前回 服部瞳子「彼に連れられたバーで過ごす十月十一日」

2: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:10:35.36 ID:a8FAXer40

ガチャ

肇「準備は出来ていますか?」

P子「う、うぅ……緊張してきた……」

肇「……P子さん?」

P子「そ、そうだ、こういう時は手のひらに『人』って……」

肇「P子さん」トン

P子「ひゃあああっ!? ……あ、お……じゃない、プロデューサー……」

肇「緊張するのも分かりますよ、初めてのLIVEバトルですからね」

P子「……はい……ダメですね、私……こんなんじゃ……」

肇「……そんなことはありませんよ。最初は誰だってそうです。もちろん、私も」

P子「……プロデューサーも?」

引用元: モバP・藤原肇「「二人で過ごしたあの時のそれから」」 


 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 06 Love∞Destiny
歌: 佐久間まゆ(CV:牧野由依)、北条加蓮(CV:渕上舞)、小日向美穂(CV:津田美波)、多田李衣菜(CV:青木瑠璃子)、緒方智絵里(CV:大空直美)
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3: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:12:04.44 ID:a8FAXer40
肇「はい。最初のLIVEバトル前は控え室でずっと人の字を書いていました」

P子「……その時の相手って、どなただったんですか?」

肇「あの時の相手はみくちゃんでした」

P子「みく……ええぇっ!? みくって、あの伝説の猫ドル、前川みくさんですか!?」

肇「ええ。開始前に挨拶に伺ったんですけれど、本番以上に明るい方でしたよ」

P子「へぇ……それでその時はどっちが勝ったんですか?」

肇「それは私です。まあ、すごく僅差でしたけどね」

P子「あの……その時のお話、詳しく聞いてもいいですか?」

肇「ええ、いいですよ。あれは何年前の事でしたか……」

P子「…………」

4: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:12:51.03 ID:a8FAXer40
――――

P『すいません、CGプロの者です』

みくP『どうぞ』

P『初めまして、CGプロのPと申します。こっちは担当アイドルの……』

肇『藤原肇です。本日はよろしくお願いします』

みくP『これはご丁寧に。222プロのみくPです、こちらこそよろしく』

肇『……あの、本日LIVEバトルのお相手をして下さる方は……』

みくP『ああ、みくなら弁当を取りに行ってますよ。そろそろ戻る頃……』

前川みく『ふにゃあああああああ! Pチャアアアアアアアアアン!!』

P・肇『『!?』』

みくP『お、帰ってきたな』

5: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:13:45.56 ID:a8FAXer40
みく『ちょっとPチャン! 何でみくのお弁当にお魚が入ってるにゃ!?』

みくP『えーおっかしーなーちゃんと手配したのになー(棒)』

みく『その口調! またみくをいぢめて楽しんでるにゃ!』

みくP『いやいや違うんだよ、みくが完璧な猫ドルとなるために魚嫌いを克服させてやろうと……』

みく『白々しいにも程があるにゃ!! ……にゃ?』

P『…………』

肇『あ、ど、どうも……』

みく『Pチャン、この人達はどちら様にゃ?』

みくP『ああ、今日のLIVEバトルの相手の藤原肇さんだよ』

肇『よ、よろしくお願いします』

6: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:14:34.06 ID:a8FAXer40
みく『ああ、そうだったのにゃ。今日のLIVEはよろしくにゃ、肇チャン』

肇『は、はい。お手柔らかにお願いします』

みく『にゃはは、そんなカタくならなくてもいいにゃあ』

肇『は、はい……』

みくP『じゃあみく、俺とPさんはこっちで話してくるから。肇さんと仲良くな』

P『また後でな、肇』

みく『まっかせるにゃー♪』

肇『はい、また後で』

みく『…………さて、何をお話するかにゃ?』

肇『えっと、どうしましょうか……?』

7: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:15:49.92 ID:a8FAXer40
みく『肇チャンはどこの出身なのにゃ? ちなみに、みくは大阪にゃ!』

肇『私は岡山の出身です』

みく『あら、案外近いのにゃ』

肇『確かに、そうですね』

みく『岡山といったら……やっぱり桃太郎が有名かにゃ?』

肇『そうですね。あとは……備前焼とか』

みく『びぜんやき…………それ、美味しいのかにゃ?』

肇『た、食べ物ではありません……焼き物です』

みく『あー、お皿とかそっちの方だにゃ』

肇『はい、それです。おじい……祖父が備前焼の職人で』

8: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:16:48.28 ID:a8FAXer40
みく『うーん……』

肇『どうかしましたか、みくさん?』

みく『ちゃんでいいにゃ。それよりも……肇チャン、なんかカタいにゃあ』

肇『カタい……ですか、よく言われまふぁ!?』ブニー

みく『もっとこーやって、ふにゃって笑ってみるにゃ』

肇『あ、あの、頬っぺたをひっぱるのは……』

みく『……よーし、ちょっとは柔らかくなったにゃ』

肇『へ……?』

みく『さっきみたいなカタい表情じゃ、とーてーみくには勝てないにゃ♪』

肇『……じゃあ今のは、私の緊張をほぐすために……?』

9: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:17:37.30 ID:a8FAXer40
みく『みくはアイドルとして先輩だから、後輩の面倒を見るのは当たり前なのにゃ♪』

肇『……ありがとうございます』

みく『礼には及ばないにゃ。それよりも、今日のLIVEはお互いに手加減無しだにゃ?』

肇『……はい』

P『肇、準備いいか?』

みくP『みくー、行くぞー』

みく『肇チャン、負けないにゃあ!』

肇『……こちらこそ!』

司会『さぁー、それでは対決するアイドルのご紹介! まずは222プロから、前川みくー!!』

ワァァァァァァ・・・

10: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:18:27.20 ID:a8FAXer40
――――

肇「……とまあ、先輩の胸を思い切り借りて、緊張をほぐしてもらったわけです」

P子「ほお…………」

肇「……P子さん、どうかしました?」

P子「ありがとうございますプロデューサー。その話聞いてたら、なんだか緊張が吹き飛びました」

肇「そうですか?」

P子「はい。いわば私も、プロデューサーという先輩の胸を借りて、気が楽になったみたいです」

肇「それは良かったです。じゃあ、この後のLIVE、頑張れますね?」

P子「もちろんです!」

肇「よろしい。では、そろそろスタンバイしましょうか」

P子「はい!」

11: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:19:07.93 ID:a8FAXer40
司会「さぁー、今日も始まりますLIVEバトル! 今回は特に注目のカードだぁ!」

ワァァァァァァァァァァァァァァ

司会「なんと! 両者母親がアイドルでしかも同じ事務所の同期! まさに因縁の対決だぁ!」

ウオォォォォォォォォォォォォォ

司会「早速ご紹介しましょう! まずは母はあのトライアドプリムスリーダー! TPプロ所属、渋谷蒼ー!!」

蒼「…………」ペコリ

ウオォォォー! アオチャーン!!

○AO SHIBUYA Cool ☆☆

蒼「今日は、この会場に足跡を残しに来ました。……よろしく」

イェェェェェェェェェェェェェ

12: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:19:45.20 ID:a8FAXer40
司会「対しますは、母はかの【夜桜小町】にして現担当プロデューサー! CGプロ所属、藤原P子ー!!」

P子「……はいっ!」

ピーコォォォォォ!! ウワァァァァァァァァ!!

○PIIKO FUJIWARA Cool ☆☆

P子「えっと、私にとってこれは初めてのLIVEバトルです。皆さん、応援よろしくおねがいします!」ペコッ

ウォォォォォォォォォォォォォ

蒼「……ふーん、君が私の対戦相手か」

P子「っ!? ……な、何でしょう……?」

蒼「いや、悪くないなって思ってね。さあ、最高のLIVEにしようね!」

P子「…………はいっ!!」

13: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:20:33.57 ID:a8FAXer40
肇「お疲れ様」

P子「うう、負けちゃいました……」

肇「でもかなり僅差だったじゃないですか。P子は頑張ってましたよ」

P子「……プロデューサー……」

肇「ふふっ。……もうお仕事は終わったから、お母さん、でいいんですよ?」

P子「ま、まだ慣れなくて……あはは……」

肇「ふふ、今日の悔しさをバネにして、また明日からレッスン頑張りましょうね」

P子「はい、頑張ります!」

Prrrrr Prrrrr

肇「あ、電話。……もしもし」

14: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:21:17.03 ID:a8FAXer40
P『あーもしもし肇。お疲れ様、P子頑張ってたな』

肇「ああ、Pさん」

P子「え、お父さん?」

P『お、P子か。ちょっと代わってくれ』

肇「分かりました。はい、Pさんが代わってくれって」

P子「うん。……もしもしお父さん? ごめんね、負けちゃったよ」

P『ああ、テレビで見てたよ。なに、気にする必要は無いさ。負けたといっても僅差だったろ?』

P子「うん、今お母さんにそう励まされた」

P『何だ、先越されてたのか』

肇「ふふっ」

15: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:21:56.22 ID:a8FAXer40
P『聞こえてるぞ肇。まあともかく、今日は頑張ったからな。夕飯はP子の好きな物作ってやる』

P子「ほんとに!? やったあ!」

P『楽しみに待ってろよ。それじゃあ、母さんに代わってくれ』

P子「はーい。お母さん、代わってって」

肇「はい。……ほんと、子煩悩ですよねPさん」

P『お前には負けると自負してるがな』

肇「ふふっ。それはそうと、明日は覚えてますか?」

P『20回目の結婚記念日だろ? 言われるまでも無いって』

肇「楽しみにしてますね?」

P『分かってるって』

16: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:22:43.76 ID:a8FAXer40
P『にしても、お前が毎年しっかり覚えてるから、サプライズが出来た試しが無いな』

肇「ふふっ、大事なことはなかなか忘れない性質なので」

P『……まあいいか。じゃあ夕飯作って待ってるからな』

肇「はい、急いで帰りますね」

P『ああ。……愛してるよ』プツッ

肇「っ!? ……ぴ、Pさん……?」

P子「お母さん?」

肇「……不意打ちは卑怯ですよ、Pさん……」

P子「お母さーん?」

肇「……こほん、何でもありません。帰りましょうか、P子」

17: ◆JZ7iYv4mkA 2013/10/18(金) 00:23:22.75 ID:a8FAXer40
P子「ねえねえお母さん。ちょっと聞きたいんだけど」

肇「何ですか、P子」

P子「お母さんとお父さんの馴れ初め。気になるなあ」

肇「ふふっ、いいですよ。どこから話しましょうか」

P子「お母さんは何て言われてお父さんにスカウトされたの? そこから聞きたい」

肇「いいですよ。あれはそうですねぇ……」



おわり