2: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:42:10.18 ID:KUhMDSzKo
~☆

ー円環の理ー


沙々「あー、暇ですねー」ダラダラ


ピンポーン


沙々「おや、新入りですか」


沙々(うーん、いつもならこっそり仕事から逃れるよう動くんですが)

沙々(暇ですし、先輩としていびり倒して遊びましょう)


沙々「あのー、聖カンナ人事部部長」

沙々「今回の新人の担当は、わたしって事にして頂けませんか?」


カンナ「勝手にしろよ」


沙々「じゃあお言葉に甘えて勝手にやりますね」

沙々「はいはーい、まずはお名前をどうぞー」

引用元: なぎさ「チーズが食べたいのですー!」 沙々「くふふ、わたしに任せなさい」 


 

3: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:43:31.47 ID:KUhMDSzKo


なぎさ「はい!百江なぎさです!よろしくお願いします!」ペコリ


沙々(えっ、幼女?)

沙々(うわー、めんどっくせー……)


沙々(新入りがガキの場合だと厳しいんですよねぇ)

沙々(ハラスメントが行われてないかのマドカチェック)


沙々(今から任務を放棄するのは?)


カンナ「……」ギロッ


沙々(あっ、無理ですね、これ)

4: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:44:40.69 ID:KUhMDSzKo


沙々「なぎさちゃんですかー!いいお名前ですねー!」ニコォ


なぎさ「はいですー!」ニコニコ


沙々(この年頃の子供って声でかかったり、空気読まなかったりで嫌いなんですよねー)

沙々(ああー、めんどくせ)


沙々「それじゃあ職務内容と円環の理の案内から始めましょう」

沙々「マドカさんにはもうお会いになりました?」


なぎさ「えっと、導かれる時にちょっとだけって感じです」


沙々「じゃあまず、そっちから行きましょうか」

5: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:46:08.71 ID:KUhMDSzKo
~☆


なぎさ 沙々「…………」


沙々(なんか喋れよ……、無茶苦茶気まずいじゃないですか……)


なぎさ「あのー」

なぎさ「円環の理のお仕事って大変なんですね」

なぎさ「数多の平行世界の魔法少女の救済、秩序の保持」


なぎさ「わたし、ここでやっていけるかちょっと不安になっちゃいました」

なぎさ「だって、時間を遡ってのお仕事もあるみたいじゃないですか」

6: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:47:41.40 ID:KUhMDSzKo


沙々「なに、大丈夫ですよ」

沙々「これでもわたし達が担当してるのは全体のごく僅かなんです」

沙々「マドカさんっていうチートが、ちゃんと機能してる限り心配いりません」


沙々「長い年数働けば昇格、そしていずれは引退できます」

沙々「後は悠々自適な円環の理ライフをエンジョイです!」


沙々(まあ、生前の善行悪行で勤務年数変わりますけどね……)

沙々(美樹さやかとかいう明らかな贔屓人事もありますし……)


なぎさ「沙々さんはどれくらい昇進したんですか?」


沙々「昇進?した事ありませんよ」


なぎさ「あれー?」

7: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:49:08.52 ID:KUhMDSzKo


沙々(仕事を基本避けられるだけ避けてますからねー)

沙々(一説には織莉子専務の妨害とやらもあるらしいですが)

沙々(なんにせよ、下の方が楽なので、それが一番ですね)


沙々「何かわたしにしてほしい事ありますか?」

沙々「特別に導かれた記念……、って言い方はおかしいですけど」

沙々「一つだけ言う事を聞いて上げますよ?」


沙々(ひとまずここで好感度をあげておきましょう)

沙々(人脈を広げておくのは有用ですからね) 


なぎさ「……うーん、そうですねー」

なぎさ「チーズが食べたいのです!」


沙々「えっ?」

8: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:50:16.45 ID:KUhMDSzKo


なぎさ「なぎさはチーズが食べたいのです!」キラキラ


沙々「そ、そうですか」


沙々(チーズ……?)

沙々(食べ物が円環の理にあるわけねーだろ!)


なぎさ「それともやっぱり、できないんですか?」


沙々「な、何を言ってるんですか」

沙々「わたしの手にかかればそんな事造作もないですよ!」


なぎさ「やったー!」

9: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:51:33.04 ID:KUhMDSzKo


沙々(し、しまったあああああ!)

沙々(……ええい、こうなってしまっては仕方ないです)

沙々(ちょっと卑怯ですが、やってやろうじゃないですか)


沙々「なぎささん、まずはわたしの目をじっと見つめてください」


なぎさ「はいなのです!」


なぎさ 沙々「…………」ジー


沙々「そして、ハイ、と合図をしたら目線を下に向けて」

沙々「わたしの差し出した両の掌の中を見てください」

沙々「そこにはチーズがあります」


沙々「ハイ!」

10: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 08:53:32.18 ID:KUhMDSzKo


チーズ「」チョコン


なぎさ「うわぁー!本当にチーズだぁー!」


沙々(傍から見ると、このやり取り凄いバカっぽいでしょうね)


なぎさ「た、食べても良いのですか?」


沙々「ええ、もちろんですとも」

沙々(わたしにとっては見えも感じもしない、ただの空気の塊ですし)


なぎさ「では、失礼して」モグモグ


なぎさ「…………!」


なぎさ「うっ……、ううっ……」ポロポロ


沙々「!?」

11: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 09:03:25.93 ID:KUhMDSzKo


沙々「ど、どうして泣き始めるんですか!」


なぎさ「初めて食べた、チーズと全く同じ味がするのです……」

なぎさ「それが凄い、嬉しくて……」


沙々(そらまあ、自分の記憶を食べてるような物ですし)

沙々(一番おいしいと思ったチーズが出てくるのが当然じゃないですかね)


沙々「初めてチーズを食べたのって、いつ頃なんですか?」

沙々「わたしは正直覚えてないんですけど」


なぎさ「……なぎさはですね」

なぎさ「病気の治療のせいでチーズが食べられなかったのです」

なぎさ「わたしにとってのチーズは、楽しく元気に生きられる事の象徴でした」


なぎさ「そんな中、キュゥべえがひょっこり現れて――」


沙々(あれ……?思ってたより話が重い……!?)

12: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 09:05:23.77 ID:KUhMDSzKo
~☆


沙々「行くんですね」


なぎさ「はい、なのです」


沙々「おめでとう。大出世じゃないですか」

沙々「特別任務を授かった奴なんて、わたしの記憶には他にいませんよ」

沙々「まあ、美樹さやかはマドカさんのお気に入りなので、特別ですが」


なぎさ「別になぎさが凄い訳ではないのです」

なぎさ「ただ丁度その時間の『少し前まで』見滝原にいた事」

なぎさ「これがわたしがこの任務に抜擢された理由ですから」


沙々「それでも幸運ですよ、そういう機会が回ってきたのは」

沙々「厳密に言えば、現実とは違うんでしょうけど」

沙々「楽しめるだけ楽しんでくると良いです」


なぎさ「ええ、そのつもりです」

なぎさ「お土産をここに持って帰れないのが残念ですが」

13: ◆2DegdJBwqI 2013/10/27(日) 09:06:23.12 ID:KUhMDSzKo




       なぎさ「なぎさは本当のチーズをまた食べるため、行ってまいります!」





終わり