2: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:27:44.33 ID:P99OORGi0
2003年10月某日
~武藤弁護士事務所~
まだ夏の暑さが続く日、特命係の杉下右京と亀山薫は武藤かおりからある相談を受けた。
その内容とは…
右京「ご無沙汰してます、武藤先生。」
亀山「どうもっす!浅倉の件では世話になりました。」
武藤「こちらこそ、けど浅倉さんは…」
亀山「自殺…のようです…現場に手書きの遺書が発見されました…」
~武藤弁護士事務所~
まだ夏の暑さが続く日、特命係の杉下右京と亀山薫は武藤かおりからある相談を受けた。
その内容とは…
右京「ご無沙汰してます、武藤先生。」
亀山「どうもっす!浅倉の件では世話になりました。」
武藤「こちらこそ、けど浅倉さんは…」
亀山「自殺…のようです…現場に手書きの遺書が発見されました…」
引用元: ・右京「仄暗い水の底?」
「オフィシャルガイドブック 相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断 & シーズン14・15」
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3: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:28:23.51 ID:P99OORGi0
二人の会話に出てくる浅倉という人物…
その男の名は浅倉禄郎、亀山薫の親友であり…
そして巷では平成の切り裂きジャックという名の異名で売春行為を働く 婦たちを
次々と殺害していた連続殺人犯の事である。
彼は東京拘置所に収監され、死刑判決を受けたが小暮ひとみの犯罪を暴いてほしいと
親友の亀山に頼んだ。
そして亀山はロンドンから帰ってきた右京と再び相棒を組み、小暮ひとみを逮捕する。
(なお、この事件で武藤は右京たちと浅倉の連絡係を担当していた。)
だが事件解決の直後に浅倉は東京拘置所を脱走、自殺した現場だと思われる断崖絶壁には
彼の遺書が発見された。
亀山「俺にはまだあいつが死んだとは思えなくて…」
武藤「そうね、私も彼が死んだとは正直信じられなくて…」
その男の名は浅倉禄郎、亀山薫の親友であり…
そして巷では平成の切り裂きジャックという名の異名で売春行為を働く 婦たちを
次々と殺害していた連続殺人犯の事である。
彼は東京拘置所に収監され、死刑判決を受けたが小暮ひとみの犯罪を暴いてほしいと
親友の亀山に頼んだ。
そして亀山はロンドンから帰ってきた右京と再び相棒を組み、小暮ひとみを逮捕する。
(なお、この事件で武藤は右京たちと浅倉の連絡係を担当していた。)
だが事件解決の直後に浅倉は東京拘置所を脱走、自殺した現場だと思われる断崖絶壁には
彼の遺書が発見された。
亀山「俺にはまだあいつが死んだとは思えなくて…」
武藤「そうね、私も彼が死んだとは正直信じられなくて…」
4: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:29:00.44 ID:P99OORGi0
二人が浅倉の死に疑問を抱く中、右京が会話を切り出した。
右京「ところで武藤先生、今日僕たちを呼びつけたのはどういった要件なのでしょうか?」
武藤「実は…ある女性を探してほしいんです…」
亀山「ある女性?」
武藤「私の依頼人です。
名前は松原淑美さん、彼女には元夫との離婚調停を依頼されていたんですけど…」
右京「何があったのですか?」
武藤「昨日突然いなくなったんです…」
右京「出来ればその時の事を詳しくお聞かせ願いますか?」
右京「ところで武藤先生、今日僕たちを呼びつけたのはどういった要件なのでしょうか?」
武藤「実は…ある女性を探してほしいんです…」
亀山「ある女性?」
武藤「私の依頼人です。
名前は松原淑美さん、彼女には元夫との離婚調停を依頼されていたんですけど…」
右京「何があったのですか?」
武藤「昨日突然いなくなったんです…」
右京「出来ればその時の事を詳しくお聞かせ願いますか?」
5: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:29:31.47 ID:P99OORGi0
それから武藤は語り出す。
失踪したとされる松原淑美は保育園に通う6歳の娘の郁子と二人暮らしのシングルマザーである。
昨日武藤は淑美の娘である郁子から一通の電話を受け取った。
郁子『ママが…ママが…逝っちゃったの…』
その電話を受けた武藤は急いで掛けつけてみると家の中は何故か水びだし、郁子もずぶ濡れの状態であったそうだ。
武藤「彼女の携帯や財布は家の中にあったし、何より大事な一人娘の郁子ちゃんを
置き去りにいなくなるなんて私には考えられないんです!
それに、もしこの事が前の旦那さんに知られたら…
今…郁子ちゃんは私の家で預かっているんですけどこのまま母親の不在が長引けば
親権は自動的に父親の手に渡ります!
彼女はなんとしても親権を守りたいんです!
杉下さん、亀山さん!どうか松原さんの捜索お願いできませんか?」
右京「わかりました、僕たちで良ければ力になります。」
亀山「先生には何かとお世話になりましたから、今度は俺たちが借りを返さないとね!
それでまずはどうしますか?」
右京「決まっています、まずは現場に向かいましょう。
武藤先生、松原さんのご自宅まで案内してもらえますか?」
失踪したとされる松原淑美は保育園に通う6歳の娘の郁子と二人暮らしのシングルマザーである。
昨日武藤は淑美の娘である郁子から一通の電話を受け取った。
郁子『ママが…ママが…逝っちゃったの…』
その電話を受けた武藤は急いで掛けつけてみると家の中は何故か水びだし、郁子もずぶ濡れの状態であったそうだ。
武藤「彼女の携帯や財布は家の中にあったし、何より大事な一人娘の郁子ちゃんを
置き去りにいなくなるなんて私には考えられないんです!
それに、もしこの事が前の旦那さんに知られたら…
今…郁子ちゃんは私の家で預かっているんですけどこのまま母親の不在が長引けば
親権は自動的に父親の手に渡ります!
彼女はなんとしても親権を守りたいんです!
杉下さん、亀山さん!どうか松原さんの捜索お願いできませんか?」
右京「わかりました、僕たちで良ければ力になります。」
亀山「先生には何かとお世話になりましたから、今度は俺たちが借りを返さないとね!
それでまずはどうしますか?」
右京「決まっています、まずは現場に向かいましょう。
武藤先生、松原さんのご自宅まで案内してもらえますか?」
6: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:30:01.42 ID:P99OORGi0
~マンション~
ザァァァァァァ
土砂降りの雨が降る中、右京と亀山は松原淑美が住むという古びた5階建てのマンションに来ていた。
右京「随分と古いマンションですね。」
亀山「こう言っちゃ悪いですけど間違いなく耐久年数オーバーしてるでしょ…」
武藤「不動産屋の話ですと築40年だそうです、耐久年数ギリギリですね。
さぁ、中へ入りましょう」
7: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:30:27.50 ID:P99OORGi0
右京と武藤がマンションに入り亀山もマンションに行こうとした時であった。
『…』
亀山「あれ?女の子か?」
亀山はマンションの前で奇妙な少女を見かける、その少女は年齢が5~6歳くらい、
髪が長くて黄色いフード付のレインコートを着ていた。
『…』
亀山「あれ?女の子か?」
亀山はマンションの前で奇妙な少女を見かける、その少女は年齢が5~6歳くらい、
髪が長くて黄色いフード付のレインコートを着ていた。
8: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:32:18.09 ID:P99OORGi0
そしてマンションの中に入り濡れた靴をマットで拭いていた時である。
右京は目の前にある管理人室に気になる物を見つけた。
右京「失礼、少しよろしいでしょうか?」
管理人「ハイ…何でしょうか?」
管理人室からの窓口にいた管理人はエレベーターに仕掛けてある防犯装置を見ながら
右京の問いかけに面倒くさそうに対応していた。
ちなみに男は名札に書かれているが神谷という名であった。
右京「この窓口の傍にある忘れ物入れですが、随分と真新しいですね。
それに何かが置かれていた跡があります、何があったのですか?」
神谷「子供のかばんだよ、色は赤くてmimikoってロゴマークがされてて幼稚園児の子が使ってるようなヤツさ。
けど…いつの間にか無くなっちまった、誰か取って行ったんじゃないかな?」
右京「幼稚園児ですか、ちなみにこのマンションに園児くらいの子はいるのでしょうか?」
神谷「あぁ、松原さんの子がそうだよ。
けど『このかばんはウチの子のじゃない!』って言ってたけどなぁ、おかしな話だよ…」
右京は目の前にある管理人室に気になる物を見つけた。
右京「失礼、少しよろしいでしょうか?」
管理人「ハイ…何でしょうか?」
管理人室からの窓口にいた管理人はエレベーターに仕掛けてある防犯装置を見ながら
右京の問いかけに面倒くさそうに対応していた。
ちなみに男は名札に書かれているが神谷という名であった。
右京「この窓口の傍にある忘れ物入れですが、随分と真新しいですね。
それに何かが置かれていた跡があります、何があったのですか?」
神谷「子供のかばんだよ、色は赤くてmimikoってロゴマークがされてて幼稚園児の子が使ってるようなヤツさ。
けど…いつの間にか無くなっちまった、誰か取って行ったんじゃないかな?」
右京「幼稚園児ですか、ちなみにこのマンションに園児くらいの子はいるのでしょうか?」
神谷「あぁ、松原さんの子がそうだよ。
けど『このかばんはウチの子のじゃない!』って言ってたけどなぁ、おかしな話だよ…」
9: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:32:45.56 ID:P99OORGi0
そんな話をしている内にエレベーターがやってきたので全員がそれに乗って
淑美の住む4階の部屋に向かおうとするが…
ビチャッ
右京「おや、エレベーターの床が水びだしの状態ですね。」
亀山「この雨ですからね、仕方ありませんよ。」
亀山は大して気にも留めず4階のボタンを押してエレベーターを上げた。
淑美の住む4階の部屋に向かおうとするが…
ビチャッ
右京「おや、エレベーターの床が水びだしの状態ですね。」
亀山「この雨ですからね、仕方ありませんよ。」
亀山は大して気にも留めず4階のボタンを押してエレベーターを上げた。
10: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:33:14.45 ID:P99OORGi0
~松原宅~
部屋の中にやって来た右京と亀山、部屋は淑美の失踪時から特に手を付けていない状態で
保存されていた。
彼女がいなくなったのは郁子と夕食の団欒を楽しんでいる最中だったようで、それがわかるように
テーブルに食卓が置いてあった。
そしてもうひとつ、気になる物が…
右京「おやおや、これは何でしょうか?」
右京がテーブルの椅子にあったある物を見つけた、それは…
11: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:34:06.96 ID:P99OORGi0
亀山「それかばんですね、しかも園児向けの!」
右京「この赤くてmimikoのロゴマークが施されている特徴、確か管理人さんが言っていたのと同じですね。」
亀山「これが郁子ちゃんの物だからじゃないんですか、6歳の子ならこういうの持ってても違和感無いし。」
右京「いえ、管理人さんの話ですと郁子ちゃんの物ではないと淑美さんが強く否定していました。
一体これは…」
右京が言い掛けた時であった。
ピチョン
肩に水滴が当たった、気になり天井を見上げてみるとそこにはあったのは…
右京「この赤くてmimikoのロゴマークが施されている特徴、確か管理人さんが言っていたのと同じですね。」
亀山「これが郁子ちゃんの物だからじゃないんですか、6歳の子ならこういうの持ってても違和感無いし。」
右京「いえ、管理人さんの話ですと郁子ちゃんの物ではないと淑美さんが強く否定していました。
一体これは…」
右京が言い掛けた時であった。
ピチョン
肩に水滴が当たった、気になり天井を見上げてみるとそこにはあったのは…
12: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:34:45.98 ID:P99OORGi0
右京「雨漏り…ですか…」
亀山「あ、本当ですね!しかも何だありゃ?
まるで円みたいな丸い形になっていますよ!」
武藤「そういえば松原さんから部屋の雨漏りが酷いって相談をされてましたね。
まさかこんな染みが出来るまで酷いだなんて、確か不動産屋が頼んだ内装業者が
この部屋の張り紙を新しく張り替えたのに…」
天井の染みを単なる雨漏りだと思う亀山と武藤、しかし右京はある事に気付く。
右京「…おかしくありませんか?」
亀山「おかしいって何がですか?」
右京「この階は4階ですよ、普通雨漏りがするなら5階の最上階のはずですよね。
それなのに4階で雨漏りとは、ひょっとしたら…」
右京はある予感がして管理人と不動産屋の立ち合いの下、松原宅の真上にある5階の部屋を開けてもらう事にした。
亀山「あ、本当ですね!しかも何だありゃ?
まるで円みたいな丸い形になっていますよ!」
武藤「そういえば松原さんから部屋の雨漏りが酷いって相談をされてましたね。
まさかこんな染みが出来るまで酷いだなんて、確か不動産屋が頼んだ内装業者が
この部屋の張り紙を新しく張り替えたのに…」
天井の染みを単なる雨漏りだと思う亀山と武藤、しかし右京はある事に気付く。
右京「…おかしくありませんか?」
亀山「おかしいって何がですか?」
右京「この階は4階ですよ、普通雨漏りがするなら5階の最上階のはずですよね。
それなのに4階で雨漏りとは、ひょっとしたら…」
右京はある予感がして管理人と不動産屋の立ち合いの下、松原宅の真上にある5階の部屋を開けてもらう事にした。
13: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:35:34.89 ID:P99OORGi0
右京「河合正治、それに美津子ですか…」
亀山「母親の名前がありませんけどシングルだったんですかね?」
右京と亀山は部屋の名札を見てそう呟いた。
そんな時、ようやくこの部屋の管理を担当している不動産屋が現れる。
太田「どうも、私は不動産屋の太田と申します。今日はこちらの物件を見学でしょうか?」
武藤「いいえ、私は下の階の松原さんに頼まれてちょっとこの上の階を調べてほしいと言われて…」
少し適当な嘘を入れて誤魔化す武藤、だがその返答に太田は嫌悪感を露わにする。
太田「あぁ、あそこの奥さんですか?
あの神経質な面がありますからね、最初の見学に来た時も子供が少しいなくなっただけで
大騒ぎしてましたよ。
まったく…親ならもっとドッシリと構えておきゃいいのに…」
亀山「あんたねぇ、そんな言い方は…」
亀山「母親の名前がありませんけどシングルだったんですかね?」
右京と亀山は部屋の名札を見てそう呟いた。
そんな時、ようやくこの部屋の管理を担当している不動産屋が現れる。
太田「どうも、私は不動産屋の太田と申します。今日はこちらの物件を見学でしょうか?」
武藤「いいえ、私は下の階の松原さんに頼まれてちょっとこの上の階を調べてほしいと言われて…」
少し適当な嘘を入れて誤魔化す武藤、だがその返答に太田は嫌悪感を露わにする。
太田「あぁ、あそこの奥さんですか?
あの神経質な面がありますからね、最初の見学に来た時も子供が少しいなくなっただけで
大騒ぎしてましたよ。
まったく…親ならもっとドッシリと構えておきゃいいのに…」
亀山「あんたねぇ、そんな言い方は…」
14: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:36:03.27 ID:P99OORGi0
ガチャッ
亀山が言い掛けた時、ドアの鍵が開いた。部屋の中を覗こうとしたその時であった…
ドッパァァァァン
右京「なっ!?」
亀山「うわぁぁぁぁぁ!?」
武藤「な…なんなの!?」
突如部屋の中から大量の水が押し寄せてきた、全員が驚く中部屋の中を見てみると…
部屋の中は荒廃しており床は水びだし、天井は湿気による多数の染みの跡、
いくら空き家物件とはいえ酷い惨状であった。
15: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:36:50.13 ID:P99OORGi0
亀山「酷っでえな、一体何がどうしてこうなったんだ?」
右京「おやおや、これは…どうやら水道の蛇口が出しっ放しだったようですね。」
この事について太田は管理人の神谷に対して激しく詰め寄った。
太田「ちょっと神谷さん!
アンタ…24時間ずっとこのマンションで管理人してるのに何でこんな事に気付かなかったんだ!?
住み込みのマンションの管理人なんてなり手が山ほどいるんだぞ!
アンタここに勤めてまだ1年しか経ってないんだぞ、しっかり仕事してくれよ!!」
神谷「…」
武藤「待ってください!
松原さんは何度も不動産屋であるあなたにも相談をしたはずですよ!
それにこの物件を管理しているあなたにも相応の責任があるはずです!」
右京「おやおや、これは…どうやら水道の蛇口が出しっ放しだったようですね。」
この事について太田は管理人の神谷に対して激しく詰め寄った。
太田「ちょっと神谷さん!
アンタ…24時間ずっとこのマンションで管理人してるのに何でこんな事に気付かなかったんだ!?
住み込みのマンションの管理人なんてなり手が山ほどいるんだぞ!
アンタここに勤めてまだ1年しか経ってないんだぞ、しっかり仕事してくれよ!!」
神谷「…」
武藤「待ってください!
松原さんは何度も不動産屋であるあなたにも相談をしたはずですよ!
それにこの物件を管理しているあなたにも相応の責任があるはずです!」
16: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:38:15.92 ID:P99OORGi0
太田「あぁ…いや…」
責任転嫁を繰り返す太田に対して右京はこの部屋の住人についての事を聞いてみた。
右京「とりあえず責任云々については後ほど…
ところで太田さん、この部屋の住人はどうなされたのですか?」
太田「じ…実は…」
太田が説明するにはこの部屋にはかつて『河合』という家族が住んでいたという。
その家族は…
太田「ここだけの話にしといてください、ここに住んでいた前の住人の子供が2年前行方不明になったんですよ…」
亀山「ゆ…行方不明!?」
右京「何故行方不明に?」
太田「そんなの知りませんよ!
警察が言うには不審者の仕業じゃないかって…
それで暫くは父親が一人で暮らしていたけど、確か去年の暮れにここを引き払ったはずです…」
責任転嫁を繰り返す太田に対して右京はこの部屋の住人についての事を聞いてみた。
右京「とりあえず責任云々については後ほど…
ところで太田さん、この部屋の住人はどうなされたのですか?」
太田「じ…実は…」
太田が説明するにはこの部屋にはかつて『河合』という家族が住んでいたという。
その家族は…
太田「ここだけの話にしといてください、ここに住んでいた前の住人の子供が2年前行方不明になったんですよ…」
亀山「ゆ…行方不明!?」
右京「何故行方不明に?」
太田「そんなの知りませんよ!
警察が言うには不審者の仕業じゃないかって…
それで暫くは父親が一人で暮らしていたけど、確か去年の暮れにここを引き払ったはずです…」
17: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:39:10.35 ID:P99OORGi0
右京「なるほど、つまりそれから半年近くの間この部屋の水道が出しっ放しだったという事になりますね。」
武藤「あなた方不動産業者の責任は免れませんよ!
松原さんにこの事をキチンと伝えて業者に来てもらうよう手配してください!」
太田「ハ…ハイ…わかりました…」
結局このマンションに淑美がいる気配はなかった。
武藤とはここで一旦別れて右京たちは娘の郁子が通う保育園にやって来ていた。
そこの園長に淑美について話を聞いてみる事にした。
武藤「あなた方不動産業者の責任は免れませんよ!
松原さんにこの事をキチンと伝えて業者に来てもらうよう手配してください!」
太田「ハ…ハイ…わかりました…」
結局このマンションに淑美がいる気配はなかった。
武藤とはここで一旦別れて右京たちは娘の郁子が通う保育園にやって来ていた。
そこの園長に淑美について話を聞いてみる事にした。
18: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:39:55.82 ID:P99OORGi0
~保育園~
園長「郁子ちゃんのお母さんですか?」
右京「えぇ、園長先生の知る範囲でいいのでお答え頂ければありがたいのですが。」
園長「そう言われてもねぇ…
松原さんとは知り合って1ヶ月も経ってませんし、私の知る限りではおかしなところはありませんでしたよ。
まあちょっと神経質な面はありましたけど、ただ…」
亀山「何かあったんですか?」
園長「実は娘の郁子ちゃんの様子がおかしかったんですよ。
独り言が多くて、まるで空想の友達と話しているみたいな感じでした。」
右京「なるほどイマジナリーフレンドというわけですか、おや?」
園長「郁子ちゃんのお母さんですか?」
右京「えぇ、園長先生の知る範囲でいいのでお答え頂ければありがたいのですが。」
園長「そう言われてもねぇ…
松原さんとは知り合って1ヶ月も経ってませんし、私の知る限りではおかしなところはありませんでしたよ。
まあちょっと神経質な面はありましたけど、ただ…」
亀山「何かあったんですか?」
園長「実は娘の郁子ちゃんの様子がおかしかったんですよ。
独り言が多くて、まるで空想の友達と話しているみたいな感じでした。」
右京「なるほどイマジナリーフレンドというわけですか、おや?」
19: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:41:03.75 ID:P99OORGi0
右京がクラスの壁に貼られていた絵について気になった。
どの絵も『みつこちゃんはやくかえってきてね!』や『みつこちゃんまってるよ!』など
赤いかばんを持った少女の絵が描かれていた。
亀山「みんな『みつこちゃん』って子を描いているんですね。」
右京「この絵は一体何なのですか?」
園長「ハイ、その絵のモデルになっている子の名前は『河合美津子』と言いまして2年前行方不明になった少女です。
失踪時はウチの園児でしてね、あの子が住んでたマンションは松原さんの住んでいるマンションと同じだったような…」
亀山「右京さん、それってまさか!?」
右京「…」
園長「そういえばウチで作った手配書があるんですよ、よろしければ見てください。」
そう言って園長は右京と亀山に河合美津子の手配書を出した。
その手配書にはこう記されていた。
どの絵も『みつこちゃんはやくかえってきてね!』や『みつこちゃんまってるよ!』など
赤いかばんを持った少女の絵が描かれていた。
亀山「みんな『みつこちゃん』って子を描いているんですね。」
右京「この絵は一体何なのですか?」
園長「ハイ、その絵のモデルになっている子の名前は『河合美津子』と言いまして2年前行方不明になった少女です。
失踪時はウチの園児でしてね、あの子が住んでたマンションは松原さんの住んでいるマンションと同じだったような…」
亀山「右京さん、それってまさか!?」
右京「…」
園長「そういえばウチで作った手配書があるんですよ、よろしければ見てください。」
そう言って園長は右京と亀山に河合美津子の手配書を出した。
その手配書にはこう記されていた。
20: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:41:38.41 ID:P99OORGi0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この子を探しています。
河合美津子ちゃん
平成7年11月3日生まれ(5歳)
身長116㎝
体重20キロ
黒のロングヘアー
黄色いレインコート(フード付)
赤いかばん
河合美津子ちゃんは平成13年7月14日に中区河津二丁目付近で、目撃されたのを
最後に行方がわからなくなっています。
お心当たりの方は警察署に連絡を。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この子を探しています。
河合美津子ちゃん
平成7年11月3日生まれ(5歳)
身長116㎝
体重20キロ
黒のロングヘアー
黄色いレインコート(フード付)
赤いかばん
河合美津子ちゃんは平成13年7月14日に中区河津二丁目付近で、目撃されたのを
最後に行方がわからなくなっています。
お心当たりの方は警察署に連絡を。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
21: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:44:26.38 ID:P99OORGi0
手配書には当時の美津子の写真も載っていた、その少女は確かに5歳前後の黒くて長い髪をしている。
園長「これが失踪当時の美津子ちゃんです。」
亀山「嘘だろ…この子は!?」
右京「どうかしましたか?」
その手配書に記されている顔写真を見て亀山は驚いた、なんとマンションの前にいた
少女がこの手配書に載っている河合美津子と似た風貌をしていたからだ。
園長「これが失踪当時の美津子ちゃんです。」
亀山「嘘だろ…この子は!?」
右京「どうかしましたか?」
その手配書に記されている顔写真を見て亀山は驚いた、なんとマンションの前にいた
少女がこの手配書に載っている河合美津子と似た風貌をしていたからだ。
22: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:45:02.26 ID:P99OORGi0
~特命係~
一旦特命係の部屋に戻ってきた右京と亀山は失踪した淑美について話し合っていた。
亀山「結局松原さんはどこに行っちゃったんですかね?」
右京「家に財布や携帯を置いていなくなる、正直貴重品を置いて自分から失踪するとはあり得ないですね。
もしかしたら何らかの事件か事故に巻き込まれた可能性があるかもしれません…」
亀山「事件か…けどあのマンションには松原さん一家以外には老人が数人住んでる程度ですよ。
そんな怪しい人物がいるとは思えないんですけど…」
あの周囲には怪しい人物もいなければ事件すら起きていない。
そう亀山は告げるが右京はある事が気になっていた。
23: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:45:40.15 ID:P99OORGi0
右京「『ママが…ママが…逝っちゃったの…』ですか、奇妙だと思いませんか?」
亀山「奇妙って何がですか?
母親がいなくなったのを娘の郁子ちゃんが訴えたのが何で奇妙なんですか?」
右京「普通なら母親がいなくなれば『ママがいなくなった』と言うべきでしょう。
それなのに『逝っちゃった』と言っていたそうですね。
もしかしたらですが、郁子ちゃんは母親がいなくなる瞬間を見ていたのではありませんか?」
亀山「じゃあ郁子ちゃんに聞いてみれば!」
右京「それともうひとつ気になる事があるのですが、あのエレベーターですが床が濡れてましたね。
あのマンションには出入り口にマットが設置されていました。
あのようにビショビショな状態になっているのは少し気になるのですが…」
亀山「いや…それは関係ないんじゃ…大体マットくらいでそんなに水分取れませんからね。」
右京「…」
亀山「奇妙って何がですか?
母親がいなくなったのを娘の郁子ちゃんが訴えたのが何で奇妙なんですか?」
右京「普通なら母親がいなくなれば『ママがいなくなった』と言うべきでしょう。
それなのに『逝っちゃった』と言っていたそうですね。
もしかしたらですが、郁子ちゃんは母親がいなくなる瞬間を見ていたのではありませんか?」
亀山「じゃあ郁子ちゃんに聞いてみれば!」
右京「それともうひとつ気になる事があるのですが、あのエレベーターですが床が濡れてましたね。
あのマンションには出入り口にマットが設置されていました。
あのようにビショビショな状態になっているのは少し気になるのですが…」
亀山「いや…それは関係ないんじゃ…大体マットくらいでそんなに水分取れませんからね。」
右京「…」
24: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:46:08.83 ID:P99OORGi0
そこへコーヒーを強請りに隣の組対5課から角田課長がお決まりの台詞を言いながらやって来た。
角田「よ、暇か?」
亀山「暇じゃないですよ…今失踪した母親を探している最中なんですから!」
角田「へぇ、知り合いの弁護士先生の依頼で家出人の捜索ねえ…
お前ら最近探偵染みた事やってんな、もう警察辞めて探偵にでも転職したらどうだい?」
亀山「ハハハ…」
右京「ところで課長、このマンション付近で以前河合美津子という少女が失踪しているのですが
何かご存じでははありませんか?」
角田「よ、暇か?」
亀山「暇じゃないですよ…今失踪した母親を探している最中なんですから!」
角田「へぇ、知り合いの弁護士先生の依頼で家出人の捜索ねえ…
お前ら最近探偵染みた事やってんな、もう警察辞めて探偵にでも転職したらどうだい?」
亀山「ハハハ…」
右京「ところで課長、このマンション付近で以前河合美津子という少女が失踪しているのですが
何かご存じでははありませんか?」
25: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:47:45.19 ID:P99OORGi0
角田「河合美津子…あれ?どっか聞いたような…あぁ!?思い出したぞ!!
昔ウチが張り込みしてた時に行方不明になったって騒がれた子供の事か!?」
亀山「それってどういう事ですか?」
角田課長が説明するには2年前の7月14日の事であった。
当時ある事件を張り込みをしていた際に河合美津子と名乗る少女が行方不明になったという話であった。
角田「当時ウチは城南金融系列の風俗経営店を捜査しててさ!
ヤツラが当時上客用に宛がっていた 婦が一人行方不明になったって話を聞いてな。
こりゃもしかしたら人身売買でも行われたんじゃないかと思って捜査してたんだよ!
けどその少女の行方不明の騒ぎでゴタゴタになって捜査は打ち切りになっちまってさ…
結局少女も女もみ~んないなくなっちまったんだよ。」
右京「女ですか…」
それからすぐに右京と亀山は武藤の事務所にやって来て改めて郁子に事件の事について
詳しく聞きたいと尋ねた。
昔ウチが張り込みしてた時に行方不明になったって騒がれた子供の事か!?」
亀山「それってどういう事ですか?」
角田課長が説明するには2年前の7月14日の事であった。
当時ある事件を張り込みをしていた際に河合美津子と名乗る少女が行方不明になったという話であった。
角田「当時ウチは城南金融系列の風俗経営店を捜査しててさ!
ヤツラが当時上客用に宛がっていた 婦が一人行方不明になったって話を聞いてな。
こりゃもしかしたら人身売買でも行われたんじゃないかと思って捜査してたんだよ!
けどその少女の行方不明の騒ぎでゴタゴタになって捜査は打ち切りになっちまってさ…
結局少女も女もみ~んないなくなっちまったんだよ。」
右京「女ですか…」
それからすぐに右京と亀山は武藤の事務所にやって来て改めて郁子に事件の事について
詳しく聞きたいと尋ねた。
26: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:49:12.82 ID:P99OORGi0
~武藤弁護士事務所~
武藤「事情はわかりました、けど…」
亀山「大事な事なんです!なんとか郁子ちゃんと話をさせてもらえませんか?」
武藤「私としてもそうしたいのは山々なのですが…郁子ちゃんは…」
武藤は不安な表情を浮かべながら郁子を連れて来た。
しかし郁子は事件について何も語ろうとはしなかった…
郁子「…」
亀山「あの…これは…」
武藤「たぶんショックだったんでしょうね、母親がいきなりいなくなって…
私が駆けつけた時にはかなり泣きじゃくっていましたから。」
武藤「事情はわかりました、けど…」
亀山「大事な事なんです!なんとか郁子ちゃんと話をさせてもらえませんか?」
武藤「私としてもそうしたいのは山々なのですが…郁子ちゃんは…」
武藤は不安な表情を浮かべながら郁子を連れて来た。
しかし郁子は事件について何も語ろうとはしなかった…
郁子「…」
亀山「あの…これは…」
武藤「たぶんショックだったんでしょうね、母親がいきなりいなくなって…
私が駆けつけた時にはかなり泣きじゃくっていましたから。」
27: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:50:05.44 ID:P99OORGi0
右京「なるほど、ところで武藤先生が郁子ちゃんを発見した時ずぶ濡れだったと聞きましたが
何で濡らしていたのでしょうか?」
武藤「私が行った時…お風呂場の水が出しっ放しでしたからたぶんお風呂場の水を…
けど服を着たまただったから入ろうとしたわけじゃなくお風呂の水を入れてただけだと思います。
その時に滑ったりしたんじゃ…」
右京「なるほど、ところであの郁子ちゃん、赤いかばんですがアレは誰の物かわかりますか?」
右京は何も言わない郁子に尋ねてみた、するとどうだろうか。
先ほどまで何も言わなかった郁子の表情が見る見る険しい表情になり重い口を開き始めた。
何で濡らしていたのでしょうか?」
武藤「私が行った時…お風呂場の水が出しっ放しでしたからたぶんお風呂場の水を…
けど服を着たまただったから入ろうとしたわけじゃなくお風呂の水を入れてただけだと思います。
その時に滑ったりしたんじゃ…」
右京「なるほど、ところであの郁子ちゃん、赤いかばんですがアレは誰の物かわかりますか?」
右京は何も言わない郁子に尋ねてみた、するとどうだろうか。
先ほどまで何も言わなかった郁子の表情が見る見る険しい表情になり重い口を開き始めた。
28: ◆jPpg5.obl6 2013/11/07(木) 20:50:34.64 ID:P99OORGi0
郁子「ママは…あのかばんを何度も…捨てようとした…
けど…かばんはいっつも…郁子たちのところに戻ってくるの…」
亀山「かばんが一人でに?そんなバカな!」
郁子「それからママは…エレベーターで…」
右京「エレベーターでどうしたのですか?」
郁子「上がっていった…」
結局それ以上の事は聞けなかった、郁子は再び口を閉ざしてしまったからだ…
けど…かばんはいっつも…郁子たちのところに戻ってくるの…」
亀山「かばんが一人でに?そんなバカな!」
郁子「それからママは…エレベーターで…」
右京「エレベーターでどうしたのですか?」
郁子「上がっていった…」
結局それ以上の事は聞けなかった、郁子は再び口を閉ざしてしまったからだ…
39: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:19:02.17 ID:tyAKEfln0
~役所~
右京と亀山はマンション付近の役所へと来ていた、亀山は何故こんな場所に来るのかと説明を求めた。
亀山「何でこんな場所に来るんですか?
俺たちは松原さんの行方を追っているはずでしょ!」
右京「それは勿論ですがちょっと気になる事がありましてね。」
職員「お待たせしました、こちらになります。」
そう言って職員が提示したのは河合美津子の戸籍標本であった。
亀山「これって河合美津子ちゃんの戸籍…けどこれが何だっていうんですか?」
右京「やはり…思った通りです、美津子ちゃんの戸籍ですが私生児扱いですね。」
亀山「し…私生児!?」
右京「つまり婚外子の子供という事です。
美津子ちゃんは父親の籍ですが母親の欄がまったくの空欄になっています。」
亀山「けど何で母親の欄が空白になってるんですかね?」
右京「まだわかりません、ところでひとつ寄ってみたい場所があります。」
右京と亀山はマンション付近の役所へと来ていた、亀山は何故こんな場所に来るのかと説明を求めた。
亀山「何でこんな場所に来るんですか?
俺たちは松原さんの行方を追っているはずでしょ!」
右京「それは勿論ですがちょっと気になる事がありましてね。」
職員「お待たせしました、こちらになります。」
そう言って職員が提示したのは河合美津子の戸籍標本であった。
亀山「これって河合美津子ちゃんの戸籍…けどこれが何だっていうんですか?」
右京「やはり…思った通りです、美津子ちゃんの戸籍ですが私生児扱いですね。」
亀山「し…私生児!?」
右京「つまり婚外子の子供という事です。
美津子ちゃんは父親の籍ですが母親の欄がまったくの空欄になっています。」
亀山「けど何で母親の欄が空白になってるんですかね?」
右京「まだわかりません、ところでひとつ寄ってみたい場所があります。」
40: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:19:58.08 ID:tyAKEfln0
~風俗店~
ここはかつて組対5課の角田課長たちが摘発しようとした城南金融系列の風俗店である。
右京と亀山はそこの店長に失踪した女の事を尋ねていた。
店長「フンッ、そんな事以前警察で散々話したよ。今更なんだってんだ?」
右京「すみませんねぇ、もう一度あなたの口から聞きたいものでして。」
店長「あの女がいなくなった日だが…俺は何も知らねえよ!
店の準備で忙しいんだ、さぁ…帰ってくれ!!」
店長はそれだけ言って店の奥に引き籠ってしまった、令状も無いのでこれ以上の話を聞くは出来なかった。
ここはかつて組対5課の角田課長たちが摘発しようとした城南金融系列の風俗店である。
右京と亀山はそこの店長に失踪した女の事を尋ねていた。
店長「フンッ、そんな事以前警察で散々話したよ。今更なんだってんだ?」
右京「すみませんねぇ、もう一度あなたの口から聞きたいものでして。」
店長「あの女がいなくなった日だが…俺は何も知らねえよ!
店の準備で忙しいんだ、さぁ…帰ってくれ!!」
店長はそれだけ言って店の奥に引き籠ってしまった、令状も無いのでこれ以上の話を聞くは出来なかった。
41: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:20:25.59 ID:tyAKEfln0
亀山「まったく…令状が無いからって舐め過ぎでしょあれ!」
右京「…」
そんな二人の前に古株の風俗嬢が話しかけてきた。
風俗嬢「ねえねえアンタたち、いなくなった子の事を聞きに来たんでしょ!
なら教えてあげなくもないわよ!」
右京「おやおや、本当ですか?」
風俗嬢「いいわよ、あの店長最近金払いが悪くてさ!
あいつの嫌がらせになるなら何だって答えてやるわよ!」
亀山「まったく人徳が無いとこういう所で秘密が漏れちゃうものなんですねぇ…」
右京「まさに『人の口に戸は立てられない』と言うべきでしょうか。
それで失踪された方についてなのですが…」
右京「…」
そんな二人の前に古株の風俗嬢が話しかけてきた。
風俗嬢「ねえねえアンタたち、いなくなった子の事を聞きに来たんでしょ!
なら教えてあげなくもないわよ!」
右京「おやおや、本当ですか?」
風俗嬢「いいわよ、あの店長最近金払いが悪くてさ!
あいつの嫌がらせになるなら何だって答えてやるわよ!」
亀山「まったく人徳が無いとこういう所で秘密が漏れちゃうものなんですねぇ…」
右京「まさに『人の口に戸は立てられない』と言うべきでしょうか。
それで失踪された方についてなのですが…」
42: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:20:54.72 ID:tyAKEfln0
それから風俗嬢は話した。
失踪した女はいなくなる日に城南金融の連中に連れて行かれたという話だった。
しかしさすがに彼女も女が何処へ行ったのかまでは存じてはいなかった。
風俗嬢「あの子も可哀想だわね、いなくなる前に子供に新しいかばんを買ってあげたって
嬉しいように言うんだからさ。
それなのに…」
亀山「その女…子供がいたんですか!?」
風俗嬢「子供の名前までは知らないけど…赤いかばんをプレゼントしたって言ってたよ。
『ママありがと!』って言ってくれたってスゴイ自慢してたからさ。」
失踪した女はいなくなる日に城南金融の連中に連れて行かれたという話だった。
しかしさすがに彼女も女が何処へ行ったのかまでは存じてはいなかった。
風俗嬢「あの子も可哀想だわね、いなくなる前に子供に新しいかばんを買ってあげたって
嬉しいように言うんだからさ。
それなのに…」
亀山「その女…子供がいたんですか!?」
風俗嬢「子供の名前までは知らないけど…赤いかばんをプレゼントしたって言ってたよ。
『ママありがと!』って言ってくれたってスゴイ自慢してたからさ。」
43: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:21:32.08 ID:tyAKEfln0
~河原~
右京と亀山は河原に来ていた、ここは近隣の子供たちの遊び場でもある。
右京「2年前の事を覚えている方でも居てくれたらと思ったのですが…」
亀山「平日の昼間ですよ、人なんかいるわけが…」
そんな時、二人はある場所に注目する。
それはボランティアの団体がホームレスたちに炊き出しの配給を提供している光景であった。
そんな中で一人だけ妙に小学生の子供たちと楽しく話しているホームレスがいた。
小学生A「じゃあね一郎くん!」
小学生B「今度また遊んでくれよ!」
一郎「あぁ、またな!」
一郎くんと呼ばれるホームレスであった。
右京と亀山は手始めに彼に話を聞いてみる事にした。
44: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:22:19.16 ID:tyAKEfln0
右京「失礼、警察の者ですが。」
一郎「警察が僕に何の用?言っとくけど僕は何もしてないよ。」
右京「2年前この辺りで行方不明になった河合美津子という少女の事をご存じありませんか?」
一郎「美津子ちゃん?
あぁ…覚えているよ、可哀想な子だったな…」
亀山「可哀想?どういう事だよ?」
一郎「あの子さ、保育園に通っていただろ。
母親がどうも夜の仕事をしているらしくてろくに迎えに来てもらった事が無いって聞いたよ。
挙句の果てにはとうとう暗い夜道を一人で歩いて帰っていたからね。
たまに僕が帰りに付き添ってあげてたけど父親と母親の仲はうまくいってなかったてさ…
いつも口論は耐えず仕舞い、家には変な連中が現れるとか言って…」
右京「変な連中とは?」
一郎「僕もさすがにマンションまでは入れなかったから詳しい事はわからないけど
美津子ちゃんが言うには恐い顔をしておじさんたちがやってくるらしいってさ。
そういえば一人だけ…優しいの顔をしたお爺さんがいたって聞いたけど…」
亀山「ろくでもない親…だったんですかね…」
一郎「警察が僕に何の用?言っとくけど僕は何もしてないよ。」
右京「2年前この辺りで行方不明になった河合美津子という少女の事をご存じありませんか?」
一郎「美津子ちゃん?
あぁ…覚えているよ、可哀想な子だったな…」
亀山「可哀想?どういう事だよ?」
一郎「あの子さ、保育園に通っていただろ。
母親がどうも夜の仕事をしているらしくてろくに迎えに来てもらった事が無いって聞いたよ。
挙句の果てにはとうとう暗い夜道を一人で歩いて帰っていたからね。
たまに僕が帰りに付き添ってあげてたけど父親と母親の仲はうまくいってなかったてさ…
いつも口論は耐えず仕舞い、家には変な連中が現れるとか言って…」
右京「変な連中とは?」
一郎「僕もさすがにマンションまでは入れなかったから詳しい事はわからないけど
美津子ちゃんが言うには恐い顔をしておじさんたちがやってくるらしいってさ。
そういえば一人だけ…優しいの顔をしたお爺さんがいたって聞いたけど…」
亀山「ろくでもない親…だったんですかね…」
45: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:23:11.21 ID:tyAKEfln0
亀山がそう呟くと配給の列に並んでいたホームレスらしき男が妙な事を言った。
―「違うよ、子供は母親がいなくて寂しいんだよ…」
奇妙な男だった、顔は見えなかったがその風貌はホームレスそのもので
コサック帽子を被り仲間内からは外務大臣と呼ばれていた。
彼は意味ありげな言葉を残すとそのまま仲間たちのところへ行ってしまった。
亀山「何だ今のホームレス?」
一郎「話を続けるけどさ、そんなある日突然母親がいなくなったんだよ。
その事を父親に訴えたんだけど相手にされなくて、それからすぐに…美津子ちゃんも失踪した…
僕も当時色々と探し回ったけどとうとう見つからなかったよ…」
右京「なるほど、そういう事でしたか。」
―「違うよ、子供は母親がいなくて寂しいんだよ…」
奇妙な男だった、顔は見えなかったがその風貌はホームレスそのもので
コサック帽子を被り仲間内からは外務大臣と呼ばれていた。
彼は意味ありげな言葉を残すとそのまま仲間たちのところへ行ってしまった。
亀山「何だ今のホームレス?」
一郎「話を続けるけどさ、そんなある日突然母親がいなくなったんだよ。
その事を父親に訴えたんだけど相手にされなくて、それからすぐに…美津子ちゃんも失踪した…
僕も当時色々と探し回ったけどとうとう見つからなかったよ…」
右京「なるほど、そういう事でしたか。」
46: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:23:39.33 ID:tyAKEfln0
一郎「じゃあ僕はこれで失礼するよ。
実はここ僕の縄張りじゃなくてね、普段は別の所にいるんだけど今日はここで配給があるって聞いてさ。
ここの元締めやってる大統領ってヤツに見つかる前に早々に退散しないとね、それじゃ!」
亀山「さっきのホームレス…子供は母親がいなくて寂しい…か…
まったく他人事なのにわかった風な口聞いちゃって!」
右京「けど意外と本質を見抜いているかのような一言ですね。」
その時右京の携帯に連絡が入った、連絡主は他ならぬ武藤からであった。
武藤『杉下さん!すぐに来てもらえますか!?』
武藤からの緊急の連絡、二人は急いで武藤の事務所へと向かった。
実はここ僕の縄張りじゃなくてね、普段は別の所にいるんだけど今日はここで配給があるって聞いてさ。
ここの元締めやってる大統領ってヤツに見つかる前に早々に退散しないとね、それじゃ!」
亀山「さっきのホームレス…子供は母親がいなくて寂しい…か…
まったく他人事なのにわかった風な口聞いちゃって!」
右京「けど意外と本質を見抜いているかのような一言ですね。」
その時右京の携帯に連絡が入った、連絡主は他ならぬ武藤からであった。
武藤『杉下さん!すぐに来てもらえますか!?』
武藤からの緊急の連絡、二人は急いで武藤の事務所へと向かった。
47: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:24:07.03 ID:tyAKEfln0
~武藤弁護士事務所~
武藤から連絡を受けて、さっそく事務所に行くと一人の男が郁子を事務所から連れ出そうとしていた。
武藤「止めてください!郁子ちゃんをどうする気なんですか!?」
―「うるさい!郁子は私が連れて帰る!」
男が半ば強引に郁子を連れ去ろうとするので右京と亀山で止めに入った。
亀山「警察だ!アンタ何で子供を連れ出そうとした!?」
―「そ…それは…」
48: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:24:44.63 ID:tyAKEfln0
右京「先ほどの会話から察するにひょっとしてあなた、郁子ちゃんのお父さんですか?」
亀山「えっ!?」
武藤「そうです、その方は松原さんの元旦那さんの浜田邦夫さんです。」
浜田はどこで聞きつけたのか淑美が行方不明になった事を知り、娘の郁子を連れ帰ろうとしていた。
武藤「ですから親権はまだ母親の松原さんにあるんです!
勝手にあなたに預けるわけにはいきません!」
浜田「ふざけるな!
あいつは子供を置き去りにして行方を晦ませたんだぞ!自分の母親と同じ事をしたんだ!!」
亀山「ちょっとちょっと!事情はわかったけどこんな所で暴れないで!」
亀山「えっ!?」
武藤「そうです、その方は松原さんの元旦那さんの浜田邦夫さんです。」
浜田はどこで聞きつけたのか淑美が行方不明になった事を知り、娘の郁子を連れ帰ろうとしていた。
武藤「ですから親権はまだ母親の松原さんにあるんです!
勝手にあなたに預けるわけにはいきません!」
浜田「ふざけるな!
あいつは子供を置き去りにして行方を晦ませたんだぞ!自分の母親と同じ事をしたんだ!!」
亀山「ちょっとちょっと!事情はわかったけどこんな所で暴れないで!」
49: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:25:42.07 ID:tyAKEfln0
右京「その前にひとつ、気になる事があるのですかよろしいですか?」
浜田「へ?」
右京は先ほど浜田が言った気になる事について問いかけてみた。
右京「先ほどあなたは松原さんが自分の母親と同じ事をしたと仰いましたね。
それは一体どういう事なのでしょうか?」
浜田「それは…昔…淑美からチラッと聞いた事なんですけど
あいつの母親は家庭を顧みない母親だったらしくて、郁美と同じくらいの歳の頃に母親が家出して
淑美自身随分寂しい想いをしたそうなんです。
それで…私もあいつの事を少しでもわかってやろうと努力したんですよ!
それなのに…あいつが勝手に離婚して…」
浜田「へ?」
右京は先ほど浜田が言った気になる事について問いかけてみた。
右京「先ほどあなたは松原さんが自分の母親と同じ事をしたと仰いましたね。
それは一体どういう事なのでしょうか?」
浜田「それは…昔…淑美からチラッと聞いた事なんですけど
あいつの母親は家庭を顧みない母親だったらしくて、郁美と同じくらいの歳の頃に母親が家出して
淑美自身随分寂しい想いをしたそうなんです。
それで…私もあいつの事を少しでもわかってやろうと努力したんですよ!
それなのに…あいつが勝手に離婚して…」
50: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:26:16.67 ID:tyAKEfln0
右京「ところでお二人は何故離婚なさったのですか?
何か事情があればお聞きしたいのですが…」
武藤「そういえば私もその辺の事情をあまり詳しく教えてもらえませんでした。
彼女が言うには『浜田は信用できない』の一点張りでしたし…」
浜田「ハハ…淑美の言いそうな事だ。
あいつが神経質な面があるのはご存じでしょう、淑美は性格が仇になったんですよ。
母親に裏切られたみたくまた誰かに裏切られるんじゃないかって常に怯えて…
それで一緒に暮らしていた私に対していつも敵対心を向けていた!
現にあいつは私に相談も無しに勝手に離婚を持ち出した!私には訳がわかりませんよ!?」
結局右京たちが仲裁に入り、郁子はとりあえず武藤が預かるという形で収まった。
浜田も今日の所は一旦引き下がり、また後日改めてやってくる事を告げた。
何か事情があればお聞きしたいのですが…」
武藤「そういえば私もその辺の事情をあまり詳しく教えてもらえませんでした。
彼女が言うには『浜田は信用できない』の一点張りでしたし…」
浜田「ハハ…淑美の言いそうな事だ。
あいつが神経質な面があるのはご存じでしょう、淑美は性格が仇になったんですよ。
母親に裏切られたみたくまた誰かに裏切られるんじゃないかって常に怯えて…
それで一緒に暮らしていた私に対していつも敵対心を向けていた!
現にあいつは私に相談も無しに勝手に離婚を持ち出した!私には訳がわかりませんよ!?」
結局右京たちが仲裁に入り、郁子はとりあえず武藤が預かるという形で収まった。
浜田も今日の所は一旦引き下がり、また後日改めてやってくる事を告げた。
51: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:28:34.23 ID:tyAKEfln0
武藤「ハァ…これで郁子ちゃんの親権が父親に渡りやすくなってしまいましたね。
こんな調停中に母親が失踪だなんて知れたら…間違いなく親権は…」
亀山「それにしても俺にはあの親父さんがそんな悪い人間には見えないですね。」
右京「僕も、色々な人から松原さんの人物像をお聞きしましたがどなたも神経質気味だと仰っていました。
問題があったのはやはり妻の松原さんだったのではないですかね?」
右京と亀山は今まで聞いた人物像から妻の淑美にこそ問題があったのではないかと
疑うがそれでも武藤は…
武藤「たとえそうでも私には依頼人を守る義務があります!
お二人には引き続き松原さんの捜索をお願いできますか?」
亀山「勿論、俺たちは松原さんが見つかるまで探し続けますよ!」
右京「えぇ、僕もそのつもりですよ。」
しかしそうは言ったものの手掛かりは無いに等しかった。
事務所を出ようとした時に亀山は郁子がある物を持っている事に気付いた。
こんな調停中に母親が失踪だなんて知れたら…間違いなく親権は…」
亀山「それにしても俺にはあの親父さんがそんな悪い人間には見えないですね。」
右京「僕も、色々な人から松原さんの人物像をお聞きしましたがどなたも神経質気味だと仰っていました。
問題があったのはやはり妻の松原さんだったのではないですかね?」
右京と亀山は今まで聞いた人物像から妻の淑美にこそ問題があったのではないかと
疑うがそれでも武藤は…
武藤「たとえそうでも私には依頼人を守る義務があります!
お二人には引き続き松原さんの捜索をお願いできますか?」
亀山「勿論、俺たちは松原さんが見つかるまで探し続けますよ!」
右京「えぇ、僕もそのつもりですよ。」
しかしそうは言ったものの手掛かりは無いに等しかった。
事務所を出ようとした時に亀山は郁子がある物を持っている事に気付いた。
52: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:29:08.36 ID:tyAKEfln0
亀山「あれ?
郁子ちゃん、そのかばんって…」
郁子「…」
郁子が持っていたかばんは右京たちが淑美の部屋を訪れた際に見つけたあの赤いかばんであった。
亀山は何故このかばんがここにあるのか訊ねるが…
亀山「ねぇ郁子ちゃん!このかばんどこで手に入れたんだい?」
郁子「…」
武藤「ダメですよ、私も聞いてみたんですけど全然答えてくれなくて…」
右京「この事務所から松原さんのマンションまで距離がありますからね。
子供の足ではさすがに遠出できるとは思えませんが…
ところでこのかばん少しお借りしてもよろしいでしょうか?」
郁子ちゃん、そのかばんって…」
郁子「…」
郁子が持っていたかばんは右京たちが淑美の部屋を訪れた際に見つけたあの赤いかばんであった。
亀山は何故このかばんがここにあるのか訊ねるが…
亀山「ねぇ郁子ちゃん!このかばんどこで手に入れたんだい?」
郁子「…」
武藤「ダメですよ、私も聞いてみたんですけど全然答えてくれなくて…」
右京「この事務所から松原さんのマンションまで距離がありますからね。
子供の足ではさすがに遠出できるとは思えませんが…
ところでこのかばん少しお借りしてもよろしいでしょうか?」
53: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:29:57.99 ID:tyAKEfln0
~特命係~
先ほど武藤の事務所から戻ってきた右京たちはさっそくあかいかばんについて調べ始めた。
右京「亀山くん、これ名前が書いてありますよ!
『かわいみつこ』と平仮名で書いてありますが間違いなくあの行方不明の少女
『河合美津子』の物とみて間違いないでしょう!」
亀山「やっぱり!
けど中身の方は…文房具とか遊び道具ばっかで事件に関連してそうなものは何も…
あれ?これは…」
54: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:30:43.64 ID:tyAKEfln0
それはひとつのメモ書きであった、その内容は…
『みつこちゃんへ、おくじょうでまってるよ、おじいちゃんより』
右京「これは…河合美津子は誰かに呼び出されてようですね。しかし何故屋上に?」
亀山「ていうかお爺ちゃんって誰だ?」
この『おじいちゃん』とは誰なのか疑問に思う中、角田課長はまたもや暇を持て余してやって来た。
角田「よ、暇か?何だよ…今度は子供のかばん調べてるのか?」
右京「課長、丁度いいところへ!実は少し聞きたい事があるのですが…」
角田「えぇっ!な…何だよ?」
それから右京はこの事件の核心に関わる事を角田課長に訊ねた。
その右京の問いかけにさすがの角田課長も少し驚いてしまう。
角田「あぁ…警部殿の言う通りヤツラの仲間にそんなヤツがいたよ。
それに俺たちは確かにその線で捜査していたよ、それにその内の一人は…
けど…それが何だって言うんだよ?」
右京「なるほど、見えてきましたよこの事件の謎が!」
『みつこちゃんへ、おくじょうでまってるよ、おじいちゃんより』
右京「これは…河合美津子は誰かに呼び出されてようですね。しかし何故屋上に?」
亀山「ていうかお爺ちゃんって誰だ?」
この『おじいちゃん』とは誰なのか疑問に思う中、角田課長はまたもや暇を持て余してやって来た。
角田「よ、暇か?何だよ…今度は子供のかばん調べてるのか?」
右京「課長、丁度いいところへ!実は少し聞きたい事があるのですが…」
角田「えぇっ!な…何だよ?」
それから右京はこの事件の核心に関わる事を角田課長に訊ねた。
その右京の問いかけにさすがの角田課長も少し驚いてしまう。
角田「あぁ…警部殿の言う通りヤツラの仲間にそんなヤツがいたよ。
それに俺たちは確かにその線で捜査していたよ、それにその内の一人は…
けど…それが何だって言うんだよ?」
右京「なるほど、見えてきましたよこの事件の謎が!」
55: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:33:20.10 ID:tyAKEfln0
~マンション~
右京と亀山は武藤と郁子を連れて再びマンションへとやって来ていた。
神谷「あれ?アンタたちまた来たの?」
右京「えぇ、実はまた河合さんのお宅を拝見させてほしいのですが…
ところで何をしているのですか?」
神谷「あぁ、マンションのチェックをしているんですよ。建物が色々とガタが来てますから。
え~とエレベーターの点検を最後にしたのが平成13年7月14日っと…」
右京「ところで少し僕たちと付き合ってもらえますか?」
そして右京たちは管理人を連れて旧河合宅へと入った。
ただし郁子だけは松原宅に待つように言った。
これから見せる光景は子供には見せられないからだ…
56: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:33:55.66 ID:tyAKEfln0
~旧河合宅~
旧河合宅は武藤が修理をお願いするように頼んでいたはずだが未だに手付かずの状態になっていた。
武藤「まったく…いくらなんでも杜撰すぎるわ!もう一度抗議しなくちゃ!」
武藤は携帯で不動産屋の太田に連絡しようとするが右京がそれに待ったを掛けた。
右京「暫く待ってもらえますか、むしろこの状態の方が都合がよろしいので。
亀山くん、この床剥がしてしまいましょう!」
亀山「うっす!」
ドンッ
ベリッ バリッ
そう言うと右京と亀山は床を剥がし始めてしまった。
この行動にさすがの管理人も慌てて止めに入った。
57: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:34:43.09 ID:tyAKEfln0
神谷「あ…アンタら何してんだ!?こんな事してタダで済むと思って…」
右京「そういえば申し遅れました。
我々は警察の者です。僕は警視庁特命係の杉下、こちらは亀山くん。
これは捜査の一環ですのでどうか邪魔をしないで頂きたい!」
神谷「け…警察!?
いくら警察だからってこんな勝手な事が許されるわけが…」
武藤「というか…杉下さんこの床下に何があるというんですか!?」
武藤が疑問に思う通りこの行動に何の意味があるのかさっぱりわからなかった。
右京はそんな武藤のためにある推理を語り始めた。
右京「そういえば申し遅れました。
我々は警察の者です。僕は警視庁特命係の杉下、こちらは亀山くん。
これは捜査の一環ですのでどうか邪魔をしないで頂きたい!」
神谷「け…警察!?
いくら警察だからってこんな勝手な事が許されるわけが…」
武藤「というか…杉下さんこの床下に何があるというんですか!?」
武藤が疑問に思う通りこの行動に何の意味があるのかさっぱりわからなかった。
右京はそんな武藤のためにある推理を語り始めた。
58: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:35:26.83 ID:tyAKEfln0
右京「それでは話しましょう。
そもそもの始まりは河合美津子の母親の失踪から事件は始まっていたのですよ。
ある日突然いなくなった河合美津子の母、何故いなくなったのでしょうか?
それは…彼女が悪名高い城南金融の風俗店に勤めていたからですよ。」
武藤「河合美津子って2年前失踪した少女の名前じゃ…
けど何でその子が出てくるんですか?
私たちが探しているのは松原さんのはずじゃ!」
右京「えぇ、とりあえず僕の推理を聞いてもらえますか。
美津子の母親はある日突然いなくなりました。
そして次に娘の美津子も…
しかし不思議な事に娘の美津子の捜索はしても母親の捜索は一切しなかった。
それは恐らく…父親が母親を殺害したからではないでしょうか!それもこの部屋で!!」
!?
衝撃の事実にこの場にいる誰もが驚いた、それと同じく床を剥がしていた亀山があるモノを発見する。
そもそもの始まりは河合美津子の母親の失踪から事件は始まっていたのですよ。
ある日突然いなくなった河合美津子の母、何故いなくなったのでしょうか?
それは…彼女が悪名高い城南金融の風俗店に勤めていたからですよ。」
武藤「河合美津子って2年前失踪した少女の名前じゃ…
けど何でその子が出てくるんですか?
私たちが探しているのは松原さんのはずじゃ!」
右京「えぇ、とりあえず僕の推理を聞いてもらえますか。
美津子の母親はある日突然いなくなりました。
そして次に娘の美津子も…
しかし不思議な事に娘の美津子の捜索はしても母親の捜索は一切しなかった。
それは恐らく…父親が母親を殺害したからではないでしょうか!それもこの部屋で!!」
!?
衝撃の事実にこの場にいる誰もが驚いた、それと同じく床を剥がしていた亀山があるモノを発見する。
59: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:36:53.17 ID:tyAKEfln0
亀山「右京さん!出てきました、これ…女の死体ですよ!」
右京「やはり思った通りです、この死体こそ河合美津子の母親ですよ!」
床から出てきた河合美津子の死体、死後2年は経過している腐乱死体であった。
武藤「うぅ…酷い…けど何で死体がこんな所にあるんですか?」
右京「当時警察はこの家に住む河合正治をマークしていました。
組対5課の角田課長が話してくれましたよ、河合正治は2年前城南金融の一員だったのです。
そして彼は失踪した河合美津子の戸籍上の父親でもあった。
しかし河合美津子の戸籍には母親の欄が空白だった、これはどういう事なのか…
恐らく河合美津子はある意味人質として扱われていたのではないでしょうか。」
武藤「ど…どういう事なんですか?」
右京「こう考えるべきでしょう。
河合美津子の母親はこの部屋で城南金融の…何らかの取引が行われていた。
そしてその件で母親もなんらかの形で関わっていた、しかしその際何らかのトラブルが起きて母親は死んでしまった。
残った娘も…母親の不在を疑われる前に殺されたのですよ!」
右京「やはり思った通りです、この死体こそ河合美津子の母親ですよ!」
床から出てきた河合美津子の死体、死後2年は経過している腐乱死体であった。
武藤「うぅ…酷い…けど何で死体がこんな所にあるんですか?」
右京「当時警察はこの家に住む河合正治をマークしていました。
組対5課の角田課長が話してくれましたよ、河合正治は2年前城南金融の一員だったのです。
そして彼は失踪した河合美津子の戸籍上の父親でもあった。
しかし河合美津子の戸籍には母親の欄が空白だった、これはどういう事なのか…
恐らく河合美津子はある意味人質として扱われていたのではないでしょうか。」
武藤「ど…どういう事なんですか?」
右京「こう考えるべきでしょう。
河合美津子の母親はこの部屋で城南金融の…何らかの取引が行われていた。
そしてその件で母親もなんらかの形で関わっていた、しかしその際何らかのトラブルが起きて母親は死んでしまった。
残った娘も…母親の不在を疑われる前に殺されたのですよ!」
60: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:37:57.81 ID:tyAKEfln0
亀山「たぶん行われていたのは麻薬の取引でしょうね。
見てください、母親の死体の近くに麻薬の白い粉が散乱してますよ!」
亀山の言うように母親の死体に麻薬の粉が付着しているのが確認された。
武藤「確かに…酷い話です…
けどこの事件が松原さんの失踪とどう関係するというんですか?」
右京「では話を続けます、そもそも何故このような場所に死体があるのか。
それは当時警察がこの辺り一帯を徹底的に捜査していたからです。
そんな時に死体をどこかに捨てに行くのは明らかにリスクが高過ぎる。
そう思った彼らは死体を床に隠した、そしてその死体の見張り役として選ばれたのが…」
亀山「河合正治ってわけですか、けど自分の女房を殺されたんですよ!
ヤツには情が無かったんですか!?」
右京「そう、そこです!
そもそも夫婦だというなら何故籍を置かなかったのか疑問に思えませんか?
河合はあくまで母親を 婦の如く扱う監視係みたいなものだったのですよ!
そしていずれ子供の美津子も人身売買で売ってしまおうとしたのではないのですかねぇ。」
見てください、母親の死体の近くに麻薬の白い粉が散乱してますよ!」
亀山の言うように母親の死体に麻薬の粉が付着しているのが確認された。
武藤「確かに…酷い話です…
けどこの事件が松原さんの失踪とどう関係するというんですか?」
右京「では話を続けます、そもそも何故このような場所に死体があるのか。
それは当時警察がこの辺り一帯を徹底的に捜査していたからです。
そんな時に死体をどこかに捨てに行くのは明らかにリスクが高過ぎる。
そう思った彼らは死体を床に隠した、そしてその死体の見張り役として選ばれたのが…」
亀山「河合正治ってわけですか、けど自分の女房を殺されたんですよ!
ヤツには情が無かったんですか!?」
右京「そう、そこです!
そもそも夫婦だというなら何故籍を置かなかったのか疑問に思えませんか?
河合はあくまで母親を 婦の如く扱う監視係みたいなものだったのですよ!
そしていずれ子供の美津子も人身売買で売ってしまおうとしたのではないのですかねぇ。」
61: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:38:27.06 ID:tyAKEfln0
武藤「そ…そんな…」
神谷「酷い話だ…」
その時、右京が鋭い反応を見せてある人間に詰め寄った。
右京「そうです、酷い話ですよ!
そしてあなたはその酷い事をした城南金融の監視役として送り込まれたのですね、神谷さん!!」
武藤「か…管理人さんが…」
亀山「右京さん!どういう事なんですか!?」
神谷「酷い話だ…」
その時、右京が鋭い反応を見せてある人間に詰め寄った。
右京「そうです、酷い話ですよ!
そしてあなたはその酷い事をした城南金融の監視役として送り込まれたのですね、神谷さん!!」
武藤「か…管理人さんが…」
亀山「右京さん!どういう事なんですか!?」
62: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:39:30.22 ID:tyAKEfln0
右京「時系列を追って説明しましょう。
2年前、この部屋にて城南金融の違法な麻薬取引が行われていました。
その際にですが河合美津子の母親はここで来る客たちの 婦紛いの行いをさせられていたのでしょう。
母親の勤める風俗店は城南金融系列ですからね、嫌とは言えなかったはずです。
そんな矢先、この部屋で何らかのトラブルがあり美津子は死亡。
美津子の死体はこの部屋の床に隠した、そして当時の警察の捜査を欺くために…美津子を殺害!
警察は美津子の捜査に追われて城南金融の捜査は有耶無耶に終わってしまった…」
神谷「そ…それなら私は関係ないはずじゃ…」
右京「しかしまたもやトラブルが発生しました!
今度は河合正治が城南金融を辞めると言ったのです!」
武藤「えぇっ!?」
亀山「本当の話です。
角田課長によると河合正治は足を洗って出直す気でいたそうですよ。」
2年前、この部屋にて城南金融の違法な麻薬取引が行われていました。
その際にですが河合美津子の母親はここで来る客たちの 婦紛いの行いをさせられていたのでしょう。
母親の勤める風俗店は城南金融系列ですからね、嫌とは言えなかったはずです。
そんな矢先、この部屋で何らかのトラブルがあり美津子は死亡。
美津子の死体はこの部屋の床に隠した、そして当時の警察の捜査を欺くために…美津子を殺害!
警察は美津子の捜査に追われて城南金融の捜査は有耶無耶に終わってしまった…」
神谷「そ…それなら私は関係ないはずじゃ…」
右京「しかしまたもやトラブルが発生しました!
今度は河合正治が城南金融を辞めると言ったのです!」
武藤「えぇっ!?」
亀山「本当の話です。
角田課長によると河合正治は足を洗って出直す気でいたそうですよ。」
63: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:40:05.38 ID:tyAKEfln0
右京「そうなればこの部屋の床にある死体は間違いなくバレる。
そう思った城南金融はあなたをこのマンションの管理人として送り込んだ!
その理由は勿論…河合正治の監視を行うためにですよ!」
神谷「ば…馬鹿げている!そんなの出鱈目だ!
第一そうだとして私が何か罪に問われるのですか?」
確かに神谷の言う通りこの段階では仮に神谷が城南金融から送り込まれた監視役だとしても
大した罪には問われないかもしれない。
しかし右京は既に彼の罪を全て把握していた。
そう思った城南金融はあなたをこのマンションの管理人として送り込んだ!
その理由は勿論…河合正治の監視を行うためにですよ!」
神谷「ば…馬鹿げている!そんなの出鱈目だ!
第一そうだとして私が何か罪に問われるのですか?」
確かに神谷の言う通りこの段階では仮に神谷が城南金融から送り込まれた監視役だとしても
大した罪には問われないかもしれない。
しかし右京は既に彼の罪を全て把握していた。
64: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 20:40:33.25 ID:tyAKEfln0
右京「それではここでひとつ疑問が浮かびます。
何故河合正治がいなくなったのでしょうか、答えはあなたが殺したからじゃありませんか?」
武藤「こ…殺した!?
けどそれだと死体はどこにあるんですか?」
右京「恐らくこのマンションのどこかに隠したのでしょうね。
それこそ誰にも見つからない場所に…」
神谷「うぅ…」
亀山「おいアンタ!これ以上の黙秘は自分のためにならねえぞ!
さっさと吐け!!」
何故河合正治がいなくなったのでしょうか、答えはあなたが殺したからじゃありませんか?」
武藤「こ…殺した!?
けどそれだと死体はどこにあるんですか?」
右京「恐らくこのマンションのどこかに隠したのでしょうね。
それこそ誰にも見つからない場所に…」
神谷「うぅ…」
亀山「おいアンタ!これ以上の黙秘は自分のためにならねえぞ!
さっさと吐け!!」
65: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:02:03.46 ID:tyAKEfln0
右京「そしてあなたはもうひとつ罪を起こした。
河合正治を殺害して安堵していたあなたの前に、最近この旧河合宅の真下に引っ越した
松原一家が現れた。
当初あなたはそれほど警戒はしてはいなかった、ところが…」
武藤「もしかしてあの雨漏りの苦情が!?」
右京「そうです、松原宅での雨漏り。
それを聞いたあなたは、業者があの旧河合宅に入り死体を発見する恐れがあると危惧したのでしょう!
そこであなたは松原さんに様々な嫌がらせをしていたのでしょうね。
管理人室にはエレベーターの監視カメラがあります。
それを使いあの赤いかばん…つまり失踪した河合美津子のかばんを何度も彼女の前に置いた。
神経質な松原さんの事です、精神的に参っていたのでしょうね。
しかし彼女は何故かこのマンションから出て行こうとしなかった。
そこであなたはある強硬手段に出た、それは…」
武藤「まさか…殺したんじゃ!?」
河合正治を殺害して安堵していたあなたの前に、最近この旧河合宅の真下に引っ越した
松原一家が現れた。
当初あなたはそれほど警戒はしてはいなかった、ところが…」
武藤「もしかしてあの雨漏りの苦情が!?」
右京「そうです、松原宅での雨漏り。
それを聞いたあなたは、業者があの旧河合宅に入り死体を発見する恐れがあると危惧したのでしょう!
そこであなたは松原さんに様々な嫌がらせをしていたのでしょうね。
管理人室にはエレベーターの監視カメラがあります。
それを使いあの赤いかばん…つまり失踪した河合美津子のかばんを何度も彼女の前に置いた。
神経質な松原さんの事です、精神的に参っていたのでしょうね。
しかし彼女は何故かこのマンションから出て行こうとしなかった。
そこであなたはある強硬手段に出た、それは…」
武藤「まさか…殺したんじゃ!?」
66: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:02:31.13 ID:tyAKEfln0
右京「そこまでは僕にはわかりません、しかしあなたは松原さんを監禁、もしくは殺害したのではありませんか!」
右京たちにより追い詰められる神谷、しかし神谷はまだ余裕があった。
神谷「け…刑事さん!アンタたちが言う事には証拠が一切ないじゃないか!
そんなに言うなら証拠を見せてみろ!?」
証拠を提示しろと迫る神谷、どうせ証拠なんてないとタカを括っていたがそれはとんだ間違いであった。
右京「証拠はありますよ、亀山くん見せてあげてください。」
そう言うと亀山は郁子から借りたあの赤いかばんを取り出し、そこからある紙切れを出した。
右京たちにより追い詰められる神谷、しかし神谷はまだ余裕があった。
神谷「け…刑事さん!アンタたちが言う事には証拠が一切ないじゃないか!
そんなに言うなら証拠を見せてみろ!?」
証拠を提示しろと迫る神谷、どうせ証拠なんてないとタカを括っていたがそれはとんだ間違いであった。
右京「証拠はありますよ、亀山くん見せてあげてください。」
そう言うと亀山は郁子から借りたあの赤いかばんを取り出し、そこからある紙切れを出した。
67: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:03:20.38 ID:tyAKEfln0
神谷「この紙切れが何だというんだ!?」
右京「この紙にはあるメモ書きがされていました。
『みつこちゃんへ、おくじょうでまってるよ、おじいちゃんより』と…
当時幼稚園児だった河合美津子のために平仮名で書いたのでしょうね。
河合美津子にしてみればあなたはおじいさんの年齢です。
そしてこちらが初めてこのマンションを訪れた時に見た『忘れ物入れ』ですが…
この忘れ物入れですが、ちゃんとプレートで『忘れ物入れ』と書かれていますね。
これはあなたが書いたものとみて間違いありませんね。」
神谷「そ…そうですよ、私は管理人ですから…ハッ!?」
神谷はようやく気付いた、これこそ確たる証拠であると!
右京「気付きましたか、比べてみるとこの二つは同じ筆跡なのですよ。
筆跡鑑定を行えば一致するはずです、もう逃げ場はありませんよ!!」
右京「この紙にはあるメモ書きがされていました。
『みつこちゃんへ、おくじょうでまってるよ、おじいちゃんより』と…
当時幼稚園児だった河合美津子のために平仮名で書いたのでしょうね。
河合美津子にしてみればあなたはおじいさんの年齢です。
そしてこちらが初めてこのマンションを訪れた時に見た『忘れ物入れ』ですが…
この忘れ物入れですが、ちゃんとプレートで『忘れ物入れ』と書かれていますね。
これはあなたが書いたものとみて間違いありませんね。」
神谷「そ…そうですよ、私は管理人ですから…ハッ!?」
神谷はようやく気付いた、これこそ確たる証拠であると!
右京「気付きましたか、比べてみるとこの二つは同じ筆跡なのですよ。
筆跡鑑定を行えば一致するはずです、もう逃げ場はありませんよ!!」
68: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:04:24.58 ID:tyAKEfln0
神谷「う…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁ!?」
バタンッ
気が動転したのか神谷は風呂場に逃げ込んでしまった。
右京たちは外から扉を開けるように促すが神谷は鍵を掛けて聞こうともしなかった。
ドンドンッ! ドンドンッ!
亀山「おい開けろ!こんな所に逃げても無駄なんだぞ!?」
そんな混乱の最中、神谷は事件の全容について語り始めた。
69: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:05:09.49 ID:tyAKEfln0
神谷「ぜ…全部上からの指示だったんだ!
2年前俺は借金で頭が回らなくなって…借金の肩代わりをしてくれる代わりに
城南金融の汚れ仕事を引き受けた!
最初は何のトラブルも起きない楽な仕事だと思った、だが麻薬の取引中に…
客に宛がっていた 婦が死んで…それで今度は娘の始末を頼まれて…」
亀山「それじゃ…河合美津子はお前が殺したのか!?」
神谷「仕方なかった!城南金融に逆らえなかったんだよ…
そしたら今度は河合が足を洗うと言い始めた!
ヤツの行動を見張るために俺はマンションの管理人として送り込まれた…
そして去年の暮れにヤツはこのマンションを引き払おうとしたので俺が…」
右京「なるほど、あなたは二人もの人間を殺めたという事ですか。」
亀山「そして今度は松原さんを殺そうと…」
神谷「ち…違う!彼女はまだ…」
2年前俺は借金で頭が回らなくなって…借金の肩代わりをしてくれる代わりに
城南金融の汚れ仕事を引き受けた!
最初は何のトラブルも起きない楽な仕事だと思った、だが麻薬の取引中に…
客に宛がっていた 婦が死んで…それで今度は娘の始末を頼まれて…」
亀山「それじゃ…河合美津子はお前が殺したのか!?」
神谷「仕方なかった!城南金融に逆らえなかったんだよ…
そしたら今度は河合が足を洗うと言い始めた!
ヤツの行動を見張るために俺はマンションの管理人として送り込まれた…
そして去年の暮れにヤツはこのマンションを引き払おうとしたので俺が…」
右京「なるほど、あなたは二人もの人間を殺めたという事ですか。」
亀山「そして今度は松原さんを殺そうと…」
神谷「ち…違う!彼女はまだ…」
70: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:05:40.06 ID:tyAKEfln0
その時であった、神谷は背後の風呂から奇妙な気配を感じた。
恐る恐る後ろを見ると、そこには蛇口から水が出て風呂を満杯にする程の水が流れていた。
神谷「あ…あぁぁ…」
神谷は慌てて蛇口を閉じようとするがそれでも何故か水は収まらずにいた。
恐くなった神谷は風呂場から出ようとするが今度は扉が開かなくなっていた。
神谷「な…何で開かないんだ?そうか…鍵が…!?」
慌てて鍵を開けようとするが…既に遅かった…
ゴボゴボッ
風呂から妙な音がしてきた、そこには…溢れんばかりの髪の毛が蛇口から出てきていた。
恐る恐る後ろを見ると、そこには蛇口から水が出て風呂を満杯にする程の水が流れていた。
神谷「あ…あぁぁ…」
神谷は慌てて蛇口を閉じようとするがそれでも何故か水は収まらずにいた。
恐くなった神谷は風呂場から出ようとするが今度は扉が開かなくなっていた。
神谷「な…何で開かないんだ?そうか…鍵が…!?」
慌てて鍵を開けようとするが…既に遅かった…
ゴボゴボッ
風呂から妙な音がしてきた、そこには…溢れんばかりの髪の毛が蛇口から出てきていた。
71: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:06:09.49 ID:tyAKEfln0
そして…
神谷「「ギャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!????????」」
武藤「この悲鳴は何なの!?」
神谷「「ギャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!????????」」
武藤「この悲鳴は何なの!?」
72: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:06:42.60 ID:tyAKEfln0
右京「亀山くん!こうなれば扉を破りますよ!」
亀山「わかりました!」
ドンッ
扉を破り風呂場に入る右京と亀山、それに武藤が見たモノは…
武藤「なっ!?」
右京「これは…」
亀山「何があったんだ?」
亀山「わかりました!」
ドンッ
扉を破り風呂場に入る右京と亀山、それに武藤が見たモノは…
武藤「なっ!?」
右京「これは…」
亀山「何があったんだ?」
73: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:07:15.39 ID:tyAKEfln0
そこに在ったのは風呂場の水に浸かった神谷の死体であった…
右京「既に死んでますね、死因は窒息死でしょうか?
しかし我々がここに突入するまで1分も掛からなかった、一体どういう事でしょうか?」
亀山「それよりも松原さんですよ!
神谷の言う通りならまだ松原さんはこのマンションの何処かにいるはずです!探さないと!」
武藤「けど何処にいるの!
このマンションの目ぼしい所は探したけど見つからなかったわ…」
右京「そう慌てなくても松原さんの居所ならある程度見当がついていますよ。」
右京はそう言うと亀山と武藤を連れて屋上へとやって来た。
右京「既に死んでますね、死因は窒息死でしょうか?
しかし我々がここに突入するまで1分も掛からなかった、一体どういう事でしょうか?」
亀山「それよりも松原さんですよ!
神谷の言う通りならまだ松原さんはこのマンションの何処かにいるはずです!探さないと!」
武藤「けど何処にいるの!
このマンションの目ぼしい所は探したけど見つからなかったわ…」
右京「そう慌てなくても松原さんの居所ならある程度見当がついていますよ。」
右京はそう言うと亀山と武藤を連れて屋上へとやって来た。
74: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:10:53.41 ID:tyAKEfln0
~屋上~
亀山「右京さん…何でこんな所に?」
武藤「そうですよ、そもそも何でここが怪しいと思ったんですか?」
亀山と武藤はもっともな疑問を右京に突き付けた。
右京「ではお二人とも、郁子ちゃんの証言を思い出してください。
『ママはエレベーターで上がっていった…』と証言しました。
おかしいと思いませんか、普通マンションから出ていくなら下に下がるはず。
しかしエレベーターは上に上がって行った、つまり松原さんはまだこのマンション内にいる可能性が高いのです!
ですが5階には先ほどの旧河合宅しか空き家は無い、となると消去法で考えてこの屋上だと思いましてね。
そして屋上に人を隠せるのに打って付けの場所があります。
それはアレですよ!!」
そう言って右京はある物に指を差す、それは…
75: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:11:21.71 ID:tyAKEfln0
亀山「あれは給水塔!?」
武藤「あの中に松原さんがいるんですか?」
右京「間違いありません、この屋上で人間を隠せるとしたらあそこしかありませんからね!」
亀山「よっしゃー!頼むから生きててくれよ!」
そして亀山はすぐに給水塔の中を調べる、そこには右京の言う通り一人の女性がいた。
武藤「あれは…間違いありません!松原淑美さんです!」
淑美は長時間水の中に浸かり体力を消耗していたが辛うじて息はあった。
急いで淑美を引っ張り上げた。
淑美「う…うぅ…」
亀山「よかった、まだ息はありますよ!」
右京「急いで救急車を呼びましょう、それに捜査一課にも連絡を!」
武藤「あの中に松原さんがいるんですか?」
右京「間違いありません、この屋上で人間を隠せるとしたらあそこしかありませんからね!」
亀山「よっしゃー!頼むから生きててくれよ!」
そして亀山はすぐに給水塔の中を調べる、そこには右京の言う通り一人の女性がいた。
武藤「あれは…間違いありません!松原淑美さんです!」
淑美は長時間水の中に浸かり体力を消耗していたが辛うじて息はあった。
急いで淑美を引っ張り上げた。
淑美「う…うぅ…」
亀山「よかった、まだ息はありますよ!」
右京「急いで救急車を呼びましょう、それに捜査一課にも連絡を!」
76: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:12:05.02 ID:tyAKEfln0
それから数分後、救急車と警察が到着。
現場は慌しくなった。
伊丹「特命係の亀山!
勝手に捜査して死体なんぞを発見しやがったそうだな!」
三浦「まったく…しかも犯人が死んでるってどういう事だよ!?」
亀山「うっせぇ!俺にだってわかんねえよ!」
そんなお決まりのやり取りが行われている中、給水塔を調べている米沢に右京がある事を訊ねた。
右京「給水塔の中から死体は発見されましたか?」
現場は慌しくなった。
伊丹「特命係の亀山!
勝手に捜査して死体なんぞを発見しやがったそうだな!」
三浦「まったく…しかも犯人が死んでるってどういう事だよ!?」
亀山「うっせぇ!俺にだってわかんねえよ!」
そんなお決まりのやり取りが行われている中、給水塔を調べている米沢に右京がある事を訊ねた。
右京「給水塔の中から死体は発見されましたか?」
77: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:12:30.23 ID:tyAKEfln0
米沢「えぇ、杉下警部の仰る通り男性の死体が発見されました。」
右京「男性だけですか?他に女児の死体は?」
米沢「いえ…女児の死体は確認出来ませんな。
もしかしたら損傷が激しくて死体が損壊して水道管から流れてしまったのかも…」
給水塔から見つかったのは消耗しきった松原淑美、それに死体となって発見された河合正治だけであった。
河合美津子は未だに見つからないでいた。
右京「男性だけですか?他に女児の死体は?」
米沢「いえ…女児の死体は確認出来ませんな。
もしかしたら損傷が激しくて死体が損壊して水道管から流れてしまったのかも…」
給水塔から見つかったのは消耗しきった松原淑美、それに死体となって発見された河合正治だけであった。
河合美津子は未だに見つからないでいた。
79: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:13:21.16 ID:tyAKEfln0
米沢「それじゃ私たちはこれで、5階の方も調べなければいけないので。」
米沢は他の鑑識員二人を連れて5階に降りようとした。
伊丹「あ、ちょっと待て!俺たちも5階に行くぞ。」
亀山「待て待て!俺も行くぞ!」
ヴィー!
亀山「あれ?何で警告音が出るんだ?
このエレベーター6人は乗れるはずじゃ?」
米沢「それはたぶん私が鑑識用の荷物を持っているからでしょうな、これ重いですから。
その所為で人数オーバーしてしまったのですな…」
遺体「…というわけだ、ドン亀は階段で降りるんだな!」
亀山「ちょっと待てー!クソッ…行っちまいやがったか…」
米沢は他の鑑識員二人を連れて5階に降りようとした。
伊丹「あ、ちょっと待て!俺たちも5階に行くぞ。」
亀山「待て待て!俺も行くぞ!」
ヴィー!
亀山「あれ?何で警告音が出るんだ?
このエレベーター6人は乗れるはずじゃ?」
米沢「それはたぶん私が鑑識用の荷物を持っているからでしょうな、これ重いですから。
その所為で人数オーバーしてしまったのですな…」
遺体「…というわけだ、ドン亀は階段で降りるんだな!」
亀山「ちょっと待てー!クソッ…行っちまいやがったか…」
80: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:13:48.26 ID:tyAKEfln0
そんな一連の動きを見ていた右京は亀山に訊ねた。
右京「まだ捜査も終わってないというのに何で下に行こうとしたのですか?」
亀山「いや…俺たち4階にまだ郁子ちゃんが置き去りにしてたじゃないですか。
もうすぐ救急車も搬送されて行くようだし、郁子ちゃんをお母さんに連れ添ってあげなきゃと思って。」
右京「それなら早くした方が良いですよ、もうすぐ救急車が言ってしまいますからね。」
屋上から下を見ると啖呵で救急車に運ばれる淑美の姿が見えた。
亀山は階段を使い急いで4階の松原宅へと向かった。
右京「まだ捜査も終わってないというのに何で下に行こうとしたのですか?」
亀山「いや…俺たち4階にまだ郁子ちゃんが置き去りにしてたじゃないですか。
もうすぐ救急車も搬送されて行くようだし、郁子ちゃんをお母さんに連れ添ってあげなきゃと思って。」
右京「それなら早くした方が良いですよ、もうすぐ救急車が言ってしまいますからね。」
屋上から下を見ると啖呵で救急車に運ばれる淑美の姿が見えた。
亀山は階段を使い急いで4階の松原宅へと向かった。
81: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:15:10.78 ID:tyAKEfln0
~松原宅~
亀山が急いで駆けつけると郁子は一人で遊んでいた。
亀山「良かった、郁子ちゃんすぐにお母さんに会わせてあげるからね!」
郁子「…」
亀山は郁子を連れてエレベーターに乗った。
亀山「あの馬鹿ども、今度はエレベーターを使ってなかったようだな。」
82: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:16:04.33 ID:tyAKEfln0
亀山「ハイ亀山!
あぁ、武藤先生ですか。今そっちに行こうかと思ったんですけどね。」
武藤『今救急隊員の方に松原さんの容体を視てもらったんですけど、
とりあえずは大丈夫だそうです。
これから搬送してもらいますね!』
亀山「あっ!待ってください!
出来れば郁子ちゃんを一緒に連れて行きたいんですけど!」
武藤『郁子ちゃんなら大丈夫ですよ、今私が連れて一緒にいますから。
それじゃ救急車出してもらいますか、じゃあ失礼しますね。』
あぁ、武藤先生ですか。今そっちに行こうかと思ったんですけどね。」
武藤『今救急隊員の方に松原さんの容体を視てもらったんですけど、
とりあえずは大丈夫だそうです。
これから搬送してもらいますね!』
亀山「あっ!待ってください!
出来れば郁子ちゃんを一緒に連れて行きたいんですけど!」
武藤『郁子ちゃんなら大丈夫ですよ、今私が連れて一緒にいますから。
それじゃ救急車出してもらいますか、じゃあ失礼しますね。』
83: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:16:56.42 ID:tyAKEfln0
ガチャッ
亀山「え?」
亀山は背後を振り向けなかった。
武藤が郁子を連れて行ったとするなら、今自分が連れている少女は一体誰なのだろうか?
そんな疑問が過った…
84: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:17:54.90 ID:tyAKEfln0
亀山「き…キミは誰だ?」
―『………』
亀山の問いかけに背後にいる郁子ではない少女は答えようとはしなかった。
しかし…少女の考えはどういうわけか頭の中に伝わってくるのだ。
((ヨクモママヲウバッタナ!?))
その意思が亀山の頭を過った時、亀山の顔に少女の手が張り付いた!
それは少女の力とは思えないほどの握力で亀山の首を握り潰すような勢いであった。
亀山「そんな…俺たちはキミのお母さんを奪ったりなんか…」
―『………』
亀山の問いかけに背後にいる郁子ではない少女は答えようとはしなかった。
しかし…少女の考えはどういうわけか頭の中に伝わってくるのだ。
((ヨクモママヲウバッタナ!?))
その意思が亀山の頭を過った時、亀山の顔に少女の手が張り付いた!
それは少女の力とは思えないほどの握力で亀山の首を握り潰すような勢いであった。
亀山「そんな…俺たちはキミのお母さんを奪ったりなんか…」
85: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:18:40.56 ID:tyAKEfln0
この時亀山に河原で奇妙な事を言い残したホームレスの言葉が思い出された。
『違うよ、子供は母親がいなくて寂しいんだよ…』
亀山「まさかキミは…行方不明になった河合美津子ちゃん!?」
((ママヲカエセ!ママヲカエセ!))
亀山はまるで金縛りにあったように身体が硬直していた。
そしてついに姿を現す、その顔はまるで泥人形のように朽ち果てていた。
亀山「や…やめてくれ!?」
その魔の手は確実に亀山の息の根を止めようとしていたのだ。
『違うよ、子供は母親がいなくて寂しいんだよ…』
亀山「まさかキミは…行方不明になった河合美津子ちゃん!?」
((ママヲカエセ!ママヲカエセ!))
亀山はまるで金縛りにあったように身体が硬直していた。
そしてついに姿を現す、その顔はまるで泥人形のように朽ち果てていた。
亀山「や…やめてくれ!?」
その魔の手は確実に亀山の息の根を止めようとしていたのだ。
86: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:21:01.47 ID:tyAKEfln0
~屋上~
一方その頃、屋上を探していた右京に武藤からの連絡が入った。
右京「武藤先生ですか、どうなさいましたか?」
武藤『実は今救急車で病院に搬送してもらっているところなんですけど、
松原さんが変なうわごとを言ってるのが気になって…』
右京「変なうわ言ですか?」
武藤『えぇ、「エレベーター」だとか「美津子」とか変な事ばかり…
ちょっと気になったモノだからご連絡を差し上げたのですけど…』
右京「『エレベーター』…なるほどそういう事ですか!どうもありがとう!」
右京はそう言うと武藤の連絡を切り、急いである場所へと向かった。
87: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:22:14.83 ID:tyAKEfln0
~エレベーター内~
その頃亀山は奇妙な現象に襲われて身動きが取れずにいた。
亀山「う…うぅ…美津子ちゃん…何でこんな事をするんだ?」
美津子((オマエタチハワタシカラママヲウバオウトスル!)
美津子の言う母親、亀山は淑美がいなくなった理由がようやく分かった。
淑美は美津子の母親代わりとしてさらわれたのだと…
亀山「違う…あの人はキミのお母さんじゃ…」
美津子(ワタシハヒトリボッチニナリタクナイ…ヒトリハイヤダヨ…)
亀山「だったら見つけてやるよ!キミの事を!!」
美津子((ムリ…ダレモワタシノコトヲミツケテクレナイ…))
88: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:23:09.84 ID:tyAKEfln0
亀山「いいや大丈夫だ!あの人なら…俺の相棒ならきっとキミの事を見つけてくれる!!!!」
亀山が力強く叫んだ時であった、エレベーターが突如動いた。
それと同じく美津子の霊も消え去ってしまった。
亀山「助かった、けどどういう事なんだ?」
何故急にエレベーターが動いたのかわからずにいた亀山、エレベーターは最上階の屋上に辿り着くと…
89: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:23:47.54 ID:tyAKEfln0
そこには右京が待っていた。
右京「おや、亀山くん。
何やら妙に汗ばんでいますが平気ですか?」
亀山「右京さん!
じゃあエレベーターを動かしたのは右京さんなんですか!?」
右京「そうですよ、ところで河合美津子が何処へ行ったのかようやくわかりました。」
亀山「本当ですか!一体どこに!?」
亀山が右京に詰め寄るがそれと同じくある人物が屋上に現れた。
右京「おや、亀山くん。
何やら妙に汗ばんでいますが平気ですか?」
亀山「右京さん!
じゃあエレベーターを動かしたのは右京さんなんですか!?」
右京「そうですよ、ところで河合美津子が何処へ行ったのかようやくわかりました。」
亀山「本当ですか!一体どこに!?」
亀山が右京に詰め寄るがそれと同じくある人物が屋上に現れた。
90: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:30:40.58 ID:tyAKEfln0
亀山「アンタ…確か不動産屋の太田さん!」
太田「いやぁ、まさかあなた方が刑事だとはね。
しかし死体が二つも見つかるなんて信じられませんよ!」
右京「死体が二つだけ…ですか…そんな事はありませんよ。」
そう言うと右京はエレベーターの扉を開く、先ほど右京は機械室に行き
エレベーターを手動で開けるように設定しておいたのだ。
太田「いやぁ、まさかあなた方が刑事だとはね。
しかし死体が二つも見つかるなんて信じられませんよ!」
右京「死体が二つだけ…ですか…そんな事はありませんよ。」
そう言うと右京はエレベーターの扉を開く、先ほど右京は機械室に行き
エレベーターを手動で開けるように設定しておいたのだ。
91: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:31:33.59 ID:tyAKEfln0
亀山「エレベーターの扉を開けてどうする気なんですか?」
右京「亀山くん、キミは先ほどエレベーターに乗った時にエラー音が鳴りましたね。」
亀山「あぁ…確かに…けどそれは米沢さんたちが持っていた荷物の所為じゃ?」
右京「そうだったとしても精々2~30キロ程度でしょうね、大人一人分にはあと数キロ足りませんよ。
もし…しかし足りない分が最初からエレベーター内にあったとしたらどうでしょうか?」
亀山「それってどういう事ですか!?」
そして右京はエレベーターのスイッチを押す。
ガコンッ
ウィィィィィィィ
エレベーターは動き、エレベーターの天井が見えてきた。
そこにあったのは…
右京「亀山くん、キミは先ほどエレベーターに乗った時にエラー音が鳴りましたね。」
亀山「あぁ…確かに…けどそれは米沢さんたちが持っていた荷物の所為じゃ?」
右京「そうだったとしても精々2~30キロ程度でしょうね、大人一人分にはあと数キロ足りませんよ。
もし…しかし足りない分が最初からエレベーター内にあったとしたらどうでしょうか?」
亀山「それってどういう事ですか!?」
そして右京はエレベーターのスイッチを押す。
ガコンッ
ウィィィィィィィ
エレベーターは動き、エレベーターの天井が見えてきた。
そこにあったのは…
92: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 21:33:09.17 ID:tyAKEfln0
太田「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
右京「やはりここにいたのですね、河合美津子ちゃんの死体です!」
亀山「こ…これが…」
その死体は先ほど亀山が目撃した美津子と同じく顔が泥人形のように化した
腐敗していた死体であった。
しかしこの死体、何故かエレベーターにくっ付いてしまい簡単には取れなくなっていた。
太田「ひぃぃ!何でこんな所に死体が!?」
右京「やはりここにいたのですね、河合美津子ちゃんの死体です!」
亀山「こ…これが…」
その死体は先ほど亀山が目撃した美津子と同じく顔が泥人形のように化した
腐敗していた死体であった。
しかしこの死体、何故かエレベーターにくっ付いてしまい簡単には取れなくなっていた。
太田「ひぃぃ!何でこんな所に死体が!?」
94: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:17:10.11 ID:tyAKEfln0
驚く太田であるがそんな太田を右京は冷たい目で見ていた。
右京「太田さん、その様な白々しい嘘はつかなくて結構ですよ。
あなた…ここに河合美津子の死体がある事を最初から知っていましたね!」
亀山「なっ!本当ですか!?」
太田「バカな…私が何でそんな事を…
知っていたら最初から警察に通報してましたよ…」
右京「そんな事あなたが出来る訳ないじゃないですか。
もしここで死体を発見なんてされたらそれこそこの物件は売れなくなりますからね。
だからこそあなたはここで死体を発見されるわけにはいかないので放置するしかなかったのですよ!」
右京「太田さん、その様な白々しい嘘はつかなくて結構ですよ。
あなた…ここに河合美津子の死体がある事を最初から知っていましたね!」
亀山「なっ!本当ですか!?」
太田「バカな…私が何でそんな事を…
知っていたら最初から警察に通報してましたよ…」
右京「そんな事あなたが出来る訳ないじゃないですか。
もしここで死体を発見なんてされたらそれこそこの物件は売れなくなりますからね。
だからこそあなたはここで死体を発見されるわけにはいかないので放置するしかなかったのですよ!」
95: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:18:15.83 ID:tyAKEfln0
亀山「けど何で太田さんが死体を隠したってわかるんですか?
彼が殺したかもしれないじゃないですか!?」
太田「ち…違う!私は殺してなんか!?」
亀山の疑問に対して右京が答える。
右京「点検ですよ、通常エレベーターの点検は1年に1回は行われています。
それなのにこのエレベーターの点検は河合美津子の行方不明になった…
2年前の平成13年7月14日以来ずっと行われていませんでした!
これは恐らく太田さんが点検する際に死体を発見したのでしょうね。」
亀山「でも何で死体がここに…」
彼が殺したかもしれないじゃないですか!?」
太田「ち…違う!私は殺してなんか!?」
亀山の疑問に対して右京が答える。
右京「点検ですよ、通常エレベーターの点検は1年に1回は行われています。
それなのにこのエレベーターの点検は河合美津子の行方不明になった…
2年前の平成13年7月14日以来ずっと行われていませんでした!
これは恐らく太田さんが点検する際に死体を発見したのでしょうね。」
亀山「でも何で死体がここに…」
96: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:19:52.93 ID:tyAKEfln0
右京「恐らくですが、神谷が河合美津子を殺害しようと給水塔に誘い込んだ際に
まだ息があったのですよ。
美津子は命辛々給水塔から脱出する事が出来た、しかしそんな時にこのエレベーターの扉が点検のために開いていた。
恐らくその時、意識朦朧としていた美津子は扉の先にはエレベーターが無い事に気付かずに
中に入ってしまい…転落死してしまったのです…」
亀山「じゃあ…美津子ちゃんの死は…事故だったんですか?」
右京「そして点検の際に…太田さん!あなたはその点検の際にエレベーターに河合美津子の死体を発見した!
しかし当時警察がこの近隣を張り込んでいましたからね。
死体を処分する事が出来ずにこの場に放置するしかなかった、そしてほとぼりが冷めた頃にでも
改めて死体を処分しようとしたがそれも出来なかった!
何故なら死体がエレベーターに癒着してしまい剥がれなくなってしまったのですよ!」
まだ息があったのですよ。
美津子は命辛々給水塔から脱出する事が出来た、しかしそんな時にこのエレベーターの扉が点検のために開いていた。
恐らくその時、意識朦朧としていた美津子は扉の先にはエレベーターが無い事に気付かずに
中に入ってしまい…転落死してしまったのです…」
亀山「じゃあ…美津子ちゃんの死は…事故だったんですか?」
右京「そして点検の際に…太田さん!あなたはその点検の際にエレベーターに河合美津子の死体を発見した!
しかし当時警察がこの近隣を張り込んでいましたからね。
死体を処分する事が出来ずにこの場に放置するしかなかった、そしてほとぼりが冷めた頃にでも
改めて死体を処分しようとしたがそれも出来なかった!
何故なら死体がエレベーターに癒着してしまい剥がれなくなってしまったのですよ!」
97: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:20:49.69 ID:tyAKEfln0
亀山「だからアンタはエレベーターの点検を2年前で止めさせていたって訳か!
このマンションを管理する不動産屋のアンタなら点検作業を誤魔化すくらい簡単だからな!」
右京「それだけではありませんね、気になったあなたはそこの給水塔の中にある死体も知っていたはずですよ!
こちらの給水塔も水道法で点検が義務付けられているはずです。
それを怠ったという事は…あなたは最初からこのマンションに死体が隠されていたのを知っていたのですよ!
どうなんですか太田さん!!」
右京と亀山に問い詰められ…太田は愕然とした、そして彼は呟き始めた…
このマンションを管理する不動産屋のアンタなら点検作業を誤魔化すくらい簡単だからな!」
右京「それだけではありませんね、気になったあなたはそこの給水塔の中にある死体も知っていたはずですよ!
こちらの給水塔も水道法で点検が義務付けられているはずです。
それを怠ったという事は…あなたは最初からこのマンションに死体が隠されていたのを知っていたのですよ!
どうなんですか太田さん!!」
右京と亀山に問い詰められ…太田は愕然とした、そして彼は呟き始めた…
98: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:22:19.36 ID:tyAKEfln0
太田「仕方なかったんだよ、ウチみたいな零細の不動産屋が生き残るには…
死体があったりしたら事故物件だ、ただでさえこんなボロマンション売れるわけがない…
かといって建て替える金なんかどこにもないし…
そんな時だった、2年前の点検作業で最後俺がチェックしてたらエレベーターの天井に
子供の死体があった!
幸い業者の連中は気付かなかったが当時警察が張り込んでいたのは知ってたし、
もし死体があるなんてバレたら間違いなく入居者は減っちまう!
そう思って言い出せなかった、それからもしやと思い色々と調べたらそこの給水塔にも死体は出てくるし…
俺だって被害者なんだよ!?」
太田は泣きじゃくりながら訴えた、こっちも生きるために必死なんだと…
しかしそんな手前勝手な言い訳は右京と亀山には通じなかった。
右京「いい加減になさい!
いくら生活に困っていたからと言って…河合一家の…無垢な少女の死を黙認していたあなたに…
そのような泣き言を言う資格なんてありませんよ!!」
亀山「そうだ…あの子は…美津子はなぁ…あんなエレベーターの中に一人ぼっちで
閉じ込められて…寂しくて…つらかったんだよ!
アンタも大人なら何でそんな子供の事がわかってやれなかったんだ!!」
右京「太田さん、今回あなたには死体隠匿の罪が適用されます。
あなたが勇気を持って最初から通報してくれればこのような事にはならなかったのですからね!」
太田「う…うわぁぁぁぁぁ!?」
右京と亀山に問い詰められ泣き叫ぶ太田、こうして2年前から続いた一連の事件は静かに幕を下ろした…
死体があったりしたら事故物件だ、ただでさえこんなボロマンション売れるわけがない…
かといって建て替える金なんかどこにもないし…
そんな時だった、2年前の点検作業で最後俺がチェックしてたらエレベーターの天井に
子供の死体があった!
幸い業者の連中は気付かなかったが当時警察が張り込んでいたのは知ってたし、
もし死体があるなんてバレたら間違いなく入居者は減っちまう!
そう思って言い出せなかった、それからもしやと思い色々と調べたらそこの給水塔にも死体は出てくるし…
俺だって被害者なんだよ!?」
太田は泣きじゃくりながら訴えた、こっちも生きるために必死なんだと…
しかしそんな手前勝手な言い訳は右京と亀山には通じなかった。
右京「いい加減になさい!
いくら生活に困っていたからと言って…河合一家の…無垢な少女の死を黙認していたあなたに…
そのような泣き言を言う資格なんてありませんよ!!」
亀山「そうだ…あの子は…美津子はなぁ…あんなエレベーターの中に一人ぼっちで
閉じ込められて…寂しくて…つらかったんだよ!
アンタも大人なら何でそんな子供の事がわかってやれなかったんだ!!」
右京「太田さん、今回あなたには死体隠匿の罪が適用されます。
あなたが勇気を持って最初から通報してくれればこのような事にはならなかったのですからね!」
太田「う…うわぁぁぁぁぁ!?」
右京と亀山に問い詰められ泣き叫ぶ太田、こうして2年前から続いた一連の事件は静かに幕を下ろした…
99: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:23:39.39 ID:tyAKEfln0
それから10年後…
2013年10月某日
その日、小雨が降る中…右京はサルウィンから一時帰国した亀山と共にある場所へ来ていた。
そこはかつての松原親子が住んでいたマンションであった。
今では耐久問題や事件の所為で人が寄り付かなくなり、もうすぐ取り壊される予定になっている。
そして右京と亀山はマンションの屋上に上がると、そこには既に二人の他にも集まっている者たちがいた。
100: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:24:26.19 ID:tyAKEfln0
武藤「杉下さん、亀山さん!お久しぶりです!」
右京「武藤先生こそお変わりなく。」
亀山「どうもっす!」
武藤「聞きましたよ亀山さん!
今は警察をお辞めになってサルウィンでボランティアをやっているそうですね!」
亀山「えぇ…まぁ…
子供たちに少しでも笑顔を与えてやりたいと思って始めた事なんで!」
右京「世間話はそのくらいにしてあちらにいらっしゃるのはもしや…」
亀山と武藤の会話を遮り右京は武藤と一緒に居る家族に注目していた。
その家族たちは…
右京「武藤先生こそお変わりなく。」
亀山「どうもっす!」
武藤「聞きましたよ亀山さん!
今は警察をお辞めになってサルウィンでボランティアをやっているそうですね!」
亀山「えぇ…まぁ…
子供たちに少しでも笑顔を与えてやりたいと思って始めた事なんで!」
右京「世間話はそのくらいにしてあちらにいらっしゃるのはもしや…」
亀山と武藤の会話を遮り右京は武藤と一緒に居る家族に注目していた。
その家族たちは…
101: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:24:55.76 ID:tyAKEfln0
浜田「刑事さんたち、ご無沙汰しています。」
淑美「お世話になりました。」
そこにいたのは松原淑美とその前夫である浜田であった。
どうやらこの二人、あの後寄りを戻して再婚したとの事であった。
亀山「じゃあ再婚なされたんですか?」
淑美「えぇ、入院中夫が良くしてくれて…それで寄りを戻そうかと思いましてね。」
右京「それは何よりだと思いますよ、ところでこちらの大きな子はもしや…」
淑美「お世話になりました。」
そこにいたのは松原淑美とその前夫である浜田であった。
どうやらこの二人、あの後寄りを戻して再婚したとの事であった。
亀山「じゃあ再婚なされたんですか?」
淑美「えぇ、入院中夫が良くしてくれて…それで寄りを戻そうかと思いましてね。」
右京「それは何よりだと思いますよ、ところでこちらの大きな子はもしや…」
102: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:25:25.00 ID:tyAKEfln0
郁子「お久しぶりです、郁子です!」
右京「おやおや!」
亀山「嘘だろ!?10年前はこんな小っちゃい子だったのに…」
郁子は右京と亀山が見違えるほどに成長して現在は高校1年生になった。
その後ろにはもう一人小さな少女がいた、少女は10年前右京と亀山が出会った頃の郁子と同じ面影をしていた。
亀山「あの…この子はもしかして…」
郁子「ハイ!私の妹です!名前は美津子って言うんですよ!」
美津子「はじめまして、美津子です!」
美津子と名乗る少女、出会った頃の郁子と同じく6歳くらいの年齢であった。
しかし右京にはこの少女の名前に注目していた。
右京「おやおや!」
亀山「嘘だろ!?10年前はこんな小っちゃい子だったのに…」
郁子は右京と亀山が見違えるほどに成長して現在は高校1年生になった。
その後ろにはもう一人小さな少女がいた、少女は10年前右京と亀山が出会った頃の郁子と同じ面影をしていた。
亀山「あの…この子はもしかして…」
郁子「ハイ!私の妹です!名前は美津子って言うんですよ!」
美津子「はじめまして、美津子です!」
美津子と名乗る少女、出会った頃の郁子と同じく6歳くらいの年齢であった。
しかし右京にはこの少女の名前に注目していた。
103: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:26:05.52 ID:tyAKEfln0
右京「美津子…もしやこの名前は…」
右京の問いかけに母親の淑美が答える。
淑美「ハイ…あの子と同じ名前です…」
亀山「なるほど、けど何であの子と同じ名前にしたんですか?」
亀山の疑問に対して淑美は少しだけ悲しい表情をして答える。
それは自身の少女時代についてであった。
淑美「実はあの子の事他人事とは思えなくて…
私も昔…今の美津子と同い年くらいの頃に母親が突然いなくなって…
だから少しあの子の気持ちがわかったんです、あの子は寂しかったんだって…」
右京「寂しかった…ですか?」
亀山「それ…俺もわかりますよ…
河合美津子は人を呪い殺そうとかそんな事を考えていたわけじゃなかった。
あの子はただ…母親を求めていただけなんでしょうね…」
右京の問いかけに母親の淑美が答える。
淑美「ハイ…あの子と同じ名前です…」
亀山「なるほど、けど何であの子と同じ名前にしたんですか?」
亀山の疑問に対して淑美は少しだけ悲しい表情をして答える。
それは自身の少女時代についてであった。
淑美「実はあの子の事他人事とは思えなくて…
私も昔…今の美津子と同い年くらいの頃に母親が突然いなくなって…
だから少しあの子の気持ちがわかったんです、あの子は寂しかったんだって…」
右京「寂しかった…ですか?」
亀山「それ…俺もわかりますよ…
河合美津子は人を呪い殺そうとかそんな事を考えていたわけじゃなかった。
あの子はただ…母親を求めていただけなんでしょうね…」
104: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:27:01.41 ID:tyAKEfln0
右京「なるほど、母親…そういう事でしたか。」
亀山「そういう事って右京さん…何かわかったんですか?」
右京「松原さんのお宅に丸い染みのところが雨漏りしていましたね。
あれはもしかしたら河合美津子の母親が流していた『涙』ではなかったのでしょうか…」
亀山「な…涙!?」
右京「えぇ、寂しかったのは娘だけではなかったのです。
それは母親も一緒だったはずですよ、だからこそあのような涙を流して
誰かに見つけてほしかったのではないでしょうか?
そしてそれは娘の河合美津子も同じだった。
だからこそ最初にあのエレベーターに乗った際に床に合った水びだしの状態…
あれこそ河合美津子が自分の事を見つけてくれと流した涙だったのではないでしょうか。」
亀山「そういう事って右京さん…何かわかったんですか?」
右京「松原さんのお宅に丸い染みのところが雨漏りしていましたね。
あれはもしかしたら河合美津子の母親が流していた『涙』ではなかったのでしょうか…」
亀山「な…涙!?」
右京「えぇ、寂しかったのは娘だけではなかったのです。
それは母親も一緒だったはずですよ、だからこそあのような涙を流して
誰かに見つけてほしかったのではないでしょうか?
そしてそれは娘の河合美津子も同じだった。
だからこそ最初にあのエレベーターに乗った際に床に合った水びだしの状態…
あれこそ河合美津子が自分の事を見つけてくれと流した涙だったのではないでしょうか。」
105: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:27:59.33 ID:tyAKEfln0
武藤「あの…お二人が何を話しているのか私にはさっぱりなんですけど…」
さすがの武藤や浜田一家は会話に付いていけなかった、そんな事をしている内に全員は屋上に花を手向けた。
その花はある物を中心に囲んでいた、それはかつて河合美津子が所持していた赤いかばんであった。
右京「今となってはこれが河合美津子の唯一の遺品ですからね。」
亀山「慰霊碑代わりにでもなれば…と思って飾ってるんですけどね。」
その時武藤はある事を思い出し亀山に語り出した。
武藤「そういえば浅倉さん…亡くなられたんですってね。」
亀山「えぇ、やっぱりあの断崖絶壁から自殺なんかしていませんでした。
自殺してはみたものの結局失敗して記憶喪失になって…半年近く都内を彷徨っていたらしいですよ。
そんで最期は…刑務官に殺されちまって…
でもね…俺…あいつと最期に言葉を交わしたんですよ、浅倉はすっかり過去の犯罪を忘れてて…
俺はそれだけであいつが報われたんじゃないかって思うんですよ!」
さすがの武藤や浜田一家は会話に付いていけなかった、そんな事をしている内に全員は屋上に花を手向けた。
その花はある物を中心に囲んでいた、それはかつて河合美津子が所持していた赤いかばんであった。
右京「今となってはこれが河合美津子の唯一の遺品ですからね。」
亀山「慰霊碑代わりにでもなれば…と思って飾ってるんですけどね。」
その時武藤はある事を思い出し亀山に語り出した。
武藤「そういえば浅倉さん…亡くなられたんですってね。」
亀山「えぇ、やっぱりあの断崖絶壁から自殺なんかしていませんでした。
自殺してはみたものの結局失敗して記憶喪失になって…半年近く都内を彷徨っていたらしいですよ。
そんで最期は…刑務官に殺されちまって…
でもね…俺…あいつと最期に言葉を交わしたんですよ、浅倉はすっかり過去の犯罪を忘れてて…
俺はそれだけであいつが報われたんじゃないかって思うんですよ!」
106: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:28:44.51 ID:tyAKEfln0
右京「浅倉さん…そういえば僕たちに妙な助言を残したホームレスですが…
今にして思えばアレは浅倉さんだったのかもしれませんよ!」
亀山「アレが浅倉…?」
右京「お忘れですか?
浅倉さんは記憶喪失になった直後にある事件に巻き込まれていたはずです!
その事件の前後、彼は大統領と名乗るホームレスに外務大臣として呼ばれていた。
それにあのコサック帽子…浅倉さんを発見時に身に付けていたモノじゃありませんか!」
亀山「あぁっ!そういえば!?
じゃあアレはやっぱり浅倉だったんですね!?」
右京「そういえば浅倉さんも幼少期に母親が 婦であった事をトラウマに思っていた傾向がありましたね。
もしかしたら…この事件の解決はそんな浅倉さんの過去の償いがさせてくれたのかもしれませんよ。」
亀山「浅倉のヤツ…ありがとうよ!!」
今にして思えばアレは浅倉さんだったのかもしれませんよ!」
亀山「アレが浅倉…?」
右京「お忘れですか?
浅倉さんは記憶喪失になった直後にある事件に巻き込まれていたはずです!
その事件の前後、彼は大統領と名乗るホームレスに外務大臣として呼ばれていた。
それにあのコサック帽子…浅倉さんを発見時に身に付けていたモノじゃありませんか!」
亀山「あぁっ!そういえば!?
じゃあアレはやっぱり浅倉だったんですね!?」
右京「そういえば浅倉さんも幼少期に母親が 婦であった事をトラウマに思っていた傾向がありましたね。
もしかしたら…この事件の解決はそんな浅倉さんの過去の償いがさせてくれたのかもしれませんよ。」
亀山「浅倉のヤツ…ありがとうよ!!」
107: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:31:53.64 ID:tyAKEfln0
亀山は天国…ではなく地獄にいるであろう浅倉に感謝を述べる。
そしてもうひとり…彼らの後ろにレインコートを着た少女がいた気がした…
雨が上がり雲の切れ間から陽が出てきた。
あの赤いかばんに太陽の陽が照らされる、それはまるで河合美津子が天国へ召されるような光景であった…
終わり
そしてもうひとり…彼らの後ろにレインコートを着た少女がいた気がした…
雨が上がり雲の切れ間から陽が出てきた。
あの赤いかばんに太陽の陽が照らされる、それはまるで河合美津子が天国へ召されるような光景であった…
終わり
109: ◆jPpg5.obl6 2013/11/08(金) 23:41:14.55 ID:tyAKEfln0
それと補足
今回はシーズン2辺りが話の舞台ですので捜査一課は芹沢さんがいません。
ホームレスの一郎くんというのはシーズン2の13話に出てきたホームレスです。
本来なら2003年の10月に右京さんたちと出会うはずではないのですがその辺は大目に見てください。
それと大統領とか何の話かというと
こちらはシーズン3の18話で出てきた一時期放浪していた浅倉を匿っていたホームレスの事です。
よくわからないという方はレンタル借りて確認なさってください。
今回はシーズン2辺りが話の舞台ですので捜査一課は芹沢さんがいません。
ホームレスの一郎くんというのはシーズン2の13話に出てきたホームレスです。
本来なら2003年の10月に右京さんたちと出会うはずではないのですがその辺は大目に見てください。
それと大統領とか何の話かというと
こちらはシーズン3の18話で出てきた一時期放浪していた浅倉を匿っていたホームレスの事です。
よくわからないという方はレンタル借りて確認なさってください。
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