【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 中編

333: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 02:00:59.12 ID:5SEuEvve0
カムイ「りょ、リョウマ兄さん……私、私、皆と一緒にいられなくなるの、イヤです……」

カムイ「お、お願いです……どうか、どうかそんなこと、考えないでください……」ウルウル

リョウマ「おっ、カムイ、そんな愛らしい涙目で見上げないでくれ……子作りするか?」

タクミ「――オラァァァァァ! カムイ姉さんに近づくな海老外道がァ!」

レオン「カムイ姉さんはこの身に変えても守る! 近づかせないぞコラァァァ!」

リョウマ「はっはっは、どうしたんだ二人とも。やけに仲良くなったものだな」

タクミ「うるせぇ寄るなぁ! 今の僕は近接射撃スキル覚える勢いだぞウラァ!」

レオン「かかってこ……ん? ……あれ?」

 ~♪ ~~♪♪

引用元: 【FEif】♀カムイ「逆ハーレム……ですか?」 




 

334: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 02:16:28.93 ID:5SEuEvve0
アクア『ユラリ、ユルレリ……♪ 泡沫、想い、巡る、秤……♪』

レオン「アクア? 何で今、歌って……」

タクミ「――兄さん、兄さん!? 急にどうしたんだ!?」

リョウマ『ウ、ウウ、グ、オオッ……ウゴオオオ……!!』

レオン「えっ? ……なっ!? ど、どうしたんだ!?」

タクミ「わ、わからない……けど、アクア姉さんが歌い出したら、急に苦しみだして」

アクア『伝う水脈……♪ その手が、拓く、未来は……♪』

タクミ「一体、何が……う、うわあっ!?」

リョウマ『オ――ゴアアアアアア!』オエー
スメラギ『――ウオオオオオオ!』

タクミ「りょ……リョウマ兄さんの口から、すっ……スメラギ父上!?」

レオン「霧みたいだし、なんか禍々しいけど……って、あ」

アクア『ユラリ、ユルレリ……♪』

スメラギ『あ、ああ、あ……――――』

レオン「……消え……た」

335: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 02:47:29.55 ID:5SEuEvve0
カムイ「あっ……リョウマ兄さんっ! ……気を失っちゃってます……」

マークス「……アクア、今のは一体……」

アクア「……人は誰しも、心に光と闇を持つわ。透魔王に操られたスメラギ王は、私達の手によって倒され、光へと還る事が出来たけれど」

アクア「残った闇が、最も近しい息子であるリョウマに憑りつき、彼を蝕んだ。その闇が……性癖暴露によって、表に出たの」

アクア「それを私の歌で、浄化したわ。もう手遅れだった暗夜王とは違い……リョウマは、間に合ったようね」

タクミ「……いや、でも! あのスメラギ父上に……一体、どんな闇があったと……!」

アクア「ん。……そうね、具体的に言うなら……つまり」



アクア「どこからともなく亡命してきた素性の知れないやたら胸の大きな女性を王城で匿ったかと思いきや、前妻がバリバリ存命にも関わらずいきなり正王妃に据え、後事の全てを素性の知れないままのその人に託しちゃった挙句、二回目の死に際には実の子供たちも見てる前で『私は彼女を本当に愛していた』とか言っちゃう」

アクア「そんな闇よ」

タクミ「ん~聞くんじゃなかった! 本物だよ、最大級の白夜の闇だよ! 表に出しちゃいけないヤツだよコレ!」

336: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 03:14:13.29 ID:5SEuEvve0
アクア「サクラが生まれたのがどのタイミングだったかによって、また闇深議論が白熱しそうなところね」

タクミ「もう止めよう!? この話に触れるのは! 下手したら白夜崩壊、待ったなしだよ!」

アクア「まあまあ。とにかくこれで、リョウマも大丈夫なはずよ。だから安心して……」

カムイ「あっ……リョウマ兄さんが、目を覚ましました!」

一同「!」

リョウマ「む、むう……? ここは……ん? カムイ……皆も、どうした? そんな心配そうな顔をして……」

タクミ「……りょ、リョウマ兄上、大丈夫? 僕らの顔、分かる?」

リョウマ「うむ? もちろんだ……が、記憶が少し飛んでるな。性癖暴露……云々の辺りから」

タクミ「……あ、あのさ、リョウマ兄さんに聞きたいんだけど」

タクミ「もしもカムイ姉さんが一人きりで、隙だらけで、簡単に攫われちゃいそうなのを見た時」

タクミ「リョウマ兄さんは……ど、どうする?」

338: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 03:23:34.44 ID:5SEuEvve0
リョウマ「? それは当然……カムイに注意喚起して、ぴたりと離れず護衛し、共に安全な場所まで移動するに決まっているだろう?」

タクミ「りょ……リョウマ兄さんだ! リョウマ兄さんが帰ってきたよ!」

リョウマ「俺は一体、どこに行ってたんだ? おい、タクミ……タクミ?」

カムイ「リョウマ兄さん……よ、よかったです~……」

リョウマ「むっ? カムイ……ふっ、どうした、そんなに気の抜けた顔をして」

リョウマ「綺麗な顔立ちが台無しだぞ。まあ……そういうお前の顔も、可愛らしいが」

カムイ「ふ、ふあっ!? リョウマ兄さんってば……な、何を言うんですか、もうっ!」

リョウマ「はっはっは。むくれたところで、愛くるしさに変わりはないな、はっはっは」

タクミ「……うん、見てるとちょっと腹立たしいけど……ちゃんと正気に戻ったみたいだ」

タクミ「一先ず、何とかなって……本当に、良かった――」

339: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 03:52:47.21 ID:5SEuEvve0
リョウマ「じゃ、改めて  りするか、カムイ」

カムイ「ふえっ」

タクミ「おいまだ白いヒゲダルマ残ってるぞー! アクア姉さん、浄化して浄化ー!」

アクア「私は見れば何となくわかるんだけど、残念ながら、あれは素よ。純粋な 欲に、光も闇もないわ」

タクミ「じゃあアレがリョウマ兄上の正しい性癖かよ! あけっぴろげすぎだろ! 誘うにしても、少しはオブラードに包めよ!」

レオン「タクミ王子も、苦労するけど……まあこれで、なし崩し的に性癖暴露も済んだな」

レオン「……そういえばさっきまで、カムイ姉さんの初めてを……って騒いでたのに、いつの間にか、そんな雰囲気じゃないし……」

レオン「……まあ言い出したのは闇リョウマ王子だし、そんな話はしなくていいか。……それよりも、今は」

カムイ「りょ、リョウマ兄さん……近いですってば! だ、抱き寄せようとしないでくださいーっ!」

リョウマ「はっはっは、照れているのか。カムイは可愛いな……俺の宝物だ……」

マークス「ええいリョウマ王子、貴様! カムイに淫らな真似をするのは止せ!」

レオン「……あの直情 欲王子を止めるのが先決だ! カムイ姉さんを離しなよっ!」


 カムイとリョウマの支援レベルがSに上がった

340: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 04:08:06.89 ID:5SEuEvve0
タクミ「ふう……にしても、まさかリョウマ兄上に、あんな悪霊が憑りついてたとはね」

レオン「自分の実父を悪霊呼ばわりとは、タクミ王子もなかなかだね」

レオン「……まあうちも、よそ様の家の事は言えたものじゃないけど……」

レオン「……いや、よそ様の事を言えない、という意味じゃ……」チラッ

タクミ「……ああ」チラッ

マークス「む、どうしたレオン、タクミ王子も」

レオン・タクミ「………………」

レオン・タクミ(逆ハーレムのラストが、コレかぁ~……)

マークス「何やらとても失礼な視線を感じるぞ。なんなのだ、二人とも」

341: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 04:42:54.99 ID:5SEuEvve0
アクア「さて、マークス。……性癖暴露、最後はアナタだけど」

マークス「うむ? ……それは、その……どうしても、しなければならないのか?」

アクア「ええ、もちろん。皆もやってきた事だし、ちゃんと――」

レオン「ちょちょ……ちょっと待った! あのさ、アクア、もしかしてなんだけど……」

レオン「アクアが性癖暴露なんて妙な事を言い出したのって、リョウマ王子みたいに変なものに憑りつかれている人を探るためなんじゃ?」

レオン「それなら納得だし……それなら、マークス兄さんには聞かなくても――!」

アクア「? いえ……全然そんな事は考えてないわ。リョウマの中からヒゲダルマが見つかったのは、ただの偶然よ」

レオン「……ああ、そぉ……(一縷の望みが……)」

レオン「……い、いやでも、意味が無いなら尚更、暴露なんてする必要は――!」

342: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 04:51:52.34 ID:5SEuEvve0
マークス「待て、レオン。……これは逆ハーレムの皆が、やっている事なのだろう?」

マークス「ならば私だけがそれを逃れるなど、それこそ道理に合わんだろう。待ってくれているカムイに対しても、失礼だ」

カムイ「どきどき……マークス兄さんのセイヘキとは、何なのでしょう……?」

レオン「……い、いや、だけどさっ!」

マークス「ふっ……兄を庇おうとしてくれる、お前の気持ちは……嬉しく思うぞ。だが、もう何も言うな」

レオン(いや違うよ……違うんだって! マークス兄さんの暴露はヤバそうだから、止めたいんだって!)

レオン(だって最近は口を開けば『鎧が……邪魔だな?』しか言ってなかったんだよ!? 今は姉さんがいるから普通に喋ってるけど!)

レオン(そんな兄さんが暴露する性癖なんて……何が出るか、分かったものじゃない)

レオン(もしかしたら……暗夜の歴史に残る汚点になるかもしれないのに……!)

343: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 04:59:55.27 ID:5SEuEvve0
マークス「では、始めるか。……うむ、確かにこれは、恥ずかしいな……」

マークス「だが。暗夜の第一王子として、逃げる訳にはいかん!」

レオン(暗夜の第一王子だからこそ逃げてー!? 空気を読んでー!?)

アクア「ふふっ……頼もしいわね。じゃ、ちゃっちゃか暴露してもらいましょうか」

カムイ「わあっ、楽しみですっ。マークス兄さん、応援してますねっ」

マークス「ふっ……カムイに応援されれば、頑張らない訳にはいかんな。……ゆくぞっ!」

レオン(ああ、ダメだ……カムイ姉さんの、あのキラキラした期待の視線からは、僕だって逃げられない)

レオン(こうなったら……もう、意外にも光でありますように! 暗夜の闇じゃありませんように!)

レオン(――最悪、『けだもの』だけは勘弁してくださいっ!)

マークス「うむ。そうだな……まず、要点から言うとだな。私は、カムイに……」

344: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 05:09:22.51 ID:5SEuEvve0
マークス「鎧を、脱いで欲しいのだ」

一同「……………」

一同(やっぱり、『けだもの』だった……)ハァ~…

レオン(ダメっぽい……)ズーン

カムイ「鎧を……ですか? で、でも……鎧を脱いじゃったら、戦場で危険ですよ?」

マークス「うむ。……だからこそ、鎧を脱いで欲しいのだ」

レオン・タクミ「…………は?」

アクア「………ふーん?」

345: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 05:14:10.07 ID:5SEuEvve0
レオン「ちょっと、兄さん……どういう意味? 危険でも、いいってこと?」

タクミ「返事によっちゃ、ただじゃ済まないよ。僕の弓でハリネズミにしてやる」

アクア「剣一本で、放り出すっていうの? 追い剥ぎされた訳でもあるまいし……いくら何でも、許されないわよ」

マークス「いや。……剣も、持って欲しくない」

アクア「……なんですって?」

マークス「竜石も、魔道書もだ。槍だろうと、弓だろうと……持って欲しくない」

レオン「っ……兄さん! どういう事!? カムイ姉さんが敵に滅茶苦茶にされてほしいとでも言うの!?」

346: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 05:33:06.74 ID:5SEuEvve0
レオン「っ……何が性癖だ、最低だよ、そんなの! キョウダイの……いや、男の考える事じゃない!」

レオン「カムイ姉さんは……女の子なんだ! 守ってあげないとダメなのに、そんな――」

マークス「その通りだ、レオン。私は、カムイに……戦ってほしくなど、ないのだ」

レオン「…………」

レオン・タクミ・アクア「えっ?」

リョウマ(………ふむ)

347: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 06:06:54.61 ID:5SEuEvve0
マークス「私は幼い頃から、カムイを見てきた。あの北の城塞にいた、あの頃からだ」

マークス「小さなカムイは、可憐な花のようで……風に吹かれれば手折られそうなほどに儚かった」

マークス「争い事が嫌いで、皆が笑っているのが好きで、誰よりも優しい少女だった」

マークス「だが、そんなカムイも成長し、剣を取り、一人前の戦士となり……」

マークス「いつの間にか、私には考えられなかった道を選ぶほどに……大きくなった」

マークス「だが今、この軍の中心として、皆を束ね、最前線で戦うカムイは……」

マークス「誰よりも優しい少女だった、あのカムイとは、違うのか?」

マークス「いいや、違わない。何も、違わない」

マークス「カムイは、昔も今も、ずっと変わらないまま」

マークス「争い事が嫌いで、皆が笑っているのが好きで、誰よりも優しい」

マークス「――カムイの、ままなのだ」

348: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 06:58:25.20 ID:5SEuEvve0

マークス「誰よりも先頭に立ち、誰よりも勇敢に戦う……そんなカムイが」

マークス「戦いが起こるたびに胸を痛めている事を、私は知っている」

マークス「誰よりも優しいカムイが、戦いに出る為……鎧を身にまとうたび」

マークス「私は、胸が張り裂けそうになりながら……願う」

マークス「争い事など無い世で、陽だまりの下で、カムイが皆と笑い合えますように、と」

マークス「鎧ではなく、幼い日のように……可憐なドレスを、身に纏って」

マークス「私の隣で、ずっと……幸せに、笑ってくれますように、と」

マークス「だから私は、戦いが終わる日を夢見て……カムイに、こう言うのだ」

マークス「争いのない世の、お前の姿を想像しながら……私は、こう言うのだ」

マークス「……なあ、カムイ?」

349: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 06:59:19.70 ID:5SEuEvve0



マークス「鎧が、邪魔だな……?」




350: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 07:11:06.24 ID:5SEuEvve0
レオン・タクミ・アクア「………………」

マークス「カムイの力が、この軍には、まだ必要だろう」

マークス「カムイは、まだ……戦わなければ、ならないだろう」

マークス「だがいつか、そんな日が、来なくて済むように」

マークス「カムイが、二度と……邪魔な鎧など、着なくても済むように」

マークス「私は、強くなると決めたのだ」

マークス「カムイを一生守り抜き、幸せにする事こそが……私の望む、全て」

マークス「それこそが……私の、性癖だ」

レオン・タクミ・アクア「………………」



アクア「あの……けだもの要素は?」

マークス「けだもの? なんだそれ、ガンズとかか?」

アクア「………………」

351: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 07:25:09.31 ID:5SEuEvve0
アクア「し、信じられないわ。まさか、壊れた暗夜王症候群を患ってると思ってた、あのマークスが……」

アクア「『鎧が邪魔だな』の意味に……そんなイイ話じみたポエムを混ぜ込んでるなんて」

レオン「……ははっ、そっか……そうだったね。何でこんな事、忘れてたんだろう」

アクア「? れ、レオン?」

レオン「元々、マークス兄さんは……カムイ姉さんに、甘かったよ」

レオン「そのクセ不器用だから、黙々と剣の素振りをするだけの事もあったけど……」

レオン「北の城塞での最後の稽古の時、超手加減しまくってた上に、カムイ姉さんがちょっと怪我しただけで龍脈まで使って休ませたり」

アクア「何それ甘いどころかドロ甘じゃない。過保護にも程があるでしょ」

352: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 07:50:10.70 ID:5SEuEvve0
レオン「そんな兄さんだから、カムイ姉さんに対して 情ばかり表に出すのは、良く考えればおかしいんだよ」

レオン「あれだけカムイ姉さんを大事にしてたんだから。……確かに過保護だけどね」

マークス「むう。……そんなに私は過保護か? これでも厳しくしているつもりだが……」

リョウマ「いいや、マークス王子……気持ちは良く分かるぞ」

マークス「! リョウマ王子……」

リョウマ「暗夜にカムイを攫われていた頃、俺もカムイを救うため、自らを鍛えていた」

リョウマ「先ほどマークス王子が、カムイの為に強くなると言っていたのと、同じにな」

マークス「……ふっ、そうか。どうやら弟達だけでなく、我々も似た者同士のようだな」

リョウマ「ああ、そうかもな。だが……どうやら俺達の姫君は、御不満らしいぞ?」

マークス「なに? それは一体、どういう……」

カムイ「マークス兄さん――剣を構えてくださいっ、えいっ!」竹刀アタック

マークス「か、カムイ!? ぬ……ぬおおっ!?」ワインボトル

353: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 08:00:28.47 ID:5SEuEvve0
マークス「きゅ、急に何を……何か怒っているのか、カムイ!?」

カムイ「……マークス兄さん、どうです? 私は、弱いですか?」

カムイ「ただ守られる事しかできない……弱い女ですか?」

マークス「え……?」

カムイ「マークス兄さん。私は確かに、争いは好みません。この戦いを終わらせるため、全力を尽くします」

カムイ「だけど……戦うたび、ただ傷ついて、嘆いてるだけと思われるのは、心外です」

カムイ「皆と一緒に……こんな私を信じて付いて来てくれた、仲間と共に戦える事が、私は嬉しいんです」

カムイ「そして……幼い日から、私に剣を教えてくれた……」

カムイ「マークス兄さんの隣で戦える事が、嬉しいんです」

マークス「! ……カムイっ……」

354: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 08:11:18.23 ID:5SEuEvve0
カムイ「戦いが終わって、皆と一緒に笑い合える日は、必ず来ます」

カムイ「けれど、私は守られるだけじゃ、イヤです」

カムイ「私だって、マークス兄さんを、守ってみせます」

カムイ「だから、幸せになるのなら……」

カムイ「一緒に、幸せになりましょう?」

マークス「……ああ、そうだな……」

マークス「カムイ、お前がいるのなら……私は必ず、そうなるだろう」

マークス「なぜなら、私はずっと、昔から……」

マークス「お前と一緒にいられる事が……幸せだったのだから」

カムイ「―――はいっ!」

355: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 08:25:19.61 ID:5SEuEvve0
マークス「カムイ……これからは、剣だけではない。もっと色々な事を、お前に教えよう」

マークス「逆ハーレムの一員とはいえ……男として、愛というものを教えよう」

カムイ「は、はいっ……でも、剣よりも難しそうです。だ、大丈夫でしょうか?」

マークス「ふ……当然だ。幼い頃からお前を見続けてきた、私自身が教えるのだぞ?」

カムイ「! そ、そうですよねっ……よろしくお願いしますね、マークス兄さん!」

マークス「ああ、無論だ。……なに、お前が案じる事はない」

マークス「私に任せておけば、大丈夫だ。お前に……全ての愛を、教えてみせよう」



マークス「マークスの指南槍(隠喩)で」

一同「イイ話で終わらせろっ!」


 カムイとマークスの支援レベルがSに上がった

356: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 08:44:59.13 ID:5SEuEvve0
アクア「……これで……」

アクア「これで、ついに……逆ハーレムが、完成したわね」

カムイ「は、はい。アクアさん……何だか大変だった割に、呆気ない気もしますけど」

カムイ「けど……これで皆が、真に手を取り合えるようになるんですよね……」

カムイ「これで皆が……キョウダイのように、仲良くなれるんですよねっ!」

カムイ「……あの、アクアさん?」

アクア「………………」

357: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 08:54:01.40 ID:5SEuEvve0
アクア「ふふっ」

アクア「ふふ……ふふふ……」

アクア「――ふふふっ!」

カムイ「あ、アクアさん? ……アクアさんがこんなに声を上げて笑うなんて、珍しいです……」

アクア「ふふふ……ああ、ごめんなさい、カムイ。ちょっと……嬉しくってね」

カムイ「えっ? 嬉しいって……あっ、もしかしてアクアさんも、皆が仲良くなれる事を喜んでくれてるんですかっ?」

アクア「ええ、そうね……ある意味、その通りよ。ふふっ……最高の結果よ、これは」

カムイ「わあっ。そうですよね! 皆で仲が良いのが、一番ですしっ」

アクア「ええ、そうね……それじゃ、最後の仕上げを手伝ってくれるかしら?」

アクア「さあ……カムイ……こっちに、おいでなさい……?」

カムイ「え? は、はい……アクアさんがそう言うなら――」

359: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 09:00:42.35 ID:5SEuEvve0
レオン「―――アクアから離れるんだ、カムイ姉さん!」

カムイ「へ? れ、レオンさん?」

アクア「! ……あら、どうしたの、レオン」

タクミ「動かないでよね。……少しでも妙な動きを見せたら、容赦なく撃つよ」

アクア「……あら、タクミまで……一体、どうしたのかしら、二人とも」

カムイ「! なっ……タクミさん、なぜアクアさんに矢を向けるんです!?」

カムイ「ダメですっ、弓を下ろしてくださいっ!」バッ

タクミ「どいてよ。……といっても、アクア姉さんを信じ切ってるカムイ姉さんの事だ」

レオン「納得できる理由が無いと、どいてくれない事は……分かってるよ」

カムイ「と、当然ですっ。一体なぜ、アクアさんに……」

レオン「――理由があるからだよ。それを今から、カムイ姉さんに教えてあげる」

アクア「……ふーん」

360: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 09:24:50.62 ID:5SEuEvve0
レオン「そもそも最初から、僕は……いや、タクミ王子も、アクアを怪しく思ってたんだ」

タクミ「ああ。そもそも白夜暗夜の混成軍で逆ハーレムなんて、滅茶苦茶だ……怪しく思わないほうが、どうかしてる」

レオン「だからこそ……僕達二人は協力する事にした。アクアの真の狙いを、探るために」

レオン「ほら……途中、僕達は一時的に別行動を取ったろ? あの時からさ」

タクミ「二人で調査し、考えるためにね。残念ながら……手がかりもなく、手探りの状況じゃ、決定的な証拠は掴めなかった……けど」

レオン「この逆ハーレムを完成させた時、何が起こるのか。一体、どんな利益を得られるのか……考えた末に、僕達は思い至った」

アクア「ふーん。……何が起こるのか、ね。なかなかいい所を突いてるわ……」

アクア「さすがね、二人とも。私の、真の目的が何か……本当に、分かっちゃったのかしら?」

タクミ「! ふふんっ……甘く見ないでよね、アクア姉さん」

レオン「アクア、キミのその答えが……そして逆ハーレムが完成した時の反応が、僕らの推測の信憑性を裏付けたよ」

361: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 09:48:15.35 ID:5SEuEvve0
 ~~探偵パート~~

タクミ「この軍は、暗夜と白夜の混成軍――しかし両国の第一王子と第二王子が所属しているという、異常な状態だ」

レオン「更に、各国の未来を担う王子全てが、軍の長であるカムイ姉さんに……自分で言うのもなんだけど、夢中になってる」

タクミ「いや、王子達だけじゃない。軍に所属する実力者揃いの男達、全てが……カムイ姉さんに首ったけだ」

レオン「そんな皆を、手中に収められれば……それはもはや、暗夜と白夜を手に入れたも同然」

レオン「その手段が……カムイ姉さんに男共を骨抜きにさせる、逆ハーレム。しかも……性癖暴露なんていう弱みを握った上で、ね」

タクミ「そう、この性癖暴露は迂闊だったね……怪しすぎたんだよ、これは」

タクミ「アサマが言ってた通り、逆ハーレム入りの敷居を上げるだけなのに……アクア姉さんは、頑なに強行した」

レオン「だからこそ僕達は、この結論に辿り着いたんだ。……そう、つまり!」

362: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 09:56:03.96 ID:5SEuEvve0
 ~~法廷パート~~
タクミ「カムイ姉さんの逆ハーレムとは、仮の姿――その実態は!」

レオン「暗夜と白夜、そして透魔まで――裏から手を引き実効支配する、隠れた国家共同体!」

タクミ「即ち、カムイ姉さんを傀儡とし、男共を利用して実現する――三国支配!」

レオン「それこそが――アクア、キミの狙いだっ!」

 ババァ――――z____ン!

レオン「」ドヤァ…
タクミ「」ドヤヤァ…

363: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 09:56:33.40 ID:5SEuEvve0
アクア「……」

アクア「………………」

アクア「…………………………………」





アクア「は………はい?」

レオン・タクミ「………あれっ?」

364: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 10:02:03.28 ID:5SEuEvve0
アクア「あの……二人とも、何を言ってるの、大丈夫? 三国支配? ??」

レオン「えっ、いや、あの……ち、違うのかい?」

タクミ「なんかもう、『これだ!』って感じだと……思ってたん、だけど……」

アクア「いえ、考えてもないわ。むしろこっちがビックリしてるくらいよ」

アクア「というか、何と言うか……まあ、ねえ」

アクア「……男の子って、そういう陰謀論とか憶測するの……好きよね」

レオン・タクミ「………………」

レオン・タクミ「~~~~~///」ボッ

リョウマ「……まあタクミは、思い込んだら止まらない所があるからな」

マークス「ああ、うちのレオンも……昔、外に出られなかったカムイを城から連れ出して、星を見せに行こうとした事もあってな」(暗夜編ドラマCDオススメ)

リョウマ「はっはっは、そちらもなかなか苦労している」

マークス「はっはっは、なに、お互い様だ」

レオン「やめろぉ! 生温かい目で見るなァ!」

タクミ「身内の苦労話で共感するなァ!」

366: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:09:51.84 ID:5SEuEvve0
カムイ「うーん、私も別に、アクアさんの事を疑ったりはしてませんでしたが……」

カムイ「レオンさんとタクミさんは、ちゃんとアクアさんに謝らなきゃダメですよ?」

カムイ「言いがかりになっちゃったんですから、謝らないと……お姉ちゃん許しませんっ」

タクミ「うっ! ……わ、わかってるよ!」

レオン「この上、恥の上塗りなんて恰好悪すぎるからね……え、えーと」

タクミ「アクア姉さん、その……ごめん。なんかレオン王子と調査してると、テンション上がっちゃってさ」

レオン「うん……なんかこう、使命感みたいなものに突き動かされて、歯止めが利かなくなっちゃって」

オーディン『わかりますよレオン様!』

レオン「けど、カムイ姉さんの言う通り……言いがかりだったのは事実だ。……本当にごめん、アクア」

367: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:15:26.41 ID:5SEuEvve0
アクア「いいわよ、別に。私は全然気にしてないわ」

タクミ「い、いや……それは、本当かい? 怒ってるなら、正直に言ってくれても……」

アクア「本当だってば。というか、気にしているように見える?」

レオン「う、うーん……全く見えないけど……無理してるんじゃ、って……」

アクア「だから、無理なんてしてないってば。大丈夫よ、このくらい」



アクア「メンタル強すぎて『アクアが真の黒幕なんじゃ?』と多くのプレイヤーから色んなルートで疑われた私にしてみれば、このくらい屁でもないわ」

タクミ「なんか良く分からないけど切ないな!」

レオン「まあ確かに、アクアのメンタルの強さは異常だけどさ……」

368: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:24:01.09 ID:5SEuEvve0
レオン「け、けどさ。じゃあ……さっき急に笑い出したのは、何だったの?」

アクア「だから言ったでしょ。嬉しかったんだってば」

タクミ「い、いや……まるで黒幕が正体を現す時のような笑い方だったけど」

アクア「失礼ね。私は基本、あの笑い方よ。まあ言葉足らずだったのは認めるけど」

レオン・タクミ(……そういう思わせぶりな所が、黒幕とか疑われるポイントじゃないかなぁ……)

レオン「じゃ、じゃあ……一体何が嬉しかったんだい? 思わず笑っちゃうほどにさ」

タクミ「逆ハーレムが完成したら、何かが起こる……って口ぶりだったけど」

レオン「カムイ姉さんを招きよせてたし……一体、何をしようと……?」

アクア「ああ」

アクア「…………」

アクア「えーと、それは……あー……」

タクミ「アクア姉さん? ……なんか、珍しく歯切れが悪いね?」

369: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:27:24.72 ID:5SEuEvve0
アクア「だから、その……私の目的、というか、やりたかった事、というか……」

アクア「結論から言っちゃうと、その……ね?」

レオン「ね? って言われても……はっきり言ってくれなきゃ、分からないよ」

アクア「う。……だから……っ、だ、だからあっ」

アクア「~~~~~~」



アクア「わ、私もカムイと、支援Sになりたいのっ!」

レオン・タクミ「………へっ?」

370: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:41:28.92 ID:5SEuEvve0
アクア「……なんかハッキリ言っちゃったら、落ち着いてきたわ。じゃ、説明するけど」

タクミ「やっぱメンタル強いな! ……そ、それで、うん、どういう事?」

アクア「……そもそも逆ハーレムなんて、無茶な話よ。倫理的に、道徳的に、とかじゃなく……出来ないのが当然なの」

レオン「それはまあ……普通なら皆、認めないだろうしね」

アクア「……まあ、分からない所は適当に聞き流して」

アクア「とにかく、それでも私達は、逆ハーレムを強行したわ。その結果、本来ならあり得なかった道が開き始めた」

アクア「具体的に言えば……ジョーカーとスズカゼの間の支援」

ジョーカー(……そういや、なんか不本意ながらコイツと息が合いだしたな)
スズカゼ(忠犬大決戦を御覧じた、あの時くらいですかね……)

アクア「そして……ギュンターよ。彼は本来、気兼ねしてか……カムイとは絆を繋ごうとはしなかった」

ギュンター(……その通りだ。何があろうと、と心に決めていたのに……私は……)

アクア「勘違いはしないでね。それを可能にしたのはカムイだし、カムイとギュンターの意思があってこその話よ」

371: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 19:53:54.35 ID:5SEuEvve0
アクア「けれど、おかげで……『世界の理(システム)』とでも言うのかしら、それを超える事が出来た」

オーディン<ホホウ!
ラズワルド<スワッテテ

アクア「そして私にとって、実は重要だったのは……ゼロ、あなたとカムイの支援よ」

ヒョッコリ
ゼロ「ん、俺ですか?」

アクア「ええ。仮にだけど……カムイが男の子の世界があるとして、同性にも拘わらず好意を抱いちゃったとしたら」

アクア「あなた、♂カムイと結ばれる事、出来るでしょう? 吝かじゃないんじゃない?」

ゼロ「うーん、実際なってみないと、何とも言えませんし、俺自身はこっちのカムイの事で身も心もイッパイですが」

ゼロ「……まあ可能性はありますね。何しろ俺ですし」

アクア「でしょ。だから……私がカムイと結ばれるため、必要だったのよ」

レオン「……せ、性癖暴露については?」

アクア「それは普通に、面白いかなと思って」

タクミ「動機ひっどいな!?」

アクア「冗談よ。何でもいいから、支援会話の代わりになるものが欲しくてね。……そんな訳なんだけど、理解できたかしら?」

372: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 20:30:14.25 ID:5SEuEvve0
レオン(……よくよく思い返せば、思い当たる節はいくつもあったんだ)

タクミ(最初から潜んでたサイゾウやスズカゼからも、調査の時に聞いてみたけど……)

アクア『押し倒したいドヤ顔ね。……じゃなく、話が早くて助かるわ』

アクア『私はカムイのために……カムイの事だけを想って、行動してるの。そこに嘘偽りは、微塵も無いわ』

アクア『わかるわ』 レオン『わかるの!?』

アクア『ふふ……さすがはカムイね、いい踊りだったわ。思わず私も歌いたくなるくらい』

アクア『……カムイは私が守護らねば……』

アクア『……ふふっ、もちろんよ。あなたのためなら、私は何でも出来るわ』

アクア『ふふっ。……そうね、あなたはさすがだわ……』

レオン「あれって、全部……」
タクミ「……そういう事、だったんだね」

373: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 20:42:14.59 ID:5SEuEvve0
アクア「そもそもね」

アクア「私とカムイに支援Sが無い事が、おかしいじゃない」

アクア「『同性婚あるで』と知った時、『あ、私の事だな』と確信を持ったわ」

アクア「しかし蓋を開けてみると、全ルートで内容の違いはあれど、A止まり」

アクア「カムイのために、カムイを支え、『こいつ黒幕じゃね?』と疑われても挫けなかった私が」

アクア「カムイと支援Sできないなんて、おかしいじゃない!」

アクア「私だって、私だって……」

アクア「♀カムイとイチャイチャする権利はあるはずでしょうっ!?」

レオン「アクアの心からの叫びが怖い!」
タクミ「こんなに感情を表に出すとか、珍しすぎるんだけど……」

374: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 20:53:06.88 ID:5SEuEvve0
カムイ「……アクアさん」

アクア「か、カムイ。……ごめんなさい、その……いきなりこんな」

カムイ「はい。すっごく驚いちゃいました、まさか女の子同士で、そんな……」

アクア「う。……そ、そうよね……気持ち悪かったら、ごめんなさい」

アクア「あなたがイヤなら、もちろん私は身を引くから、気にしないで――」

カムイ「いいえ。驚きはしましたけど……気持ち悪いなんて、思ってません」

アクア「! か……カムイ」

カムイ「私のために頑張ってくれて、皆が手を取り合える道を示してくれて……」

カムイ「私なんかの事を好きになってくれる、そんなアクアさんを……嫌いになんて、なれません」

カムイ「だから……こんな私で良かったら、これからも……よろしくお願いしますっ」

アクア「カムイ……そんなの、当たり前でしょ……」

アクア「鑑映しのような運命を持つ、私達だからこそ……」

アクア「ずっと……一緒よ……」


アクア「というわけで、暫し茶番の続きにお付き合い頂くわ」

レオン・タクミ「一体何が始まるというんだい!?」

375: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:02:42.72 ID:5SEuEvve0
 ――――――
カムイ「うーん、アクアさん、いつもの泉にいけば会えるでしょうか……ん?」
 ~♪ ~~♪♪

カムイ「あ、この歌声は……アクアさん! おーい、アクアさーんっ」

アクア「! カムイ……びっくりしたわ。今日も国の事について話をしにきたの?」

カムイ「あ、えーと、今日は何だか寝付けなくて……国の事じゃなくても、アクアさんとお喋りできたらな、と……」

カムイ「あっ、そうです! アクアさん、私に子守唄を歌ってくれませんか?」

アクア「……子守唄を?」

カムイ「はいっ。母から子へと、するように……そういう記憶は、私にはおぼろげにしかありませんから」

カムイ「こ、子供っぽくて、恥ずかしいですけどね。……ダメですか?」

アクア「……ふふっ、そんな事はないわ。いいわ、子守唄ね……母から子へ、するように」

アクア「それじゃあ。………………」

カムイ「……アクアさん?」

アクア「……ごめんなさい、それは……出来ないわ……」

カムイ「えっ? あ、アクアさん?」

376: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:11:05.94 ID:5SEuEvve0
アクア「母から子へとするようには、できない……私はあなたに、そういう風に歌えない」

カムイ「え、ええっ!? 何か私、アクアさんの気に障るような事でも……」

カムイ「もしかして、歌の邪魔をしちゃったから……いえ、行き当たりばったりの采配に怒って……」

カムイ「ううっ、思い当たる節が多すぎます。アクアさん、ごめんなさいっ!」

アクア「違うわ……違うの。そうじゃないの……だって、私は……私は」

アクア「カムイ、あなたの事を……愛してしまったんだもの……」

カムイ「えっ。……え、ええーっ!? あ、アクアさん!?」

アクア「……ごめんなさい、気持ち悪かったわよね。金輪際、こんな事は言わないわ」

アクア「もう、あなたには近づかない。迷惑はかけないから、せめてこの戦いが終わるまでは……」

カムイ「ちょちょ、ちょっと待ってください! 勝手に話を進めないでください!」

カムイ「確かに、その……驚いちゃいましたけど。……けど、イヤでは……ないです」

アクア「え……か、カムイ?」

377: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:19:38.55 ID:5SEuEvve0
カムイ「……私も、アクアさんと同じ気持ちです。言われてから気付くなんて、情けないですけど」

カムイ「私も……アクアさんの事を、愛しちゃってたんだと思います」

アクア「……カムイ……!」

カムイ「話をしたいとか、歌を聴かせてほしいとか言って、私は結局、アクアさんの隣にいたかっただけなんです」

カムイ「そして、アクアさんの事が大切で……アクアさんを、守りたいんです」

アクア「カムイ……私だって、そうよ。私達は鏡に映したような二人だからこそ、巡り会えた」

アクア「だからこそ……たとえ世界が敵に回っても、二人の絆は永遠だと、信じているわ」

カムイ「はい、アクアさん。私はどんな事があっても、あなたから離れません」

カムイ「世界を敵に回しても……アクアさんを、守ってみせると」

アクア「ありがとう……カムイ」

カムイ「今ここで、誓います。アクアさん……私達は、ずっと一緒です」

 私はずっと……あなたのことが、好きだった……
 この世界なら、私たちきっと幸せになれる
 もう二度と……離さないで……

 ――――――

378: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:20:15.22 ID:5SEuEvve0
 カム………クアの ………………に…………

 カムイとアク ………………………上がった

 カムイとアクアの支援レベルが …………… 



 カムイとアクアの支援レベルがSに上がった!

381: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:28:09.59 ID:5SEuEvve0
アクア「――とっても満足よ」ツヤツヤ

タクミ「でしょうね!」

レオン「好き放題してくれちゃってさ!」

アクア「はあ~……ようやく目的を完遂できたわ。これで全てが上手くいきそうね」

タクミ「? まあ……カムイ姉さんを好きな気持ちは分かるし、文句は言わないけどさ」

レオン「逆ハーレム……と言っていいのか分からないけど、まあアクアもその中の一人として、対等に――」

アクア「……はい? 何を言っているのかしら」

レオン・タクミ「……えっ?」

384: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:33:50.68 ID:5SEuEvve0
アクア「そもそもね、カムイを巡って軍内の雰囲気を悪くしたり、カムイの初めてが誰かで揉めたり」

アクア「これまで暴露してきた性癖についても、中には目も当てられない闇があったわ」

アクア「逆ハーレムの外にいれば、私に何か言う権利はないでしょうけど」

アクア「逆ハーレムの一員になれば、私にも発言権はあるはずよ」

アクア「言いたい事、わかるかしら?」

アクア「私はカムイのために、カムイのためだけを想い、カムイのために行動する」

アクア「つまり」

アクア「私が逆ハーレムの内側から、暴走しがちなあなた達を止める――抑止力になるのよ」

385: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:40:48.13 ID:5SEuEvve0
レオン「なっ……そ、それじゃあ何だか、アクアだけ特別じゃないか!」

タクミ「ず、ずるいぞ!? そんなの贔屓だ、贔屓っ!」

アクア「私が男性なら、確かに贔屓でしょうね。でも、私はこれでも女よ」

アクア「同じ女性としての目線だからこそ、カムイの心身を思いやり、客観的にあなた達の無茶を止められるわ」

レオン「うっ、そ、それは……いやでも! アクアの性癖はどうなんだい!?」

タクミ「そ、そうだ! アクア姉さんの性癖が闇まっしぐらなら、抑止力どころじゃ……」

アクア「性癖? ……はあ、あなた達、今さら何言ってるの?」



アクア「カムイと結ばれるためだけに男共全員を落として逆ハーレムなんて完遂するとか、その時点でお察しでしょ」

レオン・タクミ「そ、それは確かにー!」ガビーン

386: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:47:28.16 ID:5SEuEvve0
アクア「それに……カムイ」顎クイッ

カムイ「ふえ。……ああ、アクアさん、一体何を!?」

アクア「逆ハーレムで……いえ、この軍の中で……一番頼りになって、男前なのは……誰かしら……?」耳元ササヤキー

アクア「声を聴かせて……?」必殺発動

カムイ「ふええ……アクアさんですぅ……」ガクガクビクンッ

アクア「……という訳よ」

レオン「何者だよアンタは! カムイ姉さんが腰砕けなんだけど!?」

アクア「ま、とにかく……私がいる限り、カムイに無理はさせないわ」

アクア「和やかに話すくらいなら自由だけど……デートは予約制、マイルームナデナデは順番を守る事」

アクア「もちろん 交渉は常識の範疇で、カムイに決して無理させない事。それと他には――」

リョウマ「――待てい!」

マークス「――いくら何でも横暴が過ぎるぞ!」

アクア「! あら……」

387: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 21:56:11.77 ID:5SEuEvve0
マークス「カムイの体を案じ、無理をさせまいとするのは正しい……が、何から何までがんじがらめにしすぎだ!」

リョウマ「そうだ! というかぶっちゃけると、アクアは四六時中カムイと一緒っぽくて羨ましい!」

マークス「ぶっちゃけるなリョウマ王子! ……だが、デートとか、もっとこう……条件緩くてもよかろう!?」

リョウマ「……  りも」 マークス「  りは置いといて!」

リョウマ「……とにかく、アクアよ、その我を通したければ……」

マークス・リョウマ「この壁を、超えて行け!」

アクア「……ふーん」

388: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:18:45.42 ID:5SEuEvve0
暗夜第一王子マークス 兵種・パラディン Lv20
持ち物・ジークフリード(守備+4) ワインボトル+2
力と守備に優れ、次いで技も高い

マークス「逃がしはせん」



白夜第一王子リョウマ 兵種・剣聖 Lv20
武器・雷神刀(力+4) 大根+2
技と速さに優れ、力にも定評がある

リョウマ「立ち向かえ!」



389: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:21:25.92 ID:5SEuEvve0
カムイ「た、大変です、アクアさん! 兄さん達の気迫は、本気です!」

アクア「ええ。まさか最後の最後に、こんな壁が出てくるなんてね……」

カムイ「ど、どうしましょう……私は一体、どうすればっ……」

アクア「……………」

391: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:33:43.89 ID:5SEuEvve0
アクア「とりあえず、二人ともぶん殴って黙らせましょうか」スチャッ

マークス・リョウマ「えっ」

カムイ「さすがです、アクアさん!」スチャッ

マークス・リョウマ「えっ」

392: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:39:19.37 ID:5SEuEvve0
アクア 兵種・歌姫 Lv60
持ち物・守りの薙刀+3 松の木+7 神雷の薙刀+5 訪問王の紋章 アクアの秘薬
全パラメーターほぼ緑(MAX) クレイジーカムイレズ

アクア「DLCで鍛えといて良かったわね」



カムイ 兵種・ダークブラッド Lv80
持ち物・サンダーソード+7 夜刀神・終夜 真竜石 戦闘王の紋章 逆神・丑寅+6
全パラメーター緑(MAX) 軍の中で一番、恋人が多い

カムイ「逃げたりしません!」



マークス・リョウマ「……………」

マークス・リョウマ「……………………」

マークス・リョウマ「えっ」

393: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:47:35.66 ID:5SEuEvve0
マークス「……いや、うむ……その、ちょっと……れ、レオン!」

リョウマ「た、タクミ! お前達も……えっ」

レオン『大変だタクミ王子。兄さん達と距離が離れすぎていて、すぐに助けに行けないよ』

タクミ『困ったね。どんなに急いでも、5ターンはかかりそうだね』

マークス「いつの間にあんな遠くに!?」

リョウマ「こ、この薄情者……あっ」

カムイ・アクア「…………」

マークス・リョウマ「…………」

カムイ・アクア「………ニッコリ」

マークス・リョウマ「……ニコォ……」



<アアアアアアアアアアアア!!

394: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 22:56:20.97 ID:5SEuEvve0
アクア「こうして至極平和に物事は解決し、カムイを中心とする逆ハーレムは完成したわ」

アクア「暗夜と白夜は手を取り合い、皆が平等にカムイを愛し、カムイも皆を平等に愛す」

アクア「ある意味、恐ろしく固い絆で結ばれた私達は、とうとうハイドラに戦いを挑み」

アクア「そして……」

~~~~~~
ハイドラ『怖いか人間よ! おのれの非力を嘆くがいい!』

カムイ『えーいっ!』
アクア『ゆらりゆるれりー』

ハイドラ『えっちょなにこの子たち強すぎ……ギャァァァァ』

謎のフードの男(カムイ……我が娘よ、立派になって……!)ショウメツー
~~~~~~

アクア「瞬殺だったわ」

395: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 23:03:02.12 ID:5SEuEvve0
カムイ「やりましたっ、やりましたよ、皆さん!」ピョンピョンッ

マークス「ああ、やったなカムイ! 私達は何もやってないが!」

リョウマ「ふっ、大変な戦いだったな……俺達は何もやってないが」

アクア「これで平和になるのね。……まあ、逆ハーレムは続いていくんでしょうけど」

レオン「当然でしょ。もうこうなったら、何と言われようとカムイ姉さんから離れないよ」

タクミ「僕達は、もう……カムイ姉さん無しじゃ、生きていけない気がするよ」

アクア「そうね。……そうなると、白夜と暗夜、透魔を……どう治めるか、だけど」

アクア「……………」

アクア「レオン、タクミ。あなた達の勘違い陰謀論……意外とアリだったわね?」

レオン・タクミ「へ?」

396: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/20(月) 23:10:47.41 ID:5SEuEvve0
アクア「暗夜と白夜の中間地に誕生した、女王カムイの治める『新生透魔王国』」

アクア「暗夜と白夜の王子達から協力を得て、カムイに傾倒する男達の手腕によって支えられる、この国は」

アクア「『女王カムイ様の愉快な逆ハーレム王国』と呼ばれる事もあるそうよ」

アクア「………………」

アクア「不本意ね」

アクア「でもまあ、倫理的には問題あれど、世界は順調に平和への道を歩んでいく」

アクア「そして」

「―――逆ハーレムの皆は―――」

 ~~~エピローグ~~~

397: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 00:08:29.51 ID:zJah/2Lb0
 ゼロ
『誇張性癖』
 ゼロはレオン直属の部下として王国の発展に力を尽くし、
 王国の影の一面を支え続けた。
 しかし、隙あらば女王カムイの下に顔を出し、  責めをしたという。

ゼロ「よう、カムイ。相変わらず幸せな顔だな……その顔がイヤらしく歪むのを想像するだけで、イッちまいそうになるぜ……」

カムイ「あっ、ゼロさん。えーっと……ゼロさんこそ、いつも通りイヤらしい視線ですね。その濡れたお目目で私を見つめて、一体どんな想像をなさっているのでしょう?」

ゼロ「……ありがとな、カムイ……」

カムイ「いえいえ、良く分かりませんけど……どういたしましてですっ♪」

398: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 00:20:58.87 ID:zJah/2Lb0
 オーディン
『ピュアに封印されし者』
 レオンの直属として仕事をこなしつつ、片手間に書を執筆した。
 いくつかの書がなぜか市場に出回り困惑するも、一部の国民に好評だった。
 ただし中には未公表の、女王に献上するためだけの書もあったという。

オーディン「カムイ、完成したぞ! 『俺の魔剣ミステルトィンが威力8のわけがない』が!」

カムイ「わあっ! 本当ですかっ、読ませてくださいっ!」フンスフンス

オーディン(……これで、俺がいつか帰るべき時が来ても……俺のいた証が、お前の傍に残る)

オーディン(俺は……それで幸せだ。……だけど、今だけは)

カムイ「うう~……剣士さんとお姫さま、幸せになってよかったです……うう~」

オーディン(……この幸せを、我が宿業の姫君と共に、享受しよう!)

オーディン「はっはっは! その書の良さが分かるとは、さすが瞳を持ちし我が伴侶――カムイよ!」

399: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 00:31:50.80 ID:zJah/2Lb0
 ツバキ
『微成長主義』
 戦闘はからっきしだったが、内政・外交方面で優秀さを発揮する。
 一度他国に外交に赴いた際、贈答用の鏡を何となく頭上に掲げてみたところ、
 宝を己の頭に叩き付けるつもりと勘違いされ、「完璧の使者」と持て囃される。
 その結果、それを伝え聞いた女王カムイに、一週間ほど無視されたらしい。

ツバキ「よーし、今日も完璧に、内政のお仕事だー! えーと――」

 ドアガチャッ
カムイ「ツバキさん……今、完璧と聞こえたような気がしましたが……?」

ツバキ「きっききき気のせいだよ!? 僕は全く完璧じゃないから、ねっ!?」

カムイ「……そうですかっ♪ ふう、安心しましたー……それでは、またっ」
 ドアバタン

ツバキ(……あ、危ない危ない、もうカムイの機嫌を損ねるのは真っ平だよー……)

ツバキ(仕事だけはちゃんとするけど……完璧じゃない俺を、カムイママに慰めてもらうんだからねー!)

 ちなみにバブみ趣味が矯正される事は、生涯なかったという。

400: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 00:42:26.26 ID:zJah/2Lb0
 ヒナタ
『破天荒な野外露出』
 戦後もタクミに仕え、主に治安維持のための戦闘部隊を指揮する。
 多くの賊や怪物を討伐し、彼らに「オウヨ!」をトラウマとして刻み付けた。
 身分の違いなど気にせず、夫の一人として、女王カムイを鍛錬に誘う事もあるらしい。

ヒナタ「おっ、カムイ! 今日は時間ありそうだな、一緒に外で鍛錬するか!?」

カムイ「わあっ、いいですね! 久し振りに、思いっきり体を動かしたいですっ!」

ヒナタ「おし、決まりだな! じゃあ……汚れてもボロボロになってもいい服を着てくるんだ。俺も褌を洗っとくからな。カムイも下着を……ああ別になくてもいっか、あと――」

アクア「カムイへの 交渉は私の書類審査をお通しください」松の木ドゴォッ

ヒナタ「オプティックブラストゥッ」

カムイ「きゃーっ!? ヒナタさんの目が、一瞬飛び出したような……しっかりしてくださいー!?」

401: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 01:04:44.71 ID:zJah/2Lb0
 ハロルド
『不運だったアメリカンヒーロー』
 主君エリーゼから「不運にも」御暇を言い渡され、感謝して女王カムイに仕える。
 相変わらずの人助けに勤しむ日々が、女王カムイの名声を高めたとか。
 今日も今日とて、人助けに奔走する。

ノスフェラトゥ「WrrrrrrHaaaaa……!」

ハロルド「くっ……平和になった世に、まだこのような強力なノスフェラトゥが残っていたとは……こ、このままではっ……!」

?『ハロルドさん、下がってくださいっ!』

ハロルド「な……あ、アナタは、まさか!?」

?「そう、私こそが謎のヒーロー……ヤトノカムイ!」

ヤトノカムイ「悪を成敗します! えいっ、竜穿……じゃなくドラゴンスティンガー!」

ノスフェラトゥ「ほらー(´‐ω‐`)」

ハロルド「た、助かったぞ、ヤトノカムイ! しかし、キミは一体……?」

ヤトノカムイ「ふっ、名乗るほどではありません……それでは、さらば! ですっ!」

ハロルド「ああっ、ヤトノカムイ! 一体、何者なんだ……」

ハロルド「……しかしどこかで会った気がするような。うーむ?」

402: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 01:17:41.52 ID:zJah/2Lb0
 ラズワルド
『お茶する笑顔』
 女王カムイに仕え、踊りによって皆を元気にした。
「再行動できない」とか「上昇量ささやかッスね」などと陰口を叩かれるが、
 努力して神軍師になって七色の叫びを習得し、確固たる個性を樹立した。
 カムイをお茶に誘う事が、最大の楽しみ。

ラズワルド(僕もオーディンも、いつかきっと、元の世界に帰るか選択を迫られる)

ラズワルド(その日が来るのが、怖い。このまま時が止まってしまえばと思うくらい)

ラズワルド(……けど、それでも、今だけは)

カムイ「ラズワルドさん……楽しいですね、ふふっ♪」

ラズワルド「……うん、そうだねっ!」

ラズワルド(大好きなこの人と、共に歩く時間を……噛みしめよう)

403: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 01:32:22.39 ID:zJah/2Lb0
 アサマ
『褒め殺しした僧』
 各地を巡り、王家の目の届きにくい地方を中心に活動し、人々を癒す。
 物事に執着しない性格のはずだが、割と頻繁に透魔王国には通っていた。
 女王カムイに説教している様子が良く見かけられ、事情を知らない者は肝を冷やした。

アサマ「全く……元々が女神同然の方が女王にまでなって、一体何になろうとしてるんですかね」

アサマ「輝かしい魅力を振りまくのも結構ですが、少しは自重しなければ、国民に男共ばかり増えて傾国しかねませんよ」

カムイ「は、はううっ……! 相変わらずアサマさんには、怒られてばかりですっ……」

カムイ「ごめんなさいっ! せめてアサマさんに愛想を尽かされないよう、精進しますー!」

アサマ「……やれやれ、あなたは本当に、相変わらずのお馬鹿さんですねぇ……」

アサマ「私のこの言葉が、捻れた私の、精一杯の愛情表現だということに」

アサマ「一体いつになったら気付くんでしょうねぇ……?」

404: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 01:41:23.70 ID:zJah/2Lb0
 サイゾウ
『ポエム日記使い』
 裏で不当に利益を得る商人などを成敗し、「悪代官殺し」として勇名を馳せた。
 サイゾウの活躍を題材とした物語は、演劇として大人気となる。
 しかし当の本人は自分の本業を「女王カムイの監視」と言い張った。
 だが最近では、カムイと向かい合って何か練習しているようである。

サイゾウ「っ……い……いくぞ、カムイ!」

カムイ「は、はいっ……どどどうぞっ!?」

サイゾウ「……ぅ、お……お、お前は……いや、か、か……」

サイゾウ「カムイは、今日も……美しい、な……?」

カムイ「……ありがと、ござい、ます/////」顔マッカ

サイゾウ「……こ、こちらこそ、だろうが……」上半分顔マッカ

405: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 01:59:21.60 ID:zJah/2Lb0
 ブノワ
『強面のクマさん騎士』
 女王カムイの直属護衛兵として、生涯を賭して彼女を守り続ける。
 初めの頃は恐れられていたブノワだが、その意外な可愛らしさは徐々に有名になった。
 しかし、そんな彼を独占できるのは、女王カムイだけである。

カムイ「わーいっ、ブノワさーん! 抱きしめさせてくださーいっ!」ダキツッキー

ブノワ「ぐぉっ。……どうだ、カムイ……満足か?」

カムイ「うーん、まだまだですねー。もっと抱きしめないと、足りませんー」スリスリ

ブノワ「そうか。…………」

 ブノワからギュッ

カムイ「あっ。……えへへ、あったかいですねぇ」

ブノワ「………………」

ブノワ「ああ……幸せだ、な……」

406: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 02:26:47.12 ID:zJah/2Lb0
 ツクヨミ
『ショタ顔○○師』
 かねてからの念願だったはずの、世界を巡る旅に出たような気がした。
 しかし何かと理由をつけては頻繁に透魔王国を訪れ、女王カムイに会っていく。
 その手に、パラレルプルフを握りしめて……。

ツクヨミさん(修羅)「This way……(こっちだ)」

カムイ「…………」

ツクヨミさん「Follow me……(ついてこい)」

カムイ「…………………」

カムイ「折れたりしませんが、いつものツクヨミさんに戻って頂いて良いですか?」パラレルプルフをスッ

ツクヨミさん「あっはい」トゥートゥートゥトゥトゥートゥー♪

カムイ「ツクヨミさん! お久しぶりですっ、元気にしてましたかっ?」ガバッチョ

ツクヨミ(陰陽師)「わわっ、抱き着くなカムイ! 胸が顔に当たる~!」

407: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 02:39:23.49 ID:zJah/2Lb0
 フランネル
『人狼のペット』
 激戦の末、たったの二枠しか存在しない地位を勝ち取る。
 そう、女王カムイのペットの座である。
 カムイの外出時には護衛として付き従い、王宮では外敵の侵入を許さなかった。

賊『ひいいっ……か、勘弁してくれーっ!』ダッ

フランネル「カムイを襲おうなんて、ふてぇ奴らだ! 一昨日きやがれっ!」ガルル

兵(ひっ……味方ながら、怖いなぁ……)

カムイ「フランネルさん! ありがとうございますっ!」

カムイ「よしよしっ、イイコですねー♪ よしよしよーし」ナデナデナデナデェ

フランネル「お、おお、っふ……わ、わふぅ……ワフーン!」尻尾ブンブン

兵(……大型犬?)

408: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 02:49:50.23 ID:zJah/2Lb0
 ニシキ
『妖狐のモフモフ』
 激戦の末、たったの二枠しか存在しない地位を勝ち取る。
 案の定、女王カムイのペットの座である。
 基本的には王宮で気ままに生活し、癒しを求めるカムイにモフられる日々。

ニシキ(カムイの部屋に呼び出されたかと思いきや……はあ)

カムイ「はぁ~……モフモフです、モフモフですっ。尻尾、もふぅ……♪」トローン

ニシキ(いきなり抱き着かれ、身動きできないまま、モフられて……)

カムイ「ニシキさんの毛触りは、いつも最高ですねぇ……ん~♪」

ニシキ(尻尾を、耳を……時には獣化して、全身を……好き放題にされて)

ニシキ(はあ……こんな、こんな日々……)

ニシキ(………………)

ニシキ(幸せすぎてヤバイよぉ~……)トロトローン

外<キャーイキナリ、カミナリガ!?
外<ダレカ、トローンツカッテナイ!?

410: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 12:41:56.71 ID:zJah/2Lb0
 アシュラ
『髪の色分けがかなり不思議』
 透魔女王カムイの厚意により、コウガ公国を再建する。
 公王となったが、透魔王国への外交使者が必要な際は、必ず公王自ら赴いた。
 透魔女王とコウガ公王が二人きりになった部屋を覗けば、
 決して見てはいけないものを見る事になるだろう。

アシュラ「あの、カムイ様……足、気持ち悪かったりしませんか?」

カムイ「……いえ、全然……むしろ不思議なほど馴染んで、快適です……」

アシュラ「そ、そうですか、その……毎回毎回、ありがとうございます……」

アシュラ「踏んでいただいて……」○TL

アシュラ「でも俺、こうしてると、なんか凄く満ち足りて……」

アシュラ「殺されてもいいって気持ちと、ああ俺は今生きてるんだなって気持ちが」

アシュラ「二律背反のはずなのに、不思議なほど実感できて……へへっ」

カムイ「……ええ、私もアシュラさんを踏んでると……移動力が1つ上がりそうな」

カムイ「………………」

カムイ「本当にごめんなさい……」ポロポロ

アシュラ「か、カムイ様!? そんな、なんで泣くんですカムイ様ー!?」

411: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 12:49:47.79 ID:zJah/2Lb0
 フウガ
『風のチラリズム』
 風の部族の族長としての日々に戻る。以降は村から出る事はないと思っていたら、
 なぜかしょっちゅう外交の名目で透魔王国に通っている。
 理由は謎だが、カムイ女王との謁見は屋外を希望し、女王がスカートでない時はあからさまにガッカリしていた。
 そしてこれも理由は謎だが、彼が透魔に訪れる事を、男の国民は大歓迎している。

カムイ「う~ん、今回もフウガ様はお外で会いたいとの事ですが……」

カムイ「国民の皆さんも不思議と集まっていますね……なぜか男性の比率が多いですが」

フウガ「……おーい、カムイよ。元気だったか? はっはっは……」

カムイ「あっ、フウガ様がいらっしゃいましたね。はーい――」

フウガ「風よおォォォォォォ! 巻き起これィエアァァッァ!!」ビュゴォォォ

カムイ「えっ……きゃ、きゃーっ!?」スカートオサエー

民草『ウオオオオオオオオオオ!!!』

カムイ「も、もうっ! フウガ様ってば、何をするのですっ!」

フウガ「はっはっは、風の部族なもので、風を吹かさずにはおれず。すまん」鼻血ボトー

カムイ「そうでしたか……風の部族なら仕方ないですね……」

アクア「何か言い遺す事は?」フウガの後頭部ガシッ

フウガ「風はいつもそこにある……私は何度でも、舞い戻って来るさ……」

フウガ<ヌワァァァァァァ

412: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 13:18:26.74 ID:zJah/2Lb0
 ・・・・・・・・・・・

ギュンター「………………」

カムイ『えーと、この書類は……ジョーカーさーん。……うう、いないみたいです』

ギュンター(……カムイ様は、大きく、強くなられた……立派になられた)

ギュンター(いつまでも変わらず、優しい心のままで……罪深い私を、許してくれた)

ギュンター(もはやこれ以上、望む事などあろうか)

ギュンター(いいや……これ以上は、贅沢すぎる……何も、あろうはずがない)

ギュンター「……さらばです、カムイ様」クルリ

413: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 13:23:23.42 ID:zJah/2Lb0
ジョーカー「待ちやがれ、ジジイ」

スズカゼ「どこへ行かれるおつもりですか?」

ギュンター「! ジョーカー、スズカゼ……」

サイラス「すみませんが、ここを通す訳にはいきませんよ。……カムイが悲しむので」

ギュンター「サイラス……お前まで」

414: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 13:30:19.59 ID:zJah/2Lb0
ジョーカー「……チッ。おいジジイ、俺が一人前になるまで死にきれんと言っときながら」

ジョーカー「くたばっちまう前に、さっさとどっか消えちまう気かよ」

ジョーカー「そんな無責任な奴になれと、教わった覚えはねえぞ」

ジョーカー「アンタは、まだまだ俺に……指導する事があるんだろうが」

ギュンター「……ジョーカー、お前……」

スズカゼ「ほう、そんな指導があるとは……どうやら私も、御教授いただく必要があるようですね」

スズカゼ「ギュンターさん。……まだまだ引退されては、困りますよ」

ギュンター「……スズカゼ」

サイラス「俺もカムイを守る騎士として、ギュンターさんからは学ばなきゃいけない事が沢山ありますから」

サイラス「いや最近、武術だけじゃカムイを満足させられなそうで……ご指導ご鞭撻、お願いします!」

ギュンター「……そうか……そう、だな」

415: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 13:33:49.91 ID:zJah/2Lb0
ギュンター(これ以上は、贅沢がすぎるだろう)

ギュンター(しかし、こんな私を許してくれたカムイ様が)

ギュンター(こんな私が、いなくなる事で……悲しまれるというのなら)

ギュンター(………………)

ギュンター「よかろう。確かにお前達は、まだまだ未熟」

ギュンター「カムイ様の直属として、どこへ出しても恥ずかしくないよう」

ギュンター「全力で……厳しく指導してやるから、覚悟を決めておけ!」

スズカゼ「はい。……よろしくお願いします、ギュンターさん」

サイラス「カムイのためなら、いくらでも!」

ジョーカー「はあ、またジジイの指導かよ……お前ら、呑気してる場合じゃねえぞ……」

ギュンター(もう少しだけ……もう少しだけで、いい)

ギュンター(カムイ様のお傍に、いても……よろしいですかな……?)

416: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 13:44:41.84 ID:zJah/2Lb0
 ギュンター
『指導騎士』
 戦後、表に立つ事はなくなるが、後進の育成に余念がなかった。
 地獄のように厳しい指導に、「まさかこれほどとは」と前髪の寝癖がひどい騎士が、「崖から落ちそうなほうが幾分か楽」と忠犬忍者が多少後悔するも、手加減は全くしなかった。
 それから、多くの若者たちを指導し続け、
 終生、女王カムイのために仕え続けた。

カムイ「あっ……ギュンターさん、ギュンターさーん!」

ギュンター「おや……カムイ様、いかがなさいましたかな?」

カムイ「業務にちょっと手こずってしまいまして……ちょ、ちょっとだけですよ?」

カムイ「ジョーカーさんやスズカゼさん、いつも近くにいるはずなのに、今日に限っていなくって……」

カムイ「もうもうっ、どうしたらいいのでしょうか~っ!」

ギュンター「ふむ、あれらは今、裏で気絶……いえ、熟睡中」

ギュンター「主君を放って眠りこけるなど、直属従者の風上にも置けませんが」

ギュンター「今回だけは、私が尻拭いをしてやるとしますかな……お手伝いしますぞ、カムイ様」

カムイ「えっ、本当ですか!? 頼りになります!」

カムイ「ギュンターさん……ありがとうございますっ!」

ギュンター「ええ、カムイ様、もちろんです」

ギュンター「あなたの笑顔のためならば……いくらでも」

417: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 14:26:41.88 ID:zJah/2Lb0
 ジョーカー
『忠実ではある執事』
 戦後も変わらず女王カムイに仕え続け、ますます忠実になったという。
 持てる全ての力をカムイのために捧げ続け、生活から職務に至るまで、全てを支えた。
 もちろん、衣類の洗濯も含めてである。

ジョーカー「カムイ様……お茶が入りました、休憩しましょう」

カムイ「あう……す、すいません、今日はお仕事が多くて、休憩している暇は……」

ジョーカー「ふっ……ご安心を、控えている仕事は全て、僭越ながらこのジョーカーめが片付けさせて頂きました」

ジョーカー「カムイ様が今なされている仕事が済めば、今日の政務は終わりです」

カムイ「わ、わあっ、本当ですか!? ……まだお昼前なのに、いいんでしょうか……」

カムイ「って、あ。……お、お茶の前に、ちょっと行ってきていいですか?」

カムイ「我慢してて、その……お、お花摘みに……」

ジョーカー「……ふふっ、カムイ様……それも、ご安心ください」

ゴロンッ

カムイ「……あ、あの、ジョーカーさん? なぜ床に倒れられて……」

ジョーカー「さあっ……いつでもどうぞっっっ!!」

アクア「油断も隙もない」松の木グシャッ

ジョーカー「オボッ」

カムイ「じょ、ジョーカーさーん!」

418: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 15:01:11.61 ID:zJah/2Lb0
 スズカゼ
『忠犬の忍』
 戦いの後の記録はあまり残っていない。残せなかったという説もある。
 女王カムイの直属として仕えた事は間違いない。
 同僚のジョーカーと、どちらがよりカムイに相応しいか、度々何かで張り合っている。

スズカゼ(カムイ様……私はあなたに命を拾われ、心を救われました……)

スズカゼ(今では、あなたの笑顔を見る事が、私にとって無上の喜びです)

カムイ「……さあ、いきますよ、スズカゼさんっ……」

スズカゼ(ゆえに……そんなあなたのため、私は、私はっ……!)

カムイ「お手! おかわり! 伏せ! ジャンプ!」

スズカゼ「ウォン! ワッフゥ! イェア!」シュン、シャン、ゴロン

スズカゼ「―――セイヤァァァ!」跳躍

カムイ「よくできましたっ! イイ子ですねー、スズカゼさんっ♪」ナデナデ

スズカゼ「ぁぁ……カムイ様こそ、さすがのお手並み……」ビクンビクン

スズカゼ「……では、そろそろ次の段階……新しい芸に挑戦しましょうか」

カムイ「新しい芸、ですか? わあっ、楽しみです! どんなのですか?」キラキラ

スズカゼ「はい(イケボ)」

スズカゼ「――― ん ん、と申しまして」

アクア「しょうこともなし」松の木ズゴッ

スズカゼ「オッフ」

カムイ「す、スズカゼさーんっ!」

419: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 15:15:03.89 ID:zJah/2Lb0
 サイラス
『友情の行き過ぎた騎士』
 女王カムイの直属親衛騎士となり、王城騎士の教育にも余念がなかった。
 後輩騎士から大いに慕われたが、カムイとの時間を何より大切にした。
 しかし前髪の不思議な跳ねっ返りだけは、一度として治る事はなかったらしい。

サイラス「よう、カムイ! 今日も見回り終わったぞ!」

カムイ「あっ、サイラスさん! いつもありがとうございますっ」

サイラス「いやいや、平和なもんだから、散歩してきたようなもんだよ」

サイラス「にしても、カムイが女王様か……何だか感慨深いな」

カムイ「サイラスさん?」

サイラス「王城や王宮で、こうして生活する姿も、様になって。…………」

サイラス「………………」

サイラス「ところで王城とかって、お城みたいな建物の極みみたいなもんだよな」

サイラス「よしカムイ、ちょっと休憩しないか!? ベッドとかある所で――」

アクア「己の罪を数えよ」松の木ズドーン

サイラス「ウオォン」

カムイ「さ、サイラスさーん!」

421: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 15:41:24.42 ID:zJah/2Lb0
 リョウマ
『白夜の伊勢海老』
 リョウマは白夜王となり、戦禍に荒れた国を復興させ、透魔王国に良く支援した。
 王にも拘わらず、透魔王国に頻繁に出没した。
 基本的には公正無私だが、透魔女王カムイに対してだけは、所構わず  りを迫った。
 後世、そんな彼を識者はこう評した。
「偉大なる父王スメラギを超える者」

リョウマ「カムイ、久し振りだな。かなり長らく離れていたが、元気にしていたか?」

カムイ「あっ、リョウマ兄さん! 三日ぶりですね!」

リョウマ「はっはっは、元気そうで何よりだ。健康なのが何よりだな」

カムイ「ふふっ、皆さんのおかげですっ。それで兄さん、今日は何を……?」

リョウマ「ああ、  り……いや国作りについてな。まぐわい……いや語り合いに来たのだ。はっはっは、世継ぎ……いや矢継ぎ早に喋ってしまって申し訳ないが」

カムイ「なるほどですっ。分かりました、存分に語り合いましょう! 折れたりしません!」

リョウマ「はっはっは、こちらこそ決して中折れは……いや折れないから安心してくれ」

リョウマ「………ところで」

アクア「……………」ゴゴゴゴゴゴゴ

リョウマ「あそこで覇王のような威圧感を放ってる人、何とかしてくれんか?」

422: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 16:00:54.66 ID:zJah/2Lb0
 マークス
『暗夜の過保護騎士』
 マークスは暗夜王となり、王国繁栄の礎を築き、透魔王国に良く支援した。
 王にも拘らず、透魔王国に足繁く通った。
 女王となり、ドレスを着たカムイを見て、号泣して周囲を軽く引かせた。
 もう、鎧が邪魔だとは、言わなくなった。

マークス「カムイ、久し振りだな。とても長らく離れていたが、元気にしていたか?」

カムイ「あっ、マークス兄さん! 二日ぶりですね!」

マークス「ははは、今日も元気だな。女王となっても、お前は昔から変わらない」

マークス「……そのドレスも、良く似合っているな」

カムイ「も、もう、兄さんったら……会うたびにそんな事を言って……」モジモジ

マークス「すまん。つい、口に出てしまうのだ」

マークス「本当に……お前が幸せになって、良かった……」

カムイ「マークス兄さん……これもマークス兄さんと、皆さんのおかげです」

カムイ「マークス兄さんが隣で剣を振ってくれたから、皆が支えてくれたから、私は立っていられるのです」

マークス「そうか……ふっ、しかしまだ、私はお前に教えきれていない愛がある」

マークス「だが、今の姿では、教えるのには少し不都合だな。ふむ……」

マークス「……カムイよ」

マークス「服が、邪魔だな……?」

アクア「………………」ゴゴゴゴゴゴゴ

マークス「なんでもないです」

423: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 16:14:18.51 ID:zJah/2Lb0
 タクミ
『風神弓』
 タクミは透魔に移り住み、執政の面で透魔を支えた。
 女王カムイとの関係性の割には、相変わらず素直でないように見える。ツンデレの鑑だ。
 しかし、傍から見ればカムイにデレデレなのは明らかである。
 最近はやたらと長い髪が犬の尻尾のように揺れ、スズカゼとフランネルを脅かしている。

タクミ「カムイ姉さん、今日の仕事は終わったよ。……そっちはまだなの?」

カムイ「ふえっ!? も、もう終わったんですか? まだお昼前ですよ?」

タクミ「もう、これくらい当然でしょ。まだまだだね、カムイ姉さんは」

タクミ「……仕方ないな、僕が手伝ってあげるよ。感謝してよね」

カムイ「わ、わあっ、タクミさん、ありがとうございます! …………」

カムイ「あ、あのー、座る場所、近すぎませんか? ……あ、あの、タクミさん?」

タクミ「そんな事……クンカッ……ないでしょ。ほら、集中……クンスクンス……しなよ。そんなだから……クンクンクッホォ……終わらないんだよ。さあ、ちゃんと……クンクンクンカクンカァァァ!」

カムイ「た、タクミさーん!? におい嗅いじゃダメですってば、タクミさーん!」

カムイ「なんでそんなっ……も、もう、タクミさんったらー!」

タクミ「はあ……もう、本当に……幸せすぎるってば……」

424: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 16:46:26.35 ID:zJah/2Lb0
 レオン
『闇のトマト・プリンス』
 レオンは透魔に移り住み、時には憎まれ役を引き受けてまで、王国の発展に尽力した。
 しかし女王カムイが事あるごとに彼を庇ったため、実際に憎まれる事はあまりなかった。
 強いて言えば、弟大好きな女王カムイに甘やかされている事で、嫉妬を買ってはいた。

レオン「……カムイ姉さん? ほら、ここも間違ってるよ、もう……」

レオン「『女王として精進するため勉強を教えてください!』なんて言いながら」

レオン「こんな簡単な問題を間違えるなんて……やっぱり、僕が傍にいないとダメだね」

カムイ「う、うう、レオンさんは、相変わらず厳しいです……」

カムイ「お姉ちゃんはこんなにも、弟の事が大好きなのにーっ!」ワーン

レオン「むっ。……弟、ね。それはタクミ王子の事も含めてだろうし……気に入らないな」

レオン「お姉さんぶる出来の悪い生徒には……教育が、必要かなっ」オシタオシー

カムイ「むむっ。……えいっ、隙ありですっ!」オシタオシカエシー

レオン「え……わ、わわっ!? ね、姉さん!?」

カムイ「ふふーん、生徒としては不出来ですが、先生としてはどうでしょう? 可愛い弟を可愛がってあげますよ……」

カムイ「何しろ私は、お姉ちゃん先生ですからねっ♪ ……あれ、でもこれからどうすればいいんでしょう? あれ、あれー?」

レオン「……くっ、血液が足りない!」鼻血ブシャー

カムイ「きゃー!? レオンさん、トマト……トマトを食べて補充してくださいー!」オシコミー

425: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 17:01:44.05 ID:zJah/2Lb0
 アクア
『カムイの歌姫』
 戦後、女性でありながら、カムイの逆ハーレムの一員として、誰よりも活躍した。
 暴走しがちな男共を時には歌の力で鎮めるため、「消滅待ったなし」と思われたが、
 なぜかどんどん元気になっている。「レベル上げすぎたかしら」とは、本人の弁。
 しかし最近はいちいち歌うのも面倒になってきて、松の木をよく振り回している。
 とても長生きしそうである。

426: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 17:21:30.55 ID:zJah/2Lb0
 カムイ
『透魔の逆ハーレム女王』
 戦後、透魔王国の女王として即位したが、まさかの逆ハーレムの主だったため、当初は国民を不安のどん底に陥れた。
 しかしその評価はすぐさま覆る事になり、透魔王国は繁栄の道を歩んでいく。
 女王カムイはその不思議な魅力でもって、老若男女、貴賤の別なく、全ての国民に愛された。
 女王として多忙のはずだが、彼女を愛する男達がほとんどの仕事を肩代わりしてくれるため、割と暇である。
 ある意味では固すぎる絆で結ばれた逆ハーレムは、キョウダイのように仲が良く、
 その中心にいるカムイは、いつまでも幸せそうだったらしい。

427: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 17:44:37.06 ID:zJah/2Lb0
アクア「逆ハーレムの主である透魔女王カムイを中心に、世界は平和への道を歩み始めた」

アクア「中央の透魔王国を挟んでいるおかげか、暗夜と白夜の争いもなくなり」

アクア「透魔、暗夜、白夜の三国は……恒久の平和を約束したわ」

アクア「ここまで上手くいきすぎると、少し怖いくらいだけれど……」

アクア「カムイが誰よりも頑張って、皆を繋いでくれたからこそ……」

アクア「カムイがいたからこそ、ようやく実現できた……と思えば、不思議ではないわ」

カムイ「……あ、あのー、アクアさん……それはどう考えても、過大評価すぎですし……」

カムイ「それにっ。アクアさんがいてくれたからこそ、私は前に進めたんですからっ」

カムイ「そして皆がいるからこそ……私は今、折れずに立っていられる」

カムイ「だから、私ではなく……皆さんのおかげなんですよっ」

アクア「……ふふっ、そう。あなたがそう言うなら……そういう事に、しときましょ」

カムイ「だ、だから……アクアさんー? もうーっ」

428: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 17:53:34.91 ID:zJah/2Lb0
アクア「そんな事より。あなたを愛する男共との調子は、どう?」

アクア「いつも言ってるけど、無茶な事をされそうになったら、すぐ私に相談するのよ?」

カムイ「だ、大丈夫ですよっ。皆さん、とても優しいですし、イイ人しかいませんっ」

カムイ「たまにビックリさせられちゃう事もありますが……アクアさんがきまって割り込んでくれますし」

カムイ「……まあ、『もっと二人だけの時間を』と良く言われてしまいますが……」

カムイ「立場上、なかなか実現できないのが申し訳ないですね……うう」

アクア「いいわよ、気にしなくて。あなたはちょっと愛情深すぎるし、愛されすぎている」

アクア「分け合うくらいで、ちょうどいいのよ。……多分ね」

カムイ「な、何だか適当な気が……う、うーん」

アクア「気のせいよ。……ああ、まあ、今後の事で問題があるとしたら」

429: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:20:01.12 ID:zJah/2Lb0
アクア「子供――」
 ビターンッ
アクア「……どうしたのカムイ? 急に顔を机に突っ伏して」

カムイ「……う、うう、子供を、その……作る、行為が、ですね」スンッ…

カムイ「皆さんの言ってた意味が……まさかあんな、その、ハードだとは……」グリグリ

カムイ「思わなくて……う、うう~~~……!」顔マッカ

アクア「ああ~……そうね、私があなたに保健体育を教えてみたら、色々知っちゃったのよね」

アクア「まさかほとんど知識が無いとは思わなかったから……驚いたわ」

430: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:23:25.23 ID:zJah/2Lb0
カムイ「だ、だってだって、北の城塞にあった恋愛小説には、その描写はなくって……」

カムイ「一緒のベッドに入ったら、次のページでは夜が明けてるだけだったんですもんー!」

アクア「そうよね……良く考えたら、周りにいたのはジョーカーやギュンター、フェシアとフローラくらいで」

アクア「あとは暗夜キョウダイくらいで……過保護軍団じゃ、変な本は持ってこないわね」

アクア「この透魔のあなたの部屋に移送された本を見た時は、さすがに戦慄したわ」

アクア(……まあ戦慄したのは、内容が、主従モノと近親モノと、百合モノまであった事なんだけど)

カムイ「うう、恥ずかしいです、もうお嫁に……いってるんでしたっ。しかも大量にっ」

アクア「いいじゃない。男共は恥ずかしがってるカムイを見て、『これはこれで』って喜んでたわよ」

カムイ「よ、よくないですーっ! アクアさんまで何だか嬉しそうですしっ!」

アクア「ふふふ、カムイは可愛いわね。私の宝物だわ……」

カムイ「なぜどこぞの風の聖戦士(諸説あり)のようなセリフを……」

431: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:29:25.74 ID:zJah/2Lb0
アクア「とにかく……これで逆ハーレムは成り、平和への道は実現したわ」

アクア「あなたにしてみれば、これから大変な事も、たくさんあるでしょうけれど」

アクア「カムイ」

アクア「本当に……おめでとう」

カムイ「! アクアさん……ありがとうございます」

432: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:33:19.54 ID:zJah/2Lb0
アクア「皆を信じ、私が考える事も出来なかった、第三の選択……透魔への道を歩み」

アクア「更に、本来ならあり得ないはずの、もう一つの道を開き、皆を繋いでみせた」

アクア「カムイ、あなたの作り出した、この新しい絆は――決して砕ける事はないわ」

アクア「……絶対に、ね」

カムイ「! ………………」

433: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:34:20.65 ID:zJah/2Lb0
カムイ「私達を繋いだ……もう一つの道」

カムイ「決して砕ける事のない、新しい絆」

カムイ「………………」

カムイ「……ふふっ、アクアさん、それって……」

434: ◆gwRXYWd6Zs 2017/02/21(火) 18:35:38.19 ID:zJah/2Lb0


 ―――――――――――――――

 カムイ「逆ハーレム……ですか?」

 ――――――――――――――――

 ~fin~


次回 【FEif】スメラギ「ミコトが白夜を頼ってきただと!?」【勝手な憶測】