勤スタッフではなく、一個人として。


ワアアアアァァァァァァァァァ…!!

ファンA「ニュージェネの二人、バラードも最高だなー! 『心もよう』いいわー」

ファンB「ライブの時、イヤリング片耳ずつ付けるようになったのって、お前気づいてた?」

ファンA「えっ? あ、本当だ、いつからだろう。まいっか、未央ちゃーん!!」



未央「お疲れっ! 今日もバッチリだったでしょ、プロデューサー!?」

武内P「はい、未央さん、卯月さん。良い笑顔です」

卯月「えへへへ。それが私達の取り柄ですから!」ブイッ!


未央「今日も病院行くんでしょ? じゃあこの花束、しぶりんにあげといて!」

卯月「私からはコレです! まだ病室に持って行ってない写真をまとめておきました!」

527: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:20:17.00 ID:i7CkCEbb0
武内P「ありがとうございます」ニコッ


  彼女は、あの時以来、まだ目覚めた事は無い。



武内P「お疲れ様です。凛さん」

武内P「今日も、皆さんからいただいた、あなたへのお土産がたくさんございます」

武内P「お話したい事も、たくさん」



  今は、まだ――



武内P「自分の名前を呼ばれたと思ったら、私の手を、握り返してください」

武内P「さぁ、始めましょう」


~おしまい~

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/20(日) 05:27:52.80 ID:i7CkCEbb0
タイトルと大まかなプロットの元ネタは、オリバー・サックスが著した
同名の医療ノンフィクションを基とする洋画『レナードの朝』(原題:Awakenings)です。
ただただ長くなってしまった上、医療関係のシーンや英語等、たぶん合っていない描写も
多い事と思います。すみません。

元ネタの映画は、ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズの演技が素晴らしい名作です。
このSSではとてもその魅力を伝えきれておらず、プロット自体もあまり正確ではないので、
まだご覧になった事の無い方は、この機会にぜひご覧いただければと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、失礼致します。