1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/17(木) 22:24:12.25 ID:XYS+eKAP0
杉浦「ごめんなさい。有田さん、通訳をお願いしてもいい?」

有田「う、うん……私の名前しか話せなくなる現象? だって」

杉浦「……そう、としか言えないわ。転入してそうそうだけれど、貴方は今年いっぱい、そのままだと思って頂戴」

恒一「有田さん……(そんな……)」

杉浦「そして、性格には有田さんの名前だけじゃないわ。クラスメイトの……」

有田「ま、待って! その、それ以上は……」

杉浦「……そうね。榊原君、とりあえず、貴方に関しては、有田さん以外の人には、貴方の言っている事のほとんどが「有田さん」に変わる。そういう認識をしておいて」

恒一「有田さんが有田さんだよ(わけがわからないよ)」

引用元: 恒一「有田さんの有田さんしか有田さんれなくなる有田さん?」 


 

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4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/17(木) 22:28:58.94 ID:XYS+eKAP0
杉浦「本当は、私が話すべきじゃないんだけれど……対策係のあの子が……」チラッ

赤沢「中尾……(ちくしょう……)」

杉浦「本当は、転入してくる前に伝えておきたかったのだけれど……こっちも混乱してるの」

杉浦「幸い、三神先生の家ということだし、あまり家に迷惑がかからなくてよかったわ」

杉浦「これで、対策係代行としての説明は……あぁ、授業中は先生達が「いないもの」として扱ってくれるから、安心して頂戴」

杉浦「質問はある?」

恒一「有田さんだよ(ありまくりだよ)」

5: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:33:32.74 ID:XYS+eKAP0
杉浦「無さそうね。一年間、頑張って頂戴」スタスタ

恒一「有田さん……(そんなぁ……)」

有田「え、えっと、その、ごめんね? 榊原君」

恒一「有田さんだよ。有田さんが有田さんろうと有田さんた有田さんじゃ有田さん?(いいんだよ。有田さんがやろうとしたわけじゃ無いんでしょ?)」

有田「…………う、うん。ごめんね、私としか会話出来ないなんて、その、昨日転入したばっかりなのに」

6: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:37:22.74 ID:XYS+eKAP0
恒一「略(でも、有田さんだけでも会話が出来るだけ、僕は嬉しいかな)」

有田「榊原君……」

恒一「略(それより、この現象について、詳しく聞きたいんだけど……良いかな?)」

有田「うん、私でよければ……じゃあ、放課後に残って貰っても良い?」

恒一「略(良いよ。よろしくお願いするね)」

9: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:42:33.63 ID:XYS+eKAP0
放課後

恒一(本当に先生達は僕を無視するんだな……怜子さんですら、学校では僕の事を無視だし……)

勅使河原「サカキ……いきなりだけど、頑張れよ?」

恒一「有田さん、有田さん有田さんるよ!(ありがとう、僕頑張るよ!)」

勅使河原「すまねえ、有田さんにしか聞こえねえ。じゃあな、サカキ」タタタタ

恒一「有田さん……(勅使河原君……)」

13: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:47:36.76 ID:XYS+eKAP0
有田「えっと、じゃあ来てくれる?」

恒一「略(どこに?)」

有田「第二図書室、この現象を長年研究してる人がいるんだよ」

恒一「略(そんな人がいるんだね)」

有田「うん……ちょっと怖いけど、千曳先生と仲の良い子達が言うには、良い人なんだって」

恒一「略(有田さんは面識無いの?)」

有田「残念ながら、初対面なの……」

17: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:52:10.93 ID:XYS+eKAP0
第二図書室

恒一「有田さーん(失礼しまーす)」

赤沢「中尾っ!?(えっ!?)」

恒一「有田さんの有田、さん? (さっきの赤沢、さん?)」

赤沢「……中尾中尾な中尾に! (何でこんな時に!)」

恒一「有田さん、有田さん有田さんるか有田さん(ごめん、何言ってるかわからない)」

赤沢「……中尾。中尾中尾れない中尾(……まあいいわ。どうせ伝わらないでしょう)」

千曳「……尋常じゃないね」

21: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:55:55.50 ID:XYS+eKAP0
赤沢「中尾、中尾中尾。中尾は中尾中尾ります(先生、ありがとうございました。今日は一旦帰ります)」

千曳「あぁ、帰るのか……気をつけて帰るんだぞ。今の君は、まともに悲鳴もあげられないんだから」

赤沢「中尾(さようなら)」タタタタ

恒一「有田さんも、有田さん有田さんだ(あの子も、大変そうだ)」

有田「それでも、中尾君と一緒にいるのは嫌がるんだよね……」

22: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 22:59:02.73 ID:XYS+eKAP0
千曳「それで、君が今月のいないもので、もう一人の君が、その相手か」

恒一「有田さん(はい)」

千曳「有田さんか、現象の成り立ちを聞きに来たといった所だね。時間はあるのかい?」

有田「私は、あります。榊原君は?」

恒一「有田さんも有田さん(僕も大丈夫)」

有田「大丈夫だそうです」

24: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:03:38.24 ID:XYS+eKAP0
千曳「そうか、なら、少し待っていてくれ。本しか無いところだが、コーヒーくらいは出そう」

恒一「略(たしかに、初対面だと怖いけど、良い人みたいだね)」

有田「うん、私もちょっとだけ緊張しちゃったよ」

恒一「略(そういえば……)」

有田「どうしたの?」

恒一「略(僕のお母さん、ここの卒業生なんだ。だから、卒業アルバムがあるかなって」

有田「そうなんだ。じゃあ一緒に探す?)」

恒一「略(じゃあ、お願いするよ)」

26: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:09:25.49 ID:XYS+eKAP0
千曳「おや、先に持ってきてくれたのか……話が速くて助かる」

恒一「略(どういう事です?)」

千曳「ちょうどその年、この現象が生まれる原因が出来たんだよ」

千曳「この年に、夜見山岬という少年がいた。あまり目立つ子じゃなくてね。その本心を、親も、担任……私も、クラスメイトも、推し量る事が出来ない子だった」

千曳「ただ一つわかっていた事は、彼は、恋をしていた。ということだけだ」

千曳「相手の子は、なんというか、クラスの花形といえばわかるかな」

千曳「あまり生徒にこういう例えを使うのは良くないが、月とスッポンと言われるくらい、釣り合っていなかった」

28: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:15:50.15 ID:XYS+eKAP0
千曳「そんな中、彼は何を思ったか、授業中にいきなり立ち上がり、告白をしたんだ」

千曳「しんと静まった教室でね、血走った目で彼は彼女を見つめていたよ」

千曳「だが、大方予想通りな事に、彼女は彼をふったんだ。あんな状況でも、真面目に、誠実に、笑いを交える事無く、自分の言葉で彼女は彼をふった」

千曳「その途端、彼は走り出し、教室から逃げ出した。先生の制止もまったく聞かず、全力でね」

千曳「以降、誰一人として、彼の事を見た者はいない」

恒一「有田さんが有田さん有田さんる有田さん? (それがどう関わるんですか?)」

千曳「大体言いたいことはわかるよ。安心してくれ、この話はここで終わりじゃない」

32: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:22:13.70 ID:XYS+eKAP0
千曳「彼が消えた、次の年だ」

千曳「四月の中頃に、三年三組で異変が起きた」

千曳「突然、生徒の一人が、恋人の名前しか言えなくなった」

千曳「最初は、ひどいイタズラだと思った。だが、どんなに怒ろうと、家でもどこでも、寝言さえその名前だった」

千曳「そして、その恋人は言うんだ。俺には、こいつが何を言っているのかわかる。とね」

千曳「だが、次の月、その恋人も、同じ状態になった。二人の間では、会話が成立していたらしいが、周りにはさっぱりだった」

36: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:28:31.14 ID:XYS+eKAP0
千曳「その年は、幸いその二人だけだった」

千曳「だが、次の年には合計して十二人がそうなった」

千曳「月に最高で一人ずつ、呪われるんだよ。効果は、君も知っての通りだ」

千曳「そして、それがどうして起きるかと言うと……」

有田「ま、待ってください! お願いします、その先は……まだ……」

千曳「……そうか、伝えていないんだね。だが、いずれどこからか伝わる事ではないかい?」

有田「……わかってます。でも、まだ私には……」

千曳「そうか……君にも深く関わる事だ。私からはこれ以上は言わないよ。だが、自分で伝えたいのなら、早い方が良い」

有田「はい……」

41: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:37:51.34 ID:XYS+eKAP0
恒一「有田さん? (どういう事?)」

有田「ごめんね、もう少しだけ待って。そしたら、私も覚悟出来るから」

恒一「有田さん……(う、うん……)」

千曳「さて、さっき君達が持ってきた卒業アルバムだが……」

千曳「本来なら、彼の写真はここに載せるべきでは無かったのだがね、その、彼をふった彼女が強く希望してね。親御さんや同学年の生徒にも賛同してもらったため、載せてもらったんだ」

恒一「有田さん、有田さん(うわぁ、普通だね)」

有田「本当に、普通」

恒一「有田さん、有田さん有田さん有田さんた有田さんて……有田さん? (すみません、もしかして振った生徒って……この人ですか?)」

千曳「うん? 理津子君か、彼女が彼をふったのだが、よくわかったね」

有田「榊原君、もしかしてこの人……」

恒一「有田さんの、有田さんです(僕の、お母さんです)」

43: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:42:38.33 ID:XYS+eKAP0
千曳「うん、榊原……あぁ、そうか。君がそうだったのか」

千曳「理津子君は、とても良い生徒だったよ。葬式には、私も行った。あの時の赤ちゃんが、君だったのか」

恒一「略(はい……)」

有田(気まずいよ……)

46: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/17(木) 23:49:37.52 ID:XYS+eKAP0
帰り道

恒一「略(有田さん、家はこっちなの?)」

有田「ううん、違うよ。でも、その、こうなっちゃったから、家族の方にくちど……挨拶に行こうかなって」

恒一「略(うん? 何て言おうとしたの? それより、挨拶なんて大丈夫だよ。怜子さんもいるし、それにおばあちゃん達に何て言ったら良いか……)」

有田「あぁ、榊原は知らないんだね。多分大丈夫だよ」

恒一「略(えっ?)」

有田「夜見山じゃ、この呪いは有名なの。一時期は学者さんやらが押しかけて大変だったらしいんだけど、結局原因は掴めないし、その、プライバシーの問題とかで騒ぎにもならなかったんだ!」

恒一「略(へぇー)」

48: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/17(木) 23:53:32.86 ID:XYS+eKAP0
「略(○○)」=『○○』

恒一宅

恒一『本当に来るの?』

有田「うん……榊原君は、その、嫌なの?」

恒一『そんな事は、無いけど……』

恒一(転入二日目で女の子と一緒に帰って来るって……どうなのさ)

怜子「あら? 恒一君?」

50: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/17(木) 23:58:07.64 ID:XYS+eKAP0
恒一『れ、怜子さん!? えっとその、これは……』

怜子「事象は知ってるわよ。それと、ごめんなさい、何を言ってるかわからないの」

恒一『うぅ……』

怜子「それより、有田さんは上がっていくの? あ、ちょうどケーキが安かったから買っちゃったんだけど、食べる?」

有田「あ、ありがとうございます!」

恒一『うぅ……』

53: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:01:55.00 ID:akzllpal0
リビング

おばあちゃん「あらあらあら、そう言う事なの? ごめんなさいね、お赤飯じゃなくって」ウキウキ

怜子「母さん、恒一君はそれ以上は知らないんだから、言っちゃダメ」

おばあちゃん「もう、私としては、こんなに可愛らしい子、良いと思うんだけどねぇ」

怜子「だから、当の本人がそれを知るまでは、変な事言わないの」

恒一『どういう事なのさ』

有田「わ、私そんな、可愛くなんて……」

57: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:07:35.34 ID:akzllpal0
怜子「あら、そこは私も反論するわよ?」

有田「……私なんて、普通ですよ」

怜子「あのねぇ、私の視点で見ても、あのクラスのレベルが異常よ。有田さんは普通に十二分に可愛いの!」

恒一『怜子さん、お酒入ってる』

有田「そ、それで、その。私から榊原君に伝えるまでは、榊原君にその事を伝えないでほしいんですけど……」

おばあちゃん「若いわねぇ、青春ねぇ、ええ、良いですとも」

怜子「私も良いわよ。おじいちゃんは……まあいっか」

有田「あ、ありがとうございます!」

65: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:12:10.43 ID:akzllpal0
玄関前

恒一『もう帰っちゃうの? おばあちゃんが料理も食べて行ってほしそうだったけど』

有田「今日までに使わなきゃいけない材料がいっぱいあるから、今日は家で食べないといけないの。ごめんね、いきなりおしかけて、せっかくの好意を受け取れなくって」

恒一『ううん、良いんだよ。それより有田さん、料理するの?』

有田「うん、あんまり自信は無いけれどね」

恒一『実は僕も、ちょっとだけ料理するんだ。今度一緒に料理しようよ』

有田「うん! それじゃ、また明日ねっ!」

恒一『うん、また明日』

71: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:22:26.12 ID:akzllpal0
朝、恒一宅玄関前

恒一『いってきまー……す? おはよう、有田さん。もしかして、迎えに来てくれたの?』

有田「お、おはよう! えっと、ね、昨日千曳先生が赤沢さんにも言ってたけど、榊原君は私以外と会話が出来ないわけだし……何かあったら大変だから」

恒一『でも、わざわざ迎えに来てもらうなんて、有田さんが大変だよ』

有田「そんな事ないよ! 私、早起きは苦手じゃないからっ!」

恒一『有田さん、目の下、クマが出来てるよ』

有田「ええっ!? 朝、ちゃんと治したと思ったんだけどなぁ……」

恒一『そんなに無理させるわけにも行かないよ』

有田「じゃ、じゃあ、待ち合わせ場所を決めよ? それなら、私も無理をしないし、榊原君も危険じゃないし、いいよね?」

恒一『うーん、まぁ、それなら良いのかな』

有田「とりあえず、ほら! 遅刻しちゃうよっ!」ギュッ

恒一『あ、有田さん! 手は繋がなくてもいいんじゃっ!?』

72: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:27:31.40 ID:akzllpal0
下駄箱

勅使河原「おーっすサカキ……ってうわぁ、朝からお熱い事で」

恒一『え? って、うわぁ!? 繋ぎっぱなしだったっ!』

有田「あはは……放すの忘れてたね……」

恒一『って事は、他の登校してた生徒に見られてたんだよね。うわぁ、さすがに恥ずかしいなあ』

勅使河原「あー、すげえ焦ってるのはわかるぜ」

74: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:34:08.95 ID:akzllpal0
休み時間、教室

勅使河原「サカキ、えっとその、興味本位なんだが、今の授業のノートを見せてくれないか?」

恒一『今の? 数学だよね。勅使河原君寝てたの?』ゴソゴソ

勅使河原「一応言っておくが、今日は寝なかったぜ。それよりも……おお、やっぱりこうなるのか……」

恒一『こうなる? 勅使河原君には、どう見えるの』

勅使河原「あぁ、説明しないとわかんないんだな。えっとだな……」

勅使河原「有田さん+有田さん=有田さん……って個々なんかは書いてあるぜ。元の数字が全て有田さんだから、その、なかなかすごいぜ?」

恒一『成る程……そりゃ先生もいないものとして扱うんだね』

78: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:43:03.45 ID:akzllpal0
昼休み

有田「ねぇ、榊原君。一緒にお昼食べない?」

恒一『良いよ。ここで食べる? それとも、他の場所に行く?』

有田「うーん、ここで良いかな。それより榊原君、皆に伝えたい事とかってある?」

恒一『うーん……これといっては無いかな。大まかな事なら、皆ジェスチャーでわかってくれるし』

有田「そっか、それなら良いの。それより、そのお弁当、榊原君が作ったの?」

恒一『ううん、これはおばあちゃん。こっちに来てからは、あんまり僕は料理してないんだ。有田さんのお弁当は手作り?』

有田「恥ずかしながら、手作りだよ」

恒一『へぇ、一口貰っても良い?』

有田「う、うん……でも、あんまり期待しないでね?」

恒一『……うん、おいしいよ! そんなに自分を低くしないでいいと思う。むしろ、皆が知るべきだよ。有田さんの料理はおいしいって!』

有田「そ、そこまでじゃないよぉ!」

恒一『有田さん、さっき言ったよね。僕が皆に伝えたい事は無いかって。今のを僕は伝えたいよ!』

82: ◆ZLUGH5bpAU7a 2012/05/18(金) 00:45:35.81 ID:akzllpal0
有田「つ、伝えたい事は聞いたけど、それを必ず伝えるとは言ってないもん!」

恒一『もったいないなぁ……せっかくおいしいのに』

有田「なら、榊原君が独り占めしちゃえば良いんだよ」ボソリ

恒一『ん? 今何て言ったの?』

有田「何でもないよっ!」

勅使河原(爆発しねえかなぁ)

88: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 00:51:10.25 ID:akzllpal0
恒一『そうだ! 有田さん、明日のお弁当を交換しようよ!』

有田「え、ええっ!?」

恒一『僕が有田さんのお弁当に見合う物が作れるかはわからないけれど、頑張るから!』

有田「ほ、本当に独り占めしないでも……」ボソリ

恒一『僕、有田さんのお弁当を食べたいんだっ! ダメ、かな?』

有田「……作る。私も、榊原君のお弁当に見合う物を作れるように頑張るよっ!」

恒一『じゃあ、今日はスーパーによっていかないとね。あ、そうだ。有田さん、近くのスーパーの場所を教えてくれる?』

有田「じゃあ、一緒に買い物する?」

恒一『そうだね。それがいいね』

91: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 00:58:23.04 ID:akzllpal0
ダイエー

恒一『へぇ、結構大きいんだね』

有田「逆に言えば、ここしか無いんだけどね……」

恒一『それじゃあ、何を買おうかな……やっぱり、お弁当の定番かなぁ』

アラアラ アレガコトシノ サンネンサンクミ
 セイシュンダネ フェアジャナイヨ イチャイチャシヤガッテ

恒一『心無しか、周りで噂話をされてるみたいだね』

有田「あはは……周りからは、榊原君が今年の呪われた人ってすぐにわかっちゃうし、その人と会話出来る私も、ね」

恒一『さすがに、少し恥ずかしいね』

有田「でも、ここしか無いから……」

恒一『一年もあるんだから、慣れるしかないね』

95: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 01:07:27.66 ID:akzllpal0
帰り道

有田「よいしょっと」

恒一『荷物多いね。もう少し持とうか?』

有田「ううん、もう一袋も持ってもらっちゃってるから、ダメだよ」

恒一『そっか……それって今日の夕ご飯用だよね。もしかして、料理は全部自分で作ってるの?』

有田「うん。私の両親、よく出張でずっと海外にいるから」

恒一『へえ、奇遇だね。僕のお父さんも、今はインドなんだ』

有田「インドかぁ、暑そうだね」

恒一『うん、電話で話すといっつもインドは暑いぞ、って言われる。それより、有田さんって今は一人暮らしなの?』

有田「実質、そうかな。もう慣れたから、寂しいとかはないかな」

恒一『そっか、すごいなぁ。僕に一人暮らしなんて出来るかなぁ』

有田「やってみると、案外簡単だったりするんだよ?」

158: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 12:51:55.56 ID:akzllpal0
保守サンクス

有田宅

恒一『荷物、ここに置いておくね』

有田「うん! ありがとう。おかげで助かっちゃった」

恒一『良いんだよ。朝に迎えに来てもらったおかえしでもあるし』

有田「うーん、じゃあ……夕ご飯、食べていったりしない?」

159: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 12:56:26.46 ID:akzllpal0
恒一『えっ?』

有田「ほ、ほら! この前一緒に料理しよう。って言ったし、榊原君が私の料理をおいしいって言ってくれるなら……どう、かな?」

恒一『良いの?』

有田「もちろんだよっ!」

恒一『じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな……電話してくるね』タタタタ

有田「う、うんっ!」

162: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:04:43.48 ID:akzllpal0
電話

怜子「もしもし、三神ですけど」

恒一『あ、怜子さん?』

怜子「えっと、恒一君よね?」

恒一『あっ……』

恒一(電話じゃ何にも伝わらないじゃないかっ!)

有田「榊原君っ! どうやって電話するの……って、やっぱりこうなってたんだね。通訳するから貸して」

恒一『ありがとう』

有田「お電話代わりました、有田です。その、今日の夕飯なんですけど……」

163: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:07:11.74 ID:akzllpal0
怜子「それは、有田さんの家でって事……?」

有田「は、はい。そうです」

怜子「たしか、ご両親は海外出張で、今年中は帰ってこないのよね?」

有田「はい……」

怜子「有田さん、空き部屋はある?」

有田「え、えぇ、ありますけど」

怜子「なら恒一君に伝えて、「荷物は後で届けに行くから、家には帰ってこなくて良い」って」

164: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:13:14.24 ID:akzllpal0
有田「ええっ!?」

怜子「ほら恒一君、肺の病気の事もあるし、いざって時のために、会話が出来る人が近くにいないと、ね」

有田「で、でも、それは……」

怜子「あぁ、有田さんの両親には連絡したからね。呪いの事も話したら、是非ともそうしてくれって」

有田「い、いやいや、待ってくださいっ!?」

怜子「あら、嫌だったの……」

有田「いやじゃないですっ!」

怜子「なら、恒一君の事、よろしくね。私が言うのも変だけれど、自慢の甥だから」

有田「は、はい……」

166: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:16:52.15 ID:akzllpal0
ツー、ツー、ツー、ツー

有田「あ、あはは……」ペタン

恒一『ど、どうしたの? 何かあったの?』

有田「……榊原君、ここに住む事になったって」

恒一『ここ?』

有田「そう、私の家に」

恒一『わ、わーお……』

168: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:21:56.28 ID:akzllpal0
恒一『と、とりあえずご飯にしようか……?』

有田「うん……」

恒一『荷物は多いなって思ってたけど、これ、もともと二人分作るつもりだったの?』

有田「ううん、明日用に買ったんだ。一人暮らしだから、節約しないとね!」

恒一『ごめんね、なんか、その、押しかける形になっちゃって……』

有田「いいの、原因はむしろ私なんだから……」

169: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:25:46.30 ID:akzllpal0
恒一『よし、完成だね。やっぱり有田さんは料理が上手だなぁ。なんというか、家庭の味?』

有田「そ、そんな事無いよ。私なんて、まだまだで……」

恒一『じゃあ、もう言いっこなしだよ。それよりお腹が減っちゃった。食べよう』

有田「うん、いただきまーす!」

恒一『いただきます』

170: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:31:23.99 ID:akzllpal0
食事後

恒一『そういえば有田さん』

有田「なあに?」

恒一『結局、僕が呪われた原因は何だったの?』

有田「そ、それは……ううん、ずっと逃げるわけにも行かないもんね」

有田「それはね……」

ピンポーン

有田「あ……三神先生かな、出てくるね」

恒一『何なんだろう』

173: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:41:59.20 ID:akzllpal0
玄関

怜子「これが、恒一君の衣類。これが、勉強関係。これが、恒一君のパンツ。こんなもんかしらね」

有田(なんで、パンツだけ外に出てるの?)

怜子「あぁ、この箱には恒一君の数少ないエロ本が入ってるから、あけないであげてね」

有田「は、はい……」

怜子「それじゃ、後は若い人たちに任せますかねぇ。あんまり急ぎすぎちゃダメだよ?」タタタタ

有田「行っちゃった……えっと、この箱だっけ……うわぁ、女教師ものばっかり……」

176: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:48:04.76 ID:akzllpal0
恒一『あれ? 怜子さん、もう行っちゃったの?』

有田「うん、本当に荷物を持ってきただけみたいだったよ……」ショボン

恒一『有田さん? 元気が無いけどどうしたの?』

有田「ううん、何でもないよ。部屋に案内するね……」

恒一(何でも無いようには見えないけどなぁ)

177: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 13:56:10.90 ID:akzllpal0
有田「ここを、好きに使っていいからね。隣が私の部屋だから、何かあったら呼んでね」

恒一『うん、何から何までありがとうね』

有田「お風呂は、どっちが先がいいかな?」

恒一『居候なのに、先に入るわけには行かないよ』

有田「そっか、じゃあ、私が出たら、部屋に呼びに行くね」

恒一『うん、お願いするよ』

180: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:02:08.55 ID:akzllpal0
風呂

有田「榊原君、三神先生みたいな人が好きなのかなぁ……」

有田「美人だし、胸もあるし、かっこいいし……はぁ……かないっこないなぁ……」

有田「で、でも、その三神先生には応援されてるみたいだし、これからは一緒に生活できるわけだし、チャンスはあるよねっ!」

有田「でも、私に何が出来るのかなぁ……」

有田「はぁ……」チャポン

181: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:12:16.82 ID:akzllpal0
恒一部屋

コンコン

恒一『はーい』

有田「お風呂空いたよー、って、勉強してたんだね」

恒一『うん、テストも僕は受けれないみたいだけど、どの道受験はあるはずだから』

有田「そっか、榊原君は、高校は東京に戻っちゃうの?」

恒一『うーん、そうするつもりではあったんだけど……卒業式より前に受験は出来ないから……この辺りの、事情をわかってくれる所しか選べそうに無いんだ』

有田「そうなんだ……なら、もしかしたら一緒の高校かもねっ! ……私、バカだからダメかな?」

恒一『そんな事無いよ。いっそ、僕が勉強の面倒を見ようか?』

有田「ええっ!? 良いの?」

恒一『居候の代金代わりだね』

182: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:20:24.04 ID:akzllpal0
有田「私でも、榊原君と同じ高校に入れる、かな?」

恒一『それは有田さん次第だよ。でも、有田さんが頑張れば、絶対に行ける』

有田「そっか……なら、頑張るよ。応援してねっ!」

恒一『もちろんさっ!』

恒一『じゃあ、僕、お風呂に行ってくるね』

有田「うん! 行ってらっしゃいっ!」

184: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:26:53.37 ID:akzllpal0
風呂

恒一『これ、ちょっと前まで有田さんが入ってたんだよね……』ゴクリ

恒一『シャンプーも、女の子らしいものだ……』

恒一『ま、待ってっ! このスポンジ、僕は使っていいのっ!? だって、有田さんが使ってたんだよ!』

恒一『で、でも、これしかないし……良いよね? 不可抗力だよね? その手の物を持ってこない怜子さんが悪いんだよね』ゴクリ

恒一『ふぅ……』

186: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:36:52.01 ID:akzllpal0
朝、恒一部屋

有田「榊原君……? 朝だよ?」

恒一『もうちょっと……』

有田「お弁当作る時間が無くなっちゃうよー」

恒一『ううーん……』

有田「どうしよう……起きないよ」

有田「あ、あんまり起きないと、めめめ、目覚めのキスをしちゃうよっ!!」

恒一『うーん……』

193: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 14:47:07.99 ID:akzllpal0
有田「起きない……ね。良いんだよね? 誘ってるんだよね? …………」

恒一『うん? 有田、さん?』

有田「うわぁっ!? お、おはよう榊原君っ!」

恒一「おはよう。その、顔が近いね。どうしたの?」

有田「えええっと、その、これは、えっと、そう! 榊原君の頭にほこりがついてたから、とってたんだよっれ」

恒一『そっか……ふぁああ(あくび)、ありがとう』

有田「眠そうだけど、大丈夫?」

恒一『……うん、有田さんと一緒にお弁当を作らなきゃいけないからね。頑張るよ』

206: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:05:18.99 ID:akzllpal0
有田「ち、遅刻しちゃうよっ! 急いでっ!」

恒一『うんっ!』

教室

恒一『な、なんとか間に合ったね』

有田「校門って、あの時間に閉まるんだね、初めて知ったよ」

恒一『あはは、僕もだよ』

208: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:09:14.90 ID:akzllpal0
昼休み

勅使河原「あれ? サカキ、その弁当……」

恒一『あ……これ有田さん用の方だ』

有田「さ、榊原君っ! これ、逆だったね……はい」

恒一『慌てて、逆に持ってきてたみたいだね。一緒に食べようか』

有田「うんっ!」

勅使河原「弁当交換する仲かよ……」

209: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:15:10.54 ID:akzllpal0
体育

恒一『有田さんこっちに来ちゃっても良いの?』

有田「休憩の時くらいはいいんだよ。そこは気にしちゃダメじゃないかなぁ」

恒一『あ、綾野さんが走り幅跳びで、砂に突っ込んだ』

有田「あはは……大丈夫かなぁ。怪我してないといいけど」

恒一『起き上がって笑ってるね』

有田「危なっかしいなぁ……」

210: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:19:47.98 ID:akzllpal0
放課後

有田「今日も、なんだかんだで1日が終わったね」

恒一『慣れてみると、この生活もそんなに大変じゃないのかもね』

有田「私以外と話せないの、つらくない?」

恒一『大丈夫だよ。それに、僕は有田さんが相手で良かったって思ってるんだ』

有田「あはは……ねえ、榊原君」

恒一『なに?』

有田「私、まだ呪いの原因を教えてなかったよね」

211: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:24:30.55 ID:akzllpal0
恒一『……屋上、行く?』

有田「うん、やっぱり人がいない方が嬉しいから」

屋上

有田「あのね、榊原君。呪われる条件ってのは……その……」

有田「呼ばれる人が、呼ぶ人の事が好き、って事なの」

有田「つまり、私は、榊原君の事が、好きって事」

214: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:31:38.62 ID:akzllpal0
有田「変だよね。榊原君からしたら、転入二日目でそうなっちゃったわけで……」

有田「でも、その、私は……転入してきた榊原君を見て、一目惚れしちゃったみたいなの」

有田「次の日、自分の気持ちすら半信半疑で学校に行ったら、榊原君が呪われてた」

有田「驚いちゃった。私が、一目惚れなんかしたせいで、榊原君が転入早々いないものにされたんだもん」

215: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:40:15.81 ID:akzllpal0
有田「それでね、私は考えたんだよ。一目惚れなら、ちゃんと近くで一緒にいれば、好きじゃなくなれるかもしれない。好きじゃなくなれば、呪いも解けるかもしれない」

有田「ごめんね、榊原君。私、最初は貴方の事を嫌いになるために、貴方に近づいたんだ」

恒一『……その結果は、どうだったの?』

有田「……好きじゃなくなるなんて、出来る訳がないよっ! 榊原君は、かっこよくて、料理が出来て、優しくて……夢に見たような、王子様みたいで……」

恒一『それは、褒めすぎだよ。でもね、有田さん』

有田「……なに?」

恒一『僕は、呪いが解けて欲しくないかな』

216: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:48:35.55 ID:akzllpal0
恒一『……有田さんが僕の事を好きだって言ってくれるなら、僕は嬉しいよ』

恒一『転入してすぐに呪われて、これから学校をどうしようか、そう悩んでたのは、最初だけだった』

恒一『有田さんが、いっつも僕のそばにいてくれたから、そんな悩み、どうでもよくなっちゃったんだ』

恒一『半ば強引に押しつけられても、快く僕を家に置いてくれて、一緒に夕飯を作って、将来こうして一緒にいる人が有田さんだったらな。なんて本気で思ってたんだ』

恒一『だから、もし有田さんが僕の事を好きじゃなくなって、呪いが解けたら……僕は寂しいよ』

恒一『有田さん、だから、好きじゃなくなろうなんて、しないで』

有田「榊原君……」

219: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:53:23.92 ID:akzllpal0
有田「ねぇ、今からでも、聞いてくれる? 現象なんて関係無しにして、私が気持ちを伝えようとしたら、聞いてくれる?」

恒一『もちろんだよ。有田さん』

有田「……ありがとう。私は、榊原恒一君の事が好きです。初めて見た時から好きでした。現象なんて関係無しで、お願いです。私と付き合ってくださいっ!」

恒一『うん、僕も好きだよ。有田さん!』

222: 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします 2012/05/18(金) 16:59:03.05 ID:akzllpal0
6月1日、教室

恒一「松子、松子(おはよう、勅使河原君)」

有田「恒一君! 恒一君(おはようっ! 勅使河原君)」

勅使河原「……マジかよ」

恒一「松子、松子? 松子でも松子? (どうしたの、勅使河原君? 熱でもあるの?)」

有田「恒一君は恒一君だね。恒一君恒一君く?(それは大変だね。保健室行く?)」

勅使河原「お前ら二人とも爆発しろ」

Aritar
おわり