1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 14:18:21.70 ID:s1Y+wmB1o

いやいやいや

それだけ? えっ、それだけなの? はるる~ん……

なんて文句を言いたいところだけど

「んっふっふ~、流石真美って感じ~?」

そこはまぁね

そんな小さいこといちいち言ってたら

私がツッコミ疲れて死んじゃうよ

「私なんて告白されたこともないよ」

「それはそうっしょーはるるんだし」

「否定できないんだけどさ……できないんだけどさぁ……」

んっふっふ~

しかしそれはラッキーですぞ

双海真美が天海真美になるチャンス

もしくは双海春香にするチャンスだねぇ?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382851101

引用元: 真美「実はまた告白されちゃったんだよねー」 春香「そっか、モテるんだね」 


 

アイドルマスター 双海亜美&双海真美 1/8スケール ABS&PVC製 塗装済み完成品フィギュア
ファット・カンパニー (2017-01-31)
売り上げランキング: 17,725
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 14:32:50.21 ID:s1Y+wmB1o

「ねぇはるるん」

「ん?」

「このモテモテな真美に従うつもりない~?」

「うん、ない」

「え゛」

まさかの即断!?

内気な人には積極的に行くのがベストって

「私は別にモテモテになりたいわけじゃないし」

「えー」

「あの人って、決めた相手に好きになってもらえれば。それで」

一途だーっ! 超一途だよ!

でも……ちょっと困った笑顔

望み薄だって考えてるのかな

だれなんだろ、はるるんの好きな人

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 15:26:26.03 ID:s1Y+wmB1o

「もし、嫌いって言われたら?」

「やだなぁ。考えたりしないよ……というか、考えたくない。かな」

「どうして?」

「だって、それって一番最悪な結果だし」

はるるんは可愛いなぁ

私には敵わないけどね

「はるるんってさ」

「なに?」

「……いや、なんでもないよ。ピヨちゃんみたいになりそうって思っただけで」

「言っちゃってるよ!? しかも結構ひどい!」

「んっふっふ~生き遅れるちゃうよ~?」

「だ、大丈夫だよ! ちゃんと結婚するんだから!」

結局じゃれあっちゃう

好きな人は誰って聞くことも

好きな人がいるのかどうかも

女の子はどうなのかなって聞くことも

……真美じゃダメって聞くことも、できない

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 15:38:37.22 ID:s1Y+wmB1o

「真美は可愛いからさ、誰かとすぐに付き合えちゃうんだ」

「そっか、良いんじゃないかな?」

「……良いんだ。先、越されるんだよ?」

違う

本当に言いたいことはそんなことじゃない

真美がほかの人に取られちゃうんだよって

それでもいいのって……

「おめでたいことだからね」

「そっか、はるるんはやっぱり生き遅れちゃうよ」

「あははっ、それは困るよ」

「っ……」

なんで、笑うの?

はるるんの笑顔は好きだよ

大好きだよ……でも嫌

このことで笑われるのは……嫌だよ

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 15:56:54.10 ID:s1Y+wmB1o

私、駄目だ

すっごく怒ってるよ

なんで気づいてくれないのって

はるるんが気付けるような人じゃないって解ってるのに

「真美?」

「ねぇ、はるるん」

「ん?」

「はるるんってさ……バカだよね?」

「えぇっ!? 急に何さ!」

「馬鹿だから馬鹿って言ったんだよ! 馬鹿ッ!」

「ちょっ真美!?」

私は怒鳴るだけ怒鳴って

はるるんの前から逃げ出してしまった

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 16:18:58.77 ID:s1Y+wmB1o

「何やってるんだろ……」

色んな人達の間をかき分けて

はるるんが追ってきているわけでもないのに

私はただただ逃げていく

「おい、危ないだろ!」

「きゃぁっ」

「どこかで見たような……」

みんなの声も置いていく

馬鹿なのは自分だって解ってるよ

でも、だけど。

私ははるるんが誰かと付き合うのは嫌

でも、はるるんは別に平気

それってさ……それって

はるるんは私のことなんてどうとも思ってないってことじゃんか!

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 16:54:05.32 ID:s1Y+wmB1o

「うあっ」

思い切り石に躓いたせいで

派手にすっ転んで

あちこち擦りむいて痛い

でも……まだ、まだっ

ゆっくりと体を起こす私を見下ろす一人の影

「何してんのよ、アンタ」

「え?」

「こんな場所で寝転がってると踏まれるわよ?」

「この声は……いおりんだね?」

「なに言ってんのアンタ……いや、訂正するわ」

いおりんは私の目の前でしゃがみ

私の目元を拭う

「何泣いてんのよ、アイドルなら。こんな場所でだらしない顔しないものよ」

「……ごめん」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 17:20:57.21 ID:s1Y+wmB1o

「それで? 何があったのよ」

「……話さなきゃ、だめ?」

「はぁ?」

いおりんに連れられて豪邸へと来たわけだけど

高級そうな紅茶かと思いきや

オレンジジュースを出されてもねぇ……

「いおりん、尋問ならカツ丼っしょー」

「知らないわよ、そんなこと」

「……オレンジジュースじゃ、また水分とっちゃうじゃん」

「いいから話しなさいよ。何があったのか」

いおりんは意地悪だけど

本当は優しいもんね

溜め込むなってことかな

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 17:53:07.64 ID:s1Y+wmB1o

「はぁ!? 春香にフラれたぁ!?」

「しぃーっ!」

「アンタバカじゃないの?」

「そんなこと言われなくても解ってるよ」

いおりんは完全に呆れ顔だった

私の想いを馬鹿にしてるわけじゃなくて、

私の行動に呆れてるんだ

「解ってるんなら、諦めなさいよ。忘れたの? 春香は無個性なのよ?」

「忘れてないよ、覚えてる」

「じゃぁなんで春香なんて好きになったのよ」

「可愛いじゃん? 優しいじゃん? お菓子美味しいじゃん? 美味しそうな体してんじゃん?」

「じゃんじゃんうっさい」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 18:20:56.57 ID:s1Y+wmB1o

「……まぁ、解らなくないわよ。ソレ」

「だよねー? いおりんも好きだもんねぇ?」

「でも」

「っ!」

いおりんは私の茶化す言葉を無視した

飽きたとか疲れたとかじゃなくて

真面目ないおりんだ

目で判るよ……真面目だって

「あのバカはそうじゃないでしょ」

「…………………」

「諦めなさい。春香はアンタ……いや、みんなとは違うわ」

「でも、考えてくれるかもしれないよ?」

「結婚したいって、言ったんでしょ? アイツは」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 18:55:32.76 ID:s1Y+wmB1o

「日本じゃ無理なのよ。女同士の結婚」

「でも、海外なら――」

「春香がそんなこと含めて言う訳無いでしょ」

「解ってるけど!」

「ならなんで諦めないのよ」

「それでも好きだからに決まってんじゃん!」

好きで、大好きだからに決まってんじゃん

私だっておかしいって思うし

友達が言うように

恋愛なんて遊びなのかもしれないし

ドラマの大人が言うように

付き合う相手なんていくらでも変えが効くのかもしれない

「でもさっ、でも……はるるんは一人しかいないじゃんかぁっ!」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 19:11:26.61 ID:s1Y+wmB1o

「………………」

「馬鹿だってわかってるよ、子供だって、わかってるよ……」

まだ恋愛なんて理解できてないかもしれない

のちのち大変なのかもしれない

そもそも認められないかもしれない

ううん、それ以前に

はるるんが私を好きじゃないかもしれない

「でも、真美は好きだから。諦められない」

「縁を切られるかもしれないわよ? 正直気持ち悪いし」

「えー……いおりんそれ禁句」

「だって事実じゃない」

「んっふっふー、真美は王女際が悪いからね→」

「往生際が悪い……ね。知らないわよ。どうなっても」

断られるとしても

縁を切られちゃうとしても

「この気持ちに嘘付いたら、真美は真美じゃないのと同じだよ!」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 19:12:26.36 ID:s1Y+wmB1o

中断


色々とミスした

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 21:02:46.73 ID:s1Y+wmB1o

「いおりん……」

『「春香はアンタの好きな公園に向かわせたわ。急いで行きなさい」』

いおりんの言う通りなら

はるるんは私のこと探してくれたんだね

「ごめん、今戻るから」

逃げてきた道を今度は向かって走る

正直に言えば怖い

嫌われるのも、引かれるのも、断られるのも

全部怖いよ……でも。

この気持ちを溜め込んだまま生きるのも怖い

告白されて、ごめんね→なんて

簡単にふってきたことを全力で後悔してるよ……

こんなに怖いんだね、こんなに緊張するんだね

私も全力でいって、簡単に振られちゃうのかな

それでもいいや……はるるんが決めたことに従おう

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 21:24:23.89 ID:s1Y+wmB1o

「真美ーっ! どこにいるのー!? 出てきてよーっ!」

はるるんの声が公園に響きわたる

人目があまりなくて

ちょっとした暇つぶしには……嘘

ちょっとサボるには良い場所なんだよね

「…………………」

「ねぇっ……真美ぃーっ!」

悲痛な声

なんでだろ

覚悟を決めたはずなのに

足が動かないや……

最初から飛び出せばよかった

近道しようとして木陰通ったのが失敗だったなぁ

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 21:43:16.11 ID:s1Y+wmB1o

「真美……」

「はるるん……」

立ち止まって

声を出すのをやめて

前を向くのを止めて

下を向いてしまった

「ほんと、馬鹿だよ……真美が怒った理由も解らないんだから……」

「……………………」

「……どこにいるの? ごめんって、言わせてよ」

はるるんが求めてるのに

なのに……私はっ

「はるるんっ!」

「っ!?」

飛び出したというよりも

倒れこむように、私ははるるんの前に出ていった

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 22:02:13.78 ID:s1Y+wmB1o

「真美、良かった……」

「はるるん、ごめん……私逃げた」

「え?」

「はるるんはさ、真美が誰かと付き合ってもいいって言ったよね?」

私はそれで

はるるんが私には興味がないんだって思った

でも、はるるんは首を横に振る

「付き合ってもいい。でも、付き合って欲しくはない」

「なにそれ……」

「私が想像したくない最悪展開。その先にその人の幸せがあるなら、私は別に良いって思う」

でもね。と、はるるんは小さく笑った

「もしも私の入り込む余地があるなら。転がり込むつもりだよ」

「え?」

「私はね、真美のこと好きだよ」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 22:38:54.99 ID:s1Y+wmB1o

「え?」

「友達として……の、つもりだったんだけどさ」

はるるん。

ううん、春香お姉ちゃんは困った笑みを浮かべながら

その両手を見つめた

「真美や亜美から告白されたって聞くたびにドキッとした」

「……………」

「そのたびに苦しくなった。それが恋だって解ってた。でも、言えなかった」

それは私と同じ理由?

いや……違う

「はるるんは、真美のことを考えててくれたんだね」

「真美は普通に恋愛して、普通に結婚したいんだろうなって、思ってたから」

「でも、真美は。ううん、真美もはるるんが好きだよ? 告白されたこと教えてたのだってただ嫉妬して欲しかっただけ」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 22:48:55.79 ID:s1Y+wmB1o

「……嘘」

「本当。だから、付き合って良いってはるるんが言って凄く悲しかったんだよ」

「じゃぁ、怒ったのは」

「素直になれないくせに、気づいてくれないはるるんへの八つ当たり」

でも

実際ははるるんも私のこと好きで

私のことを考えてくれたから

その結果のすれ違い……だったんだね

「酷いよ……嫌われる最悪の結果。体験しちゃったじゃない」

「……ごめん、春香お姉ちゃん」

「許してあげないよ。許さない。償って貰うんだから」

春香お姉ちゃんは強引に私の腕を引っ張って抱き寄せた

意外と柔らかい……じゃ、なくて

「ならはるるんもだよ? 半分くらいはそっちが悪いんだからね」

「……うん、良いよ」

そのはるるんの笑顔は

今まで見た中で一番可愛い笑顔だった

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/27(日) 22:57:01.27 ID:s1Y+wmB1o

終わり
序盤で失敗したけど一応完結させました
すみません