1: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 13:51:14.81 ID:H7b/zxyT0
※前置き注意
・ネタバレあり、透魔ルートで進行
・全員と合流済み、終章ちょっと前くらいまで
・♀カムイ(以下、カムイ)は敬語口調、全員と支援A

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1487220674

引用元: 【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 




 

2: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 13:53:59.43 ID:H7b/zxyT0
カムイ・マイルームにて

カムイ「念願かなって、ようやく暗夜と白夜が手を取り合う事になりました」

カムイ「進軍も順調ですし、あとは透魔王を倒すだけ……倒すだけ、なのですが」

カムイ「何やら暗夜白夜間の仲が、思わしくありません。主に支援会話が不穏です……」

カムイ「ほとんど皆さん、疑心か不信から会話が始まってますし……ゼロさんなんて、ツバキさんの命を本気で狙っていた節もありますし……」

カムイ「レオンさんとタクミさんの支援Cとか、『えっ、これむしろ仲悪くなってない?』と思うほどギスギスした内容でした。B以降は和んだから良かったですが……」

カムイ「兄さん達に至っては、基本、私に関する話しかしてませんし……この戦いで私に何かあった時、また戦争再開してしまうのではないかと、気が気じゃありません……」

カムイ「暗夜と白夜が真に手を取り合うために、私に出来る事は無いんでしょうか……私なんかには、到底無理なんでしょうか……」

カムイ「私は……一体、どうすれば………………」

3: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 13:54:29.44 ID:H7b/zxyT0

アクア「話は聞かせてもらったわ」ババァ――z__ン!

カムイ「あ、アクアさん!」

4: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 13:56:19.94 ID:H7b/zxyT0
アクア「カムイ……アナタの危惧は間違いではないわ。共通の敵を戴いたとはいえ、長年争ってきた国同士……表面化していないだけで、積年の怨恨は汚泥のような暗い感情となって腹の底に溜まっているはず」

アクア「戦とは、生き物よ。誰かの言動やミス、もしかしたらもっと些細な事が引き鉄となって、積み重なった憤懣が爆発し、それまで積み上げてきた全てをひっくり返されてしまうかもしれないわ」

カムイ「アクアさん、歌姫の主張とは思えません……さすがです!」

アクア「想像してみて。MAPの終盤も終盤……命中98%を信じて送り出したツバキがものの見事に外し、速さの低さゆえに二回連続で反撃を受け、しかも3%の必殺を喰らってアハ顔ダブルピースを晒す事になったらとしたら……カムイ、たとえアナタでも耐えられるかしら?」

カムイ「そ、そんな……そんなの、想像しただけでも耐えられません! 難易度ルナティックだしリセットせず進めちゃおっかなー、なんて……考えるだけで恐ろしいです!」

アクア「そうでしょう? アナタでさえ、そうなんだから……暗夜・白夜の混成軍なんて、崩壊待ったなしよ。たった1ツバキのために一発ゲームオーバー、花が散るわ」

カムイ「そんなっ……私のごり押し采配のせいで、また皆が犠牲になるなんてっ……」

5: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 13:59:18.10 ID:H7b/zxyT0
アクア「問題は戦闘だけじゃないわ。カムイ、アナタ……皆との支援をAまで高めて、誰ともSにしていないわね? 全員にSランプが点灯しているにも関わらず……」

カムイ「はいっ。資料館を充実させるために、がんばりましたっ! えへへっ」

アクア「かわいい。……じゃなく、それが問題なのよ。飢えた男達は焦れに焦れ、夜な夜な星空を見上げてはセンチメンタルにため息を吐き、カムイを想って自らを慰める日々が続いているわ」

アクア「〝if ひとり思う〟が卑 な意味で使われている現状よ」

カムイ「みずからをなぐさめる? ……良く分かりませんけど、そうなんですか?」

アクア「サイラス辺りは〝カムイとイキたい場所リスト〟を作って妄想に耽ってるし」

アクア「スズカゼは護衛、サイゾウは監視の名目でカムイをストーキングしてイイ感じに昂ってるわ」

アクア「レオンはトマトをカムイに見立ててキスの練習、マークスなんて口を開けば『鎧が、邪魔だな……』しか言わない壊れた暗夜王症候群を患っているわ」

カムイ「レオンさんは何だかカワイイ気がしますけど……ああ、そういえばマークス兄さん、道端で会っても『わ、私と風呂に入りたいのか!? いや、しかしっ……』って葛藤してました。ふふっ、お風呂じゃないのに、うっかりさんですねっ」

アクア「笑い事じゃないわ。そんな感じで皆が皆、カムイを狙って壊れ始めてる現状……」

アクア「これでカムイが誰か一人を選ぼうものなら、溜まりに溜まっていた情欲と鬱憤の全てが爆発し、カムイを巡る争いが勃発してしまうのは間違いないわ」

6: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:00:38.93 ID:H7b/zxyT0
カムイ「そ、そんな……せっかく、せっかく皆、ようやく手を取り合えたのに……そんなのダメです! アクアさん、私は……私はどうすれば!?」

アクア「カムイ……安心して、たった一つ……両国の不和も、マークスをはじめ壊れ始めてる男性陣の現状も……全てを解決する、唯一にして最上の方法があるから」

カムイ「そ、それは一体……アクアさん、教えてください! お願いします!」

アクア「ええ、カムイのためだもの、もちろんよ。……その方法とは」

7: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:01:09.59 ID:H7b/zxyT0


アクア「逆ハーレムよ!」

カムイ「逆ハーレム……ですか?」


8: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:06:45.33 ID:H7b/zxyT0
アクア「カムイ。アナタは……キョウダイと仲が良いわよね? キョウダイの事を大切に思っているし、大好きでしょう?」

カムイ「はいっ、もちろんですっ。暗夜も白夜も、どちらのキョウダイもかけがえのない人達ですし、だからこそ、この道を選んだんです!」

アクア「そうよね。けど、それなら……暗夜と白夜の皆が、キョウダイになれたら……万事解決する、と思わない?」

カムイ「ふぇ? それは、確かに素敵ですけど……とても現実的とは……」

アクア「いいえ、できるわ……アナタにならできるのよ、カムイ。この軍は、そもそもアナタを通じて一つになったの」

アクア「なればこそ、アナタがこの軍の男性達を全て受け入れれば、アナタを通して皆はキョウダイになれる」

アクア「皆が本当の意味で……真の家族となれるのよ」

カムイ「私が頑張れば……皆さんが、家族に……キョウダイに? …………」

アクア「……まあキョウダイといっても、穴キョウダイっていうのかしら。ぷぷっ」

カムイ「っ……アクアさんっ!」

アクア「……そうよね、ごめんなさい……いくら何でも、無茶苦茶よね……」

9: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:07:21.46 ID:H7b/zxyT0

カムイ「さすがですっ!」

アクア「あらま」


10: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:08:22.06 ID:H7b/zxyT0
カムイ「アクアさん……私、がんばりますっ! 皆が真に手を取り合えるよう……えーと、あなキョーダイ? になれるようにっ! 私は、私はっ……」

カムイ「逆ハーレムっていうの、やってみますっ!」

アクア「ふっ……その言葉が聞きたかったわ。……ところでちょっと不安だから聞いておきたいのだけど、カムイは普通の恋愛がどういう事なのかくらいは、分かってる?」

カムイ「もちろんです。読書が趣味ですから、一通りは!」

アクア「申し分ないわね。じゃあ早速、男共を片っ端からぶち落としにいきましょう」

カムイ「はいっ! ……あ、でも……」

アクア「? どうしたの、カムイ。気になる事があれば、何でも言って?」

カムイ「は、はい。逆ハーレム、って……結果的に、男の人達を独占する事になりますよね? それって、女性陣は納得してくれるんでしょうか……ほら、特にオボロさんとか、シャーロッテさんとか……」

アクア「カムイ……そうよね、優しいアナタの事だもの、気になっちゃうわよね……けど、大丈夫よ」

カムイ「大丈夫って……それは、どうしてですか?」

11: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:09:40.81 ID:H7b/zxyT0
アクア「きっとどこかの誰かが〝♂カムイ「ハーレム……だって?」〟とか書いて補完してくれるわ」

カムイ「さすがです、アクアさん」

アクア「じゃ、心置きなくいきましょう」

カムイ「はい! カムイ、がんばりますっ!」

12: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:10:55.62 ID:H7b/zxyT0
アクア「さて……じゃあまず、誰から攻めていくか、という話だけど」

カムイ「はい。最初の一人が重要ですよね。きっと、今後のためにも……」

アクア「さすが難易度ルナティックに揉まれてきただけあるわね。その通り……この後に弾みをつけるために、また協力を仰ぐためにも、これ以上ないほど重要よ。まあ大方の目星はつけてるんだけどね」

カムイ「えっ、アクアさんもですか? ふふっ、実は私も、この人かなー、という人がいるんですっ。もしかすると、同じ人を思い浮かべてるかもですねっ」

アクア「え、そうなの? ……じゃあ試しに、同時に言ってみる?」

カムイ「はいっ! じゃあ……せーのっ」



カムイ「ジョーカーさんっ!」

アクア「レオン」


カムイ「……あ、あれっ?」

アクア「……うーん」

13: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:12:07.20 ID:H7b/zxyT0
カムイ「アクアさん、レオンさんが最初なんですか? ……私は、ジョーカーさんじゃないかなー、と思うんですけど……」

アクア「うーん……あー……カムイはなぜ、ジョーカーだと思うの?(まさかカムイは、本当はジョーカーの事が……?)」

カムイ「はいっ。だって第三の道を選んだ時、国も立場も超えて、真っ先に駆けつけてくれましたからっ! 今回も似た状況ですし、ジョーカーさんならきっと協力してくれますっ! 間違いないですっ!」

アクア「ああ、なるほど。……ちなみにジョーカーが、特別好き、とかじゃ……?」

カムイ「? 良く分かりませんけど……私は皆さんの事が、特別大好きですよっ」

アクア「小悪魔め。……まあジョーカーには気の毒だけど、カムイの戦いだものね。それにカムイは一度言い出したら聞かない所もあるし……最初はジョーカーで決定なのね?」

カムイ「はいっ! 折れたりしませんっ……夜刀神はともかく、私は決して折れません!」

やとのかみ「!?」

アクア「時々変なところで強情だものね、アナタ……まあいいわ。じゃ、最初はジョーカーにしましょう。……一応、注意しておくけれど」


アクア「ジョーカー、死ぬかもしれないから、気を付けてね」

カムイ「へ?」

15: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:14:22.71 ID:H7b/zxyT0
そんなこんなでジョーカー、マイルームに来訪

ジョーカー「カムイ様、お呼びでしょうか。アナタの忠実なる従者にして最愛の男が参りました……この私めに、何なりとお申し付けください」

カムイ「ジョーカーさん! ありがとうございますっ……では、お願いがあるんですっ!」

ジョーカー「っ! か、かしこまりましたっ……左手の薬指は空けておりますっ! さあ、どうぞっ……いつでも、ご随意にっ!」



カムイ「私っ――逆ハーレムを作ろうと思うんですっ!」

ジョーカー「――――」

アクア(あ、ジョーカー死んだかしらコレ)←普通にカムイの横で見てる

16: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:17:13.51 ID:H7b/zxyT0
カムイ「それで、ジョーカーさんにも協力してほしくて……ん? 聞こえてます? あの、ジョーカーさーん?」

ジョーカー「……ふふっ。全く、カムイ様はいつも私に衝撃を与えてくださる。逆ハーレム……ですね? かしこまりました、準備いたしますので、少々お待ちください。……」

カムイ「あっ、手伝ってくれるんですねっ!」

カムイ「……あの、ジョーカーさん、なぜ天井に縄を括りつけて……えっ、手首に暗器を当てると危ないですよ? あの……そ、それ毒薬です、飲んじゃダメですっ! ジョーカーさん、ジョーカーさんー!?」

アクア「やっぱりこうなったわね。とはいえ、ここまでオンパレードするとはね……仕方ないわ、力尽くで止めるわよ。せいっ」

ジョーカー「おげぅ」

カムイ「アクアさん、さすが素の力の成長率第三位です……頼りになりますね!」

17: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:19:21.28 ID:H7b/zxyT0
アクア「……さてジョーカー、少しは落ち着いたかしら?」

ジョーカー(縛られて正座中)「……落ち着く? ははっ、俺は最初から落ち着いてますよ」

ジョーカー「落ち着いた上で、あっ死のう、と思った……それだけですよ」

アクア「なお悪いわ。……ほら、カムイからも何とか言ってあげて」

カムイ「…………ジョーカーさん」

ジョーカー「! かっカムイ様っ……くっ! カムイ様に何と言われようと、私はアナタが他の男の手に抱かれる所などっ……想像するだけでも耐えられません! ましてや、逆ハーレムなどとっ……そんなものを見るくらいなら、死んだ方がマシで――」

カムイ「―――ばかぁっ!」ビンタスパーンッ

ジョーカー「ひでぶぅっ!? ……か、カムイ様……?」

アクア(さすがDLCマップまで駆使して鍛えたカムイの力。尋常の威力じゃないわ)

18: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:22:45.62 ID:H7b/zxyT0
カムイ「死ぬだなんてっ……そんな事、言わないでくださいっ! 北の城塞から、ずっと、ずっと一緒だったのに……」

カムイ「今さらアナタを失って、私が耐えられるとお思いですかっ……!? 死ぬだなんて……言っちゃ、イヤですっ! ……ひっく……」

ジョーカー「か、カムイ様……そんな、私なんぞのために、涙まで……」ハートピロピローン

アクア(ちょろいわ……)

ジョーカー「……い、いえっ! しかし逆ハーレムなんてっ……俺のカムイ様が、そんなっ……ぐ、ぐぬぬっ……!」

アクア(ちっ、しぶといわね。……仕方ないわ)

アクア「ねえジョーカー、ちょっとイイかしら?」

ジョーカー「ああん!? ……っと、し、失礼しました。何でしょうか、アクア様」

19: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:26:12.10 ID:H7b/zxyT0
アクア「……まあいいわ。カムイはね、本気で逆ハーレムを作るつもりよ。暗夜と白夜を真の意味でキョウダイにするために。……だけど」

ジョーカー「は……? その方法が、逆ハーレムですか? ……はっ、馬鹿馬鹿しい。そんなもん、俺だけじゃなく、他の奴らだって納得は――」

アクア「カムイが真っ先に挙げた名前は――ジョーカー、アナタだったのよ」

ジョーカー「えっ。……えっ、俺……俺、ですか?」

アクア「ね、カムイ。そうだったわよね(嘘は言ってない)」

カムイ「すん、すん……ふぇ? ……あっ、はい! 私としては、やっぱりジョーカーさんが一番かなー、って。ジョーカーさんしか浮かばなかったといいますかっ」

アクア(立ち直り早いわ……こういうトコあるわよね、この子……)

ジョーカー「お、俺が一番? 俺しか……浮かばなかった? …………」

カムイ「ですが、死んだ方がマシとまで言われてしまうなんて……やっぱりアクアさんの言う通り、一番はレオンさ……もがもが?」

アクア「ストップ。それ以上は言わなくていいわ。わかったわね?」クチオサエー

カムイ「も、もがー? もがもが……もがー」コクコク

アクア「イイ子ね。……さてジョーカー、どうかしら? カムイの一番としては……カムイの願いに、どう応えるのが正解だと思う?」

ジョーカー「………………」

20: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:30:27.04 ID:H7b/zxyT0
ジョーカー「し、仕方ありませんねっ。いささか不満は禁じ得ませんが……カムイ様の忠実なる従者、そして一番の男として、認める事も吝かではないんですからねっ」

アクア「OK……おめでとうジョーカー、アナタが記念すべき一人目よ。胸を張っていいわ」

ジョーカー「し、仕方なくなので……は? 胸を張っていい? ……えっ、カムイ様の胸を張ってイイんですか!? それは平手で!? いや確かにそういう妄想もしますが、さすがに時期尚早すぎると言いますかっ……!」

アクア「カムイ、見て。こんな感じで男性陣は壊れ始めてるのよ。早急に解決する必要があるでしょう?」

カムイ「うーん……ジョーカーさん、私の胸を張りたいんですか? けど、痛いのヤです……つっつくぐらいにしてくれませんか? 出来れば、優しく……」

アクア「ああ男衆がおかしくなってるの、この子のせいだったわ。どうしようもないわね、もうっ」

21: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:33:16.41 ID:H7b/zxyT0
ジョーカー「……あの、お取込み中、申し訳ございませんが……カムイ様の逆ハーレムについては、文句はありますが、一応、とりあえず、渋々、ギリギリ」

ジョーカー「まあ認めますが……ご協力は致しかねます。その現場を生で見ると……ちょっとまた、[ピーーー]そうなので……」

アクア「ああ、まあ仕方ないわね。……じゃあ最後に、一つだけ聞いておきたい事があるの。皆にも聞いていくつもりだけど……」

ジョーカー「? はあ、何でしょうか」

アクア「アナタがカムイに対して想う……一番捗る 癖を、暴露していって頂戴」

ジョーカー「は? ……はぁ!? い、いや、何でそんなっ……!」

アクア「そういうコンセプトでいくつもりだから。……ほら、カムイはこの後も忙しいのだから、手間取らせないで。答えてくれないなら、アナタだけカムイの逆ハーレムから除外しちゃうわよ。ほら、アナタはどう〝if ひとり思う〟なのか、早く」

ジョーカー「な、なあっ!? そ、それはあんまりで……いやしかし、 癖って。…………」

22: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:38:38.63 ID:H7b/zxyT0
ジョーカー「それはもちろん……カムイ様にお仕えし、カムイ様の身の回りのお世話をする、それこそが至上の喜び。すなわちカムイ様に尽くす事が、私にとっての幸せであり、快感になります。強いて言うなら、こんなものですが……よろしいですか?」

アクア「ふーん。……そう。間違いないのね?」

ジョーカー「ええ、それはもう。嘘偽る事など、何一つございません」

アクア「ふーん。……ところで一つ、気になる事があるのだけど……アナタ、カムイの身の回りのお世話とやらを、全て行ってるわよね? 炊事、掃除……衣類の洗濯まで」

ジョーカー「へ? はあ、もちろん……それが私の役目ですので。……それが何か?」

アクア「いえ、おかしいわね、って。だってそれ……北の城塞にいた時からでしょ? 男のアナタがカムイの衣類まで洗濯するのは、変じゃないの?」

ジョーカー「!? ……そ、それは仕方ありません。フェリシアはアレですし、任せていたらカムイ様の御衣類が全て無くなってしまいます。それともアクア様は、カムイ様に全裸で過ごすようにお望みですか? そんなの私の前だけで充分ですよ」

アクア「いや、北の城塞にはフローラもいたんでしょ。フローラならそんなドジしないじゃない。なのに、何でフローラに任せず、男のアナタがやってたの?」

ジョーカー「……いえ、ですから、それは……俺が……いえ、私がやったほうが、確実だからで……」

23: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:41:03.27 ID:H7b/zxyT0
アクア「はい、ここで事前に得ていたタレコミを発表します。深夜、カムイの使用済み 着を手に挙動不審に陥っているジョーカーが目撃されています」

アクア「洗濯するのかと思いきや、おもむろに 着で顔面全体を覆って数十秒ほど深呼吸した後、カムイの 着を自分のズボンに仕舞い込み『エクセレント……』と呟くや否や、満足そうな表情でジョーカーは去って行った、と報告されています」

ジョーカー「何でや!!! 見てたんかコラ!!!! 誰や!!!!!」

アクア「匿名希望のドジっ娘メイド・ふえぇさんからのタレコミです」

ジョーカー「フェリスィアァァァ!! おまえふざけんなよ! 家事以外はホント有能だなドチクショウ!!!」

アクア「匿名希望の嫉妬深い姉さんからは、『百年の恋も冷めますよね。氷の部族だけに』とコメントいただいております」

ジョーカー「意味分からんが何か腹立つな! つーか何の調査してるんですかアンタも!」

アクア「さて、この事案に関して……当事者のカムイさん、何かありますか?」

ジョーカー「! ち、ちがっ……違うんですカムイ様ァ! 魔が差したんです……アレです、ガロン王みたいなもんです! お、俺は操られててっ……!」

25: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:45:07.03 ID:H7b/zxyT0
カムイ「え? ジョーカーさん、私の 着が欲しかったんですか? うーん……ちょっと恥ずかしいですけど……そんなに必要なら、言ってくれれば差し上げますよ?」

ジョーカー「か、カムイ様……! アナタは天使ですかっ……ついていきます、一生ついていきますぅぅぅぅ!」

カムイ「けど、それなら新品のほうがイイですよね。使っちゃったのなんて汚いですし」

カムイ「次からは欲しい時に言ってくれれば、新品を用意しますし、安心してくださいっ」

ジョーカー「! ……っ……」

アクア「……ねえジョーカー、あんな純なカムイを見て、脳髄まで腐れリビドーに侵されたアナタでも、さすがに罪悪感が湧いてくるんじゃない? どうなの?」

ジョーカー「……はい、そうですね……はっきり、言っておかないとですよね……あの、カムイ様……」

カムイ「? なんでしょうか、ジョーカーさん?」

26: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:47:44.14 ID:H7b/zxyT0
ジョーカー「 着は新品ではなく、カムイ様が履いておられるものが……特に脱ぎたてのものが理想的です」

ジョーカー「目の前でお脱ぎ頂ければ、なお重畳……汚くなどありません。むしろ神聖さが増した神器級のアイテムです」

カムイ「へ? ……い、いえ……それはさすがに、恥ずかしい……です……」カァァァ

ジョーカー「ああっ……ああっ、それです! その恥じらいもまた堪らないアクセント! イイですよ……最高です! おおお何なら今すぐにでも――おぼっふ!?」

カムイ「ああっ!? ジョーカーさんの後頭部にアクアさんの松の木アタックが!? しっかり……しっかりしてください、ジョーカーさーん!?」

アクア「大丈夫よ、カムイ。峰打ちだから」

カムイ「ああ、それなら大丈夫ですね。安心しました」

アクア「ええ。それじゃ、次に行きましょうか」

カムイ「はいっ! 行きますっ……折れたりしません!」


 カムイとジョーカーの支援レベルがSに上がった

27: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:50:08.34 ID:H7b/zxyT0
 外

アクア「さて……じゃあ次は、どうする?」

カムイ「はい……やはりアクアさんの助言に従って、レオンさんの所へ行こうかと」

カムイ「ジョーカーさんみたいに、死ぬなんて言われたら……辛いですから……」

アクア「ああ……とはいえ、遅かれ早かれ通る道だったから。……まあ、次はレオンね。でも、どこにいるのかしら?」

カムイ「あ、この時間なら……あそこですっ。ほら、レオンさん自家製のトマト畑っ」

アクア「えっ。……ああ、本当だわ。良く知ってるわね、カムイ」

カムイ「もちろんです! かわいい弟の事ですからっ」フンスー

アクア「押し倒したいドヤ顔ね。……じゃなく、話が早くて助かるわ。それじゃ早速……ん? あの子、トマトと見つめ合ってナニしてるのかしら? ……あ、まさか」

28: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:51:47.09 ID:H7b/zxyT0
レオン「もう、カムイ姉さんったら、どうしたんだい? そんなに顔を紅くして……弟に顔を近づけられただけで真っ赤になっちゃうなんて、恥ずかしくないのかな? そんな恥ずかしい姉さんには……お仕置きが必要だね?」

アクア「………………」

レオン「ほら、目を閉じなよ……えっ、ナニするのかって? 決まってるじゃないか、いつものお勉強だよ。さあ、先生の言う事を聞いて……今さらお姉さんぶったってダメだよ? そんな真っ赤な顔で……今の姉さんは……カムイは、ただの女なんだから。……んっ……」

カムイ「レオンさーん! 今、私を呼んでましたよね? お姉ちゃんがきましたよーっ」

レオン「ぎゃああああ!? ねっねね姉さん!? い、今の見てたの!?」

アクア(さすがカムイ……ああいう場面でも容赦なくぶっこんでくわね。まあ本人に他意はないでしょうけど)

カムイ「? えっと……特に何も……変なものは見てませんけど……」

レオン「あ、ああ、そう……それならイイんだけどさ……」

30: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:54:04.27 ID:H7b/zxyT0
カムイ「でもレオンさん、顔をトマトみたいに真っ赤にしながらトマトを食べようとして、何だか可愛かったですよ! ふふっ」

レオン「見てるじゃないか完全にー! ああもう殺してよ! こんな生き恥さらして生きてられるかぁ!」

カムイ「イヤです! もし仮に敵になる世界があったとしても、レオンさんを殺したりなんて絶対しませんっ……だってレオンさんは、私の愛する弟なんですからね!」

レオン「ああもうそういう事じゃないんだけど、嬉しいやら、けど男としては複雑やらで何とも言えなさすぎるよ! どうすればイイんだ僕は!」

アクア「まあまあ、落ち着いて、レオン。アナタの日課でしょ、今の」

レオン「うわあああアクアまで!? ていうか何で日課と!? どんだけ知れ渡ってるんだ!?」

アクア「いいから。……そんな事より、カムイからアナタに、大切な話があるそうよ」

レオン「はあ、はあ……えっ? ね、姉さんから僕に? ……――!?」

31: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:57:18.49 ID:H7b/zxyT0
レオン「こ、こほん。……姉さん、大切な話って何だい? 僕も暇じゃないんだけどな」

レオン「まあ、どうしてもっていうなら聞いてあげなくもないけど? ほら、早く言いなよ。告白でも何でもすればイイじゃないか。……ほ、ほらっ」

アクア(レオン、今さら立て直せるとでも思ってるのかしら……)

カムイ「あ、はい。えーと……(さっきみたいにいきなり切り出したら、ジョーカーさんみたいにビックリしちゃうかもしれませんよね……)」

カムイ「(うーん、どうしましょう)……え、えっと、その……あのっ……」モジモジー

レオン「!? ……ごごごめん、い、いいよ、ゆゆゆっくりで。急かしちゃって悪かったね。ちゃ……ちゃんと聞くからさ、うん。き、聞くよ」ソワソワー

カムイ「! は、はいっ(さすがアクアさん推薦のレオンさん……優しいですねっ)」

カムイ「えーっと……私、レオンさんにお願いしたい事があるんですっ。本当は……とっても、恥ずかしいんですけど……けど、もう、こうするしかなくてっ……私、私っ……!」

レオン「か、カムイ姉さん……そんな、もう抑えられないほどに……? っ……わ、分かったよ! 僕で良ければ、姉さんに永久の愛を――」

カムイ「私―――逆ハーレムを作りたいんですっ!」

レオン「―――――」

アクア(……今回は私、最後まで黙ってましょっと)

32: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 14:58:26.27 ID:H7b/zxyT0
カムイ「私、暗夜と白夜に、真に手を取り合って欲しくって……そのために、皆さんをキョウダイにして、家族となるために……逆ハーレムを作ると決めたんです! お願いです、レオンさんっ……レオンさんも、協力してくださいっ!」

レオン「……カムイ姉さん……それ、本気で……本気で言ってるのかい?」

カムイ「はいっ、もちろんですっ! 折れたりしませんっ!」

レオン「……そう……そっか、ははっ。はははっ……姉さん……いや、カムイ」



レオン「―――ふざけるなよ?」

カムイ「…………えっ?」

33: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:02:52.29 ID:H7b/zxyT0
レオン「良くそんな爛れた事を誇らしげに言えたモノだね。恥ずかしくないのかい? 気に入らないな、その態度……君を中心とした、逆ハーレムだって?」

レオン「全てが自分の思い通りになるとでも思っているのか? 大した自信家じゃないか、カムイ」

カムイ「そんな……私は、そんな……」

レオン「嫌いだよ……僕は最後の情けすら、お前にかける気はない。優しい弟としての言葉を聞きたかったなら、諦めなよ」

レオン「裏切り者は絶望のまま、闇に沈むのがお似合いだ。さっさと目の前から消えてくれ。……目障りだよ」

カムイ「……レオンさん……」

レオン「話は終わりだ。ほら……さっさと消えなよ。たとえ泣こうと喚こうと、何を言われても、僕の気持ちは絶対に変わらない!」

レオン「絶対にだ……絶対だぞ! 絶対に、変わらないからなっ!」

カムイ「………………」

34: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:04:51.32 ID:H7b/zxyT0


カムイ「けど私はレオンさんの事、大好きですよ?」

レオン「僕だってっ……本当は、そうだよっ……!」



35: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:06:36.31 ID:H7b/zxyT0
レオン「嘘だよ、姉さん……嫌いだなんて、嘘だ。本当は、僕だって……姉さんが……」

レオン「大好き……なんだから……!」

カムイ「……はい、いいんですよ。もう何も言わなくていいんです」

カムイ「さあ、レオンさん……来てください。お姉ちゃんが、ぎゅっ、って……してあげますから、ね?」

レオン「う、うう……っ、ううっ……ああっ……姉さん……姉さんっ!」

カムイ「きゃっ。……ふふっ、レオンさんったら、珍しく甘えてくれて……よしよし、お姉ちゃんがいますからねー。大丈夫ですからねー?」ヨシヨーシ

レオン(ちょっ、やっばコレ……ナニコレ、ふっかふかのぷるっぷるっ……! カミラ姉さんとはまた違う、新境地の安心感……! カムイ姉さんの胸には神器がついてるのかい……!?)スリーンスリーン

アクア(あの即墜ちなんちゃってツンデレ王子、無理せず最初から素直になればイイのに……別にいいけど)

36: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:13:19.94 ID:H7b/zxyT0
 それから十数分後(レオンはずっとカムイの胸にスリスリしていたよ!)

レオン「ふう(ツヤツヤ)。それで、逆ハーレムだって? 全く、どうしてそんな事を思いついたのか……」

レオン「なんて、アクアと一緒に居る所を見れば、大体は想像つくけどさ」

カムイ「さ、さすがレオンさん、お見通しですね……はい、実はアクアさんからアドバイスを頂いたんです」

カムイ「暗夜と白夜、二国の混同軍が真の意味で手を取り合う術を」

レオン「それが逆ハーレム、ってわけ。まあ確かに、カムイ姉さんに対する男衆の異常な雰囲気は、僕も何とかすべきだとは思ってたけどさ……」

レオン「さすが『とりあえず両国の部隊長に殴り掛かってみましょう』とか言いだす歌姫は違うね。……で、アクア?」

アクア「? 何かしら。耳打ちなんてして、内緒話?」

レオン「……君は一体、何を企んでるんだい?」

アクア「! ……何の話かしら?」

レオン「とぼけないでよ。逆ハーレムで皆とキョウダイに……だなんて、この際〝上手くいくか〟というのは問題じゃない。〝それを実現させて、何をする気なのか?〟だよ」

レオン「暗夜と白夜の男達を、全てカムイ姉さんの虜にさせて……ね」

アクア「……………」

レオン「もし君がカムイ姉さんの良心を利用して、悪巧みでもしてるなら……僕は絶対に許さないよ。今度は強がりなんかじゃない。地の果てまでも追い詰めて、必ず後悔させてやる。……何を企んでるのか話すなら、今の内さ」

37: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:14:51.48 ID:H7b/zxyT0
アクア「……ねえ、レオン」

レオン「何だい? 白状する気になったなら、さっさと――」

アクア「アナタって本当に、カムイの事が大好きよね」

レオン「は。……はっ!? な、何を……いや、アクアだってさっき聞いてただろ!? 改めて言わなくても……」

レオン「って、はぐらかすなよっ!? だから、何を企んでるのかってっ……」

アクア「ああ、その話。別に悪巧みなんてしてないわ」

アクア「私はカムイのために……カムイの事だけを想って、行動してるの。そこに嘘偽りは、微塵も無いわ」

レオン「! …………」

アクア「たとえどれだけ疑われても、構わない。それでも私は、カムイのために行動するわ。もちろん、信じるかどうかは、アナタの自由だけど――」

レオン「……はぁ~っ。いいよ、もう……信じるよ」

アクア「! ……レオン」

38: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:16:38.70 ID:H7b/zxyT0
レオン「僕だって、別にそこまで偏屈じゃないさ。君が嘘をついてるかどうかくらい、分かるつもりだよ」

レオン「……今のアクアの言葉に、少なくとも嘘や邪心は感じなかった。だから……一応、信じるよ。カムイのためにという、君の言葉をね」

アクア「……ふふっ、そう。ありがとう、レオン」

レオン「か、完全に信じた訳じゃないからなっ。……それに、まあ」

アクア「あー……言いたい事は、何となく分かるわ」


カムイ「……あ、あのー、アクアさん、レオンさん、二人で何のお話です? 私も、私も仲間に入れてくださいよ~。おーい、おーいっ」ピョンピョン

レオン「……カムイ姉さん見てたら、毒気が抜かれるっていうかさ……全く」ハートピローン

アクア「ふふ……分かるわ。ふふ、ふふふっ……」ハートピロピローン

カムイ「? な、何の話ですか? あのー?」

39: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:18:11.87 ID:H7b/zxyT0
アクア「何でも無いわ、カムイ。……ああいえ、レオンの 癖を暴露してもらおうと、ね」

レオン「はは、そうそう……はあぁぁぁぁ!? 何だい、その話の誤魔化し方!? 下手くそかっ……下っ手くそかっ!」

アクア「いえ、これは皆に聞いていこうと思ってるから。さ、ちゃっちゃと暴露して頂戴」

レオン「いや、ちょ……か、カムイ姉さん本人が見てる前で? そ、それはさすがに……」

カムイ「わあ、ワクワクしますねっ。レオンさん、早く早くっ」

レオン「(意外と乗り気だと……!?)……あ、ああもう、分かったよ!」

レオン「どうせ話さないと進まないんだろうし……ええと、その……僕の場合は、こう……」

40: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:19:05.21 ID:H7b/zxyT0
――――――
レオン『カムイ姉さん……今日はどうしたんだい? 全然勉強に身が入ってなかったじゃないか。これじゃ赤点、落第だよ?』

カムイ『……ごめんなさい、レオンさん。だけど……私、もう……自分を抑えられなくて』

レオン『何を言って……っ!? な、何だい、急に押し倒してくるなんて……ちょっと、どこ触ってるのさっ。だ、ダメだってばっ……!』

カムイ『わぁ……レオンさんのブリュンヒルデ、すくすく成長してます……こんな立派な大樹に育つなんて、もっと擦ったらどうなっちゃうんでしょう……?』

レオン『くうっ……! や、やめてよ、姉さんっ……そ、そんなにしたら、僕は……!』

カムイ『……イヤです、姉さんなんて……呼ばないでください。今だけは、名前で……それか、もしくは』

カムイ『先生と……呼びなさい……❤』
――――――

41: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:22:50.98 ID:H7b/zxyT0
アクア「………………」

レオン「………………」

アクア「………………」

レオン「…………勘違いは、しないで欲しいんだけどね?」



レオン「カムイ姉さんの威勢が良かったのは、最初だけさ。結局この後、どうして良いのか分からず、オロオロと立ち往生してしまうんだ」

レオン「そこからは立場が再逆転……申し訳なさそうにするダメな先生を優しく抱きしめて、僕なしではいられなくする。逃がさないよ……覚悟はいいね?」

アクア「………………」

レオン「……何だよ……何だよ! 君が言えって言ったんだろ! だから言ったんじゃないか! 何とか言ったらどうなんだい! 無言は……無言はやめろよ!」

アクア「………………」



アクア「わかるわ」

レオン「わかるの!?」

42: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:25:50.14 ID:H7b/zxyT0
アクア「もちろんよ。昂る劣情を抑えきれず弟を押し倒しておきながら、恋愛小説程度の知識しかない純なカムイには、そこからの行動が分からない」

アクア「そんなカムイに優しく触れ、真っ白なキャンバスに自分の色を塗り込んでいく……いわゆる……無知シチュね」

レオン「お、おう」

アクア「先生ぶってる、っていうのもポイント高いわね。そのくせ、何をすれば良いのか分からない詰めの甘さもアクセントを添えているわ」

アクア「隙があると、突きたくなるものよ……それがあんまり可愛らしい隙だったら、もはや突かないほうが失礼じゃない」

レオン「概ね同意だけど、何でそんなに分かってるのかが怖いよ、僕は」

アクア「良いわね……さすが暗夜王子。〝グラヴィティ・マスター(笑)〟とか〝トマト・プリンス〟とか呼ばれてるのは伊達じゃないわ」

レオン「何かバカにされてるような気がするんだけど!? 誰だそんな呼び方してんの! ていうか止めてよね、カムイ姉さんに聞かれたらカッコ悪いと思われ……ん?」

43: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:27:38.01 ID:H7b/zxyT0
レオン「僕の肩を叩いてるのは……姉さん? 何か――」

カムイ「――こらっ。先生をバカにしちゃダメですっ。そんなレオンさんは……オシオキ、しちゃいますよっ❤」

レオン「――――――」

カムイ「ふふーん、どうですっ? 私、ダメなんかじゃないですよ。この通り、先生だって出来ちゃうんですからっ」

カムイ「……あれ、でも何を教えればイイんでしょうね? うーん……わ、わかりません、どうしましょうっ?」オロオロ

レオン「……う、う……ウオオアアアアァァァ!!」

カムイ「え。……きゃ、きゃーっ!? レオンさんのブリュンヒルデ(正式なほう)が暴走して大樹のように!?」

カムイ「しっかりしてくださいレオンさん! とりあえず剪定しますね。えい、えいっ」ザクザク

アクア「全く、手が焼けるわね。せいっ、せいっ」ザクザク

44: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:34:01.60 ID:H7b/zxyT0
レオン「……はっ!? い、意識が飛んでた……ご、ごめん二人とも。もう大丈夫だよ」

カムイ「ふふふ。イイんですよ、レオンさん。可愛い弟のためですからっ」フンス

アクア「カムイは弟の事となるとテンション上がるわね……ま、いいわ。刈ったブリュンヒルデはその辺で苗木か、肥料にでもするとして……」

アクア「次へ行くにあたって、レオン、アナタにお願いがあるのだけど」

レオン「ん……ああ、大方、僕にも協力しろっていうんだろ? といっても、助言くらいしか出来ないけど……カムイ姉さんのためだし、協力するさ」

アクア「話が早くて助かるわ。正直な話、カムイと私で考えられるのはここまでで、次の展望がある訳じゃないの」

アクア「そのための相談役として、レオンは適切だと思ってたのよ。で……誰から落とせばイイのか、相談したいんだけど」

45: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:35:40.60 ID:H7b/zxyT0
レオン「うん。……ちなみに現段階で、誰を引き込んでるんだい? ……ま、まさか、僕が最初……とか」

アクア「……残念だけど、一人目はジョーカーだったわ」

レオン「! ……ああ、なるほど……カムイ姉さんの事だから、以前も真っ先に駆けつけてくれたから、みたいな理由だろ? ま、それ以上でもそれ以下でもないんだろうね。ま、それ以上でもそれ以下でもないんだろうね」

アクア(正解なんだけど……脂汗と震えがすごいわね。面白いから黙ってましょっと)

レオン「ご……ごほん! じゃ、じゃあ次、誰に行くか、だね? ……僕の考えで良いの?」

カムイ「はいっ! レオンさんの考えなら安心です。頼りにしてますからっ」

レオン「頼りに……ふ、ふふ、そう? 全く、カムイ姉さんは仕方ないな。いいよ、全力で考えてあげる。そうだな……ん~」

アクア(大概チョロイわよね、この子……まあこの子だけじゃないけど)

46: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:42:13.30 ID:H7b/zxyT0
レオン「次は……タクミ王子、じゃないかな」

アクア「タクミ? ……うーん、どうかしら……あの子、逆ハーレムなんて聞いたら憤激しそうだけど……」

レオン「遅かれ早かれ、通らなきゃならない道さ。それに、彼は後に回すほど手強くなると思うよ。……まあ、理由を簡単に言えば」





レオン「拗ねるよ」

アクア「ああ、納得」

カムイ「なんだかカワイイですね!」

47: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:46:42.76 ID:H7b/zxyT0
アクア「まあ、という訳で次はタクミに決定ね」

カムイ「はいっ! ……ふふ、ふふふっ……」

アクア「? どうしたの、カムイ……何だか嬉しそうね」

カムイ「だってだって、レオンさんの口からタクミさんの名前が挙がったんですよっ?」

カムイ「初めは険悪だった二人も、今は互いに趣味を共有する仲良しさんと聞いてますし……それが実感できて、嬉しいんです♪」

アクア「! ……そう(本当に、皆が仲良しなのが良いのね……この計画、必ず成就させなくちゃ……ね)」

カムイ「はあー……弟コンビ、尊いですー……お姉さんとして、全力で甘やかす所存ですよーっ。えい、えい、おーっ♪」

アクア(若干、俗っぽい感情も混じってそうだけど……男共に比べれば遥かに穏やかだし、問題ないわよね、うん)

レオン「で、問題のタクミ王子……どこにいるんだろうね? そこまでは分からないよ」

カムイ「あっ、今の時間なら……弓の稽古をしてるはずですよっ」

アクア「さすが全員と支援Aまで持ち込んだだけはある情報力ね……じゃ、弓道場に行ってみましょうか」


 ?
 カムイとレオンの支援レベルがSに上がった

48: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:51:08.34 ID:H7b/zxyT0
 弓道場

アクア「さて、タクミは……あ、いたわね。本当に稽古してるわ」

カムイ「的当てですねっ。私も教えて貰ってたんですよー、ふふふー」

レオン(……ていうか僕、普通に付いて来て良かったのかな……)

アクア「にしても、鬼気迫る雰囲気ね。邪魔しちゃ悪いかしら……ん? ……何かブツブツ言ってるわ」


タクミ「……この矢が的心(真ん中)に命中したら、告白する……この矢が的心に命中したら、告白する……」

アクア「あら一大事。青少年の決意の場に居合わせてしまったみたいだわ」

レオン「何でアクアはそんなに冷静なんだい」

レオン「……にしても、確かにとんでもないタイミングだね。偶然とは思えないくらいだな……」

カムイ「? タクミさん、告白するんですか? ……はっ!? ま、まさかタクミさんには、好きな人がっ?」

カムイ「わあっ、弟の恋バナ、ドキドキしますねっ!」

レオン(当事者がド天然だもんなぁ……お互い……いや、みんな苦労するよ……)

タクミ「命中したら、告白する……そう、告白……する……」

49: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:52:12.96 ID:H7b/zxyT0


タクミ「―――カムイ姉さんが、僕に告白する」

アクア・レオン「「えっ」」

カムイ「? 私がタクミさんに告白するんですか? ……あっ、当たったみたいですね」



50: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 15:55:38.59 ID:H7b/zxyT0
タクミ「……ふ、ふふっ……ああ、良かった、また当たった……全く、カムイ姉さんは仕方ないな、こんなに待たせてくれてさ……」

タクミ「けど、これなら大丈夫だね……だって、ちゃんと当たったんだから。はあ……全く、待ちくたびれたけどね」

タクミ「……あれ? けど、これで何回目だっけ……百? 千? ……うーん、何回でもイイか」

タクミ「けど、念のため……もう一回、願掛けしとこうかな。そーれ……」

レオン「……うん、タイミングが合ったわけだよ……え、ナニコレ? 凄く病んでない?」

レオン「何か紫色のオーラが漏れ出てるし、あれ風神弓じゃないよね? なんか禍々しいし、射程4くらいあるし」

アクア「弓撃つ時、ものすっごい体が反ってるわよね……アレで良く当たるわね」

アクア「これ最悪、下手したら逆上して、一射で夜刀神を叩き折っちゃうんじゃない? あの世とこの世の境で、カムイ、誰かと対話してきちゃうんじゃない?」

レオン「イザナ王とかクリムゾンくらいしかいなさそうだけど……あ、ミコト女王とかもいるか」

レオン「……って、冗談言ってる場合じゃないよ。これはさすがに、一旦退いて――」

51: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:00:06.91 ID:H7b/zxyT0
カムイ「あっ、私、今から告白するみたいなものですし……さっきのタクミさんの言葉、当たるようなものですねっ。よーしっ、行ってきますっ!」

レオン「カムイ姉さんマジなの!? 何でアレ見て普通にいけるの!? ちょっと!?」

タクミ「ブツブツ……ん? ……はっ!? か……カムイ姉さん!?」

アクア(あ、変なオーラ消えたわ。……弓も普通の訓練用に戻ってる。怖っ)

タクミ「っ……な、何だよ急に! 驚くだろ……僕だって暇じゃないのに、何の用だよ、カムイ姉さん!」

レオン「……タクミ王子、カムイ姉さんしか見えてないよね。恋は盲目ってヤツかな?」

アクア「言っとくけど、アナタもジョーカーも似たようなもんだったわよ」

アクア「ついでに言えば、自分では平静を装えてるように思ってるんだろうけど、大いなる勘違いだから」

レオン「……客観的に見ないと分からないものだね……気を付けるよ……」

52: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:09:04.65 ID:H7b/zxyT0
カムイ「あっ、えっと……その、私、タクミさんにお願いがあって……」モジモジ

タクミ「!? お、お願いって……はっ!? まさか、さっきの的当て占いが……?」

タクミ「……こ、こほんっ! な、何なんだよ、全く……さ、さっさと言いなよ、ほほほらっ」

カムイ「は、はいっ。えっと、実は、私……決めたんです、自分の心を。それを、今から……タクミさんに、聞いて欲しくて」

タクミ「! そ、そう……そうなんだ。ようやく決心したんだ。分かったよ……き、聞いてあげるからさ。……い、いつでもどうぞ?」

レオン(あ、デジャヴ)



カムイ「私――逆ハーレムを作ろうと思うんです!」

タクミ「――――――」

53: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:10:44.06 ID:H7b/zxyT0
レオン「……カムイ姉さんは、アレ、わざとやってるの?」

アクア「まさか。本人は至って真面目よ。だから厄介なんでしょう?」

レオン「ああ、うん……そうだね。ホント、そう……だね……」


タクミ「……姉さん、それは……本気で言ってるわけ?」

カムイ「? は、はい……もちろんですっ。……あの、タクミさん?」

タクミ「……ふっ……はは、そっか……そうなんだ。……はは、はははっ……」

54: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:13:48.69 ID:H7b/zxyT0
タクミ「――――ふざけないでく」
レオン「あ、タクミ王子、ちょっと待って?」

タクミ「ぎゃああああ!? れ、レオン王子!? 何でキミがここに……ってアクア姉さんまで!? なんだこれ……なんなんだこれ!」

レオン「言いたい事は分かるけどさ。〝ふざけるな〟のくだり、もう僕がやったから。被っちゃうから、遠慮してくれるかな?」

タクミ「は、はぁ!? 被るとか何とか、意味が分からないってば!」

タクミ「いや意味不明なのはカムイ姉さんの逆ハーレム宣言もだけど! 何なんだ一体、説明してよ!?」

レオン「ああ、もちろん。まあその辺は、姉さん本人に直接聞きなよ。落ち着いて、ね」

アクア(……あ、なるほど。さすがレオン。出端を挫いてタクミのブチギレを回避しつつ、話を聞かせる態勢に持って行ったわね。やっぱり協力を仰いで正解だったわ)

タクミ「くっ、何か腑に落ちないし、微妙に騙されてる気分だけど……いいよ、もう」

55: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:16:13.33 ID:H7b/zxyT0
タクミ「で、どういう事? カムイ姉さん」

カムイ「あ、はいっ。えーと……カクカクシカジカで、暗夜白夜の皆さんをキョウダイにするためにですね」

タクミ「逆ハーレムで、マルマルウマウマ、と。……うん、何を言ってるんだ。いきなりとか突飛ってレベルじゃないよ。無茶苦茶でしょ、それ」

レオン「気持ちは分かるけどね。けど、何しろカムイ姉さんだからさ……思い込んだら、もう止まらないよ。既に計画は動き出しちゃってるしさ」

タクミ「! ……まあ大方、アクア姉さんの入れ知恵なんだろうけど……」

タクミ「レオン王子がここにいる、っていう事は……僕が最初じゃなかった、って事だね」

レオン「……ああ。とはいえ、僕も最初だった訳じゃない……憎らしい事に、最初はジョーカーさ。……憎らしい事に、ね」

タクミ「あ、あの陰険執事が? ……っ、何だっていいよ。とにかく……僕は……」

タクミ「……やっぱり、どうしても……許せない……!」

カムイ「! ……タクミさん……」

56: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:18:25.64 ID:H7b/zxyT0
タクミ「こんなの……どう考えたって、おかしいよ。許せる訳ないだろっ……裏切り者っ……オマエは裏切り者だ、カムイ! 何で……何でっ……!」

アクア「……そうよね、逆ハーレムなんて言われて……普通なら、そう簡単に割り切れないわよね」

アクア「悪いのは、私よ。責めるならカムイじゃなく、私に――」



タクミ「何で……僕の所に最初に来てくれなかったんだよっ……!?」

アクア・レオン「えっ、そこ?」

カムイ「タクミさん、それは……だって、よくよく考えると……」



カムイ「私達、血の繋がった実のキョウダイじゃないですか」

レオン「透魔ルートだし、もうほぼお察しだと思うんだけど!?」

アクア「というか、ここまで会いに来て今さら、って感じよね……」

カムイ「うっかり忘れちゃってました。てへへ……」

レオン「可愛らしくはにかめば許されると思うなよ! 押し倒すぞ!」

アクア「同感ね。カムイったら、天然なんだから……」

タクミ「…………」

57: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:20:23.65 ID:H7b/zxyT0
タクミ「そっか……それなら仕方ないね。けど安心してよ、カムイ姉さん。ここに、ミコト女王から預かってた手紙があるんだ」

レオン「今ので納得したのかい!? タクミ王子はそれでイイのかい!?」

タクミ「ミコト女王からは、〝恋に悩んだら読めばいいんじゃない?〟とか言われててさ」

タクミ「これには……僕とカムイ姉さんは、血が繋がっていないと書かれていた」

タクミ「そして、ミコト女王の手紙には、更に続きがあったんだ。本当の事を言うと、そのおかげで……カムイ姉さんが逆ハーレムなんて言いだした事、そんなに驚いてないんだ……この手紙、読んでみてくれるかい?」

カムイ「えっ、いいんですか? わかりました、えーっと。…………」

カムイ「『ポリアモリーも背徳感あって燃えるわよ。やったれやったれ♪』」

レオン「ミコト女王ってそんなキャラだっけ!? 見た目、確か清楚っぽかったのに!?」

58: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:23:44.61 ID:H7b/zxyT0
タクミ「最初……僕に複数愛を勧めてるのかと思って、『ナニ言ってんだ』『アホかあの人』『大体イコナ母上もリョウマ兄上も差し置いて、何でお前がトップに立ってたんだ』と悩んだものだけど……」

タクミ「ポリアモリーとやらは、カムイ姉さんの事だったんだね。……馬鹿馬鹿しいよ。本当に、馬鹿馬鹿しい……けど」

タクミ「……正直、複数の男達から滅茶苦茶にされるカムイ姉さんを想像すると、昂るものも否定できない」

レオン「聞きたくなかったー! 似た者同士の異常 癖、聞きたくなかったー!」

タクミ「か、勘違いするなよ!? 手紙を読んでから、何か頭から離れなくなっただけで……刷り込みみたいなもんだから! 本来の僕の趣味じゃないから!」

アクア(……ミコト女王、これを見越して手紙を送ったなら、恐ろしい人ね……予知能力でしょうけど、もしかして私をサポートしてくれたのかしら? いや、どうかしら……)

59: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:25:41.82 ID:H7b/zxyT0
アクア「……ま、難しい事はいいわ。せっかくの流れだし……じゃ、タクミ本来のカムイに対して想う 癖、暴露して頂戴」

タクミ「は。……は、はあ!? な、何でそんな事っ……!」

レオン「諦めたほうがいいよ、タクミ王子。皆が通る道らしいからさ。言わないと、逆ハーレムから除外されちゃうらしいし」

タクミ「な……ひ、卑怯だぞ! くっ、分かったよ……ぼ、僕の場合……いや、カムイ姉さんに弓を教えてる時とか、実際にあるんだけど……その……」

60: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:28:08.68 ID:H7b/zxyT0
――――――
タクミ『ほら、力だけで弓を引き絞らない。体全体を使うんだよ。……もう、聞いてる?』

カムイ『は、はいっ。けど、あの……少しだけ、離れてイイですか? その……』

タクミ『何だい、もう休憩? 音を上げるのが早すぎるよ、だらしないな……』

カムイ『ち、違うんですっ。その……今日、暑くて……汗、たくさんかいちゃって……ふ、拭き取りたくて、ですね……』

タクミ『え? あ、ホントだ。汗…………!?』

タクミ(あ……汗に濡れたカムイ姉さん、頬が上気して、全体的にしっとりして……●●ッ!? しかも何だコレ……)

タクミ(何だこの、堪らない匂い!? 汗なのに臭くないどころか、お花畑なんだけど!?)

カムイ『あ、あの、タクミさん? その……汗を拭いても――』

タクミ『――ダメだよ!! 甘やかさないって言ったろ!? そんな事言って逃げようったって許さないよ!! ほら、続けなよ!! 手取り足取り腰取り教えてあげるから、早く!!!』

カムイ『ぇ……ひゃああっ!? ち、近いです、タクミさん! そんなにくっついたら……私、汗臭いですから!?』

タクミ『スンッ……別に、気にならないしっ……スンッスンッ……むしろ、悪くないしっ……スススンスーンッ……ほら、弓に集中……クンカッ……しなよっ……クンカクンカァァァ!!』

カムイ『だめ、だめぇ……ふえええ……』
――――――

61: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:31:13.06 ID:H7b/zxyT0
タクミ「……熱中しすぎた結果、カムイ姉さんが指を怪我するまで続けちゃった事は……心から反省してる」

カムイ「た、タクミさんっ!? やめてください、私が汗臭い話なんて、恥ずかしいですっ!?」

レオン「タクミ王子……わかるよ。正直、カムイ姉さんに勉強を教える名目で接近して、匂いを嗅ぎまくることもある。髪とか首筋とか、もうたまんないよね」

カムイ「レオンさん!? 何言ってるんですか、レオンさーん!?」

アクア「わかるわ。カムイってば、戦闘中ですらフローラルよね。正直、ずっと嗅いでても飽きないくらいよ」

カムイ「アクアさんまで!? 何で皆して私の臭いを嗅いじゃってるんですか!?」

アクア「カムイ、臭いじゃなくて、匂いよ。そこ重要だから、間違えないで」

カムイ「ど、どっちでもいいですー! 恥ずかしいですから、やめてくださーいっ!?」

62: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:33:52.80 ID:H7b/zxyT0
アクア「さて……カムイの香り談義も終わったところで、次の話だけど」

カムイ「うう、恥ずかしいです、穴に埋まりたいです……うう……」

アクア「普段は天然なくせに、変な所で恥ずかしがるわよね、カムイってば……」

アクア「ま、それはともかく。……レオン、タクミ、次はどうするべきかしら?」

レオン「うーん……次、っていうかさ。逆に、最後は誰か、っていう話なんだけど……そっちは明確に決まってるんだ」

タクミ「ああ……それは、僕も。恐らく、同じ事を考えてるだろうね」

63: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:36:46.96 ID:H7b/zxyT0
レオン「マークス兄さんとリョウマ王子は、最後にするべきだと思う」
タクミ「うん、僕も同意見」

アクア「? ……そうなの?」

レオン「うん。まあ……受け入れて貰えるか、っていうのが問題じゃなくてね。むしろ、受け入れて貰えなかった時の保険だよ」

タクミ「何せ両国きっての実力者で、反則級の神器持ちだからね。もし認めてくれず、暴れでもした時……最悪の場合、協力者の総力で止めるしかないからさ」

レオン「それに仲間達が既に逆ハーレムを肯定してる状況なら、ごり押しできるかもしれないしね」

レオン「最終手段が力押し、っていうのも情けないけどさ。まあ、だからこそ、一番最後に回すべきだと思うんだ」

64: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:39:06.88 ID:H7b/zxyT0
アクア「なるほど。……まあ、その通りね。あの二人を力尽くで止めるのは、ちょっと骨が折れそうだわ」

レオン「ちょっと骨が折れそう程度の評価とか、歌姫の言い分じゃないと思うけど……」

レオン「とりあえず兄さん達以外なら、ここまで来たら似たり寄ったりじゃないかな」

レオン「まあ、僕としては……ゼロとオーディンを推すけどね。臣下として良く知ってる二人だから、説得もしやすいよ」

タクミ「それなら僕も、ヒナタを推すよ。さっぱりした性格だし、案外あっさり受け入れてくれるんじゃないかな」

アクア「なるほど。……うん、じゃあ……レオンが先に言ったし、ゼロとオーディンからにしましょうか」

タクミ「そ。……じゃ、ここからは、僕は少し離れた所から見てるよ」

アクア「あら? タクミは一緒に行かないの?」

65: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:41:32.43 ID:H7b/zxyT0
タクミ「ぞろぞろ付いていくのも変でしょ。それよりは身を隠して、カムイ姉さんを護衛するよ」

タクミ「逆上して襲い掛かってくる奴がいないとも限らないし……近くでサポートするのは、レオン王子とアクア姉さんだけで、充分だろ?」

レオン「近くで支えるやり方もあれば、遠くから見守るやり方もある……って事だね」

レオン「違うようで、想うところは同じ。ふっ、やっぱり僕達は、似た者同士なのかな?」

タクミ「ははっ……さあ、どうだろうね? まあ……お互い、力を尽くそう」握手スッ

レオン「ああ。お互い……共通の想い人のために、ね」握手ガシッ

アクア「……ふふっ、この二人が組むと、頼もしい――」

カムイ「わーわー! 見てくださいアクアさん! 弟達が仲良しです、素敵ですー! お姉ちゃん、テンション上がってきましたよー! わーい!」フンスフンスー

アクア「ああカムイ、完全に立ち直ったわね。……じゃ、次に行きましょうか」


 …………?
 カムイとタクミの支援レベルがSに上がった

66: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 16:45:38.02 ID:H7b/zxyT0
~~CM~~
三年インビジ組!

カムイ先生「えっと、えーっと、オーディンさんの句には……? ??」

ドアガララッ
タクミ「カムイ姉さん! 白夜に帰ってくるんだ!」

カムイ「っ、今さらなんですかっ! 裏切り者って言ったくせにっ!」机に竜穿!

タクミ「僕が悪かった……母さんが見たらどう思うかな?」ダキッ

カムイ「ばかっ……寂しかったっ……!」

ドアガララッ
レオン「この泥棒猫……」

カムイ「れ、レオンさん!」


ディーア「……授業しろよ」
イグニス「……ガクガク」(机粉々)

ファンタはグレープが好き!
~~~~~~

72: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:30:18.82 ID:H7b/zxyT0
アクア「……さて、まずはゼロかしら。けど……居場所、分かる?」

レオン「うーん……今日は見てないし、何とも……キャッスル内にはいると思うんだけど」

カムイ「ゼロさんは神出鬼没ですから……うーん、どこでしょう? 呼んだら出てきませんかね? おーい、ゼロさーん」

レオン「はは、動物じゃないんだから。主君の僕でも無理だろうし、さすがに――」

ゼロ「カムイ様……そのいやらしく濡れた口で、俺の名を呼んだかい?」

レオン「何で出てくるんだそれで! お前の主君誰だよ!」

カムイ「……わ、私の口、汚れてます? よだれとか? 今日はまだ、お昼寝してないんですけど……」

レオン「いやカムイ姉さんも真面目に返さないで! こんなの深い意味なんて――」

ゼロ「ああ……カムイ様の口はいつでも濡れてるぜ? 蜜を垂らして節操なしに誘う花の蕾みたいにな……」

レオン「ほらもう姉さんがバカ正直に反応するから! 調子に乗っちゃうんだよ、こいつは! ああもう!」

73: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:32:31.80 ID:H7b/zxyT0
アクア「まあまあ。話が進まないわ。ほら、ゼロに本題を――」

ゼロ「ああ、アクア様、どうも。……いえ、言わなくても結構ですよ。逆ハーレムってヤツでしょう?」

アクア「! ……察しが良いわね。さすが、独自に情報は仕入れてる、って事かしら?」

ゼロ「いえ、最近はカムイ様をストーキングするのが日課なんで、別に」

レオン「おまえ何してんだよ! 道理で今日は見て無かったし、その割にすぐ現れた訳だよ! 仕事しろよ!」

ゼロ「はあ。とはいえ最終章間近でヤるコトも無いので……あと白夜の忍共にばっかイイ目を見させるのも、癪じゃないですか」

レオン「白夜の人もやってんの!? てことは、その辺にいるのか!? アンタらの番になったら覚えてろよホント!?」

74: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:35:06.42 ID:H7b/zxyT0
ゼロ「いやもうカムイ様、実際スゴいんですよ。一人の時とか、例えるなら闇の衣……いや、草花の水着ですよ」

ゼロ「無自覚  っていうんですかね。こっそり覗くだけで、結構クルものありますから」

ゼロ「白夜の自爆忍者とかツラの割には純で、もう顔真っ赤にしながら釘付けですよ。ウケる」

レオン「それはっ! ……まあ僕も興味なくはないけど……いやおまえにそんな仕事、頼んでないからな!? 勝手な事をするなっての!」

ゼロ「ははは、そう言われても……この滾る劣情は、レオン様といえど止められませんよ?」

ゼロ「まあ、抜け駆けするつもりは無いですから、ご安心――」

カムイ「ぜ、ゼロさん。……私を覗いたりしてるんですか? その……こっそり?」

ゼロ「! ……ええ、まあ? くく……一人の時はあんまりにも無防備なもんだから、何度襲いそうになっちまったか数えきれませんよ」

ゼロ「いや……もしかしたら、誘ってたんですかね? それならそうと言ってくれれば、いつでも天国にイカせて――」

75: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:36:11.66 ID:H7b/zxyT0
カムイ「うーん……あの、もしお喋りしたい、とかなら……覗いたりなんてしないで、いつでも話に来てください」

カムイ「ゼロさんの口調、まだ慣れませんけど……頑張って、お話しますからっ。ね、ゼロさん?」

ゼロ「! ……あ、ええ。まあ……気が向いたら。……そ、その内?」

カムイ「はいっ! いつでも待ってますからねっ」

アクア(……さすがカムイ、あのゼロでさえ、たじたじだわ……)

レオン(ていうかゼロのあの口調……姉さんに対しては、照れ隠しなだけに思えてきたよ)

76: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:39:44.98 ID:H7b/zxyT0
カムイ「あっ。……それで、あの……逆ハーレムの事、なんですけど……」

ゼロ「ん? ああ……別に、イイんじゃないですか?」

カムイ「えっ? ……イイんですかっ?」

ゼロ「ええ。ま、レオン様がイイなら。俺だってむしろ、気兼ねしなくて済みますし。今の軍の状況を鑑みれば、むしろベストな選択じゃないですかね」

ゼロ「……それに、嫌いじゃないんですよ。そういう風に、欲望に忠実なのは……ね」

レオン「……まあ予想はしてたけど、結構すんなりいったね。我が臣下ながら、割と微妙な心境だよ」

ゼロ「くく……これが俺ですから。ま、揉めるのも面倒ですし、イイでしょ?」

アクア「それもそうね。それじゃ、まあ……恒例の 癖暴露、いってみましょうか?」

ゼロ「ほぉ……また俺好みの展開ですね。しかしイイんですかね? カムイ様ご本人の前で……過激すぎてイッちまっても、知りませんよ?」

カムイ「わあっ、聞かせてくださいっ。大丈夫です……折れたりしません!」

ゼロ「……く、くくっ……! イイですねぇ……イイ感じに躾けられてきてるじゃないですか……! じゃ、遠慮なくイキますよ……俺なら――」

77: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:42:13.18 ID:H7b/zxyT0
ゼロ「カムイ様の耳元で、ずっと囁き続けてやりますよ……男と女の関係になるんだ、遠慮はいらないですよね? いやらしく、卑 に、延々と……」

ゼロ「俺の声が、吐息が……耳に、脳に、焼き付いて離れないように……朝も昼も夜も……寝ている時でさえ、絶えることなく……ね」

レオン「…………」

アクア「…………」

カムイ「? ??」

ゼロ「ま、こんなトコですかね。ふっ……俺を引きこんだコト、後悔しても遅いですよ?」

レオン「……えーと? 要するに、まあ……?」

アクア「……  責め、って事かしらね。……何ていうか、まあ……」





アクア「普通ね」
レオン「普通だね」

ゼロ「…………え゙っ」

78: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:44:00.82 ID:H7b/zxyT0
アクア「まあ、他がアレすぎたから、ってのもあるだろうけど」

レオン「アレすぎたとか余計なお世話だよ。……にしても、ゼロにしては、っていうか」

アクア「言葉責めだけ……ねえ? 『暗夜の歩くポイズンしいたけ』の異名を持つゼロにしては、パンチが弱いわ」

ゼロ「ちょっ。何ですかその異名。初めて聞いたんですけど」

レオン「いや、言葉責めにしてもさ、今は卑 っぽく言ってるけど……実際は〝愛してる〟とか〝お前が欲しい〟くらいのもんで、そんな大したこと言えないんじゃない?」

カムイ「! …………」

アクア「ぶふっ。とんだラブラブカップルじゃない。朝から晩までって熱々だし、寝てる時もって健気すぎでしょ」

レオン「まあゼロは意外と常識人なトコあるし……娘とか生まれたら、悪い道にいかないよう真摯に諭したりしそうだよね」

レオン「娘もゼロの影響で盗賊になっちゃったりするけど、そんなのダメだぞー、みたいな」

アクア「ああ、あるある。それでいて普段の言動がああだから、鬱陶しがられて結構ショック受けちゃったりね。くっ、ふっ……ああダメ、笑いが堪えきれな――」

ゼロ「ちょ――ちょっと待ってください!」

79: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:45:28.09 ID:H7b/zxyT0
アクア「! あ、あら……何かしら」
レオン「べ、別におかしくなんてないよ? うん」

ゼロ「……な、何か勘違いしてませんか?」

アクア・レオン「?」

ゼロ「言葉責めなんてのは……序の口、最低限の話ですよ? 俺は過去、色々と経験してますからね……ま、軽いジャブから入ったってなもんです」

ゼロ「本当は、もっと、こう……その、凄くハードな、アレを……ぶちこんで……」

アクア「ふーん。……で、本番はどうなるのかしら?」

ゼロ「……だから、えーと、その……つ、つまりっ」




ゼロ「めっ―――目玉を食わせますっ!」

アクア・レオン「!? ……!?!?」

80: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:48:19.05 ID:H7b/zxyT0
ゼロ「その、残った方の目玉を、抉り出して……カムイ様に、食わせます。……これで俺の残ったタマも、おまえの一部だぞー……」

ゼロ「いつでもお前の内側から、見てるぞー……み、みたいな?」

アクア・レオン「………………」

アクア・レオン「……う、うおおっ」ゾゾゾー

ゼロ「よ、よしっ!(……あれ、イイのかコレ?)」

アクア「いやー……ええ、うん、キテるわね、今のは」

レオン「うん、ハードっていうか……もう、猟奇だね。別ベクトルに突き抜けたよ」

アクア「凄いわよね……ゼロの言葉を真似るなら、イカれた愛、ってやつよね。さすがに思いつきもしなかったわ……もういっそ、引くわよね」

ゼロ「……ふ、ふふ、そうですか? これくらい、普通も普通ですけどね」

ゼロ(やべえ……何か変に意地になって、イキすぎちまった……どうしよう……)

カムイ「……あのー、ゼロさん?」

ゼロ「! か、カムイ様……ふ、ふふ、ドンビキしちまいましたか? けど……俺は本気ですよ。な、なんなら、今すぐっ!(ええい、どうにでもなれっ!)」

81: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:50:38.76 ID:H7b/zxyT0
カムイ「見えなくなっちゃうと不便ですし、ダメですよ? 私、皆と……もちろんゼロさんとも、同じものを見ていきたいです」

カムイ「だから……自分の目は、大事にしてください」

ゼロ「あ……そ、そうですか。……そ、そうだな、その通りです(女神……)」

カムイ「……あっ! けど、あれはイイですねっ」

ゼロ「え……や、やっぱ目玉を……!?」

カムイ「私の耳元で、ずーっと囁き続けてくれる、というのですっ」

ゼロ「えっ。……そ、そっちなんで?」

カムイ「最初はよく分かりませんでしたけど、アクアさんとレオンさんの説明で分かりましたっ」

カムイ「朝から晩まで、寝てる間も、なんて……ロマンチックです! お伽話みたいです……想像すると、ドキドキちゃいましたよっ」

ゼロ「……お、おお……おぉ……おぉ」

レオン「……ゼロにしては珍しく、感極まって声も出ないみたいだね。姉さん、すごいな」

アクア「不思議な魅力、半端ないわよね。暗夜白夜が悉く夢中になるわけだわ」

82: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:53:36.11 ID:H7b/zxyT0
ゼロ「カムイ様……ありがとうございます。いや、礼を言うのも変ですが、その……救われた気分です」

ゼロ「俺なんかで良ければ、全面的に協力しますよ」

カムイ「ゼロさん……ありがとうございます! 私、嬉しいです!」

レオン「……ま、結果的には丸く収まったね。何よりだよ――」

ゼロ「カムイ様のためなら、俺の    に  たモノをいつでも曝け出しますよ」

ゼロ「くくっ……任せてください。身も心も、全て俺に委ねて……ね」

カムイ「? 良く分かりませんけど……頼りにしてますね、ゼロさんっ」

レオン「……ま、いつものゼロに戻った感じかな……問題ないか」

アクア「そうね。まあ……あれくらいでちょうどいいのよ、ゼロは」

83: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:55:22.67 ID:H7b/zxyT0
ゼロ「さて。じゃあ俺は……白夜の坊ちゃんが向こうに潜んでるみたいですし、一応遠慮して反対側に隠れてますかね」

ゼロ「ナニかあったら援護しますんで、また後で」

レオン「ああ、よろしく頼むよ。……ちなみに、オーディンはどこにいるか知ってる?」

ゼロ「あー……ええ、はい。確か最後に見たのは……資料館でしたかね」

ゼロ「ナニかコソコソとお楽しみでしたよ。ま、あの様子だと、まだ   る最中じゃないですかね」

レオン「そ、そっか。じゃあ行ってみるよ。隠れて護衛よろしく、ゼロ」

ゼロ「ええ、お任せを。ナニかあったら、すぐに俺のアツいのをぶちこみますから。……といっても、オーディン辺りは、そんな心配も無いでしょうがね」

レオン「ああ、僕もそこは、あんまり心配してないよ。まあ、次以降って事さ。……じゃ、行こうか、カムイ姉さん」

カムイ「はいっ! 行きます……折れたりしません!」


 カムイと ゼロのの支援レ ベル がSに上がったたた

84: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 20:59:46.62 ID:H7b/zxyT0
 資料館

アクア「さて、資料館に来たわけだけど……いつも思うのだけど、ここあんまり資料館って感じがしないわよね。像とか置いてるし、ムービー観れるし……」

レオン「もっと書庫っぽくしてくれれば良いのにね。まあ入ったら、色々と本があるって事でさ。……ほーら、カムイ姉さん。本の森だよ、本の森」

カムイ「わあ、素敵です! 読書が趣味であるという事をここぞとばかりにアピールしていく所存ですよ、私!」

レオン「カムイ姉さんは努力家だなぁ……色んな意味で。っと、肝心のオーディンはどこかな? もしかしたら、もういな…………いたね」

オーディン「…………」カキカキ

カムイ「あ、ホントですねっ。何か書いてるみたいですけど……何でしょう?」

オーディン「……うーん、どうしよっかな……やっぱここは、もっとこう……」

オーディン「『ああっ、我が宿業の姫君よっ。神竜の悲しみを具象化せし貴女の苦痛を、この漆黒の魔術師が晴らしてみせましょう!』」

オーディン「……うん、これだな! よーし、盛り上がってきたぞ! さてさてお次は……」

85: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:03:36.15 ID:H7b/zxyT0
カムイ「オーディンさーん! 何を書いてるんですかー?」

オーディン「そりゃもちろん、俺とカムイ様の――ひゃわおぉぉぉいっ!? かかカムイ様!? な、何でこんな辺鄙な所に!?」

レオン「辺鄙って……仮にもマイキャッスル内でしょ。失礼だぞ、オーディン」

アクア「どわあああレオン様まで!? ……ってアクア様もいるぅ!?」

オーディン「へろー。相変わらず愉快ね、オーディン」

アクア「何かアクア様もご機嫌っぽいですけどね!? い、一体なんなんですか……何なんですか、一体! 急にびっくりするじゃないですかー!」

カムイ「ふむ、ふむ……オーディンさんが書いてたの、これ……小説、ですか?」

オーディン「わああああ!? 何で読んでるんですか、カムイ様!? 来て早々やりたい放題にも程があるでしょ!?」

カムイ「竜の血を引くお姫様と……別世界に飛ばされた剣士が、その世界では魔術師になって、お姫様を救うお話……これ、とっても面白そうです」

オーディン「! ほ……ホントですか!? ……って、いやいや、だから何しに来たんですかってばー!?」

86: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:09:56.94 ID:H7b/zxyT0
アクア「まあまあ、落ち着いて。簡潔に説明すると……かくかくしかじか逆ハーレム」

オーディン「ま、まるまるうまうまキョウダイに? そんなことしてるんですか? な、なかなか混沌としてますね……」

レオン「まあ、そこは自覚してるよ。とにかくそんな訳でオーディン、お前も迎えに来たって事さ」

オーディン「え。……む、迎えに、ですか?」

レオン「ああ。……オーディンもカムイ姉さんの事、好きだろう?」

オーディン「……ひぇいっ!? なな、なんでその事を!? だ、誰にも言ったコト無いのに!?」

レオン(うちの軍じゃ今さらなんだよなぁ……)

レオン「まあほら、仮にも主君だからね。とにかく……オーディンも、加わってくれるだろ?」

オーディン「え、あ……ぎゃ、逆ハーレムに、ですよね?」

レオン「うん。正直、今の状況だと、カムイ姉さんと結ばれるのは難しすぎるよ」

レオン「倍率が高すぎるのはもちろん、両国の第一王子まで狙ってる訳だしね」

レオン「それよりは……まあ、不満が無い訳じゃないけどさ。たとえ倫理的に問題アリでも……ただのキョウダイや仲間じゃなく、恋人として」

レオン「カムイ姉さんの傍にいられると考えれば……悪い話じゃないだろ?」

オーディン「それは、まあ、確かに。…………」

87: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:14:35.26 ID:H7b/zxyT0
オーディン「いえ、けど俺は……遠慮しておきます。すいません、レオン様」

レオン「え? ……えっ!? ど、どうしたんだ、オーディン?」

レオン「あ、やっぱり逆ハーレムは不満かい? いや、まあ、当然かもしれないけど……」

オーディン「い、いえ。それは、もうカムイ様本人も決めてるみたいですし……文句とかは、別に無いですけど」

レオン「じゃ、じゃあ……僕に気を遣ってるとかなら、そんな必要ないぞ?」

レオン「ていうか逆ハーレムとか言って、現段階ですら今さら感あるしさ」

オーディン「あ……いや、それも違います。その、俺は……」

オーディン「……いつか、帰らなきゃ……いけない、ですし」

レオン「え? 帰らないと、って……何だよ、いつもの微妙にイタい設定かい? 全く、思わせぶりな……」

オーディン「いやイタいって何ですかー!? 真面目な話ですよ、真面目な! その、本当に……ずっとここにいられる訳じゃ……なくて」

レオン「……? いや、里帰りくらいで、そんな大げさな……また戻ってくれば良いだけの話だろ? 何をそんな深刻に……」

オーディン「……いえ、一度帰ったら……もう、戻って来れないと……思います」

レオン「え……お、オーディン? お前は、一体何を……?」

88: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:19:17.95 ID:H7b/zxyT0
オーディン「……とにかく! そういう訳ですから……俺の事は気にしないでください!」

オーディン「なーに、この漆黒のオーディン、出会いも別れも、孤独にも慣れてますから!」

アクア「……待って、オーディン。あなたは本当に、それでイイの? あなたのカムイに対する想いは……その程度なの?」

オーディン「! ……いえ、確かに俺は、今まで感じた事が無いってくらい……カムイ様に、惹かれてます」

オーディン「けど、だからこそです。カムイ様はきっと、逆ハーレムの内の一人だろうと、単なる一臣下だろうと、平等に想ってくれる。そういう情の深い人です」

オーディン「だから、だからこそ……俺みたいな、いつ消えるかも分からないようなヤツが逆ハーレムになんて加わっちゃ、ダメなんですよ」

オーディン「いつかカムイ様を悲しませるって分かってるのに、そんな選択をするべきじゃないんです」

オーディン「だから……イイんです。どうか俺の事は気にしないでください。俺は本当に、大丈夫ですから」

アクア「……いえ、でも……そんな……」

レオン(? アクア、思ったよりも食い下がるな……?)

アクア「……か、カムイっ。アナタからも何とか……カムイ?」

オーディン「カムイ様が何と言おうと……ん? カムイ様、何を……えっ」

89: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:24:29.87 ID:H7b/zxyT0
カムイ「…………」←小説熟読中

オーディン「かっかかカムイ様ぁぁぁ!? 何で勝手に黙々と読んでるんですか、ちょっと!?」

カムイ「……オーディンさん、この小説……続きは無いんですか?」

オーディン「へ? そ、それは……まだ、途中ですから」

カムイ「そうですか……あのっ、これ、完成したら……読ませてもらえませんか?」

オーディン「……え、ええっ!? いやそれはその……さ、さすがに恥ずかしい……」

カムイ「私……このお話、特にお姫様の事……他人事とは思えません。続き、気になりますし……とっても、引きこまれますっ」

オーディン「! え……ほ、本当……ですか?」

カムイ「はいっ。こんなに夢中になれるお話……今までで初めてです。元剣士の魔術師さんもカッコイイですし……最後まで、読みたいですっ!」

オーディン「! …………」

91: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:42:41.20 ID:H7b/zxyT0
>>90 ギャーホントだ恥ずかしい

92: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:45:10.99 ID:H7b/zxyT0
>>85 間違い ↓が85の修正版

カムイ「オーディンさーん! 何を書いてるんですかー?」

オーディン「そりゃもちろん、俺とカムイ様の――ひゃわおぉぉぉいっ!? かかカムイ様!? な、何でこんな辺鄙な所に!?」

レオン「辺鄙って……仮にもマイキャッスル内でしょ。失礼だぞ、オーディン」

オーディン「どわあああレオン様まで!? ……ってアクア様もいるぅ!?」

アクア「へろー。相変わらず愉快ね、オーディン」

オーディン「何かアクア様もご機嫌っぽいですけどね!? い、一体なんなんですか……何なんですか、一体! 急にびっくりするじゃないですかー!」

カムイ「ふむ、ふむ……オーディンさんが書いてたの、これ……小説、ですか?」

オーディン「わああああ!? 何で読んでるんですか、カムイ様!? 来て早々やりたい放題にも程があるでしょ!?」

カムイ「竜の血を引くお姫様と……別世界に飛ばされた剣士が、その世界では魔術師になって、お姫様を救うお話……これ、とっても面白そうです」

オーディン「! ほ……ホントですか!? ……って、いやいや、だから何しに来たんですかってばー!?」

93: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:48:03.96 ID:H7b/zxyT0
>>89 からの続き

オーディン「あの、カムイ様……その元剣士の魔術師は……いつか元の世界に帰らないといけない、って……冒頭で姫と出会った時に、言ってますよね」

オーディン「そんな男の事……どう思いますか? お姫様の立場で考えたら……酷い男だと、そう思いませんか?」

カムイ「……そうですね。きっと彼にも事情はあるんだ、と思いますが……」

カムイ「それでも、想いを寄せた彼が、いなくなってしまうなんて……悲しいし、辛いと思います」

カムイ「だけど」

カムイ「いつか、いなくなってしまうとしても……それが、避けられないとしても」

カムイ「別れのその時までは、一緒に居たいと思います。離れたくないと、思います」

カムイ「いつか別れの時が、必ず来るのだとしたら……せめて、その時まで」

カムイ「愛し合いたいと、そう思うのではないか、と……私は、そう考えます」

オーディン「………………」

カムイ「って、私ったらおこがましいですね。こんな魅力的に描かれてるお姫様に感情移入するなんて……恥ずかしいです」

カムイ「……? オーディンさん、どうかしましたか?」

94: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:49:35.37 ID:H7b/zxyT0
オーディン「……こんなの……諦められる訳、ないじゃないですか……」

カムイ「オ、オーディンさん?」

オーディン「……カムイ様……」

オーディン「……否! 我が宿業の姫君、カムイよ!」

カムイ「へ? しゅ、しゅくごう? お……オーディンさん?」

オーディン「この漆黒のオーディン、身も心も、愛さえも、貴女に捧げよう!」

オーディン「貴女が望む全てを、禁忌に染められし我が力にて叶えてみせよう!」

カムイ「え……それは、つまり……協力してくれるんですか、オーディンさん!?」

オーディン「ふっ、無論だ! ……でもちゃんと、俺の事も構ってくださいね? お、お願いしますよ!?」

95: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:53:23.59 ID:H7b/zxyT0
アクア「……ふう。一時はどうなるかと思ったけれど、何とかなったみたいね。……さすが、カムイだわ」

レオン「ああ……いや、ゼロの時も思ったけど、主君としては立場が無いんだけどね。……ま、そこはさすがカムイ姉さん、って事にしておくよ」

アクア「ふふ、そうね。……さて、じゃあオーディンにも、恒例の 癖暴露……してもらいましょうか」

オーディン「……へ!? な、何ですか、それ!? 聞いてないんですけど!?」

アクア「言ってなかったもの。さあさ、恥ずかしがらないで。そこにいるレオンだって通った道なんだから」

オーディン「レオン様まで!? う、うう……いやでも……め、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど……」

レオン「気持ちは分かるよ。けど……避けられないからね。さっさと済ませて、楽になったほうがいいよ」

レオン(聞き手側に回ると楽しいな、コレ……)

オーディン「う、うう! そ、その……お、俺は……カムイ様と、二人でっ……!」




オーディン「――詩とかを作って、詠み合いたいですっ!」

アクア・レオン「…………えっ?」

96: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 21:55:36.72 ID:H7b/zxyT0
オーディン「その、すごい恥ずかしいんですけど……こう、二人で夜空を見上げて、星を題材にして吟じたり……」

オーディン「こ、恋人って事になりますし……愛を詩にして、囁き合ったり!」

オーディン「あっ、物語調でもイイですね! 二人の想い描くストーリーを、ありのままに見せ合うっていう!」

オーディン「照れ臭いですけど、そういうのも愛の形っていうか………あの、レオン様、アクア様? ど、どうしたんです?」

アクア・レオン「………………」

レオン(ぴゅ……ピュアだぁぁぁ!)
アクア(ピュアッピュアだわ、この子……)

オーディン「あ、あの……何なんです!? 何とか言ってくださいよ、ちょっとー!?」

97: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:01:04.90 ID:H7b/zxyT0
カムイ「詩や物語、ですか……わ、私、センスないですし、自信も無いんですけど……そんな私でもイイんでしょうか?」

オーディン「! カムイ様……いや、カムイ! センスなんて些細な事だ! 上手い下手など、関係ない」

オーディン「何かを創り出すのに必要なのは、情熱のみ! それさえあれば誰にでも、物語は創れるのだからな!」

カムイ「そ、そうですか……よしっ、分かりました! 私も……がんばります!」

オーディン「うむ! その意気だ、カムイ!」

カムイ「はいっ! ……あ、でもっ。オーディンさんの小説も……完成したら、読ませてくださいねっ」

オーディン「! ……ああ、もちろんだ。いつか、必ず……カムイに、渡してみせる。俺の魂を……そう」




オーディン「『俺の魔剣ミステルトィンが威力8のわけがない』を完成させてな!」

レオン(センス……)
アクア(センス……)

カムイ「はいっ! 楽しみにしてますからねっ」

 …… ……… …………
 カムイとオーディンの支援レベルがSに上がった

98: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:17:29.07 ID:H7b/zxyT0


アクア「一時はどうなる事かと思ったけど……何とかなって良かったわね。さすがカムイだわ」

カムイ「えっ? どうなる事か、って……私、普通にお話しただけですけど……」

レオン「カムイ姉さんはオーディンの小説を読み耽ってたから、僕らが苦戦してたの気付いてないんだね」

レオン「それでも最後の良い所は取っていくんだから、ちょっと憎らしいよ」

アクア「レオンの場合、憎さ余って愛しさ千倍、なんでしょ? ……ま、次へ行きましょうか。次はタクミ推薦のヒナタだったわね」

カムイ「ヒナタさんなら……きっと走り込みの鍛錬中ですね。といっても、走る場所は適当らしいですから、どこにいるのか……」

タクミ「――そう思って、先に調べておいたよ。ヒナタならあっちさ」

カムイ「タクミさん!」

タクミ「まあ、僕の臣下の事だからね。ヒナタの番なら、僕が付き添うよ」

レオン「じゃあ、僕と交代だね。それじゃ姉さん、また後でね」スタスター

カムイ「あ、はいっ。それでは……行きましょう!」

99: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:19:25.70 ID:H7b/zxyT0
アクア「さて、ヒナタは……ああ、いたわね」

タクミ「途中から思ってたけど、流れるように発見するよね……ん?」

タクミ「オボロが通りがかったね。何か話しかけてるみたいだけど……」



オボロ「あらヒナタ、今日も走り込み? 精が出るわねー」

ヒナタ「オウヨ!」

オボロ「まあ程々になさいよー。じゃ、私はベルカの服を見繕う約束があるから……またねぇ」

ヒナタ「オウヨ!」

100: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:20:39.14 ID:H7b/zxyT0
アクア「……ヒナタは平常運転みたいね。とりあえず安心だわ」

タクミ「そうだね。じゃ、早速いこうか……おーい、ヒナタ!」

ヒナタ「タクミサマ、オウヨ!」

タクミ「やあ。えーと、ちょっと話があるんだけど」

ヒナタ「ハナシ、オウヨ!」

タクミ「うん……うん? ……ヒナタ?」

ヒナタ「オウヨ!」

タクミ「……うん、えーと……どうしたんだ? 大丈夫か?」

ヒナタ「オウヨ!」

タクミ「…………」

ヒナタ「オウヨ! ……オウヨ!」

タクミ「……………」



タクミ「……アクア姉さん、ヒナタ壊れてる!?」

アクア「壊れたオウヨ人形ね。どうしましょ、コレ」

タクミ「どうしましょ、じゃないよ! 何でこんな事になったんだ! 何でこんな病んでるんだよ!?」

アクア「アナタが言うなって感じだけど……ホント、どうしましょ。これじゃロクに話も――」

101: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:22:19.45 ID:H7b/zxyT0
カムイ「あっ、ヒナタさん! 走り込みですか? お疲れ様ですっ」

ヒナタ「! か……カムイ様!? ど、どーも! あっ、何か汗臭くってすいません!」

タクミ「も、戻ったぁぁぁ! ていうかカムイ姉さんがスイッチかよ! お前の主君、誰だよ!」

ヒナタ「へ? あ……タクミ様じゃないですか。どうしたんです? こんな所で」

アクア(レオンの時もだけど、カムイ争奪戦で主従関係にまで悪影響が及びかねなかったわね。思ったより状況は危うかったようだわ……)

タクミ「もういいよ、もう! そんな事より、重大な話があるから! アクア姉さんからでも聞けよ、ふんっ!」

ヒナタ「は、はあ……あ、ホントだ、アクア様まで。どーしたんですか?」

アクア「やっほう。面倒だから大まかに言うわ。かくかく」

ヒナタ「しかじか。……ええっ、逆ハーレムですってえ!?」

タクミ「この茶番を経るの、めんどくさいな……まあ、そういう訳なんだけどさ」

ヒナタ「は、はあ……ん? タクミ様もここにいる、ってことは……タクミ様も受け入れた、ってことですか?」

タクミ「……まあ、それなりに不本意ではあるけどね。それが、どうかした?」

102: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:24:37.61 ID:H7b/zxyT0
ヒナタ「……そ、そうですか……そうだったんですか! はは……なーんだ!」

タクミ「な、なんだよ? 何だかご機嫌みたいだけど」

ヒナタ「いえ、その……タクミ様も驚くかもしれないんですけど……実は、俺」




ヒナタ「カムイ様のことが……好きなんです」

タクミ「…………」
アクア「…………」

ヒナタ「そりゃ驚きますよね……声も出ないくらいに。けど、俺……本気なんです」

タクミ「……あ、ああ、そーなんだ……そ、それで?」

103: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:27:48.46 ID:H7b/zxyT0
ヒナタ「けど……タクミ様も、カムイ様のことが好きでしょ? あ、隠さなくていいです! 俺、タクミ様の臣下なんで……見てれば分かります」

ヒナタ「実のキョウダイってことで……きっと悩んでるんだろうな、ってことも」

タクミ「いや……実は、血は繋がってなかったんだけど」

ヒナタ「え……そ、そうなんですか!? あ、なるほど、それで今……ま、まあとにかく!」

ヒナタ「タクミ様もカムイ様が好きなら、俺は臣下として、友人として……諦めるべきだ、って悩んでたんです」

タクミ(! ヒナタ、まさかそれで……悩み過ぎて、さっきみたいに壊れて……?)

ヒナタ「けど! 逆ハーレムなら……タクミ様も、それを受け入れたんなら。俺も……カムイ様を、心置きなく想ってイイって、そう思ったら……!」

ヒナタ「なんか、すっげぇ嬉しいです! 心の中のもやもやがぶっ飛んだっていうか……晴れ晴れした気分です!」

104: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:29:08.02 ID:H7b/zxyT0
タクミ「そっか……ごめん、ヒナタ。なんか……すごく悩ませてたんだな」

ヒナタ「いいえ! そりゃ、俺が勝手に悩んでただけですから!」

ヒナタ「それに、これからはタクミ様も一緒でしょ? 二人で……いや、皆でカムイ様を、幸せにしましょう!」

タクミ「……ははっ。そうだね、ヒナタを見てたら細かい事も気にならなくなってきたよ。……ああ、これからよろしく!」

アクア(……さすが、白夜きっての爽やか野郎ね。タクミでさえほだされてるわ)

ヒナタ「へへっ……オウヨ!」

アクア(でもオウヨはまだちょっと怖い……)

105: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:30:22.40 ID:H7b/zxyT0
ヒナタ「カムイ様……いや、カムイ! 改めて言わせてくれ……俺、ゼッタイお前を幸せにするからな! ここからは、俺も援護するぜ!」

カムイ「ヒナタさん……はいっ! ありがとうございます!」

ヒナタ「オウヨ! へへっ……また一緒に、鍛錬しような!」

106: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:32:18.55 ID:H7b/zxyT0
アクア「ふふっ、かなりスムーズに話が進んで良かったわ。とはいえ…… 癖暴露を避けられると思わない事ね」

タクミ「アクア姉さんは流されないにも程があるよね……」

タクミ「でも、そうだね。僕もやったんだし、ヒナタにも暴露してもらわなきゃ」

ヒナタ「へ?  癖って……」

アクア「あなたがカムイに対して、最も捗る妄想よ。 的な意味でね」

アクア(……ま、ヒナタの事だから、爽やかなのが出てきそうだけど……)

ヒナタ「え? 要するに、カムイとしたいこと……ですよね?」

ヒナタ「へへっ、そりゃ……二人で思いっきり走り込みしたいですね!」

ヒナタ「気の済むまで、体力の尽きるまで……汗だくになって走りまくって! そんでっ……」

アクア(……まあ 癖と呼ぶには程遠い、予想通りの爽やかネタね……)
タクミ(ま、ヒナタだし、こんなもの――)

107: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:33:20.03 ID:H7b/zxyT0



ヒナタ「そんで全裸になって汗だくのまま、カムイと思いっきり交わりてぇ」

アクア・タクミ「…………え゙っ」




108: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 22:36:41.57 ID:H7b/zxyT0
ヒナタ「二人して汗まみれになって、体液飛び散らせまくって、体力の限界を超えて全てを絞り尽くすまで、我を忘れて獣のように交わりまくりてぇ」

ヒナタ「後ろからカムイを壊れるほど突きまくって、俺の全てを気の済むまで注ぎ込んでやりてぇ」

アクア「……あの……それ……外で、って事?」

ヒナタ「もちろん! 誰かに見せつけながらとか、最高ッスよね!」

アクア・タクミ「………………」

タクミ「さ……爽やかなノリでド変 だぁぁぁ!? 野外露出とかレベル高すぎだろ!?」

アクア「……でもタクミ、汗だくのカムイと、って燃えるんじゃない?」

タクミ「うん。……はっ!? な、何を言わせるんだ!?」

アクア(この主従、ヤバいわね……変 同士、惹かれあうのかしら)

カムイ「……うーん、つまりハードなトレーニング、という事でしょうか……」

カムイ「つ、ついていけるのか不安ですけど……この道を選んだ責任ですっ。折れたりしませんっ!」

アクア「カムイ……なんて健気なっ……!」ホロリ

アクア「けど、何でもかんでも受け入れなきゃいけない訳じゃないのよ? イヤならイヤって言っていいんだからね?」

カムイ「は、はい……じゃあ折れない程度に、がんばりますっ」


 カムイとヒナタの支援レベルがSに上がった

110: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:18:25.25 ID:H7b/zxyT0
アクア「さて、ヒナタも何かあった時のために隠れてもらったし……次ね、次」

タクミ「うん。まあ、暗夜勢はレオン王子の臣下二人が待機してるし……」

タクミ「ヒナタ一人じゃ寂しいだろうし、次も白夜臣下から選んでいいかな?」

アクア「ああ、まあイイんじゃない? ちなみに、当てはあるの?」

タクミ「うん。ま、ヒナタと仲が良いし……ツバキなんか、丁度いいんじゃないかな?」

カムイ「! ……ツバキさん、ですか」

タクミ「うん。……? 何か問題でもある?」

カムイ「……いいえ、特には。いいですよ、行きましょう」

タクミ「? う、うん……といっても、まずは捜さないとね……ん? 向こうのほうから、何か声が……」

111: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:20:22.97 ID:H7b/zxyT0
?<ニイサマガ ネエサマニナッテ シマワレマシタ!

アクア「……何だか狂気を感じるけれど。あれは……サクラね。あの子なら、ツバキの居場所も知ってるかも。ねえ、サクラ――」

サクラ「姉様も、兄様になってしまわれればいいのに!」

アクア「サクラ、正気に戻ってサクラ。歌うわよ?」

サクラ「わたしのカムイ兄………あっ、アクア姉様? どうしたんです、こんな所で――」

カムイ「――あっ、サクラさん! こんにちは、うふふっ、お元気そうですねっ」

サクラ「か……カムイ姉様っ!? そ、その……ごきげんよう、です……」モジモジ

カムイ「はいっ。あ……もしかして、お忙しかったですか? ごめんなさい、急に……」

サクラ「い、いえっ、全然そんな! それで、あのう……どうかされましたか?」

カムイ「あ。……はい、ツバキさんを、まあ捜してまして」

サクラ「ツバキさん……ですか? 確かさっき、天馬の厩舎のほうに……」

カムイ「そうですか。……あっ、サクラさん、教えてくれてありがとうございます! いってみますねっ」

サクラ「は、はいっ! その……また、お喋りしてくださいねっ」手フリフリー

タクミ「……ね、ねえ、アクア姉さん。なんかカムイ姉さんの様子、変じゃない?」

アクア「……さあ? 気のせいじゃないかしら。そんな事より、行きましょ?」

タクミ「え? う、うん……わ、分かったよ。……?」

112: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:30:14.07 ID:H7b/zxyT0
天馬の厩舎

アクア「ツバキは……ああ、いたわね、滞りなく。さて、何してるんだか」

タクミ「て、天馬の世話とかじゃないの? ……ん? 何か喋って……」


ツバキ「よしよしー。うんうん、イイ子だねー。さすが完璧な俺の、完璧な相棒だよー。あははー、よーしよし、気持ちいいー?」

タクミ「……うん、普通に天馬の毛繕い中かな。和やかな光景だね」

アクア「どうかしらね。タクミもヒナタも、ここからアホになっていったんだから。油断できないわよ」

タクミ「誰がアホだ誰が! ……いやでも、どう見ても普通の触れ合い――」

ツバキ「えへへー、ホントに、ホントにイイ子だねー……カムイ?」

タクミ「……えっ」

ツバキ「よしよーし、イイ子だよー、カムイ? ほら、もっと毛繕いしてあげるからねー」

タクミ「……う、うん、まあ、愛馬に好きな人の名前をつけるくらいなら、普通……だよね? ほ、微笑ましいくらいで――」

113: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:32:44.85 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「あははー……気持ちいい? いいよねー? ほらほらー、ここがいいのかなー? カムイは本当に感じやすいよねー……」

ツバキ「それとも、俺が完璧に上手すぎるからかなー? あははー、じゃあ仕方ないかなー……もっと良くしてあげるよー」

タクミ「あ……アウトォォォ! ダメだアレ、天馬を見る目が尋常じゃない! もはや雌を見る目だよ!」

アクア「本人に迫るほどの度胸と実力は無いから、愛馬に想い人の名をつけて無聊を慰めてるのね……さもしい話だわ」

タクミ「なんかアクア姉さん、ツバキに辛辣じゃない!? カムイ姉さんも微妙に様子がおかしいし……って、あれ? ……カムイ姉さん、まさか」

カムイ「どうも、ツバキさん。……なにしてるんですか?」

タクミ「あ、案の定、行ってたー! 行動力が尋常じゃないな、カムイ姉さん!」

ツバキ「わああああ!? か、カムイ様ー!? い、いえ……別に、何も!?」

カムイ「そうですか。……まあ、別にいいんですけど」

タクミ「? あ、あれ……何かカムイ姉さん、やっぱり様子がおかしいな……微妙に冷たい、っていうか……」

114: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:35:22.31 ID:H7b/zxyT0
カムイ「ただ……完璧、とか聞こえた気がしたので。聞き違いだと思いますが」

ツバキ「えっ? い、いえー……聞き違いじゃありませんよー? だって俺、実際、完璧ですからねー」

ツバキ「カムイ様も、それはご存知でしょ? あははー」

カムイ「…………」

カムイ「いえ、存じません。ツバキさんが完璧、って……何の事ですか?」

ツバキ「へ!? い、いえ、ですから……えっ!? いや、俺って完璧で――」

カムイ「いえ……ごめんなさい、やっぱり分かりません。……だって」


カムイ「ツバキさんは――完璧なんかじゃ、ないでしょう?」

ツバキ「――――」

タクミ「!? か、カムイ姉さん、何を……!?」

アクア「……………」

115: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:38:13.86 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「あ、あは……あははー……な、ナニ言ってるんですか、カムイ様ってばー……お、俺ですよ? 俺が完璧じゃないなんて、そんな……」

カムイ「いえ、完璧じゃないですよ。だって、完璧な人なら――」



カムイ「最終命中率98%を外した上に反撃必殺で墜ちるとか、ありえないですよ」

ツバキ「な、何の話ーっ!?」

タクミ「か、カムイ姉さん……?」

アクア(リセットしたら記憶は残らないはずだけど……カムイの潜在化に残ってたのか、私が変に刺激しちゃったせいか……意外と根に持ってるだけかもしれないけども)

カムイ「私のごり押し采配も悪いですけど……普段から完璧とのたまいつつ、98%を外すなんて……そんなの、完璧じゃありません。完璧(笑)です」

ツバキ「い、いや、良く分かりませんけどー……だったらそれこそ、完璧に100%の時に攻撃させてくれればー……」

カムイ「本当に完璧な人は、足りない2%を自ら補えるものだと思います。そもそもツバキさん、成長も微妙ですし……」

カムイ「実際のステータスと支援会話が噛み合ってないNo1じゃないですか」

ツバキ「!? な、ななっ……なーっ!?」

116: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:39:58.14 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「そ、それ以上、俺の完璧を否定するなら……カムイ様だって許さないですよ!? こ……このーっ!」グワッ

タクミ「えっ? ……はっ!? しまった、油断してたっ……か、カムイ姉さん――!」

ツバキ「――って、うわーっ!?」

タクミ「え……暗夜勢が潜んでる辺りから、矢が!?」

ツバキ「な、なんなんだいー!? こ、これはまさか……ゼロ!?」

ゼロ「ふっ……ようやく出番がキタってのに、避けられるとは残念だな。とうとう俺の熱いのを、お前にぶちこめると思ったのにな」

カムイ「あっ! 意外にも魔力の成長率が良くシャイニングボウを使いこなせて、アドベンチャラーとして攻めに癒しにと活躍してくれるゼロさんじゃないですか!」

ゼロ「ふっ……任せな」

アクア「けれど透魔では加入が遅く、そのため更に魔力の伸びが良い上位互換のサクラには取って代わる事が出来ず、合流後は二軍のベンチを温め続けているゼロね」

ゼロ「ふっ……任せな(泣)」



118: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:43:57.17 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「くっ……な、なんだいー? また僕の命を狙ってきたの? いいよ、受けて立つよ!」

ゼロ「そう言いたいトコだが、残念ながら違うな。今回の俺の目的は、カムイ様と……」

ゼロ「いや、カムイと共に、全く完璧じゃないお前に言葉責めしてやるコトさ」

ツバキ「!? な、なんだってー!?」

ゼロ「完璧完璧とのたまいつつ、所々がヌケちまってる甘ちゃん坊やに……現実をぶちこんでやりたいと、前々から思っててな」

ゼロ「二度と完璧なんて口に出来なくなるほど、腰がヌケるまで徹底的に言葉でいたぶってやるよ……なあ、カムイ?」

ツバキ「な、何て恐ろしいことを……くっ、けど僕は屈しないぞ!」

タクミ「……おいおい、いい加減に――」

カムイ「? いえ……ゼロさん、違いますよ? 私は、いたぶるつもりなんてありません」

ゼロ・タクミ「…………へ?」

ツバキ「え……か、カムイ様?」

119: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:45:54.81 ID:H7b/zxyT0
カムイ「ねえ、ツバキさん……あなたはいつも、完璧、完璧と言いますが……完璧じゃないと、そんなにダメですか?」

ツバキ「!? そ、それは……そうでしょうー? だって僕が完璧だからこそ、皆は安心してー……」

カムイ「いいえ、違います。誰もツバキさんに……完璧なんて、求めてません」

ツバキ「なっ!? そ、そんな……ひ、ひどいで――」

カムイ「完璧なんて、そんな重責を仲間一人に押し付けようと思う人なんて、一人もいないんですから」

ツバキ「えっ? ……え……?」

カムイ「私にはツバキさんが、完璧という言葉に追われ、完璧という言葉に縛られ、無理をしているように見えます」

カムイ「本当のツバキさんを……閉じ込めているように思います」

ツバキ「! そ、それは……そんな、こと……」

カムイ「いいじゃないですか、完璧なんかじゃなくっても。……いいじゃないですか」

120: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:47:30.62 ID:H7b/zxyT0
カムイ「天馬系にしては速さと魔防がやたら低かったり、ぶっちゃけドジばっかりしてるし完璧なんて名ばかりだったり、裏では皆から『完璧(笑)』とか『ああ、あのしょっちゅう二回攻撃喰らうアホ毛?』とか囁かれていても……いいじゃないですか」

タクミ(カムイ姉さん、さり気に酷いこと言ってるー!?)

ツバキ「……俺、俺……いいん、ですか……? 完璧じゃ、なくても……完璧な男として、皆を支えなくても……」

カムイ「はい……はい、ツバキさん。いいんです……」

カムイ「ぶっちゃけ仲間が増えだした時点で二軍落ちしてましたし……ぜんっぜん、いいんですよ、ツバキさん」

カムイ「少なくとも私の前では、自分を完璧だなんて偽らなくて……いいんです」

ツバキ「カムイ、様……俺、俺……俺っ!」

121: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:50:09.10 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「ホントは辛かったんです……! レベル上がっても2ピンしかしなくて冷たい目で見られるのも、二回攻撃を受けた時にため息が聞こえてくるのも……!」

ツバキ「支援で完璧と口にするたび白い目で見られるのも、サイゾウに『……あ、ああ、俺達、互角だったよネ』って気を遣われるのもっ……!」

ツバキ「ホントは、ホントはっ……辛かったんですぅぅぅっ……!」

カムイ「……そうですよね、ツバキさん……今日日アイドルでもないと押し付けられないような無茶ぶり設定は……本当に、辛かったですよね」

カムイ「構いません……完璧ではないアナタを、私は受け入れます」

カムイ「さあ、思う存分……泣いてください。完璧なんて、捨て去って。あと、完璧だなんて二度と口にしないで」

ツバキ「う、ううっ……ううっ」

ツバキ「う、うわああああんっ……! カムイ様超イイニオイ……うわぁぁぁぁん!」

アクア「……大団円ね」

タクミ「色々と腑に落ちないけど、いいのかなアレ……?」

122: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:52:08.77 ID:H7b/zxyT0
数分後

ツバキ「お、お見苦しい所を見せちゃいましたけどー……何の用だったんです? タクミ様に、アクア様まで」

アクア「説明めんどいわね。……かく」

ツバキ「まる。……ぎゃ、逆ハーレムですってー!?」

タクミ「カムイ姉さんは許しても、アクア姉さんはツバキを許してないっぽいな……ま、まあ、そういうことだよ。で、ツバキは……」

ツバキ「……いいですよー?」

タクミ「! は、話が早いね……いいのかい?」

ツバキ「ええ、そりゃもうー……だって俺、カムイ様には選ばれないだろうなーって思ってましたもん。………二軍ですし」

ツバキ「けど、逆ハーレムなら……カムイ様を愛する男の一人として、傍にいられるんですよね? なら、何だってイイですよー」

ツバキ「俺を完璧じゃなくてイイって言ってくれる、カムイ様の傍にいられるなら……何だって構いません」

123: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:55:02.00 ID:H7b/zxyT0
ツバキ「だから、カムイ様……ううん、カムイー! この完璧な……いや! この、全く完璧じゃない俺も……よろしくねー!」

カムイ「ツバキさん……はい! わかりました、よろしくお願いしますね!」

ツバキ「あははー、まっかせてよー! この……全く完璧じゃない俺にねー!」

タクミ(そう名乗られても不安しかないけど……ま、まあいいか。これにて一件落着――)

アクア「じゃ、ちゃっちゃと 癖暴露してもらって次に行きましょうか。ほら、さっさとしなさい。カムイは忙しいんだから」

タクミ(あ、アクア姉さん厳しすぎぃぃぃ!? まるでツバキの失態を実際に見てきたかのようなんですけど!?)

ツバキ「え……え!? せ、 癖暴露って、そんな……」

アクア「このやり取りも食傷気味なのよ。つべこべ言って手間取らせないで。松の木で滅多打ちにするわよ」

ツバキ「え、ええ!? ちょ、せめて説明くらい……」

アクア「みんな、松の木は持ったな!?」
ゼロ「おう!」
カムイ「おうです!」

ツバキ「わわわかりました、わかりましたよー!? え、えっと……俺の場合、その」

124: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/16(木) 23:59:50.55 ID:H7b/zxyT0
――――――
ツバキ『う、うえーん、カムイぃー……また失敗しちゃったよー……俺、俺、完璧なんかじゃないんだー……ホントは、ダメダメなんだよー……』

カムイ『あらあら、ツバキさんってば、仕方ないですねー。』

カムイ『ほーら、いいんですよ、完璧なんかじゃなくたって。抱きしめてあげますから、おいでなさいー?』

ツバキ『う、うう……カムイ、カムイーっ! こんなダメダメな俺を、慰めておくれよー!』

カムイ『うふふ、もちろんですっ。おー、よちよち、ツバキさんは完璧なんかじゃなくて、イイんですからねー?』

カムイ『ちゃーんとイイ子だって、私は分かってますからねー?』

ツバキ『う、うう……うん、うん……ね、ねえ、カムイ……あの、いつもの……』

カムイ『あらあら、ツバキはこんなに大きいのに、仕方ない子ですねー?』

カムイ『はーい、    ●●●●ですよー? うふふ……好きなだけ、チューチューしてイイんですからねー?』

ツバキ『わ……わーい! えへへー……カムイ……ううん、カムイママ、ありがとー!』
――――――

125: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 00:03:02.91 ID:3f1J9LDK0
ツバキ「…………っていう」

タクミ(……うん、これは……さっきのカムイ姉さん、奇しくもツバキの 癖とマッチした説得だったんだね)

タクミ(……いや、っていうか、ツバキの 癖って……)

アクア「完璧とは名ばかりの低成長二軍落ち天馬武者が、更にバブみ趣味とは世も末だわ」
ゼロ「ぶっちゃけヒきますね。恥ずかしくないんですかね」

ツバキ「う……うわぁぁぁん! カムイ……カムイー!」ビャーン

タクミ(ああ……哀れな。……哀れ、だけど)

カムイ「きゃあっ。……仕方ないですね、ツバキさんは。よしよしー、ですよー」

ツバキ「うう……はっ。……う、うへへー……」

タクミ(……同情の余地は無い! っていうか羨ましい……!)ゴゴゴゴ


 カムイとツバキの支援レベルがSに上がった

127: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 00:12:48.62 ID:3f1J9LDK0
~~CM~~
一年インビジ組!
DJアクア先生!


アクア「ハイッ、つぎつぎっ、次の問題はー♪ カンカン、カンナちゃんっ♪」

カンナ「はーい! 空を飛べるツバキおじさんを先行させて、敵陣に突入させます!」

ギュッギュッ、ギュワワッ、ギュンギュワワー♪
ギュンギュンギュンターサン♪

アクア「正解よ」


河原
カンナ「よかったのかなぁ……」

ルッツ「きっと大丈夫だよ!」

たまにオレンジ味も飲みたくなる!
~~~~~~

136: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:18:28.07 ID:3f1J9LDK0
再開します~
毎回ツバキさんを、何となくイメージで金鵄武者にしちゃう自分も悪いんや……
(金鵄武者の成長補正の悪さは異常)

137: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:19:46.59 ID:3f1J9LDK0
ツバキ<アレッ、ヒナタモイタンダ
ヒナタ<オウヨ!

アクア「さて、順調……と言えるのかしらね? 結構、時間食っちゃってるけど」

タクミ「うーん……まあ、考えても仕方ないんじゃない? それより……とりあえず僕は、そろそろ裏手に回るよ」

アクア「あら、どうして?」

タクミ「いや……さっきツバキが逆上しかけたじゃない。あれを見ちゃうと、やっぱり僕の弓はカムイ姉さんの護衛に専念したほうが良いと思ってさ」

タクミ「それに……さすがにちょっと疲れてきちゃったしね」

レオン「……そう言うと思って、交代しにきたよ」

タクミ「! 何だ……お見通しってわけ? ま、そういうことだから……頼んだよ、レオン王子」

レオン「ああ、任せてくれ。……さて、という訳で」

138: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:21:22.77 ID:3f1J9LDK0
レオン「か、カムイ姉さん、その……ただいま」

カムイ「わあっ、レオンさん! おかえりなさいっ、頼りにしてますねっ」ガバチョッ

レオン「わっ!? ちょ……カムイ姉さんは愛情表現が大げさだよ! も、もう……」

アクア(言いながら頬が緩みきってるのよね……やれやれね、全く)

レオン「さ、さて……次かな? まあ、今はせっかく臣下で進めてる事だし、まずは臣下系を集めようか?」

アクア「臣下系とか、気分はコレクションね。さて、残ってる男の臣下は……えーと」

レオン「暗夜はエリーゼ臣下のハロルドと、マークス兄さん臣下のラズワルド」

レオン「白夜はヒノカ王女臣下のアサマと、リョウマ王子臣下のサイゾウかな。ちょうど二人ずつだね」

アクア「なるほど。……じゃ、とりあえず暗夜臣下コンプリートからいってみましょうか?」

レオン「ん、分かったよ。なら、先に名前が出たハロルドから……かな?」

レオン「さて、どこに……とか言ってたら、きっと手がかりが向こうから来るんだよ」

エルフィ「はあ、お腹が空いたわ……」
エリーゼ「もーっ。エルフィったら、いっつもお腹空かせてるんだからーっ」

レオン「ほらね。……おーい、二人ともー!」

エリーゼ「あれ? あっ、レオンおにいちゃんと、アクアおねえちゃんと……」

139: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:26:00.59 ID:3f1J9LDK0
エリーゼ「! カムイおねえちゃんだーっ! わーいっ!」ダキツキーッ

カムイ「きゃっ、天使……いえエリーゼさんったら、ビックリしちゃいましたよっ」

エリーゼ「カムイおねえちゃん、どうしたのーっ? あたしと結婚するっ?」

カムイ「ええ、別の世界線では、必ずっ!」

エリーゼ「えへへっ、約束だよーっ! ……あっ、それで今は、なにしてるのっ?」

カムイ「あ、はいっ。実は、ハロルドさんを捜してて……」

エリーゼ「ハロルド? ハロルドなら、確かまた人助けなんだってー」

エリーゼ「けど、ノスフェラトゥの大群が近くに出たって聞くし……心配かも」

カムイ「なるほど……下手をすると、また巻き込まれてるかもしれませんね。早くいかないと――んっ?」

140: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:27:19.47 ID:3f1J9LDK0
カムイ「あ、あれっ? 誰かが……具体的にはとっても力持ちさんが、私の袖を引っ張っているような?」

エルフィ「……あの、カムイ様……わたし、お腹が空いて……」クーキュルキュル

カムイ「えっ? う、うーんと、うーんと……」

カムイ「あっ! そうです、私が作ったクッキーで良ければ……どうぞっ!」

エルフィ「! カムイ様……ありがとうございます、恩に着ます、嫁に貰ってください」

カムイ「もちろん、別の世界線では、必ずっ!」

エルフィ「わーい。……では、いただきますね」モキュモキュ

レオン「……え、エルフィ? それ……食べて、大丈夫なのか?」

エルフィ「鋼の味……インパクト抜群……きっと生まれ変わっても忘れないほど……」

レオン(……すごい、黙々と食べてる……ノスフェラトゥですら一撃なアレを……)

エルフィ「不思議とお腹に溜まるわ……味だけじゃなく、重さも鋼のよう……もぐもぐ」

カムイ「さて……ハロルドさんを捜しにいってきますっ。お二人とも、またっ!」

エリーゼ「うん! 良く分かんないけど、おねえちゃんファイトーっ!」ブンブン
エルフィ「また……です。……モキュモキュ」フリフリ

141: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:38:09.79 ID:3f1J9LDK0
 森の中

ハロルド「くっ! まさか不運にも、ノスフェラトゥの大群と遭遇してしまうとは……」

ノスフェラトゥ「Wooooo…...」
ノスフェラトゥ「Grrrrrrr…..!」

ハロルド「ふ……カムイ様への叶わぬ慕情を振り切るため、無理をしていたツケがやってきたというコトかな……」

ハロルド「が、しかぁーしっ! どうせ死ぬ覚悟なら……この窮地を乗り切り、私の想いを打ち明けよう!」

ハロルド「そう、もし生き残ったら……私は、カムイ様に告白するのだ……」

ハロルド「というわけで、かかってこいノスフェラトゥ共! この正義の使者ハロルドが、愛の力で見事お前達を打ち破ってみせよう!」

ノスフェラトゥ「Mmm…!」
ノスフェラトゥ「―――Gahhhhhhhh!!!」

ハロルド「うおおおおお! ここを通りたくば……この私を倒して見せよーーーっ!」

142: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:44:46.85 ID:3f1J9LDK0
カムイ「―――ハロルドさーんっ!」

ハロルド「え……か、カムイ様っ!? ここは危険だっ、お下がりをっ!」

カムイ「いいえ、退きません……折れたりしません! 私も一緒に戦います!」

カムイ「仲間を……ハロルドさんを見捨てて、逃げたりしないんですからっ!」

ハロルド「か、カムイ様……!」ジーン

カムイ「さあ、行きますよっ……アクアさん、援護をお願いします!」

アクア「ええ、任せて、カムイ」

143: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:49:48.63 ID:3f1J9LDK0
オーディン「ふっ……俺を忘れてもらっては困るな! いくぞ、《アウェイキング・ヴァンダー》!」
ゼロ「やれやれ、また出番か? 全く……   欲し  がりだなッ!」

タクミ「早速、隠れて護衛に回ったのが功を奏したみたいだね……いくよ、お前達!」
ヒナタ「オウヨ! 切り込み隊長は任せてくださいって!」
ツバキ「あははー。今だけは……完璧に、援護するよー!」



カムイ「竜穿! 疾風迅雷! 天空! やあぁぁぁーーーっ!!」
アクア「ユーラリユールレリー……トドメよ、カムイ!」
カムイ「はい! もう一発、竜穿! からの……天空必殺です! ええーーーーいっ!!」

ノスフェラトゥ「あー(´;ω;`)」
ノスフェラトゥ「うー(´;ω;`)」

男共「「「………………」」」

男共「「「」」」ササーッ←戻った

レオン(……な、何も出来ないまま終わった……)

カムイ「ふう。……何とかなりましたねっ」

アクア「ええ、朝飯前ね」

144: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 13:52:57.39 ID:3f1J9LDK0
ハロルド「あ、あの、カムイ様に、アクア様まで……こんな所で何をしているのだ?」

カムイ「はいっ! ハロルドさんを捜しに……」

ハロルド「えっ。……えっ!? わ、私を……かね!?」ソワソワ

アクア「期待してる所、悪いけど……かくかく」

ハロルド「しかじか? ……ぎゃ、逆ハーレムだってぇ!?」

レオン「……そういう事だよ、ハロルド。理解してくれたかな?」

ハロルド「れ、レオン様まで!? そういえばさっき、果敢に飛び出して来た割には特に何もせず引っ込んでいった者達がいたような……」

ハロルド「という事は、既に計画は、着々と進行しているという……?」

アクア「ええ。それで、ハロルド……アナタは、どうするのかしら?」

ハロルド「わ、私は。…………」

145: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:00:58.53 ID:3f1J9LDK0
ハロルド「いえ、わざわざ迎えに来て頂いたのに、申し訳ない。私は辞退するよ」

アクア「……それは、もしかして……アナタの体質が理由?」

ハロルド「……さすがはアクア様。その通り……この私の、不幸さゆえさ」

ハロルド「お察しの通り、私はカムイ様の事を想っている……が、だからこそ、悩み、迷ったものだ」

ハロルド「仲間の皆も同じ気持ちだから、というだけでなく……」

ハロルド「私のような不幸な男が傍にいれば、カムイ様を巻き込んでしまうのではないか、と」

ハロルド「だからこそ……私はこうして、人助けに明け暮れていた。こうしている間は……全てを忘れられるからな」

ハロルド「……なに、心配する事はない! この通り、私は一人でもへっちゃらさ!」

ハロルド「今まで通り、人助けに奔走する生き甲斐に従事するとしよう!」

ハロルド「だから……カムイ様は己の道を、心置きなく進むのだ。振り返る必要はない!」

ハロルド「その道が正しい事は……この正義の使者、ハロルドが保証するからな!」

146: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:06:39.27 ID:3f1J9LDK0
カムイ「…………」

カムイ「ハロルドさん。本当に、それで……イイんですか?」

ハロルド「! ……カムイ様?」

カムイ「一人でも、なんて……さっきだって、危なかったじゃないですか。ノスフェラトゥの大群に囲まれて……」

カムイ「いいえ、今までだって、何度も危ない目に遭ってきたはずです」

カムイ「なのにどうして、一人でへっちゃらだ、なんて言うんですか?」

カムイ「私を巻き込むだなんて……私は、そんなにも頼りないですか?」

カムイ「私は……私は、ハロルドさんの」

カムイ「幸運のキーマンでは、無かったのですか?」

ハロルド「! …………っ」

カムイ「言ってください、ハロルドさん。アナタの本当に望むことを」

カムイ「正義の使者なら、嘘なんて吐かず……私に、言ってください!」

ハロルド「……私は」

ハロルド「………私は………」

ハロルド「…………」

147: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:11:10.78 ID:3f1J9LDK0
ハロルド「カムイ様と……カムイと一緒に……いたいっ……!」

カムイ「! ……ハロルドさんっ」

ハロルド「一人でへっちゃらなどと、どの口が言ったものか。へっちゃらなどではないから、私はこんな無茶をしていたのではないか」

ハロルド「カムイが誰かの腕に抱かれる事を恐れ……それを見るくらいならば、と」

ハロルド「人助けを言い訳に奔走し、自身の命も省みず……逃げ回っていたのではないか……!」

ハロルド「笑ってくれ、カムイ。私は弱い人間だ。貴女の傍にいる資格も無い程に」

カムイ「……ふふっ」

ハロルド「……そうだ、それでいいんだ。こんな情けない男の事など、いくらでも――」

カムイ「それで真っ先にする事が、人助けなんて……ハロルドさんらしくて、おかしいですっ」

ハロルド「! ……か、カムイ様?」

148: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:13:55.23 ID:3f1J9LDK0
カムイ「ハロルドさん、私はアナタの弱さを笑いなんて、しないです。いいえ……出来ないです。私だって、弱い人間なんですから」

カムイ「皆がいないと、何も出来ない。皆がいなくなるのが、何より怖い」

カムイ「私は独りぼっちじゃ何も出来ない、ただの怖がりで弱い人間なんです」

カムイ「だけど」

カムイ「こんな私でも……皆は、一緒に居てくれる。支えてくれる」

カムイ「だから、弱い私なんかでも、立っていられる」

カムイ「だから、ハロルドさんが、弱いというのなら」

カムイ「私が、支えますから。私を支えてくれる、皆と一緒に……支えますから」

カムイ「だから、ハロルドさんも」

カムイ「私を……支えて、くれませんか?」

149: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:16:27.25 ID:3f1J9LDK0
ハロルド「……ははっ」

ハロルド「はははっ……はーっはっはっは!」

ハロルド「完敗だ、カムイ……言える事なんて、何も……無い」

カムイ「ハロルドさん……それじゃあっ」

ハロルド「ふっ……この正義の使者、改めっ――愛の使者、ハロルド!」

ハロルド「この身に宿る無尽の愛を、湧き上がる力の全てを!」

ハロルド「全て、カムイに捧げると――誓おうッ!」

カムイ「……ハロルドさんっ!」

150: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:19:40.51 ID:3f1J9LDK0
アクア「……まあハロルドに関しては、予想通りの流れだったわね」

アクア「彼が不幸だからって、カムイが放っておくはずなんて無いもの」

レオン「カムイ姉さんは優しいからね。僕も今回は、そこまで心配してなかったよ」

アクア「ええ。……とはいえ、 癖暴露はしてもらいましょうか、ハロルド?」

ハロルド「む? ……せ、 癖だって!? それはつまり、カムイ様との……!?」

アクア「話が早くなってきたわね。そういう訳だから……さあ、はよ」

ハロルド「むむう、何となく釈然としないが……」

ハロルド「いいだろう、この愛の使者ハロルド、逃げも隠れもせん! 私が良く妄想するのは……」

151: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:22:39.32 ID:3f1J9LDK0
――――――
ノスフェラトゥ『Grrrrrr….!』
ノスフェラトゥ『Eeeeeeehaaaaaa….!!』

カムイ『くっ……私とした事が、大ピンチですっ。折れちゃいそうですっ!』

カムイ『うう……こんな時……あの人が、あの人がいてくれればっ……!』

?『ハーッハッハッハ! この私を呼んだかね、カムイ!』

カムイ『はっ!? あなたは、あなたはっ……謎のヒーロー、マスク・ド・ハロルDさん!』

ハロルD『そうとも! 今、助けるぞ――トリャアアアア!』

ノスフェラトゥ『んー……(´・ω・`)』
ノスフェラトゥ『もー(´・ω・`)』

カムイ『さすがハロルDさん! けど……アナタは一体、何者……はっ!?』

カムイ『さっきの目まぐるしい激戦でマスクが破れて……あ、アナタは……ハロルドさん!?』

ハロルド『くっ、バレてしまっては仕方ない……隠していてすまなかった、カムイ。私はもう、キミに合わせる顔など……』

カムイ『No! そんな事言わないで、ハロルD……いえ、ハロルド! アナタが何者でも関係ない……私は、私はアナタと、一緒に……!』

ハロルド『! そ、そこまで私の事を……ッ、カムイッ!』

カムイ『ハロルド……!』
――――――

152: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:26:34.88 ID:3f1J9LDK0
ハロルド「――そして二人は幸せなKissをして、ハッピーエンド……と」

レオン(……いや、まあ別にイイんだけど、その……)
アクア(さっきのカムイの戦いを見た上で、良く言えたわね……ある意味、さすがだわ)

ハロルド「そ、その……お恥ずかしいのですが。えーと、だね……」

アクア「ああ、大丈夫。もっと恥ずかしい人は他にも沢山いたから。ね、レオン?」

レオン「やややかましいよ! まあ、とにかく……これでハロルドも逆ハーレムの一員だね。援護も頼んだよ」

ハロルド「もちろん、任せてくれたまえ! 愛の使者、ハロルド……カムイ様を、見事に守り抜いてみせよう!」


 カムイとハロルドの支援レベルがSに上がった

153: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:34:19.93 ID:3f1J9LDK0
アクア「さて、ハロルドも裏方に回ってもらったし……次はラズワルドかしら」

レオン「うん。……マークス兄さんの臣下に対して、こう言うのも悪いけど……楽勝の部類じゃないかな。女好きだし……」

アクア「そうかもね。ただ、居場所は……ん? あれは、ベルカ?」

レオン「あ、本当だ……何か挙動不審だね。どうかしたのかな――」

カムイ「あっ……ベルカさーん! おーいっ!」

レオン「カムイ姉さん、ちょっとは考えてから動かない!? とりあえず突撃は事故の元だよ!?」

ベルカ「!?」ビクッ

カムイ「どうしたんです? ベルカさん……きょろきょろしてましたけど」

ベルカ「あっ。……か、カムイだったのね。いえ、ちょっと……オボロから逃げてて」

カムイ「へ? オボロさんって……確か服を見繕う約束をしてた、とか」

ベルカ「し、してないわ。向こうが勝手に言ってるだけで……私の持ってる服は質素なものばかりだから、フリフリのついたのとか」

ベルカ「いかにも目に悪くて目立ちそうな色彩のとか……とにかく女の子っぽい可愛い服を見繕わせろ、って」

アクア(……正直、見たいわね)

ベルカ「私にそんなの、似合うはずないのに……本当に、迷惑――」

154: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:38:00.92 ID:3f1J9LDK0
カムイ「えっ、そんな事ないですよっ! ベルカさん、きっと似合いますっ、私も見てみたいですっ!」

ベルカ「!? な、なにを……本気で言ってるの? それとも、からかってる?」

カムイ「からかってないですっ。だってベルカさんは、かわいい女の子なんですからっ」

カムイ「絶対に似合うって、私が保証しますっ!」

ベルカ「……そ、そう……そう、かしら。…………」

ベルカ「じゃ、じゃあ……着たら、その……カムイになら、見せても……」

オボロ「言質を」
ルーナ「取ったわよ」

ベルカ「きゃっ!? はっ……い、いや、今のはっ」

オボロ「あらあら~、かわいい悲鳴ねぇ、むふふっ」

ルーナ「カムイ様に気を取られて、珍しく無防備だったわね。さあ、女同士で姦しく、お買い物に繰り出しましょうか!」

ベルカ「あっ……や、そ、そんな……か、カムイ……」

カムイ「わあっ、いいですねっ……ベルカさん、かわいい服を着たら、是非とも私にも見せてくださいねっ!」

ベルカ「あう。そ、そんな……ああ……ぁ~~~……」

155: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:41:16.72 ID:3f1J9LDK0
レオン「引きずられていくね。……って!? ちょっと待った、ラズワルドがどこにいるか知らない!?」

ベルカ「ぅぅ……ぅ? ラズワルドって……アレかしら、あの……ナンパ男?」
オボロ「ああ、アレ……? えーと、わたしは知らないわね……」

アクア(アレ扱いとは……まあ、支援が低いとこんなもんかしら……)

ルーナ「……ラズワルドなら、確かキャッスルの片隅で踊りの練習中よ?」

カムイ「えっ……ルーナさん、本当ですかっ?」

ルーナ「ええ。夢中だったし、今もやってるでしょうけど。…………」

カムイ「? ルーナさん……ど、どうかしましたか? 不機嫌そうですけど……」

ルーナ「……カムイ様、ラズワルドを捜したり、ベルカにかわいいとか言ったり……」

ルーナ「あたしには、何かコメントないわけ!?」

オボロ「あっ。……わたしも何か、欲しいです……」

カムイ「えっ!? こ、コメント……え、えーと、えーとっ」

ルーナ「……もーっ、薄情者っ! カミラ様の言いつけで、ベルカと一緒にカムイ様をこっそり監視してた時期もあったのに……冷たいんじゃないっ!?」

カムイ「そ、そこに相互の友情を育む要素は無いと思いますけど……うーんと、うーんと……」

156: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:42:54.82 ID:3f1J9LDK0
カムイ「る、ルーナさんはっ……いつも頑張り屋さんで、すごいと思いますっ!」

ルーナ「! それって……一番?」

カムイ「え? そうですね……はい。私が知ってる限りでは、ぶっちぎりの一番ですよっ」

ルーナ「……ふーん……ふっふーん! まあ当然ねっ! 今日の所は、それで勘弁したげるわっ。ありがたく思いなさいよね!」

カムイ「ふえっ!? はあ……わ、わかりました? う、うーん?」

オボロ「あ、あの、カムイ様~……わ、わたしにも何か~……」

157: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:48:11.55 ID:3f1J9LDK0
カムイ「あっ……オボロさん! ベルカさんの服を見繕いに行くんだとか?」

オボロ「へぁっ? あ……はい! そ、そうですけど……」

カムイ「そうですか……ふふっ、私、嬉しいです」

カムイ「暗夜嫌いだったオボロさんが、ベルカさんやルーナさんと仲良くしてくれてるみたいで……本当に!」

オボロ「あう。ま、まあ……ベルカとは話し合いましたし、ルーナは……不思議と暗夜って感じが、あまりしなくて」

オボロ「だからこそ、なんですけど……」

カムイ「それでもですっ。ふふっ……ベルカさんの服、頑張って見繕ってあげてくださいねっ」

カムイ「出来れば今度は、私の分も……オボロさんのセンス、とっても素敵ですから!」

オボロ「! そ、それはもちろんっ! うふふ~……張ぁり切っていきますよぉ!」

158: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:49:22.18 ID:3f1J9LDK0
レオン(……カムイ姉さんを狙う男共と違い、女性陣は良好な関係を築けてるみたいだね)

レオン(まあこれも、カムイ姉さんの不思議な魅力の賜物――)

オボロ「カムイ様には何が似合うかしら……白夜風猫又コスとか……」

オボロ「いえ、せっかくだしここは暗夜風にチャレンジして、妖怪・食い込み尻うさぎ娘なんかでも……」

レオン(何それバニーガールの事か見たいんですけどちょっとぉぉぉ!」

アクア「レオン、気持ちは分かるけどダダ漏れてるわよ」

カムイ「とりあえず……次はラズワルドさんの所ですね。よーし、いきましょうー!」

159: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:52:27.19 ID:3f1J9LDK0
 キャッスルの隅っこ

ラズワルド「……はあ」タメイキ

ラズワルド「…………」ウロウロ

ラズワルド「……はあ~~~っ……」オオキクタメイキー


レオン「……ラズワルドは、一体何してるんだろう……?」

アクア「ため息吐いて、その場をうろうろ、時々立ったり、座ったり……かと思いきや、天を仰いで、首を振ったり」

アクア「まあ、見方によっては踊りの練習にも見えるわね」

レオン「あんなネガティブな踊り、やだな……まあ忙しそうだし、一旦時間を置いてから……とか言っても」

カムイ「あれっ? ラズワルドさーん! ため息なんて吐いて、どうしたんですか?」

ラズワルド「え……う、うわあああ!? か、カムイ様!?」

レオン「……っていう感じで、突撃していくんだもんね。もう慣れたよ」

160: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 14:55:40.82 ID:3f1J9LDK0
ラズワルド「れ、レオン様にアクア様までいるし……何なんですか、もーっ!?」

ラズワルド「こんなトコ見られるなんて……恥ずかしいよー!?」

アクア「ナンパとかはするクセに、相変わらず初心よね……」

アクア「まあこれから更に恥ずかしがる事になりそうだけど。ねえラズワルド、かくかくしかじか」

ラズワルド「へ? まるまる……って、ええーっ!? 何ですか逆ハーレムって!? そんなとんでもない話、省略しちゃいます!?」

アクア「御尤もだけど、私達も大変なの。ついつい流れ作業になっちゃう事も、時には大目に見て欲しいわ」

ラズワルド「いや困るんですけど!? 僕のカムイ様への恋心を、流れ作業で済まされちゃ……あっ」

ラズワルド「あ、ああ……今まで誰にも悟られないよう、隠し通してきたのに……こんな形でバレるなんて、あんまりだよー! うわーん!?」

カムイ「あっ……ラズワルドさん!? 待ってくださ――」

?「――待つのだ、ラズワルドっ!」

161: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:00:42.19 ID:3f1J9LDK0
カムイ「あっ、アナタは……オーディンさん!」

ラズワルド「オーディン!? ちょっ……ど、どいてよ!?」

オーディン「いや、そうはいかないな……我が宿業の姫君の願いを叶えるために」

オーディン「ラズワルド! 俺は貴様を、逃がしはしない!」

ラズワルド「え? 宿業の姫君、って……何言ってるんだい、オーディン」

ラズワルド「まさか……まさかとは思うけど、オーディン……逆ハーレムに!?」

オーディン「……さすがは蒼穹のラズワルド。ご明察だな」

ラズワルド「っ……ふざけてる場合かい!? 僕達の役目、分かってるのか!?」

ラズワルド「僕達は、いつか……いつか、元の世界に……!」

162: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:06:01.52 ID:3f1J9LDK0
オーディン「ああ、無論だ。全て、分かった上で、それでも決めたのだ」

オーディン「……ごめん、ラズワルド。お前の言うこと、ホントに分かってるんだよ。俺だって、色々考えたんだ」

オーディン「けど……やっぱり、ダメだった。カムイ様のこと……諦められなかった」

オーディン「だけど、ラズワルド……それはお前だって、同じなんだろ? だから、さっきも悩んでたんだろ?」

ラズワルド「そ、それは……ち、違うっ! 僕はちゃんと、自分の使命を……!」

オーディン「ああ、分かってる。でも……その言の葉を紡ぐかどうかは、ちゃんとカムイ様と話した後で……考えるんだ」

カムイ「……ラズワルドさん……」

ラズワルド「えっ……あっ。か、カムイ様……ぼ、僕は……」

カムイ「……………」


次回 【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 中編