【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 前編

163: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:13:47.76 ID:3f1J9LDK0
カムイ「ラズワルドさん、私と――踊ってくださいませんか?」

ラズワルド「えっ? ……え、ええーっ!? な、何で急に!?」

カムイ「いいじゃないですかっ。さあさあっ、女性から誘うなんてはしたないですが、お手を取らせていただきますよーっ」

ラズワルド「わ、わわっ……か、カムイ様!? とっ、とっ、とっ……」

カムイ「ふふっ、いかがです? 私これでも、一応お姫さまですからねっ。少しはダンスの心得、あるんですよ」

ラズワルド「あ……は、はいっ! お上手ですし、その……お綺麗、っていうか……」

カムイ「……元気、出してくれましたか?」

ラズワルド「………えっ?」

引用元: 【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 




 

◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:22:08.69 ID:3f1J9LDK0
カムイ「ラズワルドさん、さっき溜め息なんて吐いて、元気なかったから……心配してたんです」

カムイ「けど、ラズワルドさんはそういう時こそ、踊りの練習してたのを思い出して……ちょっぴり強引でしたけど、誘っちゃいましたっ」

ラズワルド「か……カムイ様」

カムイ「私は……ラズワルドさんの、いっつも前向きな所、すごいって思います」

カムイ「女性をお茶に誘うのに失敗して、落ち込んでも、すぐに立ち直って」

カムイ「いつもは恥ずかしがり屋さんなのに、元気のない人を見たら、踊りを見せて元気にしてあげたり」

カムイ「そんなラズワルドさんだから……元気がないと、心配になっちゃいます」

カムイ「だから、もしもラズワルドさんが、元気のない時は」

カムイ「私が……ちょっとでも、元気をあげられたらな、と思って……」

カムイ「……うふふっ。こんな事を言うのは……恥ずかしいよーっ、ですねっ」

ラズワルド「……カムイ様……」

165: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:29:47.85 ID:3f1J9LDK0
ラズワルド「………」(チラッ)

オーディン「……な?」

ラズワルド「……あははっ、そうだね……」

ラズワルド「ホント……諦められっこ、ないよね」

カムイ「ラズワルドさん? あの、どうかしましたか?」

ラズワルド「カムイ様。……いや、カムイ」

ラズワルド「僕も……逆ハーレムの一員に、加わってもいいですか?」

カムイ「えっ……ラズワルドさんも、協力してくれるんですかっ?」

ラズワルド「うん、もちろんさ! そりゃまあ、逆ハーレムなんて、恥ずかしいですけど」

ラズワルド「今の軍の妙な雰囲気を何とかしようと頑張ってる、そんなカムイを見捨てるなんて」

ラズワルド「そのほうが……よっぽど恥ずかしいもんね!」

カムイ「ラズワルドさんっ……ありがとうございます、頼もしいですっ!」

166: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:37:41.04 ID:3f1J9LDK0
アクア「ふふ……さすがはカムイね、いい踊りだったわ。思わず私も歌いたくなるくらい」

アクア「と、しんみりするかと見せかけて……恒例の 癖暴露、いっちゃいましょうか?」

ラズワルド「はい! ……はい? え……アクア様、 癖暴露って、なんです?」

アクア「あなたがカムイに対して、どう〝if ~ひとり思う~〟してるのか発表しなさい、と言っているのよ」

アクア「言っとくけど、既に加わってる皆は、もう通った道だから。言わないなら逆ハーレムから除外しちゃうわよ」

ラズワルド「え……ええっ!? そ、そんな……う、うう、でも、その……」

ラズワルド「ぼ、僕は……僕は、カムイとっ……」

167: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 15:39:50.15 ID:3f1J9LDK0

ラズワルド「――お茶したいですっ!」

アクア「…………」


168: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 16:20:17.02 ID:3f1J9LDK0
アクア「あのねラズワルド、そういう誤魔化し、いらないから。それとも隠喩かしら? なら、そのお茶の内容を話してみて?」

ラズワルド「え、ええっ!? そんなこと言うの、恥ずかしいよーっ!?」

アクア「ふっ……そうよ、それでいいの。さあ、一体どんな『お茶』をするのか……」

ラズワルド「そのっ……一緒にお茶を飲みながら……カムイと、お喋りしたいですっ!」

アクア「……あのね、ラズワルド。いい加減にしないと、怒るわよ。ちゃんと正直に――」

ラズワルド「あと、もう一歩踏み込むなら、そのっ……こ、恋バナとか、してみたりっ」

ラズワルド「こう……お菓子を取ろうとした手が、偶然重なっちゃったりすると……って考えただけで、ドキドキするっていうかっ」

ラズワルド「でも、何より一番なのは……僕とお茶してるカムイが、にっこり微笑んでくれたら、それだけで……」

ラズワルド「最高、っていうか……う、ううっ……は……恥ずかしいよーーーっ!」

カムイ「わあっ、素敵ですね……って、どこ行くんですか、ラズワルドさーん!?」

アクア「…………」

アクア「……………………」

アクア「えっ?」

169: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 17:39:02.27 ID:3f1J9LDK0
アクア「ええと……これ、マジというやつなの? ……普段、あんなにナンパしてて……望むのは、そんなピュアの化身みたいな?」

レオン「……ど、どうも、嘘をついてる感じはしなかったけど……」

アクア「う、嘘でしょ……というか何なの、ここまでの暗夜のピュア率は」

アクア「暗夜でアホなのはジョーカーとレオンくらいしか、いないじゃないっ」

レオン「だだ誰がアホだ誰が! ……いやでも、このピュアさ、どこかで……」

オーディン「くっ……さ、さすが蒼穹のラズワルド! なかなかの発奮ぶりだ……この漆黒のオーディン、肌の粟立ちを禁じ得んぞ!」

レオン「こ、こいつだったー! そういえば何となく訳知り顔だったし、似た者同士か!?」

アクア「なんだか、意外なような、逆に納得したような……ま、まあいいわ。何とかなったんだし、良しとしましょう……」


 カムイとラズワルドの支援レベルがSに上がった

173: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 21:43:06.11 ID:3f1J9LDK0
ラズワルド<アー、ハズカシカッタ……ッテ、ナンカイッパイイルー!?
暗夜物陰<ワイノワイノ

レオン「これで暗夜の直属臣下はコンプリート、かな。……なんか物陰が賑やかになってきたけど」

アクア「そうね。あとはブノワとサイラスもだけど……まずは予定通り、白夜を揃えていきましょう」

タクミ「――となると、今度は僕の出番かな」

レオン「タクミ王子。……ふふ、そろそろ寂しくなって出てきたのかな?」

タクミ「ははっ、なに言ってるんだか。レオン王子もそろそろ疲れただろうと思って、交代しにきてあげただけさ」

レオン「全く、強がっちゃって。……まあ、今回はお言葉に甘えようかな。それじゃカムイ姉さん、また後でね」

タクミ「さて。……こほんっ。カムイ姉さん? わざわざ僕が来たんだから――」

カムイ「わっ、タクミさんっ! 今度はタクミさんの番なんですね、よろしくお願いしますっ!」ダキー

タクミ「わわっ!? も、もうっ……そんなに抱き着くと暑苦しいだろ!? 離れなよっ!」

アクア(……と言いつつ、全く引き離さないのよね。分かりやすすぎるわ、タクミ……)

174: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:09:32.89 ID:3f1J9LDK0
アクア「さて、それにしても……次はアサマなのよね。……ふう」

タクミ「? アクア姉さん……アサマが何か、気になるのかい?」

アクア「ああ、いえ……アサマが、といより、ここまでの流れも含めて、ちょっとね」

アクア「何というか……暗夜に意外とピュアなのが多かったのは意外だけど、まあそれはそれで、いいとして……」

アクア「……なんかここまでで、白夜の闇をやたら見せつけられてる気が……」

タクミ「闇とは何さ闇とは!? 失礼な事を言わないでくれる!? そもそもアクア姉さんが 癖暴露とか言い出したんだろ!?」

タクミ「大体、人間なんて少なからず、そういう闇はあるっての! ちょっとくらいで大げさなんだよ!」

アクア(ちょっとじゃないし、アナタがその筆頭なのよ。……って言ったらキレそうだから、まあ黙ってましょ)

175: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:12:36.27 ID:3f1J9LDK0
アクア「でもまあ、次はあのアサマだし……また白夜の闇が深くなりそうで――」

アサマ「闇とは失礼ですねぇ。アクア様もなかなかのものをお持ちだと思うんですが」

アクア「……びっくりしたわ。心臓が止まるかと思ったじゃないの」

アサマ「全くそうは見えないんですが……あなたの強心臓を止められる人なんて、あなた自身以外にいるのか見てみたいものですよ」

アサマ「そこのとこ、タクミ様を見習っては? まあ、どうでもいいですけどね」

タクミ「――(チーン)――」(アサマの登場に驚きすぎて白目)

アクア「あらタクミったら。立ったまま失神するなんて器用ね。まるでスリープをかけられたみたいだわ」

タクミ「――ってうわあっ!? い、いきなり出てくるなよ、驚いて声が詰まっちゃっただろ!?」

アサマ「見栄っ張りですねえ、どう見ても失神していたのに」

タクミ「し、してないってば! ちょっと驚いただけだってば! 大体――」

アサマ「まあまあ、そんな事はどうでもいいんですよ。……私はちょっと用事があって、ここに来ただけですので」

タクミ「どうでも良くな……は? 用事って、何だよ?」

176: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:16:54.66 ID:3f1J9LDK0
カムイ「あっ、こんにちは、アサマさんっ。私達、アサマさんを捜してたんですよっ」

アサマ「ああ、これはどうも、カムイ様。ええ……実は私も、カムイ様を捜していたのです。用事というのは、そのことで」

カムイ「へ? 私を、ですか? それは一体、何の御用で……」

アサマ「ええ。私も……カムイ様の逆ハーレムとやらに、さっさと入れて頂きたくて」

カムイ「えっ……い、いいんですか、アサマさんっ!?」

アサマ「だからそう言ってるじゃないですか。相変わらず察しの悪い方ですねえ」

アクア「……何やら話がすんなり進みすぎて、怪しいわね」

アクア「カムイに対しても、相変わらず辛辣だし……あなた、ちゃんと本気なの――」

アサマ「微妙に締りのない顔も、いつも通りで……その幸せそうな顔を見てると、天上の女神かと疑ってしまいますよ、全く」

アクア「…………んっ?」
タクミ「……な、なんか……」

177: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:19:47.73 ID:3f1J9LDK0
カムイ「あ、あう。ごめんなさい、気が抜けた顔で……お恥ずかしいです……」

アサマ「本当ですよ。貴女がそうやって妖精のような愛らしさを惜しみなく振りまくから、逆ハーレムなんて必要になってしまったんでしょうに」

アサマ「少しは反省しなさい。いくらこの汚らわしい世界に舞い降りた天使とはいえ、無自覚で許されるのは……」

アサマ「その太陽のように輝く微笑を見せている間だけですよ」

カムイ「あ、あううっ……いつもみたいに、すごく怒られちゃってますっ……」

カムイ「ご、ごめんなさい、せめて少しは許されるよう、できるだけ笑ってますーっ!」

タクミ「……いやカムイ姉さん、良く聞いて!? それ単なる褒め殺しだからね!?」

タクミ「ていうか『いつもみたいに』って、いつも言われてるわけ!?」

アサマ「……全く、相変わらず喧しいですねえ、風神弓……ああいえ、タクミ様は」

タクミ「おまえ今、風神弓つったろ! 撃つぞコラ! 誰が『弓が本体』だ誰がァ!」

アクア「タクミ、ぶちぎれないで。話が進まないわ。……こほん、アサマ?」

アサマ「なんですか、アクアネキ………………いえ麗しの歌姫様」

アクア「賢明ね」拳ゴキッゴキッ

178: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:21:57.61 ID:3f1J9LDK0
アクア「まあいいわ。そんな事より……あなたの真意、ちゃんと聞かせてくれるかしら?」

アクア「私達だって、逆ハーレムが無茶苦茶なのは百も承知よ。それをすんなりと受け入れられると、逆に怪しく思えちゃうわ」

アサマ「はあ……やれやれ、自分達で進めておいて、難儀な性格ですねぇ。まあ、別に真意も何もないので、いいんですけどね」

アサマ「私はね、争い事が嫌いなんですよ。特に一人を巡る色恋沙汰なんていうのは、普通にやればほぼ必ず、不幸になる人が出ますしね」

アサマ「しかもそれが……はあ、こんな事を言うのは柄じゃないんですけどね」

アサマ「……私の想い人を中心に渦巻いている、というのが、また……」

アサマ「どうにも、我慢できないんですよねえ。そんな争い、さっさと終わってしまえ、と私は思う訳です」

アサマ「できれば私の、優しい想い人が、傷つかない形で……という所で、逆ハーレムと聞き、上手くやれば、あるいは……」

アサマ「ま、結果がどうなるか、まだ分かりませんが……それでも、選べる道としては、可能性はありそうですから」

アサマ「……と、私の真意はそんな所ですが、伝わりましたか?」

179: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:33:22.54 ID:3f1J9LDK0
アクア「………………」

アクア「あなた誰? 本当にアサマ?」

アサマ「あなたは私にどうしてほしいんですか一体。これ以上聞かれても何も出ませんからね」

アクア「……い、いえ、ごめんなさい……生臭坊主にも程があるあなたが、そんな……何だか信じられなくて……」

アサマ「アクア様も大概失礼な方ですよねぇ。言っときますけどね」

アサマ「『とりあえず殴りかかりましょう』とか提案する脳筋歌姫よりは、まだ深く考えているという自負が……」

アサマ「すいません、松の木を構えるの、やめてくれません?」

アクア「……ふう。そ、そうね、とりあえず……話自体はスムーズにいったんだものね」

アクア「いいわ。あとは 癖暴露だけね。それじゃ、お願いできるかしら?」

アサマ「はあ……いや、その話も、逆ハーレムの話を聞いた時、伺ってましたがね。神仏に仕える身にさえ、問い訊ねるとは」

アサマ「そもそもただでさえ困難な道なのに、なぜわざわざ敷居を高くするような真似をするんですかね? それで相手を逃がせば、意味もないでしょうに」

アサマ「全く、理解に苦しみますね。そんなだから、脳筋と呼ばれるんで――」

アクア「アサマの 癖はド 、という事でいいかしら? そこ突っ立ってくれる?」

アサマ「すぐ暴力に訴えるの、よくないと思うんですよね! はあ……まあいいです。言えばいいんでしょう、言えば」

アサマ「といっても、つまらないものですよ? ……まあ、私は、ただ」

180: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:47:18.44 ID:3f1J9LDK0
アサマ「カムイ様に……いえ、カムイさんに、料理でも振る舞いたいですね」

アクア「料理? ……あなたって、料理が趣味だったかしら?」

アサマ「いえ別に? まあ、何と言えばいいのか……以前、カムイ様に、熊鍋を振る舞った事があるんですよ」

タクミ「え、ええっ? 仮にも王女のカムイ姉さんに? ……って、そういえば前の行軍の時、皆で食べたような……」

アサマ「ははっ、まあ最初は、軽い悪戯心だったんですがね。目の前で丸々一頭、調理してみたり」

アサマ「まあ、私はほとんど泣いた事がありませんのでね……その時のカムイさんの、慌てて逃げ回る姿や、泣きそうな顔を見て、なかなか楽しませてもらいましたよ」

アクア「……まあ、アサマらしいわね。アサマの捻れ 癖って感じかしら――」

アサマ「ただ。その後……料理を終えた私が冗談半分で呼ぶと、カムイさん、恐る恐る近づいてきたんですよねえ」

タクミ「えっ? ……直前まで、逃げ回ってたのにかい?」

181: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:50:27.04 ID:3f1J9LDK0
アサマ「全く、熊の返り血で汚れてる私に……さっきまで逃げ回って、きゃあきゃあと騒いでいたはずの王女様が……」

アサマ「私の手から、料理を直接受け取って」

アサマ「『ありがとうございます、アサマさん!』なんて……微笑むんですよ」

アサマ「その時の笑顔が、まあ、何と言いますか……面白おかしい泣き顔よりも」

アサマ「天上の女神のように美しくて……」

アサマ「また、料理でも振る舞いたいな、と……思った訳です」

アサマ「……以上ですが、御満足いただけましたかね?」

182: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 22:59:40.14 ID:3f1J9LDK0
アクア「………………」

アクア「あ、あなた、本当に誰?」

アサマ「アクア様は何なんですかね。私をそんなに変人に仕立てあげたいんですかね」

アクア「い、いやだって、普段の言動が言動だし……それに、その 癖にしたって」

アクア「要約すると、料理を振る舞うなんて過程でしかなくて……」

アクア「『カムイの笑顔が見たい』……って、事でしょう?」

アクア「……信じられないわ……だって、そんな……これじゃ……」

アクア「白夜で最初の光が、まさかのアサマという事に……」

タクミ「まさかのアサマって何か語呂いいな」

タクミ「じゃなく、アサマの言い分じゃないけど、アクア姉さんは何なの本当に。白夜が嫌いなの?」

アクア「いえ、全然そんな事ないけど……ここまで白夜の闇が続いてた所で、まさかのアサマが意外すぎて、ちょっと驚きすぎて……」

タクミ「アクア姉さん、それ気に入ったの? まさかのアサマ」

アサマ「人の名前で遊ばないでもらえませんかねぇ。……ま、そういう訳なので」

アクア「ちょ、ちょっと待って……ね、カムイも意外だったわよね、まさかのアサ――えっ?」

183: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 23:08:48.22 ID:3f1J9LDK0
カムイ「?」ニッコニコォォォ

アクア「ふぐうっ!? 天使のスマイル!」
タクミ「ぐはあっ!? 女神の微笑!」

アクア「か、カムイ……なんでそんな、微笑んでるの……?」

カムイ「あ、はいっ。さっきアサマさんに、笑ってないと許されないと言われて」ニコニコーン

カムイ「よし、笑うぞー! と、張り切って笑ってるんですー!」ニコニコズキューン

アクア「な……なんて、素直な……うう、眩しいわ……!」

タクミ「ぁぁぁ……く、くそっ、僕とした事が……この程度で絆されるなんてぇ!」

アサマ「………………」

184: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/17(金) 23:15:09.04 ID:3f1J9LDK0
アサマ「ぷっ……あーっはっはっは!」

カムイ「? あ、アサマさん?」ニコ…?

アサマ「全く、本当にお馬鹿さんですねぇ、カムイさんは」

アサマ「別に無理して笑えなんて、そんな事を言った訳じゃないんですよ?」

カムイ「えっ……そ、そうなんですか……?」ニコン…

アサマ「そうですよ。はあ……本当にあなたは、世話が焼けますねえ」

アサマ「まあ、放っておくのも、神仏に怒られてしまいそうですし……」

アサマ「これからは、私も逆ハーレムという馬鹿馬鹿しいお遊びに付き合って」

アサマ「カムイさんを……笑わせてあげましょうかねぇ」

カムイ「……あっ……」

カムイ「はい! ……ありがとうございます、アサマさんっ!」ニコッ!

アサマ「ふふ……そうそう、あなたには、そういう能天気な笑顔がお似合いですよ」

アサマ(この捻れた私だけでなく、皆が夢中になっているのが……あなたの、その笑顔なんですからね)


 カムイとアサマの支援レベルがSに上がった

186: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 02:36:56.31 ID:gC2wNdoz0
タクミ「はあ、はあ……な、なんか今回は、やけに疲れたけど……」

アクア「カムイの笑顔にもやられたわね……でも、立ち止まってはいられないわ」

タクミ「アクア姉さんはHPと守備は低いくせに、タフだよね……でも次は、サイゾウか」

アクア「あまり気にしてなかったけど、今もどこかから見てるのよね。……主にカムイを、でしょうけど」

タクミ「でもまあ、命令すれば来るはずさ。白夜の忍は優秀だからね。……おーい、サイゾウ?」手ぇパンパンッ

タクミ「……あれ? 聞こえないのかな……おーい、サイゾウ!?」パンパンッ!

タクミ「サイゾウ! ……サイゾォォォォイ!!」スパパーンッスパパーンッ!!

タクミ「はあ、はあっ……だ、ダメだ。どうやら近くにいないみたいだよ。多分、リョウマ兄さんから仕事でも言いつけられて……」

カムイ「あれ、サイゾウさん、いないんですか? おーいっ、サイゾウさーんっ?」

サイゾウ「ふん、気安く呼ぶな、カムイ……下手に大声を出して、戦場なら死んでるぞ」

タクミ「じゃあ僕、さっき圧倒的に死んでたじゃねーか! ていうか僕が呼んでもこいよ! 王子だぞ一応!」

187: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 02:41:13.06 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「……それで、一体何の用だ」プイッ

カムイ「あっ、えーとですね……サイゾウさんっ」カオノゾキコミー

サイゾウ「……なんだ」カオソラシー

カムイ「あっ……あ、あのですねっ」カオノゾキコミー

サイゾウ「……ああ」カオソラシー

カムイ「え、えっと、えっとっ」ノゾキッ

サイゾウ「うむ……」ソラシッ

カムイ「あ、あのー……サイゾウさんっ」ノゾキッ
サイゾウ「だからなんだ」ソラシッ
ノゾキッ、ソラシッ、ノゾキッ、ソラシッ、ノゾキッ、ソラシッ、ノゾキッ、ソラシッ、ノゾキッ、ソラシッ

188: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 02:48:54.30 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「っ……だあああああっ! 俺の顔を見ようとするなっ!」ガバッ

カムイ「きゃあっ!? いえ、見ようにも半分ほど見えませんけど……おっと」ヨロッ

サイゾウ「! カムイっ!」ダキッ

カムイ「わあ。あ……サイゾウさん、倒れそうなところ、ありがとうございますっ」

サイゾウ「…………」

サイゾウ「お、おおおっ!? きき気を付けろ! 以後、気を付けろォ!」ズザザーッ

カムイ「あ……さ、サイゾウさん、なぜそんな後ずさりを!?」

189: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:10:42.71 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「っ……だあああああっ! 俺の顔を見ようとするなっ!」ガバッ

カムイ「きゃあっ!? いえ、見ようにも半分ほど見えませんけど……おっと」ヨロッ

サイゾウ「! カムイっ!」ダキッ

カムイ「わあ。あ……サイゾウさん、倒れそうなところ、ありがとうございますっ」

サイゾウ「…………」

サイゾウ「お、おおおっ!? きき気を付けろ! 以後、気を付けろォ!」ズザザーッ

カムイ「あ……さ、サイゾウさん、なぜそんな後ずさりを!?」

タクミ「あ、あれ? サイゾウって確か昔、カゲロウと付きあってたって聞くけど……」

アクア「まるで思春期男子のような反応だけど……本当なのかしら」

?『ええ……それは本当ですが、色々とありまして』

タクミ「えっ? その声は……」

カムイ「あっ……スズカゼさんっ!」

スズカゼ「はい(イケボ)、私の主君……カムイ様」

190: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:18:33.54 ID:gC2wNdoz0
アクア「音もなく現れるとは、忍者らしい登場ね……それで、色々あったって、なに?」

スズカゼ「はい。まあ……純粋に、兄さんとカゲロウさんは、合わなかったのですよ」

タクミ「合わなかった? 一緒に仕事してるくらいなのに……?」

スズカゼ「まあ、男女の関係としては、難しかったのでしょう。具体的には、こう……」

ポワンポワン

191: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:26:51.10 ID:gC2wNdoz0
 ~~~回想~~~
カゲロウ『サイゾウ、私達は付き合う事になったの……だな? だが、何をすればいい?』

サイゾウ『うむ。……鍛錬か?』

カゲロウ『えっ? いつも通りな気が……ま、まあいいか。付き合おう』


カゲロウ『サイゾウ! 何やら付き合っている男女は、共に食事をとったりするそうだぞ!』

サイゾウ『なるほど……では、これを食べるべきだな』

カゲロウ『これ? これは……固いパン??』

サイゾウ『顎が鍛えられる』

カゲロウ『……鎧も貫くパンを食すのは、顎どころの話ではないような……』


カゲロウ『サイゾウ、ちょっと……』指チョン

サイゾウ『!? うおおお、急に触れるなァ! ふしだらだぞカゲロウ!』

カゲロウ『……………』


カゲロウ『……サイゾウ、別れないか?』

サイゾウ『そうだな、二手に別れたほうが効率的だな』

カゲロウ『いや、そうでなく……男女の関係を、清算という意味で』

サイゾウ『む。……そうだな、あまり効率的ではないしな。元の同僚に戻るか』

カゲロウ『……し、仕事と同位の扱いとかっ……もう二度と付き合わんからな、ばかああああっ!』

サイゾウ『え……ぶっ!? 力、強っ!? 忍なのに強すぎるだろ、カゲロウ貴様!』
 ~~回想終了~~

192: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:35:42.18 ID:gC2wNdoz0
タクミ「……お、思った以上に悲惨というか……手も繋げてないよね、それ」

アクア「カムイに対する反応も、頷けるわね。けど……困ったわ」

アクア「そこまで初心だと、逆ハーレムも 癖暴露も、それどころじゃないんじゃ……」

スズカゼ「ご安心を、アクア様……こちら、既に機密情報を入手しております。兄さんの」

アクア「あら? これは……日記、かしら?」

タクミ「え、どれどれ? ……ん? 『カムイ監視日記』……?」

スズカゼ「かなり分厚いので、重要部分に赤丸で囲っております。そこをお読みになれば、分かりやすいでしょう」

アクア「さすが忍者。優秀ね。それじゃ、遠慮なく……」

サイゾウ「はあ、はあ……ん? スズカゼ、貴様いつから……ん? はあっ!? その日記は!?」

サイゾウ「待てっ……開くな! や、やめろおっ!」

タクミ「えーと、どれどれ………えっ」

『今日もカムイは、美しい。』

タクミ・アクア「………………」

サイゾウ「読むなっ……読むなぁぁぁぁぁ!!」

193: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:38:57.82 ID:gC2wNdoz0
『今日もカムイを監視する。しかしカムイめ、憎らしい。憎らしいほどに、美しい。』

『俺が監視しているとも知らず、呑気なカムイめ。そんなに呑気だから、美しいのか。それとも美しいから、呑気なのか』

『カムイを監視するため、木に潜む。俺とした事がうっかり虫よけの煙玉を忘れてしまったが、そんな事より森林浴をするカムイは美し……カムイの肩に小鳥がとまった。おのれ小鳥め。』

『虫に刺されて体が痒い。だが、カムイからおにぎりをもらった。こんなもので俺が油断すると思ったか、ばかめ。でも大事に食べよう。』

『今日もカムイを監視する。まだちょっと体が痒い。だがカムイからもらったおにぎりはうまい。痒いが、うまい。かゆ、うま。』

サイゾウ「アアアアアアアア! やめろおおおおおおおお!!」

194: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:49:51.63 ID:gC2wNdoz0
『今日も屋根裏からカムイを監視する。あの女、隙だらけすぎる。暗夜にも見張っている者がいるのに。呆れてため息が止まらない。鼻血も止まらない。』

『暗夜の歩くポイズンしいたけが俺を見てウケていた。おのれ、許さん。爆裂手裏剣を投げたが、それにしてもカムイは美しい。爆発音に驚いていたが、驚いた顔も美しい。』

『カムイめ、俺が監視しているのも知らず、すやすやと眠っている。まるで眠り姫だ。その無防備さが笑えるぞ。笑ったのなんて久しぶりだ。』

『今日はカムイが美しいだけだった。全く、気の抜けた美しさだ。美しい意外にする事がないのか。』

『最近、カムイの元気がない。白夜と暗夜の仲が思わしくない事に悩んでいるようだ。長年、争い続けてきたのだから当然だろうに、甘い女だ。だが、落ち込んだ顔も美しい。』

『いつもカムイは美しい。だが、今日はいつもより美しかったのではないだろうか。カムイめ、どこまで美しいのだ。』

『今日もカムイは美しかった。きっと明日も美しいのだろう。』

サイゾウ「ウオオオオオオ!! アイエエエエエエエ!!!」

195: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 03:59:20.67 ID:gC2wNdoz0
アクア・タクミ「……………」

アクア「サイゾウ」

サイゾウ「っ……黙れ! 何も言うな、俺を見るな、息を吸うなァ! アアアアア!」

アクア「いいから聞いて。……カムイを、見なさい?」

サイゾウ「はあ、はあ……な、なに? カムイを、だと? なぜそんな……」

カムイ「~~~/////////」プシュー

サイゾウ「真っ赤な顔も美しい! ……じゃなく、どうしたカムイ!?」

カムイ「……わ、わたし……うつくしくなんか、ありませ……

196: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 04:05:52.18 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「なんだと、ふざけるな! 貴様が美しくなかったら、白夜の真珠も暗夜のクリスタルも石ころ同然だろうが!」

サイゾウ「貴様はもっと、自分の美しさを自覚しろ! 危機感を持て! 油断していたら、いつ誰に奪われるかわからんぞ!」

サイゾウ「これ以上、俺をやきもきさせるな! 貴様を愛する俺の気持ちも考えろ!」

サイゾウ「分かっているのか、カムイ! わか、って、い………………」

カムイ「……ふぁ、ふぁい、しゅみましぇん……//////」プシュウウウウ

サイゾウ「あ……いや、これは、その、違……わない、が……いや」

アクア・タクミ「サイゾウ」

サイゾウ「ビクッ」



アクア・タクミ「ようこそ……逆ハーレムへ」

サイゾウ「…………ッス」


 カムイとサイゾウの支援レベルがSに上がった

197: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 04:27:20.47 ID:gC2wNdoz0
カムイ「はあ……やっと少し、落ち着きました。お騒がせして、すみません……」

アクア「いいのよ。一番お騒がせしたのは、そこの文字通り自爆忍者なんだから」

サイゾウ「……す、すまん、カムイ。つい興奮して……」

カムイ「い、いいえっ! その、恥ずかしいですけど……美しいは、言いすぎですけど……嬉しくは、ありましたので」

サイゾウ「……そ、そうか。うむ……」顔マッカ

カムイ「あ……スズカゼさんも、ありがとうございましたっ。おかげでサイゾウさんの協力も、得られましたっ」

スズカゼ「ふふ、お気になさらず、カムイ様。私は貴女のためだけに、貴女のお役に立つ事だけを生きがいに、存在するのですから」

スズカゼ「さて、無事お役に立てたようですので……私は、そろそろお暇します」

スズカゼ「困った事があれば、いつでもお呼びください。カムイ様の直属従者として、すぐに駆けつけます。……ではっ」



サイゾウ「待てコラ」肩ガシッ

スズカゼ「おやっ」

198: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 04:52:11.99 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「貴様……随分と好き勝手やってくれたな。このまま逃がすと思ったか?」

スズカゼ「兄さん……しかし結果的には、これで兄さんも素直に、カムイ様のお傍にいられるようになったじゃないですか」

スズカゼ「むしろこれは、兄想いな行動と言えますよ。放っておけば、兄さんは永遠にカムイ様を監視するだけで終わってたはずですから」

スズカゼ「むしろ、感謝されても良いくらいだと思うのですが……違いますか?」

サイゾウ「……ああ、そうだな。その通りだ」

スズカゼ「でしょう? それでは、私はこれで……」

サイゾウ「なら、お返しに俺も、弟想いな所を見せねばな?」

スズカゼ「……は、はい?」

199: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 05:10:58.25 ID:gC2wNdoz0
サイゾウ「――カムイ! アクア様とタクミ様も! 次の逆ハーレムの一員は、この愚弟スズカゼでどうか!?」

スズカゼ「!? に、兄さん、何を……」

アクア「あら、悪くないわね。せっかく出てきてくれたんだし、このまま話を進めちゃいましょうか?」

アクア「といっても……スズカゼ? アナタはカムイの逆ハーレムに入る事、異論なんてあるかしら?」

スズカゼ「……いいえ、まさか。何の異論もございません。喜んで加わらせて頂きます」

スズカゼ「では、これで解決ですね。さて、それでは私も、皆さんと共に潜んで――」

アクア「待ちなさい。 癖暴露、忘れてないかしら?」

スズカゼ「…………」

サイゾウ「……どうしたスズカゼ。遠慮するな。ほら、言ってみろ」

スズカゼ「………………」

スズカゼ「」ダッシュ

アクア「あっ。こら待ちなさい! スズカゼ」

サイゾウ「往生際が悪いぞ、愚弟!」

タクミ「あっ……くそっ、やたら足速いな! 守備は低いから当たれば一発なのに!」

200: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 05:21:54.12 ID:gC2wNdoz0
カムイ「あ、あの、スズカゼさーん!? どこ行くんですかー!?」

スズカゼ「すみません、カムイ様……しかし私も、もちろん協力しますので。ほとぼりが冷めた頃に、また――」

?『―――逃がすかよっ!』シュババッ

スズカゼ「……なっ!? くっ、これは……暗器!?」

?『捕らえたぜ。……カムイ様、すみません、随分と遅くなってしまいました』

カムイ「あ……あ、あ……あなたはっ!」

?『はい。本当に……寂しい想いをさせてしまい、申し訳ございません』

?『しかし、もうご安心ください。ここからは、私も共に参ります』

?『この私が、貴女の行く道を、お支えします。……そう、今ここに!』

ジョーカー「カムイ様の、第一の従者――ジョーカー! 冥府の底より帰参しました!」

カムイ「じょ――ジョーカーさんっ!」

201: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 05:36:12.89 ID:gC2wNdoz0
スズカゼ「くっ……ジョーカーさん、あなたでしたか。さすがですね……完全に油断していましたよ」

ジョーカー「けっ、てめぇにさすがと言われても、これっぽっちも嬉しくねぇんだよ」

ジョーカー「カムイ様を前に逃げ出すとは……直属の配下失格だな。覚悟が無いからそんな事になるんだ。だったら今すぐ、直属なんて辞めちまえ」

スズカゼ「……お言葉ですが、ジョーカーさん。私は最初から潜んで、一部始終を見届けていたのですよ?」

スズカゼ「もちろん、あなたの往生際の悪い誤魔化しも……中々みっともなかったですが、それは直属として相応しい行為だったのですか?」

ジョーカー「てめぇっ……言ってくれるじゃねぇか。覚悟は出来てるんだろうな!」

スズカゼ「カムイ様の配下同士で争うなど、無益な事ですが……カムイ様への覚悟を疑われた事については、承服しかねますね」

スズカゼ「主義には反しますが、今回ばかりは、売られた喧嘩を買わせて頂きますよ」

202: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 05:38:08.71 ID:gC2wNdoz0
 ザザッ
レオン「まずいね、これは……あの二人、カムイ姉さんの直属でありながら、水に油のようだよ」

タクミ「レオン王子! キミも来たのかい……ああ、僕も少し驚いてるよ。まさかあの二人、あんなに仲が悪いなんて」

アクア「まあ元から、『カムイの直属なのに支援会話がない』辺りで、ちょっと闇深を感じていたけど……ここまでとはね」

レオン「あんなに仲が悪いのに、カムイ姉さんの直属なんてやっていけるのか……? 不仲なんて、誰よりもカムイ姉さんが嫌がりそうだけど……」

203: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 06:22:47.86 ID:gC2wNdoz0
カムイ「あ、あの、ジョーカーさん、スズカゼさん? ……二人とも、仲が悪いんですか……?」

カムイ「だとしたら、私……とても、悲しくて……」グスン

ジョーカー・スズカゼ「いえ全然、仲良しですよ?」ガシッと肩組み

レオン「はい合点がいったー! カムイ姉さんが遠心分離機のようだよ! そんな事だろうと思ったけどさ!」

タクミ「いや、レオン王子……見るんだ、あれを! あいつらっ……」

ジョーカー「いや本当、カムイ様の直属同士で仲が悪いとか、ありえませんよ」足踏みつけグーリグリ

スズカゼ「全く、ジョーカーさんの言う通りですね。この通り、私達は仲良しですよ」手甲の変な刃でグッサグサ

ジョーカー「ははっ、こいつぅ~。いい後輩を持ったもんだぜぇ~」グリグリグリグリ

スズカゼ「ははっ、やめてくださいよ先輩~。照れますって~」グサグサグサグサ

レオン「水面下で仲悪すぎるだろ! いやもう見え見えだけど!」

カムイ「わあっ、良かったですっ! 二人が仲良しさんだと、私も嬉しいですっ!」

タクミ「カムイ姉さんも騙されないで!? そいつらの仲、もう最悪だよ!?」

205: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 06:45:26.75 ID:gC2wNdoz0
アクア「本当、直属同士で呆れたものだけど……ジョーカーはお手柄ね。さあスズカゼ、ちゃんと 癖暴露していきなさい」

スズカゼ「うっ。……そ、それは……どうしても、ですか?」

アクア「あら、まだ往生際の悪い事を言うつもり? ……いいわ、それじゃ、あなただけ逆ハーレムから除外――」

スズカゼ「わ、わかりました、言いますから! わ、私は、その……カムイ様、の」チラッ

カムイ「? スズカゼさん?」

スズカゼ「っ……わ、私は、そのっ……」

スズカゼ「――カムイ様の、犬になりたいですっ!」

カムイ「ふえっ? ……ワンちゃん、ですか?」

サイゾウ(……弟が何か、変な事を言い出したぞ……)

206: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 07:36:13.55 ID:gC2wNdoz0
スズカゼ「カムイ様……お、驚かれるのも、無理はありませんが、しかし」

スズカゼ「私はカムイ様にお仕えし……命令を受け、それを遂行するたびに」

スズカゼ「貴女に褒められ、笑いかけてくださる事が……嬉しくて、仕方なかったのです」

スズカゼ「今まで、こんな事はありませんでした……なぜか寄ってくる女性に顔を褒められても、全くピンとさえこなかったのに」

スズカゼ「他の全ての言葉を足したとしても……あなたのかけてくださる、何気ない一言にさえ、足元にも及ばないのです」

スズカゼ「だから……だから、私は……」

カムイ「スズカゼさん……」

スズカゼ「貴女の犬になりたいな、と強く思うようになりまして」

レオン「なんでさ! 発想が一瞬でぶっ飛びすぎだろ! 崖下に突き落とされた気分だよ!」

207: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 07:47:40.14 ID:gC2wNdoz0
スズカゼ「き、気持ち悪いですよね……その、忘れてください。そんな事などなくても、私はカムイ様の、忠実な僕ですから」

スズカゼ「ですから……も、もう、いいでしょうか? 私も裏に潜みますので――」

カムイ「スズカゼさん」

スズカゼ「えっ……は、はい、なんでしょう、カムイ様?」

カムイ「私はスズカゼさんに、いつも助けられていますし、感謝してます」

カムイ「ワンちゃんになりたい……というのは、少し驚いちゃいましたけど」

カムイ「もちろん、スズカゼさんをそんな風に思った事は、一度も無かったんですけど」

カムイ「それがスズカゼさんの、望む事なら……私は」

スズカゼ「……カムイ様……」

208: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 08:20:44.75 ID:gC2wNdoz0
カムイ「おすわりっ、ですっ!」

スズカゼ「ワァン!」シュバブアッ

タクミ「反応速度ォ!」

カムイ「さあ、次はスズカゼさん……お手、ですっ!」

スズカゼ「ウォオンッ!」ソヒンッ

スズカゼ「……え、ええと、カムイ様……その、引かれたのでは……」

スズカゼ「いえっ、それも仕方ない事なのですが、そのっ……」

カムイ「スズカゼさん……」

スズカゼ「は、はいっ! ……っ……」

カムイ「よしよし、イイ子ですっ……よくできましたねっ♪」ナデナデ

スズカゼ「! あ……ああ、あ……」

スズカゼ「……ぁ……」

スズカゼ「……………」

スズカゼ「わ……わおーん♪」

アクア(堕ちたわね……)

209: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 08:22:38.37 ID:gC2wNdoz0
ジョーカー「チッ……みっともねぇ、見てられねぇな」

スズカゼ「! むうっ……」

レオン「いやまあ、尤もだと思うけどね……人としての尊厳さえかなぐり捨ててるし」

タクミ「いくらジョーカーといえど、呆れてもしょうがないっていうか――」

ジョーカー「……代われ」

レオン・タクミ「えっ」

ジョーカー「そこを代われ、スズカゼ……その程度の犬っぷりで、調子に乗るんじゃねぇ」

ジョーカー「カムイ様の忠犬として……誰が最も相応しく、優れているか」

ジョーカー「年季の違いを……見せつけてやるよ……!」

210: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 08:31:55.09 ID:gC2wNdoz0
ジョーカー「――というわけでカムイ様! 貴女の忠実な犬がきましたよ! わんわんわっふわふくぅーん!」

カムイ「きゃっ? ジョーカーさんもですか? えっと、では……おー手っ♪」

ジョーカー「ウォオン!」ズヒュバウン

カムイ「うふふ、よしよしですよー。では次は、えーと適当に手頃な……そーれっ、取ってこいですーっ」キノコの杖をポイーッ

レオン「カムイ姉さん、なにそのチョイスぅ!?」

ジョーカー「わっふぅ……! そいやウォーン!」パシッ

ジョーカー「……ふっ、ざっとこんなもんだぜ……」キノコの杖くわえてドヤァ…

スズカゼ「くっ……やりますね、ジョーカーさん……私も負けませんよ!」

ジョーカー「はっ……受けて立つぜ!」

サイゾウ「……弟の 癖が思った以上にアレだったのは、もう諦めるとしてだ……」

アクア「まあ、これはこれで……うまくいったの、かしら?」

カムイ「二人とも、楽しそうですっ……ふふっ♪」


 カムイとスズカゼの支援レベルがSに上がった


 ジョーカ――とスズカゼ――の支援が――ががCに――上がっ――たたた

211: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 08:36:44.53 ID:gC2wNdoz0
 ~~~CM~~~
 ファーイアーエーンブレーム♪ てーごわいシミュレーショーン♪
 勝ーって くーるぞっとー いーさましくー♪

セリカ「ソフィアに王女なんかいないわ。もう王家は滅びたのよ!」
アルム「セリカ! 待ってくれ……セリカ!」

 少女は神の力によって 平和を求めた。
 少年は戦うことで 平和を求めた。

ルドルフ「そうか、ついにきたか……この上は、是非もない」
「栄光あるリゲル騎士団として、最後の戦いを見せてやろう!」

 運命に導かれ 集う仲間達。
シルク「わたしはシルク。ミラの女神に仕えるシスターです」
パオラ「ね、セリカ。一緒にゆきましょう」
リュート「頼む、妹を助けてくれ。一緒に助けに行ってくれ!」

『生きとし生ける者 全てに 確実な死が訪れる』
『アルムよ 何故行く? この恐ろしい山の中に 一体何があるというのだ』

ジーク「きみがアルムくんか。ティータを助けてくれたそうだね。ありがとう、礼を言う」

グレイ「おとこは かおじゃない こころさ」
ロビン「なんでお前だけFC版のまんまなの?」

 進んでいく道は 二つ。

セリカ「私はこれ以上、何も望みません。だけどアルムは……なんとかアルムを、たすけてあげたい……」

 いつか必ず 交わる運命。

セリカ「あっ、アルム、たすけて……このままでは皆が……皆、死んでしまう……」
アルム「僕がきっと、助ける! きっと助けるから、僕を信じて」
     「頑張るんだよ、セリカ!」

 ファイアーエムブレム史上、初めて自軍の総戦力を表示していた、
 やり応えたっぷりの第二作『ファイアーエムブレム外伝』を大幅リメイク。
『ファイアーエムブレムEchoes もう一人の英雄王』
 ――2017年4月20日発売!!――

 ………………

カムイ「よう、俺は傭兵のカムイ。ifの事もあるし改名されるか、下手したら存在が消えそうだなって恐怖に怯えてるんだぜ」
バルボ「大丈夫だって! 最悪、改名で済むって! 信じよう!?」

 Let's play FE!!

 ~~CM終了~~

212: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 13:15:25.83 ID:gC2wNdoz0
アクア「サイゾウに続き、スズカゼも何とかなったわね。思った以上にスムーズに進んで、何よりだわ」

アクア「この調子でいけば、何とか……目的は果たせそうね」

レオン「……うん、そうだね。でもちょっと、いいかな?」

タクミ「僕とレオン王子は……暫く別行動する事にしたんだ」

アクア「あら……それはまた、どうして?」

レオン「うん。……暗夜と白夜の第一王子、つまり兄さん達の動向が気になってね」

タクミ「あんな目立つ二人に、ここまで一切出くわしてないのも気になるし……二人を捜して、様子を探ろうと思うんだ」

レオン「カムイ姉さんは、アクアに任せて大丈夫だよね? もうあと、残り少ないしさ」

アクア「なるほど。……ええ、大丈夫よ。こっちは任せてちょうだい」

タクミ「助かるよ、アクア姉さん。……それじゃ、行こうかレオン王子」

214: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 13:28:56.33 ID:gC2wNdoz0
カムイ「えっ……レオンさんとタクミさん、行っちゃうんですか……?」

レオン・タクミ「! か、カムイ姉さん……」

カムイ「うう~……寂しいです。かわいい弟達が行っちゃうなんて……けど、ワガママ言っちゃダメですよね……」

カムイ「じゃあ、せめて……弟エネルギー、今の内に補給ですっ!」ダキツキィーッ

レオン「え……わわっ、カムイ姉さん!?」
タクミ「ちょ、二人まとめて抱き着くなんて、そんなっ……」

カムイ「ふふふ、ぐりぐりー♪ はあ~、癒されますー……」

レオン「も、もう……本当に、カムイ姉さんは……」
タクミ「し……仕方ないなあ、全く……」

アクア(カムイってば、弟ズに甘々よね……弟共も、何だかんだで顔が緩みきってるけど)

アクア(ま、これくらい平和なほうがいいわよね。そうなるために……カムイは、頑張ってるんだもの)

215: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 13:32:49.34 ID:gC2wNdoz0
アクア「さて、弟達は行ったけど……私達は逆ハーレムを進めなきゃね」

アクア「カムイの直属臣下も、さっきスズカゼを攻略して、ジョーカーも合流したし」

アクア「あとは他の……ん? 直属……あら? 何か、忘れてる気が……」

カムイ「あ、アクアさん? あの、お一人、忘れてませんか?」

アクア「え。……えーと、他に誰か……いたかしら」

カムイ「い、いますよっ。ほら、私の旧友で、親友の……」

?『おーい、カムイー!』

アクア「あっ。……あ、ああ~……そうだったわね」

217: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 13:40:41.76 ID:gC2wNdoz0
カムイ「サイラスさんっ!」

サイラス「はあ、はあ……おいおいカムイ、冷たいじゃないか」

サイラス「逆ハーレムなんて大変な事……親友の俺にも相談しないなんて」

サイラス「……まさかとは思うけど、俺、また忘れられてたんじゃ……」

カムイ「こ、今度は忘れてないです、今度は!」

アクア(以前はがっつり忘れてたものね。……まあ、今は私が忘れてたけど)

サイラス「本当か~? カムイは前科があるからな~、心配だぞ?」

カムイ「も、もーっ。サイラスさんってば、ヒドイですっ。子供の頃の事を忘れてたのだって、理由はありましたし……」

カムイ「私なんかのために、騎士にまでなって……それなのに暗夜を飛び出してまで、こうして私に付いてきてくれた、サイラスさんを……」

カムイ「忘れたりなんて、するはずないじゃないですかっ!」

サイラス「……か、カムイ……ああ、そうだよな」

サイラス「その言葉だけで……俺は、すっごく嬉しいぞ!」グスン

カムイ「もう、サイラスさんってば……涙ぐまなくてもいいじゃないですか」

サイラス「ば、ばか。これはアレだ、心の汗ってヤツだぞ!」

カムイ「ふふっ、そういう事にしておきますねっ♪」

218: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 13:48:16.45 ID:gC2wNdoz0
アクア「こほん。あー……ええ、さすがカムイの親友にして騎士、見事な忠義ね」

アクア「もちろん、私も覚えてたわ。ええ、ホントよ? ……さて、というわけで」

アクア「サイラス、あなたもカムイの逆ハーレムに……加わってくれるのよね?」

サイラス「アクア様。……そんな事、聞くまでもないでしょう?」

サイラス「むしろ、遅いくらいですよ。俺がこの軍に加入するのが、なぜかやたら遅かったように」

サイラス「任せてください。カムイの親友にして、騎士であり、そして……」

サイラス「カムイを愛する男の一人として、カムイの望みを叶えてみせますから!」

カムイ「さ、サイラスさん……ありがとうございます!」

219: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 14:09:12.18 ID:gC2wNdoz0
アクア「ふふ、カムイも嬉しそうだし、よかったわ。……さて、それじゃちゃっちゃと 癖暴露してもらおうかしら」

サイラス「い、いきなりですね……でも、その話も聞いてますよ。大丈夫です」

サイラス「カムイの関わる事を……カムイとやりたい事を明かすのに、後ろめたい事なんて、何一つとしてありませんから」

アクア「ふ……よくぞ言ったわ。じゃあ、心置きなく明かしてちょうだい」

サイラス「もちろん! えーと、俺……カムイが昔、行きたいって言った場所の事、全部覚えてるんですけど」

サイラス「大人になった今、それだけじゃ味気ないなって……もっと、何かないかなって」

サイラス「そうだ、じゃあ……俺が見つけた面白そうな場所に、カムイを連れて行ってやろう! って」

サイラス「そして、カムイと一緒に楽しむぞ、というのが……最近、俺が考えてる事です」

カムイ「わあっ……素敵ですっ、楽しそうですっ!」

サイラス「だろ!? それで差し当たって行ってみたいのが……色んな街で、たまに見かける」

220: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 14:14:49.94 ID:gC2wNdoz0

サイラス「お城みたいな建物を、暗夜白夜の街、全部コンプリートしたいなって」

アクア「おっと雲行きが怪しくなってきたぞ」


222: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 14:21:17.72 ID:gC2wNdoz0
アクア「ねえサイラス、まあ私もあんまり聞きたくないけど……その建物、何の用途に使われるものか、分かってる?」

サイラス「え? さあ……でも、何だかやけに煌びやかで、派手で、一風変わってはいるけどお城みたいでしたし」

サイラス「カムイは王女様だし、きっと似合うぞ! と思って……気にかけてたんですが」

アクア「そ、そう。別にやましい事は、何もないのね?」

サイラス「え、当たり前でしょう? カムイに関してやましい事なんて、考えませんよ!」

サイラス「むしろ俺が守らなくちゃ、って思うくらいのに!」

アクア「そう……なら、まあ良かったわ」

223: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 14:27:11.07 ID:gC2wNdoz0
アクア「じゃあ、その建物の中で二人きりでいい雰囲気になっても、別に手を出したりはしないわけね?」




サイラス「え。いや、男女の関係なんだし、そこは流れ次第っていうか」

アクア「おう親友ナイト。あなたもハーレム勢じゃ、どっちかっていうと闇寄りよ」

サイラス「なんでですか! 愛する人と何やかんやしたいって思うのは当然じゃないですか! むしろ光ですよ! カムイは俺の光だし!」

アクア「良かったわねサイラス。暗夜じゃ闇はレアなほうよ。白夜と比べれば」

サイラス「暗夜も白夜も関係ないですよ! むしろ俺は共通ルートなんですから!」

アクア「そうね、どのルートでも追っかけてくるあなたには、執念めいたものを感じるわ」

アクア「……いかんせん、やっぱり闇と言わざるを得ないわね……カムイも苦労するわ」

カムイ「? そうですか? 良く分からないですけど、一緒に遊びに行くのは楽しそうですけど……」

サイラス「だよな! 俺、絶対にカムイを喜ばせてみせるから……楽しみにしてくれよな!」

アクア「……カムイは私が守護らねば……」


 カムイとサイラスの支援レベルがSに上がった

226: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 20:29:02.09 ID:gC2wNdoz0
アクア「さて……サイラスにも裏方に回ってもらったし、久し振りに二人きりね、カムイ」

カムイ「はいっ! アクアさんには、最初からずっと……それこそ、第三の道を選んだあの日から、助けられていますが」

カムイ「私には、アクアさんの支えが必要です……それは今も、痛感しているところです」

カムイ「だから……これからも、よろしくお願いしますね。アクアさんっ」

アクア「……ふふっ、もちろんよ。あなたのためなら、私は何でも出来るわ」

アクア「まあ二人きりとは言っても、裏方の男連中もいるんだけどね」

木陰<ヤイノヤイノ
物陰<オウヨオウヨ

227: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 20:32:07.29 ID:gC2wNdoz0
アクア「で、そんな裏方に回ったジョーカーからの情報なのだけれど……この近くでブノワを見たらしいわ」

アクア「だから次は、ブノワかしらって――」

カムイ「えっ。……ブノワさん、ですか?」

アクア「えっ。……ええ、ブノワだけれど」

カムイ「……そう、ですか」

アクア「どうしたの? まさか……ツバキみたいに、ブノワも何か――」

カムイ「ブノワさん……ブノワさん」

カムイ「……ブノワさんですかーっ!」キラキラキラ

アクア「!? か、カムイ、どうしたの?」

228: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 20:40:55.87 ID:gC2wNdoz0
カムイ「アクアさんっ、はやく、はやく行きましょうっ! ブノワさんですよっ!?」

カムイ「私、もう我慢できません! 近くにいるのなら、急ぎましょうーっ!」

アクア「え……ちょ、ちょっと待って、カムイ……テンションがおかしい、っていうか」

アクア「……もしかしてアナタ、ブノワの事が好――」

カムイ「だってブノワさん、かわいいんですもん! 大きくて、優しくて……」

カムイ「森のくまさんみたいです! 折れたりしません! 行きますよーっ!」ズダダダダ

アクア「あっちょっカムイ待っ速っ」

アクア「………………」

アクア「ま……マスコット的な?」

物陰アサマ(……熊鍋は失敗でしたかねぇ……控えましょうか)

229: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 20:50:31.63 ID:gC2wNdoz0
 お肉のとれる森の中

アクア「って、カムイってば、ブノワの居場所を聞かずに飛び出しちゃって」

アクア「おっちょこちょいよね……まあそういう所も可愛い……ん?」

<ギャーギャー!

アクア「この声、聞き覚えが……行ってみましょう」

230: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 20:53:22.09 ID:gC2wNdoz0
シャーロッテ「だぁーから! ウジウジしてんじゃねーっつーのよ鬱陶しい!」

シャーロッテ「カムイ様が逆ハーレムってんだから、さっさと仲間にしてもらやイイだろ!」

シャーロッテ「こんなトコでボーッと動物と戯れてる場合じゃねーでしょ! ……ブノワ!」

ブノワ「………………」

ブノワ「俺は、いい」

シャーロッテ「はあ!? ンでだよ、カムイ様のコト好きなんだろ!? なら――」

ブノワ「この軍には、優れた男がたくさんいる。強い男も、賢い男も」

ブノワ「俺のような……ただデカいだけのこわもては」

ブノワ「カムイ様の傍には……相応しくない」

シャーロッテ「っ。……あー、そーかよ、そーですか」

シャーロッテ「だったら……勝手にしろっつんだ、ばーかっ! ふんっ!」ズカズカズカ

ブノワ「………………」

ブノワ「……すまん、シャーロッテ」

231: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 21:19:21.69 ID:gC2wNdoz0
アクア「謝罪なんて、相手に聞こえていなければ、意味のない無駄口よ」

ブノワ「! あ……アクア様」

アクア「こんな所で何をしているのか……なんて、さっき聞こえてたんだけど」

アクア「ブノワ……アナタはそんなに、自分がカムイの傍にいるのは相応しくない、なんて思っているのかしら?」

ブノワ「……ああ。聞こえていたなら……そのままの通りだ」

ブノワ「俺のような、ただ体がでかいだけで、しかも顔の怖い男は、邪魔になるだけだ」

ブノワ「俺では、カムイ様を……笑わせる事も、出来ないのだから」

アクア「ブノワ。………」

アクア「その言葉、後ろを振り向いてからも、言える?」

ブノワ「……えっ?」クルッ

232: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 21:33:11.19 ID:gC2wNdoz0
カムイ「ブーノーワーさーーーんっ!」ニコニコダッシュ

ブノワ「え……か、カムイ様!?」

カムイ「やっと見つけました……とうっ!」ダキツキッ

カムイ「はあ~、やっぱりブノワさんは抱き着き甲斐がありますっ。両手いっぱい広げても、背中に届かないんですからっ」

ブノワ「か、カムイ様っ……ダメだ、そんな、俺なんかに抱き着いてはっ」

ブノワ「カムイ様には。…………」

ブノワ「抱き着くにせよ、もっと……相応しい男が、いるはずだ……」




カムイ「へ? 何でですか? 私はブノワさんに、抱き着きたいと思ったんですよ?」

ブノワ「――――!」

カムイ「というかっ、こうやって遠慮なしに力いっぱい、全身を使って抱きしめても余っちゃうほどの人なんて」

カムイ「ブノワさん以外には、いないんですからっ!」

カムイ「だから……ダメなんて言われては、傷ついてしまいますっ!」

233: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 22:10:00.20 ID:gC2wNdoz0
ブノワ「……そうか」

カムイ「はいっ。あ、それとも……ブノワさんのほうが、イヤだったりします?」アセアセ

ブノワ「いいや……そんな事は、全くない」

ブノワ「……なら、カムイ様が……カムイが、たまには遠慮せず、抱きしめられるよう」

ブノワ「傷ついたり……しないよう」

ブノワ「俺も……傍にいなければ、いけないな……」

カムイ「えっ? ……あっ、それって……逆ハーレムの?」

ブノワ「ああ。俺なんかが……いても、よければな……」

カムイ「! そんなっ……もちろんです! 大歓迎ですよっ!」ニコニコ

234: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 22:16:39.99 ID:gC2wNdoz0
アクア「…………」

アクア「お母様から、昔……繋がりの歌、というのを、教えてもらった事があるわ」

アクア「誰かを思うこと。誰かに思われること。そうやって人は繋がっていく……」

アクア「そんな歌を、あの子の……カムイの笑顔を見て、思い出したわ」

アクア「ブノワにとって……いいえ、カムイに惹かれ、カムイに導かれ、ここに集った、皆にとって」

アクア「カムイの笑顔こそが……繋がりの歌なのかも、しれないわね」



カムイ「ふふっ……これからも、よろしくお願いしますね、ブノワさんっ!」
ブノワ「ああ、そうだな……よろしく、カムイ」

235: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 22:24:48.93 ID:gC2wNdoz0
アクア「でもまあ、 癖暴露はしてもらうっていうね」

ブノワ「え。…… 癖って、まさか……あの 癖、か?」

アクア「左様。さあ、疾く。疾く、述べなさいな」

ブノワ「………」

ブノワ「………………」

ブノワ「アクア様がこわい……」ガクブル

カムイ「ああっ、ブノワさんが小動物のように震えています! かわいい!」

アクア「ほらほら、私はカムイと違って甘くないわよ。相手が誰であろうと、徹底的に追及するわ」

アクア「それはさながら借金取りのようにね。さあ、言いなさい。さあ」

ブノワ「わ、わかった。わかったから……し、しかし、 癖と言われても……」

ブノワ「うう、む……うーん、うーん……」

ブノワ「こ……こんなもので良いのか、分からないが……一つだけ」

アクア「おっ。いいわよ、何でも。さあさ、暴露しちゃいなさい」

236: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 22:33:38.65 ID:gC2wNdoz0
ブノワ「俺は、カムイの……抱き枕に、なりたい」

アクア「ほっほう。なかなかね……さりげに夜を共にする宣言とは……」

ブノワ「いや……抱き枕でなくとも、たとえば……熊のぬいぐるみや、置物でもいい」

アクア「え? それって……どういう意味になるのかしら」

ブノワ「カムイは……俺が知る限り、結構……スキンシップに飢えている」

アクア「ああ……そういえば、弟達に対しても、そんな感じが……」

ブノワ「だが……カムイには、この軍の長としての役割もある。ストレスは人一倍だろうに……その立場上、欲求が満たされない状況も、ある……」

ブノワ「だから、俺は……カムイが好きな時に、好きなだけ」

ブノワ「力一杯、抱きしめられるような……抱き枕や、ぬいぐるみに……なりたい」

ブノワ「……もちろん、カムイが、嫌でなければだが……」

カムイ「イヤです」

ブノワ「!?」

237: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 22:52:55.51 ID:gC2wNdoz0
カムイ「ブノワさんは、枕でもぬいぐるみさんでも、ありません。ブノワさんは、ブノワさんです」

ブノワ「あ、いや……それは、ものの例えというか……」

カムイ「私だけが、一方的に抱きしめるなんて……そんなの、イヤです」

ブノワ「……えっ?」

カムイ「私が力一杯、ギューッと抱きしめたいのは、単なる置物じゃないんです」

カムイ「ちゃんと生きている、ブノワさんなんです」

カムイ「それはまあ、私はブノワさんから見れば、小さく見えちゃうでしょうけど」

カムイ「私が抱きしめたら、ブノワさんからも……力一杯、抱きしめてほしいんです!」

カムイ「大丈夫です――折れたりしませんから!」

ブノワ「……そうか……そうだな……」

ブノワ「カムイの……言う通りだ……」

アクア「……ふふ、ブノワもカムイには、完敗ね」

アクア(いえ……カムイに勝てる人なんて、この軍にはきっと……いないんでしょうね)


カムイ「あっ、そうだ。竜石を使って竜になれば、抱きしめ甲斐があるかもですよ!」
ブノワ「い、いや……それは、しなくていい。というか、しないほうがいい……」


 カムイとブノワの支援レベルがSに上がった

240: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 23:36:48.64 ID:gC2wNdoz0
カムイ「はあ~……やっぱりブノワさんは最高ですっ。私の抱きしめ欲が、一気に昇華されましたっ」

アクア「カムイにそんな欲があると聞いたら、名乗り出る男共が湧いて出そうだけど……」

アクア「まあ、いいわ。ブノワにも隠れてもらったし……かなりはみ出てるけど」

ブノワ<スマン

アクア「これだけぞろぞろいたら、隠れたって今さらだものね。細かい事は言いっこなしにしましょ」

カムイ「あ、あはは……確かに、こんなに揃ってたら、目立っちゃいそうで――」

ニュクス「……あなた達、何をしているの?」

カムイ「きゃーっ。にゅ、ニュクスさんっ? いつの間に後ろに……」

ニュクス「こっそりとね。……にしても、きゃ、きゃーっ、って……ぷっ、ふふっ」

カムイ「も、もうっ。ニュクスさんってば、からかわないでくださいっ」

ニュクス「ふふっ……ごめんなさい。貴女を見ていると、つい、ね」

241: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 23:46:37.71 ID:gC2wNdoz0
ニュクス「それにしても、この集まり……例の逆ハーレム、というやつね?」

カムイ「あっ、ご、ご存知でしたか……はいっ、ちょっとお恥ずかしいんですけど……」

ニュクス「噂になってるし、今さらよ。……それに、まあ、これは私が伝えて良い事かは分からないけれど」

ニュクス「軍の女性陣は、ほぼ皆……カムイを応援しているわ」

カムイ「えっ。……そ、そうなんですか!? でも、そんな……」

ニュクス「まあ、一瞬は不満も上がったけど……カムイなら、って、満場一致でね」

ニュクス「それに、まあ……何より、最大の理由としては……」

カムイ「さ、最大の理由としては……?」




ニュクス「変人が多すぎて、こりゃもう自分達の手に負えないな、って」

カムイ「そ、そんな事ないですよ!? ちょっと個性的なだけで、皆さんとってもイイ人なんですよっ!?」

アクア(そう言えちゃうカムイの器が大きすぎるだけなのよね……やっぱりカムイ以外では、無理だわ……)

242: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/18(土) 23:52:03.22 ID:gC2wNdoz0
ニュクス「でも、そうなると……なるほど、ツクヨミの用件は、逆ハーレムに関係する事なのね」

カムイ「えっ……つ、ツクヨミさんが、何か?」

ニュクス「ん。……私は何度もやめさせようとしたし、危険性は説いたのだけど」

ニュクス「あの子は……やめなかったわ。ついに、作り出してしまったの」

カムイ「つ、作り出したって……一体、一体何を、作ってしまったというんです……!?」

ニュクス「それは……」

ニュクス「副作用の強い、危険な……薬よ」

カムイ「!!」

243: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 00:00:18.96 ID:TkFFugQE0
ニュクス「ツクヨミは、カムイのために……カムイに相応しい男になるのだと言って」

ニュクス「作り出してしまったわ……己の望みを叶える、その薬を」

ニュクス「けれど……その副作用は、あまりにも強い」

ニュクス「三日三晩は高熱が続き、全身には引き裂かれんばかりの痛みが襲い」

ニュクス「胃は食事を受け付けず、眠る事さえ出来ないほど苦しみ、なぜか突き指する」

ニュクス「そんな、恐ろしい薬を……今まさに、服用しようとしているの」

ニュクス「そう……その薬というのは――」
カムイ「すみません、ニュクスさん……私達は、行きますっ!」シュババババ
アクア「当然、私も行くわ……急ぎましょう」シュドドドド

ニュクス「背が伸びる薬なんだけどね」

ニュクス「………………」

ニュクス「あら? カムイ達……もう行っちゃったみたいね」

244: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 05:31:34.34 ID:TkFFugQE0
 風の吹く崖

ツクヨミ「ふ、ふふふ……いよいよだ。いよいよ、私の望みが叶うのだ!」

ツクヨミ「副作用など怖くない……といえば嘘になるが、少しの間、耐えれば良い事」

ツクヨミ「これを飲みさえすれば……私とて、大人に負けはせぬ」

ツクヨミ「逆ハーレムなんぞの中でも……この手でカムイを、抱きしめられるのだ!」

ツクヨミ「よしっ、飲むぞ……本当に飲むぞ! 飲むからな! いざ飲むぞ……そーれ!」

カムイ「ツクヨミさん、いけませーーーーーんっ!」ドーン

ツクヨミ「え――わあああっ!? あっ、秘薬の入った瓶が落ちてー! 風に飛ばされてー!」

ツクヨミ「崖から落っこちてー! 岩肌にガンガンぶつかってー! ……粉砕したぁぁぁ!?」

ツクヨミ「な……何をする、カムイ!? おま、あれっ、私がどれほど苦労して……」

カムイ「ツクヨミさんのバカっ!」ギュッ

ツクヨミ「苦労も吹っ飛ぶ柔らかさ!」チョウド顔に胸ェェェ

245: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 06:38:03.07 ID:TkFFugQE0
カムイ「なぜですかっ……なぜそんな、危険な薬を飲もうとしたのですっ……一体、何のために!」

ツクヨミ(背が低いとカムイに釣り合わぬと思い、背が伸びる薬を作った……などと言えるかァァァ!)

ツクヨミ「ど、どうでもよいではないか! 私がどんな薬を飲もうと、私の勝手で……」

カムイ「どうでもよくありません! ツクヨミさんが苦しい目にあおうとしているのに、どうでもよいだなんて……言わないでください!」

カムイ「そんな恐ろしいお薬になんて頼らず……私や、仲間達に……頼ってください!」

ツクヨミ「! か、カムイ……私は……」

ツクヨミ「……いや、実は、あの薬は、その……」

アクア「……まあ大方、大人になる薬とか、身長が伸びる薬なんでしょうけど」

ツクヨミ「な、なぜそれを!? ……あっ」

246: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 07:03:32.04 ID:TkFFugQE0
カムイ「ツクヨミさん……そう、なのですか?」

ツクヨミ「い、いやっ……ちが、これは、その……だ、だからな!?」

カムイ「……ツクヨミさんは確かに、いつもちょっぴり背伸びして、周りの皆さんに負けないよう頑張っています」

カムイ「けれど……だからといって、お薬で不自然に成長したとしても……それは大人になったとは、言えないのではないでしょうか」

ツクヨミ「! む……む、むむう」

カムイ「私だって、昔はとっても小さかったです。けれど、皆に支えられながら、少しずつ、大きくなっていったんです」

カムイ「その支えられていた小さい頃の時間が、無駄だとは思いません。いいえ、今だって私は、皆さんに支えられています」

カムイ「だから、私もツクヨミさんを、支えますから……ツクヨミさんも、お薬なんかに頼ったりせず」

カムイ「頑張り屋さんの、ツクヨミさんのペースで……一緒に、大人になっていきましょう?」

247: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 07:54:45.88 ID:TkFFugQE0
ツクヨミ「む、うう……えーい、私を諭すなっ! これでは本当に子供のようではないか!」

カムイ「きゃっ……つ、ツクヨミさん?」

ツクヨミ「全く……そのような事を言われては、興がそがれるわ」

ツクヨミ「だから、まあ、今回のところは……カムイの言う通りに、してやろう……」

カムイ「! ツクヨミさんっ……ありがとうございますっ!」

ツクヨミ「う、うむ。……だが、良いのか? 逆ハーレムの事は聞いておるし、私も加わるつもりではいるが」

ツクヨミ「その……自分で言いたくはないが、私のような子供でも、いいのかと……」

カムイ「もちろんですっ。私は別に、子供だからとか、大人だからとか、そんな基準で仲間を見るつもりはありません」

カムイ「ツクヨミさんはツクヨミさんのままで、だからこそ、一緒にいたいと思うのですっ」

ツクヨミ「そ、そうか……私は、私のままで……ふ、ふふ。なら、何も言うまいっ」

248: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 07:59:54.97 ID:TkFFugQE0
アクア「これでツクヨミも、逆ハーレムの一員という事ね。……じゃあ晴れて、 癖暴露でもしてもらいましょうか」

ツクヨミ「は。……な、なにっ!? いや、おぬしっ……こ、子供にまでそんな事を聞くのか!?」

アクア「普段は子供扱いされると怒るくせに、虫がいいわよ」

アクア「このアクア、相手が子供だろうと赤子だろうと、容赦はせんわ。さ、言いなさい」

ツクヨミ「くっ……こ、この鬼め……わ、わかったわ! 私は、その……」

ツクヨミ「カムイを、この手で……抱き上げたい、と思っておる」

アクア「ふむ。……それってつまり、お姫様だっこ……という形で?」

ツクヨミ「う、うむ。まあ、そうとも呼ぶな」

249: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 08:06:26.44 ID:TkFFugQE0
ツクヨミ「とはいえ、私は見ての通り、まだ少しばかり体格が足りん」

ツクヨミ「呪い師ゆえに力も弱いし、さすがにこの腕では、難しい事も承知している」

ツクヨミ「だからこそ、先の薬を使おうとしたのだが……もう、それは良い」

ツクヨミ「これから私は……カムイの言う通り、地道に精進し、成長すると決めたのだからな!」

アクア「なるほど……そう、そういう事なのね」

アクア「……………」



アクア「パラレルプルフ使えば?」

ツクヨミ「……………」

ツクヨミ「そ、その手があったか!」

カムイ(筋肉ムキムキのツクヨミさん………)

カムイ「……大丈夫です、たとえムキムキでもツクヨミさんはツクヨミさんです。折れたりしません!」

ツクヨミ「か、カムイ……!」ジーン

アクア(ツクヨミは感激してるけど……さすがのカムイでも折れない覚悟が必要なくらいなのね。ムキムキツクヨミは……)


 カムイとツクヨミの支援レベルがSに上がった

250: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 08:11:18.01 ID:TkFFugQE0
アクア「さて、ツクヨミも抱き込んだ事だし……もう、後は残り少ないわよ」

アクア「気付いているかしら、カムイ。逆ハーレムの完成まで、もうすぐという事に」

カムイ「えっ? あ……も、もうそんなにですかっ?」

アクア「ええ、そうよ。あとは、残すところ――」

<ガルルルルルッ!
<ウウウウウウ~!

アクア「……? 何かしら。向こうのほうから、獣の唸り声が……」

カムイ「あ……この声、まさかっ!」ダッ

アクア「えっ……カムイ、待って。私も行くからっ」ダダッ

251: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 09:36:54.87 ID:TkFFugQE0
フランネル「ガルルルルッ……いい加減にしろよ、ニシキ!」

ニシキ「ウウウーッ……こっちの台詞だよ、フランネルっ!」

アクア「この騒ぎ……フランネルとニシキだったのね。一体何を……」

カムイ「二人とも……一体どうしてしまったんでしょうか……!」

フランネル「もう我慢ならねえっ! 直接、分からせてやるっ!」

フランネル「獣石! オオオ……ガアアアアッ!」

ニシキ「こっちの台詞さっ! 獣石っ……ウウウ、アオーーーン!」

カムイ「あっ……二人とも、まさか本気で……!? だ、ダメですっ!」

アクア「何を揉めているのか知らないけれど……ちゃんと話し合いなさい、二人とも――」

252: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 09:43:57.50 ID:TkFFugQE0
フランネル『見ろよ! このたくましい腕、体つき! カムイは俺のほうが、ぜってー好きだって!』

ニシキ『冗談! そんな手入れしてないゴワゴワの毛皮で良く言ったね! カムイはボクの美しい毛皮のほうが、断然好きさ!』

フランネル『何をー!? このゴワゴワ感がイイんだろうが! ニシキのこんこんちきー!』

ニシキ『こっちの台詞さ! フランネルの分からず屋ー!』

アクア「殴りあって決めなさい」

カムイ「あ、アクアさん、投げっぱなしは良くないですよっ」

254: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 10:04:49.80 ID:TkFFugQE0
フランネル『あっ、カムイ、良い所にきたな! なあカムイ、お前は俺の方が好きだよな!』

ニシキ『カムイ! そんなコトないよね。ボクのほうが美しくて好きでしょ!?』

フランネル・ニシキ『……どっち!?』

 争奪戦が勃発しました。

カムイ(……………)

カムイ(私は……私の選択は。…………)

→あっちと言って逃げる。
 軽いジョーク。
 おどおどする。

 ピッ ピッ ……ピッ

 あっちと言って逃げる。
 軽いジョーク。
 おどおどする。
→どちらも選ぶ。

 ピコンッ

255: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 10:16:12.52 ID:TkFFugQE0
カムイ「フランネルさん……確かにフランネルさんは力強いですが、私はフランネルさんの力だけに魅力を感じている訳ではありません」

カムイ「フランネルさんの、素直ではないけれど、純粋な性格が……誰よりも思いやりのあるところが、私は好きです」

フランネル『カムイ……あ、ああ、俺もだ。俺だって、カムイのことが……』

カムイ「ニシキさん……ニシキさんの美しい毛皮は、確かに素晴らしいです。手入れの入念さには、常日頃からの努力を感じます」

カムイ「けれど……私は、ただ美しいから、ニシキさんの事が好きな訳ではありません。ニシキさんのいい所は、他にもあるんです」

カムイ「具体的には、モフモフ感とか」

ニシキ『か、カムイ……そんなにもボクのコトを……!』

256: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 10:20:33.11 ID:TkFFugQE0
カムイ「二人とも、良い所はたくさんあります。でもそれは、それぞれ違うモノです」

カムイ「けれど……違うからこそ、認め合える。お互いの良い部分を、見つめ合える」

カムイ「だからこそ、私は……そんな良い所をたくさん持った、大好きな二人に」

カムイ「仲良くしてほしいんです。いつものように、手を取り合って……欲しいんです」

カムイ「それは……ダメ、でしょうか?」

フランネル・ニシキ『…………』

フランネル・ニシキ「…………」ボフンッ(人化する)

257: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 10:41:46.29 ID:TkFFugQE0
フランネル「ダメなんかじゃねぇよ……俺もつい、その、意固地になりすぎたっていうか」

ニシキ「カムイのコトとなると、負けられない、って気持ちが先行しちゃってさ」

フランネル「けど……そうだよな。それで喧嘩してカムイを困らせるのは、違うよな」

ニシキ「ボク達が、間違ってたよ……ボク達がやるべきなのは、二人で手を取り合うコトだったのに」

フランネル・ニシキ「……」コクッ

フランネル「ニシキ……ワリィ! 変なことで喧嘩しちまったけど、俺達さ……」

ニシキ「分かってるよ、フランネル! こっちこそゴメン……僕達は」

フランネル・ニシキ「二人でカムイを――幸せにしよう!」握手ガシッ

カムイ「フランネルさん……ニシキさん!」

259: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 10:59:00.39 ID:TkFFugQE0
アクア「喧嘩を始めた時は驚いたけど……二人とも、収まるべき所に収まったわね」

アクア「で、二人とも? 逆ハーレムの事は知っているのかしら?」

フランネル「おう、アクア! そりゃまあ、知ってるぜ。 癖暴露とかのこともな」

ニシキ「というか、実はそれで喧嘩してたんだもんね、ボク達」

アクア「あら、そうなの? それって逆ハーレムの事でなく……多分、 癖のほうよね?」

フランネル「ああ。ま、簡単に言うと……お互いに譲れないことがあってな」

ニシキ「そう。……僕とフランネル、どっちが――」

260: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 11:04:05.06 ID:TkFFugQE0
フランネル・ニシキ「――カムイのペットに相応しいのか!」

アクア「殴りあって決めれば」スタスタ

フランネル「ちょ、待てよ、つめてーよ!」

ニシキ「真剣なんだからね、ボク達!」

カムイ「あ、あのう……ペットだなんて、お二人の事、私はそういう風には……」

フランネル「お、おう、わかってるよ! そうじゃなく、何ていうか、こう……」

ニシキ「せっかく獣化できるんだし、どっちのほうが可愛がられるか、っていうのをね?」

フランネル「張り合ってたら、まあ……あんな感じになっちゃってさ」

ニシキ「今にして思えば、無意味な争いだったけど……でもまあ、せっかくだし……」

261: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 11:06:38.96 ID:TkFFugQE0
ニシキ「カムイ……今から試しに、ボクを愛でてみるといいよ!」

フランネル「あっ、ず、ズリーぞニシキ! カムイ、俺も可愛がってくれよ!」

カムイ「えっ、えっ。じゃあ、えーと、じゃあっ……」

カムイ「お……お手っ!」

フランネル「! い、犬じゃね……くっ、手が勝手に!?」ポスーン

ニシキ「まあボクは喜んでするけどね! そいっ!」ポッスン


スズカゼ「ッ!!」ザッ
ジョーカー「てめぇじゃねぇ座ってろ」
スズカゼ「…………」スチャ

ジョーカー「ったく……」

ジョーカー「俺の出番だろうが」ザッ
サイラス「ジョーカー座ってろってば」

264: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 11:16:45.10 ID:TkFFugQE0
ニシキ「はああ~……カムイの手つき、すごくいいよー。もっと尻尾を毛づくろいしておくれよー」

フランネル「お、俺もっ……カムイ、頼むぜ!? あ、ああ~……たまんねーな……」

カムイ「ふふっ……ニシキさんの毛並は、安定のモフモフ感です。ずっと触ってても飽きませんね」

カムイ「フランネルさんの毛並も、しっかりしていて力強いです。なかなか新鮮ですね」

カムイ「はあー……モフモフ撫でるの、とっても幸せですー……」

ニシキ「う、うああ……こ、こ……コンコーン……」

フランネル「お、おおぅ……おう、おう……ウオオン……」

アクア「……獣男二人が、すっかり骨抜きね……さすがナデナデで好感度を上げるカムイの手腕だわ」

アクア「まあ、何よりカムイが幸せそうだし……これはこれで、いいわよね」


 カムイとフランネルの支援レベルがSに上がった

 カムイとニシキの支援レベルがSに上がった

266: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 11:43:45.92 ID:TkFFugQE0
アクア「カムイ、どう? 堪能した?」

カムイ「はいっ! 二人とも、とってもモフモフさんでしたっ!」

カムイ「逆ハーレムを始めた時は、私なんかで大丈夫なのか、不安でしたけど」

カムイ「弟達を甘やかせるし、皆さんともいつもよりお喋りできるし、抱き着いたりモフモフできるし……」

カムイ「はあ~……私、こんなに幸せで、いいんでしょうか……」

アクア「……これまでの変人発掘伝を真正面で見て、大変と思うどころか、幸せさえ感じられる」

アクア「カムイ……それがあなたの、すごい所よ」

カムイ「ええっ。アクアさんまで、ニュクスさんのような事を……もうっ、皆、イイ人ですってばっ」

アクア「ふふっ。……そうね、あなたはさすがだわ……」

カムイ「も、もうっ、さっきから何なんですか、アクアさんったら――」

?『――カムイよ、少しいいか?』

?『……話があってな』

カムイ「えっ? ……あ、あなた達はっ」

268: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:02:49.54 ID:TkFFugQE0
カムイ「……フウガさんに、アシュラさんっ!? び、びっくりしましたっ」

フウガ「ははは。つい思わせぶりに登場してみたが、兄上殿達でなくてガッカリさせたか?」

アシュラ「いやー……俺達のこと、忘れられてるんじゃないかって、自分から来てみたんですけどね」

カムイ「え……そんなはずないですっ。ちゃんと会いに行くつもりだったんですからっ」

アクア(……私は忘れていたなんて、口が裂けても言えないわ……)

フウガ「はっはっは、カムイは優しいな。老若の別なく、分け隔てなく接してくれるとは」

アシュラ「全くですね……そんなだから俺達も、逆ハーレムなんてもんに、素直に協力したくなったんですよね」

カムイ「えっ? ……お、お二人も、協力してくれるのですかっ?」

269: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:26:32.60 ID:TkFFugQE0
カムイ「ちょ、ちょっぴり意外です。特にフウガ様は厳格な方ですから、私、怒られちゃうのではないかと……」

フウガ「そうかな? こう見えて私も、昔はスメラギとやんちゃしていた時代もあったからな」

フウガ「それに……ここまでの苦労も、伝え聞いている。そんな若者の道を無下に妨げようなど、それは大人のする事ではないわ」

アシュラ「ええ、その通り。俺達がするべきなのは……若い連中の道を切り開く事ですからね」

カムイ「フウガ様、アシュラさん……あ、ありがとうございますっ!」

フウガ「なに、気にするな。では、老人は去り、行く末を見守りながら、茶でもすすっているとしようか」

アシュラ「お供しますよ、フウガ様。それじゃ、カムイ様……俺らは、これで」

270: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:36:34.60 ID:TkFFugQE0
アクア「待たれい、お二方」ガシッ

フウガ「うがっ」 アシュラ「んごっ」

アクア「何か忘れていないかしら? カムイの逆ハーレムに入りたいというのなら……」

アクア「 癖を暴露してもらわなくちゃ、困るのよね。……皆やってる事よ」

フウガ・アシュラ「…………」

アシュラ「ちょっフウガ様、話が違うじゃないですか! カムイ様の逆ハーレム入りに、下ネタ暴露を強要されるらしいから」ヒソヒソ

アシュラ「先手を打って自分から入れば、追求される事もなく誤魔化せるはずだって!」ヒッソヒソ

フウガ「いや、私も驚いている……まさか私達にまで、普通に聞いてくるとは」ヒソヒソー

フウガ「どうなってるんだろうな、あの子。歌姫どころか魔王の貫録というか」ヒッソソーン

アクア「二人とも、ひそひそ話しているところ悪いけれど……私、耳はいいの」

アクア「少しでも容赦されたかったら、素直に暴露しちゃいなさい?」

フウガ・アシュラ「………………」

271: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:46:10.20 ID:TkFFugQE0
フウガ「はっはっは、アクアは恐ろしいな。老若の別なく、容赦なく追い込もうとする鬼ババの精神イダダダダダ」

アシュラ「ふ、フウガ様ー!? 力強すぎだろアクア様! 鍛え上げてるフウガ様も片手で捻るとか!」

アクア「ごめんなさいね、若いもので。それじゃ……どちらから話すの?」

フウガ「………アシュラくん、ここは若者に譲るとするよ」

アシュラ「おいふざっけんなよジジイ! こんな時ばっか年寄ぶりやがって、あんたに似たんじゃねーのかツクヨミは!」

フウガ「すまんのう……わしゃ耳が遠くてのぅ……」

アシュラ「あああああ! こんのクソジジイ! 覚えとけよコラ許さんぞぉぉぉ!」

アクア「どっちでもいいのだけど。……言うなら、ちゃっちゃとしてくれる?」

アシュラ「……アクア様が怖い……ちっちゃい頃は、普通に儚かったのに……」

アクア「今は儚くなくって悪ぅございましたね。じゃ、アシュラからね、どうぞ」

アシュラ「う、うう。俺は……俺は……っ!」

272: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:51:46.44 ID:TkFFugQE0
アシュラ「かっ、カムイ様に―――  れたいですっ!」

カムイ「ふえ。……え、えええっ!? 踏むって……足で、こう、ふみふみ?」

アシュラ「うぐうっ……そ、そうです、その……されたい、です」

アクア「あらあら、アシュラったらド なのね。まさかそんな趣味があろうとは……」

アシュラ「いや違いますよ!? ド じゃないですし、カムイ様と愛し合えるなら、普通にしたいんですけど……その、何ていうか」

アシュラ「カムイ様の顔を見るたび、こう……  れたい欲求が、強くなって……」

アクア「あらあら、言えば言うほどドツボだわ。それがド じゃなければ何と――」

アシュラ「なんか、自分でも意味不明なんですけど、こう……別の世界で踏まれた事があるような、そんな錯覚が……」

アクア「…………えっ」

カムイ「? ……あ、あれっ、何だか私……?」

273: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 12:58:04.42 ID:TkFFugQE0
アシュラ「いや、なんでなのかなぁ~……ぜんっぜん、そんな趣味ないし、そんな事実は無いはずなんですけど……」

アシュラ「なぜか、こう……カムイ様に  れたいというか、それこそ俺の使命みたいなトコあるっていうか……」

アシュラ「もうちょっと具体的に言えば、カムイ様の…………靴になりたいっていうか」

カムイ・アクア「…………」

アシュラ「いや、引いちまいましたよね!? ホント、自分でも変だと思うっていうか、こんなこと言ってすいません――」

カムイ「アシュラさん、あの……私にも、何が何だか分からないんですが……本当に、ごめんなさい」

アクア「私からも、謝るわ。でもあれは、選択肢があること自体が悪いと思う」

アシュラ「何の話なんで!? 選択肢って!? ちょ……お、お二人ともー!?」

アクア(ていうか別に、アシュラを素材に作った訳じゃないと思うんだけど)

アクア(……おえ。想像したら思いのほかにエグいわ。やめましょ)

275: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 13:49:16.96 ID:TkFFugQE0
アクア「まあ、いいわ……じゃあ、最後はフウガ……こほん、フウガ様の番ね」

フウガ「うーむ。文字通り片手間に拘束されている状態で、様付けもないと思うが」

フウガ「…… 癖暴露と言われてもな、私は常日頃、修行に明け暮れる身。煩悩を制する術は心得ておる」

アクア「無い、とは言わせないわよ。あなただって、カムイが好きなんでしょう?」

アクア「それに、本当に無いなら、さっきだって誤魔化そうとする必要もないはずだし」

フウガ「……悪いが、無い袖は振れぬな。こればかりは、どうしようもあるまい?」

アクア「むう……あくまでもしらばっくれるつもりか、本当なのか……読めないわね」

?『――ちょっと待った! 私は知っているぞ、フウガ様の秘密を!』

276: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 14:26:37.23 ID:TkFFugQE0
フウガ「あっ。……はははっは。なな何を言う、ツクヨミ。なぜお前が――」

ツクヨミ「フウガ様、ここまで来て、御自分だけ誤魔化すのは、卑怯だと思うぞ」

ツクヨミ「実は……」

フウガ「ちょ、待つのだツクヨミ! それ以上はアイッタタタタタ!」

アクア「ツクヨミ、構わないわ。気にせず続けて」ギリリィ…

ツクヨミ「……う、うむ。えーとだな……風の部族の村では、なぜ風が吹いておると思う?」

カムイ「えっ? 進軍を妨げるためとか……自衛のため、でしょうか?」

ツクヨミ「まあ、一応はな。カムイ達は確か、一度……そこで私達と交戦したな」

ツクヨミ「あの時……カムイのクラスは、侍だったな」

カムイ「は、はい。あの時は確か、速さを高めたかったので……」

ツクヨミ「う、うむ。それで、その、スカートというか、前垂れが……少し、際どかったではないか……それで、その」

ツクヨミ「カムイ達は気付かなかっただろうが、実はこんな事があってだな……」

 ポワンポワン

277: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 14:36:22.79 ID:TkFFugQE0
 ~~回想~~
カムイ『きゃ……きゃあーっ! すごい風ですねっ、味方が飛ばされちゃいます……』

ジョーカー『……カムイ様、少々、身だしなみにお気を付けくださいませ』鼻血ボタボタ
スズカゼ『風が強いですからね……少し、その、スカートを気にしたほうが……』鼻血ダバダバ

カムイ『えっ? ……ふ、二人とも、大丈夫ですか!? 鼻血が……攻撃を受けたのですか!? 早く癒さないと!』ドタバタ


ツクヨミ『ふう、この風、私達にも厳しいな……なあ、フウガ様……おわあああ!?』

フウガ←うつ伏せで地べたにピトォォォォ

ツクヨミ『な……何をしておるのだ!? ふ、フウガ様……?』

フウガ『ツクヨミよ……これもまた、私の修行の一つ』

ツクヨミ『えっ? そ、そうなのか?』

フウガ『覚えておくがよい……普段とは違う目線からならば、普段は見えない光景が見える事もある……そういう事だ』

ツクヨミ『お、おおっ……何やら含蓄ある言葉だなっ!』

フウガ『ふっ……そうであろう。まあ、お前にはまだ早いが』

フウガ『いつか……分かる日が来るだろう……』鼻血ダラダラ

ツクヨミ『おおっ、鼻血が出るほどの修業を……深い、深いなフウガ様!』
 ~~~~~~

278: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 14:49:00.63 ID:TkFFugQE0
アクア「…………」腕ギリギリ
フウガ「…………」腕ギラレギラレ
ツクヨミ「…………」

ツクヨミ「……浅かったな」

フウガ「………ウス」

アクア「やれやれね……年長者がそんな事だったなんて、呆れてものも言えないわ」

アクア「カムイ、あなたはどう思う……カムイ?」

カムイ「…………」ウツムキー

フウガ「うぐ……その、あれだぞカムイ、別に私は、そんな変態じゃないというか……」

フウガ「その時だけだからな……まさかその時のカムイを忘れられなかったから、軍にまで来て参戦したという訳ではなく」

フウガ「だからその、決して――」
カムイ「……フウガ様」

フウガ「!? か……カムイ?」

カムイ「……ふ、ふ……」

カムイ「ふーがさまの……●●●///」

フウガ「上目遣い頬赤らめガッハァァァ!」鼻血噴射ノックアウッ

ツクヨミ「ぎゃああああ!? 鼻血が、鼻血がかかったぁ! なぜこっちに!? 汚い!」

カムイ「あうぅぅぅ……恥ずかしすぎて、埋まりたいです……」

アクア(おぉ……トドメを刺されながらも、何と幸せそうな顔でしょう)

アクア(ホント、カムイは最終兵器ね……最終兵器カムイだわ)

アクア「ま、さすがのカムイ……と、いうことで」


 カムイとアシュラの支援レベルがSに上がった

 カムイとフウガの支援レベルがSに上がった

279: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 14:57:05.66 ID:TkFFugQE0
アクア「……ふうっ。ついに……ようやく、ここまで来たわね」

カムイ「……あ、あの、アクアさんっ……今、数えてみたんですけど」

カムイ「兄さん達を除けば……これで皆、逆ハーレムに加わってくださったのでは!?」

カムイ「では、後は兄さん達だけ――!」

アクア「……………」

280: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 15:03:18.54 ID:TkFFugQE0
アクア「カムイ、まだよ。……あと一人だけ、忘れていないかしら?」

カムイ「えっ? あと一人、って」

カムイ「………………」

カムイ「! まさか……アクアさん!?」

アクア「気付いたようね。……そう、彼がまだ、残っているわよ」

カムイ「わ、忘れてた訳じゃありませんっ。けど……あんな事があったのに……」

カムイ「しかもあの人は、なぜか不自然なほど、私を避けて……会話すら、ままならず」

アクア「……そうね、確かに、そうよ。だけど……カムイは彼の事が、嫌い?」

カムイ「! ……いいえ、そんな事はありません……そんな事はっ」

アクア「ならば、行きましょう。この逆ハーレムを、真の意味で完成させるために」

アクア「あの、彼の所へ――そう」



アクア「――ギュンターの所へ」

281: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 15:34:54.66 ID:TkFFugQE0
 リリスの神殿の裏

ギュンター「……」

ギュンター「………?」

カムイ「ギュンターさん。……こんな所にいらっしゃたんですね」

ギュンター「……これは、カムイ様。それにアクア様も」

ギュンター「この老骨に、何か御用ですかな? 特別な任務でも? それとも――」

ギュンター「ようやく、この裏切り者の首を、刎ねに来られたのですかな?」

カムイ「……いいえ、ギュンターさん。私は、そんな事はしません」

カムイ「私は、ギュンターさんを……迎えに来たのです」

ギュンター「……ほう」

ギュンター「まさか……逆ハーレムに、などと……言うつもりですかな?」

ギュンター「……はっはっは……」

ギュンター「冗談も、程々にしたほうがいい」

282: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 16:04:55.74 ID:TkFFugQE0
ギュンター「私が透魔王を名乗り、倒された後にも言いましたが」

ギュンター「私は、私から妻と子を奪ったガロン王を……そして王族を、憎んでいる」

ギュンター「そんな私が、まさかあなたに甘い慕情を抱いているなどと、そんな夢想を抱いているなら……改めたほうがいい」

ギュンター「私の目的はあくまで、暗夜への復讐……そのために、あなたの傍にいたのですから」

カムイ「…………」

カムイ「それは、嘘です」

ギュンター「……なんと?」

カムイ「暗夜への復讐のためだけに……私の傍にいた、というのなら」

カムイ「なぜ今も、この軍にいてくれるのですか? 目的が露見したなら、その遂行は、もはや不可能です」

カムイ「それなのに、なぜギュンターさんは……まだここに、いてくれるのですか?」

ギュンター「……さて、行く所もない老人ですからな……いえ、ただの気まぐれとも」

カムイ「それに。……本当に、全てが嘘だったのですか?」

283: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 16:14:33.01 ID:TkFFugQE0
カムイ「北の城塞で、共に過ごしてきた日々も、私に教えてくれた沢山の事も」

カムイ「幼い私に優しくしてくれた事も、遊んでくれた事も」

カムイ「初陣の……旅立ちの刻、未熟な私についてきて、助けてくれた事も」

カムイ「初めて透魔の地へ降り立った時、また私を助けにきてくれた事も」

カムイ「透魔王に操られながらも、私に剣を振り下ろさず……自分の身に、剣を突き立てた事も」

カムイ「全てが……全てが、嘘だったというのですか!?」

ギュンター「…………」

ジョーカー(……ジジイ……)

カムイ「私には……そんなの、信じられません。ギュンターさん自身が何と言おうと、すぐに騙されちゃう私といえど」

カムイ「それだけはっ……信じられません!」

ギュンター「…………」

ギュンター「…………………」

284: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 16:19:51.01 ID:TkFFugQE0
ギュンター「だからといって……」

ギュンター「私が心奥では、カムイ様をお慕いしているからといって……」

ギュンター「私の罪が、許される事はないッ!!」

カムイ「! ギュンターさん……」

ギュンター「私はそれだけ、許されぬ事をした! 優しきカムイ様を、裏切ったのだ!」

ギュンター「そんな私が……今さらどの面を下げて、人並みの幸せを望む事など出来ようか!」

ギュンター「クリムゾン殿にも、申し訳が立たぬ……許されるはずがないっ……!」

クリムゾン「そーだ、そーだー」

ギュンター「そうだ! このような私が、許されてはいけないのだ!」

ギュンター「クリムゾン殿もそう言って! …………」

クリムゾン「ホントだよ。反省しなよ、全く」

カムイ「………………」

ギュンター「………………」

カムイ・ギュンター「えっ」

286: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 16:25:59.81 ID:TkFFugQE0
カムイ「…………えっ」

カムイ「………クリムゾン、さん?」

クリムゾン「うん、そうだよ。私の顔、忘れちゃったかい?」

カムイ「え、いえ、そんな事……えっ。足、えっ」

クリムゾン「足もちゃんとついてるよ。幽霊じゃないって」

カムイ「えっ。でも、えっ。……えっ、だって、あの時、確かに」

クリムゾン「いや、死んでなかったよ。気を失ってただけでね。……まあ、とはいえ」

クリムゾン「まさか胸につけてた花が散っただけで死亡判定くだされるとは思わなかったし、そのまんま埋められちゃうとはね」

カムイ「ごごごご、ごめんなさーーーーーいっ!?」

287: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 16:41:13.73 ID:TkFFugQE0
クリムゾン「いやもうホント、カムイだけじゃなく……誰も気づかないんだもんね、生きてるのに」

クリムゾン「地面から這い出た後、さすがに私も怒っちゃってさ……けど、それがいけなかったね。シェンメイってのに操られてさ」

カムイ「え……あっ!? そういえばあの時、襲ってきたのは……」

クリムゾン「うん。まあ私も、抵抗はしたんだけどね。つい、感情に流されて、操られるまま襲い掛かっちゃて……」

カムイ「クリムゾンさん……」

クリムゾン「タクミ王子とサクラ王女が号泣しながら弓撃ちまくってきた時は、今度こそ死んだと思ったよ。はははは」

カムイ「ごめんなさい本当にごめんなさい! 指示を出したの私ですごめんなさい!?」

クリムゾン「いいよもう、操られてたとはいえ襲い掛かったのも事実だし、お互い様って事でさ」

クリムゾン「それに、倒されたおかげで解放されたし……助けてもらえたからさ」

カムイ「え? 助けられた、って……だ、誰にです?」

?『私ですよ、カムイ様』

カムイ「えっ……あ、あなたは……!」

288: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 17:05:27.43 ID:TkFFugQE0
カムイ「り……リリスさん!?」

リリス『はい、カムイ様。シェンメイ様を倒された後……倒れていたクリムゾン様を見つけ、介抱させて頂きました』

リリス『支配は解けておりましたし、もう大丈夫だと判断しての事ですが……勝手な真似をしてしまい、申し訳ございません』

カムイ「い、いえっ、むしろクリムゾンさんを助けてくれたのは、ありがたいですが……」

カムイ「なぜ……なぜ、教えてくれなかったんですかっ!? 私……いえ私達っ」

カムイ「クリムゾンさんが亡くなってしまったと思って……悲しかったのにっ!」

クリムゾン「カムイ、それは……深い、深い事情があるんだ……」

カムイ「えっ……事情、ですか?」

リリス『はい、カムイ様……話せば長くなるのですが……実はですね』

 ~~~回想~~~
クリムゾン『なんか出てくの気まずいし、もうちょっと匿ってもらっていい?』

リリス『いいですよー』
 ~~回想終了~~

リリス『……という』

アクア(回想が短すぎて逆に怖いパターンだわ)

カムイ「そんな……そんな深い事情があったなんて……」

クリムゾン「私が言うのもなんだけど、カムイはそれでいいの?」

289: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 17:32:58.69 ID:TkFFugQE0
クリムゾン「ま、とにかく……私はかなり根に持つ方だから、許しちゃいないけど」

クリムゾン「私を殺したから、なんて後ろめたさは……もう感じる必要、ないんじゃない?」

ギュンター「…………」

クリムゾン「ま、私は許してないし、どーでもいいんだけど。それじゃカムイ、アクアも、私はこれで」

クリムゾン「リリスも匿ってくれて、ありがとね。楽しかったよー。さて皆、どんな顔するかな……」

サクラ<アッ、クリムゾンサン、コンニチ……エエエエエエ!?
クリムゾン<オッ。…オノレ、サクラ…コノウラミ、ハラサデオクベキカ…
サクラ<ゴメンナサイゴメンナサイ、ウッテゴメンナサイ! シャイニングボウ!
クリムゾン<ハハ、ジョーダン…オオオウアアアア

リリス『……い、一応、私も皆さんに説明してきますね。それでは……』フヨフヨ

カムイ「…………」

ギュンター「…………」

290: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 17:43:23.61 ID:TkFFugQE0
カムイ「あ、あのっ、ギュンターさん――」

ギュンター「それでも」

ギュンター「それでも、私は……カムイ様を裏切った罪を、許せません」

カムイ「! ……ギュンターさん……」

ギュンター「 癖暴露……とか、言われておりましたな。あえていうなら、私はそれです」

ギュンター「私は、自分の罪を許せない。妻子を失った過去も、カムイ様を裏切った事も」

ギュンター「だから……もう、いいでしょう。これ以上は、もう……」

ギュンター「どうか……もう、何も言わずに」

ギュンター「……お引き取りください……」

カムイ「…………」

カムイ「…………」クルッ…スタ、スタ…

ギュンター(……そうだ……)

ギュンター(これで……いいのだ……)

291: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 17:54:52.48 ID:TkFFugQE0
カムイ「…………」ピタッ

カムイ「ギュンターさん」

ギュンター「? カムイ様……まだ、何か――」

カムイ「ざっと剣、五本分です」

ギュンター「! ……カムイ様、それは……」

カムイ「昔よく投げて遊んでくれた……あの時の球。まだ……持っていましたよね」

ギュンター「…………」

ギュンター「……はい」スッ

カムイ「……良かった、まだ捨てていなくて……まだ、持っていてくれて」

カムイ「ギュンターさんは昔から、私が取りやすいように……やさしく投げてくれました」

カムイ「けれど私は、高く投げ上げられた球だけは……なかなか捕れませんでした」

カムイ「……ギュンターさん」

カムイ「賭けを、しましょう」

292: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:03:00.46 ID:TkFFugQE0
カムイ「そこからギュンターさんは、その球を、私に投げてください」

カムイ「出来る限り、私が捕りにくいように……私が、捕れない様に」

カムイ「もし、私が捕れた時は……私の勝ちです。ギュンターさんは、自らの罪を許さず、悔い続けてください」

カムイ「けれど、私が捕れなかった時は……ギュンターさんの、勝ちです」

カムイ「その時は……ギュンターさんは」

カムイ「自分を、許してあげてください」

ギュンター「! ……そのような……私にばかり、都合の良い……!」

カムイ「ギュンターさん。人は……誰かの代わりには、なれません」

カムイ「だからこそ、唯一かけがえのない、大切なものを奪われ……許せないという気持ちは、分かります」

カムイ「だけど……許してあげてください。たった一人、傷つき続けているその人を、許してあげてください」

カムイ「ギュンターさん自身を――許してあげてください」

293: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:10:17.31 ID:TkFFugQE0
ギュンター(……私は、許されて良いような人間では……ない)

ギュンター(カムイ様に……許される資格など、ない)

ガロン『言う事を聞くようになるまで、このムチでカムイを叩き続けろ! これは命令だ!』

ギュンター(あんな男の下らぬ命令に、従ってたまるかと……幼いカムイ様の目の前で、鞭を丸め……その場に叩き付けただけだ)

ギュンター(それなのに……カムイ様は、勘違いなさっただけだ。球遊びだと……丸めた鞭を拾い、私に投げ返して……)

ギュンター(…………)

カムイ『ギュンターさん……楽しいですねっ』

カムイ『ギュンターさん……ありがとうございますっ』

ギュンター(………………)

ギュンター(もしも……許されると、いうのなら……)

ギュンター(一度だけ……ただの、一度だけで、いい)

ギュンター(今、この時の……ただの、一度だけ)

ギュンター(……………………)

294: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:13:50.19 ID:TkFFugQE0


ギュンター「いきますぞっ―――カムイ様!」

カムイ「―――はいっ、ギュンターさんっ!」



295: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:18:53.44 ID:TkFFugQE0
アクア(ギュンターの投げ上げた球は……事情を知らない私から見ても)

アクア(空高く舞い上がった……とは、お世辞にも言えなかった)

アクア(まるで、罪の重さを一身に背負ったように、ゆっくりと、低く飛んでいった球は)

アクア(カムイが捕れないようには、まるで見えなくて)

アクア(………………)

アクア(だけど、手を伸ばし、微笑んだカムイは)

アクア(ゆっくりと、ゆっくりと、飛んでくる球を)

アクア(まるで、その罪を……)

アクア(―――許すかのように―――)

296: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:21:02.04 ID:TkFFugQE0
 …… …… …… …… 

 カムイと*ギュン@ターのC援レBルがggがgAに上が#ったtったた

 ………………… …………… ………
 …………

 カムイとギュンターの支援レベルがSに上がった

297: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:37:01.35 ID:TkFFugQE0
アクア「さあ……これで残す所は、あと二人」

カムイ「はいっ! アクアさん……ついにここまで来たんですねっ……」

アクア「ええ。あとは、問題の……長兄ズ」

カムイ「マークス兄さんと、リョウマ兄さんだけですっ!」

アクア「ええ、本当に……」

アクア「本っ当~~~~~~に、大変だったわ」

カムイ「あ、アクアさんの言葉が、真に迫ってます……!」

298: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:44:00.85 ID:TkFFugQE0
カムイ「ですが、あとは兄さん達の協力を得られさえすれば、逆ハーレムは完成です」

カムイ「皆が、真の意味で手を取り合えるんですっ……私は、それが嬉しくてっ」

アクア「ええ……そうね、カムイ。実は私も、最初のほうは、さすがに無茶かと思ったけれど……」

アクア「今では……あなたなら、簡単にやれちゃいそうな気もしているわ。ふふっ」

アクア「……けれど、ちょっと気になるのは……問題の二人の動向ね」

アクア「レオンとタクミが探ってるはずだけど、どうなってるのか――」

レオン「カムイ姉さん、アクアっ!」

タクミ「たっ……大変だよっ!」

カムイ「あっ……レオンさーん、タクミさんーっ! 久し振りですーっ!」ダキツキィィィ

レオン「わっ、か、カムイ姉さんったら……はしゃぎすぎだよ」デレデレ

タクミ「本当に、もう……し、仕方ないんだからさ」デレデレ

299: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:52:08.27 ID:TkFFugQE0
レオン「……って、そんな場合じゃないんだよ、大変なんだって!」

アクア「落ち着いて、二人とも。大変っていうのは……リョウマとマークスの事?」

タクミ「あっ……そ、そうだった! そうなんだ、兄さん達が!」

レオン「と……闘技場で!」

レオン・タクミ「一騎打ちを始めちゃったんだよっ!!」

カムイ「えっ。……一騎、打ち?」

アクア「………えっ」

カムイ・アクア「………………」

カムイ「えっ……えええええええっ!?」

アクア「マジか」

 ――来たる、最終局面――

300: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:57:14.73 ID:TkFFugQE0
 ~~CM~~
 三年インビジ組!
 帰ってきたカムイ先生!

カムイ「ミタマさんの句には……寝ていたい、ああ寝ていたい、寝ていたい。……??」

ドアガララッ
リョウマ「カムイ! 白夜王国に帰って来るんだ!」
サクラ「姉さまっ……」 ヒノカ「カムイ!」 タクミ「ッ……」

窓ガシャーン
マークス「カムイ! 暗夜王国に……戻って、こい(イケボ)」
エリーゼ「お姉ちゃんっ!」 カミラ「ああ、カムイ……」 レオン「姉さん……」

カムイ「そんな、皆さん……私は、私の選ぶべき道は……」

 ミコト女王やリョウマ達のため、白夜軍の防衛に協力
 ガロン王やマークス達のため、暗夜軍の侵略に協力
 どちらにも協力しない
 大乱闘に参戦する
→新たなる戦場で無双乱舞する

 ピコンッ!

301: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 18:59:30.60 ID:TkFFugQE0
カムイ「ファイアーエムブレム無双に参戦しますっ!」ズバッズバッ

リョウマ「何をやっているんだ、カムイ!」

カムイ「ごめんなさい皆さん! 私は千人斬りせずにはいられないのです!」ズバズバーン

マークス「どちらにもつかないどころか、まだ情報不足の戦場に参せお前こそが真のFE無双よ!」(台詞キャンセル発動)

サクラ「しかしこのゲーム、すごく面白そうですよ!?」
エリーゼ「あたしもおねえちゃんと一緒にあそびたーい!」

カミラ「……私の出番はあるのかしら」
ヒノカ「ヒーローズではカミラ王女は目立ってたな。なぜ私じゃない? 胸か、胸の差か?」

レオン「そもそも、姉さんは出られるのかな。公開された映像だと、確か……」
クロム『俺の出番は……あるぞッッッ!!』
タクミ「夜刀神は出てたし、出られるんじゃないかな」
レオン「誰だ今の」

♀ルフレ<スイマセン、オジャマシテ……カエリマスヨ、クロムサン。トロン!
クロム<アアアッ! ワキニ、ワキニササッタァ!

カムイ「私は選びましたっ……ファイアーエムブレム無双で、一騎当千する道を!」

 シミュレーションRPGの王道ファイアーエムブレムと、
 戦場を暴れ回る一騎当千の爽快感、無双が融合!
 新ハード「Nintendo Switch」と、「Newニンテンドー3DS」で開発中
 『ファイアーエムブレム無双』――2017年秋、発売予定!


 キーンコーンカーンコーン

ジークベルト「……クラスチェンジ、間に合うかな……」
シノノメ「チャイルドプルフ使おうぜ」

 ~~CM終了~~

305: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 22:13:29.00 ID:TkFFugQE0
 闘技場

マークス「………………」

リョウマ「………………」

リョウマ「フンッ! フンッ! トリャア!」ザンッ ザンッ ズアッ

マークス「ムウンッ……ハアアアアアアッ!」ズンッ… グオオッ

リョウマ・マークス「オオオオオオオ!」ガキィィィン!

306: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 22:16:27.93 ID:TkFFugQE0
カムイ「に、兄さん達がっ……本当に、一騎打ちしちゃってますっ!?」

アクア「暗夜と白夜……黒白二剣が相打って、まるでOPムービーのようね……」

カムイ「恐ろしい、文字通りの剣幕です……二人とも、全力ですっ……!」

アクア「ええ……とんでもない気迫だわ……」

アクア「………………」

アクア「ただ……どうしても、気になる事があるのだけれど……」



マークス「――ウオオオオッ!」←ワインボトル装備

リョウマ「ルアアアアアアッ!」←大根二刀流

アクア「アレでよく、剣戟の音を出せるなって」

カムイ「れ、冷静に見てる場合じゃないですよーっ!?」

307: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 22:23:20.57 ID:TkFFugQE0
アクア「まあそうね。……二人とも、やめなさい! よりによって第一王子が、軍内で何をしているの!」

リョウマ・マークス「!」

リョウマ「アクアか……邪魔をするな」

マークス「私達は、決着をつけねばならぬ」

リョウマ「どちらのほうが、真にカムイの兄として、そして夫として相応しいか」

マークス「カムイの全てを支える者として……相応しいのは、どちらか」

リョウマ「白黒はっきりつけるための戦いだ!」

マークス「たとえ誰であろうと……何人たりとて!」

リョウマ・マークス「邪魔は……許さんっ!」ガキィン!

アクア「………………」

308: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 22:28:52.75 ID:TkFFugQE0
アクア「カムイ、仲裁」背中をポンッ

カムイ「あっはい。……兄さん達、やめてくださいっ、話を聞いてくださいっ!」

リョウマ「可愛い妹の頼みなら」ピタッ
マークス「断る訳にはいかないな」ピタッ

カムイ「ふ、二人とも……ありがとうございますっ!」

アクア「よし。……それで、どうしてこんな争いを始めたの? 原因は一体、何なの?」

リョウマ「それは……いや、他者に知らせるような事ではない」

マークス「うむ。これはあくまで、我々の問題だからな」

アクア「………………」

309: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 22:34:48.85 ID:TkFFugQE0
アクア「カムイ、聞いて」背中ポンッ

カムイ「あっはい。……兄さん達、どうして……どうして二人が、戦っているのですか?」

カムイ「お願いです。理由を……教えてください。でないと、私……私……」

カムイ「……悲しくて……涙が……」ホロリ

マークス「あああ、わかった、何でも教える! だから泣かないでくれ、カムイ! お前の涙だけは見たくない!」

リョウマ「本当に悪かった! 飴いるか!? 煎餅もあるぞ!? そうだ、大根を剥こうか!?」

レオン「うん、カムイ姉さんはナニ? アクアの操り人形なわけ?」

タクミ「背中ポンッてしたら動く絡繰りなの?」

カムイ「うう……いえ、兄さん達が戦ってるのみたら、頭が真っ白になって、言葉も出なくて……」

カムイ「アクアさんにポンッとしてもらったら、ようやく声が出ました……」

レオン「あのポンッは気付けかなんかなの? 歌以外にも変な力ありすぎでしょ」

312: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:07:36.45 ID:TkFFugQE0
アクア「それで……二人とも? 一体なんで、一騎打ちなんてしていたの?」

リョウマ「む。う、む……それは、まあ、その……」

アクア「決着をつける、とか言ってたけど……まさか、カムイを巡ってじゃないでしょうね」

アクア「だとしたら、逆ハーレムの話は、二人の耳には届いてないのかしら?」

マークス「いいや、無論、聞いている。そしてそれを……私達は、否定しない」

リョウマ「ああ。俺達はカムイが第三の道を選んだ時、カムイを信じてやる事が出来なかった……」

マークス「だから、今度こそは……カムイが選んだ道を、妨げる事はすまいと」

マークス「いや……カムイが選ぶ道を迷わず肯定し、支えようと誓ったのだ」

カムイ「マークス兄さん……リョウマ兄さん……ありがとうございますっ……!」

アクア「……待って。それなら、なおさら解せないわ」

アクア「カムイの道を支えると言いながら……なぜ今、二人は争っているの?」

アクア「あなた達は……この決闘で、一体何を得ようとしているの?」

リョウマ「……それは……」コクリ
マークス「……うむ」コクリ

313: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:11:54.12 ID:TkFFugQE0
リョウマ・マークス「カムイの第一夫の座だ」

カムイ「……ふえっ? だ……第一夫?」

リョウマ・マークス「つまり、カムイの……一番の夫、という事だ」

カムイ「…………」

カムイ「え……ええっ!? 一番の、って……それはっ」

アクア「ちょ、待って……待って! それは……それだけは、今言っちゃ……」

レオン・タクミ「――聞き捨てならないな」

アクア「……ああ、もう~……」

314: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:24:24.41 ID:TkFFugQE0
レオン「カムイ姉さんの……第一夫、だって? まあ本妻に対する本夫、という言葉もあるくらいだけどさ……」

タクミ「それを二人だけで勝手に決められるのは……甚だ不本意だよ」

レオン「僕達だって、カムイ姉さんを愛している……はっきり言うよ。それだけは、ここの誰にも負けない自信がある」

タクミ「僕だって、同じだ。そしてそれは、影から見守っている皆だって、同じはずさ」

物陰<ソウダ、ソウダー!
柱陰<フザケンナーカネカエセー

マークス「……ふむ。だが、カムイの第一夫として相応しい物を探すとすれば」

リョウマ「両国の第一王子のどちらか、と考えるのが……普通ではないか?」

マークス「それとも……割って入ってみるか? 力尽くで」ジークフリートォォォ

リョウマ「挑戦を受けて立つのも……王の責務だからな」雷神刀ォォォ

タクミ「ふん……望むところだよ。……軍隊らしいじゃないか」風神弓ゥゥゥ

レオン「それしか選択肢が無いなら……勝って、手にするだけさ」ブリュンヒルデェェェ

レオン(………………)

レオン(正直、神器的に僕だけ自信ないとは言い出せない)

315: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:38:26.50 ID:TkFFugQE0
アクア(……そんなの……)

アクア(誰が一番、とか言い出したら……)

アクア(誰も彼もが、自分がカムイの一番だ、と主張し始めたら……)

アクア(カムイを狙って、皆がおかしくなってた最初と……何も変わらないじゃない)

アクア(ここまで来て……振り出しに、戻っちゃうなんて……そんなの……)

アクア(お願い……誰か、誰か……)

アクア(この流れを……変えて……!)




カムイ「――――やめてくださいっ!!」

アクア(! か……カムイ!)

316: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:43:50.37 ID:TkFFugQE0
カムイ「やめてくださいっ……私なんかの事で、争わないでください……」

カムイ「一番が誰か、なんて……そんな事で、争わないでくださいっ……」

カムイ「皆で……笑って、いたいんです……みんな一緒に、幸せに……」

カムイ「私の、大好きな……キョウダイ達の、ようにっ……!」

キョウダイ達「!!」

カムイ「だから、お願いです……私にとっては、皆が同じくらい大好きな人なんです……」

カムイ「だから、もう……もう、争わないで……!」ポロポロ

317: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/19(日) 23:51:47.38 ID:TkFFugQE0
マークス「カムイ」

マークス「………………」

マークス「すまなかった、カムイ……」頭に手をポン

カムイ「……マークス、兄さん?」ポロポロ

マークス「私達が、どうかしていた。お前の気持ちも考えず、こんな事で争うなど」

マークス「お前の事を、本当に愛している男の……する事では、ない」

マークス「何度でも言う。すまなかった、カムイ」

マークス「私達は、もう、決して争ったりなどしない」

マークス「だから、もう……泣かないくれ」

マークス「私は……」

マークス「お前の涙を見るのが……一番、辛い」

318: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:06:11.43 ID:5SEuEvve0
レオン「……僕達も、どうかしてたよ。ごめん……カムイ姉さん」

タクミ「頭に血が昇ってた。……本当に、すまないと思う」

カムイ「レオンさん……タクミさん……」

レオン「はあ……らしくないよね。冷静さを失って、カムイ姉さんを悲しませるなんて」

タクミ「本当……馬鹿だったよ。こんな事、当のカムイ姉さんが望んじゃいないのに」

レオン「マークス兄さんの言う通りだ。カムイ姉さんの涙を見て……実感したよ」

タクミ「僕達が、一番恐れるのは……カムイ姉さんが、泣いてしまう事なんだって」

レオン「だから。カムイ姉さんが望むなら……皆が平等だ」

タクミ「逆ハーレムの皆が、平等に……同じ、キョウダイのような、関係に」

レオン・タクミ「それで……いいよね?」

カムイ「っ……はい……はいっ!」

319: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:11:33.51 ID:5SEuEvve0
マークス「リョウマ王子。……リョウマ王子も、それでいいだろう?」

リョウマ「………………」

リョウマ「ふっ、聞かれるまでもない。当然だ」

カムイ「! リョウマ兄さんっ……」

リョウマ「全く……一番を決める必要はない、皆で平等などと、むしろ一番難しい事だ」

リョウマ「それなのに、涙を流しながら、それでも迷わずに、その道を選ぼうとする」

リョウマ「それが皆を、幸せに出来る事だと、信じているのだろうな」

リョウマ「全く……お前には、いつまで経っても、勝てる気がしない」

リョウマ「だが……そんなお前だからこそ」

リョウマ「俺の心を……惹きつけて、やまないのだろうな」

カムイ「……リョウマ兄さんっ……ありがとう、ございます……!」

320: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:21:19.34 ID:5SEuEvve0
マークス「ふっ……恰好つけるな、リョウマ王子」

レオン「ははっ、マークス兄さんが言えた事かい?」

マークス「おいおい、お前は私の味方をしてくれないのか?」

レオン「そうじゃないさ。ただ……僕達は平等なキョウダイだからね。誰に味方するにせよ、平等にさ」

タクミ「ははっ。まあ、リョウマ兄さんがカッコつけなのは事実だよ。しょっちゅうさ」

リョウマ「おいおい、今度はお前がマークス王子の味方をするのか? 全く」

マークス「はははっ! 全く、兄というのは苦労が絶えないな」

リョウマ「はっはっは! いや、全くだ……うむ。ふう……さて、それでは」

マークス「うむ? どうした、リョウマ王子……何かあるのか?」

321: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:22:16.97 ID:5SEuEvve0


リョウマ「今から、誰がカムイの『最初の男』になるかの議論にシフトする方向で」

マークス「おいコラ待て海老」



323: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:27:12.09 ID:5SEuEvve0
カムイ「えっ、えっ……りょ、リョウマ兄さん、最初の男って、つまり、その」

カムイ「……~~~///」プシュー

カムイ「そ、それは……また今度で、いいのでは……ない、でしょうかっ」

カムイ「そんな大事なことでは、ない、ですしっ。私もその、心の準備が、ですねっ」

リョウマ「はっはっは。これは大事なことだぞ、カムイ。ちゃんと議論せねばな」

リョウマ「いいか、カムイ……こういう言葉がある」両肩に手をポンッ

カムイ「こ……言葉? それは、えっと、どのような……」

325: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:39:43.76 ID:5SEuEvve0
リョウマ「『選べる●●は、一つだけ』」

カムイ「~~~~~~~/////」プッシュゥゥゥゥ

マークス「リョウマ王子ェア! 純粋無垢なカムイに卑 な言葉を聞かせるなァ!」




リョウマ「でも!! 最初は大事だろが!!!!」

リョウマ「本音言うと!!! なりたいだろが!!!!!!」

リョウマ「男の!!!! 浪漫だろが!!!!!!!!」

マークス「………………」

ポワンポワン

326: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 00:46:47.68 ID:5SEuEvve0
~~妄想~~
カムイ『マークス兄さん……お願いです。私に、剣だけでなく……教えてください』

カムイ『男のひとに、愛されるという事の喜びと……その悦びを』

カムイ『あなたが……最初に、刻み付けてください』

カムイ『私の……心と、カラダに……❤』
~~~~

マークス「うん、まあ」

レオン「おいこらマークスゥ!」

マークス「呼び捨てはやめろ。傷つく」

327: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:06:02.83 ID:5SEuEvve0
レオン「ああもうっ、どいつもこいつも! カムイ姉さんの初めてを、野獣のように狙うなんて……」

レオン「だったら……せめて僕が、優しく教えるしかないな! 先生だし!」

タクミ「人の事を言えるか!? だ、だったら僕にだって……その権利はあるっ!」

マークス「待て! カムイに優しく手ほどきするのは……兄である私の役目だ!」

リョウマ「ふざけるな、俺とて兄だ! そして男である以上……譲れんっ!」

とても仲の良いキョウダイ<ワーワー! ギャーギャー!

カムイ「け、結局争うんですか!? もうもうっ……やめてくださいーっ!」

アクア(――いいえ、違う! 流れは、確かに変わったわ!)

アクア(カムイの作り出してくれた、このチャンス……無駄にはしないっ!)

328: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:16:16.99 ID:5SEuEvve0
アクア「待ちなさい――リョウマ、マークス! あなた達、大切な事を忘れていない!?」

アクア「カムイの初めてがどうのと言う以前に、あなた達はスタートラインにも立っていないのよ!」

リョウマ「!? それは……」
マークス「どういう事だ!?」

アクア「決まっているでしょう……ここにいる男達は、カムイの逆ハーレムに加わる者は、誰もが通った道」

アクア「そう、まだあなた達が、やっていない事」

アクア「――― 癖を、暴露しなさいっ!」

329: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:23:52.74 ID:5SEuEvve0
マークス「…… 癖、だと? それは、つまり……」

リョウマ「ふっ……何かと思えば、そんな事か」

マークス「むっ、リョウマ王子?」

リョウマ「暗夜は知らんが……勇猛で知られる白夜の第一王子は、その程度では動じん」

リョウマ「聞きたければ、聞かせてやろう。良く聞け……」

リョウマ「俺が常々、カムイについて〝if ~ひとり想う~〟妄想だ」

アクア(人にif使われるとなんかムカツクわね)

330: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:31:43.16 ID:5SEuEvve0
――――――――
仄暗い地下室
カムイ『……………』

カムイ『……うぅ……』鎖ジャラ…

リョウマ『……カムイよ、気分はどうだ?』

カムイ『! に、兄さんっ……リョウマ兄さん!』

カムイ『ここは、どこなんですか……皆は……キョウダイ達は、どこへっ……きゃっ!?』

リョウマ『カムイ……他の者の事など、気にするな』顎クイッ

リョウマ『お前は、俺さえ見ていれば……それでいい』

カムイ『な、なにをっ……こ、怖いです、リョウマ兄さん……ここから、出してください!』

カムイ『皆に……会わせて、くださいっ……!』

331: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:40:46.58 ID:5SEuEvve0
リョウマ『……皆には、もう……会えない。いや、お前はもう、誰にも会えない』

カムイ『なっ……リョウマ、兄さん……何を、言って』

リョウマ『お前がここにいるのを知っているのは、俺だけだ。俺は誰にも、ここを教えん』

リョウマ『今は、憎んでくれてもいい。だが……知っておけ。お前には、もう……俺しか』

リョウマ『――俺しか、いないのだ』

カムイ『! あ、ああ……そんな、そんなのっ……』

カムイ『……っ! う、ううっ……』

リョウマ『……まだ、分からんだろうな。だが、すぐに分かる』

リョウマ『じきに、俺を待ち侘びるようになる。俺に会いたいと、願うようになる』

リョウマ『俺の事しか考えられず、俺を想うだけで体が火照り、俺だけが世界の全てになる』

リョウマ『それが、お前にとっての……幸せなのだ』

カムイ『うっ……う、ううっ……あっ……』

カムイ『あああっ――――』

リョウマ『その日が来るのが……楽しみだ、カムイ。その時こそ、俺達は、二人で』

リョウマ『 幸 せ に、 な ろ う な 』

――――――――

332: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 01:48:03.58 ID:5SEuEvve0
一同「………………」

リョウマ「……あと、ついでに言っておくが」

リョウマ「割と結構、本気だ」

リョウマ「具体的に言うなら……そうだな、例えばだが」

リョウマ「仮に俺とカムイが敵対したとして、カムイの身内が風土病に罹り、白夜にしかない薬が必要になった時」

リョウマ「薬の身代わりにカムイを要求して、今言った事を実行しようと思うくらい本気だ」

アクア「なにその見て来たかのような具体的な例え。真顔で言うのやめてくれる」


次回 【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 後編